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特表2023-554287コーヒー豆焙煎システムを検査するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】コーヒー豆焙煎システムを検査するための方法
(51)【国際特許分類】
   A23N 12/08 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
A23N12/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534676
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2021084440
(87)【国際公開番号】W WO2022135894
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216278.0
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】モレンド, ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】デュビエフ, フラヴィアン, フローラン
(72)【発明者】
【氏名】デグリーフ, トーマス, ルディー, エス.
(72)【発明者】
【氏名】セリス, ミキール, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】レメンス, リエン, デニス, エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベークラント, マキシム
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA08
4B061BA09
4B061CD15
4B061CD21
4B061CD30
(57)【要約】
本発明は、焙煎システム(10)を検査する方法に関し、上記システムは、焙煎装置(2)と、煙処理ユニット(3)と、を、備え、煙処理ユニットは、煙フィルタ装置フィルタリングデバイス(221、222、223)と、取り外し可能な煙収集デバイス(21)と、温度センサ(24)と、煙ドライバ(23)と、を備え、本方法は、高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、煙の温度を監視するステップと、監視された温度の挙動を経時的に観察するステップと、監視された温度の上記観察された挙動を、取り外し可能な煙収集デバイス(21)が煙処理ユニット内部に存在することに対応する温度の予め定められた挙動と比較するステップと、観察された挙動が対応する予め定められた挙動から逸脱する場合、アラームを表示するステップと、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焙煎システム(10)を検査する方法であって、前記システムは、
コーヒー豆の加熱中に煙を生成する焙煎装置(2)と、
前記焙煎装置によって生成された煙の流れを処理するように構成された煙処理ユニット(3)と、を備え、前記煙処理ユニットは、
少なくとも1つの煙フィルタリングデバイス(221、222、223)と、
前記焙煎装置の出口(11)から煙を収集するように構成された取り外し可能な煙収集デバイス(21)と、
前記煙処理ユニット(3)内部の煙の流れの温度Tを測定するように構成された少なくとも1つの温度センサ(24)と、
前記焙煎装置(2)からの煙を前記煙処理ユニットを通して推進するように構成された煙ドライバ(23)と、を備え、
前記焙煎装置内で実行される焙煎動作中、前記方法は、
高温のガスを生成するために前記焙煎装置を動作させるステップと、
前記動作中、前記煙の前記温度を監視するステップと、
前記監視された温度の少なくとも1つの挙動を経時的に観察するステップと、
前記監視された温度の前記少なくとも1つの観察された挙動を、前記取り外し可能な煙収集デバイス(21)が前記煙処理ユニット内部に存在することに対応する予め定められた温度の挙動と比較するステップと、
前記少なくとも1つの観察された挙動が前記対応する予め定められた挙動から逸脱した場合、アラームを表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
高温のガスを生成するために前記焙煎装置を動作させる前記ステップは、コーヒー豆焙煎動作、前記焙煎装置の予熱動作、又は前記煙処理ユニットのメンテナンス動作後の検査動作である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記焙煎装置内で実行される前記焙煎動作は、前記取り外し可能な煙収集デバイス(21)のメンテナンス動作後の最初の動作である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記温度センサ(24)は、前記煙処理ユニット内部の煙の流れの方向に従って、前記収集デバイスの下流に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記監視された温度の前記観察された挙動は、経時的な温度であり、
少なくとも1つの時間tにおいて監視された前記温度は、その時間tに関連付けられた予め定められた温度Tと比較され、
時間tにおける前記温度Tが前記予め定められた温度Tを下回る場合、前記アラームが表示される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記監視された温度の前記観察された挙動は、前記監視された温度の上昇率
【数1】

であり、
前記監視された温度の前記上昇率Rは、少なくとも1つの時間tにおいて計算され、その時間tに関連付けられた予め定められた上昇率Rと比較され、
時間tにおける計算された前記上昇率Rが、前記予め定められた上昇率Rを下回る場合、前記アラームが表示される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記上昇率の計算のための前記時間tは、前記豆の1ハゼが発生する前に設定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記煙処理ユニットの前記取り外し可能な煙収集デバイス(21)は、いくつかの取り外し可能なサブ要素を備え、これらのサブ要素は、組み立てられると前記煙収集デバイスを形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記システムは、
