(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】屠殺された食鳥屠体のバックハルブを処理するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A22C 21/00 20060101AFI20231220BHJP
A22C 15/00 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
A22C15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535343
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 NL2021050755
(87)【国際公開番号】W WO2022131909
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520386523
【氏名又は名称】マレル・ポウルトリー・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Marel Poultry B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】モーレン,ミケ クリスティアーン マリア
(72)【発明者】
【氏名】フィリッポ,ラウレンス クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】テイセン,マリヌス ペートルス ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】ファン エスブルック,モリース エドゥアルドゥス テオドルス
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA01
4B011FA02
(57)【要約】
背部分と脚とを含み、吊り下げられた状態でコンベアによって搬送される屠殺された食鳥屠体のバックハルブを処理するためのシステムおよび方法が提供される。このシステムは、固定フレームと、固定フレームに可動に連結され、背部分の少なくとも一部を受けるように構成され、背部分を逆さまにするようにバックハルブの継続的な移動中に背部分の少なくとも一部を受入れ要素に受けた状態で搬送方向に移動されるように構成された受入れ要素とを有する背回転装置と、背部分を逆さまにした状態で背部分から脚を分離するための分離装置とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屠殺された食鳥屠体のバックハルブを処理するためのシステムであって、バックハルブは、背部分とそれに連結された脚とを含み、このシステムの使用時に、脚がコンベアから垂下した状態で、バックハルブが吊り下げられた態様でコンベアによって搬送方向に搬送されるシステムであって、
-静止フレームと、静止フレームに移動可能に連結された受入れ要素とを有し、受入れ要素は、背部分の少なくとも一部をその中に受け入れるように構成され、さらに、使用中のバックハルブの搬送方向への継続的な移動中に、背部分の少なくとも一部を受入れ要素内に受け入れた状態で搬送方向に移動し、受入れ要素の移動の結果として背部分を逆さまにするように構成されている背回転装置;および、
-分離装置であって、搬送方向において背回転装置の下流側に設けられ、背部分が逆さまの向きにある状態で、脚を背部分から分離するように構成された分離装置、
を含むシステム。
【請求項2】
受入れ要素は、バックハルブの背部分の少なくとも一部を受入れ空間内に受け入れるために、その間に受入れ空間を規定する少なくとも2つの細長い延長要素を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
受入れ要素は、受入れ要素の搬送方向への移動の間、背部分を持ち上げるように構成されている請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
受入れ要素の搬送方向への移動は、少なくとも回転移動を含み、回転移動の結果、背部分が逆さまになるように構成されている請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
受入れ要素は、搬送方向に対して横方向の回転軸を中心としてフレームに回転可能に連結されており、受入れ要素の搬送方向への移動は、回転軸の垂直面内での回転を含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
背回転装置は、各々が回転軸を中心として回転可能な複数の受入れ要素を有する請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
複数の受入れ要素は、2つ、3つまたは4つ、好ましくは3つの受入れ要素であり、各受入れ要素は、回転軸を規定する中央ベース部分に固定され、そこから半径方向に延びている請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
