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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】インダクタコイル
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20231220BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20231220BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20231220BHJP
   H05B 6/36 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/40
H05B6/10 371
H05B6/36 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536354
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021087387
(87)【国際公開番号】W WO2022136594
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】2020424.4
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】コーラス, アントン
【テーマコード(参考)】
3K059
4B162
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AB24
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA06
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB22
4B162AB23
4B162AC12
4B162AC16
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD08
4B162AD16
4B162AD23
(57)【要約】
エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが開示される。インダクタは、導電性要素と2次コイルとを備える。要素は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分(601)と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分(602)と、第1の部分(601)を第2の部分(602)に電気的に接続する導電性コネクタ(603)とを備える。導電性要素は、変動電流が導電性要素に印加されると、対応する変動電流が2次コイルに誘導されるように構成される。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性要素と、
2次コイルと、
を備え、
前記要素が、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、前記第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、前記第1の部分を前記第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、
前記導電性要素が、変動電流が前記導電性要素に印加されると、対応する変動電流が前記2次コイルに誘導されるように構成された、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ。
【請求項2】
導電性要素と、
2次コイルと、
を備え、
前記要素が、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体と、前記第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体と、前記第1の部分環状体を前記第2の部分環状体に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、
前記導電性要素が、変動電流が前記導電性要素に印加されると、対応する変動電流が前記2次コイルに誘導されるように構成された、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ。
【請求項3】
導電性要素と、
電磁遮蔽体と、
を備え、
前記導電性要素が、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、前記第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、前記第1の部分を前記第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、
前記電磁遮蔽体が、(i)前記第1の平面と一致する前記導電性の非螺旋状の第1の部分、(ii)前記第2の平面と一致する前記導電性の非螺旋状の第2の部分、及び(iii)前記導電性コネクタのうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むように配置された、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ。
【請求項4】
導電性要素と、
電磁遮蔽体と、
を備え、
前記導電性要素が、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体と、前記第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体と、前記第1の部分環状体を前記第2の部分環状体に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、
前記電磁遮蔽体が、(i)前記第1の平面と一致する前記導電性の非螺旋状の第1の部分、(ii)前記第2の平面と一致する前記導電性の非螺旋状の第2の部分、及び(iii)前記導電性コネクタのうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むように配置された、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ。
【請求項5】
導電性要素を備え、
前記要素が、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、前記第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、前記第1の部分を前記第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備える、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ。
【請求項6】
前記第1の部分が第1の部分環状体であり、前記第2の部分が第2の部分環状体である、請求項5に記載のインダクタ。
【請求項7】
導電性要素を備え、前記要素が、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体と、前記第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体と、前記第1の部分環状体を前記第2の部分環状体に電気的に接続する導電性コネクタとを備える、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ。
【請求項8】
前記第1の部分又は第1の部分環状体が第1の円弧であり、前記第2の部分又は第2の部分環状体が第2の円弧である、請求項1~7のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項9】
前記第1の平面に直交する方向に見たとき、前記第1の部分又は部分環状体と前記第2の部分又は部分環状体とが、前記導電性コネクタから反対方向に回転するように延在している、請求項1~8のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項10】
前記第1の平面に直交する方向に見たとき、前記第1の部分又は第1の部分環状体が、前記第2の部分又は第2の部分環状体に部分的にのみ重なっている、請求項1~9のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項11】
前記第1の平面に直交する方向に見たとき、前記第1の部分又は第1の部分環状体が、前記導電性コネクタに少なくとも部分的に重なっている、請求項1~10のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記第1及び第2の平面が平坦な平面である、請求項1~11のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項13】
前記第1及び第2の平面に直交する方向に測定された前記第1の平面と前記第2の平面との間の距離が2ミリメートルより短い、請求項1~12のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項14】
前記第1の部分又は部分環状体と前記第2の部分又は部分環状体とが、前記第1及び第2の平面に直交する軸線の周りに少なくとも0.9巻きを一緒に画定する、請求項1~13のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項15】
前記要素が、間隔を空けて配置されたそれぞれの平面と一致するさらなる導電性の非螺旋部分又は導電性の部分環状体を備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項16】
前記要素の前記導電性の非螺旋部分又は部分環状体のすべてによって一緒に画定される軸線周りの総巻数が1~10巻きである、請求項15に記載のインダクタ。
【請求項17】
前記要素の前記部分又は部分環状体のそれぞれ隣り合う対の間の距離が、前記要素の前記部分若しくは部分環状体のそれぞれ隣り合う他の対の間の距離に等しいか、又はそれと10%未満異なる、請求項15又は16に記載のインダクタ。
【請求項18】
前記第1及び第2の部分又は部分環状体のそれぞれの、前記第1の平面に直交する方向に測定された厚さが、10マイクロメートル~200マイクロメートルである、請求項1~17のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項19】
ピッチが2ミリメートルよりも狭いコイルを備える、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ。
【請求項20】
反対側にある第1の側面と第2の側面を有する電気絶縁性の支持体と、
前記第1の部分又は第1の部分環状体が前記支持体の前記第1の側面にあり、前記第2の部分又は第2の部分環状体が前記支持体の前記第2の側面にある、請求項1~19のいずれか一項に記載のインダクタと、
を備える、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ構成体。
【請求項21】
前記第1及び第2の部分又は部分環状体の半径方向内側でこれらと同軸の貫通孔を有する、請求項20に記載のインダクタ構成体。
【請求項22】
前記インダクタの前記導電性コネクタが前記支持体を貫通して延在する、請求項20又は21に記載のインダクタ構成体。
【請求項23】
前記支持体の厚さが0.2ミリメートル~2ミリメートルである、請求項20、21、又は22のいずれか一項に記載のインダクタ構成体。
【請求項24】
プリント回路基板を備え、前記支持体が、前記プリント回路基板の非導電性基板であり、前記第1及び第2の部分又は部分環状体が前記基板上のトラックである、請求項20~23のいずれか一項に記載のインダクタ構成体。
【請求項25】
請求項1~19のいずれか一項に記載の複数のインダクタを備える、又は請求項20~24のいずれか一項に記載の複数のインダクタ構成体を備える、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタアセンブリ。
【請求項26】
請求項1~19のいずれか一項に記載の1つ若しくは複数のインダクタ、又は請求項20~24のいずれか一項に記載の1つ若しくは複数のインダクタ構成体、又は請求項25に記載のインダクタアセンブリを備える、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器。
【請求項27】
1つ又は複数のインダクタと、前記1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すように動作可能な装置とを備え、
前記1つ又は複数のインダクタ及び前記装置が、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じるように構成された、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器。
【請求項28】
前記インダクタ又は各インダクタが、請求項1~19のいずれか一項に記載のインダクタであり、又は
請求項20~24のいずれか一項に記載の1つ又は複数のインダクタ構成体を備え、前記磁場生成器の前記1つ又は複数のインダクタが、それぞれの1つ又は複数のインダクタ構成体のインダクタである、請求項27に記載の磁場生成器。
【請求項29】
エアロゾル化可能材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、
請求項26、27、又は28のいずれか一項に記載の磁場生成器と、
を備え、
前記磁場生成器が、前記物品が前記加熱領域にあるときに、前記物品の前記エアロゾル化可能材料の少なくとも一部を加熱するのに使用するための変動磁場を生成するように動作可能であるように構成された、エアロゾル供給デバイス。
【請求項30】
前記磁場生成器の前記インダクタ又は各インダクタが、少なくとも部分的に前記加熱領域を取り囲む、請求項29に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項31】
