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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】自動車用超音波センサ及び自動車
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/521 20060101AFI20231220BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20231220BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G01S7/521 A
G01S15/931
H04R1/02 330
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534702
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2021083285
(87)【国際公開番号】W WO2022122435
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020132631.9
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ハーク
(72)【発明者】
【氏名】ハンス、ビルヘルム、ベーリング
【テーマコード(参考)】
5D019
5J083
【Fターム(参考)】
5D019AA11
5D019FF01
5D019GG05
5J083AB12
5J083AB13
5J083AC16
5J083AD04
5J083AF05
5J083CA01
5J083CB01
(57)【要約】
本発明は、自動車(20)のための改善された構造ダイナミクスを有する超音波センサ(1)に関する。超音波センサ(1)は、プラスチックハウジング(2)と、プラスチックハウジング(2)のハウジング開口部(4)内に配置された膜アセンブリ(3)であって、膜アセンブリが、超音波膜(8)を有する、膜アセンブリ(3)と、プラスチックハウジング(2)の内面(5)と膜アセンブリ(3)との間に配置された減結合要素(6)と、を備える。複数のリブ(7、71、72)が、プラスチックハウジング(2)の内面(5)に形成されており、減結合要素(6)は、プラスチックハウジング(2)の内面(5)上に当接し、リブ(7、71、72)は、減結合要素(6)がプラスチックハウジング(2)の内面(5)全体に当接しないように設計されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(20)用の超音波センサ(1)であって、前記超音波センサ(1)が、プラスチック製ハウジング(2)と、前記プラスチック製ハウジング(4)のハウジング開口部(4)内に配置されており、超音波膜(8)を備える膜アセンブリ(3)と、前記プラスチック製ハウジング(2)の内面(5)と前記膜アセンブリ(3)との間に配置された減結合要素(6)と、を有し、
前記減結合要素(6)が当接する複数のリブ(7、71、72)が、前記プラスチック製ハウジング(2)の前記内面(5)上に形成されており、前記リブ(7、71、72)が、前記減結合要素(6)が前記プラスチック製ハウジング(2)の前記内面(5)に完全には当接しないように形成されている、
超音波センサ(1)。
【請求項2】
前記減結合要素(6)が、前記膜アセンブリ(3)に完全に当接する、
請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記膜アセンブリ(3)が、前記ハウジング開口部(4)内に予荷重下で装着されている、
請求項1又は2に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記膜アセンブリが、前記超音波膜(8)を形成するベース(8)を有する膜ポット(3)と、前記ベース(8)と一体に形成されたジャケット(9)と、を備え、前記膜ポット(3)が、前記ハウジング開口部(4)に、前記ハウジング開口部の軸方向に沿って挿入されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記プラスチック製ハウジング(2)の前記内面(5)のジャケットセクション上の前記リブ(72)のうちの少なくともいくつかが、半径方向内向きに突出し、前記ハウジング開口部(4)の前記軸方向に延在する、
請求項4に記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記減結合要素(6)の少なくとも1つのセクションが、前記膜ポット(3)の前記ジャケット(9)の外面(17)と前記プラスチック製ハウジング(2)の前記内面(5)の前記ジャケットセクションとが重なる第1の重なり領域内全体に配置されており、前記膜ポット(3)の前記ジャケット(9)に対して平坦に横たわり、かつ前記膜ポット(3)の前記ジャケット(9)を環状に包囲し、
前記軸方向に延在する前記リブ(72)が、前記第1の重なり領域において前記プラスチック製ハウジング(2)の前記内面(5)の前記ジャケットセクション内に形成されている、
請求項4又は5に記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記軸方向に延在する前記リブ(72)が、前記膜ポット(3)及び前記減結合要素(6)を挿入するための挿入斜面を形成する、
