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特表2023-554261口腔ケア装置の清掃及び/又は処置ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】口腔ケア装置の清掃及び/又は処置ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/16 20060101AFI20231220BHJP
   A46B 15/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61C 17/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61C17/16
A46B15/00 N
A61C17/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533866
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2021082359
(87)【国際公開番号】W WO2022135805
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216414.1
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ブランダオ シルヴァ プリシラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルハルツ ルッツ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン マルク トマス
(72)【発明者】
【氏名】ホッテンボス バルト
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA08
3B202AB30
3B202BA15
3B202BE09
(57)【要約】
遮蔽バリア32は、口腔ケア装置用の清掃及び/又は処置ユニット12の1つ又は複数の電極22により運ばれ、電極22の露出した導電性部分25の他の要素又は外部物体による接触を妨げるよう構成される。遮蔽バリアは、露出した導電性部分が電極22の周囲の環境に対してまだ少なくとも部分的に開放されるよう構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア装置の清掃及び/又は処置ユニットであって、
支持体と、
前記支持体の表面から外側に延びる電極であって、前記電極が露出部を持つ導電要素を含む、電極とを有し、
前記電極が、前記電極に取り付けられたバリアを備え、前記バリアは、前記露出部分が別の電極により物理的に接触されるのを防ぐよう構成された壁を含む、清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項2】
清掃及び/又は処置機能のためにユーザの口腔内の表面と機械的に係合するのに使用される、前記支持体の表面から外向きに延びる複数の清掃要素を更に有する、請求項1に記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項3】
前記複数の清掃要素が、清掃要素の少なくとも1つの空間群を有し、前記空間群は、前記支持体の表面の領域をカバーし、前記電極が、前記領域内の前記支持体の表面の位置から外側に延びる、請求項2に記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項4】
前記電極がそれぞれ、清掃及び/又は処置ユニットの表面に接続された電極の近位端と遠位端との間に延在する長さを持ち、前記電極はそれぞれ、前記長さの方向と直交する方向において柔軟である、請求項1乃至3のいずれかに記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項5】
前記バリアが、前記表面の他の電極が前記露出部に向かって屈曲することによる前記導電性要素の露出部の物理的接触を妨げる、請求項1乃至4のいずれかに記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項6】
前記バリアが、前記導電性要素の露出部分から間隔をあけて配置される1つ又は複数の壁を持つ、請求項1乃至5のいずれかに記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項7】
前記バリアの1つ又は複数の壁がそれぞれ、前記導電性要素の露出部分の外面の少なくとも一部と対向して配置される、請求項6に記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項8】
前記バリアが、前記導電性要素の露出部分を環状に取り囲む環状壁を持つ環状要素である、請求項1乃至7のいずれかに記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項9】
前記環状壁と前記導電性要素の露出部分との間には半径方向の間隔があり、前記半径方向の間隔が、不均一である、請求項8に記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項10】
前記バリアが、錐体形要素であり、前記環状壁は、前記導電性要素の遠位端の方向において前記導電性要素から離れて半径方向にテーパー状にされる、請求項9に記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項11】
各電極が、前記導電性要素の第1の長さ部分に沿って前記導電性要素と固体接触する第1のセクションを持つ電気絶縁シースを有し、前記導電性要素の第1の長さ部分は、前記導電性要素の非露出部分を形成する、請求項1乃至10のいずれかに記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項12】
