(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】固定構成要素に接続される可動構成要素のための監視システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/09 20060101AFI20231220BHJP
B24B 45/00 20060101ALI20231220BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20231220BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20231220BHJP
【FI】
B23Q17/09 G
B24B45/00 B
B24B49/10
G01M99/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536967
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2021086454
(87)【国際公開番号】W WO2022129502
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102020000031346
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000031349
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000031355
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500200708
【氏名又は名称】マーポス、ソチエタ、ペル、アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ、ルッジェーリ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエーレ、ランツォーニ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア、トゥリーニ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ、デ、シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ブルム
【テーマコード(参考)】
2G024
3C029
3C034
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA04
3C029DD16
3C034AA20
3C034BB01
3C034BB62
3C034BB92
3C034CB14
(57)【要約】
固定構成要素(2)によって支持される移動構成要素(3)、例えば回転構成要素のための監視システム(12)。監視システム(12)は、移動構成要素(3)内に位置される音響センサ(10)と、移動構成要素(3)内に位置される第1の増幅器(18)と、移動構成要素(3)内に位置される第1のトランシーバ装置(15)と、第1のトランシーバ装置(15)と対向して固定構成要素(2)内に位置される第2のトランシーバ装置(16)とが設けられる非接触通信ユニット(14)と、センサ(10)を第1の増幅器(18)に接続する第1の接続ライン(19)と、可動構成要素(3)内又は固定構成要素(2)内に位置されるとともにアナログ信号を受信してアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成されるアナログ-デジタル変換器(37)と、可動構成要素(3)内又は固定構成要素(2)内に位置されるとともに、アナログ-デジタル変換器(37)からデジタル信号を受信して、デジタル信号を処理し、処理されたデジタル信号を取得して出力するように構成される処理装置(38)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定構成要素(2)に接続される可動構成要素(3)のための監視システム(12)であって、処理ユニット(40)に接続されるとともに、
-前記可動構成要素(3)内に位置される音響センサ(10)と、
-前記可動構成要素(3)内に位置される第1の増幅器(18)と、
-前記可動構成要素(3)内に配置される第1のトランシーバ装置(15)と、前記第1のトランシーバ装置(15)と対向して前記固定構成要素(2)内に配置される第2のトランシーバ装置(16)とが設けられる非接触通信ユニット(14)と、
-前記音響センサ(10)を前記第1の増幅器(18)に接続する第1の接続ライン(19)と、
-前記第1の増幅器(18)を前記第1のトランシーバ装置(15)に接続する第2の接続ライン(20)と、
を備え、
前記監視システム(12)は、
-前記可動構成要素(3)内又は前記固定構成要素(2)内に配置されるとともに、アナログ信号を受信して該アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成されるアナログ-デジタル変換器(37)と、
-前記可動構成要素(3)内又は前記固定構成要素(2)内に配置されるとともに、前記アナログ-デジタル変換器(37)から前記デジタル信号を受信して、前記デジタル信号を処理し、処理されたデジタル信号を取得して出力するように構成される処理装置(38)と、
