(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】クイックリリースのフレーム及びヘッドギアを備えるマスク
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533862
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2021086044
(87)【国際公開番号】W WO2022136076
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ハイバッヒ リヒャルト トマス
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュース デリック ブレイク
(57)【要約】
呼吸ガス流を患者の気道に伝達するためのマスクであり、マスクは、フェースプレート及びクッションを持つ患者インターフェースを含む。クッションは、フェースプレートに結合される第1の端部と、患者の1つ以上の気道の周りで患者の顔の一部と密封係合するための反対側の第2の端部とを持つ。フレームは、第1の結合機構を介して患者インターフェースに結合される第1の端部及びヘッドギアに結合可能な反対側の第2の端部を持つ第1のアーム部材と、第2の結合機構を介して患者インターフェースに選択的に結合される第1の端部及びヘッドギアに結合可能な反対側の第2の端部を持つ第2のアーム部材とを有する。第2の結合機構は、結合を解くために、第1の結合機構よりも小さい結合解除力を必要とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の気道に呼吸ガス流を伝達する際に使用するための、ヘッドギアを用いて患者の頭部に結合されるように構成されるマスクであって、前記マスクは、
(a)フェースプレート、及び
前記フェースプレートに結合される第1の端部と、前記患者の1つ以上の気道の周りで前記患者の顔の一部に密封係合するように構成される反対側の第2の端部とを持つクッション
を含む患者インターフェース、並びに
(b)第1の結合機構を介して前記患者インターフェースに結合される第1の端部と、前記ヘッドギアに結合されるように構成される反対側の第2の端部とを持つ第1のアーム部材、及び
第2の結合機構を介して前記患者インターフェースに選択的に結合される第1の端部と、前記ヘッドギアに結合されるように構成される反対側の第2の端部とを持つ第2のアーム部材
を含むフレーム
を有し、前記第2の結合機構は、結合を解くために、前記第1の結合機構よりもより小さい結合解除力を必要とする、マスク。
【請求項2】
前記第1のアーム部材の前記第1の端部は、前記患者インターフェースの前記フェースプレートに結合され、前記第2のアーム部材の前記第1の端部は、前記患者インターフェースの前記フェースプレートに結合される、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記第1の結合機構は、前記第1のアーム部材の前記第1の端部が前記フェースプレートに選択的に結合されるようにする、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記クッションの前記第1の端部と前記フェースプレートとは、オーバーモールドによって結合される、請求項1に記載のマスク。
【請求項5】
前記第1の結合機構は、
前記フェースプレートから中心軸に沿って外側に延在するポスト部材、及び
前記ポスト部材を収容するように対応して形成される、前記第1のアーム部材の前記第1の端部に画定される開口
を有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項6】
前記ポスト部材は、前記ポスト部材を前記開口内で拘束するために、前記開口の対応する第2の特徴と相互作用する第1の特徴を含む、請求項5に記載のマスク。
【請求項7】
前記第1の特徴は、フレア領域を有し、前記第2の特徴は、前記開口内に画定される凹部である、請求項6に記載のマスク。
【請求項8】
前記中心軸に沿って見たとき、前記ポスト部材は、細長い断面を持つ、請求項7に記載のマスク。
【請求項9】
前記第2の結合機構は、
前記第2のアーム部材の前記第1の端部から延在するリッジ、及び
前記リッジを収容するように構成される、前記フェースプレートに画定される溝
を有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項10】
前記溝は、
第1のセグメント、
前記第1のセグメントに概ね平行に延在する第2のセグメント、並びに
前記第1のセグメントと前記第2のセグメントとの間にあり、前記第1及び第2のセグメントに概ね垂直に延在する第3のセグメント
