(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】電池筐体用のハウジング、電池の筐体、電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20231220BHJP
【FI】
H01M50/209
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536538
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-15
(86)【国際出願番号】 CN2022096927
(87)【国際公開番号】W WO2023050853
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202122402969.X
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】王 佳▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】王 春法
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 燕明
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS07
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS19
5H040AT01
5H040AT02
5H040AT03
5H040AT04
5H040AY08
5H040DD08
5H040NN01
(57)【要約】
本出願の実施例は、電池筐体用のハウジング、電池の筐体、電池及び電力消費装置を提供し、ハウジングの取り付けの技術分野に属する。ハウジングは、電池管理システムを収容するための本体と、本体に固定される取り付け部材とを含み、弾性部材が組み立てブラケットの制限で発生した反発力により、取り付け部材の組み立てブラケットにおける位置を固定し、さらにハウジングの組み立てブラケットにおける位置を固定する。ハウジングを取り付ける時、余分な部品を必要とせず、ハウジングを組み立て溝に押し込んで係止すればよく、取り付け工程が簡単で、組み立て効率が高く、手間も節約する。また、弾性部材は、組み立てブラケットの制限で反発力を発生させ、ハウジングが使用中に振動しても、この反発力は、振動によって発生した力を相殺できることで、ハウジングが組み立てブラケットで揺れることを回避でき、ハウジングの取り付けの安定性を向上させ、安全上の危険性の発生を回避する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池筐体用のハウジングであって、
電池管理システムを収容するための本体と、
前記本体に固定される取り付け部材とを含み、
前記取り付け部材は、位置が対向する第一の端と第二の端を含み、前記第一の端に弾性部材が設置され、前記第二の端に係止部が設置され、前記係止部は、組み立てブラケットに係止されるために用いられ、前記弾性部材は、前記組み立てブラケットの制限で反発力を発生させることで、前記取り付け部材の前記組み立てブラケットにおける位置を固定するために用いられる、電池筐体用のハウジング。
【請求項2】
前記弾性部材は、
前記第一の端に接続されるための接続端と、
前記取り付け部材に向かって湾曲する自由端とを含み、前記弾性部材の少なくとも一部は、前記組み立てブラケットに当接して前記反発力を発生させるために用いられる、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記自由端は、ストレートセグメントを有し、前記ストレートセグメントの前記取り付け部材から離れる側は、前記組み立てブラケットに当接するために用いられる、請求項2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記第一の端にストッパー部がさらに設置され、前記ストッパー部は、前記弾性部材の湾曲度を制限するために用いられる、請求項2に記載のハウジング。
【請求項5】
前記弾性部材の湾曲部位と前記接続端との間の最大距離をLとし、前記自由端と前記ストッパー部との間の距離をDとし、L=(3.5~4.5)×Dである、請求項4に記載のハウジング。
【請求項6】
ストッパー板をさらに含み、前記ストッパー板の対向する二つの板面は、それぞれ前記本体と前記取り付け部材に固定され、前記ストッパー板の少なくとも一部は、前記組み立てブラケットの内壁に接触することで、前記ハウジングの前記組み立てブラケットにおける位置を固定するために用いられる、請求項1に記載のハウジング。
【請求項7】
前記取り付け部材の延在方向に沿って、前記取り付け部材は、少なくとも一つの切り欠きを有する、請求項1に記載のハウジング。
【請求項8】
電池の筐体であって、
組み立てブラケットと、
前記組み立てブラケットに組み立てられる請求項1から7のいずれか1項に記載のハウジングとを含む、電池の筐体。
【請求項9】
電池であって、
電池セルと、
前記電池セルを収容するための、請求項8に記載の筐体とを含む、電池。
【請求項10】
電力消費装置であって、請求項9に記載の電池を含み、前記電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年09月28日に提出された、名称が「電池筐体用のハウジング、電池の筐体、電池及び電力消費装置」である中国特許出願202122402969.Xの優先権を主張しており、この出願のすべての内容は、援用で本出願に取り込まれる。
【0002】
本出願の実施例は、電池分野に関し、特に電池筐体用のハウジング、電池の筐体、電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
BMS(Battery Management System、電池管理システム)は、電池に緊密に結合され、電池の電圧、電流、温度に対して時刻検出を行うとともに、さらに漏電検出、熱管理、電池バランス管理、アラーム注意を行い、残容量、放電パワーを計算し、電池残電力の百分率と電池の健康度の状態などをレポートする。
【0004】
関連技術では、BMSハウジングの固定方式が堅固ではなく、ハウジングが組み立てブラケットで揺れやすく、且つ組み立て方式が単一で、組み立て効率が低い。
【発明の概要】
【0005】
上記問題に鑑み、本出願の実施例は、組み立て効率を向上させることができ、ハウジングがブラケットに組み立てられた後に揺れることを回避し、組み立て方式が多様化する電池筐体用のハウジング、電池の筐体、電池及び電力消費装置を提供する。
【0006】
本出願の実施例の第一の態様によれば、電池筐体用のハウジングを提供し、この電池筐体用のハウジングは、電池管理システムを収容するための本体と、本体に固定される取り付け部材とを含み、ここで、取り付け部材は、位置が対向する第一の端と第二の端を含み、第一の端に弾性部材が設置され、第二の端に係止部が設置され、係止部は、組み立てブラケットに係止されるために用いられ、弾性部材は、組み立てブラケットの制限で反発力を発生させることで、取り付け部材の組み立てブラケットにおける位置を固定するために用いられる。
