(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】表面に沿って移動するキャタピラ装置
(51)【国際特許分類】
B62D 57/024 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
B62D57/024 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533805
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-08
(86)【国際出願番号】 IL2021051500
(87)【国際公開番号】W WO2022130386
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523203986
【氏名又は名称】アテイン ロボティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コーヘン,アサフ
(57)【要約】
非水平面に沿って移動するためのキャタピラアセンブリであって、軌道と、移動システムと、軌道に沿って連続的に配置され、真空によって非水平面に取り付けられ、移動システムによって軌道に対して移動して、非水平面に沿ってキャタピラアセンブリを前進させるように構成された複数の真空グリッパと、を備える、キャタピラアセンブリ。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に沿って移動するためのキャタピラアセンブリであって、アセンブリが、長手方向軸を含む長手方向基準平面と、前記長手方向基準平面に垂直であり、長手方向軸及び前記長手方向軸に垂直な中心軸を含む中心基準平面とを有し、前記アセンブリが、少なくとも1つの表面把持面を有し、その少なくとも一部が前記中心基準平面に平行であり、動作時に前記表面に面するように構成され、前記アセンブリが、
移動システムと、
各々が把持面を有する複数の真空グリッパであって、前記真空グリッパが、各瞬間において、少なくとも2つの真空グリッパの把持面が前記アセンブリの前記表面把持面を画定するように配置され、真空がこれらのグリッパであって、各グリッパが前記長手方向基準平面に沿って移動されるように前記移動システムに取り付けられる、グリッパに印加されるときに前記表面に取り付けられるように構成され、
各真空グリッパには、前記グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された個別の真空ポンプが設けられている、複数の真空グリッパと、
以下の組み合わせの少なくとも1つ、すなわち、
(a)前記真空グリッパが所定の開始位置に到達すると前記真空ポンプの動作を開始するように構成されたポンプマニピュレータであって、任意に、前記キャタピラアセンブリが、前記グリッパが前記所定の開始位置に到達したときに各グリッパの前記ポンプマニピュレータに信号を送るように構成された少なくとも1つの開始位置インジケータを更に備える、ポンプマニピュレータと、
(b)前記真空グリッパが所定の終了位置に到達すると、前記真空グリッパ内の真空を解放するように構成された真空解放器であって、任意に、前記キャタピラアセンブリが、前記グリッパが前記所定の終了位置に到達したとき、各グリッパの前記真空解放器に信号を送るように構成された少なくとも1つの終了位置インジケータを更に備える、真空解放器と、を備える、キャタピラアセンブリ。
【請求項2】
前記真空グリッパの各々が、前記真空グリッパの前記把持面が前記表面に取り付けられている間、前記真空ポンプの動作の終了後に前記真空を維持するように構成され、それによって、前記グリッパが、以下の動作モード、すなわち、前記真空ポンプによって前記真空が生成されるときの吸着モードと、前記真空ポンプの動作の終了後に前記真空が維持されるときの真空モードとを有するように構成されている、請求項1に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項3】
前記移動システムが固定軌道を備え、各グリッパが前記固定軌道に摺動係合するように構成されている、請求項1又は2に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開始位置インジケータが、前記固定軌道の表面把持面又は前記アセンブリの別の固定要素と関連付けられ、任意に、前記固定軌道の少なくとも大部分に沿って延在する、請求項3に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項5】
前記移動システムが、可動軌道を備え、各グリッパが、前記可動軌道に固定的に接続されるように構成され、任意に、前記可動軌道が、
連続コンベヤ可撓性ストラップ、又は
旋回軸を介して互いに旋回可能に接続された一連の別個の要素のいずれかによって構成された無端可動軌道の形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項6】
前記無端可動軌道が、各グリッパを長手方向基準平面に沿って中心基準平面の一方の側から他方の側へ移動させるように移動機構によって移動可能である、請求項5に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項7】
前記移動機構が、前記軌道を前記真空グリッパと共に移動させるように前記可動軌道に移動可能に係合するように構成された少なくとも1つの歯車と、前記少なくとも1つの歯車を移動させるように構成されたモータとを備える、請求項6に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項8】
少なくとも2つのキャタピラアセンブリと、前記少なくとも1つのキャタピラアセンブリが対称面の両側の各々に配置されるように、任意に2つのアセンブリの前記長手方向平面に平行な対称面とを備えるキャタピラ装置の一部を構成する、請求項1~7のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項9】
各々請求項1~8のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリを少なくとも2つ備える、キャタピラ装置。
【請求項10】
前記キャタピラアセンブリが、等しい数の前記真空グリッパを備え、前記真空グリッパが、各瞬間において、前記2つのアセンブリの同数の前記グリッパの前記把持面が、前記2つのアセンブリの前記表面把持面を画定し、前記装置の表面把持面を構成するように配置される、請求項9に記載のキャタピラ装置。
【請求項11】
前記装置が、前記移動システムがしっかりと取り付けられるベースを備え、前記移動システムの少なくとも一部が、前記真空グリッパのための構造的支持体を形成するように剛性である、請求項10に記載のキャタピラ装置。
【請求項12】
各真空グリッパが、前記グリッパが前記移動システムに取り付けられるための取り付け部と、前記真空グリッパと前記移動システムとの間の距離の調整を可能にするように構成された調整デバイスとを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ又は請求項9~11のいずれか一項に記載のキャタピラ装置。
【請求項13】
前記調整デバイス又は旋回軸を介した旋回接続が、前記真空グリッパを前記中心基準平面に対して調整可能な角度に配向するように構成されている、請求項12に記載のキャタピラアセンブリ又は装置。
【請求項14】
前記個別の真空ポンプが、前記グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された2つ以上の個別の真空ポンプである、請求項1~8、12若しくは13のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ、又は請求項9~13のいずれか一項に記載のキャタピラ装置。
【請求項15】
前記真空グリッパの各々の移動を少なくとも間接的に制御するように構成されたコントローラを更に備える、請求項1~8のいずれか一項若しくは12~14のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ、又は請求項9~14のいずれか一項に記載のキャタピラ装置。
【請求項16】
前記移動システムの移動を制御するように構成されたコントローラを更に備える、請求項1~8若しくは12~15のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ、又は請求項9~15のいずれか一項に記載のキャタピラ装置。
【請求項17】
各真空グリッパが、少なくとも前記真空グリッパの前記動作モード、及び任意にその誤動作の指示を提供するように構成された少なくとも1つのセンサを更に備える、請求項2~8若しくは12~16のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ、又は全て請求項2に従属する場合の請求項9~16のいずれか一項に記載のキャタピラ装置。
【請求項18】
少なくとも1つの真空グリッパを備え、少なくとも前記移動システムが動作していないときに、前記キャタピラ装置を前記表面に固定し、前記対称面に垂直な前記装置の中心平面に沿って前記キャタピラ装置を旋回させるように構成された旋回アセンブリを更に備える、請求項8に従属する場合の請求項9~17のいずれか一項に記載のキャタピラ装置。
【請求項19】
前記コントローラが、前記旋回アセンブリの前記少なくとも1つの真空グリッパを介して、前記キャタピラ装置の前記表面への固定及び前記表面からの解放を制御するように更に構成されている、請求項15又は16に従属する場合の請求項18に記載のキャタピラ装置。
【請求項20】
前記コントローラが、前記旋回アセンブリを介して前記キャタピラ装置の旋回を制御するように更に構成されている、請求項15又は16に従属する場合の請求項18又は19に記載のキャタピラ装置。
【請求項21】
表面に沿って移動するためのキャタピラアセンブリであって、アセンブリが、長手方向軸を含む長手方向基準平面と、前記長手方向基準平面に垂直であり、長手方向軸及び前記長手方向軸に垂直な中心軸を含む中心基準平面とを有し、前記アセンブリが、少なくとも1つの表面把持面を有し、その少なくとも一部が前記中心基準平面に平行であり、動作時に前記表面に面するように構成され、前記アセンブリが、
移動システムと、
各々が把持面を有する複数の真空グリッパであって、前記真空グリッパが、各瞬間において、少なくとも2つの真空グリッパの把持面が前記アセンブリの前記表面把持面を画定するように配置され、真空がこれらのグリッパに印加されるときに前記表面に取り付けられるように構成され、各グリッパが、前記長手方向基準平面に沿って、任意に前記中心基準平面の一方の側から他方の側へ移動されるように前記移動システムに取り付けられる、複数の真空グリッパと、を備え、
各真空グリッパには、前記グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された少なくとも1つの個別の真空ポンプが設けられている、キャタピラアセンブリ。
【請求項22】
前記把持面が前記表面把持面を画定する前記少なくとも2つの真空グリッパの各々の内部で真空が毎回同時に維持されるように、前記真空グリッパに真空を選択的に印加するように構成された真空システムを更に備える、請求項21に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項23】
前記移動システムが可動軌道を備え、各グリッパが前記可動軌道に固定的に接続されるように構成され、任意に、前記可動軌道が、
連続コンベヤ可撓性ストラップ、又は
旋回軸を介して互いに旋回可能に接続された一連の別個の要素のいずれかによって構成された無端可動軌道の形態である、請求項21又は22に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項24】
前記無端可動軌道が、各グリッパを前記長手方向基準平面に沿って移動させるように移動機構によって移動可能である、請求項23に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項25】
前記無端可動軌道が、各グリッパを前記長手方向基準平面に沿って前記中心基準平面の一方の側から他方の側に移動させるように移動機構によって移動可能である、請求項24に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項26】
前記移動機構が、前記軌道を前記真空グリッパと共に移動させるように前記可動軌道に移動可能に係合するように構成された少なくとも1つの歯車と、前記少なくとも1つの歯車を移動させるように構成されたモータとを備える、請求項24又は25に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項27】
前記移動システムが固定軌道を備え、各グリッパが前記固定軌道に摺動係合するように構成されている、請求項21~26のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項28】
前記グリッパが、前記真空ポンプの動作の終了後、前記真空グリッパの前記把持面が前記表面に取り付けられる必要がある間、前記真空を維持するように構成され、それによって、前記グリッパが、少なくとも以下の動作モード、すなわち、前記真空ポンプによって前記真空が生成されるときの吸着モードと、前記真空ポンプの動作の終了後に前記真空が維持されるときの真空モードとを有するように構成されている、請求項21~27のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項29】
各真空グリッパが、前記真空グリッパが所定の開始位置に到達すると前記ポンプの動作を開始するように構成されたポンプマニピュレータを備え、任意に、前記キャタピラアセンブリが、前記グリッパが前記所定の開始位置に到達したときに各グリッパの前記ポンプマニピュレータに信号を送るように構成された少なくとも1つの開始位置インジケータを更に備える、請求項21~28のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項30】
前記少なくとも1つの開始位置インジケータが、前記固定軌道の表面把持面又は前記アセンブリの別の固定要素と関連付けられ、任意に前記固定軌道に沿って配置される、請求項27に従属する場合の請求項29に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項31】
各真空グリッパが、前記真空グリッパが所定の終了位置に到達すると、前記グリッパ内に維持された前記真空を解放するように構成された真空解放器を備え、任意に、前記キャタピラアセンブリが、前記グリッパが前記所定の終了位置に到達したときに各グリッパの前記真空解放器に信号を送るように構成された少なくとも1つの終了位置インジケータを更に備える、請求項28に従属する場合の請求項28、29又は30に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項32】
少なくとも2つのキャタピラアセンブリと、前記少なくとも1つのキャタピラアセンブリが対称面の両側の各々に配置されるように、任意に2つのアセンブリの前記長手方向平面に平行な対称面とを備えるキャタピラ装置の一部を構成する、請求項21~31のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項33】
前記装置の前記キャタピラアセンブリが、等しい数の前記真空グリッパを備え、前記真空グリッパが、各瞬間において、前記2つのアセンブリの同数の前記グリッパの前記把持面が、前記アセンブリの前記表面把持面を画定するように配置される、請求項32に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項34】
前記固定軌道がしっかりと取り付けられるベースを更に備え、前記軌道が、前記真空グリッパのための構造的支持体を形成するように剛性である、請求項27に従属する場合の請求項28~33のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項35】
各真空グリッパが、前記グリッパが前記固定軌道に取り付けられるための取り付け部と、前記真空グリッパと前記固定軌道との間の距離の調整を可能にするように構成された調整デバイスとを備える、請求項27に従属する場合の請求項28~34のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項36】
前記調整デバイス又は旋回軸を介した旋回接続が、前記真空グリッパを前記中心基準平面に対して調整可能な角度に配向するように構成されている、請求項35に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項37】
各真空グリッパが、少なくとも前記真空グリッパの動作モード、及び任意にその誤動作の指示を提供するように構成された少なくとも1つのセンサを更に備える、請求項28に従属する場合の請求項28~36のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項38】
各々請求項21~37のいずれか1項に記載のキャタピラアセンブリを少なくとも2つ備える、キャタピラ装置。
【請求項39】
前記キャタピラアセンブリの前記可動軌道の移動を少なくとも制御するように構成されたコントローラを更に備える、請求項21~37のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ又は請求項38に記載のキャタピラ装置。
【請求項40】
少なくとも1つの真空グリッパを備え、少なくとも前記可動軌道が動作していないときに、前記キャタピラ装置を前記表面に固定し、前記対称面に垂直な前記装置の中心平面に沿って前記キャタピラ装置を旋回させるように構成された旋回アセンブリを更に備える、請求項32~37のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ、又は請求項32に従属する場合の請求項38若しくは39に記載のキャタピラ装置。
【請求項41】
前記コントローラが、前記旋回アセンブリの前記少なくとも1つの真空グリッパを介して、前記キャタピラ装置の前記表面への固定及び前記表面からの解放を制御するように更に構成されている、請求項39に従属する場合の請求項40に記載のキャタピラ装置。
【請求項42】
前記コントローラが、前記旋回アセンブリを介して前記キャタピラ装置の旋回を制御するように更に構成されている、請求項39に従属する場合の請求項40又は41に記載のキャタピラ装置。
【請求項43】
アセンブリの表面への取り付けを把持するために、移動システムを有する可動アセンブリにおいて使用するための真空グリッパユニットであって、
前記表面に真空が印加されたときに前記表面に取り付けられるように構成された把持面を有する把持部と、前記把持部の反対側の取り付け部であって、
少なくとも1つの取り付け要素を介して前記移動システムに取り付けられるように構成された取り付け部と、
一端が前記真空グリッパの前記把持部に接続され、他端が前記取り付け部に接続され、前記把持部と前記取り付け部との間の距離を調整するように構成された調整デバイスと、を備える、真空グリッパユニット。
【請求項44】
アセンブリの表面への取り付けを把持するために、移動システムを有する可動アセンブリにおいて使用するための真空グリッパユニットであって、
前記表面に真空が印加されたときに前記表面に取り付けられるように構成された把持面を有する把持部と、前記把持部の反対側の取り付け部であって、
少なくとも1つの取り付け要素を介して前記移動システムに取り付けられるように構成された取り付け部と、を備え、
前記真空グリッパには、前記グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された少なくとも1つの個別真空ポンプが設けられている、真空グリッパユニット。
【請求項45】
キャタピラアセンブリにおいて使用するための真空グリッパユニットであって、任意に、請求項のいずれか一項に定義されるように、前記アセンブリが、表面への前記アセンブリの取り付けを把持するための複数の真空グリッパと、前記グリッパを移動させてそれらを前記表面と連続的に接触させるための移動システムとを備え、前記移動システムが、各々が前記真空グリッパに関連付けられた複数の別個の軌道要素によって構成された無端可動軌道と、前記軌道要素が互いに旋回可能に接続される複数の旋回軸とを備え、前記真空グリッパユニットが、中心軸を有し、
