(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】レーザービームを増幅するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
H01S 3/082 20060101AFI20231220BHJP
H01S 3/16 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
H01S3/082
H01S3/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537392
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2021086116
(87)【国際公開番号】W WO2022129293
(87)【国際公開日】2022-06-23
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ロー
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ペルグリーナ
(72)【発明者】
【氏名】サンドリーヌ・リコー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・カサグランデ
(72)【発明者】
【氏名】マチルダ・シャルボンノー
【テーマコード(参考)】
5F172
【Fターム(参考)】
5F172AE03
5F172AE06
5F172AE12
5F172AE15
5F172AF06
5F172AF07
5F172AL07
5F172CC07
5F172CC10
5F172NN06
5F172NN08
5F172NS18
(57)【要約】
本発明は、多波長レーザービームを増幅するためのデバイス(10)であって、デバイス(10)は、
a. 活性レーザー媒質(M)であって、活性レーザー媒質(M)は、ビームが活性レーザー媒質(M)を通過するたびに、増幅されることとなるビームを受け取るのに適切な前面(20)、および、前面(20)に対して傾斜されている反射性の後面(22)を有しており、n番目の通過の間に後面(22)によって反射されて前面(20)によって屈折されるビームは、第nの有用ビームと呼ばれる、活性レーザー媒質(M)と、
b. 第1の光学的リターンユニット(18)であって、第1の光学的リターンユニット(18)は、第1の有用ビーム(FU1)の経路に沿って配置されており、活性レーザー媒質(M)を通る第2のパスのために、第1の有用ビーム(FU1)を前面(20)の上に戻すように構成されており、第2の有用ビーム(FU2)を形成する、それぞれの波長のサブビームが、第2のパスの終わりに互いに平行になるようになっている、第1の光学的リターンユニット(18)と
を含む、デバイス(10)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多波長レーザービームを増幅するためのデバイス(10)であって、前記デバイス(10)は、
a. 少なくとも2つの平面を有している固体活性レーザー媒質(M)であって、前記少なくとも2つの平面は、ビームが前記固体活性レーザー媒質(M)を通過するたびに、増幅されることとなるビームを受け取るのに適切な前面(20)、および、反射する後面(22)を含み、前記前面(20)は、非ゼロの傾斜(β)で前記後面(22)に対して傾斜されており、前記後面(22)は、冷却されるのに適切であり、第1のパスの間に前記前面(20)の上に受け取られるビームは、入射ビーム(F
I)と呼ばれ、n番目の通過の間に前記後面(22)によって反射されて前記前面(20)によって屈折されるビームは、第nの有用ビーム(F
Un)と呼ばれる、固体活性レーザー媒質(M)と、
b. 第1の有用ビーム(F
U1)の経路に沿って配置されている第1の光学的リターンユニット(18)であって、前記第1の光学的リターンユニット(18)は、前記固体活性レーザー媒質(M)を通る第2のパスのために、前記第1の有用ビーム(F
U1)を前記前面(20)に戻すように構成されており、第2の有用ビーム(F
U2)を形成する、それぞれの波長のサブビームが、前記第2のパスの終わりに互いに平行になるようになっている、第1の光学的リターンユニット(18)と、
を含む、デバイス(10)。
【請求項2】
前記第1の光学的リターンユニット(18)は、前記第2の有用ビーム(F
U2)が、前記固体活性レーザー媒質(M)の上の前記入射ビーム(F
I)の入射角度(θ)に等しい入射角度でプレートの前記前面に到着する入射ビームから、平面および平行な面によって前記プレートの退出部において取得されることとなる前記ビームと色空間分散の観点から同等になるように構成されている、請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記固体活性レーザー媒質(M)は、ディスクであり、前記ディスクの平面は、前記前面(20)および前記後面(22)であり、前記前面及び前記後面(20、22)は、ベース(24)と呼ばれる三角形のベースまたは台形のベースを有する直角プリズムの中に内接されており、前記第1の光学的リターンユニット(18)は、2つのミラー(M1、M2)を含み、前記ミラー(M1、M2)は、前記固体活性レーザー媒質(M)と第1のミラー(M1)との間の前記第1の有用ビーム(F
U1)の前記経路が、対称平面(P
H)に関して、第2のミラー(M2)と前記固体活性レーザー媒質(M)との間の前記第1の有用ビーム(F
U1)の前記経路に対して対称的になるように配向されており、前記対称平面(P
H)は、前記固体活性レーザー媒質(M)の前記ベース(24)を含有する平面(P
24)に対して垂直の、および、前記後面(22)を含有する平面(P