を有する複数のセグメントを含み、
前記リッジは、
第1のセグメント、
前記リッジの前記第1のセグメントに概ね平行に延在する第2のセグメント、並びに
前記リッジの前記第1のセグメントと前記リッジの前記第2のセグメントとの間にあり、前記リッジの前記第1及び第2のセグメントに概ね垂直に延在する第3のセグメント
を有する複数のセグメントを含み、
前記リッジの前記第1、第2及び第3のセグメントは、前記溝の前記第1、第2及び第3のセグメントに対応して係合するようにサイズ決定及び位置決められる、請求項9に記載のマスク。
【請求項11】
前記リッジは、前記溝の一部に係合する機械的フックを有する、請求項9に記載のマスク。
【請求項12】
前記機械的フックは、前記リッジが前記溝内に配置されるとき、前記溝の協働する傾斜面に係合する内向き傾斜面を有する、請求項11に記載のマスク。
【請求項13】
前記機械的フックは、前記溝内に延在する突起部の周りで留まる外側に延在する凹部に隣接して配置され、前記凹部によって一部が画定される内側に延在する突起部を有する、請求項11に記載のマスク。
【請求項14】
前記第2の結合機構は、前記フェースプレート内に位置決められる第1の磁気要素、及び前記第2のアーム部材内に対応して位置決められる第2の磁気要素をさらに有し、前記リッジが前記溝内に配置されるとき、前記第1の磁気要素及び前記第2の磁気要素は、互いに隣接して位置決められ、互いに向かって引き付けられる、請求項9に記載のマスク。
【請求項15】
フェースプレート、及び
前記フェースプレートに結合される第1の端部と、前記患者の1つ以上の気道の周りで前記患者の顔の一部に密封係合するように構成される反対側の第2の端部とを持つクッション
を有する患者インターフェースにおいて、
前記フェースプレートは、第1の結合機構を介してフレームの第1のアーム部材に結合されるように構成され、
前記フェースプレートは、第2の結合機構を介して前記フレームの第2のアーム部材に結合されるように構成され、及び
前記第2の結合機構は、結合を解くために、前記第1の結合機構よりも小さい結合解除力を必要とする、
患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国特許法第119条の下、2020年12月21日に出願された米国仮特許出願第63/128,357号の優先権を主張し、その内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般に、患者の気道に呼吸ガス流を伝達する際に使用するマスクに関する。本発明はさらに、そのようなマスクに使用するための患者インターフェース装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
患者の気道に呼吸ガス流を非侵襲的に送出する、すなわち、患者に挿管することなく、若しくは患者の食道に気管チューブを外科的に差し込むことなく送出することが必要である又は望ましい状況が多くある。例えば、非侵襲的換気(NIV)として知られる技術を用いて患者を換気することが知られている。例えば、睡眠時無呼吸症候群、特に、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)又はうっ血性心不全(CHF)のような内科的疾患を治療するために、患者の呼吸サイクルと共に変化する持続的気道陽圧(CPAP)又は可変気道圧力を伝達することも知られている。
【0004】
非侵襲的換気及び圧力支持療法は、呼吸ガス流が圧力/流れ発生装置から患者の気道に送達されるように、通例では鼻又は鼻/口マスクである患者インターフェース装置を患者の顔に配置し、換気装置又は圧力支持システムを患者の気道と接続することを含む。
【0005】
典型的には、患者インターフェース装置は、患者の表面に接触するマスクシェル又はこのマスクシェルに取り付けられるクッションを持つフレームを含む。マスクシェル及びクッションは、患者の頭部に巻き付けられるヘッドギアによって所定の位置に保持される。マスク及びヘッドギアは、患者インターフェース組立体を形成する。典型的なヘッドギアは、マスクを患者に取り付けるために、このマスクから延在するフレキシブルで調整可能なストラップを含む。
【0006】
