(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】コーヒー豆焙煎システムを検査するための方法
(51)【国際特許分類】
A23N 12/08 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
A23N12/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534677
(86)(22)【出願日】2021-12-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2021084438
(87)【国際公開番号】W WO2022135893
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】モレンド, ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】デュビエフ, フラヴィアン, フローラン
(72)【発明者】
【氏名】デグリーフ, トーマス, ルディー, エス.
(72)【発明者】
【氏名】セリス, ミキール, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】レメンス, リエン, デニス, エム.
(72)【発明者】
【氏名】ベークラント, マキシム
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA08
4B061AB02
4B061BA09
4B061CD15
4B061CD21
4B061CD30
(57)【要約】
本発明は、焙煎システム(10)を検査する方法に関し、上記システムは、煙を生成する焙煎装置(2)と、焙煎装置によって生成された煙の流れを処理するように構成され、フィルタリングデバイス(221)と、フィルタリングデバイス(221)の上流及び下流の煙の流れの温度を測定するように構成された温度センサ(24、26)の対とを備える煙処理ユニット(3)と、を備え、本方法は、焙煎動作中に、少なくとも焙煎動作の期間中の温度のパフォーマンスを比較するステップと、パフォーマンスが経時的に類似している場合、アラームを表示するステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焙煎システム(10)を検査する方法であって、前記システムは、
コーヒー豆の加熱中に煙を生成する少なくとも1つの焙煎装置(2)と、
前記少なくとも1つの焙煎装置によって生成された煙の流れの少なくとも一部を処理するように構成された少なくとも1つの煙処理ユニット(3)であって、少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイス(221、222、223)を含む、少なくとも1つの煙処理ユニットと、
前記少なくとも1つのフィルタリングデバイスに前記焙煎装置(2)からの煙を推進するように構成された煙ドライバ(23)と、を備え、
前記少なくとも1つの煙処理ユニット(3)は、第1及び第2の温度センサの少なくとも1つの対を備え、前記第1の温度センサ(24)は前記少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの上流の前記煙の流れの温度T
1を測定するように構成され、前記第2の温度センサ(26)は前記少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの下流の前記煙の流れの温度T
2を測定するように構成されており、
前記方法は、
高温のガスを生成するために前記焙煎装置を動作させるステップと、
少なくとも前記動作の期間中に、第1及び第2の温度センサの前記対のうちの1つによって測定された前記第1及び第2の温度を監視するステップと、
前記監視された温度の挙動の差を経時的に観察するステップと、
前記観察された挙動の差を、前記2つの温度センサ間の前記少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの存在に対応する予め定められた挙動の差と比較するステップと、
前記観察された挙動の差が前記予め定められた挙動の差から逸脱した場合、アラームを表示するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
高温のガスを生成するために前記焙煎装置を動作させる前記ステップは、コーヒー豆焙煎動作、前記焙煎装置の予熱動作、又は少なくとも1つのフィルタリングデバイスの初期化動作である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取り外し可能なフィルタリングデバイス(221、222、223)は、洗浄可能、使い捨て可能、又は再生可能であり、好ましくは、金属ふるい、電気集塵装置、HEPAフィルタ、紙、布及び/又は綿のフィルタ、吸着材料フィルタ、並びにこれらの組み合わせのリストに含まれる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記予め定められた挙動の差は、前記対の前記第1の温度センサと前記第2の温度センサとの間に配置された前記少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの性質に従って選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記監視された温度の前記挙動の差を観察する前記ステップにおいて、前記温度(T
1、T
2)間の差ΔTは、前記動作の開始後少なくとも1つの時間t
0において計算され、
前記差ΔTが、その時間t
0に関連付けられている予め定められた温度閾値ΔT
0を下回る場合、前記アラームが表示される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記監視された温度の前記挙動を観察する前記ステップにおいて、予め定められた時間t
0における第1の測定温度の上昇率R
1=dT
1/dtと、前記予め定められた時間t
0における第2の測定温度の上昇率R
2=dT
2/dtと、の比率R
2/R
1が計算され、
前記比率R
2/R
1が予め定められた閾値R
2/1を下回る場合、前記アラームが表示される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記煙の流れに従って、ある対の前記第1の温度センサ(24)が1つの取り外し可能なフィルタリングデバイス(221)のすぐ上流に配置され、前記対の前記第2の温度センサ(26)が前記取り外し可能なフィルタリングデバイス(221)のすぐ下流に配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記取り外し可能なフィルタリングデバイスは吸着材料フィルタであり、前記フィルタは取り外し可能な吸着材料バッグ(2211)、好ましくは活性炭バッグを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
予め定められた時間t
0における第1の測定温度の上昇率R
1=dT
1/dtと、前記予め定められた時間t
0における第2の測定温度の上昇率R
2=dT
2/dtと、の比率R
2/R
1が計算され、
前記比率R
2/R
1が1に近く、好ましくは予め定められた閾値を上回り、かつ前記閾値が1を下回る場合、前記アラームが表示される、
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記煙処理ユニット(3)が、
前記煙処理ユニット内部の前記煙の流れの方向に従って直列に配置されたいくつかの取り外し可能なフィルタリングデバイス(221、222、223)と、
第1及び第2の温度センサのいくつかの対であって、各対が1つの専用の取り外し可能なフィルタリングデバイスに関連付けられ、前記煙の流れの方向に従って、前記対の前記第1の温度センサ(24)は、前記専用の取り外し可能なフィルタリングデバイス(221)の直前に配置され、前記対の前記第2の温度センサ(26)は前記専用の取り外し可能なフィルタリングデバイス(221)の直後に配置されている、第1及び第2の温度センサのいくつかの対と、
を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記煙処理ユニット(3)は、前記煙処理ユニット内部の前記煙の流れの方向に従って直列に配置されたいくつかの取り外し可能なフィルタリングデバイス(221、222、223)を備え、
温度センサの少なくとも1つの対について、
前記第1の温度センサ(24)は、少なくとも2つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの上流の前記煙の流れの前記温度T
1を測定するように配置され、
前記第2の温度センサ(26)は、前記少なくとも2つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの下流の前記煙の流れの温度T
