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特表2023-554436ポリウレタンポリマーを調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ポリウレタンポリマーを調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/18 20060101AFI20231220BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20231220BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
C08G18/18
C08G18/10
C08G18/75 010
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536969
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 FR2021052376
(87)【国際公開番号】W WO2022129810
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013762
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(71)【出願人】
【識別番号】509129233
【氏名又は名称】ユニベルシテ・クロード・ベルナール・リヨン1
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】518184432
【氏名又は名称】エコール・シューペリウール・ドゥ・シミ・フィジーク・エレクトロニーク・ドゥ・リヨン
【氏名又は名称原語表記】ECOLE SUPERIEURE DE CHIMIE PHYSIQUE ELECTRONIQUE DE LYON
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ミショー, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】フーカイ, ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シモン, フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】パーダル, フランシス
(72)【発明者】
【氏名】アルノー, プリシラ
(72)【発明者】
【氏名】モンテイユ, ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】レノー, ジャン
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DG04
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC16
4J034KC17
4J034KC23
4J034KD02
4J034KD04
4J034KD12
4J034KE02
4J034QB11
4J034RA08
(57)【要約】
本発明は、ポリウレタンポリマーを調製する方法であって、(A)少なくとも1種の第1の触媒の存在下で、少なくとも1種のイソホロンジイソシアネート(IPDI)モノマーを少なくとも1種の第1のポリオールと接触させること;(B)少なくとも1種の第2の触媒の存在下で、ウレタンプレポリマーを少なくとも1種の第2のポリオールと接触させて、ポリウレタンポリマーを形成することを含み、第1の触媒はグアニジン型触媒であり、第2の触媒は(有機)金属触媒であるか、または第1の触媒は(有機)金属触媒であり、第2の触媒はグアニジン型触媒である、方法に関する。
本発明はまた、2成分組成物、および2つの基材を接合するための接着剤としての該組成物の使用に関する。
最後に、本発明は、該組成物の架橋によって得られる、少なくとも1つの層を備える物品、および該物品を調製する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンポリマーを調製する方法であって、
- (A)少なくとも1種の第1の触媒の存在下で、少なくとも1種のイソホロンジイソシアネート(IPDI)モノマーを少なくとも1種の第1のポリオールと接触させて、ウレタンプレポリマーを形成すること、
- (B)少なくとも1種の第2の触媒の存在下で、前記ウレタンプレポリマーを少なくとも1種の第2のポリオールと接触させて、ポリウレタンポリマーを形成すること
を含み、
- 第1の触媒が、一般式(I)の触媒または一般式(II)の触媒:
[式中、
- Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル基またはアリールアルキル基から選択される、1~10個の炭素原子を含有する基であり、
- R、R、およびRは、それぞれ独立して、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル基またはアリールアルキル基から選択される、1~10個の炭素原子を含有する基を表し、
- Rは、水素原子、または直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル基またはアリールアルキル基から選択される、1~10個の炭素原子を含有する基を表し、
- R、R、R、およびRのうちの少なくとも2つは、任意選択で環の要素であり、
- Mは、一価の陽イオンを表す]
から選択され、
- 第2の触媒が、(有機)金属触媒である、
あるいは、
- 第1の触媒が、(有機)金属触媒であり、
- 第2の触媒が、一般式(I)の触媒または一般式(II)の触媒から選択される、
方法。
【請求項2】
第1の触媒が、一般式(I)の触媒または一般式(II)の触媒から選択され、第2の触媒が、(有機)金属触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および/または第2のポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびそれらの混合物から選択され、好ましくは、第1および/または第2のポリオールが、ポリプロピレングリコールを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第2のポリオールが第1のポリオールと同じである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
がNa陽イオンを表す、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
が、メチル基またはベンジル基から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
およびRまたはRおよびRが環の要素である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
およびRが第1の環の要素であり、RおよびRが第2の環の要素である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(有機)金属触媒が、スズ触媒、亜鉛触媒、ビスマス触媒、チタン触媒、鉄触媒、銅触媒、ジルコニウム触媒、アルミニウム触媒、およびこれらの組み合わせから選択され、(有機)金属触媒が、好ましくは、亜鉛触媒、ビスマス触媒、チタン触媒、鉄触媒、銅触媒、アルミニウム触媒、およびジルコニウム触媒から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種のイソホロンジイソシアネート(IPDI)モノマーを少なくとも1種の第1のポリオールと接触させる工程において、NCO/OHモル比が、1.5~5の間、好ましくは1.5~4の間、好ましくは1.5~3の間、より好ましくは1.5~2の間である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法に従ってポリウレタンポリマーを調製するための2成分組成物であって、
- 本方法の工程(A)により調製されたウレタンプレポリマーを含むNCO成分、および
- 少なくとも第2のポリオールと第2の触媒とを含むOH成分
を含む、組成物。
【請求項12】
NCO成分が、可塑剤、溶媒、顔料、接着促進剤、吸湿剤、UV安定剤(または抗酸化剤)、蛍光性物質、レオロジー添加剤、およびそれらの混合物から選択される1種または複数種の添加剤も含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
OH成分に対するNCO成分のNCO/OHモル比が1.5~2.5、好ましくは1.7~2.0である、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
2つの基材を接合するための接着剤としての、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物の架橋によって得られる、少なくとも1つの層を備える物品。
【請求項16】
請求項15に記載の物品を調製する方法であって、
- 組成物のNCO成分とOH成分とを混合すること、
