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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】線維症を処置するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/495 20060101AFI20231220BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61K31/495
A61K33/30
A61P43/00 105
A61P11/00
A61P9/00
A61P21/00
A61P15/00
A61P19/08
A61P13/12
A61P17/02
A61P11/06
A61P1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537105
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 IB2021061882
(87)【国際公開番号】W WO2022130295
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】17/126,274
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517288254
【氏名又は名称】ノブメタファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フェ ユネ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジョン ス
(72)【発明者】
【氏名】リー ド ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リー ホン ジョン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086BC50
4C086GA13
4C086GA15
4C086HA03
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB21
(57)【要約】
シクロ(His-Pro)の新たな使用が開示される。特に、線維症及び/又は炎症を処置するための方法及び組成物が開示される。方法は、活性成分として、有効量の単離されたシクロ(His-Pro)をそれを必要とする対象に投与することを含む。組成物は、活性成分として、単離されたシクロ(His-Pro)を含む。単離されたシクロ(His-Pro)又はそれを含有する組成物は、線維症を有する対象を処置するため、又は線維症を処置するための医薬の製造において、使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線維症を有する対象を処置するための組成物であって、活性成分として、有効量の単離されたシクロ(His-Pro)水和物を含む、組成物。
【請求項2】
線維症が、肺線維症、移植片対宿主病(GVHD)の結果としての線維症、心内膜心筋線維症、子宮線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、腎性全身性線維症、外科手術後の瘢痕化、喘息、肝硬変/肝線維症、異常な創傷治癒、糸球体腎炎、及び多巣性線維性硬化症からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
シクロ(His-Pro)水和物が、結晶性シクロ(His-Pro)水和物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
結晶性シクロ(His-Pro)水和物が、13.7°±0.2°、17°±0.2°、及び27.3°±0.2°の2θ値のピークを含む粉末X線回折(XRPD)ディフラクトグラムによって特徴付けられる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
XRPDディフラクトグラムが、10°±0.2°の2θ値のピークをさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が、医薬組成物であり、薬学的に許容される担体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、亜鉛をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
亜鉛が、亜鉛イオン、亜鉛金属、又は塩化亜鉛、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ピコリン酸亜鉛、オロチン酸亜鉛、及びクエン酸亜鉛からなる群から選択される亜鉛塩である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
肺線維症が、特発性肺線維症である、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
シクロ(His-Pro)水和物の有効量が、無水シクロ(His-Pro)に関して計算される場合、約1~10mg/日、10~50mg/日、50~100mg/日、100~150mg/日、150~200mg/日、200~300mg/日、300~400mg/日、400~500mg/日、500~600mg/日、600~700mg/日、700~800mg/日、800~900mg/日、900~1000mg/日、1000~1100mg/日、1100~1200mg/日、1200~1300mg/日、1300~1400mg/日、1400~1500mg/日、1500~1600mg/日、1600~1700mg/日、1700~1800mg/日、1800~1900mg/日、1900~2000mg/日、2000~2100mg/日、2100~2200mg/日、2200~2300mg/日、2300~2400mg/日、2400~2500mg/日、2500~2600mg/日、2600~2700mg/日、2700~2800mg/日、2800~2900mg/日、又は2900~3000mg/日の範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
シクロ(His-Pro)水和物の有効量が、無水シクロ(His-Pro)に関して計算される場合、約0.001~0.005mg/kg体重、0.005~0.01mg/kg、0.01~0.02mg/kg、0.02~0.04mg/kg、0.04~0.06mg/kg、0.06~0.08mg/kg、0.08~1mg/kg、1~5mg/kg、5~6mg/kg、6~7mg/kg、7~8mg/kg、8~10mg/kg、10~15mg/kg、15~20mg/kg、20~25mg/kg、25~30mg/kg、30~35mg/kg、35~40mg/kg、40~45mg/kg、45~50mg/kg、50~100mg/kg、100~150mg/kg、150~200mg/kg、200~300mg/kg、300~400mg/kg、400~500mg/kg、500~600mg/kg、600~700mg/kg、700~800mg/kg、800~900mg/kg、900~1000mg/kg、1000~1100mg/kg、1100~1200mg/kg、1200~1300mg/kg、1300~1400mg/kg、1400~1500mg/kg、1500~1600mg/kg、1600~1700mg/kg、1700~1800mg/kg、1800~1900mg/kg、1900~2000mg/kg、2000~2100mg/kg、2100~2200mg/kg、2200~2300mg/kg、2300~2400mg/kg、2400~2500mg/kg、2500~2600mg/kg、2600~2700mg/kg、2700~2800mg/kg、2800~2900mg/kg、又は2900~3000mg/kgの範囲内である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
亜鉛が、亜鉛カチオンに関して計算される場合、約0.1~1mg/日、約1~10mg/日、10~50mg/日、50~100mg/日、100~150mg/日、150~200mg/日、200~300mg/日、300~400mg/日、400~500mg/日、500~600mg/日、600~700mg/日、700~800mg/日、800~900mg/日、900~1000mg/日、1000~1100mg/日、1100~1200mg/日、1200~1300mg/日、1300~1400mg/日、1400~1500mg/日、1500~1600mg/日、1600~1700mg/日、1700~1800mg/日、1800~1900mg/日、又は1900~2000mg/日の範囲に及ぶ量で対象に投与される、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
組成物が、(i)シクロ(His-Pro)水和物、又は(ii)シクロ(His-Pro)水和物及び亜鉛から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
処置が、以下の(a)~(g):
(a)対象の標的組織におけるトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)の発現を低減すること;
(b)対象の標的組織におけるα-平滑筋アクチン(α-SMA)の発現を低減すること;
(c)対象の標的組織におけるフィブロネクチンの発現を低減すること;
(d)対象の標的組織におけるコラーゲン1の発現を低減すること;
(e)対象の標的組織におけるコラーゲン3の発現を低減すること;
(f)対象の標的組織におけるコラーゲン4の発現を低減すること;及び/又は
(g)対象の標的組織におけるヒドロキシプロリン沈着を低減すること
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
線維症を有する対象の処置における活性成分としての、単離されたシクロ(His-Pro)水和物又は単離されたシクロ(His-Pro)水和物を含む組成物の使用であって、単離されたシクロ(his-Pro)水和物又は組成物が、線維症を処置するための有効量で投与される、使用。
