(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】難燃性造形材料および関連するプリントされた3D物品
(51)【国際特許分類】
C08F 26/06 20060101AFI20231220BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20231220BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20231220BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20231220BHJP
C08K 5/521 20060101ALI20231220BHJP
C08F 20/18 20060101ALI20231220BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
C08F26/06
B33Y10/00
B33Y70/00
B29C64/106
C08K5/521
C08F20/18
C08F2/44 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534120
(86)(22)【出願日】2021-12-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021062413
(87)【国際公開番号】W WO2022125668
(87)【国際公開日】2022-06-16
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ムサ,カリル
【テーマコード(参考)】
4F213
4J002
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4F213AA43
4F213AB04
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4F213WB01
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4F213WL25
4J002BJ001
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4J011QB24
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4J011SA84
4J011TA08
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4J011UA01
4J011WA07
4J100AE75S
4J100AL62R
4J100AL66Q
4J100AL67P
4J100BA39Q
4J100BC75P
4J100BC75S
4J100FA03
(57)【要約】
3Dプリント用途向けの重合性液体が本明細書に記載され、いくつかの実施形態において、造形材料からプリントされた物品に難燃性および/または耐炎性を付与する。重合性液体はまた、物品に所望の機械的特性を与えることができる。いくつかの実施形態において、重合性液体は、重合性液体の総重量に基づいて少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分、および、1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分を含む。いくつかの実施形態において、重合性液体はアクリレート成分をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性液体であって、
前記重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分;および
1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分
を含む、重合性液体。
【請求項2】
前記硬化性イソシアヌレート成分が、フリーラジカル重合を介して重合可能であることを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項3】
前記硬化性イソシアヌレート成分が、イソシアヌレートポリアクリレート、ポリアリルイソシアヌレートまたはこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項2に記載の重合性液体。
【請求項4】
前記イソシアヌレートポリアクリレートが、式I:
【化1】
のものであり、
式中、R
1~R
3はそれぞれ独立して、水素およびアルキルからなる群から選択され、m、nおよびpはそれぞれ独立して1~10の範囲の整数である
ことを特徴とする、請求項3に記載の重合性液体。
【請求項5】
前記ポリアリルイソシアヌレートが、式II:
【化2】
のものであり、
式中、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である
ことを特徴とする、請求項3に記載の重合性液体。
【請求項6】
前記オルガノホスフェート成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~40質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項7】
前記1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物が、以下の式:
【化3】
のものであり、
式中、R
1~R
3は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される
ことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項8】
前記1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物が、ビス(オルガノホスフェート)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項9】
前記硬化性イソシアヌレート成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、30~80質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項10】
アクリレート成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項11】
前記アクリレート成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、30~70質量%の量で存在することを特徴とする、請求項10に記載の重合性液体。
【請求項12】
前記アクリレート成分が、アクリレートモノマーおよびアクリレートオリゴマーの混合物を含むことを特徴とする、請求項10に記載の重合性液体。
