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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】電池管理装置及び電池制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
H02J7/00 302D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536175
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 KR2022013597
(87)【国際公開番号】W WO2023090605
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0157157
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ホ・チョル・ナム
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソクジン・イ
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA13
5G503DB02
5G503EA05
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
本発明の実施例に係る電池制御方法は、BMSによって行われる電池制御方法であって、一定時間の間上位システムから上記電池システムの使用に係る要請がない場合、上記電池パックの状態を低電力状態である待機モードに切り替える手続きを行うステップ;上記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作を行っている間に、上記上位システムから電池システム活性化要請が受信される場合、当該要請に対して応答して、上記待機モードに切り替える手続きを脱するステップ;及び上記電池パックの状態を正常状態に遷移させるステップを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池システムを管理する装置であって、
プロセッサ;及び
前記プロセッサによって実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリを含み、
前記少なくとも一つの命令は、
一定時間の間上位システムから前記電池システムの使用に係る要請がない場合、電池パックの状態を低電力状態である待機モードに切り替える手続きを行うようにする命令;
前記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作を行っている間に、前記上位システムから電池システム活性化要請が受信される場合、当該要請に対して応答して、前記待機モードに切り替える手続きを脱するようにする命令;及び
前記電池パックの状態を正常状態に遷移するようにする命令を含む、装置。
【請求項2】
前記待機モードに切り替える手続きは、
前記待機モードに切り替える手続きに含まれた各動作を行う度に前記上位システムから前記電池システム活性化要請が発生したかチェックする手続きを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電池システム活性化要請が発生したかチェックする手続きは、
前記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作のうちしきい値以上の時間がかかる動作に対しては、当該動作が行われる途中で前記電池システム活性化要請が発生したか複数回チェックすることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記待機モードに切り替える手続きを脱するようにする命令は、
前記待機モードに切り替える手続き中に既に行われた一つ以上の動作に対応するロールバック動作を前記既に行われた一つ以上の動作の順序と逆順で行うようにする命令を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記上位システムは、車両本体である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記待機モードに切り替える手続きに含まれた第1の動作は、前記装置内に含まれた一つのデバイスを終了させるかスリープ又はオフ状態に制御する動作であり、前記第1の動作に対するロールバック動作は、当該デバイスを動作開始するか正常又はオン状態に制御する動作である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
電池システムを管理するBMS(Battery Management System)によって行われる電池制御方法であって、
一定時間の間上位システムから前記電池システムの使用に係る要請がない場合、電池パックの状態を低電力状態である待機モードに切り替える手続きを行うステップ;
前記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作を行っている間に、前記上位システムから電池システム活性化要請が受信される場合、当該要請に対して応答して、前記待機モードに切り替える手続きを脱するステップ;及び
前記電池パックの状態を正常状態に遷移させるステップを含む、電池制御方法。
【請求項8】
前記待機モードに切り替える手続きは、
前記待機モードに切り替える手続きに含まれた各動作を行う度に前記上位システムから前記電池システム活性化要請が発生したかチェックするステップを含む、請求項7に記載の電池制御方法。
【請求項9】
前記電池システム活性化要請が発生したかチェックするステップは、
前記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作のうちしきい値以上の時間がかかる動作に対しては、当該動作が行われる途中で前記電池システム活性化要請が発生したか複数回チェックするステップを含む、請求項8に記載の電池制御方法。
【請求項10】
前記待機モードに切り替える手続きを脱するステップは、
前記待機モードに切り替える手続き中に既に行われた一つ以上の動作に対応するロールバック動作を前記既に行われた一つ以上の動作の順序と逆順で行うステップを含む、請求項7に記載の電池制御方法。