22)に対して垂直の平面である、請求項1または2に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記固体活性レーザー媒質(M)の前記前面(20)は、前記入射ビーム(F
I)を受け取るのに適切であり、前記入射ビーム(F
I)から、第1のスプリアスビーム(F
P1)と呼ばれるビームを反射するのに適切であり、前記第1の光学的リターンユニット(18)は、前記第1のスプリアスビーム(F
P1)の経路の外側に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
前記第2の有用ビーム(F
U2)は、前記入射ビーム(F
I)の直径(Φ)と比較して拡大された直径(Φ+ΔΦ)を有しており、前記デバイス(10)は、少なくとも第3の、次いで、第4のパスのために、前記固体活性レーザー媒質(M)の中へ前記第2の有用ビーム(F
U2)を戻すのに適切な第2の光学的リターンユニット(30)を含み、出力ビーム(F
S)と呼ばれる、前記固体活性レーザー媒質(M)の出力における最後の有用ビームが、前記入射ビーム(F
I)の前記直径(Φ)に実質的に等しい直径を有するようになっており、前記出力ビーム(F
S)を形成する、それぞれの波長の前記サブビームが、互いに平行になるようになっている、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記第2の光学的リターンユニット(30)は、前記出力ビーム(F
S)が、平面および平行な面によって、第1のプレートおよび次いで第2のプレートを通る入射ビームの連続的な前記パスに続いて取得されることとなるビームと直径および色空間分散の観点から同等になるように構成されており、前記第1のプレートは、前記固体活性レーザー媒質(M)の上の前記入射ビームの入射角度(θ)に等しい第1の入射角度(θ
1)で前記第1のプレートの前記前面の上に前記入射ビームが到着するように配向されており、前記第2のプレートは、前記第1の入射角度(θ
1)の反対に等しい第2の入射角度(θ
2)で前記第1のプレートの出力におけるビームを受け取るように配向されている、請求項5に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記第2の光学的リターンユニット(30)は、前記固体活性レーザー媒質(M)を通る前記増幅されることとなるビームのパスの合計数が4の倍数になるように、前記固体活性レーザー媒質(M)を通して前記第2の有用ビーム(F
U2)を戻すのに適切である、請求項5または6に記載のデバイス(10)。
【請求項8】
前記第2の光学的リターンユニット(30)は、前記固体活性レーザー媒質(M)を通る前記増幅されることとなるビームのパスの合計数が2の倍数となるように、および、前記増幅されることとなるビームが、前記固体活性レーザー媒質(M)の中への前記ビームの第1の入力と前記固体活性レーザー媒質(M)からの前記ビームの最後の出力との間で、行きの経路と、前記行きの経路の上に重ね合わせられた帰りの経路とを進行するように、前記固体活性レーザー媒質(M)を通して前記第2の有用ビーム(F
U2)を戻すのに適切である、請求項5から7のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項9】
前記固体活性レーザー媒質(M)を通るそれぞれのパスにおいて、スプリアスビームが取得され、前記スプリアスビームは、前記固体活性レーザー媒質(M)の前記前面(20)の上で直接的に反射され、前記第1の光学的リターンユニット(18)および前記第2の光学的リターンユニット(30)は、前記固体活性レーザー媒質(M)を通る前記増幅されることとなるビームの奇数のパスから結果として生じるそれぞれのスプリアスビームの経路の外側に配置されている、請求項5から8のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【請求項10】
前記固体活性レーザー媒質(M)の出力における最後の有用ビームは、出力ビーム(F
S)と呼ばれ、前記入射ビーム(F
I)および前記出力ビーム(F
S)は、空間的にシフトされている、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多波長レーザービームを増幅するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、科学的な、産業的な、医療的な、および軍事的な用途のための固体レーザー供給源の分野である。より具体的には、本発明は、有利には、レーザービームの伝播の軸線に沿ったそのアパーチャーと比較して相対的に小さな厚さを有する(典型的に、1:3未満)活性レーザー媒質材料(たとえば、結晶など)のために使用される。
【0003】
ポンピングレーザーの技術は、近年、大幅に発展し、今では、100ワットのオーダーの平均ポンピングパワーを与えるパルスレーザー供給源を有することが可能である。
【0004】
しかし、特定の数の構成は、高いエネルギーおよび高い平均パワー(より高い繰り返し率)が求められる新世代のポンプレーザーと互換性がない。
【0005】
現在の技術では、活性レーザー媒質のフォームファクター(典型的に、増幅器ファイバー、非常に薄型のディスク、スラブ、およびいわゆる厚型ディスク)に作用することによって、活性レーザー媒質の中の熱的エネルギーを抽出するために、さまざまな解決策が使用されている。
【0006】
厚型ディスクの解決策は、アモルファス材料(たとえば、ガラスなど)、透明セラミック、または結晶(たとえば、Ti:SA(チタン:サファイヤの略称)など)などのような、特定の活性レーザー媒質によく適している。材料の大きな増幅スペクトルに起因して、そのような解決策は、高いエネルギーレベル、高い平均パワー、および、短いパルス持続期間を得ることを可能にする。
【0007】