いくつかの煙処理ユニット(3)であって、前記煙処理ユニットの各々が、前記煙の少なくとも一部を専用の経路を通して導き処理するように構成されている、いくつかの煙処理ユニット(3)と、
前記焙煎装置によって放出された煙を前記煙処理ユニットのうちの少なくとも1つに案内する入口ダクトデバイス(21)と、
を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記システムは、
いくつかの焙煎装置(3)を備え、
前記煙処理ユニット(3)は、前記焙煎装置によって生成された煙の流れを処理することができるように構成され、
前記煙処理ユニットは、いくつかの取り外し可能な煙収集デバイス(21)を備え、取り外し可能な煙収集デバイスの各々は、それぞれの1つの焙煎装置の前記出口(11)から煙を収集するように構成されている、
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、
動作されている焙煎機の数に関する情報を取得するステップと、
前記取得した数の動作されている焙煎機と前記煙処理ユニットとの間に前記取り外し可能な煙収集デバイス(21)がすべて存在することに対応する前記予め定められた温度の挙動を取得するステップと、
前記監視された温度の前記観察された挙動を、前記取り外し可能な煙収集デバイス(21)がすべて存在することに対応する前記取得された予め定められた温度の挙動と比較するステップと、
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
コーヒー豆を焙煎するためのシステム(10)であって、前記システムは、
焙煎装置(2)と、
前記焙煎装置によって生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニット(3)と、を備え、
前記煙処理ユニットは、前記焙煎装置の出口(11)から煙を収集するように構成された取り外し可能な煙収集デバイス(21)と、
前記煙処理ユニット(3)内部の前記煙の流れの温度Tを測定するように構成された温度センサ(24)と、
前記焙煎装置(2)からの煙を前記煙処理ユニットを通して推進するように構成された煙ドライバ(23)と、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行するように動作可能な制御システム(3)と、
を備える、システム(10)。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムに請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータプログラムが、前記焙煎装置のプロセシングユニット及び前記煙処理ユニットのプロセシングユニットによって実行され、両方のプロセシングユニットが互いに通信する、請求項13に記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項13に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全な環境でコーヒー豆を焙煎するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー豆の焙煎は、周知のプロセスである。主要工程は、豆を所望の焙煎レベルに加熱し、次いで加熱された豆を冷却又は急冷して焙煎を停止することからなる。加熱中に、煙が放出される。この煙には、安全かつ所望の成分、特に通常の焙煎コーヒーアロマが、すべて一緒に含まれるだけでなく、ピリジン、2-フランメタノール、カフェインフルフラール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどの望ましくない安全性の低い揮発性有機化合物(VOC)VOC、及び粒子状物質(PM2.5、PM10)も含まれる。
【0003】
重要な量の焙煎豆を生産する製造現場で焙煎が実行される場合、一般に安全でない成分を捕捉するためのすべての条件が供給される。
【0004】
しかし最近は、顧客が焙煎したての豆で淹れたコーヒーを消費することが可能な店舗、レストラン及びコーヒーにおいて、小さな焙煎機で小バッチの焙煎を実行する傾向がある。焙煎機は、鮮度及び現場の利点を提供するだけではなく、店舗又はコーヒー店の中に、心地よい焙煎コーヒーアロマも送出する。
【0005】
しかし、上述したように、有害な成分も放出される。焙煎機が店舗、コーヒー又はレストランのような閉鎖的な環境で使用される場合、部屋のサイズ、部屋の換気に応じて、一部の成分の放出が有害となり得る。その部屋で数時間作業する人々にとって、焙煎機の煙を嗅ぐことは、健康問題につながる可能性がある。
【0006】
その結果、このような環境では、店舗内にいる人々の健康な問題を回避するために、焙煎機からの煙の放出を停止することが推奨される。様々なタイプの煙処理ユニットが存在する。それらは、汚染物質の熱酸化を可能にするアフターバーナー若しくは触媒アフターバーナーなどで汚染物質を破壊することに本質があり、又は機械的フィルタ(金属ふるい若しくは紙フィルタ)、活性炭フィルタ、電気集塵装置、若しくはそれらの組み合わせなどの装置内部に汚染物質を保持することに本質がある。
【0007】
一般に、焙煎機の出口で生成された煙を収集し、かかる煙を煙処理ユニットのフィルタデバイス(単数又は複数)を通して推進するために、ダクトなどの接続デバイスが提供される。このダクトは、フィルタリングデバイス(単数又は複数)の上流に配置され、油脂性堆積物が内壁に付着するので、定期的な洗浄を必要とする。
【0008】
洗浄メンテナンス中、このダクトは取り外され、洗われ、次いで煙処理ユニット内に再取り付けされる。しかし、オペレータは、様々な理由で、このダクト又はこのダクトの一部を再取り付けすることを忘れる可能性がある。ダクトは、いくつかの取り外し可能な部品から作られる可能性があり、これらの部品のいくつかは特に小さい可能性がある。オペレータは訓練された人ではない可能性がある。ダクトが外側パネルで覆われ、オペレータがシステムを動作させる前の最終検査を行うことを妨げる可能性がある。
【0009】
ダクトが欠如していると、メンテナンス後の最初の焙煎動作中、生成された煙がフィルタリングされずに部屋に入り込む。1回の焙煎の放出によりユーザがさらされる危険は最小限であり、室内の過剰な煙に起因して迅速に障害が検出されるが、これは、店舗、カフェ、又はレストランのような場所では許容できない。
【0010】
