(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】波動ベースの測定システムの少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータを較正するための方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/40 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
G01S7/40 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537390
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-08-21
(86)【国際出願番号】 EP2021083919
(87)【国際公開番号】W WO2022128501
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102020134284.5
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516287933
【氏名又は名称】シメオ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・グルデン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンナ・ゲイス
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・フォスジーク
(72)【発明者】
【氏名】エーリク・ジッペル
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AF03
5J070AH35
5J070AK40
(57)【要約】
本開示は、波動ベースの測定システム、特にレーダー測定システムの少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータを較正するための方法に関する。信号を受信するための少なくとも1つの受信ユニットおよび物体シーンが、互いに関係するいくつかの空間位置を仮定し、互いに対するいくつかの位置の相対測位が知られまたは決定され、これらのいくつかの位置において信号が少なくとも1つの受信ユニットによってコヒーレントに検出され、それによっていくつかのコヒーレント測定信号のセットが形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパースに占有された物体シーンから発する、波動場の信号、特にレーダー信号を受信するための少なくとも1つの受信ユニットを備える波動ベースの測定システム、特にレーダー測定システムの少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータを較正するための方法であって、
前記少なくとも1つの受信ユニットおよび前記物体シーンが、互いに対していくつかの空間的位置を仮定し、互いに対する前記いくつかの位置の相対測位が知られまたは決定され、これらのいくつかの位置において前記信号が前記少なくとも1つの受信ユニットによってコヒーレントに検出され、いくつかのコヒーレント測定信号のセットが形成され、
少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータの較正が、コヒーレント測定信号の前記少なくとも1つのセットに基づいて行われる、方法。
【請求項2】
前記受信ユニットが、少なくとも1つの受信機を備え、任意選択で、少なくとも1つの送信機を備え、前記送信機が任意選択で前記受信機と一致し得る、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定信号ならびに/または前記測定信号から導出された信号、たとえば、フーリエ変換信号、および/もしくは前記測定信号から導出されたパラメータが、較正される少なくとも1つのパラメータおよび/または仮想目標分布に応じて、仮想比較信号および/または比較パラメータと比較され、好ましくは、前記対応する仮想目標分布が比較的スパースに、特にできる限りスパースに占有された前記パラメータに対する解が決定される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのパラメータが、単一の受信ユニットの前記較正に関係する少なくとも1つのパラメータを含み、かつ/またはいくつかの受信ユニットの対話の前記較正に関係するパラメータを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
コヒーレントに動作する受信機の少なくとも1つのグループを含む少なくとも1つの受信ユニットの少なくとも1つのパラメータが較正され、かつ/または
少なくとも1つのパラメータが、少なくとも1つの受信機を各々有するいくつかの受信ユニットのために較正される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの受信ユニットおよび/または少なくとも1つの受信機から、
位相位置、特に、少なくとも1つのさらなる受信ユニットまたは少なくとも1つのさらなる受信機に対する位相オフセット、ならびに/または
減衰もしくは利得、ならびに/または
たとえば、全球基準方位に対する、および/もしくは少なくとも1つのさらなる受信ユニットもしくは少なくとも1つのさらなる受信機に対する方位、
ならびに/または、たとえば、全球基準点に対する、および/もしくは少なくとも1つのさらなる受信ユニットもしくは少なくとも1つのさらなる受信機に対する測位、ならびに/または
さらなる受信ユニットまたは特に同じ受信ユニット内のさらなる受信機による結合の影響、たとえば、結合行列、ならびに/または
測定関係、特に、前記受信ユニットとさらなる受信ユニットとの間の結合を記述するパラメータ、ならびに/または
前記受信ユニットとさらなる受信ユニットとの間の複素相対振幅を記述するパラメータ、ならびに/または
少なくとも1つのさらなる受信ユニットまたは少なくとも1つのさらなる受信機に対する時間オフセットを記述するパラメータ
が較正される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
様々な異なる物体シーンが前記較正に使用され、それに関して前記受信ユニットがいくつかの位置を仮定する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記物体シーン自体が、静止している、または少なくとも実質的に静止していると仮定され得る、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記いくつかの位置を仮定するために、前記物体シーンが全球基準点に対して移動される、または前記受信ユニットが、全球基準点に対して移動される、または前記物体シーンならびに前記受信ユニットの両方が、全球基準点に対して移動される、
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの人工的に作成された物体シーンが使用され、たとえば、いくつかの信号放出および/または反射本体、特に、金属の本体、たとえば、好ましくはサイズおよび/または形状および/または位置および/または表面特性および/または反射特性がわかっている球体の配置を含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記較正が、前記物体シーンの特性の決定の間、たとえば、前記物体シーンの画像の再構成のための方法の間、行われる、
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前のステップにおいて、前記パラメータの少なくとも1つの粗い事前決定または事前推定が行われる、
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記パラメータが、測定信号に基づく測定データに適用される、
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記較正が、前記いくつかの位置での前記測定によって形成された合成開口の近接場の物体シーンで行われ、および/またはいくつかの受信ユニットの組合せの近接場で行われ、および/または少なくとも1つの受信ユニットの近接場で行われる、
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記受信ユニットに対する前記物体シーンの物体の位置および/または角度位置および/または距離が、前記較正を行うとき少なくとも正確には知られていない、および/または前記較正に使用されない、
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
