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特表2023-554367NAD(P)依存性酵素ベースのセンサのためのNAD(P)デポー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】NAD(P)依存性酵素ベースのセンサのためのNAD(P)デポー
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1473 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
A61B5/1473
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536195
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021063600
(87)【国際公開番号】W WO2022132963
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/125,846
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】オーヤン、ティエンメイ
(72)【発明者】
【氏名】フォックス、ケイド
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ゼンホァ
(72)【発明者】
【氏名】オージャ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン、ベンジャミン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KX01
(57)【要約】
本開示は、1つ以上のNAD(P)依存性酵素と、被検物質の検出のためのNAD(P)の内部供給源とを含む被検物質センサを提供する。本開示は、対象の生体サンプル中に存在する1つ以上の被検物質を検出するためにそのような被検物質センサを使用する方法、及び当該被検物質センサを製造する方法をさらに提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)NAD(P)の内部供給源と、
(ii)前記NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、
(iii)前記透過性ポリマーの表面上に配置され、透過性作用電極である少なくとも第1の作用電極と、
(iv)前記第1の作用電極の表面上に配置され、NAD(P)依存性酵素を備える被検物質応答性活性領域と、
(v)前記被検物質に対して透過性があり、少なくとも前記被検物質応答性領域を被覆する物質移動制限膜とを備える、被検物質センサ。
【請求項2】
前記NAD(P)依存性酵素が、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼである、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項3】
前記透過性作用電極が、カーボンナノチューブを備える、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項4】
前記透過性ポリマーが、ポリエーテル系ポリマーを備える請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項5】
前記被検物質が、グルコース、ケトン、アルコール、乳酸塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項6】
前記NAD(P)依存性酵素が、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ又はβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼである、請求項5に記載の被検物質センサ。
【請求項7】
前記被検物質応答性活性領域がジアフォラーゼをさらに備える、請求項6に記載の被検物質センサ。
【請求項8】
前記被検物質応答性活性領域が酸化還元メディエータをさらに備える、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項9】
(vi)第2の作用電極と、
(vii)前記第2の作用電極の表面上に配置され、前記第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答する第2の活性領域であって、前記第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を備える前記第2の活性領域とを備える被検物質センサであって、
前記物質移動制限膜の第2の部分が前記第2の活性領域を被覆する、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項10】
(i)被検物質センサを提供することであって、
(a)NAD(P)の内部供給源と、
(b)前記NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、
(c)前記透過性ポリマーの表面上に配置され、透過性作用電極である少なくとも第1の作用電極と、
(d)前記第1の作用電極の表面上に配置され、NAD(P)依存性酵素を備える被検物質応答性活性領域と、
(e)前記被検物質に対して透過性があり、少なくとも前記被検物質応答性領域を被覆する物質移動制限膜と
を備える前記被検物質センサを提供することと、
(ii)前記第1の作用電極に電位を印加することと、
(iii)前記第1の活性領域の酸化還元電位以上で、前記第1の活性領域と接触している流体中の第1の被検物質の濃度に比例する第1の信号を得ることと、
(iv)前記第1の信号を前記流体中の前記第1の被検物質の濃度と相関させることとを備える方法。
【請求項11】
前記NAD(P)依存性酵素が、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記透過性作用電極が、カーボンナノチューブを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記透過性ポリマーが、ポリエーテル系ポリマーを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記被検物質が、グルコース、ケトン、アルコール、乳酸塩及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記NAD(P)依存性酵素が、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ又はβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記被検物質応答性活性領域が、ジアフォラーゼをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記被検物質応答性活性領域が、酸化還元メディエータをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記被検物質センサが、
(f)第2の作用電極と
(g)前記第2の作用電極の表面上に配置され、前記第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答する第2の活性領域であって、前記第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を備える前記第2の活性領域とをさらに備え、
前記物質移動制限膜の第2の部分が前記第2の活性領域を被覆する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される主題は、NAD(P)デポーを備える被検物質センサ及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個体内の様々な被検物質の検出は、正常な被検物質レベルからの逸脱が生理的状態の指標となることがあるので、個体の健康状態をモニタリングするために重要である場合がある。例えば、グルコースレベルをモニタリングすることは、糖尿病に罹患している人々が、重大な生理的不都合を回避するために、薬剤の投与又は特定の食品又は飲料製品の消費を含む適切な矯正措置をとることを可能にし得る。他の被検物質も、他の生理的状態をモニタリングするために望ましい場合がある。特定の例では、特に、人が、2つ以上の被検物質が互いに組み合わされて同時に調節不全をもたらす併発状態に罹患している場合、1つ以上の生理学的状態をモニタリングするために2つ以上の被検物質をモニタリングすることが望ましい場合がある。
【0003】
個体における被検物質モニタリングは、ある期間にわたって定期的又は連続的に行なわれることがある。定期的な被検物質モニタリングは、血液又は尿などの体液のサンプルを設定された時間間隔で採取し、エクスビボで分析することによって行うことができる。定期的なエクスビボ被検物質モニタリングは、多くの個体の生理学的状態を測定するのに十分であり得る。しかし、エクスビボ被検物質モニタリングは、場合によっては不便であるか、又は痛みを伴う可能性がある。さらに、被検物質測定値が適切な時間に得られない場合、失われたデータを回復する方法がない。
【0004】
連続的な被検物質モニタリングは、分析がインビボで行われ得るように、皮膚、皮下又は静脈内等の個体の組織内に少なくとも部分的に埋め込まれたままである1つ以上のセンサを使用して行われ得る。埋め込まれたセンサは、個体の特定のヘルスニード及び/又は以前に測定された被検物質レベルに応じて、オンデマンドで、設定されたスケジュールで、又は連続的に被検物質データを収集することができる。インビボに埋め込まれたセンサによる被検物質モニタリングは、重度の被検物質調節不全及び/又は急速に変動する被検物質レベルを有する個体にとってより望ましいアプローチであり得るが、他の個体にとっても同様に有益であり得る。埋め込まれた被検物質センサは、長期間にわたって個体の組織内に留まることが多いので、そのような被検物質センサが、高度の生体適合性を示す安定した材料から作製されることが非常に望ましい場合がある。
【0005】
しかし、埋め込み可能センサは、短い寿命又は感度の低下に悩まされ得る。例えば、多くの埋め込み可能センサは、インビボでの被検物質レベルの連続的モニタリングのために酵素を使用し、そしてこれらの酵素の多くは、活性について補酵素に依存する。例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)は、生細胞において見出される最も重要な補酵素のうちの2つであり、埋め込み可能センサにおいて見出されるデヒドロゲナーゼ等の酵素の活性に頻繁に必要とされる。埋め込み可能センサ中に存在する酵素による使用のために利用可能なNAD又はNADPの量は、インビボで被検物質レベルを正確にモニタリングするためのセンサの感度に影響し得る。特定の状況下では、外因性NAD又はNADPは、センサ動作を支持するのに十分な量で存在しない場合があり、又は十分な外因性量が存在する場合であっても、そのような分子は大きすぎて、NAD又はNADPに依存する酵素を保持するセンサの領域に容易に拡散することができず、これは感度の低下をもたらし得る。従って、当技術分野では、より長い期間にわたって感度を保持するセンサが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
開示された主題の目的及び利点は、以下の記述によって説明され、明らかになり、開示された主題の実施によって学習される。開示された主題のさらなる利点は、明細書及び特許請求の範囲で特に指摘した装置によって、同様に添付した図面から、実現され、獲得され得る。
【0007】
これら及び他の利点を達成するために、開示される主題の目的に従って、具現化され広く記載されるように、開示された主題は、NAD(P)の内部供給源を含む被検物質センサを提供する。例えば、限定するものではないが、本開示の被検物質センサは、NAD(P)の内部供給源と、NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、透過性ポリマーの表面上に配置された少なくとも第1の作用電極と、第1の作用電極の表面上に配置された被検物質応答性活性領域と、任意選択で、少なくとも被検物質応答性領域を被覆し被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを含む。
【0008】
特定の実施形態では、被検物質は、グルコース、ケトン、アルコール、乳酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態では、被検物質はグルコースである。特定の実施形態では、被検物質はケトンである。特定の実施形態では、被検物質は乳酸塩である。特定の実施形態では、被検物質はアルコール、例えばエタノールである。
【0009】
特定の実施形態では、第1の作用電極は透過性作用電極である。特定の実施形態では、透過性作用電極はカーボンナノチューブを備える。
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、NAD(P)依存性酵素を備える。特定の実施形態では、NAD(P)依存性酵素は、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼである。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域内に存在するNAD(P)依存性酵素は、β-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼである。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域内に存在するNAD(P)依存性酵素は、グルコースデヒドロゲナーゼである。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域内に存在するNAD(P)依存性酵素は、乳酸デヒドロゲナーゼである。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域内に存在するNAD(P)依存性酵素は、アルコールデヒドロゲナーゼである。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域内に存在するNAD(P)依存性酵素はジアフォラーゼである。
【0010】
特定の実施形態では、透過性ポリマーは、ポリ(プロピレングリコール)系ポリマーを備える。特定の実施形態では、透過性ポリマーは、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート及び/又は2-ヒドロキシエチルメタクリレートを備える。
【0011】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、ジアフォラーゼをさらに含む。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、酸化還元メディエータをさらに含む。
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、第2の作用電極及び第2の作用電極の表面上に配置され、第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答する第2の活性領域をさらに含む。特定の実施形態では、第2の活性領域は、第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を含む。特定の実施形態では、物質移動制限膜の第2の部分は第2の活性領域を被覆している。
【0012】
本開示は、インビボで被検物質をモニタリングするための方法をさらに提供する。特定の実施形態では、本方法は、(a)NAD(P)の内部供給源と、(b)NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、(c)透過性ポリマーの表面上に配置され、透過性作用電極である少なくとも第1の作用電極と、(d)第1の作用電極の表面上に配置され、NAD(P)依存性酵素を備える被検物質応答性活性領域と、(e)少なくとも被検物質応答性領域を被覆し、被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを備える被検物質センサを提供することを含み得る。特定の実施形態では、本方法は、電位を第1の作用電極に印加することと、第1の活性領域の酸化還元電位以上で、第1の活性領域に接触する流体中の第1の被検物質の濃度に比例する第1の信号を得ることと、第1の信号を流体中の第1の被検物質の濃度に相関させることとをさらに含む。
【0013】
特定の実施形態では、開示された方法において使用するための被検物質センサは、第2の作用電極と、第2の作用電極の表面上に配置され、第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答する第2の活性領域とをさらに含み得る。特定の実施形態では、第2の活性領域は、第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を含み、物質移動制限膜の第2の部分は第2の活性領域を被覆している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下の図は、本開示の特定の態様を示すために含まれており、排他的な実施形態と見なされるべきではない。開示された主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び機能において多くの修正、変更、組合せ、及び均等物が可能である。
図1A】センサアプリケータ、リーダ装置、モニタリングシステム、ネットワーク、及びリモートシステムのシステム概観である。
図1B】本明細書に記載した技術による使用のための例としての被検物質モニタリングシステムの作動環境を示す略図である。
図2A】リーダ装置の実施形態の例を示すブロック略図である。
図2B】開示された主題の例示的な実施形態によるセンサと通信するためのデータ受信装置の例を示すブロック略図である。
図2C】センサ制御装置の実施形態の例を示すブロック略図である。
図2D】センサ制御装置の実施形態の例を示すブロック略図である。
図2E】開示された主題の例示的な実施形態による被検物質センサの例を示すブロック略図である。
図3A】組立てのためのトレイを準備するユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。
図3B】組立てのためのアプリケータ装置を準備するユーザの実施形態の例を示す側面図である。
図3C】組立ての間にアプリケータ装置をトレイに挿入するユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。
図3D】組立ての間にアプリケータ装置をトレイから取り外すユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。
図3E】アプリケータ装置を用いてセンサを適用する患者の実施形態の例を示す近位斜視図である。
図3F】適用されたセンサ及び使用済みアプリケータ装置を有する患者の実施形態の例を示す近位斜視図である。
図4A】キャップと連結したアプリケータ装置の実施形態の例を示す側面図である。
図4B】解除したアプリケータ装置とキャップの実施形態の例を示す側面斜視図である。
図4C】アプリケータ装置及び電子機器ハウジングの遠位端の実施形態の例を示す斜視図である。
図4D】開示された主題による例示的なアプリケータ装置の上面斜視図である。
図4E図4Dのアプリケータ装置の底面斜視図である。
図4F図4Dのアプリケータ装置の分解図である。
図4G図4Dのアプリケータ装置の側面断面図である。
図5】滅菌蓋が連結されたトレイの実施形態の例を示す近位斜視図である。
図6A】センサ送達部品を有するトレイの実施形態の例を示す近位斜視断面図である。
図6B】センサ送達部品を示す近位斜視図である。
図7A】例示的なセンサ制御装置の等角分解上面図である。
図7B】例示的なセンサ制御装置の等角分解底面図である。
図8A】センサ組立用の一体化コネクタを含むオンボディ装置の組立て図及び断面図である。
図8B】センサ組立用の一体化コネクタを含むオンボディ装置の組立て図及び断面図である。
図8C】センサ組立用の一体化コネクタを含むオンボディ装置の組立て図及び断面図である。
図9A図2Cのキャップが連結された図1Aのセンサアプリケータの実施形態の例の側面図である。
図9B図2Cのキャップが連結された図1Aのセンサアプリケータの実施形態の例の側面断面図である。
図10A】別のセンサ制御装置の例の等角図である。
図10B】別のセンサ制御装置の例の側面図である。
図11A図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの組立てを示す段階的側面断面図である。
図11B図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの組立てを示す段階的側面断面図である。
図11C図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの組立てを示す段階的側面断面図である。
図12A図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの実施形態の例の組立て及び解体を示す段階的側面断面図である。
図12B図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの実施形態の例の組立て及び解体を示す段階的側面断面図である。
図12C図10A~10Bのセンサ制御装置を有するセンサアプリケータの実施形態の例の組立て及び解体を示す段階的側面断面図である。
図13A】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
図13B】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
図13C】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
図13D】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
図13E】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
図13F】配置の段階の間のアプリケータの実施形態の例を示す断面図を示す。
図14】被検物質センサのインビトロ感度の例を示すグラフである。
図15】開示された主題の例示的な実施形態によるセンサの動作状態の例を示す略図である。
図16】開示された主題によるセンサのオーバージエアプログラミングの操作及びデータフローの例を示す略図である。
図17】開示された主題による2つの装置の間のデータの確実な交換のためのデータフローの例を示す略図である。
図18A】単一の活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
図18B】単一の活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
図18C】単一の活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
図19A】2つの活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
図19B】2つの活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
図19C】2つの活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
図20】2つの活性領域を含む被検物質センサの断面略図を示す。
図21A】別個の作用電極の上に配置された2つの活性領域を含む被検物質センサの斜視図を示す。
図21B】別個の作用電極の上に配置された2つの活性領域を含む被検物質センサの斜視図を示す。
図21C】別個の作用電極の上に配置された2つの活性領域を含む被検物質センサの斜視図を示す。
図22】制御されたNAD(P)放出のためのNAD(P)デポーを含む例示的なセンサの断面略図を提供する。
図23A】NADデポーを含む例示的な被検物質センサの概略図を提供する。
図23B】対照として使用するためのNADデポーを除外した例示的な被検物質センサの断面図を提供する。
図24】NADデポーを含まない被検物質センサ(図23Bに示す)と比較した、NADデポーを含む被検物質センサ(図23Aに示す)による経時的なケトン検出の安定性プロファイルを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)依存性酵素(本明細書ではまとめて「NAD(P)依存性酵素」と呼ぶ)を含む1つ以上の活性領域を備える被検物質センサを対象とする。特に、本開示の被検物質センサは、NAD(P)依存性酵素のための補因子NAD及び/又はNADP(本明細書ではまとめて「NAD(P)」と呼ぶ)の内部リザーバを含む。
【0016】
被検物質センサ内のNAD(P)の内部リザーバの使用は、NAD(P)依存性酵素を含む被検物質センサに関連する制限のいくつかを克服し得る。例えば、センサを取り囲む環境中に存在する外因性NAD(P)の量は、被検物質センサの動作を支持するのに十分な量ではない場合があり、その結果、センサの感度が低下する可能性がある。加えて、十分な外因性NAD(P)が被検物質センサを取り囲む環境に存在する場合であっても、NAD(P)の分子サイズは、分子が周囲のセンサ膜を通って拡散して、被検物質センサの検知化学物質層、例えば活性領域に存在する1つ以上のNAD(P)依存性酵素に到達することを防止し得る。
【0017】
本開示は、長期間にわたってNAD(P)を放出してインビボでの被検物質のモニタリングを可能にすることができるNAD(P)の内部供給源を含む被検物質センサを提供する。特定の実施形態では、NAD(P)内部供給源(本明細書では「NAD(P)デポー」(NAD(P)depot)とも呼ばれる)は、NAD(P)デポーからのNAD(P)の拡散を制御して、被検物質センサの使用中に検知化学物質のために十分な濃度のNAD(P)を維持する透過性層(例えば、ポリマー透過性層)で被覆されるか、又はその中に分散され得る。
【0018】
本開示は、開示されたセンサを使用して被検物質を検出する方法、及び開示された被検物質センサを製造する方法をさらに提供する。
明確にするために、限定されないが、本開示の主題の詳細な説明を以下の小区分に分割する。
【0019】
I.定義;
II.被検物質センサ;
1.被検物質センサシステムの一般的構造;
2.NAD(P)デポー;
3.酵素;
4.酸化還元メディエータ;
5.ポリマー骨格;
6.物質移動制限膜;
7.干渉ドメイン;及び
8.製造;
III.被検物質モニタリング。
【0020】
I.定義
本明細書で使用される用語は、一般に、本開示の文脈内で、及び各用語が使用される特定の文脈において、当技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。本開示の組成物及び方法及びそれらを作製し使用する方法の記載において実施者にさらなる指導を提供するために、特定の用語については以下に又は本明細書の他の箇所で論じる。
【0021】
本明細書で使用される場合、特許請求の範囲及び/又は明細書における用語「備える」と併せて使用される単語「1つの」(「a」又は「an」)の使用は「1つの」を意味し得るが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、及び「1つ又は2つ以上」の意味とも矛盾しない。
【0022】
本明細書で使用される用語「備える(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「し得る(can)」、「含む(contain(s))」、及びそれらの変形は、追加の行為又は構造を排除しないオープンエンドの移行句、用語、又は単語であることが意図される。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に示される実施形態又は要素を「備える」、「からなる」、及び「から本質的になる」他の実施形態を想定する。
【0023】
用語「約」又は「およそ」は、当業者によって決定される特定の値について許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは、値がどのように測定又は決定されるか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当技術分野における慣例に従って、3以内又は3を超える標準偏差を意味し得る。代わりに、「約」は所与の値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、さらにより好ましくは1%までの範囲を意味し得る。代わりに、特に生物学的なシステム又はプロセスに関しては、この用語はある値の1桁分以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「被検物質センサ」又は「センサ」は、説明のためであって限定されないが、体温センサ、血圧センサ、パルス又は心拍数センサ、グルコースレベルセンサ、被検物質センサ、身体活動性センサ、体動センサ、又は身体的又は生物学的な情報を収集するための他の任意のセンサを含む、ユーザからセンサ情報を受信することができる任意の装置を意味し得る。被検物質センサによって測定される被検物質には、例としてであって限定ではないが、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、総タンパク質、尿酸、その他が含まれ得る。
【0025】
用語「生体液」は、本明細書で使用される場合、その中で被検物質が測定され得る任意の体液又は体液誘導体を意味する。生体液の非限定的な例には、皮膚液、間質液、血漿、血液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄液、羊水、汗、涙、その他が含まれる。特定の実施形態では、生体液は皮膚液又は間質液である。特定の実施形態では、生体液は間質液である。
【0026】
用語「電気分解」は、本明細書で使用される場合、電極で直接的に、又は1つ以上の電子移動剤(例えば、酸化還元メディエーター又は酵素)を介する化合物の電気酸化又は電気還元を示す。
【0027】
本明細書で互換的に使用される用語「酵素組成物」及び「検知化学物質」は、被検物質を検出及び/又は測定するための1つ以上の酵素を含む組成物を示す。特定の非限定的な実施形態では、酵素組成物は、1つ以上の酵素、ポリマー、酸化還元メディエータ及び/又は架橋剤を含み得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「均一の膜」は、単一の種類の膜ポリマーを備える膜を示す。
本明細書で使用される場合、用語「多成分膜」は、2つ以上の種類の膜ポリマーを備える膜を示す。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「NAD(P)」は、補因子NAD(及びその還元型NADH)又はNADP(及びその還元型NADPH)又はそれらの誘導体を示す。
本明細書で使用される場合、用語「NAD(P)依存性酵素」は、酸化還元反応において補酵素としてNAD(及びその還元型NADH)又はNADP(及びその還元型NADPH)を利用する酵素を示す。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「透過性電極」は、分子(例えば、NAD(P))が電極の材料を通過することを可能にする材料から構成される電極を示す。
本明細書で使用される場合、用語「ポリビニルピリジン系ポリマー」は、ポリビニルピリジン(例えばポリ(2-ビニルピリジン)又はポリ(4-ビニルピリジン))又はそれらの誘導体を備えるポリマー又はコポリマーを示す。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「酸化還元メディエータ」は、直接に又は1つ以上のさらなる電子移動剤を介して、被検物質又は被検物質還元酵素又は被検物質酸化酵素と電極との間に電子を運搬する電子移動剤を示す。特定の実施形態では、ポリマー骨格を含む酸化還元メディエータは、「酸化還元ポリマー」とも称され得る。
【0032】
本明細書で使用される用語「参照電極」は、参照電極又は参照電極と対電極の両方として機能する電極を示し得る。同様に、本明細書で使用される用語「対電極」は、対電極と、参照電極としても機能する対電極との両方を示し得る。
【0033】
II.被検物質センサ
本主題を詳細に記載する前に、本開示は、記載される特定の実施形態に限定されず、従って、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。本開示の範囲は添付した特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用した用語は特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0034】
本明細書で論じる出版物は単に本出願の出願日の前の開示を提供するに過ぎない。本明細書における何物も、本開示が先行する開示によってそれらの出版物に先行する資格がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、示される公開日は実際の公開日と異なる可能性があり、実際の公開日は独立して確認する必要があり得る。
【0035】
一般に、本開示の実施形態は、インビボ被検物質モニタリングシステムとともに使用するための被検物質センサ挿入アプリケータの使用のためのシステム、装置、及び方法を含む。アプリケータは、センサ制御装置の電子機器ハウジングが中に収容された無菌パッケージでユーザに提供され得る。いくつかの実施形態によれば、アプリケータとは別の構造、例えば容器も、その中に含まれるセンサモジュール及び尖端モジュールとともに無菌パッケージとしてユーザに提供することができる。ユーザはセンサモジュールを電子機器ハウジングに連結することができ、指定された方法でアプリケータを容器の中に挿入することを含む組立てプロセスで、尖端をアプリケータに連結することができる。他の実施形態では、アプリケータ、センサ制御装置、センサモジュール、及び尖端モジュールを、単一のパッケージで提供することができる。アプリケータを用いてセンサ制御装置を人体上に位置決めしてセンサを装着者の体液に接触させることができる。本明細書で提供する実施形態は、センサが不適正に挿入され又は損傷され、又は有害な生理的応答を誘発する可能性を低減する改善である。他の改善及び利点も提供される。これらの装置の様々な構成は、単なる例である実施形態によって詳細に記載される。
【0036】
さらに、多くの実施形態は、身体の少なくとも1つの被検物質に関する情報を得るためにセンサの少なくとも一部がユーザの体内に位置するか位置することができるように構造的に構成されたインビボ被検物質センサを含む。しかし、本明細書に開示される実施形態は、インビトロ能力を組み込むインビボ被検物質モニタリングシステム、及び完全に非侵襲性であるシステムを含む、単にインビトロ又はエクスビボ被検物質モニタリングシステムとともに使用され得ることに留意されたい。
【0037】
さらに、本明細書に開示される方法のありとあらゆる実施形態について、それらの実施形態の各々を実行することができるシステム及び装置は、本開示の範囲内に包含される。例えば、センサ制御装置の実施形態が開示され、これらの装置は、あらゆる方法工程を実施し又はあらゆる方法工程の実行を容易にすることができる1つ以上のセンサ、被検物質モニタリング回路(例えばアナログ回路)、メモリ(例えば命令を保存するため)、電源、通信回路、トランスミッタ、レシーバ、プロセッサ、及び/又はコントローラ(例えば命令を実行するため)を有し得る。これらのセンサ制御装置の実施形態は、本明細書で記載されるあらゆる方法からセンサ制御装置によって実行される工程を実施するために使用することができ、使用することが可能であり得る。
【0038】
さらに、本明細書で提示するシステム及び方法は、例えばそれに限らないが、ウェルネス、フィットネス、食事、研究、情報、又は経時的な被検物質検知を含む任意の目的等の被検物質モニタリングシステムにおいて使用されるセンサの操作のために使用することができる。本明細書で使用される場合、「被検物質センサ」又は「センサ」は、説明のためであって限定されないが、体温センサ、血圧センサ、パルス又は心拍数センサ、グルコースレベルセンサ、被検物質センサ、身体活動性センサ、体動センサ、又は身体的又は生物学的な情報を収集するための他の任意のセンサを含む、ユーザからセンサ情報を受信することができる任意の装置を意味し得る。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、それに限らないが、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、総タンパク質、尿酸等を含む被検物質をさらに測定することができる。
【0039】
上述したように、インビボ被検物質モニタリングシステムと共に使用するための皮膚センサ挿入装置の改善された組立及び使用を提供するシステム、装置、及び方法のいくつかの実施形態が本明細書に記載される。特に、インビボの被検物質モニタリングシステムに関するセンサ挿入方法を改善するため、及び特にセンサ挿入プロセスの間の挿入尖端の早すぎる後退を防止するために、本開示のいくつかの実施形態が設計される。例えばいくつかの実施形態は、発射速度が増大し、尖端の後退が遅くなった皮膚センサ挿入機構を含む。他の実施形態では、尖端後退メカニズムは、ユーザがアプリケータを皮膚から引き離すまで、尖端が後退されないように、動作によって作動し得る。その結果、これらの実施形態は、いくつかの利点を挙げれば、センサ挿入プロセスの間に挿入尖端が時期尚早に引っ込められる可能性を低減し、不適切なセンサ挿入の可能性を低下させ、センサ挿入プロセスの間のセンサの損傷の可能性を低下させることができる。本開示のいくつかの実施形態は、小スケールの皮膚センサ及び対象の皮膚層に存在する比較的浅い挿入経路の理由となる改善された挿入尖端モジュールも提供する。加えて、本開示のいくつかの実施形態は、センサ挿入中のアプリケータ部品の望ましくない軸方向移動及び/又は回転移動を防止するように設計される。従って、これらの実施形態は、いくつかの利点を挙げれば、配置された皮膚センサの不安定性、挿入部位における刺激、周囲組織への損傷、及び皮膚液の血液による汚染をもたらす毛細血管の破壊の可能性を低減することができる。加えて、挿入部位における外傷によって引き起こされ得る不正確なセンサ読み取りを軽減するために、本開示のいくつかの実施形態は、挿入中のセンサ先端に対する針の端部深度貫通を低減し得る。