把持部であって、前記グリッパの前記中心軸に対して垂直に向けられた把持面を有し、前記把持面に真空が印加されたときに前記表面に取り付け可能な把持部と、
前記グリッパの前記中心軸に沿って前記把持面から離間され、前記中心軸に対して横方向に配向され、前記中心軸の両側に2つの取り付け端部を有する取り付け延長部を備え、前記取り付け端部が、各々旋回軸に旋回可能に接続可能であり、前記キャタピラアセンブリが組み立てられたときに前記取り付け延長部が前記可動軌道の前記別個の軌道要素を構成することを可能にする、取り付け部と、を備え、
任意に、前記取り付け延長部が、前記グリッパの前記中心軸から反対方向に延在する2つの取り付け延長部を有し、各取り付け延長部が、前記中心軸に隣接する近位端と、前記中心軸から離間され、旋回軸に旋回可能に接続可能な遠位端とを有する、真空グリッパユニット。
【請求項46】
前記グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された個別の真空ポンプを更に備える、請求項43又は45に記載の真空グリッパユニット。
【請求項47】
前記取り付け部が、前記把持部と前記取り付け延長部との間に延在する少なくとも1つの取り付け要素を備える、請求項45又は請求項45に従属する場合の請求項46に記載の真空グリッパユニット。
【請求項48】
前記移動システムが固定軌道を備え、前記取り付け部が前記固定軌道に摺動係合するように構成されている、請求項43~47のいずれか一項に記載の真空グリッパユニット。
【請求項49】
前記移動システムが可動軌道を備え、前記少なくとも1つの取り付け要素が前記可動軌道に固定的に接続されるように構成され、任意に、前記可動軌道が、
(a)連続コンベヤ可撓性ストラップ、又は
(b)旋回軸を介して互いに旋回可能に接続された複数の別個の軌道要素のいずれかによって構成された無端可動軌道の形態である、請求項43~48のいずれか一項に記載の真空グリッパユニット。
【請求項50】
前記把持部が表面に接触しているかどうかを検知するように構成された少なくとも1つのセンサを更に備える、請求項43~49のいずれか一項に記載の真空グリッパユニット。
【請求項51】
前記少なくとも1つの取り付け要素が、前記固定軌道に沿った前記真空グリッパユニットの移動を可能にするために、前記固定軌道の対応する歯車に移動可能に係合するように構成された歯車を更に備え、任意に、前記グリッパが、前記固定軌道に沿って前記真空グリッパの前記歯車を移動させるように構成されたモータを更に備える、請求項47に直接又は間接的に従属する場合の請求項47~50のいずれか一項に記載の真空グリッパユニット。
【請求項52】
前記少なくとも1つの取り付け要素が、前記真空グリッパユニットの前記移動システムへの取り付け又は前記移動システムからの取り外しを可能にするように構成された取り外し可能な取り付け可能機構を更に備える、請求項47に従属する場合の請求項47~51のいずれか一項に記載の真空グリッパユニット。
【請求項53】
請求項1~42のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ又は装置の一部を構成する、請求項1~52のいずれか一項に記載の真空グリッパユニット。
【請求項54】
非水平前進面に取り付けられ、それに沿って移動するための可動アセンブリであって、前記アセンブリが、
上向き摺動面、下向き摺動面、及び少なくとも1つの横向き摺動面を有する軌道と、
前記可動アセンブリが前記前進面に取り付けられるように構成された複数のグリッパユニットであって、各々が、
前記前進面に選択的に固定可能であるように構成された把持面を有し、前記前進面に固定されたときに把持平面を画定する把持部であって、前記可動アセンブリが、前記軌道に沿って延在する長手方向軸と、前記長手方向軸に対して垂直に延在する横方向軸とを有し、前記長手方向軸及び前記横方向軸の各々が、前記把持平面に平行であるように構成されている、把持部と、
前記可動アセンブリが前記軌道に対して前記前進面に沿って移動することを可能にするように、前記軌道に摺動可能に取り付けられるように構成された取り付け部であって、
前記軸のうちの少なくとも1つが水平線に対して鋭角に配向されるときに前記可動アセンブリを支持するように、前記軌道の前記上向き面に摺動係合するように構成された上部摺動構成と、
前記軸のうちの少なくとも1つが水平線に対して鈍角に向けられているときに前記可動アセンブリを支持するように、前記軌道の前記下向き面に摺動係合するように構成された下部摺動構成と、
前記横方向軸が水平線に対してある角度で配向されているときに前記可動アセンブリを支持するように、前記横向き摺動面に摺動係合するように構成された少なくとも1つの側部摺動構成と、を備える取り付け部と、を備える、複数のグリッパユニットと、を備える、可動アセンブリ。
【請求項55】
前記少なくとも1つの側部摺動構成が、両側に配置されるように構成された2つの側部摺動構成であり、前記軌道の対向する横向き摺動面に摺動係合する、請求項54に記載の可動アセンブリ。
【請求項56】
前記上部摺動構成が、両側に配置されるように構成された2つの上部摺動構成であり、前記軌道の両側に配置された2つの別個の上向き摺動面に摺動可能に係合する、請求項54又は55に記載の可動アセンブリ。
【請求項57】
前記下部摺動構成が、両側に配置され、前記軌道の両側に配置された2つの別個の下向き摺動面に摺動可能に係合するように構成された2つの下部摺動構成である、請求項54、55、又は56に記載の可動アセンブリ。
【請求項58】
前記取り付け部が、前記下部及び上部摺動構成が配置される支持構造を更に備える、請求項54~57のいずれか一項に記載の可動アセンブリ。
【請求項59】
前記側部摺動構成も前記支持構造上に配置される、請求項58に記載の可動アセンブリ。
【請求項60】
前記上部、下部、及び側部摺動構成が、前記支持構造上に固定的に配置される、請求項58又は59のいずれか一項に記載の可動アセンブリ。
【請求項61】
前記取り付け部が、前記把持部に接続され、前記支持構造に摺動可能に取り付けられた少なくとも1つの支持要素を備え、前記支持要素が、前記可動アセンブリの前記支持を容易にするように、少なくとも前記側部摺動構成から前記把持部への負荷力の伝達を可能にするように構成されている、請求項58~60のいずれか一項に記載のグリッパユニット。
【請求項62】
前記下向き摺動面が、前記軌道に沿った前記グリッパユニットのための摺動経路を画定し、前記ユニットの各々の前記把持部が、前記摺動経路に垂直に、その前記取り付け部に対して移動可能である、請求項54~61のいずれか一項に記載の可動アセンブリ。
【請求項63】
前記取り付け部が、少なくとも前記下部摺動構成に対して移動可能な補助摺動構成を更に備え、前記補助摺動構成が、前記下向き摺動面から変化する距離だけ離間された前記軌道の補助摺動面と摺動係合可能であり、前記補助摺動構成が、それぞれのユニットが前記軌道に沿って移動する際に、前記第1及び第2の摺動面間の前記距離の変化に応答して、前記下向き摺動面に対して前記把持部を移動させるように前記把持部に接続される、請求項62に記載の可動アセンブリ。
【請求項64】
前記補助摺動構成が、前記支持要素に取り付けられる、請求項61に従属する場合の請求項62又は63に記載の可動アセンブリ。
【請求項65】
前記グリッパユニットが、前記把持部と前記下部摺動構成との間に配置された付勢部材を更に備え、前記付勢部材が、前記下部摺動構成から離れるように前記把持部を付勢するように構成されている、請求項54~64のいずれか一項に記載の可動アセンブリ。
【請求項66】
前記補助摺動構成が、前記付勢部材によって前記補助摺動面との緊密に係合するように付勢され、それによって前記補助摺動構成が前記補助摺動面の曲率に追従することを可能にするように、前記把持部に接続される、請求項9~11のいずれか一項に従属する場合の請求項65に記載の可動アセンブリ。
【請求項67】
前記側部摺動構成が、横方向に、且つ前記下部摺動構成と前記上部摺動構成との間に配置される、前記側部54~66のいずれか一項に記載の可動アセンブリ。
【請求項68】
前記把持部が、任意に真空によって、前記前進面に固定的に取り付けられるように構成されている、請求項54~67のいずれか一項に記載の可動アセンブリ。
【請求項69】
非水平前進面上で移動可能なキャタピラアセンブリであって、
第1の摺動面と、前記第1の摺動面から軌道の長さに沿って変化する距離だけ離間された第2の摺動面とが形成された軌道と、
前記軌道に取り付けられ、前記軌道に沿って連続的に移動可能であり、前記前進面上での前記キャタピラアセンブリの前進を容易にする複数のユニットであって、前記ユニットの各々が、
前記第1の摺動面と摺動係合する第1の摺動構成と、前記第2の摺動面と摺動係合する第2の摺動構成とを備える取り付け部と、
前記前進面と係合可能であり、前記第2の摺動構成に動作可能に接続された係合部であって、前記第1の摺動面と前記第2の摺動面との間の前記距離の変動に応答して、そのそれぞれのユニットが前記軌道に沿って移動するときに前記取り付け部に対して移動可能である、係合部と、を備える、複数のユニットと、を備える、キャタピラアセンブリ。
【請求項70】
前記係合部が、前記係合部が前記移動面と係合する間に前記移動面と一致する係合平面を画定する係合面を備え、前記軌道が、前記係合中に前記係合平面の上方に且つ前記係合平面に平行に配置され、前記軌道を上側部分と下側部分とに分割する中心基準平面を備え、前記軌道に沿った前記ユニットの前記移動中に、各ユニットが、前記軌道上の2つのそれぞれのフリップ領域において少なくとも2回、前記中心基準平面の下側と上側との間でフリップし、前記2つのフリップ領域が、前記中心基準平面に垂直に画定された中心交差平面の両側に対称的に配置される、請求項69に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項71】
前記中心交差平面に対して前記フリップ領域のうちの1つに近接して配置された前記軌道の下側部分の第1の位置において、前記第2の摺動面が、前記第1の摺動面から第1の距離だけ離間しており、前記フリップ領域のうちの前記1つから前記第1の位置よりも遠くに配置された前記軌道の下側部分の第2の位置において、前記第2の摺動面が、前記第1の摺動面から前記第1の距離よりも小さい第2の距離だけ離間している、請求項70に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項72】
前記軌道の前記下側部分において、前記第1の表面が、前記中心交差平面と交差する平面部と、前記フリップ領域の前記1つに隣接する傾斜部とを備え、前記第1の位置が前記傾斜部に配置され、前記第2の位置が前記平面部に配置される、請求項71に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項73】
前記第1の表面の前記平面部に配置された前記軌道の下側部分の第3の位置において、その前記傾斜部に隣接して、前記第2の摺動面が、前記第1の摺動面から第3の距離だけ離間され、前記第3の距離が、前記第2の距離よりも大きいが、前記第1の距離以下である、請求項72に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項74】
前記第3の距離が、前記第1の距離よりも小さい、請求項73に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項75】
前記第1の表面の前記平面部に配置され、前記第2の位置よりも前記中心交差平面の近くに配置された前記軌道の前記下側部分の第4の位置において、前記第2の摺動面が、前記第1の摺動面から第4の距離だけ離間され、前記第4の距離が、前記第2の距離よりも大きいが、前記第1の距離以下である、請求項73又は74に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項76】
前記第1の摺動面と前記第2の摺動面との間の距離が、前記第1の位置から前記第2の位置まで徐々に減少する、請求項71~75のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項77】
前記傾斜部全体にわたって、前記第1の摺動面と前記第2の摺動面との間の距離が一定のままである、請求項72~76のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項78】
前記フリップ領域のうちの前記1つが、前記フリップ領域のいずれか1つである、請求項71~77のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項79】
前記ユニットが、請求項54~68のいずれか一項に記載の前記グリッパユニットによって構成されている、請求項69~78のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリ。
【請求項80】
請求項54~79のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリにおいて使用するためのグリッパユニット。
【請求項81】
請求項54~80のいずれか一項に記載のキャタピラアセンブリにおいて使用するための軌道。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、概して、表面に沿って移動するためのキャタピラ装置に関し、より詳細には、傾斜/垂直及び/又は滑りやすい表面に沿って移動するための真空グリッパを有するキャタピラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の種類のキャタピラ装置は、複数の用途に使用されることができ、そのうち最も一般的で挑戦的なものは、高層建築物の外面、例えば壁及び窓パネルを清掃することである。
【0003】
高層建築物の外面を洗浄するために使用される従来の方法のほとんどは、窓洗浄機が建築物を懸垂下降し、その外面を手作業で洗浄することを含む。
【0004】
これらの方法は、窓洗浄機の寿命を危険にさらすものであり、予期せぬ強い突風の可能性がある場合にはなおさらである。そのような従来の方法は、特に、含まれるリスク及び必要とされる関連する注意のために、時間がかかり、したがって費用がかかる。
【0005】
この目的のために使用されるいくつかの他のデバイス及び方法は、窓洗浄機がそれに沿って歩行し、そこに固定されることを可能にする、吊り下げゴンドラ又は足場としても知られる窓洗浄プラットフォーム、又はロボット及びドローンなどの半/全自動システムを含む。
【0006】
国際公開第2019/165859号パンフレットは、互いに対向して配置された一対のキャタピラ軌道を備え、キャタピラ軌道の外面に配置された複数のキャタピラ軌道吸着カップと、キャタピラ軌道吸着カップと連通する負圧アセンブリとを有する清掃ロボットを開示している。清掃ロボットの出力コネクタとキャタピラ軌道吸着パッドとは同期して回転し、キャタピラ軌道吸着カップと負圧アセンブリとを接続する接続管が絡み合う状況を回避する。
【0007】
中国特許第102631173号明細書は、ガラス壁及びセラミック外壁などの垂直表面に沿って歩行し、垂直表面を清掃することができる小型ロボットを開示している。ロボットは、真空ポンプに接続された吸盤を備えた軌道を通って歩行する。
【0008】
米国特許第9688326号明細書は、傾斜面に沿ってロボットを駆動するための駆動ユニットを開示している。無端トレッドは、一対のホイールと係合して無端トレッドの平坦な底面を画定し、孔が真空開口部と位置合わせされると、真空モータが無端トレッドの孔を通して空気を引き込む。
【0009】
中国特許第205094341号明細書は、真空吸着軌道を使用する壁清掃ロボットを開示している。
【0010】
本明細書における上記の参考文献の認識は、これらが現在開示されている主題の特許性に何らかの形で関連していることを意味するものとして推論されるべきではない。
【発明の概要】
【0011】
本開示の主題の態様によれば、表面に沿って移動するためのキャタピラアセンブリであって、アセンブリが、長手方向軸を含む長手方向基準平面と、長手方向基準平面に垂直であり、長手方向軸及び長手方向軸に垂直な中心軸を含む中心基準平面とを有し、アセンブリが、少なくとも1つの表面把持面を有し、その少なくとも一部が中心基準平面に平行であり、動作時に当該表面に面するように構成され、アセンブリが、
移動システムと、
各々が把持面を有する複数の真空グリッパであって、真空グリッパが、各瞬間において、少なくとも2つの真空グリッパの把持面がアセンブリの当該表面把持面を画定するように配置され、真空がこれらのグリッパであって、各グリッパが長手方向基準平面に沿って中心基準平面の一方の側から他方の側に移動されるように移動システムに取り付けられる、グリッパに印加されるときに当該表面に取り付けられるように構成されている、複数の真空グリッパと、を備え、
各真空グリッパには、グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された個別の真空ポンプが設けられている、キャタピラアセンブリが提供される。
【0012】
任意に、キャタピラアセンブリの真空グリッパの各々は、真空グリッパの把持面が表面に取り付けられている間、真空ポンプの動作の終了後に真空を維持するように構成されることができ、それによって、グリッパは、以下の動作モード、すなわち、真空ポンプによって真空が生成されるときの吸着モードと、真空ポンプの動作の終了後に真空が維持されるときの真空モードとを有するように構成されることができる。
【0013】
任意に、各真空グリッパは、真空グリッパが所定の開始位置に到達すると真空ポンプの動作を開始するように構成されたポンプマニピュレータを備えることができる。
【0014】
任意に、各真空グリッパは、真空グリッパが所定の終了位置に到達すると、真空グリッパ内に維持された真空を解放するように構成された真空解放器を備えることができる。
【0015】
任意に、キャタピラアセンブリは、グリッパが所定の開始位置に到達したときに各グリッパのポンプマニピュレータに信号を送るように構成された少なくとも1つの開始位置インジケータを更に備えることができる。
【0016】
任意に、キャタピラアセンブリは、グリッパが所定の終了位置に到達したときに各グリッパの真空解放器に信号を送るように構成された少なくとも1つの終了位置インジケータを更に備えることができる。
【0017】
移動システムは、各グリッパを長手方向基準平面に沿って中心基準平面の一方の側から他方の側に移動させるように、真空グリッパを移動させるように、又は真空グリッパが固定的に接続される移動システムの1つ以上の構成要素を移動させるように動作可能な1つ又は複数の移動機構を備えることができる。
【0018】
例えば、移動システムは、少なくとも1つの駆動機構によって駆動可能な可動軌道を備えることができ、各グリッパは、可動軌道に沿って離間した位置で可動軌道に固定的に接続されることができる。例えば、移動機構は、可動軌道に移動可能に係合するように構成された少なくとも1つの歯車と、少なくとも1つの歯車を移動させて真空グリッパを移動させるように構成された駆動機構、例えばモータとを備えることができる。
【0019】
可動軌道は、連続コンベヤ可撓性ストラップの形態とすることができ、又は互いに接続された若しくは接続されていない一連の別個の要素の形態とすることができ、その各々は、少なくとも1つの真空グリッパが別個の要素に取り付けられることができる。別個の要素は、複数の旋回軸によってそれらの間に接続されることができる。
【0020】
任意に、移動システムは、固定軌道を備えることができ、各グリッパは、固定軌道に摺動係合するように構成されている。任意に、固定軌道及び各グリッパは、互いに移動可能に係合して各真空グリッパを固定軌道に沿って確実に移動させるように構成された歯車を更に備えることができる。
【0021】
任意に、各グリッパは、固定軌道に沿ってグリッパの歯車を移動させるように構成された駆動機構、例えばモータを更に備えることができる。
【0022】
任意に、キャタピラアセンブリは、少なくとも2つのキャタピラアセンブリと、少なくとも1つのキャタピラアセンブリが対称面の両側の各々に配置されるように、任意に2つのアセンブリの長手方向平面に平行な対称面とを備えるキャタピラ装置の一部を構成することができる。任意に、キャタピラ装置は、上記で定義された少なくとも2つのキャタピラアセンブリを備えることができる。
