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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】コーヒー豆を焙煎する方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 5/04 20060101AFI20231220BHJP
   B03C 3/41 20060101ALI20231220BHJP
   B03C 3/40 20060101ALI20231220BHJP
   B03C 3/74 20060101ALI20231220BHJP
   A23N 12/12 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A23F5/04
B03C3/41 A
B03C3/40 A
B03C3/74 Z
A23N12/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534674
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2021084441
(87)【国際公開番号】W WO2022128580
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20215341.7
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】モレンド, ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】デュビエフ, フラヴィアン, フローラン
(72)【発明者】
【氏名】デグリーフ, トーマス, ルディー, エス.
(72)【発明者】
【氏名】セリス, ミキール, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】レメンス, リエン, デニス, エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベークラント, マキシム
【テーマコード(参考)】
4B027
4B061
4D054
【Fターム(参考)】
4B027FC10
4B027FQ02
4B027FR17
4B027FR18
4B027FR20
4B061AA08
4B061AB09
4B061BA09
4B061BB18
4B061CD21
4D054AA02
4D054AA20
4D054BA02
4D054BA07
4D054BB02
4D054BC31
4D054CA11
4D054CA18
4D054DA20
(57)【要約】
本発明は、焙煎システムにおいてコーヒー豆を焙煎する方法であって、上記システムは、焙煎装置1と、焙煎装置によって生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニット2であって、上記煙処理ユニットは、少なくとも電気集塵装置222を備え、上記電気集塵装置は、少なくとも1つのセルを備え、上記セルは、イオン化線、収集電極、及び反発電極を備え、上記イオン化線は、イオン化線に高電圧Vを印加するために電力が供給される、煙処理ユニットと、を備え、焙煎装置内で実施される各焙煎動作中に、本方法が、焙煎動作の時間に沿ってイオン化線及び/又は電極における電圧Vを監視するステップと、焙煎動作の期間の間に、監視された電圧が所定の電圧閾値V0を下回るようになる場合、及び監視された電圧Vが下側の上記電圧閾値V0を下回る上記期間が、所定の時間閾値Δtを上回る場合、その後クリーニングアラームを表示するステップと、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焙煎システム(10)においてコーヒー豆を焙煎する方法であって、前記システムは、
焙煎装置(1)と、
前記焙煎装置によって生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニット(2)であって、前記煙処理ユニットは、少なくとも電気集塵装置(222)を備え、
前記電気集塵装置は、少なくとも1つのセル(222a、222b)を備え、
前記セルは、イオン化線(2221)、収集電極(2222)、及び反発電極(2223)を備え、
前記セルには、前記イオン化線及び前記電極の少なくとも一部に高電圧を印加するために電力が供給される、煙処理ユニット(2)と、を備え、
前記焙煎装置内で実施される各焙煎動作中に、前記方法が、
前記焙煎動作の時間に沿って前記イオン化線及び/又は前記電極における電圧Vを監視するステップと、
前記監視された電圧が、前記焙煎動作の期間Δtの間に所定の電圧閾値V0を下回るようになる場合、かつ
前記期間Δtが、所定の時間閾値Δt0を上回る場合、その後クリーニングアラームを表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記所定の電圧閾値V0が、100Vを下回る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の時間閾値Δt0の長さが、前記焙煎動作中に実施される焙煎のレベル及び/又は前記焙煎動作中に焙煎される豆のタイプに依存する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の時間閾値Δt0の長さが、前記電気集塵装置の最後のクリーニング動作以降に実施された前記焙煎動作の回数に依存する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の時間