【請求項11】
前記上位システムは、車両本体である、請求項7に記載の電池制御方法。
【請求項12】
前記待機モードに切り替える手続きに含まれた第1の動作は、前記BMS内に含まれた一つのデバイスを終了させるかスリープ又はオフ状態に制御する動作であり、前記第1の動作に対するロールバック動作は、当該デバイスを動作開始するか正常又はオン状態に制御する動作である、請求項7に記載の電池制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月16日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0157157号の出願日の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された内容の全ては、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電池管理装置及び電池制御方法に関し、より具体的には、上位システムの要請に迅速に対応可能な電池管理装置及び当該装置による電池制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
使用後に充電して再使用が可能な電池である二次電池は、デバイスが要求する出力容量に応じて多数個の電池セルを直列接続してなる電池モジュール又は電池パックとして作製されて、各種のデバイスの電力供給源として使用される。かかる電池は、スマートフォンなどの小型先端電子機器分野のみならず、電気自転車、電気自動車、エネルギー貯蔵システム(ESS)に至るまで多様な分野に使用されている。
【0004】
電池モジュール又は電池パックは、多数個の電池セルが組み合わせられた構造体であって、一部の電池セルで過電圧、過電流、過発熱などが発生する場合には、電池モジュール又は電池パックの安全性と作動効率に問題が発生するので、これらを検出するための手段が必須となる。そのため、電池モジュール又は電池パックには、各電池セルの電圧値を測定し、測定された値に基づいて電池セルの電圧状態をモニタリングして制御するBMS(Battery Management System)が装着されている。
【0005】
BMSは、電池の状態を、正常状態、低電力状態、シャットダウン状態などに区分して管理し、上位システム(例えば、車両)の要請に応じて電池状態を遷移させて管理する。このとき、上位システムの要請がなくて低電力状態に切り替える作業中に再要請がある場合、既存に処理中であって作業を終えて正常状態に復帰するのに少なくない時間がかかる。それによって、当該時間の間上位システムの要請に対して正常な対応が不可能であるという問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような問題点を解決するための本発明の目的は、電池管理装置を提供することにある。
【0007】
上記のような問題点を解決するための本発明の別の目的は、電池制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一実施例に係る電池管理装置は、プロセッサ;及び上記プロセッサによって実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリを含み、上記少なくとも一つの命令は、一定時間の間上位システムから上記電池システムの使用に係る要請がない場合、上記電池パックの状態を低電力状態である待機モードに切り替える手続きを行うようにする命令;上記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作を行っている間に、上記上位システムから電池システム活性化要請が受信される場合、当該要請に対して応答して、上記待機モードに切り替える手続きを脱するようにする命令;及び上記電池パックの状態を正常状態に遷移するようにする命令を含むことができる。
【0009】
上記待機モードに切り替える手続きは、上記待機モードに切り替える手続きに含まれた各動作を行う度に上記上位システムから上記電池システム活性化要請が発生したかチェックする手続きを含むことができる。
【0010】
上記電池システム活性化要請が発生したかチェックする手続きは、上記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作のうちしきい値以上の時間がかかる動作に対しては、当該動作が行われる途中で上記電池システム活性化要請が発生したか複数回チェックすることを特徴とする。
【0011】
上記待機モードに切り替える手続きを脱するようにする命令は、上記待機モードに切り替える手続き中に既に行われた一つ以上の動作に対応するロールバック動作を上記既に行われた一つ以上の動作の順序と逆順で行うようにする命令を含むことができる。
【0012】
上記上位システムは、車両本体であってよい。
【0013】
上記待機モードに切り替える手続きに含まれた第1の動作は、上記電池管理装置内に含まれた一つのデバイスを終了させるかスリープ又はオフ状態に制御する動作であり、上記第1の動作に対するロールバック動作は、当該デバイスを動作開始するか正常又はオン状態に制御する動作であってよい。
【0014】
本発明の別の実施例に係る電池制御方法は、電池システムを管理するBMS(Battery Management System)によって行われる電池制御方法であって、一定時間の間上位システムから上記電池システムの使用に係る要請がない場合、上記電池パックの状態を低電力状態である待機モードに切り替える手続きを行うステップ;上記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作を行っている間に、上記上位システムから電池システム活性化要請が受信される場合、当該要請に対して応答して、上記待機モードに切り替える手続きを脱するステップ;及び上記電池パックの状態を正常状態に遷移させるステップを含むことができる。
【0015】
上記待機モードに切り替える手続きは、上記待機モードに切り替える手続きに含まれた各動作を行う度に上記上位システムから上記電池システム活性化要請が発生したかチェックするステップを含むことができる。
【0016】