- この混合物を基材の表面にコーティングすること、および
- この表面を追加の基材の表面と接触させること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グアニジン型触媒および(有機)金属触媒を連続的に使用することによってポリウレタンポリマーを調製する方法に関する。本発明はまた、2成分組成物、および該組成物の使用に関する。本発明はまた、この組成物を用いて作製される物品、および該物品の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、化粧品または洗剤業界用に製造されるものなどの、広範囲の製品の包装を意図した軟包装は、一般に、典型的には5~150μmの間の厚さを有し、紙、金属(例えばアルミニウム)、あるいは熱可塑性ポリマーなどの異なる材料で構成されるいくつかの薄い層(シートまたはフィルムの形態)からなる。対応する多層フィルムは、その厚さが典型的には20~400μmとさまざまであり得るため、材料の異なる個々の層の特性を組み合わせることが可能であり、したがって、最終的な軟包装に合わせて調整された一連の特性、例えば、包装の外観(特に、包装された製品に関連し、消費者向けの情報を提示する印刷要素)、大気中の湿気や酸素に対するバリアとしての効果、毒性や、包装された食品の官能特性が変化するリスクを伴わない食品との接触、ケチャップや液体石鹸などの一部の製品に対する耐薬品性、例えば、低温殺菌や殺菌に供される場合の高温に対する良好な耐性、を消費者に提供することができる。
【0003】
最終的な包装を形成するために、多層フィルムは一般に約120~250℃とさまざまな温度でヒートシールすることによって成形される。この後者の技術は、消費者向けの製品を包む包装を閉じる際にも使用される。
【0004】
工業用ラミネートプロセスでは、多層フィルムを構成するさまざまな材料の層が、ラミネーションによって組み合わされるか、または組み立てられる。
【0005】
これらの方法では、接着剤(またはグルー)および専用の装置(または機械)を使用する。このようにして得られた多層フィルムは、それ自体が「ラミネートされた」という言葉で修飾されることが多い。
【0006】
これらの方法は、第1に、接着剤を第1の材料の層にコーティングする工程であって、一般に1μm以上25μm未満に制御された厚さのグルーの連続層(同様に制御され、一般に25g/mを超えないグルーの量(または坪量)に対応する)を堆積することからなる、工程を含む。このコーティング工程に続いて、第1の層と同一であるまたは異なる第2の材料の層をラミネートする工程であって、グルー層で覆われた第1の材料の層上に、加圧下で該第2の材料の層を貼ることからなる、工程が行われる。
【0007】
この種の貼り付けには、ポリウレタン系接着剤が一般的に使用される。
【0008】
しかしながら、ポリウレタンを主成分とする組成物は、一般に、ポリウレタン合成反応に由来するモノマージイソシアネートの残留含有量が高いという欠点を有し、これは、特に芳香族ジイソシアネートの場合、多くの欠点、特に毒性の問題につながる可能性がある。詳細には、ポリウレタンをラベリングしないということは、残留ジイソシアネート含有量を可能な限り低く、好ましくは0.1重量%未満にしなければならないことを意味する。このような低い残留含有量を得るためには、作製方法が制限されることがある。
【0009】
さらに、ポリウレタンを主成分とする組成物は多くの場合、有機金属触媒、特にスズ系触媒を使用して調製される。しかし、これらの触媒の中には、人体および環境に対して高い毒性リスクを示すものがある。したがって、有毒な触媒の使用を避けるか、減らす必要がある。
【0010】
H.-K. Onoらによる論文「Relative reactivity of isocyanate groups of isophorone diisocyanate. Unexpected high reactivity of the secondary isocyanate group」(Journal of Polymer Science, 1985, vol. 23, 509-515)は、イソホロンジイソシアネートに関するものであり、これら2種のイソシアネート基の反応性の違いについて記載している。この論文はまた、触媒DABCOの存在下におけるこのジイソシアネートとn-ブタノールとの反応、および位置選択性の触媒依存性についても記載している。
【0011】
R. Lomolderらによる論文「Selectivity of isophorone diisocyanate in the urethane reaction influence of temperature, catalysis, and reaction partners」(Journal of Coatings Technology, 1997, vol. 69, 51-57)は、ポリウレタンプレポリマーの合成に関するものであり、触媒の種類、温度、-OH基の種類がイソホロンジイソシアネートの選択性に及ぼす影響について記載している。
【0012】
S.V. Karpovらの論文「Kinetics of urethane formation from isophorone diisocyanate: the catalyst and solvent effects」(Kinetics and Catalysis, 2016, vol. 57, 422-428)は、イソホロンジイソシアネートとさまざまなアルコールとが反応し、ウレタンが形成される間の速度論的パラメータに対する触媒と溶媒の影響について記載している。
【0013】
J. Alsarrafらの論文「Cyclic guanidines as efficient organocatalysts for the synthesis of polyurethanes」(Macromolecules, 2012, vol. 45, 2249-2256)およびJ. Alsarrafらの論文「Latent catalysts based on guanidine templates for polyurethane synthesis」(Polymer Chemistry, 2013, vol. 4, 904-907)は、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などのポリイソシアネートおよび複数の異なるポリオールからポリウレタンを合成するためのグアニジン型触媒の使用について記載している。
【0014】
文献FR2964106A1は、ポリウレタンを合成するためのグアニジン型触媒の使用に関する。
【0015】
文献WO2017/171996は、ポリウレタン組成物、ならびにアミジン型化合物、グアニジン型化合物、またはアミン型化合物と、二酸化炭素および水、アルコール、またはチオールとの反応生成物である触媒を含む接着剤組成物に関する。
【0016】
したがって、ポリマーを形成するための架橋の反応速度を向上させ、かつ有毒な試薬の使用を避けながら、ポリウレタンポリマー、特にイソホロンジイソシアネートを主成分とするポリウレタンポリマーを得ることを可能にする方法を提供することが真に必要とされている。ポリマーを形成するための架橋の反応速度を向上させることを可能にし、有毒な試薬の使用を避けながら得られる、ポリウレタンを主成分とする組成物を提供することも必要とされている。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、第1に、ポリウレタンポリマーを調製する方法であって、
- (A)少なくとも1種の第1の触媒の存在下で、少なくとも1種のイソホロンジイソシアネート(IPDI)モノマーを少なくとも1種の第1のポリオールと接触させて、ウレタンプレポリマーを形成すること、
- (B)少なくとも1種の第2の触媒の存在下で、ウレタンプレポリマーを少なくとも1種の第2のポリオールと接触させて、ポリウレタンポリマーを形成すること
を含み、
- 第1の触媒が、一般式(I)の触媒または一般式(II)の触媒:
[式中、
- Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル基もしくはアリールアルキル基から選択される、1~10個の炭素原子を含有する基であり、
- R、R、およびRは、それぞれ独立して、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル基もしくはアリールアルキル基から選択される、1~10個の炭素原子を含有する基を表し、
- Rは、水素原子、または直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、シクロアルキル基もしくはアリールアルキル基から選択される、1~10個の炭素原子を含有する基を表し、
- R、R、R、およびRのうちの少なくとも2つは、任意選択で環の要素であり、
- Mは、一価の陽イオンを表す]
から選択され、
- 第2の触媒が、(有機)金属触媒である、
または、
- 第1の触媒が、(有機)金属触媒であり、
- 第2の触媒が、一般式(I)の触媒もしくは一般式(II)の触媒から選択される、
方法に関する。
【0018】
一部の実施形態によれば、第1の触媒は、一般式(I)の触媒または一般式(II)の触媒から選択され、第2の触媒は、(有機)金属触媒である。
