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特表2023-554254チャー取扱部およびそれに関する解重合工程
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】チャー取扱部およびそれに関する解重合工程
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/07 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
C10B53/07
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533636
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2021086927
(87)【国際公開番号】W WO2022136334
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216344.0
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513076604
【氏名又は名称】バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】アリチ デ フィネッティ、ニコロ
(72)【発明者】
【氏名】ブリタ、ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】マズッコ、アントニオ
【テーマコード(参考)】
4H012
【Fターム(参考)】
4H012HB03
4H012HB10
(57)【要約】
本開示は、チャー含有液体スラリーで作動し、液体スラリーを逐次的に解重合し、最終的に収集され取り扱われるチャーを乾燥させるための一連の装置を含むチャー取扱部を提供する。このように構成されたチャーの除去処理および取り扱いのための方法および装置は、非常に柔軟性があり、解重合反応器を停止させることなく連続モードで作動することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャー取扱プラントであって、
チャー含有スラリーを供給するための入口導管(6a-1)と攪拌システム(6b)とを備え、350~570℃の温度範囲で作動可能であり、ガス状流出物を抜き出すための導管(6b-1)をさらに備えた第1のジャケット付きチャンバ(6a)と、
濃縮スラリーを前記チャンバ(6a)から抜き出し、第2のチャンバ(6d)に搬送し、前記スラリーを前記チャンバ(6a)と同じ温度範囲に維持でき、かつガス状流出物を除去して乾燥したチャーを生成する脱気システムを備えた手段(6c)と、
攪拌システム(6d-1)と、チャー出口(6d-2)と、前記チャンバの底部に位置するガス入口(6d-3)と、前記チャーからストリッピングされたガス状流出物を除去するためのガス出口(6d-4)とを備えた、前記乾燥したチャーを受ける第2のストリッピングチャンバ(6d)と、
前記ストリップチャンバ(6d)内の乾燥したチャーを受け、第3の収集チャンバ(6f)に搬送し、前記チャーを60℃~100℃の温度範囲に維持可能な手段(6e)と、
攪拌システム(6f-1)と、バルブ(6f-2)によって操作されるチャー取扱用の出口とを備えた、前記乾燥したチャーを受ける第3の収集チャンバ(6f)とを備えることを特徴とするチャー取扱プラント。
【請求項2】
前記ジャケット付きチャンバ(6a)は350~570℃の温度範囲で作動することを特徴とする請求項1に記載のチャー取扱プラント。
【請求項3】
濃縮スラリーを前記チャンバ(6a)から抜き出し、第2のチャンバ(6d)に搬送する前記手段(6c)は、前記チャンバ(6a)と同じ温度範囲で作動するジャケット付きスクリューコンベア(6c)であることを特徴とする請求項1から2のいずれか1項に記載のチャー取扱プラント。
【請求項4】
溶融した天日塩は、前記チャンバ(6a)および前記スクリューコンベア(6c)のジャケット内を循環することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のチャー取扱プラント。
【請求項5】
前記スクリューコンベア(6c)は、互いに接続される2つの異なるコンベアにより構成され、第1の昇降スクリューコンベア(6c-1)は、下端が前記チャンバ(6a)の底部と一体化され、上端が前記下端よりも高い位置にあり、かつ第2のスクリューコンベア(6c-2)の一端に接続され、前記第2のスクリューコンベアの他端が前記ストリッピングチャンバ(6d)の上部に接続されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のチャー取扱プラント。
【請求項6】
両方のコンベヤベルトは、ジャケット付きのものであり、前記チャンバ(6a)と同じ温度範囲で作動することを特徴とする請求項5に記載のチャー取扱プラント。
【請求項7】
前記ストリッピングチャンバ(6d)は、底部に窒素入口を備え、上部にストリッピングされたガスを凝縮ユニットに搬送するための出口を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のチャー取扱プラント。
【請求項8】