【0023】
任意に、キャタピラアセンブリは、等しい数の真空グリッパを備えることができ、真空グリッパは、各瞬間において、2つのアセンブリの同数のグリッパの把持面が2つのアセンブリの表面把持面を画定し、装置の表面把持面を構成するように配置されることができる。
【0024】
任意に、装置は、移動システムがしっかりと取り付けられるベースを備えることができ、移動システムの少なくとも一部は、真空グリッパのための構造的支持体を形成するために剛性である。
【0025】
任意に、各真空グリッパは、グリッパが移動システムに取り付けられることができる取り付け部と、真空グリッパ、その把持面又は把持部と移動システムとの間の距離の調整を可能にするように構成されることができる調整デバイスと、を備えることができる。
【0026】
任意に、調整デバイスは、中心基準平面に対して調整可能な角度で真空グリッパを配向するように構成されることができる。
【0027】
任意に、個別の真空ポンプは、グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された2つ以上の個別の真空ポンプである。
【0028】
任意に、キャタピラ装置は、真空グリッパの各々の移動を制御するように構成されたコントローラを更に備えることができる。任意に、コントローラは、移動システムの移動を制御するように構成されることができる。
【0029】
任意に、各真空グリッパは、少なくとも真空グリッパの動作モード及び任意にその誤動作の指示を提供するように構成された少なくとも1つのセンサを更に備えることができる。
【0030】
任意に、キャタピラ装置は、少なくとも1つの真空グリッパを備え、且つ少なくとも移動システムが動作していないときに、キャタピラ装置を表面に固定し、対称面に垂直な装置の中心平面に沿ってキャタピラ装置を旋回させるように構成された旋回アセンブリを更に備えることができる。
【0031】
任意に、コントローラは、旋回アセンブリの少なくとも1つの真空グリッパを介して、キャタピラ装置の当該表面への固定及び当該表面からの解放を制御するように更に構成されることができる。任意に、コントローラは、当該旋回アセンブリを介してキャタピラ装置の旋回を制御するように更に構成されることができる。
【0032】
本開示の主題の別の態様によれば、表面に沿って移動するためのキャタピラアセンブリであって、長手方向軸を含む長手方向基準平面と、長手方向基準平面に垂直であり、長手方向軸と長手方向軸に垂直な中心軸とを含む中心基準平面とを有し、アセンブリが、少なくとも1つの表面把持面を有し、その少なくとも一部が中心基準平面に平行であり、動作時に当該表面に面するように構成され、キャタピラアセンブリが、
無端固定軌道と、固定軌道に隣接して延在する無端可動軌道と、
各々が把持面を有する複数の真空グリッパであって、真空グリッパが、各瞬間において、少なくとも2つの真空グリッパの把持面がアセンブリの当該表面把持面を画定するように配置され、真空がこれらのグリッパであって、各グリッパが、それに沿って離間された位置で可動軌道に恒久的に接続され、長手方向基準平面に沿って中心基準平面の一方の側から他方の側へ可動軌道によって移動されるときにそれに沿って摺動するように固定軌道に摺動可能に係合する、グリッパに印加されるときに当該表面に取り付けられるように構成されている、複数の真空グリッパと、を備える、キャタピラアセンブリが提供される。
【0033】
任意に、キャタピラアセンブリは、その把持面が表面把持面を画定する少なくとも2つの真空グリッパのそれぞれの内部で、毎回、真空が同時に維持されることができるように、真空グリッパに選択的に真空を印加するように構成された真空システムを更に備えることができる。任意に、各真空グリッパは、グリッパ内に選択的に真空を生成するように構成された個別の真空ポンプを備えることができる。
【0034】
任意に、キャタピラアセンブリの真空グリッパの各々は、真空ポンプの動作の終了後、真空グリッパの把持面が表面に取り付けられる必要がある間、真空を維持するように構成されることができ、それによって、グリッパは、少なくとも以下の動作モード、すなわち、真空ポンプによって真空が生成されるときの吸着モードと、真空ポンプの動作の終了後に真空が維持されるときの真空モードとを有するように構成されている。
【0035】
任意に、各真空グリッパは、真空グリッパが所定の開始位置に到達するとポンプの動作を開始するように構成されたポンプマニピュレータを備えることができる。
【0036】
任意に、各真空グリッパは、真空グリッパが所定の終了位置に到達するとグリッパ内に維持された真空を解放するように構成された真空解放器を備えることができる。
【0037】
任意に、キャタピラアセンブリは、グリッパが所定の開始位置に到達したときに各グリッパのポンプマニピュレータに信号を送るように構成された少なくとも1つの開始位置インジケータを更に備えることができる。
【0038】
任意に、キャタピラアセンブリは、グリッパが所定の終了位置に到達したときに各グリッパの真空解放器に信号を送るように構成された少なくとも1つの終了位置インジケータを更に備えることができる。
【0039】
任意に、キャタピラアセンブリは、少なくとも2つのキャタピラアセンブリを備えるキャタピラ装置の一部を構成することができ、装置は、少なくとも1つのキャタピラアセンブリが対称面の両側の各々に配置されるように、任意に2つのアセンブリの長手方向平面に平行な対称面を備える。任意に、キャタピラ装置は、上記で定義された少なくとも2つのキャタピラアセンブリを備えることができる。
【0040】
任意に、キャタピラアセンブリは、等しい数の真空グリッパを備えることができ、真空グリッパは、各瞬間において、2つのアセンブリの同数のグリッパの把持面が2つのアセンブリの表面把持面を画定し、装置の表面把持面を構成するように配置されることができる。
【0041】
任意に、キャタピラアセンブリは、固定軌道がしっかりと取り付けられるベースを更に備えることができ、軌道は、真空グリッパのための構造的支持体を形成するように剛性である。
【0042】
任意に、各真空グリッパは、グリッパを固定軌道に取り付けるための取り付け部と、真空グリッパ、その把持面又は把持部と固定軌道との間の距離の調整を可能にするように構成された調整デバイスと、を備えることができる。
【0043】
任意に、調整デバイスは、中心基準平面に対して調整可能な角度で真空グリッパを配向するように構成されることができる。
【0044】
任意に、個別の真空ポンプは、グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された2つ以上の個別の真空ポンプである。
【0045】
任意に、各真空グリッパは、少なくとも真空グリッパの動作モード及び任意にその誤動作の指示を提供するように構成された少なくとも1つのセンサを更に備えることができる。
【0046】
任意に、キャタピラ装置は、各々が上記で定義された少なくとも2つのキャタピラアセンブリを備えることができる。
【0047】
任意に、キャタピラ装置は、少なくともキャタピラアセンブリの可動軌道の移動を制御するように構成されたコントローラを更に備えることができる。
【0048】
任意に、キャタピラ装置は、少なくとも1つの真空グリッパを備え、且つ少なくとも可動軌道が動作していないときに、キャタピラ装置を表面に固定し、対称面に垂直な装置の中心平面に沿ってキャタピラ装置を旋回させるように構成された旋回アセンブリを更に備えることができる。
【0049】
任意に、コントローラは、旋回アセンブリの少なくとも1つの真空グリッパを介して、キャタピラ装置の当該表面への固定及び表面からの解放を制御するように更に構成されることができる。任意に、コントローラは、旋回アセンブリを介してキャタピラ装置の旋回を制御するように更に構成されることができる。
【0050】
本開示の主題に係る任意のキャタピラアセンブリの移動システムは、真空グリッパを少なくとも間接的に移動させて、各グリッパを長手方向基準平面に沿って中心基準平面の一方の側から他方の側に移動させるように、真空グリッパを少なくとも間接的に移動させるように動作可能な1つ以上の移動機構を備えることができる。
【0051】
例えば、移動システムは、少なくとも1つの駆動機構によって駆動可能な可動軌道を備えることができ、各グリッパは、可動軌道に固定的に接続されることができる。例えば、駆動機構は、可動軌道に移動可能に係合するように構成された少なくとも1つの歯車と、少なくとも1つの歯車を移動させて真空グリッパを移動させるように構成された駆動機構、例えばモータとを備えることができる。
【0052】
可動軌道は、連続コンベヤ可撓性ストラップの形態とすることができ、又は隣接する軌道要素に対して旋回可能に取り付けられた一連の別個の軌道要素の形態とすることができ、その各々に対して少なくとも1つの真空グリッパが別個の要素に取り付けられることができる。別個の要素は、複数の旋回軸によってそれらの間に接続されることができる。
【0053】
任意に、移動システムは、固定軌道を備えることができ、少なくとも1つの取り付け要素は、固定軌道に摺動係合するように構成されている。
【0054】
本開示の主題の別の態様によれば、表面へのアセンブリの取り付けを把持するために、移動システムを有する可動アセンブリにおいて使用するための真空グリッパユニットであって、真空グリッパが、
表面に真空が印加されたときに表面に取り付けられるように構成された把持面を有する把持部と、把持部の反対側の取り付け部であって、
少なくとも1つの取り付け要素を介して移動システムに取り付けられるように構成された取り付け部と、
一端が真空グリッパの把持部に接続され、他端が取り付け部に接続され、把持部と取り付け部との間の距離を調整するように構成された調整デバイスと、を備える、真空グリッパユニットが提供される。
【0055】
本開示の主題の別の態様によれば、表面へのアセンブリの取り付けを把持するために、移動システムを有する可動アセンブリにおいて使用するための真空グリッパユニットであって、真空グリッパが、
表面に真空が印加されたときに表面に取り付けられるように構成された把持面を有する把持部と、把持部の反対側の取り付け部であって、
少なくとも1つの取り付け要素を介して移動システムに取り付けられるように構成された取り付け部と、を備え、
当該真空グリッパには、グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された少なくとも1つの個別の真空ポンプが設けられている、真空グリッパユニットが提供される。
【0056】
本開示の主題の更に別の態様によれば、キャタピラアセンブリにおいて使用するための真空グリッパユニットであって、アセンブリが、表面へのアセンブリの取り付けを把持するための複数の真空グリッパと、グリッパを移動させてそれらを当該表面と連続的に接触させるための移動システムとを備え、移動システムが、各々が真空グリッパに関連付けられた複数の別個の軌道要素から構成された無端可動軌道と、軌道要素が互いに旋回可能に接続される複数の旋回軸とを備え、真空グリッパが、中心軸を有し、
把持部であって、把持部の中心軸に対して垂直に向けられた把持面を有し、把持面に真空が印加されたときに当該表面に取り付け可能な把持部と、
グリッパの中心軸に沿って把持面から離間して配置され、中心軸に対して横方向に配向され、中心軸の両側に2つの取り付け端部を有する取り付け延長部を備え、取り付け端部が、各々旋回軸に旋回可能に接続可能であり、キャタピラアセンブリが組み立てられたときに取り付け延長部が可動軌道の別個の軌道要素を構成することを可能にする、取り付け部と、を備える、真空グリッパユニットが提供される。
【0057】
任意に、取り付け延長部は、グリッパの中心軸から反対方向に延在する2つの取り付け延長部を有することができ、各取り付け延長部は、中心軸に隣接する近位端と、中心軸から離間し、旋回軸に旋回可能に接続可能な遠位端とを有する。
【0058】
任意に、上記態様のいずれかの真空グリッパは、グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された個別の真空ポンプを更に備えることができる。
【0059】
任意に、調整デバイスは、移動システムに対して調整可能な角度で把持部の配向を可能にするように構成されることができる。
【0060】
任意に、上記態様のいずれかの真空グリッパユニットは、把持部が表面に接触しているかどうかを検知するように構成された少なくとも1つのセンサを更に備えることができる。
【0061】
任意に、上記態様のいずれかの真空グリッパユニットは、少なくとも1つのセンサから受信した指示に基づいて調整デバイスの距離を調整するように構成されたコントローラを更に備えることができる。
【0062】
任意に、調整デバイスは、ばね、ピストン、伸縮ロッド、油圧機構、他の距離調整可能要素、又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0063】
任意に、少なくとも1つの取り付け部は、真空グリッパユニットの移動を可能にするように、固定軌道の対応する歯車に移動可能に係合するように構成された歯車を更に備えることができる。
【0064】
任意に、真空グリッパユニットは、固定軌道に沿って真空グリッパの歯車を移動させるように構成された駆動機構、例えばモータを更に備えることができる。
【0065】
任意に、少なくとも1つの取り付け要素は、移動システムへの真空グリッパユニットの取り付け又は移動システムからの真空グリッパユニットの取り外しを可能にするように構成された取り外し可能な取り付け可能機構を更に備えることができる。
【0066】
本開示の主題の更なる態様によれば、非水平前進面に取り付けられ、それに沿って移動するための可動アセンブリであって、当該アセンブリが、
上向き摺動面、下向き摺動面、及び少なくとも1つの横向き摺動面を有する軌道と、
当該可動アセンブリが当該前進面に取り付けられるように構成された複数のグリッパユニットであって、各々が、
当該前進面に選択的に固定可能であるように構成された把持面を有し、前進面に固定されたときに把持平面を画定する把持部であって、当該可動アセンブリが、軌道に沿って延在する長手方向軸と、長手方向軸に対して垂直に延在する横方向軸とを有し、長手方向軸及び横方向軸の各々が、当該把持平面に平行であるように構成されている、把持部と、
当該可動アセンブリが軌道に対して当該前進面に沿って移動することを可能にするように、当該軌道に摺動可能に取り付けられるように構成された取り付け部であって、
当該軸のうちの少なくとも1つが水平線に対して鋭角に配向されるときに当該可動アセンブリを支持するように、当該軌道の当該上向き面に摺動係合するように構成された上部摺動構成と、
当該軸のうちの少なくとも1つが水平線に対して鈍角に向けられているときに当該可動アセンブリを支持するように、当該軌道の当該下向き面に摺動係合するように構成された下部摺動構成と、
当該横方向軸が水平線に対してある角度で配向されているときに当該可動アセンブリを支持するように、当該横向き摺動面に摺動係合するように構成された少なくとも1つの側部摺動構成と、を備える取り付け部と、を備える、複数のグリッパユニットと、を備える、可動アセンブリが提供される。
【0067】
本出願の理解のために、水平線は、地球と空が交わるように見える仮想水平線として理解されるべきである。また、水平線は、長手方向軸又は横方向軸のうちのいずれか1つと水平線との間の角度が参照されるとき、長手方向軸又は横方向軸と同じ垂直面内にあるものとして理解されるべきである。更に、鋭角であろうと鈍角であろうと、角度は、可動アセンブリに対して前進面と反対の方向から見られるものとして理解されるべきである。
【0068】
可動アセンブリは、本開示の主題の様々な態様に係る上述した移動システムのいずれかと構造及び動作が類似する移動システムを有することができる。グリッパユニットはまた、本明細書で開示される主題の様々な態様に係る上述したグリッパユニットのいずれかと同様に動作するように構成されることができる。把持部は、任意に真空によって、当該前進面に固定的に取り付けられるように構成されることができる。
【0069】
任意に、少なくとも1つの側部摺動構成は、両側に配置されるように構成された2つの側部摺動構成であり、当該軌道の対向する横向き摺動面に摺動係合する。
【0070】
任意に、上部摺動構成は、両側に配置され、当該軌道の両側に配置された2つの別個の上向き摺動面に摺動係合するように構成された2つの上部摺動構成である。
【0071】
任意に、下部摺動構成は、両側に配置されるように構成された2つの下部摺動構成であり、当該軌道の両側に配置された2つの別個の下向き摺動面に摺動係合する。
【0072】
いくつかの例では、上向き摺動面及び下向き摺動面のいずれか又は各々の2つの部分は、単一の連続面として形成されることができる。他の例では、上向き摺動面及び下向き摺動面のいずれか又は各々の2つの部分は、上向き摺動面及び下向き摺動面の別個の部分として形成されることができる。
【0073】
可動アセンブリは、2つ以上のそのような可動アセンブリを有するキャタピラ装置の一部を構成するように構成されるが、したがって、可動アセンブリは、一方向への傾斜中に装置を支持するために、1つの側部摺動構成のみを有することができる。反対方向に傾斜している間、他方のアセンブリの側部摺動構成は、装置全体を支持することができる。いくつかの例では、単一の側部摺動構成は、任意の方向への傾斜中に可動アセンブリ及び装置を支持するために、可動アセンブリの軌道の幅の間に配置されることができる。いくつかの例では、上部、下部、及び側部摺動構成は、その配向の各々において軌道を支持する部分を有する単一の摺動構成によって構成されることができる。任意に、側部摺動構成は、横方向に、且つ当該下部摺動構成と当該上部摺動構成との間に配置される。
【0074】
本出願を理解する目的のために、支持という用語は、重量を担持すること、及び/又は定位置にしっかりと保持することとして理解されるべきである。例えば、軌道を支持する摺動構成は、摺動構成が可動アセンブリを保持する唯一のものである場合、軌道を所定の位置にしっかりと保持し、可動アセンブリの重量の少なくとも半分を支えるように構成された摺動構成として理解されるべきである。
【0075】
任意に、取り付け部は、当該下部及び上部摺動構成が配置される支持構造を更に備える。側部摺動構成は、当該支持構造上に配置されることもできる。いくつかの例では、上部、下部、及び側部摺動構成は、当該支持構造上に固定的に配置されることができる。
【0076】
任意に、取り付け部は、当該把持部に接続され、当該支持構造に摺動可能に取り付けられ、当該可動アセンブリについての当該支持を容易にするように、少なくとも当該側部摺動構成から当該把持部への負荷力の伝達を可能にするように構成された少なくとも1つの支持要素を備える。
【0077】
任意に、下向き摺動面は、当該軌道に沿った当該グリッパユニットのための摺動経路を画定し、当該ユニットの各々の当該把持部は、当該摺動経路に対して垂直に、その当該取り付け部に対して移動可能である。
【0078】
任意に、取り付け部は、少なくとも当該下部摺動構成に対して移動可能な補助摺動構成を更に備え、当該補助摺動構成は、当該下向き摺動面から様々な距離に離間された軌道の補助摺動面と摺動係合可能であり、当該補助摺動構成は、それぞれのユニットが当該軌道に沿って移動する際に、当該第1の摺動面と第2の摺動面との間の当該距離の変化に応答して、当該把持部を当該下向き摺動面に対して移動させるように前記把持部に接続される。補助摺動構成は、当該支持要素に取り付けられることができる。
【0079】
任意に、グリッパユニットは、当該把持部と当該下部摺動構成との間に配置された付勢部材を更に備え、当該付勢部材は、当該下部摺動構成から離れるように当該把持部を付勢するように構成されている。補助摺動構成は、当該付勢部材によって当該補助摺動面と緊密に係合するように付勢され、それによって当該補助摺動構成が当該補助摺動面の曲率に追従することを可能にするように、当該把持部に接続されることができる。
【0080】
本開示の主題の更に別の態様によれば、非水平前進面上を移動可能なキャタピラアセンブリであって、当該アセンブリが、
第1の摺動面と、当該第1の摺動面から軌道の長さに沿って変化する距離だけ離間された第2の摺動面とが形成された軌道と、
当該軌道に取り付けられ、軌道に沿って連続的に移動可能であり、当該前進面上での当該可動キャタピラアセンブリの前進を容易にする複数のユニットであって、前記ユニットの各々が、