【請求項16】
単離されたシクロ(His-Pro)水和物が、結晶性シクロ(His-Pro)水和物である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
単離されたシクロ(His-Pro)水和物又は組成物が、亜鉛と組み合わせて投与される、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
線維症を処置するための医薬の製造における活性成分としての、単離されたシクロ(His-Pro)水和物又は単離されたシクロ(His-Pro)水和物を含む組成物の使用。
【請求項19】
単離されたシクロ(His-Pro)水和物が、結晶性シクロ(His-Pro)水和物である、請求項18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2020年12月18日に出願された米国出願第17/126,274号に対する優先権及びそれからの利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、配列表を含む。2020年11月22日に作成された前記ASCIIコピーは、P259365 Sequence Listing.txtという名前であり、2,794バイトのサイズである。
技術分野
本開示は、炎症及び線維症を処置及び/又は予防するのに有効な組成物を対象とする。本開示は、炎症及び線維症を処置及び/又は予防するための方法も対象とする。
【背景技術】
【0002】
背景
線維性瘢痕化としても公知の線維症は、結合組織がチェックされない程度まで正常な実質組織を置き換える病的な創傷治癒であり、かなりの組織リモデリング及び永続的な瘢痕組織の形成をもたらす。
繰り返される傷害、慢性炎症及び修復は、コラーゲン及びフィブロネクチン(FN)などの細胞外マトリックス(ECM)構成成分の偶発的な過剰な蓄積及び沈着が線維芽細胞によって生じる線維症になりやすく、永続的な線維性瘢痕の形成をもたらす。
急性及び慢性炎症、血管新生、常在細胞の活性化、並びにECMリモデリングを含む未制御の創傷治癒応答は、線維症の病態形成に関与すると思われる。TGF-βは、線維性臓器において増加するプロトタイプ線維性サイトカインであって、ECM分子の合成を刺激すること、線維芽細胞をα-平滑筋アクチン(α-SMA)発現筋線維芽細胞に活性化すること、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を下方調節することによって、線維症の発生に寄与する。Wynn and Ramalingam, Nat. Med. 18(7), pp. 1028-1040 (2012), doi:10.1038/nm.2807。
肝臓筋線維芽細胞の活性化は、慢性肝疾患における肝線維症の発生の原因となり、異なる細胞起源の筋線維芽細胞活性化を阻害すること又は元に戻すことが、肝線維症の処置のために重要であることが合理的に予想される。
【0003】
肝線維症の進行を予防し、肝臓の炎症を減少させる医薬は、非アルコール性脂肪性肝炎;C型肝炎;B型肝炎;並びに成人(原発性胆汁性肝硬変;硬化性胆管炎;自己免疫性肝炎;遺伝性ヘモクロマトーシス)及び小児(胆道閉鎖症;α-1アンチトリプシン欠乏症及び他の稀な遺伝性障害を含む)を苦しめる他の慢性肝疾患などのさまざまな肝臓障害を有する患者の管理に影響を及ぼすであろう。
肺線維症の進行を減少又は予防する医薬は、特発性肺線維症(IPF)を有する患者の健康管理に影響を及ぼすであろう。
炎症が、最も多くの急性及び慢性肝疾患の病態形成に寄与することが公知である1。有毒な環境(例えば、毒性又は刺激性ヒューム)、自己免疫状態、ウイルス感染、メタボリックシンドロームを含むさまざまな因子は、過剰な肝臓の傷害及び炎症を引き起こし得、これは、肝機能障害及び慢性状態を最終的にもたらす。
特発性肺線維症及び炎症を含む線維症のための新しい有効で安全な処置が依然として必要とされている。
シクロ(-His-Pro)(シクロ-Hispro又はCHP)、C111442は、CAS登録番号53109-32-3を有する無水ジペプチドとして知られている。これは、視床下部の甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンのアミノ末端ピログルタミン酸残基の加水分解的除去にインビボで由来する内因性環状ジペプチドである。
【0004】
Rosenthal et al. (Life Sciences 70 (2001), 337-348)は、CHPが、筋肉組織及び腸部分による亜鉛の吸収及び取り込みを増強することを報告した。
米国特許第5,834,032号は、インスリン抵抗性糖尿病を処置するための方法として、インスリンレベルを低下させるためのCHP及び亜鉛の使用を記載している。
米国特許第10,058,520号は、哺乳動物におけるアルツハイマー病及び/若しくは認知症の処置又はその開始の遅延において、甲状腺ホルモン、CHP及び亜鉛塩の併用を開示している。
本発明者らは、驚くべきことに、フィブロネクチン及びコラーゲン(I、II及びIII型)、αSMA、及びTGF-β等のECM構成成分を著しく下方調節し、ヒドロキシプロリン蓄積を低減するCHPが、したがって、線維症を処置するのに有効に使用することができることを見出した。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、シクロ(-His-Pro)(「CHP」)を含む組成物を対象に投与することによる、それを必要とする対象における炎症及び/又は臓器の線維症を処置するための方法、並びにそれを必要とする対象における炎症及び/又は臓器の線維症を処置するための、炎症及び/又は臓器の線維症を処置する有効量で投与される、組成物であって、前記組成物が、シクロ(-His-Pro)(「CHP」)を含む、組成物を提供する。
ある実施形態において、それを必要とする対象における線維症を処置する方法は、有効量のCHPを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。本方法は、亜鉛を投与することをさらに含んでいてもよい。CHPを含む組成物及びZnを含む組成物は、連続して又は同時に投与されてもよい。別の実施形態において、CHPを含む組成物は、亜鉛をさらに含んでいてもよい。実施形態において、線維症を処置するための組成物は、Znと共に、又はZnなしで、CHPを含んでいてもよい。他の実施形態において、線維症を処置するための製剤は、単一剤形、混合された状態、又は別々の状態で、CHP及びZnを含有していてもよい。別の実施形態において、線維症を処置するための製剤は、一方がCHP及び他方がZnに対する2つの剤形を有していてもよい。別の実施形態において、本方法及び組成物は、線維症を処置するための追加の公知薬物と組み合わせて投与すること又は投与されることを含んでいてもよい。
ある実施形態において、それを必要とする対象における線維症を処置するために投与される医薬を作製するための、CHP、又はCHPを含む/CHPから本質的になる組成物の使用が開示される。医薬は、CHPを単独で、又はZnと共に含有していてもよい。
【0006】
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、本組成物は、CHPから本質的になる。ある実施形態において、CHPを含む組成物は、亜鉛を含まない。
本方法、組成物及び使用のある実施形態によれば、シクロ(-His-Pro)又はCHPは、結晶性シクロ(-His-Pro)水和物(「CHP水和物」)である。「CHP」又は「シクロ(-His-Pro)」という用語は、本明細書において使用される場合、無水CHP、アモルファスCHP、結晶性CHP、及びCHP水和物を含む。改善された安定性を有するCHP水和物は、米国特許出願公開第2020-0017509号(米国出願第16/448,083号)に開示されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、CHP水和物は、約13.5°~約13.9°、約16.8°~約17.2°、及び約27.1°~約27.5°の2θ値のX線回折ピークを含んでいてもよい。
本方法、組成物、及び使用の別の実施形態において、CHP水和物は、約9.8°~約10.2°、約13.5°~約13.9°、約16.8°~約17.2°、約17.9°~約18.3°、約20.0°~約20.2°、及び約27.1°~約27.5°から選択される2θ値の3つ以上のX線回折ピークを含んでいてもよい。
【0007】
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、CHP水和物は、典型的な室温の保管条件で、約6か月間、又は約12か月間、又は約18か月間、又は約24か月間、又は約36か月間安定である。
本方法、組成物、及び使用の別の実施形態において、CHP水和物は、実質的に純粋である。一部の実施形態において、CHP水和物材料は、少なくとも約90%純粋、又は少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%純粋である。
本方法、組成物、及び使用の別の実施形態において、CHP水和物材料は、以下の少なくとも2つによって特徴付けられ得る。
(a)以下のリスト:約9.8°~約10.2°、約13.5°~約13.9°、約16.8°~約17.2°、約17.9°~約18.3°、約20.0°~約20.2°、及び約27.1°~約27.5°から選択される2θ値の少なくとも2つのピークを含む粉末X線ディフラクトグラム;
(b)約6.4のpKa;
(c)偏光顕微鏡法によって分析された場合に、崩壊したロッド様形態を有する複屈折;
(d)熱重量分析技法によって分析された場合に、約6.5%の初期重量喪失(0.9等量の水)、それに続く約280℃での試料の分解;
(e)DSCの最初の熱サイクルにおける、約99℃で開始し、約102℃のピークの吸熱;
(f)40℃の動的蒸気収着分析における、約10%の相対湿度(RH)より下での脱水の開始、10~0%のRHでの約5.8wt%の喪失(0.8等量の水)、及び0~約40%のRHでの水和;
(g)50℃の動的蒸気収着分析における、約20%のRHより下での脱水の開始、約20~0%のRHでの約6.1wt%の喪失(0.8等量の水)、及び0~約40%でのRHの再水和;並びに
