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特表2023-554481エレクトロクロミック化合物及びそれを含む光学物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】エレクトロクロミック化合物及びそれを含む光学物品
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20231220BHJP
   C07D 417/04 20060101ALI20231220BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20231220BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20231220BHJP
   C07D 421/04 20060101ALI20231220BHJP
   C07D 413/04 20060101ALI20231220BHJP
   C09K 9/02 20060101ALI20231220BHJP
   G02F 1/1516 20190101ALI20231220BHJP
【FI】
C07D401/04
C07D417/04 CSP
C07D471/04 108Q
C07D403/14
C07D421/04
C07D413/04
C09K9/02 A
G02F1/1516
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537393
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2021085653
(87)【国際公開番号】W WO2022136020
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20306663.4
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クロディーヌ・ビヴェール
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・ベリット-デバ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・アルシャンボー
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート・エイケン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージナ・ケー・アーミテイジ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ディー・ブロードベント
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エル・クロスリー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ディー・ギャバット
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・マーク・ヘロン
【テーマコード(参考)】
2K101
4C063
4C065
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DB04
2K101DC02
2K101DC45
2K101EJ23
2K101EK04
2K101EK05
4C063AA01
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB01
4C063CC26
4C063CC51
4C063CC52
4C063CC61
4C063CC62
4C063CC69
4C063DD12
4C063DD14
4C063EE10
4C065AA03
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH02
4C065HH05
4C065JJ01
4C065KK02
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP12
4C065QQ05
(57)【要約】
本発明は、新規なエレクトロクロミック化合物群に関する。より具体的には、本発明は、1つ又はいくつかのピリジニウム環で置換されたベンズアゾール及び縮合アゾール化合物並びにこれらの化合物の、眼鏡レンズなどの光学物品の製造のための可変透過率媒体としての使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
Aは、N、N、N-RN-R又はC-Rであり、
Bは、C-R、S、Se、O、N、N-R又はN-Rであり、
Dは、C-R、N、S、O、Se、N-R又はN-Rであり、
Eは、C、N又はNであり、
は、H、C~C18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C~C18アルキル、アリール、Z又はZによって置換されたアリールであり、
は、H若しくはC~C18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C~C18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C~C18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C~C18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C~C18アルキル、アリール又はZであり、
及びR、並びに/又はR及びR、並びに/又はR及びRは、任意選択的にZによって置換されている、それらが結合されている6員(複素)環状コア(環C6)に縮合された芳香環又はヘテロ芳香環を一緒に形成し得、
ここで、Zは、
【化2】
であり、
Yは、C~C18アルキル、(ヘテロ)アリール又は(ヘテロ)アリールアルキルであり、
、R、R10及びR11は、H及びC~C18アルキルから独立して選択され、
及びR又はR10及びR11は、それらが結合されているピリジウム基に縮合された芳香環を形成し得、
B=C-Zの場合及びA=Nの場合、R又はR11は、Aと共に、Aが結合されている5員複素環(環C5)と縮合された芳香族又は非芳香族の環を形成し得、
nは、正電荷の数と釣り合うように選択され、
Xは、対イオンであり、
【化3】
は、単結合又は二重結合であり、
但し、以下の3つ:
1)環C5は、5員複素環であり、A、B、D及びEの2つは、N、N-RN-R、N-RN-R、N-RN-R、S、Se及びOから独立して選択されること、
2)環C5及び環C6は、共役系を形成すること、及び
3)R、R、R、R、R、R又はRの少なくとも1つは、Zであるか、又は少なくともR及びRは、Zによって置換された芳香環を一緒に形成するか、又は少なくともR及びRは、Zによって置換された芳香環を一緒に形成するか、又は少なくともR及びRは、Zによって置換された芳香環を一緒に形成すること
を条件とする)
によって表されるエレクトロクロミック化合物。
【請求項2】
式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X):
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
(式中、A、B、D、E、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、存在する場合、請求項1で定義された通りであり、
Z、Y、n及びXも請求項1で定義された通りである)
によって表される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Aは、N、N、N-R又はN-Rであり、及び/又は
Bは、N、N-R又はN-Rであり、及び/又は
Dは、N、N-R又はN-Rである、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
Eは、N又はNであり、及び/又はDは、Sである、請求項1~3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
Aは、N、N、N-R又はN-Rであり、
Dは、N-RN-R、S、Se又はOであり、
Eは、Cであり、及び
、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXは、請求項1で定義された通りである、請求項2又は3に記載の式(II)の化合物。
【請求項6】
Aは、N又はN-Rであり、
Dは、Sであり、
Eは、Cであり、及び
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXは、請求項1で定義された通りである、請求項5に記載の式(II)の化合物。
【請求項7】
Aは、Nであり、
Dは、Sであり、
Eは、Cであり、及び
は、Aと共に、Aが結合されている環C5と縮合された不飽和又は不飽和でない5又は6員環を形成し、且つ式(XI)、(XII)又は(XIII)
【化8】
によって表され、及び
、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXは、請求項1で定義された通りである、請求項6に記載の式(II)の化合物。
【請求項8】
Aは、N-Rであり、
Dは、Sであり、
Eは、Cであり、及び
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXは、請求項1で定義された通りである、請求項6に記載の式(II)の化合物。
【請求項9】
及びR、並びに/又はR及びR、並びに/又はR及びRは、任意選択的にZによって置換されている、それらが結合されている(複素)環状コア(環C6)に縮合された芳香環又はヘテロ芳香環を一緒に形成し、及び
、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXは、請求項1で定義された通りである、請求項8に記載の式(II)の化合物。
【請求項10】
及びR又はR10及びR11は、それらが結合されているピリジウム基に縮合された芳香環を形成し、及び
、R、R、R、R、Z、Y、n及びXは、請求項1で定義された通りである、請求項8に記載の式(II)の化合物。
【請求項11】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を含むエレクトロクロミック組成物。
【請求項13】
ホスト媒体、好ましくは流体、液晶性媒体又はゲルであるホスト媒体をさらに含む、請求項12に記載のエレクトロクロミック組成物。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又は請求項12若しくは13に記載のエレクトロクロミック組成物を含むエレクトロクロミックデバイス。
【請求項15】
光学物品、好ましくは光学レンズ又は光学フィルター、窓、特に航空機の窓、バイザー、鏡、ヘッドマウントデバイス及びディスプレイから選択され、より好ましくは光学レンズから選択される光学物品、最も好ましくは眼鏡レンズから選択される光学物品である、請求項14に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なエレクトロクロミック化合物群に関する。より具体的には、本発明は、1つ又はいくつかのピリジニウム環で置換されたベンズアゾール及び縮合アゾール化合物並びにこれらの化合物の、眼鏡レンズなどの光学物品を製造するための可変透過率媒体としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロクロミズムは、周知の物理現象であり、これは、電圧が印加されると可逆的に色が変化する特定の分類の化合物で観察される。この材料は、酸化及び還元によって光学特性が可逆的に変化する。有利には、エレクトロクロミック材料は、電場が印加されていないときに無色であり、電場が印加されると発色する。
【0003】
エレクトロクロミックデバイス、すなわち吸光度が電界の存在にのみ依存するエレクトロクロミック化合物を含むデバイスは、したがって、2つの状態、すなわち着色状態(電気的に活性化された場合)及び漂白状態(非活性状態)を有し得る。デバイスの光透過特性は、エレクトロクロミック化合物の性質に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレクトロクロミック特性を維持し、且つ幅広い色調を有しつつ、高品質な物品、特に高品質な眼鏡レンズを形成するための透明媒体として使用するために、エレクトロクロミック材料を改良することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、本発明者らは、エレクトロクロミック分子の構造にアゾール環又はアゾリウム環を導入すると、可視域の吸収波長が低下することを見出した。実際、様々なアゾール環が導入され、様々な活性化ポテンシャルで効率的に波長範囲を広げることが確認された。これは、例えば、置換イミダゾリウム及び縮合環誘導体、置換ベンズイミダゾリウム、置換ベンズ(イソ)チアゾリウム化合物に該当した。加えて、本発明のビオロゲン分子、又はベンズアゾール分子、又は縮合アゾール含有分子は、1又は2の還元電位を呈する。
【0006】
例えば、ビオロゲン分子は、通常、バイケーション(bipm2+)からモノケーション(bipm)、モノケーションから中性種(bipm)への2つの還元電位を示す。
【化1】
【0007】
bipm2+からbipmへの反応は、第一電位Eで起こる可逆的な反応であり、bipmからbipmへの反応は、より低い電位Eで起こり、不可逆的であることが多い。bipmは、不安定な化合物であり、デバイス内に存在する酸素又は他の分子と反応して化学構造が変化し、エレクトロクロミック特性を失う可能性があると考えられる。
【0008】
そのため、本発明者らは、化学構造を改変し、2つの還元ピークの距離を広げることでデバイスの安定性、したがって寿命を向上させることを試みた。添加される化学基は、これらの2つの還元ピーク間の電位距離が0.1V未満、好ましくは0.3V未満、さらに好ましくは0.5V未満となるようにする。
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、優れたエレクトロクロミック特性を示し、細胞内に容易に組み込まれて、例えばエレクトロクロミックレンズを形成することができる新規エレクトロクロミック化合物を提供する。このように、本発明の化合物は、有利には、以下の通りである:
- 不活性化状態では無色であり、活性化状態では例えば緑、赤、紫、青、黄又は茶等の色が付いている。
- 可逆的に酸化又は還元される。
- 活性化しやすく、すなわち-1.5~-0.5Vの電気化学的電位を有する。
- 安定しており、すなわち分解生成物が発生しない。
【0010】
より詳細には、本発明の化合物は、1つの低い可逆還元ピーク又は少なくとも0.1V、好ましくは少なくとも0.3V、より好ましくは少なくとも0.4V、さらに好ましくは少なくとも0.5V離れた2つの可逆還元ピーク(第1の可逆還元ピークは、低い)のいずれかを示す。
【0011】
したがって、本発明は、以下に定義する式(I)のエレクトロクロミック化合物に関する。
【0012】
本発明は、式(I)の少なくとも1つの化合物を含むエレクトロクロミック組成物にも関する。
【0013】
最後に、本発明は、本発明の式(I)のエレクトロクロミック化合物又はエレクトロクロミック組成物を含む、眼科用レンズなどのエレクトロクロミック装置に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.定義
用語「芳香族化合物」は、共有結合で結合した原子の1つ以上の平面的な環によって特徴付けられる不飽和化学化合物を意味する。
【0015】
用語「環状化合物又は環化合物」は、化合物中の原子が1つ以上連なって環を形成している化合物に対応する。環は、3つ~多数の原子、例えば5つ又は6つの原子で大きさが変わり得、すべての原子が炭素である例(すなわち炭素環である)又は炭素及び非炭素原子の両方が存在する例(複素環式化合物)を含む。より正確には、「複素環式化合物又は環構造」は、少なくとも2つの異なる元素の原子を環の構成員として有する環状化合物である。
【0016】
用語「アゾール」は、環の一部として窒素原子及び少なくとも1つの他の非炭素原子を含む任意の5員複素環式ラジカルを表す。他の非炭素原子の例としては、窒素、酸素、硫黄及びセレンが挙げられる。本発明における5員複素環(環C5)は、典型的には、アゾールである。アゾール基の例としては、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、セレナゾールが挙げられる。
【0017】
用語「縮合系」は、分子内で非局在化した電子を有するp軌道が連結した系を指し、一般に分子全体のエネルギーを低下させ、安定性を高めることができる。これは、従来、単結合と多重結合とを交互に有するものとして表現される。ローンペア、ラジカル又はカルベニウムイオンは、環状、非環状、直鎖状又は混合型のシステムの一部であり得る。5員複素環(環C5)及び6員(複素)環(環C6)によって形成される、本発明による共役系は、例えば、ベンズアゾール(又はベンゾオキサゾール)、ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾ[1,2-a]ピリジンである。
【0018】
用語「ピリジニウム」は、窒素原子が正に帯電しているピリジンのカチオンを指し、以下の式:
【化2】
(式中、Yは、C18アルキル、(ヘテロ)アリール又は(ヘテロ)アリールアルキルを含む)
によって表される。
【0019】
「アルキル」又は「C18アルキル」という表現は、1~18個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の炭化水素鎖の任意の一価ラジカルを表す。「C~Cアルキル」という表現は、炭素数3~6のアルキル基を表す。C18アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル又はt-ブチルなどのCアルキル基、n-ヘキシル、n-ヘプチル又はn-オクチルなどのC~Cアルキル基、さらにn-ペンチル、2-エチルヘキシル、3,5,5-トリメチルヘキシル、ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル又はn-オクタデシルなどの基が挙げられる。
【0020】
「アリール」という表現は、単環式又は多環式の、6~18個の炭素原子を含む芳香族炭化水素の任意の1価のラジカルを表す。「多環式アリール又は多環式芳香族化合物」という表現は、2つの芳香環間で少なくとも1つの炭素-炭素結合が共通する化合物(縮合芳香環)又は炭素-炭素単結合で結合した2以上のベンゼノイド環を含む多環式芳香族炭化水素のいずれかを意味する表現である。C~C18アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル及びフェナントレニルが挙げられる。
【0021】
「アリールアルキル」という表現は、アルキル基のアリール誘導体のいずれかを表す。「アリールアルキル」という表現は、上記で定義したアリール基を上記で定義したアルキル基と結合させたものを表す。アリールアルキル基の例としては、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル、ナフチルメチル、ナフチルエチル、ナフチルプロピル、ナフチルブチル、ナフチルペンチル、ナフチルヘキシル、アントラセニルメチル、アントラセニルエチル、アントラセニルプロピル、アントラセニルブチル、アントラセニルペンチル、アントラセニルヘキシル、フェナンスレニルメチル、フェナンスレニルエチル、フェナンスレニルプロピル、フェナンスレニルブチル、フェナンスレニルペンチル及びフェナンスレニルヘキシルが挙げられる。
【0022】
「ヘテロアリール」という表現は、酸素、窒素及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を含む単環又は多環の5~10員芳香族基の任意の1価のラジカルを表す。C~C10ヘテロアリール基の例としては、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾイル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾイル、チアゾリル、オキサゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1-ベンゾフリル、1-ベンゾチエニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、1,2-ベンズイソキサゾリル、2,1-ベンズイソオキサゾリル、1,2-ベンズイソチアゾリル、2,1-ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピリジル、ピリジニウム、キノリニル、キノリニウム、イソキノリニル、イソキノリニウム、ピリダジニル、シノリニル、フタルジニル、ピリミジニル、キナゾリル、ピラジニル及びキノキサリニルが挙げられる。
【0023】
特に言及しない限り、本明細書で定義された基及びラジカルは、非置換であるか、又は例えばハロゲン、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルカノイル、アロイル、ホルミル、ニトリル、ニトロ、アミド、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアルキルアミノ及びジアルキルアミノなどの1以上の置換基によって置換され得る。
【0024】
これらの置換基は、ホスホネート基(P=O(OR)(OR’)(ここで、R及びR’は、アルキル又はアリールのいずれかである)、リン酸基、カルボキシル基(C=O(OH))、トリクロロシリル基などのトリハロシリル基、トリアルコキシシリル基(トリエトキシシリル基、トリメトキシシリル基等)、モノハロシリル基(モノクロロシリル基など)又はモノアルコキシシリル基ではない。
【0025】
エレクトロクロミック化合物
本発明のエレクトロクロミック化合物は、5員複素環、典型的にはアゾール環が6員(複素)環に縮合された5員複素環を含む中心核を有し、その上に1つ又はいくつかの側方ピリジニウム基、特に1、2又は3の側方ピリジニウム基が分枝している。
【0026】
このように、本発明のエレクトロクロミック化合物は、式(I):
【化3】
(式中、
Aは、N、N、N-RN-R又はC-Rであり、
Bは、C-R、S、Se、O、N、N-R又はN-Rであり、
Dは、C-R、N、S、O、Se、N-R又はN-Rであり、
Eは、C、N又はNであり、
は、H、C18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C18アルキル、アリール、Z又はZによって置換されたアリールであり、
は、H若しくはC18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C18アルキル、アリール又はZであり、
は、H、C18アルキル、アリール又はZであり、
及びR、並びに/又はR及びR、並びに/又はR及びRは、任意選択的にZによって置換されている、それらが結合されている6員(複素)環状コア(環C6)に縮合された芳香環又はヘテロ芳香環を一緒に形成し得、
ここで、Zは、
【化4】
であり、
Yは、C18アルキル、(ヘテロ)アリール又は(ヘテロ)アリールアルキルであり、
、R、R10及びR11は、H及びC18アルキルから独立して選択され、
及びR又はR10及びR11は、それらが結合されているピリジウム基に縮合された芳香環を形成し得、
B=C-Zの場合及びA=Nの場合、R又はR11は、Aと共に、Aが結合されている5員複素環(環C5)と縮合された芳香族又は非芳香族の環を形成し得、
nは、正電荷の数と釣り合うように選択され、
Xは、対イオンであり、
【化5】
は、単結合又は二重結合であり、
但し、以下の3つ:
1)環C5は、5員複素環であり、A、B、D及びEの2つは、N、N-RN-R、N-RN-R、N-RN-R、S、Se及びOから独立して選択されること、
2)環C5及び環C6は、共役系を形成すること、及び
3)R、R、R、R、R、R又はRの少なくとも1つは、Zであるか、又は少なくともR及びRは、Zによって置換された芳香環を一緒に形成するか、又は少なくともR及びRは、Zによって置換された芳香環を一緒に形成するか、又は少なくともR及びRは、Zによって置換された芳香環を一緒に形成すること
を条件とする)
によって表される。
【0027】
本発明のすべてにおいて、特に断りのない限り、Yは、有利には、Cアルキル又はアリールであり、例えば、Yは、メチル、n-ヘキシル又はフェニルである。
【0028】
本発明のすべてにおいて、対イオンX-は、ハロゲン化物、好ましくはフッ化物及び塩化物、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ナイトレート、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、ヘキサクロロアンチモネート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、パークロレート、アセタート及びスルフェートから選択することができるが、好ましくは、Xは、テトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートである。
【0029】
本発明のエレクトロクロミック化合物は、典型的には、式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X):
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
(式中、A、B、D、E、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11(存在する場合)並びにZ、Y、n及びXは、上記の通りである)
によって表される。
【0030】
本発明の好ましい実施形態において、エレクトロクロミック化合物の中心核の5員複素環C5は、アゾール環であり、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)の化合物は、
- AがN、N、N-R又はN-Rであり、及び/又は
- BがN、N-R又はN-Rであり、及び/又は
- DがN、N-R又はN-Rである
ものである。
【0031】
式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)の好ましい化合物は、EがN又はNであるもの及び/又はDがSであるものであり得る。
【0032】
式(I)の化合物は、例えば、以下のものであり得る。
- AがN-Rであり、BがC-Rであり、DがS又はN-Rであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りであるもの、
- AがN-Rであり、BがC-Rであり、DがC-Rであり、EがNであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りであるもの、
- AがNであり、BがC-Rであり、DがSe又はOであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りであるもの、
- AがC-Rであり、BがN又はN-Rであり、DがSであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りであるもの、
- AがC-Rであり、BがNであり、DがOであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りであるもの、
- AがC-Rであり、DがN、N-R、S、Se又はOであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りであるもの、
- BがN又はN-Rであり、AがC-Rであり、DがC-Rであり、EがNであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りであるもの、
- DがN-R又はNであり、AがC-Rであり、BがC-Rであり、EがNであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りであるもの、又は
- EがNであり、AがO、S又はSeであり、BがC-Rであり、DがC-Rであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りであるもの。
【0033】
本発明の1つの変形形態において、本発明の化合物は、式(II)のものであり、ここで、Aは、N、N、N-R又はN-Rであり、Dは、N-RN-R、S、Se又はOであり、Eは、がCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXは、上記で定義された通りである。
【0034】
