IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノルディック バイオサイエンス エー/エスの特許一覧

特表2023-554313コラーゲンXVIIIバイオマーカーを検出するためのアッセイ
<>
  • 特表-コラーゲンXVIIIバイオマーカーを検出するためのアッセイ 図1
  • 特表-コラーゲンXVIIIバイオマーカーを検出するためのアッセイ 図2
  • 特表-コラーゲンXVIIIバイオマーカーを検出するためのアッセイ 図3
  • 特表-コラーゲンXVIIIバイオマーカーを検出するためのアッセイ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】コラーゲンXVIIIバイオマーカーを検出するためのアッセイ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/577 20060101AFI20231220BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20231220BHJP
   G01N 33/576 20060101ALI20231220BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20231220BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
G01N33/577 B
G01N33/53 D
G01N33/576 Z
C07K16/18 ZNA
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535351
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 EP2021085308
(87)【国際公開番号】W WO2022123058
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】2019578.0
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522403778
【氏名又は名称】ノルディック バイオサイエンス エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレセン,イダ,ファルク
(72)【発明者】
【氏名】レーミング,ダイアナ,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ラングホルム,ラッセ
(72)【発明者】
【氏名】フィスカー,メッテ,ジュール
(72)【発明者】
【氏名】カースダル,モルテン,アーサー
【テーマコード(参考)】
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA13
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、イムノアッセイの方法ならびにタイプXVIIIコラーゲンの長鎖型および/または中間アイソフォームに特異的に結合する抗体を使用するイムノアッセイキットを提供する。本発明はまた、抗線維化薬での処置に患者が応答する可能性を評価し、患者の肝線維症をモニターするための方法を提供する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イムノアッセイの方法であって:
(i)患者の試料を、タイプXVIIIコラーゲンの長鎖型および/または中間アイソフォームに特異的に結合し、タイプXVIIIコラーゲンの短鎖型アイソフォームに特異的に結合しないモノクローナル抗体と接触させるステップ;ならびに
(ii)前記モノクローナル抗体と前記試料中のペプチドとの間の結合量を検出し、決定するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記患者の試料が、肝線維症を有する患者由来であり、前記方法が、抗線維化薬での処置に患者が応答する可能性を評価するためのものであり、さらに:
(iii)ステップ(ii)で決定されたような前記モノクローナル抗体の前記結合量を、処置に対する応答者に関連する値および/または非応答者に関連する値および/または所定のカットオフ値と相関させるステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者の肝線維症をモニターするためのものであり、さらに:
(iii)ステップ(ii)で決定されたような前記モノクローナル抗体の前記結合量を、以前の時点で前記患者から得られた値と相関させるステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の試料が、抗線維化薬での処置を受けている患者由来である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記患者の試料が、慢性肝疾患を有する患者由来である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記患者の試料が、ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、または非アルコール性脂肪性肝疾患を有する患者由来である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
患者の肝線維症を検出するためのものであり、さらに:
(iii)ステップ(ii)で決定されたような前記モノクローナル抗体の前記結合量を、健常人に関連する値および/または既知の疾患重症度と関連する値および/または所定のカットオフ値と関連付けるステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記試料が、生物流体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記生物流体が、血液、血清または血漿である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記イムノアッセイが、競合アッセイまたはサンドイッチアッセイである、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記イムノアッセイが、ラジオイムノアッセイまたは酵素結合免疫吸着測定法である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記モノクローナル抗体が、アミノ酸配列NLLNLN(配列番号1)に特異的に結合する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記モノクローナル抗体が、アミノ酸配列NLLNLNKDKE(配列番号2)を有する合成ペプチドに対して上昇する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