【0019】
一部の実施形態によれば、第1および/または第2のポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびそれらの混合物から選択され、好ましくは、第1および/または第2のポリオールは、ポリプロピレングリコールを含む。
【0020】
一部の実施形態によれば、第2のポリオールは第1のポリオールと同じである。
【0021】
一部の実施形態によれば、MはNa陽イオンを表す。
【0022】
一部の実施形態によれば、Rは、メチル基またはベンジル基から選択される。
【0023】
一部の実施形態によれば、RおよびR、またはRおよびRは、環の要素である。
【0024】
一部の実施形態によれば、RおよびRは第1の環の要素であり、RおよびRは第2の環の要素である。
【0025】
一部の実施形態によれば、(有機)金属触媒は、スズ触媒、亜鉛触媒、ビスマス触媒、チタン触媒、鉄触媒、銅触媒、ジルコニウム触媒、アルミニウム触媒、およびこれらの組み合わせから選択され、(有機)金属触媒は、好ましくは、亜鉛触媒、ビスマス触媒、チタン触媒、鉄触媒、銅触媒、アルミニウム触媒、およびジルコニウム触媒から選択される。
【0026】
一部の実施形態によれば、少なくとも1種のイソホロンジイソシアネート(IPDI)モノマーを少なくとも1種の第1のポリオールと接触させる工程において、NCO/OHモル比は、1.5~5の間、好ましくは1.5~4の間、好ましくは1.5~3の間、より好ましくは1.5~2の間である。
【0027】
本発明はまた、上記の方法に従ってポリウレタンポリマーを調製するための2成分組成物であって、
- 本方法の工程(A)により調製されたウレタンプレポリマーを含むNCO成分、および
- 少なくとも第2のポリオールと第2の触媒とを含むOH成分
を含む、組成物に関する。
【0028】
一部の実施形態によれば、NCO成分は、可塑剤、溶媒、顔料、接着促進剤、吸湿剤、UV安定剤(または抗酸化剤)、蛍光性物質、レオロジー添加剤、およびそれらの混合物から選択される1種または複数種の添加剤も含む。
【0029】
一部の実施形態によれば、OH成分に対するNCO成分のNCO/OHモル比は1.5~2.5、好ましくは1.7~2.0である。
【0030】
本発明はまた、2つの基材を接合するための接着剤としての該組成物の使用に関する。
【0031】
本発明はまた、該組成物の架橋によって得られる、少なくとも1つの層を含む物品に関する。
【0032】
本発明はまた、該物品を調製する方法であって、
- 組成物のNCO成分とOH成分とを混合すること、
- この混合物を基材の表面にコーティングすること、および
- この表面を別の基材の表面と接触させること
を含む、方法に関する。
【0033】
本発明により、上記の必要性を満たすことが可能になる。本発明は、より詳細には、ポリマーを形成するための架橋の反応速度を向上させ、かつ有毒な試薬の使用を避けながら、ポリウレタンポリマー、特にイソホロンジイソシアネートを主成分とするポリウレタンポリマーを得ることを可能にする方法を提供する。本発明はまた、ポリマーを形成するための架橋の反応速度を向上させることを可能にし、有毒な試薬の使用を避けながら得られる、ポリウレタンを主成分とする組成物も提供する。
【0034】
これは本発明の方法によって達成される。より詳細には、本方法は、2つの異なる工程、すなわち、第1の触媒を使用してウレタンプレポリマーを形成する第1の工程、および第2の触媒を使用してポリウレタンポリマーを形成する第2の工程を含む。第1の触媒または第2の触媒のいずれか一方はグアニジン型触媒であり、該触媒の他方は(有機)金属触媒である。第1の触媒としていずれか一方(グアニジン型触媒または(有機)金属型触媒)を使用することにより、架橋の反応速度を向上させることが可能になる。また、上記触媒を使用することにより、反応の位置選択性を制御することも可能になる。詳細には、イソホロンジイソシアネートは、第一級炭素原子(C1)に結合した第1のイソシアネート基と、第二級炭素原子(C2)に結合した第2のイソシアネート基とを含有する非対称ジイソシアネートであり、グアニジン型または(有機)金属型の第1の触媒の使用により、反応の位置選択性を高めることが可能になる。すなわち、第1の工程においてジオールが、第1または第2のイソシアネート基のいずれかと優先的に反応し、この選択性は第1の触媒に依存する。より詳細には、第1の触媒としてグアニジン型触媒を使用すると、第一級炭素原子(C1)に結合したイソシアネート基の反応を優先させることが可能になり、一方、(有機)金属触媒を使用すると、第二級炭素原子(C2)に結合したイソシアネート基の反応を優先させることが可能になる。その後、逆の位置選択性を有する第2の触媒(グアニジン型または(有機)金属型であるが、第1の触媒とは異なる)を使用することにより、ウレタンプレポリマーにおける第1または第2のイソシアネート基の他方とジオールとを反応させてポリウレタンポリマーを形成することができる。
【0035】
有利には、第1の触媒としてグアニジン型触媒を使用することにより、残留モノマーの量を制御することも可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、本発明を、以下の説明において、より詳細に、限定することなく説明する。
【0037】
本発明は、ポリウレタンポリマーを調製する方法に関する。
【0038】
本方法は、ウレタンプレポリマーを形成する第1の工程、およびポリウレタン接着剤を配合する第2の工程を含む。「ウレタンプレポリマー」とは、少なくとも2つのウレタン基と、少なくとも1つの重付加反応が起こることを可能にする少なくとも2つの反応性イソシアネート官能基とを主鎖に含有するポリマーに相当する、ポリウレタンの合成における中間体を意味すると理解される。
【0039】
以下において、第1の触媒は一般式(I)または(II)のグアニジン型触媒であり、第2の触媒は(有機)金属触媒である。
【0040】
ただし、第1の触媒が(有機)金属触媒であり、第2の触媒が一般式(I)または(II)のグアニジン型触媒である場合も同様に、本明細書全体が類推適用される。
【0041】
「(有機)金属」という用語は、金属触媒および有機金属触媒を包含する。
【0042】
工程1-ウレタンプレポリマーの形成
本発明による方法の第1の工程は、第1のグアニジン型触媒、すなわち、炭素原子に結合した3個の窒素原子で構成され、窒素原子のうちの1つが炭素原子に二重結合で結合している構造を含有する触媒の存在下で、少なくとも1種のイソホロンジイソシアネート(IPDI)モノマーを少なくとも1種の第1のポリオールと接触させることによって実施される。
グアニジン型触媒は、一般式(I)または一般式(II)を有する。
【0043】
、R、RおよびRは水素原子とは異なる。言い換えれば、触媒中に存在する窒素原子のうち、少なくとも2つはプロトン化されていない。これにより、高い位置選択性(以下に説明)を得ることが可能となり、その結果、残留モノマー含有量を低減することができる。
【0044】
式(I)中、Rは1~10個の炭素原子を含有する基であり、好ましくは1~7個の炭素原子を含有する基である。
【0045】
は、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル基もしくはアリールアルキル基であってもよい。例えば、Rはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-デシル基、アリール基で置換されたアルキル基(アリールアルキル基)、例えばベンジル基、エステル基で置換されたアルキル基、第三級アミノ基で置換されたアルキル基、またはアルキルジアルコキシシランもしくはアルキルトリアルコキシシラン基で置換されたアルキル基であってもよい。
【0046】
一部の実施形態によれば、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ペンチルまたはn-ヘキシル基である。
【0047】
他の実施形態によれば、Rはベンジル基である。
【0048】
式(II)中、Mは、好ましくはLi、NaおよびKから選択される一価の陽イオンを表す。
【0049】
より好ましくは、MはNa陽イオンである。
【0050】
、RおよびRは、それぞれ独立して、1~10個の炭素原子を含有する基を表す。
【0051】
したがって、R、R、およびRは、それぞれ独立して、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル基もしくはアリールアルキル基から選択されてもよい。例えば、R、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、またはアリール基で置換されたアルキル基(アリールアルキル基)、例えばアルキルフェニルから選択されてもよい。
【0052】
は、水素原子、または1~10個の炭素原子を含有する基であってもよい。Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル、アリールアルキルもしくはアリール基であってもよい。例えば、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリール基で置換されたアルキル基(アリールアルキル基)、例えばアルキルフェニル、または無置換であるかもしくはアルキル基(=アルキルアリール基)、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基もしくはカルボニル基などの1つまたは複数の基で置換されたフェニル基から選択されてもよい。
