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特表2023-554326CD73の抗原結合蛋白及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】CD73の抗原結合蛋白及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20231220BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231220BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20231220BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20231220BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20231220BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231220BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20231220BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20231220BHJP
   C07K 16/40 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/28
C07K16/46
C07K16/40
A61K39/395 N
A61P43/00 111
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535442
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 CN2021136950
(87)【国際公開番号】W WO2022122004
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011445512.0
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522432620
【氏名又は名称】上海華奥泰生物藥業股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522432619
【氏名又は名称】華博生物医藥技術(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐 錦根
(72)【発明者】
【氏名】朱 向陽
(72)【発明者】
【氏名】于 海佳
(72)【発明者】
【氏名】韋 小越
(72)【発明者】
【氏名】童 玲
(72)【発明者】
【氏名】陳 時
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA92Y
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA72
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
CD73に結合できる単離された抗原結合蛋白が提供される。前記単離された抗原結合蛋白はHCDR3を含み、前記HCDR3はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含む。また、前記抗原結合蛋白の調製方法及び用途も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された抗原結合蛋白について、それはHCDR3を含み、前記HCDR3はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはHCDR2を含み、前記HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項3】
請求項1~2のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはHCDR1を含み、前記HCDR1はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはLCDR3を含み、前記LCDR3はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはLCDR2を含み、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはLCDR1を含み、前記LCDR1はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項7】
請求項3~6のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはH-FR1を含む。前記H-FR1のC末端は、前記HCDR1のN末端に直接又は間接的に連結し、また前記H-FR1は、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:15又はSEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項8】
請求項2~7のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはH-FR2を含む。前記H-FR2は、前記HCDR1とHCDR2の間に位置し、また前記H-FR2は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:16又はSEQ ID NO:21に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項9】
請求項2~8のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはH-FR3を含む。前記H-FR3は、前記HCDR2とHCDR3の間に位置し、また前記H-FR3は、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 20又はSEQ ID NO: 22に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはH-FR4を含む。前記H-FR4のN末端は、前記HCDR3のC末端に連結し、また前記H-FR4は、SEQ ID NO:10又はSEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項11】
請求項6~10のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはL-FR1をむ。前記L-FR1のC末端は、前記LCDR1のN末端に直接又は間接的に連結し、また前記L-FR1は、SEQ ID NO:11又はSEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項12】
請求項6~11のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはL-FR2を含む。前記L-FR2は、前記LCDR1とLCDR2の間に位置し、また前記L-FR2は、SEQ ID NO: 12又はSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項13】
請求項5~12のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはL-FR3を含む。前記L-FR3は、前記LCDR2とLCDR3の間に位置し、また前記L-FR3は、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:27又はSEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項14】
請求項4~13のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはL-FR4を含む。前記L-FR4のN末端は、前記HCDR3のC末端に連結し、また前記L-FR4は、SEQ ID NO:14又はSEQ ID NO:26に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項15】
請求項6~14のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、その中の前記HCDR3は、SEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含み、前記HCDR2は、SEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含み、前記HCDR1はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含み、また前記LCDR3はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含み、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含み、前記LCDR1はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項16】
請求項1~15のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはVHを含む。前記VHは、SEQ ID NO: 29、SEQ ID NO: 31、SEQ ID NO: 33又はSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項17】
請求項1~16のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはVLを含む。前記VLはSEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 34又はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項18】
請求項17に記載の単離された抗原結合蛋白について、それは以下のVH及びVLから選択されるいずれかを含む:
1) 前記VHがSEQ ID NO: 29に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 30に示されるアミノ酸配列を含む;
2) 前記VHがSEQ ID NO: 31に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含む;
3) 前記VHがSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含む;
4) 前記VHがSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む;
5) 前記VHがSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む;及び、
6) 前記VHがSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それは抗体重鎖定常領域を含む。
【請求項20】
請求項19に記載の単離された抗原結合蛋白について、その中に記載の抗体重鎖定常領域は、ヒト抗体重鎖定常領域由来である。
【請求項21】
請求項19~20のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、その中に記載の抗体重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖定常領域由来である。
【請求項22】
請求項19~21のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、その中に記載の抗体重鎖定常領域は、ヒトIgG1重鎖定常領域由来である。
【請求項23】
請求項1~22のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それは抗体軽鎖定常領域を含む。
【請求項24】
請求項23に記載の単離された抗原結合蛋白について、その中に記載の抗体軽鎖定常領域は、ヒトIgκ定常領域由来である。
【請求項25】
請求項1~24のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それは抗体またはその抗原結合断片を含む。
【請求項26】
請求項25に記載の単離された抗原結合蛋白について、その中に記載の抗原結合断片は、Fab、Fab’、Fv断片、F(ab’)2、F(ab)2、scFv、di-scFv及び/又はdAbを含む。
【請求項27】
請求項25~26のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、その中に記載の抗体は、下記のモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及び完全ヒト抗体のうちの一種類以上から選択される。
【請求項28】
請求項1~27のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはCD73又はその機能的活性化断片に特異的に結合することができる。
【請求項29】
請求項28に記載の単離された抗原結合蛋白について、前記CD73は、ヒトCD73及び/又はサルCD73を含む。
【請求項30】
請求項1~29のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはCD73の活性化をブロック又は低減することができる。
【請求項31】
請求項28~30のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、前記CD73に結合する場合、前記単離された抗原結合蛋白が、SEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列のアミノ酸143~157又はそれに相応するCD73配列に、SEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列のアミノ酸178~191又はそれに相応するCD73配列に、及びSEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列のアミノ酸381~386又はそれに相応するCD73配列における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。
【請求項32】
請求項31に記載の単離された抗原結合蛋白について、その中の前記アミノ酸143~157又はそれに相応するCD73配列は、前記CD73のN末端ドメインに位置し、前記アミノ酸178~191又はそれに相応するCD73配列は、前記CD73のN末端ドメインに位置し、また前記アミノ酸381~386又はそれに相応するCD73配列は前記CD73のC末端ドメインに位置する。
【請求項33】
請求項1~32のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それはCD73の酵素活性を抑制することができる。
【請求項34】
請求項1~33のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白について、それは細胞表面上CD73のエンドサイトーシスを誘導することができる。
【請求項35】
ポリペプチド分子について、それは請求項1~34のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白を含む。
【請求項36】
請求項35に記載のポリペプチド分子について、それは融合タンパク質を含む。
【請求項37】
単離された核酸分子について、それは請求項1~34のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白又は請求項35~36のいずれかの1項に記載のポリペプチド分子をコードする。
【請求項38】
ベクターについて、それは請求項37に記載の核酸分子を含む。
【請求項39】
細胞について、それは請求項37に記載の核酸分子及び/または請求項38に記載のベクターを含む。
【請求項40】
免疫コンジュゲートについて、それは請求項1~34のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白を含む。
【請求項41】
医薬組成物について、それは請求項1~34のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白、請求項35~36のいずれかの1項に記載のポリペプチド分子、請求項37に記載の核酸分子、請求項38に記載のベクター、請求項39に記載の細胞及び/又は請求項40に記載の免疫コンジュゲート、並びに任意に薬学的に受容可能なキャリアを含む。
【請求項42】
請求項1~34のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白の調製方法について、前記方法は前記単離された抗原結合蛋白を発現させる条件下で、請求項39に記載の細胞を培養することを含む。
【請求項43】
請求項1~34のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白、請求項35~36のいずれかの1項に記載のポリペプチド分子、請求項37に記載の核酸分子、請求項38に記載のベクター、請求項39に記載の細胞、請求項40に記載の免疫コンジュゲート及び/又は請求項41に記載の医薬組成物が薬剤の調製における用途について、前記薬剤は、疾患及び/又は障害の予防及び/又は治療に用いられる。
【請求項44】
請求項43に記載の用途について、その中に記載の疾患及び/又は障害は、CD73媒介の疾患及び/又は障害である。
【請求項45】
請求項43~44のいずれかの1項に記載の用途について、その中に記載の疾患及び/又は障害は、腫瘍を含む。
【請求項46】
請求項45に記載の用途について、その中に記載の腫瘍は固形腫瘍及び/又は血液腫瘍を含む。
【請求項47】
請求項43~46のいずれかの1項に記載の用途について、その中に記載の疾患及び/又は障害は、乳癌を含む。
【請求項48】
試料中のCD73の測定方法について、前記方法は請求項1~34のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白、請求項35~36のいずれかの1項に記載のポリペプチド分子、請求項37に記載の核酸分子、請求項38に記載のベクター、請求項39に記載の細胞、請求項40に記載の免疫コンジュゲート及び/又は請求項41に記載の医薬組成物を投与することを含む。
【請求項49】