前記バリアの少なくとも1つの壁が、前記第1のセクションの遠位端から延びる前記シースの第2のセクションにより形成され、前記第2セクションは、前記導電性要素の第2長さ部分から半径方向に間隔をあけて配置され、前記第2長さ部分が、前記導電性要素の露出部を形成する、請求項11に記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項13】
前記絶縁シースの第2セクションが、前記シースの第1セクションの遠位端から、前記導電性要素から半径方向外側にテーパー状にされる、請求項12に記載の清掃及び/又は処置ユニット。
【請求項14】
口腔ケア装置であって、
請求項1乃至13のいずれかに記載の清掃及び/又は処置ユニットと、
前記口腔清掃及び/又は処置ユニットの複数の電極に供給するための1つ又は複数の駆動信号を生成する信号生成器とを有する、口腔ケア装置。
【請求項15】
前記口腔ケア装置が、歯ブラシ又はマウスピース装置である、請求項14に記載の口腔ケア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケア装置用の清掃及び/又は処置ユニットに関し、特に、電磁放射を生成するための電極を持つ清掃及び/又は処置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
US2012/233791A1は、口腔ケアのため、歯周ポケットなどの口腔内の間隙に局所的な電流を選択的に印加するブラシ本体を開示する。ブラシ本体は、ブラシヘッドに複数の毛束を持つ。毛束は、コア及びシースを持つブリッスルを含む。コアは導電性部材を有し、シースはそのコアを覆う絶縁性部材を有する。ブリッスルの先端部分では、コアがシースより更に突出しており、電極として機能する。
【0003】
US2019/380482A1は、口腔ケア装置のためのアタッチメントを開示する。アタッチメントは、処置要素を有する。処置要素は、第1電極及び第2電極を含み、第1電極及び第2電極がユーザの口腔内の組織に接触するよう配置されると、組織を介して第1電極から第2電極に印加電流が流れることができるように電極が配置されている。
【0004】
WO2017/216606A1は、口腔清掃装置を開示し、これは、清掃要素を支持するヘッド部と、上記ヘッド部から延びるハンドル部と、上記ハンドル部に配置され、上記ヘッド部に配置された電極に接続されるRF生成器と、追加的又は代替的に、ハンドル上に位置する導電性表面とヘッド部分に位置する電極の1つとに接続され、ハンドル部分に配置されるマイクロカレント源と、ヘッド部に配置され、電極を互いに分離する非導電性のバリアとを有する。
【0005】
近年、口腔ケア分野では、口腔内清掃及び/又は処置機能のため高周波(RF)電磁界又は放射を生成する口腔ケア装置が開発されている。
【0006】
口腔内の清掃及び/又は処置機能を提供するのに、高周波(RF)電磁波放射が使用されることができる。特に、RFフィールドが歯及び歯茎の表面と相互作用するとき、それは、口の中の表面の表面特性を変化させることができ、これは、歯垢又は歯石などの表面の堆積物を柔らかくし、それらがより容易に除去されることを可能にする。RF放射は、組織にマイルドな加熱作用を誘導することを介して、処置機能を提供することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの既知の例では、清掃及び/又は処置ユニットの表面から外側に延びる比較的硬い電極が、RF放射を生成するのに使用される。しかしながら、これらは、ブリッスルなどの清掃フィラメントの利用可能な表面積を減らし、機械的な清掃効率が低下される。代替案として、清掃フィラメントと同様のサイズ及び曲げプロファイルを持つ、柔軟なエミッタが提供されることができる。それらは、表面積を大きく損なうことなく、清掃フィラメントフィールドに一体化されることができる。それらは場合によっては、機械的な清掃及びRFフィールドの生成の2つの機能を提供することができる。
【0008】
しかしながら、斯かる配置に伴う1つの困難さは、柔軟なエミッタが、隣接するエミッタの電気的に露出した部分間の接触による短絡のリスクが高いことにある。これは例えば、エミッタの機械的な変形、曲げ、広がり(splaying)及び磨耗などにより発生する可能性がある。短絡は、エミッタの機能への損傷をもたらす。短絡は、ユーザに対する安全上の問題ももたらす。なぜなら、口の中で起こる短絡は、有害なやけどを潜在的にもたらす可能性があるからである。
【0009】
上述の問題を克服することができる口腔ケア装置用清掃及び/又は処置ユニットの分野における改良は、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、独立請求項により規定される。従属請求項は、有利な実施形態を規定する。
【0011】
本発明の実施例によれば、口腔ケア装置用の清掃及び/又は処置ユニットが提供され、これは、支持体と、上記支持体の表面から外側に延びる複数の電極であって、上記電極がそれぞれ、少なくとも一部が露出した導電性要素を含む、複数の電極と、物理的接触、例えば複数の電極の少なくとも1つの他の電極による接触に対して露出部分を少なくとも部分的に遮蔽するよう構成された1つ又は複数の壁を含む少なくとも1つのバリアとを有する。
【0012】
バリアは、物理的なバリア要素を有することができる。バリアは、それが遮蔽する少なくとも1つの電極により運ばれることができる。バリアは、電気絶縁性のバリア要素とすることができる。
【0013】
バリアは例えば、清掃及び/若しくは処置ユニットの他の要素又は外部物体による、導電性要素の露出部分の物理的接触を妨げるよう構成される。外部物体は例えば、アマルガムの詰め物、又はデンタルアライナーにおける金属要素を含むことができる。
【0014】
