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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】植物抽出方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20231220BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q5/00
A61Q5/02
A61K36/53
A61P17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536954
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2021086606
(87)【国際公開番号】W WO2022129582
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2020183.6
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セヌリエ ポルテー,ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】ムニエ,マリー
(72)【発明者】
【氏名】レイノー、ローマン
(72)【発明者】
【氏名】スカンドレラ,アマンディーヌ
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB332
4C083AC151
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC342
4C083AC432
4C083AC712
4C083AC782
4C083AD532
4C083BB51
4C083CC31
4C083CC38
4C083EE12
4C083EE13
4C083EE23
4C083FF01
4C088AB38
4C088AC02
4C088BA09
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZA92
(57)【要約】
本開示は、パチョリから美容活性成分を調製する方法、ならびにそのようにして得られた美容活性成分、およびこれを含む美容組成物を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
美容活性成分を調製する方法であって、ステップ:
消耗されたパチョリ地上部を提供すること;および
消耗されたパチョリ地上部に対して亜臨界水抽出を行うこと
を含む、前記方法。
【請求項2】
亜臨界水抽出が、100~175℃の温度において、より好ましくは110~150℃の温度において、最も好ましくは約125℃の温度において;および1~50バールの圧力において、より好ましくは10~30バールの圧力において、最も好ましくは約20バールの圧力において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
固体-液体分離
のステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
保存剤、好ましくはフェネチルアルコールを添加すること
のステップをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
好ましくは無菌ろ過による、無菌化
のステップをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法により得られた、美容活性成分。
【請求項7】
乾燥物に基づいて約3~15wt%、より好ましくは少なくとも10wt%の総糖含有量を含む、請求項6に記載の美容活性成分。
【請求項8】
請求項6または7に記載の美容活性成分および担体を含む、美容組成物。
【請求項9】
頭皮ケア組成物である、請求項8に記載の美容組成物。
【請求項10】
美容組成物が、シャンプー、抗乾燥ふけ製品または乾燥頭皮用ローションである、請求項9に記載の美容組成物。
【請求項11】
請求項6もしくは7に記載の美容活性成分または請求項8~10のいずれか一項に記載の美容組成物を、ヒトの頭皮に適用することにより、皮脂産生を刺激する、および/または乾燥皮膚薄片の形成を減少させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗された(exhausted)パチョリ地上部から美容活性成分を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パチョリ(Pogostemon cablin)は、一般的には「ミント」または「ラミウム(deadnettle)」科と称されるシソ科からの植物の種である。当該植物は、低木のハーブとして成長し、直立した約75cmの高さに達する茎を有し、小さな、淡い白色がかったピンク色の花をつける。それは、アジアの熱帯領域原産である。
【0003】
パチョリの重く強力な香りは、何世紀にもわたり香料において、およびより最近では、お香(incense)、昆虫忌避剤、および代替医療において用いられてきた。ミズトラノオ属の他のメンバーの間でもPogostemon cablinは、パチョリ油として知られるそのエッセンシャルオイルのために、一般的に栽培されている。パチョリは、温帯~熱帯気候においてよく成長する。種子を生産する花は、非常に芳香性であり、晩秋に開花する。とても小さな種子は、種蒔きのために収穫してもよいが、それらは非常にデリケートであり、容易に圧砕される。また、母株からの切り穂(cutting)に水中で根を出させて、さらなる植物を産生することもできる。
【0004】
パチョリのエッセンシャルオイルの抽出物は、典型的には、乾燥された葉および茎の蒸気蒸留により達成され、これは、蒸気による熱処理(scalding)によるその細胞壁の破断、軽い発酵、または乾燥を必要とする。葉は、1年間に数回収穫してもよく、乾燥させた場合は、蒸留のために輸出してもよい。
【0005】
パチョリ油は、高級なフレグランスおよび香水類(perfumery)において広く用いられ、東アジアのお香においては重要な成分である。パチョリ葉は、ハーブティーを作るためにも用いられており、パチョリ葉は、野菜として食べられるか、または調味料として用いられる。パチョリはまた、特にイエシロアリに対する昆虫忌避剤としても記載されている。
【0006】
世界のパチョリ油供給の90%は、インドネシアに発する(1年間あたり約1,000~1,200メガトン)。パチョリ油の産生のために、パチョリの茎および葉、すなわち地上部が用いられる。それらは、典型的には、数日間の間乾燥され、次いで、束に集められて、蒸留の前に数日間貯蔵される。この貯蔵が、植物のいくつかの重要な匂い構成成分を放出させるための軽い発酵プロセスを可能にする。第1の蒸気蒸留は、典型的には農業家により地元で行われ、生じる油を、ステンレススチール容器中で再蒸留して、安定かつ無色のパチョリ油を提供する。
【0007】
50kgの乾燥された地上部(約200kgのフレッシュな地上部から得られた)は、約1kgのパチョリ油を提供する。
蒸留のために用いられるパチョリ地上部は、典型的には、約70%の葉および30%の茎からなる(花はなし)。
【0008】
パチョリ油生成の副生成物として、約50メガトンの「消耗された」パチョリ地上部、すなわち、蒸気蒸留に供された残りのパチョリ地上部が形成される。上述のとおり、蒸気蒸留の前に、これらのパチョリ地上部は、通常、乾燥され、軽く発酵される。
【0009】
これらのパチョリ地上部が、アップサイクル(up-cycle)されて、さらに用いられ得ることが、高度に望ましい。
この目的のために、WO 2019/193203 A1は、美容活性成分として用いることができる、パチョリ茎から調製されたパチョリ茎抽出物を記載する。抽出物は、水および/またはアルコールによる抽出により得られる。
【発明の概要】
【0010】
発明の要旨
驚くべきことに、今や、抽出プロセスを著しく改善すること、およびより効率的な美容活性成分を得ることが可能であることが、見出された。