閾値Δt0の長さが、前記焙煎動作に沿って変化する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の時間閾値Δt0が、約数秒であり、好ましくは10秒を下回り、更に好ましくは5秒を下回る、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記煙処理ユニットが、前記電気集塵装置を制御するように構成された高電圧プロセス制御基板を備え、前記監視された電圧が、前記プロセス制御基板から読み取られる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電気集塵装置が、少なくとも2つのセル(222a、222b)を備え、前記セルが、ロースターによって放出される煙の流れに沿って連続して配置され、前記方法が、各セルに適用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】

前記2つのセルについて、前記イオン化線における前記監視された電圧Vが、前記焙煎動作の同じ期間の間に下側の前記電圧閾値V0を下回り、かつ前記期間が、前記所定の時間閾値Δt0を上回る場合、その後技術的メンテナンス用のアラームが表示される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
コーヒー豆を焙煎するためのシステムであって、前記システムは、
焙煎装置(1)と、
前記焙煎装置によって生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニット(2)であって、前記煙処理ユニットは、少なくとも電気集塵装置(222)を備え、
前記電気集塵装置は、少なくとも1つのセル(222a、222b)を備え、
前記セルは、イオン化線(2221)、収集電極(2222)、及び反発電極(2223)を備え、
前記セルには、前記イオン化線、及び前記電極の少なくとも一部に高電圧を印加するために電力が供給される、煙処理ユニット(2)と、
請求項1~9のいずれか一項に記載の焙煎する方法に従って、焙煎プロセスを制御するように動作可能な制御システム(3)と、
を備える、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムに、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータプログラムが、前記焙煎装置の制御ユニット(30)及び前記煙処理ユニットの制御ユニットによって実行され、両方の制御ユニットが互いに通信する、請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項11に記載のコンピュータプログラムを記憶している、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全な環境でコーヒー豆を焙煎するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー豆の焙煎は、周知のプロセスである。主要工程は、豆を所望の焙煎レベルに加熱し、次いで加熱された豆を冷却又は急冷して焙煎を停止することからなる。加熱中に、煙が放出される。この煙には、安全かつ所望の成分、特に通常の焙煎コーヒーアロマが、全て一緒に含まれるだけでなく、ピリジン、2-フランメタノール、カフェインフルフラール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどの望ましくない安全性の低い揮発性有機化合物(VOC)VOC、及び粒子状物質(PM2.5、PM10)も含まれる。
【0003】
重要な量の焙煎豆を生産する製造現場で焙煎が実施される場合、一般に安全でない成分を捕捉するための全ての条件が供給される。
【0004】
しかし最近は、顧客が焙煎したての豆で淹れたコーヒーを消費することが可能な店舗、レストラン及びコーヒー店において、小さなロースターで小バッチの焙煎を実施する傾向がある。ロースターは、鮮度及び現場の利点を提供するだけではなく、店舗又はコーヒー店の中に、心地よい焙煎コーヒーアロマも送出する。
【0005】
しかし、上述したように、有害な成分も放出される。ロースターが店舗、コーヒー店又はレストランのような閉鎖的な環境で使用される場合、部屋のサイズ、部屋の換気に応じて、一部の成分の放出が有害となり得る。その部屋で数時間作業する人々にとって、ロースターの煙を嗅ぐことは、健康問題につながる可能性がある。
【0006】
その結果、このような環境では、店舗内にいる人々の健康な問題を回避するために、ロースターからの煙の放出を停止することが推奨される。既存の解決策は、汚染物質の熱酸化を可能にするアフターバーナー若しくは触媒アフターバーナーなどで汚染物質を消滅させること、又は機械的フィルタ(金属ふるい若しくは紙フィルタ)、活性炭フィルタ、電気集塵装置、若しくはそれらの組み合わせなどの装置内部に汚染物質を保持することから成る。
【0007】
電気集塵装置は、通常1.0~10μmのサイズを有するいくらかのPMを捕捉する。電気集塵装置の利点は、購入及び使用が低コストであり、使用中にノイズ及び熱が発生しないことである。電気集塵装置は、電気集塵装置の帯電セルに付着したままの汚染物質を捕捉するため、装置は定期的にクリーニングされなければならない。
【0008】
クリーニングのための警告は、ロースターが動作された最大時間数に基づいて、又は焙煎されたコーヒー豆の最大量に基づいて設定することができる。しかし、この警告は完全に正確ではなく、フィルタのクリーニングをオペレータに要求するのが遅すぎることがあり、その結果、最後の焙煎動作中にフィルタリング効率が不足し、ロースターの周囲の人々にとって安全な環境が保証されない場合がある。加えて、ロースター及びフィルタのシステムは、フィルタリングに関して効率的ではないが、依然として動作可能であるので、オペレータはこのアラームを無視して焙煎を続けることがある。