【請求項13】
光開始剤成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項14】
前記光開始剤成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、0.1~5質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項13に記載の重合性液体。
【請求項15】
三次元物品をプリントする方法であって、
重合性液体を提供する工程;および
光を用いて前記重合性液体をプリントおよび硬化させ、前記物品を形成する工程
を含み、
前記重合性液体が、
該重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分;および
1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分
を含む、方法。
【請求項16】
前記物品が、ISO 4589に従って25~30%の限界酸素指数を有することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記物品が、ISO 4589に従って28~30%の限界酸素指数を有することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記重合性液体が、層ごとのプロセスで提供されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記重合性液体が光開始剤成分をさらに含み、前記重合性液体の硬化がフリーラジカル重合を介して進行することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化性イソシアヌレート成分が、イソシアヌレートポリアクリレート、ポリアリルイソシアヌレートまたはこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記イソシアヌレートポリアクリレートが、式I:
【化4】
のものであり、
式中、R
1~R
3は独立して、水素およびアルキルからなる群から選択され、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である
ことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリアリルイソシアヌレートが、式II:
【化5】
のものであり、
式中、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である
ことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記オルガノホスフェート成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~40質量%の量で存在することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物が、以下の式:
【化6】
のものであり、
式中、R
1~R
3は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される
ことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物が、ビス(オルガノホスフェート)を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記硬化性イソシアヌレートが、前記重合性液体の総重量に基づいて、30~80質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記重合性液体が、アクリレート成分をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
前記アクリレート成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、30~70質量%の量で存在することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アクリレート成分が、アクリレートモノマーおよびアクリレートオリゴマーの混合物を含むことを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月10日に出願された米国仮特許出願第63/123,739号についての米国特許法(35 U.S.C.)第119条に従う優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、三次元造形材料に関し、特に、重合性液体からプリントされた物品に難燃性または耐炎性の特性を付与する重合性液体に関する。
【背景技術】
【0003】
3Dプリンタは、インクとしても知られる造形材料を用いて、コンピュータ生成ファイルに従って様々な3D物体、物品、または部品を形成する。いくつかの例では、造形材料は、周囲温度で固体であり、高い噴射温度で液体に変わる。他の例では、造形材料は、周囲温度で液体である。
【0004】
造形材料は、様々な化学種を含むことができる。造形材料に含まれる化学種の選択は、プリント物品の所望の化学的および/または機械的特性ならびに3Dプリント装置の動作パラメータを含むがこれらに限定されない、様々な考慮事項に従って選択することができる。例えば、紫外線(UV)硬化性アクリレート配合物は、概して、DLPシステムにおいて高い解像度で部品をプリントすることができる。しかしながら、多くの場合、生じる部品は、望ましい機械的特性を欠き、破損または他の劣化経路の傾向がある。このような劣化経路は、物品の性能を損ない、早期故障につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらに、いくつかの造形材料および造形材料からプリントされた結果としての物品は、高温用途および/または耐燃焼性を必要とする他の用途に不適切であり得る。その結果、3Dプリント技術は、難燃性または耐炎性の材料および物品を必要とする分野における用途が限られている場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みて、3Dプリント用途のための重合性液体が本明細書に記載され、いくつかの実施形態では、そのような重合性液体が造形材料またはインクとして使用される場合を含む、液体からプリントされた物品に難燃性および/または耐炎性特性を付与する。重合性液体はまた、物品に望ましい機械的特性を付与し得る。いくつかの実施形態では、重合性液体は、重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分と、1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分とを含む。いくつかの実施形態では、重合性液体は、アクリレート成分をさらに含む。アクリレート成分は、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0007】
