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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】改善されたファンコイルユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0022 20190101AFI20231220BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20231220BHJP
   F24F 1/0063 20190101ALI20231220BHJP
   F24F 1/009 20190101ALI20231220BHJP
   F24F 1/0373 20190101ALI20231220BHJP
   F24F 1/0323 20190101ALI20231220BHJP
【FI】
F24F1/0022
F04D29/44 G
F24F1/0063
F24F1/009
F24F1/0373
F24F1/0323
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535445
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 IB2021061511
(87)【国際公開番号】W WO2022123484
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】102020000030377
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517398586
【氏名又は名称】イノーヴァ エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】INNOVA S.r.l.
【住所又は居所原語表記】Via 1 Maggio, 8, I-38089 STORO (TN), ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボッタロ,オレステ
【テーマコード(参考)】
3H130
3L049
3L050
3L051
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB04
3H130AB26
3H130AB47
3H130AC11
3H130AC26
3H130BA97A
3H130BA97Z
3H130CA21
3H130EA01A
3H130EA01Z
3H130EA06A
3H130EA06Z
3H130EA07A
3H130EA07Z
3H130EA08A
3H130EA08Z
3H130EB04Z
3H130EB05Z
3L049BD01
3L050BC10
3L051BE04
(57)【要約】
内部空気処理ユニットは、互いに対向して間隔をおいて配置され、周縁側部によって周縁が閉じられている大きな前壁および後壁を有する箱型ハウジングと、大きな壁のうちの少なくとも一方に対して実質的に垂直な回転軸を有するようにハウジング内に支持されるファンと、ハウジング内に配置された少なくとも1つの熱交換バッテリと、処理される空気のための少なくとも1つの入口開口および処理された空気のための少なくとも1つの出口開口と、を有する。ファンおよび熱交換バッテリは、入口開口および出口開口を通ってファンによって生成された空気流の影響を順次受けるようにハウジング内に取り付けられる。ファンは、螺旋形のディフューザを有さず、反転羽根を有する遠心/ラジアル型のものであり、熱交換バッテリは、周縁側部のうちの1つに近い位置で前記前壁と前記後壁との間に取り付けられ、前壁と同一平面上になるように、または前壁に対して90°以下の角度で傾斜するように配向される。出口開口は、前記バッテリに近い位置で周縁側部または前側に形成され、入口開口は、大きな壁の一方、好ましくは前壁に形成される。さらに、前記ハウジングが前記ファンのディフューザを構成するように、前記出口開口が関与する前記周縁側部を除いた前記周縁側部は閉じられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空気処理ユニット(1)であって、
互いに対向して間隔をおいて配置され、周縁側部(5,6,7,8)によって周縁が閉じられている大きな前壁(3)および後壁(4)を有する箱型ハウジング(2)と、
大きな前記壁のうちの少なくとも一方に対して実質的に垂直な回転軸(X)を有するように前記ハウジング内に支持されるファン(9)と、
前記ハウジング内に配置された少なくとも1つの熱交換バッテリ(10)と、
処理される空気のための少なくとも1つの入口開口(12)および処理された空気のための少なくとも1つの出口開口(11)と、
を有し、
前記ファンおよび前記少なくとも1つの熱交換バッテリは、前記入口開口および前記出口開口を通って前記ファンによって生成された空気流の影響を順次受けるように前記ハウジング内に取り付けられ、
前記ファンは、螺旋形のディフューザを有さず、反転羽根を有する遠心/ラジアル型のものであり、
前記熱交換バッテリは、前記周縁側部のうちの1つに近い位置で前記前壁と前記後壁との間に取り付けられ、前記前壁と同一平面上になるように、または前記前壁に対して90°以下の角度で傾斜するように配向され、