タイプXVIIIコラーゲンの長鎖型および/または中間アイソフォームに特異的に結合し、タイプXVIIIコラーゲンの短鎖型アイソフォームに特異的に結合しない、モノクローナル抗体。
【請求項15】
アミノ酸配列NLLNLN(配列番号1)に特異的に結合する、請求項14に記載のモノクローナル抗体。
【請求項16】
アミノ酸配列NLLNLNKDKE(配列番号2)を有する合成ペプチドに対して上昇する、請求項14または15のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体。
【請求項17】
イムノアッセイキットであって:
(a)タイプXVIIIコラーゲンの長鎖型および/または中間アイソフォームに特異的に結合し、タイプXVIIIコラーゲンの短鎖型アイソフォームに特異的に結合しない、モノクローナル抗体;ならびに(b):
-ストレプトアビジンコートウェルプレート;
-モノクローナル抗体が特異的に結合するビオチン化ペプチド;
-サンドイッチイムノアッセイにおいて使用するための二次抗体;
-モノクローナル抗体が特異的に結合するキャリブレータペプチド;
-抗体ビオチン化キット;
-抗体HRP標識キット;
-抗体放射標識キット;および
-アッセイ可視化キット
の少なくとも1つを含む、イムノアッセイキット。
【請求項18】
前記モノクローナル抗体が、アミノ酸配列NLLNLN(配列番号1)に特異的に結合する、請求項17に記載のイムノアッセイキット。
【請求項19】
前記モノクローナル抗体が、アミノ酸配列NLLNLNKDKE(配列番号2)を有する合成ペプチドに対して上昇する、請求項17または18のいずれか一項に記載のイムノアッセイキット。
【請求項20】
前記キャリブレータタンパク質が、アミノ酸配列NLLNLNKDKE(配列番号2)を含むペプチドである、請求項17から19のいずれか一項に記載のイムノアッセイキット。
【請求項21】
前記ビオチン化ペプチドが、NLLNLNKDKE-L-ビオチン(配列番号13)を含み、ここで、Lが、任意選択のリンカーである、請求項17から20のいずれか一項に記載のイムノアッセイキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイプXVIIIの長鎖型および/もしくは中間アイソフォームを検出するため、ならびに/または患者の試料中の前記アイソフォームの量を定量するためのイムノアッセイに関する。本発明はまた、前記イムノアッセイにおいて使用するための抗体および前記イムノアッセイを実行するためのキットに関する。イムノアッセイ、抗体およびキットは、患者の肝線維症を検出もしくはモニターするため、または肝線維症を有する患者において抗線維化薬での処置に患者が応答する可能性を評価するために使用される可能性がある。
【背景技術】
【0002】
慢性肝疾患(CLD)は、世界中で毎年200万人を超える死亡を説明する死亡率および罹患率の主要な原因である。おおよそ100万のこれらのCLD関連死は、C型肝炎が主因である、ウイルス性肝炎によるものである。CLD病因の中で共通するものは、肝硬変である最終のエンドポイントを有する肝線維症の発症である。肝線維症は、長期化した創傷治癒反応の結果であり、細胞外マトリックス(ECM)の蓄積により特徴づけられ、そのため、肝臓のECM組成は、健康なものと定性的および定量的に異なる。近年の報告では、線維症の肝臓のECM組成が患者の生存の主な決定要因であることが示唆され、患者の組織プロファイリングの価値を示す。線維症病変は、主に、コラーゲンで構成され、これは、大きく2群;間質マトリックスおよび基底膜に分けることができる。基底膜は、細胞の機能を調節し、増殖因子のリザーバである。基底膜マトリックスの蓄積は、修復組織反応と関連している。逆に、間質マトリックスの蓄積は、より重症で進行性の疾患と関連している。
【0003】
マルチプレキシンタイプXVIIIコラーゲンは、コラーゲンファミリーの中で独特である。タイプXVIIIコラーゲンは、基底膜に位置するヘパラン硫酸プロテオグリカンであり、ラミニン、パーレカン、ニドゲン、フィビュリン、タイプIVおよびVIコラーゲンと相互作用し、マトリックス環境の柔軟性に必須な役割を果たしている2,3。各分布において差異がある3つのアイソフォームが存在する;短鎖型アイソフォームは、脈管構造および骨格筋で大部分が認められるが、中間および長鎖型アイソフォームは、主に肝臓で認められ、肝細胞により生成される4,5。3つのアイソフォームはすべて、三重らせん領域で細胞接着部位と、抗血管新生および腫瘍増殖阻害特性を有することが知られているC末端フラグメントであるエンドスタチンとを保持する。それにもかかわらず、3つのアイソフォームは、それらの一次構造が異なり、最も大きい差異は、frizzledドメインである。長鎖型アイソフォーム上のN末端に位置するfrizzled(Fz)ドメインは、細胞運命、増殖および移動を調節する能力を有するWnt分子のための結合部位として機能する膜貫通受容体である。Fzドメインは、インビトロおよびインビボ研究の両方でヒト癌細胞増殖および細胞周期進行を調節することが示されている7,8。さらに、Fzは、マウスにおける脂肪細胞成熟および存在量を決定することが分かった。したがって、タイプXVIIIコラーゲンの長鎖型アイソフォームは、肝臓病理および肝細胞機能に影響する可能性がある広範囲の機能を保持する。
【0004】
肝線維症の重症度は、肝生検またはトランジェント・エラストグラフィ(elastrography)のいずれかの使用を通じて典型的に評価される。しかし、肝生検は、高い経済的コストおよび人件費に関連している本質的に欠陥があるモダリティである;トランジェント・エラストグラフィは、魅力的な非侵襲の代替手段ではあるが、広く入手可能である訳ではなく、肝線維症の動態に関する情報を提供しない。