試料中のCD73を検出するための試薬或いはキットについて、それは請求項1~34のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白、請求項35~36のいずれかの1項に記載のポリペプチド分子、請求項37に記載の核酸分子、請求項38に記載のベクター、請求項39に記載の細胞、請求項40に記載の免疫コンジュゲート及び/又は請求項41に記載の医薬組成物を含む。
【請求項50】
請求項1~34のいずれかの1項に記載の単離された抗原結合蛋白、請求項35~36のいずれかの1項に記載のポリペプチド分子、請求項37に記載の核酸分子、請求項38に記載のベクター、請求項39に記載の細胞、請求項40に記載の免疫コンジュゲート及び/又は請求項41に記載の医薬組成物がキットの調製における用途について、前記キットは、試料中のCD73の存在及び/または含有量を検出するために使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本承認申請は、バイオ医薬の分野に関し、具体的にはCD73の抗原結合蛋白とその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
CD73は、NT5Eとも呼ばれ、分子量約70Kdの細胞外5-ヌクレアーゼ(NT5E)であり、グリコスファチジルイノシトール(GPI)により細胞表面に固定され、主に二量体の形態で存在する。正常な生理学的条件下では、CD73は肝臓、大腸、腎臓、脾臓、肺、卵巣、リンパ節など様々な組織又は臓器で発現することができる。
【0003】
多くの前臨床研究の結果により、CD73は神経膠腫、乳癌、黒色腫、非小細胞肺癌、膀胱癌、卵巣癌、大腸癌など多くの腫瘍細胞の表面に異常に高発現していることが示された。また、臨床データにより、CD73の高発現は腫瘍患者の予後不良によく関連しているため、CD73は多種の腫瘍の臨床治療及び予後の潜在的な標的となる可能性が示された。
【0004】
しかし、現在ヒトCD73を対照とする抗体或いは低分子医薬品はまだ市販されておらず、CD73の異常発現を有するがんの治療に新しいアイデアと展望を提供するため、腫瘍CD73を標的とするより多くの医薬品の開発が急務となっている。
【0005】
発明の内容
本承認申請は、一種類の単離された抗原結合蛋白を提供し、その抗原結合蛋白は一つ又は複数の所望の機能的特性を示した。例えば、CD73又はその機能的活性化断片に特異的に結合できること;CD73の活性化をブロック又は低減できること;前記CD73に結合する後、前記単離された抗原結合蛋白が、CD73のアミノ酸143~157又はそれに相応するCD73配列に、アミノ酸178~191又はそれに相応するCD73配列に、及びアミノ酸381~386又はそれに相応するCD73配列における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合できること;CD73の酵素活性を抑制できること;及び細胞表面上CD73のエンドサイトーシスを誘導できること。本承認申請はまた、前記単離された抗原結合蛋白をコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞、及び前記単離された抗原結合蛋白の調製方法をも提供する。本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白は、腫瘍などの疾患及び/又は障害の予防及び/又は治療に用いることができる。
【0006】
一方、本承認申請は、単離された抗原結合蛋白を提供し、それはHCDR3を含む。前記HCDR3は、SEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含む。
【0007】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、HCDR2を含む。前記HCDR2は、SEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含む。
【0008】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、HCDR1を含む。前記HCDR1は、SEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、LCDR3を含む。前記LCDR3は、SEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、LCDR2を含む。前記LCDR2は、SEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、LCDR1を含む。前記LCDR1は、SEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、H-FR1を含む。前記H-FR1のC末端は、前記HCDR1のN末端に直接又は間接的に連結し、また前記H-FR1は、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:15又はSEQ ID NO:19に示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、H-FR2を含む。前記H-FR2は、前記HCDR1とHCDR2の間に位置し、また前記H-FR2は、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:16又はSEQ ID NO:21に示されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、H-FR3を含む。前記H-FR3は、前記HCDR2とHCDR3の間に位置し、また前記H-FR3は、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:20又はSEQ ID NO:22に示されるアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、H-FR4を含む。前記H-FR4のN末端は、前記HCDR3のC末端に連結し、また前記H-FR4は、SEQ ID NO:10又はSEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、L-FR1を含む。前記L-FR1のC末端は、前記LCDR1のN末端に直接又は間接的に連結し、また前記L-FR1は、SEQ ID NO:11又はSEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を含む。
【0017】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、L-FR2を含む。前記L-FR2は、前記LCDR1とLCDR2の間に位置し、また前記L-FR2は、SEQ ID NO:12又はSEQ ID NO:24に示されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、L-FR3を含む。前記L-FR3は、前記LCDR2とLCDR3の間に位置し、また前記L-FR3は、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:27又はSEQ ID NO:28に示されるアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、L-FR4を含む。前記L-FR4のN末端は、前記LCDR3のC末端に連結し、また前記L-FR4は、SEQ ID NO:14又はSEQ ID NO:26に示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、VHを含む。前記VHは、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:33又はSEQ ID NO:35に示されるアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、VLを含む。前記VLは、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:34又はSEQ ID NO:36に示されるアミノ酸配列を含む。
【0022】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、以下のVH及びVLから選択されるいずれかを含む:
1) 前記VHがSEQ ID NO: 29に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 30に示されるアミノ酸配列を含む;
2) 前記VHがSEQ ID NO: 31に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含む;
3) 前記VHがSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含む;
4) 前記VHがSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む;
5) 前記VHがSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む;及び、
6) 前記VHがSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、抗体重鎖定常領域を含む。
【0024】
いくつかの実施態様において、前記抗体重鎖定常領域は、ヒト抗体重鎖定常領域に由来する。
【0025】
いくつかの実施態様において、前記抗体重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖定常領域に由来する。
【0026】
いくつかの実施態様において、前記抗体重鎖定常領域は、ヒトIgG1重鎖定常領域に由来する。
【0027】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、抗体軽鎖定常領域を含む。
【0028】
いくつかの実施態様において、前記抗体軽鎖定常領域は、ヒトIgk定常領域に由来する。
【0029】
いくつかの実施態様において、単離された抗原結合蛋白は、抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0030】
いくつかの実施態様において、前記抗原結合断片は、Fab、Fab’、Fv断片、F(ab’)2、F(ab)2、scFv、di-scFv及び/又はdAbを含む。
【0031】
いくつかの実施態様において、前記抗体は、下記のモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及び完全ヒト抗体のうちの一つ又は複数から選択される。
【0032】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73又はその機能的活性化断片に特異的に結合することができる。
【0033】
いくつかの実施態様において、前記CD73は、ヒトCD73及び/又はサルCD73を含む。
【0034】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73の活性化をブロック又は低減することができる。
【0035】
いくつかの実施態様において、前記CD73に結合する場合、前記単離された抗原結合蛋白が、SEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列のアミノ酸143~157又はそれに相応するCD73配列に、SEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列のアミノ酸178~191又はそれに相応するCD73配列に、及びSEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列のアミノ酸381~386又はそれに相応するCD73配列における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する。
【0036】
いくつかの実施態様において、前記アミノ酸143~157又はそれに相応するCD73配列は、前記CD73のN末端ドメインに位置し、前記アミノ酸178~191又はそれに相応するCD73配列は、前記CD73のN末端ドメインに位置し、また前記アミノ酸381~386又はそれに相応するCD73配列は前記CD73のC末端ドメインに位置する。
【0037】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73の酵素活性を抑制することができる。
【0038】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、細胞表面上CD73のエンドサイトーシスを誘導することができる。
【0039】
一方、本承認申請はまた一種類のポリペプチド分子を提供し、そのポリペプチド分子は前記単離された抗原結合蛋白を含む。
【0040】
いくつかの実施態様において、前記ポリペプチド分子は融合タンパク質を含む。
【0041】
一方、本承認申請は、一種類の単離された核酸分子を提供し、その核酸分子は前記単離された抗原結合蛋白又は前記ポリペプチド分子をコードする。
【0042】
一方、本承認申請は、一種類のベクターを提供し、そのベクターは前記核酸分子を含む。
【0043】
一方、本承認申請は、一種類の細胞を提供し、その細胞は前記核酸分子及び/又は前記ベクターを含む。
【0044】
一方、本承認申請は、一種類の免疫コンジュゲートを提供し、その免疫コンジュゲートは前記単離された抗原結合蛋白を含む。
【0045】
一方、本承認申請は、一種類の医薬組成物を提供し、その医薬組成物は前記単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞及び/又は免疫コンジュゲート、並びに任意に薬学的に受容可能なキャリアを含む。
【0046】
一方、本承認申請は、前記単離された抗原結合蛋白の調製方法を提供し、その方法は前記単離された抗原結合蛋白を発現させる条件下で、前記細胞を培養することを含む。
【0047】
一方、本承認申請は、薬剤の調製における前記単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物の用途を提供し、前記薬剤は、疾患及び/又は障害の予防及び/又は治療に用いられる。
【0048】
一方、本承認申請は、疾患及び/又は障害を予防及び/又は治療する方法を提供し、前記方法は、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物を必要のある対象に投与することを含んでもよい。
【0049】
一方、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物は疾患及び/又は障害の予防及び/又は治療に用いることができる。
【0050】
いくつかの実施態様において、前記疾患及び/又は障害はCD73媒介の疾患及び/又は障害である。
【0051】
いくつかの実施態様において、前記疾患及び/又は障害は腫瘍を含む。
【0052】
いくつかの実施態様において、前記腫瘍は固形腫瘍及び/又は血液腫瘍を含む。
【0053】
いくつかの実施態様において、前記疾患及び/又は障害は乳癌を含む。
【0054】
一方、本承認申請は、試料中のCD73を検出する方法を提供し、その方法は、前記単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物を投与することを含む。
【0055】
一方、本承認申請は、また試料中のCD73を検出するための試薬又はキットを提供し、それは、前記単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物を含む。
【0056】
一方、本承認申請は、またキットの調製における前記単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物の用途を提供し、前記キットは試料中のCD73の存在及び/又は含有量を検出するために使用される。
【0057】
当業者は、本承認申請の他の態様及び利点を以下の詳細な説明から容易に察知することができる。以下の詳細な説明において、本承認申請の例示的実施態様のみを示し、説明した。当業者に認識されるように、本承認申請の内容は、当業者が開示された特定の実施態様を変更することができるが、本承認申請に関される発明の精神及び範囲から逸脱させることがない。従って、本承認申請の添付図面及び説明書における記載は、単に例示的なことであり、限定されることではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
添付図面の説明
本承認申請に記載される発明の具体的な特徴は、添付の特許請求のように示される。以下における詳細に説明される例示的な実施態様及び添付図面を参照することによって、本承認申請に記載される発明の特徴及び利点をよりよく理解することができる。添付図面についての簡単な説明は以下の通り:
図1には、本承認申請に記載の抗原結合蛋白900581、900565が細胞表面上CD73との結合活性が示された。
【0059】
図2には、本承認申請に記載の抗原結合蛋白900581、900694~900698が細胞表面上CD73との結合活性が示された。
【0060】
図3には、本承認申請に記載の抗原結合蛋白900581、900694~900698により組換えCD73の酵素活性の抑制が示された。
【0061】
図4には、本承認申請に記載の抗原結合蛋白900581、900565により細胞表面上CD73の酵素活性の抑制が示された。
【0062】
図5には、本承認申請に記載の抗原結合蛋白900581、900697及び900698により細胞表面上CD73の酵素活性の抑制が示された。
【0063】
図6には、本承認申請に記載の抗原結合蛋白900581により細胞表面上CD73のエンドサイトーシスの誘導効率が示された。
【0064】
図7には、本承認申請に記載の抗原結合蛋白の結合エピトープの構造モデルが示された。
【0065】
図8A~8Cには、本承認申請に記載の抗原結合蛋白が900609との競合的結合活性が示された。
【0066】
図9には、本承認申請に記載の抗原結合蛋白によりインビボで腫瘍を治療する効果が示された。
【0067】
図10には、本承認申請に記載の抗原結合蛋白によりインビボで腫瘍を治療する効果が示された。
【0068】
特定の実施態様
以下の具体的な実施態様により、本承認申請における発明の実施態様を説明し、当該技術に詳しい当業者は本説明書に開示された内容により本承認申請における発明の他の利点及び効果を容易に理解できる。
【0069】
用語の定義