【0009】
特に、クリーニング動作が時間通りに行われない場合、電気集塵装置に特有の問題は、デバイス内部の粒子の存在による絶縁破壊の発生である。これらの絶縁破壊は非常に短いものであり得るが、それらが起こる間に煙はフィルタリングされず、少なくとも2つの望ましくない影響を伴う。
第1に、粒子状物質が、人がいるカフェ、ショップ、又はレストランの部屋で放出される可能性がある。
第2に、フィルタリングされていない粒子状物質の一部が、活性炭フィルタのような、電気集塵装置の下流に配置された他のフィルタを詰まらせる可能性がある。その結果、VOCは、もはやこのフィルタによってフィルタリングされず、パブリックルーム内の健康問題が増加する。
最後に、静電集塵装置デバイスが損傷する可能性がある。
【0010】
これらの絶縁破壊は、電気集塵装置が粒子の収集の限界に達しているという事実に起因する可能性があり、これは、オペレータが以前のクリーニングアラームを無視したときに起こる。それらはまた、コーヒー豆のチャフのような、電気集塵装置の上流で通常捕捉されるいくつかの大きな粒子の異常な存在に起因することがあり、その粒子が例外的に電気集塵装置の内部を流れ、そこでそれらがブロックされて絶縁破壊を引き起こす。それらはまた、電気集塵装置自体の技術的問題に起因し得る。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上述した既存の問題に対処することである。
【0012】
特に、本発明の目的は、絶縁破壊が発生していること、及び電気集塵装置の煙フィルタのクリーニング又はメンテナンスを行う必要があることをオペレータに知らせる問題に対処し、その情報を正確な方法で提供することである。
【0013】
誤った絶縁破壊を、電気集塵装置のフィルタリング能力に実際に影響を与える絶縁破壊と区別することが有利であろう。
【0014】
本発明の第1の態様では、焙煎システムにおいてコーヒー豆を焙煎する方法が提供され、システムは、
焙煎装置と、
焙煎装置によって生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニットであって、
上記煙処理ユニットは、電気集塵装置を備え、
上記電気集塵装置は、少なくとも1つのセルを備え、
上記セルは、イオン化線、収集電極、及び反発電極を備え、
上記セルには、イオン化線及び電極の少なくとも一部に高電圧Vを印加するために電力が供給される、煙処理ユニットと、を備え、
焙煎装置内で実施される各焙煎動作中に、本方法が、
焙煎動作の時間に沿ってイオン化線及び/又は電極における電圧Vを監視するステップと、
監視された電圧が、焙煎動作の期間Δtの間に所定の電圧閾値V0を下回るようになる場合、かつ
上記の期間Δtが所定の時間閾値Δt0を上回る場合、クリーニングアラームを表示するステップと、
を含む。
【0015】
この方法は、第1に、豆を加熱して焙煎する焙煎装置、第2に、コーヒー豆の焙煎中に第1の焙煎装置内部で生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニットである、2つの装置を備えるシステムによるコーヒー豆の焙煎に関する。
【0016】
この2つの装置は、1つの単一の主システムのサブパートであり得、あるいは、この2つの装置は、焙煎プロセス中に連携する分離したモジュールとして考えられ得る。
【0017】
任意のタイプの焙煎装置を使用することができる。焙煎装置内で、コーヒー豆は加熱され、かつ好ましくは、豆全体の加熱を均質化するために混合される。
【0018】
加熱源は、天然ガス、液化石油ガス(liquefied petroleum gas;LPG)、又は更には木材が供給される、バーナ(燃焼を意味する)であってもよい。あるいは、熱源は、電気抵抗器、セラミックヒータ、ハロゲン源、赤外線源、又はマイクロ波源であってもよい。
【0019】
好ましくは、加熱源は電気によって作動し、そのため、焙煎中に生成される空気汚染物質は、コーヒー豆自体の加熱から生じる汚染物質のみであって、加熱源が天然ガス、プロパン、液化石油ガス(LPG)、又は更には木材を使用するガスバーナである場合に発生するような、ガスの燃焼から生じる汚染物質ではない。
【0020】
焙煎動作中の豆の混合は、熱風の流動層を用いて、又は撹拌ブレード若しくは回転ドラムを用いて機械的に得ることができる。
【0021】
好ましくは、焙煎装置は熱風流動層チャンバである。そのようなチャンバ内では、加熱された空気が、コーヒー豆の下のスクリーン又は多孔板を通って、豆を持ち上げるのに十分な力で送り込まれる。この流動床内で、豆が転がり回って循環する際に、豆に熱が伝達される。
【0022】
あるいは、焙煎装置は、加熱された環境においてコーヒー豆がタンブリングされるドラムチャンバであってもよい。ドラムチャンバは、水平軸に沿って回転するドラムからなることができ、又はドラムチャンバは、加熱された環境においてコーヒー豆を転がり回らせるための撹拌ブレードを備えることができる。
【0023】
焙煎装置は、焙煎動作中に生成された煙を排出することが可能な、出口を含む。
【0024】
一般に、システムの煙処理ユニットは、焙煎装置の煙出口と連携し、煙入口を通って煙を収集するように構成された煙入口を備える。
【0025】
煙処理ユニットは、煙が含有する有害な汚染物質、特にPM、PM2.5、及びPM10などの粒子状物質を低減又は除去するために煙を処理する。
【0026】
