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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】抗炎症性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20231220BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231220BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231220BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20231220BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/36
A61Q19/00
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534248
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 US2021063452
(87)【国際公開番号】W WO2022132863
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】17/126,958
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャネット アンシア リチャーズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ロバート シュワルツ
(72)【発明者】
【氏名】レオ ティモシー ラフリン ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー マーク ワイズ
(72)【発明者】
【氏名】エリック スコット ジョンソン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC351
4C083AC392
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC511
4C083AC512
4C083AC582
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD072
4C083AD152
4C083AD242
4C083AD282
4C083AD392
4C083AD532
4C083BB51
4C083BB53
4C083CC02
4C083CC32
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD23
4C083EE13
4C083EE28
(57)【要約】
本発明は、パーソナル組成物に関するものであり、当該パーソナル組成物は、a)ストロビルリンと、b)サリチル酸と、を含み、a:bの比率は約1:1~約100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナル組成物であって、
a)ストロビルリンであって、0.02%~10%である、ストロビルリンと、
b)サリチル酸であって、前記組成物の0.1重量%~10重量%、好ましくは、前記組成物の0.5重量%~2重量%である、サリチル酸と、を含み、
a:bの比率は1:1~100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を有する、パーソナル組成物。
【請求項2】
前記抗炎症の利益が、プロスタグランジンE2(PGE2)活性として測定される、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項3】
前記ストロビルリンが、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、オリサストロビン、クレソキシムメチル、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、ピコキシストロビン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項4】
アゾキシストロビン:サリチル酸比の比率が、1:1~50:1である、請求項1~3のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項5】
トリフロキシストロビン:サリチル酸の比率が、50:1にある、請求項1~4のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項6】
オリサストロビン:サリチル酸の比率が、1:1~50:1である、請求項1~5のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項7】
クレソキシムメチル:サリチル酸の比率が、50:1にある、請求項1~6のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項8】
ジモキシストロビン:サリチル酸の比率が、50:1にある、請求項1~7のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項9】
フルオキサストロビン:サリチル酸の比率が、10:1~50:1である、請求項1~8のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項10】
ピコキシストロビンとサリチル酸との比率が、10:1~100:1である、請求項1~9のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項11】
前記パーソナルケア組成物が、シャンプー、コンディショナー、リーブオン、トニック、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物を使用する方法であって、前記組成物が、
a)ストロビルリンと、
b)サリチル酸と、を含み、
a:bの比率は1:1~100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を提供する、方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を使用する方法であって、前記組成物が、
a)ストロビルリンと、
b)サリチル酸と、を含み、
a:bの比率は1:1~100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を提供し、ベースラインと比較してPGE2放出が少なくとも20%軽減し、好ましくは、ベースラインと比較してPGE2放出が少なくとも40%軽減する、方法。
【請求項14】
皮膚、頭皮、及び毛髪における炎症及び細胞ストレス状態を改善するための、請求項1~13のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物におけるストロビルリン系化合物及びサリチル酸の使用。