そのようなマスクは、通例、長期にわたり着用されるので、様々な懸念が考慮されなければならない。例えば、OSAを治療するためにCPAPを提供する場合、患者は、通常、自分が眠っている間、患者インターフェース装置を一晩中装着している。そのような状況における1つの懸念は、患者インターフェース装置ができるだけ快適であることであり、そうでなければ、患者は、インターフェース装置を装着するのを避け、処方される圧力支持療法の目的を無効にすることである。患者が処方通りに前記装置を利用する可能性がより高くなるように、インターフェース装置は、患者に取り付ける及び患者から取り外すのが簡単であることも重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様として、患者の気道に呼吸ガス流を伝達する際に使用するための、ヘッドギアを用いて患者の頭部に結合されるように構成されるマスクが提供される。マスクは、フェースプレート、並びに前記フェースプレートに結合される第1の端部、及び患者の1つ以上の気道の周りで患者の顔の一部と密封係合するように構成される反対側の第2の端部を持つクッションを含む患者インターフェースを有する。このマスクは、第1の結合機構を介して患者インターフェースに結合される第1の端部、及びヘッドギアに結合されるように構成される反対側の第2の端部を持つ第1のアーム部材、並びに第2の結合機構を介して患者インターフェースに選択的に結合される第1の端部、及びヘッドギアに結合されるように構成される反対側の第2の端部を持つ第2のアーム部材を含むフレームも有し、前記第2の結合機構は、結合を解くために、第1の結合機構よりもより小さい結合解除力を必要とする。
【0008】
第1のフレーム部材は、患者インターフェースのフェースプレートに結合されてもよく、第2のフレーム部材の第1の端部は、患者インターフェースのフェースプレートに結合されてもよい。
【0009】
第1の結合機構は、第1のアーム部材の第1の端部がフェースプレートに選択的に結合されるようにすることができる。
【0010】
クッションの第1の端部とフェースプレートとは、オーバーモールドによって結合されてもよい。
【0011】
第1の結合機構は、フェースプレートから中心軸に沿って外側に延在するポスト部材、及びこのポスト部材を収容するように対応して形成される、第1のアーム部材の第1の端部に画定される開口を有する。
【0012】
前記ポスト部材は、このポスト部材を前記開口内に拘束するために、前記開口の対応する第2の特徴と相互作用する第1の特徴を含むことができる。
【0013】
第1の特徴は、フレア領域を構成してもよく、第2の特徴は、前記開口内に画定される凹部でもよい。
【0014】
中心軸に沿って見るとき、ポスト部材は、細長い断面を持つことができる。
【0015】
第2の結合機構は、第2のアーム部材の第1の端部から延在するリッジ、及びこのリッジを中に収容するように構成される、フェースプレート内に画定される溝を有してもよい。
【0016】
前記溝は、第1のセグメント、この第1のセグメントに概ね平行に延在する第2のセグメント、及び第1のセグメントと第2のセグメントとの間にあり、これらセグメントに概ね垂直に延在する第3のセグメントを含む、複数のセグメントを含み、前記リッジは、第1のセグメント、前記リッジの第1のセグメントに概ね平行に延在する第2のセグメント、前記リッジの第1のセグメントと前記リッジの第2のセグメントとの間にあり、及び前記リッジのこれらセグメントに概ね垂直に延在する第3のセグメントを含む、複数のセグメントを含み、前記リッジの第1のセグメント、第2のセグメント及び第3のセグメントは、前記溝の第1のセグメント、第2のセグメント及び第3のセグメントに対応して係合するようにサイズ決定及び位置決められる。
【0017】
前記リッジは、前記溝の一部に係合する機械的フックを有することができる。
【0018】
この機械的フックは、前記リッジが前記溝内に配置されるとき、前記溝の協働する傾斜面と係合する内向き傾斜面を有することができる。
【0019】
前記機械的フックは、前記溝内に延在する突起部の周りで留まる外側に延在する凹部に隣接して配置され、その凹部によって一部が画定される側に延在する突起部を有することができる。
【0020】
第2の結合機構は、第1の磁気要素及び第2の磁気要素が互いに隣接して位置決められ、互いに向かって引き付けられ、それによりリッジが溝内に配置されるような、フェースプレート内に位置決められる第1の磁気要素子、及び第2のアーム部材内に対応して位置決められる第2の磁気要素をさらに有する。
【0021】
本発明の別の態様として、患者インターフェースは、フェースプレート、並びに前記フェースプレートに結合される第1の端部及び患者の1つ以上の気道の周りで患者の顔の一部に密封係合するように構成される反対側の第2の端部を持つクッションを有し、前記フェースプレートは、第1の結合機構を介してフレームの第1のアーム部材に結合されるように構成され、前記フェースプレートは、第2の結合機構を介してフレームの第2のアーム部材に結合されるように構成され、及び前記第2の結合機構は、結合を解くために、第1の結合機構よりもより小さい結合解除力を必要とする。
【0022】