本発明の1つの変形形態において、式(II)の化合物は、AがN又はN-Rであり、DがSであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである。
【0035】
この特定の実施形態によれば、化合物は、式(II)のものであり得、ここで、AがN-Rであり、DがSであり、EがCであり、RがC~C18アルキルであり、好ましくはRがCアルキルであり、より好ましくはRがメチルであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、R10が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR10がHであり、R11が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR11がHであり、Yが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはYがCアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくはYがn-ヘキシル又はフェニルであり、nが2であり、及びXがテトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートであり、好ましくはテトラフルオロボレートである。
【0036】
この特定の実施形態による他の好ましい化合物は、典型的には、式(II)のものであって、AがNであり、DがSであり、EがCであり、及びRが、Aと共に、Aが結合されている環C5と縮合された不飽和又は不飽和でない5又は6員環を形成し、且つ式(XI)、(XII)又は(XIII)によって表されるものである。
【化10】
、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXは、上記で定義された通りである。
【0037】
さらにこの実施形態によれば、好ましい化合物は、AがN-R、DがSであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りである式(II)のものであり得る。より具体的には、これらの化合物は、式(II)のものであり、ここで、R及びR、並びに/又はR及びR、並びに/又はR及びRは、任意選択的にZによって置換されている、それらが結合されている(複素)環状コア(環C6)に縮合された芳香環又はヘテロ芳香環を一緒に形成し、Z、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXは、上記で定義された通りである。具体的な例を以下に示す。
【化11】
【0038】
本実施形態による化合物は、R及びR又はR10及びR11が、それらが結合されているピリジウム基に縮合された芳香環を形成し、及びR、R、R、R、R、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである。このような化合物の例は、以下に示すものである。
【化12】
【0039】
この特定の実施形態において、Rは、好ましくは、C18アルキルであり、より好ましくは、Rは、メチルなどのCアルキルであり、Rは、好ましくは、H、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Rは、Hであり、Rは、好ましくは、H、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Rは、Hであり、Rは、好ましくは、H、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Rは、Hであり、Rは、好ましくは、H、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Rは、Hであり、Rは、好ましくは、H、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Rは、Hであり、Rは、好ましくは、H、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Rは、Hであり、Yは、好ましくは、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Yは、Cアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくは、Yは、フェニルであり、nは、2であり、及びXは、テトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートである。
【0040】
この特定の変形形態の第2の実施形態では、式(II)の化合物は、AがN-Rであり、DがN-Rであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである。
【0041】
この特定の実施形態によれば、化合物は、AがN-Rであり、DがN-Rであり、EがCであり、及びRがC18アルキルであり、好ましくはRがメチル又はn-ヘキシル等のCアルキルであり、RがH、C18アルキル又はアリールであり、好ましくはRがHであり、RがH、C18アルキル又はアリールであり、好ましくはRがHであり、RがH、C18アルキル又はアリールであり、好ましくはRがHであり、RがH、C18アルキル又はアリールであり、好ましくはRがHであり、RがH、C18アルキル又はアリールであり、好ましくはRがHであり、RがH、C18アルキル又はアリールであり、好ましくはRがHであり、R10がH、C18アルキル又はアリールであり、好ましくはR10がHであり、R11がH、C18アルキル又はアリールであり、好ましくはR11がHであり、Yが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはYがCアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくはYがメチル、n-ヘキシル又はフェニルであり、nが2であり、及びXがテトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェート、好ましくはヘキサフルオロホスフェートである式(II)のものであり得る。
【0042】
この特定の実施形態による他の好ましい化合物は、典型的には、AがN-Rであり、DがN-Rであり、EがCであり、R及びR、並びに/又はR及びR、並びに/又はR及びRが、任意選択的にZによって置換されている、それらが結合されている(複素)環状コア(環C6)に縮合された芳香環又は複素芳香環を一緒に形成し、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りである式(II)のものである。このような化合物の例は、以下に示すものである。
【化13】
【0043】
この特定の実施形態において、Rは、好ましくは、C18アルキルであり、より好ましくは、Rは、メチル等のCアルキルであり、Rは、好ましくは、C18アルキル又は任意選択的に置換されたアリールであり、より好ましくは、Rは、4-t-ブチルフェニル等の任意選択的に置換されたアリールであり、Rは、好ましくは、H、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Rは、Hであり、Rは、好ましくは、H、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Rは、Hであり、Yは、好ましくは、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくは、Yは、Cアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくは、Yは、メチルであり、nは、4であり、及びXは、テトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートである。
【0044】
この特定の変形形態の第3の実施形態では、式(II)の化合物は、AがNであり、DがSeであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである。
【0045】
この第3の実施形態によれば、化合物は、AがNであり、DがSeであり、EがCであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、R10が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR10がHであり、R11が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR11がHであり、Yが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはYがCアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくはYがn-ヘキシル又はフェニルであり、nが2であり、及びXがテトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートである式(II)のものであり得る。
【0046】
この特定の変形形態の第4の実施形態では、式(II)の化合物は、AがNであり、DがOであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである。
【0047】
この第4の実施形態によれば、化合物は、AがNであり、DがOであり、EがCであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、R10が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR10がHであり、R11が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR11がHであり、Yが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはYがCアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくはYがn-ヘキシル又はフェニルであり、nが2であり、及びXがテトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートである式(II)のものであり得る。
【0048】
本発明の第2の変形形態において、本発明の化合物は、AがN-Rであり、DがC-Rであり、EがNであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである式(II)のものである。
【0049】
この変形形態によれば、本発明の化合物は、Rが好ましくはC18アルキルであり、より好ましくはRがメチル等のCアルキルであり、Rが好ましくはH又はC18アルキルであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはC18アルキル、アリール又はZであり、より好ましくはRがアリール又はZであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、R10が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR10がHであり、R11が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR11がHであり、Yが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはYがCアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくはYがn-ヘキシル又はフェニルであり、nが好ましくは2又は3であり、及びXがテトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートであるものである。
【0050】
本発明の第3の変形形態において、本発明の化合物は、BがN又はN-Rであり、DがSであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである式(III)のものである。
【0051】
本発明のこの第3の変形形態によれば、本発明の化合物は、R(存在する場合)が好ましくはC18アルキルであり、より好ましくはRがメチル等のCアルキルであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはC18アルキル、アリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、R10が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR10がHであり、R11が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR11がHであり、Yが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはYがCアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくはYがn-ヘキシル又はフェニルであり、nが1又は2であり、及びXがテトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートであるものであり得る。
【0052】
本発明の第4の変形形態では、本発明の化合物は、BがNであり、DがOであり、EがCであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである式(III)のものである。
【0053】
本発明のこの第4の変形形態によれば、本発明の化合物は、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはC18アルキル、アリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、R10が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR10がHであり、R11が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR11がHであり、Yが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはYがCアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくはYがn-ヘキシル又はフェニルであり、nが1であり、及びXがテトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートであるものであり得る。