2を測定するように配置されている、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記システムは、
いくつかの煙処理ユニット(3)であって、前記煙処理ユニットの各々が前記煙の少なくとも一部を専用の経路を通して導き処理するように構成されている、いくつかの煙処理ユニット(3)と、
前記少なくとも1つの焙煎装置によって放出された煙を前記煙処理ユニットのうちの少なくとも1つに案内する入口ダクトデバイスと、
前記煙処理ユニットによって処理された煙を前記システムの出口に案内する出口ダクトデバイスと、を備え、
温度センサの少なくとも1つの対について、
前記第1の温度センサ(24)は、前記入口ダクトデバイスの上流の前記煙の流れの前記温度T
1を測定するように配置され、
前記第2の温度センサ(26)は、前記出口ダクトデバイスの下流の前記煙の流れの前記温度T
2を測定するように配置されている、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
コーヒー豆を焙煎するためのシステム(10)であって、前記システムは、
少なくとも1つの焙煎装置(2)と、
前記少なくとも1つの焙煎装置によって生成された煙の流れの少なくとも一部を処理するように構成された少なくとも1つの煙処理ユニット(3)であって、
少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイス(221、222、223)並びに第1及び第2の温度センサの少なくとも1つの対を備え、前記第1の温度センサ(24)は、前記取り外し可能なフィルタリングデバイスの上流の前記煙の流れの温度T1を測定するように構成され、前記第2の温度センサ(26)は、前記取り外し可能なフィルタリングデバイスの下流の前記煙の流れの温度T2を測定するように構成されている、少なくとも1つの煙処理ユニット(3)と、
前記焙煎装置(2)によって生成された煙を前記煙処理ユニットを通して推進するように構成された煙ドライバ(23)と、
請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実行するように動作可能である制御システム(3)と、
を備える、システム(10)。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムに請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全な環境でコーヒー豆を焙煎するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー豆の焙煎は、周知のプロセスである。主要工程は、豆を所望の焙煎レベルに加熱し、次いで加熱された豆を冷却又は急冷して焙煎を停止することからなる。加熱中に、煙が放出される。この煙には、安全かつ所望の成分、特に通常の焙煎コーヒーアロマが、すべて一緒に含まれるだけでなく、ピリジン、2-フランメタノール、カフェインフルフラール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどの望ましくない安全性の低い揮発性有機化合物(VOC)VOC、及び粒子状物質(PM2.5、PM10)も含まれる。
【0003】
重要な量の焙煎豆を生産する製造現場で焙煎が実行される場合、一般に安全でない成分を捕捉するためのすべての条件が供給される。
【0004】
しかし最近は、顧客が焙煎したての豆で淹れたコーヒーを消費することが可能な店舗、レストラン及びコーヒーにおいて、小さな焙煎機で小バッチの焙煎を実行する傾向がある。焙煎機は、鮮度及び現場の利点を提供するだけではなく、店舗又はコーヒー店の中に、心地よい焙煎コーヒーアロマも送出する。
【0005】
しかし、上述したように、有害な成分も放出される。焙煎機が店舗、コーヒー又はレストランのような閉鎖的な環境で使用される場合、部屋のサイズ、部屋の換気に応じて、一部の成分の放出が有害となり得る。その部屋で数時間作業する人々にとって、焙煎機の煙を嗅ぐことは、健康問題につながる可能性がある。
【0006】
その結果、このような環境では、店舗内にいる人々の健康な問題を回避するために、焙煎機からの煙の放出を停止することが推奨される。既存の解決策は、汚染物質の熱酸化を可能にするアフターバーナー若しくは触媒アフターバーナーなどで汚染物質を消滅させることに本質があり、又は機械的フィルタ(金属ふるい若しくは紙フィルタ)、活性炭フィルタ、電気集塵装置、若しくはそれらの組み合わせなどの装置内部に汚染物質を保持することに本質がある。
【0007】
活性炭フィルタが使用される場合、通常、バッグ内に保持される活性炭物質は、定期的に変えて再生されなければならない。この動作の間に、古い活性炭バッグが取り外され、新しい未使用のバッグが導入される。この動作の間に、オペレータが古いバッグを取り外すが、新しいバッグを導入することを忘れることが起こり得る。この過ちは、煙フィルタがいくつかの異なるフィルタの組み合わせを含む場合があり、それらがすべて異なる洗浄処理を必要とするという事実によって強調されることがある。
【0008】
活性炭フィルタの場合、フィルタ内部に活性炭バッグが存在しないことは、焙煎放出物は自由に通過して流れるため、焙煎動作を妨げず、オペレータは、何回かの焙煎動作が実行されて悪臭が発生するまで、煙が処理されていないことに気付かないであろう。これは、コーヒーショップ、カフェ又はレストランにおいて望ましくない。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、上述した既存の、又は同様の問題に対処することである。
【0010】
特に、本発明の目的は、活性炭バッグなどの煙フィルタの一部が存在しないことをオペレータに知らせる問題に対処することである。
【0011】
煙フィルタの一部の欠如を、その部分に固有のセンサを追加することなく、焙煎オペレータに知らせることを可能にする方法を提供することが有利であろう。
【0012】
本発明の第1の態様では、焙煎システムを検査する方法が提供され、上記システムは、
コーヒー豆の加熱中に煙を生成する少なくとも1つの焙煎装置と、
少なくとも1つの焙煎装置によって生成された煙の流れの少なくとも一部を処理するように構成された少なくとも1つの煙処理ユニットであって、少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスを含む、少なくとも1つの煙処理ユニットと、
前述の少なくとも1つのフィルタリングデバイスに焙煎装置からの煙を推進するように構成された煙ドライバと、を備え、
少なくとも1つの煙処理ユニットは、第1及び第2の温度センサの少なくとも1つの対を備え、第1の温度センサは前述の取り外し可能なフィルタリングデバイスの上流の煙の流れの温度T1を測定するように構成され、第2の温度センサは前述の取り外し可能なフィルタリングデバイスの下流の煙の流れの温度T2を測定するように構成されており、
本方法は、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
少なくとも上記動作の期間中に、第1及び第2の温度センサの対のうちの1つによって測定された第1及び第2の温度を監視するステップと、
監視された温度の挙動の差を経時的に観察するステップと、
観察された挙動の差を、2つの温度センサ間の少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの存在に対応する予め定められた挙動の差と比較するステップと、
挙動の観察された差が予め定められた挙動の差から逸脱した場合、アラームを表示するステップと、
を含む。
【0013】
本方法の目的は、焙煎システムが適切に作動していることを検査すること、特に、煙処理ユニットが適切に作動していることを検査すること、正確には、煙処理ユニットの取り外し可能なフィルタリングデバイスが欠如していないことを検査することである。
【0014】
本方法が適用されるこの焙煎システムは2つのタイプの装置を備え、1つ目は、豆を加熱して焙煎する焙煎装置であり、2つ目は、コーヒー豆の焙煎中に1つ目の焙煎装置内部で生成された煙を処理するように構成された煙処理ユニットである。
【0015】
この2つの装置は、1つの単一の主システムのサブパートであり得、あるいは、この2つの装置は、焙煎プロセス中に連携する分離したモジュールとして考えられ得る。
【0016】
以下で説明するように、システムは、いくつかの焙煎装置及び/又はいくつかの煙処理ユニットを備えることができる。
【0017】
任意のタイプの焙煎装置を使用することができる。焙煎装置内で、コーヒー豆は加熱され、かつ好ましくは、豆全体の加熱を均質化するために混合される。したがって、焙煎装置は、豆を保持するチャンバと、コーヒー豆を加熱する加熱手段とを備える。
【0018】
