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特表2023-554437ブレード結合部材を有するピッチ制御風力タービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ブレード結合部材を有するピッチ制御風力タービン
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/00 20160101AFI20231220BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F03D80/00
F03D1/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536979
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 DK2021050374
(87)【国際公開番号】W WO2022128040
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】PA202070843
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,トーマス エス. ビェルトラップ
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン,トーベン ジュール
(72)【発明者】
【氏名】オスターランド,ミッケル カイレリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ファジャール,モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】ベッチャー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ロバート トーマス
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB35
3H178BB77
3H178CC02
3H178DD31Z
3H178DD67Z
(57)【要約】
タワー(2)と、タワー(2)に取り付けられたナセル(3)と、ナセル(3)に回転可能に取り付けられたハブ(4)と、少なくとも3枚の風力タービンブレード(5)とを備えるピッチ制御風力タービンが開示される。風力タービンブレード(5)のそれぞれは、ピッチ機構を介してハブ(4)に結合された根元端(10)と先端との間に延在する。風力タービン(1)は、少なくとも3つのブレード結合部材(6)をさらに備え、ブレード結合部材(6)のそれぞれは、1つの風力タービンブレード(5)上の結合点(7)と、1つの風力タービンブレード(5)上の結合点(7)との間に延在し、結合点(7)は、風力タービンブレード(5)の根元端(10)から一定の距離を置いて、かつ風力タービンブレード(5)の先端から一定の距離を置いて配置されている。風力タービン(1)は、少なくとも3つの予張力部材(8)をさらに備え、予張力部材(8)のそれぞれはブレード結合部材(6)のうちの1つとハブ部分(4、9、26)に結合され、予張力部材(8)は、それによってブレード結合部材(6)に予張力を与える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タワー(2)と、前記タワー(2)に取り付けられたナセル(3)と、前記ナセル(3)に回転可能に取り付けられたハブ(4)と、少なくとも3つの風力タービンブレード(5)と、を備えるピッチ制御風力タービン(1)であって、 前記風力タービンブレード(5)のそれぞれは、ピッチ機構を介して前記ハブ(4)に結合された根元端(10)と先端との間に延在し、
前記風力タービン(1)は、少なくとも3つのブレード結合部材(6)をさらに備え、前記ブレード結合部材(6)のそれぞれは、1つの風力タービンブレード(5)上の結合点(7)と隣接する風力タービンブレード(5)上の結合点(7)との間に延在し、所定の風力タービンブレード(5)の結合点(7)は、前記風力タービンブレード(5)の根元端(10)から一定の距離、かつ前記風力タービンブレード(5)の先端から一定の距離に配置され、
前記風力タービン(1)は、少なくとも3つの予張力部材(8)をさらに備え、前記予張力部材(8)のそれぞれは、前記ブレード結合部材(6)の1つとハブ部分(4、9、26)とに、結合され、前記予張力部材(8)のそれぞれは、それによって、それが結合されている前記ブレード結合部材(6)に予張力を与えるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、前記予張力部材(8)は、前記ブレード結合部材(6)に調整可能な予張力を提供するように配置されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、前記結合点(7)は、前記風力タービンブレード(5)の外面の外側に配置されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記ブレード結合部材(6)は、前記風力タービンブレード(5)に、または前記風力タービンブレード(5)の一部をなす部分に、取り付けられる軸受構造(11)を介して、前記風力タービンブレード(5)のそれぞれに結合されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービンブレード(5)上の前記結合点(7)は、前記風力タービンブレード(5)の前記根元端(10)から前記先端までの長さの10%から60%の間となる前記根元端(10)からの距離に配置されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービンブレード(5)上の前記結合点(7)は、前記風力タービンブレード(5)の厚さ対弦の比が20%から50%の間となる位置に配置されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービンブレード(5)は、それぞれ、前記根元端(10)を含む内側ブレード部(5a)と、前記先端を含む外側ブレード部(5b)と、を備え、前記内側ブレード部(5a)と前記外側ブレード部(5b)とは分割位置(16)において互いに結合され、前記風力タービンブレード(5)上の前記結合点(7)は前記分割位置(16)に配置されているピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記ハブ(4)は、実質的に前記ハブ(4)の回転軸によって画定される方向に沿って前記ハブ(4)から延在するハブ部分(9)を備え、前記予張力部材(8)は前記ハブ部分(9)に結合されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項9】