を備えることを特徴とする監視システム(12)。
【請求項2】
前記アナログ-デジタル変換器(37)及び前記処理装置(38)が前記可動構成要素(3)内に配置される、請求項1に記載の監視システム(12)。
【請求項3】
前記デジタル信号が時間領域及び周波数領域で処理を受ける、請求項1又は請求項2に記載の監視システム(12)。
【請求項4】
前記信号処理がフーリエ変換を使用して実行される、請求項3に記載の監視システム(12)。
【請求項5】
前記信号処理が高速フーリエ変換を使用して実行される、請求項4に記載の監視システム(12)。
【請求項6】
前記可動構成要素(3)内に配置されるとともに、前記第2の接続ライン(20)に沿って前記第1の増幅器(18)に直列に接続される第2の増幅器(33)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の監視システム(12)。
【請求項7】
電力供給回路(23)を備え、前記電力供給回路(23)には、
-前記可動構成要素(3)内に配置されるとともに、第1の増幅器(18)に対する電力供給を行う第1の電力供給装置(24)と、
-前記可動構成要素(3)内に配置されて前記第1の電力供給装置(24)に対する電力供給を行う第1のコイル(27)と、前記固定構成要素(2)内に配置されて電力を受ける第2のコイル(28)とを備える空気結合変圧器(26)と、
-前記固定構成要素(2)内に配置され、前記第2のコイル(28)に対する電力供給を行うとともに、前記固定構成要素(2)内に配置される第3の増幅器(22)又は前記第2のトランシーバ装置(16)に対する電力供給を行う第2の電力供給装置(25)と、
-前記第1のコイル(27)に直接結合される第3の電力供給装置(34)と、
-前記第3の増幅器(34)から電力を受けて、前記第2の接続ライン(20)に電力を供給する結合装置(35)であって、前記電力が、前記音響センサ(10)によって生成されるアナログ信号の周波数帯域とは異なる周波数帯域にある、結合装置(35)と、
-前記第2の接続ライン(20)から電力を受け取って前記第1の増幅器(24)に電力を供給する分離装置(36)と、
が設けられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の監視システム(12)。
【請求項8】
差動信号を供給するようになっている伝送ラインを備え、前記伝送ラインは、
-2つの電気入力端子と2つの電気出力端子とを備える前記第1の増幅器(18)と、
-それぞれが前記音響センサ(10)の電気端子(17)を前記第1の増幅器(18)の対応する電気入力端子に接続する2つの導線を含む前記第1の接続ライン(19)と、
-それぞれが前記第1の増幅器(18)の電気出力端子を前記第1のトランシーバ装置(15)に接続する2つの導線を備える前記第2の接続ライン(20)と、
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の監視システム(12)。
【請求項9】
前記固定構成要素(2)内に配置されるとともに、前記第2のトランシーバ装置(16)に接続される2つの電気入力端子と、電力供給を分配して前記処理ユニット(40)から出る又は前記処理ユニット(40)に入る信号を送信するように構成されるインタフェースユニット(13)に接続され得る2つの電気出力端子とを備える、第3の増幅器(22)を更に備える、請求項8に記載の監視システム(12)。
【請求項10】
差動信号を提供するようになっている前記伝送ラインは、前記音響センサ(10)から始まって、前記監視システム(12)に接続される処理ユニット(40)で終わる、請求項8又は請求項9に記載の監視システム(12)。
【請求項11】
-別個の独立した2つの音響センサ(10)と、
-2つの第1の増幅器(18)と、
-それぞれが音響センサ(10)を第1の増幅器(18)に接続するとともに2つの導線を備える2つの第1の接続ライン(19)と、
-単一の通信ユニット(14)と、
-前記2つの第1の増幅器(18)に2つの電気入力端子が接続されるとともに、単一の電気出力端子が前記単一の通信ユニット(14)の前記第1のトランシーバ装置(15)に接続されたマルチプレクサ(39)と、
を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の監視システム(12)。
【請求項12】
バランスヘッドを備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の監視システム(12)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の監視システム(12)の可動構成要素(3)内で処理されたデジタル信号を取得するとともに、前記監視システム(12)の非接触通信ユニット(14)を介して前記処理されたデジタル信号を送信するための方法であって、
-分解能を向上させたSAR(逐次近似レジスタ)変換器を用いてアナログ-デジタル取得ダイナミクスを増大させるステップと、
-前記音響センサ10によって生成された粗いベースバンド信号の高周波取得を実行するステップであって、前記周波数が2MHzよりも高い、ステップと、
-高度にパラメータ化可能な確率的処理を実施するステップであって、前記確率的処理が、監視されているプロセスが変化するときに高い有効性を維持するためのものである、ステップと、