厚型ディスク技術では、活性レーザー媒質(たとえば、結晶)は、その後面を通して冷却される。次いで、冷却は、流体(液体もしくはガスのいずれか)または固体によって取得される。後面を通したそのような冷却は、熱交換表面を増加させる。そのうえ、それは、結晶を通してレーザーの伝播の方向に沿って温度勾配を発生させるために使用されることが可能であり、また、高い熱抽出を実現するためにも使用されることが可能である。結晶の中の温度の変化に関係する指数変化は、主に、レーザービームの伝播の方向と同じ方向に沿って配向された勾配である。
【0008】
しかし、後方表面冷却を備えたレーザー増幅デバイスは、結晶の反射性の後方表面に起因して、ビームの幾何学的な逆戻りを誘発させる。次いで、結晶の出力面は、入力面と同じであり、それは、スプリアスパルス(前面におけるスプリアス反射に起因する)がメインパルスの前に見出され、したがって、パルスの時間的コントラストを劣化させるということを意味している。時間的コントラストは、メインパルスの強度とパルスおよび/または任意のスプリアスパルスのフットとの間の比として定義される。
【0009】
そのような劣化を回避するために、メインパルスおよびスプリアスパルスを分離するように、どのように空気/結晶界面を修正するかということが、特許文献1から知られている。この目的のために、活性レーザー媒質の前面は、非ゼロの角度でその後面に対して傾斜されている。それによって、活性レーザー媒質を通る伝播の後に、スプリアス反射は、メインパルスから空間的に分離されており、時間的コントラストは、もはやスプリアス反射によって劣化されない。
【0010】
短いパルス(ブロードスペクトルを有する)に関して、前記角度は、特許文献1に説明されているように、ビームの経路に沿って位置決めされている補償プリズムによって補償されるプリズム効果を作り出す。それによって、活性レーザー媒質の複数回の通過が実施されるときには、複数のプリズムが、増幅システムの中に使用されなければならない。
【0011】
財務的な影響だけでなく、伝送のために多くの光学的な[パーツ]を使用することは、光学損失の源および潜在的な故障の源である(損傷は、レーザーの使用不能、パーツを修理するコスト、および、再調整のための労力につながる)。
【0012】
したがって、冷却および時間的コントラストの観点から満足できるままの状態で光学損失を最小化することとなる増幅デバイスのための必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明の主題は、多波長レーザービームを増幅するためのデバイスであって、デバイスは、
a. 少なくとも2つの平面を有している固体活性レーザー媒質であって、少なくとも2つの平面は、前記ビームが活性レーザー媒質を通過するたびに、増幅されることとなるビームを受け取るのに適切な前面、および、反射する後面を含み、前面は、非ゼロの傾斜で後面に対して傾斜されており、後面は、冷却されるのに適切であり、第1のパスの間に前面の上に受け取られるビームは、入射ビームと呼ばれ、n番目の通過の間に後面によって反射されて前面によって屈折されるビームは、第nの有用ビームと呼ばれる、固体活性レーザー媒質と、
b. 第1の有用ビームの経路に沿って配置されている第1の光学的リターンユニットであって、第1の光学的リターンユニットは、活性レーザー媒質を通る第2のパスのために、第1の有用ビームを前面に戻すように構成されており、第2の有用ビームを形成する、それぞれの波長のサブビームが、第2のパスの終わりに互いに平行になるようになっている、第1の光学的リターンユニットと
を含む、デバイスである。
【0015】
他の有利な本発明の態様によれば、デバイスは、個別にまたはすべての技術的に可能な組み合わせにしたがってとられる、1つまたは複数の以下の特徴を含む。
- 第1の光学的リターンユニットは、第2の有用ビームが、活性レーザー媒質の上の入射ビームの入射角度に等しい入射角度でプレートの前面に到着する入射ビームから、平面および平行な面によって前記プレートの出力において取得されることとなるビームと色空間分散の観点から同等になるように構成されている。
- 活性レーザー媒質は、ディスクであり、ディスクの平坦な面は、前面および後面であり、前記面は、ベースと呼ばれる三角形のベースまたは台形のベースを有する直角プリズムの中に内接されており、第1の光学的リターンユニットは、2つのミラーを含み、ミラーは、活性レーザー媒質と第1のミラーとの間の第1の有用ビームの経路が、対称平面に関して、第2のミラーと活性レーザー媒質との間の第1の有用ビームの経路に対して対称的になるように配向されており、対称平面は、活性レーザー媒質のベースを含有する平面に対して垂直の、および、後面を含有する平面に対して垂直の平面である。
- 活性レーザー媒質の前面は、入射ビームを受け取るのに適切であり、入射ビームから、第1のスプリアスビームと呼ばれるビームを反射するのに適切であり、第1の光学的リターンユニットは、第1のスプリアスビームの経路の外側に配置されている。
- 第2の有用ビームは、入射ビームの直径と比較してより大きな直径を有しており、増幅デバイスは、少なくとも第3の、次いで、第4のパスのために、活性レーザー媒質の中へ第2の有用ビームを戻すのに適切な第2の光学的リターンユニットを含み、出力ビームと呼ばれる、活性レーザー媒質の出力における最後の有用ビームが、入射ビームの直径に実質的に等しい直径を有するようになっており、前記出力ビームを形成する、それぞれの波長のサブビームが、互いに平行になるようになっている。
- 第2の光学的リターンユニットは、出力ビームが、平面および平行な面によって、第1の次いで第2のプレートにおける入射ビームの連続的なパスに続いて取得されることとなるビームと直径および色空間分散の観点から同等になるように構成されており、第1のプレートは、活性レーザー媒質の上の入射ビームの入射角度に等しい第1の入射角度で第1のプレートの前面の上に入射ビームが到着するように配向されており、第2のプレートは、第1の入射角度の反対に等しい第2の入射角度で第1のプレートの出力におけるビームを受け取るように配向されている。