請求項8に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記ハブ部分(9)は、前記予張力部材(8)を介して、前記予張力部材(6)および/または前記ブレード結合部材(6)に、調整可能な予張力および/または調整可能な剛性を提供するように配置されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記予張力部材(8)は、前記ハブ(4)の内側に配置された共通点(26)に結合されているピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービンブレード(5)は、2°から20°の間隔内のコーニング角を画定するピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービンブレード(5)上の前記結合点(7)は、前記風力タービンブレード(5)のピッチ軸(12)にまたはその付近に配置されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービンブレード(5)には、前記風力タービンブレード(5)の外殻に形成された少なくとも1つの溝(13)がそれぞれ設けられ、前記少なくとも1つの溝(13)は、前記ブレード結合部材(6)の一部を受容するように配置されているピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービンブレード(5)のそれぞれは、前記根元端(10)と前記先端との間で少なくとも一方向に湾曲しており、それによって前記風力タービンブレード(5)のピッチ軸(12)が、少なくとも結合点(7)において、前記風力タービンブレード(5)に関して外側に配置されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービンブレード(5)のそれぞれは長手方向に沿って延在し、前記長手方向は前記風力タービンブレード(5)の前記ピッチ機構のピッチ軸(12)に対してゼロではない角度を形成するピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記予張力部材(8)および/または前記ブレード結合部材(6)は、振動減衰機構を含むピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記予張力部材(8)および/または前記ブレード結合部材(6)には、空力装置(15)が設けられるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービン(1)は、逆風風力タービンであるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記風力タービンブレードの1つの前記結合点(7)は互いに隣接して配置され、および/または2つのブレード結合部材(6)が同じ結合点(7)に結合されるピッチ制御風力タービン(1)。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記予張力部材 (6) の張力は個別に調整可能である。
【請求項21】
請求項9から20のいずれか一項に記載のピッチ制御風力タービン(1)であって、
前記ハブ部分(9)は、前記ハブ(28)の前記回転軸と前記ブレード結合部材(6)と予張力部材(7)との間の前記結合点との間の方向に配置されたリニアアクチュエータを有する調整機構(25)を備えるピッチ制御風力タービン(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワーと、タワーに取り付けられたナセルと、ナセルに回転可能に取り付けられたハブと、ピッチ機構を介してハブに結合された少なくとも3つの風力タービンブレードとを備えるピッチ制御風力タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンの動作中、風力タービンのコンポーネントにはさまざまな負荷がかかる。
例えば、風力タービンの風力タービンブレードは、風力タービンブレードに作用する重力による負荷、風力タービンブレードにかかる風圧による負荷、風向または風速の変化、乱流などによる負荷を受ける。風力タービンブレードに作用する重力は主に風力タービンブレードにエッジ方向に荷重を与え、風力タービンブレードに作用する風は主に風力タービンブレードにフラップ方向に荷重を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
風力タービンのサイズが大きくなるにつれて、風力タービンに付加される負荷も増加する。このように増加した負荷を取り扱うために、風力タービンの製造に使用される材料の量が増加しうる。しかしながら、これは製造コストも増加はもちろんのこと、風力タービンの重量をも増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態の目的は、同じ長さの従来技術の風力タービンと比較して、風力タービンブレードにかかるエッジ方向および/またはフラップ方向の荷重が減少するピッチ制御風力タービンを提供することである。
【0005】
本発明は、タワーと、タワーに取り付けられたナセルと、ナセルに回転可能に取り付けられたハブと、少なくとも3枚の風力タービンブレードとを備えるピッチ制御風力タービンであって、風力タービンブレードのそれぞれは、ピッチ機構を介してハブに結合された根元端と先端との間に延在し、風力タービンはさらに、少なくとも3つのブレード結合部材を備え、前記ブレード結合部材のそれぞれは、1つの風力タービンブレード上の結合点と隣接する風力タービンブレード上の結合点との間に延在し、所定の風力タービンブレード(5)の結合点(7)は、前記風力タービンブレード(5)の根元端(10)から一定の距離、かつ前記風力タービンブレード(5)の先端から一定の距離に配置され、風力タービンは、少なくとも3つの予張力部材をさらに備え、予張力部材のそれぞれは、ブレード結合部材の1つとハブ部分に結合され、これにより、予張力部材のそれぞれは、ブレード結合部材が結合されるブレード結合部材に予張力を付与するピッチ制御風力タービンを付与する。
【0006】
したがって、本発明は、ピッチ制御風力タービン、たとえば、風力タービンブレードと流入風との間の迎え角を調整するために、風力タービンの運転中に、実質的に長手方向のピッチ軸の周りを回転することができる風力タービンブレードを備える風力タービンを提供する。
【0007】
風力タービンは、タワーと、タワーに取り付けられたナセルとを備える。風力タービンは、ナセル上に回転可能に取り付けられたハブと、少なくとも3つの風力タービンブレードとをさらに備える。風力タービンブレードのそれぞれは、ピッチ機構を介してハブに結合される根元端と先端との間に延在する。
【0008】
したがって、風力タービンブレードはハブとともにナセルに対して回転し、風力タービンブレードの先端はハブから離れる方向を向く。風力タービンのブレードはピッチ機構を介してハブに結合されているため、各風力タービンのブレードはハブに対して回転することができ、つまりピッチ方向移動を行う。
【0009】
