(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム
(51)【国際特許分類】
H04L 69/163 20220101AFI20231220BHJP
H04L 61/09 20220101ALI20231220BHJP
H04L 65/40 20220101ALI20231220BHJP
【FI】
H04L69/163
H04L61/09
H04L65/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535901
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2022073398
(87)【国際公開番号】W WO2022127938
(87)【国際公開日】2022-06-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510268565
【氏名又は名称】中国科学院声学研究所
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF ACOUSTICS, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(71)【出願人】
【識別番号】523189325
【氏名又は名称】シーネット(スヂョウ)・ネットワーク・テクノロジーズ・カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEANET (SUZHOU) NETWORK TECHNOLOGIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンリィン
(72)【発明者】
【氏名】ダン,ハオジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ,ジアリー
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ルゥイ
(72)【発明者】
【氏名】チァン,ガァン
(57)【要約】
本発明は、ネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システムを開示し、データ要求ノード、データソースサービスノード及び中間伝送ノードを含み、各ノードには、いずれも1つの全ネットワークに一意の識別子(ID)、及び少なくとも1つのネットワークアドレス(NA)が割り当てられ、且ついずれもIDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージを処理するユニットを備え、データ要求ノードは、データ要求メッセージを生成して送信し、且つデータ応答メッセージを受信するためのものであり、データソースサービスノードは、データ要求に応答するように構成され、該ノードにIDによって識別されたデータブロックが記憶される場合に、該データブロックのコンテンツの送信サービスを提供し、データ応答メッセージを生成して送信するためのものであり、中間伝送ノードは、IDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージを処理し、且つ自己決定データ記憶機能を備え、メッセージから取得された情報及び該ノードのネットワーク状態によって後続の処理行動を決定してもよく、データ要求に応答してもよく、且つ該ノードにIDによって識別されたデータブロックが記憶される場合に、該データブロックのコンテンツの送信サービスを提供し、データ応答メッセージを生成して送信するためのものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システムであって、
データ要求ノード、データソースサービスノード及び中間伝送ノードを含み、各ノードは、いずれも1つの全ネットワークに一意の識別子(ID)、及び少なくとも1つのネットワークアドレス(NA)が割り当てられ、且ついずれもIDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージを処理するユニットを備え、前記データ伝送システムの伝送オブジェクトが、全ネットワークに一意のID識別子を有するデータブロックであり、
前記データ要求ノードは、データ要求メッセージを生成して送信し、且つデータ応答メッセージを受信するためのものであり、
前記データソースサービスノードは、データ要求に応答するように構成され、IDにより識別されるデータブロックが該ノードに記憶される場合に、該データブロックのコンテンツの送信サービスを提供し、データ応答メッセージを生成して送信するためのものであり、
前記中間伝送ノードは、IDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージを処理し、且つ自己決定データ記憶機能を備え、メッセージから取得された情報及び該ノードのネットワーク状態によって後続の処理行動を決定してもよく、データ要求に応答してもよく、且つIDにより識別されるデータブロックが該ノードに記憶される場合に該データブロックのコンテンツの送信サービスを提供し、データ応答メッセージを生成して送信するためのものであることを特徴とするネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項2】
前記IDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージのヘッダフィールドは、データブロックID、データ要求ノードID、ソースアドレス、宛先アドレス、メッセージタイプ及び決定処理指示フィールドを含むが、それらに限らず、データブロックIDとデータ要求ノードIDが伝送中において変化しないように維持し、メッセージタイプは、データ要求メッセージ及びデータ応答メッセージを含むが、それらに限らず、決定処理指示フィールドは、プリファレンス指示フィールド、キャッシュ指示フィールド、QoS指示フィールド及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限らず、前記決定処理指示フィールドに含まれる対応指示情報は、メッセージフィールドにより伝達されることに限らず、メッセージ負荷により伝達されてもよい、ことを特徴とする請求項1に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項3】
前記データ要求メッセージにおけるソースアドレスは、データ要求ノードIDに対応するデータ要求ノードのネットワークアドレスであり、宛先アドレスは、データブロックIDにより識別されるデータブロックが記憶されて該データブロックのコンテンツ送信サービスを提供できるノードのアドレスであり、該宛先アドレスは、伝送中において、送信サービスを提供するノード及びそのネットワークアドレスの変化につれて変化する、ことを特徴とする請求項2に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項4】
前記データ応答メッセージのソースアドレスは、データブロックIDにより識別されるデータブロックが記憶されて該データブロックのコンテンツ送信サービスを提供できるノードのアドレスであり、宛先アドレスは、データ要求ノードIDに対応するデータ要求ノードのアドレスであり、ソースアドレスは、伝送中において、送信サービスを提供するノード及びそのネットワークアドレスの変化につれて変化する、ことを特徴とする請求項2に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項5】