好ましくは請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を行うための、波動ベースの測定システム、好ましくはレーダー測定システム、特に車両レーダーシステム、好ましくは自動車レーダーシステムのための較正システムであって、前記較正システムが、少なくとも1つの信号および/または前記測定システムのシステムパラメータの較正のために構成され、前記少なくとも1つの受信ユニットおよび前記物体シーンが互いに対していくつかの空間的位置を仮定するという点で生成され得る、いくつかのコヒーレント測定信号のセットが形成され、互いに対する前記いくつかの位置の前記相対測位が知られ、または決定され、前記信号がこれらのいくつかの位置で前記少なくとも1つの受信ユニットによってコヒーレントに検出され、少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータの較正が、コヒーレント測定信号の前記少なくとも1つのセットに基づいて行われる、較正システム。
【請求項17】
好ましくは請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を行うための、波動ベースの測定システム、好ましくはレーダー測定システム、特に車両レーダーシステム、好ましくは自動車レーダーシステムであって、
スパースに占有された物体シーンから出てくる波動場の信号、特にレーダー信号を受信するための少なくとも1つの受信ユニット、ならびに
請求項16に記載の較正システム
を備える、波動ベースの測定システム。
【請求項18】
物体シーンならびに請求項16に記載の較正システムおよび/または請求項17に記載の測定システムを含む配置。
【請求項19】
請求項16に記載の較正システムおよび/または請求項17に記載の測定システムを備え、かつ/または請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を行うように構成された、車両、特に自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波動ベースの測定システム、特に、レーダー測定システムの少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータを較正するための方法、較正システム、波動ベースの測定システム、好ましくはレーダー測定システム、物体シーンならびに較正システム、ならびに車両を含む配置に関する。
【背景技術】
【0002】
波動ベースの測定システム、特にレーダー測定システムにおいてパラメータを較正するための方法が、原則として知られている。この背景において、測定システムの測定結果もしくは測定特性に影響を及ぼす、それぞれの測定システムの信号(送信信号)および/または構成要素の(任意の)パラメータが較正され得る。
【0003】
一般的な較正方法は、測定に基づき、測定は、波動ベースの測定システム(センサーシステム)の遠方場の制御された、通常すでに知られている目標シーンに基づき、すなわち、たとえば、較正される測定システムの遠方場の知られている角度に位置する目標物の測定に基づく。さらに、目標シーンはスパースに(sparsely)占有されている目標シーンであるという趣旨の情報を活用する手法が知られている。それによって、探索されたパラメータ、および同時に目標分布が推定され得る。
【0004】
(較正されるパラメータとして)結合行列を較正するための1つの最新技術は、たとえば、欧州レーダー会議(European Radar Conference)において2013年に公開された、C. M. Schmid、C. Pfeffer、R. Feger、およびA. Stelzer、「An FMCW MIMO radar calibration and mutual coupling compensation approach」に説明されるように、レーダーの遠方場に位置する知られている角度の目標物(たとえば、三面鏡)への基準測定に基づいている。
【0005】
しかしながら、いくつかの問題がここで生じることがある。第1に、遠方場近似が保証され、または可能でなければならず、これは、特に、大きいアンテナ開口では、比較的大きい距離に目標物を必要とする(遠方場限界は、アンテナ開口Lおよび波長λとすると、2*L2/λと考えられる)。加えて、較正中の比較的強いマルチパスの発生は防止されなければならず、それに応じて、大きい無反射測定環境(測定チャンバ)を必要とする。これは、比較的実行不可能である(実際には多くの適用例においてそうである)ことがわかる。加えて、未知の位相および振幅が、各基準目標物とともに発生することがあり、個々の基準測定値がコヒーレントに処理されないことがある。近接場での較正では、レーダーに対する基準目標物の位置は、アンテナ間の正確な位相関係を決定するために波長の一部内に知られる必要がある。これは、実行可能ではない(または少なくとも困難である)と考えられているように見られている。
【0006】
スパース性または圧縮された検知もしくは圧縮検知に基づいて、異なるパラメータおよび角度推定またはスパース(sparse)シーン(物体シーン)の推定の同時較正のための手法が存在し、たとえば、C. Bilen、G. Puy、R. Gribonval、およびL. Daudet、「Convex Optimization Approaches for Blind Sensor Calibration Using Sparsity」、IEEE Trans. Signal Process. vol. 62、no. 18、4847~4856頁、2014年9月、doi: 10.1109/TSP.2014.2342651ならびにA. ElbirおよびE. Tuncer、「2-D DOA and mutual coupling coefficient estimation for arbitrary array structures with single and multiple snapshots」、Digit. Signal Process. vol. 54、2016年4月、doi: 10.1016/j.dsp.2016.03.011を参照されたい。これは、既知の角度または目標位置が与えられる必要がないことを意味する。これは通常、いわゆるオンライン較正として提案され、未較正のシステムでも測定の状況において角度推定が行われることを可能にするよう意図される。1度にただ1つの測定が、較正パラメータを推定するために使用される。これは、わずかな情報しか利用可能ではないことを意味する。この(理論上の)手法では、情報内容が不十分であるので、現実的な条件の下では比較的良い較正はほとんど見込まれない。さらに、この文脈において、通常、単に角度によって記述される目標分布を仮定する。これは、複雑さを減らすが、(やはり)マルチパスが少ない(multipath-poor)遠方場の測定を必要とする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】C. M. Schmid、C. Pfeffer、R. Feger、およびA. Stelzer、「An FMCW MIMO radar calibration and mutual coupling compensation approach」
【非特許文献2】C. Bilen、G. Puy、R. Gribonval、およびL. Daudet、「Convex Optimization Approaches for Blind Sensor Calibration Using Sparsity」、IEEE Trans. Signal Process. vol. 62、no. 18、4847~4856頁、2014年9月、doi: 10.1109/TSP.2014.2342651
【非特許文献3】A. ElbirおよびE. Tuncer、「2-D DOA and mutual coupling coefficient estimation for arbitrary array structures with single and multiple snapshots」、Digit. Signal Process. vol. 54、2016年4月、doi: 10.1016/j.dsp.2016.03.011
【非特許文献4】D. L. Donoho、「Compressed sensing」、IEEE Trans. Inf. Theory、vol. 52、no. 4、1289~1306頁、2006年4月、doi: 10.1109/TIT.2006.871582
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特に、少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータが、比較的少ない労力で、なおかつ比較的正確に較正され得る、波動ベースの測定システム(特にレーダー測定システム)を較正するための方法を提供することが目的である。さらに、対応する較正システム、対応する波動ベースの測定システム、物体シーンならびに較正システムならびに対応する車両を含む対応する配置を提案することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、特に請求項1の特徴によって解決される。