焙煎動作をオペレータが停止し、ダクトを再取り付けして動作を再開することができるように、可能な限り早くオペレータに警告する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、上述した既存の問題に対処することである。
【0012】
特に、本発明の目的は、煙フィルタの収集ダクトなどの一部が存在しないことをオペレータに知らせる問題に対処することである。
【0013】
ダクト又はダクトの一部分が存在しないことを、そのダクトに固有のセンサを追加することなく、焙煎オペレータに知らせることを可能にする方法を提供することが有利であろう。
【0014】
本発明の第1の態様では、焙煎システムを検査する方法が提供され、上記システムは、
コーヒー豆の加熱中に煙を生成する焙煎装置と、
焙煎装置によって生成された煙の流れを処理するように構成された煙処理ユニットと、を備え、煙処理ユニットは、
少なくとも1つの煙フィルタリングデバイスと、
焙煎装置の出口から煙を収集するように構成された取り外し可能な煙収集デバイスと、
煙処理ユニット内部の煙の流れの温度Tを測定するように構成された少なくとも1つの温度センサと、
焙煎装置からの煙を上記煙処理ユニットを通して推進するように構成された煙ドライバと、を備え、
焙煎装置内で実行される焙煎動作中、方法は、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
上記動作中、煙の温度を監視するステップと、
監視された温度の少なくとも1つの挙動を経時的に観察するステップと、
監視された温度の上記少なくとも1つの観察された挙動を、取り外し可能な煙収集デバイスが煙処理ユニット内部に存在することに対応する予め定められた温度の挙動と比較するステップと、
少なくとも1つの観察された挙動が対応する予め定められた挙動から逸脱した場合、アラームを表示するステップと、
を含む。
【0015】
この方法は、第1に、豆を加熱して焙煎する焙煎装置、第2に、コーヒー豆の焙煎中に第1の焙煎装置内部で生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニットの、2つの装置を備えるシステムによるコーヒー豆の焙煎に関する。
【0016】
この2つの装置は、1つの単一の主システムのサブパートであり得、あるいは、この2つの装置は、焙煎プロセス中に連携する分離したモジュールとして考えられ得る。
【0017】
任意のタイプの焙煎装置を使用することができる。焙煎装置内で、コーヒー豆は加熱され、かつ好ましくは、豆全体の加熱を均質化するために混合される。
【0018】
加熱源は、天然ガス、液化石油ガス(LPG)、又は更には木材が供給される、バーナ(燃焼を意味する)とすることができる。あるいは、熱源は、電気抵抗器、セラミックヒータ、ハロゲン源、赤外線源、又はマイクロ波源であってもよい。
【0019】
好ましくは、加熱源は電動であり、これにより、焙煎中に生成される空気汚染物質は、コーヒー豆自体の加熱から生成される汚染物質のみであって、加熱源が天然ガス、プロパン、液化石油ガス(LPG)又は更には木材を使用するガスバーナであるときに生じるようなガスの燃焼によるものではない。
【0020】
焙煎動作中の豆の混合は、熱風の流動層を用いて、又は撹拌ブレード若しくは回転ドラムを用いて機械的に得ることができる。
【0021】
好ましくは、焙煎装置は熱風流動層チャンバである。そのようなチャンバ内では、加熱された空気が、コーヒー豆の下のスクリーン又は多孔板を通って、豆を持ち上げるのに十分な力で送り込まれる。この流動床内で、豆が転がり回って循環する際に、豆に熱が伝達される。
【0022】
あるいは、焙煎装置は、加熱された環境においてコーヒー豆がタンブリングされるドラムチャンバであってもよい。ドラムチャンバは、水平軸に沿って回転するドラムからなることができ、又はドラムチャンバは、加熱された環境においてコーヒー豆を転がり回らせるための撹拌ブレードを備えることができる。
【0023】
焙煎装置は、焙煎動作中に生成された煙を排出することが可能な、出口を含む。
【0024】
煙処理ユニットは、煙が含有する有害な汚染物質を低減又は排除するために煙を処理する。
【0025】
この煙処理ユニットは、粒子状物質すなわちPM、揮発性有機化合物すなわちVOC、及び/又は炭化水素をフィルタリングするように構成された少なくとも1つのフィルタリングデバイスを備えることができる。
【0026】
好ましくは、煙処理ユニットは、高効率微粒子アキュムレータフィルタ、金属フィルタ、電気集塵装置、活性炭フィルタ、紙フィルタ、綿、布のリスト中の少なくとも1つのフィルタリングデバイスを備える。任意選択的に、煙処理ユニットは、湿式スクラバー、触媒コンバータ、アフターバーナーのような追加のフィルタリングデバイスを備えることができる。
【0027】
VOCを捕集するように構成されたフィルタは、好ましくは、活性炭フィルタ又はチャコールフィルタである。
【0028】
好ましくは、煙処理ユニットは、特定の汚染物質を保持する能力に応じて、いくつかのフィルタを備えてもよい。
【0029】
煙は、煙収集デバイスから煙処理ユニットの出口へと煙を煙処理ユニットを通して循環させるように構成された煙ドライバによって、煙処理ユニット及びフィルタリングデバイスの内部に推進される。出口では、汚染物質が捕集されているので、室内の雰囲気内に安全に煙を放出することができる。
【0030】
煙ドライバは、一般に、煙を出口に推進するファンである。
【0031】
好ましくは、ファンは、煙処理ユニットの出口に隣接して配置される。その結果、ファンは処理されていない煙によって汚染されず、そのメンテナンスがより容易になる。
【0032】
システムの煙処理ユニットは、焙煎装置の出口から煙を収集し、煙をフィルタリングデバイスに導くように構成された煙収集デバイスを備える。通常、この煙収集デバイスは、焙煎装置の煙出口と連携する。この煙収集デバイスは、メンテナンス、特に洗浄のために煙処理ユニットから取り外し可能である。それは、煙処理ユニット内部のその上流位置に起因して、焙煎機によって放出される高温の煙と接触する最初の部分であり、急速に煙処理ユニットの最も汚れた部分になる。
【0033】
この収集デバイスは、煙フィルタリングサブユニットを通って流れる煙の温度を制御するために、焙煎装置によって生成された煙を周囲空気と混合するように構成された空気入口デバイスを備えることができる。この温度の制御は、煙処理ユニットのフィルタリングデバイスのいくつかの動作効率が温度範囲に直接依存する場合に必要となり得る。例えば、好ましくは60℃未満の温度で動作される活性炭フィルタの場合である。
【0034】
収集デバイスが空気入口デバイスを備える場合、周囲空気は、システムが設置されている部屋から直接取り込まれ得る。