請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項8】
前記ハウジング開口部(4)のベース部(12)上の前記リブ(71)のうちの少なくともいくつかが、前記ハウジング開口部(4)の前記軸方向に突出し、前記ハウジング開口部(4)の円周方向に環状に延在する、
請求項4~7のいずれか一項に記載の超音波センサ。
【請求項9】
前記ハウジング開口部(4)の前記ベース部が、前記プラスチック製ハウジング(2)と一体に形成されたリング状ブラケット(12)によって形成されており、前記軸方向に内側に横たわり、かつ半径方向内向きに突出する、
請求項8に記載の超音波センサ。
【請求項10】
前記減結合要素(6)の少なくとも1つのセクションが、前記膜ポット(3)の前記ジャケット(9)の端面(15)と前記ハウジング開口部(4)の前記ベースセクション(12)とが重なる第2の重なり領域内全体に配置されており、かつ前記膜ポット(3)の前記ジャケット(9)の前記端面(11)に対して平坦に横たわり、
半径方向に環状に延在する前記リブ(71)が、前記第2の重なり領域において前記ハウジング開口部(4)の前記ベースセクション(12)上に形成されている、
請求項8又は9に記載の超音波センサ。
【請求項11】
リング状の蓋(10)が、外側から前記膜ポット(3)及び前記プラスチック製ハウジング(2)上に載置されており、前記減結合要素(6)の露出セクションを覆い、かつ外側から前記プラスチック製ハウジング(2)に連結されており、
前記リング状の蓋(10)が、硬質材料成分(18)及び軟質材料成分(19)を有する二成分材料であり、前記軟質材料成分(19)が、前記膜ポット(3)の前記ジャケット(9)の前記外面(17)、前記減結合要素(6)の前記露出セクション、及び前記プラスチック製ハウジング(2)の端面縁部(11)に当接する、
請求項4から10のいずれか一項に記載の超音波センサ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの超音波センサ(1)を有する、自動車(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用超音波センサの分野に関し、より具体的には、自動車用超音波センサ及び自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジングと、プラスチック製ハウジングのハウジング開口部内に配置された超音波膜と、を有する超音波センサは、例えば、独国特許出願公開第10202200639号明細書から知られている。そのタイプの超音波センサを使用して、パルスエコー法を用いて自動車の近傍のオブジェクト又は車両の内部のオブジェクトからの距離を測定することができる。超音波膜は、それに取り付けられた音響変換器素子によって励起されて、超音波信号の形態のエネルギーを放出する。次いで、音響変換器素子は、自動車の近傍又は内部から戻るエコー信号から生じる超音波膜の振動を検出する。オブジェクトからの距離は、信号飛行時間に基づいて判定される。そのような測定値は、例えば、自動車の駐車支援システムによって使用される。
【0003】
超音波信号が放出された後、超音波信号が放出されたときに励起される超音波センサの構造振動は、最初に減衰しなければならない。減衰時間中、超音波センサはブラインドであり、エコー信号を検出することができない。
【0004】
したがって、超音波センサの構造ダイナミクスを改善することが望ましい。特に、プラスチック製ハウジング、特に、その中に配置された金属接触要素などのエネルギーを効率的に貯蔵することができる構造要素への伝達経路は、可能な限り排除されるべきである。これは、従来、例えば、超音波膜とプラスチック製ハウジングとの間にシリコーンリングなどの減結合要素を配置することによって達成される。
【0005】
独国特許出願公開第19212299639号明細書では、減結合リングの硬直性を低減するために、減結合リングと超音波膜ポット又はプラスチック製ハウジングとの間の接触領域において減結合リング上にリブが配置されている。
【0006】
独国特許出願公開第102013022048号明細書はまた、リブによって構造化された減結合リングを有するそのような超音波センサを教示している。
【0007】
独国特許出願公開第1021062321535号明細書は、ハウジング及び膜ポットを有する超音波変換器を教示している。膜ポットは、ハウジングの受容領域内に収容されている。長手方向軸に対して垂直に配置された半径方向円周方向の軸方向停止面上に、受容領域は複数の隆起部を有し、これらは同様に半径方向円周方向に配置されており、その機能は開示されていない。受容領域は、弾性減結合リングの面一の介在を伴い膜ポットを包含する。
【0008】
米国特許出願公開第2016/0008796号明細書は、超音波変換器の場合、好ましくは弾性固定要素が「ケース」と呼ばれる膜ポットをハウジングに結合することを教示している。弾性固定要素は、外周に円周方向リブを有し、円周方向リブは、リブに対応するように設計されたプラスチック製要素内の窪み内に係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第10202200639号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19212299639号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102013022048号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第1021062321535号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2016/0008796号明細書
