(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】FAP活性化ラジオセラノスティクスおよび関連する使用
(51)【国際特許分類】
A61K 47/54 20170101AFI20231220BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231220BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231220BHJP
A61K 38/07 20060101ALI20231220BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20231220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61K47/54
A61K47/22
A61P35/00
A61K38/07
A61K38/05
A61K31/519
A61P43/00 123
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536421
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 US2021064160
(87)【国際公開番号】W WO2022133288
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319009901
【氏名又は名称】トラスティーズ オブ タフツ カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】バホフチン,ウィリアム ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ライ,ホゥン-セン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ウェンゲン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC42
4C076DD60
4C076EE59
4C076FF68
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA14
4C084BA16
4C084BA23
4C084BA32
4C084BA42
4C084CA59
4C084NA13
4C084ZB261
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA13
4C086NA15
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)活性化セラノスティクスプロドラッグ、それらを含む医薬組成物、およびFAPのアップレギュレーションを特徴とする障害、例えばがんを処置する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)活性化セラノスティクスプロドラッグ:
【化1】
[式中、
「FAPs」は、FAPαによって切断されてFAPs-C(=O)OHおよびNH
2-L-Rを放出する、FAPα基質を含む部分(「FAP基質部分」)を表し;
Lは、結合であるか、またはFAPによる切断でNH
2-L-Rを放出した後、自己脱離リンカーであり;
Rは、細胞標的に結合するためのリガンドと、放射性部分および/または放射性部分をキレート化するためのキレート剤のうちの1つまたは複数とを含む、リガンド標的化セラノスティクス部分を表す]。
【請求項2】
FAPによるプロドラッグの酵素的切断は、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分としてかまたはその活性形態に容易に代謝される形態のいずれかで、リガンド標的化セラノスティクス部分の放出をもたらし;FAP切断によってプロドラッグから放出されると、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分は、プロドラッグの細胞標的への結合のKdよりも小さい細胞標的への結合のKdで細胞標的に結合する、請求項1に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項3】
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)によるプロドラッグの酵素的切断はRを放出し;FAP切断によってプロドラッグから放出されると、Rは、プロドラッグの細胞標的への結合よりも少なくとも100倍小さいKdで細胞標的に結合する、請求項1に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項4】
式IIによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ:
【化2】
[式中、
Aは5~8員の複素環を表し;
XはOまたはSであり;
R
10は、アミノ末端ブロッキング基であり;
R
12は、水素、または(C
1~C
6)アルキルであり;
R
13は、水素、(C
1~C
6)アルキル(直鎖または分岐鎖であり得る)、または(C
1~C
6)であり;
R
14は、各出現について独立して、-(C
1~C
6)アルキル、-OH、-NH
2、またはハロゲンであり;
pは0~6の整数である]。
【請求項5】
式IIaによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ:
【化3】
[式中、
Aは5~8員の複素環を表し;
XはOまたはSであり;
R
11-(C=X)は一緒になって、アシルN末端ブロッキング基を表し;あるいは
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH 、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;あるいは
R
11は、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルコキシ、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
6~C
14)アリール、-(AA)
n-アリール(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール、または-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
AAは、各出現について独立して、アミノ酸残基であり;
nは1~5の整数であり;
R
12は、水素、または(C
1~C
6)アルキルであり;
R
13は、水素、(C
1~C
6)アルキル(直鎖または分岐鎖であり得る)、または(C
1~C
6)であり;
R
14は、各出現について独立して、-(C
1~C
6)アルキル、-OH、-NH
2、またはハロゲンであり;
pは0~6の整数である]。
【請求項6】
式IIIによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項4に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【化4】
【請求項7】
式IIIaによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項5に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【化5】
【請求項8】
式IVによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項6に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【化6】
【請求項9】
式IVaによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項7に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【化7】
【請求項10】
R
13はC
1~C
6アルキルである、請求項4~9のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項11】
R
13はメチルである、請求項10に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項12】
R
13は水素である、請求項4~9のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項13】
R
12はHである、請求項4~12のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項14】
pは1または2であり、R
14は各出現についてハロゲンである、請求項4~13のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項15】
pは0である、請求項4~13のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項16】
式VIによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項6に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【化8】
【請求項17】
式VIaによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項7に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【化9】
【請求項18】
式VIIによって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ:
【化10】
[式中、
Rは、細胞標的に結合するためのリガンドと、放射性部分および/または放射性部分をキレート化するためのキレート剤のうちの1つまたは複数とを含む、リガンド標的化セラノスティクス部分を表し;
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
Lは結合であるか、またはFAPによる切断でNH
2-L-Rを放出した後、自己脱離リンカーである]。
【請求項19】
XはOである、請求項5、7、9~15、または17のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項20】
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
6~C
14)アリール、アリール(C
1~C
10)アルキル、または5~10員ヘテロアリールである、請求項5、7、9~15、または17~19のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項21】
R
11は、
【化11】
である、請求項20に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項22】
nは1に等しく、AAはセリン残基である、請求項5、7、9~15、または17~19のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項23】
nは1または2である、請求項5、7、9~15、または17~19のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項24】
R
11は、(C
1~C
10)アルキル、(C
1~C
10)アルコキシ、(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、(C
3~C
8)シクロアルキル、(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、(C
6~C
14)アリール、アリール(C
1~C
10)アルキル、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、およびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
R
12は水素であり;
R
13は(C
1~C
6)アルキルであり;
R
14は存在しないか、またはpは2でありかつR
14は各出現についてハロゲンであり;
Lは結合である、または-N(H)-L-は自己脱離リンカーである
請求項5、7、9~15、17~19のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項25】
C(O)-R
11はカルボン酸のアシルを形成する、請求項19に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項26】
C(O)-R
11は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブトリル、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、アクリロイル、マレオイル、フマロイル、グリコロイル、ラクトイル、ピルボイル、グリセロイル、マロイル、オキサロアセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチルまたはメトキシスクシニル基である、請求項25に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項27】
R
11は-(CH
2)
m-R
11aであり、R
11aは5~10員のアリールまたはヘテロアリール基、好ましくは6員のアリールまたはヘテロアリール基であり、mは1~6の整数、好ましくは1または2である、請求項5、7、9~15、または17~19のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項28】
前記アリールは、ベンジル、ナフタレニル、フェナントレニル、フェノリル、およびアニリニルからなる群より選択される、請求項27に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項29】
前記ヘテロアリールは、ピリル、フリル、チオフェニル(a/k/aチエニル)、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、およびピリミジニルからなる群より選択される、請求項28に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項30】
Lは結合である、請求項1~29のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項31】
Lは自己脱離リンカーである、請求項1~29のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項32】
前記自己脱離リンカーは、
【化12-1】
【化12-2】
からなる群より選択され、
式中、
R
aは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R
bは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;
hは、原子価が許す限り、0~8の整数であり;
iは1~6の整数である、請求項31に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項33】
Lは、
【化13】
であり、
式中、R
1は、水素、非置換もしくは置換C
1-3アルキル、または非置換もしくは置換ヘテロシクリルである、請求項1~29のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項34】
Lは、
【化14】
から選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項35】
Lは、
【化15】
から選択され、
式中、
Uは、O、SまたはNR
6であり;
QはCR
4またはNであり;
V
1、V
2およびV
3は独立して、CR
4またはNであり、但し、式IIおよびIIIについて、Q、V
1およびV
2のうち少なくとも1つはNであり;
Tは、前記治療的部分についているNH、NR
6、OまたはSであり;
R
1、R
2、R
3およびR
4は独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、-N(R
5)
2、-N(R
5)
3
+、C
1~C
8ハロゲン化アルキル、カルボキシレート、スルフェート、スルファメート、スルホネート、-SO
2R
5、-S(=O)R
5、-SR
5、-SO
2N(R
5)
2、-C(=O)R
5、-CO
2R
5、-C(=O)N(R
5)
2、-CN、-N
3、-NO
2、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8ハロ置換アルキル、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、ホスフェート、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8置換アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
2~C
8置換アルキニル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20置換アリール、C
1~C
20複素環、およびC
1~C
20置換複素環から選択され;あるいは、R
2およびR
3は一緒になって、カルボニル(=O)、または3~7個の炭素原子のスピロ炭素環を形成し;
R
5およびR
6は独立して、H、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8置換アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
2~C
8置換アルキニル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20置換アリール、C
1~C
20複素環、およびC
1~C
20置換複素環から選択され;
ここで、C
1~C
8置換アルキル、C
2~C
8置換アルケニル、C
2~C
8置換アルキニル、C
6~C
20置換アリール、およびC
2~C
20置換複素環は独立して、F、Cl、Br、I、OH、-N(R
5)
2、-N(R
5)
3
+、C
1~C
8ハロゲン化アルキル
、カルボキシレート、スルフェート、スルファメート、スルホネート、C
1~C
8アルキルスルホネート、C
1~C
8アルキルアミノ、4-ジアルキルアミノピリジニウム、C
1~C
8アルキルヒドロキシル、C
1~C
8アルキルチオール、-SO
2R
5、-S(=O)R
5、-SR
5、-SO
2N(R
5)
2、-C(=O)R
5、-CO
2R
5、-C(=O)N(R
5)
2、-CN、-N
3、-NO
2、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8トリフルオロアルキル、C
1~C
8アルキル、C
3~C
12炭素環、C
6~C
20アリール、C
2~C
20複素環、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、およびホスフェートから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、請求項1~29のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項36】
Lは、-NH-(CH
2)
4-C(=O)-、または-NH-(CH
2)
3-C(=O)-、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)アニリン、またはベンジルオキシカルボニルから選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項37】
前記リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、
-TM-L
1-R
20
によって表され、
TMは、標的細胞上の細胞表面特徴に選択的に結合するリガンド標的化部分を表し;
L
1は、結合手またはリンカーを表し;
R
20は、放射性部分、キレート剤、蛍光部分、光音響レポーター分子、ラマン活性レポーター分子、造影剤、または検出可能なナノ粒子を表す、請求項1~36のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項38】
前記リガンド標的化部分は、葉酸受容体リガンド、好ましくは、葉酸または葉酸類似体、好ましくは、エタルフォラチド、ビンタフォリド、ロイコボリンおよびメトトレキサートである、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項39】
前記リガンド標的化部分は、ソマトスタチンまたはソマトスタチン類似体、好ましくは、オクトレオテート、オクトレオチド、ペンテトレオチド、ランレオチド、バプレオチド、パシレオチド、セグリチド、ベネレオチド、KE-108、SDZ-222-100、Sst3-ODN-8、CYN-154806、JR11、J2156、SRA-880、ACQ090、P829、SSTp-58、SSTp-86、BASSまたはソマトプリムである、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項40】
前記リガンド標的化部分は、RGDまたはRGD類似体などのαIIbβ3標的化リガンドであり、好ましくは、cyclo(-Arg-Gly-Asp-D-PheVal-)[「c(RGDfV)」]、c(RGDfK)、c(RGDfC)、c(RADfC)、c(RADfK)、c(RGDfE)、c(RADfE)、RGDSK、RADSK、RGDS、c(RGDyC)、c(RADyC)、c(RGDyE)、c(RGDyK)、c(RADyK)、H-E[c(RGDyK)]
2、EMD12194、DMP728、DMP757、およびSK&F107260である、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項41】
前記リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、
【化16】
であり、
式中、R
30は、各出現について独立して、水素または低級アルキルを表す、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項42】
L
1-R
20は、
【化17】
によって表され、
式中、R
31は、-(CH
2)
p-アリールであるか、または-(CH
2)
p-ヘテロアリールであり、pは0、1、2、3または4である、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項43】
pは1または2であり、好ましくは1である、請求項44に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項44】
R
31は-CH
2-アリールであり、ここで、アリール基はC
6~C
12アリールであり、かつ単環式環または二環式縮合環であり、好ましくはナフタレンである、請求項42または43に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項45】
L
1-R
20は、
【化18】
によって表される、請求項42~44のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項46】
R
20はF
18含有部分である、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項47】
-L
1-R
20は、
【化19】
から選択される、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項48】
前記リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、以下から選択される葉酸または葉酸類似体を含み、
【化20】
式中、
R
21はHを表し、R
22は、-NH-(CH
2)
q-R
20、-NH-(CH
2)
q-NH-C(O)-(CH
2)
q-R
20、または-NH-(CH
2)
q-C(O)-(CH
2)
q-R
20を表す;あるいは、
R
22はHを表し、R
21は、-NH-(CH
2)
q-R
20、または-NH-(CH
2)
q-C(O)-(CH
2)
q-R
20を表す;あるいは、
R
21またはR
22の一方はHを表し、他方は、
【化21】
の群から選択され;
R
23は、H、-CH
3、-CH
2CH
3、または-CO
2Hを表し;
qは、各出現について独立して、0、1、2、3または4である、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項49】
R
21は、-NH-CH
2-R
20、-NH-CH
2-C(O)-R
20、-NH-C(O)-CH
2-R
20、-NH-CH
2-C(O)-CH
2-R
20または-NH-(CH
2)
2-NH-C(O)-CH
2-R
20を表し、R
22はHを表す、請求項48に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項50】
R
21はHを表し、R
22は、-NH-CH
2-R
20、-NH-CH
2-C(O)-R
20、-NH-C(O)-CH
2-R
20、-NH-CH
2-C(O)-CH
2-R
20、または-NH-(CH
2)
2-NH-C(O)-CH
2-R
20を表す、請求項48に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項51】
前記リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、
【化22】
である、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項52】
前記リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、以下から選択される放射性同位元素で標識された葉酸または葉酸類似体を含み、
【化23】
式中、R
23は、H、-CH
3、-CH
2CH
3、または-CO
2Hを表し、XはCR
40またはNを表し、R
40はHまたは低級アルキルである、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項53】
Rは、
【化24-1】
【化24-2】
から選択される、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項54】
R
20は、
【化25】
から選択される、請求項37に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項55】
R
20-L
1-は、
【化26】
である、請求項46に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項56】