【0005】
したがって、当技術分野において、患者における肝線維症の存在および/または重症度を評価する新規方法の必要性がある。特に、疾患の進行または抗線維化治療に対する応答の可能性がある個体を同定するために臨床的に使用される可能性がある血清学的バイオマーカーは、非常に有用である。
【発明の概要】
【0006】
出願人は、タイプXVIIIコラーゲンの肝臓特異的アイソフォームである長鎖型および中間アイソフォームを正確に定量することができる酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)バイオマーカーを現在開発しており、軽症から重症の肝線維症を有する患者においてその臨床的価値を評価している。
【0007】
したがって、第1の態様において、本発明は、(i)患者由来の生物流体試料を、タイプXVIIIの長鎖型および/または中間アイソフォームに特異的に結合し、タイプXVIIIの短鎖型アイソフォームに特異的に結合しないモノクローナル抗体と接触させるステップ;ならびに(ii)前記モノクローナル抗体と試料中のペプチドとの間の結合量を検出し、決定するステップを含む、イムノアッセイの方法を提供する。
【0008】
本明細書で使用されるように、用語「結合量」は、モノクローナル抗体と患者の試料中のペプチドとの間の結合の定量化を指す。前記定量化は、例えば患者の試料中の結合の測定値を、患者の試料中で抗体が特異的に結合するペプチドの量をそれによって決定するために、抗体が特異的に結合するペプチドの既知の濃度を含む標準試料中の結合の測定値を使用して生成された検量線と比較することにより決定される可能性がある。以下に提示する実施例において、ELISA法は、分光光度分析が患者の試料中、および検量線を生成する場合の両方で、結合量を測定するために使用される。しかし、任意の適切な分析法を使用することができる。
【0009】
好ましい実施形態において、患者の試料は、肝線維症の患者由来であり、方法は、抗線維化薬での処置に患者が応答する可能性を評価するためのものである。方法はさらに:(iii)ステップ(ii)で決定されたような前記モノクローナル抗体の結合量を処置に対する応答者に関連する値および/または非応答者に関連する値および/または所定のカットオフ値と関連付けるステップを含む可能性がある。患者の試料は、慢性肝疾患を有する患者由来である可能性がある。患者の試料は、例えばウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、または非アルコール性脂肪性肝疾患を有する患者由来である可能性がある。
【0010】
これに関連して、用語「処置に対する応答者に関連する値」は、抗線維化薬での処置に後で応答することが判明している患者、例えば抗線維化薬での処置の後に肝線維症の減弱があった(例えば治療の過程にわたって1つまたは複数のIshakスコアにおける減少により決定されるような)患者由来の試料のために上述した方法により決定された標準化結合量を意味する;用語「非応答者に関連する値」は、抗線維化薬での処置に後で応答しないことが判明している患者、例えば抗線維化薬での処置の後に肝線維症の増強があった患者由来の試料のために上述した方法により決定された標準化結合量を意味する。
【0011】
またこれに関連して、用語「所定のカットオフ値」は、抗線維化薬での処置に応答する可能性が低い患者と、抗線維化薬での処置に応答する可能性が高い患者とを識別するために統計的に決定される結合量を意味する。例えば、所定のカットオフ値は、続いて抗線維化薬またはプラセボで処置された肝線維症患者からの試料における結合時のレベルの以前の分析から算出される可能性があり、カットオフ値未満の結合量を有する患者において、肝線維症の減弱があった患者数または肝線維症の増強があった患者数の点でプラセボと抗線維化薬処置群との間に統計的有意差はなかった、ならびに/またはカットオフ値を超える値を有する患者において、肝線維症の減弱があった患者数および/もしくは肝線維症の増強があった患者数の点でプラセボと抗線維化薬処置群との間に統計的有意差があった。
【0012】
別の実施形態において、方法は、患者の肝線維症をモニターするためのものであり、その方法はさらに:(iii)ステップ(ii)で決定されたような前記モノクローナル抗体の前記結合量を、以前の時点で前記患者から得られた値と関連付けるステップを含む。患者は、慢性肝疾患を有する患者であり得る。患者は、例えばウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、または非アルコール性脂肪性肝疾患を有する患者であり得る。
【0013】
したがって、本実施形態において、方法は、モノクローナル抗体と、第1の時点および少なくとも1つの後に続く時点での患者由来の少なくとも2つの試料中のペプチドとの間の結合量を定量することを含む可能性がある。
【0014】
患者は、抗線維化薬での処置が行われている患者であり得る。この場合、方法はさらに、肝線維症を処置するための薬物の有効性を評価するためのものである可能性があり、それによって、その方法は、モノクローナル抗体と、患者への薬物の投与の期間中の第1の時点および少なくとも1つの後に続く時点での患者から得られた少なくとも2つの試料中のペプチドとの間の結合量を定量することを含む。
【0015】
別の実施形態において、方法は、患者の肝線維症を検出するためのものである。その方法はさらに:(iii)ステップ(ii)で決定されたような前記モノクローナル抗体の前記結合量を、健常人に関連する値および/または既知の疾患重症度と関連する値および/または所定のカットオフ値と関連付けるステップを含む。ある特定の実施形態において、方法は、患者の慢性肝疾患を検出するためのものである可能性がある。
【0016】
これに関連して、用語「健常人に関連する値」は、健康であるとみなされる、すなわち疾患がない(そしてより具体的には肝線維症がない)被験者由来の試料のために上述した方法により決定された標準化結合量を意味する;用語「既知の疾患重症度に関連する値」は、既知の重症度の肝線維症を有することが既知である患者由来の試料のために上述した方法により決定された標準化結合量を意味する。