【発明の概要】
【0010】
このような背景から、本発明の目的は、改善された構造ダイナミクスを有する超音波センサを提供することである。
【0011】
第1の態様によれば、自動車用の超音波センサが提案され、超音波センサは、プラスチック製ハウジングと、プラスチック製ハウジングのハウジング開口部内に配置されており、超音波膜を備える膜アセンブリと、プラスチック製ハウジングの内面と膜アセンブリとの間に配置された減結合要素と、を有し、減結合要素が当接する複数のリブが、プラスチック製ハウジングの内面上に形成されており、リブは、減結合要素がプラスチック製ハウジングの内面に完全には当接しないように形成されている。
【0012】
特に、減結合要素は、リブが形成された領域において、プラスチック製ハウジングの内面に完全には当接しない。
【0013】
特に、減結合領域は、いずれの場合も2つの隣接するリブ間のプラスチック製ハウジングの内面に当接しないか、又は完全には当接しない。
【0014】
特に好ましくは、減結合要素は、リブが形成された領域において、リブの先端のみに当接する。
【0015】
したがって、減結合要素と接触しているプラスチック製ハウジングの内面の割合(以下、内面の「支持割合」とも呼ばれる)は、有利には、プラスチック製ハウジングの内面上にリブが設けられていない、かつ/又は、プラスチック製ハウジングの内面上にリブが設けられているにもかかわらず、例えば減結合要素がリブ間の空間内に押し込まれ、かつ/若しくはリブと相補的な形状を有するために、減結合要素もまたリブ間のプラスチック製ハウジングの内面に当接する比較例よりも低い。
【0016】
減結合要素は、特に、少なくともプラスチック製ハウジングよりも軟質であり、かつ膜アセンブリの材料より軟質である軟質材料で作製されている。膜アセンブリは、例えば、アルミニウムで作製されている。減結合要素は、例えば、シリコーンで作製され得る。したがって、プラスチック及びアルミニウムは、「硬質」材料と呼ばれ得る。
【0017】
膜アセンブリの構造振動に起因して、提案された支持割合の減少は、軟質減結合要素の圧縮の増加、及び軟質減結合要素と硬質プラスチック製ハウジングとの間の好ましくは予荷重にある連結の緩和の増加を交互に引き起こし得る。これにより、超音波膜から減結合要素を介したプラスチック製ハウジングへのエネルギー伝達が低減される。したがって、音響減結合は、有利には、減結合要素とプラスチック製ハウジングとの間の境界面に提供され得る。
【0018】
リブは、硬質プラスチック製ハウジングの内面上に形成されており、軟質減結合要素上には形成されていない。したがって、リブは、より硬質な又はより頑丈な構成要素上に形成されている。したがって、予荷重下で装着が行われても減結合要素はほとんど変形せず、装着後も支持割合の減少は存続する。
【0019】
特に、プラスチック製ハウジングの内面は、ハウジング開口部の縁面を画定する表面である。
【0020】
減結合要素は、特に、膜アセンブリとプラスチック製ハウジングとが互いにどこも直接接触しないように、プラスチック製ハウジングの内面と膜アセンブリとの間に配置されている。換言すれば、減結合要素は、特に、膜アセンブリとプラスチック製ハウジングの内面とが重なる領域内全体に配置されている。
【0021】
減結合要素の材料としてのシリコーンはまた、自動車セクタに対する典型的な動作温度の範囲にわたってその挙動がほとんど変化しないという点で有利である。
【0022】
超音波膜に加えて、膜アセンブリは、膜と一緒に振動することができる超音波センサのさらなる構成要素を検出することができるが、理由としては、これが技術的に必要であるか、又はこれらの構成要素が低いか若しくは無視できる固有重量を有するためである。これに対して、超音波センサの全ての他の構成要素は、特に、プラスチック製ハウジング内に配置されており、したがって、膜アセンブリから音響的に減結合される。
【0023】
特に、膜アセンブリは、振動を励起し、かつ超音波膜の振動を検出するための、圧電素子などの音響変換器素子を備え得る。音響変換器素子は、超音波膜の内側に接着されるか、又は何らかの他の方法で超音波膜に固定され得る。膜アセンブリは、減結合要素が当接し得るジャケット型側壁をさらに備え得る。この場合、ジャケット壁の少なくとも1つのセクションは、プラスチック製ハウジングのハウジング開口部内に配置され得、減結合要素は、ハウジング開口部とジャケット壁のそのセクションとの間に配置されており、ジャケット壁の別のセクション及び超音波膜は、プラスチック製ハウジングから突き出得る。
【0024】
したがって、「プラスチック製ハウジングのハウジング開口部内に配置されている」とは、膜アセンブリの少なくとも1つのセクションがプラスチック製ハウジングのハウジング開口部内に配置されていることを意味すると理解することができる。
【0025】
一実施形態によれば、減結合要素が、膜アセンブリに対して平坦に横たわる。
【0026】
特に、減結合要素は、膜アセンブリに完全に当接し、かつ/又は膜アセンブリと面一である。換言すれば、膜アセンブリ上にリブは形成されず、膜アセンブリの減結合要素と接触する膜アセンブリの外面の割合は減少しない。
