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特表2023-554276二軸延伸フィルム及び他の物品を製造するためのポリプロピレンポリマー
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  • 特表-二軸延伸フィルム及び他の物品を製造するためのポリプロピレンポリマー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】二軸延伸フィルム及び他の物品を製造するためのポリプロピレンポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/10 20060101AFI20231220BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231220BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20231220BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
C08L23/10
B32B27/00 H
B32B27/32 E
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534263
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 US2021061246
(87)【国際公開番号】W WO2022125336
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】63/122,134
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】バン・エグモンド,ジャン・ダブリュー
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BA33
3E086BB05
3E086BB85
3E086CA01
4F100AH06
4F100AH06A
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK07
4F100AK07A
4F100BA01
4F100BA02
4F100BA07
4F100DE01
4F100DE01A
4F100EJ38
4F100EJ38A
4F100GB15
4F100JA06
4F100JA06A
4J002BB121
(57)【要約】
キシレン可溶分含量の量が制御されたオレフィンポリマーが生成される。例えば、比較的高いキシレン可溶分含量を有するポリプロピレンポリマーを生成することができる。ポリマーは、特定の外部電子供与体を用いて生成される。ポリマーは、ケイ素含有外部電子供与体を使用せずに生成することができる。このプロセスは、比較的高いキシレン可溶分含量を有するだけでなく、より少ない微粉及び狭い粒度分布を有するポリマーを生成することが見出された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物であって、
ポリプロピレンホモポリマー又は約1重量%未満の量のコモノマーを含有するポリプロピレンコポリマーを含むポリプロピレンポリマーを含み、
前記ポリプロピレンポリマーが、約4.0重量%超のキシレン可溶分含量を示し、
前記ポリプロピレンポリマーが、約0.5g/10分~約20g/10分のメルトフローレートを示し、
前記ポリプロピレンポリマーが、約10ppm未満の量のケイ素を含有するか、又はケイ素を含まない、ポリマー組成物。
【請求項2】
前記ポリプロピレンポリマーが、約5.0重量%超、例えば約6重量%超、例えば約6.2重量%超、例えば約6.4重量%超、一般に約8.5重量%未満のキシレン可溶分含量を示す、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記ポリプロピレンポリマーがポリプロピレンホモポリマーである、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記プロピレンポリマーが、ポリマー粒子の形態であり、ふるい試験に従って試験した場合、前記ポリマー粒子は、前記粒子の約55重量%超、例えば前記粒子の約70重量%超、例えば前記粒子の約75重量%超、例えば前記粒子の約80重量%超が1000ミクロンのふるい~500ミクロンのふるいに収まるような粒径分布を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ポリマー粒子の1重量%未満、例えば約0.75重量%未満、例えば約0.5重量%未満が125ミクロンのふるいを通過することができる、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記ポリマー粒子の約20重量%未満、例えば、前記粒子の約15重量%未満が、500ミクロンのふるい~225ミクロンのふるいに収まる、請求項4又は5に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記ポリプロピレンポリマーが、内部電子供与体を含むチーグラー・ナッタ触媒の存在下で調製され、前記内部電子供与体は置換フェニレンジエステルを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
ポリマーフィルムであって、
約50ミクロン未満の厚さを有する二軸延伸ポリマー層であって、前記ポリマー層はポリプロピレンポリマーを含有するポリマー組成物を含む、二軸延伸ポリマー層と、
ポリプロピレンホモポリマー又は約1重量%未満の量のコモノマーを含有するポリプロピレンコポリマーを含むポリプロピレンポリマーであって、前記ポリプロピレンポリマーは、約4.5重量%超のキシレン可溶分含量を示し、前記ポリプロピレンポリマーは、約0.5g/10分~約20g/10分のメルトフローレートを示し、前記ポリプロピレンポリマーは、約10ppm未満の量のケイ素を含有するか、又はケイ素を含まない、ポリプロピレンポリマーと
を含む、ポリマーフィルム。
【請求項9】
前記ポリプロピレンポリマーが、約5.0重量%超、例えば約6重量%超、例えば約6.2重量%超、例えば約6.4重量%超、一般に約8.5重量%未満のキシレン可溶分含量を示す、請求項8に記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
前記ポリプロピレンポリマーがポリプロピレンホモポリマーである、請求項8又は9に記載のポリマーフィルム。
【請求項11】
前記ポリプロピレンポリマーが、内部電子供与体を含むチーグラー・ナッタ触媒の存在下で触媒され、前記内部電子供与体は置換フェニレンジエステルを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項12】
前記ポリマーフィルムが多層フィルムであり、前記二軸延伸ポリマー層が前記ポリマーフィルム内に少なくとも1つの層を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項13】
前記ポリプロピレンポリマーが、約2.5超の分子量分布を有する、請求項8~12のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項14】
請求項8~13のいずれか1項に記載のポリマーフィルムを含む包装フィルム。
【請求項15】
ポリプロピレンポリマーを生成するためのプロセスであって、
チーグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンモノマーを重合することであって、前記チーグラー・ナッタ触媒は触媒成分及び活性制限剤を含み、固体触媒成分はマグネシウム部分、チタン部分、及び内部電子供与体を含み、前記プロピレンモノマーはケイ素含有外部電子供与体の非存在下で重合されることと、
約4.0重量%超のキシレン可溶分含量を示し、約0.5g/10分~約20g/10分のメルトフローレートを示すポリプロピレンポリマーを形成することと
を含む、プロセス。
【請求項16】
前記プロピレンモノマーが、ケイ素系外部電子供与体を使用することなく、前記固体触媒成分及び前記活性制限剤の存在下で重合される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ポリプロピレンポリマーが、約5.0重量%超、例えば約6重量%超、例えば約6.2重量%超、例えば約6.4重量%超、一般に約8.5重量%未満のキシレン可溶分含量を示す、請求項15又は16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記内部電子供与体が置換フェニレンジエステルを含む、請求項15~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記活性制限剤が、ミリスチン酸イソプロピル、吉草酸ペンチル、又はそれらの任意の2つ以上の混合物を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ポリマーを形成するために使用される前記触媒が、5未満、例えば4.5未満、一般に約2.5超の助触媒対活性制限剤のモル比を有する、請求項15~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年12月7日に出願された米国仮出願第63/122,134号に対する優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンポリマーは、多数の多様な用途及び分野で使用される。ポリオレフィンポリマーは、例えば、容易に加工することができる熱可塑性ポリマーである。ポリオレフィンポリマーはまた、リサイクル及び再利用することができる。ポリオレフィンポリマーは、石油化学物質から得られ、豊富に利用可能である炭化水素、例えばエチレン、プロピレン及びα-オレフィンから形成される。
【0003】
ポリオレフィンポリマーの一種であるポリプロピレンポリマーは、一般に、プロピレンモノマーに基づく線状構造を有する。ポリプロピレンポリマーは、様々な異なる立体特異的配置を有し得る。ポリプロピレンポリマーは、例えば、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチックであり得る。アイソタクチックポリプロピレンは、おそらく最も一般的な形態であり、高度に結晶性であり得る。生成され得るポリプロピレンポリマーとしては、ホモポリマー、変性ポリプロピレンポリマー、及びポリプロピレンターポリマーを含むポリプロピレンコポリマーが挙げられる。ポリプロピレンを変性するか、又はプロピレンを他のモノマーと共重合することによって、特定の用途に所望の特性を有する様々な異なるポリマーを生成することができる。