前記変動磁場の侵入により加熱可能であることによって前記加熱領域を加熱するサセプタを備える、請求項29又は30に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項32】
前記磁場生成器が、前記物品の前記エアロゾル化可能材料のそれぞれの部分を互いに独立して加熱するのに使用するための複数のそれぞれの変動磁場を互いに独立して生成するように動作可能であるように構成された、請求項29、30、又は31のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項33】
請求項29~32のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル化可能材料を備える前記物品とを具備し、エアロゾル化可能材料を備える前記物品が、前記加熱領域に少なくとも部分的に挿入可能である、エアロゾル供給システム。
【請求項34】
1つ又は複数のインダクタと、1つ又は複数のコイルと、前記1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すように動作可能な装置とを備え、
前記装置が前記1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すとき、対応する変動電流が前記1つ又は複数のコイルに誘導され、
前記1つ又は複数のインダクタ及び前記装置が、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じるように構成された、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器。
【請求項35】
1つ又は複数のインダクタと、
前記1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すように動作可能な装置と、
電磁遮蔽体と、
を備え、
前記電磁遮蔽体が、前記1つ又は複数のインダクタと前記装置との間に配置され、前記電磁遮蔽体が、前記1つ若しくは複数のインダクタ及び/又は前記装置を少なくとも部分的に取り囲むようにさらに配置され、前記1つ又は複数のインダクタ及び前記装置が、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じるように構成された、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器、及びエアロゾル供給デバイスに関する。エアロゾル供給デバイスは、例えば、タバコ加熱製品であってもよい。
【背景】
【0002】
紙巻タバコ及び葉巻タバコなどの喫煙品は、使用時にタバコを燃焼させてタバコ煙を生じさせる。燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって、これらの物品に対する代替品を提供する試みがなされている。このような製品の例としては、いわゆる「非燃焼加熱式」製品、又はタバコ加熱デバイス若しくはタバコ加熱製品があり、これらは、材料を燃焼させるのではなく加熱することで化合物を放出する。この材料は、例えば、タバコ又は他の非タバコ製品のことがあり、これらは、ニコチンを含むことも又は含まないこともある。
【0003】
前述のデバイス又は製品を包含するエアロゾル供給システムが知られている。一般的なシステムは、ヒーターを使用して適切な媒体からエアロゾルを生成し、次いで、これはユーザによって吸引される。多くの場合、異なるエアロゾルを供給して吸引するためには、使用される媒体を交換又は変更する必要がある。適切な媒体からエアロゾルを生成するために誘導加熱システムをヒーターとして使用することが知られている。誘導加熱システムは、一般に、変動磁場を生成するための磁場生成デバイスと、適切な媒体を加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能なサセプタ又は加熱材料とからなる。
【0004】
3次元インダクタコイルなどの多くの異なる磁場生成デバイスが知られている。しかしながら、利用可能なスペース、デバイスの大きさ、及び必要な電力などの様々な制約があり、それにより磁場生成デバイスのタイプが制限される。さらに、磁場生成デバイスとサセプタとの間の誘導結合の効率を制限する様々なパラメータがある。例えば、そのようなパラメータには、磁場生成デバイスとサセプタ若しくは加熱材料との間の間隔、又はそれらの相対的な面積の大きさ及び向きが含まれる。
【0005】
改良されたエアロゾル供給デバイスを提供することが望まれる。
【概要】
【0006】
一態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが提供され、インダクタは、導電性要素と2次コイルとを備え、要素は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、第1の部分を第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、導電性要素は、変動電流が導電性要素に印加されると、対応する変動電流が2次コイルに誘導されるように構成される。
【0007】
様々な実施形態によれば、2次コイル(又は「センスコイル」)に誘導された電流は、対応する電圧を2次コイルの両端間に生じさせることができ、この電圧は、コントローラによって測定することができ、インダクタに流れる電流に比例する。これは、コントローラによって2次コイルの両端間の電圧をデバイスの駆動周波数の関数として記録することができることを意味する。コントローラは、この測定に基づいて、加熱チャンバ、サセプタ、又はエアロゾル生成品の温度を計算することができる。
【0008】
コントローラは、次いで、加熱チャンバ、サセプタ、又はエアロゾル生成品の温度が予め定められた温度範囲内に留まることを確実にするために、少なくとも1つの加熱ユニットのインダクタに印加される変動電流又は交流電流の特性を必要に応じて調節することができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数又はデューティサイクルとすることができる。
【0009】
一態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが提供され、インダクタは、導電性要素と2次コイルとを備え、要素は、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体と、第1の部分環状体を第2の部分環状体に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、導電性要素は、変動電流が導電性要素に印加されると、対応する変動電流が2次コイルに誘導されるように構成される。
【0010】
一態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが提供され、インダクタは、導電性要素と電磁遮蔽体とを備え、要素は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、第1の部分を第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、電磁遮蔽体は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分、第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分、及び導電性コネクタのうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むように配置される。
【0011】
一態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが提供され、インダクタは、導電性要素と電磁遮蔽体とを備え、要素は、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体と、第1の部分環状体を第2の部分環状体に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、電磁遮蔽体は、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体、第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体、及び導電性コネクタのうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むように配置される。
【0012】
一態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが提供され、インダクタは、導電性要素を備え、要素は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、第1の部分を第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備える。
【0013】
例示的な実施形態では、第2の平面は第1の平面と平行である。
【0014】
例示的な実施形態では、第1の部分は第1の部分環状体であり、第2の部分は第2の部分環状体である。
【0015】
別の態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが提供され、インダクタは、導電性要素を備え、要素は、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体と、第1の部分環状体を第2の部分環状体に電気的に接続する導電性コネクタとを備える。
【0016】
例示的な実施形態では、第2の平面は第1の平面と平行である。
【0017】
例示的な実施形態では、第1の部分又は第1の部分環状体は第1の円弧であり、第2の部分又は第2の部分環状体は第2の円弧である。
【0018】
例示的な実施形態では、第1の平面に直交する方向に見たとき、第1の部分又は部分環状体と第2の部分又は部分環状体とは、導電性コネクタから反対方向に回転するように延在している。
【0019】
例示的な実施形態では、第1の平面に直交する方向に見たとき、第1の部分又は第1の部分環状体は、第2の部分又は第2の部分環状体に部分的にのみ重なっている。
【0020】
例示的な実施形態では、第1の平面に直交する方向に見たとき、第1の部分又は第1の部分環状体は、導電性コネクタに少なくとも部分的に重なっている。
【0021】
例示的な実施形態では、第1及び第2の平面は平坦な平面である。
【0022】
例示的な実施形態では、第1及び第2の平面に直交する方向に測定された第1の平面と第2の平面との間の距離は2ミリメートルより短い。例示的な実施形態では、第1の平面と第2の平面との間の距離は1ミリメートルより短い。
【0023】
例示的な実施形態では、第1の部分又は部分環状体と第2の部分又は部分環状体とは、第1及び第2の平面に直交する軸線の周りに少なくとも0.9巻きを一緒に画定する。
【0024】
例示的な実施形態では、要素は、間隔を空けて配置されたそれぞれの平面と一致するさらなる導電性の非螺旋部分又は導電性の部分環状体を備える。
【0025】
例示的な実施形態では、間隔を空けて配置された平面は、第1の平面と平行である。
【0026】
例示的な実施形態では、要素の導電性の非螺旋部分又は部分環状体のすべてによって一緒に画定される軸線周りの総巻数は1~10巻きである。例示的な実施形態では、総巻数は1~8巻きである。例示的な実施形態では、総巻数は1~4巻きである。
【0027】
例示的な実施形態では、要素の部分又は部分環状体のそれぞれ隣り合う対の間の距離は、要素の部分若しくは部分環状体のそれぞれ隣り合う他の対の間の距離に等しいか、又はそれと10%未満異なる。
【0028】
例示的な実施形態では、第1及び第2の部分又は部分環状体のそれぞれの、第1の平面に直交する方向に測定された厚さは、10マイクロメートル~200マイクロメートルである。例示的な実施形態では、厚さは25マイクロメートル~175マイクロメートルである。例示的な実施形態では、厚さは100マイクロメートル~150マイクロメートルである。
【0029】
別の態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが提供され、インダクタは、ピッチが2ミリメートルよりも狭いコイルを備える。
【0030】
例示的な実施形態では、ピッチは1ミリメートルよりも狭い。
【0031】
別の態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ構成体が提供され、インダクタ構成体は、反対側にある第1の側面と第2の側面を有する電気絶縁性の支持体と、第1の部分又は第1の部分環状体が支持体の第1の側面にあり、第2の部分又は第2の部分環状体が支持体の第2の側面にある、上記で開示したようなインダクタとを備える。
【0032】
例示的な実施形態では、インダクタ構成体は、第1及び第2の部分又は部分環状体の半径方向内側でこれらと同軸の貫通孔を有する。
【0033】
例示的な実施形態では、インダクタの導電性コネクタは支持体を貫通して延在する。
【0034】
例示的な実施形態では、支持体の厚さは0.2ミリメートル~2ミリメートルである。例示的な実施形態では、支持体の厚さは0.5ミリメートル~1ミリメートルである。例示的な実施形態では、支持体の厚さは0.75ミリメートル~0.95ミリメートルである。
【0035】
例示的な実施形態では、インダクタ構成体はプリント回路基板を備え、支持体は、プリント回路基板の非導電性基板であり、第1及び第2の部分又は部分環状体は基板上のトラックである。
【0036】
別の態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタアセンブリが提供され、インダクタアセンブリは、上記で開示したような複数のインダクタを備える、又は上記で開示したような複数のインダクタ構成体を備える。
【0037】
一態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器が提供され、磁場生成器は、上記で開示したような1つ若しくは複数インダクタ、又は上記で開示したような1つ若しくは複数のインダクタ構成体、又は上記で開示したようなインダクタアセンブリを備える。
【0038】