前記プリファレンス指示フィールドの値は、データブロックをキャッシュ又は記憶するための最適なネットワーク位置の指示情報を表し、データ要求ノードに近い位置、データソースに近い位置、ネットワークコアに近い位置、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限らず、
前記キャッシュ指示フィールドの値は、フィールドが属するメッセージにおけるデータブロックのコンテンツの伝送経路上におけるキャッシュ行動指示情報を表し、伝送経路上において、データブロックがキャッシュされた回数と、キャッシュを実行する必要がある回数とを含むが、それらに限らず、
前記QoS指示フィールドの値は、データブロックのコンテンツの伝送、キャッシュ、及び記憶中のQoSニーズの指示情報を表し、遅延、スループット及び信頼性を含むが、それらに限らない、ことを特徴とする請求項2に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項6】
前記中間伝送ノードは、決定ユニットを備え、その入力が伝送処理情報セット及び該ノードのネットワーク状態セットであり、その出力が対応する後処理動作を実行するかどうかを決定するためのものである、ことを特徴とする請求項1に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項7】
前記伝送処理情報セットは、中間伝送ノードがメッセージを解析することで取得した情報で構成され、メッセージのヘッダフィールド情報及びメッセージ負荷に伝達する指示情報を含むが、それらに限らず、前記ネットワーク状態セットは中間伝送ノードの自身状態及び隣接ノード状態を含み、前記自身状態が現在の中間伝送ノード自身のリソース供給能力を指示するためのものであり、利用可能なキャッシュ空間、利用可能な記憶空間及び利用可能な帯域幅を含むが、それらに限らず、前記隣接ノード状態が現在の中間伝送ノードに隣接する別の中間伝送ノードの関連状態情報を指示するためのものであり、隣接する中間伝送ノードのネットワークアドレス、利用可能な記憶空間及びこのノードとのネットワーク距離を含むが、それらに限らず、隣接する別の中間伝送ノードは1つに限らず、その状態がアクティブ検出またはパッシブ検出によって取得される、ことを特徴とする請求項6に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項8】
前記決定ユニットは、1組の決定関数の計算で特徴付けられてもよく、1組の決定関数が1組の後処理動作に対応し、決定関数の値が対応する後処理動作を実行するかどうかを決定するためのものであり、各決定関数が異なる関数形式を用い、1つの決定関数が1つ又は複数の後処理動作に対応し、
N個の後処理動作があると仮定すると、前者に関して、n番目の後処理動作の決定関数D
n(X)を表す式は、以下の通りであり、
D
n(X)=d
n
ここで、n=1,2,…,N、関数の入力がX∈(PV∪NV)、PVが伝送処理情報セット、NVがネットワーク状態セット、nが後処理動作の番号、決定関数D
n(X)の値d
nが番号nの後処理動作を実行するかどうかを決定するためのものであり、
後者に関して、後処理動作がM個のサブグループに分けられ、1≦M<Nであり、1つの決定関数が1つのサブグループに対応し、各サブグループがk
l個の後処理動作を含み、即ち、
【数1】
ここで、1≦k
l≦N、決定関数D
l(X)の表現式がD
l(X)=[d
l1,d
l2,…,d
lkl]、l=1,2,…,M、d
l1,d
l2,…,d
lklがl番目の決定関数D
l(X)の出力値であり、各値がそれぞれl番目のサブグループにおける1つの後処理動作に対応する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項9】
前記後処理動作は、受信したトランスポート層プロトコルメッセージに対する中間伝送ノードの転送処理行動を規定し、直接転送、キャッシュ、記憶、隣接転送及び修正転送を含むが、それらに限らない、ことを特徴とする請求項6に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項10】
前記隣接転送動作は、メッセージにおける宛先アドレスを隣接ノードのアドレスに修正してから転送するとともに、元のメッセージを転送し、又はメッセージにおける関連指示情報を修正してから転送してもよいことを含み、前記隣接ノードは、現在のノードとの距離に基づいて選択した別の中間伝送ノードであり、前記距離がネットワーク距離又は地理的距離を含むが、それらに限らない、ことを特徴とする請求項9に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項11】
前記隣接ノードのアドレスは隣接ノード選択関数SN(Y)の出力値に応じて書き込まれ、該関数を表す式は、以下の通りであり、
SN(Y)={NA
i,i=1,…,I}
該関数は、隣接ノード状態に応じて現在の中間伝送ノードに隣接する別の中間伝送ノードから適切な隣接ノードを選択し、関数形式を制限せず、その入力Yが隣接ノード状態、出力値NA
iが選択関数の選択条件を満たすi番目の隣接ノードのネットワークアドレス、Iが選択関数の選択条件を満たす隣接ノードの総数である、ことを特徴とする請求項10に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項12】
前記データ伝送システムの外部には、前記データ伝送システムにおける各ノードのIDとネットワークアドレスとの間、データブロックIDと該データブロックが記憶されるノードのネットワークアドレスとの間のマッピング関係を管理して維持するための1つの名前解析システムを配置し、1つのデータブロックIDが複数のネットワークアドレスに対応してもよく、これにより、IDからNAまでの解析サービスを提供し、該データブロックが記憶される前記ノードは、該IDにより識別されるデータブロックを記憶して該データブロックのコンテンツ送信サービスを提供できるデータソースサービスノード又は中間伝送ノードである、ことを特徴とする請求項9に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【請求項13】
前記修正転送は、メッセージにおける宛先アドレスを修正してから転送することであり、その修正された対応するアドレスが選択関数G(CNA)の出力値により書き込まれ、該選択関数を表す式は、以下の通りであり、
G(CNA)={NA
j,NA
j∈CNA,j=1,…,J}
ここで、CNAは、IDにより識別されるデータブロックが記憶されるノードのネットワークアドレスセット、又はデータ要求ノードIDに対応するデータ要求ノードネットワークアドレスセットであり、該セットは、名前解析システムからクエリして取得したものであってもよいが、それに限らず、G(CNA)は、アプリケーション及びネットワークニーズに応じて1つ又は複数が定義されてもよく、出力値NA