【0027】
したがって、減結合要素と膜アセンブリとの間の境界面がリブなしで面一又は全面接触になるように設計されている場合、膜アセンブリの振動エネルギーが内部摩擦によって減結合要素内で散逸され得るため、音響減結合に加えて減衰効果がある。さらに、プラスチック製ハウジング内の取り付けられた減結合要素内に膜アセンブリを固定することがより容易になる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、膜アセンブリが、ハウジング開口部内に予荷重下で装着されている。
【0029】
特に、膜アセンブリ及び減結合要素は、予荷重下でハウジング開口部内に一緒に装着され得る。
【0030】
したがって、有利には、振動エネルギーの「漏れ」を表し得る、膜アセンブリをプラスチック製ハウジングに固定するための固定手段は必要とされない。
【0031】
さらなる実施形態によれば、膜アセンブリが、超音波膜を形成するベースを有する膜ポットと、ベースと一体に形成されたジャケットと、を備え、膜ポットが、ハウジング開口部に、ハウジング開口部の軸方向に沿って挿入されている。
【0032】
膜ポットは、特に、アルミニウムの一片で作製された深絞り部品とすることができる。「一片」形成は、特に、単一の動作における一次成形を意味すると理解されるべきである。
【0033】
「ハウジング開口部内に挿入されている」とは、特に、膜ポットの少なくとも1つのセクション(具体的にはジャケットのセクション)がハウジング開口部内に挿入されていることを意味すると理解されるべきである。特に、膜ポットは、ハウジング開口部内に部分的に挿入されており、ハウジング開口部から部分的に突き出し、膜ポットのベースは、軸方向に外側を指し、ハウジング開口部内に挿入されていない。
【0034】
ここでは、特に、ハウジング開口部の軸方向は、膜ポットの軸方向と一致し得る。さらに、膜ポットのジャケットがハウジング開口部内に挿入されているセクションでは、膜ポットのジャケットの外周は、ハウジング開口部の円周と一致又は隙間が残るように実質的に一致し得、減結合要素は、ジャケットの外周とプラスチック製ハウジングの内面との間のハウジング開口部内に位置する。
【0035】
膜ポットのジャケット、膜ポットが挿入されたハウジング開口部、及びプラスチック製ハウジングの外側に配置された膜ポットのベースは、各々、例えば、実質的に円形、卵形、又は楕円形の断面を有し得る。完全には円形でない断面は、超音波膜の放射パターンの異方性をもたらし得、それは近傍を測定するのに有利である。
【0036】
膜ポットのジャケットは、超音波センサがハウジング開口部内に挿入されていないセクションにおいて、水及び異物の侵入から超音波センサを保護する。ジャケットがハウジング開口部内に挿入されたセクションでは、特に、ジャケットに完全に当接する減結合要素によって、面一で緊密なシールが達成され得る。
【0037】
さらなる実施形態によれば、プラスチック製ハウジングの内面のジャケットセクション上のリブのうちの少なくともいくつかが、半径方向内向きに突出し、ハウジング開口部の軸方向に延在する。
【0038】
したがって、膜ポットの半径方向の構造振動は、有利には、プラスチック製ハウジングから音響的に減結合され得る。内面のジャケットセクション上のリブが半径方向に延在するため、装着時に、プラスチック製ハウジングの内面に沿ってプラスチック製ハウジングのハウジング開口部内に膜ポット及び減結合要素を挿入することがより容易になる。これは、特に、膜ポットが定義された予荷重下でハウジング開口部内に装着される場合に適用される。
【0039】
ハウジング開口部は実質的に円筒形であり得、したがって、プラスチック製ハウジングの内面のジャケットセクションは、ハウジング開口部のジャケット型縁面を画定し得ることに留意されたい。
【0040】
さらなる実施形態によれば、軸方向に延在するリブが、膜ポット及び減結合要素を挿入するための挿入斜面を形成する。
【0041】
すなわち、軸方向に延在するリブがハウジング開口部内に半径方向に突出する量は、それらのリブの軸方向範囲に沿って外側から内側に徐々に増加し得る。換言すれば、リブは、軸方向内側の位置よりも軸方向外側の位置でハウジング開口部のより大きな自由直径を画定し得る。
【0042】
したがって、装着時に、膜ポット及び減結合要素の挿入が簡単になる。特に、装着の予荷重は、膜ポット及び減結合要素がハウジング開口部内に挿入された範囲まで徐々に増加し得る。
【0043】
さらなる実施形態によれば、減結合要素の少なくとも1つのセクションが、膜ポットのジャケットの外面とプラスチック製ハウジングの内面のジャケットセクションとが重なる第1の重なり領域内全体に配置されており、膜ポットのジャケットに対して平坦に横たわり、かつ膜ポットのジャケットを環状に包囲し、軸方向に延在するリブが、第1の重なり領域においてプラスチック製ハウジングの内面のジャケットセクション内に形成されている。
【0044】
したがって、膜ポット(ジャケットの外面)とプラスチック製ハウジングの内面のジャケットセクションとが半径方向に重なる第1の重なり領域全体において、減結合要素が両者間に配置され得る。この場合、軸方向に延在するリブが第1の重なり領域内に設けられており、プラスチック製ハウジングの内面のジャケットセクションの支持割合が低減されるという点で、提案された音響減結合が提供される。さらに、減結合要素は、減結合要素が膜ポットのジャケットに、特に、完全に平坦に当接するという理由から、減衰効果を有し得る。
【0045】