(h)60℃の動的蒸気収着分析における、約20%のRHより下での脱水の開始、約20~0%のRHでの約7wt%の喪失(1.0等量の水)、及び0~約40%のRHでの再水和。
【0008】
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、CHPを含む組成物は、亜鉛金属、亜鉛の有機若しくは無機塩、亜鉛化合物、又は亜鉛イオンをさらに含んでいてもよい。
本方法、組成物及び使用のある実施形態において、組成物は、CHPから本質的になる。この実施形態によれば、CHPを含む組成物は、亜鉛金属、亜鉛の有機若しくは無機塩、亜鉛化合物、又は亜鉛イオンを含まない。
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、本組成物は、(a)CHP、及び(b)亜鉛金属、亜鉛の有機若しくは無機塩、亜鉛化合物、又は亜鉛イオンから本質的になる。
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、上記で議論された組成物は、薬学的に許容される組成物であり、上記で議論されたCHP及び/又は亜鉛構成成分に加えて、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含んでいてもよい。
【0009】
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、そのような処置を必要とする個体は、線維症及び/若しくは炎症を有すると診断されたか、又はそれを有すると疑われている個体である。1つの態様において、個体は、特発性肺線維症を患っている。
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、有効量のCHPを含む組成物は、スケジュール又はレジメン通りに個体に投与される。
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、スケジュール又はレジメンは、ある期間にわたる毎日の投与である。
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、期間は、約2週間にわたって毎日、約3週間にわたって毎日、約4週間にわたって毎日、約5週間にわたって毎日、約6週間にわたって毎日、約7週間にわたって毎日、約8週間にわたって毎日、約9週間にわたって毎日、約10週間にわたって毎日、約2か月にわたって毎日、約3か月にわたって毎日、約4か月にわたって毎日、約5か月にわたって毎日、又は約6か月にわたって毎日である。
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、有効量のCHPは、線維症に関連する1つ又は複数の症状の重症度が、特に、低減又は改善されるまで、投与される。
【0010】
本方法、組成物、及び使用のある実施形態において、対象は、肺線維症を有していてもよい。他の実施形態において、対象は、特発性肺線維症、移植片対宿主病(GVHD)の結果としての線維症、心内膜心筋線維症、子宮線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、外科手術後の瘢痕化、喘息、異常な創傷治癒、糸球体腎炎、及び/又は多巣性線維性硬化症を有する。ある実施形態において、肺線維症を有する対象は、自己免疫疾患を有していない。
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象における炎症性疾患を処置するための方法であって、有効量のCHP又はCHPを含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。1つの実施形態において、疾患は、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、自己免疫性肝炎、慢性C型肝炎、慢性B型肝炎、原発性胆汁性肝硬変、続発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、アルファ-1-アンチトリプシン欠乏症、ウィルソン病、胆道閉鎖症、特発性肺線維症、放射線誘発性肺炎、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、肺の慢性感染症及び/又は炎症、糸球体腎炎、間質性尿細管線維症からなる群から選択される。
【0011】
実施形態において、上記の方法、組成物、及び使用に関して、組成物は、2~5週間、2~6週間、3~7週間、3~8週間、4~9週間、4~10週間、5~10週間、6~11週間、6~12週間、又は3~6か月の期間、毎日投与される。
実施形態において、上記の方法、組成物、及び使用に関して、CHPの有効量は、例えば、無水CHPに関して計算される、約1~10mg/日、約10~50mg/日、約50~100mg/日、約100~150mg/日、約150~200mg/日、約200~300mg/日、約300~400mg/日、約400~500mg/日、約500~600mg/日、約600~700mg/日、約700~800mg/日、約800~900mg/日、約900~1000mg/日、約1000~1100mg/日、約1100~1200mg/日、約1200~1300mg/日、約1300~1400mg/日、約1400~1500mg/日、約1500~1600mg/日、約1600~1700mg/日、約1700~1800mg/日、約1800~1900mg/日、約1900~2000mg/日、約2000~2100mg/日、約2100~2200mg/日、約2200~2300mg/日、約2300~2400mg/日、約2400~2500mg/日、約2500~2600mg/日、約2600~2700mg/日、約2700~2800mg/日、約2800~2900mg/日、又は約2900~3000mg/日の範囲内であってもよい。
【0012】
実施形態において、上記の方法、組成物、及び使用に関して、CHPの有効量は、例えば、約0.001~0.005mg/kg、0.005~0.01mg/kg、0.005~0.1mg/kg、0.005~0.5mg/kg、0.005~1mg/kg、0.005~1.5mg/kg、0.005~2mg/kg、0.005~2.5mg/kg、0.005~5mg/kg、0.001~0.01mg/kg、0.002~0.05mg/kg、0.01~0.05mg/kg、0.05~1mg/kg、約0.01~0.02mg/kg、約0.02~0.04mg/kg、約0.04~0.06mg/kg、0.06~0.08mg/kg、0.08~1mg/kg、0.1~10mg/kg、1~5mg/kg、5~6mg/kg、6~7mg/kg、7~8mg/kg、8~10mg/kg、10~15mg/kg、15~20mg/kg、20~25mg/kg、25~30mg/kg、30~35mg/kg、35~40mg/kg、40~45mg/kg、45~50mg/kg、50~100mg/kg、100~150mg/kg、150~200mg/kg、200~300mg/kg、300~400mg/kg、400~500mg/kg、500~600mg/kg、600~700mg/kg、700~800mg/kg、800~900mg/kg、900~1000mg/kg、1000~1100mg/kg、1100~1200mg/kg、1200~1300mg/kg、1300~1400mg/kg、1400~1500mg/kg、1500~1600mg/kg、1600~1700mg/kg、1700~1800mg/kg、1800~1900mg/kg、1900~2000mg/kg、2000~2100mg/kg、2100~2200mg/kg、2200~2300mg/kg、2300~2400mg/kg、2400~2500mg/kg、2500~2600mg/kg、2600~2700mg/kg、2700~2800mg/kg、2800~2900mg/kg、又は2900~3000mg/kgの範囲内であってもよい。この量は、無水CHPの量に基づく。
【0013】
上記の範囲において、CHPの量は、無水CHPに基づいて表される。したがって、CHP水和物が組成物中でCHPとして使用される場合、その量は、適切に変換され得る。
図面の簡単な説明
実施形態の前述の特色は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明に対する言及によってより容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、ブレオマイシン(BLM)誘発性肺線維症ICRマウスにおけるフィブロネクチンの相対mRNA発現レベルを示す。肺線維症を誘発するためにブレオマイシンを注射されたICRマウスにおけるフィブロネクチンmRNA発現レベル(BLMバー)を1.0に設定する。CTRLは、ブレオマイシンを受けなかった対照マウスである。5、25、50、及び100 CHP mg/kgのバーは、BLMを注射されたICRマウスにおける相対フィブロネクチンmRNA発現レベルを示す。結果は、5、25、50、及び100mg/kgのCHPが肺線維症動物モデルにおいてフィブロネクチン発現を有意に低減することを示す。
図2図2は、ブレオマイシン(BLM)誘発性肺線維症ICRマウスにおけるα-平滑筋アクチン(αSMA)の相対mRNA発現レベルを示す。肺線維症を誘発するためにブレオマイシンを注射されたICRマウスにおけるフィブロネクチンmRNA発現レベル(BLMバー)を1.0に設定する。CTRLは、ブレオマイシンを受けなかった対照マウスである。5、25、50、及び100mg/kgのCHPのバーは、BLMを注射されたICRマウスにおける相対αSMA mRNA発現レベルを示す。結果は、5、25、50、及び100mg/kgのCHPが肺線維症動物モデルにおいてαSMA発現を有意に低減することを示す。
図3図3は、ブレオマイシン(BLM)誘発性肺線維症ICRマウスにおけるトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)の相対mRNA発現レベルを示す。肺線維症を誘発するためにブレオマイシンを注射されたICRマウスにおけるフィブロネクチンmRNA発現レベル(BLMバー)を1.0に設定する。CTRLは、ブレオマイシンを受けなかった対照マウスである。5、25、50、及び100mg/kgのCHPのバーは、BLMを注射されたICRマウスにおける相対TGF-β mRNA発現レベルを示す。結果は、5、25、50、及び100mg/kgのCHPが肺線維症動物モデルにおいてTGF-β発現を有意に低減することを示す。