【0054】
本発明の第5の変形形態において、本発明の化合物は、AがN-Rであり、BがC-Rであり、DがC-Rであり、EがNであり、及びR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである式(V)のものである。
【0055】
本発明のこの第5の変形形態によれば、本発明の化合物は、Rが好ましくはC18アルキルであり、より好ましくはRがメチル等のCアルキルであり、Rが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがフェニル等のアリールであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、R10が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR10がHであり、R11が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR11がHであり、Yが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはYがCアルキル又はアリールであり、さらにより好ましくはYがn-ヘキシル又はフェニルであり、nが2であり、及びXがテトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートであるものであり得る。
【0056】
本発明の第6の変形形態では、本発明の化合物は、AがN-Rであり、BがC-Rであり、DがC-Rであり、EがNであり、及びR、R、R、R、R、R10、R11、Z、Y、n及びXが、上記で定義された通りのものである式(IX)又は(X)のものである。
【0057】
本発明のこの第6の変形形態によれば、本発明の化合物は、Rが好ましくはC18アルキルであり、より好ましくはRがメチル等のCアルキルであり、Rが好ましくは置換アリールであり、より好ましくはRが4-t-ブチルフェニル又はZによって置換されたフェニルであり、Rが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがアリール、例えば4-t-ブチルフェニルであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、Rが好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはRがHであり、R10が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR10がHであり、R11が好ましくはH、C18アルキル又はアリールであり、より好ましくはR11がHであり、Yが好ましくはC18アルキル又はアリールであり、より好ましくはYがメチル等のCアルキルであり、nが3又は4であり、及びXがテトラフルオロボレート又はヘキサフルオロホスフェートであるものであり得る。
【0058】
本発明の特に好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、以下からなる群から選択される。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
式(I)によって表される化合物は、当技術分野で周知の様々な方法に従って調製することができる。
【0065】
例えば、式(I)によって表される化合物は、以下に詳述する合成経路に従って得ることができる。
【0066】
ベンゾイミダゾール及びベンゾチアゾール誘導体にアクセスする様々な経路が報告されている。最も単純で有用な経路は、それぞれ1,2-フェニレンジアミン又は2-アミノチオフェノールに複素環を環化することを含む。これらの前駆体が関与する合成経路がレビューされている(J.Revuelta,F.Machetti and S.Cicchi in Modern Heterocyclic Chemistry eds.J.Alvarez-Builla,J.J.Vaquero and J.Barluenga,Wiley-WCH,Weinheim,2011,vol.2,pp.809-923)。
【0067】
2-(ヘテロ)アリールベンゾチアゾールは、2-アミノチオフェノールのタンデムアシル化-脱水環化反応を経て入手できるが、他の経路が知られている。例えば、2-(4-ピリジル)ベンゾチアゾールは、まず4-ピコリンと硫黄をアニリンの存在下で高温反応させるか、イソニコチン酸と2-アミノチオフェノールを塩化チオニルの存在下で反応させることで得られる。さらに、2-アミノチオフェノールとピリジン-4-カルボキシアルデヒドの環化縮合と、それに続く硫酸鉄(III)によるベンゾチアゾリンの酸化によって同じ化合物が得られる(P.E.Miller,G.L.Oliver,J.R.Dann and J.W.Gates Jr.,J.Org.Chem.,1957,22,664)。より最近では、ベンゾチアゾールもアルデヒド又はアルカノフェノンと2-アミノチオフェノールから得られることが示されている。酸化ステップはDMSO中での空中酸化によって達成される(Y.Liao,H.Qi,S.Chen,P.Jiang,W.Zhou and G.-J.Deng,Org.Lett.,2012,14,6004)。今回の研究では、これらのアプローチを組み合わせて、2-アミノチオフェノールとピリジン-4-カルボキシアルデヒドのエタノール性溶液を空気中で攪拌した。その後、ハロアルカン、例えば1-ヨードヘキサンでN-アルキル化すると、予想した通りピリジン部分で容易にN-アルキル化が進行した(K.Halman and O.H.Hankovszky,Acta Chim.Acad.Sci.Hung.,1965,43,263;P.ZavinsE.S.Lavinovitch and A.Arens,Khim.Geterotsikl.Soedin.,1973,104)。このように、1-ヨードヘキサンはヨウ化物塩の収率が高く、最終的には引き続き行われるアニオン交換によりテトラフルオロボレートが得られた。後者は、スキーム1に示すように、ベンゾチアゾール部分のN-3をトシル酸メチルでさらにアルキル化することができた。
【化14】
【0068】
2-(1-フェニルピリジン-4-イル-1-イウム)ベンゾチアゾールは、ピリリウム塩化学を用いた複雑な順序で合成されてきたが(G.N.Dorofeenko,A.V.Koblik,B.A.Tertov and T.I.Polyakova,Khim.Geterotsikl.Soedin.,1973,1016)、この塩と派生する塩に対するより簡単なアプローチをスキーム6に示す。重要なステップには、容易に入手できるジフェニルヨードニウムトリフラートによるピリジン部分のN-アリール化(M.Bielawski and B.Olofsson,Chem.Commun.,2007,2521)を銅触媒の下で行うことが含まれる。この方法は、他の様々な複素環系のN-フェニル化に採用されている(T.Lv,Z.Wang,J.You,J.Lan and G.Gao,J.Org.Chem.,2013,73,5723;C.Reus,M.Stolar,J.Vanderkley,J.Neubauer and T.Baumgartner,J.Am.Chem.Soc.,2015,137,11710)。ベンゾチアゾールのメチルトシレートによるアルキル化は、素直に進む。
【化15】
【0069】
スキーム1及び2に描かれたものと同様のシーケンスは、容易に入手可能なキノリン-4-カルバルデヒド(W.-Z.Weng,J.-S.Guo,K.-X.Liu,T.-Q.Shao,L.-Q.Song,Y.-P.Zhu,Y.-Y.Sun and Q.-G.Meng,Can.J.Chem.,2020,98,179.)と誘導されたベンゾチアゾールに適用できる。
【0070】
o-フェニレンジアミン(OPD)及びカルボン酸誘導体からアクセス可能であるが、2-(2-ピリジル)-及び2-(4-ピリジル)-ベンズイミダゾールは、OPDと適切なピリジンカルボキシアルデヒドの縮合-空気酸化により効率的に得られた(S.Haneda,Z.Gan,K.Eda and M.Hayashi,Organometallics,2007,26,6551を参照されたい)。2-(4-ピリジル)ベンズイミダゾールは、塩基性条件下においてMeIで処理することにより、イミダゾール環を選択的にメチル化できた。ピリジン部分とベンズイミダゾール環の連続的なアルキル化が達成された。以前と同様の方法で、1-メチル-2-(4-ピリジル)ベンズイミダゾールのピリジン部分をジフェニルヨードニウムトリフラートでCuを介在したN-アリール化を行い、その後ハロアルカン又はMeOTsで処理すると、一連の新規化合物を得ることができた(スキーム3)。
【化16】
【0071】
イミダゾ[1,2-a]ピリジンは様々な経路で入手でき、これらの化合物の合成と化学に関する多くのレビューが利用できる(H.L.Blewitt in Special Topics in Heterocyclic Chemistry eds.A.Weissberger and E.C.Taylor,Wiley-Interscience, New York,1977,pp.117-178;F.Couty and G.Evano,Comprehensive Heterocyclic Chemistry III eds.A.R.Katritzky,C.A.Ramsden,E.F.V.Scriven and R.J.K.Taylor,Elsevier,Oxford,2008,vol.11,pp.409-499;A.K.Bagdi,S.Santra,K.Monir and A.Hajra,Chem.Commun.,2015,51,1555;S.M.Roopan,S.M.Patil and J.Palaniraja,Res.Chem.Intermed.,2016,42,2740)。2-アミノピリジンとα-ブロモケトンのN-アルキル化-還化縮合は、これらの二環式環への最も有用な入り口である。このように、市販の2-アミノ-4-ブロモピリジンと臭化フェナシルをメタノール中、NaHCOの存在下で反応させると、7-ブロモ-2-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジンAが得られた[K.C.L.Lee and E.T.Sun,国際公開第2006/101455A1号パンフレット(2006)]。臭化フェナシルの代わりに4-(ブロモアセチル)ピリジン臭化水素酸塩を用いた同様の反応(M.P.Hay,S.Turcette,J.U.Flannagan,M.Bonnet,D.A.Chan,P.D.Sutphin,P.Nguyen,A.J.Graccia and W.A.Denny,J.Med.Chem.,2010,53,787)により、7-ブロモ-2-(4-ピリジル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンBが良収量で得られた。Aと4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジンの鈴木-宮浦カップリングにより、2-フェニル-7-(4-ピリジル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンCが高収率で得られた。このPd-カップリング反応をBに適用して、7-フェニル誘導体Dとビス-ピリジル化合物Eを生成した。CとDをMeCN中1-ヨードヘキサンでアルキル化すると、ピリジン窒素上でアルキル化が進行してそれぞれ塩FとGが得られた。FとGのN-1でのさらなるアルキル化は、メチルトシレートと共に加熱することで達成した。E中の両方のピリジン部位のビスアルキル化は、過剰のハロゲン化アルキルと共に加熱することで達成されて、Hが得られる。Hは、メチルトシレートと共にN-1上でメチル化され得る。(スキーム4)
【化17】
【0072】
4,4’-ジブロモベンジルは広く市販されており、異性体のジブロモフェナントレン-9,10-ジオン、3,6-ジブロモフェナントレン-9,10-ジオン(M.O.BaniKhaled,J.D.Mottishaw,H.Sun,Cryst.Growth Des.,2015,15,2235;A.Patel,S.Y.Sharp,K.Hall,W.Lewis,M.F.G.Stevens,P.Workman,C.J.Moody,Org.Biomol.Chem.,2016,14,3889)及び2,7-ジブロモフェナントレン-9,10-ジオン(T.H.Vo,M.Shekhirev,D.A.Kunkel,F.Orange,M.J.-F.Guinel,A.Endersbe,A.Sinitskii,Chem.Commun.,2014,50,4172)は、公開された文献の手順に従って、フェナントレン-9,10-ジオンの選択的臭素化により調製した。
【0073】
1,2-ジカルボニル化合物、芳香族アルデヒド、アニリンと、酢酸アンモニウム等の窒素原子を供給できる低分子との間における、適当な媒体中で行う多成分縮合反応は、高置換イミダゾール及び縮合イミダゾールへの万能な経路である(K.Skonieczny,D.T.Gryko,J.Org.Chem.,2015,80,5753;M.M.Heravil,M.Daraiel,V.Zadsirjan,Mol.Divers.,2015,19,577;D.Kumar,K.R.J.Thomas,J.Photochem.Photobiol.A:Chem.,2011,218,162)。6,9-ジブロモ-1,2-ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾールの合成は、酢酸中、3,6-ジブロモフェナントレン-9,10-ジオン、4-tert-ブチルベンズアルデヒド、4-tert-ブチルアニリン及び酢酸アンモニウム間の多成分の縮合によって達成される(W-C.Chen,Y.Yuan,Y.Xiong,A.L.Rogach,Q-X.Tong,C-S.Lee,ACS Appl.Mater.Interfaces,2017,9,26268)。同じ反応条件と試薬を用いて、2,7-ジブロモフェナントレン-9,10-ジオンを5,10-ジブロモ-1,2-ビス(4-(tert-ブチル)フェニル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾールに変換した(スキーム5)。
【化18】
【0074】