加熱手段は、天然ガス、液化石油ガス(LPG)、又は更には木材が供給されるバーナー(燃焼を意味する)とすることができる。あるいは、加熱手段は、電気抵抗器、セラミックヒータ、ハロゲン熱源、赤外線熱源、又はマイクロ波熱源であってもよい。
【0019】
好ましくは、加熱手段は電動であり、これにより、焙煎中に生成される空気汚染物質は、コーヒー豆自体の加熱から生成される汚染物質のみであって、加熱手段が天然ガス、プロパン、液化石油ガス(LPG)又は更には木材を用いるガスバーナーであるときに生じるようなガスの燃焼によるものではない。
【0020】
焙煎動作中の豆の混合は、熱風の流動層を用いて、又は撹拌ブレード若しくは回転ドラムを用いて機械的に得ることができる。
【0021】
好ましくは、焙煎装置は熱風流動層チャンバである。そのようなチャンバ内では、加熱された空気が、コーヒー豆の下のスクリーン又は多孔板を通って、豆を持ち上げるのに十分な力で送り込まれる。この流動床内で、豆が転がり回って循環する際に、豆に熱が伝達される。
【0022】
あるいは、焙煎装置は、加熱された環境においてコーヒー豆がタンブリングされるドラムチャンバであってもよい。ドラムチャンバは、水平軸に沿って回転するドラムからなることができ、又はドラムチャンバは、加熱された環境においてコーヒー豆を転がり回らせるための撹拌ブレードを備えることができる。
【0023】
焙煎装置は、焙煎動作中に生成された煙を排出することが可能な、出口を含む。
【0024】
一実施形態では、システムは、いくつかの焙煎装置を備えることができ、これらの異なる焙煎装置の出口は、1つ又はいくつかの煙処理ユニットによって処理される前に混合されるように構成されている。
【0025】
一般に、システムの煙処理ユニットは、焙煎装置の煙出口と連携し、煙入口を通って煙を収集するように構成された煙入口を備える。
【0026】
煙処理ユニットは、煙が含有する有害な汚染物質を低減又は排除するために煙を処理する。煙処理ユニットは、汚染物質を破壊又は捕集するように構成された少なくとも1つのフィルタリングデバイスを備える。このユニットは、
汚染物質の熱酸化を可能にするアフターバーナー、又は触媒アフターバーナーなどの、装置内部の汚染物質を破壊する少なくとも1つの能動的処理フィルタ、
又は、
機械式フィルタ(金属ふるい、高効率微粒子アキュムレータ(HEPA)フィルタ若しくは紙フィルタ)、活性炭フィルタ若しくは他の吸着フィルタ、若しくは、電気集塵装置のような、汚染物質を装置内部に保持する少なくとも1つの受動的処理フィルタ
又は上記のユニットの組み合わせ
を含み得る。
【0027】
通常、煙処理ユニットは、好ましくは、金属ふるい、電気集塵装置、HEPAフィルタ、紙フィルタ、綿、布、吸着材料フィルタ、及びこれらの組み合わせのリストに含まれる、洗浄可能、使い捨て可能、又は再生可能な少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングを含む。
【0028】
これらのタイプのフィルタリングデバイスは、煙処理ユニットから取り外し可能であり、洗浄又は廃棄され、新しいフィルタと交換される。特に、受動的処理フィルタの場合に、
電気集塵装置の金属ふるい及びプレートは取り外されて洗われてから、煙処理ユニット内に再取り付けされ、
HEPA、紙、綿、布のフィルタは取り外して廃棄し、新しい紙が煙処理ユニット内部に取り付けられ、
吸着材料のバッグが、再生されるために活性炭フィルタから取り外され、新しいバッグが煙処理ユニット内部に取り付けられる。
【0029】
煙処理ユニットがいくつかのフィルタリングデバイスを備える場合、それらは通常、煙の流れの方向に沿って直列に配置される。通常、粒子状物質(PM)をフィルタリングするための装置は、揮発性有機化合物(VOC)をフィルタリングするためのデバイスの上流に配置される。
【0030】
1つの好ましい実施形態では、煙処理ユニットは、少なくとも1つの吸着フィルタ、好ましくは活性炭を備えることができる。このタイプのフィルタはVOCを吸着する。このフィルタは、温度に関して特定の動作条件を必要とし、この理由のために、温度センサがこのフィルタリングデバイスの近くに配置されることが多い。
【0031】
活性炭フィルタは、取り外し可能な活性炭バッグを備える。このバッグは、VOCを吸着する活性炭を含み、このバッグは、活性炭がその最大吸着容量に達したときに取り外され、未使用の活性炭ホルダと交換されなければならない。通常、バッグは、煙が通過して流れることを可能にするが、通常は顆粒の形態である活性炭を保持する材料から作製される。取り外し可能なバッグは、煙フィルタリングユニットの専用領域の内側に配置される。
【0032】
煙は、煙収集デバイスから煙処理ユニットの出口へと煙を煙処理ユニットを通して循環させるように構成された煙ドライバによって、煙処理ユニット及びフィルタリングデバイスの内部に推進される。出口では、汚染物質が捕集されているので、室内の雰囲気内に安全に煙を放出することができる。
【0033】
煙ドライバは、通常、煙を出口に推進するファンである。
【0034】
一般に、煙ドライバは煙処理ユニットの一部である。好ましくは、それは、煙処理ユニットの出口に隣接して配置されるファンである。その結果、ファンは処理されていない煙によって汚染されず、そのメンテナンスがより容易になる。
【0035】
あるいは、煙ドライバを煙処理ユニットの外部に配置することができ、その場合、ドライバとユニットとはダクトを介して接続される。
【0036】
あるいは、煙ドライバは、煙処理ユニットの方向に煙を押す焙煎装置のファンであってもよい。
【0037】
煙処理ユニットは、第1及び第2の温度センサの少なくとも1つの対を備える。第1の温度センサは、取り外し可能なフィルタリングデバイスのうちの少なくとも1つの上流の煙の流れの温度T1を測定するように構成され、第2の温度センサは、上記取り外し可能なフィルタリングデバイスの下流の煙の流れの温度T2を測定するように構成されている。
【0038】
「下流」及び「上流」という用語は、煙処理ユニット及びフィルタリングデバイスを通る煙の流れに従って理解される。
【0039】
温度センサは、温度を測定するように構成された任意のセンサであってよい。このセンサは、温度のみを測定するように構成され得、又はこのセンサは、湿度、圧力、VOC含有量のような温度以外の様々な他のパラメータを測定することができるマルチセンサ構成要素であり得る。そのようなセンサの例は、空気センサ又はガスセンサである。
【0040】
焙煎システム、特に、取り外し可能なフィルタリングデバイスの存在(デフォルトでは不存在)を検査するために、本方法は、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
監視された温度の挙動の差を経時的に観察するステップと、
上記観察された挙動の差を、2つの温度センサ間の上記少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの存在に対応する予め定められた挙動の差と比較するステップと、
観察された挙動の差が、予め定められた挙動の差から逸脱した場合、アラームを表示するステップと、を含む。
【0041】
焙煎装置の高温の煙又は任意の他の高温のガス、特に熱風が1つのフィルタリングデバイスを通過するとき、このフィルタリングデバイスのすぐ下流の第2の温度センサで測定される第2の温度T2は、このフィルタリングデバイスのすぐ上流の第1の温度T1で測定される温度T1よりも、はるかにゆっくりと上昇し、これは、フィルタリングデバイスによる、煙の熱エネルギーの吸収によるものであり、フィルタリングデバイスは熱バッファとして機能することが観察されている。対照的に、フィルタリングデバイスが存在しない場合、2つのセンサにおいて監視される温度はほぼ同時に非常によく似た様子で上昇し、煙は2つの温度センサ間の空きスペースを急速に移動する。
【0042】
その結果、監視された温度T1及びT2の類似の挙動が観察される場合、その対の2つの温度センサ間に取り外し可能なフィルタリングデバイスが存在しないリスクが高く、焙煎動作が停止したらすぐに煙処理ユニット内部のフィルタリングデバイスの存在を検査するようにオペレータに要求するアラームが表示され得る。
【0043】
温度センサの同じ対の2つのセンサ間にいくつかのフィルタリングデバイスが存在する場合、これらのいくつかのフィルタリングデバイスのうち1つのみが存在しない場合には、2つのセンサで測定される2つの温度が非常によく似た様子で急速に上昇しない可能性があるが(特に、熱エネルギーに対する熱バッファを温度センサ間に生成することができるフィルタリングデバイスがなお存在する場合には)、それでも、温度の挙動の差は、すべてのフィルタリングデバイスが存在する場合の温度の挙動の差から逸脱する。その状況において、挙動の差が、2つの温度センサ間のすべての取り外し可能なフィルタリングデバイスが正常に存在していることに対応する予め定められた挙動の差から逸脱していることは、少なくとも1つのフィルタリングデバイスが欠如している可能性があることの証拠であり、警告が表示され得る。
【0044】