この煙処理ユニットは、少なくとも電気集塵装置を備える。
【0027】
電気集塵装置は、静電荷を使用して煙流から粒子を除去することによって煙をフィルタリングする粒子収集デバイスである。
【0028】
電気集塵装置は、1つ以上のセルを備える。各セルは同一であり、
上流イオン化領域内のイオン化線又はコロナ金属線と、
下流収集領域内の収集電極及び反発電極と、を備える。通常、電極は、プレートの形態を有する。電場は、電極を通じて生成され、煙の流れに対して垂直である。この電場は、対の電極に異なる電圧を印加することによって、又は一方の電極に電圧を印加し、他方の電極を接地することによって生成される。互いに間隔を空けた収集電極と反発電極とのいくつかの対を関連付けて、煙を収集電極と反発電極の間の空間に流すことができる。
【0029】
通常、イオン化線は、イオン化線に高電圧Vを印加するために電力が供給される。上記イオン化領域を通って流れる煙の粒子は、正又は負のいずれかの電荷にイオン化される。
【0030】
次いで、煙の流れが下流の金属プレートを通過するとき、収集電極がイオン化粒子のコレクタとなり、荷電粒子がプレートに引き付けられ、プレートに向かって移動し、プレート上に留まる層を形成する。したがって、出ていく煙流は、収集電極上に収集された荷電粒子から除去される。
【0031】
電気集塵装置を使用して、1.0~10μmのサイズを有する粒子を捕捉することができる。
【0032】
電気集塵装置がいくつかのセルを備える場合、これらのセルは、煙の流れの中に連続して配置され、第1のセルが煙の粒子の大部分をフィルタリングし、第2のセルが第1のセルによって処理された煙をフィルタリングして、改善された分離を達成する。
【0033】
焙煎装置内において焙煎動作が実施されるとき、本方法は、
焙煎動作の時間に沿ってイオン化線及び/又は電極における電圧Vを監視するステップと、
焙煎動作の期間Δtの間に、監視された電圧が所定の電圧閾値V0を下回るようになる場合、及び
上記期間Δtが、所定の時間閾値Δt0を上回る場合、その後クリーニングアラームを表示するステップと、
を含む。
【0034】
この電圧閾値V0は、焙煎動作が実施され、監視された電圧Vが、閾値Δt0を上回る期間の間に上記下側の電圧閾値を下回った場合、電気絶縁破壊が起こっていることを意味するように予め定義することができる。期間がより短い場合、監視された低い電圧は誤った絶縁破壊であり、考慮されてはならない。
【0035】
更にまた、ある特定の焙煎動作中に、監視された電圧のより低い値がごく短い期間に上記下側の電圧閾値V0を下回るようになる場合、これらの値は考慮されない。
【0036】
通常、下側の電圧閾値V0は、イオン化線に印加される高電圧を考慮して、後述する実験データに基づいて設定される。
【0037】
通常、電圧閾値V0は、電気集塵装置の構成、特に印加される高電圧に依存し、更に実験によって決定することができる。
【0038】
通常、この閾値は、イオン化線及び電極に印加される高電圧をはるかに下回り、好ましくは、印加される高電圧よりも10倍下回る。
【0039】
好ましい一実施形態では、下側の所定の電圧閾値V0は、100Vを下回り得る。
【0040】
特に、イオン化線又は電極に印加される、5kVを上回る高電圧に対して、下側の所定の電圧閾値V0は、100Vを下回り得る。
【0041】
一実施形態では、所定の時間閾値Δt0の長さは、焙煎動作中に実施される焙煎のレベル及び/又は焙煎動作中に焙煎される豆のタイプに依存し得る。
【0042】
実際に、異なる焙煎レベル(浅煎り、中煎り、深煎り)は、同じ量の豆に対して異なる量のPMを生成することが観察されている。特に、深煎りレベルでの焙煎は、浅煎りレベルでの焙煎よりも多くの放出物を放出することが観察されている。
【0043】
同様に、いくつかのタイプの豆は、他の豆よりも多量のPMを生成することが観察されている。
【0044】
焙煎条件(レベル、豆のタイプ)によって、より多くの粒子が生成されると、電極間で粒子が一時的にブロックされたままとなり、誤った絶縁破壊を引き起こすリスクが増大する。多数の又はより長い、これらの誤った絶縁破壊が、クリーニングアラームを表示するための条件の検出に影響を与えることを回避するために、浅煎りレベルの焙煎動作中又は少ないPMを生成するタイプの豆の焙煎動作中の所定の時間閾値Δt0と比べて、深煎りレベルの焙煎動作中又は多くのPMを生成するタイプの豆の焙煎動作中に所定の時間閾値Δt0を調整し、増加させることができる。
【0045】
別の実施形態では、所定の時間閾値Δt0の長さは、静電オペレータの最後のクリーニング動作以降に実施された焙煎動作の回数に依存し得る。
【0046】
電気集塵装置がますます汚れるにつれて、収集電極上に存在する粒子状物質の層はより厚くなり、粒子が電極間で一時的にブロックされたままであり、誤った絶縁破壊を引き起こすリスクが増加する。
【0047】
多数の又はより長い、これらの誤った絶縁破壊が、クリーニングアラームを表示するための条件の検出に影響を与えることを回避するために、電気集塵装置の最後のクリーニング動作以降に実施された焙煎動作の回数に応じて、所定の時間閾値Δt0を漸進的に又は段階的に増加させることができる。
【0048】
別の実施形態では、所定の時間閾値Δt0の長さは、焙煎動作に沿って変化し得る。
【0049】
焙煎動作中、PMの生成は一定ではなく、焙煎動作の開始よりも終了に近い時点でピークが生じることが知られている。
【0050】
上記で説明したのと同様の手法では、多数の又はより長い誤った絶縁破壊が、クリーニング状態要求を表示するための条件の検出に影響を及ぼすことを回避するために、所定の時間閾値Δt0を、焙煎動作の終了時により長く設定することができる。
【0051】