Rは、細胞外受容体に対するリガンドである、請求項1~55のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項57】
Rは、細胞外受容体に対するリガンドであり、前記細胞外受容体は、細胞内インターナリゼーションを受け、Rを、それがプロドラッグから放出されたときに、該細胞外受容体を発現する細胞の1つまたは複数の細胞内コンパートメントに輸送することができる、請求項1~56のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項58】
前記細胞標的は、FAP発現がアップレギュレートされた組織中の細胞によって発現される、請求項1~57のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項59】
FAP発現がアップレギュレートされた組織は腫瘍である、請求項1~58のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項60】
Rは、ペプチドホルモン受容体に結合する類似体(ペプチド類似体など)である、請求項1~59のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項61】
Rは、ソマトスタチン、ボンベシン、カルシトニン、オキシトシン、EGF、α-メラノサイト刺激ホルモン、ミニガストリン、ニューロテシンまたはニューロペプチドY(NPY)の類似体(ペプチド類似体など)である、請求項59に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項62】
Rは、インテグリンαvβ3、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)、ソマトスタチン受容体(ソマトスタチン受容体サブタイプ2など)、メラノコルチン受容体、コレシストキニン-2受容体、ニューロペプチドY受容体またはニューロテンシン受容体に結合するリガンドである、請求項1~61のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項63】
Rは、II型膜タンパク質に結合するリガンドである、請求項1~62のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項64】
前記II型膜タンパク質は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)である、請求項63に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項65】
【化27-1】
【化27-2】
【化27-3】
から選択される構造を有するか、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、任意選択でそれらにキレート化された放射性同位体を含んでいてもよい、請求項64に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項66】
Rは、ソマトスタチン受容体に結合するリガンドである、請求項62に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項67】
【化28】
から選択される構造を有するか、またはそれらの薬学的に許容される塩であり、任意選択でそれらにキレート化された放射性同位体を含んでいてもよい、請求項66に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項68】
前記リガンドは、放射性金属または半金属同位体をキレート化するまたはキレート化することができるキレート剤を含む、請求項1~67のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項69】
前記リガンドは、
18F、
43K、
47Sc、
51Cr、
57Co、
58Co、
59Fe、
64Cu、
67Cu、
67Ga、
68Ga、
71Ge、
72As、
72Se、
75Br、
76Br、
77As、
77Br、
81Rb、
88Y、
90Y、
97Ru、
99mTc、
100Pd、
101mRh、
103Pb、
105Rh、
109Pd、
111Ag、
111In、
113In、
119Sb
121Sn、
123I、
124I、
125I、
127Cs、
128Ba、
129Cs、
131Cs、
131I、
139La、
140La、
142Pr、
143Pr、
149Pm、
151Eu、
153Eu、
153Sm、
159Gr、
161Tb、
165Dy、
166Ho、
169Eu、
175Yb、
177Lu、
186Re、
188Re、
189Re、
191Os、
193Pt、
194Ir、
197Hg、
198Au、
199Ag、
199Au、
201Tl、
203Pb、
211At、
212Bi 、
212Pb、
213Bi、
225Acおよび
227Th
からなる群より選択される放射性同位体を含む、請求項68に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項70】
プロリルエンドペプチダーゼによる切断よりも少なくとも10倍大きいFAPによる切断についてのk
cat/K
mを有する、請求項1~69のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ。
【請求項71】
請求項1~70のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項72】
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)のアップレギュレーションを特徴とする障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1~70のいずれか一項に記載のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項73】
前記FAPのアップレギュレーションを特徴とする障害はがんである、請求項72に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年12月17日出願の米国仮特許出願第63/126,617号に対する優先権の利益を主張する;参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
セプラーゼ(Seprase)としても知られる線維芽細胞活性化タンパク質α(FAP)は、II型内在性膜セリンペプチダーゼ(type II integral membrane serine peptidase)である。FAPはジペプチジルペプチダーゼIVファミリーに属する。これは、酵素の触媒ドメインが位置する大きなC末端細胞外ドメインを有する2つのN-グリコシル化サブユニットを含む170kDaのホモダイマーである。FAPは、そのグリコシル化形態において、ポストプロリルジペプチジルペプチダーゼ(post-prolyl dipeptidyl peptidase)活性とゼラチナーゼ活性の両方を有する。ヒトFAPの相同体が、マウスおよびカニクイザルを含むいくつかの種において見出された。
【0003】
FAPは、肺がん腫、結腸直腸がん腫、膀胱がん腫、卵巣がん腫および乳がん腫を含む、調べた上皮悪性腫瘍(原発性および転移性)の90%超の反応性間質線維芽細胞において、ならびに骨肉腫および軟組織肉腫の悪性間葉系細胞において選択的に発現されるが、通常、正常な成体組織には存在しない(非特許文献1~4)。FAPは、特定の悪性腫瘍細胞でも発現される。
【0004】
多くの一般的ながんにおけるその発現および正常組織におけるその限定された発現により、FAPは、様々ながんのイメージング、診断および治療のための有望な抗原性標的と考えられている。臨床的利益のために腫瘍間質におけるFAPの選択的発現を活用するための様々なアプローチが考案されており、それには、FAPに対するモノクローナル抗体、FAP酵素活性の小分子阻害剤、細胞傷害性化合物のFAP活性化プロドラッグ、およびFAP特異的CAR-T細胞が含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Brennen et al., Mol. Cancer Ther. 11 (2): 257-266 (2012)
【非特許文献2】Garin-Chesa et al., Proc Natl Acad Sci USA 87, 7235-7239 (1990)
【非特許文献3】Rettig et al., Cancer Res. 53:3327-3335 (1993)
【非特許文献4】Rettig et al., Proc Natl Acad Sci USA 85, 3110-3114(1988)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
腫瘍微小環境に選択的な放射性診断薬および放射性治療薬の選択的送達を可能にするFAP活性化ラジオセラノスティクス(FAP-activated radiotheranostics)が開示される。これには、前立腺特異的膜抗原、葉酸受容体およびソマトスタチンなどの腫瘍微小環境中の他の分子または受容体を標的とするように設計された放射性治療薬が含まれる。FAP活性化は、標的とされる主要な受容体もしくは分子を有意なレベルで発現または含有する正常な細胞および組織への曝露を低減させることによって有害な副作用の軽減を可能にし、それによって治療ウインドウおよび有効性を改善する。
【0007】
本発明の一態様は、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグ(FAP-activated theranostic prodrug)、およびそれらを含む組成物に関する。本発明の別の態様は、プロドラッグおよびそれらを含む組成物を使用して、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)のアップレギュレーションを特徴とする障害を処置する方法である。
【0008】
特定の実施形態では、主題のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ剤は、一般式I:
【化1】
で表すことができるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
「FAPs」は、FAPαによって切断されてFAPs-C(=O)OHおよびNH
2-L-Rを放出するFAPα基質を含む部分(「FAP基質部分」)を表し;
Lは結合であるか、またはFAPによる切断でNH
2-L-Rを放出した後、自己脱離リンカー(self-eliminating linker)であり;
Rは、細胞標的に結合するためのリガンドと、放射性部分および/または放射性部分をキレート化するためのキレート剤のうちの1つまたは複数とを含む、リガンド標的化セラノスティクス部分を表す。
【0009】
いくつかの実施形態において、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)によるプロドラッグの酵素的切断は、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分(すなわち、その薬理学的に活性な形態)としてかまたはその活性形態に容易に代謝される形態のいずれかで、リガンド標的化セラノスティクス部分の放出をもたらし;そして、FAP切断によってプロドラッグから放出されると、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分は、プロドラッグの細胞標的への結合のKdよりも小さい細胞標的への結合のKdで細胞標的に結合する(すなわち、細胞標的に対してより高い親和性を有する)。
【0010】
いくつかの実施形態では、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、
式II:
【化2】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
Rは、細胞標的に結合するためのリガンドと、放射性部分および/または放射性部分をキレート化するためのキレート剤のうちの1つまたは複数とを含む、リガンド標的化セラノスティクス部分を表し;
Aは5~8員の複素環を表し;
XはOまたはSであり;
R
10はアミノ末端ブロッキング基であり;
R
12は水素または(C
1~C
6)アルキルであり;
R
13は、水素、(C
1~C
6)アルキル(直鎖または分岐鎖であり得る)または(C
1~C
6)であり;
R
14は、各出現について独立して、-(C
1~C
6)アルキル、-OH、-NH
2、またはハロゲンであり;
pは0~6の整数であり;
Lは結合であるか、またはFAPによる切断でNH
2-L-Rを放出した後、自己脱離リンカーであり;
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)によるプロドラッグの酵素的切断は、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分(すなわち、その薬理学的活性形態)としてかまたはその活性形態に容易に代謝される形態のいずれかで、リガンド標的化セラノスティクス部分の放出をもたらし;そして、FAP切断によってプロドラッグから放出されると、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分は、プロドラッグの細胞標的への結合のKdよりも小さい細胞標的への結合のKdで細胞標的に結合する(すなわち、細胞標的に対してより高い親和性を有する)。
【0011】
式IIの特定の好ましい実施形態では、R12はHである。
【0012】
式IIの構造のある特定の実施形態において、R
10は、それが結合している窒素と共にアミドまたはチオアミドを形成し、プロドラッグは、式IIa:
【化3】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
XはOまたはSであり;
R
11-(C=X)は一緒になって、アシルN末端ブロッキング基を表し;あるいは
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH 、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;あるいは
R
11は、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルコキシ、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
6~C
14)アリール、-(AA)
n-アリール(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール、または-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
AAは、各出現について独立して、アミノ酸残基であり;
nは1~5の整数であり;
R、A、R
12、R
13、R
14、pおよびLは、式IIについて記載されている通りである。
【0013】
式IIaの特定の好ましい実施形態では、XはOであり;および/またはR12はHである。特定の好ましい実施形態では、XはOであり、R12はHである。
【0014】
ある特定の態様では、好ましいFAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、式III:
【化4】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、R、R
10、R
12、R
13、R
14、L、Xおよびpは、上記で式IIについて定義した通りである。
【0015】
式IIIの構造の特定の実施形態において、R
10は、それが結合している窒素と共にアミドまたはチオアミドを形成し、プロドラッグは、式IIIa:
【化5】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
XはOまたはSであり;
R
11-(C=X)は一緒になって、アシルN末端ブロッキング基を表し;あるいは
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH 、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;あるいは
R
11は、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルコキシ、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
6~C
14)アリール、-(AA)
n-アリール(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール、または-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
AAは、各出現について独立して、アミノ酸残基であり;
nは1~5の整数であり;
R、R
12、R
13、R
14、pおよびLは、式IIについて記載されている通りである。
【0016】
特定の実施形態では、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、式IV:
【化6】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、R
13は、(C
1~C
6)アルキル(直鎖または分岐鎖であり得る)または(C
1~C
6)であり、R、R
10、R
12、R
13、R
14、L、Xおよびpは、上記の式IIについて定義した通りである。
【0017】
式IVの構造の特定の実施形態において、R
10は、それが結合している窒素と一緒にアミドまたはチオアミドを形成し、プロドラッグは、式IVa:
【化7】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
XはOまたはSであり;
R
11-(C=X)は一緒になって、アシルN末端ブロッキング基を表し;あるいは
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH 、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;あるいは
R
11は、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルコキシ、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
6~C
14)アリール、-(AA)
n-アリール(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール、または-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
AAは、各出現について独立して、アミノ酸残基であり;
nは1~5の整数であり;
R、R
12、R
13、R
14、pおよびLは、式IIについて記載されている通りである。
【0018】
特定の実施形態では、R13は、メチルなどのC1~C6アルキルである。他の実施形態では、R13は水素である。
【0019】
特定の実施形態において、R12はHである。
【0020】
特定の実施形態において、pは1または2であり、R14は各出現についてハロである。他の実施形態では、pは0である。
【0021】
いくつかの実施形態では、FAP活性化放射性医薬品は式V:
【化8】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、あるいは
【化9】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、R、R
10、R
11、R
13およびLは、式IIについて記載されている通りである。
【0022】
特定の実施形態では、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、式VI:
【化10】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、あるいは
【化11】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、R、R
10、R
11およびLは、式IIについて記載されている通りである。
【0023】
さらに他の実施形態において、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、式VII:
【化12】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、RおよびLは、上記の式IIについて定義されたとおりであり、-C(=O)R
11はアシル基を形成する。
【0024】
いくつかの実施形態では、XはOである。
【0025】
いくつかの実施形態では、R11は、-(C1~C10)アルキル、-(C1~C10)アルコキシ、-(C3~C8)シクロアルキル、-(C6~C14)アリール、アリール(C1~C10)アルキル、または5~10員ヘテロアリールである。
【0026】
いくつかの実施形態では、R
11は、
【化13】
である。
【0027】
いくつかの実施形態において、nは1に等しく、AAはセリン残基である。他の実施形態では、nは1または2である。
【0028】
いくつかの実施形態では、R11は、(C1~C10)アルキル、(C1~C10)アルコキシ、(C1~C10)アルキル-C(O)-(C1~C10)アルキル、(C3~C8)シクロアルキル、(C3~C8)シクロアルキル(C1~C10)アルキル、(C6~C14)アリール、アリール(C1~C10)アルキル、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C1~C10)アルキルであり、ここで、R11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
R12は水素であり;
R13は(C1~C6)アルキルであり;
R14は存在しないか、またはpは2でありかつR14は各出現についてハロゲンであり;
Lは結合であるか、または-N(H)-L-は自己脱離リンカーである。
【0029】
いくつかの実施形態では、-C(O)-R11は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブトリル(butryl)、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、アクリロイル、マレオイル、フマロイル、グリコロイル、ラクトイル、ピルボイル、グリセロイル、マロイル、オキサロアセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、またはメトキシスクシニル基などの、カルボン酸のアシルを形成する。
【0030】
他の実施形態では、R11は-(CH2)m-R11aであり、ここで、R11aは、5~10員のアリールまたはヘテロアリール基、好ましくは6員のアリールまたはヘテロアリール基であり、mは1~6の整数、好ましくは1または2である。いくつかの実施形態では、アリールは、ベンジル、ナフタレニル、フェナントレニル、フェノリル(phenolyl)、およびアニリニルからなる群より選択される。他の実施形態では、ヘテロアリールは、ピリル、フリル、チオフェニル(a/k/aチエニル)、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、およびピリミジニルからなる群より選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、Lは結合であるが、他の実施形態では、Lは自己脱離リンカーである。自己脱離リンカーは、
【化14-1】
【化14-2】
からなる群より選択されてよく、
式中、
R
aは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R
bは、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;
hは、原子価が許す限り、0~8の整数であり;
iは1~6の整数である。
【0032】
他の実施形態では、Lは、
【化15】
であり、式中、R
1は、水素、非置換もしくは置換C
1-3アルキル、または非置換もしくは置換ヘテロシクリルである。
【0033】
さらに他の実施形態では、Lは、
【化16】
から選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、Lは、
【化17】
から選択され、
式中、
Uは、O、SまたはNR
6であり;
Qは、CR
4またはNであり;
V
1、V
2およびV
3は独立して、CR
4またはNであり、但し、式IIおよびIIIについて、Q、V
1およびV
2のうち少なくとも1つはNであり;
Tは、前記治療的部分についている(pending from)NH、NR
6、OまたはSであり:
R
1、R
2、R
3およびR
4は独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、-N(R
5)
2、-N(R
5)
3
+、C
1~C
8ハロゲン化
アルキル(またはアルキルハライド)(alkylhalide)、カルボキシレート、スルフェート、スルファメート、スルホネート、-SO
2R
5、-S(=O)R
5、-SR
5、-SO
2N(R
5)
2、-C(=O)R
5、-CO
2R
5、-C(=O)N(R
5)
2、-CN、-N
3、-NO
2、C
1~C
8 アルコキシ、C
1~C
8 ハロ置換アルキル、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、ホスフェート、C
1~C
8 アルキル、C
1~C
8 置換アルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8 置換アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
2~C
8 置換アルキニル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20 置換アリール、C
1~C
20複素環、およびC
1~C
20 置換複素環から選択され;あるいは、R
2およびR
3は一緒になって、カルボニル(=O)、または3~7個の炭素原子のスピロ炭素環を形成し;
R
5およびR
6は独立して、H、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8置換アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
2~C
8置換アルキニル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20置換アリール、C
1~C
20複素環、およびC
1~C
20置換複素環から選択され;
ここで、C
1~C
8置換アルキル、C
2~C
8置換アルケニル、C
2~C
8置換アルキニル、C
6~C
20置換アリール、およびC
2~C
20置換複素環は、独立して、F、Cl、Br、I、OH、N(R
5)
2、-N(R
5)
3
+、C
1~C
8 ハロゲン化アルキル、カルボキシレート、スルフェート、スルファメート、スルホネート、C
1~C
8アルキルスルホネート、C
1~C