さらに、三次元物品をプリントする方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本方法は、重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分と、1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分とを含む重合性液体を提供する工程を含む。重合性液体は、プリントされ、硬化されて、物品を形成する。いくつかの実施形態では、物品は、層ごとのプロセスを介して形成され、層形成は、重合性液体の層の堆積および硬化を介して行われる。いくつかの実施形態では、重合性液体はまた、アクリレート成分を含む。アシレート成分は、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0008】
本明細書にさらに記載されるように、重合性液体は、光開始剤成分をさらに含んでもよく、重合性液体の硬化は、フリーラジカル重合を開始させるのに適切な波長の光による液体の照射によって起こり得る。
【0009】
これらおよび他の実施形態は、以下の詳細な説明においてさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、以下の詳細な説明および実施例を参照することによってより容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に説明される要素、装置、および方法は、詳細な説明および実施例に提示される特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および適合が当業者には容易に明らかであろう。
【0011】
さらに、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含される任意のおよび全ての部分的範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「1.0~10.0」の規定された範囲は、1.0以上の最小値で始まり、10.0以下の最大値で終わる任意のおよび全ての部分的範囲、例えば、1.0~5.3、または4.7~10.0、または3.6~7.9を含むと見なされるべきである。
【0012】
本明細書に開示される全ての範囲はまた、他に特に明記しない限り、範囲の端点を含むと見なされるべきである。例えば、「5~10の間」の範囲は、概して、端点5および10を含むと見なされるべきである。
【0013】
さらに、語句「最大」が量または数量に関連して使用される場合、その量は少なくとも検出可能な量または数量であることを理解されたい。例えば、「最大」特定量の量で存在する物質は、検出可能な量から最大で特定量および特定量を含む量で存在することができる。
【0014】
冠詞「a」または「an」は、特定の使用の文脈がそうでないことを必要としない限り、「少なくとも1つ」を指すことも理解されたい。
【0015】
「三次元プリントシステム」、「三次元プリンタ」、「プリント」などの用語は、概して、選択的堆積、噴射、溶融堆積モデリング、マルチジェットモデリング、および、造形材料またはインクを使用して三次元物体を製作する当該技術で現在知られているかまたは将来知られ得る他の付加製造技術によって、三次元物品または物体を作製するための様々な固体自由形状製造技術を記載する。
【0016】
定義
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、1つまたは複数の置換基で任意に置換された、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素基を指す。例えば、アルキルは、C1~C30またはC1~C18であってもよく、下付き文字は炭素原子の数を指す。
【0017】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有し、1つまたは複数の置換基で任意に置換された、直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。
【0018】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有し、1つまたは複数の置換基で任意に置換された、直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。
【0019】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、単独でまたは組み合わせて、1つまたは複数の環置換基で任意に置換された、芳香族単環式または多環式環系を指す。
【0020】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、単独でまたは組み合わせて、環原子の1つまたは複数が、窒素、ホウ素、酸素および/または硫黄などの炭素以外の元素である、芳香族単環式または多環式環系を指す。
【0021】
本明細書で使用される「複素環」という用語は、単独でまたは組み合わせて、環系の1つまたは複数の原子が、ホウ素、窒素、酸素および/または硫黄またはリンなどの炭素以外の元素である、単環式または多環式環系を指し、環系が1つまたは複数の環置換基で任意に置換されている。複素環式環系は、1つまたは複数の不飽和点を有する環を含む、芳香族および/または非芳香族環を含み得る。
【0022】
本明細書で使用される「ヘテロアルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、同じであっても異なっていてもよい1つまたは複数のヘテロ原子で置換された、1つまたは複数の炭素原子、例えば、1つ、2つ、または3つの炭素原子を有する、上記で定義されるようなアルキル部分を指す。
【0023】
本明細書で使用される「ヘテロアルケニル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、同じであっても異なっていてもよい1つまたは複数のヘテロ原子で置換された、1つまたは複数の炭素原子、例えば、1つ、2つ、または3つの炭素原子を有する、上記で定義されるようなアルケニル部分を指す。
【0024】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、1つまたは複数の環置換基で任意に置換された非芳香族、単環式または多環式環系を指す。
【0025】