【0010】
特に、この目的は、波動ベースの測定システム、特にレーダー測定システムの、較正される少なくとも1つのパラメータ(特に信号および/またはシステムパラメータ)を較正するための方法によって解決され、波動ベースの測定システムは、好ましくはスパースに占有された物体シーンから出てくる波動場の信号、特にレーダー信号を受信するための少なくとも1つの受信ユニットを備え(ここで、少なくともレーダー信号の場合、原則としてそれぞれの物体シーンがスパースに占有されると仮定され得る)、少なくとも1つの受信ユニットおよび物体シーンは、(異なる時点での)互いに対していくつかの空間的位置を仮定し、互いに対するいくつかの位置の相対測位が知られ、または決定され(したがって、知られるようになり)、これらのいくつかの位置において、信号は少なくとも1つの受信ユニット(センサー)によってコヒーレントに検出され(したがって、合成開口が形成され)、いくつかのコヒーレント測定信号のセットが形成され、少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータの較正が、コヒーレント測定信号の少なくとも1つのセットに基づいて行われる。
【0011】
本開示の重要な思想は、いくつかの位置で測定値を記録することである(ここで、いくつかの位置の互いに対する配置は事前に知られているか、または決定されている)。特に、これらの測定値のコヒーレントな処理とともにまたはその後に結果として得られた合計開口は、合成開口または逆合成開口と呼ばれることもある。原則として、別段に規定されていない限り、「合成開口」という用語は、非逆および/または逆合成開口を含むものとする。この意味で、これらの測定値は、次いで好ましくは(コヒーレントに)処理され、(完全)較正のための情報をもたらす。それによって、特に情報は、物体シーン(または、特定の場合には、スパースであると仮定され得るレーダー物体シーン)がスパースに占有されたターゲットシーンという趣旨で活用される。この点において、本開示はまた、特に、(それぞれの)物体シーンがスパースに占有されているという仮定または前提条件に基づいている。
【0012】
スパースに占有された物体シーンとは、好ましくは、(測定システムによって分けることが可能な)100未満の物体(または強い反射物体がスパース性に決定的であると考えられ、それにより、必要ならば、支配的な散乱体または物体がほとんどない限り、さらなる弱い散乱物体が存在している可能性があるという意味における少なくとも100未満の支配的な物体)を有する物体シーンを意味する。
【0013】
原則として、物体は、基準物体(たとえば、金属球などの金属要素)など、所定の(最初から既知の)物体、または基本的に未知の物体(おそらく移動している車両の環境の測定システムによって測定可能な物体または構造体など)でありうる。
【0014】
信号および/またはシステムパラメータの下で、特に信号(特に測定システムの少なくとも1つの送信機によって送信された少なくとも1つの信号)のパラメータおよび/または(適用可能な場合、たとえば距離および/または向きなど、絶対的なおよび/または他の構成要素に関した)測定システムの少なくとも1つの構成要素のパラメータが理解され、測定結果または測定システムの測定特性に影響を及ぼす。
【0015】
波動ベースの測定システムは、電磁波、光波、および/または音響波で作動するように構成されてもよい。特に好ましくは、レーダー測定システム、すなわちレーダー波で動作する測定システムである。そのような測定システムは、略してレーダーと呼ばれる場合もある。受信ユニットは、アンテナによって形成される、または1つまたは複数のアンテナを含むことがある。しかしながら原則として、受信ユニットは、それぞれの波動の受信を可能にするいかなる種類の少なくとも1つのデバイス(たとえば、電磁波の場合はアンテナ、光波の場合は光検出器または電気光学ミキサ、音響波の場合は音響変換器またはマイクロフォン)も備え得る。
【0016】
信号は、必要ならば、測定システムによって送信され、スパースに占有された(しかしそれ以外は、概して主に任意の)物体シーン(目標シーン)で反射され、再び測定システムによって受信され得る。たとえば、典型的なレーダーシナリオでは、スパースに占有された物体シーン(または薄められた、スパースに占有された、もしくはスパースな物体シーン)が、たとえば、D. L. Donoho、「Compressed sensing」、IEEE Trans. Inf. Theory、vol. 52、no. 4、1289~1306頁、2006年4月、doi: 10.1109/TIT.2006.871582において説明される意味において、デフォルトで仮定され得る。
【0017】
全体的に、開示する方法によって、少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータの比較的正確な較正が、しかも(必要とされるハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素および/または必要とされる計算能力の観点から)比較的単純な手段で可能にされる。特に、利用される合成開口によって、測定データ(たとえば、測定データベクトルまたは測定行列)の情報内容が、単一の測定と比較して著しく増加する。たとえば、測定プロセス(たとえば、測定行列によって記述される)は、これは、較正されるパラメータに加えて、わかっていると仮定され得るが、現在やはり測定位置に依存している可能性がある。
【0018】
特に、したがって、スパースに占有された物体シーンのいくつかの測定が異なる位置で行われ、コヒーレントに処理される、すなわち合成開口が構築されるという点で、好ましくは完全なまたはより包括的な較正へ、圧縮検知に基づいて(オンライン)較正を拡張することが提案される。
【0019】
(それぞれの)受信ユニットは、好ましくは少なくとも1つの受信機(特に、少なくとも1つの受信アンテナ)を含む。(それぞれの)受信ユニットは、少なくとも1つの(または厳密に1つの)送信機(特に、送信アンテナ)を有して(すなわち、任意選択で送信および受信ユニットとして設計されて)もよい。(それぞれの)受信機または(それぞれの)受信アンテナはまた、任意選択で(同時に)送信機能を有する(すなわち、組み合わせられた送信-受信部または送信-受信アンテナとして設計される)ことがある。
【0020】
受信ユニットは、場合によりいくつかの受信機(たとえば、少なくとも2個または少なくとも4個または少なくとも8個および/または多くとも100個)を有してもよい。さらに、受信ユニットは、場合によりいくつかの送信機(場合により少なくとも2個または少なくとも4個または少なくとも8個および/または多くとも100個)も含んでよい。
【0021】
たとえば、受信ユニット(または送信-受信ユニット)は、TRXモジュールであってもよい。
【0022】
受信ユニットは、任意選択で送信機なしで備え付けられることもある。
【0023】
任意選択で、(少なくとも1つの)受信ユニットに加えて、それぞれの波動を送信するための少なくとも1つの送信ユニットもまた存在してもよく、かつ/または物体シーンは、少なくとも1つの送信機を有してもよい。
【0024】
特に好適な実施形態では、測定信号および/または測定信号から派生した信号、たとえば、フーリエ変換信号および/または測定信号から派生したパラメータは、仮想比較信号または較正される少なくとも1つのパラメータおよび/もしくは仮想目標分布によって決まる比較パラメータと比較される。好ましくは、この比較の間、対応する仮想目標分布が、比較的スパースに、特にできる限りスパースに占有される(較正される)パラメータの解が探索され、特に決定される。
【0025】
好ましくは、スパース性は、(場合によりいくつかの)最適化基準の1つとして利用され、特により高いスパース性を有する解(すなわち、特により少ない目標物および/または目標振幅のより低い合計)が、(最適化という観点で)より低いスパース性を有する解(すなわち、特により多くの目標物または目標振幅のより高い合計)よりも好ましく、さらに好ましくは、最大スパース性を有する解が、いくつかの仮想解のうちで好ましい(および特に、選択される)。
【0026】
スパース性の下で、特に検出された(アクティブおよび/またはパッシブ、すなわち特に反射)波動場源の数(それによってここでは好ましくは純粋な反射物もまた波動場源として理解される)が理解される(または、スパース性のために、強い放射源が決定的であるように、支配的波動場源の数、それによって必要ならばさらに弱い放射源が存在し得る)。したがって、たとえば、第1の仮想解に5個の波動場源が検出され、第2の解に10個の波動場源が検出される場合、第1の解は、この方法内の好ましい解として選ばれるものとする(ただし場合によりさらなる最適化基準によって決まる)。スパースな解は、たとえば、ゼロに等しくないピクセルの数を決定する、目標ベクトルのl0ノルム