jは、IDにより識別されるデータブロックが記憶されるj番目のノードのネットワークアドレス、Jは、IDにより識別されるデータブロックが記憶されるノードの総数である、ことを特徴とする請求項12に記載されたネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、名称が「ネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システム」であり、2020年12月15日に出願した中国特許出願第202011473017.0号に基づく優先権を主張し、この中国特許出願の全ての内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コンピュータネットワーク技術に関し、具体的にネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システムに関する。
【背景技術】
【0003】
モノのインターネット、モバイルインターネットの急速な発展に伴い、既存のIP識別子とアドレスを組み合わせたIPネットワーク技術システムは、モビリティ、拡張性、データ配信効率などの面で固有の欠陥が徐々に現れている。識別子とアドレスが分離されることを特徴とするICN(Information Centric Network)技術は、ネットワーク内のキャッシュによりコンテンツの近くでサービスすることを実現し、5G新型移動通信網によるeMBB、URLLC及びmMTCシーンにおけるビッグデータ処理に効率的で柔軟なデータ取得モードを提供する。ICNネットワークにおいて、中間の伝送ノードがコンテンツ要求の応答ノードとされてもよく、従って、従来のエンド・ツー・エンドトランスポート層プロトコルに基づく伝送システムは、ICNネットワークに適用できない。
【0004】
NDN(Named Data Network)又はCCN(Content Centric Network)は、ICNネットワークの1種として、名前に基づいてホップバイホップルーティングしてアドレッシングし、アドレッシングとルーティングとを結合する革命的なアーキテクチャであり、既存のネットワークに配置及び展開し難い。他のアドレッシングとルーティングとを分離する方式、例えばMobilityFirstなどのアーキテクチャは、ネットワークエンティティとデータ名前を1つの識別子(Identifier)にマッピングして、IDをその属するネットワークアドレス(NA)とバインディングするもので、既存のネットワークアーキテクチャ例えばIPネットワークと両立できるとともに、既存のネットワークにおける実施可能性を有する。ここで、IDがアドレッシングのためのものであり、NAがルーティングのためのものである。従って、既存のネットワークルーティングメカニズムと両立する上で、どのようにネットワークの中間伝送ノードの記憶及び計算能力を十分に利用して、ネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システムを提供することが、早急な解決の待たれる問題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題に対して、本発明は、ネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システムを提供することを目的とする。前記データ伝送システムは、データ要求ノード、データソースサービスノード及び中間伝送ノードを含む。各ノードは、いずれも1つの全ネットワークに一意の識別子(ID)、及び少なくとも1つのネットワークアドレス(NA)が割り当てられ、且ついずれもIDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージを処理するユニットを備える。前記データ伝送システムの伝送オブジェクトが、全ネットワークに一意のID識別子を有するデータブロックである。前記データ要求ノードは、データ要求メッセージを生成して送信し、且つデータ応答メッセージを受信するためのものである。前記データソースサービスノードは、データ要求に応答するように構成され、IDにより識別されたデータブロックが該ノードに記憶される場合に、該データブロックのコンテンツの送信サービスを提供し、データ応答メッセージを生成して送信するためのものである。前記中間伝送ノードは、IDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージを処理し、且つ自己決定データ記憶機能(self-decision making data storage function)を備え、メッセージから取得された情報及び該ノードのネットワーク状態によって後続の処理行動を決定、又はデータ要求に応答してもよく、且つIDにより識別されたデータブロックが該ノードに記憶される場合に、該データブロックのコンテンツの送信サービスを提供し、データ応答メッセージを生成して送信するためのものである。
【0006】
上記システムの改良として、前記IDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージのヘッダフィールドは、データブロックID、データ要求ノードID、ソースアドレス、宛先アドレス、メッセージタイプ及び決定処理指示フィールドを含むが、それらに限らない。伝送過程中において、データブロックIDとデータ要求ノードIDが変化しないように維持される。メッセージタイプは、データ要求メッセージ及びデータ応答メッセージを含むが、それらに限らない。決定処理指示フィールドは、プリファレンス指示フィールド、キャッシュ指示フィールド、QoS指示フィールド及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限らない。前記決定処理指示フィールドに含まれる対応指示情報は、メッセージフィールドにより伝達されることに限らず、メッセージ負荷により伝達されてもよい。
【0007】
上記システムの改良として、前記データ要求メッセージにおけるソースアドレスは、データ要求ノードIDに対応するデータ要求ノードのネットワークアドレスである。宛先アドレスは、データブロックIDにより識別されるデータブロックが記憶されて該データブロックのコンテンツ送信サービスを提供できるノードのアドレスである。該宛先アドレスは、伝送中において、送信サービスを提供するノード及びそのネットワークアドレスの変化につれて変化する。
【0008】
上記システムの改良として、前記データ応答メッセージのソースアドレスは、データブロックIDにより識別されるデータブロックが記憶されて該データブロックのコンテンツ送信サービスを提供できるノードのアドレスである。宛先アドレスは、データ要求ノードIDに対応するデータ要求ノードのアドレスである。ソースアドレスは、伝送中において、送信サービスを提供するノード及びそのネットワークアドレスの変化につれて変化する。
【0009】
上記システムの改良として、前記プリファレンス指示フィールドの値は、データブロックをキャッシュ又は記憶するための最適なネットワーク位置の指示情報を表し、データ要求ノードに近い位置、データソースに近い位置、ネットワークコアに近い位置、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限らない。前記キャッシュ指示フィールドの値は、フィールドが属するメッセージにおけるデータブロックのコンテンツの伝送経路上におけるキャッシュ行動の指示情報を表し、伝送経路上においてデータブロックがキャッシュされた回数と、キャッシュを実行する必要がある回数とを含むが、それらに限らない。前記QoS指示フィールドの値は、データブロックのコンテンツの伝送、キャッシュ、及び記憶中のQoSニーズの指示情報を表し、遅延、スループット及び信頼性を含むが、それらに限らない。