【0040】
しかし、実施形態のこれらの態様を詳細に記載する前に、最初に、例えばインビボ被検物質モニタリングシステム内に存在し得る装置の例、及びそれらの動作の例を記載することが望ましく、それらの全ては、本明細書に記載される実施形態とともに使用され得る。
【0041】
様々な種類のインビボ被検物質モニタリングシステムがある。「連続被検物質モニタリング」システム(又は「連続グルコースモニタリング」システム)は、例えば、データをセンサ制御装置からリーダ装置に、指示無く連続的に、例えば、スケジュールに従って自動的に送信し得る。「フラッシュ被検物質モニタリング」システム(又は「フラッシュグルコースモニタリング」システム又は単に「フラッシュ」システム)は、別の例として、リーダ装置によるデータのスキャン又は要求に応じ、例えば近距離無線通信(NFC)又は無線自動識別(RFID)プロトコルによって、センサ制御装置からのデータを送信することができる。インビボ被検物質モニタリングシステムはまた、指先穿刺較正を必要とせずに動作し得る。
【0042】
インビボ被検物質モニタリングシステムは、体外で(すなわち「エクスビボ」で)生物学的サンプルと接触し、一般に、ユーザの血糖レベルを決定するために分析することができる体液を運搬する被検物質テストストリップを受容するポートを有する測定装置を含む「インビトロ」システムとは区別することができる。
【0043】
インビボモニタリングシステムは、インビボに配置されている間、ユーザの体液と接触し、その中に含まれる被検物質レベルを検知するセンサを含み得る。センサは、ユーザの身体上に存在し、被検物質検知を可能にし、制御する電子機器及び電源を含むセンサ制御装置の一部であり得る。センサ制御装置及びその変形はまた、いくつか例を挙げると、「センサ制御ユニット」、「オンボディエレクトロニクス」装置又はユニット、「オンボディ」装置又はユニット、又は「センサデータ通信」装置又はユニットと示され得る。
【0044】
インビボモニタリングシステムはまた、センサ制御装置から検知された被検物質データを受信し、その検知された被検物質データを任意の数の形態で処理及び/又はユーザに表示する装置を含み得る。この装置及びその変形は、いくつかを挙げれば、「ハンドヘルドリーダ装置」、「リーダ装置」(又は単に「リーダ」)、「ハンドヘルド電子機器」(又は単に「ハンドヘルド」)、「携帯型データ処理」装置又はユニット、「データレシーバ」、「レシーバ」装置又はユニット(又は単に「レシーバ」)、又は「リモート」装置又はユニットと称することができる。パーソナルコンピュータ等のその他の装置も、インビボ及びインビトロのモニタリングシステムとともに利用され、又はその中に組み込まれている。
【0045】
1.被検物質センサシステムの一般的構造
A.例示的なインビボ被検物質モニタリングシステム
図1Aは、センサアプリケータ150、センサ制御装置102、及びリーダ装置120を含む被検物質モニタリングシステム100の実施形態の例を示す概念略図である。ここで、センサアプリケータ150はセンサ制御装置102をユーザの皮膚上のモニタリング位置に送達するために使用することができ、センサ104はある期間、接着性パッチ105によって適所に維持される。センサ制御装置102は、図2B及び2Cでさらに記載され、有線又は無線、単方向又は双方向、及び暗号化又は非暗号化技術を使用して、通信経路又はリンク140を介してリーダ装置120と通信することができる。無線プロトコルの例には、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE、BTLE、Bluetooth(登録商標)SMART、その他)、近距離無線通信(NFC)、その他が含まれる。ユーザは、スクリーン122を用いて、リーダ装置120上のメモリにインストールされたアプリケーションをモニタリングすることができ、入力121及び装置バッテリは電力ポート123を用いて再充電することができる。リーダ装置120に関するさらなる詳細を下の図2Aに関して記載する。リーダ装置120は、特定の実施形態によれば、被検物質濃度及びセンサ104又はそれに付随するプロセッサによって決定される警告又は注意を視認するため、及び1つ以上のユーザ入力を可能にするための出力媒体を構成してもよい。リーダ装置120は多目的スマートフォン又は専用の電子リーダ機器であってよい。ただ1つのリーダ装置120を示しているが、特定の場合には多数のリーダ装置120が存在してもよい。
【0046】
リーダ装置120は、通信経路141を介してローカルコンピュータシステム170と通信することができ、この通信経路は、有線又は無線、単方向又は双方向、及び暗号化又は非暗号化であり得る。ローカルコンピュータシステム170には、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、ファブレット、スマートフォン、セットトップボックス、ビデオゲームコンソール、リモートターミナル又はその他のコンピューティング装置の1つ以上が含まれ、無線通信には、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(BTLE)、Wi-Fi、又はその他を含む適用可能な無線ネットワークプロトコルのいくつかのいずれかが含まれ得る。ローカルコンピュータシステム170は、既に述べた有線又は無線の技術によって、リーダ装置120が通信経路142を介してネットワーク190と通信することができるのと同様にして、通信経路143を介してネットワーク190と通信することができる。ネットワーク190は、私的ネットワーク及び公衆ネットワーク、ローカルエリアネットワーク又は広域ネットワーク、その他のいくつかのネットワークのいずれかであってよい。信頼できるコンピュータシステム180にはサーバが含まれ、認証サービス及び保証されたデータストレージを提供することができ、有線又は無線の技術によって、通信経路144を介してネットワーク190と通信することができる。特定の実施形態によれば、ローカルコンピュータシステム170及び/又は信頼できるコンピュータシステム180は、ユーザの被検物質レベルに関心を有する一次ユーザ以外の個人によってアクセス可能であり得る。リーダ装置120は表示部122及び任意選択の入力部品121を含んでよい。特定の実施形態によれば、表示部122はタッチスクリーンインターフェースを含んでよい。
【0047】
センサ制御装置102は、センサ104を動作させるための回路及び電源を収容することができるセンサハウジングを含む。任意選択で、電源及び/又は能動的回路を省略してもよい。プロセッサ(図示無し)はセンサ104に通信可能に接続してよく、プロセッサはセンサハウジング又はリーダ装置120の中に物理的に位置している。特定の実施形態によれば、センサ104はセンサハウジングの下側から突出し、センサハウジングを皮膚等の組織表面に接着するように適合された接着層105を介して延在している。
【0048】
図1Bは、本明細書に記載した技術を具現化することができる被検物質モニタリングシステム100aの動作環境を示す。被検物質モニタリングシステム100aには、ヒト又は動物の身体の被検物質レベル等のパラメータのモニタリングを提供するように設計された部品のシステムが含まれ、又は様々な部品の構成に基づくその他の動作を提供することができる。本明細書で具現化されるように、システムには、ユーザが着用する、又はそれについて情報が収集される身体に取り付けられる、低出力の被検物質センサ110又は単に「センサ」が含まれ得る。本明細書で具現化されるように、被検物質センサ110は、所定の能動的使用寿命(例えば1日、14日、30日、その他)を有するシールされた使い捨ての装置であってよい。センサ110はユーザの身体の皮膚に取り付けることができ、センサの寿命の期間にわたって接着されたままであるか、選択的に除去され、再び取り付けられたときに機能性を保っているように設計することができる。低出力被検物質モニタリングシステム100aは、被検物質センサ110からの被検物質データを含むデータの検索及び送達を容易にするために本明細書に記載したように構成されたデータリーダ装置120又は多目的データ受信装置130をさらに含んでよい。
【0049】
本明細書で具現化されるように、被検物質モニタリングシステム100aは、例えばリモートアプリケーションサーバ150又はアプリケーションストアフロントサーバ160を介して第三者に提供され、モバイルフォン、タブレット、パーソナルコンピューティング装置、又は通信リンクを介して被検物質センサ110と通信することができる他の同様のコンピューティング装置等の多目的ハードウェア装置130に組み込まれるソフトウェア又はファームウェアライブラリー又はアプリケーションを含んでよい。多目的ハードウェアは、被検物質センサ110と通信するように構成された埋め込まれたライブラリを有する、インスリンポンプ又はインスリンペンを含むがそれらに限らない埋め込まれた装置をさらに含んでよい。被検物質モニタリングシステム100aの図示した実施形態は図示した装置の各々の1つだけを含むが、本開示は、被検物質モニタリングシステム100aにはシステム全体で相互作用するそれぞれの部品の多数が組み込まれることを意図している。例えば、限定されないが、本明細書で具現化されるように、データリーダ装置120及び/又は多目的データ受信装置130は、多数の各々を含んでよい。本明細書で具現化されるように、多重データ受信装置130は、本明細書に記載したセンサ110と直接通信することができる。さらに又は代わりに、データ受信装置130は、ユーザ又はその他の認可された関係者への二次表示のため、被検物質データ又はデータの可視化又は分析を提供するために二次データ受信装置130と通信することができる。
【0050】
図1Aのセンサ104は、皮膚層又は皮膚の皮下層の中のような目的の組織の中に少なくとも部分的に挿入されるように適合されている。センサ104は、所与の組織における所望の深さへの挿入のために十分な長さのセンサ尾部を含んでよい。センサ尾部は少なくとも1つの作用電極を含んでよい。特定の構成では、センサ尾部は、被検物質を検出するために、例えば、1つ以上のNAD(P)-依存性酵素を含む活性領域を含むことができる。少なくとも1つの作用電極と組み合わせて対電極が存在してもよい。センサ尾部の上の特定の電極構成を、以下により詳細に記載される。
【0051】
1つ以上の物質移動制限膜は、以下にさらに詳細に記載されるように、活性領域を被覆し得る。
活性領域は、本明細書に記載される特定の被検物質を検出するように構成され得る。例えば、限定するものではないが、被検物質は、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、総タンパク質、尿酸などを含むことができる。特定の実施形態では、開示された被検物質センサを使用して検出するための被検物質は、アルコール、ケトン類、クレアチニン、グルコース、及び乳酸塩を含む。特定の実施形態では、活性領域は、本明細書に記載される2つ以上の被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、本開示のセンサの活性領域は、ケトン類を検出するために構成される。特定の実施形態では、本開示のセンサの活性領域は、グルコースを検出するように構成される。特定の実施形態では、本開示のセンサの活性領域は、乳酸塩を検出するように構成される。特定の実施形態では、本開示のセンサの活性領域は、クレアチニンを検出するように構成される。特定の実施形態では、本開示のセンサの活性領域は、アルコール、例えばエタノールを検出するように構成される。
【0052】
本開示の特定の実施形態では、1つ以上の被検物質は、皮膚液、間質液、血漿、血液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、気管支肺胞洗浄液、羊水、その他の任意の目的の生体液においてモニタリングされ得る。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、皮膚液又は間質液をアッセイして、インビボで1つ以上の被検物質の濃度を決定するように適合され得る。特定の実施形態では、生体液は間質液である。
【0053】
センサ104の組織内への導入を促すために、イントロデューサが一時的に存在し得る。特定の例示的な実施形態では、イントロデューサは針又は同様の尖端を含んでよい。当業者によって容易に認識されるように、シース又はブレード等の他のタイプのイントロデューサが、代替の実施形態では存在し得る。より具体的には、針又は他のイントロデューサは、組織挿入の前にセンサ104の近くに一時的に存在し、その後、引き抜かれ得る。針又は他のイントロデューサは、存在する間、センサ104が従うためのアクセス経路を開くことによって、組織の中へのセンサ104の挿入を促し得る。例えば、限定するものではないが、1つ以上の実施形態によれば、針は、センサ104の埋め込みが行われることを可能にするために、真皮へのアクセス経路として表皮の貫通を促し得る。アクセス経路を開いた後、針又は他のイントロデューサは、それが鋭利な危険を示さないように、引き抜かれ得る。特定の実施形態では、好適な針は中実又は中空、斜角又は非斜角、及び/又は断面が円形又は非円形であってよい。より具体的な非限定的実施形態では、好適な針は断面直径及び/又は先端のデザインにおいて鍼治療用の針と同様であってよく、これらは約250ミクロン(250μm)の断面直径を有してよい。しかし、特定の適用のために必要であれば、好適な針は、より大きな又はより小さな断面直径を有してもよい。
【0054】
特定の実施形態では、針の先端(存在している間)は、センサ104の末端を越えて角度がついており、それにより、針が組織を最初に穿通し、センサ104のためのアクセス経路を開くようにしてよい。特定の実施形態では、センサ104は針のルーメン(lumen)又は溝の中に存在して、針が同様にセンサ104のためのアクセス経路を開くようにしてもよい。いずれの場合においても、針は、センサ挿入を容易にした後に続いて引き抜かれ得る。
【0055】
B.例示的なリーダ装置
図2Aは、スマートフォンとして構成されたリーダ装置の実施形態の例を示すブロック略図である。ここで、リーダ装置120は、表示部122と、入力部品121と、メモリ223に接続された通信プロセッサ222及びメモリ225に接続されたアプリケーションプロセッサ224を含む処理コア206とを含み得る。別個のメモリ230、アンテナ229を有するRFトランシーバ228、及び電力管理モジュール238を有する電源226が含まれてもよい。Wi-Fi、NFC、Bluetooth(登録商標)、BTLE、及びGPSを介してアンテナ234と通信することができる多機能トランシーバ232がさらに含まれてもよい。当業者によって理解されるように、これらの部品は、機能的装置を作製するための方法において電気的かつ通信可能に接続される。
【0056】
C.例示的なデータ受信装置アーキテクチャ
限定ではなく例示の目的で、図2Bに示す開示された主題とともに使用するためのデータ受信装置120の例示的な実施形態を参照する。データ受信装置120及び関連する多目的データ受信装置130は、被検物質センサ110及びその動作の議論に密接に関係する部品を含み、追加の部品が含まれ得る。特定の実施形態では、データ受信装置120及び多目的データ受信装置130は、第三者によって提供される部品であるか、又はそれを含むことができ、センサ110と同じ製造者によって作られた装置を含むように必ずしも制限されない。
【0057】
図2Bで示すように、データ受信装置120は、マイクロコントローラ4010、メモリ4020、及びストレージ4030を含み、通信モジュール4040に通信可能に接続されているASIC4000を含む。データ受信装置120の部品のための電力は、本明細書で具現化されるように、充電式バッテリを含み得る電力モジュール4050によって送達され得る。データ受信装置120は、被検物質センサ110又は他の装置(例えば、ユーザ装置140又はリモートアプリケーションサーバ150)から受信された被検物質データの確認を容易にするための表示部4070をさらに含み得る。データ受信装置120は、別個のユーザインターフェース部品(たとえば、物理鍵、光センサ、マイクロフォンなど)を含み得る。
【0058】
通信モジュール4040は、BLEモジュール4041及びNFCモジュール4042を含み得る。データ受信装置120は、被検物質センサ110と無線で接続し、被検物質センサ110にコマンドを送信し、被検物質センサ110からデータを受信するように構成され得る。本明細書に具現化されるように、データ受信装置120は、本明細書で記載される被検物質センサ110に関して、通信モジュール4040の特定のモジュール(例えば、BLEモジュール4042又はNFCモジュール4043)を介してNFCスキャナ及びBLEエンドポイントとして動作するように構成され得る。例えば、データ受信装置120は、通信モジュール4040の第1のモジュールを使用して、コマンド(例えば、センサのデータブロードキャストモードのための作動コマンド、データ受信装置120を識別するためのペアリングコマンド)を被検物質センサ110に発行し、通信モジュール4040の第2のモジュールを使用して、被検物質センサ110からデータを受信し、被検物質センサ110にデータを送信し得る。データ受信装置120は、通信モジュール4040のユニバーサルシリアルバス(USB)モジュール4045を介してユーザ装置140と通信するように構成され得る。
【0059】
別の例として、通信モジュール4040は、例えばセルラーラジオモジュール4044を含んでよい。セルラーラジオモジュール4044は、第3世代(3G)、第4世代(4G)、及び第5世代(5G)ネットワークを含むがそれらに限らないブロードバンドセルラーネットワークを用いて通信するための1つ以上のラジオトランシーバを含んでよい。さらに、データ受信装置120の通信モジュール4040は、IEEE802.11規格(例えば802.11a、802.11b、802.11g、802.11n(Wi-Fi4ともいう)、802.11ac(Wi-Fi5ともいう)、802.11ax(Wi-Fi6ともいう))の1つ以上による無線ローカルエリアネットワークを用いて通信するためのWi-Fiラジオモジュール4043を含んでよい。セルラーラジオモジュール4044又はWi-Fiラジオモジュール4043を使用して、データ受信装置120は、リモートアプリケーションサーバ150と通信し、被検物質データを受信するか、又はユーザから(例えば、1つ以上のユーザインターフェースを介して)受信した更新又は入力を提供し得る。示されていないが、被検物質センサ120の通信モジュール5040は、同様に、セルラーラジオモジュール又はWi-Fiラジオモジュールを含み得る。
【0060】
本明細書に具現化されるように、データ受信装置120のオンボードストレージ4030は、被検物質センサ110から受信した被検物質データを保存し得る。さらに、データ受信装置120、多目的データ受信装置130、又はユーザ装置140は、広域ネットワークを介してリモートアプリケーションサーバ150と通信するように構成され得る。本明細書で具現化されるように、被検物質センサ110はデータ受信装置120又は多目的データ受信装置130にデータを提供することができる。データ受信装置120はユーザコンピューティング装置140にデータを送信することができる。次に、ユーザコンピューティング装置140(又は多目的データ受信装置130)は、処理及び分析のために、そのデータをリモートアプリケーションサーバ150に送信し得る。
【0061】
本明細書で具現化されるように、データ受信装置120は、被検物質センサ110の検知ハードウェア5060と同様の又はそれから拡張された検知ハードウェア4060をさらに含んでよい。特定の実施形態では、データ受信装置120は、被検物質センサ110と連携し、被検物質センサ110から受信した被検物質データに基づいて動作するように構成され得る。例として、被検物質センサ110がグルコースセンサである場合には、データ受信装置120はインスリンポンプ又はインスリン注射ペンであるか、又はこれらを含んでよい。連携して、互換性のある装置130は、被検物質センサから受信したグルコース値に基づいて、ユーザのためのインスリン投薬量を調整し得る。
【0062】
D.例示的なセンサ制御装置
図2C及び図2Dは、ユーザへの表示に適した最終結果データをレンダリングするための処理能力の大部分を有し得る被検物質センサ104及びセンサ電子機器160(被検物質モニタリング回路を含む)を有するセンサ制御装置102の実施形態の例を示すブロック略図である。図2Cでは、カスタム特定用途向け集積回路(ASIC)であり得る単一の半導体チップ161が示される。ASIC161の中には、アナログフロントエンド(AFE)162、電力管理(又は制御)回路164、プロセッサ166、及び通信回路168(これはトランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、受動回路として、又は通信プロトコルに従った他の方法で、実装され得る)を含む特定の高レベル機能性ユニットが示されている。この実施形態では、AFE162とプロセッサ166の両方が被検物質モニタリング回路として使用されるが、他の実施形態ではいずれかの回路が被検物質モニタリング機能を実施することができる。プロセッサ166は、1つ以上のプロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、及び/又はマイクロコントローラを含むことができ、それらの各々は、別個のチップであるか、又は多数の異なるチップ(及びその一部)の間で分散され得る。
【0063】
メモリ163もASIC161の中に含まれ、ASIC161の中に存在する様々な機能性ユニットによって共有されてもよく、又はそれらの2つ以上の間に分散されてもよい。メモリ163はまた、別個のチップであり得る。メモリ163は、揮発性及び/又は不揮発性メモリであり得る。この実施形態では、ASIC161は、電源170に接続され、これは、ボタン電池などであり得る。AFE162はインビボ被検物質センサ104とインターフェース接続し、それから測定データを受信し、データをデジタルの形態でプロセッサ166に出力し、次に、プロセッサ166はデータを処理して、最終結果のグルコースの離散値及びトレンド値(trend values)等に到達させる。次に、このデータは、例えば、データを表示するために常駐ソフトウェアアプリケーションによって最小限のさらなる処理が必要とされるリーダ装置120(図示無し)にアンテナ171を経由して送信するために、通信回路168に提供され得る。
【0064】
図2D図2Cと同様であるが、代わりに2つの離散した半導体チップ162及び174を含み、これらは一緒に又は個別に包装され得る。ここで、AFE162はASIC161に常駐している。プロセッサ166は、チップ174上の電力管理回路164及び通信回路168と統合される。AFE162はメモリ163を含み、チップ174はメモリ165を含み、これらは隔離されていても、その中に分散されていてもよい。1つの例示的な実施形態では、AFE162は、1つのチップ上で電力管理回路164及びプロセッサ166と組み合わされ、通信回路168は別個のチップ上にある。別の例示的な実施形態では、AFE162及び通信回路168の両方が1つのチップ上にあり、プロセッサ166及び電力管理回路164が別のチップ上にある。3つ以上のチップを含み、それぞれが記載した別個の機能を担うか、又はフェイルセーフ冗長性のために1つ以上の機能を共有する、他のチップの組合せも可能であることに留意されたい。
【0065】
例示のためであって限定ではないが、図2Eに示す開示された主題による使用のための被検物質センサ110の例示的な実施形態を参照する。図2Eは、本明細書で記載されるセキュリティアーキテクチャ及び通信方式に適合する例示的な実施形態による被検物質センサ110の例のブロック略図を示す。
【0066】
本明細書で具現化されるように、被検物質センサ110は、通信モジュール5040と通信可能に接続された特定用途向け集積回路(「ASIC」)5000を含んでよい。ASIC5000は、マイクロコントローラコア5010、オンボードメモリ5020、及びストレージメモリ5030を含み得る。ストレージメモリ5030は、認証及び暗号化セキュリティアーキテクチャにおいて使用されるデータを保存し得る。ストレージメモリ5030は、センサ110のためのプログラミング命令を保存し得る。本明細書に具現化されるように、特定の通信チップセットは、ASIC5000(例えば、NFCトランシーバ5025)に組み込まれ得る。ASIC5000は、オンボードバッテリなどの電力モジュール5050から、又はNFCパルスから電力を受け取り得る。ASIC5000のストレージメモリ5030は、識別及び追跡目的のためにセンサ110の識別子などの情報を含むようにプログラムされ得る。ストレージメモリ5030はまた、センサ110及びその様々な部品による使用のための構成又は較正パラメータを用いてプログラムされ得る。ストレージメモリ5030は、再書き込み可能な又はワンタイムプログラミング(OTP)メモリを含んでよい。ストレージメモリ5030は、センサ110の有用性を拡張するために、本明細書に記載する技法を使用して更新され得る。
【0067】
本明細書で具現化されるように、センサ100の通信モジュール5040は、被検物質センサ110が被検物質モニタリングシステム100の他の装置と通信することを支援する1つ以上のモジュールであるか、それを含んでよい。例としてのみであって限定ではないが、通信モジュール5040の例は、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(「BLE」)モジュール5041を含んでよい。本開示を通して使用される場合、Bluetooth(登録商標)低エネルギー(「BLE」)は、エンドユーザにとってBluetooth(登録商標)装置のペアリングを簡単にするように最適化された短距離通信プロトコルを意味する。通信モジュール5040は、データ受信装置120又はユーザ装置140の同じく能力のある通信モジュールとの相互作用を介してデータ及びコマンドを送信及び受信することができる。通信モジュール5040は、IEEE802.15プロトコルによるパーソナルエリアネットワーク、IEEE802.11プロトコル、赤外線データ協会規格(IrDA)による赤外通信、その他の同様の短距離通信スキームによる使用のための追加の又は代替のチップセットを含んでよい。
【0068】
その機能性を遂行するため、センサ100はその機能に適した好適な検知ハードウェア5060をさらに含んでよい。本明細書で具現化されるように、検知ハードウェア5060は対象の体液と接触して経皮又は皮下に配置される被検物質センサを含んでよい。被検物質センサは、体液中の1つ以上の被検物質のレベルに対応する値を含むセンサデータを生成し得る。
【0069】
E.センサ制御装置のための例示的な組み立てプロセス
センサ制御装置102の部品は、適切なユーザの位置への送達前にユーザによる最終的な組み立てを必要とする複数のパッケージでユーザによって取得され得る。図3Aから図3Dは、送達する目的でセンサを準備するために部品を連結する前の別個の部品の準備を含む、ユーザによるセンサ制御装置102用の組立プロセスの実施形態の例を示す。図3Eから図3Fは、適切な送達位置を選択し、装置102をその位置に適用することによる、適切なユーザの位置へのセンサ制御装置102の送達の実施形態の例を示す。
【0070】
図3Aは、組み立てプロセスのために、ここではトレイとして構成された容器810(しかし他のパッケージが使用され得る)を準備するユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。ユーザは、例えば蓋812の非接着部分をトレイ810から剥がして蓋812の接着部分が取り外されるようにトレイ810から蓋812を取り外し、プラットフォーム808を露出することによって、この準備を達成することができる。プラットフォーム808がトレイ810の中で適切に露出する限り、蓋812の取り外しは様々な実施形態で適切であってよい。次に、蓋812を横に置いてよい。
【0071】
図3Bは、組み立てのためにアプリケータ装置150を準備するユーザの実施形態の例を示す側面図である。アプリケータ装置150はキャップ708によってシールされた無菌パッケージで提供され得る。アプリケータ装置150の準備はハウジング702をキャップ708から取り外してシース704を露出することを含んでよい(図3C)。これはキャップ708をハウジング702からねじを廻して外す(又は他の方法で外す)ことによって達成され得る。次に、キャップ708が横に置かれ得る。
【0072】
図3Cは、組み立て中にアプリケータ装置150をトレイ810に挿入するユーザの実施形態の例を示す近位斜視図である。最初に、ユーザはハウジング配向形体1302(又はスロット又は凹部)及びトレイ配向形体924(当接部又は戻り止め)を整列させた後で、シース704をトレイ810の内部のプラットフォーム808に挿入することができる。シース704をプラットフォーム808に挿入すると、シース704がハウジング702に対して一時的にロック解除され、また、プラットフォーム808がトレイ810に対して一時的にロック解除される。この段階で、トレイ810からのアプリケータ装置150の取り外しは、トレイ810へのアプリケータ装置150の最初の挿入前と同じ状態をもたらすであろう(すなわち、このプロセスは、この時点で反転又は中断され、次に、結果なく繰り返され得る)。
【0073】
ハウジング702が遠位方向に前進している間に、シース704はハウジング702に対してプラットフォーム808の中の位置に維持され、プラットフォーム808と連結してプラットフォーム808をトレイ810に対して遠位方向に前進させる。この工程は、プラットフォーム808をロック解除し、トレイ810内に折り畳む。シース704がハウジング702に対してロック解除され、ハウジング702がプラットフォーム808を遠位方向に前進させ続けている間にシース704が(相対的に)移動することを防止するトレイ810の中の固定形体(図示無し)とシース704は接触して、これを係合解除する。ハウジング702及びプラットフォーム808の前進が終了したときに、シース704はハウジング702に対して永久的にロック解除される。トレイ810内の尖端及びセンサ(図示無し)は、ハウジング702の遠位への前進の終了時に、ハウジング702内の電子機器ハウジング(図示無し)と連結され得る。アプリケータ装置150及びトレイ810の動作及び相互作用については、以下にさらに記載される。
【0074】
図3Dは、組み立て中にユーザがアプリケータ装置150をトレイ810から取り外す実施形態の例を示す近位斜視図である。ユーザは、ハウジング702をトレイ810に対して近位方向に前進させるか、アプリケータ150とトレイ810との連結解消と同じ最終効果を有する他の動作によって、アプリケータ150をトレイ810から取り外すことができる。アプリケータ装置150は、センサ制御装置102(図示無し)がその中に完全に組み立てられ(尖端、センサ、電子機器)送達のために配置された状態で取り外される。
【0075】
図3Eは、患者がアプリケータ装置150を使用してセンサ制御装置102を皮膚の標的領域、例えば、腹部又は他の適切な位置に適用する実施形態の例を示す近位斜視図である。ハウジング702を遠位方向に前進させることによってハウジング702内にシース704が折り畳まれ、センサが標的の位置に適用され、その結果、センサ制御装置102の底側の接着層が皮膚に接着する。ハウジング702が完全に前進されたときに尖端が自動的に後退される一方で、センサ(図示無し)がその位置に取り残されて被検物質レベルを測定する。
【0076】
図3Fは、センサ制御装置102が適用位置にある患者の実施形態の例を示す近位斜視図である。次に、ユーザはアプリケータ150を取り付けた部位から取り外すことができる。
【0077】
図3Aから図3F及び本明細書の他の部分に関して記載されるシステム100は、従来技術のシステムと比較して、アプリケータ部品の偶発的な破損、永久的な変形、又は不正確な組み立ての可能性を低減又は排除し得る。シース704を介する間接的な係合ではなく、シース704がロック解除する間に、アプリケータハウジング702がプラットフォーム808と直接係合するので、シース704とハウジング702との間の相対的角度はアーム又はその他の部品の破損又は永久的な変形をもたらさない。組み立て中の(従来の装置におけるような)比較的大きな力がかかる可能性が低減され、次に、ユーザによる組み立てが失敗する可能性を低減する。
【0078】
F.例示的なセンサアプリケータ装置
図4Aは、スクリューキャップ708と連結されたアプリケータ装置150の実施形態の例を示す側面図である。これは、アプリケータ150がユーザによってセンサと組み立てられる前にどのようにユーザに出荷されて受け取られるかの例である。図4Bは、連結を取り外した後のアプリケータ150とキャップ708を示す側面斜視図である。図4Cは、キャップ708が定位置にあるときに、電子機器ハウジング706及び接着性パッチ105がシース704のセンサキャリア710に保持される位置から取り外されている、アプリケータ装置150の遠位端の実施形態の例を示す斜視図である。
【0079】
限定ではなく例示の目的で図4Dから図4Gを参照すると、アプリケータ装置20150は、単一の一体化アセンブリとしてユーザに提供され得る。図4D及び図4Eは、それぞれ、アプリケータ装置20150の上面斜視図及び底面斜視図を提供し、図4Fは、アプリケータ装置20150の分解図を提供し、図4Gは、側面断面図を提供する。斜視図は、アプリケータ20150がどのように出荷されユーザに受け取られるかを示す。分解図及び断面図は、アプリケータ装置20150の部品を示す。アプリケータ装置20150は、ハウジング20702、ガスケット20701、シース20704、尖端キャリア201102、スプリング205612、センサキャリア20710(「パックキャリア」とも称する)、尖端ハブ205014、センサ制御装置(「パック」とも称する)20102、接着性パッチ20105、乾燥剤20502、キャップ20708、シリアルラベル20709、及びタンパーエビデンス形体20712を含んでよい。ユーザに受け取られたときには、ハウジング20702、キャップ20708、タンパーエビデンス形体20712、及びラベル20709のみが見えている。タンパーエビデンス形体20712は、例えばハウジング20702とキャップ20708の各々に連結されたステッカーであってよく、タンパーエビデンス形体20712は例えばハウジング20702とキャップ20708との連結を外すことによって修復不能に損傷され、それにより、ハウジング20702とキャップ20708の連結が以前に外されたことをユーザに示すことができる。これらの特徴は、以下でより詳細に記載される。
【0080】
G.例示的なトレイ及びセンサモジュールアセンブリ
図5は、滅菌蓋812が取り外し可能に連結されたトレイ810の実施形態の例を示す近位斜視図であり、これは、パッケージが組み立て前にどのように出荷され、ユーザによって受け取られるかを示し得る。
【0081】
図6Aは、トレイ810内のセンサ送達部品を示す近位斜視断面図である。プラットフォーム808は、トレイ810内に摺動可能に連結される。乾燥剤502は、トレイ810に対して固定される。センサモジュール504はトレイ810の中に備え付けられている。
【0082】
図6Bは、センサモジュール504をより詳細に示す近位斜視図である。ここでは、プラットフォーム808の保持アーム延長部1834がセンサモジュール504を所定位置に解放可能に固定している。モジュール2200はコネクタ2300、尖端モジュール2500、及びセンサ(図示無し)に連結されており、それにより、組立ての間、これらはセンサモジュール504として一緒に取り外すことができる。
【0083】
H.ワンピースアーキテクチャのための例示的なアプリケータ及びセンサ制御装置
図1A及び図3Aから図3Gを再び簡単に参照すると、ツーピースアーキテクチャシステムの場合、センサトレイ202及びセンサアプリケータ102は、別個のパッケージとしてユーザに提供され、従って、ユーザは、各パッケージを開封し、最終的にシステムを組み立てる必要がある。いくつかの用途では、別個にシールされたパッケージによって、センサトレイ202とセンサアプリケータ102が各々のパッケージの内容物に特有でさもなければ他のパッケージの内容物には適合しない別個の滅菌プロセスによって滅菌されることが可能になる。より具体的には、センサ110及び尖端220を含むプラグアセンブリ207を含むセンサトレイ202は、電子線(すなわち「e-ビーム」)照射等の放射線滅菌を用いて滅菌され得る。好適な放射線滅菌プロセスには、それだけに限らないが、電子線(e-ビーム)照射、ガンマ線照射、X線照射、又はそれらの任意の組合せが含まれる。しかし、放射線滅菌は、センサ制御装置102の電子機器ハウジングの中に配置された電気部品に損傷を与えることがある。従って、センサ制御装置102の電子機器ハウジングを含むセンサアプリケータ102を滅菌する必要がある場合には、これは別の方法、例えばエチレンオキシドを用いる気体化学滅菌等によって滅菌され得る。しかし、気体化学滅菌は、センサ110に含まれる酵素又はその他の化学物質及び生物学的物質に損傷を与えることがある。この滅菌不適合のために、センサトレイ202及びセンサアプリケータ102は、一般に、別個の滅菌プロセスにおいて滅菌され、その後、別個にパッケージ化され、これは、ユーザが使用のために部品を最終的に組み立てることを必要とする。
【0084】
図7A及び図7Bは、それぞれ、1つ以上の実施形態によるセンサ制御装置3702の上面分解図及び底面分解図である。シェル3706及びマウント3708は、センサ制御装置3702の様々な電子部品を含んでいるか、又は別様に実質的にカプセル化する、対向するクラムシェル半体として動作する。示すように、センサ制御装置3702は、複数の電子モジュール3806が接続されたプリント回路基板(PCB)3804を含むプリント回路基板アセンブリ(PCBA)3802を含み得る。電子モジュール3806の例には、それだけに限らないが、レジスタ、トランジスタ、キャパシタ、インダクタ、ダイオード、及びスイッチが含まれる。従来のセンサ制御装置は、一般に、PCBの一方の側のみにPCB部品を積み重ねる。対照的に、センサ制御装置3702におけるPCB部品3806は、PCB3804の両側の表面領域(すなわち、上面と底面)に分散され得る。
【0085】
電子モジュール3806に加えて、PCBA3802は、PCB3804に取り付けられたデータ処理ユニット3808も含み得る。データ処理ユニット3808は、例えばセンサ制御装置3702の動作に付随する1つ以上の機能又はルーチンを実行するように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)を備え得る。より具体的には、データ処理ユニット3808はデータ処理機能を実施するように構成されてよく、そのような機能には、それだけに限らないが、その各々がユーザのサンプリングされた被検物質レベルに対応するデータ信号のフィルタリング及びエンコーディングを含み得る。データ処理ユニット3808はまた、リーダ装置106(図1A)と通信するためのアンテナを含み得るか、又は他の方法でそれと通信し得る。