一態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器が提供され、磁場生成器は、1つ又は複数のインダクタと、1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すように動作可能な装置とを備え、1つ又は複数のインダクタ及び装置は、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じるように構成される。例示的な実施形態では、磁束密度は少なくとも0.1テスラである。
【0039】
例示的な実施形態では、インダクタ又は各インダクタは、上記で開示したようなインダクタであり、又は、磁場生成器は、上記で開示したような1つ又は複数のインダクタ構成体を備え、磁場生成器の1つ又は複数のインダクタは、それぞれの1つ又は複数のインダクタ構成体のインダクタである。
【0040】
一態様によれば、エアロゾル化可能材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、上記で開示したような磁場生成器とを備えるエアロゾル供給デバイスが提供され、磁場生成器は、物品が加熱領域にあるときに、物品のエアロゾル化可能材料の少なくとも一部を加熱するのに使用するための変動磁場を生成するように動作可能であるように構成される。
【0041】
例示的な実施形態では、磁場生成器のインダクタ又は各インダクタは、少なくとも部分的に加熱領域を取り囲む。
【0042】
例示的な実施形態では、エアロゾル供給デバイスは、変動磁場の侵入により加熱可能であることによって加熱領域を加熱するサセプタを備える。
【0043】
例示的な実施形態では、磁場生成器は、物品のエアロゾル化可能材料のそれぞれの部分を互いに独立して加熱するのに使用するための複数のそれぞれの変動磁場を互いに独立して生成するように動作可能であるように構成される。
【0044】
一態様によれば、上記で開示したようなエアロゾル供給デバイスと、エアロゾル化可能材料を備える物品とを具備するエアロゾル供給システムが提供され、エアロゾル化可能材料を備える物品は、加熱領域に少なくとも部分的に挿入可能である。
【0045】
一態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器が提供され、磁場生成器は、1つ又は複数のインダクタと、1つ又は複数のコイルと、1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すように動作可能な装置とを備え、装置が1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すとき、対応する変動電流が1つ又は複数のコイルに誘導され、1つ又は複数のインダクタ及び装置は、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じるように構成される。
【0046】
一態様によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器が提供され、磁場生成器は、1つ又は複数のインダクタと、1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すように動作可能な装置と、電磁遮蔽体とを備え、電磁遮蔽体は、1つ又は複数のインダクタと装置との間に配置され、電磁遮蔽体は、1つ若しくは複数のインダクタ及び/又は装置を少なくとも部分的に取り囲むようにさらに配置され、1つ又は複数のインダクタ及び装置は、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じるように構成される。
【0047】
次に、様々な実施形態を、単なる例として、また、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】エアロゾル供給システムの例の概略側面図である。
図2】エアロゾル化可能材料を加熱する方法の例を示す流れ図である。
図3】エアロゾル化可能材料を加熱する方法の別の例を示す流れ図である。
図4図1のシステムのエアロゾル供給デバイスのインダクタ構成体の概略断面側面図である。
図5図4のインダクタ構成体のインダクタの概略斜視図である。
図6】第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、第1の部分を第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備えるインダクタ要素が提供される実施形態の図である。
図7】単一のセンス要素又はコイルがインダクタ要素又はコイルに近接して配置されていると考えることができる、一実施形態による方法を示す電気的な等価図である。
図8】単一のセンス要素又はコイルが2つのインダクタ要素又はコイルに近接して配置されていると考えることができる、一実施形態による方法を示す電気的な等価図である。
図9】2つのインダクタ要素又はコイルを設けることができ、各インダクタ要素又はコイルが対応するセンス要素又はコイルを有する、一実施形態による方法を示す電気的な等価図である。
【詳細な説明】
【0049】
本明細書で使用するとき、用語「エアロゾル化可能材料」は、加熱すると、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で揮発成分を供する材料を含む。「エアロゾル化可能材料」はタバコを含有しない材料であってもよいし、又はタバコを含有する材料であってもよい。「エアロゾル化可能材料」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含んでもよい。エアロゾル化可能材料は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生エアロゾル化可能材料、液体、ゲル、固体、非晶質固体、ゲル化シート、粉末、ビーズ、細粒、又は塊などの形態であり得る。「エアロゾル化可能材料」はまた、他の非タバコ製品を含んでもよく、この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、又は含まなくてもよい。「エアロゾル化可能材料」は、グリセロール又はプロピレングリコールなど、1つ又は複数の保湿剤を含んでもよい。
【0050】
いくつかの例では、エアロゾル化可能材料は「非晶質固体」の形態である。本明細書で「非晶質固体」と呼ばれる任意の材料は、それに代えて、「モノリシック固体」(すなわち、非繊維状)又は「乾燥ゲル」と呼ばれることがある。いくつかの場合、それは「厚膜」と呼ばれることがある。いくつかの例では、非晶質固体は、ゲル化剤、エアロゾル生成剤、タバコ材料及び/又はニコチン源、水、並びに、任意選択で香料から構成されてもよく、又は実質的にそれらから構成されてもよい。いくつかの例では、ゲル又は非晶質固体は、連続気泡発泡体などの発泡体の形態をとる。
【0051】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。加熱材料は導電性材料であってもよく、その結果、変動磁場が加熱材料に侵入することによって加熱材料が誘導加熱される。加熱材料は磁性材料であってもよく、その結果、変動磁場が加熱材料に侵入することによって加熱材料が磁気ヒステリシス加熱される。加熱材料は導電性及び磁性の両方であってもよく、その結果、加熱材料は両方の加熱メカニズムによって加熱可能である。
【0052】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体が加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すためのデバイスとを備えることができる。電磁石と加熱される物体とが、電磁石によって生じる変動磁場がこの物体に侵入するように適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ又は複数の渦電流が生成される。この物体は電流の流れに対して抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が生成されると、渦電流は物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。
【0053】
一例では、サセプタは閉回路の形態である。サセプタが閉回路の形態のとき、使用時のサセプタと電磁石との間の磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大する又は改善されることが見出された。
【0054】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料から作られた物体に変動磁場が侵入することによってその物体が加熱されるプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石、すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、例えば、電磁石によって生じるような交流磁場などの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場とともに変化する。このように磁気双極子の向きが変わることによって、磁性材料内に熱が生じる。
【0055】
物体が導電性と磁性の両方であるとき、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱と磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0056】
上記のプロセスのそれぞれでは、熱は、外部熱源によって熱伝導で生成されるのではなく、物体自体の内部で生成されるので、特に、物体の材料及び幾何形状、並びに、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって、物体内の急速な温度上昇とより均一な熱分布を達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場源と物体との間を物理的に接続する必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを下げることができる。
【0057】
図1を参照すると、エアロゾル供給システムの例の概略断面側面図が示されている。システム1は、エアロゾル供給デバイス100と、エアロゾル化可能材料11を備える物品10とを具備する。エアロゾル化可能材料11は、例えば、本明細書で論じるエアロゾル化可能材料のいずれのタイプであってもよい。この例では、エアロゾル供給デバイス100はタバコ加熱製品(当技術分野では、タバコ加熱デバイス又は非燃焼加熱式デバイスとしても知られている)である。
【0058】
いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11は非液体材料である。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11はゲルである。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11はタバコを含む。しかしながら、他の例では、エアロゾル化可能材料11はタバコから構成されてもよく、実質的に完全にタバコから構成されてもよく、タバコとタバコ以外のエアロゾル化可能材料とを含んでもよく、タバコ以外のエアロゾル化可能材料を含んでもよく、又はタバコがなくてもよい。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11は、蒸気又はエアロゾル形成剤又は保湿剤(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、トリアセチン、又はジエチレングリコール)を含んでもよい。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11は、再生タバコなどの再生エアロゾル化可能材料を含む。
【0059】
いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11は、実質的に円形の断面を有し長手方向軸線を有する実質的に円柱形である。他の例では、エアロゾル化可能材料11は、別の断面形状を有してもよく、及び/又は、細長くなくてもよい。
【0060】
物品10のエアロゾル化可能材料11の軸方向長さは、例えば、8mm~120mmであってもよい。例えば、エアロゾル化可能材料11の軸方向の長さは、9mm又は10mm又は15mm又は20mmよりも長くてもよい。例えば、エアロゾル化可能材料11の軸方向長さは、100mm又は75mm又は50mm又は40mmよりも短くてもよい。
【0061】
図1に示す例などのいくつかの例では、物品10は、使用時にエアロゾル化可能材料11から放出されるエアロゾル又は蒸気を濾過するためのフィルター構成体12を備える。これに代えて又はこれに加えて、フィルター構成体12は、物品10の長さにわたる圧力降下を制御するためのものであってもよい。フィルター構成体12は、1つ又は2つ以上のフィルターを備えてもよい。フィルター構成体12は、タバコ産業で使用されるいかなるタイプのものでもよい。例えば、フィルターは酢酸セルロース製であってもよい。いくつかの例では、フィルター構成体12は、実質的に円形の断面を有し長手方向軸線を有する実質的に円柱形である。他の例では、フィルター構成体12は、別の断面形状を有してもよく、及び/又は、細長くなくてもよい。
【0062】
いくつかの例では、フィルター構成体12は、エアロゾル化可能材料11の長手方向端部に当接する。他の例では、フィルター構成体12は、隙間、及び/又は物品10の1つ若しくは複数のさらなる構成要素などによって、エアロゾル化可能材料11から間隔を空けて配置されてもよい。いくつかの例では、フィルター構成体12は、添加剤又は香料源(添加剤又は香料を含有するカプセル又は糸など)を含んでもよく、これは、例えば、濾過材の本体によって、又は濾過材の2つの本体の間に保持されてもよい。
【0063】
物品10はまた、エアロゾル化可能材料11及びフィルター構成体12の周りに巻き付けられてエアロゾル化可能材料11に対してフィルター構成体12を保持するラッパー(図示せず)を備えてもよい。ラッパーは、ラッパーの自由端が互いに重なるように、エアロゾル化可能材料11及びフィルター構成体12の周りに巻き付けられてもよい。ラッパーは、物品10の周方向の外面の一部又は全部を形成してもよい。ラッパーは、紙、厚紙、又は再生されたエアロゾル化可能材料(例えば再生タバコ)など、任意の適切な材料から作ることができる。紙は、当技術分野で知られているチップペーパーであってもよい。ラッパーはまた、ラッパーの重ねられた自由端を互いに接着して、重ねられた自由端が離れるのを防ぐ助けとなる接着剤(図示せず)を含んでもよい。