【請求項15】
抗炎症の利益のための、請求項1~14のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物におけるストロビルリン系化合物及びサリチル酸の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相乗的抗炎症性活性を実証するストロビルリン及びサリチル酸を含むパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪、頭皮、皮膚の最適な健康状態は、細胞ストレスの制御、及び適切な保護メカニズムにより損傷を打ち消す又は取り除く能力によって決まる。細胞ストレスは、活性酸素種、汚染、毒素、微生物、機械的又は化学的な損傷、及びいくつかのその他の外因的又は内因的な要因によって誘発され得る。長期にわたる未解決又は高レベルの細胞ストレスは、毛髪、頭皮、皮膚の健康の低下に現れ、目に見えるダメージの兆候(例えば、脱毛、毛髪及び皮膚の色素形成の喪失、頭皮又は皮膚の乾燥、剥落、痒みなど)と、促進老化及び自然老化の両方とを伴う。病理的ストレスに対する細胞応答は、主要かつ共通のメカニズムとして炎症に収束し、過剰な炎症は、健康の低下及び一部のストレス関連疾患の原因となる。フケ及びニキビなどの皮膚の慢性炎症性疾患は広く蔓延しており、いずれも炎症を誘発及び悪化させる物質を産生する皮膚上の微生物が関与している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
皮膚、頭皮、及び毛髪の慢性疾患における炎症及び細胞ストレスに対処し、解決するための改善された製品が必要とされている。また、細胞ストレスを軽減し、より健康的な毛髪、頭皮、及び皮膚を消費者に提供し、アンチエイジング効果を高めるパーソナルケア製品も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、パーソナル組成物に関するものであり、当該パーソナル組成物は、a)ストロビルリンと、b)サリチル酸と、を含み、a:bの比率は約1:1~約100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
特に指定がない限り、本明細書において使用する全ての百分率及び比率は、組成物全体の重量基準である。特に指定がない限り、全ての測定は周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約25℃、約1気圧下、及び相対湿度約50%における条件を意味する。全ての数値範囲は、より狭い範囲を含む。記述された上下の範囲限界は組み合わせ可能であり、明示的に記述されていない更なる範囲を作る。
【0006】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須成分及び任意成分を含む、それらから本質的になる、又はそれらからなることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、組成物又は構成成分が、追加成分を含み得るが、追加成分が、特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特性を実質的に変えない場合に限ることを意味する。
【0007】
本明細書で使用するとき、「含む(comprising)」とは、最終結果に影響を及ぼさない他のステップ及び他の成分を追加することができることを意味する。この用語には、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語が包含される。
【0008】
本明細書で使用するとき、「混合物」は、物質の単純な組み合わせ、及びそれらの組み合わせから生じ得る任意の化合物を含むことを意味する。
【0009】
本明細書で使用するとき、「分子量(molecular weight又はMolecular weight)」は、特に記述のない限り、重量平均分子量を指す。分子量は、業界標準法であるゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、「GPC」)を使用して測定される。
【0010】
量の範囲が記載される場合、これらは組成物中の当該成分の総量であり、又は成分定義の範囲に1種より多くが当てはまる場合、組成物中の、その定義に適合する全ての成分の総量であると理解されるべきである。
【0011】
全ての百分率、部及び比率は、別途指定されない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。記載された成分に関連するこのような重量は全て、活性レベルに基づいており、したがって市販の材料に含まれる可能性のある担体又は副生成物を含まない。
【0012】
別途注記がない限り、全ての構成要素又は組成物のレベルは、その構成要素又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成要素又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0013】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値制限は、全てのより低い数値制限を、あたかもそのようなより低い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのよう含むことが理解されるべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値制限は、全てのより高い数値制限を、あたかもそのようなより高い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含むものとする。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、そのような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を、あたかもそのような狭い数値範囲が全て本明細書に明示的に記載されているかのように含む。
【0014】
ストロビルリン系化合物
ストロビルリン系化合物は、天然の真菌代謝産物から生成される農業用殺菌剤として使用される化合物の一般的な部類である。ストロビルリン系化合物は、天然物としてStrobilurus tenacellus及びOudemansiella mucidaなどの様々なBasidiomycete真菌によって生合成されるか、又は天然のストロビルリンをモデルにして、主要なβ-メトキシアクリレート担毒体を保持して合成される。合成されたストロビルリン系化合物の中には、修飾担毒体、例えばメチルメトキシイミノアセテート又はメチル-N-メトキシカルバメートを有するものもある。いくつかの合成ストロビルリン系化合物は、アゾキシストロビン(CAS番号:131860-33-8)、クモキシストロビン(CAS番号850881-70-8)、ジモキシストロビン(CAS番号149961-52-4)、エノキサストロビン(CAS番号238410-11-2)、フルオキサストロビン(CAS番号193740-76-0)、クレソキシムメチル(CAS番号143390-89-0)、マンデストロビン(CAS番号173662-97-0)、メトミノストロビン(CAS番号133408-50-1)、オリサストロビン(CAS番号248593-16-0)、ピコキシストロビン(CAS番号117428-22-5)、ピラクロストロビン(CAS番号175013-18-0)、ピラオキシストロビン(CAS番号862588-11-2)、及びトリフロキシストロビン(CAS番号141517-21-7)である。