【0004】
1つの用途において、ポリプロピレンポリマーは、フィルムを製造するために生成され配合される。ポリプロピレンポリマーから形成されるフィルムの一種は、例えば、二軸延伸フィルムである。二軸延伸フィルムは、ポリプロピレンポリマーを溶融状態に変えてフィルムに成形し、次いで縦方向及び横方向の両方に延伸する押出又はキャスティングプロセスによって製造される。これらのフィルムは高い価値を有し、多くの用途に使用することができる。例えば、1つの用途において、フィルムは、食品包装フィルムを含む包装フィルムに組み込むことができる。包装フィルムは、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが1つ以上の層を含み得る複数のポリマーフィルム層から作製することができる。包装フィルムは、透明性、厚さ、及び強度に関して様々な要件を有し得る。例えば、食品包装フィルムを製造する場合、フィルムはまた、制御された限界内の酸素透過率を有するべきである。フィルムを通しての酸素透過は、例えば、パッケージ内部の刺激された細菌増殖を防止し、したがって製品の貯蔵寿命を増加させる。
【0005】
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを形成する場合、ポリマーは、フィルムが損傷なしに、又は許容できないレベルの欠陥なしに形成されるために、様々な物理的特性を有する必要がある。例えば、ポリプロピレンポリマーは、非常に薄いフィルム厚さに押出されることが可能であるべきであり、破断することなく複数の方向に延伸されることが可能であるべきである。
【0006】
この点に関して、当業者は、延伸フィルムを含む非常に薄い押出品及びキャスト品を形成するために、ポリプロピレンポリマーの特性を継続的に改善しようと試みてきた。本開示は、ポリプロピレンポリマーの生成における更なる改善、並びにフィルムの製造及び他の用途における使用によく適したプロセスから作製されるポリプロピレンポリマーに関する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、一般に、フィルム、繊維及び他の成形品を製造するのによく適したポリオレフィンポリマー、例えばポリプロピレンポリマーを生成するためのプロセスに関する。本開示はまた、本プロセスから作製されるポリプロピレン組成物、及び当該ポリマーから製造されるフィルムに関する。本開示によれば、ポリプロピレンポリマーは、後に物品及び製品を形成するために使用されるときに加工上の利点を提供する、制御された量のキシレン可溶分を有するように生成される。本開示のプロセスはまた、予想外に、より均一なサイズ分布を有し、非常に低い微粉を含有するポリマー粒子を生成することが見出された。
【0008】
例えば、一態様では、本開示は、ポリプロピレンポリマーを含むポリマー組成物に関する。ポリプロピレンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマー又は1種以上のコモノマーを約1重量%未満の量で含有するポリプロピレンコポリマーであり得る。本開示によれば、4重量%超、例えば約5重量%超、例えば約5.5重量%超、例えば約6重量%超、例えば約6.2重量%超、例えば約6.4重量%超、一般に約8.5重量%未満のキシレン可溶分を有するポリプロピレンポリマーが生成される。ポリプロピレンポリマーは、約0.5g/10分~約20g/10分、例えば約1g/10分~約5g/10分のメルトフローレートを有する。ポリプロピレンポリマーは、ケイ素系外部電子供与体を含まないチーグラー・ナッタ触媒の存在下で形成することができる。したがって、本開示のポリプロピレンポリマーは、約30ppm未満、例えば約10ppm未満、例えば約5ppm未満の量でケイ素を含有し得る。一態様では、ポリプロピレンポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーである。
【0009】
本開示に従って作製されたポリプロピレンポリマーは、容易な取り扱い及び加工を可能にする非常に有益な粒径分布を有する。例えば、本開示のポリプロピレンポリマー粒子がふるい試験に従って試験される場合、ポリプロピレン粒子は、粒子の約65重量%超、例えば粒子の約70重量%超、例えば粒子の約75重量%超、例えば粒子の約80重量%超が1000ミクロンのふるい~500ミクロンのふるいに収まる粒径分布を有し得る。粒子の1重量%未満、例えば粒子の約0.75重量%未満、例えば粒子の約0.5重量%未満が75ミクロンのふるいを通過し、これは微粉が非常に低いことを示す。一態様では、粒子の約20重量%超、例えば粒子の約15重量%超が、500ミクロンのふるい~225ミクロンに収まる。
【0010】
ポリプロピレンポリマーは、一般に、約2.5超、例えば約3超、例えば約3.5超、一般に約7未満、例えば約6未満の分子量分布を有し得る。
【0011】
本開示はまた、上記のポリマー組成物から作製されたポリマーフィルムに関する。ポリマーフィルムは、二軸延伸ポリマーフィルム層を含み得る。ポリマーフィルム層は、約50ミクロン未満、例えば約30ミクロン未満、例えば約10ミクロン未満の厚さを有し得る。
【0012】
ポリマーフィルムは、ポリプロピレン組成物を含有する二軸延伸ポリマー層から作製された単一層又は単層フィルムであり得る。あるいは、本開示の二軸延伸ポリマー層は、多層フィルムの1つ以上の層を含み得る。ポリマーフィルムは、食品包装フィルムなどの包装フィルムであり得る。
【0013】
本開示はまた、オレフィンポリマーを製造するプロセスに関する。このプロセスは、チーグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンモノマーを重合することを含む。触媒は、固体触媒成分及び活性制限剤を含むことができる。固体触媒成分は、マグネシウム部分、チタン部分、及び内部電子供与体を含むことができる。本開示によれば、プロピレンモノマーは、触媒の存在下及びケイ素を含有する外部電子供与体の非存在下で重合される。例えば、一態様では、プロピレンモノマーは、活性制限剤の存在下で重合され得、任意の他の外部電子供与体の存在下では重合され得ない。このようにして、得られるポリマーのキシレン可溶分を制御し、増加させて、二軸延伸フィルムの作製に使用するのによく適したポリマーを生成することができる。
【0014】
チーグラー・ナッタ触媒に含有される内部電子供与体は、置換フェニレンジエステルであり得る。一方、活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ポリ(アルケングリコール)エステル、ジオールエステル、及びそれらの組み合わせであり得る。カルボン酸エステルは、不活性置換誘導体を含む脂肪族又は芳香族のモノ又はポリカルボン酸エステルであり得る。一態様では、助触媒(例えば、トリエチルアルミニウム(TEAl))対活性制限剤のモル比は、約5未満、例えば約4.5未満、一般に約2.5超であり得る。
【0015】
本開示の他の特色及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
当業者にとって最良の形態を含む本発明の完全かつ実施可能な開示は、添付の図面を参照することを含む本明細書の残りの部分においてより詳細に記載される。
【0017】
図1図1は、本明細書に記載の例で得られた結果のいくつかのグラフ表示である。
【0018】
定義及び試験手順
メルトフローレート(Melt flow rate、MFR)は、本明細書で使用される場合、プロピレン系ポリマーについて2.16kgの重量で230℃でASTM D1238試験法に従って測定される。メルトフローレートは、ペレット形態で、又は反応器粉末で測定することができる。反応器粉末を測定するとき、2000ppmのCYANOX2246酸化防止剤(メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール))2000ppmのIRGAFOS168酸化防止剤(トリス(2,4-ジ-tert.-ブチルフェニル)ホスファイト)、及び1000ppmの酸捕捉剤ZnOを含む安定化パッケージを添加することができる。
【0019】
高メルトフローレートポリマーの場合、試験ダイオリフィスは、ここで示されるようにより小さくてもよい:装置は、炭化タングステン大オリフィス2.0955±0.0051mm(0.0825±0.0002インチ)内径×8.000±0.025mm(0.315±0.001インチ)長さ;及び炭化タングステン小オリフィス1.0490±0.0051mm(0.0413+0.0002インチ)内径×4.000±0.025mm(0.1575±0.001インチ)長さを含む。ピストン及びダイをシリンダ内に配置し、ベースプレート上にしっかりと着座させる。試験開始前に少なくとも15分間温度を維持する。装置が繰り返し使用される場合、ピストン及びダイを15分間加熱する必要はない。50超のメルトインデックスを有するポリプロピレン材料については、小さいオリフィスが使用される。
【0020】
【表1】
【0021】
粒径は、ふるい試験を用いて測定することができる。ふるい試験は、Rotex Global社から市販されているGRADEX粒径分析計で行う。重量分率に基づく平均粒径は、GRADEX粒径分析計から得られる粒径分布から決定される。微粉は、GRADEX 120メッシュ(125ミクロン)を通過するポリマー粒子の重量分率として定義される。
【0022】
キシレン可溶分(Xylene solubles、XS)は、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂の試料を高温キシレンに溶解し、溶液を25℃に冷却した後に溶液中に残る樹脂の重量パーセントとして画定される。これは、60分の沈殿時間を使用するASTM D5492-06による重量XS法とも呼ばれ、本明細書では「湿式法」とも呼ばれる。
【0023】
上述のASTM D5492-06法は、キシレン可溶性部分を決定するために適合され得る。一般に、手順は、2gの試料を秤量すること、及び24/40の継手を備えた400mLフラスコ中で200mLのo-キシレンに試料を溶解することからなる。フラスコを水冷冷却器に接続し、内容物を撹拌し、窒素(N2)下で加熱還流し、次いで、更に30分間還流を維持する。次いで、溶液を25℃の温度制御された水浴中で60分間冷却して、キシレン不溶性画分の結晶化を可能にする。溶液が冷却され、不溶性画分が溶液から沈殿すると、キシレン不溶部分(XI)からのキシレン可溶性部分(XS)の分離は、25ミクロン濾紙を通して濾過することによって達成される。100mLの濾液を予め秤量したアルミニウムパンに収集し、o-キシレンをこの100mLの濾液から窒素流下で蒸発させる。溶媒が蒸発したら、パン及び内容物を100℃の真空オーブンに30分間又は乾燥するまで入れる。次いで、パンを室温まで冷却し、秤量する。キシレン可溶性部分は、XS(重量%)=[(m3-m2)*2/m1]*100として計算され、式中、m1は使用される試料の元の重量であり、m2は空のアルミニウムパンの重量であり、m3はパン及び残留物の重量である(本明細書及び本開示の他の箇所のアスタリスク*は、識別された用語又は値が乗算されることを示す)。