その結果、本方法は、煙処理ユニット内部の取り外し可能なフィルタリングデバイスがないことの検出を可能にし、オペレータに警告することができる。
【0045】
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップは、コーヒー豆焙煎動作、焙煎装置の予熱動作、又はフィルタリングデバイスの初期化動作であり得る。
【0046】
どのような動作であっても、焙煎装置の加熱手段を動作させることによって高温のガスが生成される。コーヒー豆がチャンバ内にある場合、高温のガスは、豆の加熱によって生成される煙となる。チャンバ内にコーヒー豆がない場合、高温のガスは熱風となる。これは、例えばメンテナンス又は交換の動作の後、煙処理ユニットにこのフィルタリングデバイスが初めて導入されるときの焙煎システムの予熱動作中、又はフィルタリングデバイスの初期化動作中に起こり得る。
【0047】
通常、本方法が、コーヒー豆焙煎動作を動作させている間に適用される場合、この焙煎動作は、煙処理ユニットのメンテナンス動作後、好ましくは少なくとも1つのフィルタリングデバイスのメンテナンス後の最初の動作である。
【0048】
実際、フィルタリングデバイスのうちの少なくとも1つが存在しないことを、煙処理ユニットの洗浄動作又はメンテナンス動作の後に実行される最初の動作から知ることが重要である。
【0049】
加えて、温度T1及びT2を監視するステップの開始時に煙処理ユニットが周囲温度である場合、本方法はより効率的である。オペレータは、フィルタリングデバイスの一部がないことを直ちに知ることができ、新たな焙煎動作を、煙フィルタリングユニット内部のフィルタリングデバイスを検査して必要であれば再取り付けを行うことなしに開始することが防止され得る。
【0050】
通常、本方法では、予め定められた挙動の差は、その対の第1の温度センサと第2の温度センサとの間に配置された少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの性質に従って設定される。
【0051】
上述したように、フィルタリングデバイスの設計及び材料(単純で薄い金属ふるい、物質吸着剤の大きなバッグ、電気集塵装置の金属電極板、...)は、煙の流れを保持する効果が異なり、異なる熱容量を提示する様々な性質を有するものとすることができる。したがって、温度センサ間に、煙フィルタリングデバイスのために設計されたフィルタリングデバイス(単数又は複数)が存在するかどうかを判定するために、そのフィルタリングデバイス(単数又は複数)に対応する予め定められた挙動の差を参照する方法が適用される。
【0052】
取り外し可能なフィルタリングデバイス(単数又は複数)が2つの温度センサ間に存在することに対応する予め定められた挙動の差は、焙煎動作中の実験によって予め定めることができる。機械学習もまたこれらの実験に基づいて、適用できる。
【0053】
1つの好ましい実施形態では、焙煎機内で実行された焙煎動作のタイプに応じて、異なる予め定められた挙動の差が予め定められる。
【0054】
焙煎動作のタイプとは、焙煎装置内の豆に適用される、時間に対する温度プロファイルのタイプを意味する。高レベルのアプローチでは、コーヒー豆の焙煎の3つの通常のレベル(ライト、ミディアム、ダーク)に対応する3つの一般的な焙煎動作のタイプを定義することができる。これらの3つのタイプの焙煎動作は、それらの時間の長さ及び動作の末期における温度のレベルが異なり、ダークレベルの焙煎は、より高い最終温度におけるより長い時間に対して得られ、一方、ライトレベルの焙煎は、より低い最終温度におけるより短い時間に対して得られる。より正確なアプローチでは、時間に対する温度プロファイルの正確なタイプが豆に適用されることを考慮に入れることができる。
【0055】
これらの異なる焙煎動作の各々の間に監視された温度T1、T2の挙動の差を観察することにより、かつ煙処理ユニットが完全に動作可能な状態において、上記温度の正常な挙動の差を測定し、予め定めることができる。
【0056】
好ましくは、予め定められた閾値は、少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスのタイプに依存する。この選択は、システム、特に煙処理ユニットの構成のステップ中に実行することができる。煙フィルタリングデバイス内部に存在する取り外し可能なフィルタリングデバイスのタイプ、例えば、吸着材料の性質又は吸着材料のバッグのサイズに応じて、閾値を適宜変更することができる。システムのユーザインタフェースにおける設定メニューは、取り外し可能なフィルタリングデバイスのタイプの入力、及びシステムのプロセス制御のメモリに記憶された又はサーバから遠隔アクセス可能な対応する予め定められた閾値の選択を可能にすることができる。
【0057】
監視された温度T1、T2の挙動の差は異なるタイプのものであってもよい。
【0058】
本方法の最も単純な一態様では、
監視された温度の挙動の差を観察するステップにおいて、上記温度(T1、T2)間の差ΔTが、動作の開始後少なくとも1つの時間t0において計算され、
上記差ΔTが、その時間t0に関連付けられている予め定められた温度閾値ΔT0を下回る場合、次いでアラームが表示される。
【0059】
この方法では、挙動の差が、上記温度間の差ΔTを通じ、かつ上記の差ΔTを予め定められた温度閾値ΔT0と比較することによって、少なくとも1つの時間t0において観察される。
【0060】
別の好ましい態様では、
監視された温度の挙動を観察するステップにおいて、予め定められた時間t0における第1の測定温度の上昇率R1=dT1/dtと、上記予め定められた時間t0における第2の測定温度の上昇率R2=dT2/dtとの比率R2/R1が計算され、
上記比率R2/R1が予め定められた閾値R2/1を下回る場合、アラームが表示される。
【0061】
一般に、単純な温度差と比較して、上昇率は、環境条件から、焙煎動作中のコーヒー豆に適用される焙煎プロファイルから、あるいはいくつかの先行する焙煎動作により既にフィルタリングデバイスが加熱されているという事実からも、より影響を受けにくいという利点を提供する。別の利点は、上昇率を分析することで、フィルタリングデバイスがないことをより早期に検出することが可能となり、VOC及びPMのピークが出現する前に焙煎動作を直ちに停止し得ることである。
【0062】
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップがコーヒー豆焙煎動作である場合、好ましくは、豆のVOC及びPMの放出のピークが起こる時間より以前の時間に上昇率(R1、R2)が計算される。
【0063】
この瞬間は、焙煎装置内で焙煎される豆のタイプ、例えば、生豆、又は生のコーヒー豆を加熱して、1ハゼの終了前に上記加熱プロセスを停止することによって得られる豆である部分的予備焙煎豆などに応じて変化し得る。
【0064】
有利なことに、焙煎は停止され、欠如していたフィルタリングデバイスの取り付け後に再開することも可能である。
【0065】
1つの好ましい実施形態では、煙又は高温のガスの流れに従って、ある対の第1の温度センサが1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスのすぐ上流に配置され、上記対の第2の温度センサは上記取り外し可能なフィルタリングデバイスのすぐ下流に配置される。
【0066】
この実施形態は、その対の2つの温度センサの間に配置された取り外し可能なフィルタリングデバイス、例えば、1つの取り外し可能な活性炭バッグを備える1つの活性炭フィルタに関する正確な情報を提供する。
【0067】
この好ましい実施形態では、好ましくは、予め定められた時間t0における第1の測定温度の上昇率R1=dT1/dtと、上記予め定められた時間t0における第2の測定温度の上昇率R2=dT2/dtと、の比率R2/R1が焙煎動作の開始から計算され、比率R2/R1が1に近く、好ましくは予め定められた閾値を上回り、かつ上記閾値が1を下回る場合、アラームが表示される。
【0068】
煙の流れ又は高温のガスは、常に第1の温度センサの後で第2の温度に達するので、1よりもわずかに低い比率R2/R1は、1に近い比率に対応する。1に近い比率は、フィルタリングデバイスが存在しないために煙の流れがフィルタリングデバイス内に保持されないという事実を反映している。したがって、値1をデフォルトで設定することができ、「近い」という用語は、煙処理ユニットの構成及び温度センサの位置に従って定義することができる。
【0069】
1つの好ましい実施形態では、動作の開始中に、比率R2/R1が予め定められた閾値を上回り、上記予め定められた閾値が1を下回る場合、アラームが表示される。
【0070】
通常、比率R2/R1が比較される予め定められた閾値は、実験データに基づいて設定される。この閾値は、通常、煙フィルタリングユニットのタイプ、ユニット内部の、特に上流の他のタイプのフィルタの存在、煙処理ユニット及びフィルタリングデバイスの内部設計にリンク付けされる。
【0071】