スキーム1に示した多成分縮合を繰り返すが、3,6-ジブロモフェナントレン-9,10-ジオンから出発し、アルデヒド成分として4-ブロモベンズアルデヒド又はピリジン-4-カルボキシアルデヒドを使用すると6,9-ジブロモ-2-(4-ブロモフェニル)-1-(4-(tert-ブチル)フェニル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール又は6,9-ジブロモ-1-(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-(ピリジン4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾールがそれぞれ得られる(スキーム6)。
【化19】
【0075】
前述のブロモ置換イミダゾール及びフェナントロ[9,10-d]イミダゾールをそれぞれ、パラジウム触媒、典型的にはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を用い、混合溶媒系で、炭酸塩基を用いる4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジンとの一般的な鈴木クロスカップリングのプロトコルに付すことで、ポリ(4-ピリジル)置換イミダゾール及びフェナントロ[9,10-d]イミダゾールを得た(スキーム7)。4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジンと臭化アリールの鈴木カップリングは広く報告されている(M.Juricek,J.C.Barnes,E.J.Dale,W-G.Liu,N.L.Strutt,C.J.Bruns,N.A.Vermeulen,K.C.Ghooray,A.A.Sarjeant,C.L.Stern,Y.Y.Botros,W.A.Goddard,J.F.Stoddart,J.Am.Chem.Soc.,2013,135,12736;Y.Nakamura,N.Aratani,A.Osuka,Chem.Asian J.,2007,2,860;V.Gray,K.Boerjesson,D.Dzebo,M.Abrahamsson,B.Albinsson,K.Moth-Poulsen,J.Phys.Chem.C,2016,120,19018)(スキーム7)。
【化20】
【0076】
メチルトシレートは、ニート又は共溶媒を用いた有効なメチル化剤として使用されている(J.F.S.Carvalho,J.Louvel,M.L.J.Doornbos,E.Klaase,Z.Yu,J.Brussee,A.P.Ijzerman,J.Med.Chem.,2013,56,2828;A.N.Wodward,J.M.Kolesar,S.R.Hall,N-A.Saleh,D.S.Jones,M.G.Walter,J.Am.Chem.Soc.,2017,139,8467;L.Pescatori,A.Arduini,A.Pochini,A.Secchi,C.Massera,F.Ugozzoli,Org.Biomol.Chem.,2009,7,3698;M.Kuroboshi,T.Yamamoto,H.Tanaka,Synlett,2013,24,0197;J.A.Zoltewicz,M.P.Cruskie,Jr.,Tetrahedron,1995,51,3103)。この研究では、メチルトシレートを用いて、ピリジン環のN原子とイミダゾール環のN3を同時にN-メチル化した。得られたポリ(トシレート)塩は、そのままフルオロボレート塩に変換した(スキーム8)。
【化21】
【0077】
2-(ピリジン-4-イル)ベンゾセレナゾールを、修正した文献の手順(T.Su,S.Xie,B.Li,J.Yan,L.Huang,X.Li,Synlett 2015;26,215)に従って、合成した。2-(ピリジン-4-イル)ベンゾセレナゾールのピリジンN-原子を適切なアルキルハライドと反応させて選択的にアルキル化した(スキーム11)。代わりに、2-(ピリジン-4-イル)ベンゾセレナゾールのピリジンN原子アリール化は、アリールヨードニウム塩を用い、一般的な文献のプロトコルに従って行った(T.Lv,Z.Wang,J.You,J.Lan and G.Gao,J.Org.Chem.,2013,73,5723;C.Reus,M.Stolar,J.Vanderkley,J.Neubauer and T.Baumgartner,J.Am.Chem.Soc.,2015,137,11710)。最後にNaBF又はNHPFで対イオン交換することで、目的のエレクトロクロミック化合物を得た(スキーム9)。
【化22】
【0078】
ベンゾオキサゾール類は、ベンゾチアゾール類と同様の経路でアクセスすることができる。2-アミノフェノールとピリジン-4-カルボキシアルデヒドを空気の存在下で縮合させると、専ら2,3-ジヒドロベンゾオキサゾール誘導体を得ることができる。2-(4-ピリジル)ベンゾオキサゾールへのその後の脱水素化は、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)をジクロロメタン中で処理することにより容易に達成される。ピリジン部分のN-アルキル化及びN-アリール化は、標準的な手順で行うことができる(スキーム10)。
【化23】
【0079】
他の縮合環状アゾールを構築するために数多くの方法が利用可能である。例えば、2-アリールナフト[1,2-d]チアゾールは、DMSO中、元素状硫黄の存在下で、1-テトラロンオキシムO-アセテートとアリールアルデヒドとの間のワンポット脱水素(Semmler-Wolff芳香化)-硫黄移動-環化縮合シーケンスからアクセスできる(Z.Xu,H.Huang,H.Chen and G.-J.Deng,Org.Chem.Front.,2019,6,3060)。このようにして、2-(ピリジン-4-イル)ベンゾチアゾールを得、銅触媒下でジフェニルヨードニウムトリフラートを用いて通常の方法でピリジン部分を選択的にN-アリール化した。その後、MeOTfで処理することにより、チアゾール環のN-メチル化が達成された。(スキーム11)これらの四級化反応は、他の二複素環系にも広く応用可能である。
【化24】
【0080】
3-(ピリジン-4-イル)-誘導体を含む3-アリール-1,2-ベンズイソチアゾール類は、チオアニソールジアニオン(TBME中BuLi-TMEDAを用いてリチオ化することにより得られる)を4-ピリジンカルボニトリルでクエンチすることによりアクセスできる(R.Zhu,Z.Liu,J.Chen,X.Xiong,Y.Wang,L.Huang,J.Bai,Y.Deng and J.Huang,Org.Lett.,2018,20,3161)(スキーム12)。
【化25】
【0081】
3-(ヘテロ)アリール-1,2-ベンズイソキサゾールは、2-ハロゲノ又は2-ヒドロキシ-ベンゾフェノンから得られるオキシム又はイミンの分子内環化によって容易に入手できる(レビューについては、F.Gualtieri and M.Giannella in Isoxazoles eds.P.Gruenanger and P.Vita Finzi,Chemistry of Heterocyclic Compounds,John Wiley&Sons Inc.,1999,vol.48,part 2,p.1を参照されたい)。3-(ピリジン-4-イル)-1,2-ベンズイソキサゾールは、文献的手順に従い、4-(2-ヒドロキシベンゾイル)ピリジン由来のイミンをN-クロロスクシンイミドで酸化的環化することにより調製した(スキーム13)(H.Hepburn and T.J.Donohoe,Chem.Eur.J.,2020,26,1963)。
【化26】
【0082】
エレクトロクロミック組成物
本発明は、酸化性エレクトロクロミック化合物として、上記で定義した式(I)の化合物を少なくとも1つ含むエレクトロクロミック組成物にも関する。本発明の組成物の色又は着色状態の強度を適応させるように、1つ又は複数の追加の酸化性エレクトロクロミック化合物を本発明の組成物に添加することができる。前記追加の化合物は、式(I)の他の化合物又は相溶性染料若しくは顔料などの別の化合物であり得る。例えば、追加の酸化性エレクトロクロミック化合物は、アルキルビオロゲン、アリールビオロゲン、アルキルアリールビオロゲン又はアントラキノン及び誘導体から選択することができる。好ましくは、追加の化合物は、式(I)の化合物に近い酸化還元電位を有する。
【0083】
組成物は、少なくとも1つの還元性化合物も含み得る。還元性化合物は、エレクトロクロミック化合物でもあり得る。還元性化合物の例としては、5,10-ジヒドロフェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン、チオアントレン、テトラチアフルバレン、フェロセン及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0084】
本発明の組成物は、流体、液晶性媒体又はゲルであり得るホスト媒体を含み得る。ホスト媒体は、エレクトロクロミック化合物を溶解させるために本発明の組成物に導入される。ホスト媒体は、好ましくは、有機溶媒、液晶、ポリマー、液晶ポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0085】
ホスト媒体として使用できる好適な有機溶媒の例としては、組成物のエレクトロクロミック化合物と反応できない酸化還元適合性溶媒、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、アセトロニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、グルタロニトリル、メチルグルタロニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、スルホラン、3-メチルスルホラン、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、エタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、2-メトキシエチルエーテル、キシレン、シクロヘキサン、3-メチルシクロヘキサノン、酢酸エチル、フェニル酢酸エチル、テトラヒドロフラン、メタノール、プロピオン酸メチル、エチレングリコール、エチレンカーボネート、イオン液体及びこれらの混合物が挙げられる。カーボネート、特にプロピレンカーボネートが好ましい。
【0086】
ホスト媒体として使用できる適切な液晶の例は、ネマチック媒体又はキラルネマチック媒体である。
【0087】
ホスト媒体として使用できる好適なポリマーの例としては、溶媒に可溶なポリマー、特にPMMA又は他のアクリレートポリマー、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ酢酸ビニル、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0088】
ホスト媒体として使用することができる適切な液晶ポリマーの例としては、Merck RM257(Merck)、LC242(BASF)又はSLM90519(Wacker)が挙げられる。これらの液晶ポリマーは、一般に、有機溶媒、例えば上記の有機溶媒の1つと組み合わせて使用される。
【0089】
エレクトロクロミックデバイス
本発明は、本発明の式(I)の化合物又は組成物を含むエレクトロクロミックデバイスにも関する。前記デバイスは、光学物品、好ましくは光学レンズ又は光学フィルター、窓、好ましくは航空機の窓、バイザー、鏡及びディスプレイ、特にセグメントディスプレイ又はマトリックスディスプレイから選択することができる。好ましくは、本発明のデバイスは、光学物品であり、より好ましくは光学レンズであり、さらに好ましくは眼科用レンズである。
【0090】
眼科用レンズの非限定的な例としては、単焦点レンズ又は多焦点レンズを含む矯正レンズ及び非矯正レンズがあり、セグメント化されていても又はされていなくてもよい。コンタクトレンズ、眼内レンズ、サングラス、スキーゴーグル、拡大レンズ、保護レン及びバイザー、例えばオートバイのバイザー及びヘルメットなど、限定されないが視力の矯正、保護又は強化に用いられる他の要素も挙げられる。表示素子及びデバイスの非限定的な例としては、スクリーン及びモニターが挙げられる。窓の非限定的な例としては、自動車、船舶、航空機の窓、フィルター、シャッター、光スイッチなどが挙げられる。
【0091】
好ましくは、本発明のデバイスは、本発明の化合物又は組成物を機械的に安定な環境に保持するための機構を含む。より好ましくは、前記デバイスは、ホスト媒体と本発明の前記化合物又は前記組成物との混合物を受容するための間隙を有する対向する基板の対と、前記基板の対を互いに隣接して保持するためのフレームとからなり得る。
【0092】
したがって、本発明のデバイスは、国際公開第2006/013250号パンフレットに開示されているように、その表面に対して平行方向に並置された少なくとも1つの透明セル配列を備える光学部品を構成することができ、各セルは密閉されており、本発明の少なくとも1つの化合物又は組成物を含む。
【0093】
本発明による別のデバイスは、本発明の少なくとも1種の化合物を含む仏国特許第2937154号明細書又は仏国特許第2950710号明細書に記載のデバイスとすることができる。
【実施例
【0094】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明されるが、これらは、例示目的で示されているに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0095】
本発明の化合物の合成
1.イソ)チアゾールベンゾローグ
実施例1
2-(ピリジン-4-イル)ベンゾチアゾール
【化27】
2-アミノベンゼンチオール(7.01g、56.1mmol)及びピリジン-4-カルボキサアルデヒド(6.00g、56.1mmol)のEtOH(28mL)中溶液を空気下で120時間撹拌した。得られた混合物をろ過し、残留物を冷却MeOH(20mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物をクリーム状粉末として得た(7.63g、64%)。液体を減圧濾過し、セカンドクロップを得た(0.73g、6%)。δ(CDCl,400MHz)7.46(1H,dt,J=1.2及び8.2Hz),7.56(1H,dt,J=1.2及び8.2Hz),7.93-7.99(3H,m),8.14(1H,ddd,J=8.2Hz)及び8.78(2H,dd,1.6及びJ=4.5Hz);δ(CDCl,100MHz)121.21,121.89,123.93,126.22,126.84,135.21,140.47,150.79,153.97及び165.11.