バリアの1つ以上の壁は、導電性要素の露出部分から間隔をあけて配置されることができる。いくつかの例では、導電性要素の露出部分とバリアとの間には接触がなく、即ち、導電性要素の露出部分とバリアとの間には空隙がある。更なる例では、バリアの壁の少なくとも一部と導電性要素との間に固体接触が存在する場合がある。ここで、「壁」という概念は、固いものに限定されず、電極と一緒に屈曲する/曲がることができる柔軟なバリアを持つ可能性も含んでいる。しかし、重要なのは、電極の露出部分が物理的に接触することを妨げるように壁が配置される(例えば、形成される)ことである。
【0015】
バリアは、単体の(モノリシックな)物理構造を有することができ、又は、それは多材料の構造を有することができる。
【0016】
ユニットが口腔内の面にわたり移動され、又は電極が劣化すると、電極が互いに向かって曲がることがあり、これは、接触による短絡のリスクをもたらす。短絡は、生成される余分な熱のため、及び複数の電極のうち2つ以上の電極が近接している場合は、生成される高強度のRFフィールドのため、安全上の問題がある。本発明の実施形態は、電極の少なくともサブセットに関連し、例えばサブセットに結合され又はサブセットから延び、電極による又は清掃及び/若しくは処置ユニットの他の物理的要素による、電極導電性要素の露出部分の物理的接触を遮断又は阻止するよう構成された追加のバリアを提供する。これは、異なる極性の電極間の接触の結果として生じる潜在的な短絡を防止するのに役立つ。
【0017】
こうして、電極の構造設計は、清掃及び/又は処置ユニットが運ぶ異なる電極の露出した導電性要素部分間の物理的接触を防止するよう構成される。
【0018】
バリアは、好ましくは電気的に絶縁性である。電気絶縁性は、導電性要素の材料よりも少なくともより電気絶縁性が高いことを意味する。
【0019】
この文脈における「露出」は、導電性要素が、清掃及び/又は処置ユニットの周囲の環境、例えば、そこに受け入れられるときの口腔の環境に対して開放されるか、又は方向(direction)流体連通していることを意味する。
【0020】
導電性要素の露出部分は好ましくは、遠位又は先端部分であり、導電性要素の末端遠位点から近位点まで延在している。本開示における近位は、口腔内清掃及び/又は処置ユニットの表面に近いことを意味し、遠位は、口腔内清掃及び/又は処置ユニットの表面から遠いことを意味する。
【0021】
バリアは好ましくは、電極に対して横方向からの接触を妨げるよう構成され、ここで横方向は、電極の長さ寸法に垂直な方向を意味する。
【0022】
いくつかの例では、複数の電極は、複数の電極のペアを有することができる。動作時には、所与の対の電極が、異なる(例えば逆極性の)電圧で駆動される。これは、斯かるペアの電極間には電位差があることを意味し、これは、対の電極間に電界を生成する。
【0023】
電極の少なくとも1つのバリアは、露出部分に向かって屈曲する表面上の別の電極、例えば隣接する電極による導電性要素の露出部分の物理的接触を妨げるよう構成されることができる。
【0024】
バリア要素は例えば、電極の互いへの屈曲時に、各対の電極の露出部分の接触を妨げるよう構成され得る。
【0025】
バリアの壁は、導電性要素の露出部分から間隔をあけて配置されてもよい。
【0026】
清掃及び/又は処置ユニットは、いくつかの例では、口腔ケア装置の一体型部分(例えば、ブラッシングマウスピース装置の一体型マウスピース部)、又は口腔ケア装置の取り外し可能な付属品、例えば歯ブラシの清掃ヘッド、若しくはマウスピース装置の取り外し可能なマウスピース部とすることができる。
【0027】
電極の各々は、可撓性を有していてもよい。特に、各々は、横方向に可撓性であってもよく、横方向は、電極の長さに垂直であり、長さは、清掃ユニット表面に接続された部材の近位端から遠位端に延在する。
【0028】
1つ又は複数の実施形態によれば、清掃及び/又は処置ユニットは、清掃機能に関してユーザの口腔内の表面と機械的に係合するために、支持体の表面から外側に延びる複数の清掃要素を更に含むことができる。清掃要素は例えば、ブリッスルのような清掃フィラメントを有する。電極は、ブリッスルフィールド内に配置されてもよい。
【0029】
複数の清掃要素は、清掃要素の少なくとも1つの空間群を有することができる。空間群は、支持体表面の領域を覆う。複数の電極の少なくともサブセットは、その領域内の支持体表面の位置から外向きに延びる。空間群は例えば、清掃要素のタフトを形成している。
【0030】
電極は、表面から清掃要素と同じ長さまで延びることができる。
【0031】
場合によっては、少なくとも2つの電極が同じタフト内に配置されることができる。これは、短絡を発生しやすくする。電極は例えば、動作時に異なる電圧で駆動される一対の電極とすることができる。こうして、バリアは斯かる状況において特に有用である。
【0032】
バリアの1つ又は複数の壁はそれぞれ、導電性要素の露出部分の外面の少なくとも一部に対向して配置されてもよい。それらは、露出部の外面から間隔をあけて配置されていてもよい。
【0033】
壁が導電性要素の露出部分の外面に面して外面の反対に配置されるので、壁は、壁の裏面方向から接近する外部体による露出部分の物理的な接触に対して物理的な遮蔽を形成する。壁は例えば、導電性要素の露出部分の露出面と軸方向に整列され、ここで、軸方向は、電極の長さ寸法により規定される。
【0034】
いくつかの実施形態では、バリアは、導電性要素の露出部分を環状に取り囲む環状壁を持つ環状要素であってよい。環状壁と導電性要素の露出部分との間には、半径方向の間隔があってもよい。例えば、環状壁は、導電性要素の露出部分を同軸に囲むことができる。
【0035】
いくつかの例では、バリアは、環状壁から導電性要素に向かって半径方向に延びるベース壁を更に含むことができる。この例では、バリアはカップの形をしている。ベースは好ましくは、バリアの近位端又は側部においてバリアを閉じる、即ち、それはベースにおいてカップを閉じる。
【0036】
1つ又は複数の実施形態によれば、環状壁と導電性要素との間の半径方向の間隔は、不均一であってよい。