8アルキルアミノ、4-ジアルキルアミノピリジニウム、C
1~C
8アルキルヒドロキシル、C
1~C
8アルキルチオール、-SO
2R
5、-S(=O)R
5、-SR
5、-SO
2N(R
5)
2、-C(=O)R
5、-CO
2R
5、-C(=O)N(R
5)
2、-CN、-N
3、-NO
2、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8トリフルオロアルキル、C
1~C
8アルキル、C
3~C
12炭素環、C
6~C
20アリール、C
2~C
20複素環、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、およびホスフェートから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている。
【0035】
いくつかの実施形態では、Lは、-NH-(CH2)4-C(=O)-、または-NH-(CH2)3-C(=O)-、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)アニリン、またはベンジルオキシカルボニルから選択される。
【0036】
いくつかの実施形態において、リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、
-TM-L1-R20
によって表され:
式中、
TMは、標的細胞上の細胞表面特徴に選択的に結合するリガンド標的化部分を表し;
L1は、結合手またはリンカーを表し;
R20は、放射性部分、キレート剤、蛍光部分、光音響レポーター分子(photoacoustic reporting molecule)、ラマン活性レポーター分子(Raman-active reporting molecule)、造影剤、または検出可能なナノ粒子を表す。
【0037】
いくつかの実施形態では、リガンド標的化部分は、葉酸受容体リガンド、好ましくは葉酸または葉酸類似体、好ましくはエタルフォラチド(etarfolatide)、ビンタフォリド(vintafolide)、ロイコボリン(leucovorin)およびメトトレキサートである。
【0038】
いくつかの実施形態では、リガンド標的化部分は、ソマトスタチンまたはソマトスタチン類似体、好ましくはオクトレオテート(octreotate)、オクトレオチド(octreotide)、ペンテトレオチド(pentetreotide)、ランレオチド(lanreotide)、バプレオチド(vapreotide)、パシレオチド(pasireotide)、セグリチド(seglitide)、ベネレオチド(benereotide)、KE-108、SDZ-222-100、Sst3-ODN-8、CYN-154806、JR11、J2156、SRA-880、ACQ090、P829、SSTp-58、SSTp-86、BASSまたはソマトプリムである。
【0039】
さらに他の実施形態では、リガンド標的化部分は、RGDまたはRGD類似体などのαIIbβ3標的化リガンドであり、好ましくは、cyclo(-Arg-Gly-Asp-D-PheVal-)[「c(RGDfV)」]、c(RGDfK)、c(RGDfC)、c(RADfC)、c(RADfK)、c(RGDfE)、c(RADfE)、RGDSK、RADSK、RGDS、c(RGDyC)、c(RADyC)、c(RGDyE)、c(RGDyK)、c(RADyK)、H-E[c(RGDyK)]2、EMD12194、DMP728、DMP757、およびSK&F107260である
【0040】
いくつかの実施形態では、標的化セラノスティクス部分(R)は、
【化18】
であり、式中、R
30は、各出現について独立して、水素または低級アルキルを表す。
【0041】
いくつかの実施形態では、-L
1-R
20は、
【化19】
により表され、式中、R
31は-(CH
2)
p-アリールであるか、または-(CH
2)
p-ヘテロアリールであり、pは0、1、2、3または4である。
【0042】
いくつかの実施形態において、R
31は-CH
2-アリールであり、ここで、アリール基はC
6~C
12アリールであり、単環式環または二環式縮合環、好ましくはナフタレンであり、例えば、-L
1-R
20は、
【化20】
によって表すことができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、R
20はF
18含有部分であり、例えば、-L
1-R
20は、
【化21】
から選択され得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、葉酸または葉酸類似体を含み、それらは以下から選択される:
【化22】
式中、
R
21はHを表し、R
22は、-NH-(CH
2)
q-R
20 、-NH-(CH
2)
q-NH-C(O)-(CH
2)
q-R
20、または-NH-(CH
2)
q-C(O)-(CH
2)
q-R
20を表す;あるいは
R
22はHを表し、R
21は、-NH-(CH
2)
q-R
20または-NH-(CH
2)
q-C(O)-(CH
2)
q-R
20を表す;あるいは、
R
21またはR
22の一方はHを表し、他方は、
【化23】
からなる群より選択され;
R
23は、H、-CH
3、-CH
2CH
3、または-CO
2Hを表し;
qは、各出現について独立して、0、1、2、3または4である。
【0045】
他の実施形態では、R21は、-NH-CH2-R20、-NH-CH2-C(O)- R20、-NH-C(O)-CH2-R20、-NH-CH2-C(O)-CH2-R20、または-NH-(CH2)2-NH-C(O)-CH2-R20を表し、R22はHを表す。
【0046】
さらに他の実施形態では、R21はHを表し、R22は、-NH-CH2-R20、-NH-CH2-C(O)- R20、-NH-C(O)-CH2-R20、-NH-CH2-C(O)-CH2-R20、または-NH-(CH2)2-NH-C(O)-CH2-R20を表す。
【0047】
いくつかの実施形態において、リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、
【化24】
である。
【0048】
さらに他の実施形態では、リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、放射性同位元素で標識された葉酸または葉酸類似体を含み、それらは以下から選択される:
【化25】
式中、R
23は、H、-CH
3、-CH
2CH
3、または-CO
2Hを表し、XはCR
40またはNを表し、R
40はHまたは低級アルキルである。
【0049】
いくつかの実施形態では、Rは、
【化26-1】
【化26-2】
から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態では、R
20は、
【化27】
から選択される。
【0051】
さらに他の実施形態では、R
20-L
1-は、
【化28】
である。
【0052】
いくつかの実施形態において、Rは、細胞外受容体に対するリガンドである。例えば、Rは、細胞内インターナリゼーション(intracellular internalization)を受ける細胞外受容体であって、Rを、それがプロドラッグから放出されたときに、細胞外受容体を発現する細胞の1つまたは複数の細胞内コンパートメントに輸送することができる細胞外受容体に対するリガンドである。さらに他の実施形態では、細胞標的は、FAP発現がアップレギュレートされた組織中の細胞によって発現される。さらなる実施形態では、FAP発現がアップレギュレートされた組織は腫瘍である。
【0053】
いくつかの実施形態では、Rは、ペプチドホルモン受容体に結合する、ペプチド類似体などの類似体である。例えば、Rは、ソマトスタチン、ボンベシン、カルシトニン、オキシトシン、EGF、α-メラノサイト刺激ホルモン、ミニガストリン(minigastrin)、ニューロテシンまたはニューロペプチド(または神経ペプチド)Y(NPY)のペプチド類似体などの類似体であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、Rは、インテグリンαvβ3、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)、ソマトスタチン受容体(ソマトスタチン受容体サブタイプ2など)、メラノコルチン受容体、コレシストキニン-2受容体、ニューロペプチドY受容体またはニューロテンシン受容体に結合するリガンドである。
【0055】
いくつかの実施形態では、Rは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)などのII型膜タンパク質に結合するリガンドである。例えば、セラノスティクスプロドラッグは、
【化29-1】
【化29-2】
【化29-3】
から選択される構造を有するか、またはそれらの薬学的に許容される塩であってよく、任意選択で、それらにキレート化された放射性同位体を含んでいてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、Rは、ソマトスタチン受容体に結合するリガンドであり、例えば、
【化30】
またはそれらの薬学的に許容される塩などであり、任意選択で、それらにキレート化された放射性同位体を含んでいてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、リガンドは、18F、43K、47Sc、51Cr、57Co、58Co、59Fe、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、71Ge、72As、72Se、75Br、76Br、77As、77Br、81Rb、88Y、90Y、97Ru、99mTc、100Pd、101mRh、103Pb、105Rh、109Pd、111Ag、111In、113In、119Sb 121Sn、123I、124I、125I、127Cs、128Ba、129Cs、131Cs、131I、139La、140La、142Pr、143Pr、149Pm、151Eu、153Eu、153Sm、159Gr、161Tb、165Dy、166Ho、169Eu、175Yb、177Lu、186Re、188Re、189Re、191Os、193Pt、194Ir、197Hg、198Au、199Ag、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Bi 、212Pb、213Bi、225Ac、および227Thなどの放射性金属または半金属(semi-metal)同位体をキレート化するかまたはキレート化することができるキレート剤を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、プロドラッグは、プロリルエンドペプチダーゼによる切断よりも少なくとも10倍大きいFAPによる切断についてのkcat/Kmを有する。
【0059】
本開示はまた、先行する請求項のいずれか1つのFAP活性化セラノスティクスプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0060】
本開示はまた、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)のアップレギュレーションを特徴とする障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の先行する請求項のいずれか1つのFAP活性化セラノスティクスプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、FAPのアップレギュレーションを特徴とする障害はがんである。
【0061】
さらなる態様では、前立腺がんを有する対象を処置する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の先行する請求項のいずれか1つのFAP活性化セラノスティクスプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩を投与することを適切に含み得る方法が提供される。
【0062】
本発明の他の態様を以下に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図6】化合物7028P~7028A/B/CについてのPSMA活性のアッセイの結果を示すグラフである。データは、3つの読み取り値の平均である(平均値の標準誤差がプロットされているが見えない)。
【
図7】化合物6970Bエステルの合成スキームを示す。
【
図11】100μMの基質、50nMのFAPを用いた6970B異性体1&2、7366粗生成物(Crude)のFAP活性化の結果を示すグラフである
【
図12】6970B異性体1のLC/MSスペクトルを示す。
【
図13】6970B異性体2のLC/MSスペクトルを示す。
【
図14】6970B異性体1&2のLC/MSスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
I.概要
FAP活性化放射性医薬プロドラッグによる腫瘍微小環境の標的化は、複数の様式の抗腫瘍作用を有すると考えられるが、主として、治療によって標的化される隣接するCAFから局所的に放出される電離放射線による腫瘍細胞におけるDNA損傷の誘導に依存する。FAP活性化放射線療法は、がん細胞および腫瘍間質に電離放射線を送達することができる。αおよびβ放射体を組み合わせることにより、CAFへの短距離のα照射およびがん細胞への中距離から長距離のβ照射を介して、これらの二重抗腫瘍効果を改善することができる。
【0065】
FAP陽性CAFは、上皮がんの90%超において見出され、したがって、潜在的な汎がんプロドラッグ活性化酵素を表す。FAP活性化プロドラッグバージョンを作製することによってリガンド指向性放射性医薬品(および他のセラノスティクス剤)を腫瘍に標的化(ターゲティング)することは、活性化されたリガンド指向性放射性医薬品を送達する手段であり、すなわち、腫瘍においてFAPによって切断された後に天然リガンドが結合する細胞標的に結合することができる形態で腫瘍に選択的に送達する手段である。循環するプロドラッグ形態は、FAP切断によってプロドラッグから放出されるリガンドと比較して細胞標的に対するその結合が大幅に低減されるので、活性化されたリガンド指向性放射性医薬品よりも少ない程度で非腫瘍組織(唾液腺、腎臓など)に取り込まれ、(活性化されたリガンド指向性放射性医薬品がその形態で投与される場合と比較して)プロドラッグの増強された治療指数、より良好な有効性またはその両方をもたらすことができる。
【0066】
特定の実施形態では、主題のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグ剤は、一般式:
【化31】
で表すことができるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
FAPsは、FAPαによって切断されてFAPs-C(=O)OHおよびNH
2-L-Rを放出するFAPα基質を含む部分(「FAP基質部分」)を表し;
Lは結合であるか、またはFAPによる切断でNH
2-L-Rを放出した後、自己脱離リンカーであり;
Rは、細胞標的に結合するためのリガンドと、放射性部分および/または放射性部分をキレート化するためのキレート剤のうちの1つまたは複数とを含む、リガンド標的化セラノスティクス部分を表し;
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)によるプロドラッグの酵素的切断は、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分(すなわち、その薬理学的に活性な形態)としてかまたはその活性な形態に容易に代謝される形態のいずれかで、リガンド標的化セラノスティクス部分の放出をもたらし;FAP切断によってプロドラッグから放出されると、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分は、プロドラッグの細胞標的への結合のKdよりも小さい細胞標的への結合のKdで細胞標的に結合する(すなわち、細胞標的に対してより高い親和性を有する)。
【0067】
ある特定の実施形態では、FAP基質部分は、プロリルエンドペプチダーゼ(EC3.4.21.26;PREP)による切断についてのkcat/Kmよりも少なくとも10倍、少なくとも100倍、1000倍、5000倍、または10,000倍大きい、FAPαによる切断についてのkcat/Kmを有する。
【0068】
ある特定の実施形態では、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分(すなわち、プロドラッグから放出された場合)は、細胞標的に結合するプロドラッグのKdよりも少なくとも2倍小さい、より好ましくは少なくとも5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍または1000倍小さい細胞標的への結合のKdを有する
【0069】
特定の実施形態において、プロドラッグは、以下の特徴の1つまたは複数によってさらに特徴付けられ得る:
・プロドラッグは、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分自体(すなわち、その活性形態で投与される場合)の治療指数よりも少なくとも2倍大きい、より好ましくは少なくとも5倍、10倍、50倍、100倍、250倍、500倍、1000倍、5000倍、またはさらには10,000倍大きい治療指数を有する;
・活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分は、循環する活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分の濃度と比較して、標的組織、すなわち、FAPを発現する腫瘍または他の標的組織において、より高い局所濃度、例えば、少なくとも2倍高い、より好ましくは、少なくとも5倍、10倍、100倍、またはさらには1000倍高い濃度で存在する;
・プロドラッグの最大耐用量は、その活性形態で単独で投与される場合の活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分の最大耐用量よりも少なくとも2倍大きく、さらにより好ましくは、少なくとも5倍、10倍、100倍、またはさらに1000倍大きい;
・プロドラッグの受容体媒介取り込みは、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分の受容体媒介取り込みよりも少なくとも50%少なく、さらにより好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、またはさらには99.9%少ない;および/または
・プロドラッグの細胞透過性は、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分の細胞透過性より少なくとも50%低く、さらにより好ましくは少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、またはさらには99.9%低い;および/または
・プロドラッグは、5000amu未満の分子量を有する;
・プロドラッグの循環半減期は、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分単独の循環半減期よりも少なくとも25%長く、さらにより好ましくは、少なくとも50%、75%、100%、150%、200%、500%、750%、またはさらには1000%長い。
【0070】
II.定義
本明細書で使用される「線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)」という用語は、「セプラーゼ」という用語でも知られている。両方の用語は、本明細書において互換的に使用することができる。線維芽細胞活性化タンパク質は、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)様フォールディングを有するホモダイマー膜内在性タンパク質であり、α/β-ヒドロラーゼドメインおよび8枚羽根のβプロペラドメインを特徴とする。
【0071】
本明細書で使用される場合、「SPECT」という用語は、単一光子放射断層撮影の略語である。
【0072】
本明細書で使用される場合、「PET」という用語は、陽電子放出断層撮影の略語である。
【0073】
本明細書で使用する「CT」という用語は、コンピュータ断層撮影の略語である。
【0074】
本明細書で使用するとき、MRIという用語は、磁気共鳴イメージングの略語である。
【0075】
本明細書で使用される場合、「SIRT」という用語は、選択的内部放射線療法の略語である。
【0076】
本明細書で使用するとき、用語「EDTA」は、エチレンジアミン四酢酸の略語である。
【0077】
本明細書で使用される場合、「DOTA」という用語は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-N,N’,N”,N’’’-四酢酸の略語である。
【0078】
本明細書で使用される場合、「DTPA」という用語は、ジエチレントリアミン五酢酸の略語である。
【0079】
本明細書で使用される場合、金属「キレート剤(chelating agent)」または「キレーター(chelator)」という用語は、単一の中心原子(特に、放射性同位体)と2つ以上の別個の配位結合を形成する多座配位子を指す。
【0080】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、その意味の範囲内で、所望の治療効果を提供するために本発明で使用する化合物または組成物の非毒性であるが十分な量を含む。必要とされる正確な量は、処置される種、対象の年齢、体重および全身状態、併存疾患、処置される状態の重症度、投与される特定の薬剤および投与方法などの因子に応じて対象ごとに変化する。したがって、任意の所与の場合について、適切な「有効量」は、日常的な方法のみを使用して当業者によって決定され得る。
【0081】
本明細書で使用される「放射性部分」という用語は、放射性核種を担持する分子集合体を指す。核種は、生理的条件下で安定なままである共有結合または配位結合のいずれかによって結合される。放射性部分の例としては、[131I]-3-ヨード安息香酸または68GaDOTAが挙げられる。
【0082】
本明細書で使用される「蛍光同位体」は、より短い波長の電磁放射線による励起後に電磁放射線を放出する。
【0083】
本明細書で使用される「放射性同位体」は、α、βまたはγ放射線を放出する元素(「放射性核種」という用語に包含される)の放射性同位体である。
【0084】
放射性薬物という用語は、本発明の文脈において、放射性同位体によって修飾された生物活性化合物を指すために使用される。特にインターカレート物質は、DNAに直接近接するように放射活性を送達するために使用することができる(例えば、Hoechst-33258の131I担持誘導体)。
【0085】
「キレート剤」または「キレート」という用語は、本発明の文脈において互換的に使用され、金属イオンへの供与に利用可能な2つ以上の非共有電子対を有する分子、多くの場合、有機分子、および多くの場合、ルイス塩基を指す。金属イオンは、通常、2つ以上の電子対によってキレート剤に配位する。用語「二座キレート剤」、「三座キレート剤」、および「四座キレート剤」は、それぞれ、キレート剤によって配位された金属イオンに同時に供与するのに容易に利用可能な2つ、3つ、および4つの電子対を有するキレート剤を指す。通常、キレート剤の電子対は、単一の金属イオンと配位結合を形成するが、特定の例では、キレート剤は、複数の金属イオンと配位結合を形成してもよく、様々な結合様式が可能である。
【0086】
「蛍光色素」という用語は、本発明の文脈において、より短い適切な波長の電磁放射線による励起後に、可視光または赤外光を放出する化合物を指すために使用される。各蛍光色素は所定の励起波長を有することが当業者には理解される。
【0087】
「造影剤(contrast agent)」という用語は、本発明の文脈において、医用イメージングにおいて構造または流体のコントラストを増大させる化合物を指すために使用される。増強は、電磁放射線を吸収するか、または電磁場を変化させることによって達成される。
【0088】
本明細書で使用する「常磁性」という用語は、媒体中の不対電子によって誘起される常磁性を指す。常磁性物質は、外部磁場が印加されると磁場を誘導する。反磁性とは異なり、誘導される磁場の方向は外部磁場と同じであり、強磁性とは異なり、磁場は外部磁場がない場合は維持されない。
【0089】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、その意味の範囲内で、所望の治療効果を提供するために本発明で使用する化合物または組成物の非毒性であるが十分な量を含む。必要とされる正確な量は、処置される種、対象の年齢、体重および全身状態、併存疾患、処置される状態の重症度、投与される特定の薬剤および投与方法などの因子に応じて対象ごとに変化する。したがって、任意の所与の場合について、適切な「有効量」は、日常的な方法のみを使用して当業者によって決定され得る。
【0090】
用語「アルキル」は、飽和直鎖または分枝炭素鎖を指す。好ましくは、鎖は1~10個の炭素原子、すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10個の炭素原子を含み、例えばメチル、エチル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、またはオクチルなどである。アルキル基は置換されていてもよい。
【0091】
用語「ヘテロアルキル」は、飽和直鎖または分枝炭素鎖を指す。好ましくは、鎖は、1~9個の炭素原子、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9個の炭素原子を含み、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、オクチルなどであり、これらは、同じまたは異なるヘテロ原子により1回以上、例えば、1回、2回、3回、4回、5回割り込まれる。好ましくは、ヘテロ原子は、O、S、およびNから選択され、例えば、-O-CH3、-S-CH3、-CH2-O-CH3、-CH2-O-CH2-CH3、-CH2-S-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-O-CH2-CH3、-CH2-CH2-S-CH3、-CH2-CH2-S-CH2-CH3などである。ヘテロアルキル基は置換されていてもよい。
【0092】
