(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】免疫グロブリンに富む乳清タンパク質濃縮物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/19 20160101AFI20231220BHJP
A23C 21/00 20060101ALI20231220BHJP
A23C 9/14 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A23L33/19
A23C21/00
A23C9/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534284
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2021085827
(87)【国際公開番号】W WO2022129127
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505310426
【氏名又は名称】フリースランドカンピーナ ネーデルランド ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェイウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドートルモン、クリス テレーゼ エミリアンヌ
(72)【発明者】
【氏名】プルサエイデスファハニ、アリ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B018
【Fターム(参考)】
4B001AC05
4B001BC08
4B001BC99
4B001EC05
4B018MD01
4B018MD20
4B018MD23
4B018ME02
4B018ME14
4B018MF01
(57)【要約】
免疫グロブリンに富む乳清タンパク質濃縮物(SPC)を生成する方法であって、0.5~1.5の水/乳体積比まで水で希釈された成熟ウシ脱脂乳を含む供給流の精密濾過(MF)を含み、精密濾過は、85~200nmの範囲の孔径、10~15℃又は50~55℃の範囲の温度、1~2.4m/sのクロスフロー及び0.25~1バールの膜間圧力差を有する膜を使用して行われ、それによりMF透過液として乳清タンパク質濃縮物をもたらす、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫グロブリンに富む乳清タンパク質濃縮物(SPC)を生成する方法であって、0.5~1.5の水/乳体積比まで水で希釈された成熟ウシ脱脂乳を含む供給流の精密濾過(MF)を含み、前記精密濾過は、85~200nmの範囲の孔径、10~15℃又は50~55℃の範囲の温度、1~2.4m/sのクロスフロー及び0.25~1バールの膜間圧力差を有する膜を使用して行われ、それによりMF透過液として前記乳清タンパク質濃縮物をもたらす、方法。
【請求項2】
前記乳清タンパク質濃縮物は、総乳清タンパク質に基づいて8~12重量%、好ましくは10~12重量%の免疫グロブリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜は、中空糸膜である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
総乳清タンパク質に対する前記乳清タンパク質濃縮物の免疫グロブリン含量は、総乳清タンパク質に対する前記成熟ウシ脱脂乳の免疫グロブリン含量よりも少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも1.7倍、最も好ましくは少なくとも2.0倍高い、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
精密濾過される前記成熟ウシ脱脂乳は、0.75~1.25、最も好ましくは約1の水/乳体積比まで水で希釈される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
精密濾過は、50~55℃の範囲の温度で行われる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記膜間圧力差は、0.5~1バールである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記MF透過液は、400~800kDa、好ましくは400~600kDa、最も好ましくは400~500kDaの範囲の分子量カットオフ又は25~100nm、好ましくは50~100nm、最も好ましくは50~60nmの孔径を有する膜を使用するさらなる濾過に供される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記MF透過液は、前記さらなる濾過前にβ-ラクトグロブリンの等電点まで酸性化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる乳清タンパク質濃縮物。