【0053】
一部の好ましい実施形態によれば、R、R、RおよびRは、1~7個の炭素原子を含有するアルキル基であってもよい。例えば、R、RおよびRは、メチル基であってもよく、Rは、メチル、イソプロピル、シクロヘキシルまたはtert-ブチル基であってもよい。
【0054】
一部の好ましい実施形態によれば、R、RおよびRは、1~7個の炭素原子を含有するアルキル基、例えばメチル基であってもよく、Rは、アリール基、例えばフェニルであってもよい。
【0055】
あるいは、好ましくは、R、R、RおよびRのうちの少なくとも2つは環の要素である。これは、ある基における1つの原子と他の基における1つの原子との間に共有結合があることを意味する。
【0056】
したがって、一部の実施形態によれば、RおよびR、またはRおよびRは、環の要素であってもよい。これにより、一般式(III)または(IV)の触媒などの単環式触媒を得ることが可能になる。
【0057】
式(III)の触媒の場合、R基およびR基は環を形成するが、式(IV)の触媒の場合、環を形成するのはR基およびR基である。
【0058】
これらの式(III)の触媒の場合、nは0~3、好ましくは0~1の数であってもよく、より好ましくは、nは1であってもよい。したがって、式(III)の触媒は、5原子環、6原子環、7原子環または8原子環、好ましくは5原子または6原子環、より好ましくは6原子環を含んでもよい。
【0059】
式(IV)の触媒の場合、uは1~4、好ましくは1~2の数であってもよく、より好ましくは、uは1であってもよい。したがって、式(IV)の触媒は、5原子環、6原子環、7原子環または8原子環を含んでもよい。
【0060】
式(III)および(IV)の触媒において、R、R、RおよびRは、式(I)および(II)について定義された通りである。
【0061】
、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、およびR14は、それぞれ互いに独立して、水素原子、または1~10個の炭素原子を含有する基、好ましくは1~7個の炭素原子を含有する基から選択されてもよい。
【0062】
したがって、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル、アリールアルキルもしくはアリール基から選択されてもよい。例えば、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、およびR14は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリール基で置換されたアルキル基(アリールアルキル基)、例えばアルキルフェニル、または無置換であるかもしくはアルキル(=アルキルアリール基)、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基もしくはカルボニル基などの1つまたは複数の基で置換されたフェニル基から選択されてもよい。
【0063】
一部の実施形態によれば、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、およびR14のうちの少なくとも1つ、好ましくはR、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、およびR14のうちの少なくとも2つ、好ましくはR、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、およびR14のうちの少なくとも3つ、より好ましくはR、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、およびR14のうちの少なくとも4つ、好ましくはR、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、およびR14のうちの少なくとも5つ、さらに好ましくはR、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、およびR14のすべてが水素原子である。
【0064】
上記式(III)および(IV)には示していないが、-N-R基が、Mが上記の通りである-N-M基で置き換えられていることも可能である。
【0065】
他の好ましい実施形態によれば、RおよびRは第1の環の要素であり、RおよびRは第2の環の要素である。このような触媒は二環式である。二環式触媒は、特に、一般式(V)の化合物であってもよい。
【0066】
式(V)の触媒の場合、R基およびR基は第1の環を形成し、R基およびR基は第2の環を形成する。
【0067】
この場合、tは1~4、好ましくは1~3の数であってもよく、より好ましくは、tは1または2の数であってもよい。したがって、式(V)の触媒は、5原子環、6原子環、7原子環または8原子環を含んでもよい。
【0068】
加えて、uは上記で定義された通りである。
【0069】
一部の実施形態によれば、tとuとは異なる。
【0070】
好ましい実施形態によれば、tとuとは同一であり、例えば、nおよびuは1に等しいか、またはnおよびuは2に等しい。
【0071】
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれ互いに独立して、水素原子、または1~10個の炭素原子を含有する基、好ましくは1~7個の炭素原子を含有する基から選択されてもよい。
【0072】
したがって、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖状もしくは分枝鎖状のいずれかのアルキル基、またはシクロアルキル、アリールアルキルもしくはアリール基から選択されてもよい。例えば、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリール基で置換されたアルキル基(アリールアルキル基)、例えばアルキルフェニル、または無置換であるかもしくはアルキル(=アルキルアリール基)、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基もしくはカルボニル基などの1つまたは複数の基で置換されたフェニル基から選択されてもよい。
【0073】
一部の実施形態によれば、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のうちの少なくとも1つ、好ましくはR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のうちの少なくとも2つ、好ましくはR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のうちの少なくとも3つ、より好ましくはR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のうちの少なくとも4つ、好ましくはR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のうちの少なくとも5つ、好ましくはR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のうちの少なくとも6つ、好ましくはR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のうちの少なくとも7つ、さらに好ましくはR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18のすべてが水素原子である。
【0074】
一部の実施形態によれば、式(V)の第1の触媒において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17およびR18は水素原子であり、tおよびuは1に等しいか、またはtおよびuは2に等しいか、またはtは1に等しく、uは2に等しいか、またはtは2に等しく、uは1に等しいか、またはtは2に等しく、uは3に等しいか、またはtは2に等しく、uは4に等しいか、またはtは3に等しく、uは2に等しいか、またはtは4に等しく、uは2に等しい。
【0075】
上記式(V)には示していないが、-N-R基が-N-Mで置き換えられていることも可能であり、ここで、Mは上記の通りである。
【0076】
一部の好ましい実施形態によれば、第1の触媒は、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(MTBD)、ベンジル化1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(Bn-TBD)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンナトリウム(TBD-Na)、N-メチル-1,4,6-トリアザビシクロ[3.3.0]オクタ-4-エン(MTBO)、1,4,6-トリアザビシクロ[3.3.0]オクタ-4-エンナトリウム(TBO-Na)、ペンタメチルグアニジン(PTMG)、テトラメチルグアニジン(TMG)、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(BTMG)、N,N,N’,N’-テトラメチル-N’’-フェニルグアニジン(Ph-TMG)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジンイミン、1,3-ジメチル-2-メチルイミノイミダゾリジン(1,3-dimethyl-2-methyliminoimidazolidine)、およびそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0077】