さらなる実施形態によれば、リブのうちの少なくともいくつかが、ハウジング開口部のベースセクションにおいて、ハウジング開口部の軸方向に突き出て、ハウジング開口部の円周方向に環状に延在する。
【0046】
したがって、膜ポットの軸方向構造振動は、有利には、プラスチック製ハウジングから音響的に減結合され得る。リブは、ハウジング方向の円周方向に、すなわち、特にハウジング開口部の全周の周りに環状に延在するため、シール効果が達成され得る。
【0047】
プラスチック製ハウジングの内面はまた、ジャケットセクションに加えて、ハウジング開口部のベースセクションにおいて縁面の少なくとも複数のセクションを画定するベースセクションを有し得ることに留意されたい。したがって、軸方向に突き出るリブは、プラスチック製ハウジングの内面上に形成されたリブでもある。
【0048】
さらなる実施形態によれば、ハウジング開口部のベースセクションが、プラスチック製ハウジングと一体に形成されたリング状ブラケットによって形成されており、軸方向に内側に横たわり、かつ半径方向内向きに突出する。
【0049】
ブラケットは、膜ポットのジャケットのためのストッパを形成し得る。したがって、ブラケットの配置位置は、超音波センサが装着されているときに膜ポットをハウジング開口部内にどれだけ挿入することができるかを定義し得る。それにもかかわらず、ブラケットがリング状である、すなわち、特に中央領域が開放しているという事実に起因して、膜ポットの超音波膜をプラスチック製ハウジング内部のブラケットの反対側に配置された電子部品と接触させるために、ブラケットの中央開口部を通る減結合ワイヤなどを使用することが可能である。
【0050】
さらなる実施形態によれば、減結合要素の少なくとも1つのセクションが、膜ポットのジャケットの端面とハウジング開口部のベースセクションとが重なる第2の重なり領域内全体に配置されており、かつ膜ポットのジャケットの端面に対して平坦に横たわり、半径方向に環状に延在するリブが、第2の重なり領域においてハウジング開口部のベースセクション上に形成されている。
【0051】
したがって、膜ポット(ジャケットの端面)とハウジング開口部のベースセクション(リング状ブラケットの表面)とが軸方向に重なる第2の重なり領域全体において、それらの間に減結合要素が配置され得る。この場合、リング状又は円周方向リブが第2の重なり領域に設けられており、ベースセクション(ブラケット表面)の支持割合が低減されるという点で、提案された音響減結合が提供される。さらに、減結合要素は、減結合要素が膜ポットのジャケットの端面に、特に、完全に平坦に当接するため、減衰効果を有し得る。
【0052】
特に、膜ポットのジャケットは、軸方向重なり領域のサイズを大きくし、軸方向振動の減衰をさらに改善するために、ブラケットに面するその端面で広げられ得、例えば、フランジのように外向きに広げられ得る。
【0053】
さらなる実施形態によれば、リング状の蓋が、外側から膜ポット及びプラスチック製ハウジング上に載置されており、減結合要素の露出セクションを覆い、かつ外側からプラスチック製ハウジングに連結されており、リング状の蓋が、硬質及び軟質材料成分を有する二成分材料であり、軟質材料成分が、膜ポットのジャケットの外面に当接し、減結合要素の露出セクション上、及びプラスチック製ハウジングの端面縁部上に載っている。
【0054】
軟質材料成分は、少なくとも硬質材料成分よりも軟質である。軟質材料成分は、特に、減結合要素も形成される材料から、よって、例えばシリコーンから形成され得る。硬質材料成分は、特に、プラスチック製ハウジングが形成される材料から、例えばプラスチックから形成され得る。
【0055】
蓋(特に、蓋の硬質材料成分)は、例えば、レーザ溶接によって外側からプラスチック製ハウジングに連結され得る。
【0056】
蓋は、膜ポットをハウジングに固定するための締結要素として機能し得る。膜ポットは、膜ポットとプラスチック製ハウジングとの間のいかなる点においても直接接触しないように、ハウジングに有利に固定されている。膜ポットと蓋の硬質材料成分との間は、いかなる点においても接触しないこともまた好ましい。蓋は、軟質材料成分のみによって膜ポットに当接し得る。このようにして、膜ポットから蓋を介したプラスチック製ハウジングへのエネルギーの伝達を打ち消すことが可能である。
【0057】
第2の態様によれば、上述の少なくとも1つの超音波センサを有する自動車が提案される。
【0058】
第1の態様の超音波センサについて説明した特徴、利点、及び実施形態は、第2の態様の自動車にも対応して適用される。
【0059】
自動車は、特に、乗用車又はトラックであり得る。自動車は、例えば、運転者支援システム又は駐車支援システムなどの支援システムを有し得、これは、特に車両の半自律的又は完全自律的な運転のために設定され得る。半自動運転は、例えば、支援システムが操舵装置及び/又は自動ギア選択システムを制御することを意味すると理解される。完全自動運転は、例えば、支援システムが駆動デバイス及び制動デバイスもさらに制御することを意味すると理解される。支援システムは、ハードウェアの形態及び/又はソフトウェアの形態で実装され得る。ハードウェアの形態の実装の場合、支援システムは、例えば、コンピュータ又はマイクロプロセッサの形態であり得る。ソフトウェアの形態の実装の場合、支援システムは、コンピュータプログラム製品、機能、ルーチン、プログラムコードの一部、又は実行可能オブジェクトの形態であり得る。特に、支援システムは、車両の上位制御システムの一部、例えばECU(エンジン制御ユニット)の形態であり得る。支援システムは、提案された超音波センサを使用して、パルスエコー法を使用する超音波測定によって自動車の近傍を監視又は測定し得る。