-前記監視されているプロセスの観察に基づいて前記処理の自動パラメータ化を可能にする自動パラメータ設定モードを実施するステップと、
-同じ通信チャネル上でより高い優先度及びより低い優先度の情報を伴うリアルタイム情報を送信するように処理されたデジタル信号をパッケージ化するステップであって、処理されたデジタル信号のパッケージ化が、情報が使用される待ち時間に従って前記情報の階層を定義できるようにする最適化された通信プロトコルに従って実行される、ステップと、
を含む方法。
【請求項14】
専用のハードウェアを追加する必要なく同じ粗い信号に基づいて複数の同時測定の特定の処理を実行する更なるステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法の前記ステップの少なくとも幾つかは、前記アナログ-デジタル変換器(37)及び前記監視システム(12)の前記処理装置(38)によって実施される、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定構成要素に接続される可動構成要素、例えば回転構成要素のための監視システムに関する。
【0002】
本発明は、好適には、工作機械における(少なくとも)1つの砥石車を支持する回転スピンドルのための音響信号を使用する監視システムに適用することができ、以下の説明は、一般性を失うことなく明示的にこの監視システムについて言及する。
【背景技術】
【0003】
例えば、欧州特許出願公開第0690979号明細書、欧州特許出願公開第1870198号明細書、及び欧州特許出願公開第3134980号明細書に記載されるように、(少なくとも)1つの砥石車を支持して軸方向キャビティ内に収容されたバランスヘッドを備える工作機械(特に研削機)の回転スピンドル(ハブ)が知られている。バランスヘッドは、回転軸に対して偏心した少なくとも1つのバランス調整質量を含み、その位置は、電気モータによって調整可能であって制御される。
【0004】
一般に、バランスヘッドは、砥石車と被加工物との間又は砥石車とドレッシング工具(ドレッサ)との間の接触によって引き起こされる超音波音響放射を検出するための振動センサ(すなわち、マイクロフォン)も備える。振動センサによって生成される電気信号は、機械加工サイクルを制御するために(既知の方法で)使用される。
【0005】
マイクロフォンは、機械加工プロセスの正確さに関する情報を提供するためにマイクロフォンによって供給される電気信号が処理される監視システムの一部である。その後、工作機械の制御ユニットが、そのような情報に基づいてプロセスに作用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0690979号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1870198号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第3134980号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、被加工物の機械加工又は砥石車のドレッシングなどの進行中の動作の影響を正確かつ安定した方法で検出できるようにし、好ましくは狭い空間にも設置するのが容易な、固定構成要素に接続される可動構成要素のための監視システムを提供することである。
【0008】
本発明は、添付の特許請求の範囲に規定されるように、固定構成要素に接続される可動構成要素のための監視システムを提供する。
【0009】
特許請求の範囲は、本発明の実施形態を説明し、本明細書の不可欠な部分を形成する。
【0010】
本発明は、実施形態の非限定的な例を示す添付図面に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】砥石車を支持するとともにバランスヘッドが設けられる回転スピンドルを備える工作機械を概略的に示す。
【
図3】
図2の監視システムの別の実施形態の概略図である。
【
図4】
図2の監視システムの別の実施形態の概略図である。
【
図5】
図2の監視システムの別の実施形態の概略図である。
【
図6】
図2の監視システムの別の実施形態の概略図である。
【
図7】
図2の監視システムの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において、参照番号1は、全体として工作機械(特に研削機)を示し、その一部の構成要素のみが示されている。
【0013】
一般に、工作機械は、互いに接続された固定部品又は固定構成要素と、可動部品又は可動構成要素とを備える。研削機では、可動構成要素が一般に固定構成要素に対して回転している。
【0014】
図1に示す工作機械1は、回転軸4を中心に回転するスピンドル3を回転可能に(ベアリングを間に配置することによって)支持するフレーム2(すなわち、固定部品)を備える。
【0015】
スピンドル3は、対応する砥石車ハブによって砥石車5を支持し、砥石車ハブは、例えばコーンカップリングを含む既知の図示しない手段によって取り外し可能にスピンドル3に固定される。スピンドル3及び砥石車ハブは、ロータとも呼ばれる工作機械1の回転部品を画定する。スピンドル3は、中央にバランスヘッド7を収容する軸方向開口6を有する。既知のタイプのバランスヘッド7は、回転軸4に対して偏心している2つのバランス調整質量8と、バランス調整質量8の角度位置を調整するためのそれぞれの電気モータ9とを備える。回転部品は、(少なくとも)一つの音響センサ10又は振動センサを更に備える。