【0007】
上記解決手段によって、弾性部材が組み立てブラケットの制限で発生した反発力により、取り付け部材の組み立てブラケットにおける位置を固定し、さらにハウジングの組み立てブラケットにおける位置を固定する。本出願は、ハウジングの新たな組み立て方式を提供することで、ハウジングの組み立て方式が多様化する。そしてハウジングを取り付ける時、余分な部品を必要とせず、ハウジングを組み立て溝に押し込んで係止すればよく、取り付け工程が簡単で、組み立て効率が高く、手間も節約する。また、弾性部材は、組み立てブラケットの制限で反発力を発生させ、ハウジングが使用中に振動しても、この反発力は、振動によって発生した力を相殺できることで、ハウジングを組み立てブラケットにしっかりと固定し、それによってハウジングが組み立てブラケットで揺れることを回避でき、ハウジングの取り付けの安定性を向上させ、安全上の危険性の発生を回避する。
【0008】
いくつかの実施例では、弾性部材は、取り付けアセンブリの第一の端に接続されるための接続端と自由端を含み、自由端は、取り付け部材に向かって湾曲し、弾性部材の少なくとも一部は、組み立てブラケットに当接して反発力を発生させるために用いられる。
【0009】
上記解決手段によって、弾性部材の自由端が取り付け部材に向かって湾曲し、ハウジングを組み立て溝の溝口から溝底に近い方向にある程度押し込む時、弾性部材の湾曲部分の少なくとも一部の外壁が溝底に接触し、弾性部材が変形し始めて反発力を発生させる。この反発力の作用下で、ハウジングの組み立てブラケットにおける位置を固定することができる。
【0010】
いくつかの実施例では、自由端は、ストレートセグメントを有し、ストレートセグメントの取り付け部材から離れる側は、組み立てブラケットに当接するために用いられる。
【0011】
上記解決手段によって、自由端にストレートセグメントを設置し、ストレートセグメントを組み立てブラケットの溝底に当接させることで、当接面を増大させ、自由端が溝底に当接する時の滑るリスクを減少させ、当接が無効化する確率を低減させることができ、それによってハウジングの組み立てブラケットにおける組み立て強固性を向上させることができる。
【0012】
いくつかの実施例では、第一の端にストッパー部がさらに設置され、ストッパー部は、弾性部材の湾曲度を制限するために用いられる。
【0013】
上記解決手段によって、ストッパー部は、取り付け部材の第一の端と弾性部材の自由端との間に位置する。弾性部材の変形量が比較的大きいと、自由端は、ストッパー部に接触し、取り付け部材の第一の端に接触しないため、取り付け部材の第一の端に対する磨耗を回避することができる。また、ストッパー部は、第一の端よりも自由端に近く、弾性部材の自由端の移動可能範囲を小さくしているため、ストッパー部の湾曲度をさらに制限でき、弾性部材が変形しすぎて無効化することを回避する。
【0014】
いくつかの実施例では、弾性部材の湾曲部位と接続端との間の最大距離は、Lであり、自由端とストッパー部との間の距離は、Dであり、ここで、L=(3.5~4.5)×Dである。
【0015】
上記解決手段によって、LとDが上記倍数関係を満たす時、弾性部材は、その弾性変形の能力範囲内に変形することができ、それが発生した反発力は、ハウジングの組み立てブラケットにおける位置を固定することができる。
【0016】
いくつかの実施例では、ハウジングは、ストッパー板をさらに含み、ストッパー板の対向する二つの板面は、それぞれ本体と取り付け部材に固定され、ストッパー板の少なくとも一部は、組み立てブラケットの内壁に接触して、ハウジングの組み立てブラケットにおける位置を固定するために用いられる。
【0017】
上記解決手段によって、ハウジング全体を組み立て溝の溝口から溝底に押し込む時、一つのストッパー板の板面の少なくとも一部は、組み立てブラケットの一つの内壁に接触することができ、別のストッパー板の板面の少なくとも一部は、組み立てブラケットの別の内壁に接触することができ、このように、取り付け部材をよりよく案内して位置決めし、本体の両側の二つの取り付け部材がちょうど対応する組み立て溝内に位置することを保証することができる。また、二つのストッパー板は、ストッパーの作用を果たすことができ、ハウジングが組み立てブラケットにおける位置が対向する二つの壁の結線方向に移動することによって、ハウジングの組み立てブラケットにおける組み立て強固性を低減させることを回避する。
【0018】
いくつかの実施例では、取り付け部材の延在方向に沿って、取り付け部材は、少なくとも一つの切り欠きを有する。
【0019】
上記解決手段によって、一方、取り付け部材の重量を軽減することができ、それによってハウジングの重量を軽減することができる。他方、取り付け部材の、溝壁に平行した、位置が対向する二つの表面の表面積を減少させることができ、このように、取り付け部材と溝壁の接触面積を減少させることができ、それによってハウジングを組み立て溝に押し込む時、取り付け部材と溝壁との間の摩擦力を減少させることができ、取り付け部材と溝壁に対する磨耗を回避するとともに、押し込み力を減少させることができ、ハウジングを組み立て溝に容易に押し込み、ハウジングの組み立て効率を向上させる。
【0020】
本出願の実施例の第二の態様によれば、電池の筐体を提供し、この電池の筐体は、組み立てブラケットと第一の態様におけるハウジングとを含み、ハウジングは、組み立てブラケットに組み立てられる。
【0021】
本出願の実施例の第三の態様によれば、電池を提供し、この電池は、電池セルと第二の態様における筐体とを含み、筐体は、電池セルを収容するために用いられる。
【0022】
本出願の実施例の第四の態様によれば、電力消費装置を提供し、この電力消費装置は、第三の態様における電池を含み、電池は、電気エネルギーを提供するために用いられる。
【0023】
本出願の実施例は、弾性部材が組み立てブラケットの制限で発生した反発力により、取り付け部材の組み立てブラケットにおける位置を固定し、さらにハウジングの組み立てブラケットにおける位置を固定する。ハウジングの新たな組み立て方式を提供することで、ハウジングの組み立て方式が多様化する。そしてハウジングを取り付ける時、余分な部品を必要とせず、ハウジングを組み立て溝に押し込んで係止すればよく、取り付け工程が簡単で、組み立て効率が高く、手間も節約する。また、弾性部材は、組み立てブラケットの制限で反発力を発生させ、ハウジングが使用中に振動しても、この反発力は、振動によって発生した力を相殺できることで、ハウジングを組み立てブラケットにしっかりと固定し、それによってハウジングが組み立てブラケットで揺れることを回避でき、ハウジングの取り付けの安定性を向上させ、安全上の危険性の発生を回避する。
【0024】
上記説明は、ただ本出願の実施例の技術案の概要に過ぎず、本出願の実施例の技術手段をより明瞭に理解でき、明細書の内容に従って実施することができるように、且つ本出願の実施例の上記と他の目的、特徴と利点をより明確に理解できるようにするために、以下は、特に本出願の具体的な実施の形態を挙げて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、実施例の記述において使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下の記述における図面は、本出願のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本出願の実施例による車両の構造概略図である。