【0017】
またこれに関連して、用語「所定のカットオフ値」は、患者において肝線維症の可能性が高いことを示唆すると統計的に決定される結合量を意味し、統計的カットオフ値で、またはそれを超える患者の試料中で測定された結合量は、肝線維症の存在または可能性の少なくとも70%の確率、好ましくは少なくとも80%の確率、好ましくは少なくとも85%の確率、より好ましくは少なくとも90%の確率、および最も好ましくは少なくとも95%の確率に対応する。
【0018】
好ましい実施形態において、試料は生物流体である。生物流体は、血液、血清、血漿、尿または細胞もしくは組織培養物由来の上清であり得るが、これらに限定されない。好ましくは、生物流体は、血液、血清または血漿である。
【0019】
イムノアッセイは、競合アッセイまたはサンドイッチアッセイであり得るが、これらに限定されない。イムノアッセイは、例えばラジオイムノアッセイまたは酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)であり得る。そのようなアッセイは、当業者に既知の技術である。
【0020】
好ましい実施形態において、モノクローナル抗体は、アミノ酸配列NLLNLN(配列番号1)に特異的に結合する。前記アミノ酸配列は、タイプXVIIIの長鎖型および中間アイソフォームのN末端に存在し(そして、タイプXVIIIの短鎖型アイソフォームにはなく)、したがって、前記モノクローナル抗体は、タイプXVIIIの長鎖型および中間アイソフォームのN末端に特異的に結合する。
【0021】
ある特定の実施形態において、モノクローナル抗体は、アミノ酸配列NLLNLNKDKE(配列番号2)を有する合成ペプチドに対して上昇したモノクローナル抗体である。
【0022】
本明細書で使用されるように、用語「モノクローナル抗体」は、全抗体および例えばFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、一本鎖Fvフラグメント、または当業者に既知の他のそのようなフラグメントなどの全抗体の結合特異性を保持しているそのフラグメントの両方を指す。周知のように、全抗体は、典型的に2つの同一なポリペプチド鎖対の「Y字型」構造を有し、各対は、1つの「軽」鎖および1つの「重」鎖で構成される。各軽鎖および重鎖のN末端領域は、可変領域を含む一方で、各重鎖および軽鎖のC末端部分は、定常領域を構成する。可変領域は、主に抗原認識の役割を担っている、3つの相補性決定領域(CDR)を含む。定常領域は、抗体が免疫系の細胞および分子を補充することを可能にする。結合特異性を保持する抗体フラグメントは、少なくともCDRおよび前記結合特異性を保持するのに十分な可変領域の残りの部分を含む。
【0023】
本発明の方法において、当技術分野において既知である任意の定常領域を含むモノクローナル抗体を使用することができる。ヒト定常軽鎖は、カッパおよびラムダ軽鎖として分類される。定常重鎖は、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロンとして分類され、抗体のアイソタイプを、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEと定義する。IgGアイソタイプは、IgGl、IgG2、IgG3、およびIgG4を含むがこれらに限定されない、いくつかのサブクラスを有する。モノクローナル抗体は、好ましくは、IgGl、IgG2、IgG3またはIgG4のいずれか1つを含む、IgGアイソタイプのものであり得る。
【0024】
抗体のCDRは、Kabat et alにより説明されたような、当技術分野において既知の方法を使用して決定することができる。抗体は、実施例に記載のB細胞クローンから生成することができる。抗体のアイソタイプは、ヒトIgM、IgGもしくはIgAアイソタイプ、またはヒトIgG1、IgG2、IgG3もしくはIgG4サブクラスに特異的なELISAにより決定することができる。生成された抗体のアミノ酸配列は、標準技術を使用して決定することができる。例えば、RNAは、細胞から単離することができ、逆転写によりcDNAを生成するために使用することができる。その後、cDNAを、抗体の重鎖および軽鎖を増幅するプライマを使用するPCRに供する。例えば、全VH(可変重鎖)配列のためのリーダー配列に特異的なプライマは、以前決定されているアイソタイプの定常領域に位置する配列に結合するプライマと一緒に使用することができる。軽鎖は、カッパまたはラムダ鎖の3’末端に結合するプライマを、VカッパまたはVラムダリーダー配列にアニールするプライマと一緒に使用して増幅することができる。完全長重鎖および軽鎖を生成し、配列決定することができる。
【0025】
モノクローナル抗体またはそのフラグメントは、好ましくは:
CDR-H1:DYWIH(配列番号3)
CDR-H2:EINPSDGRSNYNEKFKT(配列番号4)
CDR-H3:DLGFAD(配列番号5)
CDR-L1:RSSQSIVYSNGNTYLQ(配列番号6)
CDR-L2:KVSNRFS(配列番号7)
CDR-L3:FQGSHVPFT(配列番号8)
から選択される1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含む可能性がある。
【0026】
好ましくは、抗体またはそのフラグメントは、上で列記されたCDR配列の少なくとも2個、3個、4個、5個または6個を含む。
【0027】
好ましくは、モノクローナル抗体またはそのフラグメントは、CDR配列
CDR-L1:RSSQSIVYSNGNTYLQ(配列番号6)
CDR-L2:KVSNRFS(配列番号7)および
CDR-L3:FQGSHVPFT(配列番号8)
を含む軽鎖可変領域を有する。
【0028】
好ましくは、モノクローナル抗体またはそのフラグメントは、CDR間にフレームワーク配列を含む軽鎖を有し、前記フレームワーク配列は、以下の軽鎖配列におけるCDR間のフレームワーク配列と実質的に同一であるか、実質的に類似である(CDRは、太字および下線で示され、フレームワーク配列は、イタリック体で示される)。
【0029】
【化1】
【0030】
好ましくは、モノクローナル抗体またはそのフラグメントは、CDR配列
CDR-H1:DYWIH(配列番号3)
CDR-H2:EINPSDGRSNYNEKFKT(配列番号4)および