受入れ要素は、受入れ要素に受入れられた背部分と共に搬送方向に移動するように構成され、背部分の上流端は、脚またはその少なくとも股関節の間およびそれを越えて、搬送方向に移動する請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
背回転装置は、受入れ要素を搬送方向に移動させるために、受入れ要素に動作可能に連結された駆動装置を有する請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
背回転装置による背部分の回転中に、バックハルブの背部分の少なくとも一部を受入れ要素内に保持するための静止ガイドをさらに含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
股関節または少なくともその近傍の接続部を切断するための、背回転装置の上流側の切断装置をさらに含む請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
分離装置は、背回転装置の下流側で、背部分を逆さまの向きで支持する分離コンベアを含み、分離コンベアは、背部分から脚を分離する目的で、コンベアの速度と異なる速度で移動するように構成され、および/またはコンベアから離れるように移動するように構成され、および/または、システムは、分離コンベアに沿って脚切断装置を含む請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
屠殺された食鳥屠体のバックハルブを処理する方法であって、バックハルブは背部分とそれに接続された脚とを含み、この方法は、
-バックハルブを、コンベアによって搬送方向に吊り下げられた状態で搬送し、脚部をコンベアから垂下させる工程;
-背部分の少なくとも一部を、背回転装置の受入れ要素に受入れる工程であって、この受入れ要素は、背回転装置の固定フレームに移動可能に連結される工程;
-バックハルブの搬送方向への継続的な移動中に、受入れ要素を搬送方向に移動させることにより、バックハルブの少なくとも一部が受入れ要素に受け入れられている間に、バックハルブを逆さまに回転させる工程;および、
-背部分が逆さまになった状態で、背部分から脚を分離する工程;
を含む方法。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項にかかるシステムが使用される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
回転させる工程のために、受入れ要素の搬送方向への移動中に、背部分が持ち上げられる請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
受入れ要素の搬送方向への移動は、少なくとも回転移動を含み、回転移動の結果、背部分が逆さになる請求項13、14または15に記載の方法。
【請求項17】
受入れ要素は、搬送方向に対して横方向の回転軸の周囲で、フレームに回転可能に連結されており、背部分を逆さまにする目的で、受入れ要素は、回転軸を中心として垂直面内で回転される請求項16に記載の方法。
【請求項18】
背部分の少なくとも一部が受入れ要素に受け入れられた状態で、受入れ要素が搬送方向に移動する間に、背部分の上流端は、脚または少なくともその股関節の間およびそれを越えて、搬送方向に移動される請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屠殺した食鳥屠体のバックハルブ(backhalve)を処理するシステムおよび方法に関する。バックハルブは、背部分とそれに接続された脚からなる、屠殺された食鳥屠体の一部である。
【背景技術】
【0002】
WO93/05660A1は、食鳥屠体の背中から脚を分離する方法および装置に関する。この装置は、屠体が処理経路に沿って移動する際に、屠体背部分の前縁の前方への移動を係合して阻止するように配置された、直立した曲がった棒を有する。その結果、脚は背中の後縁を引き上げ、停止した前縁を越えて背中を回転させる。その後、背中は脚から分離される。
【0003】
US6,322,438B1は、WO93/05660A1の装置と同様の構造を有し、一対のデフレクタバーを含む装置を開示している。シャックルに吊るされた状態で移動する間、屠体の背中の前方部分がデフレクタバーに係合し、前方方向に回転して尾を背部分の上に持ってくる。その後、脚が背部から切り離される。
【0004】
上述の引用装置の問題点は、特に脚の製品品質が改善され得ることである。上述の装置の問題点は、処理中に脚肉が損傷する可能性があることである。また、脚の歩留まりが改善され得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、バックハルブを処理するための改良されたシステムおよび方法を提供することであり、このシステムおよび方法において、上述の欠点の1つ以上が解決されるか、または少なくとも緩和される。本発明の他の目的は、脚肉への損傷が低減された、バックハルブを処理するためのシステムおよび方法を提供することである。本発明のさらに他の目的は、脚の歩留まりが向上する、バックハルブを処理するためのシステムおよび方法を提供することである。