【
図2】本出願の実施例による電池の構造概略図である。
【
図3】本出願の実施例による電池モジュールの構造概略図である。
【
図4】本出願の実施例による電池セルの構造概略図である。
【
図5】本出願の実施例による電池筐体用のハウジングの構造概略図である。
【
図6】本出願の実施例による電池筐体用のハウジングの組み立てブラケットにおける組み立て概略図である。
【
図7】本出願の実施例による電池筐体用のハウジングの弾性部材の未変形時の構造概略図である。
【
図8】本出願の実施例による電池筐体用のハウジングの弾性部材の微変形時の構造概略図である。
【
図9】本出願の実施例による電池筐体用のハウジングの弾性部材が比較的大きく変形する時の構造概略図であり、ここで、弾性部材の開口のサイズがゼロになる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本出願の実施例の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭且つ完全に記述し、明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0027】
特に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術的用語と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本明細書では出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図していない。
【0028】
本出願の明細書と特許請求の範囲及び図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、他の内容を排除せずにカバーすることを意図している。単語である「一」又は「一つの」は、複数あることを排除するものではない。
【0029】
本明細書に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各箇所でのこのフレーズである「実施例」の出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書に記述された実施例が他の実施例と組み合わされることが可能であることを明示的かつ非明示的に理解することができる。
【0030】
本明細書における用語である「及び/又は」は、ただ関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの3つのケースを表すことができる。また、本明細書における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0031】
下記記述に出現された方位語は、いずれも図に示す方向であり、本出願のハウジング、電池の筐体及び電池の具体的な構造に対する限定ではない。例えば、本出願の記述において、用語である「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などにより指示される方位又は位置関係は、図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本出願の記述の便宜上及び記述の簡略化のためのものに過ぎず、言及された装置又はアセンブリが特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は暗示しないため、本出願に対する制限と理解されるべきではない。
【0032】
なお、X方向、Y方向及びZ方向などのような、本実施例のハウジング、電池の筐体及び電池の各部材の操作と構造の指示方向を説明するための表現は、絶対的なものではなく、相対的なものであり、且つ電池パックの各部材が図に示す位置にある時これらの指示が適宜であるが、これらの位置が変更すると、これらの方向は、前記変更に対応するように異なる解釈がなされるべきである。
【0033】
なお、本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における用語である「第一」、「第二」などは、特定の順序を記述するためのものではなく、異なる対象を区別するためのものであり、一つ又は複数のこの特徴を明示的に又は暗示的に含むことができる。
【0034】
本出願の記述において、特に断りのない限り、「複数」の意味は、二つ以上(二つを含む)を指し、同様に、「複数組」は、二組以上(二組を含む)を指す。
【0035】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば機械構造の「繋がり」又は「接続」は、物理的接続であってもよく、例えば物理的接続は、固定的な接続、例えば固定具による固定的な接続、例えばねじ、ボルト又は他の固定具による固定的な接続であってもよく、物理的接続は、取り外し可能な接続、例えば相互係止又は係合接続であってもよく、物理的接続は、一体的な接続であってもよく、例えば溶接、接着又は一体成形により接続を形成して接続してもよい。回路構造の「繋がり」又は「接続」は、物理的接続であってもよく、さらに電気的な接続又は信号接続、例えば直接的な繋がり、即ち物理的な接続であってもよく、回路が導通される限り、中間の少なくとも一つのアセンブリを介する間接的な繋がりであってもよいし、さらに二つのアセンブリの内部の連通であってもよい。信号接続は、回路による信号接続のほか、電波のような媒体による信号接続であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0036】
本出願の実施例に言及された電池は、より高い電圧と容量を提供するために一つ又は複数の電池セルを含む単一の物理モジュールを指す。例えば、本出願に言及された電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよく、記述の便利上、本明細書では電池モジュールと電池パックなどを電池と総称してもよい。電池は、一般的には一つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、ハウジングと、ハウジングを組み立てるための組み立てブラケットとを含み、ハウジングは、電池管理システムを収容することができ、筐体は、液体又は他の異物による電池セルの充電又は放電への影響を回避することができる。
【0037】
関連技術では、ハウジングの側壁の複数の位置に取り付け部が設置され、各取り付け部に第一のネジ穴が設置され、組み立てブラケットの、各第一のネジ穴に対向する位置に第二のネジ穴が設置される。複数のボルトを準備し、各ボルトの一端を位置が対向する第一のネジ穴と第二のネジ穴を順に通過させた後、ナットを用いてボルトを締め付けることで、ハウジングの組み立てブラケットにおける組み立てを実現する。これで分かるように、関連技術では、ハウジングを組み立てブラケットに固定する時、複数のボルトと複数のナットを必要とし、必要な部品の数が多い。組み立て時、ボルトナットを人為的に取り付ける必要があり、取り付け工程が多く、組み立て効率が低く、手間も多くかかる。そして、電池及び電池におけるハウジングが使用中に振動し、使用時間の延長に伴い、ハウジングを固定するボルトナットが緩みやすくなるため、ハウジングは、組み立てブラケットで揺れやすくなり、安全上の危険性をもたらす。