【0037】
一例として、バリアは、導電性要素の遠位端の方向に導電性要素から半径方向外側に先細りに配置された環状壁を備える、錐体形要素であってもよい。バリアの遠位面は開いていてもよい。この場合の壁は、導電性要素から離れた位置で角度をつけられる。
【0038】
1つ又は複数の実施形態によれば、各電極は、導電性要素の第1の長さ部分に沿って導電性要素と固体接触する第1の部分を持つ電気絶縁シースを有することができ、上記導電性要素の第1の長さ部分は、上記導電性要素の非露出部分を形成する。
【0039】
バリアの少なくとも1つの壁は、第1のセクションの遠位端から延びる、シースの第2のセクションにより形成され得、上記第2セクションは、上記導電性要素の第2長さ部分から半径方向に間隔をあけて配置され、第2長さ部分は、上記導電性要素の露出部分を形成する。従って、バリアは、導電性要素の近位部を覆う絶縁シースの遠位部により形成される。これは、構造的に効率の良い構成を提供する。
【0040】
いくつかの例では、絶縁シースの第2のセクションは、シースの第1のセクションの遠位端から、導電性要素から半径方向外側に向けてテーパー形状とすることができる。
【0041】
1つ又は複数の実施形態によれば、バリアは、電極の最大幅(バリアなし)よりも大きい最大幅まで延びることができる。これは、バリアが、任意の2つの電極の間、少なくともバリア要素で覆われる電極のセクションの間に物理的な分離を強制するという効果を持つ。バリア要素は、物理的な接触を逸らすものとして機能する。言い換えると、バリア要素は、電極の幅を拡張した部分を形成する。
【0042】
本発明の更なる実施例は、口腔ケア装置を提供し、これは、上記若しくは後述する任意の実施例若しくは実施形態による、又は本願の任意の請求項による口腔清掃及び/又は処置ユニットと、口腔清掃及び/又は処置ユニットの複数の電極に供給するための、例えば電極からの無線周波数(RF)電磁放射又は電流の生成を刺激するための1つ又は複数の駆動信号を生成するよう構成された信号生成器とを有する。
【0043】
本開示の文脈では、「放射」は、静的若しくは時間的に変化する電場若しくは電磁場、及び/又は伝播する電磁波を指す場合がある。
【0044】
口腔ケア装置は、清掃及び/又は処置ユニットの支持体に振動運動を適用するよう構成された機械的運動生成器を更に含むことができる。
【0045】
電極の振動運動は、電極間の接触の可能性を高める。従って、バリアは、斯かる実施形態に特に有用である。
【0046】
1つ又は複数の実施形態によれば、口腔ケア装置は、歯ブラシ又はマウスピース装置であってもよい。
【0047】
本発明のこれら及び他の側面が、以下に記載される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】1つ又は複数の実施形態によるバリアを有する例示的な電極の透視表示を示す図である。
図2図1に描かれた例示的な電極の正面表示を示す図である。
図3図1~2に示した例示的な電極の平面表示を示す図である。
図4】1つ又は複数の実施形態による更なる例示的なバリアを有する電極の透視表示を示す図である。
図5】一対の電極を運ぶ、1つ又は複数の実施形態による例示的な清掃及び/又は処置ユニットを示し、各電極がバリアを運ぶ、図である。
図6図5の清掃及び/又は処置ユニットの電極の互いに対する屈曲と、バリアの遮蔽作用とを説明する図である。
図7】一対の電極を取り囲む複数の清掃要素を有する1つ又は複数の実施形態による例示的な清掃及び/又は処置ユニットを示す図である。
図8図7の例示的な清掃及び/又は処置ユニットの電極の互いに対する屈曲と、バリアの遮蔽作用とを説明する図である。
図9】清掃要素の空間群の例示的なセットのレイアウトを平面表示で示す図であり、空間群の一部の中に電極が配置される図である。
図10】電極の絶縁性シースの遠位部から形成された例示的なバリアを備える電極を示す図である。
図11】清掃及び/又は処置ユニットの電極によるRF放射生成を駆動するための例示的な駆動回路を示す図である。
図12】歯ブラシヘッドの形をした例示的な清掃及び/又は処置ユニットを示す図である。
図13】歯ブラシの形をした例示的な口腔ケア装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の好適な理解のため、及びその実現方法をより明確に示すため、例示に過ぎない添付の図面が参照される。
【0050】
本発明が、図を参照して説明される。
【0051】
詳細な説明及び具体例は、口腔清掃及び/又は処置ユニット並びに口腔ケア装置の例示的な実施形態を示すものの、説明のみを目的としており、本発明の範囲を限定するものとして意図されていない点を理解されたい。本発明の口腔清掃及び/又は処置ユニット並びに口腔ケア装置のこれら及び他の特徴、側面、及び利点は、以下の説明、添付の請求項、及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図は単なる概略的なものであり、縮尺に合わせて描かれているものではない。同一又は類似の部分を示すために図を通して同じ参照番号が使用される。
【0052】
本発明は、口腔ケア装置の清掃及び/又は処置ユニットのEMエミッタ要素により搬送され、エミッタ要素の露出した導電性部分の他の要素又は外部物体による接触を遮断するよう構成された物理的遮蔽要素を提供する。遮蔽要素は,露出した導電部分がエミッタ要素の周囲の環境に対して少なくとも部分的に開放されたままとなるよう構成される。
【0053】
図1~3は、1つ以上の実施形態による口腔清掃及び/又は処置ユニット12の例示的な電極22を示す。図1は、透視図を示す。図2は、正面図を示す。図3は、平面図(上から見た図)を示す。
【0054】
組み立てられるとき、電極22は、清掃及び/又は処置ユニット12の支持体14の表面から外側に延びて配置される。それは好ましくは、複数の電極22の1つとして提供される。電極22の複数の対が提供されることができる。