【0006】
上述の目的の1つ以上は、本発明によるシステムおよび方法によって達成される。本発明の第1の態様では、屠殺された食鳥屠体のバックハルブを処理するためのシステムであって、バックハルブは、背部分とそれに接続された脚とを含み、そのバックハルブは、システムの使用時に、脚がコンベアから垂れ下がった状態で、コンベアによって搬送方向に吊り下げられた態様で搬送される、システムが提供され、このシステムは:
-静止フレームと静止フレームに移動可能に連結された受入れ要素とを有し、受入れ要素は、背部分の少なくとも一部をその中に受け入れるように構成され、さらに、使用中のバックハルブの搬送方向への継続的な移動中に、背部分の少なくとも一部を受入れ要素内に受け入れた状態で搬送方向に移動し、受入れ要素の移動の結果として背部分を逆さまにするように構成された背回転装置;および、
-搬送方向において背回転装置の下流側に設けられ、背部分が逆さまの向きにある状態で脚を背部分から分離するように構成された分離装置と、を含む。
【0007】
背回転装置を設けることの効果は、裏返しがより制御された方法で行われることである。背部分の回転の際に、脚肉にかかる張力、少なくとも脚を引っ張る力が減少するため、脚肉の損傷が減少し、脚肉の品質が向上する。もう一つの効果は、分離後に股部分から脚に到達する肉の量が多くなることである。これにより、脚の歩留まりが向上する。
【0008】
これは、背部分の回転の結果、回転の過程で脚およびその筋肉に大きな引っ張り力がかかり、脚肉に損傷を与えるので望ましくない、上述の先行技術の装置および方法とは対照的である。
【0009】
本発明にかかるシステムおよび方法では、このように、背部分に直接力を加えることによって背部分を逆さまにすることができ、その一方で、脚は、背部分の回転から生じる引張力、すなわち引っ張り力から解放されたまま、または少なくとも実質的に大きな範囲で解放されたままである。
【0010】
一の実施形態では、受入れ要素は、少なくとも背部分の外側(すなわち皮膚)側および背部分の反対側の内側で背部分と係合することによって、背部分をその中に保持するように構成される。
【0011】
一の実施形態では、受入れ要素は、バックハルブの背部分の少なくとも一部を受入れ空間に受け入れるために、その間に受入れ空間を規定する少なくとも2つの細長い延長要素を有する。各細長い延長要素は、実施形態において、好ましくは、受入れ要素がその幅の少なくとも4分の1を有する背部分を受入れ空間内に受け入れることができるように、幅を規定する1つ以上、好ましくは2つの平行なフィンガーを有することができる。あるいは、各細長い延長要素は、幅を規定する単一の部品であってもよい。
【0012】
一の実施形態では、受入れ要素は、その自由端において漏斗状であってもよく、これにより、受入れ空間における背部分の、より容易かつ確実な入口が可能になる。この目的のために、システムは、背回転装置の上流に供給コンベアを備えてもよく、供給コンベアは、コンベアによって背回転装置に向かって搬送される間、その上でバックハルブの背部分を支持する。
【0013】
背部分の回動の間、受入れ要素は、背部分が受入れ要素に入る上流位置、例えば、背部分が供給コンベアによって受入れ要素に案内されるように供給コンベアに接続する位置から、逆さにされた背部分が受入れ要素から出てコンベアによってさらに搬送される下流位置まで、移動するように構成されてもよい。
【0014】
一の実施形態では、受入れ要素は、受入れ要素の搬送方向への移動の間、背部分を持ち上げるように構成されている。移動の間、したがって背部分の逆さまの回転の間、背部分を持ち上げることは、コンベアからの脚の懸架のわずかな緩みをもたらす。この場合、逆さまにすることにより、脚にかかる引っ張り力がさらに減少するか、あるいはなくなる。背部分が持ち上がることにより、股関節も持ち上がり、股関節付近の肉の動きがより自由になる。従って、受入れ要素の移動中の持ち上げは、脚の肉損傷の低減、ひいては脚部高品質化にさらに寄与する。
【0015】
一の実施形態では、受入れ要素の搬送方向への移動は、少なくとも回転移動を含み、回転移動の結果、背部分が逆さまになるようにする。回転運動は、背部分を逆さまにするために非常に便利な運動である。垂直面内の回転運動は、回転運動のために上部円弧部分が使用される場合に、回転運動中に持ち上げを提供するのに非常に適している。
【0016】