【0038】
そのため、本出願の実施例は、電池筐体用のハウジングを提供し、ハウジングは、電池管理システムを収容するための本体と、本体に固定される取り付け部材とを含む。ここで、取り付け部材の第一の端に弾性部材が設置され、第二の端に係止部が設置される。ハウジングを取り付ける時、係止部は、組み立てブラケットに係止することができ、弾性部は、組み立てブラケットの制限で反発力を発生させることができ、この反発力の作用下で取り付け部材の組み立てブラケットにおける位置が固定され、それによってハウジングの組み立てブラケットにおける位置も固定される。
【0039】
関連技術に比べて、本出願の実施例は、ハウジングを取り付ける時、余分な部品を必要とせず、ハウジングを組み立てブラケットの組み立て溝に押し込んで係止すればよく、取り付け工程が簡単で、組み立て効率が高く、手間も節約する。また、弾性部は、組み立てブラケットの制限で反発力を発生させ、ハウジングが使用中に振動しても、この反発力は、振動によって発生した力を相殺できることで、取り付け部材を組み立てブラケットにしっかりと固定し、それによってハウジングが組み立てブラケットで揺れることを回避でき、ハウジングの取り付けの安定性を向上させ、安全上の危険性の発生を回避する。
【0040】
本出願の実施例に開示されたハウジング5は、電池管理システムを収容するために用いられてもよく、この電池管理システムは、車両1、船舶又は航空機などの電力消費装置に用いられてもよいが、これらに限らない。
【0041】
本出願の実施例は、電池100を電源として使用する電力消費装置を提供し、電池は、電池管理システムを含み、電力消費装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン、電動玩具、電動工具、バッテリ車、電気自動車、汽船、宇宙航空機などであってもよいが、これらに限らない。ここで、電動玩具は、据置型又は移動型の電動玩具、例えばゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具と電気飛行機玩具などを含んでもよく、宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトルと宇宙船などを含んでもよい。
【0042】
以下の実施例は、説明の便宜上、本出願の一実施例の電力消費装置が車両1であることを例として説明する。
【0043】
図1を参照すると、
図1は、本出願のいくつかの実施例による車両1の構造概略図である。車両1は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよい。車両1の内部に電池100が設置され、電池100は、車両1の底部又は頭部又は尾部に設置されてもよい。電池100は、車両1の給電に用いられてもよく、例えば電池100は、車両1の操作電源としてもよい。車両1は、コントローラ110とモータ120をさらに含んでもよく、コントローラ110は、モータ120に給電し、例えば車両1の起動、ナビゲーションと走行時の作動電力消費需要に用いるように電池100を制御するために用いられる。
【0044】
本出願のいくつかの実施例では、電池100は、車両1の操作電源とすることができるだけではなく、さらに車両1の駆動電源として、燃料油又は天然ガスに替えて又はその一部に替えて車両1に駆動動力を提供することもできる。
【0045】
図2に示すように、電池100が比較的高い機能を達成して使用需要を満たすために、いくつかの実施例では、電池100は、相互に電気的に接続される複数の電池モジュール300を含んでもよい。電池は、第一の筐体201、第二の筐体202と複数の電池モジュール300を含み、ここで、第一の筐体201と第二の筐体202は、相互に係合され、複数の電池モジュール300は、第一の筐体201と第二の筐体202が囲んで形成された空間内に配列される。いくつかの実施例では、第一の筐体201と第二の筐体202は、アルミニウム、アルミニウム合金又は他の金属材料で製造されてもよく、第一の筐体201は、第二の筐体202にシール接続される。
【0046】
図3は、本出願の一実施例の電池モジュール300の構造概略図を示す。
図3において、電池モジュール300は、複数の電池セル400を含んでもよく、複数の電池セル400は、先ず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュール300を構成し、複数の電池モジュール300は、そして、直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池100を構成してもよい。本出願では、電池セル400は、リチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよく、本出願の実施例は、これを限定しない。電池セル400は、円筒体、扁平体、直方体又は他の形状などを呈してもよく、本出願の実施例は、これにも限定しない。電池セル400は、一般的にはパッケージングの方式によって筒型電池セル400、直方体四角形電池セル400とパウチ電池セル400の三種に分けられ、本出願の実施例は、これにも限定しない。しかし、記述の簡潔のため、下記実施例は、いずれも、直方体四角形電池セル400を例として説明する。
【0047】
図4は、本出願のいくつかの実施例による電池セル400の分解構造概略図である。電池セル400とは、電池を構成する最小ユニットである。
図4に示すように、電池セル400は、エンドキャップ402、ケース401と電極アセンブリ403を含む。
【0048】
エンドキャップ402とは、ケース401の開口に被せられて電池セル400の内部環境を外部環境から隔離する部材を意味する。エンドキャップ402の形状は、ケース401にマッチングするようにケース401の形状に適合してもよいが、これに限定されない。選択的に、エンドキャップ402は、一定の硬度と強度を有する材質(例えばアルミニウム合金)で製造されてもよく、このように、エンドキャップ402は、押圧・衝突される時に変形しにくく、電池セル400は、より高い構造強度を備えることができ、安全性能をより高めることもできる。エンドキャップ402に例えば電極端子402bなどの機能的部材が設置されてもよい。電極端子402bは、電池セル400の電気エネルギーを出力又は入力するために電極アセンブリ403に電気的に接続されるために用いられてもよい。いくつかの実施例では、エンドキャップ402には、電池セル400の内部圧力又は温度が閾値に達する時に内部圧力を逃す放圧機構がさらに設置されてもよい。エンドキャップ402の材質は、様々であり、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、アルミニウム合金、プラスチックなどであってもよく、本出願の実施例は、特にこれについて制限しない。いくつかの実施例では、エンドキャップ402の内側に絶縁部材がさらに設置されてもよく、絶縁部材は、短絡のリスクを低減させるために、ケース401内の電気的な接続部材をエンドキャップ402から隔離するために用いられてもよい。例示的には、絶縁部材は、プラスチック、ゴムなどであってもよい。