【0010】
上記システムの改良として、前記中間伝送ノードは、決定ユニットを備え、その入力が伝送処理情報セット及び該ノードのネットワーク状態セットであり、その出力が対応する後処理動作を実行するかどうかを決定するためのものである。
【0011】
上記システムの改良として、前記伝送処理情報セットは、中間伝送ノードがメッセージを解析することで取得した情報で構成され、メッセージのヘッダフィールド情報及びメッセージ負荷に伝達する指示情報を含むが、それらに限らない。前記ネットワーク状態セットは、中間伝送ノードの自身状態及び隣接ノード状態を含み、前記自身状態が現在の中間伝送ノード自身のリソース供給能力を指示するためのものであり、利用可能なキャッシュ空間、利用可能な記憶空間及び利用可能な帯域幅を含むが、それらに限らない。前記隣接ノード状態は、現在の中間伝送ノードに隣接する別の中間伝送ノードの関連状態情報を指示するためのものであり、隣接する中間伝送ノードのネットワークアドレス、利用可能な記憶空間及びこのノードとのネットワーク距離を含むが、それらに限らない。隣接する別の中間伝送ノードは、1つに限らず、その状態がアクティブ検出またはパッシブ検出によって取得される。
【0012】
上記システムの改良として、前記決定ユニットは、1組の決定関数の計算で特徴付けられてもよく、1組の決定関数が1組の後処理動作に対応し、決定関数の値が対応する後処理動作を実行するかどうかを決定するためのものであり、各決定関数が異なる関数形式を用い、1つの決定関数が1つ又は複数の後処理動作に対応する。N個の後処理動作があると仮定すると、前者に関して、n番目の後処理動作の決定関数D
n(X)を表す式は、以下の通りである。
D
n(X)=d
n
ここで、n=1,2,…,N、関数の入力がX∈(PV∪NV)、PVが伝送処理情報セット、NVがネットワーク状態セット、nが後処理動作の番号、決定関数D
n(X)の値d
nが番号nの後処理動作を実行するかどうかを決定するためのものである。後者に関して、後処理動作がM個のサブグループ(1≦M<N)に分けられ、1つの決定関数が1つのサブグループに対応し、各サブグループがk
l個の後処理動作を含む。即ち、以下の通りである。
【数1】
ここで、1≦k
l≦N、決定関数D
l(X)の表現式は、D
l(X)=[d
l1,d
l2,…,d
lKl]、l=1,2,…,M、d
l1,d
l2,…,d
lklがl番目の決定関数D
l(X)の出力値、各値がそれぞれl番目のサブグループにおける1つの後処理動作に対応する。
【0013】
上記システムの改良として、前記後処理動作は、受信したトランスポート層プロトコルメッセージに対する中間伝送ノードの転送処理行動を規定し、直接転送、キャッシュ、記憶、隣接転送及び修正転送を含むが、それらに限らない。
【0014】
上記システムの改良として、前記隣接転送動作は、メッセージにおける宛先アドレスを隣接ノードのアドレスに修正してから転送するとともに、元のメッセージを転送し、又はメッセージにおける関連指示情報を修正してから転送してもよいことを含む。前記隣接ノードは、現在のノードとの距離に基づいて選択した別の中間伝送ノードであり、前記距離がネットワーク距離又は地理的距離を含むが、それらに限らない。
【0015】
上記システムの改良として、前記隣接ノードのアドレスは、隣接ノード選択関数SN(Y)の出力値に応じて書き込まれ、該関数を表す式は、以下の通りである。
SN(Y)={NAi,i=1,…,I}
該関数は、隣接ノード状態に応じて現在の中間伝送ノードに隣接する別の中間伝送ノードから適切な隣接ノードを選択し、関数形式を制限せず、その入力Yが隣接ノード状態、出力値NAiが選択関数の選択条件を満たすi番目の隣接ノードのネットワークアドレス、Iが選択関数の選択条件を満たす隣接ノードの総数である。
【0016】
上記システムの改良として、前記データ伝送システムの外部には、前記データ伝送システムにおける各ノードのIDとネットワークアドレスとの間、データブロックIDと該データブロックが記憶されるノードのネットワークアドレスとの間のマッピング関係を管理して維持するための1つの名前解析システムが配置される。1つのデータブロックIDが複数のネットワークアドレスに対応してもよく、これにより、IDからNAまでの解析サービスが提供される。該データブロックが記憶される前記ノードは、該IDにより識別されるデータブロックを記憶して該データブロックのコンテンツ送信サービスを提供できるデータソースサービスノード又は中間伝送ノードである。
【0017】
上記システムの改良として、前記修正転送は、メッセージにおける宛先アドレスを修正してから転送することであり、その修正された対応するアドレスが選択関数G(CNA)の出力値により書き込まれ、該選択関数を表す式は、以下の通りである。
G(CNA)={NAj,NAj∈CNA,j=1,…,J}
ここで、CNAは、IDにより識別されるデータブロックが記憶されるノードのネットワークアドレスセット、又はデータ要求ノードIDに対応するデータ要求ノードネットワークアドレスセットである。該セットは、名前解析システムからクエリして取得したものであってもよいが、それに限らない。G(CNA)は、アプリケーション及びネットワークニーズに応じて1つ又は複数が定義されてもよい。出力値NAjは、IDにより識別されるデータブロックが記憶されるj番目のノードのネットワークアドレスである。Jは、IDにより識別されるデータブロックが記憶されるノードの総数である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の利点は以下のとおりである。
【0019】
本発明のシステムによれば、変化しないデータブロックID及びデータ要求ノードIDに基づいて、データ要求ノードと中間伝送ノード又はデータソースサービスノードとの間でデータブロックの伝送が実現され、中間伝送ノードによるメッセージフィールドの決定及び処理によって、伝送中におけるデータブロックのキャッシュ・記憶が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システムの構成模式図である。
【
図2】メッセージフィールドに決定処理指示情報が含まれるメッセージの模式図である。
【
図3】メッセージ負荷に決定処理指示情報が含まれるメッセージの模式図である。
【
図5】データ要求及び応答プロセスの模式
図Aである。
【
図6】データ要求及び応答プロセスの模式
図Bである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の技術案を詳しく説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明に係るネットワーク内のストレージ機能を有するデータ伝送システムは、データ要求ノードと、データソースサービスノードと、トランスポート層メッセージを処理可能で且つ自己決定データ記憶機能を有する中間伝送ノードなどのノードとで構成される。各ノードは、いずれも1つの全ネットワークに一意の識別子(ID)、及び少なくとも1つのネットワークアドレス(NA)が割り当てられる。該システムの伝送オブジェクトは、全ネットワークに一意のIDを有するデータブロック(例えば、図中のID-c)である。該システムの中間伝送ノードとデータソースサービスノードは、いずれもデータ要求ノードが開始した要求に応答することができる。該システムのすべてのノードは、いずれもIDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージを処理するユニットモジュールを備える。