第1の側面において、本発明は、消耗されたパチョリ地上部に対する亜臨界水抽出により美容活性成分を調製する方法に関する。
【0011】
第2の側面において、本発明は、前記方法により得られた、美容活性成分に関する。
第3の側面において、本発明は、前記美容活性成分を含む、美容組成物に関する。
【0012】
第4の側面において、本発明は、本発明の美容活性成分または美容組成物をヒトの頭皮に適用することにより、皮脂産生を刺激する、および/または乾燥皮膚薄片(flake)の形成を減少させる方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細
本発明は、美容活性成分を調製する方法を提供し、前記方法は、以下のステップ:
a)消耗されたパチョリ地上部を提供すること;および
b)消耗されたパチョリ地上部に対して亜臨界水抽出を行うこと
を含む。
本発明の方法は、亜臨界水による抽出を含む。
【0014】
亜臨界水-別名、「超加熱水(super-heated water)」または「加圧熱水(pressurized hot water)」-は、水の通常の沸点である100℃と臨界温度である374℃との間の温度における、圧力下における液体の水である。亜臨界水は、沸点を上昇させる過圧力により、またはヘッドスペースを有する密封容器中でそれを加熱することにより、安定化され、ここで、液体の水は、飽和蒸気圧において蒸気と平衡となる。
【0015】
用語「消耗されたパチョリ地上部」は、本願全体にわたり用いられるであろう。それは、事前に、蒸留に、特に上記蒸留に供された、パチョリ地上部を指す。任意に、パチョリ地上部はまた、乾燥されたもの、および/または発酵されたものであってもよい。
消耗されたパチョリ地上部の使用は、材料のアップサイクリングを可能にし、それにより、廃棄物を著しく減少させることを可能にする。
【0016】
さらに、抽出のための亜臨界水の使用は、本発明の方法を、非常に環境に優しく(eco-friendly)、環境保護的(green)なものにする:毒性および残留溶媒は存在しない。さらに、亜臨界水は、不燃性である。
総体的に、本発明の方法において用いられる亜臨界水抽出は、COSMOSにより認証される。
【0017】
亜臨界水の使用のおかげで抽出時間を短縮することができることが見出された。
さらに、本発明の方法により得られた抽出物は、従来の方法により調製された抽出物と比較して、より高い糖含有量および増大した美容活性を示すことが見出された。それはまた、完全に天然である。
【0018】
本発明の方法により得られた抽出物は、典型的には、約1~5wt%の乾燥物含有量を有する。
消耗されたパチョリ地上部は、亜臨界水抽出の前に、より小さな小片へと小さくする、特に圧砕する(crush)か、切断するか、および/または磨り砕いて(grind)もよい。例えば、消耗されたパチョリ地上部を、約4~5mmのサイズまで小さくしてもよい。
【0019】
消耗されたパチョリ地上部はまた、抽出の前に、例えば水で、洗浄してもよい。
本発明の一態様において、亜臨界水抽出は、100~175℃の温度で、より好ましくは、110~150℃の温度で、最も好ましくは約125℃の温度で行われる。この温度範囲において、最良の結果を得ることができることが見出された。
【0020】
本発明の一態様において、亜臨界水抽出は、1~50バールの圧力において、より好ましくは10~30バールの圧力において、最も好ましくは約20バールの圧力において行われる。この圧力範囲において、最良の結果を得ることができることが見出された。
【0021】
例えば、亜臨界水抽出は、約125℃の温度および約20バールの圧力において、行われてもよい。
亜臨界水抽出の後で、抽出物は、典型的には、室温および大気圧にする。冷却は、所望される場合、氷槽または水槽により達成してもよい。
【0022】
一態様において、本発明の方法は、
c)固体-液体の分離
のステップをさらに含む。
固体-液体の分離は、例えばろ過または遠心分離により、達成してもよい。好ましくは、抽出物は、ろ過される。固体-液体の分離は、抽出容器が好適に装備されている場合は、抽出容器中で直接的に行われてもよい。
【0023】
一態様において、本発明の方法は、
d)保存剤、好ましくはフェネチルアルコールを添加すること
のステップをさらに含む。
【0024】
本発明に関して、用語「保存剤」とは、欧州化粧品規則(European Cosmetics Regulation)(欧州議会の、および2009年11月30日の美容製品についての評議会(the Council of 30 November 2009 on Cosmetic Products)の規則(EC)N1223/2009、特に付属文書V)において保存剤として列記される任意の物質、ならびにそれにおいて列記されていないが、同じまたは少なくとも同等の機能を提供することができる任意の物質、すなわち、「保存剤様」物質をカバーすることを意図される。
【0025】
好適な保存剤の例として、これらに限定されないが、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、トロポロン、エチルヘキシルグリセリン、フェニルプロパノール、ペンチレングリコール、フェネチルアルコール(=2-フェニルエタノール)、プロパンジオール、およびそれらの混合物、例えばSymdiol(登録商標)68T(1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、トロポロン)またはSensiva(登録商標)PA 20(フェネチルアルコール、エチルヘキシルグリセリン、安息香酸ナトリウム)が挙げられる。好ましい例として、フェニルプロパノール、フェネチルアルコール、およびプロパンジオール、特にフェネチルアルコールが挙げられる。
【0026】
フェネチルアルコールは、Cosmosに準拠しており、ISO12128規則に従う天然起源のバージョンにおいて入手可能であり、効果的な抗菌活性を提供することが見出されているため、特に好ましいことが見出された。
【0027】
フェネチルアルコールの好適な濃度は、約0.5wt%~約5wt%、好ましくは約0.8wt%~約2wt%、より好ましくは約1wt%である。
本発明の方法により得られる抽出物は、例えばろ過(例えばKDS15フィルター上での)、木炭処理および/または無菌ろ過により、精製してもよい。
【0028】
特に、抽出物は、例えば保存剤の添加の後で、所望される場合には真空下において、ろ過してもよい。好適な多孔度は、例えば約0.2μmである。
【0029】
代替的に、または加えて、抽出物はまた、ベントナイト、木炭の粉末もしくは顆粒、漂白土(bleaching earth)もしくはTonsil 115 FFなどの漂白剤の添加により脱色しても、または木炭フィルターを通過させてもよい。好ましくは、脱色は、保存剤の添加の前に行われる。
代替的に、または加えて、抽出物は、例えば無菌ろ過または熱処理(低温殺菌)により、無菌化してもよい。
【0030】
一態様において、本発明の方法は、
e)好ましくは無菌ろ過による、無菌化
のステップをさらに含む。
本発明の方法により得られる抽出物はまた、所望される場合には、濃縮してもよい。濃縮の間の抽出物の溶解度を改善するために、溶媒、例えば1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、またはプロピレングリコールを、濃縮の前に、抽出物に添加することが可能である。好ましくは、これらの溶媒は、天然の起源のものである。
好ましくは、ステップa)、b)、c)、d)およびe)は、この順序において行われる。
【0031】
代替的に、または加えて、本発明の方法により得られる抽出物は、例えば好ましい溶媒で、希釈してもよい。例えば、抽出物に水を添加してもよい。一態様において、抽出物は、約1:1の比において水で希釈される。
【0032】
一態様において、本発明の美容活性成分は、約1.0~4.99%(乾燥物に基づいて)の亜臨界パチョリ抽出物、約1.0~4.99%のフェネチルアルコール、および少なくとも50%の水を含む。
【0033】
