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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】タッピング運動を伴う歯ブラシ
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/34 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
A61C17/34 H
A61C17/34 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533869
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 EP2021085777
(87)【国際公開番号】W WO2022129103
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/126,385
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ベニング ウォルター
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA07
3B202BC08
3B202BD01
3B202BE10
3B202CA02
3B202CB04
(57)【要約】
本開示は、ブラシヘッドのタッピング運動を提供する、製造が簡単な設計の低価格の歯ブラシに関する。一実施形態では、歯科用清掃装置が、偏心回転質量モータと、このモータに機械的に結合される駆動シャフトとを含む。ばね要素が、駆動シャフトの軸に垂直な方向に作用する構成で駆動シャフトに取り付けられる。ばね要素及び駆動シャフトは、共振周波数を持つアセンブリを形成する。電源は、アセンブリの共振周波数付近でモータが動作することをもたらすのに十分な電力をモータに供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用清掃装置であって、
偏心質量を持つ回転モータと、
前記モータに機械的に結合された従動部材と、
前記従動部材に取り付けられ、前記従動部材の軸に垂直な方向に作用するばね要素であって、
前記モータ、前記ばね要素、前記従動部材が、共振周波数を持つアセンブリを形成する、ばね要素と、
前記モータが前記アセンブリの共振周波数付近で動作することをもたらすのに十分な電力を前記モータに供給する電源とを有する、歯科用清掃装置。
【請求項2】
前記従動部材が延在するフレームを更に有し、
前記従動部材が、前記モータに結合される駆動シャフトを含み、
前記ばね要素は、前記駆動シャフトと前記フレームとの間に、前記モータの軸に垂直な方向において前記駆動シャフトに力を加える向きで取り付けられるトーションばねを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モータが、偏心回転質量モータを有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記従動部材が、前記駆動シャフトに結合されたブラシヘッドを更に有し、
前記ブラシヘッドは、前記ばね要素により及ぼされる力の方向と平行な方向に配向される毛を持つ、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記モータが動作しているとき、前記ブラシヘッドが主にタッピング運動で動く、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記モータが前記アセンブリの共振周波数付近で動作している間、前記ブラシヘッドが、主にタッピング運動で動く、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記電源が、DC電源である、請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記DC電源が、電池を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記電池が、充電可能な電池である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記電池が、交換可能な電池である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記ばね要素が、前記駆動シャフトの対向する側に配置された一対のトーションばねを含む、請求項2乃至10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記ばね要素が、プラスチック要素を含む、請求項1乃至11のいずれかに記載の装置
【請求項13】
前記ばね要素が、ヘリカルスプリングを有する、請求項2乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記ばね要素が、リーフスプリングを有する、請求項2乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記従動部材が、前記モータの動作周波数を前記システム共振周波数以下に保つ、前記モータと前記ブラシヘッドとの間の順守要素として機能する駆動シャフトを有する、請求項4乃至14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
電動歯ブラシであって、
フレームと、
前記フレームに取り付けられた偏心質量回転モータと、
前記モータに機械的に結合された駆動シャフトと、
前記駆動シャフト及び前記フレームに取り付けられ、前記駆動シャフトの軸に垂直な方向において前記駆動シャフトに力を加える構成のトーションばねであって、