【0086】
バッテリアパチャ3810はPCB3804の中で規定され、センサ制御装置3702に電力を供給するように構成されたバッテリ3812を受容して着座させる大きさであり得る。軸方向のバッテリ接点3814a及び半径方向のバッテリ接点3814bをPCB3804に連結し、バッテリ3812からPCB3804への電力の送達を容易にするために、バッテリアパチャ3810の中に延在させてよい。それらの名前が示すように、軸方向バッテリ接点3814aは、バッテリ3812のための軸方向接点を提供するように構成されてもよく、一方、半径方向バッテリ接点3814bは、バッテリ3812のための半径方向接点を提供してもよい。バッテリ接点3814a、bを有するバッテリアパチャ3810内にバッテリ3812を配置することは、センサ制御装置3702の高さHを低減するのに役立ち、これは、PCB3804が中央に配置されること、及びその部品が両側(すなわち、上面及び底面)に分散されることを可能にする。これはまた、チャンファ3718を電子機器ハウジング3704の上に備え付けることを容易にすることを助ける。
【0087】
センサ3716は、PCB3804に対して中心に配置されてもよく、尾部3816と、フラグ3818と、尾部3816及びフラグ3818を相互接続するネック3820とを含み得る。尾部3816は、ユーザの皮膚の下に経皮的に受け入れられるマウント3708の中央アパチャ3720を介して延在するように構成され得る。さらに、尾部3816は、被検物質のモニタリングを容易にすることを助ける酵素又はそれに含まれるその他の化学物質を有し得る。
【0088】
フラグ3818は、その上に配置された1つ以上のセンサ接点3822(図7Bに3つ示す)を有する略平坦な表面を含み得る。センサ接点(複数)3822は、PCB3804の上に備えられた対応する1つ以上の回路接点3824(図7Aには3つ示す)と整列し、これに係合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、センサ接点(複数)3822は、フラグ3818にプリントされ又は他の方法でデジタル的に適用された炭素含浸ポリマーを備え得る。従来のセンサ制御装置は、一般に、センサとPCBとの間の導電性接点として働く1つ以上のコンプライアント炭素含浸ポリマーモジュールを封入したシリコーンゴムから作られたコネクタを含んでいる。対照的に、本開示のセンサ接点(複数)3822は、センサ3716とPCB3804との接続の間に直接の接続を提供し、それにより、従来技術のコネクタの必要性がなく、有利なことに高さHが低減する。さらに、コンプライアント炭素含浸ポリマーモジュールを除外することによって、回路抵抗が顕著に排除され、従って回路の導電性が改善される。
【0089】
センサ制御装置3702はコンプライアント部材3826をさらに含んでよく、これはフラグ3818とシェル3706の内面との間に介在するように配置され得る。より具体的には、シェル3706とマウント3708が互いに組み立てられるときに、コンプライアント部材3826は、センサ接点(複数)3822を対応する回路接点(複数)3824に連続的に係合させるように強制する受動的な付勢負荷をフラグ3818に提供するように構成され得る。示す実施形態では、コンプライアント部材3826はエラストマーOリングであるが、代わりに、本開示の範囲から逸脱することなく、圧縮ばね等の他の任意の種類の付勢装置又はメカニズムを備え得る。
【0090】
センサ制御装置3702は、第1のシールド3828a及び第2のシールドとして示す1つ以上の電磁シールドをさらに含み得る。シェル3706は、第1のクロッキングレセプタクル3830a(図7B)及び第2のクロッキングレセプタクル3830b(図7B)を備えるか又は他の方法で規定してもよく、マウント3708は、第1のクロッキングポスト3832a(図7A)及び第2のクロッキングポスト3832b(図7A)を備えるか又は他の方法で規定してもよい。第1及び第2のクロッキングレセプタクル3830a、bと第1及び第2のクロッキングポスト3832a、bとをそれぞれ対にすることによって、シェル3706をマウント3708に適切に整列させる。
【0091】
特に図7Aを参照すると、マウント3708の内面は、シェル3706がマウント3708に対にされたときに、センサ制御装置3702の様々な部品を収容するように構成された複数のポケット又は凹部を備えるか又は他の方法で規定し得る。例えば、マウント3708の内面は、センサ制御装置3702が組み立てられたときに、バッテリ3812の一部を収容するように構成されたバッテリロケータ3834を規定してよい。隣接する接点ポケット3836は、軸方向接点3814aの一部を収容するように構成され得る。
【0092】
さらに、PCB3804の底に配置された様々な電子モジュール3806を収容するために、複数のモジュールポケット3838がマウント3708の内面に規定されてよい。さらに、センサ制御装置3702が組み立てられるときに第2のシールド3828bの少なくとも一部を収容するために、シールドロケータ3840がマウント3708の内面に規定され得る。バッテリロケータ3834、コンタクトポケット3836、モジュールポケット3838、及びシールドロケータ3840は全て、マウント3708の内面内に短い距離だけ延在し、その結果、センサ制御装置3702の全体の高さHは、従来のセンサ制御装置と比較して低減され得る。モジュールポケット3838はまた、PCB部品が両側(すなわち、上面及び底面)に配置されることを可能にすることによって、PCB3804の直径を最小限にするのに役立ち得る。
【0093】
さらに図7Aを参照すると、マウント3708は、マウント3708の外周の周りに規定された複数のキャリアグリップ形体3842(2つ示す)をさらに含み得る。キャリアグリップ形体3842は、マウント3708の底3844から軸方向にオフセットされており、ここで、組み立て中にトランスファ接着剤(transfer adhesive)(図示無し)が塗布され得る。マウントの底と交差する円錐形キャリアグリップ形体を一般に含む従来のセンサ制御装置とは対照的に、本開示のキャリアグリップ形体3842は、トランスファ接着剤が塗布される平面(すなわち、底部3844)からオフセットされる。これは、送達システムが組み立て中にトランスファ接着剤に不注意に接着しないことを確実にするのを助けるのに有利であることを示し得る。さらに、本開示のキャリアグリップ形体3842は、波形トランスファ接着剤の必要性を排除し、これは、トランスファ接着剤の製造を単純化し、マウント3708に対してトランスファ接着剤を正確に記録する必要性を排除する。これはまた、接着面積、従って接着強度を増加させる。
【0094】
図7Bを参照すると、マウント3708の底3844は、複数の溝3846を備えるか又は他の方法で規定してもよく、それらは、マウント3708の外周に又はその近くに規定され、互いから等距離に離間され得る。トランスファ接着剤(図示無し)が底3844に連結されてもよく、溝3846は、使用中にセンサ制御装置3702から離れてマウント3708の周囲に向かって湿気を運ぶ(移動する)のに役立つように構成され得る。いくつかの実施形態では、溝3846の間隔は、マウント3708の反対側(内面)に規定されたモジュールポケット3838(図7A)を間に挟み得る。認識されるように、溝3846とモジュールポケット3838の位置を交互にすることによって、マウント3708のいずれかの側の対向する形体が相互に延在しないことが保証される。これにより、マウント3708用の材料の使用量を最大化することが助けられ、センサ制御装置3702の最小高さHを維持することに役立ち得る。モジュールポケット3838はまた、モールドシンクを著しく低減し、トランスファ接着剤が接着する底3844の平坦度を改善し得る。
【0095】
さらに図7Bを参照すると、シェル3706の内面はまた、シェル3706がマウント3708に対にされたときに、センサ制御装置3702の様々な部品を収容するように構成された複数のポケット又は凹部を備えるか又は他の方法で規定し得る。例えば、シェル3706の内面は、センサ制御装置3702が組み立てられるときに、マウント3708のバッテリロケータ3834(図7A)に対向して配置可能であり、バッテリ3812の一部を収容するように構成された対向するバッテリロケータ3848を規定してよい。対向するバッテリロケータ3848は、シェル3706の内面に短い距離だけ延在し、それにより、センサ制御装置3702の全体の高さHを低減するのに役立つ。
【0096】
尖端及びセンサロケータ3852はまた、シェル3706の内面に備えられてもよく、又は他の方法で規定されてもよい。尖端及びセンサロケータ3852は、尖端(図示無し)及びセンサ3716の一部の両方を受容するように構成され得る。さらに、尖端及びセンサロケータ3852は、マウント3708の内面に設けられた対応する尖端及びセンサロケータ2054(図7A)と整列及び/又は対になるように構成され得る。
【0097】
本開示の実施形態によって、代替のセンサアセンブリ/電子機器アセンブリ接続アプローチを図8A~8Cに示す。示すように、センサアセンブリ14702はセンサ14704、コネクタ支持体14706、及び尖端14708を含む。特に、電子機器アセンブリ14712のマウントの底に凹部又はレセプタクル14710が規定され、センサアセンブリ14702が受容されて電子機器アセンブリ14712に連結され、それによりセンサ制御装置が完全に組み立てられる場所を提供し得る。センサアセンブリ14702のプロファイルは、エラストマーシーリング部材14714(回路ボードに連結され、センサ14704の電気接点と整列した導電性材料を含む)を含むレセプタクル14710と一致するか、これと相補的な様式で成形され得る。従って、センサアセンブリ14702を電子機器アセンブリ14712の一体的に形成された凹部14710に駆動することによって、センサアセンブリ14702が電子機器アセンブリ14712にスナップフィットするか又は他の方法で接着されたときに、図8Cに示すオンボディ装置14714が形成される。この実施形態は、電子機器アセンブリ14712の中のセンサアセンブリ14702のための一体化されたコネクタを提供する。
【0098】
センサアセンブリに関するさらなる情報は、米国公開番号第2013/0150691号及び米国公開番号第2021/0204841号で提供され、その各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0099】
本開示の実施形態によれば、センサ制御装置102は、ワンピースアーキテクチャセンサ制御装置のために特別に設計された滅菌技術を受けることができるワンピースアーキテクチャを提供するように変更され得る。ワンピースアーキテクチャは、センサアプリケータ150及びセンサ制御装置102が、いかなる最終的なユーザ組立工程も必要としない単一のシールされたパッケージでユーザに出荷されることを可能にする。むしろユーザは1つのパッケージを開封し、続いてセンサ制御装置102を標的モニタリング位置に送達するだけでよい。本明細書で記載されるワンピースシステムアーキテクチャは、構成部品、様々な製造プロセス工程、及びユーザ組立工程を排除する点で有利であることを示し得る。結果として、包装材及び廃棄物が低減され、システムに対するユーザのエラー又は汚染の可能性が軽減される。
【0100】
図9A及び図9Bは、それぞれ、アプリケータキャップ210が連結されたセンサアプリケータ102の実施形態の例の側面図及び側面断面図である。より具体的には、図9Aはセンサアプリケータ102がどのようにユーザに出荷され受容されるかを示しており、図9Bはセンサアプリケータ102の中に配置されたセンサ制御装置4402を示す。従って、完全に組み立てられたセンサ制御装置4402は、ユーザに送達される前に、すでに組み立てられ、センサアプリケータ102内に設置されてもよく、その結果、そうでなければユーザが実行しなければならないであろう任意の追加の組立工程を取り除く。
【0101】
完全に組み立てられたセンサ制御装置4402は、センサアプリケータ102内に取りつけられてもよく、アプリケータキャップ210は、その後、センサアプリケータ102に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、アプリケータキャップ210は、ハウジング208に螺合されてもよく、タンパーリング4702を含んでもよい。アプリケータキャップ210をハウジング208に対して回転させる(例えば、ねじを緩める)と、タンパーリング4702はせん断し、それによってアプリケータキャップ210をセンサアプリケータ102から解放し得る。
【0102】
本開示によれば、センサアプリケータ102内に取り付けられている間、センサ制御装置4402は、電子機器ハウジング4404及びセンサ制御装置4402の任意の他の露出部分を滅菌するように構成された気体化学滅菌4704を受け得る。これを達成するため、センサアプリケータ102及び相互連結されたキャップ210によって協調的に規定される滅菌チャンバ4706の中に化学物質を注入してよい。いくつかの用途では、化学物質は、アプリケータキャップ210の近位端610に規定された1つ以上のベント4708を介して滅菌チャンバ4706内に注入され得る。気体化学滅菌4704に使用できる化学物質の例には、それだけに限らないが、エチレンオキシド、蒸気化した過酸化水素、酸化窒素(例えば亜酸化窒素、二酸化窒素、その他)及び水蒸気が含まれる。
【0103】
センサ4410及び尖端4412の遠位部分は、センサキャップ4416内に密閉されるため、気体化学滅菌プロセス中に使用される化学物質は、尾部4524及び被検物質流入を調節する膜コーティング等の他のセンサ部品上に提供される酵素、化学物質、及び生物製剤と相互作用しない。
【0104】
滅菌チャンバ4706内で所望の無菌性保証水準が達成されると、気体溶液が除去されてもよく、滅菌チャンバ4706が通気されてもよい。通気は滅菌チャンバ4706を通る一連の真空及びそれに続く気体(例えば窒素)又は濾過された空気の循環によって達成してよい。滅菌チャンバ4706が適切に通気されると、ベント4708は、シール4712(点線で示す)で閉塞され得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、シール4712は、異なる材料の2つ以上の層を備え得る。第1の層は、DuPont(登録商標)から入手可能なTyvek(登録商標)等の合成材料(例えば、フラッシュ紡糸高密度ポリエチレン繊維)から作製され得る。Tyvek(登録商標)は高耐久性かつ穿刺耐性であり、蒸気の透過が可能である。Tyvek(登録商標)層は、気体化学滅菌プロセスの前に適用されることができ、気体化学滅菌プロセスに続いて、ホイル又は他の蒸気及び防湿性材料層が、滅菌チャンバ4706の中への汚染物質及び湿気の進入を防止するために、Tyvek(登録商標)層を覆って密閉(例えば、熱シール)され得る。他の実施形態では、シール4712は、アプリケータキャップ210に適用される単一の保護層のみを備え得る。そのような実施形態では、単一層は、滅菌プロセスのために気体透過性であってもよいが、滅菌プロセスが完了すると、湿気及び他の有害要素から保護することも可能であり得る。
【0106】
シール4712が配置されれば、アプリケータキャップ210は外部の汚染に対するバリアを提供し、それにより、ユーザがアプリケータキャップ210を取り外す(ねじを緩める)まで、組み立てられたセンサ制御装置4402に対する無菌環境を維持する。アプリケータキャップ210はまた、接着性パッチ4714が汚れることを防止する、出荷及び保存中の無塵環境を生成し得る。
【0107】
図10A及び10Bはそれぞれ、本開示の1つ以上の実施形態によるセンサ制御装置5002の別の例の等角図及び側面図である。センサ制御装置5002はいくつかの点で図1Aのセンサ制御装置102と同様であってよく、従ってそれを参照することによって最もよく理解され得る。さらに、センサ制御装置5002は図1Aのセンサ制御装置102を置き換えてよく、従ってセンサ制御装置5002をユーザの皮膚上の標的モニタリング位置に送達し得る図1Aのセンサアプリケータ102と併せて使用してよい。
【0108】
しかし、図1Aのセンサ制御装置102とは異なり、センサ制御装置5002は、適用前にユーザが複数のパッケージを開いて最終的にセンサ制御装置5002を組み立てることを必要としないワンピースシステムアーキテクチャを備え得る。むしろ、ユーザによって受け取られると、センサ制御装置5002は、すでに完全に組み立てられており、センサアプリケータ150(図1A)内に適切に位置付けられ得る。センサ制御装置5002を使用するために、ユーザは、センサ制御装置5002を使用のために標的モニタリング位置に速やかに送達する前に、1つのバリア(例えば、図3Bのアプリケータキャップ708)を開放することのみを必要とする。
【0109】
示すように、センサ制御装置5002は、略ディスク形状であり、円形断面を有し得る電子機器ハウジング5004を含む。しかし他の実施形態では、電子機器ハウジング5004は本開示の範囲から逸脱することなく、他の断面形状、例えば卵形又は多角形を示し得る。電子機器ハウジング5004は、センサ制御装置5002を動作するために使用される様々な電気部品を収容するか又は他の方法で含むように構成され得る。少なくとも1つの実施形態では、接着性パッチ(図示無し)が、電子機器ハウジング5004の底に配置され得る。接着性パッチは、図1Aの接着性パッチ105と同様であってもよく、従って、使用のためにセンサ制御装置5002をユーザの皮膚に接着するのに役立ち得る。
【0110】
示すように、センサ制御装置5002は、シェル5006及びシェル5006と対をなすことができるマウント5008を含む電子機器ハウジング5004を含む。シェル5006は、スナップフィット係合、締まり嵌め、音波溶接、1つ以上の機械的締結具(例えば、ねじ)、ガスケット、接着剤、又はそれらの任意の組み合わせ等の様々な方法を介して、マウント5008に固定され得る。場合によっては、間に密閉された界面が生成されるようにシェル5006はマウント5008に固定され得る。
【0111】
センサ制御装置5002は、センサ制御装置5002を適用する間にユーザの皮膚の下にセンサ5010を経皮送達することを助けるために用いられるセンサ5010(部分的に可視)及び尖端5012(部分的に可視)をさらに含んでよい。示すように、センサ5010及び尖端5012の対応する部分は、電子機器ハウジング5004の底(例えば、マウント5008)から遠位に延在する。尖端5012は、尖端5012を固定及び送達するように構成される、尖端ハブ5014を含み得る。図10Bに最も良く見られるように、尖端ハブ5014は嵌合部材5016を含むか又は他の方法で規定し得る。尖端5012をセンサ制御装置5002に連結するため、尖端ハブ5014がシェル5006の上面と係合し、嵌合部材5016がマウント5008の底から遠位に延在するまで、電子機器ハウジング5004を介して尖端5012を軸方向に前進し得る。尖端5012が電子機器ハウジング5004を貫通すると、センサ5010の露出した部分が尖端5012の中空部又は凹部(アーチ部)の中に受容され得る。センサ5010の残りの部分は、電子機器ハウジング5004の内部に配置される。
【0112】
センサ制御装置5002は、図10Aから図10Bにおいて電子機器ハウジング5004から分解されて又は分離されて示されているセンサキャップ5018をさらに含み得る。センサキャップ5016は、マウント5008の底又はその近くでセンサ制御装置5002(例えば、電子機器ハウジング5004)に取り外し可能に連結され得る。センサキャップ5018は、センサ5010及び尖端5012の露出した部分を取り囲み、これらを気体化学滅菌から保護するシールされたバリアを提供することに役立ち得る。示すように、センサキャップ5018は、第1の端部5020aと第1の端部5020aに対向する第2の端部5020bとを有する略円筒形の本体を備え得る。第1の端部5020aは本体の中に規定される内部チャンバ5022へのアクセスを提供するために開口していてよい。対照的に、第2の端部5020bは閉じていてよく、係合形体5024を備えるか又は他の方法で規定してよい。本明細書で記載するように、係合形体5024は、センサキャップ5018をセンサアプリケータ(例えば、図1及び図3Aから図3Gのセンサアプリケータ150)のキャップ(例えば、図3Bのアプリケータキャップ708)に嵌合させるのに役立ってもよく、キャップをセンサアプリケータから取り外す際にセンサキャップ5018をセンサ制御装置5002から取り外すのに役立ってもよい。
【0113】
センサキャップ5018は、マウント5008の底において又はその付近で電子機器ハウジング5004に取り外し可能に連結してよい。より具体的には、センサキャップ5018は、マウント5008の底から遠位に延在する嵌合部材5016に取り外し可能に連結され得る。少なくとも1つの実施形態では、例えば、嵌合部材5016は、センサキャップ5018によって規定される一組の雌ねじ5026b(図10A)と嵌合可能な一組の雄ねじ5026a(図10B)を規定し得る。いくつかの実施形態では、雄ねじ及び雌ねじ5026a、bは、平坦ねじ山設計(例えば、らせん形湾曲の欠如)を備えてもよく、これは部品を成形する際に有利であることを示し得る。代わりに、雄ねじ及び雌ねじ5026a、bは、らせん形のねじ係合を備え得る。従って、センサキャップ5018は、尖端ハブ5014の嵌合部材5016においてセンサ制御装置5002に螺合され得る。他の実施形態では、センサキャップ5018は、限定されないが、締まり嵌め又は摩擦嵌め、又は最小の分離力(例えば、軸方向の力又は回転力)で破壊され得る脆弱部材又は物質を含む他の種類の係合を介して嵌合部材5016に取り外し可能に連結され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、センサキャップ5018は、第1及び第2の端部5020a、bの間に延在するモノリシック(単一)構造を備え得る。しかし他の実施形態では、センサキャップ5018は2つ以上の部品を備え得る。示す実施形態では、例えばセンサキャップ5018は、第1の端部5020aに配置されたシールリング5028及び第2の端部5020bに配置された乾燥剤キャップ5030を含んでよい。シールリング5028は、以下により詳細に述べるように、内部チャンバ5022をシールすることに役立つように構成してよい。少なくとも1つの実施形態では、シールリング5028はエラストマーOリングを備え得る。乾燥剤キャップ5030は、内部チャンバ5022の中の好ましい湿度レベルを維持することに役立つ乾燥剤を収容するか又はこれを備え得る。乾燥剤キャップ5030はまた、センサキャップ5018の係合形体5024を規定又は他の方法で備え得る。
【0115】
図11Aから図11Cは、1つ以上の実施形態による、センサアプリケータ102のセンサ制御装置5002との組立を示す段階的側面断面図である。センサ制御装置5002が完全に組み立てられると、センサ制御装置はセンサアプリケータ102内に取り付けられ得る。図11Aを参照すると、尖端ハブ5014は、センサ制御装置5002をセンサアプリケータ102に連結するのに役立つように構成されたハブスナップポール5302を含むか、又は他の方法で規定し得る。より具体的には、センサ制御装置5002をセンサアプリケータ102の内部に前進させてよく、ハブスナップポール5302が、センサアプリケータ102の中に配置された尖端キャリア5306の対応するアーム5304によって受容され得る。
【0116】
図11Bでは、センサ制御装置5002が尖端キャリア5306によって受容され、従ってセンサアプリケータ102の中に固定されることが示されている。センサ制御装置5002がセンサアプリケータ102内に取り付けられると、アプリケータキャップ210は、センサアプリケータ102に連結され得る。いくつかの実施形態では、アプリケータキャップ210及びハウジング208は、時計回り(又は反時計回り)方向にアプリケータキャップ210がハウジング208にねじ込まれ、その結果、アプリケータキャップ210をセンサアプリケータ102に固定することを可能にする、対向する嵌合可能な複数のねじ山5308を有し得る。
【0117】
示すように、シース212はまたセンサアプリケータ102の中に配置され、センサアプリケータ102は、衝撃発生中にシース212が時期尚早に折り畳まれないことを確実にするように構成されたシース固定メカニズム5310を含んでよい。示す実施形態では、シース固定メカニズム5310は、アプリケータキャップ210とシース212との間に螺合係合を備え得る。より具体的には、1つ以上の雌ねじ5312aがアプリケータキャップ210の内面に規定されるか他の方法で備えられてもよく、1つ以上の雄ねじ5312bがシース212の上に規定されるか他の方法で備えられてもよい。雌ねじ又は雄ねじ5312a、bは、アプリケータキャップ210がねじ山5308においてセンサアプリケータ102に螺合するとともに螺合によって係合するように構成され得る。雌ねじ及び雄ねじ5312a、bは、アプリケータキャップ210がハウジング208にねじ込まれることを可能にするねじ山5308と同じねじピッチを有してよい。
【0118】
図11Cでは、アプリケータキャップ210がハウジング208に完全にねじ込まれている(連結されている)ように示されている。示すように、アプリケータキャップ210は、アプリケータキャップ210の内部の中心に位置し、その底から近位に延在しているキャップポスト5314をさらに備え、他の方法で規定し得る。キャップポスト5314は、アプリケータキャップ210がハウジング208にねじ込まれるとともにセンサキャップ5018の少なくとも一部を受容するように構成してよい。
【0119】
センサ制御装置5002がセンサアプリケータ102の中に取り付けられ、アプリケータキャップ210が適正に固定されると、電子機器ハウジング5004及びセンサ制御装置5002の他の任意の露出した部分を滅菌するように構成された気体化学滅菌をセンサ制御装置5002が受け得る。センサ5010及び尖端5012の遠位部分はセンサキャップ5018の中にシールされているので、気体化学滅菌工程の間に使用される化学物質は、尾部5104に備えられた酵素、化学物質、及び生物製剤、及び被検物質の流入量を調節する膜コーティング等の他のセンサ成分と相互作用することができない。
【0120】
図12A~12Cは、1つ以上のさらなる実施形態による、センサ制御装置5002を伴うセンサアプリケータ102の代替の実施形態の組立て及び解体を示す段階的側面断面図である。一般に上述したように、完全に組み立てられたセンサ制御装置5002を、センサアプリケータ102の中に配置された尖端キャリア5306のアーム5304の中にハブスナップポール5302を連結することによって、センサアプリケータ102に取り付けてよい。
【0121】
示す実施形態では、シース212のシースアーム5604は、ハウジング208の内部に規定された第1の戻り止め5702a及び第2の戻り止め5702bと相互作用するように構成してよい。第1の戻り止め5702aは代わりに「固定(locking)」戻り止めと称してよく、第2の戻り止め5702bは代わりに「発射(firing)」戻り止めと称してよい。センサ制御装置5002を最初にセンサアプリケータ102に取り付けるとき、シースアーム5604は第1の戻り止め5702aの中に受容されてよい。以下に論じるように、シース212はシースアーム5604を第2の戻り止め5702bに移動させるように作動してよく、それによりセンサアプリケータ102は発射位置に置かれる。
【0122】
図12Bでは、アプリケータキャップ210はハウジング208と整列されてハウジング208に向かって前進し、それにより、シース212はアプリケータキャップ210の中に受容される。アプリケータキャップ210をハウジング208に対して回転させる代わりに、アプリケータキャップ210のねじ山をハウジング208の対応するねじ山にスナップ留めしてアプリケータキャップ210をハウジング208に連結してもよい。アプリケータキャップ210に規定された軸方向のカット又はスロット5703(1つ示す)により、そのねじ山の近くのアプリケータキャップ210の部分が外側に屈曲してハウジング208のねじ山と係合するようにスナップ留めされることを可能にし得る。アプリケータキャップ210がハウジング208にスナップ留めされると、センサキャップ5018が対応してキャップポスト5314にスナップ留めされ得る。
【0123】
図11Aから図11Cの実施形態と同様に、センサアプリケータ102は、シース212が衝撃発生中に早期に折り畳まれないことを確実にするように構成されたシース固定メカニズムを含み得る。示す実施形態では、シース固定メカニズムは、シース212のベース付近に規定され、1つ以上のリブ5706(2つ示す)と相互作用するように構成された1つ以上のリブ5704(1つ示す)及びアプリケータキャップ210のベース付近に規定されたショルダ5708を含む。リブ5704は、アプリケータキャップ210がハウジング208に取り付けられている間にリブ5706とショルダ5708との間にインターロックするように構成してよい。より具体的には、アプリケータキャップ210がハウジング208にスナップ留めされると、アプリケータキャップ210は、回転させられてもよく(例えば、時計方向)、それは、シース212のリブ5704をアプリケータキャップ210のリブ5706とショルダ5708との間に位置付け、それによって、ユーザがアプリケータキャップ210を逆回転させ、使用のためにアプリケータキャップ210を取り外すまで、アプリケータキャップ210を定位置に「ロック」する。リブ5704とアプリケータキャップ210のリブ5706及びショルダ5708との係合はまた、シース212が早期に折り畳まれることを防止し得る。
【0124】
図12Cでは、アプリケータキャップ210がハウジング208から取り外される。図21Aから図21Cの実施形態と同様に、アプリケータキャップ210は、アプリケータキャップ210を逆回転させることによって取り外されてもよく、これに応じて、キャップポスト5314を同じ方向に回転させ、一般に上述したように、センサキャップ5018を嵌合部材5016から螺合解除する。さらに、センサキャップ5018をセンサ制御装置5002から取り外すことにより、センサ5010及び尖端5012の遠位部分が露出される。
【0125】
アプリケータキャップ210のハウジング208との螺合が外れると、シース212の上に規定されたリブ5704は、アプリケータキャップ210の上に規定されたリブ5706の上部と摺動しながら係合し得る。リブ5706の上部は、アプリケータキャップ210が回転されると、シース212の上方移動をもたらす、対応する傾斜面を提供してもよく、シース212を上方に移動させることは、シースアーム5604が第2の戻り止め5702b内に受け取られるように第1の戻り止め5702aとの係合から外れて撓ませる。シース212が第2の戻り止め5702bに移動すると、半径方向ショルダ5614が移動してキャリアアーム(複数)5608との半径方向係合から外れ、これにより、ばね5612の受動的ばね力が尖端キャリア5306を上方に押し上げ、キャリアアーム(複数)5608を溝(複数)5610との係合から外すことが可能になる。尖端キャリア5306がハウジング208の中で上方移動すると、嵌合部材5016は対応して、センサ制御装置5002の底と同一平面、実質的に同一平面、又は準同一平面になるまで後退し得る。この時点で、センサアプリケータ102は発射位置にある。従って、この実施形態では、アプリケータキャップ210を取り外すことにより、対応して嵌合部材5016が後退する。
【0126】
I.ワンピース及びツーピースのアプリケータの例示的な発射メカニズム
図13A~13Fは、センサ制御装置222をユーザに適用するためにアプリケータ216を「発射」し、尖端1030を使用済みアプリケータ216の中に安全に後退させる内部装置機構の実施形態の詳細な例を示す。全て併せて、これらの図面は、尖端1030(センサ制御装置222に連結されたセンサを支持する)をユーザの皮膚の中に駆動し、ユーザの間質液と動作可能に接触するようにセンサを残して尖端を後退させ、及びセンサ制御装置を接着剤でユーザの皮膚に接着させるシーケンスの例を表す。代替のアプリケータアセンブリ実施形態及び部品とともに使用するためのそのような動作の修正は、当業者によって同じことを参照して理解され得る。さらに、アプリケータ216は、本明細書で開示するように、ワンピースアーキテクチャ又はツーピースアーキテクチャを有するセンサアプリケータであってよい。
【0127】
ここで図13Aを参照すると、センサ1102は、尖端1030内で、ユーザの皮膚1104のすぐ上に支持される。シース318に対するアプリケータ216の動きを制御するために、上側ガイドセクション1108のレール1106(任意選択で、それらのうちの3つ)が設けられ得る。シース318は、アプリケータ216内の戻り止め形体1110によって保持され、アプリケータ216の長手方向の軸線に沿った適切な下向きの力が、戻り止めメカニズム1110によってもたらされる抵抗力に打ち勝って、尖端1030及びセンサ制御装置222が長手方向の軸線に沿ってユーザの皮膚1104の中へ(及び上へ)並進し得る。さらに、センサキャリア1022のキャッチアーム1112が尖端後退アセンブリ1024と係合して、尖端1030をセンサ制御装置222に対する位置に維持する。
【0128】
図13Bでは、ユーザの力が戻り止め形体1110を乗り越え又は上回るように加えられ、シース318がハウジング314の中で折り畳まれて、センサ制御装置222を(付随する部品とともに)長手方向の軸線に沿って矢印Lで示すように下向きに並進させる。シース318の上側ガイドセクション1108の内径が、センサ/尖端の挿入プロセスの全ストロークを介してキャリアアーム1112の位置を拘束する。尖端後退アセンブリ1024の相補面1116に対するキャリアアーム1112の停止面1114の保持が、完全に付勢された伸縮ばね1118とともに部材の位置を維持する。実施形態によれば、ユーザの力を採用してセンサ制御装置222を長手方向の軸線に沿って矢印Lで示すように下向きに並進させるよりむしろ、駆動ばね(例えば、しかし限定ではないがコイルばね)を作動させてセンサ制御装置222を駆動するボタン(例えば、しかし限定ではないが押しボタン)をハウジング314に含ませてもよい。
【0129】
図13Cでは、センサ1102及び尖端1030が完全に挿入された深さに到達している。それにより、キャリアアーム1112は上側ガイドセクション1108の内径から離れる。次に、コイル伸縮ばね1118の圧縮力が角度のある停止面1114を半径方向外向きに駆動し、力を放出することで、尖端後退アセンブリ1024の尖端キャリア1102を駆動し、図13Dの矢印Rで示すように、(スロットを有するか他の方法で構成された)尖端1030をユーザから外側へ、センサ1102から離れる方に引き出す。
【0130】
図13Eに示すように尖端1030が完全に後退した状態で、シース318の上側ガイドセクション1108は最終固定形体1120によって固定される。図13Fに示すように、使用済みのアプリケータアセンブリ216はセンサ制御装置222を残して挿入部位から取り外され、尖端1030はアプリケータアセンブリ216の内側に安全に固定される。使用済みアプリケータアセンブリ216は、ここで、処分の準備ができている。
【0131】
センサ制御装置222を適用するときのアプリケータ216の操作は、尖端1030の挿入と後退の両方がアプリケータ216の内部メカニズムによって自動的に実施されるという感覚をユーザに提供するように設計される。換言すれば、本発明によって、ユーザは尖端1030をユーザの皮膚に手動で駆動しているという感覚を経験することが避けられる。すなわち、ユーザがアプリケータ216の戻り止め形体による抵抗を克服するために十分な力を適用すれば、結果として生じるアプリケータ216の動作は、「誘発された」アプリケータに対する自動的な応答として知覚される。駆動力の全てがユーザによって提供され、尖端1030を挿入するためにさらなる付勢/駆動手段は用いられないにも関わらず、ユーザは尖端1030を駆動して皮膚を穿刺するためにさらなる力を供給しているとは知覚しない。図13Cにおいて上述するように、尖端1030の後退は、アプリケータ216のコイル伸縮ばね1118によって自動化されている。
【0132】
本明細書に記載されるアプリケータの実施形態のいずれか、及び、限定しないが、尖端、尖端モジュール、及びセンサモジュールの実施形態を含むその部品のいずれかに関して、当業者は、当該実施形態が、対象の表皮、真皮、又は皮下組織内の体液中の被検物質レベルを検知するように構成されるセンサとともに使用するために寸法決め及び構成され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、例えば、本明細書に開示される被検物質センサの尖端及び遠位部分は、両方とも、特定の末端深度(すなわち、対象の身体の組織又は層内、例えば、表皮、真皮、又は皮下組織内の貫通の最も遠い点)に位置付けられるように寸法決め及び構成され得る。いくつかのアプリケータの実施形態に関して、当業者は、尖端の特定の実施形態が、被検物質センサの最終末端深度に対して、対象の身体内の異なる末端深度に位置付けられるように寸法決め及び構成され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、例えば、尖端は、後退の前に、対象の表皮内の第1の末端深度に位置付けられ得るが、一方、被検物質センサの遠位部分は、対象の真皮内の第2の末端深度に位置付けられ得る。他の実施形態では、尖端は、後退の前に、対象の真皮内の第1の末端深度に位置付けられ得るが、一方、被検物質センサの遠位部分は、対象の皮下組織内の第2の末端深度に位置付けられ得る。さらに他の実施形態では、尖端は後退の前に第1の末端深度に位置し、被検物質センサは第2の末端深度に位置してよく、ここで第1の末端深度と第2の末端深度はいずれも対象の身体の同じ層又は組織の中にある。
【0133】
加えて、本明細書に記載されるアプリケータの実施形態のいずれかに関して、当業者は、被検物質センサ、及び限定されないが、1つ以上のばねメカニズムを含む、被検物質センサに連結される1つ以上の構造部品が、アプリケータの1つ以上の軸線に対して偏心位置でアプリケータ内に配置され得ることを理解するであろう。いくつかのアプリケータの実施形態では、例えば被検物質センサ及びばねメカニズムはアプリケータの第1の側におけるアプリケータの軸線に対して第1の偏心位置に配置されてよく、センサ電子機器はアプリケータの第2の側におけるアプリケータの軸線に対して第2の偏心位置に配置されてよい。他のアプリケータの実施形態では、被検物質センサ、ばねメカニズム、及びセンサ電子機器は、同じ側のアプリケータの軸線に対して偏心位置に配置してよい。当業者は、被検物質センサ、ばねメカニズム、センサ電子機器、及びアプリケータの他の部品のうちのいずれか又は全てが、アプリケータの1つ以上の軸線に対して中心又は偏心位置に配置される、他の並べ替え及び構成が可能であり、完全に本開示の範囲内であることを理解するであろう。