一態様において、本発明の美容活性成分は、約1.0~4.99%(乾燥物に基づいて)の亜臨界パチョリ抽出物、約1.0~4.99%のフェネチルアルコールからなり、残りは水である。
【0034】
本発明は、本発明の方法により得られる美容活性成分をさらに提供する。
本発明の方法により得られる抽出物は、特に高い糖含有量を有し、所望される美容活性を提供することが、見出された。
【0035】
特に、それが、抗酸化、抗ヒアルロニダーゼ、および抗チロシナーゼ活性を示すことが見出された。過剰な酸化ストレスは、皮膚ダメージをもたらし得、これは、頭皮の乾燥および結果的に乾燥ふけを促進する。
【0036】
本発明の美容活性成分は、ケラチノサイト遊走の制御を通して、皮脂産生の刺激、抗酸化特性の刺激、および創傷治癒の強力な阻害を提供することが見出された。先の研究において、皮脂の量が、頭皮上の微生物多様性に対して影響を有することが見出された:脂性頭皮は、乾燥頭皮よりも718%高い皮脂産生を示し;およびアルファ多様性(Shannon指数)は、脂性頭皮において乾燥頭皮よりも25%低い。
【0037】
上の活性のおかげで、本発明の美容活性成分は、乾燥ふけおよび白色皮膚薄片(white flake)の処置のために理想的である。
本発明の美容活性成分の活性についてのさらなる詳細は、下の例において提供される。
【0038】
乾燥物に基づいた総糖含有量は、例えばロータリーエバポレーターを用いて、抽出物を乾燥状態まで蒸発させ、次いで、糖(単糖、オリゴ糖および多糖を含む)の量を、重量あたりの重量に基づいて定量することにより、決定してもよい。あるいは、また、総糖含有量を液体抽出物において決定し、次いで、抽出物の乾燥物含有量を考慮して乾燥物に基づいて計算してもよい。定量は、単糖類(典型的には、ブドウ糖等価物)の較正曲線を用いた、分光光度的方法(例えば、Dubois法)、HPLC-ELSDまたはHPAE-PADを用いて行ってもよい。
【0039】
本発明の方法により得られた抽出物(すなわち、本発明の美容活性成分)が、特に他の方法により得られた抽出物と比較して、特に高い糖含有量を有することが見出された。
【0040】
本発明の一態様において、美容活性成分は、乾燥物に基づいて、約3~15wt%、より好ましくは少なくとも10wt%の糖含有量を含む。
より具体的には、大量のオリゴ糖およびプロテオグリカンが観察された。
【0041】
本発明は、本発明の美容活性成分および担体を含む美容組成物をさらに提供する。
担体は、美容的に受入可能、および特に皮膚科学的に受入可能であるべきである。
【0042】
本発明による美容組成物は、溶媒、界面活性剤、増粘剤、スタイリング用ポリマー(styling polymer)、抗ふけ活性剤、抗菌性材料、皮膚および頭皮活性剤、ビタミン、塩、バッファー、育毛剤、コンディショニング材料、整髪用(hair-fixative)ポリマー、フレグランス、色素(coloring)/着色剤(colorant)、染料(dye)、顔料(pigment)、乳白剤、真珠光沢助剤(pearlescent aid)、油脂、ロウ、保存剤、感覚惹起剤(sensate)、日焼け止め、医薬剤、消泡剤、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝化剤、嵩高剤、キレート剤、化学的添加物、フィルムの形成剤または材料、pH調整剤、噴霧剤、酸化剤および還元剤からなる群より選択される1つ以上の材料をさらに含んでもよい。
【0043】
全ての添加物は、美容組成物の本質的な構成成分と物理的および化学的に適合性であるべきであり、別段に、安定性、審美性または性能を過度に損なうべきではない。より重要なことに、それらは、美容的に受入可能であるべきである。
【0044】
本発明の美容組成物は、担体を含み、これは、典型的には、約20wt%~約99wt%のレベルで存在する。担体は、水、有機溶媒(水と混和性または非混和性)、シリコーン溶媒、および/またはそれらの混合物を含んでもよい。溶媒は、皮膚科学的に受入可能であるべきである。担体は、通常、約2wt%より多い不揮発性の溶媒を含まない。なぜならば、著しく高い濃度は、毛髪の重みによるつぶれ(weigh-down)および脂っぽい感触を増大するであろうからである。水、250℃以下の沸点を有する有機溶媒およびシリコーン溶媒は、揮発性溶媒とみなされる。好適な担体として、典型的には、水、ならびに、1~6個の炭素を有する一価アルコール(例えば、エタノールおよび/またはイソプロパノール)、ならびにグリコール、グリセリンおよび他のジオールなどの多価アルコールなどの、低級アルキルアルコールの水溶液が挙げられる。
【0045】
増粘剤として、美容組成物は、感触、使用中の特性および懸濁安定性を改善するために、レオロジー修飾因子を含んでもよい。例えば、レオロジー的特性は、組成物が、その貯蔵および輸送の間に均一であり続け、その使用中に身体の他の領域、衣服または家財道具の上に不必要に滴ることがないように、調整してもよい。任意の好適なレオロジー修飾因子を用いることができる。典型的には、約0.01~約3wt%の増粘剤が含まれる。好適な増粘剤の例は、WO 2015/035164およびUS 2001/0043912において開示され、この点に関するその内容は、本明細書により参考として援用される。
【0046】
本発明の美容組成物はまた、物理的および性能の特徴を修飾する任意の構成成分を含んでもよい。かかる構成成分として、界面活性剤、塩、バッファー、増粘剤、溶媒、乳白剤、真珠光沢助剤、保存剤、フレグランス、着色剤、染料、色素、キレート剤、日焼け止め、ビタミンおよび医薬剤が挙げられる。本明細書において有用であるものの中のさらなる構成成分は、US 4,387,090において開示され、この点に関するその内容は、本明細書により参考として援用される。
【0047】
好適な界面活性剤の例として、これらに限定されないが、Plantacare(登録商標)818 UP:ヤシ油グルコシド(Coco Glucoside)、Texapon(登録商標)NSO:ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、Texapon(登録商標)NSO:ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、Dehyton(登録商標)AB:ココベタイン(Coco-betaine)が挙げられる。
【0048】
好適な乳化剤の例として、これらに限定されないが、Xyliance(セテアリルコムギワラグリコシズ、セテアリルアルコール)、Emulium(登録商標)Delta(セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、PEG-75ステアレート、CETETH-20、STEARETH-20)が挙げられる。
好適なゲル化剤の例として、これらに限定されないが、Natrosol(商標)250HHR(ヒドロキシエチルセルロース)、Carbopol(登録商標)ETD 2050(カルボマー、XGF)が挙げられる。
【0049】
広範な他のさらなる構成成分を、本組成物および消費者向け製品中に処方することができる。それらは、以下を含む:他のコンディショニング剤、例えば、加水分解コラーゲン、ビタミンE、パンテノール、パンテニルエチルエーテル、加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、および栄養;整髪用ポリマー、例えば両性、非イオン性、カチオン性、およびアニオン性の整髪用(fixative)ポリマー、およびシリコーンでグラフト化されたコポリマー;保存剤、例えばベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびイミダゾリジニルウレア;pH調整剤、例えば、グルタミン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、乳酸、水酸化ナトリウム、および炭酸ナトリウム;一般的な塩、例えば、酢酸カリウムおよび塩化ナトリウム;着色剤;毛を酸化(脱色)する剤、例えば、過酸化水素、過ホウ酸、および過硫酸の塩;毛を還元する剤、例えばチオグリコレート;フレグランス;ならびに封鎖剤、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム;紫外線および赤外線の遮蔽剤および吸収剤、例えばサリチル酸オクチル;ならびにこれらの混合物。