この好ましい実施形態の特定の実施形態では、煙処理ユニットは、
煙処理ユニット内部の煙の流れの方向に従って直列に配置されたいくつかの取り外し可能なフィルタリングデバイスと、
第1及び第2の温度センサのいくつかの対であって、各対が1つの専用の取り外し可能なフィルタリングデバイスに関連付けられ、煙又は高温のガスの流れの方向に従って、上記対の第1の温度センサは専用の取り外し可能なフィルタリングデバイスの直前に配置され、上記対の第2の温度センサは専用の取り外し可能なフィルタリングデバイスの直後に配置されている、第1及び第2の温度センサのいくつかの対と、
を備えることができる。
【0072】
したがって、センサの専用の対、例えば2つの異なる活性炭フィルタを用いて、これらのフィルタリングデバイスに関する正確な情報を得ることができる。
【0073】
別の実施形態では、
煙処理ユニットは、煙処理ユニット内部の煙の流れの方向に従って直列に配置されたいくつかの取り外し可能なフィルタリングデバイスを備えることができ、
温度センサの少なくとも1つの対について、
第1の温度センサは、少なくとも2つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの上流の煙の流れの温度T1を測定するように配置され、
第2の温度センサは、上記少なくとも2つの取り外し可能なフィルタリングデバイスの下流の煙の流れの温度T2を測定するように配置されている。
【0074】
この実施形態では、温度センサの1つの対を使用して、この対の各センサ間に配置されたすべてのフィルタリングデバイスについてのグローバル情報を提供することができる。例えば、第1のセンサを煙処理ユニットの入口に配置することができ、第2のセンサを煙処理ユニットの出口に配置することができる。
【0075】
別の実施形態によれば、システムは、
いくつかの煙処理ユニットであって、上記煙処理ユニットの各々が煙の少なくとも一部を専用の経路を通して導き処理するように構成されている、いくつかの煙処理ユニットと、
少なくとも1つの焙煎装置によって放出された煙を煙処理ユニットのうちの少なくとも1つに案内する入口ダクトデバイスと、
煙処理ユニットによって処理された煙をシステムの出口に案内する出口ダクトデバイスと、を備えることができ、
温度センサの少なくとも1つの対について、
第1の温度センサは、上記入口ダクトデバイスの上流の煙の流れの温度T1を測定するように配置され、
第2の温度センサは、上記出口ダクトデバイスの下流の煙の流れの温度T2を測定するように配置されている。
【0076】
この実施形態内で、システムは、少なくとも1つの焙煎装置の煙を処理することができるいくつかの煙処理ユニットを備える。各煙処理ユニットは、特定の経路であって、通常はダクト手段によって画定される、煙のための特定の経路を画定する。温度センサの1つの対を使用して、この対の各センサ間に配置されたすべての煙処理ユニットについてのグローバル情報を提供することができる。
【0077】
第2の態様では、コーヒー豆を焙煎するためのシステムが提供され、本システムは、
少なくとも1つの焙煎装置と、
少なくとも1つの焙煎装置によって生成された煙の流れの少なくとも一部を処理するように構成された少なくとも1つの煙処理ユニットであって、
少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイス、並びに
第1及び第2の温度センサの少なくとも1つの対を備え、第1の温度センサは、取り外し可能なフィルタリングデバイスの上流の煙の流れの温度T1を測定するように構成され、第2の温度センサは、取り外し可能なフィルタリングデバイスの下流の煙の流れの温度T2を測定するように構成されている、少なくとも1つの煙処理ユニットと、
焙煎装置によって生成された煙を煙処理ユニットを通して推進するように構成された煙ドライバと、
上記のような方法を実行するように動作可能な制御システムと、
を備える。
【0078】
好ましくは、焙煎装置は、視覚的及び/又は音であり得るアラームを表示するために表示ユニットを備えることができる。
【0079】
好ましくは、煙処理ユニットは、洗浄可能、使い捨て可能、又は再生可能であり、好ましくは、金属ふるい、電気集塵装置、HEPAフィルタ、紙、布及び/又は綿のフィルタ、吸着材料フィルタ、並びにこれらの組み合わせのリストに含まれる、少なくとも1つの取り外し可能なフィルタリングデバイスを含む。
【0080】
好ましくは、煙フィルタリングサブユニットは、連続的に、煙処理ユニット内部における煙の流れの方向に従って、粒子状物質を除去する少なくとも1つのフィルタ、次いで、電気集塵装置、次いで、活性炭フィルタと、を備える。この順序は、活性炭フィルタが粒子状物質によって塞がれることを防止する。
【0081】
煙ドライバは、一般に煙を出口に推進するファンである。
【0082】
好ましくは、ファンは、煙処理ユニットの出口に隣接して配置される。その結果、ファンは処理されていない煙によって汚染されず、そのメンテナンスがより容易になる。
【0083】
1つの好ましい実施形態によれば、煙フィルタリングサブユニットは、少なくとも連続的に、
金属メッシュ、次いで、
電気集塵装置、次いで、
活性炭フィルタ
を、煙処理ユニット内部における煙の流れの動きに従って備える。
【0084】
好ましくは、この実施形態内では、活性炭フィルタは、物理的に電気集塵装置の上に配置される。したがって、煙は、連続するデバイスを通って上向きに導入される。
【0085】
焙煎装置と煙処理ユニットとの統合に応じて、制御システムを両方の装置間で共有することができ、少なくともこれらの2つの装置のプロセシングユニット間で方法のステップを共有することができる。
【0086】
一実施形態では、方法は、焙煎装置のプロセシングユニット及び煙処理ユニットのプロセシングユニットによって実行することができ、両方のプロセシングユニットは互いに通信する。具体的には、
煙処理ユニットのプロセシングユニットは、
第1及び第2の温度を監視するステップと、
挙動の差を観察し、観察された挙動の差を予め定められた挙動の差と比較するステップと、
必要であれば、焙煎装置にアラームの表示を命令するステップと、
を実行することができ、
焙煎装置のプロセシングユニットは、
高温のガスを生成ために焙煎装置を動作させるステップと、
洗浄アラームを表示するステップと、
を実行することができる。
【0087】
別の実施形態では
煙処理ユニットのプロセシングユニットは、
第1及び第2の温度を監視するステップと、
上記監視された温度の値を焙煎装置に通信するステップと、
を実行することができ、
焙煎装置のプロセシングユニットは、
高温のガスを生成ために焙煎装置を動作させるステップと、
挙動の差を観察し、観察された挙動の差を予め定められた挙動の差と比較するステップと、
必要であれば洗浄アラームを表示するステップと、
を実行することができる。
【0088】
別の実施形態では、煙処理ユニットのプロセシングユニットは、焙煎装置から上記の動作が開始しているという情報を受信した後に、高温のガスを生成するための焙煎装置の動作を除く、すべてのステップを実行することができる。
【0089】
好ましくは、焙煎装置は、アラームを表示するために表示ユニットを備えることができる。
【0090】
あるいは、煙処理ユニットは、点灯ボタン及び/又は、サウンド及び/又は音声メッセージなどの、アラームを表示するためのデバイスを備えることができる。
【0091】
別の代替形態では、制御システムは、システムと通信しているモバイルデバイス上にアラームを表示するように構成され得る。
【0092】
第3の態様では、上述したような方法を上記システムに実行させる命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0093】
一実施形態では、コンピュータプログラムは、焙煎装置のプロセシングユニット及び煙処理ユニットのプロセシングユニットによって実行することができ、両方の処理ユニットは互いに通信する。
【0094】
具体的には、
煙処理ユニットのプロセシングユニットは、
第1の温度の挙動と第2の温度の挙動とを比較するステップと、
必要であれば、焙煎装置にアラームの表示を命令するステップと、
を実行することができ、
焙煎装置のプロセシングユニットは、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
アラームを表示するステップと、
を実行することができる。
【0095】
別の実施形態では
煙処理ユニットのプロセシングユニットは、
第1及び第2の温度を監視するステップと、
上記監視された温度の値を焙煎装置に通信するステップと、
を実行することができ、
焙煎装置のプロセシングユニットは、
高温のガスを生成するために焙煎装置を動作させるステップと、
挙動の差を観察し、観察された挙動の差を予め定められた挙動の差と比較するステップと、
必要であれば洗浄アラームを表示するステップと、
を実行することができる。
【0096】