ハブと風力タービンのブレードは、風力タービンのロータを形成する。しかるに、風力タービンのタイプは水平軸風力タービン(HAWT)であり、代表的には水平から10°以内の主軸を有する。ブレード根元がピッチ機構を介してハブに結合されているということは、ブレード根元がピッチ機構を介してハブに結合されているため、ブレードが長手方向ピッチ軸上でピッチ方向動作が可能であることを意味する。
【0010】
一般に、ナセルは、風向きに応じてロータを適切に向けるために、ナセルがタワーに対して回転できるように、ヨーシステムを介してタワーに取り付けられている。
【0011】
風力タービンは、少なくとも3つのブレード結合部材をさらに備える。ブレード結合部材のそれぞれは、1つの風力タービンブレード上の結合点と隣接する風力タービンブレード(5)上の結合点(7)との間に延在する。したがって、各結合部材は、2つの隣接する風力タービンブレードを相互結合する。所与の風力タービンブレード上の結合点は、ブレードの根元端からの距離、例えば、風力タービンブレードの根元端から先端までの長さの少なくとも10%の距離に、および風力タービンブレードの根元端から先端までの距離、例えば根元端から先端までの風力タービンブレードの長さの少なくとも10%。の距離に配置される。したがって、結合点は根元端にも先端にも配置されず、これら2つの端の間の位置に配置され、各端までの距離がゼロではない、たとえば根元から先端、そし両端まで。風力タービンブレードの長さの少なくとも10%の位置に配置される。
【0012】
風力タービンは、少なくとも3つの予張力部材をさらに備える。予張力部材のそれぞれは、ブレード結合部材の1つとハブ部分に結合されている。したがって、予張力部材はブレード結合部材をハブに向かって引っ張り、それによって予張力部材はブレード結合部材に張力を与え、ブレード結合部材によって結合されたブレードは互いに向かって張力が付与される。
【0013】
本願において、結合部材および予張力部材における「部材」という用語は、金属線(例えば鋼線など)の編組または撚り合わせたロープ、ポリマー繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、アラミド、無機繊維(例えば、炭素繊維など)またはそのような材料のハイブリッドロープ、複合引抜成形、金属棒などのように、あらゆる適切な種類の張力部材を包含するように広く解釈されるべきである。
【0014】
ブレード結合部材は、予張力部材の剛性とは異なる剛性を有してもよいし、ブレード結合部材と予張力部材の剛性は同一であってもよい。本願において、「ハブ部分」という用語は、ハブ、またはハブとともにナセルに対して回転するという意味でハブに結合された部品または要素を意味すると解釈されるべきである。このような部品または要素は、それがハブとともに回転する限り、ハブの外面に結合してもよいし、ハブから突出させてもよいし、ハブの内部に配置してもよいし、その他の適切な方法で配置してもよい。
【0015】
予張力部材は、例えば、風力タービンブレード上の各結合点から離れた位置でブレード結合部材に結合されてもよいし、たとえば結合点までの距離は実質的に等しくてもよく、すなわちブレード結合部材に沿った風力タービンブレード間のほぼ中間であってもよい。
【0016】
予張力がかけられたブレード結合部材は、風力タービンブレードに付加される荷重、特にエッジ方向の荷重とフラップ方向の荷重が、予張力を介して風力タービンブレード間で、予張力が付加されたブレード結合部材を介して、「共有」されるように、風力タービンブレードを相互に支持させる。これにより、風力タービンの動作中に風力タービンブレード上の負荷を、材料の厚さを薄くして処理することができる。さらに、またはその代替として、これは、同じ長さの従来技術のブレードと比較して、同じかまたは低減された重量、および/または同じかまたは低減された製造コストで達成させてもよい。
【0017】
ブレード結合部材の予張力は、ブレード結合部材とハブ部分を相互結合する予張力部材によって提供されるため、ブレード結合部材はいうまでもなく、予張力部材の予張力も制御することが可能であって、これにより、サービスや予張力の調整のためのハブからの容易なアクセスを提供する。さらに、所定の予張力に対して平均フラップ方向荷重がどの程度影響を受けるかを調整することが可能である。例えば、短い予張力部材では、フラップ方向の平均曲げモーメントにおいてより大きいシフトにつながり、しかるに長い予張力部材では、エッジ方向の曲げモーメント振幅のより大きな減少につながる。結局、予張力部材を使用することにより、予張力システムがブレード結合部材よりも、柔らかくまたは予張力部材の張力および/または長さを能動的に調整可能であるため、ブレード結合部材の緩みの危険性が低減される。
【0018】
予張力部材は、ブレード結合部材に調整可能な予張力を提供するように配置することができる。ブレード結合部材の張力は、予張力部材の張力、および予張力部材とブレード結合部材との間の角度に基づいて決定することができる。
【0019】
本実施形態によれば、予張力部材、または予張力部材に結合された調整予張力機構を適切に調整することにより、ブレード結合部材の予張力を調整することができる。予張力は、例えば、所望の予張力を正確に得るために、および/またはそれぞれのブレード結合部材の相互の予張力を適切にバランスさせるために、設置中に調整することができる。
【0020】
代替的にまたは追加的に、予張力は、風力タービンの動作中に、連続的にまたは繰り返し調整されてもよい。これは、たとえば、風速、ウィンドシア、乱流条件、温度、湿度などの周囲条件、および/またはブレードの方位角、ブレードのピッチ角、先端速度/回転(角)速度などの風力タービンの条件に関し、予張力が一般的な動作条件下で適切であることを保証するように関連しうる。
【0021】
ブレード結合部材に調整可能な予張力を与えるように予張力部材を設計することによって、所望の予張力を簡単な方法で正確に得ることができ、場合によっては、その予張力を一般的な動作条件に適合させることもできる。
【0022】
予張力を調整では、例えば、回転可能な部材に予張力部材を巻き付けたり巻き戻したりして、それにより予張力部材の長さの調整し、油圧アクチュエータなどのリニアアクチュエータの伸長/収縮させ、予張力部材の一部を形成するまたは予張力部材に作用する。
【0023】
結合点は、風力タービンブレードの外面の外側に配置されてもよい。
【0024】
本実施形態によれば、ブレード結合部材は、風力タービンブレードの外側シェルに対して外側のように、風力タービンブレードの外面の外側に配置された位置で各風力タービンブレードのそれぞれに結合される。例えば、ブレード結合部材は、ブレードのシェルの外側のように、風力タービンブレードの外側に配置させ、ないし結合される構造に結合してもよい。
【0025】
本発明の一態様では、1つの風力タービンブレードの結合点は、例えば互いに隣り合いまたは互いに隣接して配置され、または結合点のいくつかの構造要素を共有される。特別な場合において、(反対側の端部で異なるブレードに結合される)2つのブレード結合部材が、1つのブレードにおいて同じ結合点(7)に結合される。これには、ブレード結合部材に張力が付加された際に、ブレードが1つの結合された力の影響を受けて、ブレードがブレード結合部材によって2つの異なる方向の張力にさらされない効果を奏する。さらに、結合点が隣接しているときには、または両方のブレード結合部材に同じ結合点が使用されているときには、両ブレード結合部材の結合点をブレードピッチ軸に近づけたり、ブレードピッチ軸上に均等に配置したりすることができる。