一部の好ましい実施形態によれば、イソホロンジイソシアネートおよびポリオール(複数可)と接触させる第1の触媒は1種のみである。
【0078】
他の実施形態によれば、上記のような2種以上の第1の触媒の混合物(例えば、2種、3種または4種の第1の触媒)を、イソホロンジイソシアネートおよびポリオール(複数可)と接触させる。
【0079】
好ましくは、この工程の間、他の触媒は反応物と接触させず、特に以下に詳述する第2の触媒はこの工程において反応物と接触させない。
【0080】
イソシアネート(イソホロンジイソシアネート)とポリオール(複数可)との混合物の重量に対して、第1の触媒(または、1種より多い第1の触媒がこの工程の間に存在する場合には、異なる第1の触媒)は、50~10,000ppm、好ましくは100~5,000ppm、好ましくは200~1,000ppm、好ましくは300~800ppmの含有量で存在してもよい。
【0081】
ポリオール(複数可)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0082】
一部の実施形態によれば、1種のポリオールをイソホロンジイソシアネートと接触させる。
【0083】
他の実施形態によれば、2種以上のポリオール(例えば、2種、3種または4種のポリオール)をイソホロンジイソシアネートと接触させる。
【0084】
使用可能なポリオール(複数可)は、200g/mol~10,000g/mol、好ましくは400~5,000g/mol、好ましくは400~3,000g/molの範囲の数平均分子量を有してもよい。
【0085】
ポリオールの数平均分子量は、mgKOH/gで表される水酸基価(OH価)とポリオールの官能価から計算するか、当業者によく知られた方法、例えば標準ポリスチレンを用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって求めることができる。
【0086】
ポリオール(複数可)は、2~6、好ましくは2~3の範囲のヒドロキシル官能価を有してもよい。本発明の文脈において、別途指定のない限り、ポリオールのヒドロキシル官能価は、ポリオール1mol当たりのヒドロキシル官能基の平均数である。
【0087】
ポリオール(複数可)が1種または複数種のポリエステルポリオールである場合、該ポリオールは、8,000g/mol~15,000g/mol、好ましくは800~10,000g/mol、好ましくは800~5,000g/mol、より好ましくは800~3,000g/molの範囲の数平均分子量を有してもよい。
【0088】
ポリエステルポリオールの例としては、
- ヒマシ油などの天然由来のポリエステルポリオール;
- 1種または複数種の脂肪族(直鎖状、分枝鎖状、環状)または芳香族ポリオール、例えばエタンジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘキサン-1,2,6-トリオール、ブテンジオール、スクロース、グルコース、ソルビトール、ペンタエリスリトール、マンニトール、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミンおよびそれらの混合物と、1種または複数種のポリカルボン酸またはエステルもしくは無水物誘導体、例えばヘキサン-1,6-二酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、オクタデカン-1,18-二酸、フタル酸、コハク酸、およびこれらの酸の混合物、不飽和無水物、例えばマレイン酸または無水フタル酸またはラクトン、例えばカプロラクトンとの縮合により得られるポリエステルポリオール
が挙げられる。
【0089】
上述のポリエステルポリオールは、従来の手段で調製することができ、大部分は市販されている。
【0090】
ポリエステルポリオールの例としては、ヒドロキシル官能価が2に等しい以下の製品が挙げられる。
- 数平均分子量が425~455g/molの間、水酸基価(OH価)が370~396mgKOH/gの間の脂肪族ポリエステルジオールである、Dekatol(登録商標)3008(Bostik社から販売)、
- 数平均分子量が967~1,038g/molの間、水酸基価(OH価)が108~116mgKOH/gの間のポリエステルポリオールである、Realkyd XTR 10410(Arkema社から販売)、
- 数平均分子量が794~843g/molの間、水酸基価(OH価)が133~143mgKOH/gの間のポリエステルポリオールである、Realkyd XTR 09431(Arkema社から販売)、
- 数平均分子量が967~1,038g/molの間、水酸基価(OH価)が108~116mgKOH/gの間のポリエステルポリオールである、Realkyd XTR 10W30(Arkema社から販売)。
【0091】
一部の実施形態によれば、ポリエステルポリオールは、ヒマシ油ポリオールエストリド(castor polyol estolide);ヒマシ油;エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、および/またはヘキサン-1,6-ジオールと、アジピン酸および/またはフタル酸のさまざまな異性体との縮合により得られるポリエステルポリオール;ならびにそれらの混合物から選択される。
【0092】
ポリオール(複数可)が1種または複数種のポリエーテルポリオールである場合、該ポリオールは、200~10,000g/mol、好ましくは400~10,000g/mol、好ましくは400~5,000g/mol、好ましくは400~3,000g/molの範囲の数平均分子量を有してもよい。
【0093】
好ましくは、ポリエーテルポリオール(複数可)は、2~3の範囲のヒドロキシル官能価を有する。
【0094】
本発明の文脈において、ポリエーテルポリオールは、好ましくはポリオキシアルキレンポリオールであって、アルキレン部分が直鎖状または分枝鎖状であり、1~4個の炭素原子、好ましくは2~3個の炭素原子を含有する、ポリオキシアルキレンポリオールから選択される。
【0095】
より好ましくは、ポリエーテルポリオール(複数可)は、ポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、より好ましくはポリオキシアルキレンジオールであって、アルキレン部分が直鎖状または分枝鎖状であり、1~4個の炭素原子、好ましくは2~3個の炭素原子を含有する、ポリオキシアルキレンジオールから選択されてもよい。
【0096】
本発明に従って使用されてもよいポリオキシアルキレンジオールまたはトリオールの例としては、以下が挙げられる:
- 200g/mol~10,000g/molの範囲、好ましくは400g/mol~12,000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリオキシプロピレンジオールまたはトリオール(ポリプロピレングリコール(PPG)ジオールまたはトリオールとも呼ばれる)、
- 200g/mol~10,000g/molの範囲、好ましくは400g/mol~10,000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリオキシエチレンジオールまたはトリオール(ポリエチレングリコール(PEG)ジオールまたはトリオールとも呼ばれる)、
- 200g/mol~10,000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリオキシブチレングリコール(ポリブチレングリコール(PBG)ジオールまたはトリオールとも呼ばれる)、
- 200g/mol~10,000g/molの範囲の数平均分子量を有するPPG/PEG/PBGジオールまたはトリオール共重合体またはターポリマー、
- 200g/mol~10,000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリテトラヒドロフラン(ポリTHF)ジオールまたはトリオール、
- 200g/mol~10,000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリテトラメチレングリコール(PTMG)、
- およびそれらの混合物。
【0097】
好ましくは、ポリエーテルポリオールは、ポリオキシプロピレンジオールまたはトリオール、およびポリオキシエチレンジオールまたはトリオールから選択される。より好ましくは、ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、好ましくはポリプロピレングリコールから選択される。上述のポリエーテルポリオールは、従来の手段で調製することができ、広く市販されている。ポリエーテルポリオールは、例えば、複合金属シアン化物錯体(DMC)を主成分とする触媒の存在下、対応するアルキレンオキシドの重合によって得ることができる。