当該第1の摺動面と摺動係合する第1の摺動構成と、当該第2の摺動面と摺動係合する第2の摺動構成とを備える取り付け部と、
当該前進面と係合可能であり、当該第2の摺動構成に動作可能に接続された係合部であって、当該第1の摺動面と第2の摺動面との間の当該距離の変動に応答して、そのそれぞれのユニットが当該軌道に沿って移動するときに当該取り付け部に対して移動可能である、係合部と、を備える、複数のユニットと、を備える、キャタピラアセンブリが提供される。
【0081】
任意に、キャタピラアセンブリ、軌道、及びユニットは、それぞれ、可動アセンブリ、軌道、及びグリッパユニットと同じとすることができ、前の態様のものと同じ方法で動作することができる。いくつかの例では、キャタピラアセンブリ、軌道、及びユニットは、可動アセンブリと比較して異なる方法及び異なる構造で実現されることができる。
【0082】
任意に、係合部は、当該係合部がそれと係合する間に当該移動面と一致する係合平面を画定する係合面を備え、当該軌道は、当該係合中に当該係合平面の上方に且つ当該係合平面に平行に配置され、当該軌道を上側部分と下側部分とに分割する中心基準平面を備え、当該軌道に沿った当該ユニットの当該移動中に、各ユニットは、軌道上の2つのそれぞれのフリップ領域において少なくとも2回、中心基準平面の下側と上側との間でフリップし、2つのフリップ領域は、当該中心基準平面に垂直に画定された中心交差平面の両側に対称的に配置される。
【0083】
ユニットは、軌道に沿って移動し、軌道の下側部分では異なる位置をとることができる。これらの位置の各々は、第1の摺動面と第2の摺動面との間の異なる距離を有する。当該中心交差平面に対して当該フリップ領域のうちの1つに近接して配置された軌道の下側部分の第1の位置において、当該第2の摺動面は、当該第1の摺動面から第1の距離だけ離間しており、当該フリップ領域のうちの当該1つから当該第1の位置よりも遠くに配置された軌道の下側部分の第2の位置において、当該第2の摺動面は、当該第1の摺動面から当該第1の距離よりも小さい第2の距離だけ離間している。当該フリップ領域の1つは、当該フリップ領域のいずれか1つとすることができる。
【0084】
任意に、当該軌道の当該下側部分において、当該第1の表面は、当該中心交差平面と交差する平面部と、当該フリップ領域の当該1つに隣接する傾斜部とを備え、当該第1の位置は、当該傾斜部に配置され、当該第2の位置は、当該平面部に配置される。
【0085】
第1の表面の当該平面部に配置された軌道の下側部分の第3の位置において、その当該傾斜部に隣接して、当該第2の摺動面は、当該第1の摺動面から第3の距離だけ離間され、当該第3の距離は、当該第2の距離よりも大きいが、当該第1の距離以下である。いくつかの例では、第3の距離は、第1の距離よりも小さくすることができる。
【0086】
当該第1の表面の当該平面部に配置され、当該第2の位置よりも当該中心交差平面に近接して配置された軌道の下側部分の第4の位置において、当該第2の摺動面は、当該第1の摺動面から第4の距離だけ離間され、当該第4の距離は、当該第2の距離よりも大きいが、当該第1の距離以下である。
【0087】
任意に、第1の摺動面と第2の摺動面との間の距離は、当該第1の位置から当該第2の位置まで徐々に減少する。任意に、第1の摺動面と第2の摺動面との間の距離は、当該傾斜部全体にわたって一定のままである。
【0088】
いくつかの例では、キャタピラアセンブリの動作中に、ユニットが軌道に沿って移動し、フリップ領域を横断し、第1の位置に到達するとき、ユニットは、第1の摺動面と第2の摺動面との間の大きい第1の距離によって軌道により近いままである。ユニットは、係合面が前進面(図示せず)と平行になる第2の位置に到達するまで、軌道に近接したままである。ユニットが軌道から離れている場合(ユニットが第2の位置にあるとき)、係合面(又は少なくともその角部)は、傾斜部から平面部へのユニットの移行中に前進面にぶつかる可能性があるため、これは重要である。距離の変化は、キャタピラアセンブリの動作中に軌道に沿ったユニットの滑らかな移動を可能にする。
【0089】
ユニットが第2の位置に到達すると、係合部は、第1の距離よりも小さい第2の距離によって軌道から更に移動し、係合面が前進面に係合する。いくつかの例では、ユニットは、グリッパユニットであり、第2の位置に到達すると前進面を把持する。上記の態様で説明したように、移動システムに関して、軌道は、固定ユニットに対して移動される。軌道が移動し、ユニットが第4の位置に到達すると、第4の距離が第2の距離よりも大きいことは、軌道を係合部に対して係合部に向かって移動させ、それによって軌道、したがってキャタピラアセンブリ全体が前進面により近くなり、それによって、前進面に対するキャタピラアセンブリのより多くの安定性を提供する。
【0090】
任意に、ユニットは、上述した態様のいずれか1つに係るグリッパユニットによって構成される。
【0091】
本開示の主題の更に別の態様によれば、上述した態様のいずれか1つに係るキャタピラアセンブリにおいて使用するためのグリッパユニットが提供される。
【0092】
本開示の主題の更に別の態様によれば、上述した態様のいずれか1つに係るキャタピラアセンブリにおいて使用するための軌道が提供される。
【0093】
本開示の主題の更なる態様は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例示するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、実施形態をここで説明する。
【
図1A】それぞれ、本開示の主題の一例に係るキャタピラアセンブリの斜視図及び側面概略図である。
【
図1B】それぞれ、本開示の主題の一例に係るキャタピラアセンブリの斜視図及び側面概略図である。
【
図1C】本開示の主題の別の例に係る、キャタピラアセンブリの斜視図である。
【
図1D】いくつかの真空グリッパが取り外された、本開示の主題の別の例に係る、
図1A及び
図1Bの変更されたキャタピラアセンブリの概略斜視図である。
【
図1E】本開示の主題の別の例に係る、キャタピラアセンブリの斜視図である。
【
図1F】追加の軌道を有する、本開示の主題の別の例に係る
図1A及び
図1Bの変更されたキャタピラアセンブリの概略斜視図である。
【
図1G】本開示の主題の別の例に係る、キャタピラアセンブリの斜視図である。
【
図1H】いくつかの真空グリッパが取り外された、本開示の主題の別の例に係る、
図1Fの変更されたキャタピラアセンブリの概略斜視図である。
【
図1I】本開示の主題の別の例に係る、キャタピラアセンブリの斜視図である。
【
図2A】本開示の主題に係るキャタピラアセンブリにおいて使用されることができる、本開示の主題の例に係る真空グリッパの正面概略図である。
【
図2B】本開示の主題に係るキャタピラアセンブリにおいて使用されることができる、本開示の主題の別の例に係る真空グリッパの斜視図である。
【
図2C】外側カバーが取り外された
図2Bの真空グリッパの斜視図である。
【
図3A】本開示の主題に係る2つのキャタピラアセンブリを有する、本開示の主題の例に係るキャタピラ装置の概略斜視図である。
【
図3B】本開示の主題に係る2つのキャタピラアセンブリを有する、本開示の主題の別の例に係るキャタピラ装置の斜視平面図である。
【
図3D】本開示の主題に係るキャタピラ装置において使用されることができる旋回システムの斜視図である。
【
図4A】本開示の主題の別の例に係る、キャタピラアセンブリの概略側面図である。
【
図4B】
図4Aのキャタピラアセンブリの可動軌道の一部の拡大図である。
【
図5】本開示の主題に係るキャタピラアセンブリにおいて使用されることができる、本開示の主題の例に係る真空グリッパの概略側面図である。
【
図6A】本開示の主題の別の例に係る可動アセンブリの側面斜視図である。
【
図6D】可動アセンブリの長手方向軸が水平線に対して鋭角に配向されているときの配向における可動アセンブリを示す
図6Aの可動アセンブリの側面図である。
【
図6E】可動アセンブリの長手方向軸が水平線に対して鈍角に配向されているときの配向における可動アセンブリを示す
図6Aの可動アセンブリの側面図である。
【
図6F】その横方向軸が水平線に対してある角度で配向されるときの配向における可動アセンブリを示す
図6Aの可動アセンブリの背面斜視図である。
【
図6G】
図6Bに示された図の長手方向軸に垂直な平面で切り取られた断面を有する可動アセンブリの断面図である。
【
図6H】
図6Aから
図6Gのものと比較して、その軌道に沿って異なる位置にあるグリッパユニットを示す可動アセンブリの正面斜視図である。
【
図7A】本開示の主題の別の例に係るキャタピラアセンブリの側面斜視図である。
【
図7B】その軌道に沿った異なる位置にあるそのユニットを示す
図7Aのキャタピラアセンブリの側面図である。
【
図7C】その軌道に沿った異なる位置にあるそのユニットを示す
図7Aのキャタピラアセンブリの側面図である。
【
図7D】その軌道に沿った異なる位置にあるそのユニットを示す
図7Aのキャタピラアセンブリの側面図である。
【
図7E】その軌道に沿った異なる位置にあるそのユニットを示す
図7Aのキャタピラアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
本開示の主題に係るキャタピラ装置は、真空グリッパが取り付けられることを可能にする任意の向き(傾斜、垂直、水平)及び任意の表面テクスチャ/品質(滑りやすい又は滑りにくい)を有する建築物などの外面に沿って移動するように構成されることができる。
【0096】
本開示の主題に係るキャタピラ装置は、多くの用途のための機器をそれに取り付けるための可動ベースプラットフォームとして使用されることができる。例えば、キャタピラ装置に清掃デバイスを取り付けることによって、装置は、超高層ビルの窓を清掃するために使用されることができ、それに貨物ユニットを取り付けることによって、装置は、配送目的のために使用されることができ、又はそれに救助ポッドを取り付けることによって、装置は、高層建築物から人々を救助するための救助デバイスとして使用されることさえもでき、例えば、火災の場合、装置は、救助ポッドと共に、建築物の外部を避難経路として使用することによって建築物から人々を救助し得る。
【0097】
一般に、キャタピラ装置は、移動システムによって移動可能な真空グリッパのアレイを有する少なくとも1つのキャタピラアセンブリを備えることができ、グリッパの各々を把持位置に連続的に移動させ、把持位置では、グリッパに真空が印加されたときに、装置が移動される表面にグリッパが取り付けられることができ、それによって、表面に沿ってキャタピラ装置を前進させることができる。キャタピラアセンブリは、任意の数のグリッパを有することができ、それらは、それらの把持位置に少なくとも2つの真空グリッパが常に存在するように任意の方法でキャタピラアセンブリに配置されることができる。
【0098】
各真空グリッパは、真空が印加されたときに真空グリッパが表面に取り付けられるように構成された把持面と、グリッパがキャタピラアセンブリに取り付けられる取り付け部とを有する。したがって、キャタピラアセンブリは、把持位置にある真空グリッパの把持面によって構成される表面把持面を有する。したがって、装置の移動方向に沿ったキャタピラアセンブリの表面把持面の長さは、同時に把持位置にある真空グリッパの数に依存する。
【0099】
移動方向に沿った真空グリッパの連続移動を可能にするために、キャタピラアセンブリの移動システムは、グリッパがそれらの取り付け部に取り付けられる少なくとも1つの連続/無端の、すなわち閉ループの軌道を備えることができる。軌道は、少なくとも1つの駆動機構によって移動可能とすることができ、この場合、真空グリッパは、軌道に固定的に取り付けられ、軌道と共に把持位置に連続的に移動可能である。あるいは、軌道は、固定とすることができ、この場合、真空グリッパは、軌道に摺動可能に取り付けられ、アセンブリは、各真空グリッパを固定軌道に沿って移動させる他の手段を備える。そのような他の手段の一例は、少なくとも1つの駆動機構によって駆動可能な、固定軌道に平行な追加の可動軌道である。キャタピラアセンブリの軌道は、任意の形状を有することができる。これらの形状の1つは、長円形状、例えば矩形又は楕円形、又は2つの平行な長辺を有するという点で矩形に類似し、長辺と連続的に結合する2つの短い湾曲した辺、例えば半円形の辺を有するという点で楕円形に類似した形状である。
【0100】
キャタピラアセンブリの移動システムは、可動軌道に加えて、又はその代替として、固定軌道に沿ってグリッパの各々を移動させるために、真空グリッパの各々に関連付けられた個別の駆動手段を備えることができる。
【0101】
移動システムが無端可動軌道を備える場合、移動システムは、駆動機構によって動作可能な可動軌道に移動可能に係合するように構成された少なくとも1つの歯車を更に備えることができ、それによって軌道を移動させ、それによって軌道に固定された真空グリッパを移動させて、各グリッパを長手方向基準平面に沿って中心基準平面の一方の側から他方の側に移動させる。キャタピラアセンブリが、固定軌道である1つの軌道のみを備える場合、移動システムは、各真空グリッパのための個別の駆動手段を備えることができ、駆動手段は、例えば、駆動機構/モータによって動作可能な歯車を備えることができ、固定軌道は、それぞれの歯車、又は真空グリッパの歯車と協働するジグザグ面を有することができる。装置がそれに沿って移動される表面に把持面が取り付けられた真空グリッパの歯車は、回転されると、固定軌道をこれらのグリッパに対して移動方向において直線的に変位させる。同時に、他の真空グリッパ(表面に取り付けられていない)は、それらの歯車の動作により、固定軌道に沿って移動して把持位置に到達する。
【0102】
いずれにしても、移動方向に沿って真空グリッパを移動させる役割を果たすキャタピラアセンブリのシステム(以下、「移動システム」)は、グリッパをそれらの把持位置に連続的に移動させることを可能にする一方で、そのような位置にある少なくとも2つの真空グリッパが常に存在すること、すなわち、その把持面が装置の表面把持面を画定する少なくとも2つの真空グリッパが常に存在することを確実にするようなものでなければならない。
【0103】
キャタピラアセンブリの移動システムは、連続軌道及び真空グリッパのための構造的支持体を形成するために、剛性構造を備えるか、又はそれと関連付けられることができる。
【0104】
キャタピラ装置の動作中の全体的な安全性を高めるために、キャタピラ装置は、把持位置にある真空グリッパのうちの少なくとも2つに真空が同時に供給されることを確実にし、これらのグリッパの把持面が、装置が移動される表面に同時に取り付けられることを確実にするように構成されている。したがって、1つの真空グリッパの使用が、装置を表面に固定するのに十分であり得る場合であっても、少なくとも1つの追加の真空グリッパは、前の真空グリッパのバックアップとして作用することができ、装置が表面から取り外されることを防止する。
【0105】
キャタピラアセンブリは、選択されたグリッパに真空を印加するように構成された真空システムを備えることができる。システムは、各々が単一の真空グリッパと関連付けられ、その中に真空を選択的に生成するように構成される、複数の個別の真空ポンプを備えることができる。各真空グリッパにそのような個別の真空ポンプを備えることによって、例えば、他の真空グリッパの真空ポンプに誤動作が生じた場合に、装置が表面から分離したり滑ったりすることを防止することによって、装置の全体的な安全性が向上する。各真空グリッパは、共通の真空ポンプ又は他のグリッパの機能に依存することなく、それ自体の真空を生成するため、装置の全体的な安全性が向上する。
【0106】
装置の全体的な安全性及び効率を更に高めるために、各真空グリッパは、グリッパ内に真空を選択的に生成するように構成された2つ以上の個別の真空ポンプを備えることができ、それによって、各真空ポンプがバックアップポンプを有することを確実にする。
【0107】
ここで、本開示の主題の例に係る単列キャタピラ装置として機能することができ、又はそれぞれ2つ以上のそのようなアセンブリを有する2列又は複数列の装置の一部を構成することができるキャタピラアセンブリ100を概略的に示す
図1A及び
図1Bを参照する。
【0108】
本開示の主題に係るキャタピラアセンブリ100は、アセンブリが移動することが予想される方向に平行な長手方向軸LAを含む長手方向基準平面LPと、長手方向基準平面LPに垂直であり、長手方向軸LA及び長手方向軸LAに垂直な中心軸CAを含む中心基準平面CPとを有する。
【0109】
図1A及び
図1Bに示すキャタピラアセンブリ100において、長手方向平面及び軸は、それぞれ、LP及びLAとして示され、中心平面及び軸は、それぞれ、CP及びCAとして示され、アセンブリの移動方向は、MDとして示されている。
【0110】
図1A及び
図1Bに見られるように、キャタピラアセンブリ100は、無端/連続/閉ループ軌道120を有する移動システムと、それに接続された複数/配列の真空グリッパ130、より具体的には130a、130b、130c、130d、130e、130f、130g、130h、130i、130j、130k、及び130lと、軌道120をしっかりと保持し、キャタピラ装置の一部を構成するベースプラットフォーム(図示せず)及び/又はキャタピラ装置が使用される搬送用の外部機器に取り付けるように構成された剛性構造110とを備える。
【0111】
キャタピラアセンブリ100の無端軌道120は、キャタピラ装置がそれに沿って移動される表面から中心平面CPより遠くに配置された遠位部122と、中心平面CPよりその表面の近くに配置された近位部124と、長手方向平面LPの一方の側に配置された前方部126と、長手方向平面の反対側で、方向MDに対して前方部の後ろに配置された後方部128とを備える。軌道の遠位部及び近位部は、アセンブリの長手方向軸LAに実質的に平行に延在することができ、一方、側部は、軸LAに対して湾曲しているか、又は軸LAに対して垂直であり、遠位部及び近位部よりも本質的に短くすることができる。側部及び遠位/近位部の各々の共通領域は、滑らかとすることができ、すなわち、それに対する接線がアセンブリの中心平面に対して垂直であるようになっている。
【0112】
したがって、本開示の主題に係るキャタピラアセンブリの移動システムは、軌道120の前方部126を介して軌道120の遠位部122から近位部124へ、及び軌道120の後方部128を介して近位部124から遠位部122へ真空グリッパ130を移動させるように構成されることができる。
【0113】
軌道120は、アセンブリ100の移動システム160の一部を構成することができ、この場合、中心軸CAを中心に移動可能とすることができ、真空グリッパは、それに固定的に取り付けられることができる。あるいは、軌道120は、固定することができ、アセンブリの移動システムは、固定軌道120に沿って真空グリッパを摺動移動させるための任意の他の適切な手段を備えることができる。
【0114】
それらの動作中、真空グリッパ130は、それらの間を接続する固定軌道120を通してアセンブリ100を支持することができ、それは、グリッパ130が、アセンブリ100が移動している表面に密着するためである。
【0115】
キャタピラアセンブリ100において、軌道120は、細長い遠位部122(
図1A及び
図1Bにおいて中心平面CPの上方に配置される)と、細長い近位部124(
図1A及び
図1Bにおいて中心平面CPの下方に配置される)と、前方部126と、後方部128とが隣接する他の部分の各々と連続的に合流する、長円形状を有する連続コンベヤベルトの形態である。より詳細には、遠位部122及び近位部124は、それぞれの前端122A及び124A(ここで、前方部126は、遠位部及び近位部と合流する)、並びにそれぞれの後端122B及び124B(ここで、後方部128は、遠位部及び近位部と合流する)を有する。
【0116】
したがって、真空グリッパ130は、前方-近位-後方-遠位の順序で異なる部分間で軸CAに対して反時計回り方向に移動可能である。遠位部122に沿ったグリッパの移動方向は、装置全体の予想される移動方向MDと反対である。装置100は、例えば、真空グリッパ130が時計回り方向(図示せず)に移動されるとき、移動方向MDと反対の方向に移動することができることに留意されたい。
【0117】
グリッパ130の各々は、グリッパが軌道120に取り付けられる近位端132と、装置100が移動される表面と接触するように構成されたグリッパ130の把持面135を備える遠位端134とを有する。真空グリッパ130が上述した移動の間に軌道の近位部124の前端124Aを横切るとき、その把持面は、アセンブリの中心平面CPにほぼ平行に向けられる。
