(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】試験体のガスリークを検出するガスリーク検知装置およびガスリーク検知方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/20 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
G01M3/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534329
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2021083737
(87)【国際公開番号】W WO2022135854
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】102020134370.1
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【氏名又は名称】藤原 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】ヴェツィヒ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ルース・マルセル
(72)【発明者】
【氏名】デッカー・シルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】グレルマン・トマス
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067BB02
2G067BB03
2G067BB06
2G067CC13
2G067DD02
2G067DD17
2G067DD18
2G067EE08
2G067EE09
(57)【要約】
【課題】試験体のガスリーク箇所検出と総リーク計測を可能にする検知装置の提供。
【解決手段】本発明の検知装置は、試験体または同体を収容する試験容器に対するコネクタ20と、コネクタと接続されて試験体または試験容器の排気を行う真空ポンプ16,18と、真空ポンプおよびコネクタと接続されて第1のテストガスの検出を行い、かつ真空ポンプを運転し続けながら試験体のガスリークの総リーク検出または吹付け原理に応じたリーク箇所検出を行うガス検出器12と、真空ポンプおよびコネクタと接続されて圧力増分法に応じてコネクタでの全圧増分の積分計測及び/又は分圧増分法に応じてコネクタでの第1テストガスとは異なる第2テストガスの分圧増分の計測を行うガス圧力センサ24と、ガス圧力センサによる試験体検査を行う際にガス圧力センサおよびコネクタを真空ポンプから切離す遮断装置26と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体のガスリークを検出するガスリーク検知装置であって、
前記試験体または前記試験体を収容する試験容器に対するコネクタ(20)と、
前記コネクタ(20)と接続されて前記試験体または前記試験容器の排気を行う真空ポンプ(16,18)と、
前記真空ポンプ(16,18)および前記コネクタ(20)と接続されて第1のテストガスの検出を行うように構成されており、前記真空ポンプ(16,18)を運転し続けながら前記試験体のガスリークの総リーク検出または吹き付け原理に応じたリーク箇所検出を行うように構成されている、ガス検出器(12)と、
前記真空ポンプ(16,18)および前記コネクタ(20)と接続されて圧力増分法に応じて前記コネクタ(20)での全圧増分の積分計測および/または分圧増分法に応じて前記コネクタ(20)での前記第1のテストガスとは異なる少なくとも1種の第2のテストガスの分圧増分の計測を行うように構成されている、ガス圧力センサ(24)と、
前記ガス圧力センサ(24)による前記試験体の検査を行う際に、前記ガス圧力センサ(24)および前記コネクタ(20)を前記真空ポンプ(16,18)から真空的に切り離すように構成されている、遮断装置(26)と、
を備える、ガスリーク検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガスリーク検知装置において、前記ガス圧力センサ(24)は、前記真空ポンプ(16,18)よりも上流側のガスを当該ガス圧力センサ(24)が計測するように前記コネクタ(20)を前記真空ポンプ(16,18)に接続し且つ/或いは前記ガス検出器(12)よりも上流側のガスを当該ガス圧力センサ(24)が計測するように前記コネクタ(20)を前記ガス検出器(12)に接続するガス導通路(22)と接続されている、ガスリーク検知装置。
【請求項3】
請求項1に記載のガスリーク検知装置において、前記コネクタ(20)を前記真空ポンプ(16,18)に接続するガス導通路(22)がブースターポンプ(32)を有しているとともに、前記ガス圧力センサ(24)は、当該ガス導通路(22)のうちの、前記コネクタ(20)と前記ブースターポンプ(32)との間よりも、つまり、前記ブースターポンプ(32)および前記真空ポンプ(16,18)よりも、上流側に設けられている、ガスリーク検知装置。