【0064】
他の例では、接着剤は省略されてもよいし、又はラッパーは、説明したものとは異なる形態をとってもよい。他の例では、フィルター構成体12は、接着剤など、ラッパー以外の接続物によってエアロゾル化可能材料11に対して保持されてもよい。いくつかの例では、フィルター構成体12は省略されてもよい。
【0065】
エアロゾル供給デバイス100は、物品10の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域110と、使用時に、それを通ってエアロゾルが加熱領域110からユーザに送達可能な出口120と、物品10が少なくとも部分的に加熱領域110内に配置されたときに物品10を加熱することによってエアロゾルを生成するための加熱装置130とを備える。図1に示すものなどのいくつかの例では、エアロゾルは、物品10に隣り合う任意の隙間を通るのではなく、むしろ物品10自体を通って加熱領域110からユーザに送達可能である。それにもかかわらず、そのような例では、エアロゾルはそれでも、物品10内を移動している間でも、出口120を通過する。
【0066】
デバイス100は、加熱領域110をデバイス100の外部と流体的に接続する少なくとも1つの空気入口(図示せず)を画定してもよい。ユーザは、物品10を通して加熱領域110から揮発成分(複数可)を吸うことによって、エアロゾル化可能材料の揮発成分(複数可)を吸引することができる。揮発成分(複数可)が加熱領域110及び物品10から除去されると、空気をデバイス100の空気入口(複数可)を通して加熱領域110に引き込むことができる。
【0067】
この例では、加熱領域110は軸線A-Aに沿って延在し、物品10の一部分のみを収容する大きさ及び形状である。この例では、軸線A-Aは加熱領域110の中心軸線である。さらに、この例では、加熱領域110は細長く、したがって、軸線A-Aは加熱領域110の長手方向軸線A-Aである。物品10は、出口120を通って加熱領域110に少なくとも部分的に挿入可能であり、使用時に加熱領域110から出口120を通って突出する。他の例では、加熱領域110は、細長くてもよいし又は細長くなくてもよく、物品10の全体を受け入れるような寸法であってもよい。いくつかのそのような例では、デバイス100は、出口120を覆うように配置することができ、それを通って加熱領域110及び物品10からエアロゾルを吸うことができる吸い口を含んでもよい。
【0068】
この例では、物品10が加熱領域110内に少なくとも部分的に配置されると、エアロゾル化可能材料11の異なる部分11a~11eは、加熱領域110内の異なるそれぞれの位置110a~110eに配置される。この例では、これらの位置110a~110eは、加熱領域110の軸線A-Aに沿った異なるそれぞれの軸方向位置にある。さらに、この例では、加熱領域110は細長いので、位置110a~110eは、加熱領域110の長さに沿って長手方向に間隔を空けた異なる位置にあると考えることができる。この例では、物品10は、第1の位置110a、第2の位置110b、第3の位置110c、第4の位置110d、及び第5の位置110eにそれぞれ配置されたエアロゾル化可能材料11の5つのそのような部分11a~11eを含むと考えることができる。より詳細には、第2の位置110bは、第1の位置110aと出口120との間に流体的に配置され、第3の位置110cは、第2の位置110bと出口120との間に流体的に配置され、第4の位置110dは、第3の位置110cと出口120との間に流体的に配置され、第5の位置は、第4の位置110dと出口120との間に流体的に配置される。
【0069】
加熱装置130は、複数の加熱ユニット140a~140eを備え、それらのそれぞれは、物品10が加熱領域110内に少なくとも部分的に配置されたとき、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eのそれぞれ1つを、その成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱することができる。複数の加熱ユニット140a~140eは、軸線A-Aに沿って互いに軸方向に整列してもよい。このように加熱可能なエアロゾル化可能材料11の部分11a~11eのそれぞれの軸線A-A方向の長さは、例えば、2ミリメートル~10ミリメートル、3ミリメートル~8ミリメートル、又は4ミリメートル~6ミリメートルなど、1ミリメートル~20ミリメートルであってもよい。
【0070】
この例の加熱装置130は、5つの加熱ユニット140a~140e、すなわち、第1の加熱ユニット140a、第2の加熱ユニット140b、第3の加熱ユニット140c、第4の加熱ユニット140d、及び第5の加熱ユニット140eを備える。加熱ユニット140a~140eは、加熱領域110の軸線A-Aに沿った異なるそれぞれの軸方向位置にある。さらに、この例では、加熱領域110は細長いので、加熱ユニット140a~140eは、加熱領域110の長さに沿って長手方向に間隔を空けた異なる位置にあると考えることができる。より詳細には、第2の加熱ユニット140bは、第1の加熱ユニット140aと出口120との間に配置され、第3の加熱ユニット140cは、第2の加熱ユニット140bと出口120との間に配置され、第4の加熱ユニット140dは、第3の加熱ユニット140cと出口120との間に配置され、第5の加熱ユニット140eは、第4の加熱ユニット140dと出口120との間に配置される。他の例では、加熱装置130は、5つの加熱ユニット140a~140eよりも多くの加熱ユニット、又は4つだけ、3つだけ、2つだけ、又は1つだけなど、5つの加熱ユニットよりも少ない加熱ユニットを備えることができる。それぞれの加熱ユニット(複数可)によって加熱可能なエアロゾル化可能材料11の部分(複数可)の数は、これに対応して変わり得る。
【0071】
加熱装置130はまた、使用時にエアロゾル化可能材料11のそれぞれの部分11a~11eを加熱するように加熱ユニット140a~140eを動作させるように構成されたコントローラ135を備える。この例では、コントローラ135は、加熱ユニット140a~140eを互いに独立して動作させるように構成され、その結果、エアロゾル化可能材料11のそれぞれの部分11a~11eを独立して加熱することができる。これは、使用時にエアロゾル化可能材料11を漸進的に加熱するために望ましい場合がある。さらに、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eが、異なるタバコ混合物及び/又は異なる適用された若しくは固有の香味など、異なるそれぞれの形態又は特性を有する例では、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eを独立して加熱することができることは、使用セッション中の異なるときにエアロゾル化可能材料11の選択された部分11a~11eの加熱を可能にして、時間に依存して予め定められた特性を有するエアロゾルを生成することができる。いくつかの例では、加熱装置130はまた、それにもかかわらず、コントローラ135が、使用セッション中に、加熱ユニット140a~140eのすべての加熱ユニットなど、加熱ユニット140a~140eのうちの2つ以上の加熱ユニットを同時に動作させるように構成された1つ又は複数のモードで動作可能であってもよい。
【0072】
この例では、加熱ユニット140a~140eは、交流磁場など、それぞれの変動磁場を生成するように構成されたそれぞれの誘導加熱ユニットを備える。したがって、加熱装置130は、磁場生成器を備えると考えることができ、コントローラ135は、それぞれの加熱ユニット140a~140eのインダクタ150に変動電流を流すように動作可能な装置であると考えることができる。さらに、この例では、デバイス100は、変動磁場の侵入によって加熱可能であることにより、使用時に加熱領域110及びその中の物品10を加熱するように構成されたサセプタ190を備える。すなわち、サセプタ190のこれらの部分は、それぞれの変動磁場の侵入によって加熱可能であることにより、加熱領域110のそれぞれの位置110a~110eにおけるエアロゾル化可能材料11のそれぞれの部分11a~11eを加熱する。
【0073】
いくつかの例では、サセプタ190はアルミニウム製か、又はアルミニウムを含む。しかしながら、他の例では、サセプタ190は、導電性材料、磁性材料、及び磁性導電性材料からなる群から選択された1つ又は複数の材料を含んでもよい。いくつかの例では、サセプタ190は金属又は金属合金を含んでもよい。いくつかの例では、サセプタ190は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、鋼、普通炭素鋼、軟鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、モリブデン、炭化ケイ素、銅、及び青銅からなる群から選択された1つ又は複数の材料を含んでもよい。他の材料(複数可)が他の例で使用されてもよい。
【0074】
サセプタ190が鉄、例えば、鋼(例えば、軟鋼又はステンレス鋼)又はアルミニウムを含む例などのいくつかの例では、サセプタ190は、使用時のサセプタ190の腐食又は酸化を避けるのに役立つコーティングを含む場合がある。このようなコーティングは、例えば、ニッケルメッキ、金メッキ、又はセラミック若しくは不活性ポリマーのコーティングを含む場合がある。
【0075】
この例では、サセプタ190は管状であり、加熱領域110を取り囲む。実際、この例では、サセプタ190の内面は加熱領域110の範囲を部分的に定めている。サセプタ190の内側断面形状は、円形、又は、楕円形、多角形、若しくは不規則な形などの異なる形状であってもよい。他の例では、サセプタ190は、やはり加熱領域110を部分的に取り囲む管状でない構造、又は加熱領域110を貫通するロッド、ピン、若しくは刃などの突出する構造などの異なる形態をとってもよい。いくつかの例では、サセプタ190は、複数のサセプタによって置き換えられてもよく、それらのそれぞれは、変動磁場のそれぞれ1つの侵入によって加熱可能であることにより、エアロゾル化可能材料11のこれらの部分11a~11eのそれぞれ1つを加熱する。複数のサセプタのそれぞれは、管状であってもよく、又は、例えば、サセプタ190について本明細書で論じた他の形態の1つをとってもよい。さらなる例では、デバイス100はサセプタ190がなくてもよく、物品10が、変動磁場の侵入によって加熱可能な1つ又は複数のサセプタを備えることによって、エアロゾル化可能材料11のそれぞれの部分11a~11eを加熱してもよい。物品10の1つ又は複数のサセプタのそれぞれは、エアロゾル化可能材料11の周りに巻かれるか、さもなければエアロゾル化可能材料11を取り囲む構造(例えば、アルミニウム箔などの金属箔)、エアロゾル化可能材料11内に配置された構造、又はエアロゾル化可能材料11と混合された一群の粒子若しくは他の要素などの任意の適切な形態をとってもよい。装置100にサセプタ190がない例では、サセプタ190は、加熱領域110の範囲を部分的に定める耐熱管によって置き換えられてもよい。このような耐熱管は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:polyether ether ketone)又はセラミック材料から作られてもよい。
【0076】
この例では、加熱装置130は、電源(図示せず)と、デバイスをユーザが操作するためのユーザインターフェース(図示せず)とを備える。この例の電源は再充電可能なバッテリーである。他の例では、電源は、例えば、再充電不可のバッテリー、キャパシタ、バッテリー-キャパシタハイブリッド、又は商用電源への接続部など、再充電可能なバッテリー以外であってもよい。
【0077】
この例では、コントローラ135は、電源と加熱ユニット140a~140eとの間に電気的に接続されている。この例では、コントローラ135はまた、電源に電気的に接続されている。より詳細には、この例では、コントローラ135は、電源から加熱ユニット140a~140eへの電力の供給を制御するためのものである。この例では、コントローラ135は、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)の集積回路(IC:integrated circuit)などのICを備える。他の例では、コントローラ135は、異なる形態をとってもよい。コントローラ135は、この例では、ユーザインターフェースをユーザが操作することによって操作される。ユーザインターフェースは、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、又はタッチスクリーンなどを備えてもよい。他の例では、ユーザインターフェースは遠隔にあって、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などによってエアロゾル供給デバイス100の残りの部分に無線で接続されてもよい。
【0078】
この例では、ユーザがユーザインターフェースを操作することによって、コントローラ135は、それぞれの加熱ユニット140a~140eの少なくとも1つのインダクタ150に交流電流が流れるようにする。これにより、インダクタ150は交流磁場を生成する。インダクタ150とサセプタ190とは、インダクタ150によって生じた変動磁場がサセプタ190に侵入するように適切な相対位置に配置される。サセプタ190が導電性であるとき、この侵入によってサセプタ190に1つ又は複数の渦電流が生じる。サセプタ190の電気抵抗に逆らってサセプタ190内に渦電流が流れることによって、サセプタ190はジュール加熱によって加熱される。サセプタ190が磁性であるとき、サセプタ190の磁気双極子の向きが印加される磁場の変化とともに変化し、これによってサセプタ190に熱が生成される。
【0079】
デバイス100はまた、2次(「センス」)コイル(図示せず)を備えてもよく、これは、電源が、コントローラ135によって制御されるように、それぞれの加熱ユニット140a~140eの少なくとも1つのインダクタ150に変動電流を印加するときに、2次コイルを通る誘導された変動電流を検知するための検知コイルとして機能することができる。それぞれの加熱ユニット140a~140eの各インダクタ150は、それぞれの2次コイルを有してもよい。この例では、コントローラ135が、それぞれの加熱ユニット140a~140eの少なくとも1つのインダクタ150に変動電流を流すと、インダクタ150は交流磁場を生成する。交流磁場は、それぞれの2次コイルに渦電流を生成することによって2次コイルに変動電流を誘導する。2次コイルは、例えば、インダクタ150に平行な平面で、インダクタ150の上方又は下方に配置されてもよい。