【0026】
結合点を風力タービンブレードの外側に配置することにより、風力タービンブレードの表面を実質的に無傷に維持することができる。さらに、風力タービンブレードは、少なくともピッチ軸が結合点に対して注意深く位置決めされていれば、ブレード結合部材に影響を与えることなくピッチ方向移動を行うことができる。ブレード結合部材を風力タービンブレードに結合する構造には、例えば、構造の空力特性を改善するようなカバーが、例としては風力タービンブレードの空力特性への影響を最小化するように、揚力の増加および/または抗力の減少という点で、設けられてもよい。
【0027】
ブレード結合部材は、風力タービンブレードに取り付けられた、または風力タービンブレードの一部を形成する軸受構造を介して、それぞれの風力タービンブレードに結合され得る。軸受構造は、例えば、ローラ軸受、滑り軸受、球面軸受、または他の任意の適切な種類の軸受であってもよいし、それらを含んでもよい。
【0028】
軸受構造は、風力タービンブレードが軸受構造を介してブレード結合部材に対して回転できるようになっている。これにより、風力タービンブレードは、ブレード結合部材に影響を与えることなくピッチ方向移動を行うことができ、ピッチング中にブレード結合部材に望ましくない負荷、ねじれ、または張力が付加されることが避けることができる。ブレード結合部材が軸受構造を介して風力タービンブレードに結合しているときには、ピッチ軸がブレード結合部材のブレード幅方向の位置でブレードを通過することが好ましい。特に、ピッチ軸がこのブレード幅方向の位置で軸受構造によって形成される形状を通過することが有利であることが判明した。
【0029】
軸受構造が球面軸受である、または球面軸受を備える場合、ブレード結合部材は、結合点の周りで風力タービンブレードに対して自由に回転することができる。これにより、結合点において、ブレード結合部材と風力タービンブレードとの間で張力のみが伝達される。
【0030】
軸受構造が風力タービンブレードから突出しているか、または風力タービンブレードに対して周方向に配置されている場合、軸受構造の領域において風力タービンの空力特性を改善するために、軸受構造にフェアリングまたは同様の空力構造が設けられてもよい。
【0031】
風力タービンブレード上の結合点は、好ましくは、風力タービンブレードの根元端から先端までの長さの10%から60%の間、例えば風力タービンブレードの長さの20%から50%の間、例えば風力タービンブレードの長さの25%から40%の間のように、例えば風力タービンブレードの長さの約30%、のような距離に、配置されてもよい。他の場合には、風力タービンブレード上の結合点は、好ましくは、風力タービンブレードの根元端から先端までの長さの25%から60%の間、例えば風力タービンブレードの長さの35%から55%の間のように、例えば、風力タービンブレードの長さの40%から50%の間のような、根元端からの距離に、配置されてもよい。
【0032】
この実施形態によれば、風力タービンブレードの結合点は、風力タービンブレードの根元端からも先端からも十分に離れた位置に配置される。
【0033】
風力タービンブレードに沿った結合点の位置は、考慮する必要がある様々な問題のバランスを適切にとれる方法で選択することができる。例えば、結合点を風力タービンブレードの先端近くに配置すると、ブレード結合部材による風力タービンブレードに対する非常に効率的な支持が得られる。しかしながら、これには、ロータの回転中にブレード結合部材によって生じる高い抗力という代償が伴い、それによってエネルギー生成が減少する。一方、結合点を風力タービンブレードの根元端近くに配置すると、ブレード結合部材によって生じる抗力が低くなり、それによって風力タービンのエネルギー生成に対する悪影響が最小限に抑えられる。しかしながら、これには、ロータの回転中にブレード結合部材によって生じる高い抗力という代償が伴い、それによってエネルギー生成が減少する。一方、結合点を風力タービンブレードの根元端近くに配置すると、ブレード結合部材によって生じる抗力が低くなり、それによって風力タービンのエネルギー生成に対する悪影響が最小限に抑えられる。さらに、この領域内に結合点を配置することにより、風力タービンブレードの構造的剛性が十分に高いところでブレード結合部材が風力タービンブレードに確実に取り付けられる。例えば、風力タービンブレードの構造的剛性は先端に向かって減少するため、ブレード結合部材を先端に近すぎると結合すると、ブレードをピッチングする能力が妨げられうる風力タービンブレードに大きな事前変形が生じる。
【0034】
風力タービンブレード上の結合点は、風力タービンブレードの厚さ対弦比が20%と50%の間、例えば25%と35%の間、または30%と45%の間である位置に配置され得る。これは上述したように、効率的な支持と導入抗力との間のバランスが保たれ、風力タービンブレードの十分な構造的剛性が得られる風力タービンブレードの領域でもある。
【0035】
続いて、添付図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の第1の実施形態による風力タービンを示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態による風力タービンを示す図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る風力タービンの側面図である。
図4】本発明の一実施形態による風力タービン用の風力タービンブレードを示す図である。
図5】本発明の一実施形態による風力タービン用の風力タービンブレードを示す図である。
図6】本発明の一実施形態による風力タービン用の風力タービンブレードを示す図である。
図7】本発明の代替実施形態による風力タービン用の風力タービンブレードを示す図である。
図8】本発明の代替実施形態による風力タービン用の風力タービンブレードを示す図である。
図9】本発明の代替実施形態による風力タービン用の風力タービンブレードを示す図である。
図10】本発明の代替実施形態による風力タービン用の風力タービンブレードを示す図である。
図11】本発明の一実施形態による風力タービン用の湾曲した風力タービンブレードを示す図である。
図12】本発明の一実施形態による風力タービン用の湾曲した風力タービンブレードを示す図である。
図13】ピッチ軸が風力タービンブレードに対して外側に配置された風力タービンブレードのピッチングを示す図である。
図14】本発明の2つの実施形態による風力タービンブレードへのブレード結合部材の取り付けを示す図である。
図15】本発明の2つの実施形態による風力タービンブレードへのブレード結合部材の取り付けを示す図である。
図16】本発明の2つの実施形態による、ハブへの予張力部材の取り付けを示す図である。
図17】本発明の2つの実施形態による、ハブへの予張力部材の取り付けを示す図である。