【0055】
電極22は、電極構造体のコアを軸方向に貫通する導電性要素24を有する。導電性要素24の遠位部分25は露出され、これにより、導電性要素24のこの部分が、清掃及び/又は処置ユニット12を囲む環境に対して開放されるか、又は方向流体連通しており、例えば、空気に対して開放されることを意味する。電極22は好ましくは、横方向に柔軟であり、これは、その長さLにより規定される寸法の横方向において屈曲可能であることを意味する。
【0056】
電極により運ばれる、バリア32が更に提供される。本実施例のバリア32は、物理的なバリア要素の形態である。バリア32は、導電性要素24の露出部分25から間隔を空けて配置される1つ又は複数の壁34を有する。壁は、物理的接触に対して露出部分25を少なくとも部分的に遮蔽するよう構成される。バリア32は、オプションで電気的絶縁性を持つ。
【0057】
この例では、導電性要素の露出部分25は、遠位先端部分を形成し、導電性要素24の末端遠位点まで延びる。
【0058】
図示の例では、バリア32は、導電性要素24の露出部分25を環状に取り囲む環状壁34を有する。環状壁34と導電性要素24の露出部分25との間には、径方向の間隔Sが存在する。間隔Sは例えば、エアギャップを形成する。環状壁は、導電性要素24の露出部分25の外面の少なくとも一部に対向して配置され、露出部分25の外面から間隔をあけて配置される。環状壁34は、導電性要素24の露出部分25を同軸に囲むことができる。
【0059】
図1の例では、環状壁34が導電性要素24の露出部分25の周囲に連続した環状ループを形成しているが、これは必須ではない。環状壁34は、いくつかの例では、1つ又は複数の切れ目を持ち、不連続であってもよい。
【0060】
更に、図1の例では、バリア32が環状壁34を持つが、これは必須ではない。例えば、変形例では、導電性要素25は、導電性要素25の裏面に平面状の主要面を備え、平坦又は平面状の形態を持つことができ、バリア32は、平面状の主要面のそれぞれに対向して配置された一対の壁を有する。壁は、平面であってもよい。
【0061】
1つ又は複数の壁34は、他の電極22、又は壁34の裏側の方向から接近する他の外部体による導電性要素24の露出部分25の物理的接触に対する物理的シールドを形成するよう構成される。壁34は、電極の側面から接近する物体による接触を妨げる。
【0062】
図示の例では、環状壁34と導電性要素24との間の半径方向の間隔Sは不均一である。特に、環状壁34は、その長さに沿って半径方向外側に向けてテーパー形状となる。それは、第1の直径を持つ近位端から、第2のより大きな直径を持つ遠位端に向かってテーパー状になる。遠位端は、開いている。近位端は、導電性要素24のステム部を覆う電気絶縁性のカバー又はシース28の遠位端に結合され、ステム部は露出されない。
【0063】
バリア32は、結果として、フラストコニカル形状(錐体形)を規定する。本実施例における壁34の幅は均一であるが、これは必須ではない。バリアは効果的に漏斗の形に沿う。
【0064】
図4は、バリア32がカップ状の形態をとる更なる例を示す。特に、バリア32は、環状壁34から導電性要素に向かって半径方向に延びるベース壁36を更に備える。図示の例では、それは、環状壁34の近位エッジ又はリムから、導電性要素24のステム部分を覆う絶縁性シース28の遠位エッジ又はリムまで(実質的に)横方向に延びている。こうして、ベース壁36は、バリア32をそのベースにおいて閉鎖する。バリア32は、その遠位面において開いたままである。
【0065】
バリア32の結果として、導電性要素24の露出部分25は、電極22を横切る方向から接近する要素による接触から部分的に物理的に保護され、一方、導電性要素24の遠位部分が露出されることは可能である。これは、電極22からのEMエネルギーの効率よい出力を可能にし、及び/又は電流が流れることを可能にする。バリア32は、口腔内清掃及び/又は処置ユニットの表面において、隣接する電極が露出部分25に接触する可能性を低減し、これにより、短絡の可能性が低減される。
【0066】
前述のように、バリア32は、非導電性材料で形成され、導電性要素24の露出部分25の周囲に誘電バリアを形成して、短絡を防止することができる。バリア32の開放的な形状、及び導電性要素からのその間隔が、RFフィールドが先端で生成されることを可能にし、これは使用時に目標表面(歯及び歯肉)に最も近い点を有利に形成する。非限定的な例として、バリア32は、ゴムなどの誘電性エラストマー材料で形成されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、バリア32の1つ以上の壁34は、電極22間の機械的接触を依然として防止しながら、イオン流を可能にする小さな穴を有することができる。バリア32はこうして、フィルター膜に類似する構造を持つ。穴の大きさは、ある範囲に含まれるどこでもよい。その下限は、イオンが通過することができる必要により制約され、その上限は、バリア32の構造的完全性を維持する必要により制約される。例として、適切な範囲は、10nm~50μm(直径)とすることができる。
【0068】
上述したように、好ましくは、各電極22は、柔軟である。いくつかの有利な例では、電極22の少なくともサブセットは、清掃フィラメントとして倍増するよう構成され得る。従って、電極22の少なくともサブセットは、RF放射機能に加えて、機械的な清掃機能を実行するために適合され得る。この配置は、好ましい。なぜなら、機械的なブラッシングの効能及びRFフィールド出力の効能の間で妥協が行われる必要がないからである。電極22の存在は、機械的な清掃要素(例えば、ブリッスル)が存在するための清掃及び/又は処置ユニット表面12上の利用可能なスペースを奪うことはない。
【0069】
本発明の実施形態によるバリア32は、斯かる場合に特に有利である。なぜなら、柔軟な電極22が曲がって潜在的に互いに接触し、短絡をもたらす可能性が高いからである。
【0070】