【0050】
本発明の美容組成物は、皮脂産生の刺激を提供し、このことは、それを、乾燥頭皮の処置のため、および頭皮上の乾燥皮膚薄片の減少のために特に好適にすることが見出された。
【0051】
本発明の一態様において、美容組成物は、頭皮ケア組成物である。
頭皮ケア組成物は、洗い流さない(leave-on)製品またはリンスオフする(rinse-off)製品、例えば、シャンプー、コンディショナー、スプレー、ローション、オイル、ゲルまたはワックスであってよい。
【0052】
本発明の頭皮ケア組成物は、処方に依存して、濡れた毛または乾燥した毛のいずれに適用してもよい。任意に、処方に依存して、毛は、適用の後に、例えば水で、リンスしてもよい。
【0053】
本発明の一態様において、美容組成物は、シャンプー、抗乾燥ふけ製品、または乾燥頭皮用ローションである。
本発明の美容活性成分は、乾燥した皮膚および/または頭皮のための製品において、特に有利に用いられる。
【0054】
本発明は、本発明の美容活性成分または本発明の美容組成物を、ヒトの頭皮に適用することにより、皮脂産生を刺激する、および/または乾燥皮膚薄片の形成を減少させる方法を、さらに提供する。
【0055】
本発明は、以下の非限定的な例により、さらに説明される:
例1:消耗されたパチョリ地上部のエタノール/水抽出物(比較例)
乾燥させた蒸気蒸留されたパチョリ地上部を、圧砕して粉末を得た。75gの粉末を、20℃で、550gのエタノール(水中70%)中で、60分間にわたり攪拌しながら抽出した。抽出物を、0.7μmのセルロースフィルターを通してろ過し、5回濃縮してエタノールを除去し、最後に、0.35μmのセルロースフィルターを通してろ過した。抽出物(1.078g)を、凍結乾燥した。
【0056】
遠心分配クロマトグラフィー(CPC)による粗抽出物の分画
粗抽出物(1.078g)を、3:3:4の比(v/v)におけるメチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)、アセトニトリルおよび水からなる、30mlの二相性溶媒系中で溶解した。遠心分配クロマトグラフィー(CPC)は、FCPE300(登録商標)機器(Rousselet Robatel Kromaton)を用いて、303mlのカラム、1200rpmのカラム回転速度および20ml/分の流速により行った。
【0057】
移動相(二相溶媒系のうちのより低い相)の定組成溶離(isocratic elution)は、上向きモード(ascending mode)において75分間にわたり(5分間の間に0~20ml/分の初期流速勾配で)行った。カラムは、最終的に、モード選択弁を20分間にわたり切り替えることにより、押出(extrude)した。CPCクロマトグラムは、220nmにおいてモニタリングした。実験全体にわたり、20mlの画分を回収し、それらの薄層クロマトグラフィー(TLC)プロフィールに従って組み合わせた。TLCは、プレコートされたシリカゲル60 F254 Merckプレート上で、移動(migration)溶媒系EtOAc/トルエン/ギ酸/酢酸(70/30/11/11;v/v)により行い、254nmおよび360nmにおけるUV光化において可視化し、乾燥させたプレートに50%のHSOおよびバニリンを噴霧して、その後加熱することにより明らかにした。結果として、16の細画分を回収した。
【0058】
NMR分析および主要な代謝物の同定
F1~F16からの各々の画分のアリコート(約20mgまで)を、700μlのDMSO-d6中に溶解し、TXI凍結プローブを備えたBruker Avance AVIII-600分光計(Karlsruhe, Germany)において、298Kにおける13C NMRにより分析した。スペクトルを手作業で位相化(phase)し、TOPSPIN 3.2ソフトウェア(Bruker)を用いて基線を補正し、DMSO-d6の中心共鳴(δ39.80ppm)に対して較正した。全ての13C NMRシグナルの絶対強度は、ローカルで開発されたコンピュータースクリプトを用いて、画分シリーズのスペクトルにわたり自動的に回収されて保存された。生じた表を、階層的クラスタリング分析(HCA)のために、PermutMatrixバージョン1.9.3のソフトウェア(LIRMM, Montpellier, France)にインポートした。生じた13C化学シフトクラスターを、二次元マップ上の樹状図として可視化した。代謝物の同定のために、HCAから得られた各々の13C化学シフトクラスターを、手作業で、低分子量の天然生成物(2018年3月においてn=約2950)の構造および予測される化学シフトを含むデータベース管理ソフトウェアであるACD/NMR Workbook Suite 2012ソフトウェア(ACD/Labs, Ontario, Canada)の構造検索エンジンに提出した。並行して、種Pogostemon cablinにおいて既に報告されている代謝物の最大限(n=約70)の名称および化学構造を得るために、文献の調査を行った。推定的に同定された化合物を含む画分について、脱複製(dereplication)プロセスの最後にデータベースにより提案される分子構造を確認するために、さらなる2D NMR実験(HSQC、HMBCおよびCOSY)を行った。
【0059】
以下の主要な代謝物が同定された:
【表1】
【0060】
CPC画分の組成は、以下のとおりであった(Maj=大部分;Med=中程度;Min=微量):
【表2】
【0061】
例2:消耗されたパチョリ地上部の亜臨界水抽出
パチョリ地上部であるPogostemon cablin(Blanco)Benthは、PT Indowangi Nusajaya(Indonesia)により供給された。
植物は、Sulawesi(インドネシア)において栽培された。収穫は、一年中行われる。パチョリ地上部は、3日間の間乾燥させ、次いで、束にまとめて、蒸留の前に数日間保持した。この貯蔵が、植物のいくつかの重要な匂い構成成分を放出させるための軽い発酵プロセスを可能にする。パチョリ地上部を、次いで、地域での農業家による第1の蒸気蒸留、およびその後のステンレススチール容器中での再蒸留に供して、パチョリ油を得、これにより、本発明の方法において用いることができる消耗されたパチョリ地上部が残される。
【0062】
パチョリの消耗された地上部を、少なくとも3日間にわたり、直接的な日光下において乾燥させた(1日あたり8時間:07:00~15:00)。乾燥プロセスの間に雨が降った場合、さらなる乾燥時間を必要とする場合もある。葉と茎との間の比は、約70%/30%(w/w)である。
【0063】
亜臨界水抽出
各製造ロットについて、0.75kg~1.1kgの乾燥させた消耗されたパチョリ地上部を、5リットルの抽出チャンバー中に置いた。脱灰水を、抽出チャンバーを通して、高圧ポンプ(HPLC)により、150ml/分で、20バールの圧力に達するまで汲み上げる。抽出チャンバーを通して循環する水を、加熱抵抗器により予め125℃の温度まで加熱する。温度制御器に連結された熱電対(K型)により、温度を測定する。抽出チャンバーの出口において、抽出物を、氷槽を用いて冷却し、次いで、大気圧において容器中に回収する。
【0064】
一般的に、抽出は、例えば2.55kgの植物から12.75kgの水性抽出物が得られるように、1:5(wt/wt)の植物対溶媒比において行った。
2kgのこのようにして得られた粗水性抽出物を、2kgの脱灰水の添加により希釈し、1μmのろ過布を通してろ過し、その後、2μmのろ過プレート上で無菌ろ過して、4kgの本発明の抽出物を得た。
【0065】
分画
亜臨界水抽出物を、遠心分配クロマトグラフィー(CPC)に供した。12の画分を得、それらの各々を、13C NMRにより分析した。画分10~12が粗抽出物中に存在する乾燥物のうちの84.5%を含むことが見出された。
CPC画分の組成は、以下のとおりであった(Maj=大部分;Med=中程度;Min=微量;回収=97.2%):