図18】個別の張力調整機構を備えたハブ部分を示す図である。
【0037】
風力タービンブレードはそれぞれ、根元端を含む内側ブレード部と先端を含む外側ブレード部との2つの別個の部分を備えてもよく、内側ブレード部と外側ブレード部は分割位置で互いに結合されており、風力タービンブレード上の結合点は、分割位置に配置されてもよい。
【0038】
この実施形態によれば、風力タービンブレードのそれぞれは、2つの部分、すなわち、内側ブレード部と外側ブレード部とから形成され、これらは、別々に製造され、その後、風力タービンブレードを形成するために互いに接合され得る。これは「分割風力タービンブレード」と呼ばれることもあります。これにより、ブレード部品を個別に風力タービンの設置場所に輸送することもできるため、大型の風力タービンブレードであっても、過剰な輸送コストを発生させることなく輸送することができる。
【0039】
このような分割風力タービンブレードを使用する場合、風力タービンブレードの強度または風力タービンブレードの空力特性を著しく低下させることなく、適切な部材取り付け構造を風力タービンブレードのこの位置に追加することができるので、結合点すなわちブレード結合部材が風力タービンブレードに結合される点を、内側ブレード部と外側ブレードとが結合する分割位置に、互いに結合される位置に配置することが有利であることが判明した。例えば、ブレード結合部材が軸受構造を介して風力タービンブレードに結合される場合、軸受構造は、内側ブレード部と外側ブレード部との間の界面を有利に形成し得る。
【0040】
ハブは、ハブの回転軸によって画定される方向に実質的に沿ってハブから延びるハブ部分を備えることができ、予張力部材はハブ部分に結合することができる。ハブ部分は、例えば、風力タービンのロータによって画定されるロータ面の前方、すなわち風力タービンがアップウインド型風力タービンである場合には、入ってくる風に向かって延びることができる。
【0041】
この実施形態によれば、予張力部材は、ハブに直接結合されるのではなく、ハブの回転軸によって規定される方向に沿ってハブから延びるハブ部分を形成する部材に結合される。さらに、予張力部材とハブ部分との間の結合点は、ハブの回転軸によって画定される方向に沿って、風力タービンブレードがハブに結合される点から離れて位置することができる。これにより、予張力部材は、ブレード結合部材をハブに向かって引っ張るだけでなく、ハブの回転軸の方向に沿って、それによってタワーから離れる方向にも引っ張る。これにより、風力タービンのブレードもこの方向に引っ張られることになり、コーニング角を導入した場合と同様の影響が風力タービンのブレードに発生します。これにより、ブレード根元のエッジ方向、特にフラップ方向の荷重が軽減され、タワークリアランスも確保されます。
【0042】
ハブ部分は、予張力部材および/または予張力部材を介してブレード結合部材に調節可能な予張力および/または調節可能な剛性を提供するように構成され得る。この実施形態によれば、上述のように、調整可能な予張力は、ハブ部分に結合されるか、ハブ部分の一部を形成する機構によって得られる。調整機構は、例えば、油圧アクチュエータ、または電気、空気圧または機械式(バネ式などの)アクチュエータなどの別のタイプの(線形)アクチュエータであってもよい。この場合、ハブ部分には油圧ピストン、例えばピストンが設けられていてもよい。ハブの回転軸によって定義される方向に沿って移動可能である。このような機構は、例えば、風力タービンの高推力動作中にフラップ方向の荷重および/または管制塔クリアランスを処理するためにブレード結合部材の予張力を調整するために使用され得る。
【0043】
各ブレード予張力部材の張力を個別に調整できることは、ブレード結合部材の張力のバランスを改善することができるため、非常に有利であることが判明した。さらに、個別に調整することで制御が向上し、ブレード結合部材の緩みのリスクが軽減されました。これは、好ましくは、予張力部材のそれぞれ上で個別に作動する、油圧作動、または電気作動、空気圧作動、機械バネ作動、またはこれらの組み合わせなどの別のタイプの(線形)アクチュエータなどの独立した調整機構を有することによって達成される。驚くべきことに、個別に調整された予張力部材を使用することにより、アクチュエータは、予張力部材の有効剛性を調整することによって、ブレード結合部材および予張力部材の振動ダンパとして機能することもできることが判明した。さらに、慎重に制御されたピストンの動きにより、ブレード結合部材および/または予張力部材の振動を低減することができ、それにより、ブレード結合部材、予張力部材および/または風力タービン発電機からの音響放射を低減するように、風力発電機の構成部品の疲労摩耗を低減することができた。したがって、個別に調整された予張力部材の使用は非常に有利であることが判明した。
【0044】
ハブ部分は、ハブの回転軸とブレード結合部材と予張力部材との間の結合点との間の方向に配置されたリニアアクチュエータを含む調整機構を備え得る。これにより、ハブとブレード結合部材間の結合点との間の距離を個別に調整し、対応する予張力部材の張力を調整する簡単かつ効率的な方法が可能になる。本発明のこの態様におけるリニアアクチュエータは、好ましくは、油圧リニアアクチュエータ(例えば、油圧ピストンのような)または空気圧アクチュエータである。これにより、高張力下での制御された動作が可能になり、また、振動ダンパとしても機能することができることがわかっているからである。予張力部材の有効剛性を調整することによって、および/またはピストンの動きによって振動を打ち消すことによって、ブレード結合部材および/または予張力部材を調整する。油圧および空圧アクチュエータが、マスターモード(アクチュエータピストンの長さを制御する)から第1スレーブモード(ブレードの風荷重に応じてブレード結合ケーブルの張力または予張力ケーブルにおいて張力を維持する)および/または第2のスレーブモード(張力または振動に関連するセンサー入力に基づおいてブレード結合ケーブルまたは予張力ケーブルの振動を減衰する)、に直接切り替えることができるので、特に有利であることがわかった。例えば電気アクチュエータ、機械式(バネ式のような)アクチュエータ、またはこれらの組み合わせ、例えばバネと油圧アクチュエータの組み合わせなど、他のタイプのリニアアクチュエータも有用である。
【0045】
代替として、予張力部材は、ハブの内部に配置された共通点に結合されてもよい。ハブ内の共通点は、風力タービンの動作中に予張力部材間で負荷を分散できるようにするためにわずかに移動できるという意味で「浮遊」している可能性があります。さらに、予張力部材を共通点に結合することにより、この共通点から予張力部材に張力を与えることができる。これには、たとえば共通点をハブの回転軸に沿って前後に移動したり、または共通点をハブの回転軸から離れる方向に移動させることにより、すべての予張力部材の張力の比率を変更したりすることによって、すべての予張力部材に張力をかけるために、1つの位置のみにアクセスする必要があるという利点を有する。このような移動は、例えば、1つまたは複数の油圧アクチュエータを使用して行うことができる。
【0046】