通常、所定の時間閾値Δt0は、約数秒であり、例えば10秒を下回り、好ましくは5秒を下回る。
【0052】
通常、煙処理ユニットは、電気集塵装置を制御するように構成された高電圧プロセス制御基板を備え、監視された電圧は、上記プロセス制御盤から読み取られる。
【0053】
1つの好ましい実施形態では、電気集塵装置は、少なくとも2つのセルを備え、上記セルは、ロースターによって放出される煙の流れに沿って次々に連続して配置され、上記方法は、セルのそれぞれに適用される。
【0054】
したがって、本方法は、セルのそれぞれで問題となる絶縁破壊の検出を可能にする。
【0055】
好ましくは、2つのセルについて、監視された電圧Vが、焙煎動作の同じ期間Δtの間に下側の電圧閾値V0を下回り、かつ上記期間が所定の時間閾値Δt0を上回る場合、その後技術的メンテナンス用のアラームが表示される。
【0056】
好ましくは、煙処理ユニットは、電気集塵装置以外の少なくとも1つの他のフィルタリングデバイスを備える。この他のフィルタリングデバイスは、高効率粒子蓄積フィルタ、金属フィルタ、活性炭フィルタ、紙フィルタ、綿、布のリストに含まれ得る。任意選択的に、煙処理ユニットは、湿式スクラバー、触媒コンバータ、アフターバーナーのような追加のフィルタリングデバイスを備えることができる。
【0057】
VOCを捕捉するように構成されているフィルタは、好ましくは、活性炭フィルタ又はチャコールフィルタである。
【0058】
好ましくは、煙フィルタリングサブユニットは、煙処理ユニット内部における煙の流れの方向に応じて、粒子状物質を除去するための少なくとも1つのフィルタと、次いで電気集塵装置と、次いで活性炭フィルタと、を連続的に備える。この順序は、活性炭フィルタが粒子状物質によって塞がれることを防止する。
【0059】
煙は、煙処理ユニットの入口から出口へ煙処理ユニットを通って煙を流通させるように構成された煙ドライバによって、煙処理ユニット及び異なるフィルタの内部で推進される。出口では、煙及び汚染物質が捕捉されているので、室内の雰囲気内に安全に処理された流れを放出することができる。
【0060】
煙ドライバは、一般に煙を出口に推進するファンである。
【0061】
好ましくは、ファンは、煙処理ユニットの出口に隣接して配置される。その結果、ファンは処理されていない煙によって汚染されず、そのメンテナンスがより容易になる。
【0062】
好ましい一実施形態によれば、煙フィルタリングサブユニットは、少なくとも以下のものを連続して備える。
金属メッシュ、次いで
電気集塵装置、次いで
煙処理ユニット内部における煙の流れの動きに応じた活性炭フィルタ。
【0063】
好ましくは、この実施形態内では、活性炭フィルタは、物理的に電気集塵装置の上に配置される。したがって、煙は、連続するデバイスを通って上向きに導入される。
【0064】
第2の態様では、コーヒー豆を焙煎するためのシステムが提供され、上記システムは、
焙煎装置と、
焙煎装置によって生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニットであって、
上記煙処理ユニットは、少なくとも電気集塵装置を備え、
上記電気集塵装置は、少なくとも1つのセルを備え、
上記セルは、イオン化線、収集電極、及び反発電極を備え、
上記セルには、イオン化線及び電極の少なくとも一部に高電圧を印加するために電力が供給される、煙処理ユニットと、
上述したような方法に従って、焙煎プロセスを制御するように動作可能な制御システムと、
を備える。
【0065】
焙煎装置と煙処理ユニットとの統合に応じて、制御システムは両方の装置間で共有することができ、方法のステップは、少なくともこれら2つの装置の制御ユニット間で共有することができる。
【0066】
一実施形態では、方法は、焙煎装置の制御ユニットによって及び煙処理ユニットの制御ユニットによって実行することができ、両方の処理ユニットは互いに通信する。具体的には、下記のとおりである。
煙処理ユニットの制御ユニットは、
電圧Vを監視するステップと、
上記監視された電圧Vを所定の電圧閾値V0と比較し、任意選択的にその期間を所定の時間閾値Δtと比較するステップと、
必要に応じて、クリーニング要求の状態を焙煎装置に通信するステップと、を実施することができ、
焙煎装置の制御ユニットは、クリーニングアラームを表示するステップを実施することができる。
【0067】
別の実施形態では、
煙処理ユニットの制御ユニットは、
電圧Vを監視するステップと、
上記監視された電圧Vの値を焙煎装置に通信するステップと、を実施することができ、
焙煎装置の制御ユニットは、
上記監視された電圧Vを所定の電圧閾値V0と比較し、その期間Δtを所定の時間閾値Δt0と比較するステップと、
必要に応じて、クリーニングアラームを表示するステップと、を実施することができる。
【0068】
別の実施形態では、煙処理ユニットの制御ユニットは、焙煎ステップが開始しているという情報を焙煎装置から受信した後に、全てのステップを実施することができる。
【0069】
好ましくは、焙煎装置は、クリーニングアラームを表示するために表示ユニットを備えることができる。
【0070】
あるいは、電気集塵装置は、点灯ボタンなどのクリーニングアラームを表示する手段を備えることができる。
【0071】
別の代替形態では、制御システムは、システムと通信しているモバイルデバイス上にクリーニングアラームを表示するように構成され得る。
【0072】
第3の態様では、第2の態様による上記システムに、第1の態様による上記方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0073】