本承認申請において、用語「CD73」はまた、「NT5E」、「分化抗原群73」、「5-ヌクレオチダーゼ」(5’-NT)、或いは「細胞外5-ヌクレオチダーゼ」とも呼ばれる。前記用語は、「完全長」、未処理のCD73、及び細胞処理により生成されたあらゆる形態のCD73をカバーする。本承認申請において、用語「CD73」は、完全長野生型CD73及びその変異体、断片、バリアント、アイソフォーム及びホモログを含む。いくつかの実施態様において、前記CD73はヒトCD73を含んでもよい。例えば、ヒトCD73を対象とするする配列は、Uniprot登録番号P21589で見出すことができる。本承認申請において、前記CD73は例えば、SEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0070】
本承認申請において、用語「単離された」は、通常天然状態から人工的な手段により得られたものを指す。自然界に「単離」の物質或いは成分が発見される場合、それがいる自然環境が変化したか、又はそれが自然環境から分離されたか、又は両方の可能性もある。例えば、単離されていないポリヌクレオチド或いはポリペプチドは、ある動物生体内に自然に存在し、その自然状態から単離された高純度の同一のポリヌクレオチド或いはポリペプチドは、「単離された」と言われる。用語「単離された」は、人工物質或いは合成物質の混入を排除しなく、物質の活性に影響を与えない他の不純物の存在をも排除できない。
【0071】
本承認申請において、用語「単離された抗原結合蛋白」は、通常、抗原結合能を有するタンパク質のうち、その自然存在状態から離脱したものを指す。当該「単離された抗原結合蛋白」は、抗原に結合する部分や、任意に抗原結合部分が前記抗原結合部分による抗原の結合を促進するコンフォメーションを採用することを可能にするフレームワーク或いは骨格部分を含んでもよい。抗原結合蛋白は、例えば、抗体由来の蛋白フレームワーク領域(FR)、または移植されたCDRもしくはCDR誘導体を有する候補蛋白フレームワーク領域或いは人工フレームワーク領域を含んでもよい。それらのフレームワークには、突然変異(例えば、抗原結合蛋白の三次元構造を安定化させる変異)を導入された抗体由来のフレームワーク領域、及び生体適合性ポリマー等を含む完全合成のフレームワーク領域が含まれるが、これらに限定されない。例えば、「Korndorfer ら,2003,Proteins:Structure,Function,andBioinformatics,53(1):121-129(2003); Roque等, Biotechnol. Prog. 20:639-654(2004)」を参照する。 抗原結合蛋白の実例としては、ヒト抗体、ヒト化抗体;キメラ抗体;組換え抗体;単鎖抗体;二官能性抗体;三官能性抗体;四官能性抗体;Fab、Fab'、Fvフラグメント、F(ab')2、F(ab)2、scFv、di-scFv、dAb、IgD抗体;IgE抗体;IgM抗体;IgG1抗体;IgG2抗体;IgG3抗体;またはIgG4抗体及びその断片が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
本承認申請において、用語「CDR」は、「相補性決定領域」とも呼ばれ、一般に抗体の可変ドメインにおける領域を指し、その配列は高度に可変であり、及び/または構造ループを形成する。通常、抗体はVHにおける3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)、VLにおける3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)の合計6つのCDRを含む。いくつかの実施態様において、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の欠如の場合、その機能も正常かつ安定的である。例えば、「Hamers-Casterman et al., Nature 363:446-448 (1993); Sheriff et al, Nature Struct. Biol. 3:733-736 (1996)」を参照する。抗体CDRは、様々な番号付けシステムによって決定されことができ、例えば、CCG、Kabat、Chothia、IMGTなど、総合的に考えると、Kabat/Chothia等がよい。これらの番号付けシステムは当該技術分野で既知され、具体には、例えば、「http://www.bioinf.org.uk/abs/index.html#kabatnum」を参照してもよい。例えば、前記抗原結合蛋白のアミノ酸配列の番号付けは、IMGT番号付け方案「(IMGT, the international ImMunoGeneTics information system@imgt.cines.fr;http://imgt.cines.fr;Lefranc等, 1999, Nucleic Acids Res. 27: 209-212;Ruiz等,2000 Nucleic Acids Res. 28: 219-221;Lefranc等, 2001, Nucleic Acids Res. 29:207-209;Lefranc等, 2003, Nucleic Acids Res. 31: 307-310;Lefranc等, 2005, DevComp Immunol 29: 185-203)」に従うことができる。例えば、前記抗原結合蛋白のCDRは、Kabat番号付けシステム(例えば、「Kabat EA &Wu TT(1971)Ann NY AcadSci 190:382-391和Kabat EAet al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,FifthEdition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242」を参照)に従って決定されることができる。
【0073】
本承認申請において、用語「FR」は、一般にフレームワーク領域と呼ばれ、抗体の可変ドメインのより高度に保守的な部分を指す。通常、天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ4つのFR領域、すなわち、VHにおける4つ(H-FR1、H-FR2、H-FR3及びH-FR4)及びVLにおける4つ(L-FR1、L-FR2、L-FR3及びL-FR4)の領域を含む。
【0074】
本承認申請において、用語「可変ドメイン」及び「可変領域」は互換的に使用でき、一般に抗体の重鎖及び/又は軽鎖の一部を指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ「VH」及び「VL」(或いはそれぞれ「VH」及び「VL」)と呼ばれてもよい。これらのドメインは、通常、抗体の最も可変な部分であり(同じタイプの他の抗体に対して)、また抗原結合部位を含む。
【0075】
本承認申請において、用語「可変」は、一般に抗体の間で可変ドメインの一部のセグメントにおいて配列が著しく異なることを指す。可変ドメインは抗原結合を媒介し、また特定抗体のその特定抗原に対する特異性を決定する。しかし、可変ドメインの全範囲にわたって、可変性が均一に分布するわけではない。通常、軽鎖及び重鎖可変ドメインにおける高可変性領域(CDRまたはHVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中する。可変ドメインのより高度に保守的な部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ4つのFR領域を含み、そのほとんどがβ-フォールド構造であり、3つのCDRにより連結され、リング状連結を形成し、場合によってβ-フォールド構造の一部を形成する。各鎖のCDRはFR領域によって近接的に保持され、またもう一本の鎖のCDRと一緒に抗体の抗原結合部位の形成を促進する(「Kabat et al, Sequences of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institute of Health, Bethesda, Md. (1991)」を参照)。
【0076】
本承認申請において、用語「抗体」は、一般に免疫グロブリンまたはその断片またはその誘導体を指し、インビトロまたはインビボで産生されたかどうかにかかわらず、抗原結合部位を含む任意のポリペプチドをカバーする。該当用語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体、非特異性抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組換え抗体、ハイブリッド抗体、変異抗体及び移植抗体が含まれるが、これらに限定されない。「完全な抗体」のように「完全な」という用語で特に修飾されない限り、本発明の目的のために、用語「抗体」はまた、抗体断片(例えばFab、F(ab')2、Fv、scFv、Fd、dAb)や、抗原結合機能を保有する(例えば、ヒトCD73に特異的に結合する)他の抗体断片を含む。通常、このような断片は、抗原結合ドメインを含むべき。基本の4鎖抗体ユニットは、2本同一の軽(L)鎖と2本同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体糖タンパクである。IgM抗体は五つの基本のヘテロ四量体ユニットとJ鎖と呼ばれるポリペプチドからなり、10抗原結合部位を含むが、IgA抗体は2~5の基本4鎖ユニットを含み、そのユニットがJ鎖と結合・重合し多価のコンビネーションを形成することができる。IgGの場合、4鎖ユニットは通常約150,000ダルトンである。各L鎖は共有結合のジスルフィド結合によりH鎖と結合するが、2本のH鎖はH鎖のアイソタイプに応じて1つまたは複数のジスルフィド結合により相互に結合する。また、各H鎖とL鎖は、規則的な間隔の鎖内ジスルフィドブリッジ結合を有する。各H鎖はN末端に可変ドメイン(VH)を有し、α鎖とγ鎖の場合、それに続いてそれぞれ3つの定常ドメイン(CH)を有し、μ鎖とε鎖のアイソタイプの場合、それに続いて4つのCHドメインを有する。各L鎖はN末端に可変ドメイン(VL)を有し、他端に定常ドメインを有する。VLはVHに、CLは重鎖の第一定常ドメイン(CH1)に相応する。特定のアミノ酸残基が軽鎖と重鎖の可変ドメインの間に界面を形成することと考えられる。VHとVLがペアになって単一の抗原結合部位を形成する。異なる種類の抗体の構造と特性については、例えば、「Basic and Clinical Immunology, 8th Edition, Daniel P. Sties, Abba I. Terr and Tristram G. Parsolw (eds), Appleton & Lange, Norwalk, Conn., 1994,71ページと第6章」を参照する。あらゆる脊椎動物種由来のL鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの異なるタイプに分類することができ、κ鎖及びλ鎖と呼ばれる。免疫グロブリンは、重鎖(CH)の定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、異なるタイプまたはアイソタイプに分類することができる。現在、免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つのタイプが存在し、それぞれα、δ、ε、γ及びμと名付けられた重鎖を有する。
【0077】
本承認申請において、用語「抗原結合断片」は、一般に抗原(例えば、CD73)に特異的に結合する能力を有する1つまたは複数の断片を指す。本承認申請において、前記抗原結合断片は、Fab、Fab'、F(ab)2、Fv断片、F(ab')2、scFv、di-scFv及び/又はdAbを含んでもよい。
【0078】
本承認申請において、用語「Fab」は、一般に抗体の抗原結合断片を指す。上記のように、パパインを使用して完全な抗体を消化してもよい。抗体がパパインにより消化された後、2つの同一の抗原結合断片(即ち「Fab」断片)と残存の「Fc」断片(即ち、Fc領域、同上)が生成される。「Fab」断片は1本完全なL鎖や1本重鎖の可変領域、及びそのH鎖(VH)の第一定常領域(CH1)からなる。
【0079】
本承認申請において、用語「Fab′断片」は、一般にFab断片よりわずかに大きなヒトモノクローナル抗体の一価抗原結合断片を指す。例えば、Fab′断片は全部の軽鎖、全部の重鎖可変領域、及び重鎖の全部或いは一部の第一及び第二定常領域を含んでもよい。例えば、Fab′断片は、また重鎖の一部又は全部の220~330アミノ酸残基を含んでもよい。
【0080】
本承認申請において、用語「F(ab')2」は、一般にペプシンにより完全な抗体を消化することによって生成された抗体断片を指す。F(ab')2断片は、ジスルフィド結合により一緒に保持された2つのFab断片及びヒンジ領域の一部を含有する。F(ab')2断片は二価抗原結合活性を有し、また抗原と連結することができる。
【0081】
本承認申請において、用語「Fv断片」は、一般にヒトモノクローナル抗体の一価抗原結合断片を指し、全部又は一部の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、さらに重鎖定数領域及び軽鎖定数領域が欠如する。重鎖可変領域及び軽鎖可変領域には、例えば、CDRが含まれる。例えば、Fv断片は、重鎖及び軽鎖の約110アミノ酸のアミノ末端可変領域の全部又は一部を含む。
【0082】
本承認申請において、用語「scFv」は、一般に軽鎖を含む少なくとも1つの可変領域の抗体断片と重鎖を含む少なくとも1つの可変領域の抗体断片を含む融合タンパク質を指し、その中に記載の軽鎖及び重鎖可変領域は隣接し(例えば、短く柔軟なポリペプチドリンカー等の合成リンカーによる隣接)、さらに単鎖ポリペプチドの形態により発現することができ、かつ前記scFvはその完全な抗体由来の特異性を保持する。特に説明しない限り、本承認申請において使用されるように、scFvは前記のVL及びVH可変領域を任意の順序(例えば、ポリペプチドのN末端及びC末端に対して)で有することができ、VL-リンカー-VH或いはVH‐リンカー-VLを含んでもよい。
【0083】
本承認申請において、用語「dAb」は、一般にVHドメイン、VLドメインを有すること、またはVHドメイン或いはVLドメインの抗原結合断片を有することを指す。例えば、「Wardら(Nature,1989Oct 12;341(6242):544-6)」等、「Holtら,Trends Biotechnol.,2003,21(11):484-490」、例えば、WO 06/030220、WO 06/003388及びDomantisLtd等の他の公開特許出願を参照する。
【0084】
本承認申請において、用語「モノクローナル抗体」は、一般に単一分子からなる抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体は、一般に単一の抗原部位に対して高い特異性を有する。さらに、従来のポリクローナル抗体製剤(通常、異なる決定基を対象とする異なる抗体を有する)と異なり、個々のモノクローナル抗体は抗原上の単一決定基を対象とする。モノクローナル抗体は、その特異性に加えて、ハイブリドーマ培養により合成することができ、他の免疫グロブリンにより汚染されないという利点がある。「モノクローナル」という修飾語は、基本的に同質の抗体集団から得られた抗体の特徴を示し、さらに特定の方法により抗体を生成する必要とするものと解釈されることがない。例えば、本承認申請で使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ細胞で調製されてもよいし、組換えDNA技術により調製されてもよい。
【0085】
本承認申請において、用語「キメラ抗体」は、一般にその中の可変領域がある種に由来するが、定常領域が別の種に由来する抗体を指す。通常、可変領域はげっ歯類などの実験動物の抗体(「親抗体」)に由来し、また定常領域はヒト抗体に由来するため、得られるキメラ抗体は、親(例えばマウス由来)抗体と比べ、ヒト個体で有害な免疫反応を引き起こす可能性が低くなる。
【0086】
本承認申請において、用語「ヒト化抗体」は、一般に非ヒト抗体(例えば、マウス抗体)のCDR領域外のアミノ酸の一部または全部が、ヒト免疫グロブリン由来のアミノ酸により置換された抗体を指す。CDR領域において、アミノ酸のわずかな追加、削除、挿入、置換または修飾も、抗体が特定の抗原に結合する能力が保持される限り、許可される。ヒト化抗体は、任意にヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。「ヒト化抗体」は、原始抗体と類似な抗原特異性を保持する。非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンの配列に由来するキメラ抗体を最低限に含んでもよい。場合によっては、ヒト免疫グロブリン(アクセプター抗体)のCDR領域の残基を所望の特性、親和性及び/又は能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)(例えば、マウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類)のCDR領域の残基で置換してもよい。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFR領域の残基を相応の非ヒト残基で置換してもよい。また、ヒト化抗体は、アクセプター抗体又はドナー抗体には存在しないアミノ酸修飾を含んでもよい。結合親和性など抗体の性能をさらに向上させるため、これらの修飾を行う。
【0087】
用語「完全ヒト抗体」は、通常、ヒト免疫グロブリンのタンパク質配列のみを含む抗体を指す。完全ヒト抗体は、マウス、マウス細胞、又はマウス細胞由来のハイブリドーマで産生される場合、マウスの糖鎖を含むことが可能である。同様に、「マウス抗体」又は「ラット抗体」という用語は、それぞれマウス又はラットの免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。完全ヒト抗体は、ヒトに、またヒト免疫グロブリン生殖系列配列を有するトランスジェニック動物において、ファージディスプレイ又は他の分子生物学的方法により生成することができる。抗体を生産するために使用できる例示的技術は、米国特許第6,150,584、6,458,592、6,420,140号に記載されている。ライブラリの使用など、他の技術も当該分野で既知されている。
【0088】
本承認申請において、用語「ポリペプチド分子」と「ポリペプチド」、「ペプチド」は、互換的に使用することができ、一般にアミノ酸残基のポリマーを指す。用語「融合タンパク質」は、一般に共有結合された少なくとも2つの部分を有するポリペプチドを指す。その中に、各部分は異なる特性を有するポリペプチドであってもよい。当該特性は、インビトロまたはインビボ活性のような生物学的特性であってもよい。また、当該特性は、標的分子との結合、反応の触媒作用等の単純な化学的または物理学的特性であってもよい。その2つの部分は、単一のペプチド結合によって直接的に連結されてもよいし、ペプチドリンカーによって連結されてもよい。
【0089】
本承認申請において、用語「核酸分子」は、一般にあらゆる長さの単離形態のヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、またはその天然環境から単離もしくは人工合成されたアナログを指す。