前記ストリッピングチャンバ(6d)の底部には、前記乾燥したチャーを60~100℃の温度範囲に維持されるジャケット付きスクリューコンベア(6e)に排出するための出口およびボールバルブが設けられることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のチャー取扱プラント。
【請求項9】
前記ジャケット付きスクリューコンベア(6e)は、ガス入口(6f-3)およびガス出口(6f-4)を介して窒素の循環が維持される収集チャンバに接続されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のチャー取扱プラント。
【請求項10】
前記プラスチック材料の溶融温度で加熱される少なくとも1つのスクリュー押出機(1)を含む廃プラスチック材料の供給システムと、
解重合を進行させることによってガス状流出物と液体流出物を生成する連続式攪拌槽型反応器であって、前記第1の反応器(2)で生成した液体流出物の少なくとも一部を前記チャー取扱部(6)に導くための出口と、前記反応器(2)からのガス状流出物を抜き出すための出口とを有する、溶融プラスチック材料を受ける第1の解重合反応器(2)と、
前記第1の凝縮ユニットよりも低い温度で作動する第2の凝縮ユニット(5)にガス状生成物を搬送するための手段と、凝縮ユニット(3)からの液体流を第2の解重合反応器(4)に導くための手段とを有する、前記反応器(2)からのガス状流出物を受ける第1の凝縮ユニット(3)と、
解重合を進行させることによってガス状流出物と液体流出物を生成する連続式攪拌槽型反応器であって、触媒供給ラインと、前記第2の反応器(4)で生成された液体流出物の少なくとも一部を前記第1の解重合反応器(2)に導くための出口と、反応器(4)からガス状流出物を抜き出し、第2の凝縮ユニット(5)に導くための出口とを有する第1の解重合反応器(4)とを備えることを特徴とする解重合プラントに接続される請求項1から9のいずれか1項に記載のチャー取扱プラント。
【請求項11】
チャー含有スラリーを取り扱う方法であって、
チャー含有スラリーを、攪拌システム(6b)を備えた第1のジャケット付きチャンバ(6a)内に導入し、前記チャンバを350~570℃の温度範囲で作動させることにより、ガス状流出物を生成し、抜き出す工程と、
前記チャンバ(6a)から濃縮スラリーを抜き出し、前記チャンバ(6a)と同じ温度範囲に維持しながら第2のチャンバ(6d)に搬送することによって形成されるガス状流出物を除去して、乾燥したチャーを生成する工程と、
前記乾燥したチャーを、攪拌システム(6d-1)と、チャー出口(6d-2)と、前記チャンバの底部に位置するガス入口(6d-3)と、前記チャーからストリッピングされたガス状流出物を除去するためのガス出口(6d-4)とを備えた第2のストリッピングチャンバ(6d)内に導入する工程と、
前記ストリッピングチャンバ(6d)で得られた乾燥したチャーを、60~100℃の温度範囲に維持しながら第3の収集チャンバ(6f)に供給する工程と、
前記乾燥したチャーを、バルブ(6-2)を介して前記収集チャンバから排出して取り扱う工程と、を含むことを特徴とするチャー含有スラリーを取り扱う方法。
【請求項12】
前記スラリー中のチャー含有量は、前記スラリーの総重量に対して10~50重量%、好ましくは20~40重量%であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有用で価値ある特性を有する、炭化水素油を含む新規な生成物へのプラスチック廃棄物の解重合の分野に関する。一態様では、本開示は、上記解重合工程によるチャーを取り扱うための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチック材料が環境に悪影響を及ぼし、その結果、あらゆる形態の生命の健康に悪影響を及ぼすという意識は、急速に高まりつつある。
【0003】
廃プラスチック材料の影響を軽減する試みの例として、家庭ゴミや産業廃棄物からのプラスチック材料のリサイクルが挙げられ、これにより、これらの材料の一部が生産サイクルに再導入されることが可能となる。また、プラスチック製品を製造するための化石炭化水素源の使用量の低減など、より良好な結果につながる。
【0004】
しかしながら、様々な要因から、持続可能な目標を達成するには、この解決手段だけでは不十分であることが示唆された。実際には、プラスチック材料の機械的リサイクルは、通常、より低い品質の物質を生成し、比較的コストがかかり、負担が大きく、プラスチックが様々な種類の材料と混合されている特定の都市廃棄物に適用できない。
【0005】
結果として、プラスチック廃棄物の大部分は、焼却炉のようなプラントで熱エネルギー源として使用されるか、あるいは単に埋立て地に保管される。埋立て地は、前述のように、CO排出量を増加させ、有害化学物質を放出することで、地球環境を悪化させる一因となっている。
【0006】
上述した事情に鑑み、廃プラスチックの供給原料を、特に燃料として有用で価値ある特性を有する液体炭化水素生成物に効率的に再加工するために、多くの試みが従来から行われてきた。
【0007】
熱触媒とは、プラスチック廃棄物が、酸素が存在しない条件下で、熱分解(任意に触媒分解)によって液体燃料(熱分解生成物)に変換される基本的なプロセスである。プラスチック廃棄物は、通常、最初にステンレス鋼製チャンバ内で窒素などの不活性パージガス中で溶融される。第1の熱工程では、このチャンバは、溶融材料をガス状態に加熱し、その後の熱触媒工程では、それを分解して可変長の炭化水素鎖を形成させる。