一態様では、3Dプリント用途で使用するための重合性液体が本明細書に記載される。重合性液体は、例えば、いくつかの実施形態では、デジタル光処理(DLP)、ステレオリソグラフィ(SLA)、およびマルチジェットプリント(MJP)のプリント用途で使用することができる。重合性液体は、重合性液体の総重量に基づいて少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分と、1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分とを含む。
【0026】
ここで特定の成分に目を向けると、硬化性イソシアヌレート成分は、本明細書に記載の技術的目的と矛盾しない任意の硬化性イソシアヌレートを含むことができる。いくつかの実施形態では、硬化性イソシアヌレートは、イソシアヌレート種の1つまたは混合物を含む。
【0027】
硬化性イソシアヌレートは、重合プロセスに関与するように動作可能な少なくとも1つの部分または官能基を含む。いくつかの実施形態では、イソシアヌレートは、複数の重合性部分または官能基を含むことができる。本明細書における参照目的のための「重合性部分」は、重合または硬化されてプリントされた3D物品または物体を提供することができる部分を含む。このような重合または硬化は、本開示の目的と矛盾しない任意の方法で実施することができる。重合性部分または官能基は、例えば、イソシアネートとヒドロキシルとの間の重縮合または反応を含む、非放射線誘導重合機構を受けるように動作可能なものを含み得る。いくつかの実施形態では、硬化性イソシアヌレートは、エポキシ、アミン、およびチオールを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の反応性官能基を含むことができる。あるいは、1つまたは複数の重合性官能基は、フリーラジカル重合に適した1つまたは複数の不飽和点を含むことができる。イソシアヌレートは、いくつかの実施形態では、イソシアヌレートアクリレートまたはイソシアヌレートポリアクリレートである。いくつかの実施形態では、イソシアヌレートポリアクリレートは式I:
【化1】
のものであり、
式中、R
1~R
3はそれぞれ独立して、水素およびアルキルからなる群から選択され、m、nおよびpはそれぞれ独立して1~10の範囲の整数である。
【0028】
いくつかの実施形態では、イソシアヌレートは、ポリアリルイソシアヌレートなどのアリルイソシアヌレートである。ポリアリルイソシアヌレートは、いくつかの実施形態では、式II:
【化2】
のものであり、
式中、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である。
【0029】
いくつかの実施形態では、硬化性イソシアヌレートは、重合性液体の総重量に基づいて、30~80質量%または35~70質量%の量で存在する。
【0030】
硬化性イソシアヌレート成分に加えて、重合性液体は、1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分を含む。重合性液体および重合性液体からプリントされた物品に難燃性または耐炎性を付与することと矛盾しない任意のオルガノホスフェートを使用することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物は、以下の式IIIに該当する:
【化3】
式中、R
1~R
3はそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、例えば、1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物は、アリールホスフェートまたはヘテロアリールホスフェートを含む。アリールホスフェートは、いくつかの実施形態では、トリフェニルホスフェートを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリン酸塩はビス(オルガノホスフェート)を含む。ビス(オルガノホスフェート)は、いくつかの実施形態において、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)またはこれらの混合物を含み得る。
【0032】
重合性液体のオルガノホスフェート化合物は、いくつかの実施形態では、ハロゲン化されていない。オルガノホスフェート化合物は、例えば、フッ素、塩素または臭素でハロゲン化されていない。
【0033】
オルガノホスフェート成分は、重合性液体中に任意の所望の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、オルガノホスフェート成分は、重合性液体の総重量に基づいて、10~40質量%または20~40質量%の量で存在する。
【0034】
本明細書に記載されるように、重合性液体は、硬化性イソシアヌレートおよびオルガノホスフェート成分に加えて、アクリレート成分をさらに含むことができる。アクリレート成分は、光重合性アクリレート種の1つまたは混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、アクリレート成分は、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、またはこれらの混合物を含むことができる。当業者に知られているように、モノマーは、ポリマーまたはコポリマーの単一の構造単位であり、オリゴマーまたはポリマーではない。対照的に、オリゴマーは、複数の化学的に結合したモノマーを含む。いくつかの実施形態では、アクリレート成分は、単官能性アクリレート、二官能性アクリレート、またはこれらの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、アクリレート成分は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ラウリルメタクリレート、またはこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、アクリレート成分は、単官能性または二官能性脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、アクリレート成分は、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、およびシクロヘキサンジメタノールジアクリレートのうちの1つまたは複数を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、アクリレート成分は、1,3-または1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、エトキシル化またはプロポキシル化ネオペンチルグリコール、1,4-ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンまたはビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、ヒドロキノン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールA、エトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールFまたはエトキシル化またはプロポキシル化ビスフェノールSを含む、脂肪族、脂環式または芳香族ジオールのジアクリレートおよび/またはジメタクリレートエステルを含む。