【0090】
本承認申請において、用語「ベクター」は、一般にあるタンパク質をコードするポリヌクレオチドがその中に挿入することができ、さらにタンパク質を発現させる核酸送達ツールを指す。ベクターは、宿主細胞を形質転換、形質導入またはトランスフェクションすることによって、担持する遺伝物質要素が宿主細胞内に発現させることにより発現される。
【0091】
例として、ベクターとしては、プラスミド;ファージ粒子;コスミド;酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)またはP1由来の人工染色体(PAC)などの人工染色体;λファージまたはM13ファージなどのファージ、及び動物ウイルス等が挙げられる。ベクターとして用いられる動物ウイルスの種類は、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス等)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピロマウイルス、パポーバウイルス(例えば、SV40)を含んでもよい。一種類のベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択要素及びレポーター遺伝子など、発現を制御する様々な要素を含む可能性がある。さらに、ベクターは、複製起点を含んでもよい。ベクターは、ウイルス粒子、リポソームまたはタンパク質シェルなど、細胞への進入を補助する成分を含むこともあるが、これらの物質には限らない。
【0092】
本承認申請において、用語「細胞」は、一般に可能の対象或いは対象のプラスミドまたはベクターのアクセプターの単細胞、細胞株又は細胞培養物を指し、本発明に記載の核酸分子又はベクターを含む。細胞は、単細胞の継代を含んでもよい。継代は自然、偶発的又は意図的な変異により、必ずしも始原母細胞と同一でなくてもよい(全コンプレメンタリーDNAの形態又はゲノムの面で)。細胞は、本承認申請に記載のベクターによりインビトロでトランスフェクトされた細胞を含む。細胞は、細菌細胞(例えば、大腸菌)、酵母細胞或いは他の真核細胞、例えば、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CHO-K1細胞、LNCAP細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、COS-1細胞、NS0細胞等であってもよい。いくつかの実施態様において、細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施態様において、哺乳動物細胞はHEK293細胞である。
【0093】
本承認申請において、用語「免疫コンジュゲート」は、一般に前記の他の薬剤(例えば、化学療法薬剤、放射性元素、細胞増殖阻害剤、及び細胞障害性薬剤)と前記抗体或いはその抗原結合断片とのコムポーズ(例えば、分子の連結による共有結合)により形成されたコンジュゲートを指し、そのコンジュゲートは前記抗体又はその抗原結合断片により標的細胞上の抗原に特異的に結合し、前記他の薬剤を標的細胞(例えば、腫瘍細胞)に送達する。
【0094】
本承認申請において、用語「医薬組成物」は、一般に疾患又は障害の予防/治療に用いられる組成物を指す。前記医薬組成物は、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白、核酸分子、ベクター及び/又は細胞、並びに任意に薬学的に受容可能なキャリアを含んでもよい。なお、前記医薬組成物は、1つ或いは複数の(薬学的に有効なもの)キャリア、安定剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤及び/または防腐剤の適切な製剤をも含んでもよい。組成物の受容可能なな成分は、好ましくは、使用される用量及び濃度下でアクセプターに対して無毒性である。本発明の医薬組成物には、液体、冷凍及び凍結乾燥組成物が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
本承認申請において、用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、一般に使用される用量及び濃度で曝露される細胞又は哺乳動物に対して無毒性である薬学的に受容可能なベクター、賦形剤又は安定化剤を含む。生理学的に受容可能なベクターとしては、例えば、緩衝剤、抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)ペプチド、タンパク質、親水性ポリマー、アミノ酸、単糖、二糖及び他の炭水化物、キレート剤、糖アルコール、ナトリウム等の塩形成対イオン、及び/又は非イオン界面活性剤を挙げることができる。
【0096】
本承認申請において、用語「特異的結合」又は「特異的な」は、一般に測定可能及び再現可能の相互作用を指し、例えば、標的と抗体の結合等、分子(生体分子を含む)の異質な集団の存在下で標的の存在を決定することができる。例えば、標的(エピトープであってもよい)に特異的に結合する抗体は、他の標的と結合することより大きな親和性、親和力、より容易に及び/又はより長い時間でその標的と結合する抗体であってもよい。いくつかの実施態様において、抗体は、タンパク質上のエピトープに特異的に結合し、前記エピトープがタンパク質の異なる種において保守的である。いくつかの実施態様において、特異的結合は、排他的な結合を含むことができるが、排他的な結合を必要としない。
【0097】
本承認申請において、用語「対象」は、一般にヒト又は非ヒト動物を指し、猫、犬、馬、豚、乳牛、羊、ウサギ、マウス、ラット又はサルを含むが、これらに限定されない。
【0098】
用語「腫瘍」は、通常、任意の新たな病理学的組織過形成を指す。腫瘍細胞は、局所的に、又は血流及びリンパ系を介して、身体の他の部位に広がることができる。本承認申請において、前記腫瘍は、良性腫瘍及び悪性腫瘍の両方を含む。本承認申請において、前記腫瘍は、固形腫瘍及び/又は血液腫瘍を含む。本承認申請において、前記腫瘍は、癌を含む。本承認申請において、前記腫瘍の実例としては、神経膠腫、乳癌、黒色腫、非小細胞肺癌、膀胱癌、卵巣癌、及び大腸癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
本承認申請において、用語「活性化」は、一般に不活性状態から活性状態への変換を指す。いくつかの実施態様において、CD73の活性化のブロックまたは低減は、CD73の触媒活性なしの伸展したコンフォメーションから触媒活性の屈曲したコンフォメーションへの変換をブロックまたは低減することを指す。
【0100】
本承認申請において、用語「低減」は、一般に元の水準と比較して数量及び/又は程度上に低減することを指す。例えば、CD73の活性化の前記低減は、前記単離された抗原結合蛋白の非存在状態と比較し、CD73の活性化を少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍又は少なくとも約100倍に低減させることを指す。
【0101】
本承認申請において、関わるタンパク質、ポリペプチド及び/又はアミノ酸配列は、少なくとも前記タンパク質又はポリペプチドと同一又は類似の機能を有するバリアント又はホモログを含むことと理解されるべき。
【0102】
本承認申請において、前記バリアントは、例えば、前記タンパク質及び/又はポリペプチド(例えば、CD73タンパク質に特異的に結合する抗体又はその断片)のアミノ酸配列において一つ又は複数のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたタンパク質又はポリペプチドであってもよい。例えば、前記機能的バリアントは、少なくとも1つ、例えば1~30、1~20又は1~10、例えば1、2、3、4又は5個のアミノ酸置換、欠失及び/又は挿入によりアミノ酸変化を有するタンパク質又はポリペプチドを含んでもよい。前記機能的バリアントは、変化(例えば、置換、欠失又は付加)前の前記タンパク質又はポリペプチドの生物学的特性を実質的に維持することができる。例えば、前記機能的バリアントは、変化前の前記タンパク質又はポリペプチドの生物学的活性(例えば、抗原結合能)の少なくとも60%、70%、80%、90%、又は100%を維持することができる。例えば、前記置換は保守的置換であってもよい。
【0103】
本承認申請において、前記ホモログは、前記タンパク質及び/又はポリペプチド(例えば、CD73タンパクに特異的に結合する抗体又はその断片)のアミノ酸配列と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上の同一性を有する)の配列同一性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。
【0104】
本承認申請に、前記同一性は、一般に2つ或いは複数の配列間の類似性、相似性又は関連性を指す。「配列同一性パーセント」は、以下の方式により算出される:比較ウインドウ内で比較対象としての2つの配列を比較し、両配列に一致する核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)又は一致するアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys及びMet)の位置数を決定することによりマッチング位置の数を求め、マッチング位置の数で比較ウインドウ内の全位置数(即ち、ウインドウ範囲)を割り、またその結果を100をかけ、配列同一性パーセントを算出する。配列同一性パーセントを確認するために行われる比較は、当業界で既知の様々な方法で達成することができる。例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェア等開示されたコンピュータソフトウェアを使用する。当業者は、配列を比較するための適切なパラメータを決定することができ、比較されている全長配列範囲内又は標的配列領域内で最大限の比較を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む。前記同一性はまた、以下の方法によって測定できる。例えば、FASTA及びBLAST。FASTAアルゴリズムに対する説明については、W. R. Pearson及びD. J. Lipmanの「生物学的配列比較のための改良型ツール」、米国科学アカデミー紀要「 (Proc. Natl. Acad. Sci.), 85: 2444-2448, 1988」とD. J. Lipman及びW. R. Pearsonの「高速・高感度なタンパク質類似性検索, Science, 227: 1435-1441, 1989」を参照してもよい。BLASTアルゴリズムに対する説明については、S.Altschul、W.Gish、W.Miller、E.W.Myers及びD.Lipmanの「基本的な局所比較(alignment)の検索ツール、分子生物学雑誌, 215: 403-410, 1990」を参照してもよい。
【0105】
本承認申請において、用語「含む」は、一般に「包含する」、「総括する」、「含有する」または「包括する」という意味を指す。場合によっては、「......である」、「......からなる」という意味もある。
【0106】
本承認申請において、用語「約」は、典型的に、指定の数値より大きい或いは小さいの0.5%~10%の範囲内で変化することを指す。例えば、指定の数値より大きい或いは小さいの0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10%の範囲内で変化する。
【0107】
発明の詳細な説明
単離された抗原結合蛋白
抗体のCDRは相補性決定領域とも呼ばれ、可変領域の一部である。該当領域のアミノ酸残基は、抗原または抗原エピトープに接触することができる。抗体CDRは、様々な番号付けシステムによって確認することができる。例えば、CCG、Kabat、Chothia、IMGTなど、総合的に考えると、Kabat/Chothiaがよい。これらの番号付けシステムは当該技術分野で既知され、具体には、例えば、「http://www.bioinf.org.uk/abs/index.html#kabatnum」を参照する。当業者は、抗体の配列及び構造に基づいて、異なる番号付けシステムを使用し、CDR領域を確認することができる。異なる番号付けシステムを使用する場合、CDR領域に差異が存在するかもしれない。本承認申請において、前記CDRは、任意のCDR分類方式に従って得られたCDR配列をカバーする;またそのバリアントをもカバーし、前記バリアントは、1つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失及び/又は付加後の前記CDRのアミノ酸配列を含み、例えば、1~30個、1~20個または1~10個、また例えば1、2、3、4、5、6、7、8または9個のアミノ酸置換、欠失及び/または挿入される;さらにそのホモログをカバーし、前記ホモログは前記CDRのアミノ酸配列と少なくとも約85%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上の同一性を有する)の配列同一性を有するアミノ酸配列であってもよい。いくつかの実施態様において、前記CDRは、IMGT番号付け方案によっ確認される。
【0108】
一方、本承認申請は、HCDR3を含む単離された抗原結合蛋白を提供し、前記HCDR3は、SEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0109】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、またHCDR2を含んでもよく、前記HCDR2は、SEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0110】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、またHCDR1を含んでもよく、前記HCDR1は、SEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0111】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、HCDR3、HCDR2及びHCDR1を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のHCDR3は、SEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、HCDR1はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0112】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、LCDR3を含んでもよく、前記LCDR3は、SEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0113】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、LCDR2を含んでもよく、前記LCDR2は、SEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0114】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、LCDR1を含んでもよく、前記LCDR1は、SEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0115】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、LCDR3、LCDR2及びLCDR1を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のLCDR3は、SEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、LCDR1はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0116】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、HCDR3、HCDR2、HCDR1、LCDR3、LCDR2及びLCDR1を含んでもよい。例えば、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白のHCDR3は、SEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、HCDR2は、SEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、HCDR1はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、LCDR3はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、LCDR1はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0117】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、H-FR1を含んでもよい。前記H-FR1のC末端は、前記HCDR1のN末端に直接または間接的に連結してもよい。前記H-FR1は、SEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 15またはSEQ ID NO: 19に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0118】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、H-FR2を含んでもよい。前記H-FR2は、前記HCDR1とHCDR2の間に位置してよい。前記H-FR2は、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 16又はSEQ ID NO: 21に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0119】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、H-FR3を含んでもよい。前記H-FR3は、前記HCDR2とHCDR3の間に位置してもよい。前記H-FR3は、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 20又はSEQ ID NO: 22に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0120】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、H-FR4を含んでもよい。前記H-FR4のN-末端は、前記HCDR3のC-末端に連結してもよい。前記H-FR4は、SEQ ID NO:10またはSEQ ID NO:18に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0121】