【0024】
XSはまた、以下のようなViscotek法に従って測定することができる。0.4gのポリマーを、130℃で60分間撹拌しながら20mLのキシレンに溶解する。次いで、溶液を25℃に冷却し、60分後、不溶性ポリマー画分を濾別する。得られた濾液を、THF移動相を1.0mL/分で流すViscotek ViscoGEL H-100-3078カラムを使用するフローインジェクションポリマー分析によって分析する。カラムを、45℃で動作する光散乱の粘度計及び屈折計検出器を備えたViscotek Model 302 Triple Detector Arrayに結合する。機器較正を、Viscotek PolyCAL(商標)ポリスチレン標準で維持する。二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)グレードのDow 5D98などのポリプロピレン(PP)ホモポリマーを参照材料として使用して、Viscotek機器及び試料調製手順が一貫した結果を提供することを確実にする。5D98などの参照ポリプロピレンホモポリマーについての値は、最初に、上記で識別されたASTM法を使用する試験から導出される。
【0025】
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)(「MWD」とも呼ばれる)及びより高い平均分子量(Mz/Mz)は、ポリプロピレンのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析法に従ってGPCによって測定される。ポリマーは、IR5 MCT(テルル化カドミウム水銀高感度、熱電冷却IR検出器)、Polymer Charの四細管粘度計、Wyattの8角MALLS、及び3つのAgilent Plgel Olexis(13um)を備えた、Polymer Char High Temperature GPCで分析する。オーブン温度を150℃に設定する。溶媒は、約200ppmの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含有する窒素パージされた1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。流速は1.0mL/分であり、注入量は200μlであった。2mg/mLの試料濃度は、試料をN2パージ及び予熱したTCB(200ppmのBHTを含有)に、穏やかに撹拌しながら160℃で2時間溶解させることによって調製する。
【0026】
GPCカラムセットは、20種の狭い分子量分布のポリスチレン標準を実行することによって較正される。標準の分子量(MW)は266~12,000,000g/molの範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有されていた。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも1ディケードの分離を有する。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量については20mLの溶媒中0.005gで、1,000,000g/mol未満の分子量については20mLの溶媒中0.001gで調製される。ポリスチレン標準を撹拌しながら160℃で60分間溶解する。狭い標準混合物が最初に実行され、分解の影響を最小限に抑えるために、分子量が最も高い成分の順で実行する。対数分子量較正は、溶出体積の関数として4次多項式フィットを使用して生成される。同等のポリプロピレン分子量は、報告されているポリプロピレン(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,and A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.,29,3763-3782(1984))及びポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971))のMark-Houwink係数を使用して次の式を使用して計算され、
【0027】
【数1】
【0028】
式中、MppはPP相当のMWであり、MPSはPS相当のMWであり、logK、並びにPP及びPSのMark-Houwink係数の値を以下に列挙する。
【0029】
【表2】
【発明を実施するための形態】
【0030】
様々な実施形態が以下に記載される。特定の実施形態は、網羅的な記載として、又は本明細書で論じられるより広い態様への限定として意図されていないことに留意されたい。特定の実施形態と併せて記載される1つの態様は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、任意の他の実施形態で実践することができる。
【0031】
数値範囲に関して本明細書で使用される場合、「およそ(approximately)」、「約(about)」、「実質的に(substantially)」という用語及び同様の用語は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変化する。当業者には明らかでない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、その用語は開示された値の±10%である。「およそ(approximately)」、「約(about)」、「実質的に(substantially)」及び類似の用語が構造的特徴に適用される場合(例えば、その形状、サイズ、向き、方向などを説明するために)、これらの用語は、例えば、製造又は組み立てプロセスに起因し得る構造のわずかな変動を対象に含めることを意味し、本開示の主題が関係する当業者による一般的かつ許容される使用法と調和する広い意味を有することが意図される。したがって、これらの用語は、説明され特許請求される主題の実質的でない又は重要でない修正又は変更が、添付の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲内にあると考えられることを示すものとして解釈されるべきである。
【0032】
要素を記載する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」、並びに同様の指示対象は、本明細書において別途指示がない限り、又は内容が明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別途指示がない限り、この範囲内に属する各別個の値を個々に指す簡略な方法の役目を果たすことを意図しているに過ぎず、各別個の値は、それが本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別途指示がない限り、又は別様に内容が明らかに矛盾していない限り、任意の好適な順序で行われ得る。本明細書に提供されるあらゆる及び全ての例、又は例示的な文言(例えば、「など」)の使用は、実施形態をよりよく説明することを意図しているに過ぎず、別途指示がない限り、特許請求の範囲に制限を課すものではない。本明細書における文言は、任意の請求されない要素を不可欠なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0033】
一般に、本開示は、ポリオレフィンポリマー、すなわち制御された量のキシレン可溶分を有するポリプロピレンポリマーを生成するためのプロセスに関する。本開示はまた、ポリプロピレンポリマーを含有するポリマー組成物、及びポリプロピレンポリマー組成物から作製された物品に関する。本開示に従って作製されたポリプロピレンポリマーは、一般に、比較的高いキシレン可溶分含量を有し、このことは、それらをフィルム及び繊維の製造によく適したものにする。例えば、一態様では、本開示のポリプロピレンポリマーを使用して、二軸延伸フィルムを製造することができる。フィルムは、包装フィルムなどの全ての異なる種類の用途に使用することができる。フィルムは、単独で又は他のポリマー層と組み合わせて使用することができる。
【0034】
ポリマー中に含有されるキシレン可溶分の量は、特定の触媒系の使用によって本開示に従って制御される。より詳細には、非ケイ素含有外部電子供与体を使用してポリプロピレンポリマーを生成する。従来では、例えば、ケイ素含有外部電子供与体がキシレン可溶性量を制御するために使用された。しかしながら、予期せぬことに、ケイ素含有外部電子供与体を使用せずにキシレン可溶性レベルを制御できるだけでなく、様々な他の利点及び利益を得ることができることが発見された。
【0035】
一態様では、例えば、本開示に従って作製されるポリプロピレンポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒の存在下で形成される。チーグラー・ナッタ触媒は、塩基触媒成分を内部電子供与体と組み合わせて含む。内部電子供与体は、例えば、置換フェニルジエステルであり得る。重合中、上記のような塩基触媒成分は、助触媒及び1つ以上の外部電子供与体と組み合わされる。本開示によれば、外部電子供与体は、外部電子供与体として作用するだけでなく、高温での触媒活性を低下させる1種以上の活性制限剤でもあり得る。重合中に存在する1種以上の活性制限剤は、カルボン酸エステルであり得る。1種以上の活性制限剤を使用して、任意の他の外部電子供与体、特にケイ素含有外部電子供与体の非存在下でポリプロピレンポリマーが生成される。
【0036】
本開示のプロセスを通して、例えば、ケイ素をほとんど又は全く含有せずに、約4%超、例えば約4.5%超、例えば約5%超、例えば約5.5%超、例えば約6%超、及び一般に約8%未満、例えば約7%未満のキシレン可溶分含量を有するポリプロピレンポリマーを生成することができる。例えば、本開示に従って作製されたポリプロピレンポリマーは、約30ppm未満の量、例えば約20ppm未満の量、例えば約10ppm未満の量、例えば約5ppm未満の量、例えば約3ppm未満の量、例えば約2ppm未満の量でケイ素を含有することができる。一態様では、本開示に従って作製されたポリプロピレンポリマーは、ケイ素を含まなくてもよい。
【0037】
キシレン可溶分含量を制御することに加えて、本開示の触媒系及びプロセスはまた、微粉をほとんど又は全く有さず、比較的均一な粒径分布を有するポリプロピレンポリマーを生成することができる。例えば、ポリマーの重合中に起こる粒子の破壊がより少なく、微粉のレベルが極めて低くなることが発見された。この結果は予想外で驚くべきものであった。実際、本開示に従って作製されたポリプロピレンポリマーは、約2重量%未満、例えば約1.5重量%未満、例えば約1重量%未満、例えば約0.75重量%未満、例えば約0.5重量%未満の微粉(例えば125ミクロンのふるいを通過するポリマー粒子)を含有し得る。