【0015】
ストロビルリン系化合物は、広範囲の植物真菌病を防除し、世界中の作物保護に多用されている。それらは、ミトコンドリア呼吸の阻害によって真菌の増殖を阻害するように作用する。ストロビルリン系化合物の具体的な作用機序は、電子伝達鎖のシトクロムb複合体IIIのユビキノール酸化部位(Q部位)に結合し、シトクロムbとシトクロムcとの間の電子伝達を阻害することによるものである。このような具体的な作用機序を持つ他の化合物としては、Oudemansiella mucidaから最初に単離されたoudemansinsとして知られる主要なβ-メトキシアクリレート担毒体の合成及び天然由来の誘導体、Myxococcus flavusなどの粘液細菌からの合成及び天然由来のミクソチアゾール、Stigmatella auranticaなどの粘液細菌由来のスティグマテリン、並びに合成農薬のファモキサドン及びフェナミドンなどが挙げられる。
【0016】
アゾキシストロビンは、ストロビルリン系化合物の部類に属する農業用殺菌剤の例である。農業用殺菌剤としてのアゾキシストロビンは、保護作用、治癒作用、駆除作用、トランスラミナー作用、全身作用を有し、胞子発芽及び菌糸成長を阻害し、また抗胞子活性も示す。表示された散布量で、アゾキシストロビンは、数多くの植物病原菌、例えば、温帯穀物のErysiphe graminis、Puccinia spp.、Lepiosphaeria nodorum、Septoria tritici、及びPyrenophora teres;イネのPyricularia oryzae及びRhizoctonia solani;ブドウの木のPlasmopara viticola及びUncinula necator;ウリ科のSphaerotheca fuliginea及びPseudoperonospora cubensis;ジャガイモ及びトマトのPhytophthora infestans及びAlternaria solani;ピーナッツのMycosphaerella arachidis、Rhizoctonia solani、及びSclerotium rolfsii;モモのMonilinia spp、及びCladosporium carpophilum;芝生のPythium spp.及びRhizoctonia solani;バナナのMycosphaerella spp.;ピーカンのCladosporium caryigenum;柑橘類のElsinoe fawcetii、Colletotrichum spp.及びGuignardia citricarpa;コーヒーのColletotrichum spp.及びHemileia vastatrixを防除する。アゾキシストロビンは、水への溶解度が低い固体物質である。
【0017】
アゾキシストロビンの商品名には、ABOUND FLOWABLE FUNGICIDE、Aframe、Azoxystar、Azoxyzone、AZteroid 1.65 SC Fungicide、AZURE AGRICULTURAL FUNGICIDE、Endow、QUADRIS FLOWABLE FUNGICIDE、Satori Fungicide、Strobe 2L、及びWillowood Azoxy 2SCなどがある。アゾキシストロビンは、例えばSigma-Aldrich(St.Louis,MO)及びAk Scientific,Inc(Union City,CA)から市販されている。
【0018】
本発明では、パーソナルケア組成物は、約0.02%~約10%のアゾキシストロビン、約0.05%~約2%のアゾキシストロビン、約0.1%~約1%のアゾキシストロビンを含み得る。
【0019】
本発明では、パーソナルケア組成物は、約0.02%~約10%のストロビルリン、約0.05%~約2%のストロビルリン、約0.1%~約1%のストロビルリンを含み得る。
【0020】
サリチル酸
本発明での使用に好適なサリチル酸としては、サリチル酸又はその塩が挙げられる。本発明では、そのようなサリチル酸塩は、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、並びにトリメチルアンモニウム及びトリエチルアンモニウムなどのトリアルキルアンモニウム塩を含み得る。本発明は、カプリロイルサリチル酸、メチルサリチレート、アセチルサリチレート、ナトリウムサリチレート、コリンサリチレート、メチルサリチル酸、アセチルサリチル酸、アミノサリチル酸、サリチルサリチル酸、メンチルサリチレート、フェニルサリチレート、アミルサリチレート、オクチルサリチレート、ベンジルサリチレート、グリセリルサリチレート、サリシン、サリチルアルデヒド、サリコルチン、2’-0-アセチルサリコルチン、(-)-トレムラシン、サリゲニン、ジフルニサル、フェンドサール、ブチルオクチルサリチレート、C12~15アルキルサリチレート、ヘキシルドデシルサリチレート、イソセチルサリチレート、イソデシルサリチレート、モノエタノールアミンサリチレート、エチルヘキシルサリチレート、ミリスチルサリチレート、トロラミンサリチレート、及びトリデシルサリチレートを含み得る。本発明はまた、イチャクソウの油及び松の皮の抽出物などの天然生成物の形態のサリチレートを含み得る。
【0021】
本発明では、パーソナルケア組成物は、約0.1%~約10%のサリチル酸を含有してもよく、ヘアケア組成物は、約0.3%~約3%のサリチル酸を含有してもよく、ヘアケア組成物は、約0.5%~約2%のサリチル酸を含有してもよい。
【0022】
その他の抗菌活性物質
本発明は、ピリチオンの多価金属塩から選択される頭皮用健康剤を含んでいてもよく、1種類以上の抗真菌又は抗菌活性物質を更に含んでいてもよい。好適な抗菌活性物質としては、置換又は非置換の2-ピリジノール-N-オキシド材料又はその塩を含み得る2-ピリジノール-N-オキシド材料が挙げられる。この材料の互変異性体、例えば、1-ヒドロキシ-2(1H)-ピリジノンが本発明の範囲内に含まれ、ピロクトンオラミン、コールタール、硫黄、ウィットフィールド軟膏、カステラーニ塗布剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジ油、尿素調製物、グリセオフルビン、8-ヒドロキシキノリン、クリオキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(例えば、テルビナフィン)、ティーツリー油、ニーム、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、桂皮アルデヒド、シトロネル酸、ヒノキチオール、イクチオールペール、Sensiva SC-50、Elestab HP-100、アゼライン酸、リチカーゼ、ヨードプロピニルブチルカルバメート(iodopropynyl butylcarbamate、IPBC)、オクチルイソチアザリノンなどのイソチアザリノン及びアゾール、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。本発明は、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硫化セレン、及びコールタールなどの抗菌剤を含み得る。