【請求項4】
請求項1に記載のガスリーク検知装置において、前記コネクタ(20)を前記真空ポンプ(16,18)に接続するガス導通路(22)がブースターポンプ(32)を有しているとともに、前記ガス圧力センサ(24)は、当該ガス導通路(22)のうちの、前記ブースターポンプ(32)と前記真空ポンプ(16,18)との間、つまり、前記ブースターポンプ(32)よりも下流側で、前記真空ポンプ(16,18)よりも上流側に設けられている、ガスリーク検知装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のガスリーク検知装置において、前記ガス圧力センサ(24)が、前記第2のテストガスの光スペクトル解析を行うように構成されている、ガスリーク検知装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のガスリーク検知装置において、前記ガス検出器(12)が、当該ガス検出器(12)を前記真空ポンプ(16,18)に接続するガス導通路(30)に高真空ポンプ(18)、特には超高真空ポンプ、を具備した質量分析計であるとともに、前記遮断装置(26)は、前記ガス圧力センサ(24)による前記試験体の検査が行われる際に、前記ガス圧力センサ(24)および前記コネクタ(20)を前記高真空ポンプ(18)から真空的に切り離すように構成されている、ガスリーク検知装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のガスリーク検知装置において、前記ガス圧力センサ(24)は、蓄積原理に応じて前記コネクタ(20)での前記第2のテストガスの分圧増分の積分計測を行うように構成されている、ガスリーク検知装置。
【請求項8】
試験体のガスリークを検出するガスリーク検知方法であって、
前記試験体または前記試験体を取り囲む試験容器に第1のテストガスを供給し、真空ポンプ(16,18)で前記試験体または前記試験容器を排気し続けながら、総リーク検出に基づいて、または、吹き付け原理に応じたリーク箇所検出に基づいて、前記第1のテストガスの検出を行うことで、前記試験体のガスリークを判定する過程と、
前記試験体または前記試験容器に前記第1のテストガスとは異なる少なくとも1種の第2のテストガスを供給し、前記試験体または前記試験容器と前記ガス圧力センサ(24)とが前記真空ポンプ(16,18)から切り離されている状態で、つまり、前記試験体または前記試験容器の排気が行われていない間に、圧力増分法に応じた前記試験体または前記試験容器の全圧増分の積分計測、かつ/あるいは、分圧増分法に応じた前記試験体または前記試験容器内部の前記第2のテストガスの分圧増分の計測を行うことにより、前記試験体のガスリークを検出する過程と、
を、任意の順序で備える、ガスリーク検知方法。
【請求項9】
請求項8に記載のガスリーク検知方法において、前記第2のテストガスの前記全圧増分および/または前記分圧増分が、前記試験体または前記試験体を収容する前記試験容器に対するコネクタ(20)を前記真空ポンプ(16,18)および/または前記ガス検出器(12)に接続するガス導通路(22)にて計測されるか、あるいは、当該ガス導通路に接続された拡張又は縮小計測空間にて計測される、ガスリーク検知方法。
【請求項10】
請求項9に記載のガスリーク検知方法において、前記全圧増分および/または前記分圧増分が、前記試験体または前記試験容器に対する前記コネクタ(20)に吸込口を接続したブースターポンプ(32)の吐出口と前記真空ポンプ(16,18)および/またはガス検出器(12)とを接続するガス導通路(22)にて計測されることで、当該全圧増分および/または当該分圧増分の計測が、前記ブースターポンプ(32)よりも下流側の、前記真空ポンプ(16,18)および/または前記ガス検出器(12)よりも上流側で行われる、ガスリーク検知方法。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか一項に記載のガスリーク検知方法において、空気中の一成分又は複数の各種成分についての前記分圧増分の計測が行われる、ガスリーク検知方法。
【請求項12】