【0036】
アクリレート成分に含めるのに適した種のさらなる非限定的な例は、以下を含む:SARTOMERからSR 506Aの商品名で市販されているイソボルニルアクリレート(IBOA);SARTOMERからSR 833Sの商品名で市販されている二官能性アクリレート;SARTOMERからSR 533の商品名で市販されている三官能性アクリレートモノマー;SARTOMERからSR 423Aの商品名で市販されているイソボルニルメタクリレート;SARTOMERからSR 611の商品名で市販されているアルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート;RAHN USAからGENOMER 1122の商品名で市販されている単官能性ウレタンアクリレート;ALLNEXからEBECRYL 8402の商品名で市販されている脂肪族ウレタンジアクリレート;DYMAXからBR-952の商品名で市販されている二官能性脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート;SARTOMERからSR 272の商品名で市販されているトリエチレングリコールジアクリラート;およびSARTOMERからSR 205の商品名で市販されているトリエチレングリコールジメタクリレート。他の市販の硬化性成分を使用してもよい。さらに、いくつかの場合において、単官能性または二官能性アクリレートは、脂肪族ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、および/または、EBECRYL 7100などのアクリレートアミンオリゴマー樹脂を含む。いくつかの実施形態では、アクリレート成分は、アクリロイルモルホリンなどの1つまたは複数のアクリレート誘導体を含む。
【0037】
上記の単官能性および二官能性アクリレート種成分に加えて、場合によっては、本明細書に記載の重合性液体中に三官能性またはより高官能性のアクリレート種を含めることも可能である。例えば、場合によっては、1つまたは複数のトリ(メタ)アクリレートを使用することができる。しかしながら、本明細書に記載されるアクリレート種の官能性(すなわち、モノ-、ジ-、トリ-、またはより高い官能性)および分子量は、所望の3Dプリントシステムにおける使用に適した粘度を有する造形材料を提供するように選択され得ることを理解されたい。本明細書に記載されるいくつかの実施形態における使用に好適であり得る三官能性以上の(メタ)アクリレートの非限定的な例としては、以下が挙げられる:1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化またはプロポキシル化1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化またはプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ビス(トリメチロールプロパン)およびテトラ(メタ)アクリレート。
【0038】
アクリレート成分は、本明細書に記載の目的に合致する任意の量で重合性液体中に存在することができる。いくつかの実施形態では、アクリレート成分は、最大約70質量%の量で存在する。例えば、アクリレート成分は、重合性液体の総重量に基づいて、30~70質量%、または40~60質量%の量で存在することができる。
【0039】
本明細書に記載される重合性液体は、いくつかの実施形態では、適切な波長の光への曝露時に液体の1つまたは複数の成分の重合を開始するための光開始剤成分をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、光開始剤成分は、イソシアヌレートアクリレートなどのフリーラジカル機構を介して重合可能な1つまたは複数の部分を含むイソシアヌレートの重合を開始することができる。同様に、光開始剤を使用して、アクリレート成分を重合することができる。いくつかの実施形態では、硬化性イソシアヌレートは、アクリレート成分と共重合することができる。他の実施形態では、硬化性イソシアヌレートおよびアクリレート成分は、独立して重合される。
【0040】
本開示の目的と矛盾しない任意の光開始剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、好ましくは約250nm~約420nmまたは約300nm~約385nmの光を吸収してフリーラジカルを生成するように動作可能な、アルファ開裂(単分子分解プロセス)光開始剤または水素抽出光増感剤-三級アミン相乗剤を含む。
【0041】
アルファ開裂光開始剤の例は、Irgacure 184(CAS 947-19-3)、Irgacure 369(CAS 119313-12-1)、およびIrgacure 819(CAS 162881-26-7)である。光増感剤-アミンの組合せの例は、ジエチルアミノエチルメタクリレートを有するDarocur BP(CAS 119-61-9)である。
【0042】
さらに、いくつかの例では、適切な光開始剤は、以下を含む:ベンゾイン、ベンゾインエーテル、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルおよびベンゾインアセタートを含む、ベンゾイン類、2,2-ジメトキシアセトフェノンおよび1,1-ジクロロアセトフェノンを含むアセトフェノン類、ベンジル、ベンジルジメチルケタールおよびベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノンおよび2-アミルアントラキノンを含む、アントラキノン類、トリフェニルホスフィン、ベンゾイルホスフィンオキシド類、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(ルシリンTPO)、ベンゾフェノンおよび4,4’-ビス(N,N’-ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、チオキサントンおよびキサントン、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、キノキサリン誘導体または1-フェニル-1,2-プロパンジオン、2-O-ベンゾイルオキシム、1-アミノフェニルケトン類または1-ヒドロキシフェニルケトン類、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、フェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトンおよび4-イソプロピルフェニル1-ヒドロキシイソプロピルケトン。
【0043】