図4-6】図4~6は、ブレオマイシン(BLM)誘発性肺線維症ICRマウスにおける、それぞれ、1、3、及び5型コラーゲン(Col1、Col3、Col4)の相対mRNA発現レベルを示す。肺線維症を誘発するためにブレオマイシンを注射されたICRマウスにおけるフィブロネクチンmRNA発現レベル(BLMバー)を1.0に設定する。CTRLは、ブレオマイシンを受けなかった対照マウス群である。5、25、50、及び100mg/kgのCHPのバーは、BLMを注射されたICRマウスにおける相対Col1、Col3及びCol4 mRNA発現レベルを示す。結果は、5、25、50、及び100mg/kgのCHPが肺線維症動物モデルにおいてコラーゲン発現を有意に低減することを示す。
図7図7は、対照マウス(CTRL)、ブレオマイシン誘発性IPFマウス(BLM)、及び5、25、50、又は100mg/kgのCHPを受けたブレオマイシン誘発性IPFマウスにおける肺ヒドロキシプロリン(HYP)量を示す。結果は、5、25、50、及び100mg/kgのCHPがIPFマウスの肺においてコラーゲンの蓄積を有意に低減することを示す。
図8-13】図8~13は、ブレオマイシン(BLM)誘発性肺線維症ICRマウスにおける、それぞれ、IL-6、1、3、5型コラーゲン(Col1、Col3、Col4)、及びフィブロネクチンの相対mRNA発現レベル、並びにフィブロネクチン発現を示す。肺線維症を誘発するためにブレオマイシンを注射されたICRマウスにおけるフィブロネクチンmRNA発現レベル(BLMバー)を1.0に設定する。CTRLは、ブレオマイシン(BLM)を受けていない対照マウス群であり、ピルフェニドン(PFD)(300mg/kg)は、陽性対照である。CHP(5mg/kg)及びCHP+Zn(5+10mg/kg)のバーは、BLMを注射されたICRマウスにおける相対IL-6、Col1、Col3、Col4及びフィブロネクチンmRNA発現レベル、並びにフィブロネクチン発現レベルを示す。
図14図14は、肺線維症を誘発するためにブレオマイシンを注射されたICRマウスにおけるフィブロネクチン及びベータ-アクチン発現についてのウエスタンブロット結果を示す。CTRLは、ブレオマイシンを受けなかった対照マウス群であり、BLMは、ブレオマイシンのみを受けたマウス群であり、PFD(300mg/kg)は、陽性対照である。CHP(5mg/kg)及びCHP+Zn(5+10mg/kg)は、ブレオマイシン及びCHP又はCHP+Znを注射されたICRマウス群である。
図15-17】図15図17は、それぞれ、全呼吸器系コンプライアンス、全呼吸器系エラスタンス、及び組織エラスタンスを示し、CHP+Zn群が、ニンテダニブ群よりも良好な結果を示したことを示す。
図18-19】図18及び図19は、BLM単独、及び陽性対照としてPFD(300mg/kg)を投与されたマウスからの右肺下部の組織病理学検査の結果である。CHP+Zn(5+10mg/kg)は、試験組成物である。図18は、アシュクロフトスコアを示し、図19は、H&E染色組織の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
ここでさまざまな態様及び実施形態を、本明細書に十分に記載する。これらの態様及び実施形態は、しかしながら、多くの異なる形態で具体化されてもよく、限定として解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全なものであり、本主題の範囲が当業者に十分に伝わるように提供される。上記又は下記にかかわらず、本明細書に引用されるすべての刊行物、特許及び特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
定義
他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての用語及び語句は、反対のことが明確に指示されない限り、又はその用語若しくは語句が使用される文脈から明確に明らかでない限り、その用語及び語句が当技術分野において獲得した意味を含む。本明細書に記載されるものと類似又は等価の任意の方法及び材料を、本発明の実施又は試験において使用することができるが、特定の方法及び材料を、ここに記載する。
【0017】
他に述べられない限り、個々の数値の使用は、その値に「約」又は「およそ」という語が先行したのと同様に近似値として述べられる。同様に、本出願において規定されるさまざまな範囲中の数値は、他に明確に指示されない限り、両方とも「約」又は「およそ」という語が先行した述べられた範囲内の最大値から最小値の近似値として述べられる。この様式において、述べられた範囲の上及び下の変動を使用して、範囲内の値と同じ結果を実質的に達成することができる。本明細書において使用される場合、数値を参照する場合の「約」及び「およそ」という用語は、開示された主題が最も密接に関連する当業者、又は問題の範囲若しくは要素に関連する技術の当業者にとってそれらの明白で通常の意味を有するものとする。厳密な数値境界から広がる量は、多くの因子に依存する。例えば、考慮され得る一部の因子としては、要素及び/又は効果の臨界を含み、所与の変動の量は、特許請求の範囲に記載された主題の性能だけでなく、当業者に公知の他の考慮事項を有する。本明細書において使用される場合、異なる数値についての異なる量の有効数字の使用は、「約」又は「およそ」という語の使用が、どの程度特定の数値又は範囲を広くする役割を果たすかを限定することを意味するものではない。そのため、一般的な事項として、「約」又は「およそ」は、数値を広くする。また、範囲の開示は、最小値と最大値との間のあらゆる値と、「約」又は「およそ」という用語の使用によって提供される範囲の広がりを含む連続した範囲として意図される。それ故に、本明細書における値の範囲の列挙は、範囲内にあるそれぞれの個々の値を個々に参照する省略方法としての役割を果たすことが単に意図され、それぞれの個々の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されたかのように明細書に組み込まれる。ある態様において、「約」という語は、数値の言及において使用される場合、数値から10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%の変動を含むことが意図される。
【0018】
本明細書において使用される「動物」という用語は、例えば、哺乳動物及び鳥類を含むカテゴリーの生きている多細胞脊椎動物を示す。哺乳動物という用語は、ヒト及び非ヒト哺乳動物の両方を含む。同様に、「対象」という用語は、ヒト及び獣医学対象の両方を含む。
「活性薬剤」又は「薬物」という用語は、本明細書において使用される場合、ヒト又は動物に投与された場合に、生化学的応答を誘発する任意の化学物質を指す。薬物は、生化学的反応の基質若しくは生成物として作用してもよく、又は薬物は、細胞受容体と相互作用し、生理学的応答を誘発してもよく、又は薬物は、受容体と結合し、生理学的応答の誘発から受容体を遮断してもよい。
組成物又は製剤に関して本明細書において使用される「から本質的になる」という語句は、組成物又は製剤が、単独の活性成分としてリストされた化合物を含有し、薬学的に許容される不活性な添加剤、賦形剤、又は担体をさらに含有していてもよいことを意味する。そのような不活性な添加剤、賦形剤、又は担体は、当技術分野において公知である。
【0019】
「線維症」という用語は、臓器又は組織の正常な構成物質としての線維性組織の形成とは反対に、修復又は反応プロセスとしての臓器又は組織における過剰な線維性結合組織の形成又は発達である。皮膚及び肺が、線維症の影響を受けやすい。例示的な線維性状態は、強皮症、特発性肺線維症、モルフェア、移植片対宿主病(GVHD)の結果としての線維症、ケロイド及び肥厚性瘢痕、並びに上皮下線維症、心内膜心筋線維症、子宮線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、腎性全身性線維症、外科手術後の瘢痕化、喘息、肝硬変/肝線維症、異常な創傷治癒、糸球体腎炎、及び多巣性線維性硬化症である。
「特発性肺線維症」という用語は、原因不明の線維化性胞隔炎(CFA)としても公知の状態であり、これは、肺の支持性フレームワーク(間質)の線維症によって特徴付けられる肺疾患の慢性の進行性の形態である。定義によって、この用語は、肺線維症の原因が未知である(「特発性」)場合にのみ使用される。IPFを有する患者からの肺組織が、病理学者によって顕微鏡下で調べられる場合、これは、通常型間質性肺炎(UIP)として公知の組織学的/病理学的特色の特徴的なセットを示す。UIPは、肺の支持性フレームワーク(間質)を含む両方の肺の進行性の瘢痕化によって特徴付けられる。
CHEST(登録商標)基金によれば、肺線維症の発達及び/又は重症度は、人によって変わり、疾患の全体的な経過は、予測不可能であり得る。肺線維症の徴候及び症状としては、息切れ、乾性咳嗽、疲労、体重減少、筋肉及び関節の痛みが挙げられる。したがって、IPFを含む肺線維症の処置としては、限定されるものではないが、本発明組成物を受けた後に、患者のこれらの徴候及び症状の数及び/又は期間の減少が挙げられる。
【0020】
「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という用語は、当技術分野で認識されており、通常は注射による、腸管及び局所投与以外の投与の形式を指し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び胸骨内注射を含む。
疾患を「阻害すること」又は「処置すること」という用語は、疾患の十分な発達を阻害することを指す。いくつかの例において、疾患を阻害することは、線維症の症状、例えば、瘢痕組織の形成を減らすこと、又は動作の範囲の増加、又は痛みの減少を指し、「処置」又は「処置すること」という用語は、疾患の徴候若しくは症状、又は線維症などの疾患に関連する病態を改善する治療的介入を指す。