【0096】
4-(ベンゾチアゾール-2-イル)-1-ヘキシルピリジン-1-イウムヨージド
【化28】
2-(ピリジン-4-イル)ベンゾチアゾール(0.54g、2.5mmol)及び1-ヨードヘキサン(1.62g、7.6mmol)のMeCN(40mL)中溶液をN下の暗所で24時間還流させながら加熱し、次に冷却してEtO(50mL)で希釈した。沈殿物を濾過し、EtO(3×20mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(0.77g、71%)を黄色粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)0.85(3H,t,J=7.0Hz),1.21-1.37(6H,m),1.88-2.01(2H,m),4.65(2H,t,J=7.3Hz),7.62-7.72(2H,m),8.25(1H,dd,J=0.9及び7.6Hz),8.35(1H,dd,J=1.1及び7.6Hz),8.76(2H,d,6.8Hz)及び9.23(2H,d,J=6.8Hz);δ(DMSO-d,100MHz)14.32,22.34,25.54,31.06,31.19,61.11,123.72,124.82,125.47,128.23,128.33,136.64,146.29,146.73,153.83及び161.90.
【0097】
4-(ベンゾチアゾール-2-イル)-1-ヘキシルピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート
【化29】
4-(ベンゾチアゾール-2-イル-1-ヘキシルピリジン-1-イウムヨージド(0.77g、1.8mol)のMeOH/HO(40mL、1:1)中溶液を、NaBF(3.96g、36mmol)の水(80mL)溶液に撹拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物をろ過し、水(2×5mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(0.69g、98%)を淡黄色粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)0.88(3H,t,J=6.9Hz),1.25-1.39(6H,m),1.89-2.02(2H,m),4.67(2H,t,J=7.4Hz),7.64-7.75(2H,m),8.28(1H,dd,J=1及び8.3Hz),8.37(1H,dd,J=1及び7.6Hz),8.79(2H,d,6.8Hz)及び9.23(2H,d,J=6.8Hz);δ(DMSO-d,100MHz)13.75,21.78,24.98,30.50,30.63,60.57,123.14,124.26,124.90,127.67,127.77,136.09,145.72,146.19,153.27及び161.33.
【0098】
化合物1:2-(1-ヘキシルピリジン-1-イウム-4-イル)-3-メチルベンゾチアゾール-3-イウムビス(テトラフルオロボレート)
【化30】
4-(ベンゾチアゾール-2-イル)-1-ヘキシルピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート(0.59g、1.5mmol)のMeOTs(1.71g)中の混合物を180℃で2時間加熱した後、冷却し、EtO(3×40mL)でトリチュレートし、N下で乾燥させて0.81gの明黄褐色粉末を得た。固体をMeOTs(1.71g)に再溶解し、180℃で1時間加熱し、冷却し、EtO(4×30mL)で再度トリチュレートし、風乾した。このグミ状固体をMeOH/水(25mL、1:4)に溶解し、NaBF(3.38g、30.7mmol)の水(50mL)溶液に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過し、水(2×5mL)で洗浄し、風乾し、熱MeOH(8mL)でトリチュレートした。残渣を冷却し、濾過し、冷MeOH(2mL)で洗浄して、表題化合物(0.38g、51%)をクリーム色の粉末として得た。δ[(CDCO,400MHz]0.91(3H,t,J=7.0Hz),1.29-1.47(4H,m),1.49-1.61(2H,m),2.20-2.32(2H,m),4.58(3H,s),5.04(2H,t,J=7.7Hz),8.07(1H,t,J=7.9Hz),8.17(1H,t,J=7.8Hz),8.58(1H,d,J=8.4Hz),8.68(1H,d,J=8.4Hz),8.89(2H,bd,J=5.7Hz)及び9.59(2H,d,J=6.5Hz);δ[(CDCO,376MHz]-151.40,-151.35;δ[(CDCO,100MHz]13.30,22.14,25.54,30.98,31.37,38.42,62.91,117.97,124.70,129.92,130.08,131.05,131.42,141.05,142.81,146.47及び168.29.
【0099】
実施例2
4-(ベンゾチアゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフラート
【化31】
2-(ピリジン-4-イル)ベンゾチアゾール(1.34g、6.3mmol)、ジフェニルヨードニウムトリフラート(3.47g、8.1mmol)、Cu(OAc)・HO(0.11g、0.55mmol、10mol%)の乾燥DMF(25mL)中の混合物を100℃で16時間加熱し、冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をEtO(3×40mL)でトリチュレートし、風乾することにより、表題化合物(2.66g、96%)を黄色粉末として得た。δ[(CDCO,400MHz]7.67-7.86(5H,m),8.01-8.09(2H,m),8.27-8.37(2H,m),9.02(2H,d,6.8Hz)及び9.56(2H,d,J=6.8Hz);δ[(CDCO,376MHz]-77.76;δ(DMSO-d,100MHz)122.93,124.60,124.85,125.25,128.01,128.18,130.60,131.78,136.92,142.95,142.95,145.92,148.33,154.18及び160.76.
【0100】
化合物2:3-メチル-2-(1-フェニルピリジン-1-イウム-4-イル)ベンゾチアゾール-3-イウムビス(テトラフルオロボレート)
【化32】
4-(ベンゾチアゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフラート(1.07g、2.4mmol)のMeOTs(3.62g、19mmol)中の混合物を180℃で3時間加熱し、冷却し、EtO(3×40mL)でトリチュレートし、残留物を真空下で乾燥した。残渣をMeOH(5mL)に溶解し、NaBF(5.37g、48.8mmol)の水(40mL)溶液に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過し、水(2×5mL)で洗浄した後、風乾した。残渣を熱MeOH(2×20mL)でトリチュレートし、濾過し、風乾することにより、表題化合物(0.72g、62%)を灰色の粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)4.32(3H,s),7.80-7.90(3H,m),7.92-7.99(2H,m),8.04(1H,t,J=7.8Hz),8.14(1H,t,J=7.5Hz),8.55(1H,d,J=8.6Hz),8.69(1H,d,J=8.2),8.79(2H,d,J=6.7Hz)及び9.77(2H,d,J=6.7Hz);δ(DMSO-d,376MHz)-148.23,-148.18;δ(DMSO-d,100MHz)118.42,125.21,125.57,129.92,130.10,130.99,131.21,131.61,132.40,141.77,142.47,142.92,146.55及び168.49.
【0101】
実施例3
(E)-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オンO-アセチルオキシム
【化33】
固体ヒドロキシルアミン塩酸塩(7.14g、103mmol)を、3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン(10.00g、68.5mmol)のEtOH(30mL)中溶液に一度に添加した。得られた溶液を60℃で1時間加熱し、HCl(200mL、2M)に注加し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(50mL)、次いで水(50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をピリジン(32mL)に溶解し、そこにAcO(13.97g、137mmol)及びDMAP(16mg)を次に添加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌し、HCl(300mL、2M)に注加し、EtOAc(3×200mL)で抽出した。乾燥(NaSO)後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をEtOAc/ヘキサンから2回結晶化し、表題化合物(10.51g、76%)を無色針状体として得た。δ(CDCl,400MHz)1.87-1.93(2H,m),2.27(3H,s),2.77-2.82(2H,br.t,J=6.1Hz),2.86-2.90(2H,m),7.16-7.20(1H,m),7.22-7.26(1H,m),7.34(1H,dt,J=1.4及び7.4Hz)及び8.13-8.16(1H,m);δ(CDCl,100MHz)19.92,21.33,25.60,29.55,125.61,126.59,128.72,128.95,130.74,140.93,161.31及び169.22.