【0134】
好適な装置、システム、方法、成分、及びそれらの動作のさらなる詳細を、関連する特徴とともにRao等の国際公開第WO2018/136898号、Thomas等の国際公開第WO2019/236850号、Thomas等の国際公開第WO2019/236859号、Thomas等の国際公開第WO2019/236876号、及び2019年6月6日に出願された米国特許公開第2020/0196919号で記載されており、これらの各々は、その全体が参照により本願明細書に援用される。アプリケータ、それらの部品、及びそれらの変形の実施形態に関する更なる詳細は、米国特許公開第2013/0150691号、同第2016/0331283号、及び同第2018/0235520号に記載されており、これらの全ては、それらの全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。尖端モジュール、尖端、それらの部品、及びそれらの変形の実施形態に関するさらなる詳細は、米国特許公開第2014/0171771号に記載されており、それは、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0135】
J.被検物質センサを較正する例示的な方法
生化学センサは、1つ以上の検知特性によって記載され得る。一般的な検知特性は生化学センサの感度と称され、これはそれが検出するように設計された化学物質又は組成物の濃度に対するセンサの応答性の尺度である。電気化学センサでは、この応答は、電流(電流測定)又は電荷(電量測定)の形態であり得る。他のタイプのセンサでは、応答は、光子強度(例えば、光学光)等の異なる形態であり得る。生化学被検物質センサの感度は、センサがインビトロ状態にあるかインビボ状態にあるかを含む、いくつかの要因に応じて変動し得る。
【0136】
図14は、電流測定被検物質センサのインビトロ感度を示すグラフである。インビトロ感度は、様々な被検物質濃度でセンサをインビトロ試験し、次に、得られたデータに対して回帰(例えば、線形又は非線形)又は他のカーブフィッティングを行うことによって得られ得る。本例では、被検物質センサの感度は線形又は実質的に線形であり、y=mx+bの式でモデル化することができる。ここでyはセンサの電気出力電流、xは被検物質のレベル(又は濃度)、mは感度の勾配、bは感度の切片であり、切片は一般にバックグラウンド信号(例えばノイズ)に対応する。線形又は実質的に線形の応答を有するセンサについては、所与の電流に対応する被検物質レベルを、感度の勾配及び切片から決定することができる。非線形感度を有するセンサは、センサの出力電流からもたらされる被検物質レベルを決定するために追加の情報を必要とし、当業者は、非線形感度をモデル化する方法に精通している。インビボセンサの特定の実施形態では、インビトロ感度はインビボ感度と同じであり得るが、他の実施形態では、伝達(又は変換)関数を使用して、インビトロ感度を、センサの意図されたインビボ使用に適用可能なインビボ感度に変換する。
【0137】
較正は、センサの測定出力を調整してセンサの予想出力との差を低減することによって精度を改善又は維持するための技術である。その感度のようなセンサの検知特性を記載する1つ以上のパラメータが、較正調整における使用のために確立される。
【0138】
特定のインビボ被検物質モニタリングシステムは、センサをユーザ又は患者に埋め込んだ後に、ユーザによる介在によって、又は自動化された方法におけるシステム自体によって、較正を行うことを必要とする。例えば、ユーザによる介在が必要とされるとき、ユーザは、被検物質センサが埋め込まれている間に、インビトロ測定(例えば、指先穿刺及びインビトロテストストリップを使用した血糖(BG)測定)を行い、これをシステムに入力する。次に、システムは、インビトロ測定値をインビボ信号と比較し、その差を使用して、センサのインビボ感度の推定値を決定する。次に、インビボ感度をアルゴリズムプロセスで使用して、センサで収集されたデータを、ユーザの被検物質レベルを示す値に変換し得る。較正を実行するためにユーザアクションを必要とするこのプロセス及び他のプロセスは、「ユーザ較正」と示される。システムは、感度が経時的にドリフト又は変化するようなセンサの感度の不安定性に起因して、ユーザ較正を必要とし得る。従って、複数のユーザ較正(例えば、定期的(例えば、毎日)スケジュール、可変スケジュール、又は必要に応じて)が、精度を維持するために、必要とされ得る。本明細書で記載される実施形態は、特定の実施のためにある程度のユーザ較正を組み込み得るが、一般に、これは、ユーザが痛みを伴うか又は他の手間のかかるBG測定を実行することを必要とし、ユーザエラーを導入し得るため、好ましくない。
【0139】
いくつかのインビボ被検物質モニタリングシステムは、システム自体によって作成されたセンサの特性の自動測定(例えば処理回路実行ソフトウェア)を用いることによって、較正パラメータを定期的に調整することができる。システム(ユーザではない)によって測定された変数に基づくセンサの感度の繰り返し調整は、一般に「システム」(又は自動)較正と示され、早期BG測定などのユーザ較正とともに、又はユーザ較正なしで実行され得る。繰り返されるユーザ較正の場合と同様に、繰り返されるシステム較正は、一般的には、経時的なセンサの感度のドリフトによって必要とされる。従って、本明細書に記載される実施形態は、ある程度の自動システム較正とともに使用され得るが、好適には、センサの感度は、埋め込み後較正が必要とされないように、経時的に比較的安定である。
【0140】
いくつかのインビボ被検物質モニタリングシステムは、工場で較正されたセンサを用いて動作する。工場較正は、ユーザ又は医療従事者(HCP)に流通する前の1つ以上の較正パラメータの決定又は推定を示す。較正パラメータは、センサ製造者(又は2つのエンティティが異なる場合、センサ制御装置の他の部品の製造者)によって決定され得る。多くのインビボセンサ製造プロセスは、生産ロット、製造段階ロット、又は単にロットと呼ばれるグループ又はバッチでセンサを製造する。単一ロットは、何千ものセンサを含み得る。
【0141】
センサは、1つ以上のセンサ製造プロセスの間に誘導又は決定され、製造プロセスの一部として被検物質モニタリングシステムのデータ処理装置の中にコード又はプログラムされ、又は例えばバーコード、レーザタグ、RFIDタグ、又はセンサに備えられた機械読み取り可能なその他の情報としてセンサ自体に提供される較正コード又はパラメータを含み得る。コードがレシーバ(又は他のデータ処理装置)に提供される場合、センサのインビボ使用中のユーザ較正を不要にすることができ、又はセンサ装着中のインビボ較正の頻度が低減され得る。較正コード又はパラメータがセンサ自体に提供される実施形態では、センサ使用の開始前又は開始時に、較正コード又はパラメータが被検物質モニタリングシステム内のデータ処理装置に自動的に送信又は提供され得る。
【0142】
いくつかのインビボ被検物質モニタリングシステムは、工場較正、システム較正、及び/又はユーザ較正のうちの1つ以上であり得るセンサを用いて動作する。例えば、センサは、工場較正を可能にし得る較正コード又はパラメータを提供され得る。情報がレシーバに提供される(例えば、ユーザによって入力される)場合、センサは、工場較正センサとして動作し得る。情報がレシーバに提供されない場合、センサは、ユーザ較正センサ及び/又はシステム較正センサとして動作し得る。
【0143】
さらなる態様では、プログラミング又は実行可能命令は、被検物質モニタリングシステムのデータ処理装置及び/又はレシーバ/コントローラユニットに提供又は保存されてもよく、使用中にインビボセンサに時変調整アルゴリズムを提供する。例えば、インビボで使用される被検物質センサの遡及的統計分析及び対応するグルコースレベルフィードバックに基づいて、時間ベースである所定の又は分析的な曲線又はデータベースが生成されてもよく、安定性プロファイルにおける潜在的なセンサドリフトを補償する1つ以上のインビボセンサパラメータ又はその他の因子に対するさらなる調整を提供するように構成され得る。
【0144】
開示される主題に従うと、被検物質モニタリングシステムは、センサドリフトプロファイルに基づいてセンサ感度を補償又は調整するように構成され得る。時間変動パラメータβ(t)は、インビボ使用中のセンサ挙動の分析に基づいて定義又は決定されてもよく、時間変動ドリフトプロファイルが決定され得る。特定の態様では、センサデータを被検物質センサから受信したときに補償又は調整又はその両方が自動的に及び/又は反復的に実行され得るように、センサ感度に対する補償又は調整は、被検物質モニタリングシステムのレシーバユニット、コントローラ又はデータプロセッサにおいてプログラム化され得る。開示される主題に従うと、被検物質センサ感度プロファイルに対する調整又は補償が、対応する機能又はルーチンのユーザによる開始又は作動時に、又はユーザがセンサ較正コードを入力する時に実施又は実行されるように、調整又は補償アルゴリズムが、(自己開始又は実行ではなく)ユーザによって開始又は実行され得る。
【0145】
開示される主題に従うと、センサロット内の各センサ(いくつかの例では、インビトロ試験に使用されるサンプルセンサを含まない)は、センサの1つ以上の点における膜の厚さ等のその特性を決定又は測定するために、非破壊的に検査されることができ、活性領域の表面積/体積等の物理的特性を含む他の特性が測定又は決定され得る。そのような測定又は決定は、例えば、光学スキャナ又は他の好適な測定装置又はシステムを使用して、自動化された方式で実行されてもよく、センサロット内の各センサの決定されたセンサ特性は、各センサに割り当てられた較正パラメータ又はコードの可能な補正のために、サンプルセンサに基づく対応する平均値と比較される。例えば、センサ感度として定義される較正パラメータでは、感度は膜の厚さにほぼ反比例し、それにより、例えば、センサと同じセンサロットからサンプリングされたセンサの平均の膜の厚さよりも約4%大きい測定された膜の厚さを有するセンサの場合、一実施形態ではそのセンサに割り当てられる感度は、サンプリングされたセンサから決定される平均感度を1.04で除算したものである。同様に、感度はセンサの活性面積にほぼ比例するので、同じセンサロットからサンプリングされたセンサの平均活性領域よりほぼ3%小さい測定された活性領域を有するセンサについては、そのセンサに割り当てられる感度は、平均感度に0.97を掛けた値である。割り当てられた感度は、センサの各検査又は測定に対する複数の連続的な調整によって、サンプリングされたセンサからの平均感度から決定され得る。特定の実施形態では、各センサの検査又は測定は、膜の厚さ及び/又は活性検知領域の表面積又は体積に加えて、膜の均一性又は構造の測定をさらに含み得る。
【0146】
センサ較正に関するさらなる情報は、米国公開番号第2010/00230285号及び米国公開番号第2019/0274598号に提供されており、これらのそれぞれはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0147】
K.例示的なBluetooth(登録商標)通信プロトコル
センサ110のストレージメモリ5030は、通信モジュールの通信プロトコルに関連するソフトウェアブロックを含み得る。例えば、ストレージメモリ5030はBLEモジュール5041をセンサ110のコンピューティングハードウェアに利用可能にするインターフェースを提供する機能を有するBLEサービスソフトウェアブロックを含み得る。これらのソフトウェア機能は、BLEロジカルインターフェース及びインターフェースパーサを含み得る。通信モジュール5040によって提供されるBLEサービスは、汎用アクセスプロファイルサービス、汎用属性サービス、汎用アクセスサービス、装置情報サービス、データ伝送サービス、及びセキュリティサービスを含み得る。データ伝送サービスは、センサ制御データ、センサステータスデータ、被検物質測定データ(過去及び現在)、及びイベントログデータ等のデータを送信するために使用される一次サービスであり得る。センサステータスデータは、エラーデータ、現在アクティブ時間、及びソフトウェア状態を含み得る。被検物質測定データは、現在及び過去の生の測定値、適切なアルゴリズム又はモデルを使用して処理した後の現在及び過去の値、測定レベルの予測及び傾向、他の値と患者固有の平均値との比較、アルゴリズム又はモデルによって決定された行動要請、及び他の同様のタイプのデータ等の情報を含み得る。
【0148】
開示される主題の態様に従うと、本明細書に具現化されるように、センサ110は、センサ110のハードウェア及び無線機によってサポートされる通信プロトコル又は媒体の特徴を適合させることによって、複数の装置と同時に通信するように構成され得る。一例として、通信モジュール5040のBLEモジュール5041は、中央装置としてのセンサ110と周辺装置としての他の装置との間の、又は別の装置が中央装置である場合の周辺装置としてのセンサ110の複数の同時接続を可能にするために、ソフトウェア又はファームウェアを備え得る。
【0149】
BLEなどの通信プロトコルを使用する2つの装置間の接続及び後続の通信セッションは、2つの装置(例えば、センサ110及びデータ受信装置120)間で動作する同様の物理チャネルによって特徴付けられ得る。物理チャネルは、単一のチャネル又は一連のチャネルを含むことができ、たとえば、限定はしないが、コモンクロック及びチャネル又は周波数ホッピングシーケンスによって決定される同意された一連のチャネルを使用することを含む。通信セッションは同様の量の利用可能な通信スペクトルを用いることができ、多数のそのような通信セッションが近接して存在してよい。特定の実施形態では、通信セッションにおける装置の各集合は、異なる物理チャネル又は一連のチャネルを使用して、同じく近接する装置の干渉を管理する。
【0150】
限定ではなく例示を目的として、開示される主題とともに使用するためのセンサ-レシーバ接続のための処理の例示的な実施形態が参照される。第1に、センサ110は、データ受信装置120の探索において、その接続情報をその周囲に繰り返し知らせる。センサ110は、接続が確立されるまで定期的に繰り返し知らせることができる。データ受信装置120は、アドバタイジングパケットを検出し、センサ120がアドバタイジングパケット内に提供されたデータを介して接続するためにスキャン及びフィルタリングを行う。次に、データ受信装置120はスキャン要求コマンドを送信し、センサ110は、追加の詳細を提供するスキャン応答パケットで応答する。次に、データ受信装置120は、データ受信装置120に関連付けられたBluetooth(登録商標)装置アドレスを使用して接続要求を送信する。データ受信装置120はまた、特定のBluetooth(登録商標)装置アドレスを有するセンサ110への接続を確立するように連続的に要求し得る。次に、装置は初期接続を確立して、データ交換を開始可能にする。装置は、データ交換サービスを初期化するプロセスを開始し、相互認証処理を実行する。
【0151】
センサ110とデータ受信装置120との間の第1の接続中に、データ受信装置120は、サービス、特性、及び属性発見処理を初期化し得る。データ受信装置120は、センサ110のこれらの特徴を評価し、次の接続中に使用するためにそれらを保存し得る。次に、装置は、センサ110及びデータ受信装置120の相互認証に使用されるカスタマイズされたセキュリティサービスについての通知を可能にする。相互認証処理は自動化することができ、ユーザによる介在を必要としない。相互認証処理が正常に完了した後、センサ110は、接続パラメータ更新を送信して、データ受信装置120に、センサ110にとって好適であり、寿命を最大化するように構成された接続パラメータ設定を使用するように要求する。
【0152】
次に、データ受信装置120は、センサ制御処理を実行して、履歴データ、現在のデータ、イベントログ、及び工場データをバックフィルする。一例として、データのタイプごとに、データ受信装置120は、バックフィルプロセスを開始する要求を送信する。要求は、必要に応じて、例えば、測定値、タイムスタンプなどに基づいて定義された記録の範囲を指定し得る。センサ110は、センサ110のメモリ内の以前に送信されていない全てのデータがデータ受信装置120に配信されるまで、要求されたデータで応答する。センサ110は、データ受信装置120からのバックフィル要求に対して、全てのデータがすでに送信されていることを応答し得る。バックフィルが完了すると、データ受信装置120は、定期的な測定値を受信する準備ができていることをセンサ110に通知し得る。センサ110は、繰り返しベース(repeating basis)で複数の通知結果にわたって測定値を送信し得る。本明細書に具現化されるように、複数の通知は、データが正しく送信されることを保証するための冗長な通知であり得る。代わりに、複数の通知が単一のペイロードを構成し得る。
【0153】
限定ではなく例示の目的で、シャットダウンコマンドをセンサ110に送信する処理の例示的な実施形態を参照する。シャットダウン動作は、例えば、センサ110がエラー状態、挿入失敗状態、又はセンサ期限切れ状態である場合に実行される。センサ110がそれらの状態にない場合、センサ110は、コマンドを記録し、センサ110がエラー状態又はセンサ期限切れ状態に移行したときにシャットダウンを実行し得る。データ受信装置120は、適切にフォーマットされたシャットダウンコマンドをセンサ110に送信する。センサ110が別のコマンドをアクティブに処理している場合、センサ110は、センサ110がビジーであることを示す標準エラー応答で応答する。そうでない場合、センサ110は、コマンドを受信すると応答を送信する。さらに、センサ110がコマンドを受信したことを知らせるために、センサ110はセンサ制御特性を介して成功通知を送信する。センサ110はシャットダウンコマンドを登録する。次の適切な機会に(例えば、本明細書で記載されるように、現在のセンサ状態に応じて)、センサ110はシャットダウンする。
【0154】
L.例示的なセンサ状態及び作動
限定ではなく例示の目的で、図15に示すセンサ110によって行われ得るアクションの状態機械表示6000の高レベル描写の例示的な実施形態を参照する。初期化の後、センサはセンサ110の製造に関連する状態6005に入る。製造状態6005では、センサ110は、動作のために構成されることができ、例えば、ストレージメモリ5030は書き込まれ得る。状態6005にある間の様々な時間に、センサ110は、保存状態6015に進むための受信したコマンドをチェックする。保存状態6015に入ると、センサはソフトウェア整合性チェックを実行する。保存状態6015にある間、センサはまた、挿入検出状態6025に進む前に作動要求コマンドを受信し得る。
【0155】
状態6025に入ると、センサ110は、作動中に設定されたセンサと通信するために認証された装置に関する情報を保存することができ、又は検知ハードウェア5060からの測定を実行し、解釈することに関するアルゴリズムを初期化し得る。センサ110はまた、センサ110の動作時間のアクティブカウントを維持することに関与するライフサイクルタイマを初期化し、記録されたデータを送信するために認証された装置との通信を開始し得る。挿入検出状態6025にある間、センサは状態6030に入ることができ、ここでセンサ110は、動作時間が所定の閾値に等しいかどうかをチェックする。この動作時間閾値は、挿入が成功したかどうかを判定するためのタイムアウト機能に対応し得る。動作時間が閾値に達した場合、センサ110は状態6035に進み、平均データ読み取り量が挿入成功の検出を誘発するための予想データ読み取り量に対応する閾値よりも大きいか否かを、センサ110がチェックする。状態6035にある間にデータ読み取り量が閾値よりも低い場合、センサは、挿入失敗に対応する状態6040に進む。データ読み取り量が閾値を満たす場合、センサは、アクティブペア状態6055に進む。
【0156】
センサ110のアクティブペア状態6055は、センサ110が測定値を記録し、測定値を処理し、それらを必要に応じて報告することによって正常に動作している間の状態を示す。アクティブペア状態6055にある間、センサ110は、測定結果を送信するか、又は受信装置120との接続を確立しようと試みる。センサ110はまた、動作時間を増加する。センサ110が所定の動作時間閾値に達すると(例えば、動作時間が所定の閾値に達すると)、センサ110は、アクティブ期限切れ状態6065に移行する。センサ110のアクティブ期限切れ状態6065は、センサ110がその最大の所定時間にわたって動作している間の状態を示す。
【0157】
アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、一般に、動作の終了に関連し、収集された測定値が必要に応じて受信装置に安全に送信されたことを保証する動作を実行し得る。例えば、アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、収集されたデータを送信することができ、接続が実行可能でない場合、近くの認証された装置を発見し、それとの接続を確立するための試みを増加し得る。アクティブ期限切れ状態6065にある間、センサ110は、状態6070においてシャットダウンコマンドを受信し得る。シャットダウンコマンドが受信されない場合、センサ110はまた、状態6075において、動作時間が最終動作閾値を超えたかどうかをチェックし得る。最終動作閾値は、センサ110のバッテリ寿命に基づき得る。正常終了状態6080は、センサ110の最終動作に対応し、最終的にセンサ110をシャットダウンする。
【0158】
センサが作動される前に、ASIC5000は、低電力保存モード状態にある。例えば、入射RFフィールド(例えば、NFCフィールド)が、ASIC5000への電源の電圧をリセット閾値を上回るように駆動し、それによりセンサ110がウェイクアップ状態に進むときに、作動プロセスは開始し得る。ウェイクアップ状態にある間、ASIC5000は作動シーケンス状態に入る。次に、ASIC5000は、通信モジュール5040を起動する。通信モジュール5040が初期化され、パワーオンセルフテストを誘発する。パワーオンセルフテストは、ASIC5000が、メモリ及びワンタイムプログラム可能メモリが破損していないことを検証するために、データを読み書きする所定のシーケンスを使用して通信モジュール5040と通信することを含み得る。
【0159】
ASIC5000が初めて測定モードに入るとき、挿入検出シーケンスが実行されて、適切な測定が行われ得る前に、センサ110が患者の身体上に適切に設置されていることを検証する。まず、センサ110は、コマンドを解釈して測定設定プロセスを作動し、ASIC5000を測定コマンドモードに入らせる。次に、センサ110は、一時的に測定ライフサイクル状態に入り、いくつかの連続測定を実行して、挿入が成功したかどうかを検査する。通信モジュール5040又はASIC5000は、測定結果を評価して挿入の成功を判定する。挿入が成功したと見なされると、センサ110は測定状態に入り、センサ110は、検知ハードウェア5060を使用して定期的な測定を行い始める。センサ110が、挿入が成功しなかったと判定する場合、センサ110は、挿入失敗モードに誘発され、ASIC5000は、保存モードに戻るように命令される一方、通信モジュール5040は、それ自体を無効にする。
【0160】
M.例示的なオーバージエア更新
図1Bは、本明細書で記載する技法とともに使用するためのオーバージエア(「OTA」)更新を提供するための動作環境の例をさらに示す。被検物質モニタリングシステム100のオペレータは、データ受信装置120又はセンサ110のための更新を、多目的データ受信装置130上で実行するアプリケーションのための更新に束ね得る。データ受信装置120と、多目的データ受信装置130と、センサ110との間の利用可能な通信チャネルを使用して、多目的データ受信装置130は、データ受信装置120又はセンサ110のための定期的な更新を受信し、データ受信装置120又はセンサ110への更新のインストールを開始し得る。多目的データ受信装置130が被検物質センサ110、データ受信装置120及び/又はリモートアプリケーションサーバ150と通信することを可能にするアプリケーションは、広域ネットワーク機能無しでデータ受信装置120又はセンサ110上のソフトウェア又はファームウェアを更新することができるので、多目的データ受信装置130は、データ受信装置120又はセンサ110のためのインストール又は更新プラットフォームとして機能する。
【0161】
本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110の製造者及び/又は被検物質モニタリングシステム100のオペレータによって作動されるリモートアプリケーションサーバ150は、被検物質モニタリングシステム100の装置にソフトウェア及びファームウェア更新を提供し得る。特定の実施形態では、リモートアプリケーションサーバ150は、更新されたソフトウェア及びファームウェアをユーザ装置140に、又は直接多目的データ受信装置に提供し得る。本明細書に具現化されるように、リモートアプリケーションサーバ150はまた、アプリケーションストアフロントによって提供されるインターフェースを使用して、アプリケーションソフトウェア更新をアプリケーションストアフロントサーバ160に提供し得る。多目的データ受信装置130は、更新をダウンロードしてインストールするために、アプリケーションストアフロントサーバ160に定期的に連絡し得る。
【0162】
多目的データ受信装置130が、データ受信装置120又はセンサ110のためのファームウェア又はソフトウェア更新を含むアプリケーション更新をダウンロードした後、データ受信装置120又はセンサ110及び多目的データ受信装置130は、接続を確立する。多目的データ受信装置130は、ファームウェア又はソフトウェアの更新がデータ受信装置120又はセンサ110に利用可能であると判定する。多目的データ受信装置130は、データ受信装置120又はセンサ110への配信のためにソフトウェア又はファームウェア更新を準備し得る。一例として、多目的データ受信装置130は、ソフトウェア又はファームウェア更新に関連付けられたデータを圧縮又は分割することができ、ファームウェア又はソフトウェア更新を暗号化又は復号化することができ、又はファームウェア又はソフトウェア更新の整合性チェックを実行することができる。多目的データ受信装置130は、ファームウェア又はソフトウェア更新のためのデータをデータ受信装置120又はセンサ110に送信する。多目的データ受信装置130はまた、データ受信装置120又はセンサ110にコマンドを送信して、更新を開始し得る。加えて又は代わりに、多目的データ受信装置130は、多目的データ受信装置130のユーザに通知を提供することができ、更新が完了するまで、データ受信装置120及び多目的データ受信装置130を電源に接続して近接させておく命令等、更新を容易にするための命令を含むことができる。
【0163】
データ受信装置120又はセンサ110は、更新のためのデータ及び更新を開始するためのコマンドを多目的データ受信装置130から受信する。次に、データ受信装置120は、ファームウェア又はソフトウェア更新をインストールし得る。更新をインストールするために、データ受信装置120又はセンサ110は、それ自体を、動作機能が制限された、いわゆる「セーフ」モードにするか、又は再起動することができる。更新が完了すると、データ受信装置120又はセンサ110は、標準動作モードに再び入るか、又はリセットされる。データ受信装置120又はセンサ110は、ファームウェア又はソフトウェア更新が正常にインストールされたことを判定するために、1つ以上の自己テストを実行し得る。多目的データ受信装置130は、更新成功の通知を受信し得る。次に、多目的データ受信装置130は、更新成功の確認をリモートアプリケーションサーバ150に報告し得る。
【0164】
特定の実施形態では、センサ110のストレージメモリ5030は、ワンタイムプログラム可能(OTP)メモリを含む。用語OTPメモリは、メモリ内の特定のアドレス又はセグメントへの所定の回数の書込みを容易にするためのアクセス制限及びセキュリティを含むメモリを示し得る。メモリ5030は、複数の事前に割り当てられたメモリブロック又はコンテナに事前配置され得る。コンテナは、固定されたサイズに事前に割り当てられている。ストレージメモリ5030がワンタイムプログラム可能メモリである場合、コンテナは、プログラム不可能状態にあるとみなされ得る。まだ書き込まれていない追加のコンテナは、プログラム可能又は書込み可能な状態にすることができる。このようにストレージメモリ5030をコンテナ化することで、ストレージメモリ5030に書き込むべきコード及びデータの輸送性を向上させることができる。OTPメモリに保存された装置(例えば、本明細書に記載されるセンサ装置)のソフトウェアを更新することは、メモリ内のコード全体を置き換えるのではなく、特定の以前に書き込まれた1つ以上のコンテナ内のコードのみを、新しい1つ以上のコンテナに書き込まれた更新されたコードで置き換えることによって実行され得る。第2の実施形態では、メモリは事前配置されていない。代わりに、データのために割り振られる空間は、必要に応じて動的に割り振られるか又は決定される。更新が予想される様々なサイズのコンテナを定義することができるので、インクリメンタルアップデートを発行することができる。
【0165】
図16は、開示される主題による、センサ装置100内のストレージメモリ5030のオーバージエア(OTA)プログラミング、及びセンサ装置110によるプロセスの実行におけるOTAプログラミング後のメモリの使用のための動作及びデータフローの例を示す略図である。図5に示されるOTAプログラミング500の例では、OTAプログラミング(又は再プログラミング)を開始するために要求が外部装置(例えばデータ受信装置130)から送信される。511において、センサ装置110の通信モジュール5040は、OTAプログラミングコマンドを受信する。通信モジュール5040は、OTAプログラミングコマンドをセンサ装置110のマイクロコントローラ5010に送信する。
【0166】
531において、OTAプログラミングコマンドを受信した後、マイクロコントローラ5010は、OTAプログラミングコマンドを検証する。マイクロコントローラ5010は、例えば、OTAプログラミングコマンドが適切なデジタル署名トークンで署名されているかどうかを判定し得る。OTAプログラミングコマンドが有効であると判定すると、マイクロコントローラ5010は、センサ装置をOTAプログラミングモードに設定し得る。532において、マイクロコントローラ5010は、OTAプログラミングデータを検証し得る。533において、マイクロコントローラ5010は、センサ装置110をリセットして、センサ装置110をプログラミング状態に再初期化し得る。センサ装置110がOTAプログラミング状態に移行すると、マイクロコントローラ5010は、534においてセンサ装置の書換え可能メモリ540(例えば、メモリ5020)にデータを書き込み始め、535においてセンサ装置のOTPメモリ550(例えば、ストレージメモリ5030)にデータを書き込み始め得る。マイクロコントローラ5010によって書き込まれるデータは、検証されたOTAプログラミングデータに基づき得る。マイクロコントローラ5010は、データを書き込んで、OTPメモリ550の1つ以上のプログラミングブロック又は領域を無効又はアクセス不能とマーキングし得る。OTPメモリの空き又は未使用部分に書き込まれたデータは、OTPメモリ550の無効化された又はアクセス不可能なプログラミングブロックを置換するために使用され得る。マイクロコントローラ5010が534及び535でそれぞれのメモリにデータを書き込んだ後、マイクロコントローラ5010は、書き込みプロセス中にプログラミングブロックにエラーが導入されなかったことを保証するために、1つ以上のソフトウェア整合性チェックを実行し得る。マイクロコントローラ5010は、データがエラー無く書き込まれたと判断できると、マイクロコントローラ5010は、センサ装置の標準動作を再開し得る。
【0167】
536において、実行モードでは、マイクロコントローラ5010は、書換え可能メモリ540からプログラミングマニフェスト又はプロファイルを取り出すことができる。プログラミングマニフェスト又はプロファイルは、有効なソフトウェアプログラミングブロックのリストを含むことができ、センサ110のためのプログラム実行へのガイドを含むことができる。プログラミングマニフェスト又はプロファイルに従うことによって、マイクロコントローラ5010は、OTPメモリ550のどのメモリブロックが実行するのに適切であるかを判断し、期限切れ又は無効化されたプログラミングブロックの実行又は期限切れデータへの参照を回避し得る。537において、マイクロコントローラ5010は、OTPメモリ550からメモリブロックを選択的に取り出し得る。538において、マイクロコントローラ5010は、メモリに格納されたプログラミングコードを実行することによって、又はメモリに格納された変数を使用することによって、取り出されたメモリブロックを使用し得る。
【0168】
N.例示的なセキュリティ及び他のアーキテクチャの特徴
本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110と他の装置との間の通信のためのセキュリティの第1の層は、通信のために使用される通信プロトコルによって指定され、その通信プロトコルに一体化されたセキュリティプロトコルに基づいて確立され得る。セキュリティの別の層は、通信装置の近接性を必要とする通信プロトコルに基づき得る。さらに、特定のパケット及び/又はパケット内に含まれる特定のデータは暗号化され得るが、一方、他のパケット及び/又はパケット内のデータは、別の方法で暗号化されるか、又は暗号化されない。加えて又は代わりに、アプリケーション層暗号化は、1つ以上のブロック暗号又はストリーム暗号とともに使用され、被検物質モニタリングシステム100内の他の装置との相互認証及び通信暗号化を確立し得る。
【0169】
被検物質センサ110のASIC5000は、ストレージメモリ5030内に保持されたデータを使用して認証及び暗号化鍵を動的に生成するように構成され得る。ストレージメモリ5030はまた、特定のクラスの装置とともに使用するために、有効な認証及び暗号化鍵のセットで事前にプログラムされ得る。ASIC5000は、受信したデータを使用して他の装置との認証処理を実行し、機密データを送信する前に、生成された鍵を機密データに適用するようにさらに構成され得る。生成された鍵は、被検物質センサ110に固有のもの、装置のペアに固有のもの、被検物質センサ110と他の装置との間の通信セッションに固有のもの、通信セッション中に送信されるメッセージに固有のもの、又はメッセージ内に含まれるデータのブロックに固有のものであり得る。
【0170】
センサ110及びデータ受信装置120の両方は、例えば、コマンドを発行するか、又はデータを受信するように、通信セッションにおける相手方の認証を確実にし得る。特定の実施形態では、アイデンティティ認証は、2つの機構を介して実行され得る。第1に、そのアイデンティティを主張する当事者は、装置の製造者又は被検物質モニタリングシステム100のオペレータによって署名された有効な証明書を提供する。第2に、認証は、被検物質モニタリングシステム100の装置によって確立され、又は被検物質モニタリングシステム100のオペレータによって確立される公開鍵及び秘密鍵、及びそれらから導出される共有秘密鍵を使用することによって実施され得る。他の当事者のアイデンティティを確認するために、当事者は、当事者がその秘密鍵の制御権を有することの証明を提供し得る。
【0171】
被検物質センサ110、データ受信装置120の製造者、又は多目的データ受信装置130のためのアプリケーションの提供者は、装置が安全なプログラミング及び更新を介して安全に通信するために必要な情報及びプログラミングを提供し得る。例えば、製造者は、必要に応じて、装置、セッション、又はデータ伝送に固有の暗号化値を生成するために、装置特有の情報及び動作データ(例えば、エントロピーベースのランダム値)と組み合わせて使用され得る、被検物質センサ110及び任意でデータ受信装置120のための安全なルート鍵を含む、各装置のための暗号化鍵を生成するために使用され得る情報を提供し得る。
【0172】
ユーザに関連付けられた被検物質データは、少なくとも部分的に機密データであり、その理由は、この情報が、健康モニタリング及び薬剤投与決定を含む様々な目的のために使用され得るからである。ユーザデータに加えて、被検物質モニタリングシステム100は、リバースエンジニアリングに対する外部当事者による実施に対してセキュリティ強化を実行し得る。通信接続は、装置固有又はセッション固有の暗号化鍵を使用して暗号化され得る。任意の2つの装置間の暗号化された通信又は暗号化されていない通信は、通信に組み込まれた送信整合性チェックを用いて検証され得る。被検物質センサ110の動作は、通信インターフェースを介したメモリ5020への読み出し及び書き込み機能へのアクセスを制限することによって、改ざんから保護され得る。センサは、「ホワイトリスト」内に提供される既知の又は「信頼できる」装置のみに、又は製造者又は他の方法で認証されたユーザに関連付けられた所定のコードを提供することができる装置のみに、アクセスを許可するように構成され得る。ホワイトリストは、ホワイトリストに含まれる接続識別子以外の接続識別子が使用されないことを意味する排他的範囲、又はホワイトリストが最初に探索されるが、他の装置が依然として使用され得る好適な範囲を示し得る。センサ110はさらに、要求者が所定の時間内(例えば、4秒以内)に通信インターフェースを介してログイン処理を完了できない場合、接続要求を拒否し、シャットダウンし得る。これらの特性は、特定のサービス妨害攻撃、特にBLEインターフェースに対するサービス妨害攻撃から保護する。
【0173】
本明細書に具現化されるように、被検物質モニタリングシステム100は、鍵の漏洩及び悪用の可能性をさらに低減するために、定期的な鍵ローテーションを使用し得る。被検物質モニタリングシステム100によって採用される鍵ローテーション戦略は、現場配置装置又は流通した装置の後方互換性をサポートするように設計され得る。一例として、被検物質モニタリングシステム100は、上流側装置によって使用される複数世代の鍵と互換性があるように設計された下流側装置(例えば、現場にあるか、又は更新を実行可能に提供することができない装置)用の鍵を採用し得る。
【0174】