【0023】
該システムのデータ要求ノードは、データ要求メッセージを生成して送信し、データ応答メッセージを受信する機能を有する。該システムのデータソースサービスノードは、データ要求メッセージに応答して、データ応答メッセージを生成して送信する機能を有する。
【0024】
該システムの外部において、1つの名前解析システムが、前記データ伝送システムにおける各ノードIDと該ノードネットワークアドレスとの間、データブロックIDと該データブロックが記憶されるノードネットワークアドレスとの間のマッピング関係を管理して維持し、IDからNAまでの解析サービスを提供することを担う。そのマッピング関係は、1つのデータブロックIDが複数のネットワークアドレスに対応し、例えば図中のデータブロックID-cが2つのネットワークアドレスNA-s、NA-t3に対応することであってもよい。
【0025】
本発明に係るトランスポート層プロトコルメッセージヘッダフィールドは、データブロックID、データ要求ノードID、ソースアドレス、宛先アドレス、メッセージタイプ及び決定処理指示フィールドを含んでもよいが、それらに限らない。
図2は、該メッセージのIPv6ネットワークにおける模式図である。
【0026】
データブロックIDとデータ要求ノードIDが、伝送中において変化しないように維持される。メッセージタイプは、データ要求メッセージ及びデータ応答メッセージを含むが、それらに限らない。決定処理指示フィールドは、プリファレンス指示、キャッシュ指示及びQoS指示を含むが、それらに限らず、それらを組み合わせてもよい。データ要求メッセージのソースアドレスは、データ要求ノードIDに対応するデータ要求ノードのネットワークアドレスである。宛先アドレスは、IDにより識別されるデータブロックが記憶されて該データブロックのコンテンツ送信サービスを提供できるノードのアドレスである。該宛先アドレスは、伝送中において、送信サービスを提供するノード及びそのネットワークアドレスの変化につれて変化してもよい。
【0027】
データ応答メッセージのソースアドレスは、IDにより識別されるデータブロックが記憶されて該データブロックのコンテンツ送信サービスを提供できるノードのアドレスである。宛先アドレスは、データ要求ノードIDに対応するデータ要求ノードのアドレスである。ソースアドレスは、伝送中において、送信サービスを提供するノード及びそのネットワークアドレスの変化につれて変化してもよい。
【0028】
決定処理指示フィールドにおいて、プリファレンス指示フィールドの値は、データブロックをキャッシュ又は記憶するための好適なネットワーク位置の指示情報を表し、データ要求ノードに近い位置、データソースに近い位置、ネットワークコアに近い位置及びそれらの組み合わせなどを含むが、それらに限らない。キャッシュ指示フィールドの値は、フィールドが属するメッセージにおけるデータブロックのコンテンツの伝送経路上におけるキャッシュ行動の指示情報を表し、伝送経路上においてデータブロックがキャッシュされた回数と、キャッシュを実行する必要がある回数などを含むが、それらに限らない。QoS指示フィールドの値は、データブロックのコンテンツの伝送、キャッシュ、及び記憶中のQoSニーズの指示情報を表し、遅延、スループット、信頼性などのニーズを含むが、それらに限らない。
【0029】
メッセージフィールドにおける決定処理指示情報は、メッセージ負荷により伝達されてもよい。
図3は、メッセージ負荷により該情報を伝達するメッセージ模式図である。TLV(Tag、Length、Value)符号化フォーマットを用い、タグ1、2、3がそれぞれQoS指示、プリファレンス指示、キャッシュ指示などの情報に対応する。
【0030】
中間伝送ノードの機能モジュール図は、
図4に示される。該モジュールは、トランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュール、決定モジュール及び後処理モジュールを備える。トランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、IDに基づくトランスポート層プロトコルメッセージを受信・識別して、該メッセージを解析し、トランスポート層プロトコルメッセージヘッダフィールド又は負荷中に含まれるデータブロックID、データ要求ノードID、ソースアドレス、宛先アドレス、メッセージタイプ、決定処理指示などの情報を取得するとともに、これに基づいて伝送処理情報セットを構築して決定モジュールに伝達することを担う。トランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、後処理モジュールにて処理されたメッセージをネットワーク層に伝達して送信することも担う。
【0031】
決定モジュールの入力は、トランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールから伝達された伝送処理情報セット及び現在のノードのネットワーク状態セットであり、その出力結果は、後処理モジュールに伝達され、対応する後処理動作を実行するかどうかを決定するためのものである。
【0032】
決定モジュールは、1組の決定関数の計算で特徴付けられてもよく、1組の決定関数が1組の後処理動作に対応し、決定関数の値が対応する後処理動作を実行するかどうかを決定するためのものであるが、各決定関数が異なる関数形式を用いてもよい。1つの決定関数が1つの後処理動作に対応してもよく、複数の後処理動作に対応してもよい。一般性を失わずに、N個(N≧1)の後処理動作があると仮定すると、前者に関して、n番目の後処理動作の決定関数Dn(X)を表す式は、以下の通りである。
Dn(X)=dn
ここで、n=1,2,…,N、関数の入力がX∈(PV∪NV)、PVが伝送処理情報セット、NVがネットワーク状態セット、nが後処理動作の番号、決定関数Dn(X)の値dnが番号nの後処理動作を実行するかどうかを決定するためのものである。
【0033】
後者に関して、後処理動作がM個のサブグループ(1≦M<N)に分けられ、1つの決定関数が1つのサブグループに対応し、各サブグループがk
l個の後処理動作を含む。即ち、以下の通りである。
【数2】
ここで、1≦k
l≦N、決定関数の表現式はD
l(X)=[d
l1,d
l2,…,d
lkl]、l=1,2,…,M、d
l1,d
l2,…,d
lklがl番目の決定関数D
l(X)の出力値であり、各値がそれぞれl番目のサブグループにおける1つの後処理動作に対応する。
【0034】
後処理モジュールは、決定モジュールの出力に基づいて、直接転送、キャッシュ、記憶、隣接転送及び修正転送などの後処理動作を実行するかどうかを決定する。そのうち、直接転送は、メッセージを修正処理せずに、メッセージを直接転送する。
【0035】
キャッシュは、メッセージにおけるデータブロックのコンテンツをローカルの中間伝送ノードに記憶するとともに、元のメッセージを転送し、又はメッセージにおける関連指示情報を修正してから転送する。
【0036】
記憶は、メッセージにおけるデータブロックのコンテンツをローカルの中間伝送ノードに記憶する。
【0037】
隣接転送は、メッセージにおける宛先アドレスを隣接ノードのアドレスに修正してから転送するとともに、元のメッセージを転送するか、又はメッセージにおける関連指示情報を修正してから転送してもよい。現在のノードの隣接ノードは、現在のノードとの距離に基づいて選択した別の中間伝送ノードであり、その距離がネットワーク距離又は地理的距離であってもよいが、それに限らない。隣接転送修正の宛先アドレスは、隣接ノード選択関数SN(Y)の出力値に基づいて書き込まれてもよく、以下の通りである。