上記電池システム活性化要請が発生したかチェックするステップは、上記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作のうちしきい値以上の時間がかかる動作に対しては、当該動作が行われる途中で上記電池システム活性化要請が発生したか複数回チェックするステップを含むことができる。
【0017】
上記待機モードに切り替える手続きを脱するステップは、上記待機モードに切り替える手続き中に既に行われた一つ以上の動作に対応するロールバック動作を上記既に行われた一つ以上の動作の順序と逆順で行うステップを含むことができる。
【0018】
上記上位システムは、車両本体であってよい。
【0019】
上記待機モードに切り替える手続きに含まれた第1の動作は、上記電池管理装置内に含まれた一つのデバイスを終了させるかスリープ又はオフ状態に制御する動作であり、上記第1の動作に対するロールバック動作は、当該デバイスを動作開始するか正常又はオン状態に制御する動作であってよい。
【発明の効果】
【0020】
上記のような本発明の実施例によれば、電池パックが低電力状態に遷移する途中で発生する電池活性化要請に対して、正常状態に復帰するのにかかる処理遅延時間を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明が適用されることができる電池システムの構造を示す。
図2】電池システムの状態及び状態遷移の例を示す図である。
図3】通常の電池制御方法に係る待機モード手続き内のBMSの動作順序図である。
図4】本発明の実施例に係る電池制御方法での待機モード移行手続き関連の動作順序図である。
図5】本発明の実施例に係る電池制御方法で待機モード移行及び脱出手続きの動作順序を番号で示したものである。
図6】本発明の実施例に係る電池制御方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、種々の変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるので、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明で詳しく説明する。ところが、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されたい。各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用している。
【0023】
第1、第2、A、Bなどの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用されることができるが、上記構成要素は、上記用語によって限定されてはいけない。上記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されることができ、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と命名されることができる。「及び/又は」という用語は、複数の関連して記載された項目の組合わせ又は複数の関連して記載された項目のうちのある項目を含む。
【0024】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及されたときには、当該他の構成要素に直接的に連結されているか又は接続されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されたい。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及されたときには、中間に他の構成要素が存在しないことと理解されたい。
【0025】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないことと理解されたい。
【0026】
別に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含め、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的であるか過度に形式的な意味としては解釈されない。
【0027】
以下、本発明に係る好ましい実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明が適用されることができる電池システムの構造を示す。
【0029】
図1において、電池パック又は電池モジュール(Battery Module)は、直列接続された複数の電池セルを含んで構成されることができる。電池セル又はモジュールは、正極端子及び負極端子を介して負荷と接続されて充/放電動作することができる。最も一般的に使用される電池セルは、リチウムイオン(Li-Ion)電池セルである。
【0030】
このような電池モジュール又は電池パックには、電池管理システム(Battery Management System;BMS)100が設けられることができる。BMSは、自分が管掌する各電池パックの電流、電圧及び温度をモニタリングし、モニタリングの結果に基づいてSOC(Status Of Charge)を算出して充放電を制御する。ここで、SOC(State of Charge;充電率)は、電池の現在充電された状態を割合[%]で表したものであり、SOH(State of Health;電池寿命状態)は、電池の現在の劣化状態を割合[%]で表したものである。
【0031】
このようにBMSは、電池セルをモニタリングしてセル電圧を読み取り、電池と接続された他のシステムに伝達する。BMSはまた、電池システムの寿命を延ばすために、電池セルの電荷を均等にバランシングする。
【0032】
このような動作を行うために、BMS100は、ヒューズ、電流センシング素子、サーミスタ、スイッチ、バランサなど多様な構成要素を含むことができるが、ほとんどの場合、これらと連動し、制御するためのMCU(Micro Controller Unit)110又はBMIC(Battery Monitoring Integrated Chip)をさらに含んでいる。ここで、BMICは、BMSの内部に位置し、電池セル/モジュールの電圧、温度、電流などの情報を測定するIC(Integrated Circuit)形態の部品であってよい。
【0033】