【0027】
【0028】
を最小にすることによって、またはすべての像振幅を合計するl1ノルム
【0029】
【0030】
を最小にすることによって、獲得され得る。結合ノルムを含む2未満の他のノルムの使用もまた、考えられる。
【0031】
一般に、この方法は、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも4つの、場合により少なくとも6つの波動場源(特にレーダー源、すなわちレーダー反射物および/またはアクティブレーダー源)および/または多くとも200、好ましくは多くとも100、なお一層好ましくは多くとも50の波動場源(特に特定のレーダー源)が存在していることが、(厳密なスパース性がわかっていなくても)仮定される物体目標シーンで行われ得る。レーダー源という用語は、「レーダー反射物および/またはアクティブレーダー送信機、たとえばレーダー送信アンテナ)の略語として理解されたい。
【0032】
(それぞれの)波動場源/レーダー源の形状および/または数および/または配置は、(たとえば、測定システムまたはレーダーシステムを備えた車両の観点から特定の場合にトラフィック状況がある場合に)知られている、または知られていない場合がある。
【0033】
実施形態では、少なくとも1つのパラメータは、(それぞれの)個々の受信ユニットの較正に関係する少なくとも1つのパラメータを含む。代替または追加として、少なくとも1つのパラメータは、いくつかの受信ユニットの対話(協働)の較正に関係するパラメータを含んでもよい。対話(協働)は、たとえば、互いとの受信ユニットの通信および/または協働測定(すなわち、たとえば、受信ユニットが互いと交換する信号の移動時間および/または形態)に関係してもよい。
【0034】
好ましくは少なくとも1つの受信ユニットは、好ましくはコヒーレントに動作する受信機(特に、受信アンテナ)、たとえば、少なくとも2つまたは少なくとも4つのコヒーレントに動作する受信機の、少なくとも1つのグループを含む。この場合、好ましくはこの少なくとも1つの受信ユニットの少なくとも1つのパラメータが較正される。
【0035】
代替または追加として、(各場合に)少なくとも1つの受信機を有するいくつかの受信ユニットに対して、少なくとも1つのパラメータが較正される。
【0036】
実施形態では、少なくとも1つの受信ユニット(複数の受信機が存在する場合、場合によりいくつかのもしくはすべての受信ユニット)および/または少なくとも1つの受信機(複数の受信機が存在する場合、場合によりいくつかのもしくはすべての受信機、ここで、受信機は、同じ受信ユニットの構成要素またはいくつかの異なる受信ユニットの構成要素である)に対して、以下が較正される:
- 位相位置(特に、少なくとも1つのさらなる受信ユニットまたは1つのさらなる受信機に対する位相オフセット)、ならびに/または
-減衰もしくは利得(任意選択で1つのさらなる受信機/受信ユニットに対して絶対的および/または相対的、それによってこれは、場合により位相位置と組み合わせて、結合行列の主対角線に対応することができる)、ならびに/または
- たとえば、全球基準方位(global reference orientation)に対する、および/または少なくとも1つのさらなる受信ユニットもしくは1つのさらなる受信機(もしくそれの方位)に対する、方位、ならびに/または
- たとえば、全球基準点(global reference point)に対する、および/または少なくとも1つのさらなる受信ユニットもしくは少なくとも1つのさらなる受信機(もしくはそれの測位)に対する測位、ならびに/または
- (たとえば、結合行列によって記述される)さらなる受信ユニットまたは(特に、同じ受信ユニット内の)さらなる受信機による結合の影響、ならびに/または
- 測定関係、特に、受信ユニットとさらなる受信ユニットとの間の結合を記述するパラメータ、ならびに/または
- 受信ユニットとさらなる受信ユニットとの間の複素相対振幅(complex relative amplitude)を記述するパラメータ、ならびに/または
- 受信機とさらなる受信機との間の複素相対振幅を記述するパラメータ、ならびに/または
- 少なくとも1つのさらなる受信ユニットまたは1つのさらなる受信機に対する時間オフセットを記述するパラメータ。
【0037】
実施形態では、異なる物体シーンが較正に使用され、それに関して(各場合の)(それぞれの)受信ユニットがいくつかの位置を仮定する。やはり物体シーンまたはそれらの構成は、(少なくともいくらかのまたは顕著な確率で、それらが異なっていることを除いて)詳細に知られる必要がない。たとえば、車両が移動している間、異なる時間に考慮される物体シーンは異なっていると仮定され得る。
【0038】
好ましくは、(複数のコヒーレント測定信号のセットの形成までの、および複数のコヒーレント測定信号のセットを含む)較正のための方法のステップは、(少なくとも2つの異なる物体シーンに対して)少なくとも2度行われ、このように取得された(複数のコヒーレント測定信号の)セットは、較正される少なくとも1つのパラメータの較正に使用される。パラメータの較正のために(いくつかのコヒーレント測定信号の)2つのセットを一緒に使用し、またはこの較正のためにそれらを別々に使用し、したがって最初に2つの別々の較正が行われ、それらが次いで(たとえば、較正によって決定されたパラメータセットを平均することによって)マージされることもまた考えられる。
【0039】
異なる物体シーンは、たとえば、車両(たとえば、運転中に)または対応する波動ベースの測定システム(レーダー測定システム)によって検出される異なるシーン、または、たとえば静止較正配置内に、存在しているあらかじめ知られている物体シーン、または一方もしくは両方のいずれかであってもよく、特にいくつかの物体シーンの1つが、所定の静止物体シーンであり、さらなる物体シーンが、測定システムの現在の使用状況(たとえば、車両の運転)に存在するようにする。
【0040】
一般に、物体シーンは、特に個々の物体または波動場源が(検出中に)互いに対して移動しないように、(少なくとも実質的に)それ自体静止していてもよく、またはそれら自体が(少なくとも実質的に)静止していると仮定される(または、検出中に静止物体シーンが仮定され得るようにふるまう)。
【0041】
実施形態では、(それぞれの)物体シーンは、全球基準点に対して(特に(それぞれの)受信ユニットがこれらの全球基準点に対して移動される間)移動される場合がある。さらなる代替実施形態では、(それぞれの)受信ユニットは、全球基準点に対して(特に(それぞれの物体シーンがこの全球基準点に対して移動されない間)移動される場合がある。さらなる代替実施形態では、(それぞれの)物体シーンならびに(それぞれの)受信ユニットは両方とも、全球基準点に対して移動されてもよい。全球基準点は、好ましくは移動しないと考えられるものとし、たとえば、地上の固定点によって定義されて(または少なくとも地上のそのような点に対して不変の位置を有して)よい。
【0042】
実施形態では、少なくとも1つの人工的に作成された物体シーンが使用されてもよく、たとえば、信号を(アクティブに)放出するおよび/または反射するいくつかの別個の構造体(特に本体)、特に、金属の本体、たとえば、好ましくはサイズおよび/または形状および/または位置および/または表面特性および/または反射特性がわかっている(金属の)球体の配置を含む。
【0043】
代替または追加として、較正は、たとえば、対応する較正システムまたは測定システムを備えている物体(特に車両、好ましくは自動車)が動作中である(たとえば、運転する)とき、オンラインで行われ得る。
【0044】
好ましくは、較正は、物体シーンの特性の決定の間、たとえば、物体シーンの画像の再構成のための方法の間、(オンラインで)行われる。特にこの観点では、物体シーンは、少なくとも原則として(また物体もしくは波動場源の配置に関して)未知であってもよいが、好ましくは静止していると仮定される。
【0045】
実施形態では、(較正される)パラメータの少なくとも粗い事前決定または事前推定が、(場合により偏差法(deviating method)を用いて)処理ステップにおいて行われる。
【0046】
(較正される)パラメータは、測定信号に基づいて(比較または調整のために)測定データに適用され得る。
【0047】
好ましくは、較正は、いくつかの位置での測定によって形成された合成開口の近接場の物体シーンで行われ、および/またはいくつかの受信ユニットの組合せの近接場で行われ、および/または少なくとも1つの受信ユニットの近接場で行われる。
【0048】
実施形態では、受信ユニットに対する物体シーンの物体の位置および/または角度位置および/または距離は、較正を行うとき(少なくとも正確には)知られていない、および/または較正に使用されない。しかしながら、これはそうであってもよい(上記参照)。
【0049】
代替実施形態では、物体シーンの一部についての情報を含む測定データの一部(のみ)が使用される。
【0050】