請求項8から11のいずれか一項に記載のガスリーク検知方法において、前記テストガスの前記分圧増分の計測が、当該テストガスの光スペクトルの解析によって行われる、ガスリーク検知方法。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか一項に記載のガスリーク検知方法において、前記第2のテストガスの前記全圧増分および/または前記分圧増分が、前記ガス検出器(12)の高真空ポンプ(18)を前記コネクタ(20)および前記ガス圧力センサ(24)に接続するガス導通路(28)にて計測されるか、あるいは、当該ガス導通路に接続された拡張又は縮小計測空間にて計測される、ガスリーク検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験体のガスリークを検出するガスリーク検知装置、および対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ガスリークを検知する方法としては、総リーク検出とリーク箇所検出の2種類の方法が可能である。総リーク検出には、二つの選択肢がある。第一の選択肢として、ガス検出器と接続した試験容器に、テストガスで加圧した試験体を収容したうえで試験容器の排気を行うか、あるいは、試験容器に収容した試験体をテストガスで加圧しつつ、試験容器の排気を行うということが可能である。そのほか、第二の選択肢として、試験容器又は試験ケースに、ガス検出器と接続した試験体を収容し、試験容器又は試験ケースに例えば外気等のテストガスを供給したうえで試験体の排気を行うか、あるいは、同試験容器又は同試験用覆いにテストガスを供給しつつ、同試験体の排気を行うということが可能である。総リーク検出では、リークの検知だけが可能であり、リーク箇所を突き止めることはできない。
【0003】
リーク箇所の突き止めでは、試験容器を用いずに、スニッフィング原理または吹き付け原理に応じてリーク箇所検出を行う。スニッフィング原理の場合、試験体をテストガスで加圧するとともに、真空ポンプとガス検出器とに接続されたスニッフィングプローブで試験体外部のスニッフィングを行う。吹き付け原理の場合、真空ポンプとガス検出器とに接続された試験体に対し、外部からテストガスをスプレーガンで吹き付ける。
【0004】
一般的に、ヘリウムや水素をテストガスに用いるこのようなガスリーク検知装置では、質量分析計がガス検出器として使用されるとともに、ターボ分子ポンプなどの高真空ポンプを真空フォアポンプと組み合わせて真空ポンプとしている。リーク箇所検出では、該真空ポンプを使って試験体の排気を行うとともに、外部からテストガスを吹き付ける[吹き付け原理(Spruehprinzip)]。一体型リーク検出(integralen Dichtheitspruefung)では、試験体をテストガスで加圧するとともに、同試験体を試験容器内に設置する。前段真空ポンプ(Vorvakuumpumpe)によって試験容器の排気が行われるとともに、真空中のテストガス含有量を質量分析計が計測する。このテストガス含有量が、試験体のリークのリーク量の尺度とされる。
【0005】
このような真空リークディテクタとしては、例えば、INFICON(登録商標)社から販売されている製品名UL3000やUL5000が挙げられる。これらのシステムでは、システムの気密性の確認を目的として、試験体に対してスプレーしたり、匂いをかいだりすることによりリーク箇所を突き止めた後に、試験容器を用いた圧力増分の積分計測が行われる。この際には、真空リークディテクタと接続された試験容器内に設置した試験体をテストガスで加圧しつつ、同試験容器の排気が行われる。あるいは、真空リークディテクタと接続した試験体を試験容器で取り囲み、同試験容器をテストガスで加圧したうえで同試験体の排気が行われるか、あるいは、同試験容器を同テストガスで加圧しつつ、同試験体の排気が行われる。
【0006】
DE 16 48 648 C3(特許文献1)には、カウンターフロー原理に応じた質量分析式リーク検知が記載されている。ここでは、試験容器がターボ分子ポンプ(Turbomolekularpumpe)の吸込口に接続される。試験容器内には、リーク確認対象の試験体を設置することができる。該試験体には、例えばヘリウム等のテストガスが充填される。該ターボ分子ポンプのフォア圧力側(Vordruckseite)は、真空フォアポンプに接続される。該ターボ分子ポンプと該真空フォアポンプとの間にある中間ガス吸込口には、質量分析計として構成されたガス検出器を排気する別のターボ分子ポンプの吐出側が接続される。試験容器から取り出されたテストガスが該質量分析計に供給されるように2つのターボ分子ポンプが運転されるほか、該真空フォアポンプによって該試験容器と該質量分析計の排気が行われる。
【0007】
EP 1 620 706 B1(特許文献2)には、試験容器の排気を行う高真空ポンプがリークディテクタの吸込口に直接接続されるとともに該試験容器が該吸込口に絞りなしで且ついかなる弁も介さずに接続される、カウンターフロー型リーク検知用の配置構成が記載されている。これにより、同吸込口でのヘリウムの吸引能力が向上するとともに、体積の大きい試験体が接続されたとしてもテストガスに対する応答時間が短時間となる。
【0008】
DE 101 56 206 A(特許文献3)およびDE 10 2014 223 841 A(特許文献4)には、ブースターポンプを備えた真空リークディテクタのアセンブリが記載されている。該ブースターポンプは、吸引能力を向上させて該真空リークディテクタの応答時間を早めるために追加されるターボ分子ポンプであって、該真空リークディテクタの吸込口の領域に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】西独国特許第1648648号明細書