【請求項11】
請求項10に記載の乳清タンパク質濃縮物を含む、乳児用調製乳、フォローアップ用調製乳及びグローイングアップミルクから選択される栄養組成物。
【請求項12】
請求項10に記載の乳清タンパク質濃縮物を少なくとも脂肪源、炭水化物源並びにビタミン及びミネラルと組み合わせることにより、請求項11に記載の栄養組成物を生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い免疫グロブリン含量を有する乳清タンパク質濃縮物、その生成及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
乳は、他の供給源から食物を消化することができるまで、哺乳類の子孫に唯一の栄養源を提供する。全ての泌乳動物の初乳及び乳は、免疫グロブリン(Ig)を含有し、これは、微生物病原体及び微生物毒素に対する子孫の免疫学的防御を提供し、感染から乳腺を防御する。ウシ及びヒトの乳汁中の免疫グロブリンの主要なクラスは、IgG、IgA及びIgMであり、これらは、構造及び生物学的活性が異なる。IgGは、IgG1及びIgG2に細分することができる。ヒト乳では、主要なIgは、IgAである。ヒト母乳は、約85~90重量%のIgA、約2~3重量%のIgG及び約8~10重量%のIgMを含有する(J.A.Cakebread et al.,J.Agric.Food Chem.,63(2015)7311-7316)。一方、ウシ乳では、主要なIgは、IgGである。成熟ウシ乳は、約80重量%のIgG(大部分がIgG1である)、約10重量%のIgM及び約10%のIgAを含有する。ウシ初乳のIg含量は、成熟ウシ乳のIg含量よりもはるかに高く、初乳の総タンパク質含量の70~80%がIgであるが、成熟ウシ乳では総タンパク質含量の1重量%未満を提供するに過ぎない。
【0003】
可能な限りヒトの母乳に近い乳児用調製乳を生成することが引き続き望まれている。したがって、その目標を達成するために、乳児用調製乳の活性免疫グロブリン含量を増加させることが望まれている。
【0004】
乳児用調製乳は、一般に、乳を少なくとも1種のホエータンパク質源、少なくとも1種の脂質源、少なくとも1種の炭水化物源並びにビタミン及びミネラルと組み合わせることによって調製される。ホエータンパク質源は、好ましくは、ホエータンパク質濃縮物(WPC)及び乳清タンパク質濃縮物(SPC)から選択される。両方の製品は、脱脂乳を、レンネット処理(すなわちチーズ製造)、酸性化又は精密濾過により、カゼインに富む画分と、ホエータンパク質に富む画分とに分離した結果である。免疫グロブリンは、カゼインミセル相ではなく、乳清相に存在し、したがってホエータンパク質とみなされる。
【0005】
ホエータンパク質濃縮物(WPC)は、酸又はチーズホエーの限外濾過及び/又は逆浸透並びに任意選択により脱塩によって得られる生成物である。限外濾過により、水、ラクトース及び灰の大部分が生成物から除去され、それによりホエータンパク質が濃縮される。逆浸透を使用して、水を除去し、WPCをさらに濃縮することができる。乳清タンパク質濃縮物(SPC)も、濃縮されたホエータンパク質生成物であり、ホエー画分の起源がWPCと異なる。SPC中のホエータンパク質は、酸又はチーズホエーではなく、脱脂乳の精密濾過から生成される。前記精密濾過は、濃縮カゼイン保持画分と、透過画分としてホエータンパク質の大部分を含有する乳清画分とをもたらす。従来、この透過画分は、次いで、ラクトース、灰分及び水を除去するために限外濾過及び/又は逆浸透に供される。通常のSPCの免疫グロブリン含量は、総乳清タンパク質に基づいて6重量%未満である。これは、成熟ウシ乳中の含量に匹敵し、これは、従来のSPC調製物がIg含量の有意な濃縮をもたらさないことを意味する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、通常のSPCよりも高い免疫グロブリン含量を有する乳清タンパク質濃縮物及び少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも1.7倍、最も好ましくは少なくとも2.0倍の、総乳清タンパク質に対する総Ig含量の富化をもたらす方法の提供に関する。本発明によるSPCは、総乳清タンパク質に基づいて8~12重量%、好ましくは10~12重量%の免疫グロブリン、すなわちIgG+IgA+IgMを含有する。総乳清タンパク質含有量は、総タンパク質含量を決定し、総タンパク質含量から非タンパク質窒素(NPN)及びカゼイン含量を差し引くことによって決定され、これらは、全てよく知られたケルダール法(変換係数6.38)によって決定される。免疫グロブリン含量は、R.L.Valk-Weebera,T.Eshuis-de Ruiter,L.Dijkhuizen,and S.S.van Leeuwen,International Dairy Journal,Volume 110,November 2020,104814)に記載されるように、ウシIgG、IgA及びIgM ELISA定量セットを用いて決定することができる。