予張力部材、ひいてはブレード結合部材の予張力の設定および/または調整は、風力タービンの設置または試運転の一部として一度行うことができる。しかしながら、予張力は、例えばブレード結合部材のうちの少なくとも1つまたは予張力部材のうちの少なくとも1つにおける予張力を測定した後など、定期的に数回調整されることが好ましい。この測定は、ブレード、ブレード結合部材、予張力部材、および/または調整機構に配置された少なくとも1つのセンサーを介して定期的に監視されるプログラムの一部であってもよい。ある場合には、予張力は、ロータの回転中のブレードの向きによって調整される。他の場合では、予張力は投球プロセスの一部として、すなわち投球前、投球中および/または投球後に調整される。
【0047】
風力タービンブレードは、5°から10°の範囲など、2°から20°の範囲内でコーニング角を画定することができる。本願において、「コーニング角」という用語は、ハブの回転軸によって規定される方向に実質的に垂直な平面と、風力タービンブレードの1つがそれに沿って延びる方向との間の角度を意味すると解釈されるべきである。したがって、コーニング角を大きくすると、風力タービンブレードの先端は、ブレード根元の中心を通りハブの回転軸に直交する面からさらに遠ざかる。
【0048】
コーニング角を導入すると、タワーのクリアランスが強化され、風力タービンブレードの根元端でのフラップ方向の荷重が軽減される。風力タービンブレード上の結合点は、風力タービンブレードのピッチ軸上またはその近くに配置され得る。この文脈では、「ピッチ軸」という用語は、ピッチ方向移動を実行するときに風力タービンブレードが回転する軸を意味すると解釈されるべきである。本願において、ピッチ軸の「その位置またはその近傍」に配置された結合点とは、結合点からピッチ軸までの距離が、a)ロータ直径の2%、およびb)ブレードに風による負荷がかかっていないときのピッチ軸からの結合点での2つのブレード弦長さの最大距離以内にあることを意味する。
【0049】
したがって、この実施形態によれば、風力タービンブレードがピッチング中に回転するとき、結合点は移動しないか、または非常に限られた範囲でのみ移動する。したがって、ブレード結合部材も移動しないか、あるいはごく限られた範囲でしか移動しない。これにより、ブレード結合部材の張力の変化が最小限に抑えられ、結合点にかかる力が最小限に抑えられる。さらに、これによりピッチングにおける完全な自由が維持される。
【0050】
代替として、風力タービンブレード上の結合点は、ピッチ軸に対してオフセット位置に配置されてもよい。この場合、ブレード結合部材は投球中に移動することになるこの場合、風力タービンブレードは、風力タービンブレードの集合的なピッチングを可能にするが、個別のピッチングは限られた範囲でのみ可能にする方法で相互結合することができる。
【0051】
ピッチ軸と結合点との相対位置は、ピッチ荷重、すなわち、様々な風速で風力タービンブレードをピッチングすることに必要な荷重を最小限にする方法で有利に選択することができる。特に、ブレード結合部材の結合点を、上で定義したブレードのピッチ軸に、またはその近くに配置することが非常に有利であることが判明した。
【0052】
風力タービンブレードはそれぞれ、風力タービンブレードの外殻に形成された少なくとも1つの溝を備えてもよく、少なくとも1つの溝は、ブレード結合部材の一部を受け入れるように配置されている。溝は、風力タービンブレードの正圧側に形成すると有利である。
【0053】
この実施形態によれば、ブレード結合部材は、あるピッチ角で各溝内に収容され、他のピッチ角で各溝の外側に配置されてもよい。これにより、たとえ結合点が風力タービンブレードの内側に延在していても、結合点をピッチ軸上またはその近くに配置することができ、風力タービンブレードはブレード結合部材と衝突することなくピッチ方向移動を行うことができる。
【0054】
風力タービンブレードのそれぞれは、根元端と先端との間で少なくとも一方向に湾曲することができ、これにより、風力タービンブレードのピッチ軸が、少なくとも結合点において風力タービンブレードに対して外側に位置することになる。風力タービンブレードは、フラップワイズ方向および/またはエッジワイズ方向に湾曲していてもよい。例えば、風力タービンブレードの湾曲は、風力タービンブレードのスイープの形態であってもよい。曲線は、風力タービンの全長に沿って延びてもよいし、風力タービンブレードの長さの一部にのみ沿って延びてもよい。例えば、風力タービンブレードが内側ブレード部と外側ブレード部とに分割されている場合、ブレード部の一方のみ、例えば、ブレード部が外側ブレード部に分割される。外羽根部は湾曲していてもよい。代替的または追加的に、湾曲は、内側ブレード部と外側ブレード部との間の角度の形で導入されてもよい。
【0055】
この実施形態によれば、結合点は、風力タービンブレードの外側に位置しながらも、ピッチ軸上またはその近くに配置され得る。これにより、風力タービンブレードはブレード結合部材に衝突することなくピッチ方向移動を行うことができる。
【0056】
風力タービンブレードのそれぞれは、長手方向に沿って延在してもよく、長手方向は、風力タービンブレードのピッチ機構のピッチ軸に対してゼロ以外の角度を形成してもよい。非ゼロ角度は、例えば、0.5°から3.0°の範囲内などのように、0.1°から10.0°の範囲内であってもよい。各風力タービンブレードはピッチ軸に対してゼロ以外の角度をなす方向に沿って延在しているため、ピッチ軸と風力タービンブレードの方向は一致しない。したがって、風力タービンブレードは、ピッチ方向移動中にその長手軸と一致しない軸の周りを回転する。
【0057】
この実施形態によれば、上述の状況と同様に、軸が一致しないため、ピッチ軸は結合点の位置で風力タービンブレードの外側に配置されてもよい。
【0058】
ピッチ軸と風力タービンブレードの長手方向との間の非ゼロ角度は、例えば、風力タービンブレードの根元端に1つまたは複数のくさびを導入することによって得ることができる。この場合、1つ以上のシムは、分離した軸受を介して、ハブおよび風力タービンブレードに、および可能であれば隣接するシムに、結合されてもよい。これにより、シムは独立して回転することができ、それによってピッチ軸と風力タービンブレードの長手方向との間の角度を変化させることができる。さらに、たとえば1つの軸受を介して集合的なピッチを実行し、また別の軸受を介して個別のピッチを操作するように、分けて動作させることができる。これにより、ピッチ機構、特に軸受の負荷が軽減される可能性がある。
【0059】
予張力部材および/またはブレード結合部材は、振動減衰機構を含んでもよい。
【0060】
この実施形態によれば、風力タービンの動作中に予張力部材および/またはブレード結合部材の振動が減衰され、それによって部材および風力タービンブレードの負荷が軽減される。さらに、ワイヤーロープは、ワイヤーロープ内の個々の繊維が伸長時に相互作用するため、ブレードの動きに追加の構造的減衰を受動的に提供する可能性がある。
【0061】