別の実施形態では、煙処理ユニットのプロセシングユニットは、焙煎装置から上記動作が開始しているという情報を受信した後の、高温のガスを生成するための焙煎装置の動作を除く、すべてのステップを実行することができる。
【0097】
第4の態様では、上記コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0098】
本出願において、「いくつかの」という用語は、少なくとも2つを意味する。
【0099】
本発明の上記の諸態様は、任意の好適な組み合わせで組み合わせることができる。更には、本明細書における様々な特徴を、上記の諸態様のうちの1つ以上と組み合わせることにより、具体的に図示及び説明されたもの以外の組み合わせを提供することができる。本発明の更なる目的及び有利な特徴は、「特許請求の範囲」、「発明を実施するための形態」、及び添付図面から明らかとなるであろう。
【0100】
本発明の特定の実施形態が、以下の図面を参照して、例として更にここで記載される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】システムを通る煙の経路を示す、本発明によるシステムの図である。
【
図2】
図1の煙処理ユニットの活性炭フィルタを示す。
【
図3】
図1及び
図2によるシステムの制御システムのブロック図である。
【
図4A】活性炭ホルダがある状態又はない状態での、焙煎動作中に監視された温度T1及びT2の進展を示す。
【
図4B】活性炭ホルダがある状態又はない状態での、焙煎動作中に監視された温度T1及びT2の進展を示す。
【
図5】
図1に示したシステムの代替システムを示す。
【
図6】
図1に示したシステムの代替システムを示す。
【
図7】本発明によるいくつかの焙煎装置及び煙処理ユニットのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0102】
焙煎するためのシステム
図1は、焙煎装置1及び煙処理ユニット2のシステムの例示的な図を示す。機能的には、焙煎装置は、コーヒー豆を焙煎するように動作可能であり、煙処理ユニットは、焙煎装置による焙煎中に発生した煙を処理するように動作可能である。
【0103】
焙煎装置
焙煎装置1は、焙煎チャンバ12内部にコーヒー豆を受け入れて焙煎するように動作可能である。
【0104】
好ましくは、焙煎装置1は焙煎チャンバ12を含み、この焙煎チャンバ内に熱風流が導入されて、豆を撹拌及び加熱する。熱風流は、通常、空気流ドライバ及びヒータによって生成される。これらのデバイスは、焙煎チャンバの下方に配置され、チャンバの底部を通じて熱風流を導入する。示した図では、チャンバの底部は、空気が通過することができるように構成されており、具体的には、豆が置かれ、それを通して空気が上向きに流れることができる多孔板であり得る。
【0105】
空気流ドライバは、容器の底部の方向に上向きに空気流を生成するように動作可能である。生成された流れは、豆を加熱し、撹拌して持ち上げるように構成されている。その結果、豆は均質に加熱される。具体的には、空気流ドライバは、モーターを動力源とするファンであり得る。空気入口は、ハウジング内部に空気を供給するためにハウジングの基部内部に設けることができ、空気流ドライバは、チャンバ12の方向にこの空気を吹き込む。
【0106】
ヒータは、空気流ドライバによって生成された空気の流れを加熱するように動作可能である。好ましくは、ヒータは、ファンと多孔板との間に配置された電気抵抗であり、その結果、空気の流れは、チャンバ12に入る前に加熱されて、豆を加熱し、持ち上げる。
【0107】
ヒータ及び/又はファンは、焙煎プロファイルを豆に適用するように動作可能であり、この焙煎プロファイルは、時間に対する温度の曲線として規定される。
【0108】
好ましくは、焙煎装置はユーザインタフェース13を備え、ユーザインタフェース13は、
焙煎に関する情報、特に焙煎チャンバ内部に導入された豆の量及び所望の焙煎レベルに関する情報の入力、及び焙煎動作に関する情報(状態、温度、時間)の出力と、
好ましくは、煙処理ユニット2に関する、特に電気集塵装置222の洗浄に関する情報の出力に関してと、
を可能にする。
【0109】
豆の焙煎は、
図1の矢印S1で示すように、空気流ドライバによって生成された空気の流れによって焙煎チャンバの上部開口部121に推進される煙を生成する。
【0110】
一般に、チャフコレクタは、チャンバの上部開口部121と流れ連通しており、焙煎中に豆から徐々に分離し、それらの軽い密度によってチャフコレクタに吹き飛ばされるチャフを受け止める。
【0111】
残りの煙は、焙煎装置の上部の煙出口11を通って排出される。
【0112】
煙処理ユニット
煙処理ユニット2は、焙煎装置の煙出口11で放出された煙S1を受け入れ、処理するように動作可能である。
【0113】
第1に、煙処理ユニット2は、煙を収集するように適合された煙収集デバイス21を備える。この煙収集デバイス21又は収集デバイスは、焙煎装置の出口11から煙フィルタリングサブユニット22のフィルタリングデバイスの方向に煙(点線S1、S2、S3)を誘導する内部空隙空間又はダクトを形成する。
【0114】
煙フィルタリングサブユニット22は、煙からVOCを除去するように適合された活性炭フィルタ221を備える。
【0115】
図2は、この活性炭フィルタ221の主要な構成要素を示す。フィルタは、好ましくは活性炭である吸着材料を保持するように構成されたボックス2212を備える。この吸着剤は、通常、顆粒であるため、吸着剤は、煙が壁を自由に通過できるホルダ2211に保持されている。通常、このホルダはプラスチックメッシュのバッグである。
【0116】
ボックスの上壁及び底壁は、ホルダをボックス内部に保持しながら煙を自由に通過させることができる単純な格子である。ボックス221は、メンテナンスのために煙フィルタリングユニットから取り外し可能である。一方の側壁上のハンドルは、オペレータがボックスを引き出すことを可能にする。ユニットから取り外されると、カバー2213を取り外して、活性炭ホルダ2211にアクセスすることができる。
【0117】
活性炭フィルタのメンテナンス動作は、ホルダ2211を新しいホルダと交換することからなる。吸着材料がその最大吸着容量に達したとき、材料は再生のために取り除かれなければならない。再生は現場では実現できない。その結果、古いホルダが未使用のホルダに交換される。
【0118】
このメンテナンス動作中、オペレータは、ボックスをユニット内に再配置する前に、ボックス内部に新しいホルダを再導入することを忘れる可能性がある。
【0119】
具体的に図示された実施形態において、煙フィルタリングサブユニット22は、
PM10のような大きな粒子状物質をフィルタリングするように適合されたデバイス223、例えば、金属メッシュ、及び一般にメッシュの前(すなわち、上流)に配置される金属グリッドである、関連付けられたディフューザと、
小さな粒子状物質をフィルタリングするように適合された電気集塵装置222と、
を備えることができる。
【0120】
好ましくは、粒子状物質を除去するためのデバイスは、活性炭フィルタの上流に配置される。この上流位置は、粒子状物質が活性炭フィルタを汚染しないことを保証する。
【0121】
電気集塵装置は、物理的に、活性炭フィルタの下に配置され、電気集塵装置のスイッチがオフにされたときに活性炭フィルタ上に電気集塵装置から粒子が落ちることを回避する。
【0122】
煙フィルタリングサブユニット22は、収集デバイスの入口211から、汚染された煙が処理される煙フィルタリングサブユニット22を通して煙フィルタリングサブユニット22の出口25へと汚染された煙を吸引するための煙ドライバ23、一般的にはファン、を備え、出口25で周囲雰囲気に安全に送出される。
【0123】
煙フィルタリングサブユニット22は、それぞれ活性炭フィルタのすぐ上流及びすぐ下流に配置され、煙の温度を測定するように構成された2つの温度センサ24及び26を備える。特に、センサ26は、ガスの圧力、温度及びVOCの組成を測定することができる多成分ガスセンサである。それは通常、特にガスが公共の部屋で提供されるときに、煙処理ユニットから提供されるガスの安全性を分析するために使用される。温度センサ24は、通常、活性炭フィルタ221を通過する煙の温度が高すぎないように制御するために使用される。
【0124】
以下に説明するように、これらの2つの既存のセンサを使用して、本発明の方法を適用することができる。
【0125】
焙煎装置及び煙処理ユニットのシステムの制御システム
図1、
図2及び
図3を参照して、制御システム3をここで論じる。制御システム3は、煙フィルタリングユニット2を制御するように動作可能である。
【0126】
焙煎装置1と煙フィルタリングユニット2との統合レベルに応じて、制御システムをこれら2つの装置のプロセシングユニット間で共有することができ、
煙処理ユニット2が焙煎装置1の一部である場合、通常、焙煎装置のプロセシングユニットがマスタであり、フィルタのプロセシングユニットはスレーブであり、