【0060】
本発明のさらなる可能な実装態様はまた、例示的な実施形態に関して上述又は後述する特徴又は実施形態の明示的に言及されていない組合せを含む。当業者はまた、この場合、本発明のそれぞれの基本形態に対する改良又は追加として個々の態様を追加することとなる。
【0061】
本発明のさらなる有利な構成及び態様は、以下に記載される本発明の従属請求項及び例示的な実施形態の主題である。本発明は、添付の図を参照して、好ましい例示的な実施形態に基づいて以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】第1の例示的な実施形態による超音波センサの概略垂直断面図を示す。
図2】第2の例示的な実施形態による超音波センサの簡略図を示す。
図3図2図4図5及び図6の図の水平断面A-Aを示す。
図4図3の図の垂直断面B-Bを示す。
図5図3の図の垂直断面C-Cを示す。
図6図3の図の垂直断面D-Dを示す。
図7】第3の例示的な実施形態による自動車を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
特に明記しない限り、同一又は機能的に同一の要素には、図中で同じ符号が付されている。
【0064】
図1は、第1の例示的な実施形態による超音波センサ1の概略断面図を示す。超音波センサは、プラスチック製ハウジング2及び膜アセンブリ3を有する。膜アセンブリは、プラスチック製ハウジング2のハウジング開口部4内に配置されており、特に、超音波膜(明示せず)を含む。減結合要素6が、ハウジング開口部4の縁部を画定するプラスチック製ハウジング2の内面5と、膜アセンブリ3と、の間に配置されている。
【0065】
減結合要素は、シリコーンなどの軟質材料で作製されている。これに対して、プラスチック製ハウジング2は、硬質材料で作製されている。膜アセンブリ3は、例えば、アルミニウムなどの硬質でもある材料から作製されている。
【0066】
複数のリブ7が、プラスチック製ハウジング2の内面5上に形成されている。減結合要素6は、リブ7に当接する。したがって、プラスチック製ハウジングの内面5の支持割合(減結合要素6と接触している内面5の割合)は、リブ7が設けられていなかった場合と比較して、100%よりも大幅に低く、特に減少している。すなわち、減結合要素6とプラスチック製ハウジング2の内面5との間に全エリア接触は存在しない。
【0067】
図1は、超音波センサ1の提案された態様のみを示す。当然、超音波センサ1は、図示されていないさらなる要素を有し得る。例えば、膜群3は、膜アセンブリ3の超音波膜に内側から接着され得、膜アセンブリ3の超音波膜の振動を励起及び検出するために使用される、圧電素子などの音響変換器素子をさらに備え得る。音響変換器素子(図示せず)は、減結合ワイヤ(図示せず)と電気的に接触し得る。音響変換器素子を制御し、超音波センサ1の外部の制御ユニットと通信するための電子部品を有するプリント回路基板が、図1には示されていない領域内のハウジング2内にさらに設けられ得る。
【0068】
図1に示す超音波センサ1では、プラスチック製ハウジング2の内面5の支持割合が減少しており、リブ7が、2つの要素のうちの硬質な方の側(プラスチック製ハウジング2)上に形成されている。したがって、膜アセンブリ3がハウジング開口部4内に予荷重下で装着されていても、有利には減少したままである。したがって、膜アセンブリ3とプラスチック製ハウジング2との間の特に良好な音響減結合を有利に達成することができ、装着をより容易にすることができる。
【0069】
図1に示す第1の例示的な実施形態の好ましい発展によれば、減結合要素6と接触している膜アセンブリの外面の表面積は減少していない。換言すれば、減結合要素6は、膜アセンブリ3に対して面一であるか又は完全に当接する。したがって、膜アセンブリ3の振動エネルギーは、有利には、内部摩擦によって減結合要素6内で散逸され得、減結合要素6も減衰機能を有する。
【0070】
図2は、第2の例示的な実施形態による超音波センサ1の簡略図を示す。以下の文章では、第2の例示的な実施形態と第1の例示的な実施形態との相違点を中心に説明する。
【0071】
超音波センサ1は、第1の例を参照して上述した、図示していない電子部品などが配置されたプラスチック製ハウジング2を有する。超音波センサ1の膜アセンブリは、ベース8及びジャケット9(ジャケット型壁)を有し、かつその内部が中空である(図2では見えない)、膜ポット3の形態で設計されている。ベース8と、ジャケット9と、からなる膜ポット3は、アルミニウムで作製された深絞り部品として一体に形成されている。膜ポット3のベース8は、超音波センサ1の超音波膜を形成し、したがって、超音波膜8とも呼ばれる。
【0072】
図2では、膜ポット3の一部がプラスチック製ハウジング2から突き出ていることが分かる。リング状の蓋10が、外側から膜ポット3及びプラスチック製ハウジング2上に載置されており、外側からプラスチック製ハウジング2に連結されている。図2では見ることができない(ジャケット9の)膜ポット3の部分は、図2では見ることができないプラスチック製ハウジング2のハウジング開口部(図3図4図5の4)内に内側から配置されている。
【0073】