- 第2の光学的リターンユニットは、活性レーザー媒質を通る増幅されることとなるビームのパスの合計数が4の倍数になるように、活性レーザー媒質の中へ第2の有用ビームを戻すのに適切である。
- 第2の光学的リターンユニットは、活性レーザー媒質を通る増幅されることとなるビームのパスの合計数が2の倍数となるように、および、増幅されることとなるビームが、活性レーザー媒質の中への前記ビームの第1の入力と活性レーザー媒質からの前記ビームの最後の出力との間で、行きの経路と、行きの経路の上に重ね合わせられた帰りの経路とを進行するように、活性レーザー媒質の中へ第2の有用ビームを戻すのに適切である。
- 活性レーザー媒質を通るそれぞれのパスにおいて、スプリアスビームが取得され、スプリアスビームは、活性レーザー媒質の前面の上で直接的に反射され、第1および第2のリターンユニットは、活性レーザー媒質を通る増幅されることとなるビームの奇数のパスから結果として生じるそれぞれのスプリアスビームの経路の外側に配置されている。
- 活性レーザー媒質の出力における最後の有用ビームは、出力ビームと呼ばれ、入射ビームおよび出力ビームは、空間的にシフトされている。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、単に限定的な例として与えられている本発明の実施形態にしたがう以下の説明を読み、以下の図面を参照すると、明らかになることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施形態による増幅デバイスの概略上面図表現である。
【
図2】色空間分散の観点から第1の実施形態の増幅デバイスと同等の光学システムの概略表現である。
【
図3】第2の実施形態による増幅デバイスの第1の例の概略上面図表現であり、増幅デバイスの入力ビームおよび出力ビームは、第1の例において重ね合わせられており、伝播は、同じ平面の中で実施される、図である。
【
図4】第2の実施形態による増幅デバイスの第2の例の概略斜視図表現であり、増幅デバイスの入力ビームおよび出力ビームは、第2の例において空間的にシフトされている、図である。
【
図5】色空間分散および色横方向分散の観点から第2の実施形態の増幅デバイスと同等の光学デバイスの概略表現である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以降では、説明において、伝播方向zが定義され、それは、図では、軸線zによって表され、レーザービームの伝播方向に対応している。第1の横断方向が定義され、それは、伝播の方向に対して垂直になっており、図では、軸線xによって表されており、平面(xOz)が増幅デバイス10の上面図に対応するようになっている。また、第2の横断方向が定義され、それは、伝播の方向zおよび第1の横断方向xに対して垂直になっている。第2の横断方向yは、図では、軸線yによって表されており、平面(yOz)が増幅デバイス10の側面図に対応するようになっている。そのような軸線のために使用される表記は任意であり、他の表記によって交換されることが可能であるということを当業者は理解することとなる。
【0019】
以降では、説明において、「色空間分散(chromatic spatial dispersion)」という用語は、光学的表面における波長の関数として偏差角度の変動に起因するビームの角度的な分散を意味している。「色横方向分散(chromatic lateral dispersion)」という用語は、2つの光学的表面(その界面は平行になっている)(平行な面を有するプレート)を通過するのに続いて、波長(瞳孔のシフト)の関数としてのビームの直径の拡大を意味している。
【0020】
増幅デバイス10の第1の実施形態が、
図1に図示されている。
【0021】
増幅デバイス10は、レーザービーム(とりわけ、多波長パルスレーザービーム)を増幅するように構成されている。増幅されることとなるビームは、たとえば、赤外線ビームである。
【0022】
増幅されることとなるビームは、たとえば、10ワット(W)よりも大きい平均パワーを有する。
【0023】
第1の実施形態による増幅デバイス10は、活性レーザー媒質Mおよび第1の光学的リターンユニット18を含む。
【0024】
媒質Mは、固体媒質である。媒質Mは、たとえば、チタンがドープされたサファイヤなどのような結晶、または、Yb:YAG、Yb:CaF2、または、ポリマー、セラミック、もしくはガラス、または、固体状態にある任意の他の材料である。
【0025】
媒質Mは、屈折率nを有している。優先的には、以下の関係が検証される:
【0026】
【0027】
ここで、νは、活性レーザー媒質Mのコンストリンジェンス(constringence)である。上記は、増幅デバイス10の出力におけるビームFSの多波長特性を保存することを意図している。
【0028】
媒質Mは、少なくとも2つの平面を有しており、それは、前記ビームが活性レーザー媒質Mを通過するたびに、増幅されることとなるビームを受け取るのに適切な前面20、および、反射する後面22を含む。
【0029】
前面20は、非ゼロの傾斜β(角度)で後面22に対して傾斜されている。以降では、β’は、平面(xOz)の上への傾斜βの投影を示しており、β”は、平面(yOz)の上への傾斜βの投影を示している。実装形態の1つの例において、活性レーザー媒質Mは、ディスクであり、ディスクの面(前面20および後面22)は、三角形のベースまたは台形のベース(ベース24と呼ばれる)を有する直角プリズムの中に内接されている。プリズムのベース24(ひいては、傾斜β)は、後面22を含有する平面P22に対して垂直の平面、および、平面(yOz)に対して垂直の平面の中に、完全に含有されている。