適切な光開始剤はまた、アセトフェノン類、2,2-ジアルコキシベンゾフェノン類および1-ヒドロキシフェニルケトン類、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンまたは2-ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン(=2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルアセトフェノン)を含む、HeCdレーザー放射線源と共に使用するために動作可能なものを含んでもよい。さらに、いくつかの場合において、好適な光開始剤は、ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタール類を含む、Arレーザー放射線源と共に使用するために動作可能なものを含む。いくつかの実施形態では、光開始剤は、α-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドまたはそれらの混合物を含む。
【0044】
好適な光開始剤の別のクラスは、いくつかの例では、化学線を吸収し、重合開始のためのフリーラジカルを生成することができる、イオン染料-対イオン化合物を含む。いくつかの実施形態では、イオン染料-対イオン化合物を含有する重合性液体は、約400nm~約700nmの調節可能な波長範囲内で可視光に曝露されると重合することができる。イオン染料-対イオン化合物およびそれらの動作モードは、欧州特許出願公開第0223587号明細書および米国特許第4,751,102号明細書;同第4,772,530号明細書;および同第4,772,541号明細書に開示される。
【0045】
光開始剤は、本明細書に記載の重合性液体中に、本開示の目的と矛盾しない任意の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、光開始剤は、重合性液体の総重量に基づいて、約5質量%までの量で存在する。いくつかの場合において、光開始剤は、約0.1質量%~約5質量%の範囲の量で存在する。
【0046】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の重合性液体は、1つまたは複数の増感剤をさらに含むことができる。増感剤は、同様に存在し得る1つまたは複数の光開始剤の有効性を増加させるために添加され得る。本開示の目的と矛盾しない任意の増感剤を使用することができる。いくつかの場合において、増感剤は、イソプロピルチオキサントン(ITX)または2-クロロチオキサントン(CTX)を含む。
【0047】
増感剤は、本開示の目的と矛盾しない任意の量で重合性液体中に存在することができる。いくつかの実施形態では、増感剤は、重合性液体の総重量に基づいて、約0.1質量%~約2質量%または約0.5質量%~約1質量%の範囲の量で存在する。
【0048】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のUV吸収剤および/または光安定剤が、重合性液体中に存在し得る。いくつかの実施形態では、例えば、1つまたは複数のUV吸収剤および/または光安定剤は、重合性液体の総重量に基づいて、0.1~2質量%の量で存在することができる。いくつかの実施形態では、UV吸収剤および/または光安定剤は、ニュージャージー州フローラムパークのBASFからTINUVIN(登録商標)の商品表示で市販されている。
【0049】
別の態様では、3D物品または物体をプリントする方法が本明細書に記載される。3D物品または物体をプリントする方法は、本明細書に記載の重合性液体の複数の層から3D物品を層ごとに形成する工程を含むことができる。本明細書に記載の任意の重合性液体または成分を、付加製造による物品の作製に使用することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、方法は、重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分と、1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分とを含む重合性液体を提供する工程を含む。重合性液体をプリントおよび硬化させて、物品を形成する。いくつかの実施形態では、重合性液体はまた、アクリレート成分を含む。アクリレート成分は、アクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、またはこれらの混合物を含むことができる。
【0051】
本明細書にさらに記載されるように、重合性液体は、光開始剤成分をさらに含んでもよく、重合性液体の硬化は、フリーラジカル重合を開始させるのに適切な波長の光による液体の照射によって起こり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、重合性液体の層は、三次元物品の形成中にコンピュータ可読フォーマットで3D物品の画像に従って堆積させることができる。重合性液体は、予め選択されたコンピュータ支援設計(CAD)パラメータに従って堆積させることができる。さらに、場合によって、本明細書に記載の重合性液体の1つまたは複数の層は、約10μm~約100μm、約10μm~約80μm、約10μm~約50μm、約20μm~約100μm、約20μm~約80μm、または約20μm~約40μmの厚さを有する。他の厚さも可能である。
【0053】
さらに、本明細書に記載の3D物品をプリントする方法は、いわゆる「マルチジェット」または「ステレオリソグラフィ」3Dプリント方法を含んでもよいことを理解されたい。例えば、いくつかの例では、3D物品をプリントするマルチジェット方法は、3Dプリントシステムの造形パッドなどの基板上に、本明細書に記載の重合性液体の層を選択的に堆積させる工程を含む。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法はさらに、重合性液体の層のうちの少なくとも1つを支持材料で支持する工程を含む。本開示の目的と矛盾しない任意の支持材料を使用することができる。
【0054】
ステレオリソグラフィを用いて、本明細書に記載の重合性液体から3D物品を形成することも可能である。例えば、場合によっては、3D物品をプリントする方法は、容器内に重合性液体を保持する工程、および、容器内の重合性液体に選択的にエネルギーを付与して重合性液体の少なくとも一部を固化させ、それによって3D物品の断面を画定する固化層を形成する工程を含む。さらに、本明細書に記載される方法はさらに、固化層を上昇または下降させて、重合性液体の新しいまたは第2の層を提供する工程、その後に、容器内の重合性液体にエネルギーを再び選択的に付与し、3D物品の第2の断面を画定する新しいまたは第2の重合性液体の少なくとも一部分を固化させる工程を含む。さらに、3D物品の第1および第2の断面は、重合性液体を固化させるためのエネルギーの付与によって、z方向(または上記の上昇または下降の方向に対応する造形方向)に互いに結合または接着することができる。さらに、容器内の重合性液体にエネルギーを選択的に付与する工程は、本明細書に記載の重合性材料の重合を開始するのに十分なエネルギーを有する電磁放射線、例えばUVおよび/または可視放射線を付与する工程を含むことができる。さらに、場合によっては、重合性液体の固化層を上昇または下降させる工程は、流体造形材料の容器内に配置されたエレベータプラットフォームを使用して行われる。本明細書に記載される方法はまた、エレベータプラットフォームを上昇または下降させることによって提供される重合性液体の新しい層を平坦化する工程を含むことができる。そのような平坦化は、場合によっては、ワイパまたはローラによって行うことができる。