従って、各電極22が担持するバリア32は好ましくは、電極22の互いへの屈曲時に、隣接する電極22の各対の導電性要素24の露出部分25の接触を妨げるよう構成され得る。
【0071】
上記の例では、バリア32の環状壁34は、電極22の(長さ)に対して角度が付けられる、又は傾斜されるが(即ち、テーパー状)、これは必須ではない。壁34は、電極22の長さ寸法と平行に延びることができる。
【0072】
上記に概説した例では、バリア32の壁34の全体が、導電性要素24の露出部分からエアギャップにより間隔を空けられるが、これは必須ではない。更なる例では、バリア32の一部又は全体が導電性要素24と接触している場合がある。例えば、バリア32は、導電性要素24を囲む環状壁34を有し、環状壁34と導電性要素24との間には充填物が存在する。充填物は、誘電性充填物であってもよい。誘電性充填物を備える壁34の代わりに、バリア32は、例えば単一の材料で形成され、ある電極22の露出部分25が別の電極22により物理的に接触されることを防止するように形成された、一体型(モノリシック)固体構造であってもよい。これらの場合、導電性要素の露出部分は、バリア32の上部から突出することができる。
【0073】
一例として、バリア32は、図1及び図5の例のように、錐体形又はカップ形状の要素を有することができる。しかし、導電性要素24と壁34との間にバリア32が強固に充填され、導電性要素24は、バリア32の遠位端から突出し、この突出が、導電性要素24の露出部分25を形成する。この場合、バリア32は、依然として導電性要素24の露出部分25の保護を提供する。なぜなら、電極22の下部(バリア要素の近位)に比べてその拡張された最大幅が、物理的な接触を逸らせる、又は近くの電極の遠位領域間のより大きな物理的な分離を強制するものとして機能するからである。
【0074】
好ましくは、すべての場合において、バリア32はコーティングではない。ここで、コーティングは、当該技術分野において通常使用される意味を持ち、即ち、導電性要素の薄い、通常均一な厚さの膜又は被覆を意味する。
【0075】
図5及び6は、本発明の1つ又は複数の実施形態による口腔ケア装置のための例示的な清掃及び/又は処置ユニット12を概略的に示す。清掃及び/又は処置ユニット12は、支持体14と、支持体14の表面16から外側に延びる複数の電極22とを有する。図5及び図6では、2つの電極22だけが示されるが、2つ以上の電極が設けられることができる。複数の電極22は、電極22の1つ又は複数の対を有することができる。動作時において、所与の対の電極22は、異なる電圧で駆動されることができる。その結果、それらの間に電位差がある。そのため、電極22間の接触が、短絡による熱の生成をもたらす可能性がある。
【0076】
図5は、電極22の摩耗又は劣化が少ない状態(例えば工場出荷時の新品状態)にある例示的な清掃及び/又は処置ユニット12を示し、そこでは、電極22が直線状であり、互いに対して曲がっていない。それは代替的に、電極22が口腔内の表面との接触により偏向されていないときの、ユニットの静止状態を表す。
【0077】
図6は、電極22が弓なりになる又は変形され、その結果それらは互いに向かって曲がる、又は使用中に互いに向かって曲がることに抵抗するための構造的剛性を失っているような、摩耗又は劣化が進んだ状態の例示的な清掃及び/又は処置ユニット12を示す。代替的に、それは、摩耗が少ない状態を表すことができる。そこでは、口腔内でのユニットの使用中に電極22が互いに曲げられ、これが、電極22への力の印加をもたらす。いずれの場合も、従来技術の装置では、これは、電極22の導電性要素24の露出部分25間の接触による短絡の危険をもたらす。図6に示されるように、この発明の実施形態による電極22の各々により運ばれるバリア32は、(電極22が互いに向かって相対的に曲げられることにより)他の電極22による各電極の導電要素24の露出部分の接触をブロックするよう構成された物理的バリア要素の形態である。
【0078】
図5及び図6では、図示される一対の電極22の両方の電極がバリア32を有しているが、これは必須ではない。より一般的には、一対の電極22の一方のみがバリア32を有することができる。なぜなら、これはそれ自体が、一対の2つの電極の露出した導電性部分25間の物理的な接触をガードするからである。より一般的には、清掃及び/又は処置ユニット12が含む複数の電極22の1つ又は複数のサブセットのみが、物理的バリア要素を有することが要求される。
【0079】
上述したように、清掃及び/又は処置ユニット12は、清掃機能のためにユーザの口腔内の表面と機械的に係合するために、支持体14の表面から外側に延びる複数の機械的清掃要素52を更に含むことができる。清掃要素は例えば、ブリッスルのような清掃フィラメントを有し、及び/又はブリッスルのような清掃フィラメントの束を有することができる。電極22はそれぞれ、清掃要素のフィールドの中に入れ子にされてもよい。
【0080】
図7~8は、本発明の1つ又は複数の実施形態による、複数の清掃要素52及び複数の電極22を含む例示的な清掃及び/又は処置ユニット12を概略的に示す。電極22は、清掃要素52又は清掃要素52の束に囲まれるよう構成されることができる。例えば、複数の清掃要素52は、清掃要素52の少なくとも1つの空間群を有することができる。空間群は、支持体14の表面16の領域を覆う。複数の電極22の少なくともサブセットは、領域内の支持体表面16上の位置から外側に延びる。空間群は、清掃要素52のタフト又は清掃要素52のフィールドを形成してもよく、フィールドは、複数のタフト、又は複数の個別の清掃フィラメントを有することができる。
【0081】
電極22は、好ましくは横方向に柔軟であり、これは、その長さLにより規定される寸法を横切る方向において屈曲可能であることを意味する。
【0082】