「薬学的に許容される」添加剤、賦形剤、又は担体という語句は、本明細書において使用される場合、当技術分野において周知のものを含む。一般に、担体の性質は、用いられる投与の特定の形式に依存する。例えば、非経口製剤は、通常、薬学的及び生理学的に許容される液体、例えば、水、生理的食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロール等を媒体として含む、注射可能な液体を含む。固形組成物(散剤、丸剤、錠剤、又はカプセル剤の形態など)について、従来の非毒性固体担体としては、例えば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、又はステアリン酸マグネシウムが挙げられ得る。生物学的に中性の担体に加えて、投与される医薬組成物は、少量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤、保存剤、及びpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウム又はソルビタンモノラウレートを含有することができる。
【0021】
「治療有効量」又は「有効量」又は「有効用量」という用語は、本明細書において使用される場合、そのような組成物が選択された投与経路によって投与される場合に、予期される生理学的応答又は所望の生物学的効果を与えるために処置される対象の気道及び肺の分泌物及び組織中、又は代替的に血流中で所望の薬物のレベルを提供するために必要な本明細書に記載される組成物中に存在する無水CHP又はCHP水和物の量(CHP水和物として計算される)である。正確な量は、多数の因子、例えば、組成物の比活性度、用いられる送達デバイス、組成物の物理的特徴、その意図される使用、並びに病状の重症度、患者の協力などの患者の考慮事項などに依存し、本明細書に提供される情報に基づいて当業者によって決定され得る。
【0022】
「増加した」又は「増加」という用語は、一般に、静的に相当な量まで増加したことを意味するために本明細書において使用され、一部の実施形態において、「増加した」又は「増加」という用語は、参照レベルと比較して、少なくとも10%の増加、例えば、参照レベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、若しくは少なくとも約30%、若しくは少なくとも約40%、若しくは少なくとも約50%、若しくは少なくとも約60%、若しくは少なくとも約70%、若しくは少なくとも約80%、若しくは少なくとも約90%、若しくは100%の増加を含んで100%までの増加、又は10~100%の間の任意の増加を意味する。「増加」の他の例としては、参照レベルと比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも1000倍、又はそれよりも高い増加が挙げられる。
「抑制」又は「抑制された」という用語は、一般に、本発明の非存在と比較して、疾患の進行又は症状の発達が遅延又は減少することを意味するために本明細書において使用される。
【0023】
「減少した」又は「減少」という用語は、一般に、統計学的に有意な量までの減少を意味するために本明細書において使用される。一部の実施形態において、「減少した」又は「減少」は、参照レベルと比較して、少なくとも10%の低減、例えば、参照レベルと比較して、少なくとも約20%、若しくは少なくとも約30%、若しくは少なくとも約40%、若しくは少なくとも約50%、若しくは少なくとも約60%、若しくは少なくとも約70%、若しくは少なくとも約80%、若しくは少なくとも約90%、若しくは100%の減少を含んで100%までの減少(例えば、参照レベルと比較して、存在しないレベル又は検出不能なレベル)、又は10~100%の間の任意の減少を意味する。マーカー又は症状の文脈において、これらの用語は、そのようなレベルの統計学的に有意な減少を意味する。減少は、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又はそれよりも多くあり得、好ましくは、所与の疾患なしの個体についての正常な範囲内として許容されるレベルまで下がる。
【0024】
シクロ(His-Pro)及び組成物
本開示のある態様によれば、CHPは、無水、アモルファス、結晶性、又は水和物であってもよい。CHP水和物は、CHP一水和物、CHPに水和物、CHP半水和物、CHP 1.5水和物などを含む。したがって、「CHP」という用語は、本明細書において使用される場合、無水CHP、CHP水和物、アモルファスCHP、及び結晶性CHPを包含することが意図される。特定の実施形態において、CHPは、CHP一水和物であってもよい。ある実施形態において、CHP一水和物は、結晶形態であってもよい。また別の実施形態において、結晶性CHP一水和物は、本明細書に記載されるある特定のX線回折パターンを示してもよい。
シクロ(-His-Pro)(CHP)は、下記に示される。
【化1】
【0025】
CHP一水和物は、下記に示される。
【化2】
1つの実施形態において、CHPは、実質的に純粋である。
ある実施形態において、CHPは、CHP水和物である。また別の実施形態において、CHP水和物は、約17±0.2°及び約27.3±0.2°の2θのピークを含むXRPDディフラクトグラムによって特徴付けられる。
実質的に純粋なCHP水和物の1つの実施形態は、以下のリスト:13.7、17、18.1、20.2及び27.3度(±0.2°の2θ)から選択される少なくとも3つのピークを含む粉末X線ディフラクトグラムによって特徴付けられる。別の実施形態は、以下のリスト:10、13.7、17、18.1、20.2及び27.3度(±0.2°の2θ)から選択される少なくとも2つのピークを含むXRPDディフラクトグラムによって特徴付けられる。
【0026】
CHPは、ヒスチジン-プロリンリッチ糖タンパク質を含む、異なる生化学的起源から合成した。高レベルのCHPは、多くの食品起源中に存在し、化学的又は酵素的破壊なしで、腸において容易に吸収される。
CHP水和物は、その内容が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国出願第16/448,083号に記載されたプロセスによって作製することができる。
CHPは、その全内容が、参照により本明細書に組み込まれる米国出願第16/448,083号に記載されるように、アモルファス若しくは結晶形態の実質的に純粋な形態のCHP、又は実質的に純粋な形態の結晶性CHP水和物、又はCHP及びCHP水和物の混合物として使用することができる。「CHP」という用語は、本明細書において使用される場合、無水CHP、CHP水和物、結晶性CHP水和物(パターンI、パターンII、及びそれらの混合物)、アモルファスCHP、及びそれらの混合物包含することを意味する。そして、「CHP」及び「シクロHispro」及び「CHP/CHP水和物」という用語は、CHPの特定の形態が、ある特定の形態への特定の言及によって示されない限り、CHP、CHP水和物、結晶性CHP水和物(パターンI、パターンII、及びそれらの混合物)、及びそれらの混合物を示すために本明細書において互換的に使用される。別の実施形態において、CHPは、結晶性CHP水和物である。ある実施形態において、CHP水和物は、CHP一水和物である。一部の実施形態において、CHPは、結晶性CHP水和物の混合物である。
【0027】
線維症又は炎症を処置するために好適な組成物は、活性成分としてCHPを含む。本組成物は、医薬組成物又は栄養補助食品又は機能性健康食品であってもよく、当技術分野において公知である薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む。本組成物は、亜鉛をさらに含んでいてもよい。CHPは、CHP水和物であってもよい。CHP及び亜鉛を含む組成物は、線維症を処置するために投与されてもよい。本組成物は、標的組織におけるフィブロネクチン、コラーゲン(コラーゲン1、3、及び/又は4)、アルファ-SMA、及び/若しくはTGF-ベータの量又は発現を減少させるために投与されてもよい。本組成物は、標的組織におけるヒドロキシプロリン沈着を低減するために投与されてもよい。
線維症又は炎症を処置するために好適な組成物は、CHPから本質的になっていてもよく、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含んでいてもよい。本組成物は、線維症を処置するために単独で投与されてもよい。本組成物は、標的組織におけるフィブロネクチン、コラーゲン(コラーゲン1、3、及び/又は4)、アルファ-SMA、及び/若しくはTGF-ベータの量又は発現を減少させるために単独で投与されてもよい。本組成物は、標的組織におけるヒドロキシプロリン沈着を低減するために単独で投与されてもよい。
【0028】
経口使用のために意図される組成物は、任意の方法に従って調製されてもよく、そのような組成物は、薬学的に洗練され、口当たりがよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又は保存剤などの1種又は複数の剤を含有していてもよい。錠剤及びカプセル剤のための好適な賦形剤としては、不活性な希釈剤、例えば、サフラワー油、レシチン、イノシトール、ダイズショートニング油、ゼラチン、アカシア、グリセリン、酸化チタン、及びダイズ油が挙げられる。カプセル剤のコーティングは、当技術分野において十分に理解されているような、ゼラチン又は可溶性ポリマーであり得る。錠剤又はカプセル剤は、毎日の投与レジメンによる経口投与のために好適である。
1つの実施形態において、活性成分としてCHPを単独で含む組成物、及び亜鉛を含む組成物は、別々に投与されてもよい。これらの組成物は、同時に又は連続して投与されてもよい。これらの組成物は、線維症を処置するために投与されてもよい。本組成物は、標的組織におけるフィブロネクチン、コラーゲン(コラーゲン1、3、及び/又は4)、アルファ-SMA、及び/若しくはTGF-ベータの量又は発現を減少させるために投与されてもよい。本組成物は、標的組織におけるヒドロキシプロリン沈着を低減するために投与されてもよい。
【0029】
亜鉛を含む上記組成物における亜鉛の量は、亜鉛カチオンに関して計算される場合、約0.1~約2000mg、約1~1000mg、約1~500mg、約10~約2000mg、約20~約1000mg、約20~約500mg、約50~約2000mg、約50~1000mg、約50~800mg、又は約50~500mgの範囲であってもよい。