【0098】
より好ましくは、第1のポリオールは、ジオールとトリオールとの混合物、例えばポリオキシプロピレンジオールとポリオキシプロピレントリオールとの混合物である。
【0099】
ポリエーテルジオールの例としては、Covestro社からAcclaim(登録商標)の名称で販売されているポリオキシプロピレンジオール、例えば8,057g/molに近い数平均分子量を有するAcclaim(登録商標)8200、および4,020g/molに近い数平均分子量を有するAcclaim(登録商標)4200、あるいは、Dow社からVoranol(登録商標)の名称で販売されているポリオキシプロピレンジオール、例えば1,000g/molに近い数平均分子量を有するVoranol 1010L、および2,004g/molに近い数平均分子量を有するVoranol 2000Lが挙げられる。
【0100】
ポリエーテルトリオールの例としては、3,554g/molに近い数平均分子量を有する、Dow社からVoranol(登録商標)CP3355の名称で販売されているポリオキシプロピレントリオール、および425~455g/molの間の平均分子量を有するポリオキシプロピレントリオールであるVoranol(登録商標)CP450が挙げられる。
【0101】
好ましい実施形態によれば、この工程におけるNCO/OHモル比は、1.5~5.5の間、好ましくは1.5~4の間、好ましくは1.5~3の間、より好ましくは1.5~2の間である。例えば、該モル比は、1.5~2;または2~2.5;または2.5~3;または3~3.5;または3.5~4;または4~4.5;または4.5~5;または5~5.5であってもよい。本発明の文脈において、別途指定のない限り、NCO/OHモル比は、使用されるポリイソシアネート(複数可)およびポリオール(複数可)中にそれぞれ存在するヒドロキシル基(OH)の数に対するイソシアネート基(NCO)の数のモル比に対応する。詳細には、NCO/OHモル比を低くすることにより、残留モノマー量を低減することが可能になる。
【0102】
少なくとも1種のイソホロンジイソシアネートモノマーを、第1の触媒の存在下で少なくとも1種のポリオールと接触させる工程の間に、第1のポリオール中に存在するヒドロキシル基は、(第1の触媒の存在下で)イソホロンジイソシアネートのイソシアネート末端と反応して、ウレタンプレポリマーを形成することができる。より詳細には、上記のように、イソホロンジイソシアネートは、第一級炭素原子に結合した第1のイソシアネート基および第二級炭素原子に結合した第2のイソシアネート基を含有する非対称ジイソシアネートである。第1の触媒の存在により、反応の位置選択性を高めることが可能になる。言い換えれば、第1の触媒により、ヒドロキシル基と第1のイソシアネート基または第2のイソシアネート基のいずれかとの反応を「導く」ことが可能になる。これにより、先に示したNCO/OH比の選択に加えて、残留モノマー量の制御も可能になる。
【0103】
この反応の位置選択性は、以下に詳述する方法に従って計算される。したがって、イソホロンジイソシアネートの量xとジオールの量yとを反応させると、以下の反応スキームに示されるように、3種の異なる生成物が得られる場合がある。生成物の量y、z、t、および残留モノマーの量x’は、反応の位置選択性に依存する。言い換えれば、ジオールは、第一級炭素原子に結合したイソシアネート基と反応することができ、また、第二級炭素原子に結合したイソシアネート基と反応することもできる。以下の反応スキームにおいて、鎖のカルバメート官能基-NH-(C=O)-O-の炭素原子は、第一級炭素原子をC1’、第二級炭素原子をC2’とし、カルバメート官能基-NH-(C=O)-O-の鎖末端の炭素原子は、第一級炭素原子をC1、第二級炭素原子をC2とする。
【0104】
イソホロンジイソシアネートのイソシアネート基の相対的な反応性を求めるために、13C-NMR分光法(300MHz 1H、条件:パルス角度:30、緩和時間:2秒、スキャン数1,000未満)により、以下のモル当量比を求めた。
【0105】
モル当量比は、鎖中のC1’=C2’という知識により分子に簡略化できる。
【0106】
値r(位置選択性)は-2/(C1+C1’)+(C2+C2’)と+2/(C1+C1’)+(C2+C2’)の間でのみ変化し得、分子の値2はプレポリマー1モル当たり鎖末端の2つのカルバメート官能基に対応する。
【0107】
この方法に基づいて、第1の触媒を使用することにより、0.10以上、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.3以上の位置選択性(r)を有するプレポリマーを得ることが可能になる。例えば、位置選択性は、0.10~0.15;または0.15~0.20;または0.20~0.25;または0.25~0.30;または0.30~0.35;または0.35~0.40;または0.40~0.45;または0.45~0.50;または0.50~0.55;または0.55~0.60;または0.60より大きい値を有することができる。
【0108】
特に、第1の工程におけるNCO/OH比が4.5~5.5、例えば5に近い場合、位置選択性は、有利には0.25以上、または0.30以上、または0.35以上、または0.40以上、または0.45以上である。第1の工程におけるNCO/OH比が1~2、例えば1.5~1.9、さらに好ましくは約1.5の場合、位置選択性は、有利には0.10以上、または0.15以上、または0.20以上、または0.25以上であり、好ましくは0.30以上である。
【0109】
この位置選択性は、ピークC1、C1’、C2、およびC2’の定量的積分を可能にする取得条件(300MHz H、条件:パルス角度:30、緩和時間:2秒、スキャン数1,000未満)を用いた13C-NMR分光法によって求められる。
【0110】
この工程の間、イソホロンジイソシアネート、ポリオール(複数可)、およびグアニジン型触媒に加えて、1種または複数種の別の化合物が存在してもよい。例えば、このような別の化合物は、好ましくは酢酸エチル、アセトン、およびメチルエチルケトンから選択される溶媒であってもよい。
【0111】
この工程は、30~120℃、好ましくは40~100℃、好ましくは50~90℃の範囲の温度で実施してもよい。
【0112】
さらに、この工程は、本発明のグアニジン型触媒を用いて、2~10時間、好ましくは2~4時間実施してもよい。
【0113】
この工程の最後に得られるプレポリマーは、800~20,000g/mol、好ましくは1,000~10,000g/mol、好ましくは2,000~8,000g/molの数平均分子量を有してもよい。分子量は、キャリブレーション用標準ポリスチレンを使用してサイズ排除クロマトグラフィーで測定される。
【0114】
加えて、ウレタンプレポリマーは、ウレタンプレポリマーの総重量に対して、NCO基の重量百分率が、2~20%、好ましくは2~10%、より好ましくは2~6%の範囲であってもよい。
【0115】
NCO/OHモル比が2未満の場合、ウレタンプレポリマーは、5%以下、好ましくは3%以下の残留モノマー含有量を有してもよい。
【0116】
このウレタンプレポリマーはまた、使用されるNCO/OH比および使用されるポリオールの性質に応じて、day+1で測定した23℃におけるブルックフィールド粘度が、500~400,000mPa・sの範囲、好ましくは500~300,000mPa・sの範囲、好ましくは500~200,000mPa・sの範囲、好ましくは500~100,000mPa・sの範囲、好ましくは500~50,000mPa・sの範囲、好ましくは500~25,000mPa・sの範囲、好ましくは500~12,000mPa・sの範囲、好ましくは500~6,000mPa・sの範囲、好ましくは500~3,000mPa・sの範囲であってもよい。
【0117】
工程2-ポリウレタンポリマーの形成
本発明による方法の第2の工程は、ウレタンプレポリマーを少なくとも1種の第2のポリオールと接触させてポリウレタンポリマーを形成することにより実施される。この工程は、第2の触媒の存在下で実施される。
【0118】
第2のポリオール(複数可)は、前述の第1のポリオール(複数可)と同じポリオールから選択されてもよい。
【0119】
一部の実施形態によれば、第2のポリオール(複数可)は、第1のポリオール(複数可)と同一であるか、第1のポリオール(複数可)と異なるか、または第1のポリオール(複数可)と部分的に異なる。
【0120】
一部の実施形態によれば、ウレタンプレポリマーと接触させるの第2のポリオールは1種のみである。
【0121】
他の実施形態によれば、1種より多い第2のポリオール(例えば、2種または3種の第2のポリオール)をウレタンプレポリマーと接触させる。
【0122】
好ましい実施形態によれば、この第2の工程におけるNCO/OHモル比は1.3~3、好ましくは1.5~2であってもよい。
【0123】
第2の触媒は、金属触媒である。「金属触媒」とは、少なくとも1つの金属原子を含有する触媒を意味すると理解される。
【0124】
好ましい実施形態によれば、金属は、スズ、亜鉛、ビスマス、アルミニウム、チタン、鉄、銅、およびジルコニウムから選択されてもよい。