【0008】
次いで、高温の熱分解ガスを1つ以上の凝縮器で凝縮させて、直鎖状および分岐状の脂肪族炭化水素、環状脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素を含む炭化水素留出物(熱分解油)を生成する。得られた混合物は、組成に応じて、様々な用途に使用されるが、いずれの場合においても、製品の一貫性と品質の要求が常に満たす必要がある。また、プラスチック廃棄物原料の不安定な組成を考慮して、回収油の品質の一貫性を確保することは困難である。
【0009】
触媒の使用や厳しい条件にもかかわらず、解重合反応において、副産物として、部分的に炭素の形態である粘着性の炭素物質を大量に発生させるが、このような炭素物質には、プラスチックや解重合触媒に含まれる添加剤に由来する非有機物質も含まれる。チャーは、粘着性があるため、反応器の壁に付着し、熱伝達率を低下させ、プロセスの生産性と効率を低下させる。このため、プロセスの操作性を維持するために、生成したチャーを除去する必要がある。
【0010】
工業用熱分解プラントまたは熱触媒プラントは、ツインチャンバシステムとして知られる2つの熱分解チャンバを有してもよく、これら2つの熱分解チャンバはほぼ等しい速度で並行して作動する。両方のチャンバが同時に廃棄物の熱分解を完了すると、各チャンバの内部ベースから炭化物を除去する前に、それぞれのチャンバが冷却されるのを待つ必要がある。変形例では、両方のチャンバは、一方が洗浄処理中である間に他方が作動中であるように、交互に作動してもよい。しかしながら、この方法によれば、単位時間当たりのプラスチックの処理量が減少する。
【0011】
解重合チャンバを洗浄する工程を回避するために、採用する技術的解決手段において、解重合チャンバ内の内容物が固体の粘着性物質ではなくスラリーの形態のままである場合に、当該内容物を抜き出す。スラリーの形態とすることにより、特にスラリー中のチャー内容物が高度に濃縮されていない場合には、チャーが反応器の壁に付着しないか、あるいは限定された程度で反応器の壁に付着することが可能となる。
【0012】
しかしながら、反応器から抽出された比較的希釈されたスラリーは、好適かつ許容可能な生産性で熱分解生成物を製造するために、まだ解重合を必要とする高含有量の炭化水素鎖を有する。
【0013】
このため、チャー取扱部は、大量の流出物を取り扱うことができ、チャーを抽出して解重合反応器を完成させるように構成する必要がある。
【0014】
上述した事情に鑑み、本開示は、スラリー形態のチャーを含有する液体流出物を受けて取り扱うことができるチャー取扱部を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0015】
したがって、本開示の一態様は、チャー取扱部であって、
【0016】
チャー含有スラリーを供給するための入口導管(6a-1)と攪拌システム(6b)とを備え、350~570℃の温度範囲で作動可能であり、ガス状流出物を排出するための導管(6b-1)をさらに備えた第1のジャケット付きチャンバ(6a)と、
【0017】
濃縮スラリーを前記チャンバ(6a)から抜き出し、第2のチャンバ(6d)に搬送し、前記スラリーを前記チャンバ(6a)と同じ温度範囲に維持でき、かつガス状流出物を除去して乾燥したチャーを生成する脱気システムを備えた手段(6c)と、
【0018】
攪拌システム(6d-1)と、チャー出口(6d-2)と、前記チャンバの底部に位置するガス入口(6d-3)と、前記チャーからストリッピングされたガス状流出物を除去するためのガス出口(6d-4)とを備えた、前記乾燥したチャーを受ける第2のストリッピングチャンバ(6d)と、
【0019】
前記ストリップチャンバ(6d)内の乾燥したチャーを受け、第3の収集チャンバ(6f)に搬送し、前記チャーを60℃~100℃の温度範囲に維持可能な手段(6e)と、
【0020】
攪拌システム(6f-1)と、バルブ(6f-2)によって操作されるチャー取扱用の出口とを備えた、前記乾燥したチャーを受ける第3の収集チャンバ(6f)とを備えるチャー取扱部を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】熱触媒プロセスプラントの概略図である。
【0022】
図2】チャー取扱部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
上述したように、本開示に係るチャー取扱部は、解重合反応器からの流出物としてのスラリーの固形分を分離し取り扱うことを目的とする。図2は、プロセスの概略図を示す。
【0024】
好ましい実施形態では、解重合反応器から抜き出された高温スラリーは、350~570℃の温度範囲で作動するジャケット付きチャンバ(6a)に送られ、高温ジャケットによって伝達される熱の効果により、回転翼(6b)による攪拌下にて解重合工程を行うことができる。生成されたガス状流出物は、チャンバ(6a)を出て、好ましくは凝縮ユニット(3)に送られ、第1の反応器(2)のガス状流出物とともに処理される。濾過手段は、巻き込まれたチャー粒子を遮断するために、ガス出口導管に取り付けられることが好ましい。特定の実施形態では、ガス状流出物は、最初に専用ユニットで凝縮され、そしてポンプユニットによって凝縮ユニット(3)に送り返される。
【0025】