【0023】
b.硫化セレン
硫化セレンは、本発明の抗菌性組成物に使用するのに好適な粒子状頭皮用健康剤である。硫化セレンは一般にセレン1モル及び硫黄2モルを有する化合物とみなされるが、一般式Se(式中x+y=8)に従う環式構造であってもよい。前方レーザー光散乱デバイス(例えば、Malvern 3600装置)によって測定した硫化セレンの平均粒径は、典型的には15μm未満であり、本発明では10μm未満であり得る。硫化セレン化合物は、例えば、米国特許第2,694,668号、同第3,152,046号、同第4,089,945号、及び同第4,885,107号に記載されている。
【0024】
c.硫黄
硫黄もまた、本発明の抗菌性組成物において粒子状抗菌性/頭皮用健康剤として使用することができる。
【0025】
追加の抗菌活性物質
本発明の追加の抗菌活性物質は、メラレウカ(ティーツリー)及び炭の抽出物を含んでもよい。本発明はまた、抗菌活性物質の組み合わせを含んでもよい。このような組み合わせには、ピロクトンオラミンとジンクピリチオンとの組み合わせ、パインタールと硫黄との組み合わせ、サリチル酸とジンクピリチオンとの組み合わせ、ピロクトンオラミンとクリンバゾールとの組み合わせ、及びサリチル酸とピロクトンオラミンとの組み合わせ、ジンクピリチオンとクリンバゾール並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0026】
本発明では、頭皮用健康剤は、約0.01%~10%の量で存在してもよく、約0.1%~9%であってもよく、約0.25%~8%であってもよく、約0.5%~6%であってもよい。
【0027】
本発明では、組成物は、有効な量の亜鉛含有層状材料を含む。亜鉛含有層状材料は、結晶の成長が主に二次元で生じたものであってもよい。層構造は、全ての原子が十分画定された層に組み込まれているものとしてだけではなく、ギャラリーイオン(gallery ion)と呼ばれる、層間にイオン又は分子があるものとしても説明することが慣例的である(A.F.Wells「Structural Inorganic Chemistry」Clarendon Press,1975)。亜鉛含有層状材料(zinc-containing layered material、ZLM)は、亜鉛を層に組み込んでいてもよく、及び/又はギャラリーイオンの構成成分であってもよい。以下のZLMの部類は、全般的カテゴリの比較的一般的な例を代表するものであり、この定義に適合する、より広範囲の材料に関して限定することを意図するものではない。
【0028】
多くのZLMが鉱物として天然に存在する。本発明では、ZLMは、水亜鉛土(炭酸水酸化亜鉛)、塩基性炭酸亜鉛、水亜鉛銅鉱(炭酸水酸化亜鉛銅)、亜鉛孔雀石(炭酸水酸化銅亜鉛)、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。亜鉛を含有する関連鉱物もまた、組成物中に含まれていてもよい。粘土性鉱物(例えば、フィロシリケート)などのアニオン性層の種がイオン交換された亜鉛ギャラリーイオンを含有する、天然のZLMもまた存在し得る。これら天然材料は全て、合成によって得ることもでき、又は組成物中においてその場で、若しくは製造プロセス中に形成することもできる。
【0029】
常にではないが、多くの場合合成である、ZLMの別の一般的な部類は、層状複水酸化物である。本発明では、ZLMは、式[M2+ 1-x3+ (OH)x+m- x/m・nHO(式中、二価イオン(M2+)の一部又は全ては、亜鉛イオンである)に一致する層状複水酸化物であってよい(Crepaldi,EL,Pava,PC,Tronto,J,Valim,JB J.Colloid Interfac.Sci.2002,248,429-42)。
【0030】
ヒドロキシ複塩と呼ばれる、更に別の部類のZLMを調製することもできる(Morioka,H.,Tagaya,H.,Karasu,M,Kadokawa,J,Chiba,K Inorg.Chem.1999,38,4211-6)。本発明において、ZLMは、式[M2+ 1-x2+ 1+x(OH)3(1-y)n- (1=3y)/n・nHO(式中、2つの金属イオン(M2+)は、同一であっても異なっていてもよい)に一致するヒドロキシ複塩であってよい。金属イオンが同一であり亜鉛で表される場合、式は簡素化され、[Zn1+x(OH)2x+2x A・nHOとなる。この後者の式は、ヒドロキシ塩化亜鉛及びヒドロキシ硝酸亜鉛などの材料を表す(x=0.4である場合)。本発明では、ZLMは、ヒドロキシ塩化亜鉛及び/又はヒドロキシ硝酸亜鉛であり得る。これらはまた、二価のアニオンで一価のアニオンを置き換える、水亜鉛土にも関する。また、これらの材料は、組成物中においてその場で、又は製造プロセス中に形成することができる。
【0031】
本発明では、組成物は、塩基性炭酸亜鉛を含んでいてもよい。塩基性炭酸亜鉛の市販供給源としては、塩基性炭酸亜鉛(Cater Chemicals:Bensenville,IL,USA)、炭酸亜鉛(Shepherd Chemicals:Norwood,OH,USA)、炭酸亜鉛(CPS Union Corp.:New York,NY,USA)、炭酸亜鉛(Elementis Pigments:Durham,UK)、及び炭酸亜鉛AC(Bruggemann Chemical:Newtown Square,PA,USA)が挙げられる。塩基性炭酸亜鉛は、商業的には、「炭酸亜鉛」、「炭酸亜鉛塩基」、又は「ヒドロキシ炭酸亜鉛」と呼ばれる場合もあるが、天然の水亜鉛土に似た物質からなる合成物である。理想的な化学量論は、Zn(OH)(COにより表されるが、実際の化学量論的比はわずかに変化することがあり得、また他の不純物が結晶格子内に組み込まれる場合がある。
【0032】
本発明では、組成物は、有効な量の亜鉛含有層状物質を含んでいてもよい。本発明において、組成物は、組成物の総重量の約0.001%~約10%、又は約0.01%~約7%、又は約0.1%~約5%の亜鉛含有層状物質を含んでいてもよい。
【0033】
本発明は、亜鉛含有層状材料及びピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を有してもよく、亜鉛含有層状材料対ピリチオン又はピリチオンの多価金属塩の比率は、約5:100~約10:1、又は約2:10~約5:1、又は約1:2~約3:1である。
【0034】