【0049】
ケース401は、エンドキャップ402にマッチングして電池セル400の内部環境を形成するためのアセンブリであり、ここで、形成された内部環境は、電極アセンブリ403、電解液(図示せず)及び他の部材を収容するために用いられることができる。ケース401とエンドキャップ402は、独立した部材であってもよく、ケース401に開口を設置し、開口箇所にエンドキャップ402を開口に被せて電池セル400の内部環境を形成してもよい。エンドキャップ402とケース401とを一体化してもよいが、これに限定されない。具体的には、エンドキャップ402とケース401は、他の部材がケースに入る前に、一つの共通の接続面を形成しておくことができ、ケース401の内部をパッケージングする必要がある場合、エンドキャップ402をケース401に被せる。ケース401は、様々な形状と様々なサイズであってもよく、例えば直方体形、円筒体形、六角柱形などである。具体的には、ケース401の形状は、電極アセンブリ403の具体的な形状とサイズの大きさに応じて決定してもよい。ケース401の材質は、様々であり、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、アルミニウム合金、プラスチックなどであってもよく、本出願の実施例は、特にこれについて制限しない。
【0050】
電極アセンブリ403は、電池セル400において電気化学反応が生じる部材である。ケース401内には、一つ又は複数の電極アセンブリ403が含まれてもよい。電極アセンブリ403は、主に正極板と負極板とが捲回又は積層配置されて形成されるとともに、一般的には正極板と負極板との間にセパレータが設けられる。正極板と負極板の、活物質を有する部分は、電池コアアセンブリの本体部を構成し、正極板と負極板の、活物質を有しない部分は、それぞれタブ(図示せず)を構成する。正極タブと負極タブは、共に本体部の一端に位置してもよく、又はそれぞれ本体部の両端に位置してもよい。電池の充放電中に、正極活物質と負極活物質は、電解液と反応し、タブは、電極端子に接続されて電流回路を形成する。
【0051】
以下、明細書の図面を結び付けながら本出願の実施例に開示されたハウジング5を詳細に説明する。
図5は、本出願の実施例によるハウジング5の構造概略図であり、
図5に示すように、ハウジング5は、電池管理システムを収容するための本体51と、本体51に固定される取り付け部材52とを含む。ここで、取り付け部材52は、位置が対向する第一の端と第二の端を含み、前記第一の端に弾性部材521が設置され、前記第二の端に係止部522が設置され、前記係止部522は、組み立てブラケット6に係止されるために用いられ、前記弾性部材521は、前記組み立てブラケット6の制限で反発力を発生させることで、前記取り付け部材52の前記組み立てブラケット6における位置を固定するために用いられる。
【0052】
本体51は、第一のケースと第二のケースを含み、第一のケースと第二のケースは、相互に係合されて、電池管理システムを収容する空間を形成する。いくつかの例では、第一のケースは、板状構造であってもよく、第二のケースは、一端が開口する中空構造であってもよく、第一のケースは、第二のケースの開口側に係合されることで、第一のケースと第二のケースは、共同で電池管理システムを収容する空間を制限する。第一のケースと第二のケースは、いずれも、一端が開口する中空構造であってもよく、第一のケースの開口側は、第二のケースの開口側に係合される。第一のケースと第二のケースは、アルミニウム、アルミニウム合金又は他の金属材料で製造されてもよく、第一のケースは、第二のケースにシール接続される。第一のケースと第二のケースは、異なるサイズの第一のケースと第二のケースを成形するために、押出成形のプロセスで成形されてもよい。
図5に示すように、本体51は、角型ハウジング構造を呈し、本体51は、位置が対向する二つの表面と四つの側壁で囲まれており、四つの側壁は、位置が対向する二組の側壁を含む。
【0053】
取り付け部材52の数は、二つであってもよく、この二つの取り付け部材52は、それぞれ本体51の、位置が対向する二つの側壁に固定され、且つ取り付け部材52は、本体51における、取り付け部材52が固定される側壁と平行に設置される。本体51の両側の二つの取り付け部材52は、同一平面に位置してもよく、同一平面に位置していなくてもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0054】
取り付け部材52は、その延在方向に、位置が対向する第一の端と第二の端を有し、ハウジング5を取り付ける時、第一の端は、取り付け部材52が先に組み立てブラケット6に接触する端であり、第二の端は、取り付け部材52の後に組み立てブラケット6に接触する端である。
【0055】
図6に示すように、本出願の実施例に関わる組み立てブラケット6は、位置が対向する二つの壁を有し、この二つの壁は、いずれも、組み立て溝61が設置され、組み立て溝61は、溝口61a、溝壁61bと溝底61cを有し、組み立て溝61の溝壁61bの、溝口61aに近い位置に係止溝61dが設置される。本体51の両側の二つの取り付け部材52が同一平面に位置することに適するために、組み立てブラケット6の対向する二つの壁に設置された組み立て溝61の位置は、対向する。本体51の両側の二つの取り付け部材52が同一平面に位置しないことに適するために、組み立てブラケット6の対向する二つの壁に設置された組み立て溝61の位置は、対向しなくてもよく、ハウジング5を取り付ける時、本体51の両側の二つの取り付け部材52がそれぞれ組み立てブラケット6の二つの組み立て溝61内に位置することを保証すればよい。
【0056】
ハウジング5を取り付ける必要がある時、ハウジング5の取り付け部材52を組み立て溝61の溝口61aの位置に置き、ハウジング5に押し込み力を印加し、ハウジング5を溝口61aから溝底61cへ押し込む。ハウジング5をある程度押し込む時、取り付け部材52の第一の端の弾性部材521は、溝底61cに接触し、溝底61cは、弾性部材521を制限し且つ弾性部材521に溝口61aの方向に向かう作用力を印加する。弾性部材521は、押し込み力と溝底61cの制限で圧縮変形し、反発力を発生させる。押し込み力の継続印加に伴い、弾性部材521は、さらに圧縮され、取り付け部材52の第二の端の係止部522を組み立て溝61の係止溝61d内に係止するまで、発生した反発力は、さらに大きくなる。係止部522を係止溝61d内に係止する時、押し込み力の印加を停止し、この時、弾性部材521は、依然として圧縮状態にあり、弾性部材521の反発力により、弾性部材521が溝底61cを圧着し、係止部522が係止溝61dを係着し、それによって取り付け部材52の組み立て溝61に対する位置を固定することで、ハウジング5の組み立てブラケット6における固定を実現する。
【0057】