構成物の関連する要素の動作方法及び機能、並びに製造部品と製造の経済性との組み合わせと同じく、本開示のこれら及び他の目的、特徴並びに特性は、付随する図面を参照して、以下の説明及び添付の請求項を考慮するとより明白となり、これらの全てが本明細書を形成している。様々な図面において、同様の参照番号は対応する部品を示している。しかしながら、これら図面は単に例証及び説明を目的とするものであり、本発明の境界を規定するものとは意図されないことは明白に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、患者に呼吸療法のレジメンを施すように適応したシステムの部分概略図であり、患者の頭部に配置して示される本発明の原理による例示的なマスクの正面図を含む。
【
図2】
図2は、患者の頭部に配置して示されるマスクの側面図を含む、
図1のシステムの部分概略図である。
【
図3】
図3は、患者の頭部に配置して示されるマスクの別の側面図を含む、
図1のシステムの部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
明細書において、特に文脈上はっきりと述べていない限り、複数あると述べていなくても、それらが複数あることを含む。明細書において、2つ以上の部品又は構成要素が“結合される”と述べることは、連結している限り、これらの部品が直接的又は間接的に、すなわち1つ以上の中間部品若しくは構成要素を介しての何れかにより接合される又は共に動作することを意味する。明細書において、“直接結合される”は、2つの要素が互いに直に接して結合される(すなわち接触している)ことを意味する。明細書において、“固定して結合される”又は“固定される”は、2つの構成要素が互いに対し一定の方位を保ちつつ、1つとして移動するように結合されることを意味する。明細書において、“選択的に結合される”は、2つの要素が、如何なる特別な工具も必要とせず、及びこれら要素の何れにも損傷を与えることなく、結合が解かれる及び再び結合され得るように結合されることを意味する。明細書において、“永久的に結合される”は、2つの要素が、これら要素の一方又は両方に損傷を与えることなく、及び/又はさらなる材料を使用しなければこれら要素が元のように再結合することができないように配列を変更することなく結合を解くことができないことを意味する。例えば、接着される、溶接される又は他の方法で結合される要素は、“永久的に結合される”要素の例である。
【0025】
明細書において、“ユニタリ(unitary)”という言葉は、構成要素が単一ピース又は単一ユニットとして作られることを意味している。すなわち、別々に作られ、その後一体として結合される部品を含んでいる構成要素は、“ユニタリ”な構成要素又は本体ではない。明細書において、2つ以上の部品又は構成要素が互いに“係合する”という表現は、これらの部品が直接的又は1つ以上の中間部品又は構成要素を介しての何れかによって、互いに力を及ぼし合っていることを意味するものとする。明細書において、“数字”の用語は、1つ又は1つより大きい整数(すなわち、複数)を意味し、特に文脈上はっきりと述べていない限り、複数あることを述べなくても、それらが複数あることも含む。
【0026】
明細書における方向の表現、例えば、例であり限定ではないが、頂部、底部、左、右、上方、下方、前方、後方及びそれらの派生語は、図面に示される要素の向きに関連し、特に明瞭に言わない限り、請求項を制限しない。
【0027】
患者に呼吸療法のレジメンを施すように適応するシステム10が、
図1~
図3に一般的に示され、患者(番号なし)の頭部に位置決められている。システム10は、(概略的に示される)圧力発生装置12、ヘッドギア16を用いて患者(番号なし)の頭部に配置され、患者に固定されて示されるマスク14、及び圧力発生装置12とマスク14との間に結合される(一部が概略的に示される)患者回路18を含む。圧力発生装置12は、呼吸ガス流を発生させるように構成され、限定をしないが、換気装置、定圧支持装置(例えば、持続的気道陽圧装置、すなわちCPAP装置)、可変圧装置(例えば、ペンシルベニア州マリスビルのフィリップス・レスピロニクスによって製造及び配布されるBIPAP、Bi-Flex又はC-Flex装置)及び自動滴定圧支持装置を含むことができる。従って、ヘッドギア16は、これら図面に示される例示的なヘッドギア16のように如何なる適切な機構及び/又は材料とすることができる。ヘッドギア16は、このヘッドギアを用いてどのようにマスク14を患者の頭部に固定するのかの一例を示すために、単に例示を目的にこれら図面に提供されると理解されたい。
【0028】
患者回路18は、圧力発生装置12からマスク14に呼吸ガス流を伝達するように構成され、前記マスクは、次いでこの呼吸ガス流を患者の気道に伝達する。通例、患者回路18は、圧力発生装置12とマスク14とを結合する導管又はチューブを含む。