【0030】
活性レーザー媒質Mの前面20は、前記ビームが活性レーザー媒質Mを通過するたびに、増幅されることとなるビームを受け取るのに適切であり、スプリアスビームを反射(直接反射)するのに適切であり、そのようなビームが後面22によって反射された後に、有用ビームを屈折させるのに適切である。第1のパスの間に前面20において受け取られるビームは、入射ビームFIと呼ばれる。n番目のパスの間に後面22によって反射されて前面20によって屈折されたビームは、第nの有用ビームFUNと呼ばれる。最後のパスの間の活性レーザー媒質Mの出力における有用ビームは、出力ビームFSとも呼ばれる。n番目のパスの間に増幅されることとなるビームから前面20によって直接的に反射されるビームは、第nのプリアスビームFPnと呼ばれる。
【0031】
有利には、前面20は、反射防止処理されている。
【0032】
活性レーザー媒質Mの後面22は、それぞれのパスにおいて、増幅されることとなるビームを反射するのに適切であり、活性レーザー媒質Mの前面20を通るそのパスの後に、対応する有用ビームを形成するようになっている。
【0033】
後面22は、冷却デバイスによって冷却されるのに適切であり、冷却デバイスは、たとえば、増幅デバイス10の中に含まれている。冷却は、
図1において、後面22に付されている矢印によって表されている。
【0034】
第1の光学的リターンユニット18は、第1の有用ビームF
U1の経路に沿って配置されている。第1の光学的リターンユニット18は、活性レーザー媒質Mを通る第2のパスのために前面20の上に第1の有用ビームF
U1を戻すように構成されており、第2の有用ビームF
U2を形成する、それぞれの波長のサブビームが、第2のパスの終わりにおいて互いに平行になるようになっている。
図1では、図に過重な負担をかけないように、2つのサブビームのみが示されている。したがって、第1の光学的リターンユニット18は、活性レーザー媒質Mの前面20と後面22との間の傾斜βから結果として生じるプリズム効果によって誘発される色空間分散を補償するために使用される。
【0035】
有利には、
図2に図示されているように、第1の光学的リターンユニット18は、第2の有用ビームF
U2が、活性レーザー媒質Mの上の入射ビームF
Iの入射角度θに等しい入射角度で前記プレートの前面に到着する入射ビームから、平面および平行な面L1によってプレートの出力において取得されることとなるビームと色空間分散の観点から同等になるように構成されている。
【0036】
図1に図示されている例では、第1の光学的リターンユニット18は、2つのミラーM1、M2を含み、ミラーM1、M2は、活性レーザー媒質Mと第1のミラーM1との間の第1の有用ビームF
U1の経路が、対称平面P
Hに関して、第2のミラーM2と活性レーザー媒質Mとの間の第1の有用ビームF
U1の経路に対して対称的になるように配向されている。対称平面P
Hは、活性レーザー媒質Mのベース24を含有する平面P
24に対して垂直の、および、後面22を含有する平面P
22に対して垂直の平面である。
【0037】
それによって、ミラーM1の上での第1の反射、および、ミラーM2の上での第2の反射の後に、増幅されることとなるビームのイメージは、活性レーザー媒質Mの前面20に到着すると戻される。そのような活性レーザー媒質Mは、次いで、先行技術の補償プリズムの役割を果たす。
図1の特定の構成では、対称平面P
Hは、平面(xOz)(
図1におけるシートの平面)に対して垂直の、および、後面22を含有する平面P
22に対して垂直の平面であり、イメージは、方向xに沿って戻される。
【0038】
有利には、第1の光学的リターンユニット18は、プリズムを含まない。
【0039】
有利には、第1の光学的リターンユニット18は、第1のスプリアスビームFP1の経路の外側に配置されている。
【0040】
ここで、第1の実施形態による増幅デバイス10の動作が説明されることとなる。
【0041】
最初に、直径Φの増幅されることとなるビーム(パルス)FIが、入射角度θで活性レーザー媒質Mの前面20に到着し、入射角度θは、平面(xOz)における角度θxおよび平面(yOz)における角度θyへと分解される。
【0042】
有用ビーム(メインパルス)が、後面22によって反射され、スプリアスビームFP1が、前面20によって反射される。スプリアスビーム(スプリアスパルスとも呼ばれる)が、平面(xOz)において角度2θxだけ、および、平面(yOz)において角度2θyだけ、前面20の上で偏向される。有用ビームは、平面(xOz)において角度2(θx+β’.(n-1)=2(θx+β.(n-1)だけ、および、平面(yOz)において角度2(θy+β’.(n-1)=2θyだけ、出力において偏向される。
【0043】
供給源は多波長レーザー供給源であるので、面20および22によって形成される角度βは、プリズム効果を作り出す。それによって、活性レーザー媒質Mを通る第1のパスの後に、第1の有用ビームFU1の波長は、角度的に分離される。
【0044】
第1の有用ビームFU1の経路に沿って第1の有用ビームFu1および第1のスプリアスビームFP1の分離の後に配置されている第1の光学的リターンユニット18は、色空間分散を補正するために使用される。
【0045】
より具体的には、
図1に示されている特定の例では、θ
y=0、β’=β、およびβ”=0であり、伝播全体が平面(xOz)の中で行われるようになっている。
【0046】
活性レーザー媒質Mの出力において、第2の有用ビームD