本承認申請において、前記抗原結合蛋白は、H-FR1、H-FR2、H-FR3及びH-FR4を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のH-FR1、H-FR2、H-FR3及びH-FR4は、それぞれその順番にSEQ ID NO: 7、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9及びSEQ ID NO: 10に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のH-FR1、H-FR2、H-FR3及びH-FR4は、それぞれその順番にSEQ ID NO: 15、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 17及びSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のH-FR1、H-FR2、H-FR3及びH-FR4は、それぞれその順番にSEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 16、SEQ ID NO: 20及びSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のH-FR1、H-FR2、H-FR3及びH-FR4は、それぞれその順番にSEQ ID NO: 19、SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22及びSEQ ID NO: 18に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0122】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、L-FR1を含んでもよい。前記L-FR1のC末端は、前記LCDR1のN末端に直接又は間接的に連結してもよい。前記L-FR1は、SEQ ID NO:11又はSEQ ID NO:23に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0123】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、L-FR2を含んでもよい。前記L-FR2は、前記LCDR1とLCDR2の間に位置してもよい。前記L-FR2は、SEQ ID NO: 12又はSEQ ID NO: 24に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0124】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、前記L-FR3を含んでもよい。前記L-FR3は、前記LCDR2とLCDR3の間に位置してもよい。前記L-FR3は、SEQ ID NO: 13、SEQ ID NO: 25、SEQ ID NO: 27又はSEQ ID NO: 28に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0125】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、L-FR4を含んでもよい。前記L-FR4のN-末端は、前記LCDR3のC-末端に連結してもよい。前記L-FR4は、SEQ ID NO:14又はSEQ ID NO:26に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0126】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、L-FR1、L-FR2、L-FR3及びL-FR4を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のL-FR1、L-FR2、L-FR3及びL-FR4はそれぞれその順番にSEQ ID NO: 11、SEQ ID NO: 12、SEQ ID NO: 13及びSEQ ID NO : 14に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のL-FR1、L-FR2、L-FR3及びL-FR4は、それぞれその順番にSEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25及びSEQ ID NO: 26に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のL-FR1、L-FR2、L-FR3及びL-FR4は、それぞれその順番にSEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 27及びSEQ ID NO: 26に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白のL-FR1、L-FR2、L-FR3及びL-FR4は、それぞれその順番にSEQ ID NO: 23、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 28及びSEQ ID NO: 26に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0127】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、VHを含んでもよい。前記VHは、SEQ ID NO: 29、SEQ ID NO: 31、SEQ ID NO: 33又はSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0128】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白はVLを含んでもよい。前記VLはSEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 34又はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0129】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、前記VH及びVLを含んでもよい。いくつかの実施態様において、前記VHは、SEQ ID NO: 29に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記VLは、SEQ ID NO: 30に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。いくつかの実施態様において、前記VHは、SEQ ID NO: 31に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記VLは、SEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。いくつかの実施態様において、前記VHは、SEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記VLは、SEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。いくつかの実施態様において、前記VHは、SEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記VLは、SEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。いくつかの実施態様において、前記VHは、SEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記VLは、SEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。いくつかの実施態様において、前記VHは、SEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、前記VLは、SEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0130】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、本承認申請に記載のVHの少なくとも1つのCDRを含んでもよい。本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、本承認申請に記載のVLの少なくとも1つのCDRを含んでもよい。前記CDRは、任意の分類方式に従って得られてもよい。
【0131】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、本承認申請に記載のVHのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含んでもよい。前記VHは、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:33又はSEQ ID NO:35に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0132】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、本承認申請に記載のVLのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含んでもよい。前記VLは、SEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 34又はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0133】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、抗体重鎖定常領域を含んでもよい。前記抗体重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖定常領域由来であってもよい。いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、抗体重鎖定常領域を含んでもよく、また前記抗体重鎖定常領域は、ヒトIgG1重鎖定常領域由来であってもよい。
【0134】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、抗体軽鎖定常領域を含んでもよい。前記抗体軽鎖定常領域は、ヒトIgκ定常領域由来であってもよい。
【0135】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、抗体またはその抗原結合断片を含んでもよい。
【0136】
いくつかの実施態様において、前記抗原結合断片は、Fab、Fab'、Fv断片、F(ab')2、F(ab)2、scFv、di-scFv及び/又はdAbを含んでもよい。
【0137】
いくつかの実施態様において、前記抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体及び/又は完全ヒト抗体を含んでもよい。
【0138】
例えば、前記キメラ抗体のVHは、SEQ ID NO: 29に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、また前記キメラ抗体のVLは、SEQ ID NO: 30に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0139】
例えば、前記ヒト化抗体のVHがSEQ ID NO: 31に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、また前記ヒト化抗体のVLがSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0140】
例えば、前記ヒト化抗体のVHがSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、また前記ヒト化抗体のVLがSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0141】
例えば、前記ヒト化抗体のVHがSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、また前記ヒト化抗体のVLがSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0142】
例えば、前記ヒト化抗体のVHがSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、また前記ヒト化抗体のVLがSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0143】
例えば、前記ヒト化抗体のVHがSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、また前記ヒト化抗体のVLがSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0144】
なお、説明する必要があるのは、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白が、1つまたは複数の保守的配列修飾を存在する重鎖配列及び/又は軽鎖配列を含んでもよい。「保守的配列修飾」とは、抗体の結合特性を有意に影響しないまたは変更しないアミノ酸修飾を指す。そのような保存的な修飾は、アミノ酸の置換、付加、及び欠失を含む。当該技術分野で既知される標準技術(例えば、点変異やPCR媒介の変異)によって、修飾を本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白に導入することができる。保守的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基により置換されることを指す。類似の側鎖を有するアミノ酸残基群は、当該技術分野で既知されている。それらのアミノ酸残基群には、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐鎖側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。いくつかの実施態様において、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白のCDR領域における1つまたは複数のアミノ酸残基は、同じ側鎖群の他のアミノ酸残基により置換されてもよい。当業者は、いくつかの保存的配列の修飾が抗原の結合特性の喪失をもたらさないことを知っており、具体的には、例えば、「Brummell et al., (1993) Biochem 32:1180-8; de Wildt et al., (1997) Prot. Eng. 10:835-41; Komissarov et al., (1997) J. Biol. Chem. 272:26864-26870; Hall et al., (1992) J. Immunol. 149:1605-12; Kelley and O'Connell (1993)Biochem.32:6862-35; Adib-Conquy et al., (1998) Int. Immunol.10:341-6 and Beers et al., (2000) Clin. Can. Res. 6:2835-43」を参照する。
【0145】
本承認申請に記載のCD73抗原結合蛋白は、当該技術分野で既知された様々な測定法によって同定、スクリーニングまたはレプリゼンテーションされることができる。
【0146】
例えば、本承認申請の抗原結合蛋白或いは融合タンパク質の抗原結合活性は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、イムノブロット法(例えば、ウェスタンブロット法)、フローサイトメトリー(例えば、FACS)、免疫組織化学、免疫蛍光など既知の方法によって測定することができる。
【0147】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73又はその機能的活性化断片に特異的に結合することができる。
【0148】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、Biacoreにより親和性スクリーニングを行うことができる。前記単離された抗原結合蛋白は、5×10-9M以下のKDでCD73蛋白に結合することができる。例えば、本承認申請に記載の抗原結合蛋白は、約4×10-9M未満、約3×10-9M未満、約2×10-9M未満、約1×10-9M未満、約7×10-10M未満、約6×10-10M未満、約5×10-10M未満、約4×10-10M未満、約3×10-10M未満、約2×10-10M未満、約1×10-10M未満、約9×10-11M未満、約5×10-11M未満、約2×10-11M未満のKDでCD73に結合することができる。いくつかの実施態様において、本承認申請はまた、FACS方法により抗原結合蛋白と抗原の結合活性を測定することを含む。例えば、本承認申請に記載の抗原結合蛋白は、約0.5 μg/mL以下、約0.4 μg/mL以下、約0.3 μg/mL以下、約0.2 μg/mL以下、約0.1 μg/mL以下のEC50値で細胞表面のヒトCD73に結合することができる。例えば、本承認申請に記載の抗原結合蛋白は、約0.4 μg/mL以下、約0.3 μg/mL以下、約0.2 μg/mL以下、約0.1 μg/mL以下のEC50値で細胞表面のヒトCD73に結合することができる。
【0149】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73に結合することができる。いくつかの実施態様において、本承認申請に記載の抗原結合蛋白は、サルのCD73と交差反応することもできる。例えば、FACSによって測定する。本承認申請において、「交差反応」は、一般に抗体が別の種由来の同一性タンパク質と反応する能力を指す。
【0150】
いくつかの実施態様において、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白は、マウス及び/又はラットのCD73に結合しない。
【0151】
例えば、ELISA法によって効力を測定することができる。例えば、FACS法によって前記単離された抗原結合蛋白の結合活性または機能的活性を測定することができる。例えば、前記単離された抗原結合蛋白について、親和性測定を行うことができる。