【0066】
【表3】
【0067】
例3:糖含有量の決定
亜臨界水抽出により得られた本発明の抽出物の糖含有量を、それぞれ高温での水およびエタノール/水混合物を用いて古典的な抽出により調製された抽出物のものと比較した。
本発明の抽出物、試料Aを、上の例2において記載されるとおり調製した。
【0068】
第1の比較試料Bは、40gの消耗されたパチョリ地上部を、2×400mlの水で、還流温度において、2×2時間にわたり抽出し、その後、AF6 Filtroxろ過プレート(15~35μm)上で、およびAF31H Filtroxろ過プレート(5~12μm)上で、パーライトをろ過補助剤として用いてろ過することにより調製した。
第2の比較試料Cは、上の比較例1において記載されるとおり調製した。
【0069】
3つの試料の糖含有量は、パルスアンペロメトリック付き高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAE-PAD)により、ラムノース、アラビノース、ガラクトース、グルコースおよびマンノースの較正曲線を用いて決定した。この目的のために、100mgの各々の試料を、20mlのチューブ中に入れ、2.5mlの水および0.5mlの塩酸(37%)を添加した。生じた混合物を、よく混合し、100℃まで6時間にわたり加熱した。室温まで冷却した後、混合物を、10mlのメスフラスコに移し、これを、水でフィルアップした。生じた1mlの混合物を、19mlの水でさらに希釈し、0.45μmのRCフィルターおよびOnGuard Ag/Hカートリッジを通過させ、その後ICシステム中に注入した。
【0070】
【表4】
【0071】
本発明の抽出物(試料A)は、2つの従来の抽出物よりも著しく高い、すなわち、試料Bに対して約3倍の、試料Cに対して5倍より高い、総糖含有量を有することが見出された。
【0072】
例4:美容活性成分
495gの例2において得られた液体亜臨界水抽出物を、495gの水で希釈し、10gのフェネチルアルコールを添加した。このようにして得られた美容活性成分は、1.2%のパチョリ抽出物(乾燥物に基づく)、0.94%のフェネチルアルコール、および98.04%の水を含んだ。
【0073】
このようにして得られた本発明の美容活性成分は、水溶性の、褐色~暗褐色の、特徴的な匂いを有する液体である。それは、4~6のpH、16~18のGardner指数、1~5%の乾燥物含有量、0.9~1.2%のフェネチルアルコール含有量、および0.07~0.4%の総糖含有量を有する。総平板菌数ならびに酵母およびカビの数に関する微生物学的詳細は、いずれも100U.F.C./gより低かった。
【0074】
例5:創傷治癒
正常ヒト角化細胞(NHEK)を、I型コラーゲンでプレコートされたウェル1つあたり200,000個で、12ウェル培養プレートにおいて、ヒドロコルチゾン、トランスフェリン、エピネフリン、ウシ脳下垂体抽出物(BPE)、組み換えヒト上皮増殖因子(rhEGF)およびインスリンなどの増殖因子を補充した角化細胞増殖培地(KGM、Lonza)の存在下において、播種した。コンフルエンスにおいて、細胞を、各々0.5%(v/v)におけるパチョリ抽出物ならびに上の例1および2において記載されるその画分のうちのいくつかと共に、一晩、補充物を含まない角化細胞基底培地中でプレインキュベートした。このプレコンディショニング相の後で、ウェルの底に接着している細胞の単層を、P200無菌コーンで引っ掻き、その後、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。NHEKを、次いで、同じ試料により24時間にわたり基底培地中で再び刺激した。
【0075】
創傷治癒プロセスを、倒立光学顕微鏡(Zeiss)を用いてTおよびT24hにおいて記録した写真により分析した。画像分析の後で、未処置の状態と比較した引っ掻き傷の閉鎖のパーセンテージを決定した。
【0076】
結果を以下の表において示す:
【表5】
【0077】
上から観察することができるとおり、両方の全パチョリ抽出物は、角化細胞遊走の完全な阻害をもたらした。それらは、したがって、いずれも創傷治癒制御のために好適である。創傷治癒の阻害は、角化細胞の過剰増殖を伴う状態、例えば、角化症または乾燥ふけにおいて、特に重要である。
本発明のパチョリ抽出物中で、画分10~12が、角化細胞遊走の阻害の原因であることが見出された。
【0078】
例6:抗酸化剤活性
NHEKを、ガラス底を有する黒色プレート中に、I型コラーゲンでプレコートされたウェル1つあたり200,000個で播種した。細胞を、37℃で、5%のCOと共に24時間にわたりインキュベートした。翌日、細胞を、各々0.5%(v/v)におけるパチョリ抽出物ならびに上の例1および2において記載されるその画分のうちのいくつか、または200μMにおけるレスベラトロール(陽性対照)と共に、24時間にわたりインキュベートした。このプレインキュベーションの後で、細胞を、50μMにおけるジクロロ-ジヒドロ-フルオレセイン(DCFH)プローブと共に30~45分間にわたりインキュベートした。細胞を、次いで、PBSで2回リンスし、PBSのみ、または5mMのtert-ブチルペルオキシド(TBP)を含むPBSと共にインキュベートして、酸化ストレスを誘導した。蛍光の読み取りは、10分ごとに1時間にわたり行い、488nmで励起させ、525nmで発光した。
【0079】
結果を以下の表において示す:
【表6】
【0080】
上から観察することができるとおり、例2の全パチョリ抽出物は、反応性酸素種(ROS)生成の、-49%の減少をもたらし、一方、比較の例1の全パチョリ抽出物は、-31%のみのROSの減少を示した。したがって、本発明の抽出物は、比較試料よりも、著しくより効率的である。
興味深いことに、画分10~12はまた、パチョリ抽出物の抗酸化剤特性に関与していることが見出された。
【0081】
例7:臨床研究1:シャンプー(リンスオフ)の適用による乾燥頭皮上での皮脂産生の再活性化
この第1の臨床研究は、乾燥頭皮、掻痒、頭皮の不快感および白色皮膚薄片を有する志願者に対して、リンスオフ適用における本発明の美容活性成分の効力を評価するために行った。パチョリ抽出物を、シャンプー中で、0.5%(v/v)の濃度において、プラセボに対して試験した。志願者は、一日おきに28日間にわたりシャンプーを適用した。
【0082】
シャンプーのINCI処方および組成
【数1】
【表7】
【0083】
パネルの説明
乾燥および掻痒性の頭皮を示す40人の志願者による単一施設研究を行った。志願者を、以下のとおり、20人の志願者の2つの群に分けた:
- 群1: 平均年齢50±13歳の、10人の女性および10人の男性を含む合計で20人の志願者
- 群2: 平均年齢51±11歳の、14人の女性および6人の男性を含む合計で20人の志願者
【0084】
研究は、Centro de Tecnologia Capilar S.L.の標準的な運用手順に従って、および「Guia para investigaciones con seres humanos」(ヒトに対する研究のためのガイドライン(Guidelines for Research on Human Beings))により確立された規則、および消費者安全についての科学委員会(Scientific Committee on Consumer Safety:SCCS)のガイドラインに準じて行った。
志願者は、活性物(0.5%の上の例2の抽出物を含む)またはプラセボのシャンプーを、一日おきに28日間にわたり適用した。
【0085】
統計学的分析
本明細書において記載される全ての臨床研究について、以下の統計学的分析を行った:
- 前後の比較:
○ 差分の正規性を決定するためにShapiro-Wilk検定を行った(α=0.05)。
○ 試験された正規性の結果に従って、対応スチューデントt検定またはウィルコクソン符号順位検定のいずれかを行った。
○ p≧0.05を伴う結果は、統計学的有意ではないものとして拒否した。
○ p≦0.05を伴う結果は、統計学的有意とみなした。
- 製品/プラセボの比較:
○ 各々の群内のデータの正規性を決定するためにShapiro-Wilk検定を行った(α=0.05)。