u2のスペクトルのコンポーネントは、直径Φ+ΔΦのスポットを形成するということが留意されるべきである。ΔΦは、活性レーザー媒質Mを通る第1のパスの間のビームの発散によってもたらされる直径の増加、次いで、活性レーザー媒質Mからのその退出部と活性レーザー媒質Mの中へのその第2の進入部との間のビームの発散によってもたらされる増加を含むということが留意されることとなる。同じ直径Φ+ΔΦが、活性レーザー媒質Mを通る第2のパスの後に見出される。出力ビームの多波長特性を保存するために、第2の有用ビームF
u2の直径の拡大ΔΦは、Φと比較して小さくなければならない。
【数2】
のときに、これが成り立つ。
【0047】
実際に、
【数3】
および、
【数4】
のときに
【数5】
であり、それは、ΔΦ<<Φであることを意味している。
【0048】
それによって、第1の実施形態による増幅デバイス10は、活性レーザー媒質Mの傾斜βによって誘発される色空間分散を補償するために使用されるが、しかし、追加の損失をもたらさない。対照的に、補償は、そのような活性レーザー媒質Mを通る追加的なパスによって実現され、それは、損失をもたらさず、対照的に、より多くの利得をもたらす。
【0049】
したがって、第1の実施形態による増幅デバイス10は、冷却、利得および時間的コントラストの観点から満足できるままの状態で、光学損失を最小化するために使用される。
【0050】
第2の実施形態によれば、
図3および
図4において見ることができるように、
図1を参照して説明されている第1の実施形態による増幅デバイス10と同一のエレメントは繰り返されない。相違点のみが強調されている。
【0051】
第2の実施形態では、第1の増幅デバイス10のエレメントに加えて、増幅デバイス10は、少なくとも第3の、次いで、第4のパスのために活性レーザー媒質Mの中へ第2の有用ビームFU2を戻すのに適切な第2の光学的リターンユニット30を含み、活性レーザー媒質Mの出力における最後の有用ビーム(出力ビームFSと呼ばれる)が、入射ビームFIの直径Φに実質的に等しい直径を有するようになっており、前記出力ビームFSを形成する、それぞれの波長のサブビームが、互いに平行になるようになっている。それによって、第1の光学的リターンユニット18および第2の光学的リターンユニット30によって形成される光学アッセンブリは、色空間分散および色横方向分散の両方を補償するために使用される。
【0052】
有利には、
図5に図示されているように、第2の光学的リターンユニット30は、出力ビームF
Sが、平面および平行な面L1およびL2によって、第1の、次いで、第2のプレートを通る入射ビームの連続的なパスに続いて取得されることとなるビームと直径(色横方向分散)および色空間分散の観点から同等であるように構成されており、第1のプレートL1は、活性レーザー媒質Mの上の入射ビームの入射角度θに等しい第1の入射角度θ
1で第1のプレートの前面の上に入射ビームが到着するように配向されており、第2のプレートL2は、第1の入射角度θ
1の反対に等しい第2の入射角度θ
2で第1のプレートL1の出力におけるビームを受け取るように配向されている。
【0053】
有利には、第2の光学的リターンユニット30は、活性レーザー媒質Mを通る増幅されることとなるビームのパスの合計数が4の倍数となるように、活性レーザー媒質Mの中へ第2の有用ビームFU2を戻すのに適切である。
【0054】
加えて、または、変形例において、第2の光学的リターンユニットは、活性レーザー媒質Mを通る増幅されることとなるビームのパスの合計数が2の倍数となるように、および、増幅されることとなるビームが、活性レーザー媒質Mの中への前記ビームの第1の入力と活性レーザー媒質Mからの前記ビームの最後の出力との間で、行きの経路と、行きの経路の上に重ね合わせられた帰りの経路とを進行するように、活性レーザー媒質Mの中へ第2の有用ビームFU2を戻すのに適切である。光の可逆性の原理によれば、このように、増幅デバイス10の出力におけるビームFSの色横方向分散を補償することが可能である。
【0055】
図3および
図4に示されている例では、増幅されることとなるビームは、活性レーザー媒質Mを通る4つのパスを行っている。
【0056】
より正確には、
図3に示されている例では、第2の光学的リターンユニット30は、増幅されることとなるビームを増幅デバイス10の中で往復させるのに適切なミラーM
AR(平面ミラー)を含む。増幅されることとなるビームは、第1の光学ユニット18を介してすでに2つのパスを行っているので、活性レーザー媒質Mを通るパスの合計数は、4つである。
【0057】
図4に図示されている例では、第2の光学的リターンユニット30は、4つのミラーM3、M4、M5、およびM6を含む。ミラーM3およびM4は、活性レーザー媒質Mの中への第3のパスのために活性レーザー媒質Mの中へ第2の有用ビームF
U2を戻すのに適切である。ミラーM5およびM6は、活性レーザー媒質Mの中への第4のパスのために活性レーザー媒質Mの中へ第3の有用ビームF
U3を戻すのに適切である。それによって、活性レーザー媒質Mを通るパスの合計数は、4つである。より具体的には、前記例において、P
Hは、増幅デバイス10のミラーM1、M2のための水平方向の対称平面を示しており、P
Vは、ミラーM5、M6に対するミラーM1、M2のための垂直方向の対称平面を示している。増幅されることとなるビームは、中間Mの象限1)を通って進入し、第2のパスは、象限2)を通っており、第3のパスは、象限3)を通っており、第4のパスは、象限4)を通っている。
【0058】
有利には、第2の光学的リターンユニット30は、少なくとも1つのミラーを含む。
【0059】
有利には、第2の光学的リターンユニット30は、プリズムを含まない。
【0060】
有利には、第1のリターンユニット18および第2のリターンユニット30は、活性レーザー媒質Mを通る奇数のパスから結果として生じるそれぞれのスプリアスビームの経路の外側に配置されている。それによって、
図3および
図4に示されている例では、第1のスプリアスビームF