【0080】
2つ以上のインダクタ150が存在する場合の他の例では、2次コイルは、両方のインダクタ150が2次コイルを通る変動電流を誘導するように、これらのインダクタ150間に配置されてもよい。しかしながら、加熱ユニット140a~140eのそれぞれが、それぞれのインダクタ150を2つ以上備える他の例では、それぞれのインダクタ150がそれぞれの2次コイルに変動電流を誘導するように、それぞれのインダクタ150に対してそれぞれの2次コイルがあってもよい。
【0081】
2次コイルに誘導された電流は、対応する電圧を2次コイルの両端間に生じさせ、この電圧は、コントローラ135によって測定することができ、インダクタ150に流れる電流に比例する。これは、コントローラ135によって2次コイルの両端間の電圧をデバイスの駆動周波数の関数として記録することができることを意味する。コントローラ135は、この測定に基づいて、加熱チャンバ110、サセプタ190、又は物品10の温度をそれぞれ計算することができる。コントローラ135は、次いで、加熱チャンバ110、サセプタ190、又は物品10の温度がそれぞれ、予め定められた温度範囲内に留まることを確実にするために、少なくとも1つの加熱ユニット140a~140eのインダクタ150に印加される変動電流又は交流電流の特性を必要に応じて調節することができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数又はデューティサイクルとすることができる。
【0082】
いくつかの例では、2次コイルはワイヤのコイル又はPCB上のトラックであってもよい。
【0083】
いくつかの例では、2次コイルはニッケル、鋼、鉄、及びコバルトのうちのいずれか1つ又は複数を含んでもよい。
【0084】
デバイス100は、加熱チャンバ110、サセプタ190、又は物品10の温度を検知するための温度センサ(図示せず)を備えてもよい。温度センサは、コントローラ135に通信可能に接続されてもよく、その結果、コントローラ135は、温度センサによって出力された情報に基づいて、加熱チャンバ110、サセプタ190、又は物品10の温度をそれぞれ監視することができる。他の例では、温度は、システムの電気的特性、例えば加熱ユニット140a~140e内の電流の変化を測定することによって検知され、監視されてもよい。温度センサから受け取った1つ又は複数の信号に基づいて、コントローラ135は、加熱チャンバ110、サセプタ190、又は物品10の温度がそれぞれ、予め定められた温度範囲内に留まることを確実にするために、変動電流又は交流電流の特性を必要に応じて調節することができる。この特性は、例えば、振幅又は周波数又はデューティサイクルとすることができる。予め定められた温度範囲内で、加熱チャンバ110に配置された物品10内のエアロゾル化可能材料11は、使用時、エアロゾル化可能材料11を燃焼させることなく、エアロゾル化可能材料11の少なくとも1つの成分を揮発させるために十分に加熱される。したがって、コントローラ135、及びデバイス100は全体として、エアロゾル化可能材料11を燃焼させることなく、エアロゾル化可能材料11の少なくとも1つの成分を揮発させるようにエアロゾル化可能材料11を加熱するように構成される。この温度範囲は、約100℃~約300℃、又は約150℃~約280℃など、約50℃~約350℃であってもよい。他の例では、温度範囲はこれらの範囲以外であってもよい。いくつかの例では、温度範囲の上限は350℃より高くすることができる。いくつかの例では、温度センサは省略されてもよい。
【0085】
加熱ユニット140a~140eのそれぞれの形態は、図2及び図3を参照して以下でさらに論じる。しかしながら、この段階で注目すべきことは、軸線A-Aの方向に測定される変動磁場の大きさ又は範囲が比較的小さく、その結果、使用時に変動磁場が侵入するサセプタ190の部分がそれに対応して小さいことである。したがって、サセプタ190が、変動磁場の侵入の結果として熱伝導によって加熱されるサセプタ190の割合を増加させるのに十分な熱伝導率を有し、その結果、加熱ユニット140a~140eのそれぞれの動作によって加熱されるエアロゾル化可能材料11の割合をそれに対応して増加させることが望ましい場合がある。少なくとも10W/m/K、任意選択で少なくとも50W/m/K、さらに任意選択で少なくとも100W/m/Kの熱伝導率を有するサセプタ190を提供することが望ましいことが見出された。この例では、サセプタ190はアルミニウム製であり、200~250W/m/K、例えば、約205W/m/K又は237W/m/Kなど、200W/m/Kを超える熱伝導率を有する。上述のように、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eのそれぞれの軸線A-A方向の長さは、例えば、2ミリメートル~10ミリメートル、3ミリメートル~8ミリメートル、又は4ミリメートル~6ミリメートルなど、1ミリメートル~20ミリメートルであってもよい。
【0086】
この例では、加熱装置130は、加熱セッションの間、エアロゾル化可能材料11の第1の部分11aを、エアロゾル化可能材料11の第2の部分11bの加熱の前に、又はそれよりも速く、エアロゾル化可能材料11の第1の部分11aの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱するように構成される。より詳細には、コントローラ135は、加熱セッションの間、エアロゾル化可能材料11の第1の部分11aを、エアロゾル化可能材料11の第2の部分11bの加熱の前に、又はそれよりも速く加熱するように、第1及び第2の加熱ユニット140a、140bを動作させるように構成される。したがって、加熱セッションの間、物品10のエアロゾル化可能材料11に熱エネルギーが加えられる位置は、はじめは、出口120及びユーザから比較的流体的に間隔を空けた位置にあり、次いで、その位置は出口120に向かって移動する。これは、加熱セッションの間、エアロゾルが、エアロゾル化可能材料11の連続する「新鮮な」部分から生成されるという利点を提供し、これは、ユーザにとっては、従来の燃焼性の工場製紙巻タバコを喫煙するときとより類似する場合がある感覚的に満足する経験をもたらすことができる。
【0087】
さらに、いくつかの例では、コントローラ135は、コントローラ135が第2の加熱ユニット140bを動作させるように構成された期間の少なくとも一部(又は期間のすべて)の間、第1の加熱ユニット140aへの電力供給を停止するように構成される。これは、エアロゾル化可能材料11の所与の部分で生成されたエアロゾルが、前に加熱されたエアロゾル可能材料11の別の部分を通過する(これは、エアロゾルに悪影響を及ぼし得る)必要がないというさらなる利点を提供する。例えば、エアロゾルが前に加熱された又は使用されたエアロゾル材料を通過すると、このエアロゾルは、エアロゾルの風味を変える(off-notes)成分をエアロゾルが拾い上げることになり得る。
【0088】
図1に示す例などの、加熱装置130が加熱ユニットを3つ以上有するいくつかの例では、加熱装置130はまた、加熱セッションの間、エアロゾル化可能材料11の少なくとも1つのさらなる部分11b~11eを、流体的に出口120により近いエアロゾル化可能材料11のなおさらなる部分11c~11eの加熱の前に、又はそれよりも速く、エアロゾル化可能材料11のさらなる部分11b~11eの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱するように構成され得る。すなわち、コントローラ135は、エアロゾル化可能材料11の少なくとも1つのさらなる部分11b~11eを、エアロゾル化可能材料11のなおさらなる部分11c~11eの加熱の前に、又はそれよりも速く加熱するように、加熱ユニットを適切に動作させるように構成され得る。例えば、図1のデバイスでは、加熱装置130は、(i)エアロゾル化可能材料11の第2の部分11bを、エアロゾル化可能材料11の第3の部分11cの加熱の前に、又はそれよりも速く、エアロゾル化可能材料11の第2の部分11bの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱し、(ii)エアロゾル化可能材料11の第3の部分11cを、エアロゾル化可能材料11の第4の部分11dの加熱の前に、又はそれよりも速く、エアロゾル化可能材料11の第3の部分11cの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱し、(iii)エアロゾル化可能材料11の第4の部分11dを、エアロゾル化可能材料11の第5の部分11eの加熱の前に、又はそれよりも速く、エアロゾル化可能材料11の第4の部分11dの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱するように構成され得る。
【0089】
加熱セッションの所与の持続時間に対して、加熱ユニット及び関連するエアロゾル化可能材料11の部分の数が多いほど、所与の軸方向長さに沿って延在するエアロゾル化可能材料11の「新鮮な」又は未使用部分からエアロゾルを生成する機会が多いことが理解されよう。これに代えて、エアロゾル化可能材料11の各部分を加熱する所与の持続時間に対して、加熱ユニット及び関連するエアロゾル化可能材料11の部分の数が多いほど、加熱セッションは長くなり得る。個々の加熱ユニットを作動することができる持続時間を調節(例えば短縮)して、加熱セッション全体を調節(例えば短縮)することができ、同時に、加熱要素に供給される電力を調節(例えば増大)して、より速く動作温度に到達することができることを理解すべきである。加熱ユニットの数(これは、「新鮮なパフ」の数を定める場合がある)と、全体的なセッションの長さと、達成可能な電力供給(これは、電源の特性によって定められる場合がある)との間でバランスをとることができる。
【0090】
いくつかの例では、デバイス100は、コントローラ135、加熱ユニット140a~140e、及び加熱ユニット140a~140eのそれぞれのインダクタ150のうちのいずれか1つ又はすべてを少なくとも部分的に取り囲むように電磁遮蔽体(図示せず)を備えてもよい。他の例では、電磁遮蔽体は、電磁遮蔽体がインダクタ150及び/又はコントローラ135を部分的に取り囲むように、加熱ユニットのそれぞれのインダクタ150とコントローラ135との間に配置されてもよい。インダクタ150が2つ以上ある例では、インダクタ150のそれぞれ、インダクタのそれぞれに対するそれぞれの加熱ユニット140a~140e、及びコントローラ135のうちのいずれか1つ又はすべてを少なくとも部分的に取り囲むように、2つ以上の電磁遮蔽体セクションがあってもよい。この同じ例では、電磁遮蔽体セクションは、これに代えて、対応する加熱ユニット140a~140eを有するインダクタ150のそれぞれと、コントローラ135との間に配置されてもよい。
【0091】
図2を参照すると、エアロゾル供給デバイスを使用して加熱セッション中にエアロゾル化可能材料を加熱する方法の例を示す流れ図が示されている。方法200で使用されるエアロゾル供給デバイスは、エアロゾル化可能材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、使用時に、それを通ってエアロゾルが加熱領域からユーザに送達可能な出口と、物品が少なくとも部分的に加熱領域内に配置されたときに物品を加熱することによってエアロゾルを生成するための加熱装置とを備える。エアロゾル供給デバイスは、例えば、図1に示すもの、又は本明細書で論じるその適切な変形のいずれであってもよい。
【0092】
方法200は、加熱装置130が、物品10が加熱領域110内に少なくとも部分的に配置されたとき、物品10のエアロゾル化可能材料11の第1の部分11aを、エアロゾル化可能材料11の第2の部分11bの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に物品10のエアロゾル化可能な材料11の第2の部分11bを加熱するステップ220の前に、又はそれよりも速く、エアロゾル化可能材料11の第1の部分11aの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱するステップ210を含み、エアロゾル化可能材料11の第2の部分11bは、エアロゾル化可能材料11の第1の部分11aと出口120との間に流体的に配置される。
【0093】
本明細書の教示から、方法200は、上記で論じたように、加熱装置130がまた、エアロゾル化可能材料11の少なくとも1つのさらなる部分11b~11eを、流体的に出口120により近いエアロゾル化可能材料11のなおさらなる部分11c~11eの加熱の前に、又はそれよりも速く、エアロゾル化可能材料11のさらなる部分11b~11eの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱するステップを含むように適切に構成することができることが理解されよう。
【0094】
図3を参照すると、エアロゾル供給デバイスを使用して加熱セッション中にエアロゾル化可能材料を加熱する方法の別の例を示す流れ図が示されている。方法300で使用されるエアロゾル供給デバイスは、エアロゾル化可能材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、使用時に、それを通ってエアロゾルが加熱領域からユーザに送達可能な出口と、物品が少なくとも部分的に加熱領域内に配置されたときに物品を加熱することによってエアロゾルを生成するための加熱装置とを備える。加熱装置は、第1の加熱ユニットと、第2の加熱ユニットと、第3の加熱ユニットと、第1、第2、及び第3の加熱ユニットを動作させるように構成されたコントローラとを備える。エアロゾル供給デバイスは、例えば、図1に示すもの、又は本明細書で論じるその適切な変形のいずれであってもよい。
【0095】