本出願の実施例によるハウジング5は、弾性部材521が組み立てブラケット6の制限で発生した反発力により、取り付け部材52の組み立てブラケット6における位置を固定し、さらにハウジング5の組み立てブラケット6における位置を固定する。本出願は、ハウジング5の新たな組み立て方式を提供することで、ハウジング5の組み立て方式が多様化する。そしてハウジング5を取り付ける時、余分な部品を必要とせず、ハウジング5を組み立て溝61に押し込んで係止すればよく、取り付け工程が簡単で、組み立て効率が高く、手間も節約する。また、弾性部材521は、組み立てブラケット6の制限で反発力を発生させ、ハウジング5が使用中に振動しても、この反発力は、振動によって発生した力を相殺できることで、ハウジング5を組み立てブラケット6にしっかりと固定し、それによってハウジング5が組み立てブラケット6で揺れることを回避でき、ハウジング5の取り付けの安定性を向上させ、安全上の危険性の発生を回避する。
【0058】
いくつかの実施例では、弾性部材521は、接続端521aと自由端521bを含んでもよく、接続端521aは、取り付け部材52の第一の端に接続されるために用いられ、自由端521bは、弾性部材521を圧縮させて反発力を発生させるために、組み立て溝61の溝底61cに接触し且つ溝底61cの制限で弾性部材521の接続端521aに近い方向に移動するために用いられる。
【0059】
例示的に、弾性部材521は、ばねであってもよい。弾性部材521の展開長さと自由高さなどのパラメータは、必要に応じて設定することができ、ハウジング5が組み立てブラケット6に組み立てられる時、弾性部材521によって発生した反発力が取り付け部材52を組み立て溝61内に係着するのに十分であることを保証すればよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。ここで、弾性部材521の展開長さとは、弾性部材521を巻く時に必要なワイヤの長さであり、弾性部材521の自由高さとは、弾性部材521が外力作用を受けていない場合の高さを意味する。
【0060】
本実施例では、ハウジング5を組み立て溝61にある程度押し込む時、弾性部材521の自由端521bは、溝底61cに接触し、弾性部材521は、押し込み力と溝底61cの制限で圧縮変形し、反発力を発生させる。押し込み力の継続印加に伴い、自由端521bは、接続端521aに近い方向に移動し、弾性部材521は、さらに圧縮され、反発力は、大きくなり、係止部522を係止溝61d内に係止する時に、押し込み力の印加を停止する。弾性部材521の反発力により、弾性部材521が溝底61cを圧着し、係止部522を係止溝61d内に係止し、それによって取り付け部材52の組み立て溝61に対する位置を固定することで、ハウジング5の組み立てブラケット6における固定を実現する。
【0061】
別の実施例では、
図5、
図7~
図9に示すように、弾性部材521は、接続端521aと自由端521bを含んでもよく、接続端521aは、取り付け部材52の第一の端に接続されるために用いられ、自由端521bは、取り付け部材52に向かって湾曲し、弾性部材521の少なくとも一部は、組み立てブラケット6に当接して反発力を発生させるために用いられる。
【0062】
弾性部材521の自由端521bは、取り付け部材52に向かって湾曲し、自然状態下で
図7に示す「C」字型を呈し、その自由端521bと接続端521aとの間に、開口521cがある。弾性部材521が押圧されて変形する時、変形量が比較的小さい場合、開口521cが小さくなり、
図8に示すように、
図8において弾性部材521の開口521cは、
図7よりやや小さくなる一方、変形量が比較的大きい場合、開口521cは、より小さくなりひいては消え、
図9に示すように、
図9において弾性部材521の開口521cは、
図8よりも若干小さくなり、その開口521cのサイズはゼロになる。開口521cが消える時、自由端521bは、取り付け部材52の第一の端に接触する。例えば、弾性部材521は、弾性舌片であってもよい。
【0063】
組み立てブラケット6に当接する弾性部材521の少なくとも一部とは、自由端521bと接続端521aとの間の湾曲部分を意味してもよく、又は弾性部材521における自由端521bに近い一部を意味してもよい。より具体的には、弾性部材521の自由端521bと接続端521aとの間の部分が内壁と外壁を含む場合、弾性部材521の少なくとも一部が組み立てブラケット6に当接することとは、弾性部材521の自由端521bと接続端521aとの間の湾曲部分の少なくとも一部の外壁が溝底61cに接触することを意味する。ここで、この内壁とは、この湾曲部分における、取り付け部材52に向かう壁を意味し、この外壁とは、この湾曲部分における、取り付け部材52と反対する壁を意味する。
【0064】
弾性部材521の自由端521bが取り付け部材52に向かって湾曲し、ハウジング5を組み立て溝61の溝口61aから溝底61cに近い方向にある程度押し込む時、弾性部材521の湾曲部分の少なくとも一部の外壁が溝底61cに接触し、弾性部材521が変形し始めて反発力を発生させる。この反発力の作用下で、ハウジング5の組み立てブラケット6における位置を固定することができる。
【0065】
いくつかの実施例では、
図7~
図9に示すように、自由端521bは、ストレートセグメント521dを有し、ストレートセグメント521dの取り付け部材52から離れる側は、組み立てブラケット6に当接するために用いられる。
【0066】
「ストレート」は、「湾曲」に相対するものであり、「ストレート」は、平面に限定されず、ストレート柱面であってもよい。ストレートセグメント521dの取り付け部材52から離れる側の形状は、溝底61cの形状に応じ設置することができ、例えば溝底61cが平面である場合、ストレートセグメント521dの取り付け部材52から離れる側は、平面状であってもよく、溝底61cがストレート曲面である場合、ストレートセグメント521dの取り付け部材52から離れる側は、ストレート柱面であってもよい。つまり、ストレートセグメント521dの取り付け部材52から離れる側の形状は、溝底61cの形状と同じであってもよく、このように、ストレートセグメント521dの取り付け部材52から離れる側が溝底61cに当接する時、当接面が比較的大きく、滑って当接が無効化する場合が発生しにくい。
【0067】
ストレートセグメント521dの長さは、組み立て溝61の溝底61cの長さに応じ設置することができ、例えばストレートセグメント521dの長さは、溝底61cの長さに等しくてもよく、無論、当接が無効化する場合の発生をさらに回避するために、ストレートセグメント521dの長さは、溝底61cの長さよりわずかに大きくてもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0068】
自由端521bにストレートセグメント521dを設置し、ストレートセグメント521dを組み立てブラケット6の溝底61cに当接させることで、当接面を増大させ、自由端521bが溝底61cに当接する時の滑るリスクを減少させ、当接が無効化する確率を低減させることができ、それによってハウジング5の組み立てブラケット6における組み立て強固性を向上させることができる。
【0069】
いくつかの実施例では、ストレートセグメント521dの取り付け部材52に近い側は、平面構造であってもよい。
【0070】