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独でまたは他の用語と組み合わせて、別段の記載がない限り、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環式バージョンをそれぞれ表し、好ましくは、3、4、5、6、7、8、9または10個の原子が環を形成し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどである。「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語はまた、その二環式、三環式および多環式バージョンを含むことを意味する。用語「ヘテロシクロアルキル」は、好ましくは、5員飽和環(少なくとも1員がN、OまたはS原子であり、1つのさらなるOまたは1つのさらなるNを含んでいてよい);6員飽和環(少なくとも1員がN、OまたはS原子であり、1つのさらなるOまたは1つのさらなるNまたは2つのさらなるN原子を含んでいてよい);または9員もしくは10員飽和二環式環(少なくとも1員がN、OまたはS原子であり、1つのさらなるN原子、2つのさらなるNまたは3つのさらなるN原子を含んでいてよい)を意味する。「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」基は、置換されていてもよい。さらに、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は、複素環が分子の残りの部分に結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチル、スピロ[3,3]ヘプチル、スピロ[3,4]オクチル、スピロ[4,3]オクチル、スピロ[3,5]ノニル、スピロ[5,3]ノニル、スピロ[3,6]デシル、スピロ[6,3]デシル、スピロ[4,5]デシル、スピロ[5,4]デシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、1,8ジアゾ-スピロ-[4,5]デシル、1,7ジアゾ-スピロ-[4,5]デシル、1,6ジアゾ-スピロ-[4,5]デシル、2,8ジアゾ-スピロ[4,5]デシル、2,7ジアゾ-スピロ[4,5]デシル、2,6ジアゾ-スピロ[4,5]デシル、1,8ジアゾ-スピロ-[5,4]デシル、1,7ジアゾ-スピロテトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられる。
【0093】
用語「アリール」は、好ましくは、6個の炭素原子を含む芳香族単環式環、10個の炭素原子を含む芳香族二環式環系、または14個の炭素原子を含む芳香族三環式環系を指す。例としては、フェニル、ナフチルまたはアントラセニルがある。アリール基は置換されていてもよい。
【0094】
用語「アラルキル」は、アリールによって置換されているアルキル部分を指し、アルキルおよびアリールは、上で概説した意味を有する。例として、ベンジルラジカルがある。好ましくは、この文脈において、アルキル鎖は、1~8個の炭素原子、すなわち、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個の炭素原子を含み、例えばメチル、エチルメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブテニル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、オクチルである。アラルキル基は、基のアルキルおよび/またはアリール部分において置換されていてもよい。
【0095】
「ヘテロアリール」という用語は、好ましくは、炭素原子のうちの少なくとも1個が、好ましくはO、NおよびSから選択される同一または異なる1個、2個、3個または4個(5員環の場合)または1個、2個、3個、4個または5個(6員環の場合)のヘテロ原子によって置き換えられている5員または6員の芳香族単環式環;8個、9個、10個、11個または12個の炭素原子のうちの1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子が、好ましくはO、NおよびSから選択される同一または異なるヘテロ原子によって置き換えられている芳香族二環式環系;または13個、14個、15個または16個の炭素原子の中の1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子が、好ましくはO、NおよびSから選択される同一または異なるヘテロ原子によって置き換えられている芳香族三環式環系を意味する。例として、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3,-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1-ベンゾフラニル、2-ベンゾフラニル、インドイル(indoyl)、イソインドイル(isoindoyl)、ベンゾチオフェニル、2-ベンゾチオフェニル、1H-インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、インドオキサジニル(indoxazinyl)、2,1-ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1,2-ベンゾイソチアゾリル、2,1-ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、キノリニル、1,2,3-ベンゾトリアジニルまたは1,2,4-ベンゾトリアジニルがある。
【0096】
用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールによって置換されているアルキル部分を指し、アルキルおよびヘテロアリールは上で概説した意味を有する。例として、2-アルキルピリジニル、3-アルキルピリジニル、または2-メチルピリジニルがある。好ましくは、この文脈において、アルキル鎖は、1~8個、すなわち1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個の炭素原子を含み、例えば、メチル、エチルメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブテニル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチル、オクチルである。
【0097】
ヘテロアラルキル基は、基のアルキルおよび/またはヘテロアリール部分において置換されていてもよい。
【0098】
「アルケニル」および「シクロアルケニル」という用語は、1つまたは複数の二重結合を有する鎖または環を含むオレフィン不飽和炭素原子を指す。例としては、プロペニルおよびシクロヘキセニルがある。好ましくは、アルケニル鎖は、2~8個の炭素原子、すなわち2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個の炭素原子を含み、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、イソブテニル、sec-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、ヘキセニル、ペンテニル、オクテニルである。好ましくは、シクロアルケニル環は、3~8個、すなわち3個、4個、5個、6個、7個または8個の炭素原子を含み、例えば1-シクロプロペニル、2-シクロプロペニル、1-シクロブテニル、2-シクロブテニル、1-シクロペンテニル、2-シクロペンテニル、3-シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロオクテニルである。
【0099】
用語「アルキニル」は、1つまたは複数の三重結合を有する鎖または環を含む不飽和炭素原子を意味する。例としてはプロパルギルラジカルがある。好ましくは、アルキニル鎖は、2~8個、すなわち2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個の炭素原子を含み、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、ヘキシニル、ペンチニル、オクチニルである。
【0100】
一実施態様において、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、シクロアルケニル、およびアルキニルラジカル中の炭素原子または水素原子は、互いに独立して、O、SおよびNからなる群より選択される1つまたは複数の元素によって、またはO、SおよびNからなる群より選択される1つまたは複数の元素を含む基によって置換されていてもよい。
【0101】
実施形態は、アルコキシ、シクロアルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アルケニルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アルキルチオ、シクロアルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルケニルチオ、アルキニルチオ、アルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルケニルアミノ、シクロアルケニルアミノ、アルキニルアミノラジカルを含む。
【0102】
他の実施形態は、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシシクロアルキル、ヒドロキシアリール、ヒドロキシアラルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシシクロアルケニル、ヒドロキシアリニル、メルカプトアルキル、メルカプトシクロアルキル、メルカプトアリール、メルカプトアラルキル、メルカプトアルケニル、メルカプトシクロアルケニル、メルカプトアルキニル、アミノアルキル、アミノシクロアルキル、アミノアリール、アミノアラルキル、アミノアルケニル、アミノシクロアルケニル、アミノアルキニルラジカルを含む。
【0103】
別の実施態様において、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニルラジカル中の水素原子は、互いに独立して、1つまたは複数のハロゲン原子によって置換されていてよい。1つのラジカルは、トリフルオロメチルラジカルである。
【0104】
2つ以上のラジカルまたは2つ以上の残基が互いに独立して選択され得る場合、用語「独立して」とは、ラジカルまたは残基が同じであっても異なっていてもよいことを意味する。
【0105】
本明細書で使用される場合、例えば「1~6」などの長さの範囲の限定を定義する語句は、1から6までのいずれかの整数、すなわち1、2、3、4、5および6を意味する。言い換えれば、明示的に記載された2つの整数によって定義される任意の範囲は、前記の限定を規定する任意の整数および前記範囲に含まれる任意の整数を含みかつ開示することを意味する。
【0106】
本明細書で使用される「ハロ」という用語は、F、Br、I、およびClからなる群より選択されるハロゲン残基を指す。好ましくは、ハロゲンはFである。
【0107】
本明細書で使用される「保護基」という語句は、潜在的に反応性の官能基を望ましくない化学変換から保護する一時的な置換基を意味する。
【0108】
用語「アミノ保護基」または「N末端保護基」は、アミノ酸もしくはペプチドのα-N末端を保護すること、またはそうでなければアミノ酸もしくはペプチドのアミノ基を合成手順中の望ましくない反応から保護することを意図した基を指す。一般に使用されるN-保護基は、Greene, Protective Groups In Organic Synthesis, (John Wiley & Sons, New York (1981))に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。さらに、保護基は、生物学的活性ペアレントを放出するために、例えば酵素加水分解によってin vivoで容易に切断されるプロドラッグとして使用することができる。α-N保護基は、ホルミル、アセチル(「Ac」)、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチルなどの低級アルカノイル基;2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイルなどの他のアシル基;ベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニルなどのスルホニル基;ベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-エトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニルイル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル,2,2,2,-トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのカルバメート形成基;ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などのアリールアルキル基;トリメチルシリルなどのシリル基を含む。また他の例としては、テイル(theyl)、スクシニル、メトキシスクシニル、スベロイル、アジピル、アゼライル(azelayl)、ダンシル、ベンジルオキシカルボニル、メトキシアゼライル、メトキシアジピル、メトキシスベロイル、および2,4-ジニトロフェニルが挙げられる。本明細書で使用される用語「リンカー」は、任意の化学的に適当なリンカーを意味する。好ましくは、リンカーは、生理学的条件下では切断されないか、またはゆっくりとしか切断されない。したがって、好ましくは、リンカーは、プロテアーゼの認識配列や他の分解酵素の認識構造を含まない。本発明の化合物は、全身投与され、体のすべての区画(コンパートメント)への広範なアクセスを可能にし、続いて、体内のどこに腫瘍が位置していても本発明の化合物が濃縮されることが好ましいため、リンカーは、血中では切断されないか、またはゆっくりとしか切断されないように選択されることが好ましい。化合物をヒト患者に投与してから2時間後に50%未満のリンカーが切断される場合、切断はゆっくりであると見なされる。適当なリンカーは、例えば、置換されていてもよいアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、シクロアルケニル、シクロヘテロアルケニル、アルキニル、スルホニル、アミン、エーテル、チオエーテル、ホスフィン、ホスホルアミデート、カルボキサミド、エステル、イミドエステル、アミジン、チオエステル、スルホンアミド、3-チオピロリジン-2,5-ジオン、カルバメート、尿素、グアニジン、チオ尿素、ジスルフィド、オキシム、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、ジアザ結合、トリアゾール、トリアゾリン、テトラジン、白金錯体およびアミノ酸、またはそれらの組み合わせを含むか、またはそれらからなる。好ましくは、リンカーは、1,4-ピペラジン、1,3-プロパンおよびフェノールエーテルまたはそれらの組み合わせを含むか、またはそれらからなる。
【0109】
「置換されていてもよい(optionally substituted)」という表現は、1個、2個、3個またはそれ以上の水素原子が、互いに独立してそれぞれの置換基によって置き換えられていてもよい基を指す。
【0110】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、1つまたは複数のアミノ置換基を含む任意の有機酸、例えば、脂肪族カルボン酸のα-、β-またはγ-アミノ誘導体を指す。
【0111】
「従来のアミノ酸」という用語は、20種類の天然に存在するアミノ酸を指し、それらの立体異性体のすべて、すなわちD、L-、D-およびL-アミノ酸を包含する。
【0112】
本明細書で使用する用語「N含有芳香族または非芳香族の単環式または二環式複素環」は、環式鎖の構成成分として少なくとも1つの窒素原子を含む環式飽和または不飽和炭化水素化合物を指す。
【0113】
薬学的に許容される塩の実例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、エデト酸カルシウム、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二塩酸塩、硫酸ドデシル、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート(estolate)、エタンスルホン酸塩(esylate)、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩(glycolylarsanilate)、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩 (hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオシアネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸メチル、ムチン酸塩(mucate)、2-ナフタレンスルホン酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド、ウンデカン酸塩、吉草酸塩など(例えば、Berge, S. M., et al, "Pharmaceutical Salts", Journal of Pharmaceutical Science, 1977, 66, 1-19を参照されたい)。本発明の特定の特定の化合物は、化合物が塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換されることを可能にする塩基性および酸性の両方の官能基を含む。
【0114】
化合物の中性形態は、塩を塩基または酸と接触させ、従来のやり方で親化合物を単離することによって再生させることができる。化合物の親形態は、極性溶媒中の溶解度などの特定の物理的特性において様々な塩形態とは異なるが、それ以外では、塩は、本発明の目的のために化合物の親形態と等価である。
【0115】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグ形態の化合物を提供する。本明細書に記載される化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて式(I)の化合物を提供する化合物である。プロドラッグは、患者へのプロドラッグの投与後に、加水分解、代謝などのin vivoでの生理学的作用によって本発明の化合物に化学的に修飾される活性または不活性化合物である。さらに、プロドラッグは、ex vivo環境において化学的または生化学的方法によって本発明の化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、好適な酵素と共に経皮パッチリザーバに入れると、本発明の化合物にゆっくりと変換され得る。プロドラッグの作製および使用に関与する適性および技術は、当業者によく知られている。エステルを含むプロドラッグの一般的な考察については、Svensson and Tunek Drug Metabolism Reviews 16.5 (1988) and Bundgaard Design of Prodrugs, Elsevier (1985)を参照されたい。
【0116】
マスクされたカルボン酸塩陰イオンの例としては、アルキル(例えばメチル、エチル)、シクロアルキル(例えばシクロヘキシル)、アラルキル(例えばベンジル、p-メトキシベンジル)およびアルキルカルボニルオキシアルキル(例えば、ピバロイルオキシメチル)などの様々なエステルが挙げられる。アミンは、アリールカルボニルオキシメチル置換誘導体としてマスクされ、それはin vivoでエステラーゼによって切断され、遊離薬物およびホルムアルデヒドを放出する(Bungaard J. Med. Chem. 2503(1989))。また、イミダゾール、イミド、インドールなどの酸性NH基を含む薬剤は、N-アシルオキシメチル基でマスクされる(Bundgaard Design of Prodrugs, Elsevier (1985))。
【0117】
ヒドロキシル基は、エステルおよびエーテルとしてマスクされる。EP00039051(SloanおよびLittle、1981年4月11日)には、マンニッヒ塩基性ヒドロキサム酸プロドラッグ、その調製および使用が開示されている。
【0118】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態、ならびに水和形態などの溶媒和形態で存在し得る。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0119】
本発明の特定の化合物は、複数の結晶形態または非晶質形態で存在し得る。一般に、全ての物理的形態が、本発明によって企図される使用に関して等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
【0120】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有する;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、および個々の異性体は全て、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0121】
本発明の化合物は、そのような化合物を構成する原子の1つまたは複数に不自然な割合の原子同位体を含むが、それでもなおその原子の放射性同位体バージョンを含む分子は100%未満である。
【0122】
本出願で使用される「医薬組成物」という用語は、組織の状態または疾患の同定、予防または処置に使用される物質および/または物質の組み合わせを指す。医薬組成物は、疾患を予防および/または処置するために患者に投与するのに適するように製剤化される。さらに、医薬組成物は、活性薬剤と、組成物を治療的使用に適したものにする不活性または活性な担体との組み合わせを指す。医薬組成物は、その化学的および物理的特性に応じて、経口、非経口、局所、吸入、直腸、舌下、経皮、皮下または膣への適用経路のために製剤化することができる。医薬組成物は、固体、半固体、液体、経皮吸収治療システム(TTS)を含む。固体組成物は、錠剤、コーティング錠、粉末、顆粒、ペレット、カプセル、発泡錠または経皮吸収治療システムからなる群より選択される。また、溶液、シロップ、輸液、抽出物、静脈内適用のための溶液、輸液のための溶液、または本発明の担体システムの溶液からなる群より選択される液体組成物も含まれる。本発明の文脈で使用することができる半固体組成物には、エマルション、懸濁液、クリーム、ローション、ゲル、丸薬(globule)、バッカル錠および坐剤が含まれる。
【0123】
「薬学的に許容される」とは、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されているか、または動物、より具体的にはヒトにおける使用のために米国薬局方もしくは他の一般的に認められている薬局方に掲載されていることを意味する。
【0124】
用語「担体」は、本明細書で使用される場合、それと共に治療剤が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。このような医薬担体は、例えば、生理食塩水、および油(石油、動物、植物または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含む)などの滅菌液体であり得る。医薬組成物を静脈内投与する場合、生理食塩水が好ましい担体である。生理食塩水、ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液もまた、特に注射用溶液のための液体担体として用いることができる。適切な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク(chalk)、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。所望であれば、組成物はまた、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでいてよい。好適な医薬担体の例は、E. W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0125】
III.
FAP活性化放射性医薬品の構造の概要
いくつかの実施形態では、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、
【化32】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
Rは、細胞標的に結合するためのリガンドと、放射性部分および/または放射性部分をキレート化するためのキレート剤のうちの1つまたは複数とを含む、リガンド標的化セラノスティクス部分を表し;
Aは5~8員の複素環を表し;
XはOまたはSであり;
R
10はアミノ末端ブロッキング基であり;
R
12は水素または(C
1~C
6)アルキルであり;
R
13は、水素、(C
1~C
6)アルキル(直鎖または分岐鎖であり得る)または(C
1~C
6)であり;
R
14は、各出現について独立して、-(C
1~C
6)アルキル、-OH、-NH
2、またはハロゲンであり;
pは0~6の整数であり;
Lは結合であるか、またはFAPによる切断でNH
2-L-Rを放出した後、自己脱離リンカーであり;
線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)によるプロドラッグの酵素的切断は、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分(すなわち、その薬理学的活性形態)としてかまたはその活性形態に容易に代謝される形態のいずれかで、リガンド標的化セラノスティクス部分の放出をもたらし;そして、FAP切断によってプロドラッグから放出されると、活性化されたリガンド標的化セラノスティクス部分は、プロドラッグの細胞標的への結合のKdよりも小さい細胞標的への結合のKdで細胞標的に結合する(すなわち、細胞標的に対してより高い親和性を有する)。
【0126】
式IIの特定の好ましい実施形態では、R12はHである。
【0127】
式IIの構造のある特定の実施形態において、R
10は、それが結合している窒素と共にアミドまたはチオアミドを形成し、プロドラッグは、式:
【化33】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
XはOまたはSであり;
R
11-(C=X)は一緒になって、アシルN末端ブロッキング基を表し;あるいは
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH 、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;あるいは
R
11は、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルコキシ、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
6~C
14)アリール、-(AA)
n-アリール(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール、または-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
AAは、各出現について独立して、アミノ酸残基であり;
nは1~5の整数であり;
R、A、R
12、R
13、R
14、pおよびLは、式IIについて記載されている通りである。
【0128】
式IIaの特定の好ましい実施形態では、XはOであり;および/またはR12はHである。特定の好ましい実施形態では、XはOであり、R12はHである。