図1では、音響センサ10はバランスヘッド7に一体化されているが、例えば
図2に示すように、バランスヘッド7に一体化されず、回転部品の異なる領域に配置されてもよい。
【0016】
バランスヘッド7の機能は、砥石車5のバランスをとることである。このような作業は、一般に、砥石車5が交換されるたびに、また、砥石車5の摩耗の結果として必要なときに行われる。
【0017】
バランスヘッド7は、バランスヘッド7の動作を制御する制御装置11を備える。
【0018】
図示及び説明されたバランスヘッド7が存在せず、回転部品が音響センサ10のみ又は複数の音響センサを備えることが可能である。
【0019】
音響センサ10及びバランスヘッド7(設けられている場合)は、固定位置に配置された(すなわち、工作機械1のフレーム2によって支持される)処理ユニット40に接続される監視システム12の一部である。監視システム12は、フレーム2に(すなわち、工作機械1の固定部品に)取り付けられた処理ユニット40に、スピンドル3(すなわち、工作機械1の回転部品の構成要素)が砥石車5において工作機械1に受ける振動に関する信号を与えるように構成される。
【0020】
図2~
図6は、
図1の実施形態とは異なり、音響センサ10がバランスヘッド7に組み込まれていない監視システム12を示す。
【0021】
図に示されている破線のボックスは、工作機械の回転部品と固定部品との間の物理的分割を表し、監視システム12の単一の構成要素の配置は、図に示すものとは異なっていてもよい。
【0022】
図2に示すように、監視システム12は、スピンドル3に(すなわち、工作機械1の回転部品に)位置された第1のトランシーバ装置15と、トランシーバ装置15に対向してフレーム2に(すなわち、工作機械1の固定部品に)配置される第2のトランシーバ装置16とが設けられる非接触通信ユニット14を備える。2つのトランシーバ装置15及び16は、トランシーバ装置15からトランシーバ装置16に、又はその逆に情報を送信するために、非接触かつ既知の方法で互いに通信するようになっている。固定部品は、電力供給を監視システム12の構成要素に分配し、処理ユニット40から出たり入ったりする信号を送信するインタフェースユニット13を含む。
【0023】
通信ユニット14は、処理ユニット40及び/又は工作機械の制御ユニット(図示せず)から来る制御信号(例えば、音響センサ10の読み取りを作動/停止させるため、又はバランスヘッド7のバランス調整質量8を変位させる電気モータ9を制御するための制御信号)を送信するためにインタフェースユニット13によって一方向に使用され、診断信号(バランスヘッド7で生成される)及び/又はスピンドルが受ける振動に関する信号をインタフェースユニット13に送信するために反対方向に使用される。
【0024】
図2に示すように、音響センサ10は、振動センサ10自体によって検出される振動の強度及び周波数に依存する可変電圧(すなわち、アナログ信号)がその間に生成される2つの端子17を備える。
【0025】
監視システム12は、ロータの内側に(すなわち、工作機械1の回転部品内に)に配置されて2つの入力端子及び2つの出力端子を備える増幅器18を備える。
【0026】
監視システム12は第1の接続ライン19を備え、第1の接続ライン19は、音響センサ10を増幅器18に接続して、それぞれが振動センサ10の端子17を増幅器18の対応する入力端子に接続する2つの独立した(すなわち、電気的に絶縁されている)導線を備える。
【0027】
監視システム12は第2の接続ライン20を備え、第2の接続ライン20は、増幅器18をトランシーバ装置15に接続して、それぞれが増幅器18の出力端子をトランシーバ装置15に接続する2つの独立した(すなわち、電気的に絶縁されている)導線を備える。
【0028】
特に、増幅器18は、音響センサ10の近くに配置される。
【0029】
音響センサ10がバランスヘッド7に組み込まれている
図1に示す実施形態では、増幅器18は、バランスヘッド7の制御装置11内に配置されてもよく、又は音響センサ10に組み込まれてもよい。接続ライン20は、軸方向開口6に沿って延びて接続ライン20に加えて1つ以上の電力線(すなわち、バランスヘッド7を動作させるための電力を伝送するライン)を備える、好ましくはコイル状の多極電気ケーブル21に組み込まれる。
【0030】
図2に示す実施形態では、通信ユニット14は、誘導結合によって非接触方式でアナログ信号を送信する。別の実施形態(図示せず)によれば、通信ユニット14は、光結合(例えば、米国特許第5688160号明細書に記載されている代替案のうちの1つに係る光結合)によって非接触でアナログ信号を送信する。トランシーバ装置15は、音響センサ10によって検出された振動に応じて変化する電圧及び電流を受信し、誘導結合を介してトランシーバ装置16に対応する電圧及び電流を送信(誘導)する。その結果、電気式のアナログ信号がトランシーバ装置16を出る。好ましくは、監視システム12は増幅器22を備え、増幅器22は、フレーム2内に(すなわち、工作機械1の固定部品に)位置されて、トランシーバ装置16に接続された2つの入力端子と、前述のように音響センサ10によって生成された信号を処理するように構成されたインタフェースユニット13に接続された2つの出力端子とを備える。
【0031】