濃縮スラリー(泥)は形成され、スクリュー(高温)コンベア(6c)によってチャンバ(6a)の底部から抜き出され、チャンバ(6d)へ搬送される。スクリューコンベア(6c)は、チャンバ(6a)と同じ温度範囲内で動作できるようにジャケット付きのものであることが好ましい。より好ましい実施形態では、溶融した天日塩は、チャンバ(6a)およびスクリューコンベア(6c)のジャケット内を循環する。
【0026】
スクリューコンベヤ(6c)は、互いに接続される2つの異なるコンベヤにより構成されることが好ましい。好ましくは泥の形態の濃縮スラリーは、第1の昇降スクリューコンベア(6c-1)によってチャンバ(6a)の底部から抜き出されることが好ましい。第1の昇降スクリューコンベア(6c-1)は、下端がチャンバ(6a)の底部と一体化され、上端が下端よりも高い位置にあり、かつ第2のスクリューコンベア(6c-2)の一端に接続され、第2のスクリューコンベアの他端が、スラリーを供給するようにストリッピングチャンバ(6d)の上部に接続される。両方のコンベヤは、ジャケット付きのものであり、チャンバ(6a)と同じ温度範囲で動作する。
【0027】
泥は、チャンバ(6a)の底部から持ち上げられ、第2のコンベヤによってストリッピングチャンバ(6d)に搬送されるとき、液体の一部がチャンバ(6a)内に逆流し、一部が除去されるガス状流出物に変換されるため、徐々に排出される。
【0028】
上述したシステムは、限られた量の液体を含有し、好ましくは部分的に乾燥させるチャー材料をストリッピングチャンバ(6d)に供給することを可能にする。
【0029】
ストリッピングチャンバ(6d)では、揮発性炭化水素生成物を除去するために、窒素をストリッピングチャンバの底部に注入することが好ましい。ガスはストリッピングチャンバ(6d)の上部から抜き出され、凝縮ユニット(3)に送られ、乾燥したチャーは、好ましくはボールバルブを介してチャンバの底部から排出され、60~100℃の温度範囲に維持される別のジャケット付きスクリューコンベア(6e)に入り、このコンベアは、好ましくは略大気圧および60~100℃の温度範囲で作動する第3の収集チャンバ(6f)にチャーを直接搬送する。収集チャンバでは、窒素ガスの循環は、ガス入口(6f-3)およびガス出口(6f-4)によって維持される事がより好ましい。最終的に、乾燥したチャーは、バルブ(6f-2)を介して排出され、好ましくは移動容器(6g)に排出され、取り扱われる。
【0030】
上記に開示されたチャーの除去処理および取り扱いのための方法および装置は、非常に柔軟性があり、解重合反応器を停止させることなく連続モードで作動することができる。また、反応器を並行して動作させて、連続的に作業する解重合工程を実行する必要がなくなるため、より軽量な解重合プラントを設置することも可能となる。チャーの含有量が10~50%、好ましくは20~40重量%wtの範囲であり得るスラリーはチャー取扱部に供給されることが好ましい。
【0031】
特に、チャーの生成、除去および取り扱いのためのシステム全体は、連続的であり、容易に拡張可能であり、柔軟性があり、全体的な解重合工程の操作性に与える影響が小さい。
【0032】
チャー取扱方法はまた、約20重量%の排出触媒、50重量%の無機物、および約30重量%の炭素を含む典型的な組成を有する乾燥したチャーを排出するのに非常に効率的である。
【0033】
チャー取扱部は、チャー含有液体スラリーが抜き出され得る解重合反応器を運転する任意の解重合プラントに関連付けることができる。
【0034】
図1を参照して、廃プラスチック材料を解重合して熱分解生成物を製造するための好ましい方法は、
(a)廃プラスチック材料を含む混合物を、無酸素雰囲気下において、前記プラスチック材料の溶融温度で加熱される少なくとも1つのスクリュー押出機(1)を含む供給システムに供給する工程と、
(b)押出機からの溶融プラスチック材料を、280~600℃の温度範囲に維持され、1~10bargの圧力範囲で作動する連続式攪拌槽型反応器である第1の解重合反応器(2)に供給する工程であって、第1の解重合反応器(2)において、解重合を進行させることで、ガス状流出物および液体流出物を形成させる工程と、
(c)第1の反応器(2)内で生成された液体流出物の少なくとも一部をチャー取扱部(6)に導き、反応器(2)からのガス状流出物を、ガス流および液体流を生成する凝縮ユニット(3)に供給する工程と、
(d)第1の凝縮ユニット(3)からのガス流を前記第1の凝縮ユニットよりも低い温度で作動する第2の凝縮ユニット(5)に導き、凝縮ユニット(3)からの液体流を、280~600℃の温度範囲に維持され、1~10bargの圧力範囲で作動する連続式攪拌槽型反応器である第2の解重合反応器(4)に導く工程であって、第2の解重合反応器(4)において、解重合を進行させることで、ガス状流出物および液体流出物を形成させる工程と、
(e)前記脱重合反応器(4)からガス状流出物を抜き出して第2の凝縮ユニット(5)に供給し、解重合反応器(4)からの液体流出物の少なくとも一部を第1の解重合反応器(2)に再循環させる工程と、を含む。
前記方法は、さらに、凝縮ユニット(5)から熱分解生成物を回収することと、解重合反応器(2)および(4)の少なくとも一方が解重合触媒の存在下において作動することを特徴とする。
【0035】
この方法は、連続モードで実施されることが好ましい。
【0036】