さらなる代替実施形態では、(事前に)決定された距離範囲についての情報を含む測定データ(のみ)が使用される。
【0051】
さらに、(上記への)追加の制約が、較正のための方法において較正パラメータに適用されてもよい。
【0052】
特に、信号パワーが、較正パラメータを制約するために使用されてもよい。
【0053】
特に、(それぞれの)受信ユニットは、FMCWレーダー原理および/またはOFDMレーダー原理に従って動作してもよい。
【0054】
上述の目的はさらに、好ましくは較正のための上記の方法を行うための、波動ベースの測定システム、好ましくはレーダー測定システム、特に車両レーダーシステム、好ましくは自動車レーダーシステム(トラックおよび/またはカーレーダーシステム)のための較正システムによって解決され、この較正システムは、少なくとも1つの信号および/または測定システムのシステムパラメータの較正のために構成され、少なくとも1つの受信ユニットおよび物体シーンが互いに対していくつかの空間的位置を仮定するという点で生成され得る、いくつかのコヒーレント測定信号のセットが形成され、互いに対するいくつかの位置の相対測位が知られ、または決定され、信号がこれらのいくつかの位置で少なくとも1つの受信ユニットによって(特にコヒーレントに)検出され、少なくとも1つの信号および/またはシステムパラメータの較正が、コヒーレント測定信号の少なくとも1つのセットに基づいて行われる。
【0055】
上述の目的は、好ましくは上記の方法を行うための、
- スパースに占有された物体シーンから出てくる波動場の信号、特にレーダー信号を受信するための少なくとも1つの受信ユニット、ならびに
- 上記の較正システム
を含む、波動ベースの測定システム、好ましくはレーダー測定システム、特に車両レーダーシステム、好ましくは自動車レーダーシステムによってさらに解決される。
【0056】
上記の目的はさらに、物体シーンならびに上記の較正システムおよび/または上記の測定システムを含む配置によって解決される。
【0057】
上記の目的はさらに、上記のタイプの較正システムおよび/または上記の測定システムおよび/または較正のために上記の方法を行うように構成された較正システムを含む車両、特に自動車(たとえば、車またはトラック)、モーターバイク、船舶、飛行機、またはヘリコプターによって解決される。
【0058】
上記および/または後続の方法ステップを行うために決定、推定、および/または計算が行われる限り、(較正システムまたは測定システムの一部としての)少なくとも1つの対応する評価ユニットが、この目的で提供されてもよい。これは、部分的にまたは完全に受信ユニットの一部である(たとえば、共通のアセンブリに、たとえば共通のハウジングに受信ユニットとともに配列される)、または(少なくとも部分的にまたは完全に)受信ユニットと反対の外部に(たとえば、別個のハウジングに)あることがある。(それぞれの)受信ユニットおよび/または(それぞれの)評価ユニットは、少なくとも1つの(マイクロ)プロセッサおよび/または少なくとも1つの(電子)メモリおよび/または(たとえば、ワイヤ接続を介してもしくはワイヤレスに)さらなるデバイスとの通信のための少なくとも1つの入力および/または出力手段を有してもよい。
【0059】
さらなる実施形態は、従属請求項から得られる。
【0060】
以下では、本開示について、図に関してより詳細に説明する実行例に関しても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図2】実行による方法を行うための概略表現である。
【
図3】実施形態による自律車両およびレーダー測定システムを含むシステムの概略表現である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下の説明では、同一の部分およびまったく同様に作動する部分に同じ参照番号が使用される。
【0063】
以下では、NRx個の受信(RX)アンテナを各々有する、NM個の測定ユニット(レーダーユニットまたは受信ユニット)を有する測定配置が考えられ、第nRxのアンテナが、レーダーの中心に対して位置
【0064】
【0065】
にある。
【0066】
さらに、好ましくはNTx個の送信(TX)アンテナが、相対的な位置
【0067】
【0068】
に存在する。
【0069】
明確性のために、まず、単一のレーダー(または単一の送信受信ユニット)を考える。データ収集のために、その中心は、第npの測定位置
【0070】
【0071】
にあり、ここで1≦np≦Npである。
【0072】
データ収集は、レーダーのTXアンテナが信号s(t)を放出するように行われる。この信号は、物体シーンによって散乱され、または反射され、RXアンテナによって受信される。あるいは、信号がアクティブな物体によって、たとえば無線送信機によって放出されることも考えられる(それによってこの例では特にTXアンテナは、測定ユニットまたは受信ユニットに存在する必要がない)。しかしながらこの例では、連続したいくつかの測定の場合、送信信号間に固定の位相関係があることが保証されるべきである。
【0073】
より簡潔な表現として、以下の簡略化が仮定される。
- すべての反射物体が、すべての位置Npにおいてレーダー(または受信ユニット)によって検出できる空間領域内に位置している。
- アンテナの方向挙動は一様で、一定であり、方向と無関係である。
- 送信チャネルは、最初は理想的なAWGNチャネル(AWGN=加法性白色ガウス雑音)としてモデル化される。すなわち、受信信号は、加法性白色ガウス雑音であると仮定される干渉n(t)によってオーバーレイされた、送信信号の振幅加重および時間遅延バージョンの線形重ね合わせとして生じる。
【0074】
アプリオリに未知の位置
【0075】
【0076】
における考えられている物体シーン内のNK個の目標物の仮定の下で、位置npにおけるあるTX-RX組合せ(nTx,nRx)の(理想的な)受信信号は、
【0077】
【0078】
として記述され得る。
ここで
【0079】
【0080】
は、送信路から生じる減衰を表し、
【0081】
【0082】
は、目標物における反射の影響を表す。
【0083】
【0084】
は、TXから目標物を介してRXまでの信号伝搬時間を示し、
【0085】
【0086】
として計算され、
波動の伝搬速度cおよび距離
【0087】
【0088】
とする。
【0089】
受信信号を周波数範囲に変換すると、以下になる。
【0090】
【0091】
撮像システムでは、いくつかの空間点
【0092】
【0093】
に複素振幅
【0094】
【0095】
を含む目標分布
【0096】
【0097】
が決定され得る。測定点npにおけるデータ収集は、次に線形演算子
【0098】
【0099】
と見なすことができ、これは目標分布を測定値にマップし、測定値は、
【0100】
【0101】
が成り立つように、ベクトル
【0102】
【0103】
に収集され得る。
【0104】
典型的な受信ユニット(レーダーセンサー)の限られた開口により、撮像の分解能は通常、単一の測定では不十分である。特に、距離および角分解能の異なる測定精度が、信頼できる再構成を妨げる可能性がある。したがって、添え字npによってすでに示したように、異なる位置でのいくつかの測定は、互いにコヒーレントに処理され、したがって開口が広がる。レーダー撮像では、これは合成開口とも呼ばれる。そのために、レーダーシステムの相対的測定位置は、コヒーレント評価を可能にするために(比較的正確に)知られなければならない。
【0105】
一方、較正のための本明細書で提案する手順は、測定システム(または受信ユニット)に対する目標物の相対的な位置の(正確な)決定よりもかなり低い要求を基準システムまたはトラバースシステムに出す。
【0106】
いくつかの位置np=1…Npにおいて、説明したようにデータ記録が行われる場合、全体方程式系(total system of equations)は、
【0107】
【0108】
となり、
ここで、全体測定ベクトル
【0109】
【0110】
、ならびに全体測定行列Hは、個々の測定値
【0111】
【0112】
から容易に構成され得る。
【0113】
全体方程式系は(通常)、いくつかの位置での測定値を有する場合でも著しく劣決定(underdetermine)されるので、一般的には求められる目標分布
【0114】
【0115】
は、単純な行列反転による測定から決定することができない。
【0116】
画像再構成への典型的な手法は、複素共役信号と掛けられる、整合フィルタ手法を用いるなど、相関関係に基づくものとすることができる。この場合、推定画像
【0117】
【0118】
は、
【0119】
【0120】
によって与えられ、ここで、演算子(・)Hは転置共役行列を表す。これは、(原則として)位置
【0121】
【0122】
における目標物で生成される仮想測定信号と実際の測定の比較に対応する。ここでもまた、劣決定は、目標分布
【0123】
【0124】
の正しい再構成を妨げる可能性がある。
【0125】