図1~
図3に示される例示的な実施形態において、患者回路18は、(一部が概略的に示される)可撓性導管20及びマスク14に結合されるエルボー22を含む。
【0029】
図1~
図3を引き続き参照すると共に、さらに
図4及び
図5を参照すると、マスク14は、患者インターフェース24及びこの患者インターフェース24に結合されるフレーム26を含み、このフレーム26は、ヘッドギア16を介して患者インターフェース24を患者の頭部に固定するように構成され、このヘッドギア16は、以下にさらに説明されるようにフレーム26にも結合される。患者インターフェース24は、患者回路18が結合されるフェースプレート28、及びクッション30を含む。
図1~
図5に示される例示的な実施形態において、フェースプレート28は、剛性又は半剛性材料(例えば、限定ではないが、シリコーン、プラスチック)から形成されるが、本発明の範囲から逸脱することなく他の適切な材料が使用され得ることを理解されたい。他方、クッション30は、柔軟な形状適合性材料(例えば、限定ではないが、シリコーン)から形成され、概ねフェースプレート28の周縁部(番号なし)で又はその周りでフェースプレート28に結合される第1の端部32を含む。
【0030】
クッション30はさらに、第1の端部32の反対側に配置される第2の端部34を含み、この第2の端部34は、ユーザの1つ以上の気道の周りでユーザの顔の一部と密封係合するように構成される。クッション30は、フェースプレート28に選択可能に結合されてもよいし、又は(例えば、オーバーモールドを介して)概ね永久的に結合されてもよい。
図1~
図5に示される例示的な実施形態において、クッション30は、ユーザの鼻の周り、故にユーザの両方の鼻孔の周りでユーザの顔に係合しているが、本発明の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、他のクッション機構(例えば、限定ではないが、鼻枕、口/鼻マスク)と共に用いられ得ることを理解されたい。フェースプレート28及びクッション30は共に、圧力発生装置12によって生成され、患者回路18によって伝達されるガス流を受け取るように構成されるユーザキャビティ(番号なし)を画定する。
【0031】
上述したように、マスク14は、患者インターフェース24と、この患者インターフェース24を患者の頭部に固定するためのヘッドギア16とに結合されるフレーム26を含む。より具体的には、フレーム26は、半剛体又は他の適切な材料(例えば、限定ではないが、プラスチック、布張りしたプラスチック、プラスチックで補強されたシリコーン等)から形成される、並びに患者インターフェース24に結合され、この患者インターフェースから第1の方向へ外側に延在する第1のアーム部材40、及び患者インターフェース24に結合され、この患者インターフェースから、第1の方向と概ね反対側の第2の方向へ外側に延在する別個の第2のアーム部材42を含む。患者インターフェース24が患者の頭部に容易に配置/固定され、その後、患者の頭部から固定を解除/取り外されるようにするために、アーム部材40又は42の少なくとも一方は、患者インターフェースに選択的に結合される。アーム部材40及び42が共に、患者インターフェース24に選択的に結合される場合(望ましくは、清掃又は交換のために、患者インターフェースがフレーム26及びヘッドギア16から一時的に退避(スワップアウト)することを可能にする)、アーム部材40又は42の一方は、患者インターフェース24から切り離すために、他方のアーム部材40又は42よりも小さい力を必要とする(すなわち、より小さい結合解除力)を必要とするように、患者インターフェース24に選択的に結合される。
【0032】
一方のアーム部材40又は42のみが選択的に結合される、或いは一方のアーム部材40又は42がより小さい結合解除力で選択的に結合されることによって、マスク14を患者から取り外す又は患者に取り付けるために、前記一方のアーム部材40又は42が患者インターフェース24から取り外される一方、依然として、患者インターフェース24は、他方のアーム部材40又は42によってフレーム26及びヘッドギア16と結合/固定されている。アーム部材40及び42が共に概ね同じ力で結合を解くことができた場合、患者インターフェース24は、フレーム26及びヘッドギア16から望ましくなく完全に切り離され、患者から(典型的には、患者のベッドに隣接する床に)落下する傾向がある。
【0033】
すぐ後に論じられるように、
図1~