段階(a)において、充填システムは、供給される廃プラスチック材料を好ましくは連続モードで反応器(2)に充填することを可能にする。酸素含有雰囲気をシステム内に導入しないように注意する必要がある。潜在的な酸素含有雰囲気に対するバリアは、例えば、窒素ブランケットまたは押出機のバレルに接続される真空システムなどの様々な手段によって得ることができる。
【0037】
より具体的には、プラスチック混合廃棄物は、1つまたは2つ以上の並列接続されるホッパーを用いて解重合反応器(2)の供給システム内に充填され、プラスチック廃棄物の雰囲気中に存在する酸素は、ホッパー(複数可)内で実質的に除去される。
【0038】
本開示に係る方法は、非常に柔軟性があり、様々なプラスチック廃棄物組成物、例えばポリオレフィンが最も豊富な成分であるが、さらなる選別工程を追加すれば、経済的でない廃プラスチック材料のヘテロ混合物(イタリアではPlasmixと呼ばれる)などを供給することができる。特に、熱分解生成物を分解/精製装置に再循環させる場合には、ポリオレフィン(PEおよびPP)の含有量が70重量%以上であるプラスチック混合廃棄物を解重合することが好ましい。
【0039】
廃プラスチック材料は、前処理段階を経ることが好ましい。前処理段階において、廃プラスチック材料は熱によって溶融され、アルカリ性材料であり得る添加剤と混合される場合がある。溶融前処理により、異なる種類の廃プラスチックの不均一な混合物は、大量の均一なプラスチック複合物に変換することができる。それゆえ、この前処理は、添加剤を使用せずに熱分解する場合においても好適である。
【0040】
前処理段階における加熱温度は、被処理プラスチック材料の熱分解が抑制されるように、廃プラスチック材料に含まれるプラスチックの種類や含有量に応じて適切に設定される。このような温度は、一般に100℃~300℃の範囲であり、好ましくは150℃~250℃の範囲である。300℃付近またはそれ以上の温度では、HClが存在し得るPVC樹脂から除去される。
【0041】
溶融/混練前処理中において廃プラスチック材料がアルカリ性材料と混合されている場合、HCl形成ガスは、排気系を介して除去されて中和されてもよく、トラップされてもよい。溶融操作を行うには、一般的なニーダー、スクリュー付き押出機などが使用できる。プラスチック廃棄物は、好ましくは押出機によって解重合反応器に供給される。
【0042】
押出機は、プラスチック廃材を溶融し、それを高温(250~350℃)に保持し、第1の解重合反応器(2)内に注入する。押出機は、供給ホッパーに小片に切断されたプラスチック廃材を受け取り、溶融部で流れを搬送し、混合エネルギーとバレルヒータによって供給される熱との複合作用によってポリマーを加熱してもよい。
【0043】
添加剤は、受け取ったプラスチック廃材の腐食性を低下させるか、または反応部での転換プロセスを改善するために、任意に溶融物に配合されてもよい。
【0044】
押出し時に、製品中に存在する残留湿気を除去するために、1つ以上の脱気工程を予見することができる。
【0045】
溶融物の流れは、反応器(2)に供給される前に、プラスチック廃棄物中に存在する固体不純物を除去するために濾過されてもよい。
【0046】
固体不純物の量や粒径に応じて、いくつかの設計で製造される溶融濾過ユニットを適用することができる。
【0047】
手動で濾過素子を交換することなく長時間(数日)作動することができる自己浄化型溶融フィルターを使用することが好ましい。
【0048】
溶融フィルターの好ましい設計の1つは、溶融濾過素子としての円形多孔板、固体汚染物質が蓄積される穴(レーザーによって形成されるか、または開口部に応じて機械加工によって形成される)に基づくものである。不純物が蓄積すると、溶融フィルター上の差圧が増加する可能性がある。濾過素子のインライン洗浄を行うために、回転スクレーパは蓄積された不純物を除去して排出口に導き、排出口は短時間開いてプロセスにおい生じる汚染物質を取り除く。
【0049】
このサイクルは、手動で操作したり、濾過素子を交換するのに必要な時間だけ生産を停止したりする必要はなく、数回(数日間の操作時間まで)繰り返すことができる。
【0050】
別の選択肢としての自己浄化型溶融フィルターは、高分子流が通過する連続式濾過金属バンドの適用に基づくものである。不純物が金属フィルター上に蓄積され、圧力が上昇する。これにより、詰まったフィルターバンド部分はポリマー流路から押し出された後、洗浄部が挿入される。
【0051】
このプロセスは自動的であり、手動で操作したり、濾過素子を交換するのに必要な時間だけ生産を停止したりする必要はなく、長時間(数日まで)繰り返すことができる。
【0052】
一軸押出機、二軸押出機、ギアポンプ付き二軸押出機、またはこれらの組み合わせなどの任意の押出システムが使用できる。
【0053】
工程(b)では、解重合反応器(2)は、300~550℃、より好ましくは350~500℃の温度範囲で作動する攪拌容器であることが好ましい。
【0054】
作動圧力は、好ましくは2.0~8bargの範囲、より好ましくは2.5~7bargの範囲に保持される。
【0055】
物質の流動性を改善するために、以下のように好ましい実施形態を構成する。すなわち、好ましくは専用容器内で、反応器に入る廃プラスチックの溶融物質を、炭化水素油、好ましくは第1の凝縮器からの再循環油と予備混合して、解重合反応器での溶解物の溶解を促進する。この場合には、油/溶融物質の体積比は、0.1:1~1:1の範囲とすることができる。
【0056】