限定ではなく例示の目的で、図17に示され、一対の装置、特にセンサ110とデータ受信装置120との間のデータ交換の例を示す、開示された主題とともに使用するためのメッセージシーケンス図600の例示的な実施形態を参照する。データ受信装置120は、本明細書に具現化されるように、データ受信装置120又は多目的データ受信装置130であり得る。工程605において、データ受信装置120は、例えば短距離通信プロトコルを介して、センサ作動コマンド605をセンサ110に送信し得る。センサ110は、工程605の前に、主に休止状態であってもよく、完全な作動が必要とされるまで、そのバッテリを温存する。作動後、工程610中に、センサ110は、センサ110の検知ハードウェア5060に適切なように、データを収集するか、又は他の動作を実行し得る。工程615において、データ受信装置120は、認証要求コマンド615を開始し得る。認証要求コマンド615に応答して、センサ110とデータ受信装置120の両方が、相互認証プロセス620に関与し得る。相互認証プロセス620は、他方の装置が本明細書で記載される同意されたセキュリティフレームワークに十分に準拠可能であることを、センサ110及びデータ受信装置120が保証することを可能にするチャレンジパラメータを含む、データの転送に関与し得る。相互認証は、チャレンジレスポンスを介して秘密鍵の確立を検証するために、オンラインの信頼された第三者の有無にかかわらず、2つ以上のエンティティを互いに認証するためのメカニズムに基づき得る。相互認証は、2パス認証、3パス認証、4パス認証又は5パス認証、又はそれらの類似のバージョンを使用して実行され得る。
【0175】
相互認証プロセス620の成功に続いて、工程625において、センサ110は、データ受信装置120にセンサシークレット625を提供し得る。センサシークレットは、センサ固有値を含むことができ、製造中に生成されたランダム値から導出され得る。センサシークレットは、第三者がシークレットにアクセスすることを防止するために、送信前又は送信中に暗号化され得る。センサシークレット625は、相互認証プロセス620によって、又はそれに応答して生成された鍵のうちの1つ以上を介して暗号化され得る。工程630において、データ受信装置120は、センサシークレットからセンサ固有暗号化鍵を導出し得る。センサ固有暗号化鍵はさらに、セッション固有であり得る。従って、センサ固有暗号化鍵は、センサ110又はデータ受信装置120の間で送信されることなく、各装置によって決定され得る。工程635において、センサ110は、ペイロードに含まれるデータを暗号化し得る。工程640において、センサ110の適切な通信モデルとデータ受信装置120との間に確立された通信リンクを使用して、センサ110は暗号化されたペイロード640をデータ受信装置120に送信し得る。工程645において、データ受信装置120は、工程630の間に導出されたセンサ固有暗号化鍵を使用してペイロードを復号化し得る。工程645に続いて、センサ110は、追加の(新たに収集されたものを含む)データを配信することができ、データ受信装置120は、受信したデータを適切に処理し得る。
【0176】
本明細書に記載されるように、センサ110は、制限された処理能力、バッテリ供給源、及びストレージを有する装置であり得る。センサ110によって使用される暗号化技術(例えば、暗号アルゴリズム又はアルゴリズムの実装の選択)は、これらの制限に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。データ受信装置120は、この性質の制限がより少ない、より強力な装置であり得る。従って、データ受信装置120は、暗号アルゴリズム及び実装などの、より高度で計算集約的な暗号化技術を採用し得る。
【0177】
O.例示的なペイロード/通信周波数
被検物質センサ110は、その発見可能性挙動を変更して、受信装置が適切なデータパケットを受信する確率及び/又は応答信号を提供する確立を増加させるか、又は応答信号を受信できなくする可能性がある制限を他の方法で低減するように試みるように構成され得る。被検物質センサ110の発見可能性挙動を変更することは、例えば、限定するものではないが、接続データがデータパケットに含まれる頻度を変更すること、データパケットが一般的に送信される頻度を変更すること、データパケットのブロードキャストウィンドウを延長又は短縮すること、ブロードキャスト後に被検物質センサ110が応答又はスキャン信号を受け入れる時間を変更すること、被検物質センサ110と以前に通信した1つ以上の装置(例えば、1つ以上の試みられた送信を介する)及び/又はホワイトリスト上の1つ以上の装置への直接送信を含ませること、(例えば、ブロードキャストの範囲を増加させるか、消費されるエネルギーを減少させ、被検物質センサのバッテリの寿命を延ばすために)データパケットをブロードキャストするときに通信モジュールに関連付けられた送信電力を変更すること、データパケットを準備及びブロードキャストする速度を変更すること、又は1つ以上の他の変更の組み合わせを含み得る。加えて又は代わりに、受信装置は、接続データを含むデータパケットを受信する可能性を増加させるために、装置のリスニング挙動に関するパラメータを同様に調整し得る。
【0178】
本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110は、2つのタイプのウィンドウを使用してデータパケットをブロードキャストするように構成され得る。第1のウィンドウは、被検物質センサ110が通信ハードウェアを動作させるように構成される速度を示す。第2のウィンドウは、被検物質センサ110が能動的にデータパケットを送信する(例えば、ブロードキャストする)ように構成される速度を示す。一例として、第1のウィンドウは、被検物質センサ110が通信ハードウェアを動作させて、各60秒間の最初の2秒間にデータパケット(接続データを含む)を送信及び/又は受信することを示し得る。第2のウィンドウは、各2秒のウィンドウの間に、被検物質センサ110が60ミリ秒ごとにデータパケットを送信することを示し得る。2秒のウィンドウ中の残りの時間、被検物質センサ110は走査している。被検物質センサ110は、いずれかのウィンドウを長くしたり短くしたりして、被検物質センサ110の発見可能性挙動を変更し得る。
【0179】
特定の実施形態では、被検物質センサの発見可能性挙動が発見可能性プロファイルに保存されることができ、被検物質センサ110の状態などの1つ以上の要因に基づいて、及び/又は被検物質センサ110の状態に基づいてルールを適用することによって、変更され得る。例えば、被検物質センサ110のバッテリレベルがある量を下回るとき、ルールは、被検物質センサ110に、ブロードキャストプロセスによって消費される電力を減少させ得る。別の例として、パケットをブロードキャストする又は他の方法で送信することに関連付けられた構成設定は、周囲温度、被検物質センサ110の温度、又は被検物質センサ110の通信ハードウェアの特定の部品の温度に基づいて調整され得る。送信電力を変更することに加えて、被検物質センサ110の通信ハードウェアの送信能力又はプロセスに関連する他のパラメータを変更することができ、これは、限定されないが、送信速度、周波数、及びタイミングを含む。別の例として、対象が負の健康事象を経験している又は経験しつつあることを、被検物質データが示すとき、ルールは、被検物質センサ110に対して、負の健康事象を受信装置へ警告するためにその発見可能性を増加させ得る。
【0180】
P.例示的なセンサ感度初期化/調整機構
本明細書に具現化されるように、被検物質センサ110の検知ハードウェア5060のためのある較正機構は、外部又は区間環境特徴に基づいて、及び使用されていない期間(例えば、使用前の「保管時間」)の間の検知ハードウェア5060の減衰を補償するように、調整され得る。検知ハードウェア5060の較正機構は、センサ110によって(例えば、メモリ5020又はストレージ5030内の特徴を変更するためのASIC5000の動作によって)自律的に調整されることができ、又は被検物質モニタリングシステム100の他の装置によって調整されることができる。
【0181】
一例として、検知ハードウェア5060のセンサ感度は、外部温度データ又は製造からの時間に基づいて調整され得る。センサの保存中に外部温度がモニタリングされるとき、開示される主題は、装置が保存条件の変化を経験すると、経時的にセンサ感度に対する補償を適応的に変更し得る。限定ではなく例示を目的として、被検物質センサ110が定期的に起動して温度を測定する「アクティブ」保存モードにおいて、適応感度調整が実行され得る。これらの機構は、被検物質装置のバッテリを節約し、被検物質センサの寿命を延ばし得る。各温度測定において、被検物質センサ110は、測定された温度に基づいて、その期間の感度調整を計算し得る。次に、温度重み付けされた調整値は、アクティブ保存モード期間にわたって累積されて、アクティブ保存モードの終了時(例えば、挿入時)総センサ感度調整値を計算し得る。同様に、挿入時に、センサ110は、センサ110(ASIC5000のストレージ5030に書き込むことができる)又は検知ハードウェア5060の製造間の時間差を決定し、1つ以上の既知の減衰率又は式に従ってセンサ感度又は他の較正機構を変更し得る。
【0182】
加えて、限定ではなく例示の目的で、本明細書に具現化されるように、センサ感度調整は、センサドリフトなどの他のセンサ条件を考慮し得る。センサ感度調整は、例えば、センサドリフトの場合、平均センサがどれだけドリフトするかの推定に基づいて、製造中にセンサ110内にハードコードされ得る。センサ110は、センサオフセット及びゲインのための時変関数を有する較正関数を使用することができ、これは、センサの摩耗期間にわたるドリフトを考慮し得る。従って、センサ110は、経時的なセンサ110のドリフトを記載する装置依存関数を利用して、間質電流を間質グルコースに変換するために使用される関数を利用することができ、これは、センサ感度を示すことができ、グルコースプロファイルのベースラインと組み合わされた装置固有のものであり得る。センサ感度及びドリフトを考慮するためのそのような関数は、ユーザ較正を伴うことなく、摩耗期間にわたってセンサ110の精度を改善し得る。
【0183】
Q.例示的なモデルベースの被検物質測定
センサ110は、検知ハードウェア5060から生の測定値を検出する。例えば、生の測定値を解釈するように訓練された1つ以上のモデル等によって、オンセンサ処理が実行され得る。モデルは、1つ以上の被検物質のレベルを検出、予測、又は解釈するために、生の測定値を検出、予測、又は解釈するようにオフ装置で訓練された機械学習モデルであり得る。追加の訓練されたモデルは、生の測定値と相互作用するように訓練された機械学習モデルの出力で動作し得る。一例として、モデルは、生の測定値及び検知ハードウェア5060によって検出された被検物質(複数)の種類に基づいて事象を検出、予測、又は推奨するために使用され得る。事象は、身体活動の開始又は完了、食事、医療処置又は投薬の適用、緊急の健康事象、及び同様の性質の他の事象を含み得る。
【0184】
モデルは、製造中又はファームウェア又はソフトウェア更新中に、センサ110、データ受信装置120、又は多目的データ受信装置130に提供され得る。モデルは、例えば、センサ110の製造者又は被検物質モニタリングシステム100のオペレータなどによって、個々のユーザ又は総じて複数のユーザのセンサ110及びデータ受信装置から受信したデータに基づいて、定期的に改良され得る。特定の実施形態では、センサ110は、センサ110が取り付けられるユーザの固有の特徴に基づくなど、機械学習モデルのさらなる訓練又は改良を支援するのに十分な計算構成要素を含む。機械学習モデルは、限定ではなく例として、決定木分析、勾配ブースティング、adaブースティング、人工ニューラルネットワーク又はその変形、線形判別分析、最近傍分析、サポートベクターマシン、教師あり又は教師なし分類などを使用又は包含して訓練されたモデルを含み得る。モデルはまた、機械学習モデルに加えて、アルゴリズム又はルールベースのモデルを含み得る。モデルベースの処理は、センサ110(又は他の下流装置)からデータを受信すると、データ受信装置120又は多目的データ受信装置130を含む他の装置によって実行され得る。
【0185】
R.例示的なアラーム機構
センサ110とデータ受信装置120との間で送信されるデータは、生の測定値又は処理された測定値を含み得る。センサ110とデータ受信装置120との間で送信されるデータは、ユーザに表示するためのアラーム又は通知をさらに含み得る。データ受信装置120は、生の測定値又は処理された測定値に基づいてユーザに通知を表示するか、又は他の方法で伝えることができ、又はセンサ110から受信したときにアラームを表示することができる。ユーザへの表示のために誘発され得るアラームは、直接被検物質値(例えば、閾値を超える、又は閾値を満たさない1回読み取り)、被検物質値傾向(例えば、閾値を超える、又は閾値を満たさない設定期間にわたる平均読み取り、勾配)、被検物質値予測(例えば、閾値を超える、又は閾値を満たさない被検物質値に基づくアルゴリズム計算)、センサアラート(例えば、検出された疑わしい誤動作)、通信アラート(例えば、閾値期間にわたってセンサ110とデータ受信装置120との間に通信がないこと、未知の装置がセンサ110との通信セッションを開始しようとしている、又は開始し損なっていること)、リマインダ(例えば、データ受信装置120を充電するリマインダ、薬剤を服用する、又は他の活動を行うリマインダ)、及び同様の性質の他のアラートに基づくアラームを含む。限定ではなく例示の目的で、本明細書に具現化されるように、本明細書で記載されるアラームパラメータは、ユーザによって構成可能であり得るか、又は製造中に固定され得るか、又はユーザ設定可能及びユーザ設定不可能パラメータの組み合わせであり得る。
【0186】
S.例示的な電極構成
対応する単一の被検物質の検出のために構成された単一の活性領域を特徴とするセンサ構成は、図18Aから図18Cを参照して本明細書にさらに記載されるように、2電極又は3電極検出モチーフを使用し得る。別の作用電極上又は同じ作用電極上のいずれかで、別の被検物質の検出のための2つの異なる活性領域を特徴とするセンサ構成は、図19Aから図21Cを参照して後に個別に記載される。各活性領域からの信号寄与が、より容易に決定され得るので、複数の作用電極を有するセンサ構成は、同じセンサ尾部内に2つの異なる活性領域を組み込むのに特に有利であり得る。
【0187】
単一の作用電極が被検物質センサ内に存在するとき、3電極センサ構成は、作用電極、対電極、及び参照電極を含み得る。関連する2電極センサ構成は、作用電極及び第2の電極を含んでもよく、第2の電極は、対電極及び参照電極の両方(すなわち、対/参照電極)として機能してもよい。様々な電極は、少なくとも互いに部分的に積み重ねられ(層状にされ)てもよく、及び/又はセンサ尾部上で互いに横方向に離間されてもよい。適切なセンサ構成は、実質的に平坦な形状、又は実質的に円筒形の形状、又は任意の他の適切な形状であり得る。本明細書に開示されるセンサ構成のいずれかにおいて、様々な電極は、誘電体材料又は同様の絶縁体によって互いに電気的に絶縁され得る。
【0188】
複数の作用電極を特徴とする被検物質センサは、同様に、少なくとも1つの追加の電極を含み得る。1つの追加の電極が存在するとき、1つの追加の電極は、複数の作用電極の各々に対する対/参照電極として機能し得る。2つの追加の電極が存在するとき、追加の電極の一方は、複数の作用電極の各々の対電極として機能してもよく、追加の電極の他方は、複数の作用電極の各々の参照電極として機能してもよい。
【0189】
図18Aは、本明細書の開示における使用に適合する、例示的な2電極被検物質センサ構成の略図を示す。示すように、被検物質センサ200は、作用電極214と対/参照電極30216との間に配置された基板30212を含む。代わりに、作用電極214及び対/参照電極30216は、誘電体材料を間に挟んで基板30212の同じ側に配置され得る(構成は図示無し)。活性領域218は、作用電極214の少なくとも一部分の上に少なくとも1つの層として配置される。活性領域218は、本明細書においてさらに議論されるように、被検物質の検出のために構成された複数のスポット又は単一のスポットを含み得る。
【0190】
さらに図18Aを参照すると、膜220が少なくとも活性領域218を被覆している。特定の実施形態では、膜220は、作用電極214及び/又は対/参照電極30216の一部又は全部、又は被検物質センサ200の全体を被覆し得る。被検物質センサ200の片面又は両面は、膜220に覆われ得る。膜220は、活性領域218への被検物質フラックスを制限する能力を有する1つ以上のポリマー膜材料を含み得る(すなわち、膜220は、対象の被検物質に対していくつかの透過性を有する物質移動制限膜である)。本明細書の開示によれば、膜220は、特定のセンサ構成では、分岐架橋剤によって架橋され得る。膜220の組成及び厚さは、活性領域218への所望の被検物質フラックスを促進し、それによって所望の信号強度及び安定性を提供するように変動し得る。被検物質センサ200は、クーロメトリー、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、又はポテンショメトリーの電気化学的検出技術のいずれかによって被検物質をアッセイするように動作可能であり得る。
【0191】
図18B及び図18Cは、例示的な3電極被検物質センサ構成の略図を示し、これらはまた、本明細書の開示における使用に適合する。3電極被検物質センサ構成は、被検物質センサ201及び202内に追加の電極217を含むこと(図18B及び図18C)を除き、図18Aの被検物質センサ200として示すものと同様であり得る。追加の電極217を用いると、対/参照電極30216は、次に、対電極又は参照電極のいずれかとして機能してもよく、追加の電極217は、他に説明されない他の電極機能を果たす。作用電極214は、その本来の機能を果たし続ける。追加の電極217は、誘電体材料の分離層を間に挟んで、作用電極214又は電極30216のいずれかの上に配置され得る。例えば、限定するものではないが、図18Bに示すように、誘電体層219a、219b及び219cは、電極214、30216及び217を互いに分離し、電気的絶縁を提供する。代わりに、図18Cに示すように、電極214、30216、及び217の少なくとも1つを基板30212の反対面上に位置させてもよい。従って、特定の実施形態では、電極214(作用電極)及び電極30216(対電極)は、基板30212の反対面上に配置されてもよく、電極217(参照電極)は、電極214又は電極30216のうちの1つの上に配置され、誘電体材料によってそれから離間される。参照材料層30230(例えば、Ag/AgCl)は、電極217上に存在してもよく、参照材料層30230の位置は、図18B及び図18Cに示す位置に限定されない。図18Aに示されるセンサ200と同様に、被検物質センサ201及び202内の活性領域218は、複数のスポット又は単一のスポットを含むことができる。加えて、被検物質センサ201及び202は、クーロメトリー、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、又はポテンショメトリーの電気化学的検出技術のうちのいずれかによって被検物質をアッセイするように動作可能であり得る。
【0192】
被検物質センサ200と同様に、膜220はまた、被検物質センサ201及び202において、活性領域218並びに他のセンサ構成要素を覆ってもよく、それによって物質移動制限膜として機能する。特定の実施形態では、追加の電極217は膜220に覆われ得る。図18B及び図18Cは、電極214、30216、及び217が膜220に覆われているように示すが、特定の実施形態では、作用電極214のみが覆われることを認識されたい。さらに、電極214、30216及び217の各々における膜220の厚さは、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。2電極被検物質センサ構成(図18A)におけるように、被検物質センサ201及び202の一方又は両方の面は、図18B及び図18Cのセンサ構成において膜220に覆われてもよく、又は被検物質センサ201及び202の全体が覆われてもよい。従って、図18B及び図18Cに示す3電極センサ構成は、本明細書に開示される実施形態の限定をしないものとして理解されるべきであり、代替の電極及び/又は層の構成は、本開示の範囲内に留まる。
【0193】
図19Aは、2つの異なる活性領域が上に配置された単一の作用電極を有するセンサ203の例示的な構成を示す。図19Aは、作用電極214上に2つの活性領域、すなわち第1の活性領域218a及び第2の活性領域218bが存在することを除いて、図19Aと同様であり、これらは異なる被検物質に応答し、作用電極214の表面上で互いに横方向に離間されている。活性領域218a及び218bは、各被検物質の検出のために構成された複数のスポット又は単一のスポットを含み得る。膜220の組成は、活性領域218a及び218bにおいて変化してもよく、又は組成的に同じであってもよい。第1の活性領域218a及び第2の活性領域218bは、以下でさらに議論されるように、互いに異なる作用電極電位においてそれらの対応する被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、活性領域218a及び218bのいずれか一方又は両方は、NAD(P)依存性酵素を使用して被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、活性領域218a及び218bのいずれか一方又は両方は、NADHオキシダーゼ及びβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼを備える酵素系を使用することによって、NAD(P)依存性酵素、例えば、ケトン類を使用して被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、218a及び218bの1つの活性領域のみが、NAD(P)依存性酵素を使用して被検物質を検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域は、NAD(P)依存性酵素を使用せずに第2の被検物質を検出するように構成される。
【0194】
図19B及び図19Cは、それぞれセンサ204及び205のための例示的な3電極センサ構成の断面図を示し、各々は、上に配置された第1の活性領域218a及び第2の活性領域218bを有する単一の作用電極を特徴とする。図19B及び図19Cは、その他の点では図18B及び図18Cと同様であり、それらを参照することによってより理解され得る。図19Aと同様に、膜220の組成は、活性領域218a及び218bにおいて変化してもよく、又は組成的に同じであってもよい。
【0195】
複数の作用電極、具体的には2つの作用電極を有する例示的なセンサ構成が、図20から図21Cを参照してさらに詳細に記載される。以下の説明は、主に、2つの作用電極を有するセンサ構成を対象とするが、本明細書の開示の拡張によって、2つより多くの作用電極が組み込まれ得ることを理解されたい。第1の被検物質及び第2の被検物質だけでなく、例えば第3及び/又は第4の被検物質の検出のためのさらなる検知能力を被検物質センサに付与するために、追加の作用電極が用いられ得る。
【0196】
図20は、本明細書の開示における使用に適合する、2つの作用電極、参照電極及び対電極を有する例示的な被検物質センサ構成の断面図を示す。示すように、被検物質センサ300は、基板302の反対面上に配置された作用電極304及び306を含む。第1の活性領域310aは、作用電極304の表面上に配置され、第2の活性領域310bは、作用電極306の表面上に配置される。対電極320は、誘電体層322によって作用電極304から電気的に絶縁されており、参照電極321は、誘電体層323によって作用電極306から電気的に絶縁されている。外側誘電体層330及び332は、それぞれ参照電極321及び対電極320上に配置される。膜340は、様々な実施形態によれば、少なくとも活性領域310a及び310bを覆ってもよく、被検物質センサ300の他の構成要素又は被検物質センサ300の全体も、任意で、第1の膜部分340a及び/又は第2の膜部分340bに同様に覆われる。さらに、膜340は連続であってよいが、各々の位置における被検物質フラックスを別個に調節するための異なる透過性値を可能にするために、第1の膜部分340aと第2の膜部分340bとの中で(すなわち、活性領域310aと310bの上で)組成的に変動し得る。例えば、異なる膜配合物を、被検物質センサ300の反対面に噴霧及び/又は印刷し得る。特に活性領域310a及び310bの一方の上に二層膜の少なくとも一部を堆積させるために、ディップコーティング技術も適切であり得る。従って、本開示の特定の実施形態によれば、第1の膜部分340aと第2の膜部分340bの一方は二層膜を備えてもよく、第1の膜部分340aと第2の膜部分340bの他方は単一の膜ポリマーを備えてもよい。被検物質センサ200、201、及び202と同様に、被検物質センサ300は、クーロメトリー、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、又はポテンショメトリーによる電気化学的検出技術のいずれかによってケトン類(及び/又は第2の被検物質)をアッセイするために動作可能であり得る。特定の実施形態では、被検物質センサは1つの膜340より多く、例えば2つ以上の膜を含み得る。例えば、限定するものではないが、被検物質センサは、1つ以上の活性領域、例えば310a及び310aを被覆する膜、及び図20に示すようにセンサ全体を被覆するさらなる膜を含み得る。特定の実施形態では、活性領域310a及び310bのいずれか一方又は両方は、NADHオキシダーゼ及びβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、又はβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼを備える酵素系を使用することによって、NAD(P)依存性酵素、例えば、ケトン類を使用して被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、310a及び310bの一方の活性領域のみは、NADHオキシダーゼ及びβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、又はβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼを備える酵素系を使用することによって、NAD(P)依存性酵素、例えば、ケトン類を使用して被検物質を検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域は、第2の被検物質、例えば、NAD(P)依存性酵素を使用して検出されない被検物質を検出するように構成される。
【0197】
複数の作用電極を有し、図20に示す構成とは異なる代替的なセンサ構成は、別の対電極及び参照電極320、321の代わりに対/参照電極を特徴としてもよく、及び/又は明示的に示されるものとは異なる層及び/又は膜の配置を特徴としてもよい。例えば、限定ではないが、対電極320及び参照電極321の位置は、図20に示すものと反対であり得る。さらに、作用電極304及び306は、必ずしも図20に示す位置のように基板302の反対面上に存在する必要はない。
【0198】
好適なセンサ構成は、特性として実質的に平面である電極を特徴とすることができるが、非平面の電極を特徴とするセンサ構成が有利であってもよく、特に本明細書の開示における使用のために好適であり得ることを認識されたい。特に、相互に同心円状に配置された実質的に円筒状の電極は、以下に記載するように、物質移動制限膜の堆積を容易にし得る。特に、センサ尾部の長さに沿って間隔を空けて配置された同心円状の作用電極は、実質的に平面状のセンサ構成について上述と同様の様式で、連続的なディップコーティング操作による膜堆積を容易にし得る。図21A~21Cは、相互に同心円状に配置された2つの作用電極を特徴とする被検物質センサの斜視図を示す。同心円状の電極配置を有するが第2の作用電極を有しないセンサ構成も本開示で可能であることを認識されたい。
【0199】
図21Aは、複数の電極が実質的に円筒状であり、中心基板に対して相互に同心円状に配置された例示的なセンサ構成の斜視図を示す。示すように、被検物質センサ400は、その周囲に全ての電極及び誘電体層が相互に同心円状に配置された中心基板402を含む。特に、作用電極410が中心基板402の表面上に配置され、誘電体層412がセンサ先端404に対して遠位の作用電極410の一部の上に配置されている。作用電極420が誘電体層412の上に配置され、誘電体層422がセンサ先端404に対して遠位の作用電極420の一部の上に配置されている。対電極430が誘電体層422の上に配置され、誘電体層432がセンサ先端404に対して遠位の対電極430の一部の上に配置されている。参照電極440が誘電体層432の上に配置され、誘電体層442がセンサ先端404に対して遠位の参照電極440の一部の上に配置されている。従って、作用電極410、作用電極420、対電極430、及び参照電極440の露出した表面は被検物質センサ400の長手方向の軸線Bに沿って互いに離間している。
【0200】
さらに図21Aを参照して、異なる被検物質又は同じ被検物質に関与する第1の活性領域414a及び第2の活性領域414bが、それぞれ作用電極410及び420の露出した表面の上に配置され、それにより、検知のために流体との接触が起こることを可能にする。特定の実施形態では、活性領域414a及び414bのいずれか一方又は両方は、NAD(P)依存性酵素を使用して被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、活性領域414aと414bのいずれか一方又は両方は、例えばNADHオキシダーゼとβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼを備える酵素系を用いることによってケトン類を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、活性領域414a及び414bのいずれか一方のみが、例えばNADHオキシダーゼ及びβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼを備える酵素系を用いることによってケトン類を検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域が、第2の被検物質を検出するように構成される。特定の実施形態では、活性領域414a及び414bのいずれか一方又は両方は、NADHオキシダーゼ及びβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、又はβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼを備える酵素系を使用することによって、NAD(P)依存性酵素、例えば、ケトン類を使用して被検物質を検出するように構成され得る。特定の実施形態では、414a及び414bの一方の活性領域のみは、NADHオキシダーゼ及びβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、又はβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼを備える酵素系を使用することによって、NAD(P)依存性酵素、例えば、ケトン類を使用して被検物質を検出するように構成される。特定の実施形態では、他の活性領域は、第2の被検物質、例えば、NAD(P)依存性酵素を使用して検出されない被検物質を検出するように構成される。図21Aでは活性領域414a及び414bは3つの別個のスポットとして示されているが、代替のセンサ構成では活性領域の連続層を含む3つより少ない又は多いスポットが存在し得ることを理解されたい。
【0201】
図21Aでは、センサ400は作用電極410及び420及びその上に配置された活性領域414a及び414bの上で膜450によって部分的に被覆されている。図21Bは、センサ401の実質的に全部が膜450によって被覆されている代替のセンサ構成を示す。膜450は、活性領域414a及び414bにおいて同じであってもよく又は組成的に異なっていてもよい。例えば、膜450は活性領域414aを被覆する二層膜を含んでよく、活性領域414bを被覆する均一な膜であってもよい。特定の実施形態では、干渉ドメイン及び物質移動制限膜を含む1つ以上の膜が、作用電極の露出された電気活性表面、例えば白金表面の上に堆積される。例えば、限定するものではないが、干渉ドメインが作用電極の上に配置され、活性領域が干渉ドメインの上に配置され、物質移動制限膜が活性領域の上に配置され得る。
【0202】
図21A及び21Bにおける様々な電極の位置決めは明示的に示されたものと異なってもよいことをさらに理解されたい。例えば、対電極430及び参照電極440の位置は図21A及び21Bに示した構成から逆にしてもよい。同様に、作用電極410及び420の位置は、図21A及び21Bに明示的に示した位置に限定されない。図21Cは、図21Bに示したセンサ構成の代替を示し、ここではセンサ405は、センサ先端404に対してより近位に位置する対電極430及び参照電極440、及びセンサ先端404に対してより遠位に位置する作用電極410及び420を含む。作用電極410及び420がセンサ先端404に対してより遠位に位置するセンサ構成は、活性領域414a及び414bの堆積のためのより広い表面積を提供し(図21Cでは5つの別個の検知スポットを例示的に示している)、それによりいくつかの場合に信号強度の増大を容易にすることによって、有利であり得る。同様に、本明細書に開示した任意の同心円状センサ構成において中心基板402を省略することができ、その場合には最も内側の電極が代わりに、続いて堆積する層を支持し得る。
【0203】
特定の実施形態では、本明細書に記載された被検物質センサの1つ以上の電極は、ワイヤー電極、例えば透過性ワイヤー電極である。特定の実施形態では、センサ尾部は作用電極及び作用電極の周囲にらせん状に巻かれた参照電極を備える。特定の実施形態では、絶縁体が作用電極と参照電極との間に配置される。特定の実施形態では、電極の一部は、電極上での1つ以上の酵素と被検物質との反応を可能にするように露出される。特定の実施形態では、各電極は約25.4マイクロメートル(0.001インチ)以下から約254マイクロメートル(0.010インチ)以上までの直径を有する細いワイヤーから形成される。特定の実施形態では、作用電極は約25.4マイクロメートル(0.001インチ)以下から約254マイクロメートル(0.010インチ)以上、例えば約50.8マイクロメートル(0.002インチ)~約203マイクロメートル(0.008インチ)、より好適には、約102マイクロメートル(0.004インチ)~約127マイクロメートル(0.005インチ)の直径を有する。特定の実施形態では、電極は、めっきされた絶縁体、めっきされたワイヤー又はバルクの導電性材料から形成される。特定の実施形態では、作用電極は、例えば白金、白金-イリジウム、パラジウム、グラファイト、金、炭素、導電性ポリマー、合金、その他の導電性材料から形成されたワイヤーを備える。特定の実施形態では、導電性材料は透過性導電性材料である。特定の実施形態では、電極は様々な製造技術(例えばバルク金属処理、基材上への金属の堆積、その他)によって形成することができ、電極はめっきされたワイヤー(例えばスチールワイヤー上の白金)又はバルク金属(例えば白金ワイヤー)から形成することができる。特定の実施形態では、電極は白金で被覆されたタンタルワイヤーから形成される。
【0204】
特定の実施形態では、参照電極単独として又は参照電極及び対電極の二重電極として機能し得る参照電極は、銀、銀/塩化銀等から形成される。特定の実施形態では、参照電極は作用電極とともに又はその周囲に並置され及び/又はねじられる。特定の実施形態では、参照電極は作用電極の周囲にらせん状に巻きつけられる。特定の実施形態では、絶縁性アタッチメントを提供するために、ワイヤーのアセンブリを絶縁材料とともに被覆又は接着してもよい。
【0205】
特定の実施形態では、追加の電極をセンサ尾部に含ませてよい。例えば、限定するものではないが、3電極システム(作用電極、参照電極、及び対電極)及び/又は追加の作用電極(例えば第2の被検物質を検出するための電極)。センサが2つの作用電極を備える特定の実施形態では、2つの作用電極が並置され、その周囲に参照電極が配置されてよい(例えば2つ以上の作用電極の周囲にらせん状に巻きつけられる)。特定の実施形態では、2つ以上の作用電極は互いに平行に延在してよい。特定の実施形態では、参照電極は作用電極の周囲に巻回され、センサ尾部の遠位端(すなわちインビボ端)に向かって延在する。特定の実施形態では、参照電極は作用電極の露出された領域に(例えばらせん状に)延在する。
【0206】
特定の実施形態では、1つ以上の作用電極は参照電極の周囲にらせん状に巻きつけられている。2つ以上の作用電極が提供される特定の実施形態では、作用電極は、センサ尾部の長さに沿って二重、三重、四重等のらせん構成(例えば参照電極、絶縁されたロッド又はその他の支持構造を包囲する)に形成され得る。特定の実施形態では、電極、例えば2つ以上の作用電極は同軸上に形成される。例えば、限定するものではないが、電極は全て同じ中心軸線を共有する。
【0207】
特定の実施形態では、作用電極は、その間に絶縁体を含んでその中に参照電極が配置又は巻回された管を備える。代わりに、参照電極が、その間に絶縁体を含んでその中に作用電極が配置又は巻回された管を備える。特定の実施形態では、ポリマー(例えば絶縁性の)ロッドが提供され、1つ以上の電極(例えば1つ以上の電極層)が(例えば電気めっきによって)その上に配置される。特定の実施形態では、(本明細書に記載した)絶縁材料で被覆され、その上に1つ以上の作用電極及び参照電極が配置された金属(例えばスチール又はタンタル)ロッド又はワイヤーが提供される。例えば、限定するものではないが、本開示は1つ以上のタンタルワイヤーを備えるセンサ、例えばセンサ尾部を提供し、白金が1つ以上のタンタルワイヤーの一部の上に配置されて作用電極として機能する。特定の実施形態では、白金被覆したタンタルワイヤーが絶縁材料で覆われ、絶縁材料は参照及び/又は対電極として機能する銀/塩化銀組成物で部分的に覆われている。
【0208】
絶縁体が作用電極の上(例えば電極の白金表面の上)に配置される特定の実施形態では、絶縁体の一部を剥離し又は他の方法で除去して、作用電極の電気活性表面を露出することができる。例えば、限定するものではないが、絶縁体の一部は、手、エキシマレーザ、化学的エッチング、レーザアブレーション、グリットブラスト、その他によって除去され得る。代わりに、電極の一部は、露出された電気活性表面領域を維持するために絶縁体の堆積前にマスクされ得る。特定の実施形態では、剥離及び/又は除去された絶縁体の一部は、長さ約0.1mm(約0.004インチ)以下から約2mm(約0.078インチ)以上、例えば長さ約0.5mm(約0.02インチ)から約0.75mm(0.03インチ)であってよい。特定の実施形態では、絶縁体は非導電性ポリマーである。特定の実施形態では、絶縁体はパリレン、フッ素化ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリイミド、及びその他の非導電性ポリマーを備える。特定の実施形態では、ガラス又はセラミック材料を絶縁体層に用いることもできる。特定の実施形態では、絶縁体はパリレンを備える。特定の実施形態では、絶縁体はポリウレタンを備える。特定の実施形態では、絶縁体はポリウレタン及びポリビニルピロリドンを備える。