【0035】
通常、この取り外し可能な収集デバイスは、組み立てられると収集デバイスを形成するいくつかの取り外し可能なサブ要素を備える。特に、収集デバイスは、以下のサブ要素、すなわち、焙煎装置のためのアダプタ、エルボダクト(単数又は複数)、及び直線ダクト(単数又は複数)、上述の空気入口デバイス、上記部品を互いに取り付けるためのアダプタ(単数又は複数)を備えることができる。
【0036】
煙処理ユニットは、煙処理ユニット内部の温度Tを測定するように構成された少なくとも1つの温度センサを備える。
【0037】
好ましくは、この温度センサは、煙処理ユニット内部の煙の流れの方向に従って、収集デバイスの下流に配置される。
【0038】
温度センサは、温度を測定するように構成された任意のセンサであってよい。このセンサは、温度のみを測定するように構成され得、又はこのセンサは、湿度、圧力、VOC含有量のような温度以外の様々な他のパラメータを測定することができるマルチセンサ構成要素であり得る。そのようなセンサの例は、空気センサ又はガスセンサである。
【0039】
焙煎システム、特に、接続デバイスの存在(デフォルトでは不存在)を検査するために、本方法は、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
動作中、煙の温度を監視するステップと、
監視された温度の少なくとも1つの挙動を経時的に観察するステップと、
監視された温度の上記少なくとも1つの観察された挙動を、取り外し可能な煙収集デバイスが煙処理ユニット内に存在することに対応する予め定められた温度の挙動と比較するステップと、
少なくとも1つの観察された挙動が対応する予め定められた挙動から逸脱した場合、アラームを表示するステップと、
を含む。
【0040】
焙煎装置の高温の煙又は任意の他の高温のガス、特に熱風が、完全に動作可能な煙処理ユニット内を通過するとき、煙処理ユニット内部の温度がこの動作の開始から急速に上昇することが観察されている。逆に、取り外し可能な収集デバイスが煙フィルタリングユニット内部に配置されていない場合、温度の上昇率は、この動作の開始時にははるかに低いことが観察されている。
【0041】
その結果、監視された温度の少なくとも1つの挙動を経時的に観察し、その挙動を予め定められた挙動と比較することによって、取り外し可能な収集デバイスが存在しないリスクが高く、煙処理ユニット内部の収集デバイスの存在を検査するようにオペレータに要求する対応するアラームが表示されて、ことができる。
【0042】
監視された温度の経時的な挙動とは、温度に直接リンク付けられたパラメータ、又は監視された温度の関数を意味する。
【0043】
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップは、コーヒー豆焙煎動作、焙煎装置の予熱動作、又は煙処理ユニットのメンテナンス動作後の検査動作であり得る。
【0044】
どのような動作であっても、焙煎装置の加熱手段を動作させることによって高温のガスが生成される。コーヒー豆がチャンバ内にある場合、高温のガスは、豆の加熱によって生成される煙となる。チャンバ内にコーヒー豆がない場合、高温のガスは熱風となる。これは、焙煎システムの予熱動作中、又はメンテナンス動作、例えば煙収集デバイスの洗浄動作の後の焙煎システムの検査動作中に起こり得る。
【0045】
予熱は、焙煎装置に豆がない状態で実行され、焙煎装置を豆の焙煎開始前の最適動作温度にするように構成された加熱動作である。
【0046】
通常、本方法が、コーヒー豆焙煎動作を動作させている間に適用される場合、この焙煎動作は、取り外し可能な煙収集デバイスのメンテナンス動作後の最初の動作である。
【0047】
実際、煙収集デバイスの少なくとも一部が存在しないことを、煙処理ユニットの洗浄動作又はメンテナンス動作の後に実行される最初の動作から知ることが重要である。
【0048】
加えて、温度を監視するステップの開始時に煙処理ユニットが周囲温度である場合、本方法はより効率的である。オペレータは、煙収集デバイスの一部がないことを直ちに知ることができ、新たな焙煎動作を、煙フィルタリングユニット内の煙収集デバイスを検査して必要であれば再取り付けを行うことなしに開始することが防止され得る。
【0049】
監視された温度の、観察される挙動は、異なるタイプのものであってもよい。
【0050】
本方法の最も単純な一態様では、
監視された温度の観察された挙動は、経時的な温度であり、
少なくとも1つの時間tにおいて監視された温度は、その時間tに関連付けられた予め定められた温度Tと比較され、
時間tにおける温度Tが予め定められた温度Tを下回る場合、アラームが表示される。
【0051】
別の好ましいモードでは、
監視された温度の観察された挙動は、監視された温度の上昇率
【0052】
【数1】

であり、
監視された温度の上昇率Rは、少なくとも1つの時間tにおいて計算され、その時間tに関連付けられた予め定められた上昇率Rと比較され、
時間tにおける計算された上昇率Rが予め定められた上昇率Rを下回る場合、アラームが表示される。
【0053】
一般に、単純な温度差と比較して、上昇率は、環境条件から、焙煎動作中のコーヒー豆に適用される焙煎プロファイルから、あるいはいくつかの先行する焙煎動作により既にフィルタリングデバイスが加熱されているという事実からも、より影響を受けにくいという利点を提供する。
【0054】
別の利点は、上昇率を分析することで、フィルタリングデバイスがないことをより早期に検出することが可能となり、VOC及びPMのピークが出現する前に焙煎動作を直ちに停止し得ることである。
【0055】
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップがコーヒー豆焙煎動作である場合、好ましくは、豆のVOC及びPMの放出のピークが起こる時間より以前の時間における上昇率が計算される。この瞬間は、焙煎装置内で焙煎される豆のタイプ、例えば、生豆、又は生のコーヒー豆を加熱して、1ハゼの終了前に上記加熱プロセスを停止することによって得られる豆である部分的予備焙煎豆などに応じて変化し得る。
【0056】
放出のピークが起こる週間の前に、収集デバイスが存在する状況と収集デバイスが存在しない状況との間の温度の上昇率の差が特に強調される。
【0057】
有利なことに、焙煎は、停止され、欠如していた収集デバイスを取り付けた後に再開することも可能である。
【0058】