一実施形態では、コンピュータプログラムは、焙煎装置の処理ユニットによって及び煙処理ユニットの制御ユニットによって実行することができ、両方の処理ユニットは互いに通信する。具体的には、下記のとおりである。
煙処理ユニットの制御ユニットは、
電圧Vを監視するステップと、
上記監視された電圧Vを所定の電圧閾値V0と比較し、その期間Δtを所定の時間閾値Δt0と比較するステップと、
必要に応じて、クリーニング要求の状態を焙煎装置に通信するステップと、を実施することができ、
焙煎装置の制御ユニットは、クリーニングアラームを表示するステップを実施することができる。
【0074】
別の実施形態では、
煙処理ユニットの制御ユニットは、
電圧Vを監視するステップと、
上記監視された電圧Vの値を焙煎装置に通信するステップと、を実施することができ、
焙煎装置の制御ユニットは、
上記監視された電圧Vを所定の電圧閾値V0と比較し、その期間Δtを所定の時間閾値Δt0と比較するステップと、
必要に応じて、クリーニングアラームを表示するステップと、を実施することができる。
【0075】
別の実施形態では、煙処理ユニットの制御ユニットは、焙煎ステップが開始しているという情報を焙煎装置から受信した後に、全てのステップを実施することができる。
【0076】
第4の態様では、第3の態様による上記コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0077】
本発明の上記の諸態様は、任意の好適な組み合わせで組み合わせることができる。更には、本明細書における様々な特徴を、上記の諸態様のうちの1つ以上と組み合わせることにより、具体的に図示及び説明されたもの以外の組み合わせを提供することができる。本発明の更なる目的及び有利な特徴は、「特許請求の範囲」、「発明を実施するための形態」、及び添付図面から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
本発明の特定の実施形態が、以下の図面を参照して、例として更にここで記載される。
図1】システムを通る煙の経路を示す、本発明によるシステムの図である。
図2図1の煙処理ユニットの電気集塵装置部分のセルの1つを示す。
図3図1及び図2によるシステムの制御システムのブロック図である。
図4A】焙煎動作の時間に沿って監視されるイオン化線における電圧を示す。
図4B】焙煎動作の時間に沿って監視されるイオン化線における電圧を示す。
【発明を実施するための形態】
【0079】
焙煎するためのシステム
図1は、焙煎装置1及び煙処理ユニット2のシステムの例示的な図を示す。機能的には、焙煎装置は、コーヒー豆を焙煎するように動作可能であり、煙処理ユニットは、焙煎装置による焙煎中に発生した煙を処理するように動作可能である。
【0080】
焙煎装置
焙煎装置1は、焙煎チャンバ12内にコーヒー豆を受け入れて焙煎するように動作可能である。
【0081】
好ましくは、焙煎装置1は焙煎チャンバ12を含み、この焙煎チャンバ内に熱風流が導入されて、豆を撹拌及び加熱する。熱風流は、通常、空気流ドライバ及びヒータによって生成される。これらのデバイスは、焙煎チャンバの下方に配置され、チャンバの底部を通じて高温の空気の流れを導入する。示した図では、チャンバの底部は、空気が通過することができるように構成されており、具体的には、豆が置かれ、それを通して空気が上向きに流れることができる多孔板であり得る。
【0082】
空気流ドライバは、容器の底部の方向に上向きに空気流を生成するように動作可能である。生成された流れは、豆を加熱し、豆を撹拌して持ち上げるように構成されている。その結果、豆は均質に加熱される。具体的には、空気流ドライバは、モーターを動力源とするファンであり得る。空気入口は、ハウジング内部に空気を供給するためにハウジングの基部内に設けることができ、空気流ドライバは、チャンバ12の方向にこの空気を吹き込む。
【0083】
ヒータは、空気流ドライバによって生成された空気の流れを加熱するように動作可能である。好ましくは、ヒータは、ファンと多孔板との間に配置された電気抵抗であり、その結果、空気の流れは、チャンバ12に入る前に加熱されて、豆を加熱し、持ち上げる。
【0084】
ヒータ及び/又はファンは、焙煎プロファイルを豆に適用するように動作可能であり、この焙煎プロファイルは、時間に対する温度の曲線として規定される。
【0085】
好ましくは、焙煎装置は、以下を可能にするユーザインタフェース13を備える。
焙煎に関する情報、具体的には焙煎チャンバ内に導入された豆の量及び所望の焙煎レベルに関する情報の入力と、焙煎動作に関する情報(状態、温度、時間)の出力、並びに
好ましくは、煙処理ユニット2に関する情報の出力、具体的には電気集塵装置222のクリーニングに関する情報の出力に関する。
【0086】
豆の焙煎は、図1の矢印S1で示すように、空気流ドライバによって生成された空気の流れによって焙煎チャンバの上部開口部121に送られる煙を生成する。
【0087】
一般に、チャフコレクタは、チャンバの上部開口部121と流れ連通しており、焙煎中に豆から徐々に分離し、それらの軽い密度によってチャフコレクタに吹き飛ばされるチャフを受け止める。
【0088】
残りの煙は、焙煎装置の上部の煙出口11を通って排出される。
【0089】
煙処理ユニット
煙処理ユニット2は、焙煎装置の煙出口11で放出された煙S1を受け入れ、処理するように動作可能である。
【0090】
第1に、煙処理ユニット2は、煙を収集するように適合された煙収集デバイス21を備える。この煙収集デバイス21又は収集デバイスは、焙煎装置の出口11から煙フィルタリングサブユニット22のフィルタリングデバイスの方向に煙(点線S1、S2、S3)を誘導する内部空隙空間又はダクトを形成する。
【0091】