1つの実施形態において、CHPは、約0.5~約3000mg、約1~2000mg、又は約10~約1000mgの範囲の量で、亜鉛を含む同じ組成物又は異なる組成物中に存在していてもよい。別の実施形態において、投与される医薬組成物中に存在するCHPの量は、無水CHPに関して計算される場合、約5~約3000mg、約50~約2000mg、約100~約2000mg、約50~約1000mg、約100~約1000mg、約150~約2000mg、約200~約1000mg、約50~約800mg、約100~約700mg、約50~約600mg、又は約100~約1500mgの範囲であってもよい。
【0030】
処置方法及びCHP含有組成物の使用
ある実施形態において、本明細書に開示されるCHPは、線維症又は炎症を処置するために使用することができる。一部の実施形態において、CHPは、対象における線維症又は炎症を減少させるために使用されてもよい。本開示のある態様によれば、本方法は、線維症又は炎症を減少させるために、治療有効量のCHPを対象に投与することを含む。一部の実施形態において、CHPは、単位用量として投与することができる。
好適な対象としては、線維症を有する対象が挙げられ得る。ある実施形態において、対象は、肺線維症を有していてもよい。他の実施形態において、対象は、特発性肺線維症、移植片対宿主病(GVHD)の結果としての線維症、心内膜心筋線維症、子宮線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、腎性全身性線維症、外科手術後の瘢痕化、喘息、肝硬変/肝線維症、異常な創傷治癒、糸球体腎炎、及び/又は多巣性線維性硬化症を有する。ある実施形態において、肺線維症を有する対象は、自己免疫疾患及び/又はアルツハイマー病を有していない。別の実施形態において、肺線維症を有する対象は、糖尿病ではない。
【0031】
ある実施形態によれば、本方法は、処置を必要とする対象、例えば、線維性疾患、例えば、特発性肺線維症、移植片対宿主病(GVHD)の結果としての線維症、心内膜心筋線維症、子宮線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、腎性全身性線維症、外科手術後の瘢痕化、喘息、肝硬変/肝線維症、異常な創傷治癒、糸球体腎炎、及び/又は多巣性線維性硬化症を有する対象を選択することを含むことができる。例示的な実施形態において、組成物は、線維症を低減するのに十分な量で、線維性疾患、例えば、特発性肺線維症、移植片対宿主病(GVHD)の結果としての線維症、心内膜心筋線維症、子宮線維症、骨髄線維症、後腹膜線維症、腎性全身性線維症、外科手術後の瘢痕化、喘息、肝硬変/肝線維症、異常な創傷治癒、糸球体腎炎、及び/又は多巣性線維性硬化症を有する対象に投与される。この使用のために有効な量は、疾患の重症度、患者の健康の全身状態、及び患者の免疫系の頑健性に依存する。1つの例において、化合物の治療有効量は、症状の主観的な軽減、又は臨床医若しくは他の資格のある観察者が気付いた客観的に特定可能な改善のいずれかを提供するものである。
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象における組織の線維症を処置するための方法であって、有効量のCHP又はCHPを含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。1つの実施形態において、組織は、肝臓、肺、又は腎臓中にある。1つの実施形態において、組織の線維症は、肝臓の傷害又は肝臓の炎症に関連する。1つの実施形態において、組織の線維症は、肺の傷害又は肺の炎症に関連する。1つの実施形態において、組織の線維症は、腎臓の傷害又は腎臓の炎症に関連する。
【0032】
線維症は、身体の多くの組織に生じ得、例としては、肺(嚢胞性線維症及び特発性肺線維症、放射線誘発性肺傷害(がん処置後)を含む肺線維症);肝臓(肝硬変及び架橋線維症);脳(グリア性瘢痕);動脈硬化、関節線維症、クローン病、ケロイド、デュピュイトラン拘縮、縦隔線維症、骨髄線維症、ペイロニー病、腎性全身性線維症、進行性塊状線維症、後腹膜線維症、強皮症;心筋線維症(間質性線維症及び置換性線維症を含む)が挙げられる。本開示によれば、線維症は、クローン病を除く。
さらなる態様において、有効量のCHPを対象に投与することによる、それを必要とする対象の組織におけるフィブロネクチンの量又は発現を減少させるための方法が提供される。ある実施形態において、対象は、線維症を有する。またある実施形態において、対象は、肺線維症を有し、組織は、肺組織である。
ある態様において、有効量のCHPを対象に投与することによる、それを必要とする対象の組織におけるコラーゲン1、コラーゲン3、及び/又はコラーゲン4の量又は発現を減少させるための方法が提供される。ある実施形態において、対象は、線維症を有する。またある実施形態において、対象は、肺線維症を有し、組織は、肺組織である。
さらなる態様において、有効量のCHPを対象に投与することによる、それを必要とする対象の組織におけるα-SMAの量又は発現を減少させるための方法が提供される。ある実施形態において、対象は、線維症を有する。またある実施形態において、対象は、肺線維症を有し、組織は、肺組織である。
【0033】
ある態様において、有効量のCHPを対象に投与することによる、それを必要とする対象の組織におけるTFG-βの量又は発現を減少させるための方法が提供される。ある実施形態において、対象は、線維症を有する。またある実施形態において、対象は、肺線維症を有し、組織は、肺組織である。
ある態様において、有効量のCHPを対象に投与することによる、それを必要とする対象の組織におけるヒドロキシプロリンの沈着を減少させるための方法が提供される。ある実施形態において、対象は、線維症を有する。またある実施形態において、対象は、肺線維症を有し、組織は、肺組織である。
ある態様において、それを必要とする対象における組織の線維性疾患を処置するための方法は、有効量のCHP又はCHPを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。1つの実施形態において、疾患は、肝臓の傷害、肝臓の炎症及び/又は肝線維症に関連する。1つの実施形態において、疾患は、任意の病因の肝硬変又は肝線維症である。1つの実施形態において、疾患は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪性肝炎、肝臓脂肪症、自己免疫性肝炎、慢性C型肝炎、慢性B型肝炎、原発性胆汁性肝硬変、続発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、アルファ-1-アンチトリプシン欠乏症、ウィルソン病、及び胆道閉鎖症からなる群から選択される。1つの実施形態において、疾患は、肺の傷害、肺の炎症及び/又は肺線維症に関連する。1つの実施形態において、疾患は、特発性肺線維症、放射線誘発性肺炎、慢性閉塞性肺疾患、及び肺気腫からなる群から選択される。1つの実施形態において、疾患は、腎臓の傷害、腎臓の炎症及び/又は腎線維症に関連する。1つの実施形態において、疾患は、糸球体腎炎又は間質性尿細管線維症である。
【0034】
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象における炎症性疾患を処置するための方法であって、有効量のCHP水和物又はCHP水和物を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。この態様によれば、CHP水和物は、CHP一水和物、特に、結晶性CHP一水和物、又は本明細書に記載されるそれを含む組成物である。1つの実施形態において、疾患は、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、自己免疫性肝炎、慢性C型肝炎、慢性B型肝炎、原発性胆汁性肝硬変、続発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、アルファ-1-アンチトリプシン欠乏症、ウィルソン病、胆道閉鎖症、特発性肺線維症、放射線誘発性肺炎、慢性閉塞性肺疾患、肺気腫、肺の慢性感染症及び/又は炎症、糸球体腎炎、間質性尿細管線維症からなる群から選択される。本開示の本発明の態様は、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、放射線照射後の食道又は胃腸の炎症、炎症性心筋症、外傷後の脳の炎症、アルツハイマー病、脳炎、髄膜炎、筋炎、及び関節炎の処置における、無水CHP単独又は亜鉛との使用を排除する。
上記の方法のいずれかにおいて、対象は、例えば、ヒト若しくは獣医用動物、又は実験動物モデルであり得る。
【0035】
上記の方法のいずれかにおいて、CHP又は医薬組成物は、例えば、皮内、くも膜下腔内、筋肉内、皮下、腹腔内、静脈内注射、経口、経鼻、経皮、又は肛門投与によって、局所的又は全身的のいずれかで、投与され得ることが企図される。1つの実施形態において、投与は、皮下、皮内、又は筋肉内注射による。別の実施形態において、投与は、腹腔内又はくも膜下腔内投与による。また別の実施形態において、投与は、経口による。ペプチド又はタンパク質が、応答を刺激するために利用可能である時間を拡大するために、ペプチド又はタンパク質は、インプラントとして、又は油性注射、又は粒子系として提供することができる。特定の系は、微小粒子、マイクロカプセル、ミクロスフェア、ナノカプセル、又は類似の粒子であり得る。
【0036】
吸入による投与のために、CHPは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の好適なガスなどの好適な噴射剤を使用による、加圧パック又は噴霧器からのエアロゾルスプレー提示の形態で送達することができる。加圧エアロゾルの場合において、投薬量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。化合物の混合粉末、及びラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤を含有する、吸入者又は吸入器において使用するためのカプセル又はカートリッジを製剤化することができる。使用の技術としては、マイクロポンプ噴霧器(AEROGEN GO(登録商標)システムなど)、大きな微粒子画分を生成するように設計されたジェット噴霧器(PARI LC STAR(登録商標)など)、噴霧化の間に少ないせん断を生じるジェット噴霧器(HUDSON MICROMIST(登録商標)など)、及び超音波噴霧器(DeVilbiss ULTRA-NEB(登録商標)など)が挙げられる。