CDR-H3:DLGFAD(配列番号5)
を含む重鎖可変領域を有する。
【0031】
好ましくは、モノクローナル抗体またはそのフラグメントは、CDR間にフレームワーク配列を含む重鎖を有し、前記フレームワーク配列は、以下の重鎖配列におけるCDR間のフレームワーク配列と実質的に同一であるか、実質的に類似である(CDRは、太字および下線で示され、フレームワーク配列は、イタリック体で示される)。
【0032】
【化2】
【0033】
本明細書で使用されるように、抗体のCDR間のフレームワークアミノ酸配列は、それらが少なくとも70%、80%、90%または少なくとも95%の類似性または同一性を有する場合、別の抗体のCDR間のフレームワークアミノ酸配列と実質的に同一であるか、実質的に類似である。類似または同一のアミノ酸は、連続していても非連続であってもよい。
【0034】
フレームワーク配列は、1つまたは複数のアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含む可能性がある。アミノ酸置換は、保存的になる可能性があり、置換されたアミノ酸が元のアミノ酸と同様の化学特性を有することを意味する。当業者は、アミノ酸が類似の化学特性を共有することを理解するであろう。例えば、以下の群のアミノ酸は、サイズ、電荷および極性などの同様の化学特性を共有する:群1はAla、Ser、Thr、Pro、Gly;群2はAsp、Asn、Glu、Gln;群3はHis、Arg、Lys;群4はMet、Leu、Ile、Val、Cys;群5はPhe Thy Trp。
【0035】
CLUSTALプログラムなどのプログラムは、アミノ酸配列を比較するために使用することができる。このプログラムは、アミノ酸配列を比較し、いずれかの配列に必要に応じて空間を挿入することにより最適アラインメントを見つける。最適アラインメントに関してアミノ酸同一性または類似性(同一性+アミノ酸の種類の保存)を算出することが可能である。BLASTxのようなプログラムは、同様の配列の最も長いストレッチをアラインし、値をフィットに割り当てる。したがって、いくつかの類似領域が見つかり、それぞれ異なるスコアを有するような比較を得ることが可能である。両タイプの分析は、本発明において想定される。同一性または類似性は、好ましくは、フレームワーク配列の全長にわたって算出される。
【0036】
ある特定の好ましい実施形態において、モノクローナル抗体はたはそのフラグメントは、軽鎖可変領域配列:
【0037】
【化3】
【0038】
および/または重鎖可変領域配列:
【0039】
【化4】
【0040】
(CDRは太字で下線付き;フレームワーク配列はイタリック体)を含む可能性がある。
【0041】
第2の態様において、本発明は、タイプXVIIIの長鎖型および/または中間アイソフォームに特異的に結合し、タイプXVIIIの短鎖型アイソフォームに特異的に結合しないモノクローナル抗体を提供する。
【0042】
好ましい実施形態において、モノクローナル抗体は、アミノ酸配列NLLNLN(配列番号1)に特異的に結合する。
【0043】
モノクローナル抗体は、アミノ酸配列NLLNLNKDKE(配列番号2)を有する合成ペプチドに対して上昇したモノクローナル抗体であり得る。
【0044】
第2の態様によるモノクローナル抗体のさらに好ましい実施形態および特徴は、第1の態様による方法において使用するための好ましいモノクローナル抗体の上記議論から明らかである。特に、第2の態様によるモノクローナル抗体は、好ましくは、上述したように、1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)、フレームワーク配列および/または可変領域配列を含む可能性がある。
【0045】
第3の態様において、本発明は:(a)タイプXVIIIの長鎖型および/または中間アイソフォームに特異的に結合し、タイプXVIIIの短鎖型アイソフォームに特異的に結合しないモノクローナル抗体;ならびに(b):
-ストレプトアビジンコートウェルプレート;
-モノクローナル抗体が特異的に結合するビオチン化ペプチド;
-サンドイッチイムノアッセイにおいて使用するための二次抗体;
-モノクローナル抗体が特異的に結合するキャリブレータペプチド;
-抗体ビオチン化キット;
-抗体HRP標識キット;
-抗体放射標識キット;および
-アッセイ可視化キット
の少なくとも1つを含むイムノアッセイキットを提供する。
【0046】
好ましい実施形態において、モノクローナル抗体は、アミノ酸配列NLLNLN(配列番号1)に特異的に結合する。モノクローナル抗体は、アミノ酸配列NLLNLNKDKE(配列番号2)を有する合成ペプチドに対して上昇する可能性がある。特に、モノクローナル抗体は、好ましくは、上述したように本発明の第2の態様によるモノクローナル抗体である。
【0047】
ある特定の実施形態において、キャリブレータタンパク質は、アミノ酸配列NLLNLNKDKE(配列番号2)を含むペプチドであり得る。
【0048】
ある特定の実施形態において、ビオチン化ペプチドは、NLLNLNKDKE-L-ビオチン(配列番号13)を含む可能性があり、ここで、Lは、任意選択のリンカーである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】PRO-C18Lアッセイの特異性テスト。PRO-C18L抗体の反応性を、PRO-C18Lペプチド(標準ペプチド)およびPRO-C18L N末端配列から変更された1つのアミノ酸を有する除外ペプチドに対してテストした。y軸が光学密度(OD)でx軸がペプチド含有量(ng/ml)である阻害曲線としてデータを示す。
図2】全患者(A)およびベースラインでのPRO-C18Lの中央値の上下で分けられた全患者におけるベースライン(BL)から52週(W52)までのプラセボ(PL)またはファルグリタザル処置(T)患者におけるPRO-C18Lの変化率。グラフは、テューキーによるひげを用いる箱ひげ図として示される。p<0.05の有意差は、*(A)または厳密値(B)で示される。