前記トーションばね、前記モータ、前記駆動シャフト及び前記フレームが、共振周波数を持つアセンブリを形成する、トーションばねと、
前記トーションばねが及ぼす力の方向とブラシヘッドの毛が平行である向きで、前記駆動シャフトに取り付けられるブラシヘッドと、
前記モータが前記アセンブリの前記共振周波数付近で動作することをもたらすのに十分なDC電力を前記モータに供給するバッテリとを有し、
前記モータが前記共振周波数付近で動作している間、前記ブラシヘッドが実質的にタッピング運動で動く、電動歯ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケア用装置の分野に関し、より詳細には、電動歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシは通常、ブラシヘッドがその長手方向軸の周りで回転するブラシヘッドのスイープ運動、又は円形パターンに配置された毛タフトが歯ブラシの長手方向軸に垂直な軸の周りで回転するロータリー運動のいずれかを提供する。ブラシヘッドがスイープ運動する低価格の電動歯ブラシは通常、ブラシヘッドのスイープ運動を得るために偏心回転質量(ERM)モータを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
低価格の電動歯ブラシは、一般的に制御されていない軌道上のスイープ運動を示すことが多く、これは効果に欠ける。それらは、ハンドル及びブラシのかなりの振動を生み出し、これは、ユーザにとって不快感である可能性がある。機械的な共振器及びブラシの動きを駆動するために磁気コイルを用いる良い効能を生み出す一層効率的な歯ブラシが存在する。斯かるシステムは、複雑で、コイルを駆動するために最適なAC信号を作るため、チューニングと、プロセッサ及びMOSFETなどの電子機器とを必要とする。これは、より高い製造コストをもたらす。
【0004】
参照により本書に組み込まれるUS8,418,300号は、電気モータを使用して低コストで製造されることができる、共振探索特性を持つ電動歯ブラシシステムを記載している。本書に記載の実施形態では、起動後にモータのRPMがゼロから上昇するとき、駆動信号の周波数が共振付近まで上昇し、駆動信号からのエネルギーが従動アセンブリの回転運動に伝達され、ブラシヘッドスイープ運動の有効振幅が生み出される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ブラシヘッドを専ら毛の方向と平行な方向に移動させる歯ブラシは、良好な清掃効果を提供することができる。この動作(以下の議論において「タッピング」と呼ばれる)は、これまで低価格の電動歯ブラシでは利用可能ではなかった。斯かる必要性に対処する本書に記載された態様及び実施形態によれば、本開示は、ブラシヘッドのタッピング運動を提供する、製造が簡単な設計の低コストの歯ブラシに関する。
【0006】
一実施形態において、歯科用清掃装置は、偏心質量を備える回転モータと、モータに機械的に結合された従動部材とを含む。実施形態では、モータは、偏心回転質量モータである。ばね要素が、従動部材の軸に垂直な方向に作用する構成で、従動部材に取り付けられる。ばね要素及び従動部材は、共振周波数を持つアセンブリを形成する。電源は、モータがアセンブリの共振周波数付近で動作することをもたらすのに十分な電力をモータに供給する。
【0007】
実施形態では、装置は、従動部材が延びるフレームも含み、従動部材は、モータに結合された駆動シャフトである。ばね要素は、駆動シャフトとフレームとの間に、モータの軸に垂直な方向において駆動シャフトに力を加える向きで取り付けられたトーションばねである。
【0008】
一実施形態では、従動部材は、駆動シャフトと、駆動シャフトに結合されたブラシヘッドとを含む。ブラシヘッドは、ばね要素が及ぼす力の方向と平行な方向に配向される毛を持つ。
【0009】
実施形態では、モータが動作しているとき、ブラシヘッドは、主にタッピング運動で動く。モータがアセンブリの共振周波数付近で動作している間、ブラシヘッドは主にタッピング運動で動く。
【0010】
実施形態において、電源は、DC電源であってもよい。DC電源は電池であってもよく、電池は充電式又は交換式であってもよい。
【0011】
実施形態では、ばね要素は、従動部材の対向する側に配置された一対のトーションばねを含むことができる。
【0012】
実施形態において、ばね要素は、プラスチック要素を含むことができる。ばね要素は、ヘリカルスプリング、トーションバー、又はリーフスプリングとすることができる。
【0013】
一実施形態において、電動歯ブラシは、フレームと、上記フレームに取り付けられた偏心質量回転モータと、上記モータに機械的に結合された駆動シャフトとを有する。トーションばねは、駆動シャフトの軸に垂直な方向に駆動シャフトに力を加える構成で、駆動シャフト及びフレームに取り付けられる。トーションばね、駆動シャフト及びフレームは、共振周波数を持つアセンブリを形成する。ブラシヘッドは、トーションばねが及ぼす力の方向とブラシヘッドの毛が平行になる向きで駆動シャフトに取り付けられる。バッテリは、モータがアセンブリの共振周波数付近で動作するのに十分なDCパワーをモータに供給する。本実施形態では、モータが共振周波数付近で動作している間、ブラシヘッドは実質的にタッピング運動で動く。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による電動歯ブラシの側面図の説明である。
図2】電動歯ブラシのブラシヘッドの端面図であり、矢印が運動方向を示す、図である。
図3】本発明の一実施形態による運動方向を示す矢印が付された、電動歯ブラシにおけるブラシヘッドの端面図である。