【0129】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、R11は、-(C1~C10)アルキル-CO2H、-(C1~C10)アルキル-CO2H、または-(C1~C10)アリール-CO2Hである。
【0130】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、-C(=O)-R11は、カルボン酸のアシル、例えば、例示すると、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブトリル、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、アクリロイル、マレオイル、フマロイル、グリコロイル、ラクトイル、ピルボイル、グリセロイル、マロイル、オキサロアセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、またはメトキシスクシニル基を形成する。
【0131】
ある好適な実施形態において、XはOであり、R11は-(CH2)m-R11aであり、ここで、R11aは、5~10員のアリールまたはヘテロアリール基であり、mは1~6の整数である。特定の実施形態において、mは、1または2である。特定の実施形態において、R11aは6員のアリールまたはヘテロアリール基を表す。
【0132】
特定の実施形態では、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、
【化34】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、R、R
10、R
12、R
13、R
14、L、Xおよびpは、上で式IIについて定義した通りである。
【0133】
式IIIの特定の好ましい実施形態では、R12はHである。
【0134】
式IIIの構造の特定の実施形態において、R
10は、それが結合している窒素と共にアミドまたはチオアミドを形成し、プロドラッグは、式IIIa:
【化35】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
XはOまたはSであり;
R
11-(C=X)は一緒になって、アシルN末端ブロッキング基を表し;あるいは
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH 、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;あるいは
R
11は、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルコキシ、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
6~C
14)アリール、-(AA)
n-アリール(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール、または-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
AAは、各出現について独立して、アミノ酸残基であり;
nは1~5の整数であり;
R、R
12、R
13、R
14、pおよびLは、式IIについて記載されている通りである。
【0135】
式IIIaの特定の好ましい実施形態では、XはOであり;および/またはR12はHである。特定の好ましい実施形態では、XはOであり、R12はHである。
【0136】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、R11は-(C1~C10)アルキル-CO2H、-(C1~C10)アルケニル-CO2H、または-(C1~C10)アリール-CO2Hである。
【0137】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、-C(=O)-R11は、カルボン酸のアシル、例えば、例示すると、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブトリル、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、アクリロイル、マレオイル、フマロイル、グリコロイル、ラクトイル、ピルボイル、グリセロイル、マロイル、オキサロアセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチルまたはメトキシスクシニル基を形成する。
【0138】
ある好適な実施形態において、XはOであり、R11は-(CH2)m-R11aであり、ここで、R11aは、5~10員のアリールまたはヘテロアリール基であり、mは1~6の整数である。特定の実施形態において、mは、1または2である。特定の実施形態において、R11aは6員のアリールまたはヘテロアリール基を表す。
【0139】
特定の実施形態では、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、式IV:
【化36】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、R
13は、(C
1~C
6)アルキル(直鎖または分岐鎖であり得る)または(C
1~C
6)であり、R、R
10、R
12、R
13、R
14、L、Xおよびpは、上で式IIについて定義された通りである。
【0140】
式IVの特定の好ましい実施形態では、R13はメチルであり;pはゼロであり;および/またはR12はHである。特定の好ましい実施形態では、R13はメチルであり、pはゼロであり(すなわち、R14は存在しない)、R12はHである
【0141】
式IVの構造のある特定の実施形態において、R
10は、それが結合している窒素と一緒にアミドまたはチオアミドを形成し、プロドラッグは、式IVa
【化37】
で表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、
式中、
XはOまたはSであり;
R
11-(C=X)は一緒になって、アシルN末端ブロッキング基を表し;あるいは
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH 、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;あるいは
R
11は、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルコキシ、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
6~C
14)アリール、-(AA)
n-アリール(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール、または-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
AAは、各出現について独立して、アミノ酸残基であり;
nは1~5の整数であり;
R、R
12、R
13、R
14、pおよびLは、式IIについて記載されている通りである。
【0142】
式IVaの特定の好ましい実施形態では、R13はメチルであり;XはOであり;pはゼロであり;および/またはR12はHである。特定の好ましい実施形態では、R13はメチルであり、XはOであり、pはゼロであり、R12はHである。
【0143】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、R11は-(C1~C10)アルキル-CO2H、-(C1~C10)アルケニル-CO2H、または-(C1~C10)アリール-CO2Hである。
【0144】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、-C(=O)-R11は、カルボン酸のアシル、例えば、例示すると、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブトリル、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、アクリロイル、マレオイル、フマロイル、グリコロイル、ラクトイル、ピルボイル、グリセロイル、マロイル、オキサロアセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチルまたはメトキシスクシニル基を形成する。
【0145】
ある好適な実施形態において、XはOであり、R11は-(CH2)m-R11aであり、ここで、R11aは、5~10員のアリールまたはヘテロアリール基であり、mは1~6の整数である。特定の実施形態において、mは、1または2である。特定の実施形態において、R11aは6員のアリールまたはヘテロアリール基を表す。
【0146】
特定の実施形態では、FAP活性化放射性医薬品は、
【化38】
によって表され、
式中、
R、R
10、R
13およびLは、式IIについて記載されるとおりであり、
R
11-(C=X)は一緒になって、アシルN末端ブロッキング基を表し;あるいは
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH 、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;あるいは
R
11は、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルコキシ、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
6~C
14)アリール、-(AA)
n-アリール(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール、または-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
AAは、各出現について独立して、アミノ酸残基であり;
nは1~5の整数であり;
R
13は、(C
1~C
6)アルキル(直鎖または分岐鎖であり得る)または(C
1~C
6)である。
【0147】
式VおよびVaの特定の好ましい実施形態では、R13はメチルである。
【0148】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、R11は-(C1~C10)アルキル-CO2H、-(C1~C10)アルケニル-CO2H、または-(C1~C10)アリール-CO2Hである。
【0149】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、-C(=O)-R11は、カルボン酸のアシル、例えば、例示すると、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブトリル、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、アクリロイル、マレオイル、フマロイル、グリコロイル、ラクトイル、ピルボイル、グリセロイル、マロイル、オキサロアセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチルまたはメトキシスクシニル基を形成する。
【0150】
ある好適な実施形態において、XはOであり、R11は-(CH2)m-R11aであり、ここで、R11aは、5~10員のアリールまたはヘテロアリール基であり、mは1~6の整数である。特定の実施形態において、mは、1または2である。特定の実施形態において、R11aは6員のアリールまたはヘテロアリール基である。
【0151】
特定の実施形態では、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、式VI:
【化39】
によって表され、
式中、
R、R
10およびLは、式IIについて記載されるとおりであり、
R
11-(C=X)は一緒になって、アシルN末端ブロッキング基を表し;あるいは
R
11は、-(C
1~C
10)アルキル、-(C
1~C
10)アルコキシ、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-OH、-(C
1~C
10)アルケニル-C(O)-OH 、-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(C
6~C
14)アリール、-アリール(C
1~C
10)アルキル、-O-(C
1~C
4)アルキル-(C
6~C
14)アリール、5~10員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;あるいは
R
11は、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルコキシ、-(AA)
n-(C
1~C
10)アルキル-C(O)-(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル、-(AA)
n-(C
3~C
8)シクロアルキル(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-(C
6~C
14)アリール、-(AA)
n-アリール(C
1~C
10)アルキル、-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール、または-(AA)
n-5~10員ヘテロアリール(C
1~C
10)アルキルであり、ここで、R
11は、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アミノ、ニトロおよびチオからなる群より独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;
AAは、各出現について独立して、アミノ酸残基であり;
nは1~5の整数であり;
【0152】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、R11は、-(C1~C10)アルキル-CO2H、-(C1~C10)アルケニル-CO2H、または-(C1~C10)アリール-CO2Hである。
【0153】
特定の好ましい実施形態では、XはOであり、-C(=O)-R11は、カルボン酸のアシル、例えば、例示すると、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブトリル、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、アクリロイル、マレオイル、フマロイル、グリコロイル、ラクトイル、ピルボイル、グリセロイル、マロイル、オキサロアセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチルまたはメトキシスクシニル基を形成する。
【0154】
ある好適な実施形態において、XはOであり、R11は-(CH2)m-R11aであり、ここで、R11aは、5~10員のアリールまたはヘテロアリール基であり、mは1~6の整数である。特定の実施形態において、mは、1または2である。特定の実施形態において、R11aは6員のアリールまたはヘテロアリール基である。
【0155】
さらに他の実施形態において、FAP活性化セラノスティクスプロドラッグは、式VII:
【化40】
によって表され、式中、RおよびLは、上記式IIについて定義したとおりであり、-C(=O)R
11はアシル基を形成する。
【0156】
上記構造II~VIIのある特定の実施形態において、-C(=X)R11または-C(=O)R11はアシル基を形成する。
【0157】
特定の実施形態では、アシル基は、アリール(C1~C6)アシルおよびヘテロアリール(C1~C6)アシルからなる群より選択される。
【0158】
特定の実施形態では、アリール(C1~C6)アシルは、ベンジル、ナフタレニル、フェナントレニル、フェノリル、およびアニリニルからなる群より選択されるアリールで置換された(C1~C6)アシルである。
【0159】
特定の実施形態では、アリール(C1~C6)アシルは、ベンジル、ナフタレニル、フェナントレニル、フェノリル、およびアニリニルからなる群より選択されるアリールで置換された(C1)アシルである。
【0160】
特定の実施形態では、アシル基はヘテロアリール(C1~C6)アシルである。
【0161】
特定の実施形態では、ヘテロアリール(C1~C6)アシルは、ピリル、フリル、チオフェニル(a/k/aチエニル)、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、およびピリミジニルからなる群より選択されるヘテロアリールで置換された(C1~C6)アシルである。
【0162】
特定の実施形態では、ヘテロアリール(C1~C6)アシルは、ピリル、フリル、チオフェニル(a/k/aチエニル)、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、およびピリミジニルからなる群より選択されるヘテロアリールで置換された(C1)アシルである。
【0163】
特定の実施形態において、FAP基質部分は、3番目のアミノ酸位置、任意選択でN末端の(d)-Ala(またはその位置の他の(d)-アミノ酸であってR3によって形成される)を含み、任意選択で3番目のアミノ酸位置のアミノ酸はセリンまたはトレオニンである。
【0164】
a.自己脱離(Self-Eliminating)リンカー
ある特定の実施形態では、FAP基質部分は、自己脱離リンカー(上記式中のL)を介してリガンド標的化セラノスティクス部分に連結される。FAPαによりFAP基質部分が切断されると、その後、自己脱離リンカーの除去により、活性化されたリガンド標的化セラノティクス部分が放出される。
【0165】
自己脱離部分は、2つの離間した化学部分を共有結合により連結させて通常安定な分子にすることができる二官能性化学基であって、離間した化学部分の一方を酵素的切断によってその分子から遊離させ;酵素的切断に続いて、二官能性化学基の残りの部分から自発的に切り離れて、前記離間した化学部分の他方を遊離させることができる二官能性化学基として定義することができる。したがって、いくつかの実施形態では、自己脱離部分は、その末端の一方で、直接的にまたはスペーサーユニットを介して間接的に、アミド結合によってリガンドに共有結合し、他方の末端で、治療的部分についている化学反応部位(官能基)に共有結合する。
【0166】
治療用コンジュゲートは、通常、循環中で安定であるか、または少なくとも基質認識配列(FAPα切断可能リンカー)と自己脱離部分との間のアミド結合を切断することができる酵素の非存在下では安定であるべきである。治療用コンジュゲートを適切な酵素(FAPα)に曝露すると、アミド結合が切断され、自発的な自己脱離反応が開始し、自己脱離部分を治療的部分に共有結合する結合の切断をもたらし、それにより、その非誘導体化(underivatized)形態または薬理学的に活性な形態の遊離治療的部分が放出される。コンジュゲート中の自己脱離部分は、1つまたは複数のヘテロ原子を組み込み、それによって溶解度の改善をもたらし、切断速度を改善し、コンジュゲートの凝集の傾向を低減させる。
【0167】
いくつかの実施形態では、Lはベンジルオキシカルボニル基である。他の実施形態では、自己脱離リンカーLは、-NH-(CH2)4-C(=O)-、または-NH-(CH2)3-C(=O)-である。さらに他の実施形態では、自己脱離リンカーLは、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)である。さらに他の実施形態では、自己脱離リンカーLは、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)アニリンである。
【0168】
本開示の治療用コンジュゲートは、治療的部分と切断可能な基質認識配列とに共有結合した複素環式自己脱離部分を用いることができる。自己脱離部分は、2つの離間した化学部分を共有結合により連結させて通常安定な分子にすることができる二官能性化学基であって、前記離間した化学部分の一方を酵素的切断によってその分子から遊離させ;前記酵素的切断に続いて、二官能性化学基の残りの部分から自発的に切り離れて、前記離間した化学部分の他方を遊離させることができる二官能性化学基として定義することができる。本開示によれば、自己脱離部分は、その末端の一方で、直接的にまたはスペーサーユニットを介して間接的に、アミド結合によってリガンドに共有結合し、その他方の末端で、薬物についている化学反応部位(官能基)に共有結合することができる。自己脱離部分による治療的部分の誘導体化は、薬物が切り離されるまで、薬物をより低い薬理学的活性(例えば、より低い毒性)のものとするか、またはまったく活性のないものとすることができる。
【0169】
治療用コンジュゲートは、通常、循環中で安定であるか、または少なくとも、基質認識配列と自己脱離部分との間のアミド結合を切断することができる酵素の非存在下で安定であるべきである。しかし、治療用コンジュゲートを適切な酵素に曝露すると、アミド結合が切断され、自発的な自己脱離反応が開始し、自己脱離部分を薬物に共有結合する結合の切断がもたらされ、それにより、その非誘導体化形態または薬理学的に活性な形態の遊離治療的部分が放出される。
【0170】
本開示のコンジュゲートにおける自己脱離部分は、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のヘテロ原子を組み込み、それによって、溶解度の改善をもたらし、切断速度を改善し、コンジュゲートの凝集の傾向を低減させる。本開示の複素環式自己脱離リンカー構築物の非複素環式PAB型リンカーを上回るこれらの改善は、効力の増大、毒性の軽減、およびより望ましい薬物動態などの驚くべき予想外の生物学的特性をもたらし得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、Lはベンジルオキシカルボニル基である。
【0172】
いくつかの実施形態では、Lは、
【化41】
であり、式中、R
1は、水素、非置換もしくは置換C
1-3アルキル、または非置換もしくは置換ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、R
1は水素である。いくつかの例では、R
1はメチルである。
【0173】
いくつかの実施形態では、Lは、
【化42】
から選択される。
【0174】
いくつかの実施形態では、自己脱離部分Lは、
【化43】
から選択され、
式中、
UはO、SまたはNR
6であり;
QはCR
4またはNであり;
V
1、V
2およびV
3は独立してCR
4またはNであり、但し、式IIおよびIIIについて、Q、V
1およびV
2のうち少なくとも1つはNであり;
Tは、前記治療的部分についているNH、NR
6、OまたはSであり;
R
1、R
2、R
3およびR
4は独立して、H、F、Cl、Br、I、OH、-N(R
5)
2、-N(R
5)
3
+、C
1~C
8ハロゲン化アルキル、カルボキシレート、スルフェート、スルファメート、スルホネート、-SO
2R
5、-S(=O)R
5、-SR
5、-SO
2N(R
5)
2、-C(=O)R
5、-CO
2R
5、-C(=O)N(R
5)
2、-CN、-N
3、-NO
2、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8ハロ置換アルキル、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、ホスフェート、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8置換アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
2~C
8置換アルキニル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20置換アリール、C
1~C
20複素環、およびC
1~C
20置換複素環から選択され;あるいは、R
2およびR
3は一緒になって、カルボニル(=O)、または3~7個の炭素原子のスピロ炭素環を形成し;
R
5およびR
6は独立して、H、C
1~C
8アルキル、C
1~C
8置換アルキル、C
2~C
8アルケニル、C
2~C
8置換アルケニル、C
2~C
8アルキニル、C
2~C
8置換アルキニル、C
6~C
20アリール、C
6~C
20置換アリール、C
1~C
20複素環、およびC
1~C
20置換複素環から選択され;
ここで、C
1~C
8置換アルキル、C
2~C
8置換アルケニル、C
2~C
8置換アルキニル、C
6~C
20置換アリール、およびC
2~C
20置換複素環は独立して、F、Cl、Br、I、OH、-N(R
5)
2、-N(R
5)
3
+、C
1~C
8ハロゲン化アルキル
、カルボキシレート、スルフェート、スルファメート、スルホネート、C
1~C
8アルキルスルホネート、C
1~C
8アルキルアミノ、4-ジアルキルアミノピリジニウム、C
1~C
8アルキルヒドロキシル、C
1~C
8アルキルチオール、-SO
2R
5、-S(=O)R
5、-SR
5、-SO
2N(R
5)
2、-C(=O)R
5、-CO
2R
5、-C(=O)N(R
5)
2、-CN、-N
3、-NO
2、C
1~C
8アルコキシ、C
1~C
8トリフルオロアルキル、C
1~C
8アルキル、C
3~C
12炭素環、C
6~C
20アリール、C
2~C
20複素環、ポリエチレンオキシ、ホスホネート、およびホスフェートから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている。
【0175】
TがNHである場合、それは、(自己脱離部分へのカップリングの前に)治療的部分についている第一級アミン(-NH2)に由来し、TがNである場合、それは、(自己脱離部分へのカップリングの前に)治療的部分についている第二級アミン(-NH2)に由来することが理解されるであろう。同様に、TがOまたはSである場合、それらはそれぞれ、自己脱離部分へのカップリングの前に治療的部分についているヒドロキシル(-OH)基またはスルフヒドリル(-SH)基に由来する。
【0176】
いくつかの実施形態では、自己脱離リンカーLは、-NH-(CH2)4-C(=O)-または-NH-(CH2)3-C(=O)-である。
【0177】
いくつかの実施形態では、自己脱離リンカーLは、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PABC)である。
【0178】
いくつかの実施形態では、自己脱離リンカーLは、2,4-ビス(ヒドロキシメチル)アニリンである。
【0179】
本明細書に記載される治療用コンジュゲートにおける使用に容易に適合される自己脱離リンカーの他の例は、例えば、米国特許第7,754,681号;WO2012/074693A1;米国特許第9,089,614号;欧州特許出願公開第1,732,607号;WO2015/038426A1(それらの全てが参照により組み込まれる);Walther et al. “Prodrugs in medicinal chemistry and enzyme prodrug therapies” Adv Drug Deliv Rev. 2017 Sep 1; 118:65-77; and Tranoy-Opalinski et al. “Design of self- eliminating linkers for tumour-activated prodrug therapy”, Anticancer Agents Med Chem. 2008 Aug;8(6):6l8-37(各々の教示は、参照により本明細書に組み込まれる)に教示される.