図3】患者群におけるリグレッサー、安定またはプログレッサーの割合を、ベースラインPRO-C18Lの三分位値にしたがって、およびプラセボ(PL)またはファルグリタザル(T)で処置されたかどうかで分けた。患者は、1つまたは複数の低下または増加に基づいて、52週でのIshakスコア付けで、リグレッサー、安定またはプログレッサーとしてそれぞれ特徴づけられた。有意なp値は、正確な値で示される。PRO-C18L第1三分位数(T1)において、PL群は16%のリグレッサー、58%の安定および26%のプログレッサーを有し、一方でT群は、13%のリグレッサー、25%の安定および7%のプログレッサーを有していた。PRO-C18L第3三分位数(T3)において、PL群は7%のリグレッサー、60%の安定および33%のプログレッサーを有し、一方でT群は、22%のリグレッサー、59%の安定および19%のプログレッサーを有していた。
図4】高PRO-C18L(2.56ng/mlの中央値より高い)および高PRO-C3の相関係数。
【発明を実施するための形態】
【0050】
実施例
本開示の実施形態は、以下の実施例において説明され、本開示の理解を助けるために記載され、その後に続く特許請求の範囲で定義される本開示の範囲をいかなる方法でも制限するものと解釈されるべきではない。以下の実施例は、説明された実施形態を製造および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するように述べられており、本開示の範囲を限定することを意図しておらず、また、以下の実験が、すべてまたは唯一の実行された実験であることを表すことを意図していない。使用される数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を期するために努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差は、説明されるべきである。別段の指示のない限り、部は重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
【0051】
以下の実施例において、以下の材料および方法が使用された。
【0052】
材料および方法
試薬
実験で使用されたすべての試薬は、メルク(ホワイトホース・ステーション、NJ、USA)およびシグマアルドリッチ(セントルイス、MO、USA)からの高品質の化学物質であり、すべての合成ペプチドは、ジェンスクリプト(ピスカタウェイ、NJ、USA)から購入した。抗体産生および検証のためのペプチドを定義する配列は、以下の通りであった:
1.抗体産生に使用された標準ペプチドであるNLLNLNKDKE(配列番号2)。このペプチドは、タイプXVIIIコラーゲンの長鎖型および中間アイソフォームの10個のアミノ酸N末端配列と比較してその最後の4個のアミノ酸が異なる。タイプXVIIIコラーゲンの長鎖型および中間アイソフォームの10個のアミノ酸N末端アミノ酸配列(23個のアミノ酸シグナルペプチドの開裂後に形成された)は、24NLLNLNWLWF33(配列番号14)である。このN末端配列は、ラット、マウスおよびウシに対する配列相同性をテストした場合、ヒトタイプXVIIIコラーゲンに固有であることが分かったが、不溶性であり、したがって抗体産生にとって不適切であったことも分かった。したがって、可溶性である配列NLLNLNKDKE(配列番号2)は、代わりに抗体産生のために使用され、タイプXVIIIコラーゲンの長鎖型および中間アイソフォームへの(したがって、N末端配列NLLNLN(配列番号1)への)産生された抗体の特異的結合は、後に続くテストで確認された。本明細書で使用されるように、用語「PRO-C18L」は、標準ペプチド/配列であるNLLNLNKDKE(配列番号2)ならびに標準ペプチドとタイプXVIIIコラーゲンの長鎖型および中間アイソフォームの両方に存在し、本明細書に記載の抗体が特異的に結合するN末端エピトープ/配列であるNLLNLN(配列番号1)の両方を指すために交換可能に使用される。
2.コーティングおよびスクリーニングのための、ビオチンコンジュゲートペプチドであるNLLNLNKDKE-K-ビオチン(配列番号15)
3.免疫応答のためのキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)とコンジュゲートした、免疫原性ペプチドであるNLLNLNKDKEKK-GGC-KLH(配列番号16)。
【0053】
モノクローナル抗体産生
6~7週齢のBalb/Cマウスを、皮下で、Stimune免疫原性アジュバント(SPECOL、cat#7925000、インビトロジェン)と混合したPRO-C18Lキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)-コンジュゲート抗原ペプチド(NLLNLNKDKEKK-GGC-KLH(配列番号16)、免疫原性ペプチド)からなる乳化免疫原100μgを用いて免疫付与した。血清力価が安定していることが分かるまで、免疫付与を2週間ごとに繰り返した。最高血清力価および最良ペプチド阻害を有するマウスを、融合のために選択した。したがって、少なくとも3週間休ませた後、選択されたマウスに、0.9%NaCl溶液100μlと混合した乳化免疫原50~100μg(抗体の力価に応じて)の腹腔内での最終の追加免疫を付与した。最終の追加免疫付与から3日後、マウスを安楽死処分し、脾臓細胞を単離し、SP2/0骨髄腫細胞と融合してさらなる培養のためのハイブリドーマを生成し、この手順は、以前に説明されている10。半培地法を使用し、限界希釈法を使用してハイブリドーマを96ウェルマイクロタイタープレートに播種し、単クローン性を確保した。加えて、単クローン性をさらに確保するため、サブクローニングを最低2回繰り返した。ストレプトアビジンコートプレートを使用して直接競合ELISAにおいて標準ペプチド、ナンセンスペプチド(LHDSNPYPRR(配列番号17))および除外ペプチド(NALNLNWLWF(配列番号18))に対する反応性および特異性について上清をスクリーニングし、標準ペプチドへの結合ならびにナンセンスペプチドおよび除外ペプチドへの結合がないことを確認した。IgGアイソタイプを確認するため、クロノタイピングシステム-HRPキット、カタログ番号5300-05(Southern Biotech、バーミンガム、AL、USA)でクローンをさらにテストした。
【0054】
生成された抗体を配列決定し、CDRを決定した。
【0055】
鎖の配列は以下のとおりである:
CDRは下線付き太字
定常領域はイタリック体:
重鎖:アミノ酸配列(514aa)