煙フィルタリングサブユニット22は、PM、PM2.5、及びPM10などの小さな粒子状物質をフィルタリングするように適合された電気集塵装置222を備える。この電気集塵装置222は、煙の流れの中に次々と連続して配置された2つの同一のセル222a、222bを備える。
【0092】
図2は、セル222aの主要構成要素を示す。セル222aは、煙によって横断されるように構成され、煙の流れの方向に従って、以下のように連続的に構成されている。
いくつかのイオン化線2221、次いで
数ミリメートルの距離で交互に配置された、通常は平行なプレートの形態である、いくつかの収集電極2222及び反発電極2223。プレートは、煙の流れのためのチャネルを形成するように配向される。
【0093】
イオン化線2221に高電圧レベル(この場合8kVの範囲)が印加されて、セルに入る煙の粒子を帯電させるコロナ放電を生成する。
【0094】
収集電極と反発電極との間に電圧差を印加する(例えば、この場合、収集電極に4kVを印加し、反発電極をアースに取り付ける)ことにより、収集電極及び反発電極によって、電場が生成される。
【0095】
荷電粒子が交互の収集電極及び反発電極によって画定されるチャネル内を流れるとき、これらの荷電粒子は、流れ方向に垂直な電場によって収集電極2222上に引き付けられる。
【0096】
電気集塵装置222のクリーニング動作は、煙フィルタリングユニットから電気集塵装置のセル222a、222bを取り外すことと、水及び任意選択的に例えば食器洗浄機にて洗剤でセルを洗浄することとから成る。
【0097】
加えて、この特定の例示された実施形態では、煙フィルタリングサブユニット22は以下を備えることができる。
PM10のような大きな粒子状物質をフィルタリングするように適合されたデバイス223、例えば、金属メッシュ及び関連したディフューザ、一般に、メッシュの前(すなわち、上流)に配置された金属グリッド。
煙からVOCを除去するように適合された活性炭フィルタ221。
【0098】
好ましくは、粒子状物質を除去するためのデバイスは、活性炭フィルタの上流に配置される。この上流位置は、粒子状物質が活性炭フィルタを汚染しないことを保証する。
【0099】
電気集塵装置は、物理的に、活性炭フィルタの下に配置され、電気集塵装置のスイッチがオフにされたときに活性炭フィルタ上に電気集塵装置から粒子が落ちることを回避する。
【0100】
煙フィルタリングサブユニット22は、収集デバイスの入口211から、汚染された煙が処理される煙フィルタリングサブユニット22を通して煙フィルタリングサブユニット22の出口25へと汚染された煙を吸引するための煙ドライバ23、一般的にはファン、を備え、出口25で周囲雰囲気に安全に送出される。
【0101】
焙煎装置及び煙処理ユニットのシステムの制御システム
図1図2及び図3を参照して、ここで制御システム3について考察する。制御システム3は、煙フィルタリングユニット2、特に煙処理ユニットの電気集塵装置222を制御するように動作可能である。
【0102】
焙煎装置1と煙フィルタリングユニット2との統合レベルに応じて、制御システムは、これら2つの装置の制御ユニット間で共有することができる。
煙処理ユニット2が焙煎装置1の一部である場合、通常、焙煎装置の制御ユニットはマスタであり、フィルタの制御ユニットはスレーブである。
焙煎装置1及び煙処理ユニット2が2つの異なる装置を形成し、それらの各々がそれ自体の制御ユニットを有する場合、これらの制御ユニットは、方法を実施するために通信するように構成され得る。
【0103】
特に情報を表示するために、これら2つの装置のシステムとモバイルデバイスとの間の通信を確立することも可能であり得る。
【0104】
図3は、図1の煙フィルタリングユニット2の制御システムを示す。
【0105】
制御システム3は、通常、煙フィルタリングユニット2の第2のレベルに、処理又は制御ユニット30と、電源33と、メモリユニット31と、イオン化線用の電圧センサ34とを備える。
【0106】
制御ユニット30は、焙煎装置のユーザインタフェース13にフィードバックを出力して、特に、電気集塵装置のクリーニング要求の状態を表示するように構成される。代替的な構成では、いくつかの処理ユニット2は、この状態を表示するためのそれ自体のユーザインタフェース、例えば状態に従って点灯することができる点灯ボタンを備えることができる。
【0107】
制御ユニット30はまた、ユーザインタフェース13に以下に関する情報を出力してもよい。
クリーニング命令、
アラーム状態のリセット。
【0108】
ユーザインタフェースのハードウェアは、任意の好適なデバイス(複数可)を含んでもよく、例えば、ハードウェアは、ジョイスティックボタン、ノブ又は押しボタンなどのボタン、ジョイスティック、LED、グラフィックLDC又は文字LDC、タッチ感知ボタン及び/又はスクリーンエッジボタンを有するグラフィックスクリーン、のうちの1つ以上を含む。ユーザインタフェース20は、1つのユニット又は複数の別個のユニットとして形成することができる。
【0109】
ユーザインタフェースの一部はまた、以下に記載するように、装置に通信インタフェース32が設けられている場合、モバイルアプリ上にあってもよい。その場合、入力及び出力の少なくとも一部は、通信インタフェース32を通じてモバイルデバイスに送信することができる。
【0110】