複数の電極22の少なくともサブセットは、清掃要素52と同じ高さまで(清掃及び/又は処置ユニット14の表面16から)延びることができる。清掃要素の空間群における清掃要素52の遠位先端は、表面16からの均一な高さであってもなくてもよい高さプロファイルを規定し得る。電極の遠位先端は、高さプロファイルの中にある。
【0083】
異なる駆動電圧で駆動される電極22の1つ又は複数の対は、清掃要素52の同じ空間群内に配置されることができる。これは、短絡を発生しやすくし、この状況においてバリア32を特に有益なものにする。
【0084】
図8は例えば、清掃及び/又は処置ユニット12の機械的摩耗又は劣化の状態を示し、そこでは、電極22及びブリッスル52が部分的に変形され及び曲げられ、又は曲げ剛性を失っており、その結果それらは、曲がりやすくなっている。代替的に、それは、口腔内の表面との接触により、又は機械的振動子による振動により電極22が偏向されるような、口腔内で動作するユニットを表すことができる。図示されるように、電極22の遠位部分は、特に清掃要素52の同じフィールド(又は他の空間群)に位置する場合、互いに接触するより大きなリスクを持つ場合がある。本発明の実施形態によるバリア32は、電極導電性要素24の少なくとも露出部分25間の接触を妨げ、これにより短絡が防止される。
【0085】
図9は更に、電極22及び清掃要素52の例示的な空間構成(平面図)を概略的に示す。図示されるように、清掃及び/又は処置ユニットは、清掃要素52の複数の空間群62を有することができる。図9では、これらは、清掃要素52のタフトの形で図示される。清掃要素52の空間群の1つのサブセット62aは、グループの清掃要素52の間に入れ子にされた(空間群のフットプリント領域内にある清掃及び/又は処置ユニット表面16上の点から延びて位置する)電極22を含んでいる。清掃要素の同じ空間群(例えばタフト)に複数の電極22を提供することは、機能的に有利である。なぜなら、単位面積当たりのより大きな電磁(EM)エネルギーの供給を可能にするからである。清掃要素の空間群の第1のサブセット62aの各々は、動作時に、異なる電圧で駆動される少なくとも1対の電極22を含んでよい。
【0086】
清掃要素52の空間群の更なるサブセット62bは、電極22を含まない。しかしながら、これは必須ではなく、更なる実施形態において、清掃要素52の全ての空間群は、1つ又は複数の電極22を有することができる。図から分かるように、複数の電極22が清掃要素52の同じ空間群(例えば、タフト又はフィールド)内に含まれる場合、電極22間の接触の可能性が高い。タフトは空間的に閉じ込められ、例えば静的な中性状態にあるときでも、隣接する清掃要素52が互いに接触する。従って、バリア32の使用は、斯かる例において特に有利である。
【0087】
更なる一組の例では、電極22は、清掃要素52の空間群の外側、例えば清掃要素52の2つ以上の空間群の間に配置されることができる。好ましくは、この場合、電極22は、清掃要素52の高さよりも小さい表面からある高さまで延びることができる。これは、電極22が、口腔内の表面と係合する際の清掃要素52の作用と機械的に干渉することを回避する。
【0088】
図10は、1つ又は複数の実施形態による清掃及び/又は処置ユニット12に使用するためのバリア32を備える例示的な電極22の構造を概略的に示す。電極22は、導電要素の第1長さ部分に沿って電極の導電要素24と固体接触する第1セクション42aを持つ電気絶縁シース42を有する。シースの第1セクション42aは、導電性要素24の第1長さ部分を同軸に囲んで覆い、第1長さ部分が電極のコアを形成する。導電性要素24の第1の長さ部分は、導電性要素24の非露出部を形成する。
【0089】
シースは、第1のセクション42aの遠位端から外側に延びる、第2のセクション42bを更に有する。シースの第2セクション42bは、バリア32を形成する。特に、図示の例では、シースの第2のセクション42bは、導電性要素24の第2の長さ部分から半径方向に間隔を置いて配置され、環状に取り囲む環状壁34を形成し、環状壁はバリア32を規定する。第2の長さ部分は、導電性要素24の露出部分25を形成する。
【0090】
図10(左)は、電極22の透視図を示す。図10(右上)は、電極22の平面図を示し、バリア32を形成するシースの第2セクション42bが見えている。図10(右下)は、電極を通り、電極の長さL寸法(即ち軸方向の寸法)に垂直な面を横切り、シースの第1のセクション42aにより覆われる電極の部分を通る断面を示す。図示されるように、シースの第1部分42aは、導電性要素24の第1長さ部分と固体接触する。
【0091】
従って、この例のバリア32は、導電性要素の近位部分を覆う絶縁シースの遠位部分42bにより形成される。これは、構造的に効率の良い構成である。
【0092】
絶縁シースの第2セクション42bは、電極22の遠位先端の方向においてシースの第1セクション42aの遠位端から半径方向外側にテーパー状にされる。言い換えれば、それは、近位端よりも(開いた)遠位端でより大きな直径を持つ、錐体形状を規定し、近位端は、シースの第1セクション42aの遠位端に結合される。
【0093】
本発明の更なる態様による実施例は、口腔ケア装置70を提供する。
【0094】
図11は、1つ又は複数の実施形態による例示的な口腔ケア装置70の基本要素を示す。口腔ケア装置70は、上記若しくは後述する任意の例若しくは実施形態、又は本願の任意の請求項による口腔清掃及び/又は処置ユニット12を有する。口腔ケア装置70は、電極からのRF電磁放射の生成を刺激するために、口腔清掃及び/又は処置ユニット12の複数の電極22a、22bに供給するための1つ又は複数の駆動信号を生成するよう構成された信号生成器72を更に含む。
【0095】
図11の例は、一対の電極22a、22bを示すが、更なる例では、より多くの電極22が、対において、又は更に個別の電極として提供され得る。
【0096】
信号生成器72は、電極22a、22bに供給するための交流電流又は電圧の形態の駆動信号を生成することができる。駆動信号は、無線周波数帯における時間的に変化する電磁界及び/又は電磁波の電極による生成を刺激するためのものである。例として、適切な周波数範囲は、30Hzから300GHzの間とすることができる。