【0180】
本開示に従って使用するための自己脱離リンカーのさらなる他の非限定的な例は、2019年12月12日に公開された国際公開第WO2019/236567号に記載されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0181】
b.標的化部分
特定の実施形態において、リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、
-TM-L1-R20
によって表され、
式中、
TMは、標的細胞上の細胞表面特徴に選択的に結合するリガンド標的化部分を表し;
L1は、結合手またはリンカーを表し;
R20は、放射性部分、キレート剤、蛍光部分、光音響レポーター分子、ラマン活性レポーター分子、造影剤、または検出可能なナノ粒子を表す。
【0182】
例えば、リガンド標的化部分TMは、腫瘍細胞または腫瘍間質細胞上の細胞表面特徴に選択的に結合する部分であり得る。
【0183】
例えば、リガンド標的化部分TMは、標的細胞上のタンパク質、炭水化物または脂質(糖脂質など)に選択的に結合する部分であり得る。
【0184】
ある特定の実施形態では、細胞表面特徴は、リガンド標的化セラノスティクス部分が細胞表面特徴に結合すると、リガンド標的化セラノスティクス部分を内部移行させる。
【0185】
特定の実施形態では、リガンド標的化部分は、標的細胞上のタンパク質に選択的に結合する。特定の実施形態では、標的細胞上のタンパク質は受容体である。
【0186】
特定の実施形態では、受容体は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)であり、例えば、ガストリン放出ペプチド受容体(例えば、BB1、BB2またはBB3のようなボンベシン受容体)、カルシトニン受容体、オキシトシン受容体、ソマトスタチン受容体(例えば、ソマトスタチン受容体サブタイプ2)、メラノコルチン受容体(例えば、MC1R)、コレシストキニン受容体(例えば、コレシストキニンB受容体)、ニューロテンシン受容体またはニューロペプチド(または神経ペプチド)Y受容体などである。
【0187】
他の実施形態では、受容体は、成長因子受容体であり、例えば、上皮成長因子受容体(例えば、ErbB1、ErbB2、ErbB3またはErbB4)、インスリン成長因子受容体(例えば、IGFR1またはIGFR2)、TGFβ受容体(例えば、TGFβR1またはTGFβR2)、VEGF受容体(例えば、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3またはVEGFR4)、PDGF受容体(例えば、PDGFRαまたはPDGFRβ)、またはFGF受容体(例えば、FGFR1、FGFR2、FGFR3またはFGFR4)などである。
【0188】
ある特定の実施形態では、受容体結合部分は、葉酸受容体αに結合し、葉酸または葉酸類似体(例えば、エタルフォラチド、ビンタフォリド、ロイコボリンおよびメトトレキサート)などの葉酸受容体リガンドであり得る。
【0189】
特定の例において、リガンド標的化部分は、インテグリンに結合するように選択され得る。特定の実施形態において、リガンド標的化部分は、インテグリンαvβ3に結合する。
【0190】
特定の実施形態では、リガンド標的化部分は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)などのN-アセチル-L-アスパルチル-L-グルタミン酸ペプチダーゼに結合するように選択され得る。
【0191】
リガンド標的化部分は、それ自体がそれ自体の薬理学的活性を有していてよく、あるいは、不活性であって、単に受容体を発現する細胞(好ましくは細胞内)にリガンド標的化セラノスティクス部分を送達する目的を果たすものであってもよい。
【0192】
特定の実施形態において、リガンド標的化部分は、ソマトスタチンまたはソマトスタチン類似体、例えばオクトレオテート、オクトレオチドまたはペンテトレオチドである。
【0193】
ある特定の実施形態では、リガンド標的化部分は、αIIbβ3に結合し、RGDまたはRGD類似体(すなわち、二量体もしくは多量体類似体)などのαIIbβ3標的化リガンドであってよく、例えば、cyclo(-Arg-Gly-Asp-D-Phe Val-)[「c(RGDfV)」]、c(RGDfK)、c(RGDfC)、c(RADfC)、c(RADfK)、c(RGDfE)、c(RADfE)、RGDSK、RADSK、RGDS、c(RGDyC)、c(RADyC)、c(RGDyE)、c(RGDyK)、c(RADyK)およびH-E[c(RGDyK)]2、EMD12194、DMP728、DMP757およびSK&F107260のような例示的な環状RGDペプチドが挙げられる。
【0194】
さらに例示すると、特定の実施形態では、リガンド標的化部分は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)に結合する。例えば、上記構造におけるリガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、
【化44】
として表すことができ、
式中、
L
1は、結合手またはリンカーを表し;
R
20は、放射性部分、キレート剤、蛍光部分、光音響レポーター分子、ラマン活性レポーター分子、造影剤、または検出可能なナノ粒子を表し;
R
30は、各出現について独立して、水素または低級アルキルを表す。
【0195】
特定の実施形態では、L1はリンカーを表す。特定の実施形態では、リンカーL1は、PSMAとのいくらかの疎水性接触を提供するように選択される。特定の実施形態では、リンカーL1は、PSMAとのいくらかの疎水性接触を提供するように選択される。
【0196】
特定の実施形態において、-L
1-R
20は、
【化45】
によって表され、式中、R
20は上で定義した通りであり、R
31は、-(CH
2)
p-アリールであるか、または-(CH
2)
p-ヘテロアリールであり、pは0、1、2、3または4である。特定の実施形態において、pは1または2であり、好ましくは、pは1である。特定の実施形態では、R
31は-CH
2-アリールであり、ここでアリール基はC
6~C
12アリールであり、単環式環または二環式縮合環である。特定の好ましい実施形態では、R
31は-CH
2-ナフタレンである。
【0197】
特定の実施形態において、R20はキレーター(またはキレート剤)であり、キレート化された放射性同位体を含み得る。
【0198】
特定の実施形態において、-L
1-R
20は、
【化46】
によって表されるか、またはその放射性同位体キレート化製剤である。
【0199】
特定の実施形態において、R
20はF
18含有部分である。例示のために、-L
1-R
20は、
【化47】
から選択され得る。
【0200】
さらなる例示として、特定の実施形態では、リガンド標的化部分は、葉酸受容体に結合する。例えば、リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、葉酸または葉酸類似体を含み、それらは例えば、
【化48】
のうちの1つで表すことができ、
式中、
R
21はHを表し、R
22は-NH-(CH
2)
q-R
20、-NH-(CH
2)
q-NH-C(O)-(CH
2)
q-R
20または-NH-(CH
2)
q-C(O)-(CH
2)
q-R
20を表し;あるいは
R
22はHを表し、R
21は-NH-(CH
2)
q-R
20または-NH-(CH
2)
q-C(O)-(CH
2)
q-R
20を表す;あるいは
R
21もしくはR
22の一方はHを表し、他方は、
【化49】
の群から選択され;
R
23は、H、-CH
3、-CH
2CH
3、または-CO
2Hを表し;
R
20は、放射性部分、キレート剤、蛍光部分、光音響レポーター分子、ラマン活性レポーター分子、造影剤、または検出可能なナノ粒子を表し;
qは、各出現について独立して、0、1、2、3または4である。
【0201】
特定の実施形態では、R20はキレート部分を表し、R21は-NH-CH2-R20、-NH-CH2-C(O)-R20、-NH-C(O)-CH2-R20、-NH-CH2-C(O)-CH2-R20または-NH-(CH2)2-NH-C(O)-CH2-R20を表し、R22はHを表す。
【0202】
特定の実施形態において、R20はキレート部分を表し、R21はHを表し、R22は、-NH-CH2-R20、-NH-CH2-C(O)-R20、-NH-C(O)-CH2-R20、-NH-CH2-C(O)-CH2-R20、または-NH-(CH2)2-NH-C(O)-CH2-R20を表す。
【0203】
例えば、リガンド-標的化セラノスティクス部分(R)は、
【化50】
であり得る。
【0204】
さらに他の実施形態では、リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、以下のような、放射性同位元素で直接標識された葉酸または葉酸類似体を含み、
【化51】
式中、R
23は、H、-CH
3、-CH
2CH
3または-CO
2Hを表し、XはCR
40またはNを表し、R
40はHまたは低級アルキルである。
【0205】
特定の実施形態では、リガンド標的化部分は、ソマトスタチン受容体(ソマトスタチン受容体サブタイプ2など)に結合する。例えば、リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、ソマトスタチンまたはソマトスタチン類似体を含むことができる。ソマトスタチン類似体の例には、オクトレオチド、オクトレオテート、ランレオチド、バプレオチド、パシレオチド、セグリチド、ベネレオチド、KE-108、SDZ-222-100、Sst3-ODN-8、CYN-154806、JR11、J2156、SRA-880、ACQ090、P829、SSTp-58、SSTp-86、BASSおよびソマトプリムが含まれる。
【0206】
特定の実施形態では、ソマトスタチン類似体はソマトスタチン受容体アゴニストである。
【0207】
例えば、リガンド標的化セラノスティクス部分(R)は、
【化52-1】
【化52-2】
のうちの1つで表すことができるものを含み、
式中、
L
1は、結合手またはリンカーを表し;
R
20は、放射性部分、キレート剤、蛍光部分、光音響レポーター分子、ラマン活性レポーター分子、造影剤、または検出可能なナノ粒子を表す。
【0208】
特定の実施形態では、R
20はキレート部分である。例示すると、Rは、DOTA-オクトレオテートであってよく、例えば、
【化53】
である。
【0209】
また、Rは、(DOTA
0-Phe
1-Tyr
3)オクトレオチドであってもよく、例えば、
【化54】
である。
【0210】
特定の実施形態では、R20は、18F基を含む部分である。
【0211】
Rは、NOTA-オクトレオチド(以下に示す[
18F]AlF-NOTA-オクトレオチド)であってよく、例えば、
【化55】
である。
【0212】
あるいは、
18Fは、ソマトスタチンまたはソマトスタチン類似体上の直接の置換基であってよく、またはR
20-L
1-が
【化56】
である場合のような、非キレートトレーサー(non-chelating tracer)部分の一部であってもよい。
【0213】
さらに他の実施形態では、リガンド標的化部分は、ボンベシン類似体、カルシトニン類似体、オキシトシン類似体、EGF類似体、α-メラノサイト刺激ホルモン類似体、ミニガストリン類似体、ニューロテシン類似体、およびニューロペプチドY(NPY)類似体から選択することができる。
【0214】
c.放射性同位体、キレーターおよび他のセラノスティクス標識
ある特定の実施形態では、リガンド(式I、IIおよびIIIにおけるR)は、放射性部分を含み、放射性部分は、蛍光同位体(fluorescent isotope)、放射性同位体、放射性薬物またはそれらの組合せを含む。好ましくは、放射性部分は、α線放射同位体、β線放射同位体、γ線放射同位体、オージェ電子放射同位体、X線放射同位体、蛍光放射同位体からなる群より選択される放射性同位体を含む。
【0215】
放射性同位体は、イメージングおよび/または放射線療法を可能にするように選択することができる。
【0216】
放射性同位体は、放射性金属または半金属同位体を含み得る。好ましくは、放射性同位体は水溶性金属カチオンである。
【0217】
例示的な放射性同位体として、18F、43K、47Sc、51Cr、57Co、58Co、59Fe、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、71Ge、72As、72Se、75Br、76Br、77As、77Br、81Rb、88Y、90Y、97Ru、99mTc、100Pd、101mRh、103Pb、105Rh、109Pd、111Ag、111In、113In、119Sb 121Sn、123I、124I、125I、127Cs、128Ba、129Cs、131Cs、131I、139La、140La、142Pr、143Pr、149Pm、151Eu、153Eu、153Sm、159Gr、161Tb、165Dy、166Ho、169Eu、175Yb、177Lu、186Re、188Re、189Re、191Os、193Pt、194Ir、197Hg、198Au、199Ag、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Bi 、212Pb、213Bi、225Ac、および227Thが挙げられる。
【0218】
ある特定の実施形態では、放射性同位体は、SPECTイメージングおよび/またはPETイメージングなどによるイメージングを可能にすることが意図される。単一光子放射断層撮影(SPECT)は、γ線を使用する核医学断層撮影技術であり、真の3D情報を提供することができる。情報は、しばしば、患者を横切る断面スライスとして提示される。同位体のγ線放射により、放射性標識物質が患者の体内のどこに蓄積したかを見ることができる。このような真の3D表現は、腫瘍イメージングにおいて有用であり得る。陽電子放出断層撮影(PET)は、3D画像を作製する核医学イメージング技術であり、従来のSPECTイメージングよりも高い感度を有する。システムは、体内に導入される陽電子放出放射性核種(トレーサー)によって間接的に放出されるγ線の対を検出する。次いで、身体内のトレーサー濃度の3D画像がコンピュータ解析によって構築され、多くの場合、同じ機械において同じセッション中に患者に対して行われるコンピュータ断層撮影(CT)X線スキャンの助けを借りて3Dイメージングが達成される。陽電子放出同位体をCTと併せて使用して、標識医療デバイスの解剖学的分布の3Dイメージングを提供することもできる。
【0219】
特定の実施形態では、放射性同位体は、GaおよびInを含む周期表のXIII族(ホウ素ファミリー)の元素である。特に、好ましい放射性同位体としては、Ga-67、Ga-68、Lu-177、Y-90、およびIn-111が挙げられる。最も好ましくは、放射性同位体はLu-177およびY-90である。一実施形態では、放射性同位体はLu-177である。
【0220】
特定の実施形態では、放射性同位体は、Lu-177、Y-90、Cu-64、Cu-67およびTb-161などの遷移金属である。好ましくは、放射性同位体はLu-177またはY-90である。
【0221】
ある実施形態では、リガンドは、イメージングおよび/または治療を可能にするために、少なくとも2つの放射性同位体の組み合わせを含んでもよい。放射性同位体の組み合わせは、Ga-68およびLu-177;Ga-67およびY-90;Ga-68およびY-90;In-111およびY-90;Lu-177およびY-90;ならびにGa-67およびTb-161から選択され得る。
【0222】
本発明は、少なくとも1つの非放射性で非毒性の担体金属の使用をさらに含み得る。例えば、担体金属は、BiおよびFeから選択され得る。例えば、非放射性担体金属は、MRIイメージング(例えば、Fe)またはX線コントラストイメージング(例えば、Bi)を可能にするものであってよい。担体金属のさらなる例としては、三価ビスマスが挙げられ、これはさらにミクロスフェアにX線コントラストをもたらし、CTで画像化することができる。
【0223】
ある特定の実施形態では、リガンドは、キレート部分、例えば、放射性金属または常磁性イオンのためのキレーターを含む。
【0224】
キレート剤は、当技術分野で公知の任意のキレーターを含むことができ、例えば、Parus et al., “Chemistry and bifunctional chelating agents for binding (177)Lu,” Curr Radiopharm. 2015; 8(2):86-94; Wangler et al., “Chelating agents and their use in radiopharmaceutical sciences,” Mini Rev Med Chem. 2011 October; 11(11):968-83; Liu, “Bifunctional Coupling Agents for Radiolabeling of Biomolecules and Target-Specific Delivery of Metallic Radionuclides,” Adv Drug Deliv Rev. 2008 September; 60(12): 1347-1370を参照されたい。
【0225】
具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる:
【化57-1】
【化57-2】
【化57-3】
【化57-4】
【化57-5】
【0226】
さらなる例示的な例としては、例えば、以下のものが挙げられる:
【化58】
【0227】
特定の好ましい実施形態では、リガンドは、DOTAを含むことができ、すなわち、その4つのカルボン酸基のいずれかを介してリガンドに共有結合することができる。
【0228】
特定の実施形態では、キレーターは、それとキレート化された放射性同位体を含む。
【0229】
特定の実施形態では、キレーターは、それとキレート化された常磁性イオンを含む。常磁性イオンの例としては、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、またはこれらの常磁性イオンの組み合わせが挙げられる。
【0230】
その部分が検出可能な標識である場合、それは蛍光標識であってもよい。すなわち、ある特定の実施形態では、リガンドは、キサンテン、アクリジン、オキサジン、シアニン、スチリル色素、クマリン、ポルフィン、金属-配位子錯体、蛍光タンパク質、ナノ結晶、ペリレン、ホウ素-ジピロメテン、およびフタロシアニン、ならびにこれらの種類の色素のコンジュゲートおよび組み合わせからなる群より選択され得るような、リガンドにコンジュゲートされた蛍光色素を含む。具体的な蛍光標識の例には、シアニン、フルオレセイン、ローダミン、Alexa Fluor、Dylight fluor、ATTO Dyes、BODIPY Dyeなどの有機色素、ならびに緑色蛍光タンパク質(GFP)、R-フィコエリスリンなどの生物学的フルオロフォア、および量子ドットが含まれるが、これらに限定されない。
【0231】
ある特定の実施形態では、蛍光部分は、Cy5、Cy5.5(Cy5++としても知られる)、Cy2、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、フィコエリスリン、Cy7、フルオレセイン(FAM)、Cy3、Cy3.5(Cy3++としても知られる)、Texas Red、LightCycler-Red 640、LightCycler-Red 705、テトラメチルローダミン(TMR)、ローダミン、ローダミン誘導体(ROX)、ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、ローダミン6G(R6G)、ローダミン誘導体JA133、Alexa Fluorescent Dyes(例えば、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 555、およびAlexa Fluor 647など)、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、ヨウ化プロピジウム、AMCA、スペクトラムグリーン(Spectrum Green)、スペクトラムオレンジ(Spectrum Orange)、スペクトラムアクア(Spectrum Aqua)、リサミン(Lissamine)、およびユーロピウムなどの蛍光遷移金属錯体からなる群より選択され得る。使用可能な蛍光化合物には、GFP(緑色蛍光タンパク質)、増強GFP(EGFP)、青色蛍光タンパク質および誘導体(BFP、EBFP、EBFP2、Azurite、mKalama1)、シアン蛍光タンパク質および誘導体(CFP、ECFP、Cerulean、CYPet)、ならびに黄色蛍光タンパク質および誘導体(YFP、Citrine、Venus、YPet)などの蛍光タンパク質も含まれる。WO2008/142571、WO2009/056282、およびWO99/22026も参照されたい。
【0232】
IV.FAP活性化放射性医薬品の例示的な治療的使用
本発明のさらに別の態様は、動物(好ましくはヒト患者)においてFAPを過剰発現する組織を診断、イメージングまたは低減するための方法であって、動物に本発明のFAP活性化セラノスティクスプロドラッグを投与することを含む方法を提供する。
【0233】
いくつかの実施形態では、FAPを過剰発現する組織は、腫瘍、特に固形腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、以下からなる群より選択される腫瘍である:結腸直腸腫瘍、膵臓腫瘍、肺腫瘍、卵巣腫瘍、肝臓腫瘍、乳房腫瘍、腎臓腫瘍、前立腺腫瘍、神経内分泌腫瘍、消化管腫瘍(gastrointestinal tumor)、黒色腫、子宮頸部腫瘍、膀胱腫瘍、膠芽腫、および頭頸部腫瘍。いくつかの実施形態では、腫瘍は結腸直腸腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は卵巣腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は肺腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は膵臓腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は黒色腫である。いくつかの実施形態では、腫瘍は膀胱腫瘍である。
【0234】
さらに例示すると、主題のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、骨肉腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、腎臓がん、白血病、腎移行上皮がん、膀胱がん、ウィルムスがん(Wilm's cancer)、卵巣がん、膵臓がん、乳がん(トリプルネガティブ乳がんを含む)、前立腺がん、骨がん、肺がん(例えば、小細胞または非小細胞肺がん)、胃がん、結腸直腸がん、子宮頸がん、滑膜肉腫、頭頸部がん、扁平上皮がん、多発性骨髄腫、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、肝細胞腫、肝細胞がん、黒色腫、腎臓のラブドイド腫瘍、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、脳腫瘍、神経膠芽腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫(シュワン細胞腫)、原始神経外胚葉腫瘍、髄芽腫、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、乏突起膠腫、上衣腫、脈絡叢乳頭腫、真性赤血球増加症(真性多血症)、血小板血症、特発性骨髄線維症、軟組織肉腫、甲状腺がん、子宮内膜がん、カルチノイドがんまたは肝臓がん、乳がんまたは胃がんなどのがんに罹患している患者を治療するために使用することができる。本開示のいくつかの実施形態では、がんは転移性がんであり、例えば上記に記載されている様々なものの転移性がんである。
【0235】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFAP活性化放射性医薬プロドラッグを投与することに加えて、方法または処置は、少なくとも1つの追加の免疫応答刺激剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の免疫応答刺激剤として、コロニー刺激因子(例えば、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、幹細胞因子(SCF))、インターロイキン(例えば、IL-1、IL2、IL-3、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18)、チェックポイント阻害剤、免疫抑制機能を遮断する抗体(例えば、抗CTLA-4抗体、抗CD28抗体、抗CD3抗体)、トル(Toll)様受容体(例えば、TLR4、TLR7、TLR9)、またはB7ファミリーのメンバー(例えば、CD80、CD86)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる免疫応答刺激剤は、FAP活性化放射性医薬プロドラッグの投与の前に、それと同時に、および/またはその後に投与することができる。FAP活性化放射性医薬プロドラッグおよび免疫応答刺激剤を含む医薬組成物も提供される。いくつかの実施形態では、免疫応答刺激剤は、1、2、3、またはそれ以上の免疫応答刺激剤を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のFAP活性化放射性医薬プロドラッグを投与することに加えて、方法または処置は、少なくとも1つの追加の治療剤を投与することをさらに含む。追加の治療剤は、FAP活性化放射性医薬プロドラッグの投与の前に、それと同時に、および/またはその後に投与することができる。FAP活性化放射性医薬プロドラッグおよび追加の治療剤を含む医薬組成物も提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加の治療剤は、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の追加の治療剤を含む。