【0037】
気道内の粒子沈着の部位は、粒子径に基づいて定められる。1つの例において、約1~約500μmの粒子が利用され、例えば、約25~約250μm、又は約10~約25μmの粒子が利用される。他の実施形態において、約1~50μmの粒子が利用される。計量式吸入器における使用について、肺への送達のために、約10μm未満の粒子、例えば、約2~約8μmの粒子、例えば、約1~約5μmの粒子、例えば、2~3μmの粒子を利用することができる。
本明細書に開示される医薬組成物は、線維症を減少させるためのCHPの使用を容易にする。そのような組成物は、活性成分の任意の好適な対象への送達に好適であり得、それ自身公知の様式で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスによって、製造することができる。医薬組成物は、1つ又は複数の薬理学的に(例えば、生理学的に又は薬学的に)許容される担体、並びに薬学的に使用され得る調製物への活性化合物の処理を容易にする任意選択の補助剤を使用する従来の様式で製剤化することができる。適した製剤は、選択された投与経路に依存する。そのため、注射のために、活性成分は、水溶液中で製剤化することができる。経粘膜投与のために、浸透されるバリアに適切な浸透剤が、製剤中で使用される。そのような浸透剤は、一般に、当技術分野において公知である。
【0038】
経口投与のために、活性成分は、薬学的に許容される担体と組み合わされて、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などを形成することができる。活性成分は、注射による、例えば、ボーラス注射又は持続注入による、非経口投与のために製剤化することができる。そのような組成物は、油性又は水性媒体中で、懸濁液、溶液又はエマルジョンなどの形態を取ることができ、製剤化剤、例えば、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤を含有することができる。当技術分野において公知の他の薬学的賦形剤も含むことができる。
組成物の単回又は複数回投与が、対象に必要かつ許容される投薬量及び頻度に応じて投与される。1つの実施形態において、投薬量は、ボーラスとして1回投与されるが、別の実施形態において、治療結果が達成されるまで、定期的に適用され得る。一般に、用量は、対象に対する許容されない毒性を生じることなく、疾患の症状若しくは徴候を処置又は改善するのに十分である。
【0039】
実施形態において、上記で議論された方法のいずれかに関して、CHPは、約0.001~約3000mg/kgの量で対象に投与されてもよい。一部の実施形態において、CHPの有効量は、約0.001~0.005mg/kg、0.005~0.01mg/kg、0.005~0.1mg/kg、0.005~0.5mg/kg、0.005~1mg/kg、0.005~1.5mg/kg、0.005~2mg/kg、0.005~2.5mg/kg、0.005~5mg/kg、0.001~0.01mg/kg、0.002~0.05mg/kg、0.01~0.05mg/kg、0.05~1mg/kg、0.06~0.08mg/kg、0.08~1mg/kg、0.1~10mg/kg、1~5mg/kg、5~6mg/kg、6~7mg/kg、7~8mg/kg、8~10mg/kg、10~15mg/kg、15~20mg/kg、20~25mg/kg、25~30mg/kg、30~35mg/kg、35~40mg/kg、40~45mg/kg、45~50mg/kg、50~100mg/kg、100~150mg/kg、150~200mg/kg、200~300mg/kg、300~400mg/kg、400~500mg/kg、500~600mg/kg、600~700mg/kg、700~800mg/kg、800~900mg/kg、900~1000mg/kg、1000~1100mg/kg、1100~1200mg/kg、1200~1300mg/kg、1300~1400mg/kg、1400~1500mg/kg、1500~1600mg/kg、1600~1700mg/kg、1700~1800mg/kg、1800~1900mg/kg、1900~2000mg/kg、2000~2100mg/kg、2100~2200mg/kg、2200~2300mg/kg、2300~2400mg/kg、2400~2500mg/kg、2500~2600mg/kg、2600~2700mg/kg、2700~2800mg/kg、2800~2900mg/kg、又は2900~3000mg/kgであってもよい。この量は、無水CHPの量に基づく。
【0040】
実施形態において、上記で議論された方法のいずれかに関して、CHPは、約1~約3000mg/日の量で哺乳動物に投与されてもよい。一部の実施形態において、CHPの有効量は、約0.01~10mg/日、0.01~1mg/日、0.1~10mg/日、0.1~5mg/日、0.2~5mg/日、0.2~10mg/日、0.3~5mg/日、0.3~10mg/日、0.5~15mg/日、0.5~10mg/日、1~10mg/日、10~50mg/日、50~100mg/日、100~150mg/日、150~200mg/日、200~300mg/日、300~400mg/日、400~500mg/日、500~600mg/日、600~700mg/日、700~800mg/日、800~900mg/日、900~1000mg/日、1000~1100mg/日、1100~1200mg/日、1200~1300mg/日、1300~1400mg/日、1400~1500mg/日、1500~1600mg/日、1600~1700mg/日、1700~1800mg/日、1800~1900mg/日、1900~2000mg/日、2000~2100mg/日、2100~2200mg/日、2200~2300mg/日、2300~2400mg/日、2400~2500mg/日、2500~2600mg/日、2600~2700mg/日、2700~2800mg/日、2800~2900mg/日、又は2900~3000mg/日の範囲内であってもよい。この量は、無水CHPの量に基づく。
【0041】
実施形態において、上記で議論された方法のいずれかに関して、亜鉛の有効量は、亜鉛カチオンに関して計算される場合、約0.1~1mg/日、約1~10mg/日、10~50mg/日、50~100mg/日、100~150mg/日、150~200mg/日、200~300mg/日、300~400mg/日、400~500mg/日、500~600mg/日、600~700mg/日、700~800mg/日、800~900mg/日、900~1000mg/日、1000~1100mg/日、1100~1200mg/日、1200~1300mg/日、1300~1400mg/日、1400~1500mg/日、1500~1600mg/日、1600~1700mg/日、1700~1800mg/日、1800~1900mg/日、又は1900~2000mg/日の範囲である。
一部の実施形態において、CHP及び亜鉛を含む組成物のために、又はCHP含有組成物及びZn含有組成物の投与のために、亜鉛対CHPの重量比は、約1:10~約100:1である(他に指示されない限り、無水CHP及び亜鉛元素に関して計算される場合)。一部の実施形態において、亜鉛対CHPの重量比は、約1:6~約5:1である。一部の実施形態において、亜鉛対CHPの重量比は、約1:15~約20:1である。一部の実施形態において、亜鉛対CHPの重量比は、約1:30~約4:1である。一部の実施形態において、亜鉛対CHPの重量比は、約1:8~約4:1である。一部の実施形態において、亜鉛対CHPの重量比は、約1:40~約40:1である。上記で述べた亜鉛は、亜鉛カチオンの量に関する。
【0042】
本明細書において言及される場合、亜鉛についての数値は、亜鉛塩又は亜鉛化合物の亜鉛構成成分の質量又は濃度を表す。本発明に関連して有用な亜鉛塩の例としては、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ピコリン酸亜鉛、オロチン酸亜鉛、又はクエン酸亜鉛が挙げられる。
本発明のある特定の態様は、続く非限定的な実施例においてより詳細に記載することができる。以下の実施例は、本開示のある特定の実施形態を実証するために含まれる。しかしながら、当業者には、本開示を考慮して、意図の精神及び範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態内で改変を行い、同様の又は類似の結果を依然として得ることができることが認識されるはずである。したがって、記載されるすべての事項は、説明として解釈されるべきであり、限定する意味で解釈されるべきではない。
本明細書に提示される研究において、線維症に対するCHP及びCHP+Znの効果を評価した。線維症に対するCHP及びCHP+Znの効果は、インビボのブレオマイシン誘発性肺線維症マウスモデルを使用して評価した。驚くべきことに、この知見は、CHPが、優れた抗線維症活性を有し、線維性障害のための新規療法を提供することを実証する。
【実施例
【0043】
実験実施例1
材料及び方法
インビボ分析
BLM誘発性肺線維症モデル
Koatech Co.Ltd(Gyeonggi-do、韓国)からの7週齢の雄ICRマウス。すべての動物実験は、Advanced Bio Convergence Center、大韓民国の倫理審査委員会によって承認された。マウスを、12時間の明-暗サイクルの特定の無菌条件に収容し、水及び食餌に自由にアクセスさせた。体重及びカロリー摂取量を、実験全体にわたってモニターした。マウスを、単一ケージに収容し、ケージ内のそれぞれの動物の食餌摂取量を、計算した。5若しくは25若しくは50若しくは100mg/kg/日のCHP一水和物、5mg/kg/日のCHP+10mg/kg/日のZn、又はPBS(媒体対照)を、4週間、毎日、経口投与した。インビボ実験の終わりに、マウスを犠牲にし、組織を収集及び秤量した。組織試料を、分析まで、-80℃で保管した。
【0044】
ブレオマイシン及びCHP水和物によるマウスの処置
予防研究の肺線維症を誘発するために、イソフルランによる麻酔下で維持されたマウスに、生理食塩水中のブレオマイシン75mg/kgを静脈内投与した。CHP水和物又はCHP水和物+Znの最初の投与は、ブレオマイシン投与の30分後に行った。