一の実施形態において、受入れ要素は、搬送方向に対して横方向に延びる回転軸を中心としてフレームに回転可能に連結される。一の実施形態では、受入れ要素の搬送方向への移動は、回転軸を中心とする垂直面内の回転からなる。逆さまにするために使用される回転角度は、90~180度の範囲内、好ましくは100~150度の範囲内であってよい。一の実施形態では、食鳥屠体は、使用中、背回転装置を通過して回転軸よりも高いレベルで移動するので、受入れ要素の回転の上部円弧部分が、裏部分の回転のために使用される。背回転装置は、使用中に受入れ要素を完全に回転させるように配置されてもよい。すなわち、使用中に受入れ要素が回転軸を中心に全回転してもよく、その場合、全回転の一部が背の回転に使用される。あるいは、背回転装置は、背を回転せる目的で、上流位置と下流位置との間で、受入れ要素を前方および後方に、例えば100~150度の範囲内の角度にわたって回転させるように配置されてもよい。このようなある角度にわたる前方および後方への回転は、前方および後方への旋回運動とも呼ばれる。
【0017】
あるいは、この運動は、例えば、パターノスタのような態様で、回転運動だけでなく並進運動から構成されてもよく、および/または、例えば、搬送方向に延びる回転軸を中心とする回転運動から構成されてもよい。
【0018】
一の実施形態において、背回転装置は、複数の受入れ要素を有する。受入れ要素が、好ましくは搬送方向に横切る回転軸を中心としてフレームに回転可能に連結されている実施形態において、複数の受入れ要素の各々は、回転軸を中心として回転可能であってもよい。
【0019】
一の実施形態では、複数の受入れ要素は、2つ、3つまたは4つ、好ましくは3つの受入れ要素であり、それぞれが、回転軸を規定する中央ベース部分に固定され、そこから半径方向に延びる。複数の受入れ要素は、好ましくは、ベース部分上に規則的に間隔を置いて配置される。すなわち、このような要素が3つの場合、それらはベース部分上で120度間隔をあけて配置される。このような複数の受入れ要素を設けることにより、搬送速度の向上が可能となり、バックターン装置の操作がより容易になる。中央ベース部は、受入れ要素から構成されてもよい。
【0020】
一の実施形態において、受入れ要素は、背部分の上流端部が、脚、または少なくともその股関節の間で、かつその股関節を越えて搬送方向に移動するように、背部分が受入れ要素に受け入れられた状態で搬送方向に移動するように構成されている。
【0021】
一の実施形態では、背回転装置は、受入れ要素を搬送方向に移動させるために、受入れ要素に動作可能に接続された駆動ユニットを備える。駆動ユニットは、回転運動を提供するための回転軸に接続された電気モータであってもよく、あるいは、例えば、カムフォロワまたは空気圧アクチュエータから構成されてもよい。駆動ユニットは、例えば、一定速度で受入れ要素を移動させるように構成されていてもよい。駆動ユニットは、代わりに、電流、力に関連する信号または位置に関連する信号などのフィードバック信号などに基づいて、使用中に受入れ要素の移動速度を適応させるように構成されてもよい。駆動ユニットは、コンベアの搬送方向への移動に依存する移動のタイミングなど、使用中の受入れ要素の移動のタイミングを適合させるように構成されてもよい。駆動ユニットは、単一の受入れ要素を有する背回転装置の実施形態の場合、搬送方向において前方および後方に、言及された回動運動を提供するように構成されてもよい。
【0022】
一の実施形態において、システムは、背回転装置による背部分の旋回中、バックハルブの背部分の少なくとも一部を受入れ要素内に保持するための静止ガイドをさらに備える。これにより、回転操作の信頼性が向上する。
【0023】
一の実施形態では、システムは、腱および/または軟骨を含み得る接続部を、少なくとも股関節の近くで切断するための切断装置を、背回転装置の上流側にさらに備える。これにより、その後、背部分を逆さまにすることが容易になる。
【0024】
一の実施形態では、分離装置は、背回転装置の下流側で背部分を逆さまの向きで支持する分離コンベアを含む。分離コンベアは、脚を背部分から分離するために、背部分が脚から引き離されるように、コンベアの速度とは異なる速度で移動するように構成されてもよく、および/または、背部分が脚から引き離されるように、コンベアから離れるように移動するように構成されてもよい。代替的にまたは追加的に、システムは、脚から背部分を切り離すための、分離コンベアに沿った脚切断装置を含んでもよい。分離コンベアによる搬送中、背部分を逆さまに維持するのを補助するために、分離コンベアに沿って、かつ分離コンベアの上方に、さらなる固定ガイドが延びていてもよい。更なるガイドは、分離コンベアの移動中、その搬送経路の手段である、コンベアから離れる方向に、脚から背部分を引き剥がすのを更に補助してもよい。
【0025】
対応する実施形態は、本発明の第2の態様による以下に説明する方法にも適用可能である。本発明の第1の態様によるシステムは、本発明の第2の態様による方法を実施するために配置することができる。
【0026】
第2の態様において、本発明は、屠殺された食鳥屠体のバックハルブを処理する方法を提供し、バックハルブは、背部分とそれに接続された脚とを含み、この方法は:
-バックハルブをコンベアによって搬送方向に吊り下げられた状態で搬送し、脚をコンベアから垂下させる工程;