【0152】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73の活性化をブロック又は低減することができる。例えば、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73の触媒活性なしの伸展したコンフォメーションから触媒活性の屈曲したコンフォメーションへの変換をブロックまたは減少することができる。例えば、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73の触媒中心を閉鎖することによって、CD73の酵素活性を抑制することができる。
【0153】
いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白の結合エピトープは、水素重水素交換質量分析(HDX-MS)により測定することができる。いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、CPI-006抗体(Corvus)と競合的結合活性を有する。
【0154】
本承認申請において、前記CD73と結合する場合、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73のN末端ドメインの143-NIKAKGPLASQISGL-157領域(SEQ ID NO: 37)又はそれに相応するCD73配列、178-SKETPFLSNPGTNL-191領域(SEQ ID NO: 38)又はそれに相応する CD73配列、及びCD73のC末端ドメインの381-WNHVSM-386領域(SEQ ID NO: 39)またはれれに相応するCD73配列における少なくとも1つのアミノ酸残基と結合する。
【0155】
本承認申請において、「それに相応するCD73配列」は、そのホモログ(或いは別の種由来のCD73)における相応する位置のアミノ酸配列を指す。
【0156】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、CD73の酵素活性を抑制することができる。例えば、前記単離された抗原結合蛋白は、組換えCD73に対して酵素活性抑制作用を有する。例えば、前記単離された抗原結合蛋白は、ヒトCD73に対して酵素活性抑制作用を有する。本承認申請に記載の酵素活性は、当該技術分野において一般に使用される任意の方法により測定し得られる。前記酵素活性の測定は、CD73抗原結合蛋白と組換えCD73蛋白を混合し、AMP及びATPを加え、CellTiter-Glo(登録商標)基質をCellTiter-Glo(登録商標)緩衝液に加え、よく混合し、室温に平衡化し反応させ、全波長の測定を行うことを含んでもよい。例えば、前記単離された抗原結合蛋白は、約0.8 μg/mL以下、約0.7 μg/mL以下、約0.6 μg/mL以下、約0.5 μg/mL以下、約0.4 μg/mL以下、約0.3 μg/mL以下、約0.2 μg/mL以下のEC50値で組換えCD73蛋白の酵素活性を抑制することができる。例えば、前記単離された抗原結合蛋白は、約6 μg/mL以下、約5 μg/mL以下、約4 μg/mL以下、約3 μg/mL以下、約2 μg/mL以下、約1 μg/mL以下、0.5 μg/mL以下のEC50値で細胞膜上CD73蛋白の酵素活性を抑制することができる。
【0157】
本承認申請において、前記単離された抗原結合蛋白は、細胞表面上CD73のエンドサイトーシスを誘導することができる。いくつかの実施態様において、蛋白のエンドサイトーシスは、蛍光標識の方法によって判明することができる。例えば、フローサイトメトリーを使用し、細胞の蛍光強度を測定することによって、前記抗原結合蛋白が細胞表面上CD73のエンドサイトーシスを誘導する効率を得ることができる。いくつかの実施態様において、前記単離された抗原結合蛋白は、約50%以上の効率でCD73のエンドサイトーシスを誘導することができる。
【0158】
ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び医薬組成物
一方、本承認申請は、ポリペプチド分子を提供し、そのポリペプチド分子は本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白を含んでもよい、。
【0159】
いくつかの実施態様において、前記ポリペプチド分子は、融合タンパク質を含んでもよい。いくつかの実施態様において、前記ポリペプチド分子は、融合タンパク質であってもよい。
【0160】
一方、本承認申請は、単離された核酸分子を提供し、その核酸分子は本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白をコードすることができる。例えば、以下の方法によって生成或いは合成することができる:(i)インビトロで増幅すること、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅して生成する;(ii)クローン組換えにより生成されること;(iii)精製すること、例えば、酵素処理及びゲル電気泳動により分級分離する;または(iv)合成すること、例えば、化学合成により合成する。
【0161】
一方、本承認申請は、一種類のベクターを提供し、そのベクターは本承認申請に記載の核酸分子を含んでもよい。なお、前記ベクターは、他の遺伝子を含んでいてもよい。例えば、好適な宿主細胞において、好適な条件下でそのベクターのマーカー遺伝子を選択することができる。なお、前記ベクターは、好適な宿主においてコーディング領域の正しい発現を可能にする発現制御要素を含んでもよい。このような制御要素は当業者によく知られており、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー、及び遺伝子転写又はmRNA翻訳を制御する他の制御要素等を含んでもよい。前記ベクターは、その中に担持された遺伝物質要素が宿主細胞内で発現するように、宿主細胞を形質転換、形質導入又はトランスフェクションすることにより発現させることができる。前記ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、ファージ、又は、遺伝子工学等においてよく使用される他のベクターを含んでもよい。例えば、前記ベクターは、発現ベクターである。なお、前記ベクターは、ウイルス粒子、リポソーム、タンパク質シェルなど細胞内への進入を補助する成分を含んでもよいが、これらの物質だけに限定されない。
【0162】
一方、本承認申請は、一種類の細胞を提供し、その細胞は本承認申請に記載の核酸分子又はベクターを含んでもよい。いくつかの実施態様において、各種類または個々の宿主細胞は、本承認申請に記載の核酸分子またはベクターのうちの1つまたは一種類を含んでもよい。いくつかの実施態様において、各種類または個々の宿主細胞は、本承認申請に記載の核酸分子またはベクターのうちの複数(例えば、二つ以上)または多種類(例えば、2種類以上)を含んでもよい。例えば、本承認申請に記載のベクターを前記宿主細胞(例えば、植物由来の細胞、真菌又は酵母細胞等の真核細胞)に導入してもよい。いくつかの実施態様において、前記細胞は、細菌細胞(例えば、大腸菌)、酵母細胞、又は他の真核細胞、例えば、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、CHO-K1細胞、LNCAP細胞、HeLa細胞、293T細胞、COS-1細胞、SP2/0細胞、NS0細胞またはミエローマ細胞であってもよい。当該技術分野で既知の方法によって本承認申請に記載のベクターを前記宿主細胞に導入することができる。例えば、エレクトロポレーション、リポフェクティントランスフェクション、リポフェクタミントランスフェクション等。
【0163】
一方、本承認申請は、免疫コンジュゲートをも提供し、その免疫コンジュゲートは本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白を含んでもよい。
【0164】
いくつかの実施態様において、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白又はその断片を、化学療法剤、毒素、免疫療法剤、イメージングプローブ、ビームスブリッタプローブ等の他の薬剤と連結させることができる。その連結は、1つまたは複数の共有結合、または非共有結合によって相互作用してもよく、またキレーションを含んでもよい。様々なリンカー(前記リンカーが当該技術分野で既知される)を使用して、免疫コンジュゲートを形成してもよい。また、免疫コンジュゲートは融合タンパク質の形態で提供することができ、免疫コンジュゲートをコードするポリヌクレオチドによって発現される。前記免疫コンジュゲートはまた、例えば、抗体-薬物複合体(ADC)を含んでもよい。適切な薬剤には、細胞毒性剤、アルキル化剤、DNA小溝結合分子、DNAインターカレーター薬剤、DNA架橋剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、核輸出阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、トポイソメラーゼIまたはIIの阻害剤、ヒートショックプロテイン阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗生物質及び抗有糸分裂剤が含まれる。ADCにおいて、抗体と治療薬は、切断可能なリンカー、例えばペプチド系リンカー、ジスルフィド系リンカーまたはヒドラジン系リンカーによって架橋されることができる。
【0165】
一方、本承認申請は、医薬組成物をも提供し、その医薬組成物は本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白、ペプチド分子、免疫コンジュゲート、核酸分子、ベクター及び/又は細胞、並びに任意に薬学的に受容可能なキャリアを含んでもよい。
【0166】
いくつかの実施態様において、前記医薬組成物は、一種類または複数の(薬学的に有効な)補助剤、安定剤、賦形剤、希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、乳化剤及び/又は保存剤等の好適な製剤を含んでもよい。組成物の受容可能なな成分は、好ましくは、使用される用量及び濃度下でアクセプターに対して無毒性である。本発明の医薬組成物には、液体、冷凍及び凍結乾燥組成物が含まれるが、これらに限定されない。
【0167】
いくつかの実施態様において、前記医薬組成物はまた、一種類以上の活性化合物、典型的には、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有する化合物を含んでもよい。そのような薬物の種類及び有効量は、例えば、製剤中に存在する拮抗剤の量及び種類、並びに対象の臨床パラメータにより決定される。
【0168】
いくつかの実施態様において、前記薬学的に受容可能なキャリアは、薬物投与に適合する任意及び全部の溶媒、分散媒、コーティング、等張剤及び吸収遅延剤を含んでもよい、一般に安全かつ無毒である。
【0169】
いくつかの実施態様において、前記医薬組成物の投与方法は、非経口、経皮、腔内、動脈内、髄腔内及び/又は経鼻投与、又は組織への直接注射を含んでもよい。例えば、前記医薬組成物は、点滴または注射によって患者または対象に投与されてもよい。いくつかの実施態様において、前記医薬組成物の投与は、静脈内、腹膜内、皮下、筋肉内、局所又は皮内投与などの異なる手段で行われてもよい。いくつかの実施態様において、前記医薬組成物は、中断されることなく投与されてもよい。前記中断されない(又は継続的な)投与は、WO2015/036583に記載されるように、患者体内に入る治療剤を測定するために患者が装着する小型ポンプシステムによって達成されてもよい。
【0170】
調製方法
一方、本承認申請は、前記抗原結合蛋白を調製する方法を提供した。前記方法は、前記抗原結合蛋白を発現させる条件下で、前記本承認申請に記載の前記宿主細胞を培養することを含んでもよい。例えば、適切な培地、適切な温度及び培養時間等の当業者に既知されている方法を使用することにより行われてもよい。
【0171】
モノクローナル抗体の生成に適する任意の方法を本承認申請の抗原結合蛋白の生成に使用することができる。例えば、連結される或いは天然に存在するCD73またはその断片で動物を免疫させることができる。補助剤、免疫賦活剤、繰り返しのブースター接種などの適切な免疫接種方法を使用してもよく、一つ或いは複数のアプローチを使用してもよい。例えば、ハイブリドーマ調製法を用いて、既に免疫されたマウスの脾臓細胞を取得し、SP2/0骨髄腫細胞と融合させ、HATによりハイブリドーマ細胞株をスクリーニングすることができる。
【0172】
任意の適切な形態のCD73は、免疫原(抗原)として、CD73に対する特異的な非ヒト抗体を生成すること、前記抗体の生物活性をスクリーニングすることに用いることができる。例えば、免疫喚起の免疫原は、天然のホモ二量体等の全長の成熟ヒトCD73、または単一/複数のエピトープを含むペプチドであってもよい。免疫原は、単独で使用てもよい、或いは当該技術分野で既知されている1つまたは複数の免疫原性増強剤と組み合わせて使用してもよい。
【0173】
キメラヒト抗体は、IgM、IgD、IgG、IgA及びIgE等のあらゆる種類の免疫グロブリンから選択されてもよい。本承認申請において、抗体はIgG抗体であってもよく、IgG1アイソタイプを使用してもよい。以下の実施態様に記載の生物学的アッセイを使用し、抗体をスクリーニングすることによって、必要な定常ドメインの配列の最適化を達成し、所望の生物学的活性を生成する。同様に、軽鎖のいずれかのタイプが、本承認申請の化合物及び方法において使用されることができる。例えば、本承認申請の化合物及び方法において、κ鎖またはそのバリアントを使用することができる。
【0174】
方法及び用途
一方、本承認申請は、薬剤の調製における前記単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物の用途を提供し、前記薬剤は、疾患及び/又は障害の予防及び/又は治療に用いられる。
【0175】
一方、本承認申請は、疾患及び/又は障害を予防及び/又は治療する方法を提供し、前記方法は、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物を必要のある対象に投与することを含んでもよい。
【0176】
本承認申請において、前記投与は、例えば、静脈内、腫瘍内、腹膜内、皮下、筋肉内、局所または真皮内投与等の異なる手段で行われてもよい。
【0177】
一方、本承認申請に記載の単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物は疾患及び/又は障害の予防及び/又は治療に用いることができる。
【0178】
本承認申請において、前記疾患及び/又は障害は、CD73媒介の疾患及び/又は障害であってもよい。
【0179】
本承認申請において、前記疾患及び/又は障害は、腫瘍を含む。
【0180】
本承認申請において、前記腫瘍は、固形腫瘍及び/又は血液腫瘍を含む。
【0181】
本承認申請において、前記疾患及び/又は障害は、乳癌を含む。
【0182】
一方、本承認申請は、試料中のCD73を検出する方法を提供し、前記方法は、前記単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物を投与することを含む。
【0183】
いくつかの態様において、試料中のCD73を検出する前記方法は、インビトロ法である。いくつかの態様において、試料中のCD73を検出する前記方法は、非治療目的の方法である。いくつかの態様において、試料中のCD73を検出する前記方法は、診断方法ではない。
【0184】
一方、本承認申請は、試料中のCD73を検出するための試薬又はキットを提供し、そのものは、前記単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物を含む。
【0185】
一方、本承認申請は、キットの調製における前記単離された抗原結合蛋白、ポリペプチド分子、核酸分子、ベクター、細胞、免疫コンジュゲート及び/又は医薬組成物の用途を提供し、前記キットは試料中のCD73の存在及び/又は含有量を検出するために使用される。
【0186】
いかなる理論によって制限されたくなく、以下の実施例は、本承認申請の融合タンパク質、調製方法及び用途等を釈明することのみであり、本申請発明の範囲を限定することに意図するものではない。
【0187】
実施例
実施例1 抗ヒトCD73のマウス由来抗原結合蛋白の調製方法
1.1 マウス由来抗原結合蛋白を生成するハイブリドーマ細胞の調製
マウス由来モノクローナル抗原結合蛋白の調製は、1975年にKohlerとMilsteinによって発明されたハイブリドーマ調製技術を使用した(Nature,1975,256:495-497)。まず、Hisタグ蛋白(Met 1-Lys 547)を持つヒトCD73を免疫抗原とし、一部はフロイントアジュバント(Freund's Adjuvant, Complete (Sigma cat no. F5881, 別名: FCA)とFreund’s Adjuvant, Incomplete (Sigma cat no.F5506,別名: FICA))を使用するが、一部はQuick Antibody - Mouse 5w(Biodragon cat no.KX0210041)アジュバンドを使用し、それぞれに数匹のBALB/c、CD1マウスに複数点の皮下注射で免疫する。3回の免疫後、血清を採取し、ELISAにより効力を、FACSにより結合活性及び機能的活性を測定する。最後、最適なマウスを選び、脾臓細胞を採取し、SP2/0骨髄腫細胞と融合させる。HATによりハイブリドーマ細胞株をスクリーニングした後、細胞培養上清を採取し、FACS測定法によりヒトCD73とサルCD73に特異的に結合するモノクローナルハイブリドーマ細胞株をスクリーニングする。再び、CD73酵素活性を阻害するモノクローナル細胞株をスクリーニングし、スクリーニングされたモノクローン細胞株に対してアフィニティー(Biacore)スクリーニングを行い、最後ヒトCD73抗原結合蛋白を発現するモノクローンハイブリドーマ細胞株を得り、配列解析を行い、そのスクリーニングデータが表1に示される。
【0188】
【表1】
【0189】
ハイスループットスクリーニングにより、最終的に得られたモノクローナルハイブリドーマ細胞株は高い親和性を有し、ヒトとサルに対して結合活性を有する。
【0190】
実施例2 抗CD73抗原結合蛋白の可変領域の遺伝子配列決定及び各抗原結合蛋白の調製
2.1 ハイブリドーマ細胞における抗原結合蛋白の可変領域の遺伝子配列決定及びクローニング