【0056】
【化5】
【0057】
軽鎖:アミノ酸配列(219aa)
【0058】
【化6】
【0059】
クローンの特徴づけ
HiTrapアフィニティカラム(GEヘルスケアライフサイエンス、リトル・チャルフォント、バッキンガムシャー、UK)を使用して選択されたクローンを精製し、メーカーの指示書にしたがってロシュペルオキシダーゼ標識キット、カタログ番号11829696001(ロシュ・ダイアグノスティックス有限会社、マンハイム、ドイツ)を使用して西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識した。血清または血漿などの異なるヒト生体物質を、EDTA、ヘパリンまたはクエン酸塩と使用して、クローンの本来の反応性および親和性を評価した。
【0060】
PRO-C18L競合ELISA手順
血清または血漿試料中のPRO-C18Lの血清学的レベルを測定するために、以下の手順を使用した:
1.10%ソルビトールを含む50mM PBS-BTBに溶解し、アッセイ緩衝液(50mM PBS-BTB、NaCl8g、pH7.4)で希釈したビオチン化ペプチド(ビオチンコンジュゲートペプチド)100μlを用いてロシュ・ダイアグノスティックス有限会社(マンハイム、ドイツ)からの96ウェルストレプトアビジンコートマイクロタイタープレートカタログ番号11940279をコートする。300rpmの振盪装置上、30分間、20℃暗所でインキュベートする。
2.洗浄緩衝液(20mMトリス、50mM NaCl、pH7.2)中で5回洗浄する。
3.標準ペプチド、対照または試料20μlを二連で適切なウェルに添加し、続いて、アッセイ緩衝液(50mM PBS-BTB、NaCl8g、pH7.4)で希釈したHRP標識抗体100μlを添加する。4℃で一晩、300rpmで振盪しながらインキュベートする。
4.洗浄緩衝液(20mMトリス、50mM NaCl、pH7.2)中で5回洗浄する。
5.テトラメチルベンジニジン(tetramethylbenzinidine)(TMB)(カタログ番号4380H、Kem-En-Tec、トストルプ、デンマーク)100μlを添加し、20℃で15分間インキュベートする。
6.最後に、停止溶液(1%H2SO4)を添加する
7.650nmを基準として450nmでの吸光度を読み取る。これは、ELISAマイクロプレートリーダー(VerseMax、モレキュラーデバイス、サニーベール、CA、USA)で行う。
【0061】
標準ペプチドの2倍希釈物により標準曲線を作成する。
【0062】
技術的検証
測定値の直線性を決定するために、100%試料の回収率を、ヒト由来の血清および血漿試料の2倍希釈物で決定した。同様に、100%キャリブレータペプチド(標準ペプチド、NLLNLNKDKE(配列番号2))、ナンセンスペプチド(LHDSNPYPRR(配列番号17))および除外ペプチド(NALNLNWLWF(配列番号18))の回収率として、抗体特異性を算出した。検出下限値(LLOD)は、21個のブランク(緩衝液)の平均値+3×標準偏差(SD)と決定された。検出上限値(ULOD)は、標準Aの10個の測定値の平均値-3×SDと決定された。アッセイ内およびアッセイ間の変動を評価するために、8個の品質管理(QC)試料の10回の独立した実験を、二重判定で測定し、平均変動係数(CV%)として算出した。標準ペプチドが添加された健康なヒト血清試料を測定し、検体の理論的回収量の回収率として算出することにより測定値の精度を評価した。干渉を、有意な濃度でヘモグロビン、血中脂肪およびビオチンが添加されたヒト血清試料の回収率として測定した。直線性、精度および干渉の許容範囲は、±20%であった。
【0063】
検体および試薬の安定性
これらの血清および血漿ヒト試料を、5回の凍結解凍サイクルに供し、第1のサイクルを基準として使用して、検体の安定性を決定した。さらに、3個の血清試料および3個の血漿試料を4℃および20℃で2時間、4時間、24時間および48時間インキュベートし、ノンストレスの試料基準に対してテストすることにより検体安定性をテストした。テストされた全試料を、二重判定として実行した。HRP標識抗体を20℃および37℃で7日間インキュベートし、ノンストレス試薬に対してテストすることにより試薬安定性をテストした。検体および試薬安定性テストの許容範囲は、±20%であった。
【0064】
臨床評価
患者試料
前述11のように、ペルオキシソーム増殖因子-活性化受容体-ガンマアゴニスト、C型肝炎罹患患者にとっての潜在的な抗線維化化合物であるファルグリタザルの有効性を調査する多施設第II相臨床試験(NCT00244751)由来のコホートでPRO-C18L ELISAをテストした。血漿試料は、ファルグリタザルの日用量または釣り合う用量のプラセボのいずれかを52週間受けた200人の患者の下位個体群で利用可能であった。肝生検は、ベースラインおよび52週間後で利用可能であり、中央の経験豊富な組織病理学者が、等級付けおよび病期分類のためにIshak改変組織学的活動指数を使用して観察した。研究は、ヘルシンキ宣言にしたがい、関係するすべての国々の倫理指針に則って行われた。すべての患者は、書面によるインフォームドコンセントを提出した。ベースラインの患者の特徴を以下の表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
慢性C型肝炎を有し、以前の抗ウイルス治療が奏功せず治療困難なコホートを選択した。初期研究は、Ishakスコア付けに基づいて疾患の進行または退縮がある被験者の割合が、ベースラインから研究の終わりまで同じであった11ので、ファルグリタザルの効果がなかったと結論づけた。しかし、同じコホートに対する後の出版物において、タイプIIIコラーゲン形成のマーカーは、処置に対する応答者を同定するために発見され、線維症の血清学的測定値が、疾患の活動性のよりダイナミックな定量化を与えることを示した12
【0067】
バイオマーカー測定値
上述した患者由来のEDTA血漿中、PRO-C18Lを二連で測定した。ELISAおよび測定は、上述したようにNordic Bioscience(ヘアレウ、デンマーク)で開発、測定された。
【0068】
統計解析
使用したテスト:カイ二乗、T検定、一元配置分散分析