【0038】
極めて少量の微粉を生成することに加えて、本開示に従って生成されるポリマーは、比較的均一な粒径分布を有する。例えば、ポリマー粒子の65重量%超が、1,000ミクロンのふるい~500ミクロンふるいに収まり得る。より詳細には、ポリマー粒子の70重量%超、例えばポリマー粒子の約75重量%超、例えばポリマー粒子の約80重量%超が、1000ミクロンのふるい~500ミクロンのふるいに収まる。加えて、粒子の約20重量%未満、例えば約15重量%未満が、500ミクロンのふるい~225ミクロンのふるいに収まる。平均粒径は、一般に約0.55mm超、例えば約0.6mm超、例えば約0.625mm超、一般に約0.8mm未満、例えば約0.7mm未満であり得る。
【0039】
ケイ素含有外部電子供与体を一切使用せずに外部電子供与体として1種以上の活性制限剤を使用することに加えて、重合プロセスは、助触媒対外部電子供与体比が約8未満、例えば約7.5未満、特に6未満、例えば約5.8未満、例えば約5.6未満、例えば約5.4未満、一般に約2超、例えば約3超、例えば約3.5超であるように操作することができる。助触媒と比較してより多量の外部電子供与体又は1種以上の活性制限剤を有することで、操作性が良好なプロセスが生まれる。例えば、助触媒に対してより高い電子供与体濃度は、反応器連続性の改善に役立ち、これは、より低い微粉及びより少ない粒子分解をもたらす要因となり得る。
【0040】
本開示のプロセスを使用して、様々な異なる種類のポリプロピレンポリマーを生成することができる。一態様では、本開示のプロセスを使用して、ポリプロピレンホモポリマーを生成することができる。あるいは、ポリプロピレンランダムコポリマーなどのポリプロピレンコポリマーを生成することができる。一実施形態では、約1重量%未満のコモノマー、例えば約0.5重量%未満のコモノマーを含有するランダムコポリマーポリプロピレンを製造することができる。コモノマーは、エチレンなどの任意の適切なアルキレンであり得る。
【0041】
本開示に従って作製されたポリプロピレンポリマーは、一般に約20g/10分未満のメルトフローレートと共に比較的高いキシレン可溶分含量を有する。ポリマーのメルトフローレートは、例えば、約15g/10分未満、例えば約10g/10分未満、例えば約8g/10分未満、例えば約6g/10分未満、例えば約4g/10分未満、一般に約0.5g/10分超、例えば約1g/10分超、例えば約2g/10分超であり得る。
【0042】
ポリマーの分子量分布は、ポリマーがチーグラー・ナッタ触媒から形成されるという点で、一般に2.5よりも大きい。例えば、分子量分布は、約3超、例えば約3.5超、例えば約4超、例えば約4.5超、一般に約8未満、例えば約7未満、例えば約6未満であり得る。
【0043】
上記の特性を有するポリプロピレンポリマーは、二軸延伸フィルムなどのフィルムを形成するのによく適している。比較的高いキシレン可溶分含量を有する本開示に従って作製されたポリマーは、例えば、比較的薄いフィルムを形成するために使用することができる。フィルムは、例えば、約1ミクロン~約50ミクロン(それらの間の1ミクロンの全ての間隔を含む)の厚さを有し得る。例えば、フィルムは、約40ミクロン未満、例えば約30ミクロン未満、例えば約20ミクロン未満、例えば約15ミクロン未満、例えば約10ミクロン未満の厚さを有し得る。フィルム厚さは、一般に、約2ミクロン超、例えば約4ミクロン超、例えば約6ミクロン超、例えば約8ミクロン超である。
【0044】
本開示に従って作製された二軸延伸フィルムは、単層製品又は多層製品において使用することができる。多層製品において使用される場合、本開示のフィルムは、様々な他のフィルム層と組み合わせることができる。
【0045】
フィルム形成プロセスは、以下の手順のうちの1つ以上を含んでもよい:押出、共押出、キャスト押出、インフレーションフィルム形成、ダブルバブルフィルム形成、テンターフレーム技術、カレンダー加工、コーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、積層、二軸延伸、射出成形、熱成形、圧縮成形、及びこれらの任意の組み合わせ。
【0046】
一実施形態では、このプロセスは、多層フィルムを形成することを含む。「多層フィルム」という用語は、2つ以上の層を有するフィルムである。多層フィルムの層は、以下の非限定的なプロセスのうちの1つ以上によって一緒に結合される:共押出、押出コーティング、蒸着コーティング、溶媒コーティング、エマルジョンコーティング、又は懸濁コーティング。
【0047】
一実施形態では、このプロセスは、押出フィルムを形成することを含む。「押出」という用語及び同様の用語は、溶融プラスチック材料をダイに通し、任意選択的に冷却又は化学的硬化を続けることによって、連続形状を形成するためのプロセスである。ダイを通して押出す直前に、比較的高粘度のポリマー材料を回転スクリューに供給し、それをダイに通す。押出機は、一軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、ディスク押出機、又はラム押出機であり得る。ダイは、フィルムダイ、ブローフィルムダイ、シートダイ、パイプダイ、チュービングダイ又は異形押出ダイであり得る。押出物品の非限定的な例としては、パイプ、フィルム、及び/又は繊維が挙げられる。
【0048】
一実施形態では、このプロセスは、共押出フィルムを形成することを含む。「共押出」という用語及び同様の用語は、2つ以上の材料を、2つ以上のオリフィスが配置された単一のダイを通して押し出すためのプロセスであり、その結果、押出物は合体するか、又はそうでなければ共に溶着して層状構造になる。共押出層の少なくとも1つは、本プロピレン系ポリマーを含有する。共押出は、他のプロセスの態様として、例えば、フィルムブローイング、キャスティングフィルム、及び押出コーティングプロセスにおいて使用することができる。
【0049】
一実施形態では、このプロセスは、インフレーションフィルムを形成することを含む。「インフレーションフィルム」という用語及び同様の用語は、ポリマーフィルムを延伸するために、ポリマー又はコポリマーが押し出されて空気又は別のガスで満たされた気泡を形成するプロセスによって作製されるフィルムである。次いで、気泡を潰してフラットなフィルム状に回収する。
【0050】
ここで、本開示に従ってポリマーを形成するために使用され得る触媒系及びプロセスを説明する。本開示のポリプロピレンポリマーは、チーグラー・ナッタ触媒の存在下で生成される。触媒は、内部電子供与体と組み合わされた固体触媒成分を含む。内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含むことができる。重合中、固体触媒成分は助触媒及び外部電子供与体と組み合わされる。助触媒は一般にアルミニウム化合物である。本開示によれば、触媒系に組み込まれる外部電子供与体は、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、吉草酸ペンチル、又はそれらの混合物などのカルボン酸エステルを含み得る活性制限剤であり得る。任意のケイ素含有外部電子供与体(例えば、任意のシラン)の非存在下でポリマーを形成する場合、キシレン可溶分に対するより良好な制御及びより低い微粉を達成することができる。加えて、プロセス中、助触媒対外部電子供与体のモル比は、6未満、例えば5未満、例えば4.5未満、例えば4未満、例えば3.5未満、一般に1超、例えば2超に維持することができる。したがって、外部電子供与体対助触媒の比は比較的高く、これは反応器連続性の改善に役立つと考えられる。
【0051】
固体触媒成分は、(i)マグネシウム、(ii)周期表IV~VIII族の元素の遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、並びに/又は(i)及び/若しくは(ii)のアルコキシド、並びに(iv)(i)、(ii)、及び(iii)の組み合わせを含み得る。好適な触媒成分の非限定的な例としては、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、及びマグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、及びそれらの組み合わせのアルコキシドが挙げられる。
【0052】
一実施形態では、触媒成分の調製は、混合マグネシウム及びチタンアルコキシドのハロゲン化を含む。
【0053】
様々な実施形態では、触媒成分は、マグネシウム部分化合物(MagMo)、混合マグネシウムチタン化合物(MagTi)、又は安息香酸含有塩化マグネシウム化合物(BenMag)である。一実施形態では、触媒前駆体は、マグネシウム部分(「MagMo」)前駆体である。MagMo前駆体は、マグネシウム部分を含む。好適なマグネシウム部分の非限定的な例としては、無水塩化マグネシウム及び/又はそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド若しくはアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハライド、及び/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド又はアリールオキシドが挙げられる。一実施形態では、MagMo前駆体は、マグネシウムジ(C1~4)アルコキシドである。更なる実施形態では、MagMo前駆体は、ジエトキシマグネシウムである。
【0054】
別の実施形態では、触媒成分は、混合マグネシウム/チタン化合物(「MagTi」)である。「MagTi前駆体」は、式MgTi(OR)fXを有し、式中、Rは、1~14個の炭素原子又はCOR′を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルであり、又はR’が、1~14個の炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素ラジカルであり、各OR基は、同じであるか、又は異なり、Xは、独立して、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは塩素であり、dは、0.5~56、又は2~4であり、fは、2~116、又は5~15であり、gは、0.5~116、又は1~3である。前駆体は、その調製に使用される反応混合物からアルコールを除去する制御された沈殿によって調製される。一実施形態では、反応媒体は、芳香族液体、特に塩素化芳香族化合物、最も特にクロロベンゼンと、アルカノール、特にエタノールとの混合物を含む。好適なハロゲン化剤としては、四臭化チタン、四塩化チタン又は三塩化チタン、特に四塩化チタンが挙げられる。ハロゲン化に使用される溶液からアルカノールを除去すると固体の前駆体が沈殿し、これは特に望ましい形状及び表面積を有する。更に、得られた前駆体は、粒子サイズが特に均一である。