監視システム12は、ロータ内に(すなわち、工作機械1の回転部品内に)位置されて増幅器18に電力を供給する第1の電力供給装置24と、フレーム2内に(すなわち、工作機械1の固定部品内に)位置されて増幅器22及び電力供給装置24に電力を供給するとともにインタフェースユニット13から電力を受ける第2の電力供給装置25とが設けられる電力供給回路23を備える。増幅器18及び22(必然的に給電される)の存在のおかげで、信号調整は改善され、音響センサ10とトランシーバ装置15との間の直接接続の場合よりも強力である。更に、電力供給回路23は空気結合変圧器26を備え、空気結合変圧器26は、ロータ内に(すなわち、工作機械1の回転構成要素内に)位置されて電力供給装置24に電力を供給する第1のコイル27と、フレーム2内に(すなわち、工作機械1の固定部分内に)位置されて電力供給装置25から電力を受け取る第2のコイル28とを有する。
図2に示す実施形態において、電力供給装置24は、空気結合変圧器26のコイル27に直接接続され、すなわち、電力供給装置24は、空気結合変圧器26のコイル27から電力を介在なしに直接受ける。
【0032】
図2はまた、監視システム12の電力供給回路23から完全に分離され独立しており、バランスヘッド7に電力を供給する更なる電力供給回路29を示す。この電力供給回路29は、バランスヘッド7が存在するときに存在する。電力供給回路29は、例えば、ロータ内に(すなわち、工作機械1の回転構成要素内に)位置されてバランスヘッド7に電力を供給する電力供給装置30と、フレーム2内に(すなわち、工作機械1の固定部分内に)位置されて空気結合変圧器32を介して電力供給装置30に電力を供給するとともにインタフェースユニット13から電力を受ける電力供給装置31とを備える。
【0033】
図2~
図5に示す実施形態では、バランスヘッド7は、バランスヘッド7のみに電力を供給して監視システム12の電力供給回路23とは別個独立している電力供給回路29によって給電される。
図6に示す実施形態では、電力供給回路23のみが設けられ、電力供給回路23はバランスヘッド7を含む監視システム12全体によって共有される。言い換えると、電力供給回路23は、バランスヘッド7にも電力を供給する。
【0034】
図3に示す代替の実施形態において、監視システム12は更なる増幅器33を備え、該増幅器33は、ロータ内に(すなわち、工作機械1の回転構成要素内に)に位置されて、接続ライン20に沿って増幅器18に直列に接続されるとともに、増幅器18の2つの出力端子に接続された2つの入力端子と、トランシーバ装置15に接続された2つの出力端子とを備える。特に、増幅器18は、振動センサ10に近接して(振動センサ10の近傍に)(すなわち、図面に示されているレイアウトに関連して接続ライン20の始まりにおいて)配置され、増幅器33は、トランシーバ装置15に近接して(トランシーバ装置15の近傍に)(すなわち、図面に示されるレイアウトに関連して接続ライン20の端部に)配置される。
【0035】
図3に示す実施形態では、増幅器33にも電力供給装置24によって電力が供給され、電力供給装置は増幅器18に電力を供給する。
【0036】
図4に示す代替の実施形態では、監視システム12は、空気結合変圧器26のコイル27に直接接続された第3の電力供給装置34を備え、言い換えれば、電力供給装置4は、空気結合変圧器26のコイル27から介在なしに直接電力を受ける。更に、監視システム12は、電力供給装置34から電力を受けるとともに音響センサ10によって生成されたアナログ信号の周波数帯域とは異なる周波数帯域で接続ライン20に電力を供給する結合装置35と、接続ライン20から電力を受けるとともに電力供給装置24に電力を供給する(したがって、空気結合変圧器26のコイル27から間接的に電力を受ける)分離装置36とを備える。例えば、結合装置35及び分離装置36は、無効な電気構成要素を使用して帯域分離を実施し、一般に1KHz~1MHzの周波数を有する音響センサ10によって生成されたアナログ信号よりも高い又は低い周波数を有する連続電力又は交流電力を伝送する。
【0037】
図2~
図4に示す実施形態では、通信ユニット14は、2つのトランシーバ装置15、16間でアナログ信号(処理ユニット40でデジタル化される)を転送する。
図5~
図7に示す実施形態では、通信ユニット14は、2つのトランシーバ装置15、16間でデジタル信号を転送する。監視システム12は、実際には、ロータ内に(すなわち、工作機械1の回転構成要素内に)位置されたアナログ-デジタル変換器37を備え、増幅器18からアナログ信号を受信し(設けられている場合には増幅器33をそれらの間に配置して)、アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成される。
【0038】
更に、監視システム12は好ましくは処理装置38を備え、処理装置38は、ロータ内に(すなわち、工作機械1の回転構成要素内に)位置されるとともに、アナログ-デジタル変換器37からデジタル信号を受信して、デジタル信号を処理し、処理されたデジタル信号を取得して、処理されたデジタル信号をトランシーバ装置15に供給するように構成される。
【0039】
より具体的には、処理装置38は、アナログ-デジタル変換器37を出るデジタル信号の時間及び周波数領域の処理を実行する。好ましくは、この処理は、フーリエ変換の計算に基づく。
【0040】
より具体的には、この処理は、高速フーリエ変換(FFT)を用いて行われる。
【0041】
一例として、信号処理は、以下のステップ、すなわち、