【0237】
2つ以上の治療剤との併用療法は、多くの場合、異なる作用機序によって作用する薬剤を使用するが、これは必須ではない。異なる作用機序を有する薬剤を使用する併用療法は、相加効果または相乗効果をもたらし得る。併用療法は、単剤療法で使用されるよりも各薬剤を低用量にすることを可能にし、それによって毒性副作用を低減し、かつ/またはFAP活性化放射性医薬プロドラッグの治療指数を高めることができる。併用療法は、耐性がん細胞が発症する可能性を低減させ得る。いくつかの実施形態では、併用療法は、免疫応答に影響を及ぼす(例えば、応答を増強または活性化する)治療剤と、腫瘍/がん細胞に影響を及ぼす(例えば、阻害または死滅させる)治療剤とを含む。
【0238】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、本明細書に記載のFAP活性化放射性医薬プロドラッグと少なくとも1つの追加の治療薬との組み合わせは、相加的または相乗的な結果をもたらす。いくつかの実施形態では、併用療法は、FAP活性化放射性医薬プロドラッグの治療指数の上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、併用療法は、追加の治療剤の治療指数の上昇をもたらす。いくつかの実施形態では、併用療法は、FAP活性化放射性医薬プロドラッグの毒性および/または副作用の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、併用療法は、追加の治療剤の毒性および/または副作用の低減をもたらす。
【0239】
有用なクラスの治療剤には、例えば、抗チューブリン剤、アウリスタチン、DNA副溝結合剤(DNA minor groove binder)、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、単核(白金)、二核(白金)および三核白金錯体、およびカルボプラチンなどの白金錯体)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸剤、代謝拮抗剤、化学療法増感剤、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プリン代謝拮抗剤、ピューロマイシン、放射線増感剤、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドなどが含まれる。いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、または血管新生阻害剤である。
【0240】
本明細書に記載されるFAP活性化放射性医薬プロドラッグと組み合わせて投与され得る治療剤は、化学療法剤を含む。したがって、いくつかの実施形態では、方法または処置は、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグを、化学療法剤と組み合わせて、または化学療法剤のカクテルと組み合わせて投与することを含む。FAP活性化放射性医薬プロドラッグによる処置は、化学療法剤の投与の前に、それと同時に、またはその後に行うことができる。併用投与は、単一の医薬製剤または別々の製剤のいずれかでの同時投与、またはいずれかの順序であるが、すべての活性薬剤がそれらの生物学的活性を同時に発揮することができるような期間内での連続投与を含むことができる。このような化学療法剤の調製および投与スケジュールは、製造業者の指示に従って、または当業者によって経験的に決定されるように使用することができる。このような化学療法のための調製および投与スケジュールは、The Chemotherapy Source Book, 4.sup.th Edition, 2008, M. C. Perry, Editor, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, Paにも記載されている。
【0241】
本開示において有用な化学療法剤には、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN);アルキルスルホネート類、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン類、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)およびウレドーパ(uredopa);エチレンイミンおよびメチルメラミン類(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチルロールメラミンを含む);ナイトロジェンマスタード類、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア類、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質類、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シトシンアラビノシド、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン類、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジクオン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン、2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);タキソイド類、例えば、パクリタキセル(TAXOL)およびドキセタキセル(TAXOTERE);クロラムブシル;ゲムシタビン、6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン、カペシタビン(XELODA)、ならびに上記いずれかの薬学的に許容される塩類、酸類、または誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。化学療法剤にはまた、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害4(5)-イミダゾール類、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(FARESTON)を含む抗エストロゲン;ならびに例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンのような抗アンドロゲン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体;などの、腫瘍に対するホルモン作用を調節するまたは阻害するように作用する抗ホルモン剤も含まれる。特定の実施形態では、追加の治療剤はシスプラチンである。特定の実施形態では、追加の治療剤はカルボプラチンである。
【0242】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、化学療法剤はトポイソメラーゼ阻害剤である。トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼ酵素(例えば、トポイソメラーゼIまたはII)の作用を妨げる化学療法剤である。トポイソメラーゼ阻害剤には、ドキソルビシンHC1、クエン酸ダウノルビシン、ミトキサントロンHC1、アクチノマイシンD、エトポシド、トポテカンHC1、テニポシド(VM-26)、およびイリノテカン、ならびにこれらのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、追加の治療剤はイリノテカンである。
【0243】
幾つかの実施形態において、化学療法剤は代謝拮抗剤である。代謝拮抗剤は、正常な生化学反応に必要とされる代謝産物に類似しているが、細胞分裂などの細胞の1つまたは複数の正常な機能を妨げるのに十分に異なる構造を有する化学物質である。代謝拮抗剤には、ゲムシタビン、フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキサートナトリウム、ラリトレキセド、ペメトレキセド、テガフール、シトシンアラビノシド、チオグアニン、5-アザシチジン、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、およびクラドリビン、ならびにこれらのいずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、追加の治療剤はゲムシタビンである。
【0244】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、化学療法剤は、チューブリンに結合する薬剤を含むがこれに限定されない抗有糸分裂剤である。いくつかの実施形態では、薬剤はタキサンである。いくつかの実施形態では、薬剤は、パクリタキセルもしくはドセタキセル、またはパクリタキセルもしくはドセタキセルの薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体である。幾つかの実施形態において、薬剤は、パクリタキセル(TAXOL)、ドセタキセル(TAXOTERE)、アルブミン結合パクリタキセル(nab-パクリタキセル;ABRAXANE)、DHA-パクリタキセル、またはPG-パクリタキセルである。ある特定の代替実施形態では、抗有糸分裂剤は、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、もしくはビンデシンなどのビンカアルカロイド、またはそれらの薬学的に許容される塩、酸、もしくは誘導体を含む。いくつかの態様において、抗有糸分裂剤は、キネシンEg5の阻害剤またはオーロラA(Aurora A)もしくはPlk1などの有糸分裂キナーゼの阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤はパクリタキセルである。いくつかの実施形態では、追加の治療剤はnab-パクリタキセルである。
【0245】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、追加の治療剤は、小分子などの薬剤を含む。例えば、治療は、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグと、EGFR、HER2(ErbB2)および/またはVEGFを含むがこれらに限定されない腫瘍関連抗原に対する阻害剤として作用する小分子との併用投与を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、以下からなる群より選択されるプロテインキナーゼ阻害剤と組み合わせて投与される:ゲフィチニブ(IRESSA)、エルロチニブ(TARCEVA)、スニチニブ(SUTENT)、ラパタニブ、バンデタニブ(ZACTIMA)、AEE788、CI-1033、セジラニブ(RECENTIN)、ソラフェニブ(NEXAVAR)、およびパゾパニブ(GW786034B)。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、mTOR阻害剤を含む。
【0246】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、追加の治療剤は、がん幹細胞経路を阻害する小分子である。いくつかの態様において、追加の治療剤はNotch経路の阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、Wnt経路の阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、BMP経路の阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、Hippo経路の阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、mTOR/AKR経路の阻害剤である。いくつかの態様において、追加の治療剤はRSPO/LGR経路の阻害剤である。
【0247】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、追加の治療剤は、抗体などの生物学的分子を含む。例えば、処置は、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグと、EGFR、HER2/ErbB2、および/またはVEGFに結合する抗体を含むがこれらに限定されない腫瘍関連抗原に対する抗体との併用投与を含み得る。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、がん幹細胞マーカーに特異的な抗体である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、Notch経路の成分に結合する抗体である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、Wnt経路の成分に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、がん幹細胞経路を阻害する抗体である。いくつかの態様において、追加の治療剤はNotch経路の阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、Wnt経路の阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、BMP経路の阻害剤である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、β-カテニンシグナル伝達を阻害する抗体である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、血管新生阻害剤である抗体である(例えば、抗VEGFまたはVEGF受容体抗体)。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、ベバシズマブ(AVASTIN)、ラムシルマブ、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、ペルツズマブ(OMNITARG)、パニツムマブ(VECTIBIX)、ニモツズマブ、ザルツムマブ、またはセツキシマブ(ERBITUX)である。
【0248】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、追加の治療剤は、免疫応答を調節する抗体である。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、抗PD-1抗体、抗LAG-3抗体、抗CTLA-4抗体、抗TIM-3抗体、または抗TIGIT抗体である。
【0249】
さらに、本明細書に記載されるFAP活性化放射性医薬プロドラッグによる処置は、1つまたは複数のサイトカイン(例えば、リンホカイン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、および/または成長因子)などの他の生物学的分子との併用処置を含むことができ、または腫瘍の外科的切除、がん細胞の除去、もしくは処置する医師によって必要とみなされる任意の他の治療を伴うことができる。いくつかの実施形態では、追加の治療剤は免疫応答刺激剤である。
【0250】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、FAP活性化放射性医薬プロドラッグは、アドレノメデュリン(AM)、アンジオポエチン(Ang)、BMP、BDNF、EGF、エリスロポエチン(EPO)、FGF、GDNF、G-CSF、GM-CSF、GDF9、HGF、HDGF、IGF、遊走刺激因子、ミオスタチン(GDF-8)、NGF、ニューロトロフィン、PDGF、トロンボポエチン、TGF-α、TGF-β、TNF-α、VEGF、P1GF、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、およびIL-18からなる群より選択される成長因子と組み合わせることができる。
【0251】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、追加の治療剤は免疫応答刺激剤である。いくつかの実施形態では、免疫応答刺激剤は、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、4-1BBリガンド、抗CD3抗体、抗CTLA-4抗体、抗TIGIT抗体、抗PD-1抗体、抗LAG-3抗体、および抗TIM-3抗体からなる群より選択される。
【0252】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態において、免疫応答刺激剤は、PD-1活性のモジュレーター、PD-L2活性のモジュレーター、CTLA-4活性のモジュレーター、CD28活性のモジュレーター、CD80活性のモジュレーター、CD86活性のモジュレーター、4-1BB活性のモジュレーター、OX40活性のモジュレーター、KIR活性のモジュレーター、Tim-3活性のモジュレーター、LAG3活性のモジュレーター、CD27活性のモジュレーター、CD40活性のモジュレーター、GITR活性のモジュレーター、TIGIT活性のモジュレーター、CD20活性のモジュレーター、CD96活性のモジュレーター、IDO1活性のモジュレーター、サイトカイン、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのメンバー、および免疫刺激性オリゴヌクレオチドからなる群より選択される。
【0253】
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態において、免疫応答刺激剤は、PD-1アンタゴニスト、PD-L2アンタゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、CD80アンタゴニスト、CD86アンタゴニスト、KIRアンタゴニスト、Tim-3アンタゴニスト、LAG3アンタゴニスト、TIGITアンタゴニスト、CD20アンタゴニスト、CD96アンタゴニスト、および/またはIDO1アンタゴニストからなる群より選択される。
【0254】
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、PD-1アンタゴニストは、PD-1に特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、PD-1に結合する抗体は、KEYTRUDA(MK-3475)、ピジリズマブ(CT-011)、ニボルマブ(OPDIVO、BMS-936558、MDX-1106)、MEDI0680(AMP-514)、REGN2810、BGB-A317、PDR-001、またはSTI-A1110である。いくつかの態様において、PD-1に結合する抗体はWO2014/179664に記載されており、例えば、APE2058、APE1922、APE1923、APE1924、APE1950、もしくはAPE1963として同定される抗体、またはこれらの抗体のいずれかのCDR領域を含む抗体である。他の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、PD-L2、例えばAMP-224を含む、融合タンパク質である。他の実施形態では、PD-1アンタゴニストは、ペプチド阻害剤、例えば、AUNP-12である
【0255】
いくつかの実施形態では、CTLA-4アンタゴニストは、CTLA-4に特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、CTLA-4に結合する抗体は、イピリムマブ(YERVOY)またはトレメリムマブ(CP-675,206)である。いくつかの実施形態では、CTLA-4アンタゴニストは、CTLA-4融合タンパク質、例えば、KAHR-102である。
【0256】
いくつかの実施形態では、LAG3アンタゴニストは、LAG3に特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、LAG3に結合する抗体は、IMP701、IMP731、BMS-986016、LAG525、およびGSK2831781である。いくつかの実施形態では、LAG3アンタゴニストは、可溶性LAG3受容体、例えば、IMP321を含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、KIRアンタゴニストは、KIRに特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、KIRに結合する抗体は、リリルマブである。
【0258】
いくつかの実施形態において、免疫応答刺激剤は、CD28アゴニスト、4-1BBアゴニスト、OX40アゴニスト、CD27アゴニスト、CD80アゴニスト、CD86アゴニスト、CD40アゴニスト、およびGITRアゴニストからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、OX40アゴニストは、OX40リガンドまたはそのOX40結合部分を含む。例えば、OX40アゴニストはMEDI6383であり得る。いくつかの実施形態では、OX40アゴニストは、OX40に特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、OX40に結合する抗体は、MEDI6469、MEDI0562、またはMOXR0916(RG7888)である。いくつかの実施形態では、OX40アゴニストは、OX40リガンドを発現することができるベクター(例えば、アデノウイルスなどの発現ベクターまたはウイルス)である。いくつかの実施形態では、OX40発現ベクターは、Delta-24-RGDOXまたはDNX2401である。
【0259】
いくつかの実施形態では、4-1BB(CD137)アゴニストは、アンチカリンなどの結合分子である。いくつかの実施形態では、アンチカリンはPRS-343である。いくつかの実施形態において、4-1BBアゴニストは、4-1BBに特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、4-1BBに結合する抗体は、PF-2566(PF-05082566)またはウレルマブ(BMS-663513)である。
【0260】
いくつかの態様において、CD27アゴニストは、CD27に特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、CD27に結合する抗体は、バルリルマブ(CDX-1127)である。
【0261】
いくつかの実施形態では、GITRアゴニストは、GITRリガンドまたはそのGITR結合部分を含む。いくつかの実施形態では、GITRアゴニストは、GITRに特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、GITRに結合する抗体は、TRX518、MK-4166、またはINBRX-110である。
【0262】
いくつかの実施形態では、免疫応答刺激剤は、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、および腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーのメンバーなどのサイトカインを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、免疫応答刺激剤は、CpGジヌクレオチドなどの免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、免疫応答刺激剤には、抗PD-1抗体、抗PD-L2抗体、抗CTLA-4抗体、抗CD28抗体、抗CD80抗体、抗CD86抗体、抗4-1BB抗体、抗OX40抗体、抗KIR抗体、抗Tim-3抗体、抗LAG3抗体、抗CD27抗体、抗CD40抗体、抗GITR抗体、抗TIGIT抗体、抗CD20抗体、抗CD96抗体、または抗IDO1抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0264】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、単独で、または放射線療法と関連して使用され得る。
【0265】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、単独で、または標的療法と関連して使用され得る。標的療法の例には、ホルモン療法、シグナル伝達阻害剤(例えば、セツキシマブ(Erbitux)およびエルロチニブ(Tarceva)などのEGFR阻害剤);HER2阻害剤(例えば、トラスツズマブ(Herceptin)およびペルツズマブ(Perjeta));BCR-ABL阻害剤(イマチニブ(Gleevec)およびダサチニブ(Sprycel)など);ALK阻害剤(例えば、クリゾチニブ(Xalkori)およびセリチニブ(Zykadia));BRAF阻害剤(例えば、ベムラフェニブ(Zelboraf)およびダブラフェニブ(Tafinlar))、遺伝子発現モジュレーター、アポトーシス誘導剤(例えば、ボルテゾミブ(Velcade)およびカルフィルゾミブ(Kyprolis))、血管新生阻害剤(例えば、ベバシズマブ(Avastin)およびラムシルマブ(Cyramza))、毒素に結合したモノクローナル抗体(例えば、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris)およびアド-トラスツズマブエムタンシン(Kadcyla))が含まれる。