SN(Y)={NAi,i=1,…,I}
該関数は、隣接ノード状態に応じて現在の中間伝送ノードに隣接する伝送ノードから適切な別の伝送ノードを選択し、関数形式を制限せず、その入力Yが隣接ノード状態、出力値NAiが選択関数の選択条件を満たす隣接中間伝送ノードのネットワークアドレスである。
【0038】
修正転送は、メッセージにおける宛先アドレスを修正してから転送し、その修正された対応するアドレスが選択関数G(CNA)の出力値により書き込まれる。該選択関数を表す式は、以下の通りである。
G(CNA)={NAj,NAj∈CNA,j=1,…,J}
ここで、CNAは、データブロックIDに対応する、該IDにより識別されるデータブロックが記憶されるノードネットワークアドレスセット、又はデータ要求ノードIDに対応するデータ要求ノードネットワークアドレスセットである。該セットは、名前解析システムからクエリして取得したものであってもよいが、それに限らない。G(CNA)は、アプリケーション及びネットワークニーズに応じて1つ又は複数が定義されてもよい。
【0039】
決定関数Dn(X)は、二段階で決定する方式を用いてもよく、まず、データブロックのキャッシュ/記憶ニーズ、現在のノードのキャッシュ/記憶能力、隣接ノードの選択及びキャッシュ能力などの相対的に独立したいくつかの決定事項を1回判定し、更に、判定された結果に基づいて連携して決定する。即ち、該決定関数は、一連の決定事項判定関数出力値に対する連携決定関数として表現されてもよく、以下の通りである。
Dn(X)=JDn[F1(X),F2(X),…,Fi(X),…]
ここで、JDn(・)はn番目の後処理動作に対する連携決定関数であり、その入力がn番目の後処理動作関連決定事項をトリガーする判定関数F1(X),F2(X),…,Fi(X),…の出力値であるが、JDn(・)とFi(X)の形式は制限されない。
【0040】
関連決定事項の判定関数は、以下のように表現されてもよい。
【0041】
FC(X)は、キャッシュ判定関数を示し、現在の中間伝送ノードにメッセージにおけるデータブロックのコンテンツをキャッシュする必要があるかどうかを判定するためのものであって、その出力値がブール値で特徴付けられてもよいが、それに限らない。
Fc(X)=Y;現在のノードにキャッシュする必要がある。
N;現在のノードにキャッシュする必要がない。
【0042】
FCA(X)は、キャッシュ能力判定関数を示し、現在の中間伝送ノードがデータブロックをキャッシュする能力があるかどうかを判定するためのものであって、その出力値がブール値で特徴付けられてもよいが、それに限らない。
FCA(X)=Y;現在のノードがキャッシュする能力がある。
N;現在のノードがキャッシュする能力がない。
【0043】
FCN(X)は、隣接キャッシュ判定関数を示し、現在の中間伝送ノードがメッセージを隣接する中間伝送ノードに転送してキャッシュすることができるかどうかを判定するためのものであって、その出力値がブール値で特徴付けられてもよいが、それに限らない。
FCN(X)=Y;隣接する中間伝送ノードに転送してキャッシュすることができる。
N;隣接する中間伝送ノードに転送してキャッシュすることができない。
【0044】
FS(X)は、記憶判定関数を示し、現在の中間伝送ノードにメッセージにおけるデータブロックのコンテンツを記憶する必要があるかどうかを判定するためのものであって、その出力値がブール値で特徴付けられてもよいが、それに限らない。
FS(X)=Y;現在のノードに記憶する必要がある。
N;現在のノードに記憶する必要がない。
【0045】
FSA(X)は、記憶能力判定関数を示し、現在の中間伝送ノードがデータブロックを記憶する能力があるかどうかを判定するためのものであって、その出力値がブール値で特徴付けられてもよいが、それに限らない。
FSA(X)=Y;現在のノードが記憶する能力がある。
N;現在のノードが記憶する能力がない。
【0046】
FMD(X)は、宛先アドレス判定関数を示し、宛先アドレスを修正するかどうかを判定するためのものであって、その出力値がブール値で特徴付けられてもよいが、それに限らない。
FMD(X)=Y;宛先アドレスを修正する。
N;宛先アドレスを修正しない。
【0047】
FMS(X)は、ソースアドレス判定関数を示し、ソースアドレスを修正するかどうかを判定するためのものであって、その出力値がブール値で特徴付けられてもよいが、それに限らない。
FMS(X)=Y;ソースアドレスを修正する。
N;ソースアドレスを修正しない。
【0048】
Fi(X)は、アプリケーション又はネットワークニーズに応じて必要とされる他の判定関数である。
【0049】
このように、直接転送、キャッシュ、記憶、隣接転送及び修正転送などの後処理動作に対する連携決定関数は、
(1)直接転送動作に関して、
JD1(X)=[(FC(X)==N)∩(FS(X)==N)]∪[(FC(X)==Y)∩(FCA(X)==N)∩(FCN(X)==N)]
(2)キャッシュ動作に関して、
JD2(X)=(FC(X)==Y)∩(FCA==Y)
(3)記憶動作に関して、
JD3(X)=(FC(X)==Y)∩(FCA(X)==Y)∩(FCN(X)==Y)
(4)隣接転送動作に関して、
JD4(X)=[(FC(X)==Y)∩(FCA(X)==Y)∩(FCN(X)==Y)]∪[(FS(X)==Y)∩(FSA(X)==Y)]
(5)修正転送動作に関して、
JD5(X)=(FMD(X)==Y)∪(FMS(X)==Y)、
であってもよい。
【0050】
連携決定関数の出力値が「真」である場合、対応する後処理動作を実行する。該機能の出力が連続値であってもよい。閾値との比較によって、対応する後処理動作を実行するかどうかが決定される。
【0051】
本発明に係る伝送システムにおけるデータ要求及び応答プロセスの具体的な実施形態は
図5及び
図6に示される。
【0052】
図5について、一般性を失わずに、初期化中に各中間伝送ノードにいずれもいかなるデータブロックがキャッシュ又は記憶されないと仮定すると、データソースサービスノードは、ネットワークアドレスNA-sが割り当てられ、ID-c識別子のデータブロックが記憶され、且つ既に名前解析システムにはID-cとデータソースサービスノードアドレスNA-sとのマッピング関係が登録されている。データ要求ノード1は、全ネットワークに一意の識別子ID-r1、及びネットワークアドレスNA-r1が割り当てられる。中間伝送ノード1、2、3は、それぞれネットワークアドレスNA-t1、NA-t2、NA-t3が割り当てられる。そのノードの決定モジュールにおける決定関数が、二段階で決定する方式を用いる。キャッシュ判定関数F
C(X)がいずれもF
C(X)=Yであると仮定、即ち現在のノードが常にキャッシュする必要があると仮定すると、トランスポート層プロトコルメッセージヘッダフィールドにおいてメッセージタイプフィールドの値が0及び1に設定される。ここで、0がデータ要求メッセージを示し、1がデータ応答メッセージを示す。
【0053】
(101)データ要求ノード1は、データブロックID-cが含まれる解析要求を名前解析システムに送信し、名前解析システムは、データブロックID-cが記憶されるデータソースサービスノードアドレスNA-sを返信する。
【0054】