【0007】
国際公開第2004/094027号パンフレットは、短いらせん状中空繊維膜による乳、好ましくはヒト免疫グロブリンを含有するトランスジェニック乳の精密濾過、続く100kDa膜を使用する限外濾過(UF)を開示していることに留意すべきである。精密濾過に供される供給物は、既に高レベルのヒト免疫グロブリンを含有した。しかしながら、本発明の方法で使用される成熟ウシ乳のIg含量は、はるかに低い。米国特許出願公開第2003/059512号明細書は、100~3000kDaのMWCOを有する膜を用いた脱脂乳の精密濾過、続く50~300kDaでの濾過が、Ig及びアルブミンを含有する保持液をもたらすことを開示している。この文献は、MF透過液のIg含量を濃縮するために必要な条件について言及していない。
【0008】
本発明によるSPCは、85~200nmの範囲の孔径、10~15℃又は50~55℃の範囲の温度、1~2.4m/sのクロスフロー及び0.25~1バールの膜間圧力差を有する膜を使用する、0.5~1.5の体積比において水で希釈された成熟ウシ脱脂乳を含む供給流の精密濾過(MF)によって得ることができる。Ig富化SPCがMF透過液として得られる。このような膜の孔径及び条件により、総乳清タンパク質と比較して、免疫グロブリン、特にIgGの選択的透過が可能になり、それによりMF透過液中の総乳清タンパク質に対する免疫グロブリン含量が富化される。これは、免疫グロブリンの透過が総乳清タンパク質に対して選択的でない従来の乳精密濾過とは対照的である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、成熟ウシ乳から出発する免疫グロブリン富化SPCの生成に関する。ウシ初乳は、成熟ウシ乳よりもはるかに多くの免疫グロブリンを含有するが、免疫グロブリンに富むSPCを生成するためにウシ初乳を使用する選択肢はない。第一に、初乳の組成(例えば、その高濃度のホエータンパク質)は、熱交換器及び蒸発器の表面に沈殿する傾向があり、その洗浄及びメンテナンスに問題を生じさせる。さらに、初乳の使用は、生後数日以内に新生子牛から必須栄養を奪うため、倫理的な問題を引き起こす。本発明に関連して、成熟ウシ乳は、初乳以外のウシ乳である。初乳は、分娩後の最初の3日間の乳である。初乳は、脂肪、ホエータンパク質(Igを含む)、ビタミン及びミネラルのレベルが高く、成熟乳よりもラクトース及びカゼインのレベルが低い。
【0010】
本発明によるSPCであって、請求項1に記載の方法によって生成されるSPCは、総乳清タンパク質に基づいて8~12重量%、好ましくは10~12重量%の免疫グロブリン(IgG+IgA+IgM)を含む。
【0011】
本発明による方法は、85~200nm、好ましくは85~150nm、最も好ましくは90~110nmの範囲の孔径を有する膜による成熟ウシ脱脂乳の精密濾過(MF)を含む。スパイラル、セラミック、中空糸などのあらゆる従来型の精密濾過膜を使用することができるが、中空糸膜が好ましい。任意の中空糸膜を使用することができるが、直線の中空糸を備えたモジュールを使用することが好ましい。中空糸膜の直径は、好ましくは、0.8~3mm、より好ましくは1.0~2.0mmの範囲であり、長さは、好ましくは、0.75~1.5mの範囲である。
【0012】
膜は、ポリスルホン(PS)、(変性)ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、セルロースアセテート(CA)及びポリプロピレン(PP)などの様々なポリマータイプから構成され得る。スパイラル膜及びセラミック膜などの従来の精密濾過膜と比較して、中空糸膜は、免疫グロブリンを他のホエータンパク質と比べてより高速で透過することができ、それによりMF透過液のより高いIg含量をもたらす。中空糸膜のさらなる利点は、そのコンパクトなシステム設計であり、保持容積が小さく、その結果、洗浄コストを低く抑えられる。中空糸モジュールの垂直位置は、生成工程の終了時におけるより高い生成物回収を可能にする。
【0013】
精密濾過される成熟ウシ脱脂乳は、0.5~1.5、好ましくは0.75~1.25、最も好ましくは約1の水/乳体積比まで水で希釈される。膜間圧力差(TMP)は、0.25~1バール、好ましくは0.5~1バールの範囲である。精密濾過工程は、10~15℃又は50~55℃の範囲、好ましくは50~55℃の範囲の温度で行われる。クロスフローは、1~2.4m/s、好ましくは1.5~2.4m/sの範囲である。免疫グロブリンの収率をさらに高めるために、透析濾過を行うことが望ましい。希釈した乳を一定の体積濃縮係数(VCF)で濃縮又は透析濾過し得る。
【0014】