PGE-2アッセイ
ストレッサーに対する細胞の炎症応答の阻害-プロスタグランジンE2(「PGE2」)アッセイ。
【0035】
この例は、ストロビルリン系化合物とサリチル酸との組み合わせが、ある特定の比率で相乗的にPGE2の活性化を阻害する能力を実証する。PGE2は、炎症の調節に関与することが知られているホルモン様物質である。細胞性炎症は、様々な毛髪、皮膚、及び頭皮の症状と関連しているため、細胞性炎症に対するPGE2の活性化を阻害することは、これらのタイプの毛髪、皮膚、及び頭皮の症状の治療に役立つ可能性がある。
【0036】
方法
TERTケラチノサイト(「TERT keratinocyte、tKC」-tKCは、細胞を不死化するためにヒトテロメラーゼ逆転写酵素遺伝子でトランスフェクトされたヒトケラチノサイトである)を、Jerry Shay,University of Texas,Southwesternから入手し、40,000細胞/ウェルで24ウェルプレートに1ml/ウェル容量で播種する。EpiLife Medium(Life Technologiesカタログ番号MEPICFPRF 500)にケラチノサイト増殖サプリメント(Life technologiesカタログ番号S-001-5)を添加したものをアッセイ培地として使用する。細胞をコンフルエンス/コンフルエンス近くまで増殖させ(典型的には、24ウェルプレートに40,000細胞/ウェルをプレーティングしてから24時間後)、次いで15mJ/cmのUVBストレスに供する(典型的には、BioSunにおける14~16回の照射時間)。試験組成物(ストロビルリン系化合物、サリチル酸、ストロビルリン系化合物+サリチル酸、及び陽性対照10uMイデベノン)を添加して、培地(最終濃度0.1%のDMSOを含むEpiLife培地-簡単に言えば、活性物質及び組み合わせ物質の1000倍ストックを100%DMSOで作製し、Epilife培地1~1000に希釈した)を置き換え、プレートを18~24時間インキュベートする。各ウェルから上清を除去し、2mL/ウェルの培地(サプリメントなし)で細胞をすすぎ洗いする。Cell Titer-Gloアッセイ(Promegaカタログ番号G7571;Madison WI)を用いてATP活性を測定し、細胞に実施して正規化する。上清を製造元の指示に従って、PGE2アッセイ(Cisbio BioassaysのプロスタグランジンE2アッセイキットカタログ番号62P2APEB)で試験する。PGE2の結果は、ATP活性に対して正規化される。上清からのPGE2定量(pg/mL)を正規化係数(処理ATP/対照ATP)で除算する。
【0037】
ストロビルリンによるPGE2阻害を計算するための計算例:
ATPアッセイにおけるビヒクル対照の発光=704567
ATPアッセイにおけるストロビルリン処理の発光=678903
ストロビルリン処理の正規化係数=1.038
ビヒクル対照のPGE2定量=2458pg/mL PGE2
ストロビルリン処理のPGE2定量=2347pg/mL PGE2
正規化PGE2値
対照=2458/1=2458
ストロビルリン=2347/1.038=2261
ストロビルリンの阻害率(%)=[100×(2458-2347)/2458]=8%
【0038】
StudentのT検定(等分散、両側)を使用し、実測された組み合わせと予想される組み合わせとの間のp値を計算して、p値<0.05を統計的に有意とした。予想される組み合わせの値は、ストロビルリン系化合物単独及びサリチル酸単独のPGE2阻害値を加算することによって算出される。相乗係数とは、単に、実測された組み合わせ/予想される組み合わせの比率である。相乗係数が1.0より大きく、p値が0.05未満の場合は、相乗作用があると判断する。
【0039】
PGE2実験の結論は、ストロビルリン系化合物及びサリチル酸が、これらのレベルでは個々にはケラチノサイトからのPGE2放出を阻害するには比較的弱い材料であり、ストロビルリン系化合物とサリチル酸との組み合わせが、実際には驚くほどPGE2放出を抑制するということである。他のストロビルリン系化合物もPGE2放出を相乗的に阻害する。PGE2放出の相乗的阻害が生じる比率を定義するために、アゾキシストロビン対サリチル酸の複数の比率を試験しており、1:1及び50:1のアゾキシストロビン:サリチル酸の比率において、統計的に有意な相乗作用を有する。1:10及び100:1のアゾキシストロビン:サリチル酸の比率において、統計的に有意な相乗作用は見られないが、この組み合わせは実際、これらの比率でPGE2放出を軽減させる相加性が示される。
【0040】
本発明では、別のストロビルリン及びサリチル酸は、ストロビルリンとサリチル酸との組み合わせが、実際には驚くほどPGE2放出も相乗的に抑制することを実証し得る。PGE2放出の相乗的阻害は、50:1のトリフロキシストロビン及びサリチル酸、1:1~50:1のオリサストロビン及びサリチル酸、50:1のクレソキシムメチル及びサリチル酸、50:1のジモキシストロビン及びサリチル酸、10:1及び50:1のフルオキサストロビン及びサリチル酸、並びに10:1~100:1のピコキシストロビン及びサリチル酸の組み合わせで生じる。
【0041】
【表1-1】
【0042】
【表1-2】
は、統計的有意性を示す(実測値と予想値との間のp値<0.05)。
【0043】
上の表は、サリチル酸を含むストロビルリン系化合物の範囲を含む。
【0044】
【表2】
【0045】
本発明では、パーソナル組成物は、a)ストロビルリンと、b)サリチル酸と、を含み得、a:bの比率は約1:1~約100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を有する。本発明は、a)ストロビルリンと、b)サリチル酸と、を含む組成物を使用する方法を含み得、a:bの比率は約1:1~約100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を提供する。本発明は、a))ストロビルリンと、b)サリチル酸と、を含む組成物を使用する方法を含み得、a:bの比率は約1:1~約100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を提供し、ベースラインと比較してPGE2放出が少なくとも約20%軽減する。本発明は、ベースラインと比較してPGE2放出が少なくとも約40%軽減する方法を含み得る。本発明は、皮膚、頭皮、及び毛髪における炎症及び細胞ストレス状態を改善するための、パーソナルケア組成物におけるストロビルリン系化合物及びサリチル酸の使用を含み得る。本発明は、抗炎症の利益のための、パーソナルケア組成物におけるストロビルリン系化合物及びサリチル酸の使用を含み得る。
【0046】
洗浄性界面活性剤