(102)データ要求ノード1のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ要求メッセージを生成して送信し、データブロックに対する要求を開始する。データ要求メッセージでは、メッセージタイプが0、データブロックIDがID-c、データ要求ノードIDがID-r1、宛先アドレスがNA-s、ソースアドレスがNA-r1に設定される。該メッセージが、その属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じて中間伝送ノード1に転送される。
【0055】
(103)中間伝送ノード1のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ要求メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ要求メッセージであることを示す0であると読み取ると、宛先アドレスを読み取る。ここで、そのメッセージの宛先アドレスが現在のノードのアドレスではないので、該メッセージを直接転送する。ここでは、該メッセージが、その属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じて中間伝送ノード2に転送される。
【0056】
(104)中間伝送ノード2のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ要求メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ要求メッセージであることを示す0であると読み取ると、宛先アドレスを読み取る。ここで、そのメッセージの宛先アドレスが現在のノードアドレスではないので、該メッセージを直接転送する。ここでは、該メッセージが、その属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じてデータソースサービスノードに転送される。
【0057】
(105)データソースサービスノードのトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ要求メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ要求メッセージであることを示す0であると読み取ると、宛先アドレスを読み取る。ここで、そのメッセージの宛先アドレスNA-sが現在のノードのネットワークアドレスであるので、データ要求に応答してデータ応答メッセージを生成する。データ応答メッセージでは、メッセージタイプが1、データブロックIDがID-c、データ要求ノードIDがID-r1、宛先アドレスがNA-r1、ソースアドレスがNA-sに設定される。決定処理指示フィールド情報に少なくともキャッシュ指示が含まれると、ID-cに対応するデータブロックのコンテンツをカプセル化して該メッセージを送信する。ここでは、該メッセージが、その属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じて中間伝送ノード3に転送される。
【0058】
(106)中間伝送ノード3のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ応答メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ応答メッセージであることを示す1であると読み取ると、決定処理指示情報を読み取って決定モジュールに伝達する。決定モジュールは、FC(X)及びFCA(X)を計算する。FC(X)=Yの場合にキャッシュする必要があり、そして、現在のノードにいかなるデータブロックがキャッシュ及び記憶されずキャッシュする能力があるため、FCA(X)=Yとなり、これに基づいて、キャッシュ動作に対する連携決定関数JD2(X)=Yが計算される。即ち、決定結果がキャッシュ処理を実行することである。従って、後処理モジュールは、キャッシュ動作を実行して、データブロックのコンテンツをキャッシュしてからステップ(107)を実行するとともに、元のメッセージを転送し、又は、メッセージにおけるキャッシュ指示情報を修正してから転送してもよい。該メッセージが、その属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じて中間伝送ノード1に転送される。
【0059】
(107)中間伝送ノード3は、データブロックIDと中間伝送ノード3のネットワークアドレスNA-t3とのマッピング関係を名前解析システムに登録する。
【0060】
(108)中間伝送ノード1のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ応答メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ応答メッセージであることを示す1であると読み取ると、決定処理指示情報を読み取って決定モジュールに伝達する。決定モジュールは、FC(X)及びFCA(X)を計算する。FC(X)=Yの場合にキャッシュする必要があり、そして、現在のノードにいかなるデータブロックがキャッシュ及び記憶されずキャッシュする能力があるため、FCA(X)=Yとなり、これに基づいて、キャッシュ動作に対する連携決定関数JD2(X)=Yが計算される。即ち、決定結果がキャッシュ処理を実行することである。従って、後処理モジュールはキャッシュ動作を実行し、データブロックのコンテンツをキャッシュしてからステップ(109)を実行するとともに、元のメッセージを転送し、又は、メッセージにおけるキャッシュ指示情報を修正してから転送してもよい。該メッセージが、その属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じてデータ要求ノード1に転送される。
【0061】
(109)中間伝送ノード1は、データブロックIDと中間伝送ノード1のネットワークアドレスNA-t1とのマッピング関係を名前解析システムに登録する。
【0062】
(110)データ要求ノード1のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ応答メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ応答メッセージであることを示す1であると読み取ると、宛先アドレスを読み取る。ここで、そのメッセージの宛先アドレスNA-r1が現在のノードのネットワークアドレスであるので、データブロックのコンテンツを読み取って、読み取られたデータブロックのコンテンツを上位層アプリケーションに提供する。
【0063】
上記ステップ(105)の実行中において、ステップ(105a)を実行して宛先アドレスを更新してからメッセージを送信してもよい。
【0064】
(105a)データソースサービスノードは、データ要求ノード1の識別子ID-r1が含まれる解析要求を名前解析システムに送信し、名前解析システムは、ID-r1に対応するアドレスNA-r1を返信して宛先アドレスを更新する。上記ステップ(106)の実行中に、ステップ(106a)を実行して宛先アドレスを更新してからメッセージを転送してもよい。
【0065】