TAKARAの5'RACE技術原理に基づいて、ハイブリドーマ細胞株3A9による発現されたマウス抗原結合蛋白の可変領域のcDNA配列をクローニングした。簡単に言えば、SMARTer 5'RACE合成キット(TAKARA,#634859)を用い、添付文書に従って重鎖及び軽鎖の可変領域の遺伝子特異的cDNAを合成した。cDNA配列の5'及び3'末端をPCRプライマーで修飾し、前記プライマーは、重鎖及び軽鎖可変領域cDNAにそれぞれ適切なリーダー配列を付加することがデザインされるため、得られたPCR産物をシームレスクローニングの方法によって既存の組換え抗原結合蛋白による発現される重鎖ベクターpHB-Fc及び軽鎖ベクターpHB-Cκにクローニングすることができた。pHB-Fcは、ベクターにヒトIgG1重鎖定常領域の遺伝子配列を含むことを発現し、その中にCH2には抗原結合蛋白のADCCノックアウト(knock out,KO)作用によるL234A及びL235A(Eu numbering)変異を持つ。pHB-Cκベクターは、ヒトκ軽鎖定常領域の遺伝子配列を含む。重鎖及び軽鎖可変領域のPCR増幅産物をIn-fusionクローニング試薬(TAKARA, #639650)により発現ベクターにクローニングし、E.coli DH5α大腸菌のコンピテントセル(益生生技, #FYE607-80VL)に形質転換させた。モノクローナルコロニーを選ぶことにより、Sanger及びNGS配列決定を行い、解析して抗原結合蛋白の可変領域の配列を得た。その中に、3A9により発現された抗CD73抗原結合蛋白の可変領域の配列は以下のように示される。
【0191】
3A9 VH SEQ ID NO:29
EVQLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSKYAMSWVRQSPEKRLEWVAEISSGGGYINYPDTVTGRFTISRDNAKNTLYLEMSSLRSGDTAMYYCARAIYYYGSSYNYYAMDYWGQGTSVTVSS
3A9 VL SEQ ID NO:30
DIVMTQSHKFMSTSVGDRVSITCKASQDVGTAEAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRHTGVPDRFTGSGSGTDFTLTIGNVQSEDLADYFCQQYSSYPLTFGGGTKLEIK
【0192】
その中に、下線部がCDRs(IMGT定義、各CDR一覧表について以下のように示される)である。
【0193】
【表2】
【0194】
2.2 抗原結合蛋白の発現
実施例2.1で得られた発現ベクターを大腸菌により増幅し、エンドトキシン除去プラスミド抽出キット(天根生化科技(北京)有限公司,#DP117)を用いて十分量のプラスミドを調製し、一過性トランスフェクションに用い抗原結合蛋白を発現させる。発現に用いられる宿主細胞は、CHO-S細胞(Thermo Fisher, #R80007)である。調製された2種類の重鎖ベクターを別々に軽鎖ベクターとともに、ポリエーテルイミド(PEI,Polysciences,# 24765-1)と混合することにより、リポソーム複合体を形成し、その後CHO-S細胞をトランスフェクションし、インキュベーター内で5~7日間培養する。細胞培養上清を遠心分離により採取し、プロテインAアフィニティカラムにより精製し、ヒトマウス抗原結合蛋白(3A9発現の抗原結合蛋白、No.900581)を得る。
【0195】
2.3 抗原結合蛋白900694-900698の調製
抗原結合蛋白のヒト化は、3Dモデリングによって行われる。まず、マウス由来抗原結合蛋白を3Dモデリングし、最適な構造モデルを選び出す。具体的には、Discovery StudioとSchrodinger Antibody Modelingをそれぞれ使用し、ホモロジーモデリングにより5-10の最適構造ソリューションを選ぶ。Loop領域は一般的にホモロジーモデリングによりモデリングする。CDRアミノ酸配列比較の結果が50% Identity未満の場合、アブイニシオ(ab initio)モデリング法を使用し、CDR3構造モデルを構築する。PDB BLASTを用いて最も近い配列を持つ10の抗体結晶構造モデル(2.5Å以上の構造分解能)を検索し、自動モデリングモデルと比較し、最適な構造モデルを選ぶ。その後、抗原結合蛋白の可変領域の配列をNCBI IgBlastデータベースの利用可能な配列と比較し、同定・分析することにより、その上にCDR移植の重鎖と軽鎖を構築することに適するヒト由来のフレームワーク領域(FR領域)を最後に決定した。
【0196】
修飾の時、ヒト抗体FR領域の保守的アミノ酸残基及び抗体FR領域における重要なアミノ酸残基に基づいて、修飾部位をデザインし、本承認申請の抗原結合蛋白900581の重鎖及び軽鎖の可変領域に対してそれぞれにヒト化変異の設計を行い、設計されたヒト化配列は抗体構造安定性に影響を与えないこと、抗原結合蛋白と抗原との結合に影響を与えないこと、グリコシル化、リン酸化などの蛋白質修飾部位を導入しないこと、酸化、アミノ化に弱い部位を導入しないこと、構造の安定性を高めることなどの要件を満たすことが必要である。解析の結果、今回900581のマウス由来抗原結合蛋白の配列に対して、3本のヒト化重鎖配列及び3本のヒト化軽鎖配列をデザインし、ヒト化点変異抗原結合蛋白発現プラスミドをそれぞれにCHO-S細胞により発現され、精製した後にヒト化抗原結合蛋白を得た。ELISA、Biacore及びフローサイトメトリー等の測定法を使用し、ヒト化抗原結合蛋白の受容体結合能、機能阻害活性及び非特異的結合特性、熱安定性等をスクリーニングし、優れた性能を有する5種類のヒト化抗CD73抗原結合蛋白を得た。得られたヒト化抗CD73抗原結合蛋白の蛋白質番号及び相応するVH、VL配列が以下のように示される。
【0197】
900694 VH SEQ ID NO: 31
EVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSKYAMSWVRQAPGKGLEWVAEISSGGGYINYPDTVTGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARAIYYYGSSYNYYAMDYWGQGTTVTVSS
900694 VL SEQ ID NO: 32
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVGTAEAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRHTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSSYPLTFGQGTKLEIK
900695及び900697 VH SEQ ID NO: 33
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSKYAMSWVRQAPGKGLEWVAEISSGGGYINYADSVTGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARAIYYYGSSYNYYAMDYWGQGTTVTVSS
900695及び900698 VL SEQ ID NO: 34
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVGTAEAWYQQKPGKAPKLLIYWASTRHTGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSSYPLTFGQGTKLEIK
900696及び900698 VH SEQ ID NO: 35
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSKYAMSWIRQAPGKGLEWVAEISSGGGYINYADSVKGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARAIYYYGSSYNYYAMDYWGQGTTVTVSS
900696 及び900697 VL SEQ ID NO: 36
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVGTAEAWYQQKPGKAPKLLIYWASTLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYSSYPLTFGQGTKLEIK
【0198】
その中に、下線部はCDRs(IMGT定義)であり、900694、900695、900696、900697及び900698はそれぞれ5種類の抗CD73ヒト化抗原結合蛋白の番号である。
【0199】
実施例3 抗CD73抗原結合蛋白の細胞表面上ヒトCD73に対する結合活性の測定
抗CD73抗原結合蛋白900581、900565及び900581抗原結合蛋白のヒト化抗原結合蛋白900694、900695、900696、900697及び900698が細胞表面上ヒトCD73を有する細胞(CHOK1-huCD73-3F4、華博生物)との結合活性は測定された。その中のキメラ抗体900565はハイブリドーマ細胞株115B10に由来する。900565の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列はSEQ ID NO: 41に、900565の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列はSEQ ID NO: 42に示される。
【0200】
全ての抗原結合蛋白を1%BSAを含むPBS溶液(1%BSA/PBS)で30 μg/mlに希釈し、また11グラジエントで3倍希釈し、96ウェルUプレートに1ウェルあたり20 μLを加え、陰性対照(1%BSA/PBSのみ加える)を同時に設定する。対数増殖期内にヒトCD73を発現する細胞(CHOK1-huCD73-3F4、華博生物)の懸濁液を採取し、遠心分離(1000 rpm×5分間)し培養液を捨て、1%BSA/PBSで生細胞密度1×106/mLまでに再懸濁し、既に抗CD73抗原結合蛋白を有する96ウェルU-プレートに1ウェル当たり20 μL(2×104個細胞)を加え、室温で30分間反応させる。反応後の96ウェルUプレートを1%BSA/PBSで再懸濁し、遠心分離(300 g×3分間)し上層液を捨て、そのように1回洗浄し、1:200希釈のPE-羊抗ヒト-Fc(Jackson ImmunoResearch,#109-115-098)を加え、室温で15分間反応させる。反応後の96ウェルUプレートを1%BSA/PBSで再懸濁し、遠心分離(300 g×3分間)し上層液を捨て、そのように3回洗浄し、最後に1ウェルあたり100 μLの1%BSA/PBSで再懸濁し、フローサイトメトリー(BD,#Canto II)によりPEチャンネルの蛍光強度を測定する。
【0201】
900581抗原結合蛋白の結合活性の結果を図1及び表3に、900694~900698抗原結合蛋白の結合活性の結果を図2及び表4に示す。その結果から、900581抗原結合蛋白が細胞表面にヒトCD73を発現する細胞(CHOK1-huCD73-3F4、華博生物)との良好な親和性は示された。900694~900698が900581との結合活性は同等である。
【0202】
【表3】
【0203】
【表4】
【0204】
実施例4 抗CD73抗原結合蛋白による組替えCD73の酵素活性阻害作用の測定
900581及び900694、900695、900696、900697及び900698による組換えCD73蛋白(ACRO,#CD3-H52H7-100 μg)のプロテアーゼ活性阻害作用の測定が行われた。具体の操作は以下の通り: CD73抗原結合蛋白シリーズをTM Buffer(ROCKLAND, #MB-059)で120 μg/mLに希釈し、次に10グラジエントで5倍希釈し、1ウェルあたり25 μLを96ウェルプレートに加える。次に、組換えCD73蛋白をTM Buffer(ROCKLAND, #MB-059)で0.3 μg/mLに希釈し、それぞれ25 μL/ウェルを96ウェルプレートに加え、よく混合する。その後、希釈されたAMPとATPを1:1で混合し、50 μL/ウェルを上記96ウェルプレートに加え、15分間反応させる。最後にCellTiter-Glo(登録商標)基質をCellTiter-Glo(登録商標)緩衝液に加え、よく混合して室温に平衡化した後、100 μL/ウェルで検査ウェルに加え、室温で10分間反応させ、全波長で測定する。
【0205】
900581、900694、900695、900696、900697及び900698による組換えCD73蛋白(ACRO、# CD3-H52H7-100 μg)の酵素活性阻害の結果を図3及び表5に示す。その結果から、900694、900695、900696、900697及び900698は組換えトCD73プロテアーゼ活性の阻害作用において900581抗原結合蛋白と同等であることは示された。
【0206】
【表5】
【0207】
実施例5 抗CD73抗原結合蛋白による細胞膜上CD73の酵素活性阻害作用の測定
全ての抗原結合蛋白をPBS溶液で30 μg/mlに希釈した後、6グラジエントで5倍希釈する。対数増殖期内にヒトCD73を発現する細胞(CHOK1-huCD73-3F4、華博生物)の懸濁液を採取し、培地で4×105/mlの細胞懸濁液を調製し、1ウェルあたり100 ul(約40,000個細胞)で96ウェルUプレートに加え、1500 rpm×5分間で遠心分離し上清を捨てる。その後、連続に希釈された抗原結合蛋白の再懸濁細胞を用い、1ウェルに100 ulを加えて、よく混合し、37℃で20分間インキュベートする。インキュベート後、1500 rpmで5分間遠心分離し上清を捨て、200 ul/ウェルのPBSで一回洗浄し、1ウェルあたり100 μLの180 μMのAMPで再懸濁し、37℃で60分間インキュベートする。インキュベート後、1500 rpmで5分間遠心分離し、50 μL/ウェルの上清を採取し、96ウェル黒いプレートに移し、既に調製されたATPを50 ul/ウェルで加え、よく混合し、37℃で15分間反応させる。最後にCellTiter-Glo(登録商標)基質をCellTiter-Glo(登録商標)緩衝液に加え、よく混合し室温に平衡化した後、100 μL/ウェルで検査ウェルに加え、室温で10分間反応させ、全波長で測定する。酵素活性のパーセントは以下のように評価された。残留されたCD73の活性は、(CHOK1-huCD73-3F4細胞+Ab+ATP+AMP)-(ATP+AMP)/(CHOK1-huCD73-3F4細胞+ATP+AMP)-(ATP+AMP)*100とする。
【0208】
抗CD73キメラ抗体900581、900565によるCD73細胞(CHOK1-huCD73-3F4、華博生物)の酵素活性阻害作用を図4及び表6に示し、900581、900697及び900698によるCD73細胞(CHOK1-huCD73-3F4、華博生物)の酵素活性阻害作用を図5及び表7に示す。その結果から、900697、900698が細胞膜上CD73の酵素活性阻害作用において900581と基本的に同等であることは示された。
【0209】
【表6】
【0210】
【表7】
【0211】
実施例6 抗CD73抗原結合蛋白とヒトCD73の結合親和性の測定
Biacore(GE、型番:T200)を用い、900581、900694、900695、900696、900697及び900698とヒトCD73蛋白(メーカー:ACRO Biosystems、品番:CD3-H52H7)の結合動態を測定し、実験用緩衝液がHBS-EP+(pH7.4)であり、プロテインAチップ(メーカー:GE、品番:29-1275-56)を使用した。
【0212】
サンプルコンパートメント及び流路の温度を25℃に設定し、プロテインAチップにより捕捉された抗原結合蛋白をリガンドとし、約100 RUで固定化した。ヒトCD73蛋白を50 nM、25 nM、12.5 nM、6.25 nM、3.12 nM、1.57 nM等の濃度に実験用緩衝液で希釈して分析対象とし、実験用緩衝液を0濃度対照とし、30 μL/分の流速で120秒結合し、600秒解離する。10 mMのGlycine pH 1.5を50 μL/分の流速で60秒間再生し、マルチサイクリックキネティックアッセイを実施する。1:1結合モデルを用い、Fit localモードを選び、結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)及び解離平衡速度定数(KD)をフィッティングした。フィッティングの結果が表8に示した。すべての抗原結合蛋白がヒトCD73蛋白と結合し、大部の抗原結合蛋白がヒトCD73蛋白との結合親和性に有意な差が示されなかった。
【0213】
【表8】
【0214】
実施例7 抗CD73抗原結合蛋白と異なる種のCD73(ヒト、マウス、ラット、サル)との結合親和性測定
Biacore(GE、型番:T200)を用い、900581、900694、900695、900696、900697及び900698それぞれとヒトCD73蛋白(メーカー:ACRO Biosystems、品番:CD3-H52H7)、マウスCD73/NT5E(メーカー:ACRO Biosystems、品番:CD3-M52H9)、ラットCD73(メーカー:Novoprotein、品番:CB16)及びサルCD73(メーカー:Novoprotein、品番:CI21)の結合動態を測定し、プロテインAチップ(メーカー:GE、品番:29-1275-56)を使用し、実験用緩衝液はHBS-EP+(pH7.4)であった。
【0215】
サンプルコンパートメント及び流路の温度を25℃に設定し、プロテインAチップにより捕捉された抗原結合蛋白をリガンドとし、約100 RUで固定化した。ヒトCD73蛋白/サルCD73/ラットCD73/ マウスCD73を50 nM、25 nM、12.5 nM、6.25 nM、3.12 nM、1.57 nM等の濃度に実験用緩衝液で希釈して分析対象とし、実験用緩衝液を0濃度対照とし、30 μL/分の流速で120秒結合し、600秒解離する。10 mMのGlycine pH 1.5を50 μL/分の流速で60秒間再生し、マルチサイクリックキネティックアッセイを実施する。1:1結合モデルを用い、Fit localモードを選び、結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)及び解離平衡速度定数(KD)をフィッティングした。フィッティングの結果が表9に示した。上記抗原結合蛋白がヒトCD73蛋白、サルCD73(メーカー:Novoprotein、品番:CI21)と結合でき、大部の抗原結合蛋白がヒトCD73、サルCD73蛋白との結合親和性に有意な差が示されなく、またすべての抗原結合蛋白がマウス(メーカー:ACRO Biosystems、品番:CD3-M52H9)及びラット(メーカー:Novoprotein、品番:CB16)のCD73蛋白に結合しないことが確認された。
【0216】
【表9】
【0217】
実施例8 抗CD73抗原結合蛋白に誘導される細胞表面上CD73のエンドサイトーシス能力の測定