【0102】
2-(ピリジン-4-イル)ナフト[1,2-d]チアゾール
【化34】
下、(E)-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オンO-アセチルオキシム(4.00g、19.7mmol)、ピリジン-4-カルボキサアルデヒド(1.40g、13.1mmol)及び硫黄(10.09g、39.4mmol)のDMSO(60mL)中の混合物を120℃で4時間加熱し、水(200mL)に注加し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた抽出液を水(100mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、EtOAc(ヘキサン勾配25~30%)を溶出液としてシリカでクロマトグラフィーした。蛍光バンドを回収し、減圧下で溶媒を除去した。残渣を0℃で熱EtOAc/ヘキサンから結晶化させて、表題化合物(1.14g、33%)を茶色の針状体として得た。δ(CDCl,600MHz)7.64(1H,ddd,J=1.3,6.9及び8.1Hz),7.74(1H,ddd,J=1.2,6.9及び8.2Hz),7.87-7.90(1H,br.dm,J=8.7Hz),7.95(1H,d,J=8.7Hz),7.98-8.01(1H,br.m,J=8.1Hz),8.06(2H,d,J=6.0Hz),7.80(2H,d,J=6.0Hz)及び8.93(1H,br.d,J=8.2Hz);δ(CDCl,125MHz)118.90,120.98,123.96,126.61,127.17,127.40,128.22,128.92,132.16,132.33,140.77,150.56,150.78及び163.88.
【0103】
4-(ナフト[1,2-d]チアゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【化35】
2-(ピリジン-4-イル)ナフト[1,2-d]チアゾール(1.12g、4.3mmol)、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(2.20g、5.1mmol)及びCu(OAc)・HO(86mg、10mol%)のDMF(30mL)中の混合物をN下において100℃で16時間加熱した。得られた溶液を冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をEtO(3×30mL)でトリチュレートし、風乾することにより、表題化合物(2.09g、100%)を茶色の粉末として得た。これを次のステップでさらなる精製はせずに使用した。δ(DMSO-d,400MHz)7.71-7.91(5H,m),7.93-8.01(2H,m),8.16-8.23(2H,m),8.40(1H,d,J=8.9Hz),8.92(1H,d,J=8.1Hz),8.96(2H,d,J=7.0Hz)及び9.49(2H,d,J=7.0Hz);δ(DMSO-d,376MHz)-77.75.
【0104】
化合物3:1-メチル-2-(1-フェニルピリジン-1-イウム-4-イル)ナフト[1,2-d]チアゾール-1-イウムビス(テトラフルオロボレート)
【化36】
4-(ナフト[1,2-d]チアゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(2.09g、4.3mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸メチル(9.03g、55.1mmol)中溶液を環流させながら加熱した。2日後、溶液をEtO(40mL)で希釈し、残留物を濾過により回収した。濾液をEtO(2×10mL)で洗浄し、風乾した。固体を水(2×100mL)で抽出し、減圧下で溶媒を除去した。次に、残渣をMeOH(5mL)に溶解し、NaBF(5.05g、45.9mmol)の水(40mL)溶液に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物をろ過し、水(3×5mL)で洗浄し、熱MeOH(20mL)でトリチュレートした。冷却後、残渣を濾別し、風乾することにより、表題化合物(0.23g、8%)を淡黄色固体として得た。δ(DMSO-d,400MHz)4.74(3H,s),7.76-8.12(7H,m),8.40-8.70(3H,br.m),8.82(2H,br.d,J=3.3Hz),9.11(1H,d.dm,J=9.0Hz)及び9.79(2H,br.d,J=3.3Hz);δ(DMSO-d,376MHz)-148.25及び-148.20.
【0105】
実施例4
キノリン-4-カルバルデヒド
【化37】
4-メチルキノリン(6.00g、41.9mmol)、p-トルエンスルホン酸(7.22g、42mmol)及びヨウ素(4.26g、16.8mmol、40mol%)のDMSO(300mL)中の混合物を130℃で16時間加熱し、冷却し、水(400mL)に注加し、塩基化(KCO)した。混合物をEtOAc(5×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa(300mL)水溶液、次いでブライン(200mL)で洗浄し、乾燥した(NaSO)。溶媒を減圧下で除去し、表題化合物(6.11g、93%)をベージュ色の固体として得た。δ(CDCl,400MHz)7.75(1H,ddd,J=1.4,6.9及び8.4Hz),7.80(1H,d,J=4.3Hz),7.83(1H,d,J=1.4,6.9及び8.4),8.23(1H,ddd,J=0.7,1.4及び8.4Hz),9.11(1H,ddd,J=0.7,1.4及び8.4Hz),9.21(1H,d,J=4.3Hz)及び10.53(1H,s);δ(CDCl,100MHz)123.89,124.44,125.87,129.42,130.06,130.22,136.76,149.28,150.48及び192.92.
【0106】
2-(キノリン-4-イル)-2,3-ジヒドロベンゾチアゾール
【化38】
キノリン-4-カルバルデヒド(3.00g、19.1mmol)及び2-アミノベンゼンチオール(2.39g、19.1mmol)のEtOH(40mL)中溶液を、空気下で2日間撹拌した。溶媒をデカンテーションし、残渣を熱EtOH(40mL)から結晶化させ、0℃に冷却した。生成物をろ過で集め、EtOH(10mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(2.38g、47%)を橙色のプリズム状体として得た。濾液を減圧濃縮し、セカンドクロップ(1.19g、23%)を黄色粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)6.62(1H,dt,J=1.2及び7.5Hz),6.78(1H,br.dd,J=1.1及び7.8Hz),6.94(1H,dt,J=1,3及び7.7Hz),6.99(1H,dd,J=1.2及び7.4Hz),7.15(2H,s),7.62(1H,d,J=4.5Hz),7.67(1H,ddd,J=1.4,6.9及び8.4Hz)7.79(1H,ddd,J=1.4,6.9,8.4Hz)8.07(2H,br.t,J=8.8Hz)及び8.88(1H,d,J=4.4Hz);δ(DMSO-d,100MHz)64.46,109.88,117.60,119.59,121.94,123.84,124.74,125.14,126.21,127.39,129.94,130.26,148.02,148.16,148.40及び151.08.
【0107】
2-(キノリン-4-イル)ベンゾチアゾール
【化39】
固体DDQ(1.29g、5.7mmol)を、2-(キノリン-4-イル)-2,3-ジヒドロベンゾチアゾール(1.50g、5.7mmol)のDCM(1.2L)溶液に添加した。混合物を室温で1時間撹拌した後、EtOAc(ヘキサン中60%)を溶離液として用い、シリカを通してろ過した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をEtOAc(200mL)に溶解し、KOH(200mL、2M)、水(2×100mL)及びブライン(100mL)で順次洗浄した。抽出物を乾燥させ(NaSO)、減圧下で溶媒を除去した。残渣を熱EtOAc/ヘキサンから結晶化させた。-4℃まで冷却後、真空濾過により生成物を収集し、冷ヘキサンで洗浄することにより、表題化合物(1.19g、80%)を淡いライム色の針状体として得た。δ(CDCl,400MHz)7.52(1H,ddd,J=1.3,7.3及び7.9Hz),7.60(1H,ddd,J=1.3,7.2及び8.2Hz),7.70(1H,ddd,J=1.3,6.8及び8.7Hz),7.80(1H,d,J=4.4Hz),7.82(1H,ddd,J=1.4,6.9及び8.4Hz),8.02(1H,ddd,J=0.7,1.3及び8.0Hz),8.22(1H,ddd,J=0.7,1.4及び8.4Hz)8.24(1H,ddd,J=0.6,1.2及び8.2Hz),9.00(1H,ddd及びJ=0.7,1.4及び8.5Hz)及び9.05(1H,d,J=4.4Hz);δ(CDCl,100MHz)121.63,122.19,124.12,124.98,126.04,126.17,126.76,128.19,130.00(2×C),135.34,138.32,149.20,149.80,154.18,164.80.
【0108】
4-(ベンゾチアゾール-2-イル)-1-フェニルキノリン-1-イウムテトラフルオロボレート
【化40】
2-(キノリン-4-イル)ベンゾチアゾール(1.00g、3.8mmol)、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート(2.46g、5.7mmol)及びCu(OAc)・HO(76mg、10mol%)のDMF(30mL)中の混合物をN下において100℃で16時間加熱した。得られた溶液を冷却し、溶媒を減圧下で除去し、残渣をEtO(3×40mL)でトリチュレートして、生成物と出発物質の混合物(62:38)を与えた。DMF(30ml)中の残渣並びにジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(1.64g、3.8mmol)及びCu(OAc).HO(76mg、10mol%)をN下において100℃で16時間加熱した。得られた溶液を冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をEtO(3×40mL)でトリチュレートし、生成物と反応物(70:30)の混合物を得た。この固体を温MeOH(20mL)に溶解させ、NaBF(8.40g、76mmol)の水(50mL)中溶液に、攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過で集め、水(5mL)で洗浄した。この固体を熱MeOH(20mL)に溶解し、水(50mL)中のNaBF(8.40g、76mmol)に、撹拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾別し、水(5mL)で洗浄し、風乾することにより、黄色粉末が得られた。この粉末を熱EtOH(2×5mL)で粉末して、表題化合物(1.01g、54%)を黄色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)7.67-7.79(2H,m),7.79-8.92(6H,m),8.12-8.24(2H,m),8.27(1H,br.d,J=7.6Hz),8.38(1H,br.d,J=7.9Hz),8.68(1H,d,J=6.2Hz),9.52(1H,d,J=6.2Hz)及び9.69(1H,br.dd,J=1.5及び8.3Hz);δ(CDCl,376MHz)-154.67及び-154.62;δ(CDCl,100MHz)120.31,122.03,122.56,124.59,126.34,126.89,127.61,127.76,128.91,130.47,131.13,131.79,135.76,136.23,140.35,140.92,148.20,149.02,154.37及び161.44.