-信号の周波数帯域を選択して利得を設定するステップと、
-2MHzより高い周波数で信号をサンプリングするステップと、
-FFT関数を計算するステップと、
-周波数領域でゼロ化するステップと、
-砥石車と被加工物又はドレッシング工具との間の距離である隙間に関するチェック、及び砥石車と被加工物又はドレッシング工具又は工作機械の別の要素との間の接触である衝突に関するチェックを実行するために信号スペクトルを復調するステップであって、復調が2つのタイプのチェックのために独立して実行される、ステップと、
-互いに独立した2つのタイプのそれぞれのチェックごとに信号の時間領域処理するステップと、
-周波数帯域及び信号利得のパラメータ化の自動実行をトリガし、背景雑音のゼロ化をトリガするステップと、
を含んでもよい。
【0042】
任意選択的に、その平均値又は最大値に基づいて背景雑音のゼロ化を実行することも可能である。
【0043】
粗い信号、すなわち音響センサ10によって生成された信号をロータの内側で処理することにより、信号源(すなわち音響センサ10)に可能な限り近接して完全な信号処理(例えば、前述のステップを含む)を実行し、粗い信号の伝搬経路を大幅に短縮することが可能になる。
【0044】
既知の解決策では、センサによって生成されたアナログ信号は、アナログ信号をデジタル信号に変換し、次いでそれを処理する外部プロセッサにそのまま送信される。プロセッサは、通常、電気機械キャビネット又は実験室コントローラに配置され、処理動作は、厳しい制約に従う必要なく実行される。しかしながら、アナログ信号の伝搬経路が非常に長くなる可能性があるため、信号対雑音比は一般に劣化し、プロセッサに到達する信号の品質は著しく悪化する可能性がある。
【0045】
他の既知の解決策によれば、センサによって生成された信号は、センサの近くでデジタル化され、次いで完全な処理のために外部プロセッサに送信される。しかしながら、デジタル信号を送信するには、産業用途の非接触通信システムには大きすぎる帯域幅が必要である。この問題は、ダイナミクスが低い量子化(例えば8ビット)によってデジタル信号を取得し、それを送信する前に最小限のデジタル処理を実行することによって、既知の解決策で克服されている。このようにして、送信される信号の帯域幅は制限されるが、信号送信前に実行されていた不十分なデジタル処理は、外部プロセッサにおける不可避の低性能信号処理を引き起こす。
【0046】
本発明による監視システム12は、この種の用途の要件、すなわちプロセス監視に関する詳細情報の高小型化、超低エネルギー消費及び低帯域幅伝送を同時に満たすことによって、そのようなセンサに近接する音響センサ10によって生成された信号の変換、特に完全な処理を実行することを可能にする。
【0047】
これは、より低い計算能力及び高度に最適化されたソフトウェアアルゴリズムを有する処理装置を組み合わせることによって達成される。実際、処理装置のハードウェアは、全体的な寸法を低減し、消費電力を低減するために、この種の用途で通常使用される装置よりも計算電力が低くなるように設計されているが、ソフトウェアは、監視に必要な全ての動作を実行するが、必要なリソースが少なくなるように設計されている。
【0048】
本発明の好ましい実施形態によれば、ロータ内部の処理されたデジタル信号を取得し、処理されたデジタル信号を非接触通信ユニット14を介して送信するために、監視システム12、より具体的にはアナログ-デジタル変換器37及び処理装置38は、以下に説明するステップ、すなわち、を含む方法を実施する。
-既知の解決策と比較して改善された分解能を有するSAR(逐次近似レジスタ)変換器を使用することによってアナログデジタル取得ダイナミクスを増大させるステップ。
-音響センサ10によって生成された粗いベースバンド信号の高周波取得を実行するステップであって、前記周波数が2MHzよりも高い、ステップ。
-単一の測定のための確率的処理を実施するステップであって、確率的処理が、監視されているプロセスが変化するときに高い有効性を維持するために高度にパラメータ化可能である、ステップ。より具体的には、使用されるデジタル確率的処理技術は、安定性及び収束特性を確保する。
-監視されているプロセスの観察に基づいて処理の自動パラメータ化を可能にする自動パラメータ設定モードを実施するステップ。音響センサによって検出されて監視される音響放射を生成するプロセスのパラメータは、多くの動作条件及び環境条件に依存するため、事前には知られていない。実施される自動パラメータ設定モードは、1つ以上の学習フェーズ及び取得された結果のその後の処理に基づいて定義される。
-より高い優先度及びより低い優先度を伴うリアルタイム情報を同じ通信チャネル上で送信するように、処理結果、すなわち処理されたデジタル信号をパッケージ化するステップ。前述したように、デジタル処理技術は、膨大な量のデータを生成し、その結果、信号を送信するために広い帯域幅を必要とする。処理されたデジタル信号のパッケージ化は、情報が使用される待ち時間に従って情報の階層を定義できるようにする最適化された通信プロトコルに従って実行される。これにより、本発明に係る監視システムが備えるような非接触通信路を介して、処理後のデジタル信号を送信することができる。
【0049】