方法300は、コントローラ135が、物品10が加熱領域110内に少なくとも部分的に配置されたときに、第1、第2、及び第3の加熱ユニット140a、140b、140cを互いに独立して制御して、第1の加熱ユニット140aに、物品10のエアロゾル化可能材料11の第1の部分11aを、(例えば、第2の部分11bより前に、又はそれより速く)エアロゾル化可能材料11の第1の部分11aの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱させるステップ310と、第2の加熱ユニット140bに、物品10のエアロゾル化可能材料11の第2の部分11bを、(例えば、第3の部分11cより前に、又はそれより速く)エアロゾル化可能材料11の第2の部分11bの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱させるステップ320と、第3の加熱ユニット140cに、物品10のエアロゾル化可能材料11の第3の部分11cを、エアロゾル化可能材料11の第3の部分11cの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱させるステップ330とを含み、エアロゾル化可能材料11の第2の部分11bは、エアロゾル化可能材料11の第1の部分11aと出口120との間に流体的に配置され、エアロゾル化可能材料11の第3の部分11cは、エアロゾル化可能材料11の第2の部分11bと出口120との間に流体的に配置される。
【0096】
方法300で使用されるエアロゾル供給デバイスが十分な加熱ユニットを備えるとき、本明細書の教示から、方法300は、物品10が加熱領域110内に少なくとも部分的に配置されたときに、第4及び第5の加熱ユニット140d、140eも互いに独立して制御して、第4の加熱ユニット140dに、物品10のエアロゾル化可能材料11の第4の部分11dを、エアロゾル化可能材料11の第4の部分11dの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱させ、第5の加熱ユニット140eに、物品10のエアロゾル化可能材料11の第5の部分11eを、エアロゾル化可能材料11の第5の部分11eの成分をエアロゾル化するのに十分な温度に加熱させる加熱装置130を備えるように適切に構成することができることが理解されよう。ここで、エアロゾル化可能材料11の第4の部分11dは、エアロゾル化可能材料11の第3の部分11cと出口120との間に流体的に配置され、エアロゾル化可能材料11の第5の部分11eは、エアロゾル化可能材料11の第4の部分11dと出口120との間に流体的に配置される。
【0097】
次に、加熱装置130の加熱ユニット140a~140eのうちの1つを、図4及び図5を参照してより詳細に説明する。これらの図はそれぞれ、加熱ユニットのインダクタ構成体150の概略断面側面図及びインダクタ構成体150のインダクタ160の概略斜視図である。
【0098】
インダクタ構成体150は、電気絶縁性の支持体172及びインダクタ160を備える。支持体172は、反対側にある第1の側面172aと第2の側面172bを有し、インダクタ160の部分162、164は、支持体172のそれぞれの第1及び第2の側面172a、172bにある。
【0099】
より詳細には、インダクタ160は導電性要素160を備える。要素160は、第1の平面Pと一致する導電性の非螺旋状の第1の部分162と、第1の平面Pから間隔を空けて配置された第2の平面Pと一致する導電性の非螺旋状の第2の部分164とを備える。この例では、第2の平面Pは第1の平面Pに平行であるが、他の例ではそうである必要はない。例えば、第2の平面Pは、第1の平面Pに対して、20度以下、又は10度以下、又は5度以下などの角度であってもよい。インダクタ160はまた、第1の部分162を第2の部分164に電気的に接続する第1の導電性コネクタ163を備える。第1の部分162は支持体172の第1の側172aにあり、第2の部分164は支持体172の第2の側172bにある。導電性コネクタ163は、第1の側面172aから第2の側面172bまで支持体172を貫通している。導電性コネクタ163は、支持体172に設けられた貫通孔の表面にメッキ(例えば銅メッキ)を施した構造を有してもよい。
【0100】
支持体172は、任意の適切な電気絶縁性材料(複数可)から作ることができる。いくつかの例では、支持体172は、マトリックス(エポキシ樹脂など、任意選択でセラミックなどの充填材を付加)及び補強構造体(ガラス繊維又は紙などの織布又は不織布材料など)を備える。
【0101】
インダクタ160は、任意の適切な導電性材料(複数可)から作ることができる。いくつかの例では、インダクタ160は銅製である。
【0102】
いくつかの例では、インダクタ構成体150はPCBを含む、又はPCBから形成される。そのような例では、支持体172は、FR-4ガラスエポキシ、又はフェノール樹脂を含浸させた綿紙などの材料から形成することができるPCBの非導電性基板であり、インダクタ160の第1及び第2の部分162、164は、基板上のトラックである。これにより、インダクタ構成体150の製造が容易になり、また、以下でさらに詳細に論じるように、要素160の部分162、164を薄くし、密に配置することができる。
【0103】
この例では、第1の部分162は第1の部分環状体162であり、第2の部分164は第2の部分環状体164である。さらに、この例では、第1及び第2の部分162、164のそれぞれは、それぞれの円形経路の一部のみをたどる。したがって、第1の部分又は第1の部分環状体162は第1の円弧であり、第2の部分又は第2の部分環状体164は第2の円弧である。他の例では、第1及び第2の部分162、164は、楕円形、多角形、又は不規則な形など、円形以外の経路をたどってもよい。しかしながら、第1及び第2の部分162、164の形状を、それぞれの隣り合うサセプタ190(デバイス100に設けられるか又は物品10に設けられるかにかかわらず)の部分の形状(又は、外周など、少なくとも形状の一態様)に合わせることは、インダクタ160とサセプタ190との磁気結合を改善し、より一貫性のあるものにするのに役立つ。さらに、第1及び第2の部分162、164がそれぞれの円弧である例では、円弧の半径を等しくすることもまた、インダクタ160の長さに沿ってより一貫した磁場の生成、したがって、サセプタ190のより一貫した加熱をもたらすのに役立つことができる。
【0104】
インダクタ構成体150は、第1及び第2の部分162、164又は部分環状体の半径方向内側でこれらと同軸の貫通孔152を有する。組み立てられたデバイス100では、サセプタ190及び加熱領域110は貫通孔152を通って延在し、その結果、要素160の部分162、164は一緒になってサセプタ190及び加熱領域110を少なくとも部分的に取り囲む。サセプタ190が複数のサセプタによって置き換えられる例では、複数のサセプタのそれぞれは、それぞれの加熱ユニット140a~140eの1つ又は複数のインダクタ構成体150の貫通穴152を通って延在するように配置されてもよい。いくつかの例では、このサセプタ又は各サセプタは貫通孔152を通って延在せず、むしろ関連する要素160に(例えば軸方向に)隣り合う。
【0105】
上記で論じたように、加熱装置130にサセプタがない例では、加熱領域110は、それでもなお、それぞれの加熱ユニット140a~140eのインダクタ構成体150の貫通孔152の一部又は全部を通って延在することができる。いくつかのそのような例では、物品10は、エアロゾル化可能材料11の周りに巻かれた、若しくはエアロゾル化可能材料11を取り囲む金属箔(例えばアルミニウム箔)などの1つ若しくは複数のサセプタ、及び/又は、物品10のエアロゾル化可能材料11と軸方向に隣り合う物品10の一端にあるパッドの形態などのサセプタを備える。いくつかの例では、液体又はゲル又はその他の流動性のエアロゾル化可能材料を備える物品10のサセプタは、(例えばセラミック)ウィックの中の、又はウィック上にコーティングされた(例えば金属の)サセプタを含んでもよい。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eは、同じそれぞれの形態又は特性を有するか、或いは、異なるタバコ混合物及び/又は異なる適用された若しくは固有の香味など、異なるそれぞれの形態又は特性を有する。いくつかのそのような例では、物品10は複数のサセプタを備えてもよく、それらのサセプタのそれぞれは、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eのそれぞれ1つを加熱するように配置され加熱可能である。いくつかの例では、エアロゾル化可能材料11の部分11a~11eは、互いから分離されている。他の例では、複数の加熱領域があってもよく、加熱領域のそれぞれは、一対のインダクタ構成体150の間に配置される。複数の加熱領域の一部又は全部は、貫通穴152を通って延在しなくてもよい。複数の加熱領域は、エアロゾル化可能材料11を備えるそれぞれの物品10を受け入れるためのものであってもよい。それぞれの物品10のエアロゾル化可能材料11は、同じ又は異なるそれぞれの形態又は特性のものであってもよい。いくつかの例では、貫通孔152は省略されてもよい。
【0106】
図5をさらに考察することで最もよく理解することができるように、第1の平面Pに直交する方向に見たとき、したがってインダクタ160の軸線B-Bの方向に見たとき、第1の部分162と第2の部分164とは、第1の導電性コネクタ163から反対方向に回転するように延在する。例えば、図5のインダクタ160を、図5が描かれているように左から右へ軸線B-Bの方向に見ると、インダクタ160の第1の部分162は、コネクタ163から反時計回りの方向に延在し、一方、インダクタ160の第2の部分164は、コネクタ163から時計回りの方向に延在する。
【0107】
さらに、この例では、第1の平面Pに直交する方向に見たとき、第1の部分162又は第1の部分環状体は、第2の部分164又は第2の部分環状体に部分的にのみだが、重なる。この例では、第1の部分162と第2の部分164とは、第1及び第2の平面P、Pに直交する軸線B-Bの周りに約1.75巻きを一緒に画定する。他の例では、巻数は、少なくとも0.9巻きなど、1.75巻き以外の別の巻数であってもよい。例えば、巻数は0.9~1.5巻き、又は1~1.25巻きであってもよい。他の例では、巻数は0.9巻きより少なくてもよいが、支持体172当たりの巻数を減らすと、インダクタアセンブリ150の軸方向長さが長くなることがある。
【0108】
さらに、第1の平面Pに直交する方向に見ると、第1の部分162又は第1の部分環状体、及び第2の部分164又は第2の部分環状体は、第1の導電性コネクタ163と少なくとも部分的に重なる。これは、インダクタ構成体150がPCB(又は、より一般的には、平面基板層)を備えるか、又はPCBから形成されることによって容易になる。特に、そのような例では、第1の導電性コネクタ163は、支持体172を通って延在する「ビア」の形態をとる。インダクタ構成体150がPCBから形成されない例であっても、コネクタ163はそれでも支持体172を通って延在してもよい。この重なる配置により、第1及び第2の部分162、164が、第1及び第2の部分162、164の半径方向外側に間隔を空けて配置されたコネクタ163によって接続される比較例と比較して、第1の平面Pに直交する方向に見たときに、インダクタ160の占有面積を比較的小さくすることができる。さらに、この重なる配置により、第1及び第2の部分162、164が、第1及び第2の部分162、164の半径方向内側に間隔を空けて配置されたコネクタ163によって接続される比較例と比較して、貫通孔152の幅を大きくすることができる。それにもかかわらず、いくつかの例では、コネクタ163は、第1及び第2の部分162、164の半径方向内側又は半径方向外側にあってもよい。これは、コネクタ163が、支持体172を貫通して延在する「貫通ビア」によって形成されることによって実現することができる。貫通ビアは、PCBが製造された後に形成することができるので、ブラインドビアよりも形成するのが安価になる傾向がある。
【0109】
この例では、インダクタ構成体150は、2つのさらなる支持体174、176を備え、要素160は、第1の平面Pに平行な、間隔を空けて配置された2つのそれぞれの平面P、Pと一致する2つのさらなる導電性の非螺旋状部分166、168を備えることに留意されたい。他の例では、間隔を空けて配置された平面P、Pの1つ又はそれぞれは、第1の平面Pに対して、20度以下、又は10度以下、又は5度以下の角度などの角度であってもよい。第2の導電性の非螺旋状部分164と第3の導電性の非螺旋状部分166とは、第2の支持体174の反対側にあり、第2の導電性コネクタ165によって電気的に接続されている。第3の導電性の非螺旋状部分166と第4の導電性の非螺旋状部分168とは、第3の支持体176の反対側にあり、第3の導電性コネクタ167によって電気的に接続されている。第2及び第3の導電性コネクタ165、167は、第1の導電性コネクタ163から回転方向にずらされている。支持体172、174、及び176がPCBとして形成された構成体では、コネクタ163及び167は「ブラインドビア」として形成され、一方、コネクタ165は「ベリードビア」として形成されてもよい。
【0110】
この例では、第1の部分又は部分環状体162と、第2の部分又は部分環状体164と、第3の部分又は部分環状体166と、第4の部分又は部分環状体168とは、第1及び第2の平面P、Pに直交する軸線B-Bの周りに合計約3.6巻きを一緒に画定する。他の例では、総巻数は、1~10巻きなど、3.6巻き以外の別の巻き数であってもよい。例えば、総巻数は1~8巻き、又は1~4巻きであってもよい。総巻数が比較的少ないと、サセプタ190に沿って又はサセプタ190の周りに電流を流すために、サセプタ190(デバイス100に設けられるか又は物品10に設けられるかにかかわらず)において利用可能な電圧を上昇させると考えられる。
【0111】
インダクタ160はまた、インダクタ160の反対側の端部に第1の端子161と第2の端子169とを備えることに留意されたい。これらの端子は、使用時にインダクタ160に電流を流すためのものである。
【0112】
この例では、第1、第2、及び第3の支持体172、174、176のそれぞれの厚さは約0.85ミリメートルである。いくつかの例では、支持体172、174、176の1つ又は複数の厚さは、0.2ミリメートル~2ミリメートルの範囲の別の厚さなど、0.85ミリメートル以外であってもよい。例えば、厚さのそれぞれは0.5ミリメートル~1ミリメートル、又は0.75ミリメートル~0.95ミリメートルであってもよい。いくつかの例では、それぞれの支持体172、174、176の厚さは互いに等しいか、又は互いに実質的に等しい。他の例では、支持体172、174、176の1つ又は複数の厚さは、他の支持体172、174、176の1つ又は複数の厚さと異なっていてもよい。