○ 試験された正規性の結果に従って、独立スチューデントt検定またはマン・ホイットニー検定のいずれかを行った。
○ p≧0.05を伴う結果は、統計学的有意ではないものとして拒否した。
○ p≦0.05を伴う結果は、統計学的有意とみなした。
- 分析自己査定の結果については、カイ二乗検定を行った(関連する回答の数を比較することに帰着する二分分析)。
【0086】
Sebufix(登録商標)スコア付けによる皮脂分析
試験された製品が皮脂を調節する特性を有するか否かを査定するために、様々な時点において頭皮皮脂を測定する。この場合、頭皮上に存在する皮脂の吸収を達成するために、SEBUFIX(登録商標)(Sebufix(登録商標)、CKelectronic, Cologne, Germany)を頭皮の上部に適用する。マイクロカメラは、専門的な診断用装置の一つであり、頭皮を探索するためのプローブ、および画像を取得して提示するためのソフトウェアからなる。マイクロカメラの機能は、頭皮領域の状態:剥離しやすさ(flakiness)、脂っぽさまたは赤みなどが存在するか否かを観察するために、頭皮領域を直接的に拡大して見ることを可能にすることである。
【0087】
研究下における特質-ふけ、赤み、脂っぽさなど-を、0~5のスケールにおいて評価した:最低値(0)は、その特質の「不在」レベルに相当し、最高値(5)は、「非常に高い」レベルに相当する。中間値1、2、3および4は、それぞれ、「低い」、「平均的な」、「考慮すべき」および「高い」レベルに相当する。
【0088】
結果
28日間のシャンプー適用の後で、プラセボシャンプーは、Dと比較して-25%の皮脂の減少をもたらし、一方、0.5%の例2のパチョリ抽出物を含むシャンプーは、+9%のわずかな増加をもたらすことが観察された。
加えて、活性物により、プラセボと比較して、+34%の皮脂産生の著しい改善が観察された。
【0089】
これらの効果はまた、Sebufix(登録商標)上の皮脂により引き起こされた脂質の液滴の例示写真によっても確認された:実際、活性物については脂質の液滴の増加が観察されたが、一方、例示写真上の暗色の点の分布により観察されるとおり、プラセボは減少をもたらした。
これらの結果は、本発明のパチョリ抽出物は、乾燥頭皮上の皮脂産生を再活性化することができることを示す。
【0090】
例8:臨床研究2:シャンプー(リンスオフ)の適用による乾燥頭皮上の微生物叢組成に対する影響
微生物叢のサンプリングおよび貯蔵
白色皮膚薄片を呈する乾燥およびそう痒性の頭皮を示す各20人の志願者の2つの群(例7におけるものと同じパネル)は、彼らの頭皮および髪に、活性物(ビヒクル+0.5%における例2のパチョリ抽出物)またはプラセボ(ビヒクルのみ)のいずれかを含むシャンプー処方を、一日おきに28日間にわたり適用しなければならなかった。
【0091】
後頭部から、0.15MのNaClの無菌溶液で湿らせた無菌スワブを用いる非侵襲的なスワビング(swabbing)法により、ミクロフローラの頭皮試料を回収した。スワブを、-20℃に移し、DNA抽出まで凍結保存した。試料は、標準的な手順を用いて、処置の前(D)、および処置の28日後(D28)に採取した。
【0092】
DNA抽出
DNA抽出は、92の試料(2×20試験試料、プラス12の陰性対照試料)について、DNeasy PowerLyzer(登録商標)PowerSoil(登録商標)DNA単離キットを、Qiacubeデバイス(Qiagen, Hilden, Germany)と共に用いて、以下の改変を加えて行った:各々のスワブの先端を、無菌の手術用ブレードで切り離し、750μlのビーズ溶液を含有する1.5mlのチューブに移した。採取されたバイオマスを、撹拌およびピペッティングにより懸濁し、次いで、ビーズビーティング(bead beating)チューブに移す。残りのステップは、製造者の説明書に従って行った。DNAの濃度は、QuBit dsDNA HS蛍光定量的定量キット(Invitrogen, ThermoFisher Scientific, Courtaboeuf, France)を製造者の説明書に従って用いて決定した。
【0093】
配列決定およびデータ分析
16S rRNA遺伝子の配列決定
配列決定は、MiSeqデバイス(Illumina, Inc., San Diego, CA, USA)を用いて、500サイクルのペアエンドランを通して、V3V4 16S可変領域を標的として、以下のプライマーを用いて行った:約460bpのアンプリコンを生成する、16S-Mi341Fフォワードプライマー5’-CCTACGGGNGGCWGCAG-3’および16S-Mi805Rリバースプライマー5’-GACTACHVGGGTATCTAATCC-3’。
【0094】
PCR1は、以下のとおり行った:8μlの鋳型DNA(0.2ng)を、各々5μlのリバースプライマーおよびフォワードプライマー(1μM)、5μlのKAPA HiFi Fidelityバッファー(5×)、0.8μlのKAPA dNTPミックス(各10mM)、0.7μlのRT-PCRグレード水(Ambion)、および0.6μlのKAPA HiFiホットスタートTaq(1U/μl)と混合し、25μlの総容積とした。各々の増幅は、二つ組として、二つ組を増幅、の後でプールした。PCR1サイクルは、BioRad CFX1000サーモサイクラーによる、95℃で3分間、ならびに次いで32サイクルの、95℃で30秒間、59℃で30秒間、および72℃で30秒間、その後の72℃で3分間にわたる最後の伸長からなった。混入についてチェックするために、全てのステップにおいて陰性および陽性対照を含めた。全ての二つ組のプールを、ゲル電気泳動により制御し、蛍光光度法を用いてアンプリコンを定量した。
【0095】
分析のために準備されたライブラリーを、次いで、Illuminaの16Sメタゲノミクスライブラリー調製のためのガイドラインに従って生成した。簡単に述べると、PCR1アンプリコンを、Agilent 2100 Bioanalyzer(Agilent Technologies, Santa Clara, USA)を用いて精製し、制御した。複数の試料の同時分析(マルチプレックス化)を可能にするために。15~30ngのPCR1アンプリコンを用いるPCR2の間に、Nextera(登録商標)XTインデックス(Illumina)を添加した。PCR2サイクルは、94℃で1分間、ならびに次いで12サイクルの、94℃で60秒間、65℃で60秒間、および72℃で60秒間、その後の72℃で10分間にわたる最後の伸長からなった。インデックス付けされたライブラリーを、Agilent 2100 Bioanalyzerを用いて精製し、定量し、および制御した。等モルの混合物を得るために、検証されたインデックス付けられたライブラリーをプールした。
【0096】
ラン(500サイクル)は、MiSeqシーケンサー(Illumina)上で、MiSeq試薬キットv3 600サイクル(Illumina)を用いて達成した。ランを配列決定することにより、127,000,000の250塩基のペアエンド読み値、すなわち、3.2ギガベースまでのアウトプットが生じた。
【0097】
MiSeqランの後で、生データ配列を、脱マルチプレックス化し、曖昧な塩基を有する全ての読み値を除去するために品質チェックした。(v1.9; http://cutadapt.readthedocs.io/en/stable/index.html)によりインデックスおよびプライマー配列を取り除き、28より低いfastqスコアを有する読み値をトリミングした。bbmerge(https://jgi.doe.gov/data-and-tools/bbtools/)を用いてフォワード配列とリバース配列とを対形成した。対形成された配列が5000より少ない試料を廃棄した。残りの対形成された配列を、次いで、vsearch(Rognes et al., 2016)を用いるインハウス(in-house)パイプラインを用いて処理して、キメラおよびPCRのエラーによるアンプリコンを取り除いた。配列を、次いで、swarm(v2.6-Mahe et al., 2015)を用いて、1%相違レベルにおいて、Operational Taxonomic Units(OTU、16S rRNAマーカー遺伝子配列の類似配列バリアントのクラスター)に分断した。ユニークなアンプリコンを、RDP分類子(Wang et al., 2007)を用いた分類学的割り当てのために、SILVA SSU Ref NR 99(非冗長)データベース(リリース132;https://www.arb-silva.de/)にマッピングした。データの正規化および分析は、R統計学的演算環境(R statistical computing environment)(v3.2.0;https://www.r-project.org/ - R core team (2014) using Bioconductor package(主にPhyloseq、DESeq2およびVeganライブラリー;http://www.bioconductor.org/)を用いて行った。