好ましくは、前述の方法は、専用のハードウェアを追加する必要なく、同じ粗い信号に基づいて複数の同時測定の特定の処理を実行するステップも含む。音響センサを使用する工作機械の用途は、一般に、少なくとも2つの測定、すなわち、最大精度で機械プロセスに追従するためのより高い感度及びより狭い帯域を有する機械動作に関する測定、及び典型的なプロセス帯域外であっても異常を迅速に識別するためのより低い感度及びより広い帯域を有する監視測定を実行する。
【0050】
上記で説明したように設計されたハードウェアとソフトウェアとの併用は、ロータ内部の音響センサ10によって生成された信号の完全な処理を有することを可能にし、これは、良好な品質及び良好な信号対雑音比を有するだけでなく、結果として情報の損失のリスクを伴う部分的な処理を事前に受けていない信号の処理を意味する。
【0051】
図5の実施形態では、トランシーバ装置15、アナログ-デジタル変換器37、及び処理装置38は、電力供給装置34から電力を受け、トランシーバ装置16は、電力供給装置25から電力を受ける。
【0052】
図5に示す実施形態と
図6に示す実施形態との間の唯一の違いは、
図5に示す実施形態では、バランスヘッド7に電力を供給する電力供給回路29が電力供給回路23とは別個かつ独立しているが、
図6に示す実施形態では、電力供給回路23のみが設けられ、バランスヘッド7を含む監視システム12全体によって共有される(言い換えれば、電力供給回路23はバランスヘッド7にも電力を供給する)ことである。
【0053】
図示されていない異なる実施形態によれば、アナログ-デジタル変換器37及び処理装置38は、フレーム2内に(すなわち、工作機械1の固定構成要素内に)配置される。アナログ信号のデジタル信号への変換及びその処理は、工作機械の回転構成要素ではなく固定構成要素で行われる。この解決策は、
図5、
図6、及び
図7に示す監視システム12の代替実施形態に適用することができる。
【0054】
図7に示す実施形態では、監視システム12は、互いに別個かつ独立した2つの音響センサ10と、2つの増幅器18と、それぞれが音響センサ10のうちの一方を増幅器18に接続して2つの独立した導線を含む2つの接続ライン19とを備える。更に、監視システム12は、単一の通信ユニット14(2つの音響センサ10間で共有される)と、2つの増幅器18に接続された2つの入力と単一の通信ユニット14のトランシーバ装置15に接続された単一の出力とを有するマルチプレクサ39とを備える。マルチプレクサ39は、幾つかのアナログ入力信号を受け、それらを単一の出力に交互に送る入力セレクタである。マルチプレクサ39は、ロータの異なる領域に配置された複数のセンサを有し、工作機械によって実行される動作に応じて監視目的のために最も効果的なセンサから来る信号を選択することを可能にする。
【0055】
明らかに、単一の通信ユニット14が(
図7に示すように)デジタル信号を送信するとき、及び単一の通信ユニット14がアナログ信号を送信するとき、すなわち監視システム12がアナログ-デジタル変換器37を含まないときの両方で、2つ(又はそれ以上)の音響センサ10、したがってマルチプレクサ39が存在することができる。更に、結合装置35及び分離装置36を使用して各電力供給装置24に電力を供給する電力供給34が設けられている場合(
図7に示すように)、及び各電力供給装置24が空気結合変圧器26の巻線27に直接接続されている場合の両方で、2つ(又は複数)の振動センサ10、したがってマルチプレクサ39が存在することができる。
【0056】
想定し得る実施形態によれば、処理装置38は、どの音響センサ10が信号を単一の通信ユニット14のトランシーバ装置15に提供しなければならないか、すなわち、どの音響センサ10を読み取らなければならないかを制御するようにマルチプレクサ39を制御する。マルチプレクサ39は、静的に、又は代替的に、動的に、すなわち、規定のスイッチング周波数の下で各入力を出力に周期的に交互に接続するように構成することができる。マルチプレクサ39は、(
図7に示すように)ロータに配置されている場合と、工作機械の固定部品に配置されている場合との両方で、処理装置38によって制御することができる。
【0057】
図7に示す実施形態では、マルチプレクサ39に(それぞれの増幅器18を介して)接続された2つの音響センサ10が設けられる。図示されていない他の実施形態によれば、マルチプレクサ39に(それぞれの増幅器18を介して)接続された3つ以上の音響センサ10が設けられ、これらのセンサの全て又は一部が音響センサであるとは限らない。
【0058】
複数の音響センサ及びマルチプレクサの存在は、工作機械の固定部品又は回転部品で信号処理が行われる監視システム12を参照してこれまでに示され説明されている。前述したように、
図2~
図4に示す監視システム12の代替的な実施形態では、複数のセンサ及びマルチプレクサが存在することもでき、信号処理は処理ユニット40で行われる。これらの場合、処理ユニット40は、マルチプレクサを制御する。
【0059】
従来、音響センサ10の読み取りは、砥石車と被加工物との間又は砥石車とドレッシング工具(ドレッサ)との間の接触によって引き起こされる超音波音響放射を検出するために、被加工物の機械加工中又は砥石車のメンテナンスもしくはドレッシング中にのみ処理ユニット40によって使用される。したがって、振動センサ10の読み取りは、従来、(既知の方法で)機械加工サイクル又はメンテナンスサイクルをチェックするためにのみ使用されている。
【0060】