一実施形態では、本発明の方法によって得られるMF透過液は、400~800kDa、好ましくは400~600kDa、最も好ましくは400~500kDaの範囲の分子量カットオフ又は25~100nm、好ましくは50~100nm、最も好ましくは50~60nmの孔径を有する膜を使用するさらなる濾過に供される。得られる保持液は、IgG含量がさらに濃縮されている。このさらなる濾過前に、MF透過液は、乳清タンパク質β-ラクトグロブリンの等電点まで酸性化され得る。別の実施形態では、陰イオン交換クロマトグラフィーをMF保持液に適用して、乳清タンパク質を選択的に除去することができる。
【0015】
本発明の方法から得られるSPCは、粉末製品を製造するためにさらに濃縮、脱塩及び/又は(噴霧)乾燥され得る。本発明によるSPCは、栄養組成物、特に調製乳の生成における成分としての使用に特に適している。調製乳は、乳児用調製乳、フォローアップ用調製乳及びグローイングアップ用調製乳の群から選択される。したがって、本発明は、栄養組成物、典型的には調製乳、特に乳児用調製乳、フォローアップ用調製乳又はグローイングアップ用調製乳などの小児用の栄養組成物にさらに関する。
【0016】
栄養組成物、特に調製乳は、SPCを少なくとも脂質源、炭水化物源、ビタミン及びミネラルと組み合わせることによって調製され得る。脂質源は、調製乳での使用に適した任意の脂質又は脂肪であり得る。好ましい脂肪源としては、乳脂肪、ベニバナ油、卵黄脂質、キャノーラ油、オリーブ油、ヤシ油、パーム核油、大豆油、魚油、パームオレイン、高オレイン酸ヒマワリ油及び高オレイン酸ベニバナ油並びに長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)を含む微生物発酵油が挙げられる。一実施形態では、無水乳脂肪が使用される。脂質源は、これらの油に由来する画分、例えばパームオレイン、中鎖トリグリセリド及び脂肪酸(例えば、アラキドン酸、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ドコサヘキサエン酸、リノレン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸など)のエステルの形態でもあり得る。事前に形成されたアラキドン酸及びドコサヘキサエン酸を多量に含む少量の油(魚油又は微生物油)を添加し得る。この脂肪源は、好ましくは、n-6脂肪酸対n-3脂肪酸の比率が約5:1~約15:1、例えば約8:1~約10:1である。特定の態様では、乳児用調製乳は、トリアシルグリセロールにエステル結合したパルミチン酸(例えば、20~60重量%のパルミチン酸をトリアシルグリセロールのsn-2位に有し、40~80重量%のパルミチン酸をトリアシルグリセロールのsn-1/sn-3位に有する)を含む油混合物を含む。調製乳中に含まれることが好ましいビタミン及びミネラルの例は、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンD、葉酸、イノシトール、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、コリン、カルシウム、リン、ヨウ素、鉄、マグネシウム、銅、亜鉛、マンガン、塩化物、カリウム、ナトリウム、セレン、クロム、モリブデン、タウリン及びL-カルニチンである。ミネラルは、通常、塩の形態で添加される。調製乳中に含まれることが好ましい炭水化物の例は、ラクトース、非消化性オリゴ糖、例えばガラクトオリゴ糖(GOS)及び/又はフラクトオリゴ糖(FOS)並びにヒト乳オリゴ糖(HMO)である。必要に応じて、栄養組成物は、乳化剤及び安定剤(例えば、大豆レシチン、モノグリセリド及びジグリセリドのクエン酸エステルなど)を含み得る。それは、有益な効果を有し得る他の物質(例えば、ラクトフェリン、ヌクレオチド、ヌクレオシドなど)も含み得る。
【実施例】
【0017】
実施例1
この実験では、長さ75cm、繊維径1.5mmの中空糸膜(孔径0.1μm、PES)を使用した。3.5Lの低温殺菌した脱脂乳の供給物を使用し、透析濾過のために3.5Lの脱塩水と予め混合した。供給物をクロスフロー2.4m/s及びTMP 1バールの中空糸膜によって操作温度50℃で濃縮した。全供給物(7L)を体積濃縮係数(VCF)2.8の2.5LのMF保持液まで濃縮し、MF透過液(4.5L)をIgG富化生成物として回収した。供給物、MF保持液及びMF透過液中のIgG、IgA及びIgMの濃度をELISAにより測定し、総乳清蛋白質含量をケルダー法により測定した。結果を表1に示す。MF透過液中の総乳清タンパク質に対する総Ig含量は、供給物中よりも約2.5倍高いことがわかる。
【0018】
【0019】
実施例2
全供給物(7L)を、脱塩水を定期的に、3.5Lの脱塩水が添加されるまで添加することにより、1の一定のVCFで濾過したことを除いて、実施例1を繰り返した。表2は、供給物、MF透過液及びMF保持液中の関連タンパク質の組成をまとめたものである。MF透過液中の総乳清タンパク質に対する総Ig含量は、供給物中よりも約1.8倍高いことがわかる。
【0020】
【国際調査報告】