P1および第3のスプリアスビームF
P3は、活性レーザー媒質Mの中へ反射されて戻されず、それによって排除される。
【0061】
入射ビームF
Iおよび出力ビームF
Sが重ねられるときには、増幅デバイス10は、たとえば、2つのビームを分離するための光学的分離アッセンブリ40を含む。
図3に図示されている例では、光学的分離アッセンブリ40は、偏光キューブ42および4分の1波長プレート44、ならびに、ミラーM0を含む。
【0062】
優先的には、入射ビームF
Iおよび出力ビームF
Sは、空間的にシフトされている(重ね合わせられていない)。とりわけ、そのような構成は、
図4に図示されている。そのような構成は、入射ビームF
Iおよび出力ビームF
Sを分離するための光学アッセンブリを省くことを可能にする。
【0063】
第2の実施形態による増幅デバイス10が機能している間に、第1の実施形態に関して説明された機能に加えて、第2の有用ビームF
U2は、前記媒質Mを通る第3のパスのために、第2の光学ユニット30を介して、活性レーザー媒質Mの前面20に戻される。第3のスプリアス反射F
P3および第3の有用ビームF
U3は、それから結果として生じる。そして、第3の有用ビームF
U3は、前記媒質Mを通る第4のパスのために、第2の光学ユニット30を介して、活性レーザー媒質Mの前面20の上に戻される。第4のスプリアス反射F
P4および第4の有用ビームF
U4は、それから結果として生じる。
図2では、明確にするために、スプリアス反射F
P2、F
P3、およびF
P4は示されていないということが留意されることとなる。
【0064】
それによって、第1の光学ユニット18および活性レーザー媒質Mに対する第2の光学ユニット30の構成は、増幅デバイス10の増幅された出力ビームの色横方向分散を補償するために使用される。
【0065】
第1のリターンユニット18および第2のリターンユニット30の適切な配置を選ぶことによって、活性レーザー媒質Mを通る奇数のパス(とりわけ、第1および第3のパス)の間に発生させられるスプリアスビームは、活性レーザー媒質Mに戻されず、射出される。
【0066】
また、活性レーザー媒質Mを通る偶数のパスの間に発生させられるスプリアスビームは、有用ビームから容易に解離されることが可能である。実際に、2次元の配置のケースでは(
図3)、偶数のパスの間に発生させられるスプリアスパルスは、有用パルスと同じ光学経路を辿るが、メインパルスに対して遅延される。したがって、そのようなパルスは、有用ビーム(パルス)の後の「ポストパルス」の起点にあることとなる。そのようなスプリアスパルスは、有用ビームの後に到着するので、それは、コントラストを低減させず、フィルタリングしやすい。3次元の配置のケースでは(
図4)、偶数のパスの間に発生させられるスプリアスパルスは、有用パルスと同じ光学経路を辿るが、反対方向になっており、それによって、コントラストに影響を与えない。
【0067】
それによって、第1の実施形態の利点に加えて、第2の実施形態による増幅デバイス10は、活性レーザー媒質Mの第1の2つのクロッシングの間に誘発される色横方向分散を補償するために使用され、追加の損失をもたらさない。他方では、補償は、活性レーザー媒質Mを通る追加的なパスによって実現され、それは、それによって、冷却および時間的コントラストの観点から満足できるままの状態で、増幅利得をもたらす。
【0068】
図3および
図4の例は、活性レーザー媒質Mを通る4つのパスのみを図示しているということを当業者は理解することとなる。それにもかかわらず、第2の実施形態は、活性レーザー媒質Mを通るより大きな数のパスに一般化される(その数が4の倍数であるという条件で(2の倍数であるが4の倍数ではないことは、色空間分散のみを補償することとなるが、色横方向分散を補償しないこととなる)、または、前記数は2の倍数であるが、増幅されることとなるビームが増幅デバイス10を通って往復するという条件で)。
【0069】
上記に説明されている実施形態および例の特徴は、互いに組み合わせられる可能性が高い(そのような組み合わせが適合するときに)ということを当業者は理解することとなる。
【符号の説明】
【0070】
10 増幅デバイス
18 第1の光学的リターンユニット
20 前面
22 後面
24 ベース
30 第2の光学的リターンユニット
40 光学的分離アッセンブリ
42 偏光キューブ
44 4分の1波長プレート
FP1 第1のスプリアスビーム
FS 出力ビーム
FU1 第1の有用ビーム
FU2 第2の有用ビーム
FU3 第3の有用ビーム
FU4 第4の有用ビーム
L1 第1のプレート
L2 第2のプレート
M 活性レーザー媒質
MAR ミラー
M0 ミラー
M1 第1のミラー
M2 第2のミラー
M3 ミラー
M4 ミラー
M5 ミラー
M6 ミラー
n 屈折率
P22 平面
P24 平面
PH 水平方向の対称平面
PV 垂直方向の対称平面
x 第1の横断方向
y 第2の横断方向
z 伝播方向
β 傾斜角度
θ 入射角度
θx 角度
θy 角度
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多波長レーザービームを増幅するためのデバイス(10)であって、前記デバイス(10)は、
a. 少なくとも2つの平面を有している固体活性レーザー媒質(M)であって、前記少なくとも2つの平面は、ビームが前記固体活性レーザー媒質(M)を通過するたびに、増幅されることとなるビームを受け取るのに適切な前面(20)、および、反射する後面(22)を含み、前記前面(20)は、非ゼロの傾斜(β)で前記後面(22)に対して傾斜されており、前記後面(22)は、冷却されるのに適切であり、第1のパスの間に前記前面(20)の上に受け取られるビームは、入射ビーム(F
I)と呼ばれ、n番目の通過の間に前記後面(22)によって反射されて前記前面(20)によって屈折されるビームは、第nの有用ビーム(F