前の記述に基づき、弾性部材521が押圧されて変形し、且つ変形量が比較的大きく、弾性部材521の開口521cが消える時、自由端521bは、取り付け部材52の第一の端に接触する。ここで、自由端521bが取り付け部材52の第一の端に接触することとは、自由端521bの取り付け部材52に近い側が取り付け部材52の第一の端に接触することを意味する。
【0071】
自由端521bがストレートセグメント521dを有し、このストレートセグメント521dの取り付け部材52に近い側が取り付け部材52の第一の端に接触する時、ストレートセグメント521dの取り付け部材52に近い側が平面構造である場合、この平面構造の各部位は、いずれも、取り付け部材52の第一の端に接触するために用いることができ、ストレートセグメント521dの取り付け部材52に近い側が取り付け部材52の第一の端に接触した後、弾性部材521が変形しすぎて弾性部材521が無効化することを制限できるため、ストレートセグメント521dの取り付け部材52に近い側を平面構造として設置することで、ストレートセグメント521dの取り付け部材52に近い側のストッパー面積を増大させ、ストレートセグメント521dの取り付け部材52に近い側と取り付け部材52の第一の端との間のストッパーが無効化して弾性部材521の湾曲度を制限できないため、弾性部材521が無効化することを回避することができる。
【0072】
いくつかの実施例では、
図7~
図9に示すように、取り付け部材52の第一の端にストッパー部523がさらに設置され、ストッパー部523は、弾性部材521の湾曲度を制限するために用いる。
【0073】
ストッパー部523と取り付け部材52は、一体成形されてもよく、この時ストッパー部523は、取り付け部材52の第一の端に設置される突起であってもよい。ストッパー部523と取り付け部材52は、別体成形されてもよく、ストッパー部523は、溶接、ネジ接続などの方式により取り付け部材52の第一の端に接続されてもよい。
【0074】
ストッパー部523は、取り付け部材52の第一の端に設置され、且つ弾性部材521の自由端521bに向かい、即ち、ストッパー部523は、取り付け部材52の第一の端と弾性部材521の自由端521bとの間に位置する。弾性部材521の変形量が比較的大きいと、自由端521bは、ストッパー部523に接触し、取り付け部材52の第一の端に接触しないため、取り付け部材52の第一の端に対する磨耗を回避することができる。また、ストッパー部523は、第一の端よりも自由端521bに近く、弾性部材521の自由端521bの移動可能範囲を小さくしているため、ストッパー部523の湾曲度をさらに制限でき、弾性部材521が変形しすぎて無効化することを回避する。
【0075】
さらに、いくつかの実施例では、ストッパー部523は、ストッパー面を有し、ストッパー面は、平面構造であってもよい。
【0076】
ストッパー部523のストッパー面とは、ストッパー部523の弾性部材521に近い面である。弾性部材521が圧縮される時、自由端521bは、ストッパー部523に近い方向に移動し、自由端521bがストッパー面に当接するまで移動する時、これ以上移動できず、弾性部材521は、さらに湾曲変形できない。これで分かるように、ストッパー面は、自由端521bの移動を制限でき、それによって弾性部材521の湾曲度を制限する。
【0077】
ストッパー面を平面構造として設置し、弾性部材521の自由端521bに比較的大きいストッパー面を提供しやすく、自由端521bがストッパー面に当接する時に、滑って弾性部材521の湾曲度を制限する作用を果たすことができないことを回避する。
【0078】
さらに、いくつかの実施例では、ストッパー面は、弾性部材521の自由端521bの取り付け部材52に近い側に平行し且つ対向する。
【0079】
弾性部材521の自由端521bの取り付け部材52に近い側は、ストッパー部523のストッパー面に平行し且つ対向し、自由端521bがストッパー面に当接する時の当接面を大幅に増大させ、滑ってストッパーできないことを回避でき、弾性部材521の湾曲度を効果的に制限する作用を果たす。
【0080】
理解できるように、ストッパー面が平面構造であり、弾性部材521の自由端521bの取り付け部材52に近い側も平面構造である場合に、弾性部材521の自由端521bの取り付け部材52に近い側に平行し且つ対向するようにストッパー面を設置することで、自由端521bがストッパー面に当接する時の当接面をさらに増大させ、ストッパーが無効化し又はストッパーできない場合を回避し、ハウジング5の組み立てブラケット6における組み立て強固性を向上させることができる。
【0081】
いくつかの実施例では、弾性部材521の湾曲部位と接続端521aとの間の最大距離は、Lであり、自由端521bとストッパー部523との間の距離は、Dであり、ここで、L=(3.5~4.5)×Dである。
【0082】
弾性部材521の自由端521bは、取り付け部材52に向かって湾曲して湾曲部位を形成し、湾曲部位と接続端521aとの間の最大距離は、開口521cを有する弾性部材521の自然状態下での最大長さでもあり、弾性部材521が圧縮されて変形した後、この長さは、小さくなる。自由端521bとストッパー部523との間の距離は、弾性部材521の開口521cのサイズに相当する。
【0083】
各弾性部材521は、いずれも最大の変形度を有し、LとDが3.5~4.5の倍数関係を満たす時、弾性部材521は、押し込み力の作用下で変形することができ、変形後に発生した反発力により、ハウジング5の組み立てブラケット6における位置を固定することができ、且つこの変形量は、弾性部材521の変形能力範囲内にある。つまり、LとDが上記倍数関係を満たす時、弾性部材521は、その弾性変形能力範囲内に変形することができ、それが発生した反発力は、ハウジング5の組み立てブラケット6における位置を固定することができる。
【0084】
いくつかの実施例では、
図5に示すように、本出願の実施例によるハウジング5は、さらに、ストッパー板53を含んでもよい。ストッパー板53の対向する二つの板面は、それぞれ本体51と取り付け部材52に固定され、ストッパー板53の少なくとも一部は、組み立てブラケット6の内壁に接触して、ハウジング5の組み立てブラケット6における位置を固定するために用いられる。
【0085】
ストッパー板53の数は、二つであってもよく、この二つのストッパー板53は、それぞれ本体51の対向する両側にある。いずれか一つのストッパー板53は、いずれも本体51と取り付け部材52との間に位置し、ストッパー板53は、位置が対向する二つの大きい板面を有し、この二つの大きい板面は、本体51と取り付け部材52に平行し、この二つの板面のうち、本体51に近い板面は、本体51に接続され、取り付け部材52に近い板面は、取り付け部材52に接続され、その接続方式は、いずれも溶接、ボルト接続、係止接続などであってもよい。
【0086】
前の記述に基づき、組み立てブラケット6は、位置が対向する二つの壁を有し、この二つの壁における、相互に近い二つの壁面は、組み立てブラケット6の内壁である。ハウジング5全体を組み立て溝61の溝口61aから溝底61cに押し込む時、一つのストッパー板53の板面の少なくとも一部は、組み立てブラケット6の一方の内壁に接触することができ、別のストッパー板53の板面の少なくとも一部は、組み立てブラケット6の他方の内壁に接触することができ、このように、取り付け部材52をよりよく案内して位置決めし、本体51の両側の二つの取り付け部材52がちょうど対応する組み立て溝61内に位置することを保証することができる。また、二つのストッパー板53は、ストッパーの作用を果たすことができ、ハウジング5が組み立てブラケット6における位置が対向する二つの壁の結線方向に移動することによって、ハウジング5の組み立てブラケット6における組み立て強固性を低減させることを回避する。