【0209】
センサのいくつかの部分を以下にさらに記載する。
2.NAD(P)デポー
本開示は、補因子の内部供給源を含むことができる被検物質センサを提供する。例えば、限定するものではないが、本開示は、長期間にわたって補因子の制御された放出を可能にする補因子の内部供給源を含み得る被検物質センサを提供する。
【0210】
特定の実施形態では、補因子内部供給源は、被検物質センサの使用中に、活性領域、例えば、検知化学物質層における補因子の十分な濃度を維持するために、補因子供給源からの補因子の拡散を制御する透過性層で被覆されるか、又は透過性層内に分布され得る。被検物質センサ内に存在する補因子デポーの正確な性質、サイズ、及び構成は、被検物質センサの特定の用途、例えば、どの被検物質が検出されているか、被検物質検出の持続時間、及び被検物質の検出が行われる条件に基づいて変化し得る。
【0211】
特定の実施形態では、補因子は、NAD又はNADPである(これらは両方とも、本明細書ではまとめて「NAD(P)」と呼ばれる)。特定の実施形態では、NAD(P)は、NAD(P)の誘導体である。NAD(P)誘導体の非限定的な例は、国際公開第2007/012494号及び国際公開第1998/033936号に開示されており、これらの各々の内容は、その全体が本明細書に開示されている。特定の実施形態では、本開示は、長期間にわたってNAD(P)又はその誘導体の制御された放出を可能にするNAD(P)の内部供給源を含むことができる被検物質センサを提供する。特定の実施形態では、NAD(P)内部供給源は、NAD(P)供給源からのNAD(P)の拡散を制御して、被検物質センサの使用中に1つ以上のNAD(P)依存性酵素を備える活性領域、例えば、検知化学物質層において十分な濃度のNAD(P)を維持する透過性層で被覆され得るか、又は透過性層内に分布され得る。
【0212】
NAD(P)デポーを含む被検物質センサの非限定的な実施形態が、図22及び図23Aに提供されている。例えば、限定するものではないが、NAD(P)は、図22及び23Aに示すように、基板、例えば、プラスチック基板上に堆積させることができる。特定の実施形態では、NAD(P)デポーは、基板30212上に配置され得る。特定の実施形態では、NAD(P)デポーは、図23Aに示されるように、誘電体材料、例えば2つの誘電体層の間に堆積させることができる。
【0213】
特定の実施形態では、堆積されたNAD(P)は、透過性層で覆うことができる。図22及び図23Aに示すように、NAD(P)デポーは、透過性層で少なくとも部分的に被覆されている。例えば、限定するものではないが、NAD(P)デポーの少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%又は少なくとも約95%が透過性層で被覆されている。特定の実施形態では、NAD(P)デポーは、透過性層で完全に被覆されている。特定の実施形態では、透過性層は、経時的に持続的なNAD(P)放出を提供する。透過性層の組成は、内部供給源からのNAD(P)の所望の放出動態、例えば、NAD(P)放出速度に応じて変化し得る。
【0214】
加えて又は代わりに、NAD(P)は透過性層内に存在し得る。例えば、限定するものではないが、NAD(P)は、透過性層によって被覆された別個の層として添加されるのではなく、透過性層、例えばポリマー透過性層内に直接混合され得る。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、基板30212上に配置されたNAD(P)を備える透過性層を含み得る。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、NAD(P)の別個の供給源を含む透過性層で覆われた基板30212上に配置されたNAD(P)デポーを含み得る。
【0215】
特定の実施形態では、被検物質センサは、透過性である作用電極、例えば、214、30216及び/又は217をさらに含む。特定の実施形態では、透過性作用電極は、図22及び図23Aに示されるように、透過性層の上に配置される。特定の実施形態では、少なくとも1つの活性領域(検知化学物質を含有する)が、本明細書に記載されるように、作用電極上に配置される。特定の実施形態では、2つ以上の活性領域が、本明細書に記載されるように作用電極上に配置される。図22及び図23Aに示される非限定的な例示的実施形態では、NAD(P)は、透過性層(例えば、ポリマー層)及び透過性作用電極を通って拡散して活性領域に接触し、活性領域において十分なNAD(P)濃度を経時的に維持する。
【0216】
特定の実施形態では、NAD(P)デポー内に存在するNAD(P)の量は、被検物質センサの使用継続期間に応じて変化し得る。例えば、限定するものではないが、NAD(P)は、約0.1μg~約1000μgのNAD(P)デポー中に存在することができる。特定の実施形態では、NAD(P)デポー中に、約0.1μgから約900μg、約0.1μgから約800μg、約0.1μgから約700μg、約0.1μgから約600μg、約0.1μgから約500μg、約0.1μgから約400μg、約0.1μgから約300μg、約0.1μgから約200μg、約0.1μgから約100μg、約0.1μgから約90μg、約0.1μgから約80μg、約0.1μgから約70μg、約0.1μgから約60μg、約0.1μgから約50μg、約0.1μgから約40μg、約0.1μgから約30μg、約0.1μgから約20μg、約0.1μgから約10μg、約0.1μgから約9μg、約0.1μgから約8μg、約0.1μgから約7μg、約0.1μgから約6μg、約0.1μgから約5μg、約0.1μgから約4μg、約0.1μgから約3μg、約0.1μgから約2μg、約0.1μgから約1μg、約0.1μgから約0.9μg、約0.1μgから約0.8μg、約0.1μgから約0.7μg、約0.1μgから約0.6μg、約0.1μgから約0.5μg、約0.1μgから約0.4μg、約0.1μgから約0.3μg、約0.1μgから約0.2μg、約0.2μgから約1000μg、約0.3μgから約1000μg、約0.4μgから約1000μg、約0.5μgから約1000μg、約0.6μgから約1000μg、約0.7μgから約1000μg、約0.8μgから約1000μg、約0.9μgから約1000μg、約1μgから約1000μg、約2μgから約1000μg、約3μgから約1000μg、約4μgから約1000μg、約5μgから約1000μg、約6μgから約1000μg、約7μgから約1000μg、約8μgから約1000μg、約9μgから約1000μg、約10μgから約1000μg、約11μgから約1000μg、約12μgから約1000μg、約13μgから約1000μg、約14μgから約1000μg、約15μgから約1000μg、約16μgから約1000μg、約17μgから約1000μg、約18μgから約1000μg、約19μgから約1000μg、約20μgから約1000μg、約30μgから約1000μg、約40μgから約1000μg、約50μgから約1000μg、約60μgから約1000μg、約70μgから約1000μg、約80μgから約1000μg、約90μgから約1000μg、約100μgから約1000μg、約200μgから約1000μg、約300μgから約1000μg、約400μgから約1000μg、約500μgから約1000μg、約600μgから約1000μg、約700μgから約1000μg、約800μgから約1000μg、約900μgから約1000μg、約0.1μgから約100μg、約1μgから約100μg、約1μgから約90μg、約1μgから約80μg、約1μgから約70μg、約1μgから約60μg、約1μgから約50μg、約1μgから約40μg、約1μgから約30μg、約1μgから約20μg、約1μgから約15μg、約1μgから約10μgor約5μgから約15μgのNAD(P)が存在し得る。特定の実施形態では、NAD(P)は、NAD(P)デポー中に約0.1μg~約100μg存在し得る。
【0217】
特定の実施形態では、NAD(P)デポー中に存在するNAD(P)の量は、被検物質センサの寿命に応じて変化する。例えば、限定するものではないが、NAD(P)デポー中のNAD(P)の量は、被検物質センサが、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、少なくとも約20日間、少なくとも約25日間、少なくとも約30日間、少なくとも約35日間、又は少なくとも約40日間、NAD(P)依存性酵素を使用して被検物質を検出することを可能にする。特定の実施形態では、NAD(P)デポー中のNAD(P)の量は、被検物質センサが、少なくとも約14日間、NAD(P)依存性酵素を使用して被検物質を検出することを可能にする。特定の実施形態では、NAD(P)デポー中のNAD(P)の量は、被検物質センサが、約2週間超、約3週間超、約4週間超、約5週間超、約6週間超、約7週間超、又は約8週間超にわたって、NAD(P)依存性酵素を使用して被検物質を検出することを可能にする。
【0218】
特定の実施形態では、透過性層はポリマーを含むことができる。特定の実施形態では、透過性ポリマー層は、拡散制御ポリマーを含むことができる。特定の実施形態では、透過性ポリマー層は、補因子の制御された拡散を可能にする任意のポリマーを含むことができる。特定の実施形態では、透過性ポリマー層は、補因子のNAD(P)の制御された拡散を可能にする任意のポリマーを含むことができる。
【0219】
特定の実施形態では、透過性ポリマー層は、ヒアルロン酸(HA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ホスホリルコリン系ポリマー及びHA、PEG又はホスホリルコリンと同等の親水性を有する他の親水性ポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート-コ-バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D,L-乳酸)(DLPLA)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(グリコール酸-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリウレタン、コポリ(エーテル-エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、生体分子(例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン及びコラーゲン)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレン及びエチレン-α-オレフィンコポリマー、アクリルポリマー及びコポリマー、ハロゲン化ビニルポリマー及びコポリマー、ポリ(アミドエステル)(PEA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン)(HFP)、ポリ(エチレンビニルアルコール)(EVAL)、ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル)、ポリビニリデンハライド(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリ塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン類、ポリビニル芳香族(例えば、ポリスチレン)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ビニルモノマー同士のコポリマー及びオレフィン(例えば、エチレン-メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂及びエチレン-酢酸ビニルコポリマー)、ポリアミド(例えば、ナイロン66及びポリカプロラクタム)、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン-トリアセテート、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル及びカルボキシメチルセルロースを含むことができる。特定の実施形態では、適切なポリマーは、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)及びポリ(ブチレンテレフタレート)(PEGT/PBT)セグメントを備えるコポリマーである。
【0220】
透過性層中に存在し得るポリマーのさらなる非限定的な例は、ポリカルボン酸、セルロースポリマー、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸ポリマーを含むポリ無水物、ポリビニルアルコール、ポリビニル芳香族(例えば、ポリスチレンと他のビニルモノマー(例えば、イソブチレン、イソプレン及びブタジエン)とのコポリマー(例えば、スチレン-イソブチレン-スチレン(SIBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)コポリマー、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)コポリマー))、ポリエチレンオキシド、グリコサミノグリカン、多糖類、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリアクリルアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアルキレン(ポリプロピレン、ポリエチレン及び高分子量ポリエチレンを含む)、ハロゲン化ポリアルキレン(ポリテトラフルオロエチレンを含む)、天然ゴム及び合成ゴム(ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン及び他のビニルモノマー(例えば、ポリオルトエステル)とそれらのコポリマーを含む)、タンパク質、ポリペプチド、シロキサンポリマー、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレートバレレート及びそれらのブレンド及びコポリマー、及び他の生分解性、生体吸収性及び生体安定性のポリマー及びコポリマーを含む。特定の実施形態では、適切なポリマーは、ポリアクリル酸、及びポリ乳酸とポリカプロラクトンとのコポリマーを含む。
【0221】
特定の実施形態では、透過性層は、ポリエーテル系ポリマーを含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、ポリ(エチレングリコール)を含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、ポリ(エチレングリコール)系ポリマーを含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、ポリ(プロピレングリコール)を含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、ポリ(プロピレングリコール)系ポリマーを含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート(POMA)を含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、POMAとHEMAとの混合物を含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、透過性ポリマーを生成するために、POMAとHEMAとの混合物を含むことができる。例えば、限定するものではないが、透過性層は、約10:1~約1:10、例えば、約9:1~約1:9、約8:1~約1:8、約7:1~約1:7、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2のPOMA対HEMAの比を含むことができる。特定の実施形態では、POMA対HEMAの比は、約2:1~約1:2であり得る。特定の実施形態では、POMA対HEMAの比は、約1:1であり得る。特定の実施形態では、透過性層は、約20重量%~約80重量%、例えば、約30重量%~約70重量%又は約40重量%~約60重量%のPOMAを含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、約40重量%~約60重量%のPOMAであり得る。特定の実施形態では、透過性層は、約20重量%~約80重量%、例えば、約30重量%~約70重量%又は約40重量%~約60重量%のHEMAであり得る。特定の実施形態では、透過性層は、約40重量%~約60重量%のHEMAであり得る。
【0222】
特定の実施形態では、透過性ポリマーはヒドロゲルである。特定の実施形態では、本開示で使用するための透過性ポリマー、例えば、ヒドロゲルは、水中でその重量の約30%~約95%、例えば、約30%~約70%又は約40%~約60%を吸収することができる。特定の実施形態では、透過性ポリマー、例えば、ヒドロゲルは、水中でその重量の少なくとも約30%を吸収することができる。特定の実施形態では、透過性ポリマー、例えば、ヒドロゲルは、水中でその重量の少なくとも約40%を吸収することができる。特定の実施形態では、透過性ポリマー、例えば、ヒドロゲルは、水中でその重量の少なくとも約50%を吸収することができる。特定の実施形態では、透過性ポリマー、例えば、ヒドロゲルは、水中でその重量の少なくとも約60%を吸収することができる。特定の実施形態では、透過性ポリマー、例えば、ヒドロゲルは、水中でその重量の少なくとも約70%を吸収することができる。特定の実施形態では、透過性ポリマー、例えば、ヒドロゲルは、水中でその重量の約30%から約60%を吸収することができる。
【0223】
特定の実施形態では、NAD(P)デポーは、約0.1μm~約1000μm、例えば約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、又は約10μm~約100μmの範囲の厚さ、例えば乾燥厚さを有する。特定の実施形態では、NAD(P)デポーは、約0.1μm~約10μm、例えば約0.5μm~約10μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、又は約0.1μm~約5μmの厚さを有し得る。
【0224】
特定の実施形態では、透過性電極は、NAD(P)に対して透過性である任意の材料を含むことができる。特定の実施形態では、透過性電極は、NAD(P)に対して透過性である任意の導電性材料、例えば導電性インク又はポリマーを含むことができる。例えば、限定するものではないが、透過性電極は、炭素、銀、非晶質炭素、グラファイト、グラフェン、ガラス状炭素、白金めっき炭素、金、白金及び/又はパラジウムを含むことができる。特定の実施形態では、透過性電極は炭素材料を含むことができる。特定の実施形態では、透過性電極は、限定されないが、銀、非晶質炭素、グラファイト、グラフェン、ガラス状炭素、白金めっき炭素、金、白金及び/又はパラジウム等の添加剤を含む炭素材料を含むことができる。特定の実施形態では、透過性電極は、少なくとも部分的にカーボンナノチューブで構成され得る。特定の実施形態では、透過性電極は、導電性ポリマー、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)を含むことができる。特定の実施形態では、導電性材料は、ポリマー、例えばポリマー担体中に存在することができる。特定の実施形態では、電極は、導電性材料及び/又は導電性粒子を備えるポリマーを備える。
【0225】
3.酵素
本開示のセンサは、少なくとも1つの活性領域において1つ以上の被検物質を検出するための1つ以上の酵素を含む。本開示のセンサにおける使用に好適な酵素は、限定されないが、任意のNAD(P)依存性酵素を含む。例えば、本開示における使用のためのNAD(P)依存性酵素は、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、総タンパク質、尿酸などを検出するために使用することができる。特定の実施形態では、NAD(P)依存性酵素を使用して検出される被検物質は、グルコース、乳酸塩、ケトン類、クレアチニン、アルコール、例えばエタノールなどである。特定の実施形態では、活性領域は、被検物質に集合的に応答する複数の酵素、例えば酵素系を含むことができる。
【0226】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサの活性領域は、少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を含む。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサの活性領域は、2つ以上のNAD(P)依存性酵素を含む。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、各々が少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を含む2つの活性部位を含む。代わりに、特定の実施形態における本開示の被検物質センサは、2つの活性部位を含み、1つの活性部位のみがNAD(P)依存性酵素を含む。NAD(P)依存性酵素の非限定的な例は、Vidal等、Biochimica et Biophysica Acta-Proteins and Proteomics 1866(2):327-347(2018)(表1-2参照)に開示されており、その内容は参照により本明細書に援用される。
【0227】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、被検物質センサの1つ以上の活性部位に含まれるNAD(P)依存性酵素のためのNAD(P)の1つ以上の内部供給源を含む。例えば、限定するものではないが、NAD(P)デポーは、被検物質を検出するように構成された各電極の下に配置され得る。代わりに、NAD(P)デポーは、被検物質を検出するように構成された1つの電極のみの下に配置され得る。
【0228】
特定の実施形態において、活性部位は、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼを含み得る。NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼの非限定的な例は、グルコースデヒドロゲナーゼ(E.C.1.1.1.47)、乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.27及びEC1.1.1.28)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.37)、グリセロールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.6)、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.1)、α-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ、ソルビトールデヒドロゲナーゼ、L-アミノ酸デヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.5)などのアミノ酸デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼ(EC1.8.1.4)及びそれらの組み合わせを含む。
【0229】
特定の実施形態では、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼは、ジアフォラーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ及びβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼを含むことができる。特定の実施形態では、酵素系は、2つ以上のNAD(P)依存性デヒドロゲナーゼ、例えば、第1のNAD(P)依存性デヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼを含むことができる。例えば、限定するものではないが、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼは、被検物質及び酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を、それぞれ酸化型被検物質及び還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)に変換することができる。酵素補因子NAD及びNADHは、本明細書に開示される協奏的酵素反応の促進に役立つ。次に、NADHは、ジアフォラーゼ媒介下で還元を受けることができ、このプロセス中に移動した電子が、作用電極における被検物質検出の基礎を提供する。
【0230】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、グルコース応答性活性領域、ケトン類応答性活性領域、乳酸応答性活性領域、クレアチニン応答性活性領域、アルコール応答性活性領域、又はそれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、グルコース応答性活性領域は、グルコースを検出するための1つ以上のNAD(P)依存性酵素を含むことができる。特定の実施形態では、ケトン類応答性活性領域は、ケトンを検出するための1つ以上のNAD(P)依存性酵素を含むことができる。特定の実施形態では、乳酸塩応答性活性領域は、乳酸塩を検出するための1つ以上のNAD(P)依存性酵素を含み得る。特定の実施形態では、クレアチニン応答性活性領域は、クレアチニンを検出するための1つ以上のNAD(P)依存性酵素を含み得る。特定の実施形態では、アルコール応答性活性領域は、アルコールを検出するための1つ以上のNAD(P)依存性酵素を含み得る。特定の実施形態では、活性領域は、被検物質に集合的に応答する2つ以上の酵素を備える酵素系を含み得る。例えば、限定するものではないが、ケトン類応答性活性領域は、少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を備える酵素系を含むことができる。
【0231】
特定の実施形態では、活性部位は、グルコースを検出するための少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を含むグルコース応答性活性部位であり得る。特定の実施形態では、グルコース応答性活性部位は、グルコースデヒドロゲナーゼを含むことができる。例えば、限定するものではないが、グルコースを検出するための本開示の被検物質センサは、NAD(P)デポーと、グルコースデヒドロゲナーゼを備える活性領域とを含むことができる。
【0232】
特定の実施形態では、活性部位は、1つ以上のアルコールを検出するための少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を含むアルコール応答性活性部位であり得る。特定の実施形態では、アルコール応答性活性部位は、アルコールデヒドロゲナーゼを含むことができる。例えば、限定するものではないが、アルコールを検出するための本開示の被検物質センサは、NAD(P)デポーと、アルコールデヒドロゲナーゼを備える活性領域とを含むことができる。
【0233】
特定の実施形態では、活性部位は、1つ以上のケトン類を検出するための少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を含むケトン類応答性活性部位であり得る。特定の実施形態では、ケトン類応答性活性部位は、β-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼを含み得る。例えば、限定するものではないが、ケトン類を検出するための本開示の被検物質センサは、NAD(P)デポーと、β-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼを含む酵素系を備える活性領域とを含むことができる。
【0234】
特定の実施形態では、活性部位は、乳酸塩を検出するための少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を含む乳酸塩応答性活性部位であり得る。例えば、限定するものではないが、乳酸塩応答性活性部位は乳酸デヒドロゲナーゼを含むことができる。特定の実施形態では、乳酸塩を検出するための本開示の被検物質センサは、NAD(P)デポーと、乳酸デヒドロゲナーゼを備える活性領域とを含むことができる。
【0235】
特定の実施形態では、本明細書に開示される被検物質センサは、被検物質を検出するために、本明細書に開示されるような1つ以上のNAD(P)依存性酵素を含む少なくとも1つの活性部位を含むことができる。代わりに、本明細書に開示される被検物質センサは、2つ以上の活性部位を含むことができ、各活性部位は、1つ以上の酵素を含有し、例えば、活性部位のうちの少なくとも1つは、1つ以上のNAD(P)依存性酵素を含む。例えば、限定するものではないが、本開示の被検物質センサは、第1の被検物質の検出に使用するための第1の酵素(又は酵素系)を備える第1の活性領域と、第2の被検物質を検出するための第2の酵素(又は第2の酵素系)を含む第2の活性部位とを含むことができ、少なくとも第1の活性領域又は第2の活性領域は、NAD(P)依存性酵素を含む。
【0236】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約10重量%~約80重量%、例えば、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%又は約30重量%~約60重量%の本明細書に開示される1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性酵素)を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約10重量%~約80重量%、例えば、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%、約30重量%~約60重量%、約20重量%~約60重量%、又は約20重量%~約50重量%の本明細書に開示される1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性酵素)を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約10重量%~約80重量%、例えば、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%又は約30重量%~約60重量%の本明細書に開示される1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性酵素)を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約10重量%~約80重量%、例えば、約15重量%~約75重量%、約20重量%~約70重量%、約25重量%~約65重量%又は約30重量%~約60重量%の本明細書に開示される1つ以上の酵素(例えば、1つ以上のNAD(P)依存性酵素)を含むことができる。
【0237】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、例えば酵素を安定化するための安定剤をさらに含むことができる。例えば、限定するものではないが、安定剤はアルブミン、例えば血清アルブミンであり得る。血清アルブミンの非限定的な例には、ウシ血清アルブミン及びヒト血清アルブミンが含まれる。特定の実施形態では、安定剤はヒト血清アルブミンである。特定の実施形態では、安定剤はウシ血清アルブミンである。特定の実施形態では、安定剤はカタラーゼであり得る。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約40:1~約1:40、例えば約35:1~約1:35、約30:1~約1:30、約25:1~約1:25、約20:1~約1:20、約15:1~約1:15、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約8:1~約1:8、約7:1~約1:7、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2又は約1:1の安定剤と被検物質応答性活性領域(例えば、NAD(P)依存性酵素)中に存在する1つ以上の酵素との比を含み得る。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約2:1~約1:2の安定剤と被検物質応答性活性領域(例えば、NAD(P)依存性酵素)中に存在する1つ以上の酵素との比を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約40:1~約1:40、例えば約35:1~約1:35、約30:1~約1:30、約25:1~約1:25、約20:1~約1:20、約15:1~約1:15、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約8:1~約1:8、約7:1~約1:7、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2又は約1:1の安定剤とNAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼ)との比を含み得る。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約2:1~約1:2の安定剤とNAD(P)依存性酵素(例えば、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼ)との比を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約10重量%~約50重量%、例えば、約15重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%又は約20重量%~約30重量%の安定剤を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約15重量%~約35重量%の安定剤を含むことができる。
【0238】
特定の実施形態では、NAD(P)デポーの存在に加えて、被検物質応答性活性領域は、被検物質応答性活性領域中に存在する1つ以上の酵素の補因子をさらに含むことができる。特定の実施形態では、補因子はNAD(P)である。特定の実施形態では、補因子は、NAD(P)とは異なる補因子である。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約40:1~約1:40、例えば約35:1~約1:35、約30:1~約1:30、約25:1~約1:25、約20:1~約1:20、約15:1~約1:15、約10:1~約1:10、約9:1~約1:9、約8:1~約1:8、約7:1~約1:7、約6:1~約1:6、約5:1~約1:5、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2又は約1:1の補因子と酵素との比を含み得る。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約2:1~約1:2の補因子と酵素との比を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約10重量%~約50重量%、例えば、約15重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約35重量%、約20重量%~約30重量%の補因子を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、約15重量%~約35重量%の補因子を含むことができる。特定の実施形態では、補因子、例えば、NAD(P)は、被検物質応答性活性領域内に物理的に保持され得る。例えば、限定するものではないが、被検物質応答性活性領域を被覆する膜は、被検物質の検出を可能にするために十分な被検物質の内方拡散を可能にする一方で、被検物質応答性活性領域の中に補因子を保持することに役立ち得る。
【0239】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、少なくとも1つのNAD(P)デポーと、少なくとも1つの作用電極、例えば透過性電極と、作用電極の表面上に配置された被検物質応答性活性領域とを備えるセンサ尾部を含むことができ、被検物質応答性活性領域は、少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を含む。特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、基板と、基板の表面上に配置された少なくとも1つのNAD(P)デポーと、少なくとも1つの作用電極、例えば透過性電極と、作用電極の表面上に配置された被検物質応答性活性領域とを備えるセンサ尾部を含むことができ、被検物質応答性活性領域は、少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を含む。特定の実施形態では、NAD(P)依存性酵素は、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼである。例えば、限定するものではないが、本開示のセンサは、少なくとも1つのNAD(P)デポーと、NAD(P)デポー上に配置された透過性層と、少なくとも1つの透過性作用電極と、透過性作用電極の表面上に配置された被検物質応答性活性領域とを備えるセンサ尾部を含むことができ、被検物質応答性活性領域は、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼを備える酵素系を含む。
【0240】