本発明は、シャンプー、コンディショナー、又はリーブオントリートメントの形態で存在してもよい。シャンプー組成物は、組成物にクリーニング性能をもたらす、1種以上の洗浄性界面活性剤を含み得る。1種以上の洗浄性界面活性剤は更に、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、若しくは双性イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含んでいてもよい。洗浄性界面活性剤の様々な例及び説明が、米国特許第6,649,155号、米国特許出願公開第2008/0317698号、及び同第2008/0206355号に記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
シャンプー組成物中の洗浄性界面活性剤成分の濃度は、所望の洗浄及び起泡性能を提供するのに十分でなければならず、一般に、約2重量%~約50重量%、約5重量%~約30重量%、約8重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約5重量%、約10重量%、約12重量%、約15重量%、約17重量%、約18重量%、又は約20重量%の範囲である。
【0048】
本組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤は、アルキル及びアルキルエーテルサルフェートである。他の好適なアニオン性界面活性剤は、有機硫酸反応生成物の水溶性の塩である。更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、イセチオン酸でエステル化され水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物である。他の同様のアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
シャンプー組成物に使用される代表的なアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムであり得る。
【0050】
本明細書のシャンプー組成物における使用に好適な両性界面活性剤又は双性イオン性界面活性剤としては、シャンプー又は他のパーソナルケア洗浄における使用に既知のものが挙げられる。そのような両性界面活性剤の濃度は、約0.5重量%~約20重量%、及び約1重量%~約10重量%の範囲である。好適な双性イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤の非限定的な例が、米国特許第5,104,646号及び同第5,106,609号に記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
シャンプー組成物における使用に好適な両性洗浄性界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として広義に説明される界面活性剤が挙げられ、ここで脂肪族基は直鎖又は分枝鎖であり得、脂肪族置換基の1つは約8~約18個の炭素原子を有し、1つは、アニオン性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有する。本発明のシャンプー組成物に使用するための代表的な両性洗浄性界面活性剤としては、ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
シャンプー組成物における使用に好適な双性イオン性洗浄性界面活性剤としては、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広義に説明される界面活性剤が挙げられ、ここで脂肪族基は直鎖又は分枝鎖であり得、脂肪族置換基の1つが約8~約18個の炭素原子を有し、1つはアニオン性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有する。更に、ベタインなどの双性イオン性物質(zwitterionics)が選択され得る。
【0053】
シャンプー組成物における使用に好適なその他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意の追加の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon「Emulsifiers and Detergents,1989 Annual」(M.C.Publishing Co.発行)、並びに米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号において記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
シャンプー組成物はまた、シャンプーゲルマトリックス、水性キャリア、及び本明細書で説明される他の追加成分も含んでもよい。
【0055】
水性キャリア
シャンプー組成物は、第1の水性キャリアを含む。したがって、シャンプー組成物の配合物は、(周囲条件下で)注ぎ込み可能な液体の形態であってよい。したがって、そのような組成物は、典型的には、第1の水性キャリアを含み、第1の水性キャリアは、少なくとも20重量%、約20重量%~約95重量%、又は約60重量%~約85重量%の濃度で存在する。第1の水性キャリアは、水、又は水と有機溶媒との相溶性混合物を含み得るが、1つの態様では、他の構成成分の微量成分として組成物中に偶発的に組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を有するか、又は有意な濃度の有機溶媒を有さない水を含み得る。
【0056】
シャンプー組成物で有用な第1の水性キャリアとしては、水、及び低級アルキルアルコールと多価アルコールとの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、一態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0057】
A.水性キャリア
コンディショナー組成物のコンディショナーゲルマトリックスは、第2の水性キャリアを含む。したがって、コンディショナー組成物の配合物は、(周囲条件下で)注ぎ込み可能な液体の形態であってよい。したがって、そのような組成物は、典型的には、第2の水性キャリアを含み、これは約20重量%~約95重量%、又は約60重量%~約85重量%の濃度で存在する。第2の水性キャリアは、水、又は水と有機溶媒との相溶性混合物を含み得るが、1つの態様では、他の構成成分の微量成分として組成物中に偶発的に組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を有するか、又は有意な濃度の有機溶媒を有さない水を含み得る。
【0058】
コンディショナー組成物で有用な第2の水性キャリアとしては、水、及び低級アルキルアルコールと多価アルコールとの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、一態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0059】
追加の成分