解重合反応器(2)は、断面が円筒形であることが好ましく、底部が円形であることが好ましい。
【0057】
解重合反応器(2)は、その垂直軸に取り付けられたミキサーを有することが好ましい。ミキサーは、該ミキサーのブレードを回転させて、システムを攪拌状態に維持することを可能にするギアモータを備える。ミキサーの設計やモータのパワーは、反応器の含有量、体積および形状によって変化してもよい。しかしながら、非限定的な例として、0.2~4kW/m3、好ましくは0.2~2kW/m3、より好ましくは0.3kW/m~1.5kW/m3の範囲にある電力入力で反応器を作動させることが好ましい。
【0058】
反応器の加熱は、300℃~570℃の温度範囲に加熱された溶融塩流による熱転写によって行われる。
【0059】
溶融塩の供給回路(図示せず)は、溶融塩の漏出を防止するように構成されている。溶融塩は、好ましくは硝酸ナトリウムと硝酸カリウムとの混合物からなる溶融した天日塩であり、より好ましくは2:3~3:2の重量比で混合した天日塩である。天日塩は、電気式または燃料が供給される専用の炉から順次熱を受ける。後者の場合、凝縮ユニット(5)からの回収油の一部は、炉に供給するために用いられてもよい。代替または組み合わせとして、熱は、ガス状炭化水素または液体炭化水素を燃焼させることによって生成してもよい。ガス状炭化水素を使用することが好ましい。
【0060】
溶融塩に伴う熱は、反応器全体を取り囲むジャケットを通して溶融塩を循環させることにより、および/または後述する外部熱交換器に供給することにより、解重合反応器に伝達されることが好ましい。
【0061】
いずれの場合においても、塩は循環ポンプを使用して循環させる。一連のフィンは、ジャケット内の溶融塩の流れの均一な分布と熱交換係数の最大化を確保する。
【0062】
反応器内で行われる解重合工程において、鎖長が短縮され、沸点が低い分子を生成する。この連続的に進行する鎖切断機構、特に反応器の壁に近接する鎖切断機構は、徐々に小さくなる分子を生成し、これらの分子の一部は作動温度および圧力でガス状のものである。
【0063】
その結果、反応器内の組成物は、メタンから比較的重い生成物まで幅広い炭化水素をカバーし、これらは直鎖または高分岐構造を有する、飽和炭化水素およびオレフィンの両方を含む。いくつかの芳香族生成物や縮合環構造が存在してもよい。
【0064】
作動条件下において液体のままである物質は、液体物質の粘度を低下させるのに役立つ。解重合工程および供給物の組成により、反応器(2)の内容物は、液体スラリー相(固体、特に炭素物質および無機物質が液体炭化水素混合物中に分散している)と気相との共存として定義することができる。
【0065】
液体スラリー相の少なくとも一部は、反応器、好ましくは反応器の底部から抜き出され、以降にさらに詳述されるチャー取扱部(6)に送られる液体流出物を構成する。
【0066】
操作上の観点から、反応器の底部からのスラリー相の抜き出しは、液体スラリーの密度が所定値に達したことを検出する密度センサによってトリガーされることが好ましい。
【0067】
特定の好ましい実施形態では、反応器(2)から抜き出された液体スラリーの一部は、循環ポンプ(7)を介して再循環され、必要に応じて外部ヒータ(8)によって反応器の頂部に戻される。上述したように、外部ヒータに伝達される熱は、溶融塩によって供給されることが好ましい。本実施形態は、反応器内容物の均質性および反応器加熱の両方を改善させることができる。
【0068】
好ましい実施形態によれば、反応器に再循環される液体スラリー部分は、チャー取扱部に送られる液体スラリー部分を抜き出すポイントとは異なるポイントから抜き出される。
【0069】
別の好ましい実施形態によれば、反応器に再循環される液体スラリー部分とチャー取扱部に送られる液体スラリー部分の両方は、同一のポイントから抜き出された後、順次分割される。
【0070】
チャー取扱部に送られる液体スラリー部分と反応器に再循環される液体スラリー部分との間の分割は、再循環ポンプ(7)の前方または後方のいずれかで行うことができる。後者の実施形態では、液体スラリーは、最初に、下側出口ポイントと上側出口ポイントとを備えた専用容器に供給される。チャー取扱部(6)に送られる液体部分は、濃縮された形態で下側出口ポイントから抜き出され、反応器(2)に再循環される液体部分は、上側出口ポイントから抜き出される。
【0071】
反応器(2)の気相は、さらなる処理のために凝縮ユニット(3)に送られるガス状流出物を構成する。
【0072】
ガス状流出物は、軽質炭化水素の混合物を含み、いくつかの重質炭化水素および巻き込まれたチャー粒子をさらに含んでいてもよい。ガス状流出物は、反応器の上部から、好ましくは反応器の圧力よりもわずかに低い圧力で作動する凝縮ユニット(3)へ搬送される。
【0073】
凝縮ユニット(3)は、巻き込まれたチャーを抑制するために、スクラバコラムとして設計されることがより好ましい。凝縮器の温度は、重質炭化水素が凝縮され、軽質炭化水素がガス流として放出されるように選択される。ガス流(Hおよび軽質炭化水素)は、油を回収する凝縮ユニット(3)よりも低い温度で作動する別の凝縮ユニット(5)に搬送される。
【0074】
凝縮ユニット(3)の作動温度は、作動圧力に応じて広い範囲で変化してもよい。大気圧を基準とする温度は、20~200℃であってもよく、より好ましくは50~200℃、特に好ましくは60~180℃であってもよい。より高い作動圧力が選択される場合、温度範囲をもちろん変更させてもよい。