通常、時間tに関連付けられた予め定められた温度Tと、時間tにおける温度又はtにおける上昇率Rが比較される予め定められた上昇率Rとは、実験データに基づいて設定される。それらは、通常、煙フィルタリングユニットのタイプ、収集デバイスの設計、例えば収集デバイス内における、温度センサまでの煙の内部経路、煙フィルタリングユニットが作られる材料、温度センサの位置、特に、温度が監視されるこの温度センサの上流にフィルタリングデバイスが存在すること、などにリンク付けられている。
【0059】
一実施形態では、システムは、
いくつかの煙処理ユニットであって、上記煙処理ユニットの各々が煙の少なくとも一部を専用の経路を通して導き処理するように各々が構成されている、いくつかの煙処理ユニットと、
少なくとも1つの焙煎装置によって放出された煙を煙処理ユニットのうちの少なくとも1つに案内する入口ダクトデバイスと、
を備える。
【0060】
この実施形態内で、システムは、少なくとも1つの焙煎装置の煙を処理することができるいくつかの煙処理ユニットを備える。各煙処理ユニットは、煙のための特定の経路を画定し、ダクト手段によって画定し、特定の収集デバイスを含む。煙処理ユニットごとに1つの温度センサを使用して、各収集デバイスに関する情報を提供することができる。
【0061】
別の実施形態では、システムは、
いくつかの焙煎装置を備え、
煙処理ユニットは、上記焙煎装置によって生成された煙の流れを処理することができるように構成され、
上記煙処理ユニットは、いくつかの取り外し可能な煙収集デバイスを備え、取り外し可能な煙収集デバイスの各々は、それぞれの1つの焙煎装置の出口から煙を収集するように構成されている。
【0062】
一実施形態では、方法は、好ましくは、
動作されている焙煎機の数に関する情報を取得するステップと、
取得した数の動作されている焙煎機と煙処理ユニットとの間に取り外し可能な煙収集デバイスがすべて存在することに対応する予め定められた温度の挙動を取得するステップと、
監視された温度の観察された挙動を、取り外し可能な煙収集デバイスがすべて存在することに対応する取得された予め定められた温度の挙動と比較するステップと、
を含む。
【0063】
第2の態様では、コーヒー豆を焙煎するためのシステムが提供され、本システムは、
焙煎装置と、
焙煎装置によって生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニットと、を備え、上記煙処理ユニットは、
焙煎装置の出口から煙を収集するように構成された取り外し可能な煙収集デバイスと、
煙処理ユニット内部の煙の流れの温度Tを測定するように構成された温度センサと、
焙煎装置からの煙を上記煙処理ユニットを通して推進するように構成された煙ドライバと、
上述の方法を実行するように動作可能な制御システムと、
を備える。
【0064】
好ましくは、焙煎装置は、収集デバイスの存在を検査する要求などのアラームを表示するために表示ユニットを備えることができる。表示は視覚的及び/又は音であり得る。
【0065】
好ましくは、煙処理ユニットは、活性炭フィルタ以外の少なくとも1つの他のフィルタリングデバイスを備えることができる。この他のフィルタリングデバイスは、高効率粒子蓄積フィルタ、金属フィルタ、電気集塵装置、紙フィルタ、綿、布のリストに含まれ得る。任意選択的に、煙処理ユニットは、湿式スクラバー、触媒コンバータ、アフターバーナーのような追加のフィルタリングデバイスを備えることができる。
【0066】
好ましくは、煙フィルタリングサブユニットは、連続的に、煙処理ユニット内部における煙の流れの方向に従って、粒子状物質を除去する少なくとも1つのフィルタ、次いで、電気集塵装置、次いで、活性炭フィルタと、を備える。この順序は、活性炭フィルタが粒子状物質によって塞がれることを防止する。
【0067】
煙は、煙処理ユニットの入口から出口へと煙を煙処理ユニットを通して循環させるように構成された煙ドライバによって、煙処理ユニット及び異なるフィルタの内部に推進される。出口では、煙及び汚染物質が捕集されているので、室内の雰囲気内に安全に処理された流れを放出することができる。
【0068】
煙ドライバは、一般に、煙を出口に推進するファンである。
【0069】
好ましくは、ファンは、煙処理ユニットの出口に隣接して配置される。その結果、ファンは処理されていない煙によって汚染されず、そのメンテナンスがより容易になる。
【0070】
1つの好ましい実施形態によれば、煙フィルタリングサブユニットは、少なくとも連続的に、
金属メッシュ、次いで、
電気集塵装置、次いで、
活性炭フィルタ
を、煙処理ユニット内部における煙の流れの動きに従って備える。
【0071】
好ましくは、この実施形態内では、活性炭フィルタは、物理的に電気集塵装置の上に配置される。したがって、煙は、連続するデバイスを通って上向きに導入される。
【0072】
焙煎装置と煙処理ユニットとの統合に応じて、制御システムを両方の装置間で共有することができ、少なくともこれらの2つの装置のプロセシングユニット間で方法のステップを共有することができる。
【0073】
一実施形態では、方法は、焙煎装置のプロセシングユニット及び煙処理ユニットのプロセシングユニットによって実行することができ、両方のプロセシングユニットは互いに通信する。特に、
煙処理ユニットのプロセシングユニットは、
温度を監視するステップと、
監視された温度の挙動を観察し、予め定められた挙動と比較するステップと、
必要であれば、焙煎装置にアラームの表示を命令するステップと、
を実行することができ、
焙煎装置のプロセシングユニットは、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
洗浄アラームを表示するステップと、
を実行することができる。
【0074】
別の実施形態では、
煙処理ユニットのプロセシングユニットは、
温度を監視するステップと、
上記監視された温度の値を焙煎装置に通信するステップと、
を実行することができ、
焙煎装置のプロセシングユニットは、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
監視された温度の挙動を観察し、予め定められた挙動と比較するステップと、
必要であれば、洗浄アラームを表示するステップと、
を実行することができる。
【0075】
別の実施形態では、煙処理ユニットのプロセシングユニットは、焙煎装置から上記の動作が開始しているという情報を受信した後に、高温のガスを生成するための焙煎装置の動作を除く、すべてのステップを実行することができる。
【0076】
好ましくは、焙煎装置は、アラームを表示するために表示ユニットを備えることができる。
【0077】
あるいは、煙処理ユニットは、点灯ボタン及び/又は、サウンド及び/又は音声メッセージなどの、アラームを表示するためのデバイスを備えることができる。