-背部分の少なくとも一部を、背回転装置の受入れ要素に受入れる工程であって、この受入れ要素は、背回転装置の固定フレームに移動可能に連結される工程;
-バックハルブの搬送方向への継続的な移動中に、受入れ要素を搬送方向に移動させることにより、バックハルブの少なくとも一部が受入れ要素に受け入れられている間に、バックハルブを逆さまに回転させる工程;および、
-背部分が逆さまの向きにある状態で、脚を背部分から分離する工程、を含む。
【0027】
一の実施形態において、第1の態様によるシステムは、第2の態様による方法において使用される。
【0028】
一の実施形態では、回動する工程のために、背部分は、受入れ要素の搬送方向への移動中に持ち上げられ、従って、背部分の回動中に持ち上げられる。
【0029】
一の実施形態では、受入れ要素の搬送方向への移動は、少なくとも回転移動を含み、回転移動の結果、背部分が逆さまになる。
【0030】
一の実施形態において、受入れ要素は、搬送方向に対して横方向の回転軸を中心としてフレームに回転可能に連結されており、背部分を逆さまにする目的で、受入れ要素は、回転軸を中心として垂直面内で回転する。
【0031】
一の実施形態では、背部分の少なくとも一部が受入れ要素に受け入れられた状態で、受入れ要素が搬送方向に移動する間に、背部分の上流端が、脚、または少なくともその股関節の間で、かつそれを越えて搬送方向に移動される。
【0032】
対応する実施形態は、本発明の第1の態様による上述のシステムにも適用可能である。本発明による方法の効果は、上述した本発明によるシステムの効果に類似している。
【0033】
一般、本発明は、背部分と脚とを含み、コンベアによって吊り下げ式に搬送される屠殺された食鳥屠体の背部分を処理するためのシステムおよび方法に関する。このシステムは、静止フレームと、静止フレームに可動に連結され、背部分の少なくとも一部を受けるように構成され、背部分を逆さまにするようにバックハルブの継続的な移動中に背部分の少なくとも一部を受けた状態で搬送方向に移動するように構成された受入れ要素とを有する背回転装置と、背部分を逆さまにした状態で背部分から脚を分離するための分離装置とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明の実施形態が以下に示され、同様の参照番号が同一または類似の要素を示す、添付の概略図面を参照して本発明を説明する。
【0035】
【
図1】本発明による、屠殺された食鳥屠体のバックハルブを処理するためのシステムの一の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、屠殺された食鳥屠体のバックハルブ2を処理するためのシステム1を示す。バックハルブ2は、背部分3とそれに接続された脚4とからなる。使用中、バックハルブ2は、脚4がコンベア6から吊り下げられた状態で、より具体的には、各々がコンベア6のキャリア10から吊り下げられた状態で、コンベア6によって搬送方向8に連続的に搬送される。
【0037】
システム1は、固定されたフレーム14(
図2に非常に概略的に表示されている)と、フレーム14に移動可能に連結された受入れ要素16とを有する背回転装置12から構成されている。搬送方向8における受入れ要素16の移動は、少なくとも回転移動を含み、回転移動の結果として背部分3を逆さまにする。より具体的には、本実施例では、背回転装置12は、搬送方向8に対して横方向の回転軸18を中心としてフレーム14にそれぞれ回転可能に連結された3つのこのような受入れ要素16を有し、受入れ要素16の搬送方向への移動は、回転軸18を中心とする垂直面内の回転を含む。3つの受入れ要素16はそれぞれ、回転軸18をその中心軸で規定する中央ベース部19に固定され、そこから半径方向に延びている。
図1が示すように、3つの受入れ要素16は、回転軸18に対して120度の間隔をあけて配置されている。使用中、バックハルブ2は、背回転装置12を越えて回転軸18よりも高いレベルで移動する。このことは、受入れ要素の回転の上部円弧部分において、受入れ要素16が背部分3を受入れ、上流位置から下流位置まで搬送方向に移動する可能性があることを意味する。受入れ要素16の回転中、および受入れ要素が円弧部分を移動する影響として、背部分3は受入れ要素によって一時的に持ち上げられる。これにより、コンベア6からの脚の吊り下げがわずかに緩み、脚4に対する引っ張り力がさらに減少するか、あるいはなくなる。図示のように、1つの受入れ要素が上流位置にあるとき、別の受入れ要素は下流位置にある。したがって、1つの背部分が最初に述べた受入れ要素の受入れスペースに入ると、直接下流のバックハルブの逆さまになった背部分が最後に述べた受入れ要素から出ることがある。下方の円弧部分、すなわち軸18の下方は、受入れ要素を搬送方向に対して回転させるために、すなわち下流位置から上流位置に戻るために使用される。
【0038】