【0113】
この例では、インダクタ160の部分162、164、166、168のそれぞれは、第1の平面Pに直交する方向に測定された厚さが約142マイクロメートルである。いくつかの例では、インダクタ160の部分162、164、166、168の1つ又は複数の厚さは、10マイクロメートル~200マイクロメートルの範囲にある別の厚さなど、142マイクロメートル以外であってもよい。例えば、厚さのそれぞれは、25マイクロメートル~175マイクロメートル、又は100マイクロメートル~150マイクロメートルであってもよい。
【0114】
インダクタ構成体150がPCBから作られる例では、インダクタ160の材料の厚さは、PCBを構成する前に、基板に材料を「プレーティングアップ(plating-up)」することによって決めることができる。いくつかの標準的な回路基板は、基板上に銅などの導電性材料の1オンス層を有する。1オンス層の厚さは約38マイクロメートルである。4オンス層にプレーティングアップすることによって、厚さは約142マイクロメートルに増える。厚さが増えると、インダクタ構成体の構造がより堅牢になり、抵抗損失がそれに比例して減少することによりシステム損失が減少する。インダクタ160の材料の体積が増大すると、インダクタ160の熱容量が増大し、所与の熱の入力に対する温度上昇が低減する。これは、使用時のインダクタ160自体の温度がインダクタ構成体150の構造に損傷を引き起こすほど高くならないことを確実にする助けにするために使用することができるので、有益である場合がある。いくつかの例では、インダクタ160のそれぞれの部分162、164、166、168の厚さは互いに等しいか、又は互いに実質的に等しい。これにより、インダクタ160の異なる部分によって生じる加熱効果をより一貫したものにすることができる。他の例では、インダクタ160の部分162、164、166、168のうちの1つ又は複数の厚さは、インダクタ160の他の部分162、164、166、168のうちの1つ又は複数の厚さと異なっていてもよい。これは、いくつかの例では意図的に行われることがあり、その結果、インダクタ160の特定の部分(複数可)によって生じる加熱効果を、インダクタ160の他の部分(複数可)によって生じる加熱効果と比べて増大させることができる。
【0115】
この例では、平面P~Pのそれぞれは平坦な平面、又は実質的に平坦な平面である。しかし、他の例ではそうである必要はない。
【0116】
第1の平面Pと第2の平面Pとは、図5に示すように、インダクタ160の軸線B-Bの方向に距離Dだけ間隔を空けて配置されている。この例では、第1及び第2の平面P、Pに直交する方向に測定された第1の平面Pと第2の平面Pとの間の距離Dは、1ミリメートル未満など2ミリメートルよりも短い。他の例では、距離Dは、例えば、1ミリメートル~2ミリメートル、又は2ミリメートルより長くてもよい。
【0117】
第1の導電性コネクタ163と導電性要素160の第1及び第2の部分162、164との組み合わせは、螺旋コイルか、又はほぼ螺旋コイルであると考えることができる。実際、完全なインダクタ160は、螺旋コイルか、又はほぼ螺旋コイルであると考えることができる。
【0118】
平面P、P、P、Pの隣り合う対の間の距離D、D、Dを考えると、この例のコイルのピッチは、1ミリメートル未満など、2ミリメートル未満であると考えることができる。他の例では、ピッチは、例えば、1ミリメートル~2ミリメートル、又は2ミリメートルより広くてもよい。任意選択で、要素160の部分162、164、166、168のそれぞれ隣り合う対の間の距離は、要素160の部分162、164、166、168のそれぞれ隣り合う他の対の間の距離と等しいか、又はそれと10%未満異なる。これにより、磁場は、インダクタ160の長さに沿ってより一貫して生じ、したがってサセプタ190をより一貫して加熱することができる。
【0119】
ピッチが狭ければ狭いほど、エネルギーが印加されるサセプタ190(デバイス100に設けられるか又は物品10に設けられるかにかかわらず)の質量に対する磁場強度の比が大きくなる。しかしながら、これは、「近接効果」のマイナスの影響とバランスをとる必要がある。特に、ピッチが狭くなると、近接効果による損失が増大する。したがって、サセプタ190を加熱するために利用可能なエネルギーを増大させながら、インダクタ160の損失を低減するためには、注意深くピッチを選択する必要がある。いくつかの例では、インダクタ160及びコントローラ135が適切に構成されると、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じることが見出された。いくつかの例では、磁束密度は少なくとも0.1テスラである。
【0120】
PCBからインダクタ構成体150を製造することにより、比較的狭いピッチが可能になる。本教示を考慮すれば、当業者は、同様の狭いピッチを有する誘導コイルを製造する他の方法を思いつくことができるであろう。しかしながら、PCBからインダクタ構成体150を製造することはまた、リッツ(登録商標)線を巻くなど、誘導コイルを製造するいくつかの他の方法よりも安価になる可能性が高い。
【0121】
図に示す例のインダクタ構成体150は、3つの支持体172、174、176と、4つの部分162、164、166、168を備えるインダクタ160とを有するが、他の例ではそうである必要はない。いくつかの例では、インダクタ160は、3つの部分162、164、166のみ、又は2つの部分162、164のみなど、4つより多い又は少ない部分を有してもよい。いくつかの例では、インダクタ構成体150は、2つの支持体172、174のみ、又は1つの支持体172のみなど、3つより多い又は少ない支持体を有してもよい。実際、いくつかの例では、インダクタ構成体150の支持体の数は1つのみであってもよく、インダクタ160の部分の数は2つのみであってもよく、インダクタ160のそれら2つの部分162、164は、単一の支持体172の反対側にある。導電性コネクタ163、165、167の数は、インダクタ160に存在する2つの部分162、164、166、168の数に応じて相応に調節されなければならないことが理解されよう。いくつかの例では、インダクタ160は、インダクタ160の部分162、164、166、168の間にいかなる支持体もなしで提供されてもよい。このような例では、インダクタ160が自立するのに十分な強度のものであることが望ましい。
【0122】
それぞれの加熱ユニット140a~140eのインダクタ構成体150、又はそのインダクタ160は、図1のデバイス100又は本明細書で論じるその変形例のいずれかなどのエアロゾル供給デバイスに含めるためのインダクタアセンブリ又は磁場生成器130に設けられてもよい。インダクタアセンブリ、磁場生成器130、又はデバイス100のインダクタ160は、インダクタ160間の干渉を回避又は低減しながら、エアロゾル化可能材料11の大部分又は他の所望の量を加熱することができるように選択された距離だけ間隔を空けて配置されてもよい。本明細書で述べたように、インダクタの比較的狭いピッチは、比較的集中した変動磁場の生成をもたらすことが見出されており、その結果、インダクタ160の他のものは、干渉をそれほど受けることなく比較的密接に配置することができる。隣り合うインダクタ160は、10ミリメートル~40ミリメートルの距離、又は15ミリメートル~30ミリメートルの距離など、5ミリメートル~50ミリメートルの距離だけ間隔を空けて配置されてもよい。他の例では、他の距離が用いられてもよい。
【0123】
物品10中のエアロゾル化可能材料11の揮発可能成分(複数可)のすべて、実質的にすべて、又は多くが消費されると、ユーザは、デバイス100の加熱チャンバ110から物品10を取り出して物品10を廃棄することができる。
【0124】
いくつかの例では、物品10は、物品10が使用可能なデバイス100とは別に販売、供給、又はその他の方法で提供される。しかしながら、いくつかの例では、デバイス100及び1つ又は複数の物品10は、キット又はアセンブリなどのシステムとして、場合によっては清掃器具などの追加の構成要素とともに一緒に提供されてもよい。
【0125】
図6は、図示のようなインダクタコイルが2次(又はセンス)コイル(図示せず)と近接して配置することができる実施形態を示す。インダクタは、エアロゾル供給デバイスの一部を形成してもよい。
【0126】
インダクタは導電性要素を備え、要素は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分601と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分602と、第1の部分を第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタ603とを備える。第2の平面は第1の平面と平行であってもよい。
【0127】
第1の部分601は第1の部分環状体を備えてもよく、第2の部分602は第2の部分環状体を備えてもよい。
【0128】
一実施形態によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが開示され、インダクタは導電性要素を備え、要素は、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体601と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体602と、第1の部分環状体601を第2の部分環状体602に電気的に接続する導電性コネクタ603とを備える。第2の平面は第1の平面と平行であってもよい。
【0129】
第1の部分又は第1の部分環状体601は、第1の円弧を含んでもよく、第2の部分又は第2の部分環状体602は、第2の円弧を含んでもよい。
【0130】
第1の平面に直交する方向に見たとき、第1の部分又は部分環状体601と第2の部分又は部分環状体602とは、導電性コネクタ603から反対方向に回転するように延在していると考えることができる。
【0131】
第1の平面に直交する方向に見たとき、第1の部分又は第1の部分環状体601は、第2の部分又は第2の部分環状体602に部分的にのみ重なっていると考えることができる。
【0132】
第1の平面に直交する方向に見たとき、第1の部分又は第1の部分環状体601は、導電性コネクタ603に少なくとも部分的に重なってもよい。第1及び第2の平面は平坦な平面であってもよい。第1及び第2の平面に直交する方向に測定された第1の平面と第2の平面との間の距離は2ミリメートルより短くてもよい。例示的な実施形態では、第1の平面と第2の平面との間の距離は1ミリメートルより短くてもよい。第1の部分又は部分環状体601と第2の部分又は部分環状体602とは、第1及び第2の平面に直交する軸線の周りに少なくとも0.9巻きを一緒に画定してもよい。
【0133】
要素は、間隔を空けて配置されたそれぞれの平面と一致するさらなる導電性の非螺旋状の部分又は導電性の部分環状体を備えてもよい。間隔を空けて配置されたこれらの平面は、第1の平面に平行であってもよい。
【0134】
一実施形態によれば、要素の導電性の非螺旋状の部分又は部分環状体のすべてによって一緒に画定される軸線周りの総巻数は1~10巻きであってもよい。例示的な実施形態では、総巻数は1~8巻きであってもよい。例示的な実施形態では、総巻数は1~4巻きであってもよい。
【0135】
要素の部分又は部分環状体のそれぞれ隣り合う対の間の距離は、要素の部分又は部分環状体のそれぞれ隣り合う他の対の間の距離に等しいか、或いはそれと10%未満異なってもよい。
【0136】
第1及び第2の部分又は部分環状体のそれぞれの、第1の平面に直交する方向に測定された厚さは、10マイクロメートル~200マイクロメートルであってもよい。例示的な実施形態では、厚さは25マイクロメートル~175マイクロメートルであってもよい。例示的な実施形態では、厚さは100マイクロメートル~150マイクロメートルである。
【0137】
エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが開示される。インダクタは、ピッチが2ミリメートルよりも狭いコイルを備えてもよい。ピッチは1ミリメートルよりも狭くてもよい。エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタ構成体が開示される。インダクタ構成体は、反対側にある第1の側面と第2の側面を有する電気絶縁性の支持体を備えてもよい。インダクタ構成体は、第1の部分又は第1の部分環状体が支持体の第1の側面にあり、第2の部分又は第2の部分環状体が支持体の第2の側面にある、上記に開示したようなインダクタを備えてもよい。
【0138】
インダクタ構成体は、第1及び第2の部分又は部分環状体の半径方向内側でこれらと同軸の貫通孔を有してもよい。インダクタの導電性コネクタは支持体を貫通して延在してもよい。支持体の厚さは0.2ミリメートル~2ミリメートルであってもよい。例示的な実施形態では、支持体の厚さは0.5ミリメートル~1ミリメートルであってもよい。例示的な実施形態では、支持体の厚さは0.75ミリメートル~0.95ミリメートルである。
【0139】
インダクタ構成体は、プリント回路基板を備えてもよく、支持体は、プリント回路基板の非導電性基板であり、第1及び第2の部分又は部分環状体は基板上のトラックである。
【0140】
エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタアセンブリを備える実施形態が開示される。インダクタアセンブリは、複数のインダクタを備えてもよいし、又は複数のインダクタ構成体を備えてもよい。別の実施形態によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器が開示される。磁場生成器は、上記に開示したような1つ若しくは複数のインダクタ又は1つ若しくは複数のインダクタ構成体を備えてもよい。
【0141】