前記出口開口は、前記バッテリに近い位置で前記周縁側部または前側に形成され、
前記入口開口は、大きな前記壁の一方、好ましくは前記前壁に形成され、
前記ハウジングが前記ファンのディフューザを構成するように、前記出口開口が関与する前記周縁側部を除いた前記周縁側部は閉じられていることを特徴とする、
内部空気処理ユニット。
【請求項2】
前記ファンは、前記ファンによって生成された空気流が前記前壁、前記後壁、および前記出口開口が関与しない前記周縁側部に当たり、その空気流が前記入口開口から前記熱交換バッテリへ送出されるように前記ハウジング内に配置される、請求項1に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項3】
前記前壁、前記後壁、および前記周縁側部は、共に前記ハウジングの単一のチャンバ(2a)を区画し、前記チャンバは、前記ファンと前記熱交換バッテリの両方を受容する、請求項1または2に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項4】
前記チャンバは、前記前壁、前記後壁、および前記周縁側部によってのみ区画されており、そのため、前記内部空気処理ユニットには、一方でファンを受容し、他方で熱交換バッテリを受容するような寸法を有する2つのサブチャンバにチャンバを区切る仕切り壁が設けられない、請求項3に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記ファンによって生成された空気流を前記熱交換バッテリに向けて送出して偏向させる単一のフローガイドを構成するように形成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項6】
前記熱交換バッテリは、前記ファンと重ならないように前記ファンから離れた位置で前記ハウジング内に取り付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項7】
前記熱交換バッテリは、前記前壁に対して10°~30°の角度で傾斜するように配向される、請求項1~6のいずれか1項に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項8】
前記熱交換バッテリは、長方形の断面を有する実質的に角柱状の形状を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項9】
前記熱交換バッテリは、その対角線上で互いに反対側にある頂点側(V1,V2)が前記ハウジングの大きな前記壁とそれぞれ実質的に接触するように前記出口開口内に取り付けられる、請求項8に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項10】
前記内部空気処理ユニットの前記ハウジング内には、上部周縁側部と下部周縁側部とが画定され、前記出口開口は、前記上部周縁側部および前記下部周縁側部の一方に形成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項11】
空気のための前記入口開口は、大きな前記壁の一方と、大きな前記壁から間隔をおいて配置されたバッフル(26)との間に形成され、これにより、前記ハウジング内に、前記ハウジングの外側且つ前記ファンの吸気口に向けて開口する隙間(25)が画定される、請求項1~10のいずれか1項に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項12】
前記出口開口は、前記前壁に形成される、請求項11に記載の内部空気処理ユニット。
【請求項13】
互いに接近して前記ユニットに組み合わされる静的ラジエータを備える、請求項1~12のいずれか1項に記載の内部空気処理ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンコイルユニットに関し、より詳細には、夏期および冬期の空調用に周囲空気を処理するための換気ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ファンコイルユニットの技術分野において、環境への配慮、および/または薄い壁または仮天井、および/または奥行きが小さい隙間への設置が容易になるように小型かつ薄型に構築された処理ユニットの必要性が認識されている。
【0003】
既知の換気式内部空気処理ユニットは、実質的に以下の構成要素から構成されている。
・ 熱交換器を介して処理される空気を循環させるために使用される換気グループ。このグループは、遠心ファン(羽根車の中心から吸気し、適切な螺旋形のディフューザによって正確な方向に送出する)、横流ファン(羽根車の直径に対して横方向の流体流を吸気し、「カットオフ」領域を有する中心渦の原理によって空気流を動的に加速させる)、ラジアル遠心ファン(中央で吸気し、羽根車の外周全体または同一の外周の円弧上に拡散させる)、および軸流ファン(羽根車の側部で吸気し、反対側で拡散させる)を含む場合がある。
・ 一次流体/空気のための熱交換器。一般にフィン型である。
・ シート状金属製またはプラスチック製のキャリア構造体。上述した構成要素をしっかりと固定し、装置を壁、屋根、または床に固定または支持する役割を果たす。