【0055】
別の実施形態では、触媒前駆体は、安息香酸含有塩化マグネシウム材料(「BenMag」)である。本明細書で使用される場合、「安息香酸含有塩化マグネシウム」(「BenMag」)は、安息香酸内部電子供与体を含有する触媒(すなわち、ハロゲン化触媒成分)であり得る。BenMag材料は、ハロゲン化チタンなどのチタン部分も含み得る。安息香酸内部供与体は不安定であり、触媒及び/又は触媒合成中に他の電子供与体によって置き換えられることができる。好適な安息香酸基の非限定的な例としては、安息香酸エチル、安息香酸メチル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-エトキシ安息香酸メチル、p-エトキシ安息香酸エチル、p-クロロベンゾエートが挙げられる。一実施形態では、ベンゾエート基はエチルベンゾエートである。一実施形態では、BenMag触媒成分は、安息香酸化合物の存在下で、任意の触媒成分(すなわち、MagMo前駆体又はMagTi前駆体)のハロゲン化の生成物であり得る。
【0056】
別の実施形態では、固体触媒成分は、マグネシウム部分、チタン部分、エポキシ化合物、任意選択的に有機ケイ素化合物、及び内部電子供与体から形成することができる。一実施形態では、有機リン化合物を固体触媒成分に組み込むこともできる。例えば、一実施形態では、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物は、エポキシ化合物、有機リン化合物、及び炭化水素溶媒を含む混合物中に溶解することができる。得られた溶液を、有機ケイ素化合物の存在下でチタン化合物で処理し、任意選択的に内部電子供与体で処理して、固体沈殿物を形成することができる。次いで、固体沈殿物を更なる量のチタン化合物で処理することができる。触媒を形成するために使用されるチタン化合物は、以下の化学式を有することができる:
Ti(OR)4-g
式中、各Rは、独立して、C~Cアルキルであり、Xは、Br、Cl、又はIであり、gは、0、1、2、3、又は4である。
【0057】
いくつかの実施形態では、有機ケイ素は、モノマー化合物又はポリマー化合物である。有機ケイ素化合物は、-Si-O-Si-基を1分子中又は他の分子間に含んでいてもよい。有機ケイ素化合物の他の例示的な例としては、ポリジアルキルシロキサン及び/又はテトラアルコキシシランが挙げられる。そのような化合物は、単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。有機ケイ素化合物は、アルミニウムアルコキシド及び内部電子供与体と組み合わせて使用することができる。
【0058】
上記で言及したアルミニウムアルコキシドは、式Al(OR’)を有するものであってもよく、式中、各R’は、個々に、20個までの炭素原子を有する炭化水素である。これは、各R’が個々にメチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチルなどである場合を含み得る。
【0059】
ハロゲン化物含有マグネシウム化合物の例としては、例えば、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、及びフッ化マグネシウムが挙げられる。一実施形態では、ハロゲン化物含有マグネシウム化合物は塩化マグネシウムである。
【0060】
エポキシ化合物の例としては、以下の式のグリシジル含有化合物が挙げられるが、これらに限定されない:
【0061】
【化1】
【0062】
式中、「a」は1、2、3、4、又は5であり、XはF、Cl、Br、I、又はメチルであり、Rは、H、アルキル、アリール、又はシクリルである。一実施形態では、アルキルエポキシドはエピクロロヒドリンである。いくつかの実施形態では、エポキシ化合物は、ハロアルキルエポキシド又は非ハロアルキルエポキシドである。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、エポキシ化合物は、エチレンオキシド;プロピレンオキシド;1,2-エポキシブタン;2,3-エポキシブタン;1,2-エポキシヘキサン;1,2-エポキシオクタン;1,2-エポキシデカン;1,2-エポキシドデカン;1,2-エポキシテトラデカン;1,2-エポキシヘキサデカン;1,2-エポキシオクタデカン;7,8-エポキシ-2-メチルオクタデカン;2-ビニルオキシラン;2-メチル-2-ビニルオキシラン;1,2-エポキシ-5-ヘキセン;1,2-エポキシ-7-オクテン;1-フェニル-2,3-エポキシプロパン;1-(1-ナフチル)-2,3-エポキシプロパン;1-シクロヘキシル-3,4-エポキシブタン;1,3-ブタジエンジオキシド;1,2,7,8-ジエポキシオクタン;シクロペンテンオキシド;シクロオクテンオキシド;α-ピネンオキシド;2,3-エポキシノルボルナン;リモネンオキシド;シクロデカンエポキシド;2,3,5,6-ジエポキシノルボルナン;スチレンオキシド;3-メチルスチレンオキシド;1,2-エポキシブチルベンゼン;1,2-エポキシオクチルベンゼン;スチルベンオキシド;3-ビニルスチレンオキシド;1-(1-メチル-1,2-エポキシエチル)-3-(1-メチルビニルベンゼン);1,4-ビス(1,2-エポキシプロピル)ベンゼン;1,3-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン;1,4-ビス(1,2-エポキシ-1-メチルエチル)ベンゼン;エピフルオロヒドリン;エピクロロヒドリン;エピブロモヒドリン;ヘキサフルオロプロピレンオキシド;1,2-エポキシ-4-フルオロブタン;1-(2,3-エポキシプロピル)-4-フルオロベンゼン;1-(3,4-エポキシブチル)-2-フルオロベンゼン;1-(2,3-エポキシプロピル)-4-クロロベンゼン;1-(3,4-エポキシブチル)-3-クロロベンゼン;4-フルオロ-1,2-シクロヘキセンオキシド;6-クロロ-2,3-エポキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン;4-フルオロスチレンオキシド;1-(1,2-エポキシプロピル)-3-フルオロベンゼン;3-アセチル-1,2-エポキシプロパン;4-ベンゾイル-1,2-エポキシブタン;4-(4-ベンゾイル)フェニル-1,2-エポキシブタン;4,4’-ビス(3,4-エポキシブチル)ベンゾフェノン;3,4-エポキシ-1-シクロヘキサノン;2,3-エポキシ-5-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン;3-アセチルスチレンオキシド;4-(1,2-エポキシプロピル)ベンゾフェノン;グリシジルメチルエーテル;ブチルグリシジルエーテル;2-エチルヘキシルグリシジルエーテル;アリルグリシジルエーテル;エチル3,4-エポキシブチルエーテル;グリシジルフェニルエーテル;グリシジル4-tert-ブチルフェニルエーテル;グリシジル4-クロロフェニルエーテル;グリシジル4-メトキシフェニルエーテル;グリシジル2-フェニルフェニルエーテル;グリシジル1-ナフチルエーテル;グリシジル2-フェニルフェニルエーテル;グリシジル1-ナフチルエーテル;グリシジル4-インドリルエーテル;グリシジルN-メチル-α-キノロン-4-イルエーテル;エチレングリコールジグリシジルエーテル;1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル;1,2-ジグリシジルオキシベンゼン;2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン;トリス(4-グリシジルオキシフェニル)メタン;ポリ(オキシプロピレン)トリオールトリグリシジルエーテル;フェノールノボラックのグリシジルエーテル;1,2-エポキシ-4-メトキシシクロヘキサン;2,3-エポキシ-5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン;4-メトキシスチレンオキシド;1-(1,2-エポキシブチル)-2-フェノキシベンゼン;グリシジルホルメート;グリシジルアセテート;2,3-エポキシブチルアセテート;グリシジルブチレート;グリシジルベンゾエート;ジグリシジルテレフタレート;ポリ(グリシジルアクリレート);ポリ(グリシジルメタクリレート);グリシジルアクリレートと別のモノマーとのコポリマー;グリシジルメタクリレートと別のモノマーとのコポリマー;1,2-エポキシ-4-メトキシカルボニルシクロヘキサン;2.3-エポキシ-5-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプタン;エチル4-(1,2-エポキシエチル)ベンゾエート;メチル3-(1,2-エポキシブチル)ベンゾエート;メチル3-(1,2-エポキシブチル)-5-フェニルベンゾエートN,N-グリシジル-メチルアセトアミド;N,N-エチルグリシジルプロピオンアミド;N,N-グリシジルメチルベンズアミド;N-(4,5-エポキシペンチル)-N-メチル-ベンズアミド;N,N-ジグリシルアニリン;ビス(4-ジグリシジルアミノフェニル)メタン;ポリ(N,N-グリシジルメチルアクリルアミド);1,2-エポキシ-3-(ジフェニルカルバモイル)シクロヘキサン;2.3-エポキシ-6-(ジメチルカルバモイル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン;2-(ジメチルカルバモイル)スチレンオキシド;4-(1,2-エポキシブチル)-4’-(ジメチルカルバモイル)ビフェニル;4-シアノ-1,2-エポキシブタン;1-(3-シアノフェニル)-2,3-エポキシブタン;2-メチルスチレンオキシド;又は6-シアノ-1-(1,2-エポキシ-2-フェニルエチル)ナフタレンであり得る。
【0064】
有機リン化合物としては、例えば、トリアルキルリン酸エステル等のリン酸エステルを用いることができる。そのような化合物は、次式で表すことができる:
【0065】
【化2】
式中、R、R、及びRは、各々独立して、メチル、エチル及び直鎖又は分岐鎖(C~C10)アルキル基からなる群から選択される。一実施形態では、トリアルキルリン酸エステルは、トリブチルリン酸エステルである。
【0066】