【0078】
別の代替形態では、制御システムは、システムと通信しているモバイルデバイス上にアラームを表示するように構成され得る。
【0079】
第3の態様では、上述したような方法を上述のシステムに実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0080】
一実施形態では、コンピュータプログラムは、焙煎装置のプロセシングユニット及び煙処理ユニットのプロセシングユニットによって実行することができ、両方の処理ユニットは互いに通信する。特に、
煙処理ユニットのプロセシングユニットは、
温度を監視するステップと、
監視された温度の挙動を観察し、予め定められた挙動と比較するステップと、
必要であれば、焙煎装置にアラームの表示を命令するステップと、
を実行することができ、
焙煎装置のプロセシングユニットは、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
洗浄アラームを表示するステップと、
を実行することができる。
【0081】
別の実施形態では、
煙処理ユニットのプロセシングユニットは、
温度を監視するステップと、
上記監視された温度の値を焙煎装置に通信するステップと、
を実行することができ、
焙煎装置のプロセシングユニットは、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
監視された温度の挙動を観察し、予め定められた挙動と比較するステップと、
必要であれば、洗浄アラームを表示するステップと、
を実行することができる。
【0082】
別の実施形態では、煙処理ユニットのプロセシングユニットは、焙煎装置から上記動作が開始しているという情報を受信した後の、高温のガスを生成するための焙煎装置の動作を除く、すべてのステップを実行することができる。
【0083】
第4の態様では、上記コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0084】
本出願において、「いくつかの」という用語は、少なくとも2つを意味する。
【0085】
本発明の上記の諸態様は、任意の好適な組み合わせで組み合わせることができる。更には、本明細書における様々な特徴を、上記の諸態様のうちの1つ以上と組み合わせることにより、具体的に図示及び説明されたもの以外の組み合わせを提供することができる。本発明の更なる目的及び有利な特徴は、「特許請求の範囲」、「発明を実施するための形態」、及び添付図面から明らかとなるであろう。
【0086】
本発明の特定の実施形態が、以下の図面を参照して、例として更にここで記載される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】システムを通る煙の経路を示す、本発明によるシステムの図である。
図2A】システムを通る煙の経路を示す、本発明によるシステムの図である。
図2B】システムを通る煙の経路を示す、本発明によるシステムの図である。
図3図1によるシステムの制御システムのブロック図である。
図4】収集デバイスがある状態又はない状態での、温度の上昇率の進展を示す。
図5】本発明による1つの焙煎装置及びいくつかの煙処理ユニットのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0088】
焙煎するためのシステム
図1は、焙煎装置1及び煙処理ユニット2のシステムの例示的な図を示す。機能的には、焙煎装置は、コーヒー豆を焙煎するように動作可能であり、煙処理ユニットは、焙煎装置による焙煎中に発生した煙を処理するように動作可能である。
【0089】
焙煎装置
焙煎装置1は、焙煎チャンバ12内部にコーヒー豆を受け入れて焙煎するように動作可能である。
【0090】
好ましくは、焙煎装置1は焙煎チャンバ12を含み、この焙煎チャンバ内に熱風流が導入されて、豆を撹拌及び加熱する。熱風流は、通常、空気流ドライバ及びヒータによって生成される。これらのデバイスは、焙煎チャンバの下方に配置され、チャンバの底部を通じて熱風流を導入する。示した図では、チャンバの底部は、空気が通過することができるように構成されており、具体的には、豆が置かれ、それを通して空気が上向きに流れることができる多孔板であり得る。
【0091】
空気流ドライバは、容器の底部の方向に上向きに空気流を生成するように動作可能である。生成された流れは、豆を加熱し、撹拌して持ち上げるように構成されている。その結果、豆は均質に加熱される。具体的には、空気流ドライバは、モーターを動力源とするファンであり得る。空気入口は、ハウジング内部に空気を供給するためにハウジングの基部内部に設けることができ、空気流ドライバは、チャンバ12の方向にこの空気を吹き込む。
【0092】
ヒータは、空気流ドライバによって生成された空気の流れを加熱するように動作可能である。好ましくは、ヒータは、ファンと多孔板との間に配置された電気抵抗であり、その結果、空気の流れは、チャンバ12に入る前に加熱されて、豆を加熱し、持ち上げる。
【0093】
ヒータ及び/又はファンは、焙煎プロファイルを豆に適用するように動作可能であり、この焙煎プロファイルは、時間に対する温度の曲線として規定される。
【0094】
好ましくは、焙煎装置は、以下を可能にするユーザインタフェース13を備え、ユーザインタフェース13は、
焙煎に関する情報、具体的には焙煎チャンバ内部に導入された豆の量及び所望の焙煎レベルに関する情報の入力と、
焙煎動作に関する情報(状態、温度、時間)の出力と、
好ましくは、煙処理ユニット2に関する、特に異なる電気集塵装置222の洗浄に関する情報の出力と、
を可能にする。
【0095】
豆の焙煎は、図1の矢印S1で示すように、空気流ドライバによって生成された空気の流れによって焙煎チャンバの上部開口部121に推進される煙を生成する。
【0096】
一般に、チャフコレクタは、チャンバの上部開口部121と流れ連通しており、焙煎中に豆から徐々に分離し、それらの軽い密度によってチャフコレクタに吹き飛ばされるチャフを受け止める。
【0097】
残りの煙は、焙煎装置の上部の煙出口11を通って排出される。
【0098】
煙処理ユニット
煙処理ユニット2は、焙煎装置の煙出口11で放出された煙S1を受け入れ、処理するように動作可能である。
【0099】
第1に、煙処理ユニット2は、煙を収集するように適合された煙収集デバイス21を備える。この煙収集デバイス21又は収集デバイスは、焙煎装置の出口11から煙フィルタリングサブユニット22のフィルタリングデバイスの方向に煙(点線S1、S2、S3)を誘導する内部空隙空間又はダクトを形成する。
【0100】