対照蛋白900222、キメラ蛋白900581及びヒト化蛋白900697、900698蛋白をPBS溶液で1 μg/mlに希釈し、各濃度で2ウェルを繰り返す。その中に、対照蛋白900222の配列は、ブリストル マイヤーズスクイブ社のCD73抗体特許US20190284293A1におけるmAb-CD73.4-IgG2抗体配列に由来する。対数増殖期内のCalu6細胞を採取し、細胞を2×105/mlの細胞懸濁液に調製し、96ウェルUプレートに1ウェルあたり100 μL(約20,000個細胞)を加え、300 g×3分間で遠心分離し、上清を除去する。また、希釈された抗原結合蛋白の再懸濁細胞を用い、100 ul/1ウェルで、よく混合し、4℃で30分間インキュベートする。インキュベート終了後、300 g×3分間で遠心分離し、上清を除き、1%BSAで再懸濁し、半分は37℃で、もう半分は4℃で5時間インキュベートする。インキュベート終了後、相応時間のウェルを取り出し、300 g×3分間で遠心し上清を除き、PE anti-huIgG Fc(1:200)を加え、50 μL/1ウェルで、よく混合し、4℃で30分間反応させる。インキュベート終了後、2回洗浄し、300 g×3分間で、フローサイトメトリーにより蛍光強度を測定する。抗CD73抗原結合蛋白に誘導される細胞表面上CD73のエンドサイトーシス結果を以下の表10及び図6に示した。その結果から、キメラ蛋白900581及びヒト化蛋白900697、900698蛋白に誘導されるCD73のエンドサイトーシス効果は対照蛋白900222より有意に優れ、またヒト化蛋白900697及び900698に誘導されるエンドサイトーシス効果はキメラ900581より優れることが示された。
【0218】
【表10】
【0219】
実施例9 抗CD73抗原結合蛋白の結合エピトープの同定
9.1 水素重水素交換質量分析法(HDX-MS)により900581抗原結合蛋白の結合エピトープを測定
5~10 μMの抗原または抗原結合蛋白または抗原結合蛋白複合体(1:1molar ratio)(50 mM HEPES, pH 7.4,150 mM NaCl, 4 mM TCEP)をそれぞれ4℃で1時間置き、複合体の安定状態に形成させる。4℃で、5 μLの試料を20 μLのD2O(重水素)に希釈し、様々なHDX時間点(例えば、0、10、60、300、900秒)まで置いた後、質量分析を行う。水素-重水素交換の一定期間後、25 μLの氷冷された4Mグアニジンと1%トリフルオロ酢酸を混合させることにより、反応を停止させる。反応停止後、すぐHDX LEAP PAL3.0プラットフォームに試料を注入するまで試料チューブをドライアイス上に置く。全自動水素重水素交換プラットフォームに注入後、試料を120 μL/分の流速で固定のペプシンカラムに通させ、酵素分解されたペプチドをC18キャプチャカラムに捕捉し脱塩する。8分間以内に、2.1 mm×5 cm C18カラム(1.9 μm Hypersil Gold,Thermo Fisher)により4-40%アセトニトリル及び0.3%ギ酸の線形グラデーションで脱塩されたペプチドを分離する。試料の処理中に、タンパク質の酵素分解とペプチドの分離はすべて4℃で行われる。Orbitrap質量分析計(Orbitrap FusionTM TribridTM Mass Spectrometer, Thermo Fisher)を使用し、水素重水素交換の質量スペクトルデータを取得し、測定された分解能は65,000(m/z 400)であった。各試料について、各時点で3回のHDX測定(triplicates)を行った。
【0220】
水素重水素交換質量分析(HDX-MS)の測定結果から、900581の結合エピトープが、主にCD73のN末端ドメインの143-NIKAKGPLASQISGL-157領域(SEQ ID NO: 37)、178-SKETPFLSNPGTNL-191領域(SEQ ID NO: 38)及びCD73のC末端ドメインの381-WNHVSM-386領域(SEQ ID NO: 39)を含むことは示された。その3セグメントの不連続領域をCD73の3次元構造モデル上に配置すると、そのエピトープがCD73触媒活性中心の辺縁にあることは判明され、詳細は図7のように示された。900581がそのエピトープに結合する場合、CD73触媒活性中心を非常に効率よく閉じることにより、CD73の酵素活性を最大効率で阻害する。特許と文献を調べることにより、現在弊社の900581は、CD73の触媒中心周辺に結合し、特定のエピトープ情報をも提供する治療用抗原結合蛋白として、今まで最初に報告されたものであることが示された。
【0221】
9.2 非加水分解性AMPアナログであるAPCPの競合的結合アッセイにより900581抗原結合蛋白の結合エピトープを検証
CD73は基質であるAMPと結合すると、伸展したコンフォメーションから屈曲したコンフォメーションへの構造変化が起こる。AMPの代わりに非加水分解性AMPアナログであるAPCPを使用する場合、APCPが加水分解されアデノシンを生成できないため、CD73を屈曲したコンフォメーションの触媒中間状態に固定することができる。APCPの濃度が高くなると、屈曲したコンフォメーションの触媒中間状態にあるCD73の割合が上昇し、触媒領域に結合する抗原結合蛋白については、結合する割合が減少するが、非触媒領域に結合する抗原結合蛋白については、結合する割合は変わらない。その方法は以下の通り:細胞を1%BSAで1E6/mlの細胞懸濁液に調製して、96ウェルUプレートに1ウェルあたり20 μLを加える。APCPを1%BSAで30 nM/30 μMに希釈し、20 μL/ウェルで96ウェルUプレートに加え、よく混合し、室温で30分間放置する。測定対象とする抗原結合蛋白を90 μg/mlに希釈し、それぞれに10グラジエントで3倍希釈する。連続希釈された抗原結合蛋白を上記96ウェルUプレートに加え、20 μL/ウェルで、よく混合し、室温で30分間放置する。インキュベート終了後、300 g×3分間で遠心分離し、上清を除き、また20 μL/ウェルで二次抗体PE羊抗ヒトIgG Fc(1:200)を加え、よく混合し、室温で15分間放置する。インキュベート終了後、2回洗浄し、300 g×3分間で、フローサイトメトリーによりPE-MFIを測定する。
【0222】
測定結果は図8A~8Cに示す。その中に、900609は触媒中心周辺に結合することが証明されたCorvus社のCPI-006抗体であり、TNPは陰性対照抗体である。その結果から、900581抗原結合蛋白はCPI-006抗体と同様の効果をが示され、APCP濃度の増加につれて、CD73に結合した抗原結合蛋白の割合は減少するため、900581がCD73の触媒活性中心周辺に結合することがさらに検証された。
【0223】
実施例10 抗CD73抗原結合蛋白による腫瘍のインビボ治療の有効性試験
10.1
本試験では、CD73ヒト化マウスを使用し、MDA-MB-231トリプルネガティブ乳癌の動物モデルを構築し、被験抗体の有効性を検証した。まず、CD73ヒト化マウスに100 μlのMDA-MB-231(ATCCバンク)細胞(2E6個)を接種し、CD73ヒト化マウスMDA-MB-231トリプルネガティブ乳がん動物モデルを構築する。担癌マウスを腫瘍体積と体重に応じて4試験グループに等分し、1グループに6匹、週2回、計6回腹腔内注射により投与する。具体的な投与方法は下表に示す。その中に、900201は陰性対照抗体であり、CD73抗原に結合しない。900201の重鎖(HC)アミノ酸配列がSEQ ID NO: 43に示され、900201の軽鎖(LC)アミノ酸配列がSEQ ID NO: 44に示される。
【0224】
その結果から、900581、900697及び900698は、MDA-MB-231トリプルネガティブ乳がんの進展を有意に抑制することができ、同時にマウスの体重増加指数には影響しないことが示された。一方、陰性対照抗体である900201は腫瘍の進展を抑制することができなかった。
【0225】
【表11】
【0226】
10.2
NPGマウスを用いてMDA-MB-231トリプルネガティブ乳がん動物モデルを構築し、被験抗体の有効性を検証する。10% FBSを添加したL-15培地で、本試験に使用されたヒト乳癌細胞MDA-MB-231をCO2フリーの37℃のインキュベーター内で培養する。細胞を10継代連続培養する前に、約5.0×106個のMDA-MB-231細胞を100 μLのPBSに懸濁し、等量のマトリゲルと混合した後、皮下注射によりNPGヒト化マウスの腋窩付近の背部右側に接種し、接種量が約200 μLである。接種前に2~5%のイソフルランでマウスを麻酔する。接種当日、尾静脈から1.0×107 PBMC(100μL)を注入し、腫瘍が平均約50~80 mm3まで成長した時点で、18匹の担癌マウスを腫瘍体積と体重に応じて6匹ずつ3群にランダム化する。グループに割り付ける当日で投与し、具体な投与レジメンは表12に示す。その中に、900201は陰性対照抗体であり、CD73抗原に結合しない。900201の重鎖(HC)アミノ酸配列がSEQ ID NO: 43に示され、900201の軽鎖(LC)アミノ酸配列がSEQ ID NO: 44に示される。オレクルマブは、アストラゼネカにより開発された抗CD73モノクローナル抗体である。
【0227】
結果は以下の表12及び図9に示す。オレクルマブ及び900698は、MDA-MB-231トリプルネガティブ乳癌の進展を有意に抑制したが、陰性対照抗体900201は腫瘍の進展を抑制することができなかった。
【0228】
【表12】
【0229】
実施例11 抗CD73抗原結合蛋白による膵臓癌のインビボ治療の有効性試験
本試験では、NPGマウスを使用し、BxPC-3膵臓癌の動物モデルを構築し、被検抗体の有効性を検証する。本試験に使用されたヒト膵臓癌細胞BxPC-3を、10% FBSを添加したRPMI-1640培地で、5% CO2を含む37℃のインキュベーター内で培養する。細胞を10継代連続培養する前に、約1×107個のBxPC-3細胞を含む100 μLのPBSと等量のマトリゲルを混合し、皮下注射により18匹のNPGマウスの腋窩付近の背部右側に接種し、接種量が約200 μLである。接種前に2~5%のイソフルランでマウスを麻酔する。接種当日、尾静脈から1.0×107 PBMC(100μL)を注入し、腫瘍が平均約50~80 mm3まで成長した時点で、18匹の担癌マウスを腫瘍体積と体重に応じて6匹ずつ3群にランダム化する。グループに割り付ける当日で投与し、具体な投与レジメンは表13に示す。その中に、900543は陰性対照抗体(900543は900201のADCCノックアウトタイプである)であり、CD73抗原に結合しない。900543の重鎖(HC)アミノ酸配列がSEQ ID NO: 47に示され、900543の軽鎖(LC)アミノ酸配列がSEQ ID NO: 44に示される。オレクルマブは、アストラゼネカにより開発された抗CD73モノクローナル抗体である。
【0230】
結果は以下の表13及び図10に示す。オレクルマブ及び900698は、BxPC-3膵臓癌の進展を有意に抑制したが、陰性対照抗体900543は腫瘍の進展を抑制することができなかった。
【0231】
【表13】
【0232】
本承認申請に言及されたすべての文献は、各文献が個別に引用されるように、本承認申請で参考として引用される。なお、本承認申請の前述の講義内容を読んだ後、当業者によって本承認申請に対して様々な変更または修正できることは理解されるべき。それらの同等形態は同様に本承認申請に添付された特許請求の限定範囲内にも含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
2023554326000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HCDR3、HCDR2及びHCDR1を含み、前記HCDR3はSEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含み、前記HCDR2はSEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含み、前記HCDR1はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含、単離された抗原結合蛋白
【請求項2】
LCDR3、LCDR2及びLCDR1を含み、前記LCDR3はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含み、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含み、前記LCDR3はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含、請求項1に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項3】
HCDR3、HCDR2、HCDR1、LCDR3、LCDR2及びLCDR1を含み、HCDR3は、SEQ ID NO: 3に示されるアミノ酸配列を含み、前記HCDR2は、SEQ ID NO: 2に示されるアミノ酸配列を含み、前記HCDR1はSEQ ID NO: 1に示されるアミノ酸配列を含み、また前記LCDR3はSEQ ID NO: 6に示されるアミノ酸配列を含み、前記LCDR2はSEQ ID NO: 5に示されるアミノ酸配列を含み、前記LCDR1はSEQ ID NO: 4に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1項に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項4】
VHを含み、前記VHは、SEQ ID NO: 29、SEQ ID NO: 31、SEQ ID NO: 33又はSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1項に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項5】
VLを含み、前記VLはSEQ ID NO: 30、SEQ ID NO: 32、SEQ ID NO: 34又はSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1項に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項6】
以下のVH及びVLから選択されるいずれかを含む、請求項1項に記載の単離された抗原結合蛋白
1)前記VHがSEQ ID NO: 29に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 30に示されるアミノ酸配列を含む;
2)前記VHがSEQ ID NO: 31に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 32に示されるアミノ酸配列を含む;
3)前記VHがSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含む;
4)前記VHがSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む;
5)前記VHがSEQ ID NO: 33に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 36に示されるアミノ酸配列を含む;及び、
6)前記VHがSEQ ID NO: 35に示されるアミノ酸配列を含み、また前記VLがSEQ ID NO: 34に示されるアミノ酸配列を含む。
【請求項7】
体重鎖定常領域を含み、抗体重鎖定常領域は、ヒトIgG重鎖定常領域由来である、請求項1項に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項8】
体軽鎖定常領域を含み、抗体軽鎖定常領域は、ヒトIgκ定常領域由来である、請求項1項に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項9】
CD73又はその機能的活性化断片に特異的に結合することができる、請求項1項に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項10】
記CD73は、ヒトCD73及び/又はサルCD73を含む、請求項9に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項11】
CD73の活性化をブロック又は低減することができる、CD73の酵素活性を抑制することができる及び/又は細胞表面上CD73のエンドサイトーシスを誘導することができる、請求項1に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項12】
記CD73に結合する場合、前記単離された抗原結合蛋白が、SEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列のアミノ酸143~157又はそれに相応するCD73配列に、SEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列のアミノ酸178~191又はそれに相応するCD73配列に、及びSEQ ID NO: 40に示されるアミノ酸配列のアミノ酸381~386又はそれに相応するCD73配列における少なくとも1つのアミノ酸残基に結合する、請求項1に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項13】
記アミノ酸143~157又はそれに相応するCD73配列は、前記CD73のN末端ドメインに位置し、前記アミノ酸178~191又はそれに相応するCD73配列は、前記CD73のN末端ドメインに位置し、また前記アミノ酸381~386又はそれに相応するCD73配列は前記CD73のC末端ドメインに位置する、請求項12に記載の単離された抗原結合蛋白
【請求項14】
求項1に記載の単離された抗原結合蛋白を含む、ポリペプチド分子
【請求項15】
求項1に記載の単離された抗原結合蛋白をコードする、単離された核酸分子
【請求項16】
求項15に記載の核酸分子を含む、ベクター
【請求項17】
求項15に記載の核酸分子を含む、細胞
【請求項18】
求項1に記載の単離された抗原結合蛋白を含む、免疫コンジュゲート
【請求項19】
求項1に記載の単離された抗原結合蛋白、及び任意に薬学的に受容可能なキャリアを含む、医薬組成物
【請求項20】
患及び/又は障害の予防、緩和及び/又は治療に用いられる、請求項19に記載の医薬組成物
【請求項21】
前記疾患及び/又は障害は、CD73媒介の疾患及び/又は障害である、請求項20に記載の医薬組成物
【請求項22】
前記疾患及び/又は障害は、腫瘍を含む、請求項20に記載の医薬組成物
【請求項23】
前記腫瘍は固形腫瘍及び/又は血液腫瘍を含む、請求項22に記載の医薬組成物
【請求項24】
前記疾患及び/又は障害は、乳癌を含む、請求項20に記載の医薬組成物
【請求項25】
試料中のCD73の測定方法であって、前記方法は請求項1に記載の単離された抗原結合蛋白、請求項14に記載のポリペプチド分子、請求項15に記載の核酸分子、請求項16に記載のベクター、請求項17に記載の細胞、請求項18に記載の免疫コンジュゲート及び/又は請求項19に記載の医薬組成物を投与することを含む、測定方法
【国際調査報告】