・ キャリア構造体を審美的に覆い、空気の内部パイプを閉じるための金属製またはプラスチック製のキャビネット。内部空気処理ユニットが見えない場合(仮天井、機械のスペースなど)、この外部カバーは、1つの機能的な目的だけ有し、プラスチック製のプレートまたは単純なパネルで置き換えられてもよい。
・ 処理された空気のための吸気グリルおよび送気グリル。
・ 任意選択で、上述した機能のための電気的または電子的な制御・管理パネル
・ 処理された空気のための1つまたは複数のフィルタ。
【0004】
本明細書において、「箱型ハウジング」という用語を用いて、キャリア構造体およびキャビネットの全体に対して一般的な言及がなされる。
【0005】
欧州特許第1698863号、独国特許発明第3828011号、および国際公開第2017/173001号には、換気式空気処理ユニットの例が記載されている。
【0006】
現在、換気式内部空気処理ユニットの寸法、特に奥行きを小さくすることを妨げる主な制限は、換気グループと、熱交換器に空気を送出する関連パイプの既知の形状に起因している。
【0007】
これらの構成要素は現在の構成では比較的大きなスペースと大きな要素間間隔を必要とし、ファンコイルユニットの箱型ハウジングの全体的な空間要件に悪影響を及ぼす。特に、このような寸法は、ファンが送る空気を、完全かつ適度に均質な分布で熱交換器に当たるように送る必要性に関連している。これは、換気パイプに沿って「プレナム部」を設けることで実現され、これにより、空気の送出速度を下げて、熱交換バッテリの高出力運転を得るには方向性がありすぎる分布を均質化することができる。
【0008】
このようなプレナム部を介在させることで、螺旋形のディフューザを有する遠心式羽根付きファンを前面に使用することができる。しかしながら、このような構成要素の配置は、奥行きおよび長さ/高さにおいて必然的に寸法を増大させるので、上述した要件を満たすことができない。タワー型パッケージユニットとしてよく知られているこのようなファンコイルユニットの一例が、以下のウェブサイトで販売されている。
https://www.indiamart.com/proddetail/package-unit-vertical-tower-ac-5905059988.html
代替的に、ファンコイルユニットのいくつかの解決策として、例えばLG Electronics社によって製造された螺旋形でないラジアル遠心ファン(ASNW0963WB0など)が使用されている。しかしながら、この場合、熱交換バッテリは、ファンの上流側で、その中央吸気口の近傍に配置される。その結果、ファンコイルユニットの奥行き寸法は、ファンと熱交換バッテリの寸法に阻害されて、所望の寸法に低減させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、引用した先行技術を参照して示した欠点を克服できるように構造的および機能的に構成されたファンコイルユニットを提供することである。特に、本発明の目的は、主にファンコイルユニットのハウジングの2つの大きな壁の間の距離として測定される奥行きに関して、寸法の大幅な縮小という問題に対処することである。
【0010】
さらに、本発明の目的は、組立条件を実質的に変更することなく従来の静的ラジエータと組み合わせることが容易にできるように厚さが制限されたファンコイルユニットを提供する目的を含む。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した問題は、添付の特許請求の範囲に記載された1つまたは複数の特徴に従って構成された内部空気処理ユニットを介した本発明によって解決され、その他の目的も達成される。
【0012】
好ましい態様において、内部空気処理ユニットは、互いに対向し間隔をおいて配置された大きな前壁および後壁を有する箱型ハウジングを備える。前壁および後壁は、周縁側部によって周縁が閉じられている。好ましくは、螺旋形のディフューザを有さず、反転羽根を有する遠心/ラジアル型のファンが、大きな壁のうちの少なくとも一方に対して実質的に垂直な回転軸を有するようにハウジング内に支持される。
【0013】
したがって、ファンは、羽根車を備える。羽根車は、反転羽根を有するが、羽根車を閉じる螺旋形のディフューザを有さない。
【0014】
ハウジング内には、熱交換バッテリが配置される。ハウジングは、処理される空気のための少なくとも1つの入口開口と処理された空気のための少なくとも1つの出口開口とを有する。好ましい構成において、ファンおよび少なくとも1つの熱交換バッテリは、入口開口および出口開口を通ってファンによって生成された空気流の影響を順次受けるようにハウジング内に取り付けられ、熱交換バッテリは、周縁側部のうちの1つに近い位置で前壁と後壁との間に取り付けられ、前壁と同一平面上になるように、または前壁に対して90°以下、より有利には10°~30°の角度で傾斜するように配向されている。好ましくは、熱交換バッテリは、ファンと重ならないようにファンから離れた位置でハウジング内に取り付けられる。好ましくは、出口開口は、バッテリに近い位置で周縁側部または前側に形成され、入口開口は、大きな壁の一方、好ましくは前壁に形成される。さらに好ましくは、ハウジングがファンのディフューザを構成するように、出口開口に関与する側を除いた周縁側部が閉じられている。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、ファンは、ファンによって生成された空気流、特にファンの羽根車によって生成された空気流が前壁、後壁、および出口開口が関与しない周縁側部に当たり、その空気流が入口開口から熱交換バッテリへ送出されるようにハウジング内に配置される。