近年、別の再構成手法もまた研究されており、この手法は、いわゆる圧縮検知の原理に基づいている。ここで、目標分布は、ほんのいくつかの個々の目標物から成る、すなわちシーンはスパースに占有されている(「スパース」)と仮定される。したがって、ベクトル
【0126】
【0127】
は、ゼロに等しくないほんのいくつかのエントリを有する。このようにして、誤差パワー
【0128】
【0129】
を最小にし、さらにできる限りスパースな解である、方程式系の解
【0130】
【0131】
が求められる。
【0132】
上記で説明したように、スパースな解は、一般的には、ゼロに等しくないピクセルの数を決定する、目標ベクトルのl0ノルム
【0133】
【0134】
を最小にすることによって、またはすべての像振幅を合計するl1ノルム
【0135】
【0136】
を最小にすることによって獲得される。結合ノルムを含む2ノルム未満の他のノルムの使用もまた、考えられる。これは、
【0137】
【0138】
のように公式化することができるいくつかの目標関数を用いた最適化に対応し、
ここでεは誤差パワーの制限因子として使用され、センサーの受信雑音パワーから推定され得る。低雑音では、これは条件
【0139】
【0140】
によって機能する。以下の、この最適化の他の公式化もまた考えられる。
【0141】
【0142】
、
【0143】
【0144】
、
【0145】
【0146】
、
【0147】
【0148】
、
【0149】
【0150】
、
【0151】
【0152】
、
【0153】
【0154】
、
ここでβは、既知の数およびタイプの目標物が与えられれば推定され得る最大累積像振幅であり、λは、最適化の2つの副目標物に対する重み付け係数である。
【0155】
(近似的)位置および目標数など、十分な事前情報が与えられれば、仮想位置における振幅ではなく、直接目標位置
【0156】
【0157】
を推定することも可能である。これは、最適化を
【0158】
【0159】
または同等の形に変える。
【0160】
この場合、目標位置を直接推定するとき、目標の数は暗黙的に与えられるので、l1ノルムは省略され得る。この点において、これは誤差最小化として理解され得る。
【0161】
現実の測定ユニットでは、測定行列Hは、理想的な測定行列Hidealから逸脱し、十分に知られていないパラメータに依存する場合がある。いくつかのRXアンテナ(受信機)を有するレーダーセンサー(受信ユニット)の場合、これはたとえばチャネルごとの未知の利得および/もしくは位相シフト、ならびに/または個々のアンテナ間の結合効果である。これらは通常、H=CHidealのように結合行列Cに組み合わせられる。しかし、それぞれの受信ユニットおよび/またはそれぞれの受信機の傾きなど、他のパラメータ
【0162】
【0163】
も、測定行列に影響を与えることがある。
【0164】
一般に、測定行列に影響を及ぼす、較正されるべき未知のパラメータセット
【0165】
【0166】
がある。測定方程式は、その場合、
【0167】
【0168】
に変わる。
【0169】
結合行列を較正するための知られている技法は、上記で説明したように、既知の角度での目標(たとえば、三面鏡)に対する基準測定に基づく。
【0170】
(原則として上記でも説明したように)圧縮検知に基づいて、異なるパラメータの同時較正、および角度推定またはスパースシーンの推定のための手法もある。それによって、既知の角度または目標位置が与えられる必要はない。そのために、圧縮検知を用いた撮像のための手法は、推定されるさらなる変数によって補われ、たとえば、
【0171】
【0172】
となる。
【0173】
上記で提案した形に対応する公式化の他の形もまた可能である。
【0174】
しかしながら、これまでのところ、これは、未較正のシステムでも測定状況において角度推定を行うことを可能にする、いわゆるオンライン較正として提案されるにすぎない。ただ1つの測定各々が、較正パラメータを推定するために使用され、これが、上記のオンライン較正方程式において、測定ベクトルおよび測定行列が、単一の位置
【0175】
【0176】
で測定ベクトル
【0177】
【0178】
および測定行列
【0179】
【0180】
に再び縮小された理由である。したがって、前に説明したように、利用可能な情報がほとんどない。
【0181】
好ましくは現在特に、異なる位置pos 1, ...., pos n
p (
図1参照)においてスパースに占有されたシーンについてのいくつかの測定を行うこと、および(コヒーレントに)処理すること、すなわち合成開口を構築することによって、圧縮検知に基づく(オンライン)較正のアイデアを拡張することが提案される。
【0182】
このようにして、測定データベクトルならびに測定行列が、単一の測定と比較して(著しく)拡大され、情報内容が(著しく)増加し得る。測定行列は現在、(それぞれの)較正パラメータに加えて、測定位置
【0183】
【0184】
にも依存しており、これらはしかしながら既知と仮定される。
【0185】
基本的セットアップが、
図1に示されている。レーダーは、ここでは例示的にN
p個の異なるレーダー位置にあり、ここでは金属球の配置として示されるが、任意の目標によって形作られうる、スパースに占有された配置を測定する。
【0186】
目標の位置は、未知であり、較正という観点において共同推定される(co-estimated)ことがある。互いに対するそれらの相対的な位置のみは、測定中に(少なくとも本質的に)一定のままでなければならず、したがってそれは固定シーンであるはずである。レーダーまたは受信ユニットRおよび/または物体シーン全体Oの相対移動についての情報は、レーダーRおよびすべての目標物Mの全絶対位置よりも(著しく)決定しやすい。したがって、レーダーRは、静止シーン、静止レーダーの場合のシーン、または互いに対して両方の場合に移動され得る。
【0187】
この相対移動が知られている限り、以下のより簡単な説明に対して制限なしに、任意のポイントに対する測定位置
【0188】
【0189】
によって説明される、静止シーンとともにレーダー移動があると仮定され得る。
【0190】
これらの測定された値とともに、次いで
【0191】
【0192】
または同等の手法(上記参照)を用いて、任意の較正パラメータ
【0193】
【0194】
を決定することが可能である。必要ならば、たとえば、自明な解が生じること、または探索されたパラメータの1つが、(2つの)最適化目標の1つがもはや解空間の制限ではないように選ばれることを防ぐために、追加の制限が行われ得る。
【0195】
同時に決定された再構成画像
【0196】
【0197】
は、(単に)較正のための手段であり、必ずしも正しく決定される必要はない。ただ1つの単一測定が、上記で説明したオンライン較正の場合のように、最小化のために行われる場合、今度はパラメータセット
【0198】
【0199】
と画像再構成
【0200】
【0201】
との間の依存性が生じ、較正され得るパラメータを強く限定する
【0202】
たとえば、遠方場において目標を有する位置(未知の位置)で測定するとき、互いにコヒーレントではない2つのアレイ間距離の較正は、距離の基準値が見つからないので可能ではない。また、非常に多くのパラメータが、結合行列の推定のために決定されなければならない。測定に伴う較正が理論的に可能であったとしても、雑音または誤ったアンテナ方向特性などのさらなる測定誤差によって影響を受けるので、実際には機能しない。
【0203】
ここでもまた、上記で説明したように、事前推定が十分に良い場合、目標の位置
【0204】
【0205】
を直接推定することが可能である。これは、たとえば、パラメータセット
【0206】
【0207】
の良い事前推定および画像再構成
【0208】
【0209】
が、実行による方法に基づいてすでに行われた後に有利である。
【0210】
上記で説明した圧縮検知を有するオンライン較正と比較した実行による方法の利点は、特に、センサーと物体シーンの相対移動によるより大きい開口の生成によって、単一の測定で利用可能となるよりも著しく多くの情報が収集されることである。加えて、この情報は、従来の較正方法とは異なり、コヒーレントに利用可能であり、それによって全情報が使用でき、高感度が実現される。
【0211】
したがって、物体シーンは、今では任意選択で、較正パラメータが決定される前にコヒーレントシフトからすでに決定され得る。たとえば、固定送信機が信号を固定シーンに放出し、それによっていくつかのアンテナを有する受信機がシフトされる場合、単一のアンテナが、シーンの撮像にはすでに十分であり、それによってすべての相対パラメータの完全な較正が(自動的に)有効にされる。
【0212】
このようにして、たとえば、結合行列が、明確に決定できることもあり、特に、圧縮検知のオンライン較正へのいくつかの手法と同様に、未知の回転因子(rotation factor)が残らない。
【0213】
さらに、これは、特に、相対移動が及ぶセンサーまたは開口の近接場での較正を可能にする。マルチパス伝搬はしたがって、たとえば、センサー近くに、したがって、マルチパスが直接リンクよりも著しく長い信号経路をもたらす強いマルチパス生成反射物(たとえば、地面)から遠く離れて目標配置を置くことによって(簡単に)低減され得る。