【0118】
軌道120の近位部における把持位置に配置されたグリッパ130の把持面135は、キャタピラアセンブリ100の表面把持面165を構成し、これは、記載された例では、中心平面CPに平行な単一平面内にあり、以下、キャタピラアセンブリの把持平面GPと呼ばれる。しかしながら、必ずしもそうである必要はない。
【0119】
記載された例では、長手方向軸LAに沿った軌道の近位部の長さに沿って、真空グリッパの数及びそれらの間の間隔は、3つのグリッパ130b~130dが、それらの把持面135b~135dが平面GP内にあり、表面把持面165を構成するそれらの把持位置に同時に配置されるようになっている。しかしながら、必ずしもそうである必要はなく、把持位置に同時に配置されるグリッパの数は、より少なくすることができ、すなわち、上述したように2つであってもよく、3つよりも多くてもよい。
【0120】
一般に、本開示の主題に係るキャタピラアセンブリにおける真空グリッパは、その移動中に、軌道の異なる部分に沿って以下の位置、すなわち、真空グリッパの把持面が把持平面GPから最大距離だけ離間する軌道の遠位部における遠隔位置と、真空グリッパの把持面が近位軌道部の前端及び後端から離間するときの軌道の前部及び後部の各々における中間位置と、真空グリッパの把持面が把持平面GPに対して軌道に対向する鈍角を形成する、軌道の近位部の前端と前部との合流領域における把持進入位置と、真空グリッパの把持面が把持平面GP内にある、近位部の前端と前端との間の軌道の近位部に沿った複数の把持位置と、真空グリッパの把持面が把持平面GPに対して軌道に対向する鈍角を形成する、軌道の近位部の後端と軌道の後部との合流領域における把持退出位置とを各々とることができる。
【0121】
本例では、
図1A及び
図1Bに示すアセンブリ100の状態における真空グリッパの位置は、以下の通りである:
-真空グリッパ130b~130dが各々把持位置にあり、その把持面135b~135dが平面GP内にあり、グリッパ130dが軌道の近位部124の前端124Aに隣接する第1の把持位置にあり、グリッパ130bが軌道の近位部124の後端124Bに隣接する最後の把持位置にある。
-真空グリッパ130aが、軌道の近位部124の後端124bに隣接する把持出口位置にあり、把持面135aが把持平面GPと角度A1を形成する。
-真空グリッパ130g~130kが軌道の遠位部におけるそれらの遠隔位置にあり、それらの把持面が、把持平面GPから最大距離まで離間される。
-真空グリッパ130f及び130lが、軌道のそれぞれの前部及び後部においてそれらの中間位置にあり、それらの把持面が、上記最大距離よりも小さい距離まで把持平面GPから離間される。
-真空グリッパ130eが、軌道の近位部124の前端124Aに隣接する把持進入位置にあり、その把持面135eが、把持平面GPと角度A2を形成する。
【0122】
図1Cは、本開示の主題の例に係る、キャタピラアセンブリの構造的構成についての更なる詳細を示すキャタピラアセンブリ100’を示している。
図1Cに見られるように、キャタピラアセンブリ100’は、それに沿って配置された真空グリッパ130’を有する軌道120’を備える。キャタピラアセンブリ100’は、キャタピラアセンブリ100と同じ構成要素を備えるが、真空グリッパの位置が異なり、
図1A及び
図1Bに示すキャタピラアセンブリ100に関する上記の説明は、全てのその構成要素が(真空グリッパの位置を除いて)
図1Cに示すキャタピラアセンブリ100’及び全てのその構成要素に完全に適用可能である。
図1Cに示される例によれば、軌道120’は、固定軌道であり、真空グリッパ130’は、そこに摺動可能に取り付けられる。移動システムは、この場合、軌道120’と、各真空グリッパ120’に関連付けられた歯車136A’と、軌道130’に関連付けられた対応する歯車(図示せず)と、真空グリッパ及び/又は軌道120’の各々の歯車を個別に回転させるように構成された駆動機構/モータ(図示せず)とを備える。いくつかの例では、移動システムは、真空グリッパの各々の歯車に関連付けられた個別の駆動機構/モータを備えることができる。いくつかの例では、軌道120’の歯車は、真空グリッパの歯車に対応する歯車を構成する軌道のジグザグ面とすることができる。
【0123】
アセンブリが移動される表面に取り付けられていない真空グリッパ130の歯車136A’の回転は、これらのグリッパを軌道120’に沿って移動させる。アセンブリが移動される表面に取り付けられた真空グリッパ136A’の歯車130の回転は、固定軌道120’を移動方向に移動させ、それによってアセンブリ100’を前進させる。
【0124】
本開示の主題に係るキャタピラ装置は、真空システムを更に備え、真空システムは、各真空グリッパが把持進入位置をとるとき、又は把持平面に面するときに真空が各真空グリッパに印加され、真空が解放されるまで真空グリッパ内に維持されることができることを確実にするように構成されることができる。真空システムはまた、真空グリッパが軌道の近位部の後端に到達したときに維持された真空を解放するように構成されることができる。本例では、真空システムは、複数の真空ポンプを備え、各真空ポンプは、対応する真空グリッパに関連付けられるか、又は対応する真空グリッパ内に配置される。そのような真空グリッパのいくつかの例が、
図2A~
図2Cを参照して以下に説明される。
【0125】
エネルギーを節約し、キャタピラ装置の動作中の全体的な安全性を更に高めるために、各真空グリッパは、その真空ポンプの動作の終了後、例えば、少なくとも、装置が移動される表面に真空グリッパの把持面が取り付けられる間、その中に生成された真空を維持するように構成されることができる。したがって、各真空グリッパは、以下の動作モードを有するように構成される:真空ポンプによって真空が生成されるときの吸着モード、及び真空ポンプの動作の終了後に真空が維持されるときの任意の真空モード、並びに真空ポンプが動作されず、真空が真空グリッパから解放されるときの非動作モード。したがって、各グリッパは、その少なくとも1つの把持位置においてその吸着モード又は真空モードにあるように構成される。本開示の主題に係るキャタピラアセンブリにおいて使用されることができる各真空グリッパは、真空グリッパが所定の開始位置、例えば、把持進入位置又は軌道の近位部の前端に隣接する第1の把持位置に到達すると、ポンプの動作を開始するように構成されたポンプマニピュレータを備えるか、又はそれに関連付けられることができる。したがって、キャタピラアセンブリは、例えば、軌道の近位部の前端の近傍に配置され、グリッパがその吸着モードに入らなければならない所定の開始位置に到達したときに、各グリッパのポンプマニピュレータに信号を送るように構成される、少なくとも1つの開始位置インジケータを備えることができる。開始位置インジケータは、視覚、機械、及び/若しくは電子スイッチ、並びに/又はポンプマニピュレータに信号を送るように構成されるインジケータのうちのいずれか1つとすることができる。ポンプマニピュレータは、光学/画像処理ユニット、機械的トリガ、レーザセンサ、又はポンプの動作を開始するために開始位置インジケータからフィードバックを受信することができる任意の他のセンサとすることができる。
【0126】
各真空グリッパは、更に、真空グリッパが所定の終了位置に到達すると、グリッパ内に維持された真空を解放するように構成される、真空解放器を備えるか、又はそれと関連付けられることができる。したがって、キャタピラアセンブリは、例えば、軌道の近位部の後端の近傍に配置され、グリッパが所定の終了位置に到達したときにグリッパの真空解放器に信号を送るように構成され、終了位置では、真空が真空グリッパから解放されてその把持を表面から解放し、それによって真空グリッパが軌道の後方部に移動することを可能にする、少なくとも1つの終了位置インジケータを備えることができる。開始位置インジケータと同様に、終了位置インジケータは、真空解放器をトリガするように構成された、視覚、機械、及び/又は電子スイッチ及び/又はインジケータのうちのいずれか1つとすることができる。真空解放器は、光学/画像処理ユニット、機械的トリガ、レーザセンサ、又は真空グリッパ内に維持された真空を解放するために終了位置インジケータからフィードバックを受信することができる任意の他のセンサとすることができる。
【0127】
加えて、各真空グリッパは、真空グリッパが動作モード、すなわち、吸着モード若しくは真空モードにあるか、又は非動作モードにあるか、及び任意に、その誤動作を示すように構成される、少なくとも1つのセンサを備えることができる。この指示は、表面に取り付けられた真空グリッパの数を各瞬間に示す装置の全体的な安全性を評価するのに役立ち得る。
【0128】
図1Dは、上述したキャタピラアセンブリ100と同様のキャタピラアセンブリ200を概略的に示しており、キャタピラアセンブリ100は、軌道220及び真空グリッパ230(アセンブリ200の要素をより良く示すためにいくつかの真空グリッパが除去されている)を有し、軌道220が、表面把持面に向かって軌道220の近位部224から外向きに突出し、把持位置に同時にあることができる真空グリッパ230の数に対応する長さまで把持平面GPに沿って延在する細長い突出部の形態の位置インジケータ225を有する点が異なる。
【0129】
位置インジケータ225は、インジケータ225が開始位置インジケータとして機能することを可能にする開始指示領域225aと、インジケータ225が終了位置インジケータとして機能することを可能にする終了指示領域225bとを有し、真空グリッパ230が開始指示領域225aと共通の軌道上の位置に接触又は到達するたびに、真空グリッパのポンプマニピュレータは、真空グリッパの真空ポンプを動作させ、したがって、グリッパは、その吸着モードに入り、任意に真空モードに続き、真空グリッパが終了指示領域225bと共通の軌道上の位置に接触又は到達すると、真空解放器は、真空グリッパから真空を解放され、それによって真空グリッパを非動作モードにし、真空が解放される。
【0130】
位置インジケータ225は、光学/レーザ、機械又は電子センサなどのそれぞれの前方又は端部距離検知デバイスによって、ポンプマニピュレータ又は真空解放器をトリガすることができる。距離検知デバイス(
図2B及び
図2Cに関して以下に詳述する)は、位置インジケータ225の開始領域225a又は終了領域225bを「監視」し、真空グリッパの1つがこの領域に接触したとき、又はこの領域から所定の距離にあるときに、その状態の変化を検知して、それに応じてポンプマニピュレータ又は真空解放器をトリガし、したがって、真空グリッパをそれぞれその吸着モード又は真空解放モードに入らせることができる。任意に、吸着モードで真空グリッパ内に真空が生成されると、真空グリッパは、真空モードに入り、真空グリッパ内で真空が維持される。真空モードは、グリッパ内で所定の負圧が達成されたことを示す圧力センサによってトリガされることができる。所定の負圧は、例えば、-0.2バール未満の任意の圧力とすることができ、キャタピラ装置を表面に固定するのに十分であってもよい。
【0131】
アセンブリの動作の全体的安全性を増加させるために、本例では、位置インジケータ225は、軌道220の近位部の大部分に沿って延在する。したがって、何らかの理由で、真空グリッパが依然として表面に固定される必要がある間に真空が真空グリッパから解放された場合、位置インジケータとして作用する位置インジケータ225は、真空グリッパの吸着モードを再開するように信号を送る。この例では、位置インジケータ225は、表面把持面265に面する軌道220の近位部224全体に沿って連続的に延在する。あるいは、位置インジケータは、複数の別個の突出部を備えることができる。
【0132】
本例では、軌道220は、固定軌道である。他の例では、軌道220は、可動軌道又は固定軌道とすることができ、位置インジケータは、剛性構造及び/又はアセンブリの移動システムに対するグリッパの位置を示すように、他の手段によって実現されることができる。別の例(図示せず)では、例えば、軌道220が可動軌道である場合、上記で説明した位置インジケータ225と同様の、又はそれとは異なる位置インジケータが、アセンブリの任意の固定部分に取り付けられることができる。
【0133】
図1Eは、本開示の主題の例に係る、キャタピラアセンブリの構造的構成についての更なる詳細を示すキャタピラアセンブリ200’を示している。
図1Eに見られるように、キャタピラアセンブリ200’は、それに沿って配置された真空グリッパ230’を有し、位置インジケータ225’を有する軌道220’を備える。キャタピラアセンブリ200’は、キャタピラアセンブリ200の構成要素と同様の構成要素を備えるが、図示された真空グリッパの数、及び
図1Dに示されたキャタピラアセンブリ200に関する上記の説明に違いがあり、その全ての構成要素は、
図1Eに示されたキャタピラアセンブリ200’及びその全ての構成要素に完全に適用可能である(真空グリッパの位置は別として)。
【0134】
上述したように、本開示の主題に係るキャタピラアセンブリは、真空グリッパが摺動可能に接続される固定軌道と、固定軌道に摺動可能に接続されたままで、上述した位置間で真空グリッパと共に移動されるように真空グリッパが固定的に取り付けられる可動軌道とを備えることができる。この場合、2つの軌道は、双方とも無端タイプとすることができ、互いに隣接して配置されることができ、同じ形状を有することができ、同じ方法で配向されることができる。
【0135】
図1Fは、
図1A及び
図1Bのアセンブリ100と同様の構成要素を有するが、2つの軌道を有するキャタピラアセンブリ300を概略的に示しており、一方の軌道は、真空グリッパ330がそれと共に移動可能であるように固定的に取り付けられる可動軌道340であり、他方の軌道は、真空グリッパ330が、構造的支持を提供し、及び/又は移動中にそれらの所望の向きを維持するために摺動可能に接続される固定軌道320である。
図1A及び
図1Bに示すキャタピラアセンブリ100及びその全ての構成要素に関する上記の説明は、軌道120の部分に関する上記の説明が軌道320及び340の部分に適用可能であることを除いて、
図1Fに示すキャタピラアセンブリ300及びその全ての構成要素に完全に適用可能である。
【0136】
可動軌道は、本開示の主題に係る移動システムによってキャタピラアセンブリの中心軸CAを中心に回転するように構成されることができる。移動システムは、共通の駆動システムによって回転されるように構成された1つ以上のホイール及び/又は歯車、又はホイール/歯車の各々に関連付けられたそれぞれの駆動機構/モータを備えることができる。いくつかの例では、移動システムは、中心ハブと、可動軌道を中心軸を中心に回転させるように構成された1つ以上の機械アームとを備えることができる。
【0137】
図1Gは、本開示の主題の例に係る、キャタピラアセンブリの構造的構成についての更なる詳細を示すキャタピラアセンブリ300’を示している。
図1Gに見られるように、キャタピラアセンブリ300’は、真空グリッパ330’が固定的に取り付けられた可動軌道340’と、真空グリッパ330’が摺動可能に接続された固定軌道320’とを備える。キャタピラアセンブリ300’は、キャタピラアセンブリ300と同様の構成要素を備えるが、真空グリッパの位置と、
図1Fに示されるキャタピラアセンブリ300に関する上記の説明との間に違いがあり、その全ての構成要素は、
図1Gに示されるキャタピラアセンブリ300’及びその全ての構成要素に完全に適用可能である(真空グリッパの位置は別として)。
【0138】
図1Dに関して説明したキャタピラアセンブリ200は、固定軌道220を有するが、位置インジケータ225及びその動作の説明を含む固定軌道220の説明は、軌道が可動軌道であり、真空グリッパが可動軌道によって移動可能であるキャタピラアセンブリに完全に適用可能である。例えば、
図1Hは、
図1Dのアセンブリ200と同様の構成要素を有するが、2つの軌道を有するキャタピラアセンブリ400を概略的に示しており、一方の軌道は、真空グリッパ430がそれと共に移動可能であるように固定的に取り付けられる可動軌道440であり、他方の軌道は、真空グリッパ430が摺動可能に接続され、
図1Dの軌道220の位置インジケータ225に対応する位置インジケータ425を備える固定軌道420である。
図1Dに示されるキャタピラアセンブリ200及びその全ての構成要素に関する上記の説明は、軌道220の部分に関する説明が軌道420及び440の部分に適用可能であることを除いて、
図1Hに示されるキャタピラアセンブリ400及びその全ての構成要素に完全に適用可能である。
【0139】
図1Iは、本開示の主題の例に係る、キャタピラアセンブリの構造的構成についての更なる詳細を示すキャタピラアセンブリ400’を示している。
図1Iに見られるように、キャタピラアセンブリ400’は、真空グリッパ430’が固定的に取り付けられた可動軌道440’と、真空グリッパ430’が摺動可能に接続されて支持され、位置インジケータ425’を備える固定軌道420’とを備える。キャタピラアセンブリ400’は、キャタピラアセンブリ400と同様の構成要素を含むが、図示された真空グリッパの数が異なり、
図1Hに示されたキャタピラアセンブリ400に関する上記の説明は、全てのその構成要素が、
図1Iに示されたキャタピラアセンブリ400’及び全てのその構成要素に完全に適用可能である(真空グリッパの位置は別として)。
【0140】
上述したように、各真空グリッパは、取り付け部を有し、この取り付け部において、真空グリッパは、キャタピラアセンブリに取り付けられる。この目的のために、取り付け部は、真空グリッパが固定軌道に摺動可能に取り付けられること、及び/又は可動軌道に固定的に取り付けられることを可能にすることができる。真空グリッパは、その把持面又は把持部と軌道との間の距離、及び/又は中心平面CPに対して調整可能な角度でのその配向の調整を可能にするように構成された調整デバイスを備えることができる。距離及び/又は配向角度の調整は、キャタピラ装置が、傾斜面及び/又は隆起、窪み、段又は溝を含む表面などの平坦でない表面上を前進することを可能にすることができる。
【0141】
キャタピラアセンブリ又はキャタピラ装置がそれに沿って移動される表面が理想的な平面でない場合、真空グリッパは、それらの把持面と軌道との間の距離を調整するように構成され、したがって、キャタピラアセンブリの表面把持面が非平面構成を有するようにする。この場合、キャタピラアセンブリの把持平面は、軌道から最大距離にあるそれらの把持位置に配置されたその/それらの真空グリッパの把持面によって画定される。
【0142】
図2Aは、真空グリッパユニット530を概略的に示しており、これは、上述した任意のキャタピラアセンブリ、又は本開示の主題に係る任意の他のキャタピラアセンブリにおいて使用されることができる。真空グリッパユニット530は、キャタピラアセンブリが移動される表面に取り付けられるように構成された把持部532と、例えば、少なくとも1つの取り付け要素(
図2B及び
図2Cを参照して以下に説明される)を介して、グリッパ530がキャタピラアセンブリの軌道に(固定的に又は摺動可能に)取り付けられることができる反対側の取り付け部534と、2つの部分を接続するように構成された調整デバイス540とを備える。調整デバイス540は、把持部532と軌道(図示せず)との間の距離の調整を可能にするように構成されている。例えば、調整デバイス540は、ばね、ピストン、他の距離調整可能要素、及び/又はそれらの任意の組み合わせを備えることができ、真空グリッパ530の把持面535と軌道との間の距離の調整を可能にする。調整デバイス540は、概して真空グリッパユニット530、及び/又は特に把持部532を、キャタピラアセンブリの中心平面CPに対して調整可能な角度で配向するように構成されている。一般に真空グリッパユニット及び/又は特に把持部の距離及び/又は配向角度の調整は、キャタピラ装置が、傾斜面及び/又は隆起、窪み、段又は溝を含む表面などの平坦でない表面上を前進することを可能にすることができる。
【0143】
上述したように、本開示の主題に係るキャタピラ装置の上述した例のいずれか、並びに任意の他のそのような装置におけるキャタピラアセンブリと共に使用されることができる真空グリッパは、グリッパの把持面の表面積によって画定される所定の面積に沿って表面に確実に取り付けられることを可能にする、その把持部の任意の構造を有することができる。
【0144】
そのような真空グリッパのいくつかの例が、以下の