焙煎装置1と煙処理ユニット2が2つの異なる装置を形成し、それらの各々がそれ自体のプロセシングユニットを有する場合、これらのプロセシングユニットは、方法を実行するために通信するように構成され得る。
【0127】
図3は、
図1の煙フィルタリングユニット2の制御システムを示す。
【0128】
制御システム3は、典型的には、煙フィルタリングユニット2の第2のレベルにおいて、プロセシングユニット30、電源33、メモリユニット31、及び任意選択的に遠隔接続用の通信インタフェース32を備える。
【0129】
プロセシングユニット30は、焙煎装置のユーザインタフェース13にフィードバックを出力するように、特に、活性炭フィルタ内部に活性炭フィルタホルダがないことの検出に関連するアラームを表示するように構成される。代替的な構成では、いくつかの処理ユニット2は、この情報を表示するそれ自体のユーザインタフェース、例えば、ホルダの有無に応じて点灯することができる点灯ボタンを備えることができる。
【0130】
プロセシングユニット30はまた、
洗浄命令、
アラーム状態のリセット、
警告、
エラーアラーム、
についての情報をユーザインタフェース13に表示してもよい。
【0131】
ユーザインタフェースのハードウェアは、任意の好適なデバイス(単数又は複数)を含んでもよく、例えば、ハードウェアは、ジョイスティックボタン、ノブ又は押しボタンなどのボタン、ジョイスティック、LED、グラフィックLDC又は文字LDC、タッチ感知ボタン及び/又はスクリーンエッジボタンを有するグラフィックスクリーン、のうちの1つ以上を含む。ユーザインタフェース20は、1つのユニット又は複数の別個のユニットとして形成することができる。
【0132】
ユーザインタフェースの一部はまた、以下に記載するように、装置に通信インタフェース32が設けられている場合、モバイルアプリ上にあってもよい。その場合、入力及び出力の少なくとも一部を、通信インタフェース32を通じてモバイルデバイスに送信することができる。
【0133】
プロセシングユニット30は、メモリと、典型的にはマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラなどの集積回路として構成された入出力システム構成要素とを一般的に備える。プロセシングユニット30は、例えば、ASICや、PAL、CPLD、FPGA、PSoCなどのプログラマブルロジックデバイス、システムオンチップ(SoC)、コントローラなどのアナログ集積回路などの、他の好適な集積回路を含むことができる。そのようなデバイスに関しては、適切な場合には、前述のプログラムコードを、プログラムされた論理とみなすことができ、又はプログラムされた論理を追加的に含むとみなすことができる。プロセシングユニット30はまた、前述の集積回路のうち1つ以上を備えてもよい。後者の例は、モジュール方式で互いに通信するように配置されたいくつかの集積回路であり、例えば、焙煎装置10を制御するためのマスタ集積回路と通信して煙処理ユニット2を制御するスレーブ集積回路、焙煎装置10を制御するためのマスタ集積回路と通信してユーザインタフェース13を制御するスレーブ集積回路である
制御システム30は、システム10が、サーバシステム、モバイルデバイスなどの別のデバイス及び/又はシステムとデータ通信を行うための通信インタフェース32を備えることができる。通信インタフェース32は、焙煎プロセス情報、豆の種類などの、コーヒー豆焙煎プロセスに関する情報を提供かつ/又は受信するために使用することができる。システムはまた、煙処理ユニットの取り外し可能なフィルタリングデバイス221部分の特性、特に、これらのフィルタリングデバイスの再充填可能部分、例えば活性炭バッグ2211の特性に関する情報を受信することができる。本発明の実施形態に応じて、特定の取り外し可能なフィルタリングデバイス221の使用に関連する予め定められた挙動の差又は予め定められた閾値を遠隔でダウンロードすることができる。あるいは、そのような情報は、オペレータによりユーザインタフェースを介して手動で入力され得る。通信インタフェース32は、複数のデバイスとの同時データ通信又は様々な媒体を介する通信のために、第1及び第2の通信インタフェースを備えることができる。
【0134】
通信インタフェース32は、例えば、RS-232、USB、I2C、IEEE802.3で定義されるイーサネット(登録商標)のような有線接続、無線LAN(例えば、IEEE802.11)若しくは近距離通信(NFC)、又はGPRS若しくはGSM(登録商標)などのセルラシステムのような無線接続など、有線メディア若しくは無線メディア又はそれらの組み合わせ用に構成することができる。通信インタフェース32は、通信インタフェース信号によってプロセシングユニット30とインタフェースする。一般的に、通信インタフェースは、通信ハードウェア(例えば、アンテナ)をマスタプロセシングユニット30とインタフェースするように制御するための(上に説明した例の)別個の処理ユニットを備える。ただし、プロセシングユニット30と直接シリアル通信を行うための単純な有線接続などの、あまり複雑でない構成を使用することができる。
【0135】
電源33は、上記制御される構成要素及びプロセシングユニット30に電気エネルギーを供給するように動作可能である。電源33は、バッテリー又は主電源を受電し調節するためのユニットなど、様々な手段を含むことができる。
【0136】
プロセシングユニット30は一般に、プログラムコードとしての命令、及び任意選択的にデータを記憶するためのメモリユニット31を備える。この目的のために、メモリユニットは、通常、例えば、命令としてのプログラムコード及び動作パラメータを記憶するためのEPROM、EEPROM、又はFlashなどの不揮発性メモリと、一時的にデータを記憶するための揮発性メモリ(RAM)とを備える。メモリユニットは、別個の及び/又は(例えば、半導体のダイ上に)集積されたメモリを備えることができる。プログラマブルロジックデバイスについては、命令をプログラムされた論理として記憶することができる。
【0137】
メモリユニット31に記憶された命令は、システムの煙処理ユニット内の活性炭フィルタの存在と、アラームの表示と、を判定するプログラムを含むものとして理念化され得る。
【0138】
プロセシングユニット30は、温度センサ24及び26によって測定された温度T1及びT2の値を出力するように構成される。
【0139】
焙煎動作中、制御システム3は、
少なくとも動作の一定期間中に、第1及び第2の温度センサの対のうちの1つによって測定された第1及び第2の温度を監視し、
監視された温度の挙動の差を経時的に観察し、
上記観察された挙動の差を、2つの温度センサ間の上記フィルタリングデバイスの存在に対応する予め定められた挙動の差と比較し、
挙動の観察された差が予め定められた挙動の差から逸脱する場合、アラームを表示する、
ように動作可能である。
【0140】
図4A及び
図4Bは、活性炭フィルタのメンテナンス動作後に実行された最初のコーヒー豆焙煎動作中の温度T
1及びT
2の挙動を示す。時間0は、焙煎動作の開始を表す。
【0141】
図4Aでは、活性炭ホルダ2211が存在し、焙煎動作の時間に沿って各温度センサで測定された温度T
1及びT
2の挙動における不一致が観察され得る。活性炭フィルタ上流の温度T
1は、フィルタ下流の温度T
2よりもはるかに急速に上昇する。これは、活性炭が熱バッファとして作用し、活性炭を加熱するために煙の熱エネルギーが失われるという事実によって説明することができる。
【0142】
対照的に、
図4Bでは、活性炭ホルダ2211が存在しないとき、焙煎動作の経時的に温度T
1及びT
2の挙動は互いに非常に類似し近接していることが観察され得る。この
図4Bにおける2つの温度の観察された挙動の差は、
図4Aにおけるフィルタが所定の位置にあるときの2つの温度の通常の挙動の差から逸脱するものであり、活性炭ホルダがフィルタ内部に配置されていないという事実を検出し、対応するアラームを表示するために用いることができる。
【0143】
図4Aに示すT
1とT
2の間の挙動の差は、通常の、好ましくは焙煎装置と冷たい煙処理ユニットのシステムから開始する、コーヒー豆焙煎動作中の実験により予め定められる挙動の差に対応する。
【0144】
1つの実用的かつ最も単純なモードにおいて、制御システム3は、
動作の開始後、温度(T1、T2)の間の差ΔTを少なくとも1つのt0において計算し、
上記の差ΔTが、その時間t0に関連付けられている予め定められた温度閾値ΔT0を下回る場合にアラームを表示する、
ように動作可能である。
【0145】
図4Aに示す予め定められた状況に基づくと、活性炭フィルタホルダ2211の交換などの最近のメンテナンス動作の直後に開始された焙煎動作中に、監視された温度が測定される。上記の温度T
1及びT
2の差ΔTを特定の予め定められた時間t
0に計算することができ、上記の差が対応する予め定められた温度閾値ΔT
0を下回る場合、アラームが表示され、オペレータに煙処理ユニット内のフィルタの存在を確認するように促す。
【0146】
図示された
図4A及び