図5に示される1つの例示的な実施形態において、アーム部材40及び42の各々は、患者インターフェース24のフェースプレート28に選択的に結合され、第2のアーム部材42は、この第2のアーム部材42が第1のアーム部材40よりも簡単に(すなわち、より小さい力で)フェースプレート28から、故に患者インターフェース24から切り離されるような機構を介して選択的に結合される。そのような実施形態に関連して説明される結合する位置(すなわち、フェースプレート28及び/又はクッション30の一方或いは両方における位置)、及び/又は結合される機構の1つ以上は、本発明の範囲から逸脱することなく変更され得ることを理解されたい。より簡単/容易に患者インターフェース24から切り離されるアーム部材40又は42の一方が、本発明の範囲から逸脱することなく変更され得ることも理解されたい。
【0034】
図1~
図5を引き続き参照すると共に、さらに
図6~
図9を参照すると、フレーム26のアーム部材40及び42の各々と患者インターフェース24との間の結合が詳細に説明される。
図1~
図4に示されるように、フレーム26の第1のアーム部材40は、第1の結合機構44を介して患者インターフェース24に結合されるように構成される第1の端部40A、及び(好ましくは調整機構を介して)ヘッドギア16に結合されるように構成され、第1の端部40Aとは反対側に配置される少なくとも1つの第2の端部40B(示される一例では40Cも)含む。同様に、フレーム26の第2のアーム部材42は、第2の結合構成46を介して患者インターフェース24に結合されるように構成される第1の端部42A、及び(好ましくは調整機構を介して)ヘッドギア16に結合されるように構成され、第1の端部42Aとは反対側に配置される少なくとも1つの第2の端部42B(示される一例では40Cも)含む。
図1~
図3に示される例示的なアーム部材40及び42の各々は2つの対向する端部40B、40C及び42B、42Cを含んでいるが、これら対向する端部の数は、本発明の範囲から逸脱することなく(例えば、1、3等に)変更され得ることも理解されたい。
【0035】
ここで
図4~
図9を参照すると、第1の結合機構44は、フェースプレート28に結合される又はフェースプレート28の一部として形成され、フェースプレート28から中心軸52に沿って外側に延在し、フレーム26の第1のアーム部材40の第1の端部40Aに画定される対応する形状の開口54と相互作用するように構成されるポスト部材50を含む。ポスト部材50は、熱可塑性材料又は他の適切な材料から形成されてもよく、使用される材料に応じて、(示されるような)中空部材又は中実部材として形成されることもできる。ポスト部材50は、開口54内にポスト部材50を(選択的に又は永久的に)拘束/結合するために、開口54の対応する第2の特徴58と相互作用する第1の特徴56を含む。示される一例において、第1の特徴56は、開口54の凹部として形成される第2の特徴58と相互作用する広がった領域(フレア領域)であるが、他の特徴56、58が本発明の範囲から逸脱することなく利用されてもよいことを理解されたい。
【0036】
図に示される例において、ポスト部材50(及び対応する開口54)は、ポスト部材50が第1のアーム部材40の開口54内に位置決められるとき、フェースプレート28(従って、患者インターフェース24)に対する第1のアーム部材40の回転がある程度以下に制限/防止されるように、軸52に沿って見ると細長い断面を持つ。図に示される前記機構の代替の実施形態として、第1の結合機構44の要素は、本発明の範囲から逸脱することなく、逆にされてもよい(すなわち、第1のアーム部材40にポスト50及びフェースプレート28に画定される開口54)。
【0037】
図4~
図9を引き続き参照すると、第2の結合機構46は、第2のアーム部材42の第1の端部42Aから延在するリッジ62を収容するように構成され、フェースプレート28内に画定される溝60を含む。
図5に示されるように、示される例において、溝60は、第1のセグメント60A、この第1のセグメント60Aに概ね平行に延在する第2のセグメント60B、並びに第1のセグメント60Aと第2のセグメント60Bとの間にあり、第1及び第2のセグメントに概ね垂直に延在する第3のセグメント60Cを含む、複数のセグメントを含む。同様に、リッジ62は、第1のセグメント62A、この第1のセグメント62Aに概ね平行に延在する第2のセグメント62B、並びに第1のセグメント62Aと第2のセグメント62Bとの間にあり、第1及び第2のセグメントに概ね垂直に延在する第3のセグメント62Cを含む、複数の対応するセグメントを含む。上述した第1の結合機構44の細長い断面の機能と同様に、第2の結合機構46の第1のセグメント60A、62A及び第2のセグメント60B、62Bの各々は、フェースプレート28(従って、患者インターフェース24)に対する第2のアーム部材42の回転をある程度以下に制限/防止する役割を果たす。