次に、膜ポット3がハウジング開口部(図3図4図5の4)内に挿入された超音波センサ1の領域の内部構造を、図3図6を参照して説明する。図3は、図2の図の水平断面A-Aを示し、図4は、図3の図の垂直断面B-Bを示し、図5は、図3の図の垂直断面C-Cを示し、図6は、図3の図の垂直断面D-Dを示す。図3図5の方向x及びyは、第1の(x)及び第2の(y)半径方向を表す。具体的には、図3では、x及びyとラベル付けされた矢印は、半径方向外向きを指す。図3図5のz方向は、軸方向(膜ポット3のジャケット9の軸方向(図2)及びプラスチック製ハウジング2のハウジング開口部4の軸方向)を示す。具体的には、zとラベル付けされた矢印は、軸方向外向きを指す。外向きの軸方向は「上」方向とも呼ばれ、内向きの軸方向は「下」方向とも呼ばれる。「上部」及び「下部」、「上方」及び「下方」という用語は、図面に言及し、決して超音波センサ1(図2)の実際の空間的配向を限定することを意図しない。
【0074】
図4図6を参照する。プラスチック製ハウジング2は、上部で開口しており、プラスチック製ハウジング2の上面縁部の又は端面縁部11の高さから軸方向内向き又は下向きに延在して、実質的に円筒形の内側ハウジング開口部4を取り囲む。膜ポット3のジャケット9の軸方向内側セクションは、ハウジング開口部4内に配置されている。この場合、シリコーンリング6(減結合要素の例)が、ジャケットセクション9とプラスチック製ハウジング2の内面5との間に配置されている。
【0075】
ハウジング開口部4の軸方向内側に置かれており、プラスチック製ハウジング2の外壁から半径方向向きに突き出るリング状のブラケット12(図4図6)が、ハウジング開口部4のベースセクションを形成する。ハウジング開口部4のさらなるベースセクション14は、リング状のブラケット10によって境界付けられた開放中央領域を通って延在するように突出させられている。ブラケット12は、プラスチック製ハウジング2と一体に形成されている。したがって、プラスチック製ハウジングの内面5は、ブラケット12の表面も含む。超音波センサ12の他の構成要素、例えば、超音波膜8の下方側に取り付けられた圧電素子(図示せず)を駆動するための電子部品(図示せず)などは、ブラケット12の下方のハウジング内部13に配置されている。換言すれば、「ハウジング開口部4」は、膜ポット3の少なくとも1つのセクションを受容するように特に設けられたプラスチック製ハウジング2の開口部又は凹部を指す。しかしながら、ハウジング開口部4は、必ずしも超音波センサ1の全体の内部13を包含するとは限らない。
【0076】
図4図6に示すように、複数の第1のリブ71がブラケット12の上側に、したがって、プラスチック製ハウジング2の内面5上に配置されている。第1のリブ71は、ハウジング開口部4の軸方向に外向き又は上向きに突き出て、ハウジング開口部4の全周の周りに円周方向に環状に延在する。膜ポット3のジャケット9の端面15は、その軸方向内側端部又は下側端部がフランジの形態で広がっている。シリコーンリング6のセクションは、膜ポット3のジャケット9の端面15と、ハウジング開口部4のベースセクションを画定するブラケット12の上側と、が重なる領域において、ジャケットの端面15とブラケット12との間に配置されている。第1のリブ71もまた、ブラケット12の領域においてプラスチック製ハウジング5の内面上の同じ重なり領域内に配置されている。この重なり領域内のシリコーンリング6(シリコーンリング6の水平断面)は、膜ポット3のジャケット9の端面15上に完全に載っている。したがって、膜ポット3の軸方向振動のエネルギーは、シリコーンリング6に伝達され、内部摩擦によってそこで散逸し得る。これに対して、重なり領域においてブラケット12の表面上に配置された第1のリブ71により、シリコーンリング6と接触するプラスチック製ハウジングの内面5の割合は、ブラケット12の領域において、第1のリブ71が設けられていない場合と比較して減少する。したがって、膜ポット3の軸方向構造振動の場合、シリコーンリング6は、ジャケット9の端面15とブラケット12の上側のプラスチック製ハウジング2の内面5との重なり領域において交互に圧縮及び緩和され、音響減結合が提供され得、すなわち、超音波膜3からブラケット12、したがってプラスチック製ハウジング2へのエネルギーの伝達が低減され得る。
【0077】
さらに、シリコーンリング6の垂直断面は、プラスチック製ハウジング2によって形成されたハウジング開口部4のジャケット21の領域において、膜ポット3のジャケット9の外面17とプラスチック製ハウジング2の内面5のジャケットセクションとの間の重なり領域内に配置されている。
【0078】
特に、図3の断面A-Aを参照する。膜ポット3のジャケット9の外面17とプラスチック製ハウジング2の内面5のジャケットセクションとの間の重なり領域において、シリコーンリング6は、膜ポット3のジャケット9の外面17に対して完全に連続的に当接する(図4)。したがって、膜ポット3の半径方向振動のエネルギーは、シリコーンリング6に伝達され、内部摩擦によってそこで散逸し得る。これに対して、複数の第2のリブ72が、プラスチック製ハウジング2の内面5のジャケットセクション上に形成されており、半径方向内向きに突き出ている。したがって、シリコーンリング6とプラスチック製ハウジング2との間の接触は、リブ72の先端まで実質的に低減されており、シリコーンリング6とプラスチック製ハウジング2の内面5との間に接触がない自由空洞16が、リブ72の間に形成されている。したがって、膜ポット3の半径方向構造振動の場合、シリコーンリング6は、ジャケット9の外面17とプラスチック製ハウジング2の内面5のジャケットセクションとの重なり領域において交互に圧縮及び緩和され、音響減結合が提供され得、すなわち、超音波膜3からプラスチック製ハウジング2へのエネルギーの伝達が低減され得る。