BMSはまた、電池セルをモニタリングしてセル電圧を読み取り、電池と接続された他のシステムに伝達する。このために、BMSは、電池システムが含まれた装置内の他のシステムと通信するための通信モジュール120を含む。BMSの通信モジュールは、CAN(Controller Area Network)を用いて装置内の他のシステムと通信することができる。この場合、BMS内の部品、モジュール又はシステムは、CANバスを介して互いに接続される。
【0034】
CAN通信(Controller Area Network)は、車両内でホストコンピュータなしにマイクロコントローラや装置が互いに通信するために設計された標準通信規格である。CAN通信は、各制御器間の通信のために主に使われるnon-hostバス方式のメッセージベースのネットワークプロトコルであって、車両に主に使用される。
【0035】
図2は、電池システムの状態及び状態遷移の例を示す図である。
【0036】
BMSは、電池状態を正常(Normal)モード、待機(Sleep)モード、シャットダウン(Shutdown)モードなどに区分して管理することができる。正常モード21は、電池パックが充放電を行う電池パックの通常の動作モードである。待機モード22は、電池パックが低電力状態で待機中の場合であり、シャットダウンモード23は、電池パックの動作が中断した場合を示す。
【0037】
図2に示す例によれば、正常モードから待機モードへの遷移は、電池システムがオフで(例えば、車両の場合、停止した状態)、システム状態がデフォルト(A)であり、システム内に他の異常が発生しない場合(No Diag. Count-up)、2秒の待機時間が経過した後に起こることができる。また、正常モードからシャットダウンモードへの遷移は、電池システムがオフでシステム状態がデフォルト(A)であり、最小セル電圧(MinCellV)がしきい値以下に下がった場合、2秒の待機時間が経過した後に起こることができる。一方、待機モード、シャットダウンモードから正常モードへの遷移は、電池システムがオンになる場合(例えば、車両を始動した場合)に発生する。
【0038】
このとき、上位システムの要請がなくて待機モードに切り替える作業中に上位システムから電池使用に対する再要請がある場合には、既存に処理中であった作業を終えて正常状態に復帰するようになるが、この過程で少なくない時間がかかる。
【0039】
図3は、通常の電池制御方法に係る待機モード手続き内のBMSの動作順序図である。
【0040】
図3のテーブルは、電池が待機モードに移行した場合、BMSの制御部又はプロセッサ、例えば、MCUによって行われるステップ別のプログラムコードを示す。BMS内の各デバイスは、MCUの制御によって各プログラムコード又は命令に対応する動作を行うようになる。
【0041】
図3を参照すれば、待機モード移行手続きでは、電池管理アプリケーションが終了(Application deinit)し、その後デバイス終了手続き(device deinit.)が進行される(S31)。デバイス終了手続き内では、まず、電池システムの状態がオン状態であるかチェックして、オン状態の場合には、正常状態への遷移手続き、すなわちアプリケーション開始手続きを行う。電池システムがオフの場合には、BMS内のデバイス又は部品に対する動作終了手続きが行われる。
【0042】
BMS内のデバイス又は部品に対する動作終了手続きは、AFE(Analog Front-end)スリープ(sleep)、FET(field effect transistor)オフ、ヒストリーデータ終了(データ保存)、センサ動作終了、データフラッシュオフ、LDO(Linear & low-dropout)オフ、チャージポンプオフ、SCP(Self Control Protector)オフ、EEPROM(Electrically Erasable PROM)オフなどの手続きを含み、最後のステップでMCU終了手続きを含むことができる。図3のテーブルには、各装置の動作終了にかかる時間が各項目の右側に表示されている。
【0043】
一方、電池活性化要請によるBMSの動作開始手続き(S32)は、動作終了手続きと逆順で行われることができ、MCU動作開始から始まって、データフラッシュオン、LDOオン、チャージポンプオン、SCPオン、EEPROMオン、AFEノーマル、ヒストリーデータ開始、センサ開始などの手続きを行うことができる。
【0044】
ところで、BMSが待機モードへの移行手続きを行う途中で電池使用に対する再要請、すなわち電池活性化(例えば、車両の場合、Ignition on又はActivate on)要請が発生する場合にも、図3のテーブルに開示されたデバイス終了手続きが中断せずに 当該手続きが遂行完了するまで内部手続きが全部行われる。そのため、BMSが待機モード移行手続きを行う途中で電池活性化要請が発生する場合、既存に行われていた手続きを終えてこそ、当該手続きから脱することが可能である。その間の遅延時間は最大約940msに至ることができる。
【0045】
ここで、迅速な応答を要求する電気自動車の場合、活性化オン(activate on)の後、数百ms以内に要請に対する応答ができることを要求するという点で、このような遅延時間がシステム性能に及ぼす影響は非常に大きいと言える。
【0046】
図4は、本発明の実施例に係る電池制御方法での待機モード移行手続き関連の動作順序図である。
【0047】
本発明の実施例によれば、BMSは、待機モード移行過程及び待機モード脱出過程の動作を図4に示すように全部記録する。また、待機モード移行過程内の各動作ステップ毎に活性化オンチェック(Active On Check)を行う。すなわち、AFEスリープ、FETオフ、ヒストリーデータ終了、センサ動作終了、データフラッシュオフ、LDOオフ、チャージポンプオフ、SCPオフ、EEPROM(Electrically Erasable PROM)オフなどのステップが行われる度に活性化オンチェックを行う。
【0048】
また、ヒストリーデータ終了、及びデータフラッシュオフのように動作遂行時間が長い動作の場合には、当該動作中にも活性化オンチェックを行うことができ、当該動作中の活性化オンチェックは、複数回行われることもできる。すなわち、待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作のうちしきい値以上の時間がかかる動作に対しては、当該動作が行われる途中で上記電池システム活性化要請が発生したか複数回チェックすることができる。