【0125】
好ましくは、第2の触媒は、亜鉛触媒、ビスマス触媒、チタン触媒、鉄触媒、銅触媒、ジルコニウム触媒、アルミニウム触媒、およびそれらの組み合わせから選択される。言い換えれば、スズは、好ましくは、第2の触媒中に存在しない。
【0126】
第2の触媒は、カルボン酸金属塩であってもよい。
【0127】
カルボン酸塩は、カルボン酸が2~20個の炭素原子、好ましくは4~14個の炭素原子を含有するものであってもよい。カルボン酸の例としては、酢酸、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アビエチン酸、ネオデカン酸、2,2,3,5-テトラメチルヘキサン酸、2,4-ジメチル-2-イソプロピルペンタン酸、2,5-ジメチル-2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルオクタン酸、2,2-ジエチルヘキサン酸、およびアラキジン酸が挙げられる。
【0128】
カルボン酸塩は、モノカルボン酸塩、ジカルボン酸塩、トリカルボン酸塩、またはそれらの混合物であってもよい。
【0129】
あるいは、第2の触媒は、金属配位錯体、すなわち1つまたは複数の有機配位子と錯化した金属であってもよい。この種の触媒は、例えば、亜鉛アセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート(例えば、Dorf Ketal社からTyzor(登録商標)AA75の名称で市販されている)、チタンテトラアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムキレート、例えばモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)(例えばKing Industries社からK-KAT(登録商標)5218の名称で市販されている)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジイソプロポキシビス(エチルアセトナト)チタン、ジルコニウムアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0130】
さらに代替的には、第2の触媒は、例えば、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジエチルヘキサノエート、ジオクチルスズジネオデカノエート(例えば、TIB Chemicals社からTIB KAT(登録商標)223の名称で入手可能)などのジオクチルスズジカルボキシレート、ジオクチルスズジラウレート(DOTL)(例えばTIB Chemicals社からTIB KAT(登録商標)216の名称で入手可能)、ジブチルスズジオレエート、ジブチルスズベンジルマレエート、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0131】
好ましい実施形態によれば、第2の触媒は、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセタト)チタン、ネオデカン酸亜鉛、ネオデカン酸チタン、鉄アセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0132】
一部の実施形態によれば、ウレタンプレポリマーおよび第2のポリオール(複数可)と接触させる第2の触媒は1種のみである。
【0133】
他の実施形態によれば、2種以上の第2の触媒(例えば2種)の混合物をウレタンプレポリマーおよび第2のポリオール(複数可)と接触させる。
【0134】
第2の触媒は、OH成分の重量に対して、100~2,000ppm、好ましくは200~800ppmの含有量で存在してもよい。
【0135】
この工程の間、ウレタンプレポリマー、第2のポリオール(複数可)および金属触媒(複数可)に加えて、1種または複数種の別の化合物が存在してもよい。例えば、このような別の化合物は、好ましくは酢酸エチル、アセトン、およびメチルエチルケトンから選択される溶媒であってもよい。
【0136】
この第2の工程の間におけるウレタンプレポリマーと第2のポリオール(複数可)および第2の触媒(複数可)との接触は、第1の工程により得られた、ウレタンプレポリマーを含む混合物に、第2のポリオール(複数可)および第2の触媒(複数可)を添加することによって実施してもよい。
【0137】
この第2の工程は、15~60℃の温度で、好ましくは23~50℃の温度で実施してもよい。
【0138】
2成分組成物
本発明はまた、NCO成分とOH成分とを含む2成分組成物に関する。
【0139】
組成物のNCO成分は、上記の方法における第1の工程に従って調製されたウレタンプレポリマーを含む。
【0140】
好ましい実施形態によれば、NCO成分は、イソホロンジイソシアネートを第1のポリオール(複数可)および第1の触媒と接触させた後に得られる混合物に相当する。すなわち、得られたプレポリマーは、この混合物から単離または精製されておらず、したがって、プレポリマーおよび第1の触媒(ならびに残留ポリオールおよびイソホロンジイソシアネート)を含む混合物が、NCO成分に相当する。
【0141】
他の実施形態によれば、ウレタンプレポリマーは組成物のNCO成分の一部である。
【0142】
任意選択で、1種または複数種の添加剤をNCO成分に添加してもよい。これらの添加剤は、可塑剤、溶媒、顔料、接着促進剤、吸湿剤、UV安定剤(または抗酸化剤)、モレキュラーシーブ、蛍光性物質、レオロジー添加剤、およびそれらの混合物から選択されてもよい。
【0143】
ウレタンプレポリマーは、NCO成分の総重量に対して60~100%、好ましくは70~99%の範囲の含有量で存在してもよい。
【0144】
添加剤は、組成物のNCO成分の重量に対して、0~10%、好ましくは0~2%の含有量で存在してもよい。
【0145】
上記組成物のOH成分は、上記のように、第2のポリオール(複数可)および第2の触媒を含む。
【0146】
一部の実施形態によれば、OH成分中に存在する第2のポリオールは1種のみである。
【0147】
他の実施形態によれば、2種以上の第2のポリオール(例えば、2種、3種、4種または5種のポリオール)がOH成分中に存在する。
【0148】
第2のポリオール(複数可)は、OH成分の総重量に対して、60~100%、好ましくは70~99%の含有量で存在してもよい。
【0149】
一部の実施形態によれば、OH成分中に存在する第2の触媒は1種のみである。
【0150】
他の実施形態によれば、2種以上の第2の触媒(例えば2種)がOH成分中に存在する。
【0151】
第2の触媒は、OH成分の重量に対して、100~2,000ppm、好ましくは200~800ppmの含有量で存在してもよい。
【0152】
本発明によるOH成分はまた、NCO成分中に存在し得る添加剤、例えば可塑剤、溶媒、顔料、接着促進剤、吸湿剤、UV安定剤(または抗酸化剤)、蛍光性物質、レオロジー添加剤、およびそれらの混合物を含んでもよい。
【0153】
添加剤は、組成物のOH成分の重量に対して、0~10%、好ましくは0~2%の含有量で存在してもよい。
【0154】
2成分組成物のNCO成分およびOH成分は、好ましくは、組成物が使用されるまで分離したままであってもよい。
【0155】
組成物の使用
本発明の2成分組成物は、組成物のNCO成分をOH成分と混合することにより調製してもよい。この混合の間、第2のポリオール中に存在するヒドロキシル基は、(第2の触媒の存在下で)ウレタンプレポリマーのイソシアネート末端と反応して、ポリウレタン接着剤を形成することができる。
【0156】
NCO成分は、NCO/OHモル比が1.5~2.5、好ましくは1.7~2.0の範囲でOH成分と混合してもよい。
【0157】
2成分組成物は、紙、金属、例えばアルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンとプロピレンとを主成分とする共重合体、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、さらにはエチレン系共重合体、例えば無水マレイン酸グラフト共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体(EVA)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体(EVOH)、エチレンとアルキルアクリレートとの共重合体、例えばメチルアクリレート(EMA)もしくはブチルアクリレート(EBA)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、乳酸のポリマーもしくは共重合体(PLA)、またはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)などの基材の処理に使用することができる。また、1μm未満のアルミニウム、アルミナ、またはシリカの層で覆われた熱可塑性ポリマー、好ましくはPET、PE、およびPPからなる薄い層も利用可能である。
【0158】
組成物のOH成分は、2成分組成物(NCO成分とOH成分との混合物)を基材の表面にコーティングする前に、OH成分と混合される。
【0159】