【0038】
複数のセグメント60A~60C及び62A~62Cを持つ代わりに、又は持つことに加えて、第2の結合機構46は、機械的フック又はインターロック機構(番号なし)を含むことができ、これは、
図8に示される例において、溝60の協働する傾斜面72と係合する、リッジ62上に設けられる内向き傾斜面70である。傾斜面70は、ヘッドギア16の締め付けによって第2のアーム部材に加えられる引張ベクトルTから90°未満の角度Θで配置される。従って、ヘッドギア16の締め付けによって第2のアーム部材42が方向T(
図8)に引っ張られるとき、傾斜面70は、フックとして一般に機能することを理解されたい。
【0039】
代替の機械的フック又はインターロック機構の一例が
図10に示され、この図は、
図8に示されるものと同様のビューであり、この図において、同様の要素は、
図8と同様の番号を付して示されており、再度説明しない。
図10に示されるような例示的な実施形態において、内向き傾斜面70の代わりに、リッジ62’は、外側(すなわち、概ね第2のアーム部材42’の大部分から離れる)に延在する凹部70Bに隣接して配置され、その凹部70Bによって一部が画定されるリッジ62’の尖端(番号なし)に位置決められる内側(すなわち、概ね第2のアーム部材42’の大部分の方に戻る)に延在する突起部70Aを含む。突起部70Aと凹部70Bとは共に、溝60’のセグメント60C’内に(すなわち、第2のアーム部材42’の大部分から離れるセグメント60C’内に)延在する突起部73の周りで留まる機械的フックとして一般に機能する。
【0040】
図7及び
図8に示されるように、第2の結合機構46は、第1及び第2の磁気要素が互いに向かって引き付けられるような、フェースプレート28内に位置決められる第1の磁気要素74、及び第2のアーム部材42内に対応して位置決められる第2の磁気要素76をさらに含む。
図7及び
図8に示される例において、磁気要素74及び76の各々は、磁石を有しているが、磁気要素74及び76の一方が、代わりに、本発明の範囲から変動することなく、磁石がそれに引き付けられる材料でもよいことを理解されたい。これら図面に示される機構の代替の実施形態として、本発明の範囲から逸脱することなく、第2の結合機構46の要素を逆にする、すなわち、第2のアーム部材42に画定される溝60及びフェースプレート28に画定されるリッジ62でもよい。そのような代替のバージョンにおいて、第2のアーム部材42がそこで留まる(及び第2のアーム部材が
図8に示される方向Tに引っ張られるのに抵抗する)フックを提供するために、リッジ62の傾斜面70は、リッジ62の反対側にあり、フェースプレート28の中心面に向かって傾斜されることが理解されるべきである。
【0041】
従って、上述したことから、本発明の実施形態は、患者によって容易に結合される又は結合が解かれる、患者の頭部に患者インターフェース装置を固定する際に使用するための改良された結合機構を提供することが理解されるべきである。
【0042】
本発明は、最も実用的で好ましい実施例であると現在考えられるものに基づいて、例示の目的に詳細に説明されているが、そのような詳細は、単に例示が目的であること、並びに本発明は、開示される実施例に限定されるのではなく、それどころか添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲内にある修正案及び同等の構成を含むことが意図されることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な限り、何れかの実施例の1つ以上の特徴が他の何れかの実施例の1つ以上の特徴と組み合わされ得ることも考慮していることを理解すべきである。
【0043】
請求項において、括弧の間に置かれる如何なる参照記号もその請求項を限定すると解釈すべきではない。“有する”又は“含む”という言葉は、請求項に挙げられる以外の素子又はステップの存在を排除するものではない。幾つかの手段を列挙している装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの同一のアイテムにより具現化されてもよい。要素が複数あると述べていなくても、その要素が複数あることを排除しない。幾つかの手段を列挙している如何なる装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの1つの同じアイテムによって具現化されてもよい。幾つかの要素が互いに異なる従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの要素が組み合わせて使用されることができないことを示していない。
【国際調査報告】