制御ユニット30は、メモリと、典型的にはマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラなどの集積回路として構成された入出力システム構成要素とを一般的に備える。制御ユニット30は、例えば、ASIC、PAL、CPLD、FPGAなどのプログラマブルロジックデバイス、PSoC、システムオンチップ(SoC)、コントローラなどのアナログ集積回路など、他の適切な集積回路を備えることができる。そのようなデバイスに関しては、適切な場合には、前述のプログラムコードを、プログラムされた論理とみなすことができ、又はプログラムされた論理を追加的に含むとみなすことができる。制御ユニット30はまた、前述の集積回路のうち1つ以上を備えてもよい。後者の例は、モジュール方式で互いに通信するように配置されたいくつかの集積回路であり、例えば、焙煎装置1を制御するためのマスタ集積回路と通信して煙処理ユニット2を制御するスレーブ集積回路、焙煎装置1を制御するためのマスタ集積回路と通信してユーザインタフェース13を制御するスレーブ集積回路である。
【0111】
電源33は、上記制御される構成要素及び制御ユニット30に電気エネルギーを供給するように動作可能である。電源33は、バッテリー又は主電源を受電し調節するためのユニットなど、様々な手段を含むことができる。
【0112】
制御ユニット30は一般に、プログラムコードとしての命令、及び任意選択的にデータを記憶するためのメモリユニット31を備える。この目的のために、メモリユニットは、通常、例えば、命令としてのプログラムコード及び動作パラメータを記憶するためのEPROM、EEPROM、又はFlashなどの不揮発性メモリと、一時的にデータを記憶するための揮発性メモリ(RAM)とを備える。メモリユニットは、別個の及び/又は(例えば、半導体のダイ上に)集積されたメモリを備えることができる。プログラマブルロジックデバイスについては、命令をプログラムされた論理として記憶することができる。
【0113】
メモリユニット31に記憶された命令は、絶縁破壊警告及びクリーニング又はメンテナンス要求を決定するためのプログラムを含むものとして理想化され得る。
【0114】
制御ユニット30は、イオン化線2221における電圧Vの値を出力するように構成され、センサ34によって測定される。好ましい実施形態では、電圧は、電気集塵装置の高電圧PCBから直接読み取ることができる。
【0115】
焙煎動作中、制御システム3は、以下のように動作可能である。
焙煎動作の時間に沿ってイオン化線2221における電圧Vを監視する、
監視された電圧が、焙煎動作の期間の間に、所定の電圧閾値V0を下回るようになる場合、かつ
上記の期間Δtが所定の時間閾値Δt0を上回る場合、クリーニングアラームを表示する。
【0116】
図4A図4Bは、焙煎動作の一部間の、1つの電気集塵装置の2つのセルの監視された電圧の変化を示す。曲線Aは、第1のセルの監視された電圧の変化を示し、曲線Bは、第2のセルの監視された電圧の変化を示す。セルに印加される電圧は、通常8kVである。所定の閾値V0は、100Vである。所定の時間閾値Δt0は、5秒に等しい。
【0117】
図4Aでは、焙煎動作の図示された部分の間、第1のセルにおいて監視される電圧は、Δt0よりも長い期間Δt1の間に100Vを下回るようになることが観察され、それに応じて、焙煎動作のこの時点又は焙煎動作の終了時に、クリーニングアラームが表示される。その期間Δt1中に絶縁破壊が発生し、その時間の間に煙は、第1のセルによってフィルタリングされなかった。
【0118】
同様に、第2のセルにおいて監視される電圧は、Δt0よりも長い別の期間Δt2の間に100Vを下回るようになり、焙煎動作のこの時点又は焙煎動作の終了時に、クリーニングアラームが表示されることが確認される。
【0119】
図4Bでは、第1のセルにおいて監視される電圧は、Δt0よりも長い期間Δt1の間に100Vを下回るようになり、それに応じて、この時点でクリーニングアラームを表示することができる。加えて、両方のセルにおいて監視される電圧は、いずれもΔt0よりも長い期間Δt1及びΔt2の間に100Vを下回るようになり、かつΔt0を上回る期間の間に重なる。重なった期間の間には、どのセルも煙をフィルタリングすることができず、これは有害な問題につながる可能性がある。新たな焙煎動作を実施することは推奨されず、セルの動作状態を確認することが好ましい。したがって、焙煎動作のこの時点又は焙煎動作の終了時に、メンテナンスのためのアラームが表示される。
【0120】
本発明は、上記で例示された実施形態を参照して説明されているが、特許請求される本発明は、決してこれらの例示された実施形態によって限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0121】
「特許請求の範囲」で定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく、変形及び修正が実施可能である。更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
【0122】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは、「~を含むが、それらに限定されない」ことを意味するものとする。
【符号の説明】
【0123】
1 焙煎装置
11 煙出口
12 焙煎チャンバ
121 上部出口
13 ユーザインタフェース
2 煙処理ユニット
21 煙収集デバイス
22 煙フィルタリングサブユニット
221 活性炭フィルタ
222 電気集塵装置
222a、222b セル
2221 イオン化線
2222 収集電極
2223 反発電極
223 PMフィルタ
23 煙ドライバ
25 出口
3 制御システム
30 制御ユニット
31 メモリユニット
32 セル電流供給源
33 電源
34 電圧センサ
図1-2】
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】