治療研究の肺線維症を誘発するために、C57Bl/6Jマウスを、0日目に、気管内BLMで処置した。C57Bl/6Jマウスを、0.01mL・g-1の10%のペントバルビタールナトリウム溶液(Abbott Laboratories、North Chicago、IL、米国)の腹腔内投与によって麻酔し、続いて50mLの無菌等張食塩水中の5mg・kg-1体重のBLMの気管内注入を行った。気管内注入の7日後、対照動物は、気管内に生理食塩水のみを受け、5mg/kg/日のCHP+10mg/kg/日のZn、又はPBS(媒体対照)を、2週間、毎日、経口投与した。
【0045】
ウエスタンブロット分析
20~30μgの溶解物を、MESランニング緩衝液を用いてBOLT(商標)4~12%のBis-Tris Plusゲル上で分離し、TRANS-BLOT(登録商標)TURBO(商標)Transferシステム(Bio-Rad)を使用して、ニトロセルロース膜に移した。膜を、一次抗体、フィブロネクチン(1:1,000、CST)、β-アクチン(1:2,000、CST)で、4℃で終夜、標識し、次いで、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート二次抗体(1:5,000、Promega)で標識した。化学発光画像を、Alliance 4.7(UVITEC Cambridge)によって記録した。
Wynn and Ramalingam, Nat. Med. 18(7), pp. 1028-1040 (2012), doi:10.1038/nm.2807。
【0046】
RNA調製及びリアルタイムPCR
総RNAを、製造業者の説明書に従って、RNeasy Miniキット(QIAGEN)によって調製した。RNA完全性を、自動化マイクロフルイディクスに基づくシステム(Bioanalyzer 2100、Agilent、Palo Alto、CA、米国)によって評価した。ファーストストランドcDNAを、ISCRIPT(商標)cDNA合成キット(Bio-Rad、Hercules、CA、米国)を用いて合成し、リアルタイムPCRを、ICYCLER(商標)iQ Real-Time検出システム(Bio-Rad、米国)を使用して行った。PCR反応を、iQ SYBR GREEN SUPERMIX(商標)(Bio-Rad)を用いて行った。特異的プライマー対(Genotech、韓国)を表1にリストする。β-アクチンを内部対象として使用した。リアルタイムPCRの増幅を、改変を伴うJungらのプロトコール(Diabetes Obes Metab. 20(7), pp. 1688-1701 (2018), doi:10.1111/dom.13284)に従って行った。反応を、95℃で3分間、続いて39サイクルの増幅(95℃で10秒間、58℃で10秒間、72℃で30秒間)を行った。融解曲線を生成して、単一遺伝子特異的ピークを確認し、蛍光を継続的にモニターしながら各温度での10秒の滞留時間で、0.5℃増分で65℃から95℃まで試料を加熱することによってプライマー/二量体形成を検出した。特定の遺伝子のmRNAレベルを、β-アクチンのmRNAレベルに対して正規化した。
【0047】
ヒドロキシプロリンアッセイ
コラーゲン沈着を、提供された製造業者のプロトコールに従ってHYPアッセイキットによって測定された総ヒドロキシプロリン(HYP)カウントを測定することによって決定した。簡潔には、肺を、100℃で40分間加水分解し、10分ごとに混合した。塩酸による中和後、加水分解生成物を、蒸留水で希釈し、550nmで評価し、ug/10mgとして表した。
【0048】
肺機能の分析
肺機能の分析を、コンピューター制御された小動物ベンチレーター(FlexiVent;SCIREQ、Montreal、カナダ)を用いて行った。マウスを、0.15mL/10g体重のi.p.注射を介してペントバルビタール(Hanlim Pharma Co、Seoul、韓国)で麻酔し、20ゲージのカニューレで挿管し、8mmの金属チューブの部分で気管切開し、8.7ml/kgの一回呼吸量及び2~3cmのH2Oの呼気終末陽圧換気を使用して、150呼吸/分の速度で機械的に換気した。単一区画モデル(スナップショット)及び定位相モデル(強制振動法(FOT))を適用して、肺機能を分析した。全呼吸器系コンプライアンス又は全呼吸器系エラスタンス及び組織エラスタンスを、それぞれ、スナップショット又はFOTによって測定した。すべてのデータを、FlexiVentソフトウェア(バージョン5.3)を使用して分析した。結果を、図15図17に示す。
【0049】
組織病理学検査
それぞれのマウスからの右肺下部を、10%のホルマリン中で固定し、パラフィンに包埋し、5μm切片に切断し、H&Eで染色した。肺の病理学的変化を、アシュクロフトスコアシステムを用いて、盲検の病理学者によって観察及び評価した。結果を、図18及び図19に示す。
【表1】

【0050】
統計学的方法
統計分析を、Prismソフトウェア(GRAPHPAD PRISM(商標)5、La Jolla、California)を使用して行った。多重比較間の相違を、ANOVA、続いてテューキーの事後検定によって分析した。0.05未満のP値を、統計学的に有意と見なした。
結果:CHPは動物モデルにおいて肺線維症に対する保護を提供する。
結果を、図1図19に示す。
特発性肺線維症(IPF)は、未知の病因の慢性肺障害であり、コラーゲン及びフィブロネクチンなどの細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の進行性沈着によって特徴付けられる。
【0051】
ICRマウスは、BLM誘発性線維症に影響をより受けやすく、抗線維症活性を評価するため及び線維症のメカニズムを研究するために広く使用されている。図1~7によって証明されたように、CHP水和物処置群における、炎症及び線維症のバイオマーカー、並びにヒドロキシプロリン(HYP)含量は、BLM単独群と比較して、有意に減少した。加えて、a-SMA(筋線維芽細胞の顕著な特徴)の発現、Col I、Col III、Col IVのmRNAレベルも、BLM単独群と比較して、CHP一水和物処置マウスにおいて劇的に低減された。図1~7を参照されたい。さらに、ウエスタンブロット分析は、フィブロネクチンタンパク質レベルも、BLM群と比較して、CHP処置マウスにおいて劇的に低減されたことを示した。CHPと亜鉛の併用群は、CHP単独群と比較して、IL-6、Col III、Col IV、フィブロネクチンのmRNAレベル、及びフィブロネクチンタンパク質レベルの減少を示した。肺の病状を、H&Eによって評価した。28日目に得られたブレオマイシン群及びCHP+Zn又はPFD群の肺切片は、細胞浸潤、肺胞壁の肥厚及び肺胞構造の破壊を伴うびまん性線維症を示した。CHP+Zn群において、隔膜肥厚及び肺胞破壊の度合いは、ブレオマイシン群(BLM)のものと比較して、弱まった。また、CHP+亜鉛群及びCHP単独群は両方とも、陽性対照としての300mg/kgのピルフェニドン(PFD)に対して良好な結果を有していた。図8~14を参照されたい。
【0052】
全呼吸器系コンプライアンスは、野生型マウスにおけるブレオマイシン処置の結果として減少し、この指標は、ブレオマイシンが投与された野生型マウスよりも、HSP70を過剰発現するブレオマイシンが投与されたトランスジェニックマウスにおいて有意に高かった(図3D)。我々の結果は、ブレオマイシンチャレンジの開始後にCHP+Znを受けたマウスが、肺の静的コンプライアンス、全呼吸器系エラスタンス(気管支、細気管支、及び肺胞を含む全肺のエラスタンス)、及び組織エラスタンス(肺胞のエラスタンス)の減少から有意に保護されたことを示す。そして、CHP+亜鉛群は、ニンテダニブに対して良好な結果を有していた。図15~19を参照されたい。
総合すれば、これらの結果は、CHP及びCHP+Znが、組織(例えば、肺組織)における炎症及び線維症を効果的に改善することができたことを確認する。
【0053】
実験実施例2
ICRマウスに、実験実施例1において上記に記載されたようにして、ブレオマイシンを投与する。-10日目に、線維化反応が確立されたら、マウスは、i)10、17及び24日目に、5、25、50、又は100μg/kgの量で、腹腔内(IP)に;或いはii)10、17及び24日目に、250、500、800、又は1200μgの量で、吸入によって(約1μmの平均粒子径);iii)10、17及び24日目に、100μgのCHP一水和物の量で、気管内注入によって;並びにiv)10、17及び24日目に、5mg/kg/日、25mg/kg/日、50mg/kg/日、又は100mg/kg/日のCHP水和物の量で、経口投与によって、CHP水和物を受ける。吸入(ii)のパラメーターは以下の通りである。
パリ分散速度(ml/分):0.25
パリ流速(L/分):5.5
エアロゾル濃度(mg/L):1
RMV(L/分):0.002
1日あたりの吸入CHP(μg):250、500、800、又は1200
1日あたりの曝露期間:30~40分
【0054】
対照群は、滅菌水のみを受ける。BLM群は、CHP水和物なしで、ブレオマイシンのみを受ける。動物は、27日目に犠牲にする。肺におけるα-SMA、フィブロネクチン、Col I、Col III、Col IV、及びTGF-βのmRNAレベルを決定し、肺組織におけるヒドロキシプロリンの量を決定する。
【0055】
記載されたアッセイにおいて観察された特異的な薬理学的及び生化学的応答は、選択された特定の活性化合物に応じて、又は医薬担体の存在があるかどうかに従って変化し得るだけでなく、用いられる製剤のタイヤの種類及び投与の方式、並びに結果におけるそのような予想される変動又は相違は、本発明の実施に従って考慮される。
本明細書において引用されたすべての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、及び他の材料は、本明細書に物理的に存在するかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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【配列表】
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【国際調査報告】