【0097】
信号生成器72は、一対の2つの電極22a、22bに異なる電圧を供給することができる。それは、両者に逆極性の電圧を供給することができる。それは、すべての電極22若しくはすべての電極の組に同じ駆動信号を供給するよう構成されてもよいし、又は電極22の異なるサブセット、例えば清掃及び/又は処置ユニット12に含まれる電極の異なる空間群に異なる駆動信号を供給するように動作可能であってもよい。電極22は、信号生成器72からの駆動信号で駆動される際に、電磁放射を生成するよう構成される。
【0098】
オプションで、口腔ケア装置70は、信号生成器72の動作を制御するよう構成されたコントローラ74を更に含むことができる。例えば、それは、電極22の駆動方式を制御し、例えば電極22の異なる空間群の活性化及び非活性化を制御し、及び/又はRF放射(RFフィールド又はRF波)生成のタイミングを制御することができる。
【0099】
好ましい実施形態では、口腔ケア装置70の清掃及び/又は処置ユニット12は、複数の清掃要素(例えば、ブリッスル)52を更に備える。
【0100】
好ましい実施形態では、口腔ケア装置は、清掃及び/又は処置ユニット12の支持体に振動運動を加えるよう構成された機械的運動生成器(図11にて図示省略される)を更に備える。これは、コントローラ74に結合されてもよい。振動運動は、清掃要素52の振動を引き起こし、これは、清掃要素52が口腔表面に対して適用されるとき、清掃及び/又は処置作用を強化する。
【0101】
振動運動は、電極22の移動をもたらすこともできる。電極22の振動運動は、電極22間の接触可能性を増加させる。従って、バリア32は、斯かる実施形態に特に有用である。
【0102】
図12~13は、歯ブラシの形をした口腔ケア装置70の一例を示す。この例では、口腔清掃及び/又は処置ユニット12は、歯ブラシの着脱式ブラシヘッドの形態である。電極22及びブリッスルフィールド52を担持する支持体14が、ブラシヘッドのプラテン部により形成される。この例におけるブラシヘッドは、歯ブラシのベース部82に対する取り外し可能なアタッチメントを形成し、ベース部は、デバイスのハンドルを形成する。信号生成器72及びオプションのコントローラ74は、ベース部82内に収容される。振動運動生成器も、ベース部82に収容され、清掃及び/又は処置ユニット12に振動運動を加えるよう構成されることができる。
【0103】
ベースユニット82並びに清掃及び/又は処置ユニット12は、清掃及び/又は処置ユニット12のベースユニットへの機械的結合又はドッキングの際、信号生成器72と清掃及び/又は処置ユニットに含まれる電極22との間に電気的接続が確立されるよう構成される相補的電気コネクタを含んでよい。
【0104】
図12~13の例では、歯ブラシの形態の口腔ケア装置70を示すが、これは必須ではない。更なる非限定的な例として、口腔ケア装置は、歯受容チャネルを規定する本体を含むマウスピース装置の形態をとることができ、ここで、ブリッスルは、歯清掃機能のためにチャネル内に突出して配置される。本体は例えば、U字型、又はC字型、又はJ字型であってもよい。更なる例は、口腔洗浄器、電動フロッシングデバイス、又は他の任意の口腔ケア装置を含む。
【0105】
開示された実施形態への変形は、図、開示、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実施されることができる。特許請求の範囲において、「有する」という語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。
【0106】
上述したように、特定の実施形態は、コントローラを利用する。コントローラは、必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて様々な態様で実現されることができる。「プロセッサ」は、必要とされる機能を実行するためソフトウェア(例えばマイクロコード)を使ってプログラムされることができる1つ又は複数のマイクロプロセッサを採用したコントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを採用してもしなくてもよく、また、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、プログラムされた1つ又は複数のマイクロプロセッサ及び関連回路)との組み合わせとして実現されてもよい。
【0107】
本願の様々な実施形態で採用され得るコントローラ要素の例は、以下に限定されるものではないが、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。
【0108】
様々な実現において、プロセッサ又はコントローラは、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ又は複数の記憶媒体と関連付けられることができる。記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ及び/又はコントローラで実行されるとき、必要とされる機能を実行する1つ又は複数のプログラムでエンコードされていてもよい。様々な記憶媒体は、プロセッサ若しくはコントローラ内に固定されていてよく、又はそこに格納される1つ若しくは複数のプログラムがプロセッサ若しくはコントローラにロードされることができるように、搬送可能であってもよい。
【0109】
相互に異なる従属請求項に記載された手段は、有利に組み合わせられることができる。特許請求の範囲又は明細書において、「~よう適合」という用語が使用される場合、「~よう適合」という用語は「~よう構成された」という用語と同等であることが意図されることに留意されたい。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】