【0049】
図5は、本発明の実施例に係る電池制御方法で待機モード移行及び脱出手続きの動作順序を番号で示したものである。
【0050】
本発明の実施例に係る図5のテーブルでは、各動作を番号で表現しているが、アクティビティ番号(Activity No.)は、待機モード移行手続きでの動作番号を示し、ロールバック(Rollback)アクティビティ番号は、待機モード脱出手続きでの動作番号を示す。ここで、各ロールバックアクティビティ番号は、対応するアクティビティ番号と関連付けて記載されている。
【0051】
例えば、図5のアクティビティ番号1は、アプリケーション終了動作を示すが、それに対応するロールバックアクティビティは、アプリケーション開始動作であり、番号24で表現されることができる。
【0052】
図5では、二つの場合、すなわち、BMSが待機モードに移行する過程で電池活性化要請がない場合(case 1)と、BMSが待機モードに移行する過程中に7番の動作の遂行時点で電池活性化要請が発生した場合(case 2)を示す。
【0053】
BMSが待機モードに移行する過程で電池活性化要請がない場合には、待機モード移行手続き内のすべての動作を行った後、それに対応する待機モード脱出手続き内のすべての動作を順次に行う。
【0054】
これに対し、BMSが待機モードに移行する過程中に7番の動作の遂行時点で電池活性化要請が発生した場合、次の動作として16番の動作が行われる。すなわち、この場合、8番の動作ないし13番の動作、そしてそれに対応するロールバック動作(15番の動作ないし17番の動作)は行われない。図4を参照すれば、7番の動作は、データフラッシュ終了動作であり、16番の動作は、データフラッシュ開始動作である。その後、BMSは、順次に23番、22番、21番、24番動作を行うようになる。
【0055】
すなわち、待機モードに切り替える手続き中に既に行われた一つ以上の動作に対応するロールバック動作を、既に行われた一つ以上の動作の順序と逆順で行う。
【0056】
すなわち、本発明に係るBMSは、待機モード移行過程中に電池活性化要請が発生すれば、既に行われた待機モード移行過程内の動作に対応するロールバック動作を行うことにより、正常状態に遷移して上位システムの要請に直ちに対応することができる。
【0057】
図6は、本発明の実施例に係る電池制御方法のフロー図である。
【0058】
本発明の実施例に係るデータ処理方法は、BMS内のコントローラ、すなわちMCUによって行われることができるが、本発明に係る方法の動作主体がこれに限定されるものではない。
【0059】
制御部(MCU)は、一定時間の間上位システムから電池システムの使用に係る要請がないかチェックする(S610)。一定時間の間電池使用要請がない場合、電池パックの状態を低電力状態である待機モードに切り替える手続きを開始する(S620)。
【0060】
このとき、待機モードに切り替える手続きに含まれた各動作を行う度に(S621、S622、S623、S624)上位システムから電池システム活性化要請が発生したかチェックする(S630)。
【0061】
上記電池システム活性化要請が発生したかチェックするステップは、上記待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作のうちしきい値以上の時間がかかる動作に対しては、当該動作が行われる途中で上記電池システム活性化要請が発生したか複数回チェックするステップを含むことができる。
【0062】
待機モードに切り替える手続きに含まれた複数の動作を行っている間に、上記上位システムから電池システム活性化要請が受信される場合(S630のはい)、当該要請に対して応答して、待機モードに切り替える手続きを脱する(S640)。待機モードに切り替える手続きを脱する過程は、待機モードに切り替える手続き中に既に行われた一つ以上の動作に対応するロールバック動作を行うことでなされることができる。このとき、ロールバック動作は、既に行われた一つ以上の動作の順序と逆順で行われることができる。
【0063】
その後、制御部は、電池パックの状態を正常状態に遷移させる(S650)。
【0064】
一方、待機モード切り替え手続き進行中に電池システムに対する活性化要請が受信されずに手続き内のすべての動作が遂行完了した場合(S623のはい)には、当該手続きが終了する。図6において、Nは、待機モード切り替え手続き内に含まれた動作の全体個数である。
【0065】
本発明の実施例に係る方法の動作は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードとして具現化することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み込まれることができるデータが保存されるすべての種類の記録装置を含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで接続されたコンピュータシステムに分散して、分散方式でコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードが保存されて実行されることができる。
【0066】
本発明の一部の側面は、装置の文脈で説明されたが、それは、対応する方法による説明も示すことができ、ここで、ブロック又は装置は、方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法の文脈で説明された側面は、対応するブロック又はアイテム又は対応する装置の特徴で示すことができる。方法ステップのいくつか又は全部は、例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ又は電子回路のようなハードウェア装置によって(又は用いて)行われることができる。いくつかの実施例において、最も重要な方法ステップの一つ以上は、このような装置によって行われることができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0068】
21 正常モード
22 待機モード
23 シャットダウンモード
100 BMS
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】