(106a)中間伝送ノード3は、データ要求ノード1の識別子ID-r1が含まれる解析要求を名前解析システムに送信し、名前解析システムは、ID-r1に対応するアドレスNA-r1を返信して宛先アドレスを更新する。上記ステップ(108)について、中間伝送ノード1は、実行中に、宛先アドレスを更新してからメッセージを転送してもよく、このステップは(106a)と類似しているので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0066】
上記プロセスにおけるステップ(105)から、データ応答メッセージは、その属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じて中間伝送ノード3、1及びデータ要求ノード1の順に伝送されるが、ネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じて中間伝送ノード2、1及びデータ要求ノード1の経路に沿って伝送される可能性もある。
【0067】
上記プロセスにおけるステップ(105)において、データソースサービスノードトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ応答メッセージをカプセル化する際に、データブロックのサイズがネットワーク層メッセージの最大長よりも大きい可能性があるので、ID-cに対応するデータブロックをより小さなデータピースに分割して複数のパケットにカプセル化して送信してもよい。送信の時間は、連続送信され、又はデータ要求ノードの要求状況に応じて送信されてもよいが、それらに限らない。
【0068】
図6について、
図5を基に1つのデータ要求ノード2を追加したもので、データ要求ノード2は、全ネットワークに一意の識別子ID-r2、及びネットワークアドレスNA-r2が割り当てられる。また、データ要求ノード1が、既に
図5におけるプロセス要求に応じてID-cにより識別されるデータブロックを取得し、かつ該データブロックも既に中間伝送ノード3、1にキャッシュ及び登録されていると仮定すると、データ要求ノード2が、ID-cにより識別されるデータブロックを要求する具体的な実施プロセスは以下の通りである。
【0069】
(201)データ要求ノード2は、データブロックID-cが含まれる解析要求を名前解析システムに送信し、名前解析システムは、データブロックID-cが記憶される、データソースサービスノードアドレスNA-s、中間伝送ノード3及び1のアドレスNA-r3及びNA-r1を含むネットワークアドレスセットCNAを返信する。NA-r3が選択されると仮定すると、名前解析システムは、1つのアドレスを選択して返信する可能性もあり、選択方法を制限せず、NA-r3を返信すると仮定される。
【0070】
(202)データ要求ノード2のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ要求メッセージを生成して送信し、データブロックに対する要求を開始する。データ要求メッセージでは、メッセージタイプが0、データブロックIDがID-c、データ要求ノードIDがID-r2、ソースアドレスがNA-r1、宛先アドレスがNA-r3に設定される。該メッセージが、その属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じて中間伝送ノード1に転送される。
【0071】
(203)中間伝送ノード1のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ要求メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ要求メッセージであることを示す0であると読み取ると、宛先アドレスを読み取る。ここで、データ要求メッセージの宛先アドレスが現在のノードアドレスではないので、該メッセージを直接転送し、該メッセージがその属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じて中間伝送ノード3に転送される。
【0072】
(204)中間伝送ノード3のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ要求メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ要求メッセージであることを示す0であると読み取ると、宛先アドレスを読み取る。ここで、データ要求メッセージの宛先アドレスが現在のノードアドレスであるので、データ要求に応答してデータ応答メッセージを生成する。データ応答メッセージでは、メッセージタイプが1、データブロックIDがID-c、データ要求ノードIDがID-r2、宛先アドレスがNA-r2、ソースアドレスをNA-t3に設定され、決定処理指示フィールド情報に少なくともキャッシュ指示が含まれる。そして、ID-cに対応するデータブロックのコンテンツをカプセル化して該メッセージを送信し、該メッセージがその属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じて中間伝送ノード1に転送される。
【0073】
(205)中間伝送ノード1のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ応答メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ応答メッセージであることを示す1であると読み取ると、決定処理指示情報を読み取って決定モジュールに伝達する。決定モジュールは、FC(X)及びFCA(X)を計算し、FC(X)=Yの場合にキャッシュする必要があり、現在のノードが現在ではキャッシュする能力があると仮定するとFCA(X)=Yとなり、これに基づいて、キャッシュ動作に対する連携決定関数JD2(X)=Yを計算する。即ち、決定結果がキャッシュ処理を実行することである。従って、後処理モジュールは、キャッシュ動作を実行してデータブロックのコンテンツをキャッシュする。現在のノードに既に該データブロックがキャッシュされているため、キャッシュする必要がなく、それと同時に、元のメッセージを転送し、又は、メッセージにおけるキャッシュ指示情報を修正してから転送してもよい。該メッセージが、その属するネットワーク自身のルーティングメカニズムに応じてデータ要求ノード2に転送される。
【0074】
(206)データ要求ノード2のトランスポート層プロトコルメッセージ処理モジュールは、データ応答メッセージを受信して、該メッセージを識別して解析し、メッセージタイプがデータ応答メッセージであることを示す1であると読み取ると、宛先アドレスを読み取る。ここで、データ応答メッセージの宛先アドレスNA-r2が現在のノードのネットワークアドレスであるので、データブロックのコンテンツを読み取って、読み取られたデータブロックのコンテンツを上位層アプリケーションに提供する。
【0075】
上記ステップ(204)、(205)は、実行中において、宛先アドレスを更新してからメッセージを転送してもよく、このステップは(106a)と類似しているので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0076】
最後に説明すべきことは、以上の実施例は単に本発明の技術案を説明するためのものであって、これに限定されるものではない。実施例を参照して本発明を詳しく説明したが、当業者であれば理解されるように、本発明の技術案に対して行われる修正又は等価置換は、いずれも本発明の技術案の主旨及び範囲から逸脱するものではなく、それらはいずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】