受入れ要素16の各々は、バックハルブ2の背部分3の少なくとも一部をその中に受け入れるように構成され、さらに、使用中の搬送方向8におけるバックハルブ2の継続的な移動の間、背部分の少なくとも一部が受入れ要素16に受け入れられた状態で搬送方向8に移動するように構成され、受入れ要素16の移動の結果として背部分3を逆さまにするように構成される。この目的のために、受入れ要素16は、受入れ空間24にバックハルブの背部分3の少なくとも一部を受入れるために、その間に受入れ空間24を規定する2つの細長い延長要素20、22を有する。
図1および
図2の組み合わせが示すように、各延長要素20または22は、互い並んで配置された、すなわち横方向に配置された2本の指を有する。あるいは、他の態様として、2対の細長い延長要素が設けられ、その対の間に受入れ空間を規定することもできる。
図1が示すように、一方の背部分3の大部分は、ちょうど受入れ空間24に受け止められ、それによって、上流位置にあると考えることができる受入れ要素によって受け止められている。これは、受入れ要素16に対する背部分3の向きが、受入れ要素16内に存在する間、少なくとも実質的に固定されていることを意味する。
【0039】
背回転装置12は、受入れ要素16を搬送方向に移動させるため、すなわち受入れ要素16を回転方向13に軸18を中心に回転させるために、受入れ要素16に動作可能に接続された駆動ユニット28を有する。軸18は、駆動ユニット28に連結された駆動シャフトの中心軸である。受入れ要素16の回転の結果、受入れ要素16は、コンベア6によって背回転装置に供給される背部分3を受入れ、方向13への回転の結果、バックハルブ2と共に移動し、それによって背部分3を一時的に持ち上げながら逆さまに回転させ、その後、搬送方向8への継続的な移動の結果、背部分が再び受入れ要素から離れることができる。
図1では、背回転装置12のすぐ左側に1つのバックハルブ2が表示されており、その背部分3は逆さまになっている。受入れ要素16はそれぞれ、背部分3の上流端3aが脚4、または少なくともその股関節26の間を通って搬送方向8に移動するように、背部分3が受入れ要素16に受け入れられた状態で搬送方向8に移動するように構成されている。
【0040】
このシステムは、背回転装置12による背部分3の回転の間、食鳥屠体2の背部分3の少なくとも一部を受入れ要素16内に保持するためのガイド30をさらに含む。つまり、ガイド30により、背部分3が何らかの理由で受入れ要素から早期に離脱することが効果的に防止される。システム1はまた、背回転装置12の上流に設けられた切断装置32(非常に概略的に表示されている)を含み、これは股関節26または少なくともその近傍の腱および/または軟骨を含む可能性のある接続部を切断するためのものである。切断装置32は、供給コンベア38の真上に設けられている。
【0041】
背回転装置12から離れる搬送の間、逆さまの向きにある背部分3は、搬送方向8において背回転装置12の下流に設けられた分離装置40の分離コンベア34によって支持される。
図1が示すように、コンベア34は、コンベア6が水平移動を続ける間に下方に曲がる。さらにコンベア34は、コンベア6の速度よりも低速であっても高速であってもよい。コンベア34の経路はガイド36に沿い、コンベア34とガイドとの間で背部分3を受け止め、これによって背部分3が逆さまの向きで脚4を背部分3から分離する。これは、最も左側のバックハルブ2、または少なくともバックハルブ2の脚4と分離された背部分3について示されている。そこで、脚4を背部分3から分離するための分離コンベア34は、コンベア6から離れるように移動するように構成されている。
【0042】
本発明にかかるシステムの実施形態の上述の説明から既に明らかなように、このようなシステム1を用いて、屠殺された家禽屠体のバックハルブを処理する方法は、
-脚4をコンベア6から吊り下げた状態で、コンベア6によってバックハルブ2を搬送方向8に吊り下げられた状態で搬送する工程;
-背部分3の少なくとも一部を背回転装置12の受入れ要素16に受け入れる工程であって、この受入れ要素16は背回転装置12の固定フレーム14に移動可能に連結される工程;
-背部分3の少なくとも一部が受入れ要素16に受け入れられている間に、搬送方向8における食鳥屠体の継続的な移動の間に、受入れ要素16を搬送方向8に移動させることによって、背部分3を逆さまにする工程であって、この移動は回転運動からなる工程;および、
-背部分3が逆さまの向きにある状態で、背部分3から脚4を分離する工程、を含む。
【0043】
回転させる工程のために、背部分3は、搬送方向8への受入れ要素16の移動中に持ち上げてもよい。
【0044】
開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、効果を奏することができる。前述の説明は、例としてのみ本発明の実施形態を提供するものである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。本発明の1つ以上の目的は、添付の特許請求の範囲によって達成される。
【国際調査報告】