【特許文献2】欧州特許第1620706号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10156206号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102014223841号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、試験体のガスリーク箇所検出と総リーク計測との両方を可能にする改良されたガスリーク検知装置、および対応する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるガスリーク検知装置は、請求項1の構成により規定されるものである。本発明にかかる方法は、請求項8の構成により規定されるものである。
【0012】
本発明では、真空ポンプおよび該真空ポンプに接続されたガス検出器に加えて、試験容器内部または試験体内部の全圧増分の積分計測を行う全圧センサ(圧力増分法)として且つ/或いは該試験体または該試験容器内部の第1のテストガスとは異なる少なくとも1種の第2のテストガスの分圧増分の計測を行うガス選択性分圧センサ(分圧増分法)として構成されたガス圧力センサが設けられている。前記分圧センサは、例えば、前記第2のテストガス又はさらなるテストガスの光スペクトル解析によってガス分圧の検出が可能なものである。また、遮断装置が設けられており、前記ガス圧力センサによる前記試験体または前記試験容器の検査を行う際に、前記ガス圧力センサと前記試験体又は前記試験容器に対するコネクタとを前記真空ポンプから真空的に切り離すように構成されている。
【0013】
これにより、前記真空ポンプを運転し続けながら圧力増分法または蓄積原理に応じた計測を極めて高速に行うことが可能となる。前記ガス検出器による積分計測又はリーク箇所計測には前記第1のテストガスが用いられる一方、前記ガス圧力センサによる圧力増分の積分計測には少なくとも前記第2のテストガス又はさらなるテストガスが用いられる。計測時に前記遮断装置が前記ガス圧力センサと前記試験体又は前記試験容器とを前記真空ポンプから真空的に切り離すことから、圧力増分法または蓄積原理に応じた積分計測を行うのに、前記真空ポンプの運転を停止したり中断したりする必要がない。
【0014】
前記真空ポンプは、唯一の真空ポンプであってもよいし、複数の真空ポンプで構成された真空ポンプ系内の所与の真空ポンプであってもよい。特に、前記真空ポンプは、少なくとも1つの前段真空ポンプ(Vorvakuumpumpe)と少なくとも1つの高真空ポンプとで構成された真空ポンプ系内の所与の高真空ポンプとされ得る。
【0015】
前記ガス分析計は、例えばターボ分子ポンプ等の高真空ポンプ又は超高真空ポンプを具備した質量分析計であり得る。該質量分析計は、前記試験体又は前記試験容器の排気を行う前記真空ポンプを真空フォアポンプとして用いて、該質量分析計からの排気を該真空フォアポンプで大気に向けて行う。このときの真空フォアポンプと高真空ポンプは、真空ポンプ系と称する場合がある。変形例として、前記ガス検出器は、特定ガスに対する光学式ガス検出器または半導体式センサとされてもよい。
【0016】
前記ガス圧力センサは、圧力増分法に応じて前記試験容器内部または前記試験体内部の全圧増分を計測する圧力計であり得る。これに代えて又はこれに加えて、前記ガス圧力センサは、前記テストガスの分圧増分を計測するガス選択性分圧センサとして構成されたものであり得る。ここでの分圧とは、試験対象の混合ガス中の同テストガスの相対的な含有量のことである。前記分圧増分の計測は、前記真空ポンプが停止したまま計測領域に蓄積したガスの分圧増分を計測するという蓄積法に応じて行われ得る。
【0017】
特に、前記ガス圧力センサは、メンブレン窓方式のセンサ、例えば赤外線吸収センサ等の吸収分光式のセンサ、例えばOES(発光分光分析)センサ等の放射分光式のセンサ、半導体式のガスセンサ、化学式のガスセンサ、または光学式のガスセンサであり得る。具体的に述べると、前記ガス圧力センサは、必ずしも圧力計でなくてもよい。全圧増分法では、前記ガス圧力センサが、前記第2のテストガスを含んだ混合ガスの全圧の増加を計測する。分圧増分の場合には、前記ガス圧力センサが、少なくとも前記第2のテストガスの分圧部の増加を計測する。
【0018】
前記ガス圧力センサの例示的な一実施形態として表される光スペクトル解析によれば、圧力増分法または蓄積原理に応じた全圧および/または分圧の評価を、極めて高速に行うことができるようになる。
好ましくは、前記ガス選択性分圧センサは、発光分光分析を行うように構成されたOESセンサである。
【0019】
好ましくは、前記圧力センサは、前記試験体又は前記試験容器に対する前記コネクタを前記真空ポンプ又は前記ガス検出器に接続するガス導通路上に含まれているか、あるいは、該ガス導通路に接続される。