MedCalcバージョン19.3(MedCalcソフトウエア社、オーストエンデ、ベルギー)およびGraphPad Prismバージョン8(GraphPad Software、ラホヤ、CA、USA)を使用して、グラフおよび統計解析を実行した。テューキーの箱ひげ図としてデータを示す。p<0.05のp値を統計的有意であると考える。
【0069】
結果
クローン選択および品質保証
産生されたクローンから最良の抗体を選択するために:本来の反応性、特異性および安定性を評価した。ELISA開発のために選択された抗体を、NBH133A1-2B4と名付け、IgG2aサブタイプであると決定された。抗体特異性を確保するために、上述した競合ELISA手順を使用して、その反応性を、標準ペプチド、ナンセンスペプチド(LHDSNPYPRR(配列番号17))および除外ペプチド(NALNLNWLWF(配列番号18))に対してテストした。標準ペプチドは、用量依存的にシグナルを阻害した(図1)が、ナンセンスペプチド(データを示さず)または除外ペプチド(図1)に対する反応性はなかった。このデータから、選択されたモノクローナル抗体が、PRO-C18L N末端エピトープに対して高い特異性を有することが示される。
【0070】
ELISA技術仕様書
PRO-C18L ELISAの技術的評価を、上記方法のセクションで説明した異なる検証ステップを通じて評価し、結果を以下の表2に要約する。
【0071】
【表2】
【0072】
IC50は、11.7ng/mlであった。検出下限値および上限値は、1.7ng/mlおよび282.5ng/mlであった、アッセイ内およびアッセイ間の変動は、8%および11%であり、それぞれ10%および15%の許容基準限界を下回っている。未希釈から1:4希釈までの血清および血漿での希釈回収率は両方とも、100±20%の許容基準内であることが分かった。血清中のキャリブレーションペプチド(標準ペプチド)の添加テストにおいて、平均回収率は、109%であることが分かった;生物学的フラグメント対合成標準の結合親和性は同じであり、N末端結合および高アッセイ特異性が確認された。4回の凍結/解凍サイクルの検体をテストした後、検体回収率は、血清およびEDTA血漿でそれぞれ94%および105%であった。さらに、血清、ヘパリン血漿およびEDTA血漿の4℃および20℃での48時間の貯蔵では、検体回収率に影響がなく、血清で85%および116%、ヘパリン血漿で82%および109%、EDTA血漿で102%および90%であった。血清および血漿中の低レベルまたは高レベルのビオチン、血中脂肪またはヘモグロビンのいずれにおいても干渉は検出されず、92%~121%の範囲の回収率であった。これらの結果は総合すると、PRO-C18Lは技術的に堅牢なアッセイであることを示す。
【0073】
PRO-C18Lの臨床検証
線維症のバイオマーカーとしてのPRO-C18Lの可能性をテストするために、ファルグリタザルまたはプラセボで処置された127人のHCV患者の縦断的研究の測定が行われた。表1でテストされたような人口構成は、処置群とプラセボ群との間の分布において有意差を示さなかった。
【0074】
最初に、ベースライン(BL)から52週(W52)までのPRO-C18Lにおける変化を、プラセボ対ファルグリタザル処置患者で評価し、図2Aに示すように、PRO-C18Lレベルがプラセボでは増加したが処置患者では低下した(p=0.05)ことが分かった。PRO-C18Lのより高いベースラインレベル(中央値より上)が処置応答とより多く一致した場合にさらにテストするために、PRO-C18Lの中央値(2.56ng/ml)より上および下を同様にテストした:処置vsプラセボ患者におけるBLからW52までのデルタPRO-C18L。ベースラインPRO-C18Lの中央値より上では、中央値より下の処置患者よりも、さらに処置で視覚的に低下し(図2B)、平均値までの調整を示したが、結果は有意ではなかった。しかし、これらの結果は、PRO-C18Lが治療により調整されることを示唆する。
【0075】
肝線維症のバイオマーカーとしてPRO-C18Lをさらに評価するために、BLからW52までのデルタIshakに基づいて患者をリグレッサー、安定またはプログレッサーに分けた。リグレッサーおよびプログレッサーは、BLからW52までの1つまたは複数のIshakスコアの低下または増加を有することでそれぞれ特徴づけられるが、安定は、Ishakにおける変化がなかった。PRO-C18Lの予測値を評価するために、プラセボおよびファルグリタザル処置群を、ベースラインでのPRO-C18Lレベルに基づいて三分位数にさらに分けた。第3三分位数(最高PRO-C18Lベースラインレベルを有する患者からなる三分位数)の患者の群において、ファルグリタザル処置群は、プラセボ群と比較した場合、リグレッサーおよびプログレッサーの割合に有意差を示した(図3)が、この差異は、第1三分位数の患者群(最低PRO-C18Lベースラインレベルを有する患者からなる三分位数)では認められず、ベースラインで高いPRO-C18Lレベルを有する患者が処置に対してより応答しそうであることを示唆した。
【0076】
最後に、PRO-C18LがPRO-C3(同じ患者の初期の研究で処置に対する応答者であると予測することが分かった)と異なるかどうかを評価するために、2つのマーカーを予備的カットオフレベルで相関させた(PRO-C3では20.2ng/ml、PRO-C18Lでは2.56ng/ml)(図4)。PRO-C18Lが同じ個体群での処置に対する追加の応答者を同定することを示唆する相関は認められなかった。
【0077】
本明細書において、明示的に別段の指示がない限り、単語「または」は、記載された条件のいずれかまたは両方が満たされた場合、真の値を返す演算子の意味で使用され、条件のうち1つのみが満たされることを必要とする演算子「排他的論理和」とは対照的である。単語「含む」は、「含むまたはからなる」を意味するために使用される。上記で認められたすべての先行教示は、参照により本明細書に組み込まれている。本明細書において、いかなる先行公開文書の認識も、その教示が本明細書の日付の時点で、オーストラリアまたはその他の地域で共通の一般的な知識であったことを認めたり表明したりするものと解釈されるべきではない。
【0078】
参考文献
【表3】
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2023554313000001.app
【国際調査報告】