【0079】
図5に示す断面C-Cでは、そこに示されている第2のリブ72が、ジャケット21の領域において、膜ポット3のジャケット9の外面(図3の17)の、プラスチック製ハウジング2の内面5のジャケットセクションとの重なり領域全体にわたって、軸方向に延在していることが分かる。図5では、軸方向に延在するリブ72が、挿入斜面を形成していることも分かる。挿入斜面は、シリコーンリング6が取り付けられた膜ポット3のハウジング開口部4内への挿入をより容易にするように機能し得る。特に、膜ポット3が定義された予荷重下で装着されている場合、膜ポット3の所望の位置はまた、挿入斜面によって事前に定義され得る。
【0080】
図6に示す断面D-Dでは、例として、第2のリブ(図3図5の72)のうちの2つの間の空洞16を見ることができる。換言すれば、2つの第2のリブ(図3図5の72)間のセクションでは、ジャケット21の領域において、シリコーンリング6とプラスチック製ハウジング2の内面5のジャケットセクションとの間に接触はない。
【0081】
図4図6をさらに参照すると、リング状の蓋10が、外側から膜ポット3及びプラスチック製ハウジング2上に載置されている。リング状の蓋10は、硬質成分18及び軟質成分19の二成分材料である。蓋10の硬質成分18は、プラスチック製ハウジング2の壁15に外側からレーザ溶接されている。蓋の軟質成分19は、プラスチック製ハウジング2(ジャケット21)の端面縁部11、シリコーンリング6、及び膜アセンブリ3のジャケット9の外面17に当接し、それらを覆う。蓋は、膜ポット3とプラスチック製ハウジング2との間の連結部を固定及びシールするために使用されている。この場合、蓋10の軟質成分19のみが、これらの構成要素、すなわち膜ポット3及びシリコーンリング6に当接し、提案された構造に従って構造振動が許容される。蓋10の軟質成分19も同様にシリコーンとすることができる。したがって、振動エネルギーは、蓋10を介してプラスチック製ハウジング2にほとんど伝達されない。
【0082】
図7は、第3の例示的な実施形態による自動車20の概略上面図を示す。自動車は、第1又は第2の例示的な実施形態による超音波センサであり得る超音波センサ1を有する。超音波センサ1は、自動車20の側方に設置されており、自動車の側方近傍を測定するために駐車支援システムを形成する、自動車20の制御ユニット(図示せず)によって使用される。
【0083】
本発明は例示的な実施形態に基づいて説明されてきたが、本発明は多くの変形がなされ得る。
【0084】
したがって、図3には、第2のリブ72が実質的に第2の半径方向yに延在する領域内にのみ配置されている、異方性構造が示されている。膜ポット3のジャケット9は楕円形であり、したがって、超音波膜8も楕円形である。図3に示す構造は、第2の半径方向yにおける膜ポット3の半径方向振動を減衰させ、音響的に減結合するように実質的に構成されている。図3に示す構造は、特定の超音波膜8の放射パターンに特に適合している。しかしながら、当然のことながら、他の又は任意の半径方向の振動が第1及び/若しくは第2の半径方向に、又はそれらの任意の線形の組合せで減結合される場合、リブ72をプラスチック製ハウジング2の内壁5の他のセクション上に、又はさらには全周に沿って設けることも考えられる。
【0085】
図7に示す自動車20上の超音波センサ1の配置は、純粋に例示的なものである。実際の例示的な実施形態では、自動車20の近傍全体を確実に監視できるようにするために、多数の提案された超音波センサ1が車両20の外皮の周囲に配置され得ることは言うまでもない。
【0086】
例示的な実施形態に基づいて超音波センサ1の構造を説明したが、膜アセンブリ3とプラスチック製ハウジング2との間の特に良好な音響減結合は、減結合要素6の膜アセンブリ3から外方に面する側と接触するプラスチック製ハウジング2の内面5の割合が減少するために提供される。その結果、プラスチック製ハウジング内にリブが形成されていないか、又は減結合要素6上のみにリブが形成されている比較例と比較して、音響減結合はさらに外向きに、すなわち膜ポット3から離れて移動している。膜アセンブリ3はまた、減少した支持割合を維持しながら、予荷重下で装着することができる。一方では、音響減結合の技術的効果が(減結合要素6の外面上)、他方では、音響減衰の技術的効果が(減結合要素6の内側)明確に定義されている。したがって、提案された超音波センサ1は、改善された構造ダイナミクスを示すことができる。
【符号の説明】
【0087】
1 超音波センサ
2 プラスチック製ハウジング
3 膜アセンブリ、膜ポット
4 ハウジング開口部
5 ハウジング開口部の内面
6 減結合要素、シリコーンリング
7 リブ
8 ベース、超音波膜
9 ジャケット
10 リング状の蓋
11 プラスチック製ハウジングの端面縁部
12 ブラケット、ハウジング開口部のベースセクション
13 ハウジング内部
14 ハウジング開口部のさらなるベースセクション
15 膜ポットのジャケットの端面
16 空洞
17 膜ポットのジャケットの外面
18 硬質成分
19 軟質成分
20 自動車
21 ハウジング開口部のジャケット
71 第1のリブ
72 第2のリブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】