具体的に図示された実施形態では、煙フィルタリングサブユニット22は、
PM10のような大きな粒子状物質をフィルタリングするように適合されたデバイス223、例えば、金属メッシュ、及び一般にメッシュの前(すなわち、上流)に配置される金属グリッドである関連付けられたディフューザと、
小さな粒子状物質をフィルタするように適合された電気集塵装置222と、
煙からVOCを除去するように適合された活性炭フィルタ221と、
を含むことができる。
【0101】
好ましくは、粒子状物質を除去するためのデバイスは、活性炭フィルタの上流に配置される。この上流位置は、粒子状物質が活性炭フィルタを汚染しないことを保証する。
【0102】
電気集塵装置は、物理的に、活性炭フィルタの下に配置され、電気集塵装置のスイッチがオフにされたときに活性炭フィルタ上に電気集塵装置から粒子が落ちることを回避する。
【0103】
煙フィルタリングサブユニット22は、収集デバイスの入口211から、汚染された煙が処理される煙フィルタリングサブユニット22を通して煙フィルタリングサブユニット22の出口25へと汚染された煙を吸引するための煙ドライバ23、一般的にはファン、を備え、出口25で周囲雰囲気に安全に送出される。
【0104】
煙フィルタリングサブユニット22は、活性炭フィルタのすぐ上流に配置され、煙の温度を測定するように構成された温度センサ24を備える。
【0105】
図2Aは、図1の収集デバイスの異なるサブパート211、212、213、214、215、216をより正確に示す。組み立てられると、これらすべてのサブパートは、焙煎装置のチャンバの出口11から煙処理ユニットのフィルタリングデバイス221、222、223までの煙の経路を設計する。これらのパートは、洗浄及びメンテナンスのために解体することができる。
【0106】
収集デバイスは、異なる設計及び機能を有する異なるサブパートを備え、かかるサブパートには、
チャンバ出口11との接続を可能とし、空気を導入して焙煎機の煙と混合するための側方開口部を備えるデバイスである、空気入口デバイス211と、
2つのエルボダクト212、214及び直線ダクト213と、
最終ダクト216(点線)との接続要素215と、
が含まれる。
【0107】
この最終ダクトは、煙処理ユニットのサイドパネルの背後に隠れており、パネルが所定の位置に配置されると、ダクトは見えなくなる。
【0108】
収集デバイスの分解と、その後再組み立てに続き、最小の接続要素211、215、又は最終ダクト216などの隠れているものなど、いくつかのパートが見つからない場合がある。
【0109】
図2Bは、焙煎装置がカウンター上に配置され、煙処理ユニットが上記カウンターの下方に配置されている、図1及び図2Aの焙煎システムの代替実施形態を示す。この構成では、小型の接続デバイス215もまた、カウンターの下方に隠れており、オペレータが収集デバイスのこの部分を再組み立てすることを忘れる可能性がある。
【0110】
焙煎装置及び煙処理ユニットのシステムの制御システム
図1図2及び図3を参照して、制御システム3をここで論じる。制御システム3は、煙フィルタリングユニット2を制御するように動作可能である。
【0111】
焙煎装置1と煙フィルタリングユニット2との統合レベルに応じて、制御システムをこれら2つの装置のプロセシングユニット間で共有することができ、
煙処理ユニット2が焙煎装置1の一部である場合、通常、焙煎装置のプロセシングユニットがマスタであり、フィルタのプロセシングユニットはスレーブであり、
焙煎装置1と煙処理ユニット2とが2つの異なる装置を形成し、それらの各々がそれ自体のプロセシングユニットを有する場合、これらのプロセシングユニットは、方法を実行するために通信するように構成され得る。
【0112】
図3は、図1の煙フィルタリングユニット2の制御システムを示す。
【0113】
制御システム3は、典型的には、煙フィルタリングユニット2の第2のレベルにおいて、プロセシングユニット30と、電源33と、メモリユニット31と、を備える。
【0114】
プロセシングユニット30は、焙煎装置のユーザインタフェース13にフィードバックを出力するように、特に、煙収集デバイスがないことの検出に関連するアラームを表示するように構成される。代替的な構成では、いくつかの処理ユニット2は、この情報を表示するそれ自体のユーザインタフェース、例えば、煙収集デバイスの有無に応じて点灯することができる点灯ボタンを備えることができる。
【0115】
プロセシングユニット30はまた、
再取り付け命令、
アラーム状態のリセット、
に関する情報をユーザインタフェース13に表示してもよい。
【0116】
ユーザインタフェースのハードウェアは、任意の好適なデバイス(単数又は複数)を含んでもよく、例えば、ハードウェアは、ジョイスティックボタン、ノブ又は押しボタンなどのボタン、ジョイスティック、LED、グラフィックLDC又は文字LDC、タッチ感知ボタン及び/又はスクリーンエッジボタンを有するグラフィックスクリーン、のうちの1つ以上を含む。ユーザインタフェース20は、1つのユニット又は複数の別個のユニットとして形成することができる。
【0117】
ユーザインタフェースの一部はまた、以下に記載するように、装置に通信インタフェースが設けられている場合、モバイルアプリ上にあってもよい。その場合、入力及び出力の少なくとも一部は、通信インタフェース32を通じてモバイルデバイスに送信することができる。
【0118】
プロセシングユニット30は、メモリと、典型的にはマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラなどの集積回路として構成された入出力システム構成要素とを一般的に備える。プロセシングユニット30は、例えば、ASICや、PAL、CPLD、FPGA、PSoCなどのプログラマブルロジックデバイス、システムオンチップ(SoC)、コントローラなどのアナログ集積回路などの、他の好適な集積回路を含むことができる。そのようなデバイスに関しては、適切な場合には、前述のプログラムコードを、プログラムされた論理とみなすことができ、又はプログラムされた論理を追加的に含むとみなすことができる。プロセシングユニット30はまた、前述の集積回路のうち1つ以上を備えてもよい。後者の例は、モジュール方式で互いに通信するように配置されたいくつかの集積回路であり、例えば、焙煎装置10を制御するためのマスタ集積回路と通信して煙処理ユニット2を制御するスレーブ集積回路、焙煎装置10を制御するためのマスタ集積回路と通信してユーザインタフェース13を制御するスレーブ集積回路である。
【0119】