処理ユニット40は、スピンドル3の被加工物への移動中及び/又は被加工物の組み立て及び分解中にも音響センサ10の読み取り値を使用して、スピンドル3と被加工物との間及び/又はスピンドル3と工作機械1の他の部品との間の望ましくない衝突(及び制御のエラーによる)に起因する振動の任意のピーク(すなわち、音響放射のピーク)を検出することも可能である。換言すれば、音響センサ10(すなわち、音響センサ10を備える監視システム12)は、スピンドル3が変位されるとき又は被加工物がスピンドル3の近くを移動するときにスピンドル3が関与する任意の望ましくない衝突の「センチネル」として処理ユニット40によって使用される。明らかに、音響センサ10によって提供される信号が(可能性のある)衝突を示す場合、処理ユニット40は、それを工作機械の制御ユニットに直ちにシグナリングし、必要に応じて、進行中の動きを停止させる。この種の事象が、スピンドル3が受けた全ての否定的事象を将来的に再現することを可能にするために、処理ユニット40及び/又は工作機械の制御ユニットによって記録されることも可能である。
【0061】
前述の実施形態では、振動センサ10が使用されているが、他の実施形態(図示せず)によれば(例えば、温度センサ、圧力センサ、加速度センサなど)、異なるタイプのセンサが使用される。
【0062】
前述の実施形態では、可動部品は工作機械1のスピンドル3であり、他の実施形態(図示せず)によれば、可動部品は工作機械1又は別の種類の機械において異なる機能を有する部分である。
【0063】
本明細書に記載された実施形態は、本発明の保護の範囲から逸脱することなく互いに組み合わせることができる。
【0064】
前述の監視システム12は、幾つかの利点を提供する。
【0065】
まず、前述の監視システム12は、音響センサ10の読み取りの精度、感度、及び安定性を高めることによって、信号対雑音比を改善することを可能にする。この結果は、特に、差動信号を提供するのに適した伝送ラインの存在のおかげで得られる。伝送ラインは、信号経路を規定する。この伝送ライン全体を通して、信号経路は完全に差動的であり、すなわち、伝送ラインの一部を形成する全ての構成要素の入力及び出力の両方が差動的であり、全ての構成要素によって実行される動作は差動的である。
【0066】
この伝送ラインは、音響センサ10から始まり、第1の接続ライン19、増幅器18及び第2の接続ライン20を含み、通信ユニット14のトランシーバ装置15で終端する。その経路全体を通して、信号は常に完全に差動的であり、高品質と摂動に対する強い耐性の両方を有する。
【0067】
好ましい実施形態によれば、差動信号の伝送ラインは、音響センサ10から、通信ユニット14(信号経路を完全差動に維持するようにも構成される)、増幅器22、インタフェースユニット13、及びそれぞれの導線を通過して処理ユニット40に進む。言い換えれば、好ましい実施形態によれば、非接触通信ユニット14も、第2の送信装置16に接続された2つの入力端子と、インタフェースユニット13に接続された2つの出力端子とを備える増幅器22、インタフェースユニット(13)自体、及び該ユニットを処理ユニット40に接続する任意の導線は、差動信号を提供する伝送ラインの一部を形成する。
【0068】
図4~
図7に示す実施形態では、単一の接続ライン20は、音響センサ10に電力及び振動センサ10の信号の両方を伝送することを可能にする。これにより、システムに必要な導線の数を大幅に減らすことができ、小型化に関して明らかな利点がある。
【0069】
図7に示す実施形態では、マルチプレクサの入力数が多いほど、前述の利点が大きくなる。
【0070】
図5~
図7に示す実施形態では、音響センサ10によって生成されたアナログ信号は、ロータ内でデジタル化され、したがって、通信ユニット14は、アナログ信号とは異なり、ノイズ又は減衰を受けないデジタル信号を非接触で送信する。
【0071】
図5~
図7に示す実施形態では、処理装置38の存在により、音響センサ10によって生成された信号は、既に可動構成要素(又は、図示されていない代替の実施形態によれば、固定構成要素)内で処理され、信号対雑音比を大幅に改善することを可能にする。
【0072】
更に、前述の利点に加えて、信号の完全な処理、又はそのような処理の大部分をロータの内側で実行することは、更に顕著な利点を提供する。
【0073】
第1に、監視システム、より具体的にはロータは、より強力であり、より高い自律性を有する、すなわち、より複雑な動作を自律的に実行するので、制御装置の作業負荷が大幅に低減される。したがって、例えば、より多くのセンサを追加する、及び/又はより多くの種類のチェックを実行するなど、監視プロセスの数及び/又は種類を増やすことによって、システムを改善することが可能である。
【0074】
更に、信号の完全な処理、又はそのような処理の大部分をロータの内部で行うことにより、処理された信号に基づいて監視システムの自己構成の可能性、及び温度、電圧、又は他のシステムパラメータを測定し、通信チャネルの信頼性をチェックするなどの監視システムにおける自己診断機能を実装する可能性が可能になる。
【0075】
音響センサ10によって生成された信号の処理は、差動信号を提供するように適合された伝送ラインを含まない監視システムにおいても、可動構成要素(又は、図示されていない代替の実施形態によれば、固定構成要素)において行うことができる。
【0076】
同様に、差動信号を提供するように適合された伝送ラインを含まない複数のセンサ(及び存在する場合にはバランスヘッド)を備える監視システムにおいてもマルチプレクサを使用することが可能である。
【国際調査報告】