図4Bに基づくと、時間t’及びt’’において、
図4Bにおける監視された温度T
1とT
2の間の対応する差ΔT’及びΔT”の各々は、
図4Aにおける監視された温度T
1とT
2の間の対応する差ΔT’及びΔT”を下回るように見える。予め定められた温度差閾値ΔT
0を対応する時刻t
0に設定することによって、その時間t
0における温度T1とT2との間の差ΔT(t
0)をその閾値ΔT
0と比較することができる。
【0147】
好ましくは、時間t0は温度差の観察を可能にしながら、可能な限り低く設定される。例えば、図示された実施形態では、時間t0を300秒に設定可能である。
【0148】
温度差と閾値ΔT0との比較は、測定誤差(センサの位置、センサの感度)による誤差の特定のマージンを考慮することができる。
【0149】
時間の予め定められたパラメータ及び関連付けられた温度差(t0;ΔT0)は、焙煎システムの設定において調整可能にすることができる。調整は、(例えば、吸着材料の調達の変更による)炭素フィルタの性質の変化、アラームの表示における高すぎる又は低すぎる感度、多数の、特に機械学習による、実験に加えての予め定められるパラメータの改善によるものであり得る。
【0150】
1つの好ましい態様では、制御システム3は、
第1の測定温度の上昇率R1=dT1/dtと、同じ予め定められた時間t0における第2の測定温度の上昇率R2=dT2/dtとの比率R2/R1を計算し、
上記比率R2/R1が予め定められた閾値R2/1を下回る場合にアラームが表示される、
ように動作可能である。
【0151】
例えば、
図1に示されるような煙フィルタリングユニットでは、300秒の時間に対して予め定められた閾値R
2/1が0.7に設定された。そのときの閾値は、活性炭バッグがないことの正確な判定を提供し、オペレータに対する誤った警告を回避するように選択された。
【0152】
したがって、閾値が0.7に設定された状態で、比率R2/R1が300秒において0.7を上回る場合、アラームが表示される。
【0153】
上述したのと同様に、時間及び比率の予め定められたパラメータ(t0;R2/R1)は、焙煎システムの設定において調整可能にすることができる。
【0154】
しばしばRoRとして識別される上昇率は、焙煎装置において監視される温度から推定される共通のパラメータである。本方法では、上昇率R1、R2は、温度センサ24、26で監視される温度T1、T2の各々から計算される。
【0155】
いずれのモードであっても、一般に、アラームは、新しい焙煎動作が実行される前に活性炭フィルタの存在を検査するようにオペレータに促す。
【0156】
活性炭フィルタを用いて図示されているが、この方法は、他のフィルタリングデバイスを用いて同様に実行することができる。
【0157】
図5は、第1の温度センサ24がPMフィルタ223の上流に配置されることを除いて、
図1に示されたシステムと同様のシステムを示す。したがって、温度センサの対が3つのフィルタリングデバイスを囲む。フィルタリングデバイス221、222、223のメンテナンス及び取り外しに引き続き、それらのうちの1つが煙処理ユニット内に再取り付けされずに焙煎動作が開始された場合、センサ24及び26における第1の測定温度と第2の測定温度の挙動は、欠如しているフィルタリングデバイスが再取り付けされた場合よりも類似性が高い。しかし、この特定の実施形態のその状況では、3つのフィルタリングデバイスのうちの少なくとも2つが存在するという事実のために、これらの温度の挙動の類似性は、
図1の実施形態の場合ほど単純ではない。
【0158】
図5の実施形態では、監視された温度T
1及びT
2の間の観察された挙動の差は、2つの温度センサの間に配置された3つの取り外し可能なフィルタリングデバイス221、222、及び223の存在に対応する予め定められた挙動の差と比較される。
【0159】
これらの予め定められた挙動の差は、好ましくは低温システムから開始する、焙煎動作中のシステム上での実験によって予め確立される。
【0160】
観察された挙動の差が予め定められた挙動の差から逸脱する場合、アラームが表示され、アラームは、3つのフィルタリングデバイス221、222、223のうちの1つが欠如している可能性につきオペレータの注意を喚起するように表示され得る。煙処理ユニットを開くことによって、オペレータはそのリスクを迅速に検査することができる。
【0161】
特定のモードでは、比率R2/R1を、取り外し可能なフィルタリングデバイスのうちの少なくとも1つの欠落に対応する予め定められた閾値と比較することによって逸脱を推定することができる。
【0162】
上述したように、この予め定められた閾値は、制御システムのメモリ31に記憶することができる。これは、フィルタリングデバイスのいくつかが元の設定と異なる場合(例えば、取り外し可能なフィルタリングデバイスの供給における吸着剤の性質又は量の変更)、ユーザインタフェース(システム又はモバイルデバイスのいずれか)を介した手動入力で、又はリモートサーバ及び通信インタフェース32を介して更新することができる。
【0163】
図6は、第3の温度センサ27がPMフィルタ223の上流に配置されることを除いて、
図1に示されるシステムと同様のシステムを示す。
【0164】
したがって、煙処理ユニット3は、少なくとも温度センサの2つの対を備えると考えることができる。
【0165】
1つはセンサ24及び26を含み、
図1に関連して上述したように、活性炭バッグの欠如の検出を可能とする。
【0166】
1つはセンサ24及び27を含み、これらのセンサの間に配置された静電フィルタ222及び/又はPMフィルタ223のうちの一方の検出を可能とする。これらのフィルタリングデバイス222、223のメンテナンス及び取り外しに引き続き、それらのうちの1つが煙処理ユニット内に再取り付けされずに焙煎動作が開始された場合、センサ24及び27における第1及び第2の測定温度の挙動は、欠如しているフィルタリングデバイスが再取り付けされた場合よりも類似性が高い。
【0167】
【0168】
図7は、いくつかの煙処理ユニット3を備えるシステムを示す。このような構成は、例えば2つの焙煎装置1における焙煎による大体積の煙の処理に適合させることができる。焙煎装置の煙出口は、煙処理ユニット3の少なくとも1つに煙を案内するように構成された入口ダクトデバイス34に接続されている。出口ダクトデバイス35は、煙処理ユニット3によって処理された煙をシステムの出口に案内するように構成される。放出された煙の体積に応じて、煙は、1つ、2つ、又は3つの煙処理ユニットに送られ得る。温度センサ24、26は、入口ダクトデバイス及び出口ダクトデバイスに配置され、
図5と同様の方法で、煙処理ユニット3のうちの少なくとも1つにおいてフィルタリングデバイスの欠如の検出を可能にする。
【0169】
本方法の1つの利点は、本方法の実行に特に専用ではない温度センサを用いて本方法を実行できることである。他のプロセス制御のために煙処理ユニット内部に配置された温度センサを、メンテナンス動作後の煙処理ユニットの必須部分の存在に関する情報を提供するために付加的に使用することができる。フィルタリングデバイスの存在の検出専用のセンサを追加するのではなく、既存の温度センサ、例えば、フィルタとの接触を確立するセンサ(スイッチ接点など)、光センサ、フィルタの磁気素子の磁界を読み取ることができるセンサ、フィルタのRFIDタグを読み取ることができるRFID装置などを用いて再取り付けの誤りを検出することができる。
【0170】
本発明は、上記で例示された実施形態を参照して説明されているが、特許請求される本発明は、決してこれらの例示された実施形態によって限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0171】
「特許請求の範囲」で定義されるような本発明の範囲を逸脱することなく、変形及び修正が実施可能である。更に、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、本明細書で具体的に言及されているかのように組み込まれる。
【0172】
本明細書で使用するとき、用語「備える」、「備えている」、及び同様の語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。換言すれば、これらは、「~を含むが、それらに限定されない」ことを意味するものとする。
【符号の説明】
【0173】
1 焙煎装置
11 煙出口
12 焙煎チャンバ
121 上部出口
13 ユーザインタフェース
2 煙処理ユニット
21 煙収集デバイス
22 煙フィルタリングサブユニット
221 活性炭フィルタ
2211 活性炭ホルダ
2212 ボックス
2213 カバー
222 電気集塵装置
223 PMフィルタ
23 煙ドライバ
25 出口
24、26、27 温度センサ
3 制御システム
30 プロセシングユニット
31 メモリユニット
32 通信インタフェース
33 電源
34 入口ダクトデバイス
35 出口ダクトデバイス
10 システム
【国際調査報告】