【0214】
この場合、これらは、受信信号において直接経路から容易に分離され得る。次いで、たとえば、短距離の目標に関連する測定値のみが、較正に使用可能であり、長距離、したがってマルチパスに属する測定値が省略され得る。特に、もはや無反射測定チャンバの必要がない。いずれの残りのマルチパスは、変動するレーダー位置(受信ユニット位置)とともに変化し、それによって、合成開口の増加とともに、雑音に起因する可能性がある、だんだんランダムな量になる。
【0215】
制御された較正条件(オフライン較正)の下では、目標の反射挙動が(できる限りよく)記述されまたは知られ、測定行列Hが測定の(少なくともできる限り)正しい記述を表すように、目標シーンを選択することが有利であり得る。レーダー適用例では、たとえば、すべての方向に一様に散乱する無限に小さい点目標が、標準的に仮定され得る。
【0216】
任意選択で既知の形状および/またはサイズ(たとえば、半径r)を有する、金属球および/または金属棒などの既知の散乱体が選択される場合、それらの反射挙動は、好ましくは行列Hに統合される。シーンにおける考えられる不要な散乱体が、その場合、測定方程式で予想されるものとは対応して異なる反射挙動を示し、(特に比較的大きい合成開口で)雑音と見なされ得る。
【0217】
さらに、選択的セットアップの場合の較正では(目標の数などの)事前に知られている情報を含むことが有利である。
【0218】
選択的セットアップを伴う較正の実行例として、(レーダー)受信ユニットにおける結合行列Cの較正が、考えられ得る。(レーダー)受信ユニットは、送信アンテナおよびN
Rx=8個の受信アンテナ(または他の数の受信アンテナ)付きのFMCW受信ユニットであってもよく、これらは線形アレイとして配列されてもよい(
図1参照)。レーダーは、アンテナもまた配列された軸に沿った正確な相対移動を可能にするトラバーススタンドに置かれ得る。(同一かつ既知の半径rをもつ)N
K=6個の金属球の配置は、受信ユニットRの前に置かれる。他の(金属)体は異なる数で考えられる。
【0219】
すべての金属球は、任意選択でアンテナと(少なくともほぼ)同じ平面にあって、(少なくとも線形アレイが存在する場合)2D評価で十分である可能性がある。代替または追加として、3D評価が行われることもある。
【0220】
受信ユニットRは次に、金属球Mを過ぎて移動され、いくつかの位置で測定データを記録することができる。
【0221】
この場合、探索される目標の数はわかっており、さらに同じく球ごとの後方散乱断面積、したがって
【0222】
【0223】
の推定が可能である。したがって、誤差パワーおよび全体像振幅の同時最小化のために、形の最適化
【0224】
【0225】
がそれ自体を表し、ここで全体像振幅は、予想される振幅に限定される。この場合、較正パラメータは、測定行列から分離可能である。これは、各解
【0226】
【0227】
およびCについて、誤差パワーについての等価解
【0228】
【0229】
およびvCが存在するので、
【0230】
【0231】
およびCが単に任意の因子vに対して解かれるにすぎないということになる。したがって、
【0232】
【0233】
は、(任意に)小さくなる可能性があり、
【0234】
【0235】
がNKAKugelよりも小さくなくてはならないという条件は、もはや解空間に対する制限を表さない。
【0236】
したがって、Cは主対角線上のあるパワーを下回ってはならないことなどの、
【0237】
【0238】
およびCに対する追加の制約が、導入されることがある。得られた非凸最適化の解について、反復手法が選ばれることがあり、反復ごとに、
【0239】
【0240】
およびCが交互に推定される。次いで、たとえば、Cが、それの第1のエントリC(1,1)が量に関して1を生じるようにして正規化される。このようにして、上述のあいまいまたは自明な解の影響が逆転され得る。
【0241】
さらに、正確にわかっていない球振幅AKugelの場合、それは、測定信号Eyのパワーおよび仮想測定信号
【0242】
【0243】
のパワーが同一でなければならないということを考慮に入れられるので、結合行列をスケーリングすることによって、または直接AKugelによって補正され得る。
【0244】
各反復iでは、したがって実行により、2つの凸最適化が、1つの変数に対して各々、このように行われ、次いで正規化され、かつ/または必要ならば、振幅が、好ましくは以下のように調整される。
1. Ci-1の事前推定を用いて
【0245】
【0246】
を推定する:
【0247】
【0248】
2.
【0249】
【0250】
の事前推定を用いてC'iを推定する:
【0251】
【0252】
3. C'iを正規化する:Ci=C'i/|C'i(1,1)|
4. AKugelを調整する。
【0253】
較正パラメータを測定行列から分離することにより、ここでは実際の結合の代わりに補正行列M=C-1を推定することも同様に可能である。したがって、測定方程式は、
【0254】
【0255】
として書き直され得る。これは、前述の問題に等しい。しかしながらこの公式化では、Mと
【0256】
【0257】
の両方がゼロに向かう傾向があるとき誤差パワーの最小値に達する。この自明な解はしたがって、さらなる制約によって妨げられることもある。
【0258】
ここまで、簡略化のために、配置は、データが(コヒーレントに)処理され得る単一のレーダーまたは単一の受信ユニット(NM=1)から成ると仮定された。さらなる適用例では、いくつかの測定ユニットが並行して評価されることもある。この場合、これらの受信ユニット(測定ユニット)間の測定関係がどのようであるかを記述する、たとえば1つの受信ユニットの位置が他の受信ユニットに対してどのようであるかを記述するパラメータが関連している可能性がある。
【0259】
すべての測定ユニットが同じ(スパースな)目標シーンを観測する限り、単一の受信ユニット(測定ユニット)について上述したように、個々のセンサーの測定データ
【0260】
【0261】
および測定行列
【0262】
【0263】
を結合して、全ベクトルまたは全行列にすることによって、これは同一の問題まで遡られることがあり、たとえば、
【0264】
【0265】
が、最適化関数として生じる。
【0266】
たとえば、特に自動車部門において2つの空間的に分離された受信ユニット(レーダーセンサー)R1およびR2(
図2参照、ここではR2が破線で描かれている)をコヒーレントに処理するために、とりわけ受信ユニットの距離d(特に波長よりもかなり小さい)が必要とされる。較正のために、受信ユニットR1、R2(レーダー)は、(
図1によるように)スパースシーンを過ぎて移動され、いくつかの位置pos 1,..., pos n
pで測定データを記録する。両方の受信ユニット(レーダー)が移動されることを除き
図1と同じセットアップが、トラバーススタンド上で剛性配置としてこのために使用され得る。最適化問題は、したがってたとえば
【0267】
【0268】
として公式化されえ、ここで、R1が基準点として選ばれる場合、R2の部分的な測定行列のみが、較正される距離dに依存している。これはやはり、絶対的な目標およびセンサー位置が知られる必要がない(しかし全体センサーおよび目標分布の相対移動のみが関連している)。
【0269】
図3は、実施形態による自律車両110およびレーダー測定システム10を含むシステム100を示す。レーダー測定システム10は、(対応するレーダー信号を送信および/または受信するための)少なくとも1つの第1のレーダーアンテナ111を有する第1のレーダーユニット11、(対応するレーダー信号を送信および/または受信するための)少なくとも1つの第2のレーダーアンテナ121を有する第2のレーダーユニット12、ならびに較正計算ユニット13を備える。
【0270】
システム100は、パッセンジャー入力および/または出力デバイス120(パッセンジャーインターフェース)、車両コーディネータ130、ならびに/または外部入力および/もしくは出力デバイス140(リモートエキスパートインターフェース、たとえば制御センター用)を備えてもよい。実施形態では、外部入力および/または出力デバイス140は、人および/または(車両の)外部のデバイスが、自律車両110上または内の設定を行うおよび/または変更することを可能にしてもよい。この外部の人/デバイスは、車両コーディネータ130とは異なってもよい。車両コーディネータ130は、サーバーであってもよい。
【0271】
システム100は、自律車両110が、変更するパラメータ、ならびに/または車両のパッセンジャーによって(たとえば、パッセンジャー入力デバイスおよび/または出力デバイス120を使用して)、および/もしくは他の人および/もしくは関連するデバイスによって(たとえば、車両コーディネータ130および/もしくは外部入力および/もしくは外部出力デバイス140を介して)設定されたパラメータに応じた運転挙動を有することを可能にする。自律車両の運転挙動は、(たとえば、最大速度または相対的快適レベルを指定するパッセンジャーによる)(明示的)入力またはフィードバックによって、暗黙的入力またはフィードバック(たとえば、パッセンジャーの脈拍)によって、および/または運転挙動もしくは選好のための他の好適なデータおよび/もしくは通信方法によって、あらかじめ決定または変更されてもよい。