【0016】
したがって、この解決策では、ファンがハウジングの一部から構成されているので、ディフューザが設けられた遠心ファンを使用する必要がなくなる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前壁、後壁、および周縁側部は、共にハウジングのチャンバを区画する。チャンバは、単一チャンバであり、ファンと熱交換バッテリの両方を受容する。
【0018】
したがって、ファンと熱交換バッテリは、同じチャンバ内に受容される。
【0019】
好ましくは、内部空気処理ユニットのチャンバは、前壁、後壁、および周縁側部によってのみ区画されている。そのため、内部空気処理ユニットには、一方でファンを受容し、他方で熱交換バッテリを受容するような寸法を有する2つのサブチャンバにチャンバを区切る仕切り壁(開口の有無に関わらず)が設けられない。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、ハウジングは、ファン、特にファンの羽根車によって生成された空気流を熱交換バッテリに向けて送出して偏向させる単一のフローガイドを構成するように形成される。
【0021】
好ましくは、ハウジングは、四角形であり、より好ましくは、長方形である。
【0022】
好ましくは、ハウジングの前壁、後壁、および周縁側部は、長方形のパネルから構成される。
【0023】
好ましくは、熱交換バッテリは、長方形の断面を有する実質的に角柱状の形状を有し、その対角線上で互いに反対側にある頂点側がハウジングのそれぞれの大きな壁と実質的に接触するように出口開口内に取り付けられる。
【0024】
好ましくは、内部空気処理ユニットのハウジング内には、上部周縁側部と下部周縁側部とが画定され、出口開口は、上部周縁側部および下部周縁側部の一方に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的な一例として記載する、非限定的且つ好ましい多数の実施形態の以下の詳細な説明からより明確になるであろう。
図1】本発明の第1の実施形態によるユニットの模式的な斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態によるユニットの模式的な断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態によるユニットの模式的な斜視図である。
図4】本発明の第2の実施形態によるユニットの模式的な断面図である。
図5】本発明の第3の実施形態によるユニットの模式的な斜視図である。
図6】本発明の第3の実施形態によるユニットの模式的な断面図である。
図7】本発明の第4の実施形態によるユニットの模式的な斜視図である。
図8】本発明の第4の実施形態によるユニットの模式的な断面図である。
図9】本発明の第5の実施形態によるユニットの模式的な斜視図である。
図10】本発明の第5の実施形態によるユニットの模式的な断面図である。
図11】本発明の第6の実施形態によるユニットの模式的な斜視図である。
図12】本発明の第6の実施形態によるユニットの模式的な断面図である。
図13】本発明で使用されるタイプのファンの模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図において、ファンコイルユニットとも呼ばれる内部空気処理ユニット(本明細書において両方の用語が代替的に使用される)が参照符号1によって示されている。このユニットは、互いに対向して間隔をおいて配置され、且つ周縁側部5,6,7,8によって周縁が閉じられた大きな前壁3および後壁4を有する箱型ハウジング2を備える。ファン9は、ハウジング2内の大きな後壁4に支持されており、大きな壁の両方に実質的に垂直な回転軸Xを有する。1つ(または複数)の熱交換バッテリ10は、処理された空気のための出口開口11の近くでハウジング2内に受容される。
【0027】
熱交換バッテリは、長方形の断面を有する実質的に角柱状の形状を有し、その対角線上で互いに反対側にある頂点側V1およびV2がハウジング2のそれぞれの大きな壁3および4と実質的に接触するようにハウジング2に取り付けられる。好ましくは、熱交換バッテリ10は、ファン9と重ならないようにファン9から離れた位置でハウジング2内に取り付けられる。
【0028】
最後に、ハウジング2には、処理される空気のための入口開口12が設けられる。後述するように、これらの開口11,12、熱交換バッテリ10、およびファン9は、入口開口および出口開口を通ってファンによって生成された空気流の影響を順次受けるような配置でハウジング2内に取り付けられる。
【0029】
ファン9は、螺旋形のディフューザを有さず、反転羽根を有する遠心/ラジアル型のものである。その好ましい実施形態が図13に示されている。図において、反転羽根を有するファン9の羽根車は、参照符号9aによって示されている。
【0030】
なお、ファンによって生成された空気流が前壁3、後壁4、および出口開口が関与しない周縁側部に当たり、その空気流が入口開口から熱交換バッテリ10に向けて送出されるようにハウジング2内にファン9が配置されることに留意されたい。