磁場生成器は、1つ又は複数のインダクタと、1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すように動作可能な装置とを備えてもよく、1つ又は複数のインダクタ及び装置は、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じるように構成される。例示的な実施形態では、磁束密度は少なくとも0.1テスラである。
【0142】
磁場生成器は、1つ又は複数のインダクタ構成体を備えてもよく、磁場生成器の1つ又は複数のインダクタは、それぞれの1つ又は複数のインダクタ構成体のインダクタであってもよい。
【0143】
エアロゾル化可能材料を備える物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱領域と、磁場生成器とを備えるエアロゾル供給デバイスが開示され、磁場生成器は、物品が加熱領域にあるときに、物品のエアロゾル化可能材料の少なくとも一部を加熱するのに使用するための変動磁場を生成するように動作可能であるように構成される。
【0144】
例示的な実施形態では、磁場生成器のインダクタ又は各インダクタは、少なくとも部分的に加熱領域を取り囲む。
【0145】
例示的な実施形態では、エアロゾル供給デバイスは、変動磁場の侵入により加熱可能であることによって加熱領域を加熱するサセプタを備える。
【0146】
例示的な実施形態では、磁場生成器は、物品のエアロゾル化可能材料のそれぞれの部分を互いに独立して加熱するのに使用するための複数のそれぞれの変動磁場を互いに独立して生成するように動作可能であるように構成される。
【0147】
エアロゾル供給デバイスと、エアロゾル化可能材料を備える物品とを具備するエアロゾル供給システムが開示され、エアロゾル化可能材料を備える物品は、加熱領域に少なくとも部分的に挿入可能である。
【0148】
エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが開示される。インダクタは、導電性要素と2次コイルとを備えてもよく、要素は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、第1の部分を第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、導電性要素は、変動電流が導電性要素に印加されると、対応する変動電流が2次コイルに誘導されるように構成される。
【0149】
エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが開示される。インダクタは、導電性要素と2次コイルとを備えてもよく、要素は、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体と、第1の部分環状体を第2の部分環状体に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、導電性要素は、変動電流が導電性要素に印加されると、対応する変動電流が2次コイルに誘導されるように構成される。
【0150】
エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器が開示される。磁場生成器は、1つ又は複数のインダクタと、1つ又は複数のコイルと、1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すように動作可能な装置とを備えてもよく、装置が1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すとき、対応する変動電流が1つ又は複数のコイルに誘導され、1つ又は複数のインダクタ及び装置は、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じるように構成される。
【0151】
一実施形態によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが開示され、インダクタは、導電性要素と電磁遮蔽体とを備え、要素は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分と、第1の部分を第2の部分に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、電磁遮蔽体は、第1の平面と一致する導電性の非螺旋状の第1の部分、第2の平面と一致する導電性の非螺旋状の第2の部分、及び導電性コネクタのうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むように配置される。
【0152】
一実施形態によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するためのインダクタが開示される。
【0153】
図7は、単一のセンスコイル200が2つのインダクタコイル150に近接して配置された実施形態を示す。
【0154】
図8は、2つのインダクタコイル150が設けられ、単一のセンスコイル200が設けられたさらなる実施形態を示す。
【0155】
図9は、2つのインダクタコイル150が設けられ、各インダクタコイル150が異なるセンスコイル200に近接して配置された実施形態を示す。
【0156】
インダクタは、導電性要素と電磁遮蔽体とを備えてもよく、要素は、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体と、第1の平面から間隔を空けて配置された第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体と、第1の部分環状体を第2の部分環状体に電気的に接続する導電性コネクタとを備え、電磁遮蔽体は、第1の平面と一致する導電性の第1の部分環状体、第2の平面と一致する導電性の第2の部分環状体、及び導電性コネクタのうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に取り囲むように配置される。
【0157】
別の実施形態によれば、エアロゾル供給デバイスに使用するための磁場生成器が開示され、磁場生成器は、1つ又は複数のインダクタと、1つ又は複数のインダクタに変動電流を流すように動作可能な装置と、電磁遮蔽体とを備え、電磁遮蔽体は、1つ又は複数のインダクタと装置との間に配置され、電磁遮蔽体は、1つ若しくは複数のインダクタ及び/又は装置を少なくとも部分的に取り囲むようにさらに配置され、1つ又は複数のインダクタ及び装置は、少なくとも0.01テスラの磁束密度を有する磁場を生じるように構成される。
【0158】
様々な実施形態によるエアロゾル生成デバイス、エアロゾル生成システム、及びインダクタコイルは、実質的に平坦な消耗品からエアロゾルを生成するときに特に有用であることが分かる。実質的に平坦な消耗品は、配列又は円形の形態のいずれかで提供されてもよい。他の構成も考えられる。
【0159】
例えば実質的に平坦な消耗品が配列の形態で提供されるいくつかの実施形態では、複数の加熱領域が設けられてもよい。例えば、一実施形態によれば、1つの加熱領域が、消耗品の部分、ピクセル、又は部分ごとに設けられてもよい。
【0160】
他の実施形態では、実質的に平坦な消耗品は、消耗品のセグメントが同様の形状のヒーターによって加熱されるように回転されてもよい。この実施形態によれば、単一の加熱領域が設けられてもよい。
【0161】
特に、様々な実施形態によるインダクタコイルは、非燃焼性エアロゾル供給システムの一部として消耗品を燃焼しないで加熱するように構成された非燃焼性エアロゾル供給デバイスの一部として提供されてもよい。特に、消耗品は、エアロゾル生成材料の複数の個別部分を備えてもよい。
【0162】
消耗品は、エアロゾル生成材料が設けられる支持体を備えてもよい。支持体は、エアロゾル生成材料が形成する支持部として機能し、製造を容易にする。支持体は、エアロゾル生成材料に引張強度を与えて、取り扱いを容易にすることができる。いくつかの場合、エアロゾル生成材料の複数の個別部分は、このような支持体に堆積される。いくつかの場合、非晶質材料の複数の個別部分は、このような支持体に堆積される。いくつかの場合、エアロゾル生成材料の個別部分は、各個別部分を別々に加熱及びエアロゾル化することができるように、そのような支持体に堆積される。
【0163】
エアロゾル生成材料の個別部分は、各個別部分を別々に加熱してエアロゾル化することができるように支持体に設けられることが好適である。このような形態を有する消耗品は、各パフでユーザに一貫したエアロゾルを送達することができることが見出された。
【0164】
いくつかの場合、支持体は、金属箔、紙、カーボン紙、耐油紙、セラミック、グラファイト及びグラフェンなどの炭素同素体、プラスチック、厚紙、木材、又はそれらの組み合わせから選択された材料から形成されてもよい。いくつかの場合、支持体は、再生タバコのシートなどのタバコ材料を含んでもよいし、又はそれから構成されてもよい。いくつかの場合、支持体は金属箔、紙、厚紙、木材、又はそれらの組み合わせから選択された材料から形成されてもよい。いくつかの場合、支持体自体は、前述のリストから選択された材料の層を備える積層構造体である。いくつかの場合、支持体はまた、香味料キャリアとしても機能してもよい。例えば、支持体は、香味料又はタバコ抽出物を含浸されてもよい。いくつかの場合、支持体は非磁性であってもよい。いくつかの場合、支持体は磁性であってもよい。この機能は、使用時に支持体をアセンブリに固定するために使用されてもよく、又は特定の非晶質固体形状を生成するために使用されてもよい。いくつかの場合、エアロゾル生成材料は、使用時に材料を誘導ヒーターに固定するために使用することができる1つ又は複数の磁石を備えてもよい。
【0165】
いくつかの場合、支持体は、ガス及び/又はエアロゾルに対して実質的に又は完全に不透過性であってもよい。これは、エアロゾル又はガスが支持体層を通過するのを防ぐことにより、流れを制御し、ユーザへの送達を確実にする。これはまた、例えば、使用時、エアロゾル生成アセンブリに設けられたヒーターの表面でのガス/エアロゾルの凝縮又は他の堆積を防ぐために使用することができる。したがって、いくつかの場合、消費効率及び衛生面を改善することができる。
【0166】
いくつかの場合、エアロゾル生成材料に当接する支持体の表面は多孔質であってもよい。例えば、1つの場合には、支持体は紙を含む。紙などの多孔性支持体は本発明に特に適していることが見出された。多孔性(例えば紙)の層はエアロゾル生成材料に当接し、強い結合を形成する。エアロゾル生成材料はゲルを乾燥させることによって形成され、理論に限定されるものではないが、ゲルを形成するスラリーが多孔性支持体(例えば紙)に部分的に浸み込み、その結果、ゲルが固化し、架橋を形成すると、支持体がゲルに部分的に結合すると考えられる。これは、ゲルと支持体との間(及び乾燥したゲルと支持体の間)を強力に接合する。
【0167】
1つの特定の場合には、支持体は紙で裏打ちされた箔であってもよく、紙の層はエアロゾル生成材料に当接し、前の段落で論じた特性はこのように当接することによって与えられる。箔の裏打ちは実質的に不透過性であり、エアロゾルの流路を制御する。金属箔の裏打ちはまた、エアロゾル生成材料に熱を伝導する役割も果たす。
【0168】
別の場合には、紙で裏打ちされた箔の箔の層は、エアロゾル生成材料に当接する。箔は実質的に不透過性であることにより、エアロゾル生成材料に供給された水が紙に吸収されること(これは、その構造的完全性を弱める可能性がある)を防ぐ。
【0169】
いくつかの場合、支持体はアルミニウム箔などの金属箔から形成される、又はそれを含む。金属支持体は、非晶質固体への熱エネルギーの伝導をより良くすることができる。これに加えて又はこれに代えて、金属箔は、誘導加熱システムにおいて、サセプタとして機能することができる。特定の実施形態では、支持体は、金属箔層と、厚紙などの支持層とを備える。これらの実施形態では、金属箔層の厚さは、約1μm~約10μmなど約20μm未満であってもよく、約5μmが好適である。
【0170】
いくつかの場合、支持体の厚さは、約0.010mm~約2.0mmであってもよく、約0.015mm、0.02mm、0.05mm、又は0.1mm~約1.5mm、1.0mm、又は0.5mmが好適である。
【0171】
センスコイルは、PCBのスタックアップのいかなるところに設けられてもよいと考えられる。例えば、一実施形態によれば、センスコイルは、接続を容易にするためにPCBの外面に設けられてもよい。電気的には、センスコイルは、1次加温コイル(warming coil)に結合する受け部としてのみ働く変換器と考えることができる。
【0172】
サセプタは、これもまた、受け部として働く別の変換器であることは明らかであるが、その負荷は著しく低く、かなりの余裕でほとんどの電流を吸収する。センスコイルの負荷は非常に小さいことが理解されよう。
【0173】
この実施形態は、移動が問題となるのでPCB用に最適化されてもよいが、本発明はPCBに限定されるものではないことが理解されよう。
【0174】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例示的に示している。これらの実施形態では、特許請求された発明を実施することが可能なものであり、また、これらの実施形態は、優れたインダクタ、優れたインダクタ構成体、優れたインダクタアセンブリ、優れた磁場生成器、優れたエアロゾル供給デバイス、及び優れたエアロゾル供給システムを提供する。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうちの代表的な例にすぎず、すべての利点及び特徴を網羅したものでもなければ、他の利点及び特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲及びその他で開示される特徴の理解及び教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、又は特許請求の範囲の均等物を限定するものと考えるべきではなく、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成部品、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組み合わせを適切に備えてもよく、それらのみから構成されてもよく、又は実質的にそれらから構成されてもよい。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性のある他の発明を含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】