【0098】
データを、次いで、対になった試料のためのウィルコクソン検定を用いて比較した(Wilcoxon, 1945)。複数の検定に起因して、偽発見率(FDR)補正を用いてp値を調整した(Binyamini and Hochberg, 1995)。
【0099】
結果
微生物叢組成に対する皮脂レベルの影響を、16Sシーケンシングアプローチを用いて研究した。微生物叢組成の著しいバリエーションが観察され、これは、皮脂の量に関係づけられる。ことさらには、脂性頭皮上で、キューティバクテリウム属(Cutibacterium)の豊富さの+54%の重要な増大が観察された。脂性頭皮上でのキューティバクテリウム属の高い優位性は、増大した皮脂の量により媒介される選択圧を通したアルファ多様性の減少を説明するであろう。コリネバクテリウム属、ストレプトコッカス属、ミクロコッカス属およびコクリア属の、それぞれ、-71%、21%、-33%および74%の強力な減少などの、他の顕著な改変もまた観察された。
【0100】
このことは、キューティバクテリウム属の高い豊富さが、微生物叢組成に対する皮脂の影響を評価するためのマーカーとして用いることができることを示す。実際に、乾燥頭皮は、重要なアルファ多様性、およびキューティバクテリウム属の低い豊富さに関連付けられる低レベルの皮脂を呈する。
【0101】
パチョリ抽出物の臨床評価の間に、乾燥頭皮の改善を査定するために、頭皮をスワビングすることにより頭皮微生物叢試料を回収した。
活性物による処置の後で、アルファ多様性(Shannon指標)の19.5%の低下が観察され、一方、プラセボ処置は、4.4%のみの低下をもたらした。したがって、本発明のパチョリ抽出物は、乾燥頭皮上での皮脂産生を誘導し、微生物叢の多様性の低下を引き起こす。
【0102】
さらに、プラセボ処置の後で、適用の28日後に、キューティバクテリウム属の比率の-18.5%の重要な低下が観察されたが、一方、活性物の適用は、キューティバクテリウム属の比率の安定化(+3.2%のわずかな増大)をもたらした。したがって、本発明のパチョリ抽出物は、乾燥頭皮上で、より良好な頭皮の状態の指標であるキューティバクテリウム属の豊富さを増大させた。
【0103】
全体的に、上の結果は、本発明のパチョリ抽出物が、乾燥頭皮上で皮脂産生を増加させること、アルファ多様性を低下させること、およびキューティバクテリウム属の豊富さを増大させることができることを示す。これらの観察は、抽出物が、乾燥頭皮の状態を処置するために好適であることを明らかに示す。
【0104】
例9:臨床研究3:シャンプー(リンスオフ)の適用による乾燥頭皮上の白色皮膚薄片の減少
シャンプーのINCI処方および組成
【数2】
【表8】
【0105】
パネルの説明
この第3の臨床研究は、18歳より高い年齢の、乾燥およびそう痒性の頭皮を示し、白色皮膚薄片の存在を有する、41人の志願者に対して行った。志願者を、2つの群に分けた:
- 群1: 平均年齢33±2歳の、5人の男性および16人の女性を含む21人の志願者
- 群2: 平均年齢33±1歳の、4人の男性および16人の女性を含む20人の志願者
【0106】
彼らは、ヘルシンキ宣言および1988年12月20日の公衆衛生法典(the Code de la Sante Publique)の決議に準じて書かれた同意書に、進んで署名した。
本研究の間に、志願者は、活性物またはプラセボを0.5%において含むシャンプーを、2日に1回、28日間にわたり適用した。
【0107】
スコア付けによる白色皮膚薄片減少分析
臨床評価のために、頭部の4つの領域を、別々に査定した:前方左、前方右、後方左、および後方右。スコアを、次いで、各々の志願者について4つの領域の平均として計算した。
【0108】
シャンプーの適用の2日後に、非粘着性ふけを、0~5のスケールにおいて評価した:最低値(0)は、「ふけなし」に相当し、最高値(5)は、「非常に多い量のふけ」に相当する。中間値1、2、3および4は、それぞれ、「少しの分散したふけ薄片」、「少量のふけ」、「中程度の量のふけ」および「大量のふけ」に相当する。
【0109】
0.5%の例2のパチョリ抽出物を含むシャンプーは、適用の14日後および28日後にそれぞれ23%および33%、白色皮膚薄片を著しく減少させることが見出された。
【0110】
比較すると、プラセボシャンプーの適用は、白色皮膚薄片の数を、14日後に9%、わずかに減少させたのみであり、減少は、Dと比較して20%の減少を示した適用の28日後にのみ顕著であった。
本発明の活性物とプラセボとの間の差分は、顕著であることが見出された。
これらの結果は、本発明のパチョリ抽出物は、リンスオフ適用(シャンプー)において、乾燥頭皮上で白色皮膚薄片を著しく減少させることができることを示す。
【0111】
C-Cube(登録商標)により取得された例示写真
C-Cube 2(登録商標)(Pixience)顕微鏡は、超高細精度(Ultra High Definition)における皮膚画像の獲得を可能にする(4K UHDビデオストリーミング;18,0000,000ピクセルの画像解像度)。それは、皮膚の天然色のフルスペクトルを最適に付与するTrue Color特許技術を組み込む。画像獲得のサイズは、12×16mmであり、倍率は×5である。
【0112】
28日間にわたるプラセボシャンプーの適用は、白色皮膚薄片に対して非常に僅かな効果のみを有するが、一方、パチョリ抽出物を0.5%において含むシャンプーは、効率的であり、白色皮膚薄片を劇的に減少させたことが見出された。
【0113】
例10:臨床研究4:洗い流さない製品(ヘアローション)を用いる乾燥頭皮および白色皮膚薄片に対する影響
ヘアローションのINCI処方および組成
【数3】
【表9】
【0114】
パネルの説明
この第4の臨床研究は、二重盲検の無作為化されたプラセボ対照のセッティングにおいて行われた。査定は、対象間の比較に基づいた。
全ての対象は、研究に関連する口頭および書面の情報を受領した。この情報は、研究における参加は自発的なものであること、および対象は、任意の時間において、および任意の理由について、研究から撤退してもよいことに重点を置いたものであった。全ての対象は、研究について質問を行う機会を与えられ、同意する前にその参加を考慮するために十分な時間を与えられた。任意の研究に関連する手順が行われる前に、研究において参加することについての対象の書面によるインフォームドコンセントが得られた。
【0115】
18~75歳の間の、43.4歳の平均年齢±13.3歳の30人の志願者を、各々15人の2つの群に分割した。志願者は、頭皮における白色皮膚薄片、掻痒を示し、乾燥頭皮を有した(前額部/頭皮において、corneometer(登録商標)<50a.u)。
志願者は、それぞれの製品を、1日2回、28日間にわたり、その頭皮に、12ポイントのパターン(左側、中央および右側に、前方から後方へ向かって、各々4ポイントの3ライン)に従って適用した。製品の適用の後で、適用ポイントを、製品が完全に浸透するまでマッサージした。
スコア付けおよび自己査定により、白色皮膚薄片の減少を評価した。
【0116】
スコア付けによる白色皮膚薄片減少分析
白色皮膚薄片の量の評価は、以下の1~5のスケールを用いるスコア付けにより行った:
【表10】
【0117】