図4】本書で説明する実施形態による電動歯ブラシの上面図の概略的な説明である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面では、同様の参照数字は一般に、異なる図を通して同様の要素を参照する。また、図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに一般に、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【0016】
開示された主題は、図と合わせて以下の詳細な説明を検討することにより、より好適に理解されるであろう。詳細な説明及び図は、本書に記載された発明の例示的な実施形態を提供する。当業者であれば、本書に記載した発明の範囲から逸脱することなく、開示した実施例が変形、修正及び変更されることができることを理解するであろう。
【0017】
図1、2及び3を参照すると、電動歯ブラシ10は、ハウジング14から外側に延びる駆動シャフト12に取り付けられたブラシヘッド11を持つ。ハウジング14は、ユーザにとってのハンドルとして機能する大きさ及び形状である。ブラシヘッド11は、交換可能であってもよい。歯ブラシ10は、駆動シャフト12及びブラシヘッド11のネック18を通る長手軸16を持つ。従来の電動歯ブラシでは、駆動シャフト12は長手軸16の周りで回転する。これは次に、図2の矢印で一般的に示される円弧を通してブラシヘッド11を回転させる。この円弧は、長手軸16に垂直である。電動歯ブラシの長手軸に垂直な円弧を通る回転運動は、本書ではスイープ運動と呼ばれる。図3を参照すると、本書で説明する実施形態は、図3の両頭矢印で示す概ね上下方向へのブラシヘッドの動きを提供する。この方向は、駆動シャフト12の長手軸16に概ね垂直であり、毛20の長さに平行である(図1の両頭矢印21参照)。長手方向軸に概ね垂直で、毛の長さに平行な方向におけるブラシヘッドの動きは、本書ではタッピング運動と呼ばれる。
【0018】
従来の電動歯ブラシは主にスイープ運動を提供するが、支配的なタッピング運動が歯の清掃に効果的であることが認識される。この動きを提供する電動歯ブラシは、一般に入手可能な電動歯ブラシのスイープ動作の効果的な代替となり、場合によっては、従来のスイープ動作よりも効果的となる可能性がある。本書に記載の実施形態は、比較的低コストで容易に製造されることができる、効果的な代替清掃機構、即ちタッピング運動で主に動くブラシヘッドを備える電動歯ブラシを提供する。
【0019】
図4を参照すると、図示の実施形態では、偏心回転質量モータ(ERM)22がハウジング14の内側に取り付けられる。歯ブラシハンドルとして使用されるハウジング14内に収まるサイズ及び形状を持つERMモータが市販される。モータ22に定電圧を供給するDC電源24がERMモータ22に接続される。電源24は、交換可能又は充電可能な電池であってもよい。電池24は、ERMモータ22の規定動作電圧にマッチする約1~3ボルトの電池電圧を提供するものであればよい。ユーザに異なる性能レベルを提供するため歯ブラシの性能を変化させることが望まれる場合、又はバッテリの放電に伴う電圧劣化に対応することが望まれる場合、パルス幅変調により実効電圧が変化されることができる。
【0020】
駆動シャフト12は、モータ22に機械的に結合され、ハウジング14から外側に延びてブラシヘッド11と係合する。ERMモータ22は、駆動シャフト12を介してブラシヘッド11に伝達される往復動力を提供する。斯かる力を伝達することができる駆動シャフトとブラシヘッドとの間の結合機構の例は、US8,782,841号に記載されており、これは参照により本書に組み込まれる。駆動シャフト12がハウジング14から出る開口部を封止するために、例えばゴムシールであってもよいシール26がハウジング14の端部に設けられており、水又は他の流体がハウジング14内に出ることを防止している。
【0021】
トーションばね30が、駆動シャフトの軸16に垂直な方向で、かつブラシヘッド11にある毛20の長さに平行な方向において駆動シャフト12に作用する構成で、トーションばね30は、ハウジング14の内部及び駆動シャフト12に取り付けられる。図示の実施形態では、ハウジング14は、駆動シャフト軸16に対して実質的に静止しているフレームとして機能する。他の実施形態では、駆動シャフト12に対して静止している別個のフレームがハウジング14内に収容されることができ、斯かる代替実施形態では、トーションばね30は、フレーム及び駆動シャフト12に取り付けられる。駆動シャフトの対向側に取り付けられる一対のトーションばねが使用されることができる。
【0022】
トーションばね30は、金属又はプラスチック材料とすることができる。
ポリオキシメチレン(POM)又はポリアミドなどの安価なプラスチックが使用されることができる。それは、トーションバー、ヘリカルスプリング、リーフスプリング、又はリーフスプリング、V字型リーフスプリング若しくはスパイラルスプリングの組み合わせとして形成されることができる。
【0023】
実施形態において、駆動シャフト12、トーションばね30及びハウジング/フレーム14は、プラスチック材料(例えば、POM又はPAなど)から一体部分として製作されてもよいし、又は一緒に組み立てられる金属若しくはプラスチックの別々の部分であってもよい。
【0024】
動作時、ERMモータ22は駆動シャフト12に往復運動を与え、それをブラシヘッドに伝達する。ばね要素30は、駆動シャフト軸16に垂直な方向であって、毛20が延びる方向と平行な方向において作用し、駆動シャフト12及びブラシヘッド11が並進運動することを促し、軌道運動を抑制するのに必要な剛性を提供する。ブラシヘッド11及びばね要素30が、毛20の方向がばね30により及ぼされる力と平行である向きに配置される状態では、これは、ブラシヘッド11の支配的なタッピング運動をもたらす。シール26での動きを最小限にするために、図示の実施形態のトーションばね30は、シール26の近くに配置される。