NCO成分は、室温、例えば15~60℃、好ましくは23~50℃の温度でOH成分と混合してもよい。
【0160】
次いで、23~50℃、好ましくは35~40℃の範囲の温度で、基材の表面における2成分組成物のコーティングを実施してもよい。
【0161】
2成分組成物は、基材の表面に連続層を形成することができる。この層は、1μm~25μm、好ましくは1μm~10μm、より好ましくは1μm~5μmの厚さを有してもよい。
【0162】
本発明の2成分組成物は、2つの基材を接合するための接着剤組成物として使用することができる。したがって、架橋後、この組成物は、2つの基材を固定する接着剤層を形成することができる。より詳細には、2成分組成物を基材の表面にコーティングした後、2つの基材が接合されるように、コーティングされた表面に別の基材の表面を接触させることができる。一部の実施形態によれば、コーティングされた表面に別の基材を接触させた後、2つの基材の接触が促進されるように、アセンブリーを加熱プレス下に置くことができる。このプレスの温度は、例えば60~110℃、好ましくは80~100℃であってもよい。
【0163】
このようにして、本発明の組成物を塗布した後に作製された物品は、2成分組成物でコーティングされた少なくとも1つの表面を備える。これは、物品の内部表面、すなわち、例えば物品の別の表面と接触している物品の表面であり、2成分組成物はこれら2つの表面の間に位置している。
【0164】
一部の実施形態によれば、作製された物品は、2つより多い層(または基材)、例えば3つまたは4つの層(または基材)を備えてもよく、これらの層は、本発明の2成分組成物によって固定されている。
【0165】
したがって、本発明の2成分組成物は、軟包装の作製のための多層フィルムを調製するために使用することができる。この種のフィルムは、(消費者向けの製品を包装する工程の後に)ヒートシール(熱溶着)技術によって成形され、閉じられる多様な軟包装の作製に使用することができる。
【0166】
好ましい実施形態によれば、これらのフィルムは、軟包装で包装された食品の殺菌などの殺菌処理を意図した該軟包装の作製に使用される。
【実施例
【0167】
以下の実施例により、本発明を限定することなく説明する。
【0168】
実施例に関連して、以下の化合物を使用した。
Vestanat IPDI:Evonik社から販売されているイソホロンジイソシアネート、モル重量222.6g/mol、NCO含有率37.5~37.8%、
Voranol(登録商標)1010L:Dow社から販売されているポリプロピレングリコール、数平均分子量984~1058g/mol、水酸基価(OH価)106~114mgKOH/g、
Voranol(登録商標)CP450:Dow社から販売されているポリプロピレングリコールトリオール、数平均分子量425~455g/mol、水酸基価(OH価)370~396mgKOH/g、
Dekatol(登録商標)3008:Bostik社から販売されている脂肪族ポリエステルジオール、数平均分子量967~1,039g/mol、水酸基価(OH価)108~116mgKOH/g、
MTBD:7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デカ-5-エン(CAS番号84030-20-6)、
DABCO:1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(CAS番号280-57-9)、
TIB KAT(登録商標)216:TIB Chemicals社から販売されているジオクチルスズジラウレート。
【0169】
実施例1
さまざまな触媒を使用して、ウレタンプレポリマー形成の間の位置選択性を調べた。
【0170】
したがって、Vestanat IPDI 62.4gを、Voranol 1010L 29.8g、Voranol CP450 8.1g、およびリン酸10ppm(ポリオール中に存在する任意の微量の触媒を中和するため)の混合物と、75~78℃の間の温度で、理論NCO含有率18.6%に達するまで、下表に示すさまざまな触媒と接触させた。この理論比は、反応媒体の組成および使用する出発物質の官能価に基づく計算によって求められる。
【0171】
NCO/OH比は4.9である。
【0172】
明細書に詳述されている方法を使用して比rを計算した。
【0173】
比rは、第一級炭素原子に結合したイソシアネート基の、第二級炭素原子に結合したイソシアネート基に対する位置選択性に相当し、上記の方法に従って計算される。比rは、使用する触媒により第一級炭素原子(C1)に結合したイソシアネート基の反応が優先される場合は0より大きく、触媒により第二級炭素原子(C2)に結合したイソシアネート基の反応が優先される場合は0より小さい。比rが0に近づくにつれて、触媒の位置選択性は低下する。
【0174】
ジオクチルスズを触媒として使用した場合に得られるのと同様の反応が得られるように、触媒濃度を調整した。
【0175】
上記の表の結果によれば、触媒を使用しない場合の反応(エントリー1)により、式(I)および(II)の触媒を使用した場合に得られるのと逆の位置選択性を得ることが可能になる。この逆位置選択性は、金属触媒(エントリー2~5)、プロトン化グアニジン型触媒(エントリー6および7)、ホスファゼン型触媒(エントリー8)、ならびにアミジン型触媒(エントリー9)でも得られる。アミジン(エントリー10)および第三級アミン(エントリー11)型の他の触媒により、式(I)および(II)の触媒と同じ方向の位置選択性を得ることが可能になるが、所望するよりも顕著ではない。最後に、式(I)および(II)に相当する触媒(エントリー12~18)を用いると、0.25より大きい比rを有するウレタンプレポリマーを得ることが可能になる。
【0176】
実施例2
さまざまな触媒を使用して、ウレタンプレポリマー形成の間の位置選択性を調べた。
【0177】
したがって、Vestanat IPDI 23.3gを、Voranol 1010L 29.8g、Voranol CP450 8.1g、およびリン酸10ppm(ポリオール中に存在する任意の微量の触媒を中和するため)の混合物と、75~78℃の間の温度で、理論NCO含有率6.4%に達するまで、下表に示すさまざまな触媒と接触させた。この理論比は、反応媒体の組成および使用する出発物質の官能価に基づく計算によって求められる。
【0178】
NCO/OH比は1.83である。
【0179】
実施例1と同様に、上記の方法を使用して比rを計算した。比rは、使用する触媒により第一級炭素原子(C1)に結合したイソシアネート基の反応が優先される場合は0より大きく、第二級炭素原子(C2)に結合したイソシアネート基の反応が優先される場合は0より小さい。比rが0に近づくにつれて、触媒の位置選択性は低下する。
【0180】
上記の表の結果によれば、触媒を使用しない場合の反応(エントリー1)により、式(I)および(II)の触媒を使用した場合に得られるのと逆の位置選択性を得ることが可能になる。この逆位置選択性は、金属触媒(エントリー2~5)でも得られる。第三級アミン触媒DABCO(エントリー6)により、式(I)および(II)の触媒と同じ方向の位置選択性を得ることが可能になるが、所望するよりも顕著ではない。最後に、式(I)および(II)に相当する触媒(エントリー7および8)を用いると、0.2より大きい比rを有するウレタンプレポリマーを得ることが可能になる。
【0181】
実施例3
NCO成分をOH成分と混合することにより、3種の2成分組成物(A~C)を調製した。Aは本発明による組成物であり、BおよびCは比較用組成物である。
【0182】
NCO成分およびOH成分は、それぞれ100gの量で調製した。
【0183】
各組成物のNCO成分は、75~78℃の温度で、組成物AのNCO成分(MTBDにより触媒される)については2~3時間、組成物CのNCO成分(DOTLにより触媒される)については2~3時間、組成物BのNCO成分(DABCOにより触媒される)については32時間、成分を混合することにより調製した。MTBDは、ここでは本発明による第1の触媒の代表である。各組成物のNCO成分の合成に使用したNCO/OH比は1.7である。
【0184】
NCO%は、NF EN 1242規格を使用して測定される。
【0185】
OH価(水酸基価)はASTM E1899-08規格を使用して測定される。
【0186】
組成物A、BおよびCのNCOおよびOH成分を、NCO/OHモル比1.86で混合した。
【0187】
次いで、組成物A、BおよびCを使用して(坪量2.5g/m)、PET-ALU(20μm=PET 12μm+アルミニウム8μm)/接着剤組成物(2.5μm)/PE(50μm)多層フィルムを作製し、次いで、これらのフィルムを使用して、PET-ALU層とPE層との間における、接着剤組成物の23℃における架橋の反応速度を18日間にわたって測定した。2つのフィルム、PET-ALUとPEフィルムとの間における接着剤組成物の架橋度は、3つの多層フィルムから毎日採取したサンプルの、剥離後の接着剤フィルムにおけるNCO官能基の消失をモニターすることで、赤外分光分析により測定した。
【0188】
本発明の、Cat.1/Cat.2=MTBD/DOTLの組み合わせにより、比較用組成物BおよびCと比較して、組成物Aにおける架橋の反応速度が著しく向上し、10日後の架橋度が90%以上となることが判明した。
【国際調査報告】