【0075】
特定の実施形態では、凝縮器ユニット(3)は約80℃で作動し、凝縮液体は採取され、GC分析によって分析される。
【0076】
化合物の数は非常に多いため、分析結果は、特定の炭化水素を内部滞留時間の基準として、滞留時間に応じて得られた化合物をグループ化することにより報告される。結果より、滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間以下である約2重量%以上の化合物、滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間とn-ドデカンの滞留時間との間である約25重量%以上の化合物、および滞留時間がn-ドデカンの滞留時間よりも高いがn-オクタコサンの滞留時間よりも低い、より豊富な化合物部分(70重量%以下)が存在し、滞留時間がより高い部分が少量に存在する可能性があることを示す。
【0077】
凝縮ユニット(3)の好ましい構成において、デフレグメーター(部分凝縮器)はスクラバーの上部に取り付けられ、コラム内の温度よりも低い温度で作動する。凝縮液は、重力によってスクラバーの還流液として流下する。デフレグメーターは、別個の装置として取り付けられてもよく、スクラバー内に取り付けられてもよい。
【0078】
別の好ましい構成において、ポンプは、スクラバーの底部に収集された液体をコラムの頂部に再循環させる。再循環された液体は、還流液としてスクラバーの頂部に注入される前に、専用の熱交換器で冷却される。
【0079】
好ましくはC7の炭素原子よりも多い炭素原子を有する炭化水素凝縮物は、ポンプによって第2の解重合反応器(4)に搬送される液体流を構成する。
【0080】
第2の解重合反応器(4)は、好ましくは第1の解重合反応器と同じタイプであり、より好ましくは連続式攪拌槽型反応器である。
【0081】
解重合は同じ温度範囲で行われるが、重質炭化水素の揮発性を制限するために、好ましくは第1の反応器よりも高い圧力で行われ、具体的には、2~10barg、好ましくは3~9barg、より好ましくは3~8bargの範囲で行われる。
【0082】
反応器(4)には、反応器(2)からの凝縮流出物が供給されるため、より少量の不純物を含有し、より少量のチャーを生成する。新触媒は導管(15)を介して反応器(4)へ供給されることが好ましい。
【0083】
本開示によれば、触媒は、熱触媒プロセスにおいて解重合/分解触媒として作用する活性触媒から選択されてもよい。特に、金属酸化物、ヘテロポリ酸、メソポーラスシリカ、アルミノケイ酸触媒(例えば、ハロイサイト、カオリナイトなど)、好ましくはゼオライトから選択されてもよい。中でも、特に好ましいゼオライトは、合成Y型ゼオライトおよびZSM-5である。
【0084】
特に好ましい実施形態では、触媒の供給量は、プラスチック廃棄物の供給量に対して10重量%以下、好ましくは5%以下、特に2重量%以下である。
【0085】
好ましい実施形態では、触媒は、炭化水素油、好ましくは凝縮ユニット(3)または(5)から得られた液体熱分解生成物(油)、好ましくは凝縮ユニット(3)から得られた液体熱分解生成物(油)中に分散した粉末として第2の反応器に注入される。
【0086】
触媒スラリーは、スラリー中の触媒の濃度を一定に保つために、専用サイロから触媒を注入したポット(連続攪拌槽)内で調製されることが好ましい。
【0087】
触媒を分散させた熱分解油は、ポット内のスラリーのレベルを一定に保つために、凝縮ユニット(3)から抜き出されることが好ましい。準備ができる次第、触媒スラリーを、好ましくは第2の反応器に注入できるようになり、好ましくはプログレッシブキャビティポンプによってそのレベルを一定に保つように注入できるようになる。
【0088】
反応器(4)からの液体流出物は、好ましくは解重合触媒を含有する高濃度の炭化水素スラリーであることが好ましい。この液体流出物は、第2の反応器から排出され、導管(16)を介して第1の反応器に戻される。スラリーを抜き出すために反応器(4)において行われる同様の濃度制御は、好ましくは反応器(2)にも適用する。
【0089】
スラリーの濃度は、γ線測定やコリオリ密度計などの利用可能な方法によって制御することができる。第1の反応器の作動圧力が第2の反応器の作動圧力よりも低い場合、第1の反応器に入るスラリーの軽質炭化水素は蒸発し、反応器(2)で生成されたガス状流出物とともに抽出されることが予想される。
【0090】
第1の反応器に再循環されるスラリーの量は、第2の反応器内容物の5~40体積%、より好ましくは10~30体積%であることが好ましい。
【0091】
また、反応器(4)において、以下のように好ましい実施形態を構成する。すなわち、反応器(4)の底部から抜き出された液体スラリーの一部が循環ポンプ(12)を介して再循環され、外部加熱器(13)によって反応器の頂部に戻される。
【0092】
反応器(4)から生成されたガス状流出物は、油の形態の熱分解生成物を回収するために凝縮ユニット(5)に搬送される。
【0093】
凝縮ユニット(5)は、凝縮ユニット(3)と同様の構成を有することが好ましい。
【0094】
凝縮ユニット(5)の作動条件は、凝縮ユニット(5)が凝縮ユニット(3)に対してより低い作動温度および圧力で作動するように選択されることが好ましい。
【0095】