特定の実施形態では、本開示のセンサは、少なくとも1つのNAD(P)デポーと、NAD(P)デポーの上部に配置された透過性層と、少なくとも1つの透過性作用電極と、透過性作用電極の表面上に配置されたケトン類応答性活性領域とを備えるセンサ尾部を含むことができ、ケトン類応答性活性領域は、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼ、例えば、β-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼを備える酵素系を含む。特定の実施形態では、酵素系は、ジアフォラーゼをさらに含む。
【0241】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサは、例えば、第1の活性領域によって検出される被検物質とは異なる被検物質を検出するための第2の活性領域を含むことができる。特定の実施形態では、第2の活性領域は、第1の活性領域と同じ作用電極上に、又は第2の作用電極上に配置される。特定の実施形態では、第2の活性領域は、グルコース応答性活性領域、乳酸塩応答性活性領域、クレアチニン応答性活性領域、又はアルコール応答性活性領域である。
【0242】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサの第2の活性領域は、グルコースを検出するための1つ以上の酵素を含み得る。例えば、限定するものではないが、本開示の被検物質センサは、例えば第2の作用電極上に配置された、グルコースを検出するための1つ以上の酵素を備える活性領域(例えば第2の活性領域)を含み得る。特定の実施形態では、被検物質センサは、グルコースを検出するためのグルコースオキシダーゼ及び/又はグルコースデヒドロゲナーゼを備える活性部位を含み得る。
【0243】
特定の実施形態では、第2の活性領域は、乳酸塩を検出するための1つ以上の酵素を含み得る。例えば、限定するものではないが、本開示の被検物質センサは、例えば第2の作用電極上に配置された、乳酸塩を検出するための1つ以上の酵素(例えば、酵素系)を備える活性領域(例えば第2の活性領域)を含み得る。特定の実施形態では、被検物質センサは、乳酸デヒドロゲナーゼ及び/又は乳酸オキシダーゼを備える活性部位を含み得る。
【0244】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサの例えば第2の作用電極上に存在する第2の酵素応答性活性領域は、アルコールを検出するための1つ以上の酵素を含み得る。例えば、限定するものではないが、本開示の被検物質センサは、例えば第2の作用電極上に配置された、アルコールを検出するための1つ以上の酵素(例えば、酵素系)を備える活性領域(例えば第2の活性領域)を含み得る。特定の実施形態では、被検物質センサは、アルコールデヒドロゲナーゼを備える活性部位を含み得る。
【0245】
特定の実施形態では、本開示の被検物質センサの例えば第2の作用電極上に存在する第2の酵素応答性活性領域は、クレアチニンを検出するための1つ以上の酵素を含み得る。例えば、限定するものではないが、本開示の被検物質センサは、例えば第2の作用電極上に配置された、クレアチニンを検出するための1つ以上の酵素(例えば、酵素系)を備える活性領域(例えば第2の活性領域)を含み得る。特定の実施形態では、被検物質センサは、アミドヒドロラーゼ、クレアチンアミジノヒドロラーゼ、及び/又はサルコシンオキシダーゼを備える活性部位を含み得る。
【0246】
特定の実施形態では、被検物質センサは、2つの作用電極、例えば、第1の作用電極(例えば、透過性電極)上に配置された第1の活性領域と、第2の作用電極上に配置された第2の活性領域とを含むことができる。例えば、限定するものではないが、本明細書に開示される被検物質センサは、少なくとも1つのNAD(P)デポー、第1の作用電極上に配置された第1の被検物質応答性活性領域、及び異なる作用電極、例えば第2の作用電極の表面上に配置された第2の被検物質応答性活性領域を特徴とすることができ、被検物質応答性活性領域の少なくとも1つは、NAD(P)依存性酵素を含む。特定の実施形態では、第2の被検物質応答性活性領域は、第1の被検物質応答性活性領域によって検出される異なる被検物質又は同じ被検物質を検出するように構成することができる。特定の実施形態では、そのような被検物質センサは、少なくとも1つのNAD(P)デポーと、第1の作用電極と、第2の作用電極と、第1の作用電極の表面上に配置された第1の被検物質応答性活性領域と、第2の作用電極の表面上に配置された第2の被検物質応答性活性領域とを有するセンサ尾部を含むことができ、被検物質応答性活性領域の少なくとも1つはNAD(P)依存性酵素を含み、作用電極の少なくとも1つは透過性である。例えば、限定するものではないが、NAD(P)依存性酵素を含む被検物質応答性活性領域は、透過性作用電極上に配置される。
【0247】
特定の実施形態では、センサが2つの作用電極を使用して2つ以上の被検物質を検出するように構成されるとき、各々の被検物質の検出は、別個の信号が各被検物質から得られるように、電位を各作用電極に別個に印加することを含むことができる。次に、各々の被検物質から得られた信号を、較正曲線又は関数の使用によって、又はルックアップテーブルを採用することによって、被検物質濃度に相関され得る。特定の実施形態では、被検物質信号と被検物質濃度との相関は、プロセッサの使用によって実施され得る。
【0248】
特定の他の被検物質センサの構成では、第1の活性領域及び第2の活性領域は単一の作用電極の上に配置され得る。例えば、限定するものではないが、本明細書に開示される被検物質センサは、少なくとも1つのNAD(P)デポーと、第1の被検物質応答性活性領域と、単一の透過性作用電極の表面上に配置された第2の被検物質応答性活性領域とを特徴とすることができ、被検物質応答性活性領域の少なくとも1つは、NAD(P)依存性酵素を含む。特定の実施形態では、第1の信号は、第1の活性領域から例えば低い電位で得ることができ、両方の活性領域からの信号の寄与を含む第2の信号は、高い電位で得ることができる。次に、第2の信号から第1の信号を差し引くことによって、第2の被検物質から生じる信号寄与を決定することが可能になる。次に、各々の被検物質からの信号寄与を、複数の作用電極を有するセンサ構成について記載した様式と同様の様式で被検物質濃度と相関させることができる。特定の実施形態では、ケトン類応答性活性領域及び異なる被検物質を検出するように構成された第2の活性領域、例えばグルコース応答性活性領域がこの様式で単一の作用電極の上に配置されるときに、活性領域の1つは、各々の被検物質の検出を容易にするように別々に応答することができるように構成され得る。例えば、ケトン類応答性活性領域又はグルコース応答性活性領域のいずれかは、他の活性領域とは独立に信号を生成し得る。
【0249】
各々の被検物質に向けられた被検物質センサの感度(出力電流)は、活性領域の被覆(面積又は大きさ)、相互に対する活性領域の面積比、同一性、活性領域を被覆する物質移動制限膜の厚さ及び/又は組成を変更することによって変動し得ることも理解されたい。本明細書の開示の恩恵が認められれば、これらのパラメータの変化は当業者によって容易に実施することができる。
【0250】
4.酸化還元メディエータ
特定の実施形態では、本明細書で開示する被検物質センサは電子移動剤を含み得る。例えば、限定するものではないが、被検物質センサの1つ以上の活性部位は、電子移動剤を含むことができる。特定の実施形態では、被検物質センサは、電子移動剤を含む1つの活性部位と、電子移動剤を含まない第2の活性部位とを含むことができる。特定の実施形態では、活性領域における電子移動剤の存在は、被検物質を検出するために使用される酵素又は酵素系及び/又は作用電極の組成に依存し得る。代わりに、被検物質センサは、2つの活性部位を含むことができ、両方の活性部位が電子移動剤を含む。
【0251】
適切な電子移動剤は、被検物質が対応する活性領域内で酵素的酸化還元反応を受けた後に、隣接する作用電極への電子の伝達を容易にすることができ、それによって特定の被検物質の存在を示す電流を生成することができる。生成される電流の量は、存在する被検物質の量に比例する。特定の実施形態では、適切な電子移動剤は、標準カロメル電極(SCE)の酸化還元電位より数百ミリボルト高い又は低い酸化還元電位を有する電気還元可能及び電気酸化可能なイオン、錯体又は分子(例えば、キノン)を含み得る。特定の実施形態では、酸化還元メディエータは、オスミウム錯体及びその他の遷移金属錯体、(例えば、参照によりその全体が本願明細書に援用される米国特許第6,134,461号及び同第6,605,200号に記載される)を含み得る。適切な酸化還元メディエータの更なる例は、米国特許第6,736,957号、同第7,501,053号、及び同第7,754,093号に記載されているものを含み、これらの各々の開示はまた、参照によりその全体が本明細書に援用される。他の適切な酸化還元メディエータの例は、ルテニウム、オスミウム、鉄(例えば、ポリビニルフェロセン又はヘキサシアノ鉄酸塩)、又はコバルトの金属化合物又は錯体(例えば、それらのメタロセン化合物を含む)を含む。金属錯体のための適切な配位子は、例えば、ビピリジン、ビイミダゾール、フェナントロリン、又はピリジル(イミダゾール)のような二座以上の配位子も含み得る。他の適切な二座配位子は、例えば、アミノ酸、シュウ酸、アセチルアセトン、ジアミノアルカン、又はo-ジアミノアレーンを含み得る。単座配位子、二座配位子、三座配位子、四座配位子、又はより高い座数の配位子の任意の組合せが、完全な配位圏を達成するように金属錯体(例えば、オスミウム錯体)中に存在し得る。
【0252】
特定の実施形態では、本明細書で開示する電子移動剤は、以下にさらに論じるように、活性領域の中のポリマー(本明細書でポリマー骨格と称する)への共有結合を促進するために好適な官能基を備え得る。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のための電子移動剤は、ポリマーに結合した電子移動剤を含み得る。適切なポリマー結合電子移動剤の非限定的な例は、米国特許第8,444,834号、同第8,268,143号、及び同第6,605,201号に記載されるものを含み、これらの開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。特定の実施形態では、電子移動剤は、本明細書に記載したポリマー、例えば以下のセクション5に記載したポリマー骨格に結合した二座のオスミウム錯体である。特定の実施形態では、米国特許第8,444,834号の図3に示されたポリマー結合電子移動剤が、本開示のセンサにおいて使用され得る。
【0253】
本開示の特定の実施形態では、被検物質センサは、少なくとも1つのNAD(P)デポーと、NAD(P)デポー上に配置された少なくとも1つの透過性層と、少なくとも1つの作用電極、例えば、透過性電極と、作用電極の表面上に配置された少なくとも1つの被検物質応答性活性領域とを含むことができ、被検物質応答性活性領域は、少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素及び少なくとも1つの酸化還元メディエータ、例えば、オスミウム錯体を含む。特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域は、ジアフォラーゼ、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼ、例えば、β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼ、及び酸化還元メディエータ、例えば、オスミウム錯体を備える酵素系を含む。
【0254】
5.ポリマー骨格
特定の実施形態では、被検物質の検出を促進するための1つ以上の活性部位は、酵素及び/又は酸化還元メディエータが共有結合しているポリマーを含み得る。任意の好適なポリマー骨格が、酵素及び/又は酸化還元メディエータのそれへの共有結合を介した被検物質の検出を容易にするために、活性領域の中に存在し得る。活性領域の中の好適なポリマーの非限定的な例は、例えば四級化ピリジン基が酸化還元メディエータ又は酵素のそれへの結合点として働く、ポリビニルピリジン類、例えばポリ(4-ビニルピリジン)及び/又はポリ(2-ビニルピリジン)、及びポリビニルイミダゾール類、例えばポリ(N-ビニルイミダゾール)及びポリ(1-ビニルイミダゾール)、又はそれらのコポリマーを含む。活性領域に含めるために好適であり得る例示的なコポリマーは、例えばスチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、又はアクリロニトリル等のモノマー単位を含むものを含む。特定の実施形態では、活性領域の中に存在し得るポリマーは、ポリウレタン又はそのコポリマー及び/又はポリビニルピロリドンを含む。特定の実施形態では、活性領域に存在し得るポリマーは、限定されないが、ポリ(アクリル酸)、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー(GANTREZポリマー)、ポリ(ビニルベンジルクロリド)、ポリ(アリルアミン)、ポリリジン、カルボキシペンチル基で四級化されたポリ(4-ビニルピリジン)、及びポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)のような、米国特許第6,605,200号(参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載されているものを含む。被検物質センサが2つの活性部位を含む特定の実施形態では、各々の活性領域の中のポリマーは同じでも異なっていてもよい。
【0255】
特定の実施形態では、ポリマーはポリビニルピリジン又はそのコポリマーである。特定の実施形態では、ポリマーはビニルピリジンとスチレンのコポリマーである。
特定の実施形態では、複数の酵素を含む酵素系が所与の活性領域に存在するときに、複数の酵素の全てがポリマーに共有結合していてよい。特定の他の実施形態では、複数の酵素の一部のみがポリマーに共有結合される。例えば、限定するものではないが、酵素系の中の1つ以上の酵素がポリマーに共有結合してもよく、少なくとも1つの酵素がポリマーと非共有結合してもよく、それにより非共有結合した酵素がポリマーの中に物理的に保持されていてよい。特定の実施形態では、NAD(P)依存性酵素は、ポリマーに共有結合することができる。代わりに、NAD(P)依存性酵素は、ポリマーと非共有結合することができる。特定の実施形態では、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼは、開示される被検物質センサの活性領域内のポリマーに共有結合され得る。特定の実施形態では、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼは、ポリマーに共有結合することができ、ジアフォラーゼは、ポリマーと非共有結合することができる。代わりに、ジアフォラーゼはポリマーに共有結合されてもよく、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼはポリマーに非共有結合されてもよい。
【0256】
特定の実施形態では、安定剤が活性領域に存在するとき、領域内の1つ以上の酵素は、安定剤に共有結合され得る。例えば、限定するものではないが、酵素系内の1つ以上の酵素、例えば1つ以上のNAD(P)依存性酵素は、活性領域に存在する安定剤、例えばアルブミンに共有結合され得る。
【0257】
特定の実施形態では、所与の活性領域におけるポリマー及び/又は安定剤への1つ以上の酵素及び/又は酸化還元メディエータの共有結合は、好適な架橋剤によって導入される架橋を介して起こり得る。特定の実施形態では、1つ以上の酵素及び/又は酸化還元メディエータへのポリマーの架橋は、電極からの酵素組成物の層間剥離の発生を低減することができる。好適な架橋剤は、限定されないが、ビニル、アルコキシ、アセトキシ、エノキシ、オキシム、アミノ、ヒドロキシル、シアノ、ハロ、アクリレート、エポキシド、及びイソシアナート基等の1つ以上の架橋可能な官能基を含み得る。特定の実施形態では、架橋剤は1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上のエポキシド基を備える。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のための架橋剤は、モノ-、ジ-、トリ-、及びテトラ-エチレンオキシドを含むことができる。特定の実施形態では、酵素中の遊離アミノ基との(例えばリジン中の遊離側鎖アミンとの)反応のための架橋剤は、例えばポリエチレングリコールジブチルエーテル類、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル類、ポリアルキレングリコールアリルメチルエーテル類、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)、又はその他のポリエポキシド類、塩化シアヌル、N-ヒドロキシスクシンイミド、イミドエステル類、エピクロロヒドリン、又はそれらの誘導体化バリアント等の架橋剤を含み得る。特定の実施形態では、架橋剤は、例えば約200~1000、例えば約400の平均分子量(M)を有するPEGDGEである。特定の実施形態では、架橋剤はPEGDGE400である。特定の実施形態では、架橋剤はグルタルアルデヒドであり得る。酵素中の遊離のカルボン酸基との反応のために好適な架橋剤は、例えばカルボジイミド類を含み得る。特定の実施形態では、架橋剤はポリエチレングリコールジグリシジルエーテルである。特定の実施形態では、ポリマーへの酵素の架橋は、一般的に分子間である。特定の実施形態では、ポリマーへの酵素の架橋は、一般的に分子内である。
【0258】
6.物質移動制限膜
特定の実施形態では、本明細書で開示される被検物質センサは、被検物質に対して透過性があり、少なくとも活性領域、例えば第1の活性領域及び/又は第2の活性領域を被覆する膜をさらに含む。
【0259】
特定の実施形態では、本明細書で開示される被検物質センサは、被検物質に対して透過性があり、少なくとも1つの活性領域、例えば第1の活性領域及び/又は第2の活性領域を被覆する膜をさらに含む。特定の実施形態では、膜は、被検物質センサの活性領域の各々を被覆する。代わりに、第1の膜が活性領域の1つを覆い、第2の膜が第2の活性領域を覆う。代わりに、第1の膜が活性領域の1つを覆い、第2の膜が第1及び第2の活性領域の両方を覆う。
【0260】
特定の実施形態では、被検物質応答性活性領域を被覆する膜は、物質移動制限膜として、及び/又は生体適合性を改善するために、機能し得る。物質移動制限膜は、センサの使用中に、被検物質(例えば、グルコース、アルコール、ケトン、乳酸塩、又はβ-ヒドロキシブチレート)の物質移動速度を減少させるための拡散制限バリアとして作用し得る。例えば、限定するものではないが、物質移動制限膜によって被検物質応答性活性領域への被検物質、例えばケトンのアクセスを制限することによって、センサの過負荷(飽和)を避けることに役立ち、それにより、検出性能及び精度を改善し得る。特定の実施形態では、物質移動制限層は、電気化学センサ内の電極への被検物質のフラックスを制限し、その結果、センサは、広範囲の被検物質濃度にわたって線形に応答する。
【0261】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は均一であってよく、単一成分であってよい(単一膜ポリマーを含む)。代わりに、物質移動制限膜は多成分であってよい(2つ以上の異なる膜ポリマーを含む)。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、2つ以上の層、例えば二層又は三層の膜を含み得る。特定の実施形態では、各層は異なる濃度又は厚さで、異なるポリマー又は同じポリマーを備え得る。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよく、第2の被検物質応答性活性領域は、単一膜によって覆われてもよい。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよく、第2の被検物質応答性活性領域は、多層膜、例えば、二層膜によって覆われてもよい。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、単一膜によって覆われてもよく、第2の被検物質応答性活性領域は、多層膜によって覆われてもよく、例えば、二層膜は、単一膜によって覆われてもよい。特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域は、単一膜によって覆われてもよく、第2の被検物質応答性活性領域は、単一膜によって覆われてもよい。
【0262】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ヘテロ環窒素基を含む架橋ポリマーを含み得る。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン系ポリマーを含み得る。ポリビニルピリジン系ポリマーの非限定的な例は、その内容が参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許公開第2003/0042137号(例えば式2b)に開示されている。
【0263】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン(例えばポリ(4-ビニルピリジン)又はポリ(4-ビニルピリジン)、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジンコポリマー(例えばビニルピリジンとスチレンのコポリマー)、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン-コ-テトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、生体安定性ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタンのホモポリマー、コポリマー、又はターポリマー、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンジフルオリド、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、セルロースポリマー、ポリスルホン及び例えばジブロック、トリブロック、交互、ランダム、及びグラフトコポリマーを含むそれらのブロックコポリマー、又は化学的に関連する材料その他を含み得る。
【0264】
特定の実施形態では、本開示における使用のための膜、例えば単一成分膜は、ポリビニルピリジン(例えばポリ(4-ビニルピリジン)及び/又はポリ(2-ビニルピリジン)を含み得る。特定の実施形態では、本開示における使用のための膜、例えば単一成分膜は、ポリ(4-ビニルピリジン)を含み得る。特定の実施形態では、本開示において使用するための膜、例えば、単一成分膜は、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含み得る。特定の実施形態では、膜はポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを備え得る。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のためのポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーは、ピリジン窒素原子の一部が架橋されていないポリエチレングリコール尾部によって官能化され、かつピリジン窒素原子の一部がアルキルスルホン酸基によって官能化されたポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを含み得る。特定の実施形態では、膜ポリマーとしての使用のための誘導体化されたポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーは、その内容が参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第8,761,857号に記載された10Q5ポリマーであり得る。特定の実施形態では、ポリビニルピリジン系ポリマーは、約50Da~約500kDaの分子量を有する。
【0265】
特定の実施形態では、膜は、それだけに限らないが、ポリ(スチレン-コ-無水マレイン酸)、ドデシルアミン及びポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル)で架橋されたポリ(プロピレングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレングリコール)(2-アミノプロピルエーテル);ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド);ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)のコポリマー;又はそれらの組合せ等のポリマーを備え得る。
【0266】
特定の実施形態では、膜は、親水性と疎水性の両方の領域を含むポリウレタン膜を含む。特定の実施形態では、疎水性ポリマー成分は、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、又はポリ(エーテル-ウレタン-ウレア)である。特定の実施形態では、ポリウレタンは、ジイソシアナートと二官能性ヒドロキシル含有材料との縮合反応によって生成されるポリマーである。特定の実施形態では、ポリウレタンウレアは、ジイソシアナートと二官能性アミン含有材料との縮合反応によって生成されるポリマーである。特定の実施形態では、本明細書における使用のためのジイソシアナートは、例えば約4~約8個のメチレン単位を含む脂肪族ジイソシアナート、又は脂環式部分を含むジイソシアナートを含む。本開示のセンサの膜の生成のために使用され得るポリマーのさらなる非限定的な例は、ビニルポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、無機ポリマー(例えばポリシロキサン及びポリカルボシロキサン)、天然ポリマー(例えばセルロース系及びタンパク質ベース材料)、及び混合物(例えば混合された又は層化された構造)、又はそれらの組合せを含む。特定の実施形態では、親水性ポリマー成分は、ポリエチレンオキシド及び/又はポリエチレングリコールである。特定の実施形態では、親水性ポリマー成分はポリウレタンコポリマーである。例えば、限定するものではないが、本開示における使用のための疎水性-親水性コポリマー成分は約10%~約50%、例えば20%の親水性ポリエチレンオキシドを備えるポリウレタンポリマーである。
【0267】
特定の実施形態では、膜はシリコーンポリマー/疎水性-親水性ポリマーブレンドを含む。特定の実施形態では、ブレンド中での使用のための疎水性-親水性ポリマーは、それだけに限らないが、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール又はポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、及び例えばジブロック、トリブロック、交互、ランダム、くし型、星型、樹状、及びグラフトコポリマーを含むそれらのコポリマー等の任意の好適な疎水性-親水性ポリマーであり得る。特定の実施形態では、疎水性-親水性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)とポリ(プロピレンオキシド)(PPO)のコポリマーである。PEOとPPOのコポリマーの非限定的な例は、PEO-PPOジブロックコポリマー、PPO-PEO-PPOトリブロックコポリマー、PEO-PPO-PEOトリブロックコポリマー、PEO-PPOの交互ブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのランダムコポリマー、及びそれらのブレンドを含む。特定の実施形態では、コポリマーはヒドロキシ置換基によって置換され得る。
【0268】
特定の実施形態では、親水性又は疎水性の改質剤を用いて、目的の被検物質に対する得られた膜の透過性を「微調整」することができる。特定の実施形態では、ポリ(エチレン)グリコール、ヒドロキシル又はポリヒドロキシル改質剤等の親水性改質剤、及びそれらの任意の組合せを用いて、ポリマー又は得られる膜の生体適合性を向上させることができる。
【0269】
複数の活性領域が存在する特定の実施形態では、物質移動制限膜が、異なる活性領域における組成の変更の選択を含めて各活性領域を被覆することができ、これはセンサ先端により密接に配置された作用電極において二層膜部分を生成する連続的なディップコーティング操作を介して達成され得る。
【0270】
複数の活性領域が存在する特定の実施形態では、別個の物質移動制限膜が、各活性領域を被覆し得る。例えば、限定するものではないが、物質移動制限膜が、第1の活性領域、例えばケトン類応答性活性領域の上に配置されてもよく、別個の第2の物質移動制限膜が、第2の活性領域、例えばグルコース応答性活性領域を被覆してもよい。特定の実施形態では、2つの物質移動制限膜は空間的に分離されており、相互に重ならない。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜は第2の物質移動制限膜と重ならず、第2の物質移動制限膜は第1の物質移動制限膜と重ならない。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜は第2の物質移動制限膜とは異なるポリマーを備える。代わりに、第1の物質移動制限膜は、第2の物質移動制限膜と同じポリマーを備える。特定の実施形態では、第1の物質移動制限膜は、第2の物質移動制限膜と同じポリマーを備えるが、異なる架橋剤を備える。
【0271】
特定の実施形態では、2つの活性領域を有する被検物質センサ上に配置された物質移動制限膜の組成は、物質移動制限膜が各活性領域を被覆している場合に、同じでも異なってもよい。例えば、限定するものではないが、ケトン類応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜の部分は多成分でよく、及び/又はグルコース応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜の部分は単一成分でよい。代わりに、ケトン類応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜の部分は単一成分でよく、及び/又はグルコース応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜の部分は多成分でよい。
【0272】
特定の実施形態では、グルコース応答性活性領域は、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、又はポリ(エーテル-ウレタン-ウレア)を備える膜に被覆され得る。特定の実施形態では、グルコース応答性活性領域は、ポリウレタンを備える膜に被覆され得る。本開示の特定の実施形態では、ケトン類応答性活性領域及び第2の被検物質応答性領域、例えばグルコース応答性活性領域が、ポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを備える膜に被覆され得る。
【0273】
特定の実施形態では、膜、例えば、単一成分膜は、ポリビニルピリジンを含むことができる。特定の実施形態では、膜、例えば、単一成分膜は、ビニルピリジンとスチレン(又はその誘導体)とのコポリマーを含むことができる。
【0274】
特定の実施形態では、多成分膜は、二層膜として又は2つ以上の膜ポリマーの均一な混合物として存在し得る。均一な混合物は、2つ以上の膜ポリマーを溶液中で混合し、次に、この溶液を作用電極上に堆積すること(例えば、ディッピング)によって堆積され得る。本開示の特定の実施形態では、第1の被検物質応答性活性領域、例えばケトン類応答性活性領域は、ポリビニルピリジン及びポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを備える多成分膜で、二層膜又は均一な混合物のいずれかとして被覆されてもよく、第2の被検物質応答性活性領域、例えばグルコース応答性活性領域は、ポリビニルピリジン-コ-スチレンコポリマーを備える膜で被覆されてもよい。
【0275】
ビニルピリジンとスチレンの好適なコポリマーは、約0.01%~約50%モルパーセント、又は約0.05%~約45%モルパーセント、又は約0.1%~約40%モルパーセント、又は約0.5%~約35%モルパーセント、又は約1%~約30%モルパーセント、又は約2%~約25%モルパーセント、又は約5%~約20%モルパーセントの範囲のスチレン含量を有し得る。置換スチレン類が同様に同様の量で使用され得る。ビニルピリジンとスチレンの好適なコポリマーは、5kDa以上、又は約10kDa以上、又は約15kDa以上、又は約20kDa以上、又は約25kDa以上、又は約30kDa以上、又は約40kDa以上、又は約50kDa以上、又は約75kDa以上、又は約90kDa以上、又は約100kDa以上の分子量を有し得る。非限定的な例では、ビニルピリジンとスチレンの好適なコポリマーは、約5kDa~約150kDa、又は約10kDa~約125kDa、又は約15kDa~約100kDa、又は約20kDa~約80kDa、又は約25kDa~約75kDa、又は約30kDa~約60kDaの範囲の分子量を有し得る。
【0276】
ポリジメチルシロキサン(PDMS)は、本明細書で開示される物質移動制限膜のいずれかに組み込まれ得る。
特定の実施形態では、本明細書に記載される被検物質センサは、少なくともNAD(P)デポーと、NAD(P)デポーを被覆する透過性ポリマーと、第1の透過性作用電極と、第1の作用電極の表面上に配置された第1の活性領域と、少なくとも第1の活性領域を被覆する第1の被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを備えるセンサ尾部を備えることができる。
【0277】
特定の実施形態では、第1の活性領域は、第1の被検物質に応答する少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素(任意選択で、活性領域内に存在する第1のポリマーに共有結合している)を備える。例えば、限定するものではないが、本明細書に記載の被検物質センサは、少なくともNAD(P)デポーと、NAD(P)デポーを被覆する透過性ポリマーと、第1の作用電極と、第1の作用電極の表面上に配置され、少なくとも1つのNAD(P)依存性酵素を備える被検物質応答性活性領域と、被検物質応答性活性領域を被覆し、被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを備えるセンサ尾部を備えることができる。
【0278】
特定の実施形態では、第1の活性領域は、第1のポリマーと、任意選択で第1のポリマーに共有結合しており、第1の被検物質、例えばグルコースに対して応答性の酵素、例えばNAD(P)依存性酵素とを備える。例えば、限定するものではないが、本明細書に記載の被検物質センサは、少なくともNAD(P)デポーと、第1の作用電極と、第1の作用電極の表面上に配置され、グルコースデヒドロゲナーゼ(任意選択で、第1のポリマーに共有結合している)を備えるグルコース応答性活性領域と、グルコース応答性活性領域を被覆し、グルコースに対して透過性のある物質移動制限膜とを備えるセンサ尾部を備えることができる。
【0279】
特定の実施形態では、第1の活性領域は、第1のポリマーと、任意選択で第1のポリマーに共有結合している少なくとも1つの酵素、例えばNAD依存性酵素を備え、第1の被検物質、例えばケトン類に応答する酵素系とを備える。例えば、限定するものではないが、本明細書に記載の被検物質センサは、少なくともNAD(P)デポーと、第1の作用電極と、第1の作用電極の表面上に配置され、β-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼを備える酵素系(一方又は両方の酵素がポリマーに共有結合している)を備えるケトン類応答性活性領域と、ケトン類応答性活性領域を被覆し、ケトンに対して透過性のある物質移動制限膜とを備えるセンサ尾部を備えることができる。
【0280】
特定の実施形態では、異なる被検物質をアッセイするように構成された第1の活性領域と第2の活性領域が別の作用電極の上に配置されると、物質移動制限膜は第1の被検物質と第2の被検物質に対して異なる透過性値を有し得る。例えば、限定するものではないが、活性領域の少なくとも1つを被覆する物質移動制限膜は、第1の膜ポリマーと第2の膜ポリマーの混合物、又は第1の膜ポリマーと第2の膜ポリマーの二層を含み得る。均一な膜が混合物又は二層によって被覆されていない活性領域を被覆してもよく、均一な膜は第1の膜ポリマー又は第2の膜ポリマーの一方のみを含む。有利なことに、本明細書に開示された被検物質センサのアーキテクチャは、均一な膜部分を有する連続膜が被検物質センサの第1の活性領域の上に配置されること、及び、多成分膜部分が被検物質センサの第2の活性領域の上に配置されることを可能にし、それにより、各被検物質に対する透過性値が同時に平準化され、感度及び検出精度を改善する。特定の実施形態では、連続的なディップコーティング操作によって連続的な膜堆積を行なうことができる。
【0281】
特定の実施形態では、複数の活性領域が存在するとき、物質移動制限膜は、各活性領域を覆うことができる。特定の実施形態では、物質移動制限層は、ポリビニルピリジン及びポリビニルイミダゾールのポリマーなどの複素環式窒素基を含有する架橋ポリマーから構成される膜である。実施形態はまた、ポリウレタン、又はポリエーテルウレタン、又は化学的に関連する物質から作製される膜、又はシリコーンなどから作製される膜を含む。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリビニルピリジン又はポリビニルイミダゾールホモポリマー又はコポリマーなどの膜ポリマーを含むことができ、これは、適切な架橋剤でさらに架橋され得る。特定の実施形態では、膜ポリマーは、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマーを含むことができる。
【0282】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、本明細書及び上記のセクション5に開示される架橋剤で架橋された膜ポリマーを備えることができる。2つの物質移動制限膜、例えば第1の物質移動制限膜と第2の物質移動制限膜が存在する特定の実施形態では、各膜が異なる架橋剤に架橋され得る。例えば、限定するものではないが、架橋剤は、例えば膜の中の細孔のサイズに影響を及ぼすことによって、特定の化合物、例えば膜の中の被検物質の拡散をより制限するか、又は特定の化合物の拡散をあまり制限しない膜をもたらし得る。例えば、限定するものではないが、ケトン類及びグルコースを検出するように構成されたセンサにおいて、ケトン類応答性領域を被覆する物質移動制限膜は、ケトン類より大きな化合物、例えばグルコースの膜を介する拡散を制限する細孔径を有し得る。