【0266】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、STINGアゴニストと関連して、例えば、医薬組成物の一部として投与される。環状ジヌクレオチド(CDN)環状ジ-AMP(リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)および他の細菌によって産生される)ならびにその類似体環状ジ-GMPおよび環状GMP-AMPは、Stimulator of INterferon Genes(STING)として知られる病原体認識受容体(PRR)に結合する病原体関連分子パターン(PAMP)として宿主細胞によって認識される。STINGは、TANK結合キナーゼ(TBK1)-IRF3およびNF-κBシグナル伝達軸を活性化してIFN-βおよび先天性免疫を強力に活性化する他の遺伝子産物の誘導をもたらす、宿主哺乳動物細胞の細胞質におけるアダプタータンパク質である。STINGは、細胞内病原体による感染を感知し、応答してIFN-αの産生を誘導し、抗原特異的CD4+およびCD8+T細胞の両方ならびに病原体特異的抗体からなる獲得防御病原体特異的免疫応答の発生をもたらす宿主サイトゾル監視経路の成分であることが現在認識されている。米国特許第7,709,458号および同第7,592,326号;WO2007/054279、WO2014/093936、WO2014/179335、WO2014/189805、WO2015/185565、WO2016/096174、WO2016/145102、WO2017/027645、WO2017/027646、およびWO2017/075477;ならびにYan et al., Bioorg. Med. Chem Lett. 18:5631-4, 2008。
【0267】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、Akt阻害剤と関連して投与される。例示的なAKT阻害剤には、GDC0068(GDC-0068、イパタセルチブ(ipatasertib)およびRG7440としても知られる)、MK-2206、ペリフォシン(perifosine)(KRX-0401としても知られる)、GSK690693、AT7867、トリシリビン(triciribine)、CCT128930、A-674563、PHT-427、Akti-1/2、アフレセルチブ(afuresertib)(GSK2110183としても知られる)、AT13148、GSK2141795、BAY1125976、ウプロセルチブ(uprosertib)(別名GSK2141795)、AKT阻害剤VIII(1,3-ジヒドロ-1-[1-[[4-(6-フェニル-1H-イミダゾ[4,5-g]キノキサリン-7-イル)フェニル]m-エチル]-4-ピペリジニル]-2H-ベンゾイミダゾール-2-オン)、Akt阻害剤X(2-クロロ-N,N-ジエチル-10H-フェノキサジン-10-ブタンアミン、一塩酸塩)、MK-2206(8-(4-(1-アミノシクロブチル)フェニル)-9-フェニル-[1,2,4]トリアゾロ[3,4-f][-1,6]ナフチリジン-3(2H)-オン)、ウプロセルチブ(N-((S)-1-アミノ-3-(3,4-ジフルオロフェニル)プロパン-2-イル)-5-クロロ-4-(4-クロロ-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)フラン-2-カルボキサミド)、イパタセルチブ(ipatasertib)((S)-2-(4-クロロフェニル)-1-(4-((5R,7R)-7-ヒドロキシ-5-メチル-6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[d]ピリミジン-4-イル)ピペラジン-1-イル)-3-(イソプロピルアミノ)プロパン-1-オン)、AZD5363(4-ピペリジンカルボキサミド、4-アミノ-N-[(1S)-1-(4-クロロフェニル)-3-ヒドロキシプロピル]-1-(7H-ピロロ[2,3-d]p-イリミジン-4-イル))、ペリフォシン(perifosine)、GSK690693、GDC-0068、トリシルビン(tricirbine)、CCT128930、A-674563、PF-04691502、AT7867、ミルテフォシン(miltefosine)、PHT-427、ホノキオール(honokiol)、リン酸トリシリビン、およびKP372-1A(10H-インデノ[2,1-e]テトラゾロ[1,5-b][1,2,4]トリアジン-10-オン)、Akt阻害剤IX(CAS98510-80-6)が含まれる。さらなるAkt阻害剤には、ATP競合阻害剤、例えば、イソキノリン-5-スルホンアミド(例えば、H-8、H-89、NL-71-101)、アゼパン誘導体(例えば、(-)-バラノール誘導体)、アミノフラザン(例えば、GSK690693)、複素環(例えば、7-アザインドール、6-フェニルプリン誘導体、ピロロ[2,3-d]ピリミジン誘導体、CCT128930、3-アミノピロリジン、アニリノトリアゾール誘導体、スピロインドリン誘導体、AZD5363、A-674563、A-443654)、フェニルピラゾール誘導体(例えば、AT7867、AT13148)、チオフェンカルボキサミド誘導体(例えば、アフレセルチブ(Afuresertib)(GSK2110183)、2-ピリジミル-5-アミドチオフェン誘導体(DC120)、ウプロセルチブ(uprosertib)(GSK2141795);アロステリック阻害剤、例えば、2,3-ジフェニルキノキサリン類似体(例えば、2,3-ジフェニルキノキサリン誘導体、トリアゾロ[3,4-f][1,6]ナフチリジン-3(2H)-オン誘導体(MK-2206))、アルキルリン脂質(例えば、エデルフォシン(Edelfosine)(1-O-オクタデシル-2-O-メチル-rac-グリセロ-3-ホスホコリン、ET-18-OCH3)イルモフォシン(ilmofosine)(BM41.440)、ミルテフォシン(miltefosine)(ヘキサデシルホスホコリン、HePC)、ペリフォシン(perifosine)(D-21266)、エルシルホスホコリン(ErPC)、エルフォシン(erufosine)(ErPC3、エルシルホスホホモコリン)、インドール-3-カルビノール類似体(例えば、インドール-3-カルビノール、3-クロロアセチルインドール、ジインドリルメタン、ジエチル6-メトキシ-5,7-ジヒドロインドロ[2,3-b]カルバゾール-2,10-ジカルボキシレート(SR13668)、OSU-A9)、スルホンアミド誘導体(例えば、PH-316、PHT-427)、チオ尿素誘導体(例えば、PIT-1、PIT-2、DM-PIT-1、N-[(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)カルボニル]-N’-(3-ブロモフェニル)-チオ尿素)、プリン誘導体(例えば、トリシリビン(Triciribine)(TCN、NSC 154020)、トリシリビン一リン酸活性類似体(TCN-P)、4-アミノ-ピリド[2,3-d]ピリミジン誘導体API-1、3-フェニル-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン誘導体、ARQ 092)、BAY 1125976、3-メチル-キサンチン、キノリン-4-カルボキサミド、2-[4-(シクロヘキサ-1,3-ジエン-1-イル)-1H-ピラゾール-3-イル]フェノール、3-オキソ-チルカル酸、3α-および3β-アセトキシ-チルカル酸、アセトキシ-チルカル酸;ならびに不可逆的阻害剤、例えば、天然物、抗生物質、ラクトキノマイシン、フレノリシンB、カラファンギン、メデルマイシン、Boc-Phe-ビニルケトン、4-ヒドロキシノネナール(4-HNE)、1,6-ナフチリジノン誘導体、およびイミダゾ-1,2-ピリジン誘導体が含まれる。
【0268】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、MEK阻害剤と関連して投与される。例示的なMEK阻害剤には、AZD6244(セルメチニブ(Selumetinib))、PD0325901、GSK1120212(トラメチニブ(Trametinib))、U0126-EtOH、PD184352、RDEA119(ラファメチニブ(Rafametinib))、PD98059、BIX02189、MEK162(ビニメチニブ(Binimetinib))、AS-703026(ピマセルチブ(Pimasertib))、SL-327、BIX02188、AZD8330、TAK-733、コビメチニブ(cobimetinib)およびPD318088が含まれる。
【0269】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、ドキソルビシン(ペグ化リポソームドキソルビシンを含む)などのアントラサイクリンとシクロホスファミドの両方と関連して投与される。
【0270】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、抗CD20抗体および抗CD3抗体の両方、または二重特異性CD20/CD3結合剤(CD20/CD3 BiTEを含む)と関連して投与される。
【0271】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、CD73阻害剤、CD39阻害剤、またはその両方と関連して投与される。これらの阻害剤は、エクトヌクレオシダーゼ活性を阻害するCD73結合剤またはCD39結合剤(抗体、抗体断片または抗体模倣体など)であり得る。阻害剤は、6-N,N-ジエチル-β-γ-ジブロモメチレン-D-アデノシン-5’-三リン酸三ナトリウム塩水和物、PSB069、PSB06126などの、エクトヌクレオシダーゼ活性の小分子阻害剤であり得る。
【0272】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)の阻害剤と関連して投与される。例示的なPARP阻害剤には、オラパリブ(Olaparib)、ニラパリブ(Niraparib)、ルカパリブ(Rucaparib)、タラゾパリブ(Talazoparib)、ベリパリブ(Veliparib)、CEP9722、MK4827およびBGB-290が含まれる。
【0273】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、腫瘍溶解性ウイルスと関連して投与される。例示的な腫瘍溶解性ウイルスは、タリモジンラヘルパレプベク(Talimogene Laherparepvec)である。
【0274】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、CSF-1またはCSF1Rに結合してマクロファージ上のCSF1RとのCSF-1の相互作用を阻害する薬剤などの、CSF-1アンタゴニストと関連して投与される。例示的なCSF-1アンタゴニストには、エマクツズマブ(Emactuzumab)およびFPA008が含まれる。
【0275】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、抗CD38抗体と関連して投与される。例示的な抗CD38抗体には、ダラツムマブ(Daratumumab)およびイサツキシマブ(Isatuximab)が含まれる。
【0276】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、抗CD40抗体と関連して投与される。例示的な抗CD40抗体には、セリクレルマブ(Selicrelumab)およびダセツズマブ(Dacetuzumab)が含まれる。
【0277】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の阻害剤と関連して投与される。例示的なALK阻害剤には、アレクチニブ(Alectinib)、クリゾチニブ(Crizotinib)およびセリチニブ(Ceritinib)が含まれる。
【0278】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、VEGFR、PDGFRおよびFGFRのファミリーメンバーからなる群より選択される1つまたは複数を阻害するマルチキナーゼ阻害剤、または抗血管新生阻害剤と関連して投与される。例示的な阻害剤には、アキシチニブ(Axitinib)、セジラニブ(Cediranib)、リニファニブ(Linifanib)、モテサニブ(Motesanib)、ニンテダニブ(Nintedanib)、パゾパニブ(Pazopanib)、ポナチニブ(Ponatinib)、レゴラフェニブ(Regorafenib)、ソラフェニブ(Sorafenib)、スニチニブ(Sunitinib)、チボザニブ(Tivozanib)、バタラニブ(Vatalanib)、LY2874455、またはSU5402が含まれる。
【0279】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、1つまたは複数の所定の抗原に対する免疫応答を刺激することが意図される1つまたは複数のワクチンと併せて投与される。抗原は、個体に直接投与されてよく、または例えば、自己または同種異系であり得る腫瘍細胞ワクチン(例えば、GVAX)、樹状細胞ワクチン、DNAワクチン、RNAワクチン、ウイルスベースのワクチン、細菌または酵母ワクチン(例えば、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)または サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))などから個体内で発現されてもよい。例えば、Guo et al., Adv. Cancer Res. 2013; 119: 421-475; Obeid et al., Semin Oncol. 2015 August; 42(4): 549-561を参照されたい。標的抗原はまた、表に列挙される抗原の免疫学的に活性な部分を含む断片または融合ポリペプチドであってもよい。
【0280】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、以下を含むが、これらに限定されない1つまたは複数の制吐薬と関連して投与される:カソピタント(GlaxoSmithKline)、ネツピタント(MGI-Helsinn)および他のNK-1受容体アンタゴニスト、パロノセトロン(MGI PharmaによりAloxiとして販売)、アプレピタント(Merck and Co.によってEmendとして販売;Rahway,N.J)、ジフェンヒドラミン(PfizerによりBenadrylとして販売;New York,N.Y.)、ヒドロキシジン(PfizerによりAtaraxとして販売;New York,N.Y.)、メトクロプラミド(AH Robins Co.によりReglanとして販売;Richmond,Va.)、ロラゼパム(WyethによりAtivanとして販売;Madison,N.J.)、アルプラゾラム(PfizerによりXanaxとして販売;New York,N.Y.)、ハロペリドール(Ortho-McNeilからHaldolとして販売;Raritan,N.J.)、ドロペリドール(Inapsine)、ドロナビノール(Solvay Pharmaceuticals,Inc.によってMarinolとして販売;Marietta,Ga.)、デキサメタゾン(Merck and Co.によりDecadronとして販売;Rahway,N.J.)、メチルプレドニゾロン(PfizerによりMedrolとして販売;New York,N.Y.)、プロクロルペラジン(GlaxosmithklineによりCompazineとして販売;Rearch Triangle Park,NC.)、グラニセトロン(Hoffmann-La Roche Inc.によってKytrilとして販売;Nutley,N.J.)、オンダンセトロン(GlaxosmithklineによりZofranとして販売;Rearch Triangle Park,NC.)、ドラセトロン(Sanofi-AventisによりAnzemetとして販売;New York,N.Y.)、トロピセトロン(NovartisによりNavobanとして販売;East Hanover,NJ.)。
【0281】
がん治療の他の副作用には、赤血球および白血球の欠乏が含まれる。したがって、本開示のいくつかの実施形態では、FAP活性化放射性医薬プロドラッグは、そのような欠乏症を処置または予防する薬剤、例えば、フィルグラスチム、PEG-フィルグラスチム、エリスロポエチン、エポエチンαまたはダルベポエチンαなどと関連して投与される。
【0282】
本開示のいくつかの実施形態では、本開示のFAP活性化放射性医薬プロドラッグは、抗がん放射線療法と関連して投与される。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、放射線療法は、体外照射療法(EBT)(高エネルギーX線のビームを腫瘍の位置に送達するための方法)である。ビームは、患者の体外で(例えば、線形加速器によって)作られ、腫瘍部位を標的とする。これらのX線は、がん細胞を破壊することができ、注意深い治療計画は、周囲の正常組織を残すことを可能にする。患者の体内には放射性源は配置されない。本開示のいくつかの実施形態では、放射線療法は陽子線療法(病変組織にX線の代わりに陽子を衝突させる一種のコンフォーマル(原体照射)療法)である。本開示のいくつかの実施形態では、放射線療法は、コンフォーマル体外照射療法(conformal external beam radiation therapy)(放射線療法を個人の身体構造に合わせて調整するために高度な技術を使用する手順)である。本開示のいくつかの実施形態では、放射線療法は小線源療法(通常、ある領域に追加線量またはブーストの放射線を与えるために用いられる、体内への放射性物質の一時的な配置)である。
【実施例】
【0283】
V.
例証
実施例1:
【化59】
化合物7885の調製のための合成スキームを
図1に示す;
図1において、i.BrCH
2Cl、NaHCO
3;ii.TEA、NaI;iii.TFA-DCM;iv.DOTA-PNP。
【0284】
実施例2:
【化60】
化合物6885の調製のための合成スキームを
図2に示す;
図2において、i.トリホスゲン、Py;ii.Lys(Fmoc)-OtBu、DIEA、フラッシュカラム精製;iii.DCM中の50%TEA;iv.Fmoc-L-2-Nal-OH、HATU、DIEA、DMF、フラッシュカラム精製;v.DCM中の50%TEA;vi.N-Boc-トラネキサム酸、HBTU、DIEA、DMF、フラッシュカラム精製;vii.Pd(PPh
3)
4、フラッシュカラム精製;viii.BrClCHCH
3、Cs
2CO
3;ix.HATU、DIEA;x.Pd(PPh
3)
4;xi.Cs
2CO
3;xii.TFA-DCM;xiii.DOTA-PNP。
【0285】
実施例3:
【化61】
化合物6879の合成スキームを
図3に示す。
図3において、i.Pd[PPh
3]
4、モルホリン、DCM;ii.Fmoc-L-2-Nal-OH、HBTU、DIEA、DMF;iii.DMF中の50%ピペリジン;iv.N-Fmoc-トラネキサム酸、HBTU、DIEA、DMF;v.DMF中の50%ピペリジン;vi.TFA、TIPS;vii.DOTA-PNP。
【0286】
実施例4:
【化62】
化合物6880の合成スキームを
図4に示す。
図4において、i.Pd[PPh
3]
4、モルホリン、DCM;ii.Fmoc-L-2-Nal-OH、HBTU、DIEA、DMF;iii.DMF中の50%ピペリジン;iv.N-Fmoc-トラネキサム酸、HBTU、DIEA、DMF;v.DMF中の50%ピペリジン;vi.TFA、TIPS;vii.DOTA-PNP。
【0287】
実施例5:
【化63】
化合物6886の合成スキームを
図5に示す;
図5において、i.トリホスゲン、Py;ii.Lys(Fmoc)-OtBu、DIEA;iii.DMF中の50%ピペリジン;iv.Fmoc-L-2-Nal-OH、HBTU、DIEA、DMF;v.DMF中の50%ピペリジン;vi.N-Boc-トラネキサム酸、HBTU、DIEA、DMF;vii.Pd(PPh
3)
4;viii.BrClCH
2、Cs
2CO
3;ix.HATU、DIEA;x.Pd(PPh
3)
4;xi.Cs
2CO
3;xii.TFA-DCM;xiii.DOTA-PNP。
【0288】
【0289】
【0290】
【0291】
【0292】
【0293】
【0294】
【0295】
【0296】
【0297】
【0298】
【0299】
【0300】
【0301】
【0302】
【0303】
【0304】
【0305】
【0306】
【0307】
実施例7:7028PならびにFAP活性化7028A、7028Bおよび7028CのIC50アッセイ
目的:この研究の目的は、PSMA酵素活性の阻害を測定することによって、前立腺特異的抗原(PSMA)への結合についての7028Pおよび7028A/B/Cの親和性を実証することであった。基質としてアセチル-Asp-Gluを用いて酵素活性を測定し、ペプチド結合の酵素的切断によって生成される第一級アミノ基の生成をモニターした。アミノ基は、フルオロアルデヒドo-フタルアルデヒド(o-phthaldedialdehyde)を用いて検出され、これはメルカプトエタノールと共に、第一級アミンと蛍光付加物を形成する。
【0308】
7028P、ならびに7028A/B/Cの構造を以下に示す。
【化83】
【0309】
方法
材料:
・rhPSMA(R&D systems、4334-ZN-010)
・アッセイ緩衝液:50mM HEPES pH7.5、100mM NaCl
・Ac-Asp-Glu(Sigma、A5930)
・2-PMPA(2-(ホスホノメチル)-ペンタン二酸、Sigma、SML1612)
・フルオロアルデヒドo-フタルアルデヒド(Fluoroaldehyde OPA、Thermo Fisher Scientific、26025)
・7028P、7028A、7028B&7028C(Tufts)
・コーニング96ウェル平底ポリスチレンNBS(Fisher、07-201-203)
【0310】
装置:
・Molecular Devices M2eプレートリーダー
【0311】
手順:
1.rhPSMAを0.4μg/mLでアッセイ緩衝液に溶解させた。
2.Ac-Asp-Gluを80μMでアッセイ緩衝液に溶解させた。
3.阻害剤(7028P、7028A、7028B、および7028C)のストック溶液をDMSO中100μMで調製した。
4.阻害剤ストックを、40μMの作業用ストックのために160μL~240μLのアッセイ緩衝液の添加によって希釈した。一連の10×希釈物を作製して、以下に示すように各阻害剤の4×濃縮試料を調製した。
【表1】
5.100μLの阻害剤と100μLの80μM基質を組み合わせることによって阻害剤と基質を混合した。
6.等体積(200μL)の0.4μg/mLのrhPMSAを添加することによって反応を開始した。反応混合物を37°Cで60分間インキュベートした。
a.反応における酵素濃度:0.2μg/mL
b.反応における基質濃度:20μM
7.アッセイ緩衝液と基質のみを含有するブランク試料、ならびに阻害剤を含まない阻害剤なしの対照反応試料(100μL緩衝液、ならびに100μLの80μM基質および200μLの0.4mg/μLのrhPSMA)を調製し、阻害剤試料と同様に反応させた。
8.沸騰水浴中で5分間加熱することによって反応を停止させた。
9.100μLの各試料を96ウェルプレートのウェルに三連で入れた。
10.100μLのフルオロアルデヒドOPA試薬を各ウェルに添加し、混合した。
11.励起330nmおよび発光450nmで蛍光を測定した。
12.データを最大値に対して正規化し、Prism 9の「log(阻害剤)vs.反応(3パラメーター)」方程式を使用してIC50を決定した。
【0312】
【0313】
実施例8:追加の合成および化合物(FAP活性化葉酸/メトトレキサート[MTX]プロドラッグ複合体)
【化84】
【化85】
6970Bおよび6970B-エステル異性体の合成スキームを
図7に示す。
【0314】
【0315】
【化87】
【化88】
7366P5の合成スキームを
図9に示し、7366の合成スキームを
図10に示す。
【0316】
実施例9:6970B異性体1&2ならびに7366のFAP活性化
100μMの基質、50nMのFAPでの6970B異性体1&2ならびに7366のFAP活性化の結果を
図11に示す。
【0317】
FAPアッセイ緩衝液中0.1mMの6970B異性体1のLC/MSスペクトルを
図12に示す。
計装:
・Agilent 1290 HPLC/6460 Triple Quad LC/MS
・カラム:Zorbax Eclipse Plus C18、4.6×50mm 1.8Um
・HPLC法:
・移動相A:0.1%TFA水溶液
・移動相B:ACN中0.08%TFA
・流速:0.5mL/分
・勾配:0~3分、10%B;25分、98%B。
【0318】
6970B異性体2(FAPアッセイ緩衝液中0.1mM)のLC/MSスペクトルを
図13に示す。
計装:
・Agilent 1290 HPLC/6460 Triple Quad LC/MS
・カラム:Zorbax Eclipse Plus C18、4.6×50mm 1.8Um
・HPLC法:
・移動相A:0.1%TFA水溶液
・移動相B:ACN中0.08%TFA
・流速:0.5mL/分
・勾配:0~3分、10%B;25分、98%B。
【0319】
異性体1&2を含有する6970B混合物のLC/MSスペクトルを
図14に示す。
6970B異性体1および異性体2を同時注入する。
計装:
・Agilent 1290 HPLC/6460 Triple Quad LC/MS
・カラム:Zorbax Eclipse Plus C18、4.6×50mm 1.8Um
・HPLC法:
・移動相A:0.1%TFA水溶液
・移動相B:ACN中0.08%TFA
・流速:0.5mL/分
・勾配:0~3分、10%B;25分、98%B。
【0320】
7366のLC/MSスペクトルを
図15に示す。
FAP緩衝液中0.1mMの7366、T=0分
ピークの割り当て:
ピーク@12.6分、MV.578.4/115.4、7366、Ref.LC/MSS(ピーク1)
計装:
・Agilent 1290 HPLC/6460 Triple Quad LC/MS
・カラム:Zorbax Eclipse Plus C18、4.6×50mm 1.8Um
・HPLC法:
・移動相A:0.1%TFA水溶液
・移動相B:ACN中の0.1%TFA
・流速:0.5mL/分
・勾配:0~3分、10%B;12分、26%B;12~15分、98%B。
【国際調査報告】