更に別の実施形態では、実質的に球状の塩化マグネシウム粒子を形成し、ベース触媒成分として使用することができる。球状粒子は、噴霧結晶化プロセスによって形成された塩化マグネシウム及びアルコール付加物、例えばMgCl-nEtOH付加物から形成することができる。このプロセスでは、MgCl-nROH溶融物(nは1~6である)は、20~80Cの温度で容器の上部に不活性ガスを導入しながら容器内に噴霧される。溶融液滴を、-50~20Cの温度で不活性ガスが導入される結晶化領域に移し、溶融液滴を、球形の非凝集固体粒子に結晶化する。球状のMgCl粒子は、次いで、所望のサイズに分類される。望ましくないサイズの粒子は、リサイクルすることができる。一態様では、球状のMgCl前駆体は、約15~150ミクロン、好ましくは20~100ミクロン、最も好ましくは35~85ミクロンの平均粒子サイズ(Malvern d50)を有し得る。
【0067】
触媒成分は、ハロゲン化によって固体触媒に変換することができる。ハロゲン化は、内部電子供与体の存在下で触媒成分をハロゲン化剤と接触させることを含む。ハロゲン化は、触媒成分中に存在するマグネシウム部分を、チタン部分(チタンハロゲン化物など)が堆積されているハロゲン化マグネシウム担体へと変換する。いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、ハロゲン化中、内部電子供与体は、(1)マグネシウム系担体上のチタンの位置を調節し、(2)マグネシウム及びチタン部分の、それぞれのハロゲン化物への変換を促進し、(3)変換中にハロゲン化マグネシウム担体の微結晶サイズを調節すると考えられる。したがって、内部電子供与体の提供は、立体選択性が向上した触媒組成物をもたらす。
【0068】
一実施形態では、ハロゲン化剤は、式Ti(ORを有するハロゲン化チタンであり、式中、R及びXが、上記のように定義され、fは、0~3の整数であり、hは、1~4の整数であり、f+hは、4である。一実施形態では、ハロゲン化剤は、TiClである。更なる実施形態では、ハロゲン化は、塩素化又は非塩素化芳香族液体、例えばジクロロベンゼン、o-クロロトルエン、クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、又はキシレンの存在下で行われる。更に別の実施形態では、ハロゲン化は、ハロゲン化剤と塩素化芳香族液体との混合物であって、40~60体積パーセントのハロゲン化剤、例えばTiClを含む混合物の使用によって行われる。
【0069】
反応混合物は、ハロゲン化中に加熱することができる。触媒成分及びハロゲン化剤は、約10℃未満、例えば約0℃未満、例えば約-10℃未満、例えば約-20℃未満、例えば約-30℃未満の温度で最初に接触される。初期温度は、一般に、約-50℃より高く、例えば約-40℃より高い。次いで、混合物は、0.1~10.0℃./分の速度で、又は1.0~5.0℃/分の速度で加熱される。内部電子供与体は、ハロゲン化剤と触媒成分との間の最初の接触期間の後に、後で添加され得る。ハロゲン化の温度は、20℃.~150℃.(又はそれらの間の任意の値若しくは部分範囲)、あるいは0℃.~120℃である。
【0070】
触媒成分、ハロゲン化剤、及び内部電子供与体の接触の仕方は変化し得る。一実施形態では、触媒成分は、最初に、ハロゲン化剤及び塩素化芳香族化合物を含有する混合物と接触される。得られた混合物を撹拌し、必要に応じて加熱することができる。次に、前駆体を単離又は回収することなく、内部電子供与体を同じ反応混合物に添加する。前述のプロセスは、自動プロセス制御によって制御される様々な成分を添加して、単一の反応器内で行われ得る。
【0071】
一実施形態では、触媒成分は、ハロゲン化剤と反応する前に内部電子供与体と接触される。
【0072】
触媒成分と内部電子供与体との接触時間は、少なくとも-30℃、又は少なくとも-20℃、又は少なくとも10℃から最大150℃、最大120℃、又は最大115℃、又は最大110℃の温度で、少なくとも10分、又は少なくとも15分、又は少なくとも20分、又は少なくとも1時間である。
【0073】
一実施形態では、触媒成分、内部電子供与体、及びハロゲン化剤は、同時に又は実質的に同時に添加される。
【0074】
ハロゲン化手順は、必要に応じて1回、2回、3回、又はそれ以上繰り返すことができる。一実施形態では、得られた固体材料は、反応混合物から回収され、少なくとも約10分間、又は少なくとも約15分間、又は少なくとも約20分間、及び最大約10時間、又は最大約45分、又は最大約30分で、少なくとも約-20℃.又は少なくとも約0℃.、又は少なくとも約10℃.から最大約150℃.、又は最大約120℃.、又は最大約115℃の温度で塩素化芳香族化合物中のハロゲン化剤の混合物と同じ(又は異なる)内部電子供与体成分が存在しない状態(又は存在下)で1回以上接触される。
【0075】
前述のハロゲン化手順の後、得られた固体触媒組成物は、例えば、湿性フィルタケーキを生成するため、濾過により最終プロセスで用いられる反応媒体から分離される。次いで、湿性フィルタケーキをすすぎ液体希釈剤で洗浄して未反応のTiClを除去することができ、必要に応じて、残留液体を除去するために乾燥させてもよい。典型的には、得られた固体触媒組成物は、イソペンタン、イソオクタン、イソヘキサン、ヘキサン、ペンタン、又はオクタンなどの脂肪族炭化水素などの液体炭化水素である「洗浄液体」で1回以上洗浄される。次いで、固体触媒組成物は、分離及び乾燥され、又は炭化水素、特に更なる貯蔵若しくは使用のために鉱油などの比較的重質の炭化水素中でスラリー化され得る。
【0076】
一実施形態では、得られる固体触媒組成物は、総固形分重量に基づいて約1.0重量パーセント~約6.0重量パーセント、又は約1.5重量パーセント~約4.5重量パーセント、又は約2.0重量パーセント~約3.5重量パーセントのチタン含有量を有する。固体触媒組成物中のチタン対マグネシウムの重量比は、好適には約1:3~約1:160、又は約1:4~約1:50、又は約1:6~1:30である。一実施形態では、内部電子供与体は、約0.005:1~約1:1、又は約0.01:1~約0.4:1の内部電子供与体対マグネシウムのモル比で触媒組成物中に存在し得る。重量パーセントは、触媒組成物の総重量に基づく。
【0077】
触媒組成物は、固体触媒組成物の単離の前又は後に、以下の手順の1つ以上によって更に処理されてもよい。所望であれば、固体触媒組成物を更なる量のハロゲン化チタン化合物と接触(ハロゲン化)させてもよい。これは、メタセシス条件下で、フタロイルジクロリド又はベンゾイルクロリドなどの酸塩化物と交換されてもよいし、水洗又は洗浄、熱処理してもよいし、又はエージングしてもよい。前述の更なる手順は、任意の順序で組み合わせられてもよく、別々に使用されてもよく、又は全く使用されなくてもよい。
【0078】
上記のように、触媒組成物は、マグネシウム部分、チタン部分、及び内部電子供与体の組み合わせを含み得る。触媒組成物は、触媒成分及び内部電子供与体を内部電子供与体が組み込まれたマグネシウム部分とチタン部分との組み合わせに変換する前述のハロゲン化手順によって、生成される。触媒組成物が形成される触媒成分は、マグネシウム部分前駆体、混合マグネシウム/チタン前駆体、ベンゾエート含有塩化マグネシウム前駆体、マグネシウム、チタン、エポキシ、及びリン前駆体、又は球状前駆体を含む、上述の触媒前駆体のいずれかであり得る。
【0079】
様々な異なる種類の内部電子供与体が固体触媒成分に組み込まれてもよい。一実施形態では、内部電子供与体は、フェニレン置換ジエステルなどのアリールジエステルである。一実施形態では、内部電子供与体は、以下の化学構造を有し得る:
【0080】
【化3】
【0081】
式中、R、R、R及びRは、各々1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、このヒドロカルビル基は、分岐鎖若しくは直鎖構造を有するか又は5~15個の炭素原子を有するシクロアルキル基を含み、E及びEは、同じであっても異なっていてもよく、1~20個の炭素原子を有するアルキル、1~20個の炭素原子を有する置換アルキル、1~20個の炭素原子を有するアリール、1~20個の炭素原子を有する置換アリール、又は1~20個の炭素原子を有し、任意選択的にヘテロ原子を含んでいてもよい不活性官能基からなる群から選択され、X及びXは、各々O、S、アルキル基、又はNRであり、Rは、1~20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であるか、又は水素である。
【0082】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」及び「炭化水素」という用語は、分岐状若しくは非分岐状、飽和若しくは不飽和の、環式、多環式、縮合、又は非環式種、並びにそれらの組み合わせを含む、水素及び炭素原子のみを含有する置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、及びアルキニル基が挙げられる。
【0083】
本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビル」及び「置換炭化水素」という用語は、1つ以上の非ヒドロカルビル置換基により置換されたヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」とは、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表のIV、V、VI、及びVII族からの非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、N、O、P、B、及びSが挙げられる。本明細書で使用される場合、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1つ以上のハロゲン原子で置換されたヒドロカルビル基を指す。
【0084】
一態様では、置換フェニレンジエステルは以下の構造(I)を有する:
【0085】
【化4】
【0086】
一実施形態では、構造(I)は、イソプロピル基であるR及びRを含む。R、R、及びR~R14 の各々は、水素である。
【0087】
一実施形態では、構造(I)は、R、R、及びR10の各々をメチル基として含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R~R、及びR11~R14の各々は、水素である。
【0088】
一実施形態では、構造(I)は、R、R、及びR10の各々をメチル基として含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R~R、及びR11~R14の各々は、水素である。
【0089】
一実施形態では、構造(I)は、R及びRの各々をメチル基として含み、Rは、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基などの3~8個の炭素原子を含有するシクロアルキル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、及びR14の各々は、水素であり得る。
【0090】