【0087】
いくつかの実施例では、
図5~
図9に示すように、取り付け部材52の延在方向に沿って、取り付け部材52は、少なくとも一つの切り欠き524を有する。
【0088】
切り欠き524の数が一つである場合、この切り欠き524は、取り付け部材52のいずれかの位置に設置されてもよい。切り欠き524の数が複数である場合、これらの複数の切り欠き524は、取り付け部材52の延在方向に間隔をおいて設置されてもよく、これらの複数の切り欠き524のうち隣接する二つの切り欠き524間は、ピッチがあり、形成された複数のピッチは、等しくてもよく、等しくなくてもよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0089】
取り付け部材52は、溝壁61bに平行した、位置が対向する二つの表面を有し、いずれか一つの切り欠き524に対して、この切り欠き524は、この二つの表面のうちのいずれか一つの表面に設置されてもよく、この二つの表面のうちの一方の表面から他方の表面を貫通してもよい。
【0090】
取り付け部材52は、その延在方向に沿って一つの切り欠き524が少なくとも設置され、一方、取り付け部材52の重量を軽減することができ、それによってハウジング5の重量を軽減することができる。他方、取り付け部材52の、溝壁61bに平行した、位置が対向する二つの表面の表面積を減少させることができ、このように、取り付け部材52と溝壁61bの接触面積を減少させることができ、それによってハウジング5を組み立て溝61に押し込む時、取り付け部材52と溝壁61bとの間の摩擦力を減少させることができ、取り付け部材52と溝壁61bに対する磨耗を回避するとともに、押し込み力を減少させることができ、ハウジング5を組み立て溝61に容易に押し込み、ハウジング5の組み立て効率を向上させる。
【0091】
いくつかの実施例では、本出願は、電池100の筐体をさらに提供し、この電池100の筐体は、組み立てブラケット6と、以上のいずれか一つの実施例におけるハウジング5とを含み、ここで、ハウジング5は、組み立てブラケット6に組み立てられる。
【0092】
組み立てブラケット6は、前述の実施例で少し説明されているが、ここで補足的に解釈する必要があるのは、組み立てブラケット6に複数対の組み立て溝61が設置されてもよいため、一つの組み立てブラケット6は、複数のハウジング5を固定するために用いられてもよい。
【0093】
ハウジング5内には、一枚又は複数枚のPCBAボード(printed circuit board assembly、組み立て印刷回路板)を配置するための一組又は複数組のレール構造が設置されてもよく、ここで、レール構造は、ハウジング5の内壁に設置された凹溝又は位置が対向する一組の突起構造であってもよく、PCBA板を支持する作用を果たすことができればよく、本出願の実施例は、これに対して限定しない。
【0094】
ここで、ハウジング5の関連記述は、前述実施例を参照のこと。ここでこれ以上説明しない。
【0095】
いくつかの実施例では、本出願は、電池100をさらに提供し、この電池100は、電池セル400と上記実施例における筐体とを含み、ここで、筐体は、電池セル400を収容するために用いられる。
【0096】
一つの筐体内に一つ又は複数の電池セル400を収容することができ、電池セル400の関連記述は、前述実施例を参照のこと。ここでこれ以上説明しない。
【0097】
いくつかの実施例では、本出願は、電力消費装置をさらに提供し、この電力消費装置は、上記実施例における電池100を含み、そして、電池100は、電力消費装置に電気エネルギーを提供するために用いられる。
【0098】
電力消費装置は、電池100を応用する前述いずれか一つの機器又はシステムであってもよい。
【0099】
以上をまとめると、本出願の実施例は、弾性部材521が組み立てブラケット6の制限で発生した反発力により、取り付け部材52の組み立てブラケット6における位置を固定し、さらにハウジング5の組み立てブラケット6における位置を固定する。本出願は、ハウジング5の新たな組み立て方式を提供することで、ハウジング5の組み立て方式が多様化する。そしてハウジング5を取り付ける時、余分な部品を必要とせず、ハウジング5を組み立て溝61に押し込んで係止すればよく、取り付け工程が簡単で、組み立て効率が高く、手間も節約する。また、弾性部材521は、組み立てブラケット6の制限で反発力を発生させ、ハウジング5が使用中に振動しても、この反発力は、振動によって発生した力を相殺できることで、ハウジング5を組み立てブラケット6にしっかりと固定し、それによってハウジング5が組み立てブラケット6で揺れることを回避でき、ハウジング5の取り付けの安定性を向上させ、安全上の危険性の発生を回避する。
【0100】
当業者であれば理解できるように、ここでのいくつかの実施例は、他の実施例に含まれるいくつかの特徴を含み、他の特徴を含まないが、異なる実施例の特徴の組み合わせは、本出願の範囲内にあり且つ異なる実施例を形成することを意味する。例えば、特許請求の範囲において、請求される実施例のうちのいずれか一つでも、任意の組み合わせ形態で使用されることが可能である。
【0101】
上述したように、以上の実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。前述実施例を参照しながら、本出願について詳細に説明したが、当業者は、依然として前述各実施例に記載された技術案に対して修正したり、そのうちの一部の技術的特徴に対して同等の置き換えを行ったりすることができることを理解するであろう。これらの修正又は置き換えは、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神と範囲から逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0102】
1 ・・・車両
100 ・・・電池
110 ・・・コントローラ
120 ・・・モータ
201 ・・・第一の筐体
202 ・・・第二の筐体
300 ・・・電池モジュール
400 ・・・電池セル
401 ・・・ケース
402 ・・・エンドキャップ
402b ・・・電極端子
403 ・・・電極アセンブリ
5 ・・・ハウジング
51 ・・・本体
52 ・・・取り付け部材
521 ・・・弾性部材
521a ・・・接続端
521b ・・・自由端
521c ・・・開口
521d ・・・ストレートセグメント
522 ・・・係止部
523 ・・・ストッパー部
524 ・・・切り欠き
53 ・・・ストッパー板
6 ・・・組み立てブラケット
61 ・・・組み立て溝
61a ・・・溝口
61b ・・・溝壁
61c ・・・溝底
61d ・・・係止溝
X ・・・電池セルの長手方向
Y ・・・電池セルの幅方向
Z ・・・電池セルの高方向
【国際調査報告】