活性物の適用の28日後に、Dと比較して21%の白色皮膚薄片の著しい減少が観察された。
プラセボ処方の適用は、一方、わずかではあるが顕著ではない白色皮膚薄片の10%の増大をもたらした。
【0118】
したがって、適用の28日後に、活性物ローションにより、プラセボローションと比較して-31%の白色皮膚薄片の著しい減少が観察された。
これらの結果は、乾燥およびそう痒性の頭皮からの白色皮膚薄片の減少に対する、本発明の抽出物の強力な効力を示す。
【0119】
自己査定
適用の28日後に、プラセボローションを適用しているもののうちの47%と比較して、活性物ローションを適用している志願者のうちの13%のみが、強く頻繁な掻痒を有した。これらの差分は顕著であり、このことは、本発明のパチョリ抽出物を含むローションが、プラセボと比較して、掻痒の頻度および強さを著しく低下させたことを示している。
【0120】
さらに、プラセボローションを適用しているもののうちの33%と比較して、活性物ローションを適用した志願者のうちの7%のみが、その衣服上に白色皮膚薄片を見出したことが観察された。この観察は、本発明の美容活性成分が、プラセボ効果と比較して、衣服上に見いだされる白色皮膚薄片を著しく減少させることができることを示す。
【0121】
例11:臨床研究5:神経科学的方法による感情的評価(洗い流さない製品)
この第5の臨床研究は、上の例12において記載される第4の臨床研究と同じセッティングにおいて行われた。
【0122】
韻律分析
参加者に、28日間の研究の開始および終了時に、その頭皮についてどのように感じるかを言語化してもらった。彼らの言語生成のオーディオ記録から、韻律分析を適用した。韻律分析は、対象の原語的表現の音声シグナルをキャプチャーすること、および感情的表現に関する声の物理的パラメーターを分析することからなる。
【0123】
コンピューターベースの解決方法を用いて、2つの主な変数を抽出した:
- dBにおいて測定される平均振幅により表される、音圧(すなわち、声の強さ)
- Hzにおいて測定される基本周波数の変動係数(cvF0)により表される、音の高低(pitch)(すなわち、調子)
【0124】
これら2つの変数の組み合わせは、音声により表現された感情価および興奮(arousal)の程度を査定することを可能にする。この文脈における周波数および振幅の増大は、願者が、よりポジティブな感情を感じたことを示唆する。
適用の28日後に、活性物ローションは、プラセボローションよりも強力な周波数および振幅の増大をもたらしたことが見出された。さらに、活性物は、プラセボと比較して、周波数および振幅の、それぞれ+15.4%および+12.4%の、著しい増大を示した。
【0125】
それゆえに、本発明の抽出物は、適用の28日後に、韻律評価により観察されるとおり、感情的応答を著しく改善することができた。
この分析を完了するために、刺激的/非刺激的、および快適/不快な感情のスケールを考慮する感情分布を研究することを可能にする、感情価分析を行った。
【0126】
活性物ローションは、刺激的で快適な感情を引き起こし、一方、プラセボローションは、あいまいな感情を引き起こすことが見出された。
最後に、各々の群について、ネガティブおよびポジティブな感情を引き起こした志願者のパーセンテージを分析した。活性物ローションを適用している志願者は、80%のポジティブな感情および20%のネガティブな感情を引き起こしたことが見出された。対照的に、プラセボローションを適用した志願者は、33%のみのポジティブな感情および66%のネガティブな感情を引き起こした。
【0127】
Mood Portraits(登録商標)
Mood Portraits(登録商標)法を用いて、28日間の研究の開始および終了時において、消費者の感情的応答を測定した。参加者に、その現在の頭皮の状態およびこれがその心にもたらした感情について考えてもらった。彼らに、次いで、それらの感情を表す図を選択してもらった。
【0128】
第0日の結果は、参加者が、その頭皮について考えた場合に、非常にネガティブな感情的応答を有したことを示した。第28日の結果は、参加者が、その頭皮について考えた場合に、著しくよりポジティブな感情的応答を有し、活性物群が、プラセボよりも著しいポジティブな気分の応答を惹起したことを示した。
【0129】
において、参加者は、その頭皮について考えた場合に、非常にネガティブに、かつ顕著に幸福ではないと感じた。
28において、活性物群における参加者は、ヘアローションを28日間にわたり用いた後で、顕著によりネガティブではない、かつ顕著によりリフレッシュしたと感じた。
プラセボ群における参加者は、D28において、その頭皮について、同程度にネガティブには感じなかった;しかし、著しい差分は存在しなかった。ポジティブな気分が顕著に惹起されることはなかったが、参加者は、よりリフレッシュしたと感じる傾向があった。
【0130】
活性物群、プラセボ群、およびDの結果との間で、リフレッシュした、およびネガティブな気分について、著しい差分が存在した。
この効果はまた、DおよびD28において志願者により選択された画像を通して可視可能であった:Dにおいて、志願者は、ネガティブかつ幸福ではない含意を有する画像により、その頭皮の状態についてのその感情を説明した。
【0131】
活性物ローションの適用の28日後に、関連するネガティブな画像の強力な減少、ならびに、リフレッシングおよび自信の含意を有する新たな画像が観察された。
プラセボを適用した群は、なおネガティブな画像が選択されたことにより示されるとおり、同じ効力は示さなかった。
【0132】
この結果は、本発明のパチョリ抽出物が、白色皮膚薄片を伴う乾燥したそう痒性の頭皮を有する志願者に対して、適用の28日後に、ポジティブな感情的応答を送達することを示す。志願者の気分の改善は、白色皮膚薄片および掻痒の著しい減少と相関し、したがって、その頭皮の状態の改善と相関する。
【0133】
Non-Verbal Decoding system(登録商標)を用いる非言語的コミュニケーション
消費者に対するローションの無意識の感情的力の測定は、非言語的コミュニケーションの専門家であるSemiopolisのMarina Cavassilasにより行われた。試験されたローションの感情的影響を決定するために、活性物ローションを用いた14人のユーザーのボディランゲージを、プラセボを用いた15人のユーザーのものと比較した。
【0134】
参加者は、5分間にわたり、そのローションの使用についてインタビューを受け、正面から撮影された。研究の前に、顔によりその感情を表す参加者の正常な能力をチェックするために、参加者の表現能力の研究をオーガナイズした。この方法は、200を超える非言語的反応(顔の反応、姿勢、ジェスチャー、声)を分析し、全ての言語表現(verbalisation)の障壁を取り除くために、ユニークなグリッドを用いる。
【0135】
活性物ローションの適用の28日後に、志願者において19のポジティブな感情およびわずか4つのネガティブな感情が引き起こされたことが観察された。対照的に、プラセボローションを適用している志願者は、28日後に、14のネガティブな感情およびわずか2つのポジティブな感情による、逆の感情的応答を呈した。
【0136】
これらの結果は、本発明のパチョリ抽出物が、プラセボローションと比較して、ポジティブな感情的応答を送達することができることを示す。興味深いことに、この差分は、統計学的に有意であることが見出された。
この方法はまた、製品の適用の後の感情の型を同定することを可能にする。
【0137】
活性物ローションを適用した志願者は、快適さ、ケアおよび幸福を含むポジティブな感情を示したが、一方、プラセボローションに帰する任意の特定の感情は存在しなかったことが観察された。加えて、活発さ(vigor)、エネルギー、力(power)および苛立ち(annoyance)を含むいくつかの感情は、活性物およびプラセボの両方に共通することが見出された。
【0138】
したがって、非言語的コミュニケーションを用いて、パチョリ抽出物が、白色皮膚薄片を伴う乾燥したそう痒性の頭皮を有する志願者に対して、適用の28日後に、ポジティブな感情的応答を送達することが見出された。
【国際調査報告】