一実施形態では、構造(I)は、Rをメチル基として含み、Rは、t-ブチル基である。R及びR12の各々は、エチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0091】
一実施形態では、構造(I)は、R、R、R、R、R10、R12、及びR14の各々をメチル基として含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R、R11、及びR13の各々は、水素である。
【0092】
一実施形態では、構造(I)は、Rをメチル基として含み、Rは、t-ブチル基である。R、R、R、R10、R12、及びR14の各々は、i-プロピル基である。R、R、R、R、R11、及びR13の各々は、水素である。
【0093】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,536,372号に詳細に記載されているR~R14の各々の代替物を含む、構造(II)~(V)からなる群から選択される構造を有する。
【0094】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはエトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0095】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、フッ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0096】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0097】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、臭素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0098】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、ヨウ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0099】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R11、及びR12の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0100】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R11、及びR13の各々は、塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R12、及びR14の各々は、水素である。
【0101】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R、R、及びR~R14の各々は、フッ素原子である。
【0102】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、トリフルオロメチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0103】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、エトキシカルボニル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0104】
一実施形態では、Rはメチル基であり、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、エトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0105】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12の各々は、ジエチルアミノ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14の各々は、水素である。
【0106】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含み、Rは2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R、R、及びR~R14の各々は、水素である。
【0107】
一実施形態では、構造(I)は、R及びRを含み、これらの各々は、sec-ブチル基である。R、R、及びR~R14の各々は、水素である。
【0108】
一実施形態では、構造(I)は、各々メチル基であるR及びRを含む。R、R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0109】
一実施形態では、構造(I)は、メチル基であるRを含む。Rは、i-プロピル基である。R、R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0110】
一実施形態では、構造(I)は、R、R、及びRを含み、これらの各々は、i-プロピル基である。R、R~R、及びR10~R14の各々は、水素である。
【0111】
別の態様では、内部電子供与体はフタレート化合物であり得る。例えば、フタレート化合物は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジアミル、フタル酸ジイソアミル、フタル酸メチルブチル、フタル酸エチルブチル、又はフタル酸エチルプロピルであり得る。
【0112】
固体触媒成分及び内部電子供与体は、1つ以上の外部電子供与体と組み合わせることができる。本明細書で使用される場合、「外部電子供与体」は、触媒性能を改変する他の触媒成分とは関係なく添加される成分、又は成分の混合物を含む組成物である。一態様では、重合中に添加される1つ以上の外部電子供与体は、1種以上の活性制限剤である。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」は、触媒の存在下で重合温度が閾値温度(例えば、約85℃超の温度)を上回って上昇するにつれて触媒活性を低下させる組成物である。
【0113】
活性制限剤はカルボン酸エステルであってもよい。脂肪族カルボン酸エステルは、C~C30脂肪族酸エステルであり得、モノ又はポリ(2つ以上)のエステルであり得、直鎖又は分岐状であり得、飽和又は不飽和であり得、及びそれらの任意の組み合わせであり得る。C~C30脂肪族酸エステルはまた、1つ以上の14、15、又は16族のヘテロ原子を含有する置換基により置換され得る。好適なC4~C30脂肪族酸エステルの非限定的な例としては、脂肪族C4~30モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C4~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アリルモノ及びジエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アルキルエステル、並びにC2~100(ポリ)グリコール又はC2~100(ポリ)グリコールエーテルのC4~20モノ又はポリカルボキシレート誘導体が挙げられる。更なる実施形態では、C~C30脂肪族酸エステルは、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、オレエート、セバケート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジアセテート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジミリステート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジラウレート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジオレエート、グリセリルトリ(アセテート)、C40脂肪族カルボン酸のグリセリルトリ-エステル、及びそれらの混合物であり得る。更なる実施形態では、C~C30脂肪族エステルは、イソプロピルミリステート又はジ-n-ブチルセバケートである。
【0114】
上記の固体触媒成分及び1種以上の活性制限剤に加えて、本開示の触媒系は助触媒も含むことができる。助触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、マグネシウムの水素化物、アルキル、又はアリール、及びそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、助触媒は、式RAlで表されるヒドロカルビルアルミニウム助触媒であり、式中、各Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はヒドリドラジカルであり、少なくとも1つのRは、ヒドロカルビルラジカルであり、2つ又は3つのRラジカルは、環式ラジカルに接合され、ヘテロ環式構造を形成することができ、各Rは、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビルラジカルである各Rは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する。更なる実施形態では、各アルキルラジカルは、直鎖又は分岐鎖であり得、そのようなヒドロカルビルラジカルは、混合ラジカルであり得、すなわち、ラジカルは、アルキル、アリール、及び/又はシクロアルキル基を含有し得る。好適なラジカルの非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシル、n-ウンデシル、n-ドデシルである。
【0115】
好適なヒドロカルビルアルミニウム化合物の非限定的な例は、次のとおりである:トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウム、二水素化イソブチルアルミニウム、二水素化n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリ-n-デシルアルミニウム、トリ-n-ドデシルアルミニウム。一実施形態では、助触媒は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、及び水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウムから選択される。
【0116】
一実施形態では、助触媒は、トリエチルアルミニウムである。アルミニウム対チタンのモル比は、約5:1~約500:1、又は約10:1~約200:1、又は約15:1~約150:1、又は約20:1~約100:1である。別の実施形態では、アルミニウム対チタンのモル比は、約45:1である。