【0031】
したがって、前壁3、後壁4、および出口開口が関与しない周縁側部は、羽根車9aによって生成された空気流を熱交換バッテリ10に向けることができる偏向器を形成する。
【0032】
図1図13を参照すると、前壁3、後壁4、および周縁側部5,6,7,8は、共にハウジング2の単一チャンバ2aを区画する。チャンバ2aは、ファン9と熱交換バッテリ10の両方を受容する。
【0033】
チャンバ2aは、前壁3、後壁4、および周縁側部5,6,7,8によってのみ区画されている。したがって、内部空気処理ユニット1には、一方でファン9を受容し、他方で熱交換バッテリ10を受容するような寸法を有する2つのサブチャンバにチャンバを区切る仕切り壁が設けられない。
【0034】
その一方で、欧州特許第1698863号に記載された解決策は、ファンと熱交換ユニットをそれぞれ受容する別々のチャンバを提供している。
【0035】
図1図13に示すように、ハウジング2は、ファン9によって生成された空気流を熱交換バッテリ10に向けて送出して偏向させる単一のフローガイドを構成するように形成される。
【0036】
その一方で、欧州特許第1698863、ドイツ特許第3828011号、および国際公報第2017/173001号に記載された解決策は、ファンによって生成された空気流を熱交換ユニットに向けて送出するための適切なガイドを提供している。
【0037】
ファン9、すなわちファンの羽根車9aは、閉じた後部フランジ15と、中央の開口17が設けられた前部フランジ16と、を備える。2つのフランジ15,16は、実質的に円形の形状を有し、反転羽根18を有する羽根のセットによって相互接続されている。場合によっては、前部フランジは省略されてもよい。後部フランジ15は、回転するモータ20を少なくとも部分的に受容するために使用される中央の凹部19を有する。モータ20は、ハウジング2の後壁4に支持されるように、既知の方法で取り付けられている。
【0038】
熱交換バッテリ10は、周縁側部の1つに近い位置に取り付けられる。好ましくは、熱交換バッテリ10は、空気のための出口開口として機能するグリル21(図1および図2参照)が設けられている上部周縁側部5に取り付けられる。この場合、熱交換バッテリ10は、その横方向の範囲と断面により、バッテリが前壁3と後壁4との間の出口開口11の断面全体を覆うように、前壁に対して10°~90°、好ましくは10°~30°の角度で傾斜するように配向されている。同時に、熱交換バッテリ10の長手方向寸法は、並置された周縁側部6および8の間に画定された範囲において、同じ出口開口11の全体に実質的に影響を及ぼすようになっている。
【0039】
代替的に、出口開口11を周縁側部5~8のいずれかに形成し、熱交換バッテリを関与する周縁側部の近くに適宜配置することもできる。これに関して、図3図11は、本発明のそれぞれの実施形態を示している。ここで、ファンコイルユニットは、空気のための出口開口が下方に向けられた状態で壁に設置されているか、出口開口が側方に設けられた状態で屋根に設置されているか、出口開口と入口開口が共に前壁に設けられた状態で屋根に設置されているか、入口開口と出口開口が長手方向両側で下部と上部に組み込まれた状態で壁に設置されている。図に示すすべての場合において、同様の細部は同じ参照符号によって示されている。
【0040】
有利には、前部に出口開口がある場合、バッテリを前壁の近くで前壁に対して同一平面上に配置することができる。これにより、後壁との間に空間ができるので、ファン9によって動かされた空気がそれを横切って通ることができる。
【0041】
好ましくは、その位置に関わらず、熱交換バッテリ10は、凝縮水を集めて搬送するためのトレイ23をその下方に有する。
【0042】
入口開口がユニットの下部に形成され、出口開口が上部周縁側部4に形成されている場合、下部周縁側部は閉じられ、ファン9によって取り込まれた空気は、前壁3と、そこからファン9の前部フランジ16の方向に間隔をおいて設けられたバッフル26との間に画定された隙間25を通ってファンの開口に向けられる。上述したすべての場合において、ハウジングは、その周縁側部のうちの少なくとも3つが閉じられおり、ファン9のディフューザを構成している。隙間25およびバッフル26の一例が図10に示されている。
【0043】
ユニット1の構成要素をこのように選択および配置することで、大きな表面間の距離で与えられる奥行き寸法を極めて小さくすることができる。従来のファンコイルユニットに比べ、全体の奥行き寸法は平均して三分の一以上小さくなっている。そのため、どのような環境や設置状況にも容易に組み込むことができる優れた外観を実現することができる。また、この寸法の低減は、ファンコイルユニット1と従来の静的ラジエータ28とを組み合わせて複合的な用途にも適している。
【0044】
静的ラジエータ28は、ヒータユニットとして使用されるタイプのラジエータである。
【0045】
この用途は、ラジエータ自体の暖房出力を高め、ファンコイルユニット2で実現される冷却および除湿機能を付加するのに非常に効果的である。この解決策は、夏期の冷房に加え、熱交換流体が比較的低温になる用途にも適している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11-12】
図13
【国際調査報告】