図2B及び2Cに示されている。以下に説明する真空グリッパは、国際公開第2019215722号パンフレットに記載されている真空装置と同様の把持部を有することができ、同様に動作することができ、その説明は参照により本明細書に組み込まれ、主な違いは、上記公報に記載されている真空装置が、それによって搬送される物体に取り付けられるように構成されているのに対して、本開示の真空グリッパは、キャタピラアセンブリにおいて使用されるように調整デバイス及び/又は取り付け部を有することであることを示す必要がある。
【0145】
図2B及び
図2Cは、本開示の主題の例に係る、真空グリッパの構造的構成についての更なる詳細を示す真空グリッパユニット530’を示している。真空グリッパ530’は、その把持面535’を介して、キャタピラアセンブリが移動される表面に取り付けられるように構成された把持部532’と、例えば、少なくとも1つの取り付け要素を介して、キャタピラアセンブリの軌道に取り付けられるように構成された反対側の取り付け部534’とを備える。真空グリッパ530’は、キャタピラアセンブリの軌道及び/又は中心平面CPに対する、概して真空グリッパ530’及び特に把持部532’の距離及び/又は配向角度の調整を容易にするように構成された調整デバイス540’を更に備える。真空グリッパ530’は、歯車/ホイールの形態の第1の取り付け要素536A’を更に備え、第1の取り付け要素536A’は、取り付け部534’に取り付けられ、軌道が固定軌道である場合に軌道に摺動可能に取り付けられるように構成されている。軌道が可動軌道である場合、取り付け部534’に取り付けられた真空グリッパ530’の第2の取り付け要素536B’が使用されて、真空グリッパ530’を可動軌道に固定的に取り付けることができる。真空グリッパ530’は、歯車536A’を移動させるように構成された駆動機構/モータ(図示せず)を更に備えることができ、又はそれと関連付けられることができる。更に、取り付け要素536A’及び536B’のいずれか又は双方は、真空グリッパを軌道に取り外し可能に取り付けるように構成されることができる。
【0146】
真空グリッパ530’は、真空グリッパ530’の内部構成要素、把持部532’及び調整デバイス540’を示すために
図2Cでは取り外されている外側カバー538’を更に備える。
【0147】
図2Cに見られるように、調整デバイス540’は、脚部544’の近位端を介して真空グリッパ530’のベース539’に接続された本体542’を有する。脚部544’は、取り付け部534’のコネクタ546’を介してホイール536A’に接続された遠位端を有する。図示の例では、脚部544’は、入れ子式ロッドの形態で構成されており、それぞれの長さを入れ子式に変化させるように構成されている。本体542’は、取り付け部534’を介して、第2の取り付け要素536B’によってそれに接続される。調整デバイス540’は、真空グリッパ530’のベース539’に接続された近位端と、調整デバイス540’の本体542’に接続された遠位端とを有するばね548’を備える。取り付け要素536A’、536B’と把持面535’との間の距離を調整する目的で、ばね548’は、把持面535’が表面(アセンブリが移動される表面)に接触するかどうかを検知するように構成されたセンサ及びコントローラ(図示せず)によって制御される作動機構(図示せず)によって圧縮及び伸張されることができる。同時に、脚部544’は、それらのそれぞれの長さを伸縮自在に減少させ(ばねが圧縮されている間)、増加させ(ばねが伸張されている間)、それによって、取り付け要素536A’、536B’と真空グリッパ530’のベース539’との間の距離を変化させる。グリッパ530’の向きを変更する目的で、脚部544’は、例えばコントローラによって、達成されるべき向きに基づいて互いに対して異なる長さを有するように作動されることができ、ばねは、それに応じて曲がるように構成されることができる。加えて、キャタピラ装置の中心平面CPに対する把持面535’の向きを変更する目的で、脚部544’は、自由度が残されて把持面が把持平面に対してその角度を変更する、例えば傾斜することを可能にするように、ベース539’に接続されることができる。
【0148】
真空グリッパ530’は、真空ポンプ552’と共に、それ自体とアセンブリが移動される表面との間に真空を生成するように構成された吸着プレート550’を更に備える。吸着プレート550’は、真空グリッパ530’が軌道に取り付けられたときに、軌道から離れて面する吸着プレート550’の面の周囲に沿って配置されたシーリングゴム554’を有する。シーリングゴム554’は、真空グリッパ530’の把持面535’を画定する。真空グリッパ530’内、すなわち、吸着プレート550’とアセンブリが移動される表面との間に真空が生成されると、シーリングゴム554’が表面に付着する。
【0149】
真空ポンプ552’は、真空グリッパ530’の一部として上述されているが、真空ポンプは、真空グリッパの外部にあることができ、それと関連付けられ、その中に負圧を生成するように構成されることができる。
【0150】
真空グリッパ530’は、真空グリッパ530’をその非動作モード(グリッパ内に真空が存在しないとき)と、
図1A及び
図1Bに関して上記詳述したような様々な動作モードとの間で切り替えるように構成された真空スイッチ556’を更に備える。真空スイッチ556’は、真空グリッパ530’と共に構成される距離検知デバイス558’に基づいて、コントローラ(図示せず)によって制御されるように構成されている。距離検知デバイス558’は、軌道に沿った真空グリッパの位置を検知し、コントローラを介して、真空ポンプ552’を動作させるように真空スイッチ556’に信号を送る。(
図1A及び
図1Bに関して上述したように)真空グリッパがその所定の開始位置に到達したことを検知すると、距離検知デバイス558’は、真空ポンプ552’の動作を開始するポンプマニピュレータとして機能するように真空スイッチ556’に信号を送り、それによって、真空グリッパ530’をその吸着モードに入らせる。(
図1A及び
図1Bに関して上述したように)真空グリッパが所定の終了位置に到達したことを検知すると、距離検知デバイス558’は、真空スイッチ556’に信号を送り、グリッパ530’内から真空を解放する真空解放器として機能させる。
【0151】
距離検知デバイスは、本体542’の内面上に配置されて
図2Cに示されているが、軌道に沿った真空グリッパの位置を検知するために軌道の位置インジケータを「見る」ことができるように、真空グリッパ530’に対して任意の位置に配置されることができる。
【0152】
図示の例では、調整デバイスは、ばね及び伸縮ロッドの助けを借りて動作するものとして説明されている。他の例では、調整デバイスは、ばね、伸縮ロッド、ピストン、油圧機構、それらの組み合わせ、又は軌道に対する真空グリッパの距離及び/又は向きを調整することができる任意の他の機構のいずれかを備えることができる。
【0153】
上述したように、本開示の主題に係るキャタピラ装置は、上述した種類のキャタピラアセンブリを2つ以上備えることができる。そのようなアセンブリのいくつかの例が、
図1A~1Iに提示されている。
【0154】
一般に、本開示の主題に係るキャタピラ装置は、本開示の主題の様々な例に係る上述した例示的なキャタピラアセンブリ100、100’、200、200’、300、300’、400、400’のいずれか、又は任意の他のそのようなキャタピラアセンブリを備えることができる。いくつかの例では、キャタピラ装置は、異なる種類のアセンブリを備えることができ、例えば、一方のアセンブリは、キャタピラアセンブリ100、100’、200、200’、300、300’、400、400’のうちの1つと同様とすることができ、他方のアセンブリは、キャタピラアセンブリ100、100’、200、200’、300、300’、400、400’のうちの別の1つと同様とすることができる。キャタピラ装置のキャタピラアセンブリは、アセンブリの構造的支持体を形成するそれぞれの剛性構造を介して、共通のベース、すなわちキャタピラ装置のベースによって互いに接続されることができ、各瞬間に各アセンブリの同数の真空グリッパが装置が移動される表面に取り付けられるように、同数の真空グリッパを有することができる。上述したように、各真空グリッパは、把持面を有し、この把持面において、真空グリッパは、表面に取り付けられるように構成されている。表面に取り付けられた全ての真空グリッパの把持面は、同時に、キャタピラ装置の表面把持面を共に画定する。本明細書では、真空グリッパの各々は、本開示の主題の様々な例に係る上述した例示的な真空グリッパ130、130’、230、230’、330、330’、430、430’、530、530’のいずれか1つ、又は任意の他のそのような真空グリッパとすることができることを理解されたい。
【0155】
キャタピラアセンブリの各々は、上述したようにそれぞれの移動システムを有することができ、又はキャタピラ装置は、アセンブリのそれぞれの移動システムの各々の構成要素と、これらの移動システム間の調整を容易にするための追加の構成要素とを備える共通の移動システムを有することができる。各アセンブリの移動システム、又は双方のアセンブリのための共通の移動システム、すなわち、キャタピラ装置の移動システムを構成する移動システムは、キャタピラ装置のベースにしっかりと取り付けられることができる。上述したキャタピラアセンブリのいずれが装置に使用されるかという事実に関係なく、キャタピラ装置のベースは、キャタピラアセンブリの各々のそれぞれの移動システムを確実に支持するように構成されることができ、キャタピラアセンブリは、ひいては真空グリッパを確実に支持するように構成されている。アセンブリが、真空ユニットが取り付けられる固定軌道を備える場合、ベースは、固定軌道を支持するように構成されることもできる。
【0156】
キャタピラアセンブリは、アセンブリが対称面の両側に配置されるように、キャタピラ装置のベースを通過し、アセンブリの各々の長手方向平面にほぼ平行な対称面を有することができる。更に、キャタピラ装置は、対称面に垂直であり、アセンブリの各々の中心基準平面と概ね一致するか、又は少なくとも平行である中心平面を有することができる。
【0157】
キャタピラ装置は、キャタピラ装置のベースに取り付けられ、装置を表面に固定し、例えば中心平面に沿って、且つ中心平面に垂直で対称面内にある軸を中心にキャタピラ装置を旋回させるように構成された旋回アセンブリを備えることができる。旋回アセンブリは、少なくとも装置の移動システムが動作していないときに、動作時に旋回アセンブリ、したがって装置を表面に固定するように構成された少なくとも1つの真空グリッパを備えることができる。例えば、キャタピラ装置の移動方向を変更するために、旋回アセンブリの真空グリッパは、それに関連付けられた真空ポンプによって動作されることができ、それによって、旋回アセンブリを介して装置を表面に固定し、同時に、キャタピラアセンブリの全ての真空グリッパを表面から解放することができる。この状態において、旋回アセンブリは、キャタピラ装置(及びそのアセンブリ)のベースを回転させることができ、それによって、装置の移動方向を変更する。続いて、キャタピラアセンブリの真空グリッパは、表面に取り付けられるように動作されることができ、その後、表面に沿ったキャタピラ装置の移動を可能にするために、旋回アセンブリの真空グリッパが表面から解放される。移動方向を変更する上述した目的に加えて、他の目的のために、旋回アセンブリの真空グリッパは、キャタピラアセンブリの真空グリッパと同時に表面に固定されて、そのような他の目的のために必要とされることができる表面への装置の取り付けの強度を増加させることができる。
【0158】
図3Aは、本開示の主題の例に係る
図1A及び
図1Bに概略的に示されたキャタピラアセンブリ100と双方とも同様である2つのキャタピラアセンブリ600及び700を備える、本開示の主題の例に係るキャタピラ装置1を概略的に示している。
図1A及び
図1Bに示すキャタピラアセンブリ100及びその全ての構成要素に関する上記の説明は、
図3Aに示すキャタピラアセンブリ600及び700の双方及びそれらの全ての構成要素に完全に適用可能である。キャタピラアセンブリ600及び700は、
図1A及び
図1Bに関して上述したアセンブリ100と同様に示されており、固定式又は可動式とすることができるただ1つの軌道を有するが、キャタピラアセンブリ600及び700のいずれか又は双方は、上述した例示的なキャタピラアセンブリ100’、200、200’、300、300’、400、400’のいずれか、又は任意の他のそのようなアセンブリとすることができる。
【0159】
キャタピラアセンブリ600及び700は、グリッパ630及び730がそれぞれ接続されるそれぞれの軌道620及び720を備える。キャタピラアセンブリ600及び700は、軌道600及び700をそれぞれしっかりと保持するそれぞれの剛性構造610及び710を有し、共通のベース10、すなわちキャタピラ装置1のベースを介して互いに接続される。ベース10は、ベースの総重量を低減するように、いくつかの構成要素、例えば、バー、ロッド、フランジ、類似要素、及び/又はそれらの任意の組み合わせから構造化されることができることに留意されたい。
【0160】
キャタピラ装置1は、ベース10を通過し、アセンブリ600及び700の長手方向平面(図示せず)にそれぞれ延在する対称面SPを有する。アセンブリ600及び700は、装置1の対称面SPの両側に配置されている。キャタピラ装置1は、対称面SPに対して垂直に延在する中心平面CPAを有する。装置1は、中心平面CPAに平行であり、装置1が移動される表面に接続されたアセンブリ600及び700の真空グリッパの把持面635及び735によって構成される把持面65を更に備える。例えば、装置1が移動される表面に接続されたアセンブリ600の少なくとも1つの真空グリッパ及びアセンブリ700の少なくとも1つの真空グリッパは、把持面65を画定する。
【0161】
ベース10は、装置1の旋回アセンブリ20を有し、旋回アセンブリ20は、ベース10に取り付けられ、ベース10、したがって装置1を表面に固定し、中心平面CPAに沿って、且つ中心平面CPAに垂直で対称面SP内にある軸SAを中心にキャタピラ装置1を旋回させるように構成されている。旋回アセンブリ20は、旋回アセンブリ20、したがって装置1を表面にしっかりと取り付けるように構成された真空グリッパ30を備える。旋回アセンブリ20は、少なくとも真空グリッパ630及び730のいずれも表面に取り付けられておらず、真空グリッパ30が表面に取り付けられているときに、装置1の移動方向を変更するために、装置1のベース10を中心平面CPAに沿って移動させるように構成された移動システム25を更に備える。移動システム25は、歯車装置、ホイール、可動ベルト、それらの任意の組み合わせ、及び/又は上述したようにベース10を移動させるように構成された任意の他の機構を備えることができる。
【0162】
図3Bは、本開示の主題の別の例に係るキャタピラ装置のより多くの構造的詳細を示すキャタピラ装置1’を示している。装置1’は、2つのキャタピラアセンブリ600’及び700’を備え、その双方は、
図1Iを参照して上述したキャタピラアセンブリ400’と同様であり、
図1Iに示されるキャタピラアセンブリ400’及びその全ての構成要素に関する上述した説明は、
図3Bに示されるキャタピラアセンブリ600’及び700’の双方並びにそれらの全ての構成要素に完全に適用可能である。
【0163】
キャタピラアセンブリ400’と同様に、キャタピラアセンブリ600’は、真空グリッパ630’が固定的に取り付けられた可動軌道640’と、真空グリッパ630’が摺動可能に接続されて支持される固定軌道620’とを備える。また、キャタピラアセンブリ700’は、アセンブリ400’と同様に、真空グリッパ730’が固定的に取り付けられた可動軌道740’と、真空グリッパ730’が摺動可能に接続された固定軌道720’とを備える。アセンブリ600’及び700’は、装置1’のベース10’を介して互いに接続され、対称面SP’の両側に配置される。装置1’は、アセンブリ600’及び700’によって表面に沿って移動されるように構成され、アセンブリは、それらのそれぞれの移動システムによって移動されるように構成され、そのうちの1つ、すなわちアセンブリ600’の移動システムは、
図3Cに示されるキャタピラ装置1’の内部図に示されている。
【0164】
図3Cは、対称面SP’に平行な面に沿って装置1’の断面を取ることによって達成される装置1’の内部図を示しており、装置1’のいくつかの構成要素は、説明を明確にするために示されていない。
図3Cに見られるように、キャタピラアセンブリ600’は、可動軌道640’を備える移動システム660’を有する。移動システム660’は、可動軌道640’が中心軸CAに対して反時計回り又は反時計回り方向に移動するように構成された2つの歯車662’及び664’を有する。2つの歯車662’及び664’は、各々、それぞれの軸663’及び665’を中心に回転可能であり、これらの軸は、図示された例によれば、アセンブリ600’及び700’の双方に共通である。更に、移動システム660’は、別の一対の歯車666’及び668’を有する。歯車666’は、歯車666’の回転が軸665’を回転させ、それが次に歯車664’の回転、したがって可動軌道640’の回転を引き起こすように、軸665’を歯車664’と共有する。歯車668’は、それと関連付けられ、歯車668’を回転させるように構成された駆動機構/モータ(図示せず)を有する。歯車668’及び666’は、その上で回転し、歯車668’の回転運動を歯車666’に伝達するように構成されたベルト670’を有する。動作時には、モータが歯車668’を回転させ、その回転がベルト670’によって歯車666’に伝達される。歯車666’は、軸665’を回転させ、それによって歯車664’が回転し、その結果、可動軌道640’が回転し、次に歯車662’が回転する。したがって、移動システム660’は、真空グリッパ630’(及び、軸663’及び665’がアセンブリ600’及び700’の双方に共通であるため、グリッパ730’)を可動軌道630’と共に移動させて、装置1’をその移動方向に移動させるように構成されている。いくつかの例では、移動システムは、1対の歯車のみと、それらの歯車を直接回転させる駆動機構/モータとを備えることができる。いくつかの例では、移動システムは、4つより多くの歯車、例えば、可動軌道への支持を増加させるために歯車662’と666’との間に追加の歯車を備えることができる。
【0165】
各アセンブリの2つの歯車はまた、武装車両のキャタピラ軌道と同様に、可動軌道に張力を提供するように構成されることができる。
【0166】
移動システム660’は、各アセンブリの少なくとも2つの真空グリッパが各瞬間に(上述したように)それぞれの把持位置にあることを確実にするように構成されている。いくつかの実施形態では、移動システム660’は、キャタピラ装置の少なくとも2つの真空グリッパが常に(上述したような)それぞれの把持位置にあることを保証するように構成されている。
【0167】
ここで、装置1’のベース10’に取り付けられた旋回アセンブリ20’を更に備えるキャタピラ装置1’を示す
図3Bを再び参照する。旋回アセンブリ20’(
図3Dに示される)は、各々内部に真空が生成されたときに表面にしっかりと取り付けられるように構成された複数の真空グリッパ30’を備える。旋回アセンブリ20’は、真空グリッパ30’のうちの1つにそれぞれ関連付けられたピストン装置22’を備え、それにより、各ピストン装置22’は、例えば真空ピストン22’が後退させられ、グリッパ30’が他の端部に接続されたときに、その表面のより近くに配置されたベース10’の近位部に当接するように構成された上端24’を第1の端部に有する。旋回アセンブリ20’は、一端にピストン装置22’を支持するように構成され、他端に移動システム25’を有するベース21’を更に備える。移動システム25’は、ベース10’の移動、したがって装置1’の中心平面に沿った装置1’の旋回を容易にするように構成されている。移動システム25’は、ベース21’に接続された歯車26’を備え、装置1’の中心平面に垂直な軸を中心に回転するように構成されている。歯車26’は、装置1’のベース10’に接続され、ベース10’を旋回させ、それによって装置1’をベース10’と共に旋回させる。歯車26’は、ベルト27’(
図3Bに最もよく見られる)によって回転可能であり、ベルトは、ひいてはそれに関連付けられた駆動機構/モータ(図示せず)によって回転されるように構成された別の歯車28’(