【0117】
上記のような本開示の触媒系は、オレフィン系ポリマーを製造するために使用することができる。本プロセスは、重合条件下でオレフィンを触媒系と接触させることを含む。
【0118】
1つ以上のオレフィンモノマーを重合反応器内に導入して、触媒系と反応させ、ポリマー、例えばポリマー粒子の流動床を形成することができる。オレフィンモノマーは、例えば、プロピレンであり得る。流動床反応器、撹拌ガス反応器、バルク相反応器、スラリー反応器又はそれらの組み合わせを含む任意の好適な反応器を使用することができる。好適な市販の反応器としては、UNIPOL反応器、SPHERIPOL反応器などが挙げられる。
【0119】
本明細書で使用される場合、「重合条件」とは、触媒組成物とオレフィンとの間の重合を促進して所望のポリマーを形成するのに好適な重合反応器内の温度及び圧力パラメータである。重合プロセスは、1つ、又は2つ以上の反応器内で操作する、気相、スラリー、又はバルク重合プロセスであり得る。
【0120】
一実施形態では、重合は、気相重合によって生じる。本明細書で使用される場合、「気相重合」は、流動媒体によって流動化状態に維持されたポリマー粒子の流動床を介した触媒の存在下で、上昇流動媒体、1つ以上のモノマーを含有する流動媒体の通過である。「流動化」、「流動化された」又は「流動化する」とは、微細ポリマー粒子の床がガスの上昇流によって持ち上げられ、かき混ぜられるガス-固体接触プロセスである。流動化は、粒子の床の細隙を通る流体の上向きの流れが、粒子状物質の重量を上回る圧力差及び摩擦抵抗の増大を獲得した場合に粒子状物質の床で生じる。したがって、「流動床」とは、流動媒体の流れによって流動化された状態で懸濁された複数のポリマー粒子である。「流動媒体」とは、1つ以上のオレフィンガス、任意選択的に、キャリアガス(例えば、H又はN)、及び任意選択的に気相反応器を通って上昇する液体(例えば、炭化水素)である。
【0121】
典型的な気相重合反応器(又は気相反応器)は、容器(すなわち、反応器)、流動床、分配板、入口及び出口配管、圧縮機、循環ガス冷却器又は熱交換器、並びに生成物排出システムを含む。容器は、反応ゾーン及び速度低下ゾーンを含み、これらのそれぞれは分配板上に位置する。床は、反応ゾーンに位置する。一実施形態では、流動媒体は、プロピレンガスと、オレフィンなどの少なくとも1つの他のガス及び/又は水素若しくは窒素などのキャリアガスと、を含む。
【0122】
一実施形態では、接触は、触媒組成物を重合反応器に供給し、オレフィンを重合反応器に導入することによって生じる。一実施形態では、助触媒は、触媒組成物を重合反応器に導入する前に、触媒組成物と混合(予め混合)することができる。別の実施形態では、助触媒は、触媒組成物とは独立して重合反応器に添加される。助触媒の重合反応器への独立した導入は、触媒組成物供給物と同時に、又は実質的に同時に起こり得る。
【0123】
一実施形態では、重合プロセスは、前活性化工程を含み得る。活性化前には、触媒組成物を助触媒及び活性制限剤と接触させることを含む。続いて、得られた予備活性化触媒流を重合反応ゾーン内に導入し、重合させるオレフィンモノマーと接触させる。
【0124】
したがって、一般に記載される本発明は、以下の実施例を参照して、より容易に理解され、これは例示として提供され、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0125】
本開示に従って、様々な異なるキシレン可溶分含量ポリプロピレンホモポリマーを作製した。ポリプロピレンポリマーの4つの異なる試料を生成し、試験した。全ての試料は、W.R.Grace and Company社から市販されているCONSISTA(登録商標)C702触媒を用いて生成した。C702触媒は、エポキシ化合物及び有機ケイ素化合物を含有する固体触媒成分を含む。C702触媒は、内部電子供与体として非フタル酸エステル化合物を含む。
【0126】
各実施例について、使用した外部電子供与体は以下のとおりである:
実施例1
ミリスチン酸イソプロピル(IPM);
実施例2:
吉草酸ペンチル(PV);
実施例3:
98重量%~2重量%の比のミリスチン酸イソプロピル及び吉草酸ペンチル;並びに
実施例4:
ミリスチン酸イソプロピル及びn-プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)。
【0127】
上記に示すように、実施例4は、ケイ素含有外部電子供与体(ケイ素系選択性制御剤又は外部電子供与体とも呼ばれる)と組み合わせて活性制限剤を含んでいた。一方、実施例1~3は、本開示に従って作製され、外部電子供与体として活性制限剤のみを含有していた。
【0128】
実施例1、2及び3については、外部電子供与体に対する助触媒のモル比は約4であった。一方、実施例4では、外部電子供与体に対する助触媒の比は約6であった。
【0129】
反応器は、サイクルガスラインに接続された圧縮器及び冷却器を備えた気相流動床で重合を行った。
【0130】
ポリプロピレン樹脂粉末を、助触媒としてトリエチルアルミニウムと組み合わせて上記触媒を使用して流動床反応器中で製造した。
【0131】
流動床反応器を以下の条件下で操作した:
反応器温度:72℃
プロピレン分圧:320psi
床重量:68~72ポンド
ガス空塔速度:1.0~1.6フィート/秒
【0132】
各試料セットから形成されたポリプロピレンポリマーは、約3g/分のメルトフローレートを有していた。ポリプロピレンホモポリマーはまた、約5.5重量%のキシレン可溶分含量を有していた。
【0133】
結果を表1及び図1に示す。
【0134】
【表3】
【0135】
製造された各試料の粒径を、GRADE X粒径分析器を用いて測定した。粒径情報を図に提供する。本開示に従って生成されたポリプロピレンポリマーは、劇的に低いレベルの微粉を有していた。図に示されるように、本開示に従って作製されたポリマーは、はるかに狭い粒径分布を有していた。一方、実施例4の粒子は、2つの一次サイズに分裂するように見えた。このデータは、キシレン可溶分を制御しながら、より望ましい粒径分布を有する生成物を生成する能力を実証している。
【0136】
特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、以下の特許請求の範囲において定義されるようなそのより広い態様における技術から逸脱することなく、当業者に従ってその中で変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【0137】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素(element)又は要素(elements)、限定(limitation)又は限定(limitations)の不存在下で好適に実践され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などの用語は、広範囲に、かつ限定的せずに読み取られるべきである。加えて、本明細書で用いられる用語及び表現は、限定的なものではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、示され、記載される特徴又はそれらの一部分のいずれの等価物も除外することを意図していないが、様々な修正が特許請求される技術の範囲内で可能であることが認識される。加えて、「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は、具体的に列挙されたこれらの要素、並びに特許請求される技術の基本的な特徴及び新規の特徴に物質的に影響しないこれらの追加の要素を含むことが理解されよう。「からなる(consisting of)」という語句は、指定されてないいずれの要素も除外する。
【0138】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかなように、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形を行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び組成物は、前述の説明から当業者に明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と共に、そのような特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物学的系に限定されず、これらは当然変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で用いられている用語が、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定するものとしては意図されていないことも理解されたい。
【0139】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバー又はメンバーのサブグループに関しても記載されることを認識するであろう。
【0140】
当業者によって理解されるように、あらゆる及び全ての目的で、特に書面による説明を提供するという観点で、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる及び全ての可能性のある部分範囲及びその部分範囲の組み合わせも包含する。いずれの列挙された範囲も、同じ範囲が、少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分、十等分などに細分されることを十分に記載し、それを可能にすることが簡単に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下部3分の1、中部3分の1、及び上部3分の1などに容易に細分され得る。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「~超の(~を超える)」、「未満」などの全ての文言は、列挙される数を含み、かつその後、上で論じた部分範囲に細分され得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、各個々の部材を含む。
【0141】
本明細書において参照される全ての刊行物、特許出願、発行済み特許、及び他の文献は、各個々の刊行物、特許出願、発行済み特許、又は他の文献が、参照によりその全体が組み込まれることが具体的かつ個々に示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。参照によって組み込まれる記載内容に含まれる定義は、それらが本開示における定義に矛盾する限りにおいて除外される。
【0142】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載される。
図1
【国際調査報告】