振動減衰機構は、オイルダンパーや可撓性部材などの受動的振動減衰機構であってもよい。この場合、振動減衰は、風車の運転時に自動的に提供される。あるいは、振動減衰機構は、油圧シリンダなどの能動振動減衰機構であってもよい。この場合、振動減衰を能動的に制御できる。
【0062】
予張力部材および/またはブレード結合部材には、空力装置が設けられてもよい。この実施形態によれば、風力タービンブレード間の取り付け部材によってもたらされる空気力学的悪影響は、部材に空力装置を設けることによって低減され、それによって部材の空力特性が改善される。空力装置は、例えば、部材の揚力を増加させ、かつ/または抗力を減少させる種類のものであってもよい。例えば、空力装置はブレード形または水滴の形態であってもよい。
【0063】
風力タービンは、風上風力タービンであってもよい。この場合、風力タービンのロータは入ってくる風に面し、それによって風から生じる風力タービンブレード上のフラップ方向の荷重が風力タービンブレードをハブに向かって押す。ブレード結合部材は、このようなフラップ方向の荷重を軽減することに非常に適している。
【0064】
代替として、風力タービンはダウンウインド型風力タービンであってもよい。この場合、風力タービンのロータは入ってくる風と反対の方向を向いており、それによって風から生じる風力タービンブレード上のフラップ方向の荷重が風力タービンブレードをハブから遠ざけるように押す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1および図2は、本発明の第1の実施形態によるピッチ制御の風力タービン1を示す。図1は風力タービン1の正面図であり、図2は風力タービン1の側面図である。
【0066】
風力タービン1は、タワー2と、タワー2に取り付けられたナセル3とを備える。3つの風力タービンブレード5を支持するハブ4が、ナセル3に回転可能に取り付けられる。
【0067】
3つのブレード結合部材6は、風力タービンブレード5上の結合点7の間で隣接する風力タービンブレード5を相互結合する。さらに、風力タービン1は、3つの予張力部材8を備え、予張力部材8のそれぞれは、ブレード結合部材のうちの1つの間に延在する。これにより、予張力部材8は、ブレード結合部材6に予張力を与える。
【0068】
予め張力をかけられたブレード結合部材6は、風力タービンブレード5にかかる荷重、特にエッジ方向の荷重およびフラップ方向の荷重が風力タービンブレード5間で「共有される」という意味で、風力タービンブレード5を相互に支持させる。
【0069】
図3は、本発明の第2の実施形態に係るピッチ制御の風力タービン1の側面図である。図3の風力タービン1は、図1および図2の風力タービン1に非常に似ている。したがって、ここでは詳細に説明しない。図3では、ブレード結合部材は見えていない。
【0070】
図3の実施形態では、予張力部材8は、ハブ4に直接結合されていない。代わりに、予張力部材8は、ハブから延びるハブ部分9の形態のハブ部分に結合されている。ハブ4の回転軸は、図4に示すように、実質的にハブ4の回転軸によって規定される方向に沿って示される。これにより、予張力部材8の結合点は、図1および図2の実施形態の場合よりもハブ4から離れ、これにより、風力タービンブレード5がハブ4に結合される位置から離れる。これは、結果として、予張力部材8もブレード結合部材(不図示)をハブ4から引き離され。およびタワー2から引き離れる。これはまた風力タービンブレード5をこの方向に引っ張り、これにより風力タービンブレード5の根元におけるエッジ方向及びフラップ方向の荷重をさらに低減化し、コーニング角を導入した場合と同様のタワークリアランスが確保される。結合部材の使用により、ブレードの内側部分の剛性が増加する傾向があることが判明した。
【0071】
図4から6は、本発明の一実施形態による風力タービン用の風力タービンブレード5を示す。図4は風力タービンブレード5の斜視図であり、図5は風力タービンブレード5の長手方向に沿った断面図であり、図6は風力タービンブレード5のブレード弦方向に沿った断面図である。
【0072】
風力タービンブレード5は、ピッチ機構を介してハブに結合されるように構成された根元端10と、根元端10の反対側に位置する先端(不図示)とを備える。風力タービンブレード5は、根元端10を構成する内側ブレード部5aと、先端を構成する外側ブレード部5bとを含むインボードブレードから形成される。内側ブレード部5aと外側ブレード部5bとが結合されて風力タービンブレード5が形成される。
【0073】
内側ブレード部5aと外側ブレード部5bとが結合される位置には、軸受構造11が配置されている。2つのブレード結合部材6は、軸受構造11上の結合点7を介して風力タービンブレード5に結合される。これにより、風力タービンブレード5がピッチ方向移動を行う際に、ブレード結合部材6が風力タービンブレード5とともに回転しない。これにより、風力タービンブレード5のピッチング中にブレード結合部材6に不要なねじれや張力が加わることが回避される。
【0074】
図5では、軸受構造11が、ブレード部5a、5bにボルトで固定される部分11aと、そこに結合されるブレード結合部材6を有する部分11bとを備えることが分かる。軸受構造11の2つの部分11a、11bは、互いに対して回転することができる。
【0075】
図6は、図4の風力タービンブレード5のブレード弦方向に沿った軸受構造11の位置での断面図である。したがって、図6は本質的に軸受構造11の側面図であって、軸受構造11の2つの部分11a、11bを明確に示している。
【0076】
図7から10は、本発明の代替実施形態による風力タービン用の風力タービンブレード5を示す。図7は風力タービンブレード5の斜視図、図8図10は風力タービンブレード5の斜視図である。図8から図10は、風力タービンブレード5のブレード弦方向に沿った断面図である。
【0077】
図7から図10の風力タービンブレード5は、図4から図6の風力タービンブレード5に非常に類似し、したがって、ここでは詳細な説明は割愛する。
【0078】
図7から図10の風力タービンブレード5において、軸受構造11は風力タービンブレード5の外殻内に配置されている。これは図7に見ることができる。これにより、軸受構造11とブレード結合部材6と間の結合点7も、風力タービンブレード5の外殻内に配置され、図4から図6に示されるように、実施形態の場合よりも風力タービンブレード5のピッチ軸12に近くなる。これにより、ブレード結合部材6に付加される負荷が最小限に抑えられ、結合点7にかかる力が最小限に抑えられる。
【0079】
風力タービンブレード5がピッチング中にブレード結合部材6と衝突することを回避するために、風力タービンブレード5には、風力タービンブレード5の正圧面に形成された溝13が設けられている。溝13は、ブレード結合部材6の一部を受け入れるように配置されている。図7では、ブレード結合部材6の1つが溝13に受け入れられている。
【0080】
図8は、図7の風力タービンブレード5のブレード弦方向に沿った断面図である。風力タービンブレード5は、ブレード結合部材6の1つが溝13に受け入れられるピッチ角をなしている。ピッチ方向移動は矢印14で示されている。
【0081】
図9では、風力タービンブレード5は、ブレード結合部材6が溝13内に受け入れられなくなるピッチ角まで移動されている。