図3Bに最もよく見られる)によって移動可能である。動作中、真空グリッパ30’は、表面に取り付けられることができ、装置は、少なくともグリッパ630’及び730’が表面に取り付けられていないとき、中心平面に垂直で装置1’の対称面内にある軸を中心に移動システム25’によって旋回、すなわち回転されることができる。
【0168】
旋回装置のために個別のグリッパを使用することは、単一のグリッパが使用される場合よりも、表面上への把持のためにより小さい把持面を利用することを可能にする。これは、旋回装置の把持面全体に対して十分に大きい平面領域を有しない極端に不均一な表面上にアセンブリ100を密着させるのに有用とすることができる。
【0169】
ピストン装置22’は、ベース10’と装置が移動される表面との間の距離の調整を可能にするように構成されている。更に、ピストン装置22’は、装置1’の中心平面並びに対称面に対して調整可能な角度で装置1’を配向するように構成されている。ベース10’と表面との間の距離を調整する目的のために、全てのピストン装置22’は、それらの長さを等しい程度に増加又は減少させるように、同時に同じ方向に動作されることができる。装置1’を配向するために、ピストン装置22’は、装置1’の対称面だけでなく中心平面に対して装置1’を配向するように、それぞれの長さを異なる程度だけ変化させるように独立して動作されることができる。軌道620’及び720’からの真空グリッパ630’及び730’の距離もまた、それぞれ、例えばコントローラによって、ピストン装置22’の調整と協調して調整される。装置1’の距離及び向きの調整は、傾斜面及び/又は隆起、窪み、段又は溝を含む表面などの平坦でない表面上での装置の動作を容易にする。
【0170】
本開示の主題に係るキャタピラ装置又は任意の他のそのような装置の上記の例のいずれにおいても、キャタピラアセンブリ及び旋回アセンブリの各々の各真空グリッパは、それが表面に取り付けられるときに停電が発生した場合に、その真空モードに入ることによってこの取り付けを維持し、それによってキャタピラ装置が表面に固定されることを確実にするように構成されることに留意されたい。
【0171】
本開示の主題に係るキャタピラ装置の上述した例のいずれにおいても、任意の他のそのような装置と同様に、アセンブリの真空グリッパ及び/又は旋回アセンブリの真空グリッパの移動を制御するように構成されたコントローラを備えることができる。コントローラは、移動システム、例えば、軌道の回転速度、可動軌道の速度、真空グリッパの歯車の回転速度、調整デバイス、ピストン装置、及び/又はピストンアセンブリの真空グリッパの解放及び固定を制御することができる。真空グリッパが移動される速度を制御することによって、コントローラは、キャタピラ装置が表面に沿って前進するペースを設定することができる。前進速度の設定は、多くの目的のための装置の使用を可能にする。例えば、超高層ビルの窓を清掃することは、キャタピラ装置が比較的ゆっくりと、例えば5~15メートル/分の速度で移動する必要があり得るが、高層建築物から人を救助するための救助デバイスとして機能することは、キャタピラ装置がはるかに速く、例えば20~40メートル/分の速度で移動する必要があり得る。
【0172】
更に、コントローラは、旋回装置の真空グリッパを含む少なくとも2つの真空グリッパが、必要な真空圧力で表面に常に固定されることを確実にするように構成されている。例えば、コントローラは、表面に固定されていない真空グリッパを、表面に固定されている真空グリッパよりも速く前進させてもよい。真空グリッパのこの差動運動は、2つより多くの真空グリッパが常に表面に固定されることを確実にすることができ、それによって、装置の全体的な安全動作及び装置の前進速度を増加させる。
【0173】
一般に、本開示の主題に係るキャタピラアセンブリの移動システムは、少なくとも2つの真空グリッパが常に把持位置にあることを確実にしながら、グリッパを連続して把持位置に移動させることができるように、真空グリッパが移動方向に沿って移動することを可能にする任意の移動システムとすることができ、グリッパは、任意の適切な方法で、例えば着脱可能な方法で移動システムに接続されることができ、それによって、必要な場合及び/又は必要なときに各グリッパの交換を可能にする。
【0174】
移動システムは、必ずしも可動軌道を備える必要はなく、むしろ、移動システムは、人間の脚のようなもの、例えば、すなわち、中心基準平面に対して調整可能な距離及び角度を有する2つ又は4つの脚を有するものとすることができる。
【0175】
移動システムが可動軌道、例えば無端可動軌道を含む場合、移動システムは、上述した種類の連続コンベヤ状ストラップの形態とすることができ、又は旋回軸によって互いに旋回可能に接続された複数の別個の軌道要素の形態とすることができ、各軌道要素は、真空グリッパと関連付けられる。後者の場合、移動システムは、軌道要素及び/又は旋回軸を移動させて、真空グリッパを把持位置に連続的に移動させるように動作可能な任意の手段を更に備えることができる。例えば、移動システムは、キャタピラアセンブリの固定要素に回転可能に取り付けられ、それに関連付けられた駆動機構/モータ(図示せず)によって回転されるように構成された少なくとも1つの歯車を備えることができ、少なくとも1つの歯車は、軌道要素及び/又は旋回軸にしっかりと係合して、少なくとも1つの歯車の回転時に軌道要素及び/又は旋回軸を移動させる。
【0176】
可動軌道が上記の軌道要素を備える場合、真空グリッパは、可動軌道に取り外し可能に取り付けられることができ、又は可動軌道に一体的に取り付けられ、又は可動軌道と一体的に形成されることができる。特定の例では、真空グリッパは、中心軸を有することができ、グリッパの中心軸に垂直に配向された把持面を有する把持部と、グリッパの中心軸に沿って把持面から離間され、中心軸に対して横方向に配向され、中心軸の両側に2つの取り付け端部を有する取り付け延長部を備える取り付け部とを備えることができ、取り付け端部は、各々、旋回軸に旋回可能に接続可能であり、キャタピラアセンブリが組み立てられるときに取り付け延長部が可動軌道の軌道要素を構成することを可能にする。任意に、取り付け延長部は、グリッパの中心軸から反対方向に延在する2つの取り付け延長部を有することができ、各取り付け延長部は、中心軸に隣接する近位端と、中心軸から離間され、旋回軸に旋回可能に接続可能な遠位端とを有する。取り付け部は、把持部と取り付け延長部との間に延在する少なくとも1つの取り付け要素を更に備えることができる。取り付け部は、2つの取り付け要素を備えることができ、取り付け要素は、グリッパの両側においてグリッパの中心軸に沿って概して延在することができ、各々が取り付け延長部のうちの1つの近位端に接続される。2つの取り付け要素は、互いに近接して配置されることができるか、又はむしろ、グリッパの中心軸に垂直な方向に互いから離間されることができる。
【0177】
図4Aは、単列キャタピラ装置として機能することができるか、又は2つ以上のそのようなアセンブリをそれぞれ有する2列又は複数列装置の一部を構成することができる、本開示の主題の別の例に係るキャタピラアセンブリ800を概略的に示している。無端可動軌道820は、真空グリッパ830と共に、前の実施例の可動軌道に関して上述したものと同様に、本例のキャタピラアセンブリ800において使用されることができる。
【0178】
軌道820は、旋回軸822によって互いに旋回可能に接続された一連の別個の軌道要素821を備え、各軌道要素は、真空グリッパ830のうちの1つに関連付けられる。
【0179】
可動軌道820の軌道要素及び車軸以外のアセンブリ800の構成要素、並びにその取り付け部以外の各真空グリッパ830の構成要素、及びそれらの動作は、前の実施例のアセンブリ及び真空グリッパに関して上述されたものと同一とすることができる。
【0180】
全ての軌道要素及び全ての真空グリッパ830の関連部分は同一であり、
図4Aに示される軌道820の部分「B」を示す
図4Bを参照してより詳細に説明される。したがって、軌道820は、複数のそのような部分を含むと考えることができ、以下の説明は、それらの各々に適用可能である。
【0181】
図4Bでは、830a、830b、及び830cとして指定された3つの隣接する真空グリッパが示されており、各々は、中心軸GAa、GAb、及びGAcと、取り付け部832a、832b、及び832cとをそれぞれ有する。グリッパは、グリッパ830aがその吸着モードに入る前にその開始位置にまさに到達しようとしており、グリッパ830b及び830cがその開始位置に到達しており、グリッパ830bがその吸着モードにあり、グリッパ830cがその真空モードにある瞬間に示されている。
【0182】
真空グリッパ830aの取り付け部832aは、中心軸GAaの両側で中心軸GAaに対して垂直に延在するそれぞれの取り付け延長部834a’及び834a’’と一体的に形成された2つの取り付け要素832a’、832a’’を備える。各取り付け延長部834a’、834a’’は、近位端836a’、836a’’及び遠位端838a’、838a’’をそれぞれ有し、遠位端は、それぞれの旋回軸822a及び822bを中心に旋回可能である。
【0183】
同様に、真空グリッパ830bの取り付け部832bは、中心軸GAbに対して垂直に中心軸GAbの両側に延在するそれぞれの取り付け延長部834b’及び834b’’と一体的に形成された2つの取り付け要素832b’、832b’’を備える。各取り付け延長部834b’、834b’’は、近位端836b’、836b’’及び遠位端838b’、838b’’をそれぞれ有し、遠位端は、それぞれの旋回軸822b及び822cを中心に旋回可能である。
【0184】
同様に、真空グリッパ830cの取り付け部832cは、中心軸GAcに対して垂直に中心軸GAcの両側に延在するそれぞれの取り付け延長部834c’及び834c’’と一体に形成された2つの取り付け要素832c’、832c’’を備える。各取り付け延長部834c’、834c’’は、近位端836c’、836c’’及び遠位端838c’、838c’’をそれぞれ有し、遠位端は、それぞれの旋回軸822c及び822dを中心に旋回可能である。
【0185】
グリッパ830a、830b及び830cの各々の取り付け部の取り付け延長部を有する取り付け要素は、
図4Aに示す可動軌道820の別個の軌道要素821のうちの1つを構成する。したがって、これらの要素は、
図4Bにおいてそれぞれ821a、821b及び821cとして示されている。
【0186】
図4Bから明らかなように、軌道要素821の旋回軸822への旋回接続は、グリッパが、中心基準平面並びに/又は表面把持面及び把持平面GPに対して調整可能な角度でそれらの配向をとることを可能にする。例えば、軌道の移動中、軌道要素821は、中心基準平面の一方の側から他方の側に移動されることができ、それによって、把持平面GPに平行に、把持平面に対して角度をなして、把持平面に対して垂直などに配向される。
【0187】
図2A~
図2Cを参照して上述した真空グリッパと同様に、真空グリッパ830は、各々、グリッパ中心軸に沿った真空グリッパの把持面又は把持部と取り付け延長部との間の距離の調整、及び/又はグリッパ中心軸に対する調整可能な角度での取り付け延長部の向きの調整を可能にするように構成された調整デバイスを備えることができる。そのような調整は、キャタピラ装置が、傾斜面及び/又は隆起、窪み、段又は溝を含む表面などの平坦でない表面上を前進することを可能にすることができる。
【0188】
図5は、本開示の主題に係るキャタピラアセンブリ800又は任意の他のキャタピラアセンブリにおいて使用されることができる真空グリッパユニット930を概略的に示している。真空グリッパユニット930は、その取り付け要素がグリッパユニットの中心軸GAに垂直な方向に互いに離間されている点で、
図4A及び
図4Bに示す真空グリッパとは異なる。
【0189】
したがって、グリッパユニット930は、グリッパの中心軸GAに垂直に配向され、把持ユニットに真空が印加されるときに、キャタピラアセンブリが移動される表面に取り付け可能な把持面935を有する把持部931を備える。グリッパユニット930は、グリッパユニットの反対側に配置され、軸GAに沿って把持面から離間された取り付け部932を更に備える。取り付け部932は、中心軸GAの両側でそれに垂直に延在するそれぞれの取り付け延長部934’及び934’’と一体的に形成された2つの取り付け要素932’及び932’’を備える。各取り付け延長部934’、934’’は、近位端936’、936’’及び遠位端938’、938’’をそれぞれ有し、遠位端は、旋回軸への旋回接続のために構成されている。
【0190】
図4A、
図4B及び
図5を参照して上述した真空グリッパユニットの取り付け延長部の遠位端の旋回接続は、任意の適切な手段によって提供されることができる。例えば、取り付け延長部の遠位端は、対応する旋回軸を自由に受け入れるように構成された貫通孔を有して形成されることができる。
【0191】
図4A~
図5には示されていないが、取り付け要素は、
図2A、
図2B及び
図2Cに関して上述した調整デバイスと同様の調整デバイスの一部とすることができ、及び/又は調整デバイスを備えることができる。別個の要素938a’’は、前方真空グリッパの別個の要素938b’に調整可能に取り付けられるように構成されることができ、別個の要素938b’’は、後方真空グリッパの別個の要素938c’に調整可能に取り付けられるように構成されることができる(別個の要素838’及び838’’に関して
図4A及び
図4Bに示すものと同様)。
【0192】
図1A~
図5を参照して上述した可動キャタピラアセンブリは、建築物の外面、特にその窓などの非水平前進面に選択的に取り付け可能であり、それに沿って移動可能である。可動アセンブリは、軌道と、軌道に沿って移動可能な複数のグリッパユニットとを有する。以下に詳述される可動アセンブリは、少なくとも動作及び使用の様式において、上記で詳述された可動アセンブリのうちのいずれか1つと動作が同様とすることができる。可動アセンブリは、上記の様々な例に従って記載された移動システムのいずれかと同じとすることができる移動システムを有する。
【0193】
可動アセンブリは、軌道を有し、軌道は、図示された例によれば、可動アセンブリの構造部材を構成する固定軌道であり、上向き摺動面、下向き摺動面、及び少なくとも1つの横向き摺動面を有する。本出願全体を通して理解する目的で、下向き摺動面は、可動アセンブリ、例えば壁の動作中に非水平前進面に面する軌道の表面であり、上向き摺動面は、下向き摺動面の反対側に、例えば壁から離れて面する軌道の表面であり、横向き摺動面は、任意に上向き摺動面と下向き摺動面との間で横方向に延在する。
【0194】
可動アセンブリは、更に、複数のグリッパユニットを有し、それによって、可動アセンブリは、非水平前進面に選択的に取り付けられるように構成されている。グリッパユニットの各々は、上記で詳述されたグリッパユニットのいずれかと動作が同様とすることができる。例えば、グリッパユニットは、真空によって前進面に選択的に取り付け可能であるように構成されることができる。先の例と同様に、現在説明しているグリッパユニットは、前進面に選択的に取り付けられるように構成された把持部と、軌道に摺動可能に取り付けられるように構成された取り付け部とを有する。特に、把持部は、前進面に選択的に固定可能である把持面を有し、軌道への取り付け部の摺動可能な取り付けは、その把持面が壁に固定されるとき、可動アセンブリの前進中に、軌道が把持ユニットに対して移動することを可能にする。把持面は、把持部が前進面に固定されたときに前進面と一致する把持平面を画定する。可動アセンブリは、軌道に沿って延在する、例えば、可動アセンブリが前進面上を前進する方向に延在する長手方向軸と、長手方向軸に垂直であり、可動アセンブリを横断して延在する横方向軸とを有する。長手方向軸及び横方向軸は、把持面が前進面に固定されたときに把持平面に平行になるように画定される。一般に、取り付け部は、軌道に摺動可能に取り付けられるように構成され、可動アセンブリが、上記の例のいずれかにおいて上述したような方法で前進面に沿って移動することを可能にする。
【0195】
取り付け部は、軌道の上向き摺動面に摺動係合し、それによって、長手方向軸及び/又は横方向軸が水平線に対して鋭角に配向されるとき、すなわち、可動アセンブリが、地面に向かって角度を付けられた窓、又は傾斜/非勾配天井等の下向き斜面を登るとき、可動アセンブリを支持するように構成される、上部摺動構成を有する。取り付け部は、当該軌道の当該下向き面に摺動係合するように構成された下部摺動構成を更に有し、それによって、当該軸の少なくとも1つが水平線に対して鈍角に配向されるとき、すなわち、可動アセンブリが、地面から離れて面する傾斜した/傾斜していない窓又は壁などの上向き斜面、例えば、丘又は下り坂を登るとき、当該可動アセンブリを支持する。取り付け部は、更に、当該横方向軸が水平に対してある角度で配向されるとき、すなわち、可動アセンブリがサイドスロープに沿って前進し、その一方の側が地面に面し、他方の側が地面から離れて面するとき、当該可動アセンブリを支持するように、当該横向き面に摺動係合するように構成された少なくとも1つの側部摺動構成を有する。
【0196】
本出願の理解のために、水平線は、地球と空が交わるように見える仮想水平線として理解されるべきである。更に、本出願の目的のために、水平線は、長手方向軸又は横方向軸のいずれか1つと水平線との間の角度が参照されるとき、長手方向軸又は横方向軸と同じ垂直面内にあるものとして理解されるべきである。例えば、地平線と長手方向軸との間の角度を理解するために、地平線は、長手方向軸の垂直面と同じ垂直面内にあるか、又はその面内にあり実際の地平線に平行な仮想水平線として理解されるべきである。地平線と横方向軸との間の角度を理解するために、地平線は、横方向軸と同じ垂直平面内にあるか、又はその平面内にあり実際の地平線に平行な仮想水平線として理解されるべきである。
【0197】
本出願の理解の目的のために、角度は、鋭角であろうと鈍角であろうと、前進面と反対の方向から見られる、すなわち、前進面をその中に含まないと理解されるべきである。例えば、2つの軸のいずれかと水平線との間の角度は、前進面がそれぞれの軸と水平線との間に位置しないように考慮されるべきである。換言すれば、角度は、軸から前進面の方向と反対の方向に軸に対して位置決めされた点から見たものと考慮される。
【0198】
図6A~
図6Hは、軌道1020及びグリッパユニット1030を有する、概して1000として示されるそのような可動アセンブリを示している。可動アセンブリ1000は、上記で詳述した可動キャタピラアセンブリと同様に複数のグリッパユニットを有するが、簡略化のためにここでは1つのグリッパユニットのみが示されている。可動アセンブリ1000は、2つのそのような可動アセンブリからなるキャタピラ装置の一部を構成することができ、上記で詳述したのと同様に、上記で詳述した移動システムのうちのいずれか1つの移動システムの動作と同様の移動システムを有することができる。その理由のために、また本出願を簡潔にするために、アセンブリ1000の移動システムは、
図6A~
図6Hに示されていない。
【0199】
可動アセンブリ1000は、概してASとして指定される非水平前進面に沿って移動するように構成されている。軌道1020の上向き摺動面は1020Aで示され、下向き摺動面は1020Bで示され、横向き摺動面は1020Cで示されている。本例では、全ての表面が円形であり、したがって軌道1020全体に沿って円形に延在することを理解されたい。可動アセンブリ1000の長手方向軸及び横方向軸は、それぞれLGA及びLTAとして指定されている。
【0200】
グリッパユニット1030は、1032として指定される把持部と、1034として指定される取り付け部とを有する。把持部1032は、前進面ASに選択的に固定可能であるように構成され、把持面1035が前進面ASに固定されたときに前進面ASと一致する把持平面GPを画定する把持面1035を有する。長手方向軸LGA及び横方向軸LTAは、把持面が前進面ASに固定されているときの把持面の位置において、把持平面GPが可動アセンブリ1000の長手方向軸LGA及び横方向軸LTAに平行であるように画定される。
【0201】
取り付け部1034は、その摺動面1020A、1020B、1020Cにおいて軌道1020に摺動可能に取り付けられる。移動システムの例に関して上記で詳細に説明したように、取り付け部1034は、軌道1020及びグリッパユニット1030が互いに沿って且つ互いに対して摺動することを可能にする。