本明細書に記載されるシャンプー組成物、コンディショナー組成物、及び/又はリーブオントリートメントは、ヘアケア又はパーソナルケア製品で使用するのに既知の1つ以上の追加成分を、この追加成分が本明細書に記載の必須成分と物理的及び化学的に適合するか、製品の安定性、審美性、又は性能を過度に損なわない場合に限り、含み得る。このような追加成分は、最も典型的には、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992などの参考文献に記載されているものである。このような追加成分の個々の濃度は、ヘアケア組成物の約0.001重量%~約10重量%の範囲であり得る。
【0060】
ヘアケア組成物で使用するための追加成分の非限定的な例としては、コンディショニング剤、天然カチオン性付着ポリマー、合成カチオン性付着ポリマー、ふけ防止剤、粒子、懸濁剤、パラフィン系炭化水素、噴射剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒又は希釈剤(水溶性及び非水溶性)、真珠光沢助剤、起泡剤、追加の界面活性剤又は非イオン性共界面活性剤、シラミ駆除剤、pH調整剤、香料、保存剤、タンパク質、皮膚活性剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、及びビタミンが挙げられる。
【0061】
1.コンディショニング剤
ヘアケア組成物は、1種以上のコンディショニング剤を含んでもよい。コンディショニング剤としては、毛髪に特定のコンディショニング効果を与えるために使用される物質が挙げられる。本発明のヘアケア組成物に有用なコンディショニング剤は、典型的に、乳化液体粒子を形成する非水溶性の水分散性非揮発性液体を含む。ヘアケア組成物において使用するのに好適なコンディショニング剤は、一般に、シリコーン、有機コンディショニングオイル若しくはこれらの組み合わせを特徴とするコンディショニング剤、又は他の方法で水性界面活性剤マトリックス中に液体分散粒子を形成するコンディショニング剤である。
【0062】
1種以上のコンディショニング剤が、組成物の約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約8重量%、及び約0.2重量%~約4重量%存在する。
【0063】
シリコーンコンディショニング剤
本発明の組成物は、1種以上のシリコーンコンディショニング剤を含有していてもよい。シリコーンの例としては、ジメチコーン、ジメチコノール、環状シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、及びアミノ基、四級アンモニウム塩の基、脂肪族基、アルコール基、カルボン酸基、エーテル基、エポキシ基、糖又は多糖基、フッ素変性アルキル基、アルコキシ基、又はこのような基の組み合わせなどの様々な官能基を有する変性シリコーンが挙げられる。このようなシリコーンは、水性(又は非水性)製品キャリア中で可溶性であっても不溶性であってもよい。不溶性液体シリコーンの場合、ポリマーは、液滴サイズが約10nm~約30マイクロメートルの乳化形態であり得る。
【0064】
有機コンディショニング材料
本発明の組成物のコンディショニング剤はまた、単独で、又は上記のシリコーンなどの他のコンディショニング剤との組み合わせのいずれかで、油又はワックスなどの少なくとも1つの有機コンディショニング材料を含んでいてもよい。有機材料は、非ポリマー、オリゴマー又はポリマーであり得る。これは、油又はワックスの形態であってもよく、配合物にそのまま添加してもよいし、予備乳化した形態で添加してもよい。有機コンディショニング材料のいくつかの非限定例としては、i)炭化水素油、ii)ポリオレフィン、iii)脂肪族エステル、iv)フッ素化コンディショニング化合物、v)脂肪族アルコール、vi)アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体、vii)四級アンモニウム化合物、viii)CTFA名称がPEG-20 200、PEG-400、PEG-600、PEG-1000、PEG-2M、PEG-7M、PEG-14M、PEG-45Mであるもの、及びこれらの混合物などの、最大約2,000,000の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、が挙げられる。
【0065】
有益剤
ヘアケア組成物は、1種以上の追加の有益剤を更に含んでもよい。有益剤は、フケ防止剤、抗真菌剤、痒み止め剤、抗菌剤、抗細菌剤、保湿剤、抗酸化剤、ビタミン、脂溶性ビタミン、香料、美白剤、酵素、感覚剤、誘引剤、染料、顔料、漂白剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される物質を含む。
【0066】
本発明のヘアケア組成物は、典型的なヘアケア製剤中に存在し得る。この組成物は、溶液、分散液、エマルション、粉末、タルク、カプセル状、球体、スポンジャー、固形剤形、泡、及びその他の送達機構の形態であってよい。本発明の組成物は、ヘアトニック、トリートメント及びスタイリング製品などのリーブオンヘア製品、シャンプー及びトリートメント製品などのリンスオフヘア製品、並びに毛髪に塗布可能な任意の他の形態であってもよい。
【0067】
ヘアケア組成物は、一般に、組成物を製造する当該技術分野において既知であるものなどの従来法により調製される。このような方法は、典型的には、加熱、冷却、真空の適用などを用いて又は用いずに、成分を1つ以上のステップで比較的均一な状態になるまで混合することを含む。組成物は、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)及び/又は活性物質の送達を最適化するように調製される。ヘアケア組成物は、単相若しくは単一製品中に存在してもよく、又はヘアケア組成物は、別個の相若しくは別個の製品中に存在してもよい。2つの製品を使用する場合、それらの製品は、一緒に、同時に又は逐次に使用してもよい。逐次使用は、1つの製品の使用直後などの短時間に行われてもよく、あるいは数時間又は数日の期間にわたって行われてもよい。
【0068】
本発明は、皮膚、頭皮、及び毛髪における炎症及び細胞ストレス状態を改善するための、パーソナルケア組成物におけるストロビルリン系化合物の使用に関し得る。本発明は、抗炎症の利益のための、パーソナルケア組成物におけるストロビルリン系化合物の使用に関し得る。本発明は、抗炎症の利益のための、本発明の請求項で主張されるようなストロビルリン系化合物の使用に関し得る。
【実施例
【0069】
非限定的な実施例
以下の実施例で示されるシャンプー組成物は、従来の配合及び混合方法により調製される。全ての例示された量は、活性基準の重量パーセンテージとして記載されており、希釈剤、防腐剤などの微量材料を除外し、色のパーセンテージは、特に指定がない限り、重量に基づいている。
【0070】
【表3】
【0071】
上記は全て活性基準である。例えば、11%のSLE1Sの場合、25%活性SLE1S溶液の44%を添加する必要がある。以下の表は、上記の表の各注記を説明している。
【0072】
【表4】