【0283】
特定の実施形態では、本開示における使用のための架橋剤は、ポリエポキシド、カルボジイミド、塩化シアヌル、トリグリシジルグリセロール、N-ヒドロキシスクシンイミド、イミドエステル類、エピクロロヒドリン、又はそれらの誘導体化バリアントを含み得る。特定の実施形態では、1つ以上の活性領域を被覆する膜ポリマーは、例えば物質移動制限膜から得られる抽出物の量を減少させることができる分岐架橋剤に架橋され得る。分岐架橋剤の非限定的な例は、例えば2つ、3つ、又はそれ以上の架橋性基を含む分岐グリシジルエーテル架橋剤を含む分岐グリシジルエーテル架橋剤を含む。特定の実施形態では、分岐架橋剤は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の2つ以上の架橋性基を含み得る。特定の実施形態では、分岐架橋剤は、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル等の3つ以上の架橋性基を含み得る。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル又はポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の2つ又は3つの架橋性基を含む分岐グリシジルエーテル架橋剤に架橋されたポリビニルピリジン又はビニルピリジンとスチレンのコポリマーを含み得る。特定の実施形態では、ポリエポキシド、例えばポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル又はポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシド基は、エポキシド環の開環によってピリジン又はイミダゾールと共有結合を形成し、架橋剤の本体と膜ポリマーのヘテロ環とを架橋するヒドロキシアルキル基をもたらすことができる。
【0284】
特定の実施形態では、架橋剤はポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)である。特定の実施形態では、2つ以上の膜ポリマー骨格の間の架橋(例えば分子間架橋)を促進するために用いられるPEGDGEは、広範囲の好適な分子量を示し得る。特定の実施形態では、PEGDGEの分子量は、約100g/モル~約5000g/モルの範囲であり得る。PEGDGEの各アームにおけるエチレングリコール繰り返し単位の数は同じでも異なってもよく、一般に、平均分子量が得られる所与のサンプルの中の範囲にわたって変動し得る。特定の実施形態では、本開示における使用のためのPEGDGEは、約200~1000、例えば約400の平均分子量(M)を有する。特定の実施形態では、架橋剤はPEGDGE400である。
【0285】
特定の実施形態では、2つ以上の膜ポリマー骨格の間の架橋(例えば分子間架橋)を促進するために用いられるポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルは、広範囲の好適な分子量を示し得る。4つまでのポリマー骨格が、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテル架橋剤の単一分子によって架橋され得る。特定の実施形態では、ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルの分子量は、約1000g/モル~約5000g/モルの範囲であり得る。ポリエチレングリコールテトラグリシジルエーテルの各アームにおけるエチレングリコール繰り返し単位の数は同じでも異なってもよく、一般に、平均分子量が得られる所与のサンプルの中の範囲にわたって変動し得る。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、活性領域上に直接堆積され得る。
【0286】
特定の実施形態では、物質移動制限膜は、約0.1μm~約1000μm、例えば約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、又は約10μm~約100μmの範囲の厚さ、例えば乾燥厚さを有する。特定の実施形態では、物質移動制限膜は、約0.1μm~約10μm、例えば約0.5μm~約10μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、又は約0.1μm~約5μmの厚さを有し得る。特定の実施形態では、センサは物質移動制限膜溶液に2回以上浸され得る。例えば、限定するものではないが、本開示のセンサ(又は作用電極)は、所望の干渉ドメインの厚さを得るために、干渉ドメインの溶液に少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、又は少なくとも5回、浸され得る。
【0287】
7.干渉ドメイン
特定の実施形態では、本開示のセンサ、例えばセンサ尾部は干渉ドメインをさらに備え得る。特定の実施形態では、干渉ドメインは、例えば作用電極の表面への1つ以上の干渉物質の流れを制限するポリマードメインを含み得る。特定の実施形態では、干渉ドメインは、作用電極によって測定される被検物質及び他の物質を通過させる一方、干渉物質等の他の物質の通過を防止する分子ふるいとして機能し得る。特定の実施形態では、干渉物質は、作用電極で得られる信号に影響を及ぼし得る。干渉物質の非限定的な例は、アセトアミノフェン、アルコルビン酸塩、アスコルビン酸、ビリルビン、コレステロール、クレアチニン、ドーパミン、エフェドリン、イブプロフェン、L-ドーパ、メチルドーパ、サリチル酸塩、テトラサイクリン、トラザミド、トルブタミド、トリグリセリド、尿素、及び尿酸を含む。
【0288】
特定の実施形態では、干渉ドメインは、作用電極と1つ以上の活性領域、例えばケトン類応答性活性領域の間に配置される。特定の実施形態では、干渉ドメインにおいて使用され得るポリマーの非限定的な例は、ポリウレタン、ペンダントイオン性基を有するポリマー、及び制御された孔径を有するポリマーを含む。特定の実施形態では、干渉ドメインは1つ以上のセルロース系誘導体から形成される。セルロース系誘導体の非限定的な例は、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、2-ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートトリメリテート等のポリマーを含む。
【0289】
特定の実施形態では、干渉ドメインは、物質移動制限膜の一部であり、別個の膜ではない。
特定の実施形態では、干渉ドメインは、非膨潤性で高分子量種の拡散を制限する薄い疎水性膜を含む。例えば、限定するものではないが、干渉ドメインは比較的低分子量の物質、例えば過酸化水素に対して透過性がある一方、高分子量の物質、例えばケトン類、グルコース、アセトアミノフェン、及び/又はアスコルビン酸等の通過を制限する。
【0290】
特定の実施形態では、干渉ドメインは作用電極の上に、例えば透過性作用電極の表面の上に、直接堆積され得る。特定の実施形態では、干渉ドメインは、約0.1μm~約1000μm、例えば約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、又は約10μm~約100μmの範囲の厚さ、例えば乾燥厚さを有する。特定の実施形態では、干渉ドメインは、約0.1μm~約10μm、例えば約0.5μm~約10μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、又は約0.1μm~約5μmの厚さを有し得る。特定の実施形態では、センサは干渉ドメインの溶液に2回以上浸され得る。例えば、限定するものではないが、本開示のセンサ(又は作用電極)は、所望の干渉ドメインの厚さを得るために、干渉ドメインの溶液に少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、又は少なくとも5回、浸され得る。
【0291】
8.製造
本開示は、1つ以上の活性領域、1つ以上のNAD(P)デポー、及び1つ以上の作用電極を含む本開示の被検物質センサを製造するための方法をさらに提供する。
【0292】
特定の実施形態では、本方法は、NAD(P)を含有する組成物を基板上に堆積させて、NAD(P)デポーを生成することを含む。例えば、限定するものではないが、組成物はNAD及び/又はNADPであってもよく、これは活性領域に存在する酵素に依存する。特定の実施形態では、本方法は、NAD(P)デポーの上部に透過性層を付加することをさらに含むことができる。特定の実施形態では、透過性層は、デポーからのNAD(P)の放出を制御するポリマーを含むことができる。代わりに、ポリマー及びNAD(P)を備える組成物を基板上に堆積させて、NAD(P)デポーを生成することができる。特定の実施形態では、NAD(P)デポーのポリマーは、硬化性、例えば、UV硬化性である。
【0293】
特定の実施形態では、本方法は、透過性層上に、透過性作用電極、例えば、カーボンナノチューブ電極を生成することをさらに含むことができる。
特定の実施形態では、本方法は、1つ以上のNAD(P)依存性酵素、例えば、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼを備える酵素組成物を作用電極上に堆積させることをさらに含むことができる。特定の実施形態では、酵素組成物は、1つ以上のさらなる酵素(例えば、ジアフォラーゼ)、架橋剤(例えば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)、ポリマー及び/又は酸化還元メディエータを含み得る。特定の実施形態では、酵素組成物は、作用電極の所望の部分を被覆する1つの大きな塗布として、又は複数の酵素組成物のアレイの形態で(例えば、互いに間隔を空けて)作用電極の表面上に堆積されて、1つ以上の被検物質を検出するための1つ以上の活性領域を生成し得る。特定の実施形態では、本方法は酵素組成物を硬化させることをさらに含み得る。
【0294】
特定の実施形態では、NAD(P)、透過性ポリマー、透過性作用電極及び酵素組成物は、堆積後に乾燥又は硬化して固化する溶液として調製され得る。従って、特定の実施形態では、全ての層は、少量の液体ハンドリング又はハイスループットセンサ製造のための類似技術を使用して、自動化された様式で堆積されることができる。
【0295】
特定の実施形態では、本方法は、硬化した酵素組成物の上及び/又はセンサ全体の周囲に膜組成物を添加することをさらに含むことができる。特定の実施形態では、膜組成物は、ポリマー、例えばポリビニルピリジン及び/又は架橋剤、例えばポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを含み得る。特定の実施形態では、本方法は膜ポリマー組成物を硬化させることを含み得る。
【0296】
一般に、膜の厚さは、膜溶液の濃度、塗布する膜溶液の液滴の数、センサを膜溶液に浸す又はセンサに膜溶液を噴霧する回数、センサに噴霧する膜溶液の体積等、及びこれらの要素の任意の組合せによって制御される。特定の実施形態では、本明細書に記載した膜は、約0.1マイクロメートル(μm)~約1000μm、例えば約1μm~約500μm、約10μm~約100μm、又は約10μm~約100μmの範囲の厚さを有し得る。特定の実施形態では、センサは膜溶液に2回以上浸され得る。例えば、限定するものではないが、本開示のセンサ(又は作用電極)は、所望の膜の厚さを得るために、膜溶液に少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、又は少なくとも5回、浸され得る。
【0297】
特定の実施形態では、膜は1つ以上の活性領域を覆うことができ、特定の実施形態では、活性領域は約0.1μm~約10μm、例えば約0.5μm~約10μm、約1μm~約10μm、約1μm~約5μm、又は約0.1μm~約5μmの厚さを有し得る。特定の実施形態では、活性領域及び/又は膜の所望の厚さを達成するために、塗布する液滴の直径を実質的に増加させることなく(すなわち所望の直径又はその範囲を維持しながら)、一連の液滴を互いの上に塗布してよい。特定の実施形態では、各単一の液滴を塗布し、次に、放冷又は乾燥させ、続いて1つ以上のさらなる液滴を塗布し得る。例えば、限定するものではないが、活性領域の所望の厚さを達成するために、少なくとも1つの液滴、少なくとも2つの液滴、少なくとも3つの液滴、少なくとも4つの液滴、又は少なくとも5つの液滴を互いの上に添加する。
【0298】
III.被検物質モニタリング
本開示は、インビボで被検物質を検出するために本明細書に開示される被検物質センサを使用する方法をさらに提供する。特定の実施形態では、本開示は、1つ以上の被検物質、例えば、1つの被検物質又は2つの被検物質を検出するための方法を提供する。例えば、限定するものではないが、本開示は、1つ以上のNAD(P)依存性酵素を使用して、グルコース、ケトン類、乳酸塩、酸素、ヘモグロビンA1C、アルブミン、アルコール、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパルテートアミノトランスフェラーゼ、ビリルビン、血中尿素窒素、カルシウム、二酸化炭素、塩化物、クレアチニン、ヘマトクリット、乳酸塩、マグネシウム、酸素、pH、リン、カリウム、ナトリウム、総タンパク質及び/又は尿酸を含む1つ以上の被検物質を検出するための方法を提供する。特定の実施形態では、被検物質は、1つ以上のNAD(P)依存性酵素を使用するケトン類、アルコール、グルコース及び/又は乳酸塩であり得る。例えば、限定するものではないが、本開示は、1つ以上のケトン類を検出するための方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、グルコースを検出するための方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、クレアチニンを検出するための方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、乳酸塩を検出するための方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、アルコールを検出するための方法を提供する。
【0299】
特定の実施形態では、本開示は、NAD(P)デポーと、1つ以上のNAD(P)依存性酵素、例えばNAD(P)依存性デヒドロゲナーゼとを含む被検物質センサを用いて、被検物質のインビボレベルを経時的にモニタリングするための方法を提供する。一般に、対象の体液における被検物質のインビボ濃度をモニタリングすることは、本明細書に開示されるインビボ被検物質センサを皮膚表面下に少なくとも部分的に挿入することと、モニタリングされる流体(間質液、血液、真皮液など)を挿入されたセンサと接触させることと、作用電極においてセンサ信号を生成することとを含む。被検物質センサによって検出された被検物質の存在及び/又は濃度は、表示され、記憶され、転送され、及び/又は他の方法で処理され得る。対象のセンサを用いて被検物質(例えば、グルコース、アルコール、ケトン及び/又は乳酸塩)の濃度を決定するために、様々なアプローチを採用することができる。特定の実施形態では、センサ信号を使用して被検物質の濃度をモニタリングすることは、クーロメトリー、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、ポテンショメトリー又は任意の他の好都合な電気化学的検出技術によって行われることができる。
【0300】
特定の実施形態では、被検物質を検出するための方法は、(i)(a)NAD(P)の内部供給源と、(b)NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、(c)透過性ポリマーの表面上に配置され、透過性作用電極である少なくとも第1の作用電極と、(d)第1の作用電極の表面上に配置され、NAD(P)依存性酵素を備える被検物質応答性活性領域と、(e)少なくとも被検物質応答性活性領域を被覆し、被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを含む被検物質センサを提供することと、(ii)第1の作用電極に電位を印加することと、(iii)被検物質応答性活性領域の酸化還元電位以上で、被検物質応答性活性領域に接触する流体中の被検物質の濃度に比例する第1の信号を得ることと、(iv)第1の信号を流体中の被検物質の濃度に相関させることとを含む。
【0301】
特定の実施形態では、1つ以上のケトン類を検出するための方法は、(i)(a)NAD(P)の内部供給源と、(b)NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、(c)透過性ポリマーの表面上に配置され、透過性作用電極である少なくとも第1の作用電極と、(d)第1の作用電極の表面上に配置され、β-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼ及びジアフォラーゼを備えるケトン類応答性活性領域と、(e)少なくとも被検物質応答性領域を被覆し、ケトン類に対して透過性のある物質移動制限膜とを含む被検物質センサを提供することと、(ii)第1の作用電極に電位を印加することと、(iii)ケトン類応答性活性領域の酸化還元電位以上で、被検物質応答性活性領域に接触する流体中の被検物質の濃度に比例する第1の信号を得ることと、(iv)第1の信号を流体中のケトン類の濃度に相関させることとを含む。
【0302】
特定の実施形態では、本開示の方法は、第2の活性領域を含む被検物質センサを提供することによって、及び/又は第2の活性領域を含む被検物質センサを第1の被検物質及び第2の被検物質を備える流体に曝露することによって、第2の被検物質を検出することをさらに含み得る。特定の実施形態では、第1の被検物質及び第2の被検物質を検出するための方法における使用のための被検物質センサは、第2の作用電極及び第2の作用電極の表面上に配置され、第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答する第2の活性領域をさらに含んでよく、第2の活性領域は第2のポリマー、第2のポリマーに共有結合した第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素、及び任意選択で第2のポリマーに共有結合した酸化還元メディエータを含み、物質移動制限膜の一部、例えば第2の部分が第2の活性領域を被覆している。代わりに、第2の活性部位は、ケトン類応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜とは別の及び/又は異なる第2の物質移動制限膜によって被覆され得る。特定の実施形態では、第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素は、第2の被検物質に集合的に応答する複数の酵素を備える酵素系を備える。
【0303】
特定の実施形態では、本方法はさらに、電子機器ユニットを患者の皮膚に取り付けることと、電子機器ユニットの導電性接点をセンサの接点に結合することと、センサによって生成された信号から被検物質のレベルに関するデータを電子機器ユニットを使用して収集することと、収集されたデータを電子機器ユニットからレシーバユニットに、例えば、RFによって転送することとを含む。特定の実施形態では、レシーバユニットは携帯電話である。特定の実施形態では、携帯電話は、モニタリングされる被検物質に関連するアプリケーションを含む。特定の実施形態では、被検物質情報は、Bluetooth(登録商標)などのRFIDプロトコルによって転送される。
【0304】
特定の実施形態では、被検物質センサは、例えば、連続的又は定期的に、自動被検物質検知のために、ユーザ内に位置付けられ得る。特定の実施形態では、被検物質のレベルは、数秒から数分、数時間、数日、数週間又は数ヶ月の範囲の期間にわたってモニタリングされ得る。特定の実施形態では、本明細書に開示される方法は、限定されないが、時間0における現在の被検物質レベル、及び被検物質濃度又は量の変化率等の取得された情報に基づいて、被検物質の将来のレベルを予測するために使用されることができる。
【0305】
IV.例示的な実施形態
A.特定の非限定的な実施形態では、開示された本主題は、(a)NAD(P)の内部供給源と、(b)NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、(c)透過性ポリマーの表面上に配置され、透過性作用電極である少なくとも第1の作用電極と、(d)第1の作用電極の表面上に配置され、NAD(P)依存性酵素を備える被検物質応答性活性領域と、(e)少なくとも被検物質応答性領域を被覆し、被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを備える被検物質センサを提供する。
【0306】
A1.NAD(P)依存性酵素がNAD(P)依存性デヒドロゲナーゼである、Aに記載の被検物質センサ。
A2.透過性作用電極がカーボンナノチューブを備える、A又はA1に記載の被検物質センサ。
【0307】
A3.透過性ポリマーが、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートを備える、A-A2のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0308】
A4.被検物質が、グルコース、ケトン、アルコール、クレアチニン、乳酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、A-A3のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0309】
A5.被検物質がグルコースである、A4に記載の被検物質センサ。
A6.被検物質が乳酸塩である、A4に記載の被検物質センサ。
A7.被検物質がアルコールである、A4に記載の被検物質センサ。
【0310】
A8.被検物質がケトンである、A4に記載の被検物質センサ。
A9.NAD(P)依存性酵素がグルコースデヒドロゲナーゼである、A5に記載の被検物質センサ。
【0311】
A10.NAD(P)依存性酵素が乳酸デヒドロゲナーゼである、A6に記載の被検物質センサ。
A11.NAD(P)依存性酵素がアルコールデヒドロゲナーゼである、A7に記載の被検物質センサ。
【0312】
A12.NAD(P)依存性酵素がβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼである、A8に記載の被検物質センサ。
A13.被検物質応答性活性領域がジアフォラーゼをさらに備える、A-A12のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0313】
A14.被検物質応答性活性領域が、酸化還元メディエータを更に備える、A-A13のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
A15.被検物質応答性活性領域が安定剤を更に備える、A-A14のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0314】
A16.安定剤がアルブミンを備える、A15に記載の被検物質センサ。
A17.被検物質応答性活性領域が、架橋剤を更に備える、A-A16のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0315】
A18.NAD(P)の内部供給源が、約1μg~約1000μgのNAD(P)を備える、A-A17のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
A19.物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン(例えば、ポリ(4-ビニルピリジン)又はポリ(4-ビニルピリジン))、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジンコポリマー(例えば、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマー)、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン、又はこれらの組み合わせを備える、A-A18のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0316】
A20.被検物質センサであって、(vi)第2の作用電極と、(vii)第2の作用電極の表面上に配置され、前記第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答する第2の活性領域であって、第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を備える、第2の活性領域とをさらに備え、物質移動制限膜の第2の部分が、第2の活性領域を被覆する被検物質センサである、A-A19のいずれか1つに記載の被検物質センサ。
【0317】
B.特定の非限定的な実施形態では、開示された本主題は、(i)被検物質センサを提供することであって、(a)NAD(P)の内部供給源と、(b)NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、(c)透過性ポリマーの表面上に配置され、透過性作用電極である少なくとも第1の作用電極と、(d)第1の作用電極の表面上に配置され、NAD(P)依存性酵素を備える被検物質応答性活性領域と、(e)少なくとも被検物質応答性領域を被覆し、被検物質に対して透過性のある物質移動制限膜とを備える被検物質センサを提供することと、(ii)第1の作用電極に電位を印加することと、(iii)第1の活性領域の酸化還元電位以上で、第1の活性領域に接触する流体中の第1の被検物質の濃度に比例する第1の信号を得ることと、(iv)第1の信号を流体中の第1の被検物質の濃度に相関させることとを備える、被検物質を検出するための方法を提供する。
【0318】
B1.NAD(P)依存性酵素がNAD(P)依存性デヒドロゲナーゼである、Bに記載の方法。
B2.透過性作用電極がカーボンナノチューブを備える、請求項B又はB1に記載の方法。
【0319】
B3.透過性ポリマーが、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート及び2-ヒドロキシエチルメタクリレートを備える、B-B2のいずれか1つに記載の方法。
B4.被検物質が、グルコース、ケトン、アルコール、乳酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、B-B3のいずれか1つに記載の方法。
【0320】
B5.被検物質がグルコースである、B4に記載の方法。
B6.被検物質が乳酸塩である、B4に記載の方法。
B7.被検物質がアルコールである、B4に記載の方法。
【0321】
B8.被検物質がケトンである、B4に記載の方法。
B9.NAD(P)依存性酵素がグルコースデヒドロゲナーゼである、B5に記載の方法。
【0322】
B10.NAD(P)依存性酵素が乳酸デヒドロゲナーゼである、B6に記載の方法。
B11.NAD(P)依存性酵素がアルコールデヒドロゲナーゼである、B7に記載の方法。
【0323】
B12.NAD(P)依存性酵素がβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼである、B8に記載の方法。
B13.被検物質応答性活性領域がジアフォラーゼをさらに備える、B-B12のいずれか1つに記載の方法。
【0324】
B14.被検物質応答性活性領域が酸化還元メディエータをさらに備える、B-B13のいずれか1つに記載の方法。
B15.被検物質応答性活性領域が安定剤をさらに備える、B-B14のいずれか1つに記載の方法。
【0325】
B16.安定剤がアルブミンを備える、B15に記載の方法。
B17.被検物質応答性活性領域が架橋剤をさらに備える、B-B16のいずれか1つに記載の方法。
【0326】
B18.NAD(P)の内部供給源が、約1μg~約1000μgのNAD(P)を備える、B-B17のいずれか1つに記載の方法。
B19.物質移動制限膜が、ポリビニルピリジン(例えば、ポリ(4-ビニルピリジン)又はポリ(4-ビニルピリジン))、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジンコポリマー(例えば、ビニルピリジンとスチレンとのコポリマー)、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、シリコーン又はこれらの組み合わせを備える、B-B18のいずれか1つに記載の方法。
【0327】
B20.被検物質センサが、(f)第2の作用電極と、(g)第2の作用電極の表面上に配置され、第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答する第2の活性領域であって、第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を備える第2の活性領域とをさらに備え、物質移動制限膜の第2の部分が第2の活性領域を被覆する、B-B14のいずれか1つに記載の方法。
【0328】
実施例
開示される本主題は、限定としてではなく、開示される本主題の例示として提供される以下の実施例を参照することによって、より良く理解されるであろう。
【0329】
実施例1:ポリマー制御NAD放出システムの調製。
本実施例は、図23Aに示すように、NADデポーを有するセンサを作製するための方法を提供する。
【0330】
被検物質センサは、様々な溶液を堆積させることによって調製した。まず、NAD溶液を薄いプラスチック基板(支持層)上に堆積させ、乾燥させて固体NADを残した。続いて、ポリ(プロピレングリコール)メタクリレート(POMA)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の混合物から構成されるポリマー溶液を固体NAD上に堆積させ、UV照射によって重合させた。次に、カーボンナノチューブ溶液を堆積させ、乾燥させて、透過性電極を形成した。次に、ジアフォラーゼ及びβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼを備える酵素系を含むケトン検知酵素組成物を透過性電極上に堆積させた。最後に、電極を単一化し、ポリビニルピリジン及びポリスチレンコポリマー及び架橋剤を備える膜溶液中にディップコーティングして、外膜を形成した。薄いプラスチック基板上にNADを堆積させなかったことを除いて、対照センサを同様に作製した(図23B)。
【0331】
次に、センサ及び対照の応答を、インビボで存在するケトン類の代替物として使用される2mMのβ-ヒドロキシブチレートを用いて評価した。図24に示されるように、NADデポーを有さない対照センサは、NADが検知層から拡散するにつれて、経時的に減少した信号を示した。しかし、NADデポーを有するセンサは、検知層中の十分なNAD濃度を維持するためのデポーからのNADの持続放出の結果として、経時的な信号の減少を示さなかった。理論に束縛されるものではないが、NADは被検物質から電極への電子の流れを容易にするために必要とされるので、センサの外膜は、NADが検知層から浸出することを可能にするため、経時的なケトン応答の減少をもたらし得ると考えられる。この実施例に示すように、NADデポーの使用は、デポーからのNADの持続放出を可能にして、検知層中のNAD依存性酵素によって使用されるのに十分なNAD濃度を維持することによって、そのような制限を克服することができる。
【0332】
開示された本主題及びその利点を詳細に述べたが、開示された主題の技術的思想及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変形が本明細書で実施できることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載したプロセス、機械、製造、及び物質の組成物、方法及びプロセスの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、ここで開示された主題の開示された主題から容易に理解するように、本明細書に記載した対応する実施形態と実質的に同じ機能を発揮するか、実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成物、方法、又は工程がここで開示された主題に従って利用され得る。従って、添付した特許請求の範囲は、その範囲の中に、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成物、方法、又は工程を含むことを意図している。
【0333】
様々な特許、特許出願、出版物、製品説明書、プロトコル、及び配列受託番号が本出願を介して引用されており、それらの発明はあらゆる目的のためにその全体が参照により本願明細書に援用される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図18C
図19A
図19B
図19C
図20
図21A
図21B
図21C
図22
図23A
図23B
図24
【手続補正書】
【提出日】2023-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)NAD(P)の内部供給源と、
(ii)前記NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、
(iii)前記透過性ポリマーの表面上に配置され、透過性作用電極である少なくとも第1の作用電極と、
(iv)前記第1の作用電極の表面上に配置され、NAD(P)依存性酵素を備える被検物質応答性活性領域と、
(v)前記被検物質に対して透過性があり、少なくとも前記被検物質応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜とを備える、被検物質センサ。
【請求項2】
前記NAD(P)依存性酵素が、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼである、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項3】
前記透過性作用電極が、カーボンナノチューブを備える、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項4】
前記透過性ポリマーが、ポリエーテル系ポリマーを備える請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項5】
前記被検物質が、グルコース、ケトン、アルコール、乳酸塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項6】
前記NAD(P)依存性酵素が、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ又はβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼである、請求項5に記載の被検物質センサ。
【請求項7】
前記被検物質応答性活性領域がジアフォラーゼをさらに備える、請求項6に記載の被検物質センサ。
【請求項8】
前記被検物質応答性活性領域が酸化還元メディエータをさらに備える、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項9】
(vi)第2の作用電極と、
(vii)前記第2の作用電極の表面上に配置され、前記被検物質とは異なる第2の被検物質に応答する第2の活性領域であって、前記第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を備える前記第2の活性領域とを備える被検物質センサであって、
前記物質移動制限膜の第2の部分が前記第2の活性領域を被覆する、請求項1に記載の被検物質センサ。
【請求項10】
(i)被検物質センサを提供することであって、
(a)NAD(P)の内部供給源と、
(b)前記NAD(P)の内部供給源を被覆する透過性ポリマーと、
(c)前記透過性ポリマーの表面上に配置され、透過性作用電極である少なくとも第1の作用電極と、
(d)前記第1の作用電極の表面上に配置され、NAD(P)依存性酵素を備える被検物質応答性活性領域と、
(e)前記被検物質に対して透過性があり、少なくとも前記被検物質応答性活性領域を被覆する物質移動制限膜と
を備える前記被検物質センサを提供することと、
(ii)前記第1の作用電極に電位を印加することと、
(iii)前記被検物質応答性活性領域の酸化還元電位以上で、前記被検物質応答性活性領域と接触している流体中の第1の被検物質の濃度に比例する第1の信号を得ることと、
(iv)前記第1の信号を前記流体中の前記第1の被検物質の濃度と相関させることとを備える方法。
【請求項11】
前記NAD(P)依存性酵素が、NAD(P)依存性デヒドロゲナーゼである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記透過性作用電極が、カーボンナノチューブを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記透過性ポリマーが、ポリエーテル系ポリマーを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記被検物質が、グルコース、ケトン、アルコール、乳酸塩及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記NAD(P)依存性酵素が、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ又はβ-ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記被検物質応答性活性領域が、ジアフォラーゼをさらに備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記被検物質応答性活性領域が、酸化還元メディエータをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記被検物質センサが、
(f)第2の作用電極と
(g)前記第2の作用電極の表面上に配置され、前記第1の被検物質とは異なる第2の被検物質に応答する第2の活性領域であって、前記第2の被検物質に応答する少なくとも1つの酵素を備える前記第2の活性領域とをさらに備え、
前記物質移動制限膜の第2の部分が前記第2の活性領域を被覆する、請求項10に記載の方法。
【国際調査報告】