Un)と呼ばれる、固体活性レーザー媒質(M)と、
b. 第1の有用ビーム(F
U1)の経路に沿って配置されている第1の光学的リターンユニット(18)であって、前記第1の光学的リターンユニット(18)は、前記固体活性レーザー媒質(M)を通る第2のパスのために、前記第1の有用ビーム(F
U1)を前記前面(20)に戻すように構成されており、第2の有用ビーム(F
U2)を形成する、それぞれの波長のサブビームが、前記第2のパスの終わりに互いに平行になるようになっている、第1の光学的リターンユニット(18)と、
を含む、デバイス(10)。
【請求項2】
前記第1の光学的リターンユニット(18)は、前記第2の有用ビーム(F
U2)が、前記固体活性レーザー媒質(M)の上の前記入射ビーム(F
I)の入射角度(θ)に等しい入射角度でプレートの前記前面に到着する入射ビームから、平面および平行な面によって前記プレートの退出部において取得されることとなる前記ビームと色空間分散の観点から同等になるように構成されている、請求項1に記載のデバイス(10)。
【請求項3】
前記固体活性レーザー媒質(M)は、ディスクであり、前記ディスクの平面は、前記前面(20)および前記後面(22)であり、前記前面及び前記後面(20、22)は、ベース(24)と呼ばれる三角形のベースまたは台形のベースを有する直角プリズムの中に内接されており、前記第1の光学的リターンユニット(18)は、2つのミラー(M1、M2)を含み、前記ミラー(M1、M2)は、前記固体活性レーザー媒質(M)と第1のミラー(M1)との間の前記第1の有用ビーム(F
U1)の前記経路が、対称平面(P
H)に関して、第2のミラー(M2)と前記固体活性レーザー媒質(M)との間の前記第1の有用ビーム(F
U1)の前記経路に対して対称的になるように配向されており、前記対称平面(P
H)は、前記固体活性レーザー媒質(M)の前記ベース(24)を含有する平面(P
24)に対して垂直の、および、前記後面(22)を含有する平面(P
22)に対して垂直の平面である、請求項1または2に記載のデバイス(10)。
【請求項4】
前記固体活性レーザー媒質(M)の前記前面(20)は、前記入射ビーム(F
I)を受け取るのに適切であり、前記入射ビーム(F
I)から、第1のスプリアスビーム(F
P1)と呼ばれるビームを反射するのに適切であり、前記第1の光学的リターンユニット(18)は、前記第1のスプリアスビーム(F
P1)の経路の外側に配置されている、請求項1
または2に記載のデバイス(10)。
【請求項5】
前記第2の有用ビーム(F
U2)は、前記入射ビーム(F
I)の直径(Φ)と比較して拡大された直径(Φ+ΔΦ)を有しており、前記デバイス(10)は、少なくとも第3の、次いで、第4のパスのために、前記固体活性レーザー媒質(M)の中へ前記第2の有用ビーム(F
U2)を戻すのに適切な第2の光学的リターンユニット(30)を含み、出力ビーム(F
S)と呼ばれる、前記固体活性レーザー媒質(M)の出力における最後の有用ビームが、前記入射ビーム(F
I)の前記直径(Φ)に実質的に等しい直径を有するようになっており、前記出力ビーム(F
S)を形成する、それぞれの波長の前記サブビームが、互いに平行になるようになっている、請求項1
または2に記載のデバイス(10)。
【請求項6】
前記第2の光学的リターンユニット(30)は、前記出力ビーム(F
S)が、平面および平行な面によって、第1のプレートおよび次いで第2のプレートを通る入射ビームの連続的な前記パスに続いて取得されることとなるビームと直径および色空間分散の観点から同等になるように構成されており、前記第1のプレートは、前記固体活性レーザー媒質(M)の上の前記入射ビームの入射角度(θ)に等しい第1の入射角度(θ
1)で前記第1のプレートの前記前面の上に前記入射ビームが到着するように配向されており、前記第2のプレートは、前記第1の入射角度(θ
1)の反対に等しい第2の入射角度(θ
2)で前記第1のプレートの出力におけるビームを受け取るように配向されている、請求項5に記載のデバイス(10)。
【請求項7】
前記第2の光学的リターンユニット(30)は、前記固体活性レーザー媒質(M)を通る前記増幅されることとなるビームのパスの合計数が4の倍数になるように、前記固体活性レーザー媒質(M)を通して前記第2の有用ビーム(F
U2)を戻すのに適切である、請求項
5に記載のデバイス(10)。
【請求項8】
前記第2の光学的リターンユニット(30)は、前記固体活性レーザー媒質(M)を通る前記増幅されることとなるビームのパスの合計数が2の倍数となるように、および、前記増幅されることとなるビームが、前記固体活性レーザー媒質(M)の中への前記ビームの第1の入力と前記固体活性レーザー媒質(M)からの前記ビームの最後の出力との間で、行きの経路と、前記行きの経路の上に重ね合わせられた帰りの経路とを進行するように、前記固体活性レーザー媒質(M)を通して前記第2の有用ビーム(F
U2)を戻すのに適切である、請求項
5に記載のデバイス(10)。
【請求項9】
前記固体活性レーザー媒質(M)を通るそれぞれのパスにおいて、スプリアスビームが取得され、前記スプリアスビームは、前記固体活性レーザー媒質(M)の前記前面(20)の上で直接的に反射され、前記第1の光学的リターンユニット(18)および前記第2の光学的リターンユニット(30)は、前記固体活性レーザー媒質(M)を通る前記増幅されることとなるビームの奇数のパスから結果として生じるそれぞれのスプリアスビームの経路の外側に配置されている、請求項
5に記載のデバイス(10)。
【請求項10】
前記固体活性レーザー媒質(M)の出力における最後の有用ビームは、出力ビーム(F
S)と呼ばれ、前記入射ビーム(F
I)および前記出力ビーム(F
S)は、空間的にシフトされている、請求項1
または2に記載のデバイス(10)。
【国際調査報告】