【0020】
前記遮断(ブロック)装置は、手動制御および/または電子制御および/または空気圧制御によってブロックを行う、選択的に制御可能な遮断装置であり得る。この目的のために、選択的に作動可能または制御可能なバルブが、遮断対象のガス導通路上に採用され得る。変形例として、前記遮断装置は、前記ガス導通路の真空的な圧力切離しを行うストップバルブ、バタフライバルブまたはベローズゲートバルブからなり得る。
【0021】
好ましくは、リークから流出する試験空間のガスが前記ターボ分子ポンプよりも下流側の空間に圧縮されるように、ブースターポンプが前記計測中に排気を行う。通常、前記試験容器または前記試験体の体積は、圧縮を行うターボ分子ポンプ以後の領域の体積よりも数倍大きいので、この圧縮ガス空間での圧力増分は、およそ体積比の割合のぶんだけ大きくなる。
【0022】
以下では、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ブースターポンプを備えない例示的な一実施形態を示す模式図である。
【
図2】ブースターポンプを備えた、対応する例示的な一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
各図に、以下の構成要素を備えたガスリーク検知装置を示す:
ガス検出器12;
試験体または該試験体を収容する試験容器に対するコネクタ20;および
コネクタ20に接続された試験体の排気、さらには、ガス検出器12の排気を行う真空ポンプ16。
ガス導通路22は、コネクタ20を真空ポンプ16に接続する。
【0025】
図示の例示的な実施形態のガス検出器12は、ターボ分子ポンプ18によって排気される質量分析計である。ここでは、ガス検出器12とターボ分子ポンプ18のことを検出器系という場合がある。ターボ分子ポンプ18の吐出口は、真空ポンプ16の吸込口に接続されており、真空フォアポンプとしての真空ポンプ16の吸込口を利用する。よって、真空ポンプ16とターボ分子ポンプ18が、真空ポンプ14を構成する。真空ポンプ16の吐出口は、大気側に開口している。
【0026】
本発明では、ガス導通路22に、全圧センサおよび/またはガス選択性分圧センサであり得る例えばOES(発光分光分析)センサとして構成されたガス圧力センサ24が接続される。このため、ガス圧力センサ24の上流側、すなわち、ガス圧力センサ24とガス導通路22との間に遮断(ブロック)装置26が設けられており、これによってガス圧力センサ24がガス導通路22に接続される。遮断装置26は、コネクタ20とガス圧力センサ24との間のガス運搬接続を、コネクタ20とそれ以外の構成要素、すなわち、特にガス検出器12や真空ポンプ16との間の接続を切り離した状態で実現するように構成されている。最も単純な場合の遮断装置26は:(i)コネクタ20-真空ポンプ16間のガス導通路22の相互接続およびガス圧力センサ24との間の接続の遮断;(ii)ガス圧力センサ24との間のガス導通路22の接続およびコネクタ20-真空ポンプ16間の遮断;のいずれかを任意で行う切替部(スイッチ)であり得る。該切替部は、シャトルバルブまたは3/2ウェイバルブであり得る。
【0027】
図示を簡略化するが、遮断装置26は、ガス導通路22,28の遮断が可能である点を表すため、ガス導通路22,28をまたいで拡がる矩形領域として図面に描いている。これは、コネクタ20、ガス圧力センサ24、真空ポンプ16間の接続の遮断を行う、ガス導通路22上の制御可能なバルブ27によって実現され得る。また、図示の例示的な実施形態では、質量分析用高真空ポンプ18(すなわち、ガス検出器12に接続された高真空ポンプ)をコネクタ20やガス圧力センサ24に接続するガス導通路28の遮断を行う制御可能なバルブ25も、同遮断装置に含まれる。つまり、図面に描いた例示的な実施形態では、遮断装置26の少なくとも一部が、ガス導通路22の遮断を行うガス導通路22上に含まれている。
【0028】
ガス圧力センサ24の配置構成として他にも可能な配置構成を、
図1に破線で示す。つまり、ガス圧力センサ24は、真空フォアポンプ16をターボ分子ポンプ18に接続するガス導通路30と接続されるものとしてもよい。この場合の遮断装置26は、ガス導通路30上の制御可能なバルブ29によって構成される。
【0029】
遮断装置26とガス圧力センサ24との同等の配置構成は、
図2に示す例示的な実施形態においても考えられ得るが、
図2には描いていない。
【0030】
図2では、真空ポンプ16によってコネクタ20を排気するためのガス導通路22上に、ターボ分子ポンプとして構成されたブースターポンプ32が追加で含められている。好ましくは、ガス圧力センサ24および遮断装置26は、ガス導通路22のうちの、ブースターポンプ32よりも下流側で真空ポンプ16よりも上流側に接続されるものとされ、すなわち、ガス導通路22のうちの、ブースターポンプ32を真空フォアポンプ16に接続する部分に接続される。
【国際調査報告】