【0082】
図10は、ブレード弦方向に沿った風力タービンブレード5の断面図の形態で同様の実施形態を示す。風力タービンブレード5は、ブレード結合部材6の1つが溝13に受け入れられるピッチ角を有する。図10の実施形態では、ブレード結合部材6のうちの2つにブレード形部15の形態の空力装置が設けられている。これにより、ブレード結合部材6の空力特性が改善され、それにより、風力タービンにブレード結合部材6を設けることによってもたらされる風力タービンの効率に対する悪影響が最小限に抑えられる。
【0083】
図11および図12は、本発明の一実施形態による風力タービン用の湾曲した風力タービンブレード5を示す。図11は風力タービンブレード5のブレード弦方向に沿った図であり、図12は風力タービンブレード5のブレード弦方向に垂直な方向に沿った図である。
【0084】
図11および図12における点線は、従来技術の風力タービンブレードの例を表し、実線は、本発明の実施形態による風力タービンに使用される風力タービンブレード5を表す。破線は、風力タービンブレード5が内側部分と外側部分とに分割される位置を示している。
【0085】
図11は、図示された風力タービンブレード5のそれぞれの前縁17および後縁18を示す。本発明による風力タービンブレード5は、従来技術の風力タービンブレード5に対して湾曲していることが分かる。本発明に係る風力タービンブレード5のピッチ軸12は、風力タービンブレード5の外側の前縁17側かつ分割位置16に位置する。
【0086】
図12は示した風力タービンブレード5のそれぞれに対して、正圧面19および吸引面20を示している。また、この方向に沿って、本願発明による風力タービンブレード5のピッチ軸が正圧面19および分割位置16において風力タービンブレード5の外側に位置するように、本願発明による風力タービンブレード5では、従来の風力タービンブレード5に対して湾曲している。
【0087】
このように、本発明の実施の形態の風力タービンに用いられる風力タービンブレード5は、2方向に沿って湾曲しており、風力タービンブレード5のピッチ軸12が前縁17の外側および風力タービンブレード5の正圧面19の外側の分割位置16に配置されるべき風力タービンブレード5のピッチ軸12を引き起こす形態を有する形状となっている。したがって、ブレード結合部材が分割位置16で風力タービンブレード5に結合される場合、結合点はピッチ軸12においてまたはその近傍であって、風力タービンブレード5の外側に位置させることができる。これにより、風力タービンブレード5のピッチング中に、ブレード結合部材や結合点への負荷を軽減しつつ、風力タービンブレード5に容易に結合することができる。
【0088】
図11および図12の風力タービンブレード5は、本発明による風力タービンブレード5の修正された形状を強調するために、一定の縮尺で描かれていない。
【0089】
図13は、風力タービンブレード5に対して外側に配置されたピッチ軸12を有する風力タービンブレード5のピッチングを示している。破線は従来技術の風力タービンブレード5を、実線は従来技術の風力タービンブレード5を、2つの極端なピッチ角で表す。
【0090】
本発明において、ブレード結合部材は、風力タービンブレード5の外側かつピッチ軸12の位置またはその近傍に配置された結合点7で、風力タービンブレード5に結合される。図13から分かるように、これにより、風力タービンブレード5は、ブレード結合部材に影響を与えることなくピッチ方向移動を実行することができる。
【0091】
図14は、本発明の一実施形態による風力タービンに使用される風力タービンブレード5を示す。風力タービンブレード5は、鋳造構造体21を介して互いに結合された内側ブレード部5aと外側ブレード部5bとを備える。ブレード結合部材6は、ヒンジ22を介して鋳造構造体21に結合され、ヒンジ22によってブレード結合部材6と風力タービンブレード5との間の結合点7を形成される。風の方向は矢印27で示される。
【0092】
ブレード結合部材6は、ヒンジ22を介して風力タービンブレード5に結合されているため、ブレード結合部材6は、風力タービンブレード5に対して移動することができる。これは、例えば、風力タービンブレード5のピッチング中に関連し得る。
【0093】
図15は、本発明の代替実施形態による風力タービンに使用される風力タービンブレード5を示す。風力タービンブレード5は、図14の実施形態と同様に、鋳造構造体21を介して結合された内側ブレード部5aと外側ブレード部5bとを備えている。図15の実施形態では、ブレード結合部材6は、球面軸受23および可撓性ケーブル24を介して鋳造構造体21に結合されている。球面軸受23により、ブレード結合部材6が風力タービンブレード5に対して自由に動くことができる。可撓性ケーブル24はブレード結合部材6に減衰を与える。風の方向は矢印27で示される。
【0094】
図16は、本発明の一実施形態による風力タービン用のハブ4の断面図である。3つの予張力部材8がハブ4に結合されている。予張力部材8によって与えられる予張力は、ハブ4の内部に配置された調整機構25によって個別に調整可能である。それにより、3つの予張力部材8すべての予張力をハブ4内から調整することができる。これにより、予張力部材8の予張力の個別の調整を容易に調整し、実質的に同時に実行することができ、次のような問題を回避することができる。予張力部材8の予張力の大きな差により、風力タービンブレードにかかる力が不均一になる。
【0095】
図17は、本発明の代替実施形態による風力タービン用のハブ4の断面図である。図17のハブ4にも、3つの予張力部材8が結合されており、予張力部材のそれぞれ8によって与えられる予張力は、調整機構25によって個別に調整可能である。しかしながら、図17のハブ4では、予張力部材8は、ハブ4の内部に配置された共通の固定部26に結合されている。固定部26は、ハブ4の内部で移動できるという意味で浮いている。これにより、風力タービンの動作中に、ある程度まで。予張力部材8間の荷重の分散とバランスが得られる。
【0096】
図18は、予張力部材8のそれぞれに対して個別に作動する張力調整機構25を備えたハブ部分9の図である。調整機構25はハブ部分9の部分を形成し、ハブ(28)の回転軸との方向にブレード結合部材(6)と予張力部材(7)の間の結合点に配置されている。代表的に、調整機構は、調整機構に安定した固定点を提供する三脚やビームなどのロータの回転軸に沿って延在する部材上に配置される。調整機構は、好ましくは、油圧式、電気式、空気圧式、機械式、またはそれらのいずれかのような線形アクチュエータを備える。ハブ部分9は、ノーズコーンを越えて延びていてもよい。ハブ部分9は、ロータの剛性を高めるため、予張力部材の方向がブレード結合点7によって画定される平面の風上で回転軸28と交差するまでノーズコーンを超えて延在することが好ましい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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【国際調査報告】