【0073】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施例を更に記載及び実証する。これらの実施例は、例示目的でのみ提供され、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそれらの多くの変更が可能であることから、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。適用可能な場合には、成分を、化学名又はCTFA名で特定し、そうでない場合は、以下で定義する。
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
1 Pride Solvents製のSD-40B 200 Alcohol
2 Ashland製のFlexithix
3 Ashland製のBenecel K200M
4 AkzoNobel製のStructure XL
5 Kerry Ingredients and Flavors製のメントール
6 Ampak Company製のサリチル酸
7 Lonza製のナイアシンアミド
8 Merck製のカフェイン
9 BASF製のD-パンテノール
10 BASF製のCremophor RH-40
11 Sigma Aldrich製のプロピレングリコール
【0076】
組み合わせ
パラグラフA.パーソナル組成物であって、
a)ストロビルリンと、
b)サリチル酸と、を含み、
a:bの比率は約1:1~約100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を有する、パーソナル組成物。
パラグラフB抗炎症の利益が、プロスタグランジンE2(PGE2)活性として測定される、パラグラフAに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフCストロビルリンが、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、オリサストロビン、クレソキシムメチル、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、ピコキシストロビン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、パラグラフA又はBに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフDアゾキシストロビン:サリチル酸比の比率が、約1:1~約50:1である、パラグラフA~Cのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフEトリフロキシストロビン:サリチル酸の比率が、約50:1にある、パラグラフA~Dのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフFオリサストロビン:サリチル酸の比率が、約1:1~約50:1である、パラグラフA~Eのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフGクレソキシムメチル:サリチル酸の比率が、約50:1にある、パラグラフA~Fのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフHジモキシストロビン:サリチル酸の比率が、約50:1にある、パラグラフA~Gのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフIフルオキサストロビン:サリチル酸の比率が、約10:1~約50:1である、パラグラフA~Hのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフJピコキシストロビンとサリチル酸との比率が、約10:1~約100:1である、パラグラフA~Iのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフKパーソナルケア組成物が、シャンプー、コンディショナー、リーブオン、トニック、及びこれらの混合物からなる群から選択される、パラグラフA~Jのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフLストロビルリンが、約0.02%~約10%である、パラグラフA~Kのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフMサリチル酸が、当該組成物の約0.1重量%~約10重量%である、パラグラフA~Lのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフNサリチル酸が、当該組成物の0.5重量%~約2重量%である、パラグラフA~Mのいずれか1つに記載のパーソナルケア組成物。
パラグラフOパラグラフA~Nのいずれか1つに記載の組成物を使用する方法であって、当該組成物が、
a)ストロビルリンと、
b)サリチル酸と、を含み、
a:bの比率は約1:1~約100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を提供する、方法。
パラグラフPパラグラフA~Oのいずれか1つに記載の組成物を使用する方法であって、本組成物が、
a)ストロビルリンと、
b)サリチル酸と、を含み、
a:bの比率は約1:1~約100:1であり、相乗的抗炎症/細胞ストレス活性を提供し、ベースラインと比較してPGE2放出が少なくとも約20%軽減する、方法。
パラグラフQベースラインと比較してPGE2放出が少なくとも約40%軽減する、パラグラフA~Pのいずれか1つに記載の方法。
パラグラフR皮膚、頭皮、及び毛髪における炎症及び細胞ストレス状態を改善するための、請求項1に記載のパーソナルケア組成物におけるパラグラフA~Qのいずれか1つに記載のストロビルリン系化合物及びサリチル酸の使用。
パラグラフS抗炎症の利益のための、請求項1に記載のパーソナルケア組成物におけるパラグラフA~Rのいずれか1つに記載のストロビルリン系化合物及びサリチル酸の使用。
【0077】
製品形態
本発明のパーソナルケア組成物は、典型的なパーソナルケアの配合中に存在してもよい。本組成物は、溶液、分散液、エマルション、粉末、タルク、カプセル状、球体、スポンジャー、固形剤形、泡、及びその他の送達機構の形態であってよい。本発明の組成物は、ヘアトニック、トリートメント及びスタイリング製品のようなリーブオンヘア製品、シャンプー、プレウォッシュ製品、コウォッシュ(co-wash)製品、及びパーソナルクレンジング製品のようなリンスオフヘア製品、及びトリートメント製品、並びに毛髪又は皮膚に塗布可能な任意のその他の形態とすることができる。
【0078】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0079】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれる文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0080】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【国際調査報告】