特に、温度は20~80℃、好ましくは30~70℃の範囲とすることができる。圧力値は、凝縮ユニット(3)からの不凝縮性ガスが、さらに加圧されることなく、凝縮ユニット(5)に入ることを可能にするために、凝縮ユニット(3)の圧力値よりも低くすることが好ましい。凝縮ユニット5から回収される油は、通常、第1の凝縮ユニットから回収される油よりも軽量であり、特に以下の組成(GCによって測定され)を有してもよい。
滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間以下である約10~15%重量%の部分、
滞留時間がn-ヘプタンの滞留時間とn-ドデカンの滞留時間との間である約70~75重量%の部分、
滞留時間がn-ドデカンの滞留時間よりも高いがn-オクタコサンの滞留時間よりも低い、約12~20重量%の生成物、
滞留時間がより長い極微量の化合物。
【0096】
上述したように、熱分解反応器(2)から排出され、チャー取扱部に送られる液体流出物は、反応器の下部から抜き出されたスラリーの形態で濃縮され、好ましくは連続して排出される。加圧反応器を操作することにより、追加の抜出装置を使用することなく、濃縮スラリーを低圧装置に容易に排出することができる。上述したように、スラリーは、反応器の底部から排出されてもよく、あるいは存在する場合には、循環ポンプ(7)の後方のラインまたは容器から排出されてもよい。
【0097】
プロセス設定の観点から、スラリー流の流れは連続的であることが好ましい。スラリー中のチャー含有量は10~50%、好ましくは20~40重量%の範囲とすることができる。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャー取扱プラントであって、
チャー含有スラリーを供給するための入口導管(6a-1)と攪拌システム(6b)とを備え、350~570℃の温度範囲で作動可能であり、ガス状流出物を抜き出すための導管(6b-1)をさらに備えた第1のジャケット付きチャンバ(6a)と、
濃縮スラリーを前記チャンバ(6a)から抜き出し、第2のチャンバ(6d)に搬送し、前記スラリーを前記チャンバ(6a)と同じ温度範囲に維持でき、かつガス状流出物を除去して乾燥したチャーを生成する脱気システムを備えた手段(6c)と、
攪拌システム(6d-1)と、チャー出口(6d-2)と、前記チャンバの底部に位置するガス入口(6d-3)と、前記チャーからストリッピングされたガス状流出物を除去するためのガス出口(6d-4)とを備えた、前記乾燥したチャーを受ける第2のストリッピングチャンバ(6d)と、
前記ストリップチャンバ(6d)内の乾燥したチャーを受け、第3の収集チャンバ(6f)に搬送し、前記チャーを60℃~100℃の温度範囲に維持可能な手段(6e)と、
攪拌システム(6f-1)と、バルブ(6f-2)によって操作されるチャー取扱用の出口とを備えた、前記乾燥したチャーを受ける第3の収集チャンバ(6f)とを備えることを特徴とするチャー取扱プラント。
【請求項2】
濃縮スラリーを前記チャンバ(6a)から抜き出し、第2のチャンバ(6d)に搬送する前記手段(6c)は、前記チャンバ(6a)と同じ温度範囲で作動するジャケット付きスクリューコンベア(6c)であることを特徴とする請求項1に記載のチャー取扱プラント。
【請求項3】
前記スクリューコンベア(6c)は、互いに接続される2つの異なるコンベアにより構成され、第1の昇降スクリューコンベア(6c-1)は、下端が前記チャンバ(6a)の底部と一体化され、上端が前記下端よりも高い位置にあり、かつ第2のスクリューコンベア(6c-2)の一端に接続され、前記第2のスクリューコンベアの他端が前記ストリッピングチャンバ(6d)の上部に接続されることを特徴とする請求項1に記載のチャー取扱プラント。
【請求項4】
前記ストリッピングチャンバ(6d)は、底部に窒素入口を備え、上部にストリッピングされたガスを凝縮ユニットに搬送するための出口を備えることを特徴とする請求項1に記載のチャー取扱プラント。
【請求項5】
前記ストリッピングチャンバ(6d)の底部には、前記乾燥したチャーを60~100℃の温度範囲に維持されるジャケット付きスクリューコンベア(6e)に排出するための出口およびボールバルブが設けられることを特徴とする請求項1に記載のチャー取扱プラント。
【請求項6】
チャー含有スラリーを取り扱う方法であって、
チャー含有スラリーを、攪拌システム(6b)を備えた第1のジャケット付きチャンバ(6a)内に導入し、前記チャンバを350~570℃の温度範囲で作動させることにより、ガス状流出物を生成し、抜き出す工程と、
前記チャンバ(6a)から濃縮スラリーを抜き出し、前記チャンバ(6a)と同じ温度範囲に維持しながら第2のチャンバ(6d)に搬送することによって形成されるガス状流出物を除去して、乾燥したチャーを生成する工程と、
前記乾燥したチャーを、攪拌システム(6d-1)と、チャー出口(6d-2)と、前記チャンバの底部に位置するガス入口(6d-3)と、前記チャーからストリッピングされたガス状流出物を除去するためのガス出口(6d-4)とを備えた第2のストリッピングチャンバ(6d)内に導入する工程と、
前記ストリッピングチャンバ(6d)で得られた乾燥したチャーを、60~100℃の温度範囲に維持しながら第3の収集チャンバ(6f)に供給する工程と、
前記乾燥したチャーを、バルブ(6-2)を介して前記収集チャンバから排出して取り扱う工程と、を含むことを特徴とするチャー含有スラリーを取り扱う方法。

【国際調査報告】