図6Cに最もよく見られるように、取り付け部は、軌道1020の上向き摺動面1020Aに摺動係合するように構成された上部摺動構成1034Aと、軌道1020の下向き摺動面1020Bに摺動係合するように構成された下部摺動構成1034Bと、横向き摺動面に摺動係合するように構成された側部摺動構成1034Cとを有する。図示の例では、摺動構成は、軌道1020に対して回転するように構成されたローラである。他の例では、摺動構成は、単に滑らかな表面同士のスリング、ボール構成、磁気的に活性化された表面などの異なる構造として実現されることができる。
【0202】
可動アセンブリ1000が、可動アセンブリ1000の長手方向軸LGA及び/又は横方向軸LTAが水平線に対して鋭角に配向されるように傾斜している前進面AS上を移動しているとき、上部摺動構成1034Aは、アセンブリ100の上向き摺動面1020Aとの支持係合を介してアセンブリ100を摺動可能に支持する。
図6Dは、長手方向軸LGAが水平線Hに対して鋭角AAに配向される配向における可動アセンブリ1000を示す。可動アセンブリ1000のこの配向において、上向き摺動面1020Aは、上部摺動構成1034Aによって支持され、軌道1020が移動システム(図示せず)によって前進させられ、グリッパユニット1030が前進面ASに取り付けられている、すなわち固定されているときに、それに沿って摺動移動することができる。
【0203】
可動アセンブリ1000が、可動アセンブリ1000の長手方向軸LGA及び/又は横方向軸LTAが水平線に対して鈍角に配向されるように傾斜している前進面AS上を移動しているとき、下部摺動構成1034Bは、その下向き摺動面1020Bとの支持係合を介してアセンブリ1000を摺動可能に支持する。
図6Eは、長手方向軸LGAが水平線Hに対して鈍角OAに配向される配向における可動アセンブリ1000を示している。可動アセンブリ1000のこの配向では、下向き摺動面1020Bは、下部摺動構成1034Bによって支持され、軌道1020が移動システム(図示せず)によって前進させられ、グリッパユニット1030が前進面ASに取り付けられているときに、それに沿って摺動移動することができる。
【0204】
可動アセンブリ1000が前進面AS上を移動しているとき、前進面ASが傾斜しているとき、可動アセンブリ1000の横方向軸LTAは、水平線に対してある角度で配向される。そのような位置では、側部摺動構成1034Cは、横向き摺動面1020Cとの支持係合を介して、アセンブリ1000を摺動可能に支持する。
図6Fは、横方向軸LTAが水平線Hに対して角度Aで配向される配向における可動アセンブリ1000を示している。可動アセンブリ1000は、2つのそのようなアセンブリを有するキャタピラ装置の一部を構成することができ、各々が、可動アセンブリの傾斜に応じてそれぞれの横向き摺動面を支持するためのそのような側部摺動構成を有することが、本明細書において理解されるべきである。いくつかの例では、側部摺動構成は、軌道の幅の中心に位置決めされることができ、横方向軸が水平線に対して傾斜しているときに可動アセンブリを2つの方向に支持するように構成されることができる。図示の例では、側部摺動構成1034Cは、上部摺動構成1034Aと下部摺動構成1034Bとの間に横方向に配置される。
【0205】
可動アセンブリは、1つの上部摺動構成、1つの下部摺動構成、及び1つの側部摺動構成のみを有することができるが、図示された例は、それらの各々について対を示す。例えば、
図6Gで最もよく分かるように、軌道1020は、別の横向き面1020C’を有し、取り付け部1034は、対応する別の側部摺動構成1034C’を有する。したがって、取り付け部1034は、軌道1020の両側に配置され、軌道1020の2つの横向き摺動面1020C及び1020C’にそれぞれ摺動係合するように構成された2つの側部摺動構成1034C及び1034C’を有する。更に、軌道1020は、別の上向き摺動面1020A’を有し、取り付け部1034は、対応する別の上部摺動構成1034A’を有する。したがって、取り付け部1034は、2つの上向き摺動面1020A及び1020A’にそれぞれ摺動係合するために軌道1020の両側に配置されるように構成された2つの上部摺動構成1034A及び1034A’を有する。更に、軌道1020は、別の下向き摺動面1020B’を有し、取り付け部1034は、対応する別の下部摺動構成1034B’を有する。したがって、取り付け部1034は、軌道1020の両側に配置されて、2つの下向き摺動面1020B及び1020B’にそれぞれ摺動係合するように構成された2つの下部摺動構成1034B及び1034B’を有する。
【0206】
そのような構成は、軌道1020がグリッパユニットの摺動構成によって支持されるとき、軌道1020に安定性を提供するように構成され、摺動構成間の負荷平衡を、その設計の各々に提供するように構成される。
【0207】
更に、各摺動構成は、それぞれの表面上に連続して配置された複数のローラ、すなわち2つのローラを含む。そのような構成は、上述したように、軌道1020の安定性、及びローラ間の負荷平衡に更に寄与する。
【0208】
2つ以上の連続して配置されたローラの配置は、特定の条件下で、例えば、軌道が鋭い角を含まないときに適用されることもできることを理解されたい。
【0209】
図示の例では、2つの下向き摺動面は、位置インジケータ1025によって分割された単一の連続面の2つの部分であり、この位置インジケータは、本明細書において上記で詳述した位置インジケータと構造及び動作が同じである。いくつかの例では、上向き摺動面は、軌道の単一の表面の一部とすることができ、及び/又は下向き摺動面は、別個の表面とすることができる。
【0210】
取り付け部1034は、支持構造1040を有し、上部摺動構成1034A及び下部摺動構成1034Bは、支持構造1040上に配置される。側部摺動構成1034Cはまた、摺動構成1034A、1034B、及び1034Cの各々及び全てを保持する支持構造1040上に配置され、摺動構成が可動アセンブリを支持するのに十分な構造的完全性を提供する。摺動構成は、支持構造1040上に固定的に配置される。図示の例では、摺動構成は、ローラであり、支持構造1040上に固定的に配置されている間、軌道1020のそれぞれの表面上を転動するように構成されている。
【0211】
取り付け部1034は、支持要素1044を更に含み、いくつかの例では、支持要素は、単一の支持要素とすることができる。支持要素1044は、その第1の端部1044Aにおいて把持部1032に接続され、支持構造1040に取り付けられて、摺動構成から、特に側部摺動構成1034Cから把持部1032への負荷力の伝達を可能にする。この力の伝達は、グリッパユニットが、前進面ASに取り付けられたとき、可動アセンブリ1000を支持することを可能にする。支持要素1044はまた、把持部1032と共に支持構造1040に対して摺動することができ、その結果、把持部1032は、下向き摺動面1020Bによって画定される軌道1020に沿って、下部摺動構成1034Bのための、したがってグリッパユニット1030のための摺動経路に垂直な方向に、支持構造1040に対して移動可能である。実際には、把持部1032は、支持構造に対して、すなわち下向き摺動面に対して接近及び離間するように構成されている。
【0212】
取り付け部1034は、補助摺動構成1034Dを更に含み、これは、図示された例では、2つのそのような構成1034D及び1034D’を含む。他の例では、単一の補助摺動構成1034Dがあることができる。軌道1020は、下向き摺動面1020Bから様々な距離だけ離間した補助摺動面1020Dを有する。例えば、
図6Gに示すように、補助摺動面1020Dと下向き摺動面1020Bとの間の距離は、軌道1020に沿った第1の位置ではDであり、軌道1020に沿った第2の位置ではDよりも小さいD’である。補助摺動構成1034Dは、補助摺動面1020Bに沿って摺動し、したがって、補助摺動面1020Dと下向き摺動面1020Bとの間の距離が変化することによって、下部摺動構成1034Bに対して移動する。補助摺動構成1034Dは、支持要素1044の第2の端部1044Bに接続され、したがって、補助摺動構成1034Dが補助摺動面1020Dに沿って摺動するとき、すなわち、グリッパユニット1030及び軌道1020が互いに対して摺動移動するとき、下向き摺動面1034Bに対してそれに沿って把持部1032を移動させる。例えば、
図6Hは、補助摺動面1020Dと下向き摺動面1020Bとの間の距離が減少するとき、把持部1032が下向き摺動面1020Bから更に遠くに移動することを示している。下部摺動構成から最大距離までの把持部1032の配置は、グリッパユニットの付勢部材によって引き起こされる。
【0213】
グリッパユニットは、把持部1032と下部摺動構成1034Bとの間に配置され、把持部1032を下部摺動構成1034Bから離れるように付勢するように構成された付勢部材1048を有する。支持要素1044を介して把持部1032に接続されている補助摺動構成1034Dは、付勢部材1048によって、補助摺動面1020Dと緊密に係合するように付勢される。したがって、グリッパユニット1030と軌道1020との相対的な摺動運動、及び補助摺動構成1034Dと補助摺動面1020Dとの間の緊密な係合は、補助摺動構成1034Dを補助摺動面1020Bの曲率に追従させ、その結果、把持部1032を補助摺動面1020Bの曲率に従って取り付け部1034に対して移動させる。
【0214】
図7A~
図7Eは、本開示の主題の例に係るキャタピラアセンブリ1100を示している。キャタピラアセンブリは、非水平前進面上を移動するように構成され、第1の摺動面と、軌道の長さに沿って変化する距離まで第1の摺動面から離間された第2の摺動面とを有する軌道を備える。非水平前進面は、建築物の外面、その窓などとすることができる。キャタピラアセンブリは、更に、軌道に摺動可能に取り付けられ、それに沿って移動して前進面上での当該キャタピラアセンブリの前進を容易にするように構成された複数のユニットを有する。ユニットの各々は、第1の摺動面と摺動係合する第1の摺動構成と、第2の摺動面と摺動係合する第2の摺動構成とを備える取り付け部を有する。ユニットは、前進面に係合するように構成された係合部を更に含む。係合面は、第2の摺動構成に動作可能に接続され、第1の摺動面と第2の摺動表面との間の距離の変動に応答して、そのそれぞれのユニットが軌道に沿って移動するとき、取り付け部に対して移動可能である。
【0215】
図示の例では、キャタピラアセンブリ、軌道、及びユニットは、それぞれ可動アセンブリ1000、軌道1020、及びグリッパユニット1030と同じものとして示されており、同じ方法で動作することができるが、キャタピラアセンブリ、軌道、及びユニットは、以下に詳述する方法で動作するように、異なる方法及び異なる構造で実現されることができることを理解されたい。
【0216】
図7A~
図7Eに見られるように、キャタピラアセンブリは、1100として指定され、軌道及びユニットは、それぞれ1120及び1130として指定されている。軌道1120の第1の摺動面1120Aは、軌道1020の下向き摺動面1020Bと同じであり、軌道1120の第2の摺動面1120Bは、軌道1020の補助摺動面1020Dと同じである。他の例では、上向き又は横向き摺動面は、下向き摺動面の代わりに、又は下向き摺動面に加えて、第1の摺動面としての役割を果たすことができる。
【0217】
軌道1120は、軌道1120を上側部分1121と下側部分1122とに分割する中心基準平面CRPを有する。本出願を理解する目的のために、軌道の下側部分は、キャタピラアセンブリの動作中に前進面の近位にある部分であり、上側部分は、動作中に前進面から遠位にある部分である。軌道1120は、中心基準平面CRPに垂直であり、軌道1120を軌道1120の長さに沿って2つの部分、すなわち後部及び前部に対称的に分割する中心交差平面CCPを有する。本開示の主題の他の例では、軌道は、平面化されたCCP及びCRPのいずれかに対して非対称とすることができる。軌道1120は、2つのフリップ領域1123及び1124において中心基準平面CRPと交差し、各ユニット1130は、軌道1120に沿ったユニット1130の移動中に、軌道の下側部分1122から上側部分1121へ、及びその逆に、平面CRPと交差する。
【0218】
ユニット1130の係合部及び取り付け部は、それぞれ1132及び1134として指定されている。係合部1132は、キャタピラアセンブリ1100の動作中に前進面(図示せず)と係合可能である係合面1135を有し、前進面との係合中に前進面と一致する係合平面EPを画定する。係合平面EPは、当該係合中、軌道1120の中心基準平面CRPにほぼ平行である。
【0219】
取り付け部1134は、1134Aとして指定され、図示された例では可動アセンブリ1000の下部摺動構成1034Bと同じである第1の摺動構成と、1134Bとして指定され、図示された例では可動アセンブリ1000の補助摺動構成1034Dと同じである第2の摺動構成とを有する。いくつかの例では、上部又は側部摺動構成は、第1の摺動構成1134Aとして機能することもできる。第1の摺動構成1134Aは、第1の摺動面1120Aと摺動係合して示されており、それに沿って移動するように構成されている。同様に、第2の摺動構成1134Bは、第2の摺動面1120Bと摺動係合して示されており、それに沿って移動するように構成されている。係合部1132は、任意にアセンブリ1000の把持部に関して説明したように、第2の摺動構成1134Bに動作可能に接続され、第2の摺動構成が第2の摺動面1120Bに沿って移動すると、係合部1132は、軌道の長さに沿った第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の距離の変動に応答して取り付け部1134に対して移動する。
【0220】
図7A~
図7Eに見られるように、第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の距離は、軌道の長さに沿って変化する。例えば、軌道1120の下側部分1122上の第1の位置1126、すなわち
図7Bのユニット1130の位置において、第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の距離はD3である。第1の位置1126は、中心交差平面CCPに対してフリップ領域1123の近位にある。軌道1120の下側部分1122上の第2の位置1127、すなわち
図7Cのユニット1130の位置では、第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の距離はD4である。図示された例では、第2の位置1127は、第1の位置1126よりもフリップ領域1123から遠く、又は中心交差平面CCPに近く、D4はD3よりも小さい。
図7A~
図7Eに見られるように、軌道1120の第1の位置1126から第2の位置1127へと、第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の距離は徐々に減少する。
【0221】
図示の例では、取り付け部1134は、支持構造1140を有し、第1の摺動構成1134Aは、支持構造1140に固定的に接続される。更に、取り付け部1134は、係合部1132に接続された第1の端部1144Aと、第2の摺動構成1134Bに接続された第2の端部1144Bとを有する支持要素1144を有する。支持要素1144は、支持構造1140に摺動可能に取り付けられる。ユニット1130は、付勢部材1148が係合部1132を第1の摺動構成1134Aから離れるように付勢するように、係合部1132と第1の摺動構成1134Aとの間に配置された付勢部材1148を更に含む。したがって、付勢部材1148は、第2の摺動構成1134Bを第2の摺動面1120Bと緊密に係合した状態に保ち、ユニット1130が軌道1120に沿って移動するとき、第2の摺動構成1134Bは、第2の摺動面1120Bの輪郭/曲率に従う。支持要素1144が支持構造1140に摺動可能に取り付けられているので、第2の摺動面1120B上を摺動する第2の摺動構成1134Bは、係合部1132を取り付け部1134に対して移動させ、その結果、第1の摺動構成1134A及び第1の摺動面1120Aに対して、換言すれば軌道1120に対して移動させる。したがって、係合部1132と軌道1120との間の距離は、第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の変化する距離に応じて変化する。
【0222】
第1の摺動面1120Aは、下側部分1122において、中心交差平面CCPと交差する平面部1120A’と、各フリップ領域1123及び1124に隣接する傾斜部1120A’’とを有する。軌道1120の第1の位置1126は、傾斜部1120A’’に配置され、軌道1120の第2の位置1127は、平面部1120A’に配置される。図示の例では、第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の距離は、傾斜部1120A’’の全体にわたって一定のままである。
【0223】
軌道1120の下側部分1122上の第3の位置1128、すなわち
図7Dのユニット1130の位置では、第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の距離はD5である。図示の例では、第3の位置1128は、平面部1120A’に配置され、第1の摺動面1120Aの当該傾斜部1120A’’に隣接する。距離D5は、距離D4よりも大きく、距離D3よりも小さい。いくつかの例では、距離D5は、距離D3と等しくすることができる。
【0224】
軌道1120の下側部分1122上の第4の位置1129(
図7Eのユニット1130の位置)において、第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の距離はD6である。図示の例では、第4の位置1129は、平面部1120A’に配置され、第2の位置1127よりも中心交差平面CCPの近くに配置される。距離D6は、距離D4よりも大きく、距離D3よりも小さい。いくつかの例では、距離D5は、距離D3と等しくすることができる。
【0225】
キャタピラアセンブリ1100の動作中、すなわち、軌道に沿った時計回り方向へのユニット130の移動中、ユニット1130がフリップ領域1123を横切り、第1の位置1126に到達するとき、ユニット1130は、第1の摺動面1120Aと第2の摺動面1120Bとの間の大きな距離D1によって軌道1120に近接したままであり、それによって、前進面上に存在し得る任意の障害物を通過する。ユニット1130は、係合面1135が前進面(図示せず)に平行になる第2の位置1127に到達するまで軌道1120に近接したままである。これは、ユニット1130が軌道1120から離れている場合(第2の位置1127にある場合)、係合面1135(又は少なくともその角部)が、ユニット1130の傾斜部1020A’’から平面部1120A’への移行中に前進面に当たる可能性があるため、重要である。距離の変化は、キャタピラアセンブリ1100の動作中に、軌道1120に沿ったユニット1130の滑らかな移動を可能にする。
【0226】
ユニット1130が第2の位置1127に到達すると、係合部1132は、距離D1よりも小さい距離D2によって軌道1120から更に移動し、係合面1135は、付勢部材の付勢力によって前進面を押す。図示の例では、ユニット1130は、グリッパユニットであり、第2の位置1127に到達すると前進面を把持する。そのような打撃は、真空が印加される前に前進面との堅固な係合に寄与することができる。上述したように、移動システムに関して、軌道1120は、固定ユニット1130に対して移動される。軌道1120が移動し、ユニット1130が第4の位置に到達すると、距離D4よりも大きい距離D6は、軌道を係合部1132に対して係合部1132に向かって移動させ、それによって軌道1120、したがってキャタピラアセンブリ1100全体が前進面により近くなり、それによって、前進面に対するキャタピラアセンブリ1100のより多くの安定性を提供する。
【0227】
キャタピラアセンブリ1100は、単一のユニット1130を参照して上述されているが、2つ以上のユニットが存在し、説明がそれらの各々に適用されることが理解されるべきである。また、説明は、一方のフリップ領域1123及び軌道1120の下側部分1122のそれぞれの位置を詳細に参照し、説明は、他方のフリップ領域1124及びそのそれぞれの第1、第2、第3、及び第4の位置に同様に適用される。
【国際調査報告】