【0055】
本明細書に記載の方法に従ってプリントされた物品は、1つまたは複数の望ましい機械的特性を示すことができる。本明細書に記載の重合性液体からプリントされた3D物品は、いくつかの実施形態では、2700~3200MPaの引張弾性率を示し得る。3Dプリント物品は、いくつかの実施形態では、少なくとも55~65MPaの引張強度を示すことができる。本明細書で提供される引張強度および引張弾性率の値は、ASTM D638に従って決定することができる。
【0056】
本明細書に記載の方法に従ってプリントされた物品はまた、望ましい難燃性および/または耐炎性特性を示すことができる。物品は、例えば、ISO 4589に従って25~30%または28~30%の限界酸素指数(LOI)を示すことができる。さらに、本明細書に記載の方法に従ってプリントされた物品は、14 C.F.R.§23.2325の規定に準拠することができる。
【0057】
これらの前述の実施形態は、以下の非限定的な実施例においてさらに説明される。
【実施例】
【0058】
表1は、本明細書に記載のいくつかの実施形態による重合性液体の配合物を提供する。
【表1】
【0059】
それぞれ3mmの厚さを有する3つの長方形ストリップを、式1の重合性液体からプリントした。ストリップは、14 C.F.R.§23.2325に準拠した垂直燃焼試験に十分な長さおよび幅を有していた。燃焼長は、元の縁部から、熱衝撃による試験片への損傷の形跡までの距離であり、損傷は、部分的または完全な消費、炭化、または脆化の領域を含むが、煤の付いた、着色した、曲がった、または変色した領域を含まず、材料が熱源から収縮または溶融した領域も含まない。合格または通過基準は以下の通りである:
残炎:最大平均15.0秒
ドリップ燃焼:最大平均5.0秒
燃焼長:最大平均8.0インチ。
【0060】
3つのサンプルストリップの垂直燃焼試験の結果を表2に示す:
【表2】
【0061】
表2に示されるように、プリントされたサンプルは垂直燃焼炎試験に合格し、実質的な難燃性を示す。
【0062】
さらなる非限定的な例示的実施形態を以下に記載する。
【0063】
実施形態1。以下を含む重合性液体:
重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分;および
1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分。
【0064】
実施形態2。硬化性イソシアヌレート成分が、フリーラジカル重合を介して重合可能である、実施形態1に記載の重合性液体。
【0065】
実施形態3。硬化性イソシアヌレート成分が、イソシアヌレートポリアクリレート、ポリアリルイソシアヌレートまたはそれらの混合物を含む、実施形態1または実施形態2の重合性液体。
【0066】
実施形態4。イソシアヌレートポリアクリレートが式Iのものである、前述の実施形態のいずれかの重合性液体:
【化4】
式中、R
1~R
3は独立して水素およびアルキルからなる群から選択され、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である。
【0067】
実施形態5。ポリアリルイソシアヌレートが式IIのものである、前述の実施形態のいずれかの重合性液体:
【化5】
式中、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である。
【0068】
実施形態6。オルガノホスフェート成分が、重合性液体の総重量に基づいて、10~40質量%の量で存在する、前述の実施形態のいずれかの重合性液体。
【0069】
実施形態7。1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物が式IIIのものである、前述の実施形態のいずれかの重合性液体:
【化6】
式中、R
1~R
3は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される。
【0070】
実施形態8。1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物が、ビス(オルガノホスフェート)を含む、前述の実施形態のいずれかの重合性液体。
【0071】
実施形態9。硬化性イソシアヌレート成分が、重合性液体の総重量に基づいて、30~80質量パーセントの量で存在する、前述の実施形態のいずれかの重合性液体。
【0072】
実施形態10。アクリレート成分をさらに含む、前述の実施形態のいずれかの重合性液体。
【0073】
実施形態11。アクリレート成分が、重合性液体の総重量に基づいて、30~70質量%の量で存在する、実施形態10の重合性液体。
【0074】
実施形態12。アクリレート成分が、アクリレートモノマーおよびアクリレートオリゴマーの混合物を含む、実施形態10または実施形態11の重合性液体。
【0075】
実施形態13。光開始剤成分をさらに含む、前述の実施形態のいずれかの重合性液体。
【0076】
実施形態14。光開始剤成分が、重合性液体の総重量に基づいて、0.1~5質量パーセントの量で存在する、実施形態13の重合性液体。
【0077】
実施形態15。三次元物品をプリントする方法であって、
実施形態1~14のいずれかの重合性液体、例えば、以下:
重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分;および
1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分
を含む、重合性液体を提供する工程;および
光を用いて重合性液体をプリントおよび硬化させ、物品を形成する工程
を含む、方法。
【0078】
実施形態16。物品が、ISO 4589に従って25~30%の限界酸素指数を有する、実施形態15の方法。
【0079】
実施形態17。物品が、ISO 4589に従って28~30%の限界酸素指数を有する、実施形態15または実施形態16の方法。
【0080】
実施形態18。重合性液体が層ごとのプロセスで提供される、実施形態15~17のいずれかの方法。
【0081】
実施形態19。重合性液体が光開始剤成分をさらに含み、重合性液体の硬化がフリーラジカル重合を介して進行する、実施形態15~18のいずれかの方法。