【0272】
自律車両110は、好ましくは完全自律自動車(たとえば、車および/またはトラック)であるが、代替または追加として半自律または(他の)完全自律車両、たとえば船舶(ボードおよび/または船)、(特に無人の)航空機(飛行機および/またはヘリコプター)、無人自動車(たとえば、車および/またはトラック)などであってもよい。追加または代替として、自律車両は、半自律状態と完全自律状態との間で切り替えることができるように構成されてもよく、自律車両は、(車両の状態に応じて)半自律車両ならびに完全自律車両の両方に関連付けられ得る特性を有してもよい。
【0273】
好ましくは、自律車両110は、オンボードコンピュータ145を含む。
【0274】
較正計算ユニット13は、車両110内および/または上に少なくとも部分的に配置され、特にオンボードコンピュータ145に(少なくとも部分的に)組み込まれ、かつ/またはオンボードコンピュータ145に加えて計算ユニットに(少なくとも部分的に)組み込まれてもよい。代替または追加として、較正計算ユニット13は、第1および/または第2のレーダーユニット11、12に(少なくとも部分的に)組み込まれてもよい。オンボードコンピュータ145に加えて較正計算ユニット13が(少なくとも部分的に)設けられる場合、較正計算ユニット13は、データが較正計算ユニット13からオンボードコンピュータ145に、および/またはその逆に送信され得るように、オンボードコンピュータ145と通信していてもよい。
【0275】
追加または代替として、較正計算ユニット13は、パッセンジャー入力デバイスおよび/もしくは出力デバイス120、車両コーディネータ130、ならびに/または外部入力および/もしくは出力デバイス140と(少なくとも部分的に)統合されてもよい。特に、そのような場合、レーダー測定システムは、パッセンジャー入力デバイスおよび/もしくは出力デバイス120、車両コーディネータ130、ならびに/または外部入力および/もしくは出力デバイス140を含んでもよい。
【0276】
少なくとも1つのレーダーユニット11、12に加えて、自律車両110は、少なくとも1つのさらなるセンサーデバイス150(たとえば、少なくとも1つのコンピュータビジョンシステム、少なくとも1つのLIDAR、少なくとも1つの速度センサー、少なくとも1つのGPS、少なくとも1つのカメラなど)を備えてもよい。
【0277】
オンボードコンピュータ145は、自律車両110を制御するように構成されてもよい。オンボードコンピュータ145は、自律車両110の状態を決定するために、少なくとも1つのセンサーデバイス150および/もしくは少なくとも1つの他のセンサー、特に少なくとも1つのレーダーユニット11、12によって提供または形成されるセンサーからのデータ、ならびに/または較正計算ユニット13からのデータをさらに処理してもよい。
【0278】
車両の状態および/またはプログラムされた命令に基づいて、オンボードコンピュータ145は好ましくは、自律車両110の運転挙動を変更または制御することができる。較正計算ユニット13および/またはオンボードコンピュータ145は、好ましくは、車両制御システムおよび少なくとも1つのセンサーシステムとのI/O通信に適合した(汎用)計算ユニットであるが、追加または代替として、いずれかの好適な計算ユニット(コンピュータ)によって形成されてもよい。オンボードコンピュータ145および/または較正計算ユニット13は、ワイヤレス接続を介してインターネットに接続されてもよい。代替または追加として、オンボードコンピュータ145および/または較正計算ユニット13は、いずれかの数のワイヤレスまたはワイヤード通信システムに接続されてもよい。
【0279】
たとえば、特に較正計算ユニット13および/もしくはオンボードコンピュータ145、パッセンジャー入力デバイスおよび/もしくは出力デバイス120、車両コーディネータ130、ならびに/または外部入力および/もしくは出力デバイス140の一部として、いくつかの電気回路が、対応する電子デバイスの回路板に実装されてもよい。回路板は、(内部)電子システムの様々な構成要素、電子デバイス、および他の(周辺)デバイス用の接続を有する場合がある汎用回路板(「回路板」)であってもよい。特に、回路板は、それを通してシステムの他の構成要素が電気的に(電子的に)通信し得る電気接続を有してもよい。いずれかの好適なプロセッサ(たとえば、デジタル信号プロセッサ、マイクロプロセッサ、サポートチップセット、コンピュータ可読(不揮発性)メモリ要素など)が、(対応する処理要件、コンピュータ設計などに応じて)回路板に結合されてもよい。外部メモリ、追加のセンサー、オーディオビデオ再生用のコントローラ、および周辺デバイスなどの他の構成要素が、たとえばプラグインカードとして、ケーブルを介して回路板に接続されてもよく、または回路板自体に組み込まれてもよい。
【0280】
様々な実施形態では、本明細書で説明する機能は、その機能を可能にする構造で配置された1つまたは複数の構成可能な(たとえば、プログラム可能な)要素とともに、(ソフトウェアまたはファームウェアとして)エミュレートされた形態で実装されてもよい。エミュレーションを提供するソフトウェアまたはファームウェアは、1つまたは複数のプロセッサが対応する機能(対応するプロセス)を行うことを可能にする命令を含む(不揮発性)コンピュータ可読記憶媒体上に設けられてもよい。
【0281】
示した実施形態の上記の説明は、網羅的であること、または説明した厳密な実施形態に限定されることを意味しない。様々な実施形態または概念の特定の実装形態および例について、説明のために本明細書で述べたが、当業者には明らかであるように、逸脱した(等価な)変更が可能である。これらの変更は、上記の詳細な説明または図を考慮に入れて行われ得る。
【0282】
様々な実施形態は、接続形態で上記で説明した実施形態の代替実施形態を含む、上記で説明した実施形態のいずれかの好適な組合せを含んでもよい(たとえば、対応する「および」は「および/または」であってもよい)。
【0283】
加えて、いくつかの実施形態は、実行されると、上記で説明した実施形態の1つによるアクション(プロセス)をもたらす命令をその上に記憶した1つまたは複数の物体(たとえば、特に、不揮発性コンピュータ可読媒体)を含んでもよい。加えて、いくつかの実施形態は、上記で説明した実施形態の様々な動作を行うためのいずれかの好適な手段を有するデバイスまたはシステムを含んでもよい。
【0284】
いくつかの状況において、本明細書で説明した実施形態は、自動車システム、特に自律車両(好ましくは自律自動車)、(安全性が重要な)産業用途、および/または産業プロセス制御に適用可能であり得る。
【0285】
さらに、説明した較正システムおよび/または説明したレーダー測定システム(または一般に、波動ベースの測定システム)の部分は、本明細書で説明した機能ならびに方法を行うために電気回路を含んでもよい。いくつかの場合、それぞれのシステムの1つまたは複数の部分が、特に本明細書で説明した機能ならびに方法ステップを行うように構成されたプロセッサによって提供されてもよい。たとえば、プロセッサは、1つまたは複数の特定用途向け構成要素を含んでもよく、またはプロセッサは、本明細書で説明した機能を行うように構成されたプログラマブル論理ゲートを含んでもよい。
【0286】
この点で、上記で個々におよびいずれかの組合せで説明した部分の全部、特に図面に示す細部が、本開示には不可欠であるように請求されることが、指摘されるべきである。それの変更形態は、当業者にはよく知られている。
【0287】
さらに、できる限り広い保護の範囲が求められることが指摘される。この点において、特許請求の範囲に含まれる開示はまた、さらなる特徴で説明される特徴によって、(必ずしもこれらのさらなる特徴が含まれることがなくても)より正確にされ得る。丸括弧およびそれらのそれぞれの文脈における「特に」という用語は、特徴の選択性を強調するよう意図されていないことが明示的に指摘される(逆に、そのような識別なしに、特徴が対応する文脈に必須であると見なされることを意味するよう意図されていない)。
【符号の説明】
【0288】
R、R1、R2 受信ユニット(レーダーユニット)
M 金属球
10 レーダー測定システム
11 第1の受信ユニット(レーダーユニット)
111 第1のレーダーアンテナ
12 第2の受信ユニット(レーダーユニット)
121 第2のレーダーアンテナ
13 較正計算ユニット
100 システム
110 車両
120 パッセンジャーインターフェース
130 車両コーディネータ
140 リモートエキスパートインターフェース
145 オンボードコンピュータ
50 センサーデバイス
【国際調査報告】