電源33は、上記制御される構成要素及びプロセシングユニット30に電気エネルギーを供給するように動作可能である。電源33は、バッテリー又は主電源を受電し調節するためのユニットなど、様々な手段を含むことができる。
【0120】
プロセシングユニット30は一般に、プログラムコードとしての命令、及び任意選択的にデータを記憶するためのメモリユニット31を備える。この目的のために、メモリユニットは、通常、例えば、命令としてのプログラムコード及び動作パラメータを記憶するためのEPROM、EEPROM、又はFlashなどの不揮発性メモリと、一時的にデータを記憶するための揮発性メモリ(RAM)とを備える。メモリユニットは、別個の及び/又は(例えば、半導体のダイ上に)集積されたメモリを備えることができる。プログラマブルロジックデバイスについては、命令をプログラムされた論理として記憶することができる。
【0121】
メモリユニット31に記憶された命令は、システムの煙処理ユニット内の活性炭フィルタの存在と、特に洗浄状態の要件と、を判定するプログラムを含むものとして理想化され得る。
【0122】
プロセシングユニット30は、温度センサ24によって測定された温度Tの値を出力するように構成される。
【0123】
制御システム3は、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させ、
上記動作中、煙の温度を監視し、
監視された温度の少なくとも1つの挙動を経時的に観察し、
監視された温度の上記少なくとも1つの観察された挙動を、取り外し可能な煙収集デバイスが煙処理ユニット内に存在することに対応する予め定められた温度の挙動と比較し、
少なくとも1つの観察された挙動が対応する予め定められた挙動から逸脱した場合、アラームを表示する、
ように動作可能である。
【0124】
好ましくは、制御システム3は、
少なくとも1つの時間tにおける監視された温度の上昇率
【0125】
【数2】

を計算するように、
上記の率を、その時間tに関連付けられた予め定められた上昇率Rと比較するように、
時間tにおいて計算された上昇率Rが予め定められた上昇率Rを下回る場合、アラーム表示するように、
動作可能である。
【0126】
図4は、図1及び図2Aに示される焙煎装置の収集デバイス21のメンテナンス動作後に実行される最初の焙煎動作中にセンサ24によって測定される温度の上昇率を示す。焙煎動作の開始は、t=0で開始する。
【0127】
曲線Aでは、収集デバイス21が煙処理ユニット内部に正しく再取り付けされた状態で温度が測定されたのに対し、曲線Bでは、収集デバイス21のサブパート221が欠如している状態で温度が測定された。
【0128】
=5分において、曲線Aは、0.040℃/秒の上昇率を示し、焙煎動作が開始するとすぐに、煙処理ユニット内部に配置された温度センサ24において温度が上昇することが観察され得る。
【0129】
逆に、t=5分において、曲線Bでは上昇率がゼロのままである。
【0130】
したがって、予め定められた上昇率Rを、0.020℃/秒に設定することによって、収集デバイスの一部が存在しないことを、煙処理ユニット内部の温度の上昇率を測定することにより検出することができ、上昇率が曲線bと同様である場合、収集デバイスの検査を要求するアラームが発せられる。
【0131】
この閾値は、実験を通じて予め定められ、上述したように、この予め定められた閾値は、制御システムのメモリ31に記憶することができる。
【0132】
この閾値の更新は、焙煎システムにおいて収集デバイス21の構成が変化した場合に適用することができ、例えば、この閾値は、図1及び図2Bに示す焙煎装置の収集デバイス21を有する場合とは異なる。
【0133】
構成にリンク付けされた設定は、(システム又はモバイルデバイスのいずれかの)ユーザインタフェースを介した手動入力を通じて、又はリモートサーバ及び通信インタフェース32を通じて変更することができる。
【0134】
図5は、いくつかの煙処理ユニット3を備えるシステムを示す。このような構成は、例えば連続的な焙煎動作による大体積の煙の処理に適合させることができる。焙煎装置の煙出口は、煙処理ユニット3のうちの少なくとも1つに煙を案内するように構成されたいくつかの接続デバイス21に接続されている。煙は、3つの煙処理ユニットのうちの1つに送られることができ、その間、他のユニットはメンテナンス中又は洗浄中であってよい。各煙処理ユニットにおいて、対応する温度センサ24は、図1と同様の方法で、煙処理ユニット3の入口において対応する収集デバイスが欠如していることの検出を可能にする。
【0135】
本方法の1つの利点は、本方法の実行に特に専用ではない温度センサを用いて本方法を実行できることである。他のプロセス制御のために煙処理ユニット内部に配置された温度センサを、メンテナンス動作後の煙処理ユニットの必須部分の存在に関する情報を提供するために付加的に使用することができる。収集デバイスの存在の検出専用のセンサを追加するのではなく、既存の温度センサ、例えば、上記デバイスとの接触を確立するセンサ(スイッチ接点など)、光センサ、デバイスの磁気素子の磁界を読み取ることができるセンサ、デバイスのRFIDタグを読み取ることができるRFID装置などを用いて再取り付けの誤りを検出することができる。
【0136】
本発明は、上記で例示された実施形態を参照して説明されているが、特許請求される本発明は、決してこれらの例示された実施形態によって限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0137】
「特許請求の範囲」で定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく、変形及び修正が実施可能である。更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
【0138】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは、「~を含むが、それらに限定されない」ことを意味するものとする。
【符号の説明】
【0139】
1 焙煎装置
11 煙出口
12 焙煎チャンバ
121 上部出口
13 ユーザインタフェース
2 煙処理ユニット
21 煙収集デバイス
211、212、213、214、215、216 サブパート
22 煙フィルタリングサブユニット
221 活性炭フィルタ
222 電気集塵装置
223 PMフィルタ
23 煙ドライバ
25 出口
24 温度センサ
3 制御システム
30 プロセシングユニット
31 メモリユニット
33 電源
10 システム

図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】