【0082】
実施形態20。硬化性イソシアヌレート成分が、イソシアヌレートポリアクリレート、ポリアリルイソシアヌレートまたはそれらの混合物を含む、実施形態15~19のいずれかの方法。
【0083】
実施形態21。イソシアヌレートポリアクリレートが式Iのものである、実施形態20の方法:
【化7】
式中、R
1~R
3は独立して水素およびアルキルからなる群から選択され、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である。
【0084】
実施形態22。ポリアリルイソシアヌレートが式IIのものである、実施形態20の方法:
【化8】
式中、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である。
【0085】
実施形態23。オルガノホスフェート成分が、重合性液体の総重量に基づいて、10~40質量%の量で存在する、実施形態15~22のいずれかの方法。
【0086】
実施形態24。1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物が以下の式のものである、実施形態15~23のいずれかの方法:
【化9】
式中、R
1~R
3は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される。
【0087】
実施形態25。1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物が、ビス(オルガノホスフェート)を含む、実施形態15~24のいずれかの方法。
【0088】
実施形態26。硬化性イソシアヌレートが、重合性液体の総重量に基づいて、30~80質量パーセントの量で存在する、実施形態15~25のいずれかの方法。
【0089】
実施形態27。重合性液体がアクリレート成分をさらに含む、実施形態15~26のいずれかの方法。
【0090】
実施形態28。アクリレート成分が、重合性液体の総重量に基づいて、30~70質量%の量で存在する、実施形態27の方法。
【0091】
実施形態29。アクリレート成分が、アクリレートモノマーおよびアクリレートオリゴマーの混合物を含む、実施形態27または実施形態28の方法。
【0092】
本明細書で言及される全ての特許文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本発明の様々な目的の達成において、本発明の様々な実施形態を説明してきた。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その多くの修正および適合が当業者には容易に明らかであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性液体であって、
前記重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分;および
1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分
を含
み、
前記硬化性イソシアヌレート成分が、イソシアヌレートポリアクリレートおよびポリアリルイソシアヌレートの混合物を含むことを特徴とする
重合性液体。
【請求項2】
前記硬化性イソシアヌレート成分が、フリーラジカル重合を介して重合可能であることを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項3】
前記イソシアヌレートポリアクリレートが、式I:
【化1】
のものであり、
式中、R
1~R
3はそれぞれ独立して、水素およびアルキルからなる群から選択され、m、nおよびpはそれぞれ独立して1~10の範囲の整数である
ことを特徴とする、請求項
1に記載の重合性液体。
【請求項4】
前記ポリアリルイソシアヌレートが、式II:
【化2】
のものであり、
式中、m、nおよびpは独立して1~10の範囲の整数である
ことを特徴とする、請求項
1に記載の重合性液体。
【請求項5】
前記オルガノホスフェート成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、10~40質量%の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項6】
前記1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物が、以下の式:
【化3】
のものであり、
式中、R
1~R
3は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される
ことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項7】
前記硬化性イソシアヌレート成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、30~80質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項8】
アクリレート成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項9】
前記アクリレート成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、30~70質量%の量で存在することを特徴とする、請求項
8に記載の重合性液体。
【請求項10】
前記アクリレート成分が、アクリレートモノマーおよびアクリレートオリゴマーの混合物を含むことを特徴とする、請求項
8に記載の重合性液体。
【請求項11】
光開始剤成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の重合性液体。
【請求項12】
前記光開始剤成分が、前記重合性液体の総重量に基づいて、0.1~5質量パーセントの量で存在することを特徴とする、請求項
11に記載の重合性液体。
【請求項13】
三次元物品をプリントする方法であって、
重合性液体を提供する工程;および
光を用いて前記重合性液体をプリントおよび硬化させ、前記物品を形成する工程
を含み、
前記重合性液体が、
該重合性液体の総重量に基づいて、少なくとも20質量%の量の硬化性イソシアヌレート成分;および
1つまたは複数のオルガノホスフェート化合物を含むオルガノホスフェート成分
を含
み、
前記硬化性イソシアヌレート成分が、イソシアヌレートポリアクリレートおよびポリアリルイソシアヌレートの混合物を含むことを特徴とする
方法。
【請求項14】
前記物品が、ISO 4589に従って25~30%の限界酸素指数を有することを特徴とする、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記重合性液体が、層ごとのプロセスで提供されることを特徴とする、請求項
13に記載の方法。
【国際調査報告】