【0025】
モータ、駆動シャフト12、ブラシヘッド11及びばね30を組み合わせて、機械的な共振システムを形成する。モータ22の電源投入後、その周波数は上昇する。それが共振システムの共振周波数に近づくと、モータの周波数は安定し、システムは、モータ22のエネルギー出力と共振システムが吸収するエネルギーとの間の均衡を確立する。この時点で、ブラシヘッド11は、実質的な振幅を持つタッピング運動で動くことになる。なぜなら、共振システムがモータ22からのエネルギーの大部分を吸収しており、トーションばね30がブラシヘッド11の支配的なタッピング運動をもたらす力を加えているからである。電源24からのDC信号の電圧は、その安定したポイントに制御される。ここで、電圧が高いほど、共振周波数に近づく(又は超える)。本発明の譲受人が所有するUS8,418,300号が参照され、これは、共鳴探索特性を備える電動歯ブラシを記載する。この特許に記載の実施形態では、起動後にモータのRPMがゼロから上昇するとき、駆動信号の周波数が共振付近まで上昇し、駆動信号からのエネルギーが従動アセンブリの回転運動に伝達され、ブラシヘッドスイープ運動の有効振幅が生み出される。
【0026】
共振システムへの変化は、共振特性を変化させ、及び従って、それが吸収することができるエネルギー量も変化させる。所与の歯ブラシについて、その共振特性は例えば、ばね要素が時間の経過とともにその剛性を徐々に失うこと、又はシステムの他の部分の摩耗の影響により、経時的に変化する可能性がある。共振特性は、製造公差の関係で歯ブラシごとに異なる。また、ユーザが歯ブラシとどのように相互作用するか(例えば、どの程度強く歯ブラシが握られるか、又は歯に適用されるか)の側面が、共振システムに影響を与える場合がある。本実施形態のモータ22の出力は、プリセットされた周波数まで増加するのではなく、共振システムの共振周波数付近まで増加するため、最適な性能で動作するための製造上のチューニング又は調整を必要としない。また、このため、比較的安価な材料及び比較的大きな製造公差が使用されることができる。ばね要素30は、POM又はPAのような低コストのプラスチックで形成されることができる。なぜなら、システムが経時的に緩やかな剛性変化へと自己調整するからである。駆動シャフト、ハウジング及びばねは、POM又はPAなどの一般的なプラスチックで作られた単一のプラスチック部分として製作されることができ、本実施形態の共振探索特性は、製品の寿命に伴うあらゆる剛性の変化に対応する。斯かる実施形態では、プラスチック構造は、モータ取り付け(クランプ又は接着)及びハウジングのインターフェースを提供することもできる。
【0027】
図示の実施形態では、オーバーシュートが回避されることができる。共振特性の変化又は分散の結果、システムがモータ22のエネルギー出力を吸収できない場合、モータ周波数が共振システムの共振周波数を超えて上昇する。これが「オーバーシュート」と呼ばれる。オーバーシュートが発生すると、モータ周波数は上昇し続け、共振周波数まで低下しない。これは、ユーザの手における歯ブラシの不快な振動、歯ブラシの要素の摩耗の増加、ブラシヘッドの非効率な動きなど、望ましくない結果をもたらす。
【0028】
実施形態では、駆動シャフト12は、モータ22とブラシヘッド11との間で順守要素として機能し、モータ出力の一部を吸収するような特性を持つ。これは、モータ22の動作周波数をシステム共振周波数以下に保ち、オーバーシュートが回避される。順守要素は代替的に、追加部品とすることもできる。
【0029】
本発明が図及び説明において詳細に図示及び説明されてきたが、斯かる図及び説明は説明的又は例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態への変形は、図、開示、及び添付の請求項の検討から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実施されることができる。従って、ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。特許請求の範囲に記載される任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0030】
本書において定義及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、及び/又は定義された用語の通常の意味に優先して適用されるものと理解されたい。
【0031】
いくつかの発明的な実施形態が本書において説明及び図示されてきたが、当業者であれば、本書に記載された機能を実行し、及び/又は結果を得、及び/又は1つ以上の利点を得るための様々な他の手段及び/又は構造を容易に想定することができ、斯かる変形及び/又は変更のそれぞれは、本書に記載された発明的な実施形態の範囲内であるとみなされる。より一般的には、本書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成は例示的なものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、本発明の教示が使用される特定の用途又はアプリケーションに依存することを、当業者は容易に理解するであろう。当業者であれば、本書に記載された特定の発明的実施形態の多くの均等物を認識するか、又は日常的な実験以上のことをせずに確認することができるであろう。従って、前述の実施形態は例示としてのみ提示され、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、発明的な実施形態は、具体的に説明し請求項に記載されるものとは別の態様で実行され得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】