【0109】
化合物4:3-メチル-2-(1-フェニルキノリン-1-イウム-4-イル)ベンゾチアゾール-3-イウムテトラフルオロボレート
【化41】
4-(ベンゾチアゾール-2-イル)-1-フェニルキノリン-1-イウムテトラフルオロボレート(1.01g、2.4mmol)のMeOTs(4.61g、24.8mmol)中の混合物を180℃で3時間加熱し、次に冷却し、EtO(3×30mL)でトリチュレートした。洗浄液を捨て、次に残渣をN下で乾燥させた。残渣を熱MeOH(40mL)に溶解し、NaBF(4.55g、41.4mmol)の水(40mL)溶液に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、析出物を濾過で集め、水(2×5mL)で洗浄し、次に熱MeOH(5mL)で洗浄し、風乾した。残渣をAcMe(3mL)でトリチュレートし、表題化合物(0.70g、56%)をオフホワイト粉末として得た。δ[(CDCO,600MHz]4.52(3H,s),7.88-8.02(5H,m),8.07(1H,app.br.d,J=9.0Hz),8.12(1H,ddd,J=0.7,7.3及び8.7Hz),8.19-8.24(2H,m),8.39(1H,ddd,J=1.3,7.0及び9.0Hz),8.57(1H,ddd,J=0.6,1.3及び8.5Hz),8.64(1H,ddd,J=0.7,1.6,7.9Hz),8.75(1H,ddd,J=0.6,1.2及び7.3Hz),9.00(1H,d,J=5.9Hz)及び9.97(1H,d,J=5.9Hz);δ[(CDCO,470MHz]-151.44及び-151.39;δ[(CDCO,125MHz]38.76,118.09,121.40,124.76,125.84,126.59,127.07,128.87,130.00,130.73,131.06,132.25,132.32,132.52,137.16,140.39,140.69,141.56,142.98,150.58及び166.95.
【0110】
実施例5
3-(ピリジン-4-イル)-1,2-ベンズイソチアゾール
【化42】
BuLi(ヘキサン中2.5M)(32.2.mL、80.5mmol)を、チオアニソール(2.00g、16.1mmol)とN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(5.60g、7.24mL、48.3mmol)のtert-ブチルメチルエーテル(80mL)中の撹拌溶液にN下で滴下した。次に、反応混合物を室温でN下に3時間撹拌した。次に、4-ピリジンカルボニトリル(16.76g、161mmol)を部分的に添加し、反応混合物を次に室温でN下に24時間撹拌した。次に反応混合物を飽和NHCl(100mL)で慎重にクエンチし、DCM(3×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥(NaSO)し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした[溶離液=1:9から4:6EtOAc:DCMへ段階的に変化させた]。得られたカラム画分の溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を再びシリカゲルでクロマトグラフィーした[溶離液=1:9から4:6EtOAc:DCMへと段階的に変化させた]。得られたカラム画分の溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣を熱石油エーテルから再結晶し、ろ過することにより、表題化合物(0.33g、15%)を無色透明な結晶として得た。再結晶の濾液を-20℃で16時間放置し、無色結晶としてセカンドクロップを得た(0.15g、7%)。収量及び収率0.48g、22%。δ(CDCl,400MHz)8.81(2H,d,J=5.3Hz),8.18(1H,d,J=8.2Hz),8.02(1H,d,J=8.2Hz),7.79(2H,d,J=5.9Hz),7.59(1H,t,J=7.3Hz)及び7.50(1H,t,J=7.3Hz);δ(CDCl,100MHz)161.4,153.9,150.5,142.2,133.36,127.9,125.6,124.1,123.0及び120.2.
【0111】
化合物5:4-(1,2-ベンズイソチアゾール-3-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート
【化43】
3-(ピリジン-4-イル)-1,2-ベンズイソチアゾール(0.36g、1.7mmol)、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(1.12g、2.6mol)とCu(OAc)・HO(34mg、0.17mmol)をN下でDMF(20mL)に溶解し、反応混合物を100℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を留去した。得られた淡黄色固体をジエチルエーテル(3×50mL)でトリチュレートし、濾過し、減圧下で乾燥させた。得られた淡黄色固体を熱MeOH(150mL)に溶解し、NaBF(15.0g)のHO(300mL)中の撹拌溶液に綿毛栓を通して滴下したところ、淡黄色の沈殿物が形成された。この懸濁液を30分間撹拌した後、減圧下で濾過した。得られた固体を水(30mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥し、淡黄色粉末を得た。この固体を熱アセトンに溶解し、綿毛プラグを通して濾液(真空下で約30%減少していた)に滴下して戻すと、淡黄色の沈殿物が得られた。得られた懸濁液を減圧下でろ過し、得られた固体を水(30mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥させることにより、表題化合物を淡黄色粉末として得た。収量及び収率0.38g、59%。δ(DMSO-d,400MHz)9.55(2H,d,J=6.9Hz),8.84(2H,d,J=6.9Hz),8.52(2H,d,J=8.9Hz),8.07-7.95(2H,m)及び7.92-7.71(5H,m);δ(DMSO-d,100MHz)157.4,154.0,148.8,145.6,142.5,132.8,131.4,130.3,128.6,126.8,126.6,124.8,123.9及び121.5;δ(DMSO-d,376MHz)-148.22(4F,br.m).
【0112】
実施例6
化合物6:2-メチル-3-(1-フェニルピリジン-1-イウム-4-イル)-1,2-ベンズイソチアゾール-2-イウムビス(ヘキサフルオロホスフェート)
【化44】
4-(1,2-ベンズイソチアゾール-3-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート(0.30g、0.8mmol)をトリフルオロメタンスルホネート(0.8g、5.4mmol)中に懸濁し、反応混合物をN下、100℃で80分間攪拌した。次に、反応混合物をN下、40℃で4時間攪拌した。室温まで冷却した後、ジエチルエーテル(50mL)を加え、得られた懸濁液を濾過することにより褐色の粉末を得た。これをエーテル(3×50mL)でトリチュレートし、減圧下で乾燥した。この褐色の粉末を熱MeOH(50mL)に溶解し、NHPF(10.0g)のHO(200mL)中の攪拌溶液に綿毛プラグを通して滴下したところ、褐色の沈殿物が形成された。次に、沈殿物を水(30mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥し、淡褐色の粉末を得た。次にこの淡褐色粉末を熱MeOHから再結晶することにより、表題化合物を淡褐色粉末として得た。収量及び収率0.18g、38%。δ(DMSO-d,400MHz)9.81(2H,d,J=6.9Hz),8.75(2H,d,J=6.9Hz),8.71(1H,d,J=6.6Hz),8.18(1H,ddd,J=8.5,7.3,0.9Hz),8.10(1H,d,J=6.6Hz),8.05-7.82(6H,m)及び4.33(3H,s);δ(DMSO-d,100MHz)159.3,147.8,146.2,142.5,142.4,134.5,131.9,130.9,130.5,129.3,128.8,127.0,124.7,122.9及び39.5;δ(DMSO-d,376MHz)-70.14(12F,d,J=711.5Hz).
【0113】
2.(ベンズ)イミダゾール及び縮合環状誘導体
実施例7
2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール
【化45】
o-フェニレンジアミン(10.10g、93.5mmol)及びピリジン-4-カルボキシアルデヒド(10.00g、93.5mmol)のEtOH(500mL)中溶液を空気下で72時間撹拌し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をEtOAc/ヘキサンから結晶化した後、熱EtOAcで3回トリチュレートすることにより、表題化合物(11.44g、63%)を褐色粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)7.26(2H,bs),7.59(1H,vbs),7.71(1H,vbs),8.80(2H,d,J=6.1Hz),8.75(2H,d,J=6.1Hz)及び13.26(1H,bs).
【0114】
1-メチル-2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール
【化46】
2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール(5.33g、27.3mmol)、MeI(5.33mL、12.15g、85.6mmol)及びKOH(7.83g、140mmol)のアセトン(660mL)中の混合物を室温で2時間撹拌し、PhMe(700mL)に注加した。得られた溶液を水(1L)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、EtOAcを溶離液として用い、中性アルミナで濾過した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をEtOAc/ヘキサンから結晶化させることにより、表題化合物(2.80g、49%)を黄色板状体として得た。δ(CDCl,400MHz)3.83(3H,s),7.72-7.46(3H,m),7.72(2H,d,J=6.0Hz),7.83-7.87(1H,m)及び8.06(2H,d,J=6.0Hz);δ(CDCl,100MHz)31.84,109.88,120.37,123.03,123.45,123.74,136.74,137.86,142.91,150.38及び150.76.
【0115】
1-ヘキシル-4-(1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート
【化47】
1-メチル-2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール(1.47g、7mmol)及び1-ヨードヘキサン(4.47g、21.1mmol)のMeCN(40mL)中溶液をN下の暗所で撹拌しつつ環流させながら加熱した。24時間後、得られた混合物を冷却し、EtO(60mL)で希釈し、濾過し、EtO(30mL)で洗浄し、真空下で乾燥させた。吸湿性のある橙色の粉末をMeOH(30mL)に溶解し、NaBF(4.55g、41.4mmol)の水(200mL)溶液に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過し、水(3×10mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(1.91g、73%)を淡黄色粉末として得た。δ[(CDCO,400MHz]0.88(3H,t,J=7.3Hz),1.27-1.56(6H,m),2.15-2.27(2H,m),4.23(3H,s),4.93(2H,t,J=7.7Hz),7.39(1H,ddd,J=1.1,7.1及び8.2Hz),7.48(1H,ddd,J=1.2,7.1及び8.2Hz),7.70-7.74(1H,m),7.80-7.84(1H,m),8.80(2H,d,J=6.9Hz)及び9.34(2H,d,J=6.9HzHz);δ[(CDCO,376MHz]-151.70及び-151.54;δ[(CDCO,100MHz]13.31,22.17,25.54,31.00,31.24,32.08,61.60,111.15,120.61,123.44,125.00,127.04,137.95,143.21,145.02,145.87及び147.05.
【0116】
化合物7:2-(1-ヘキシルピリジン-1-イウム-4-イル)-1,3-ジメチル-1H-ベンズイミダゾール-3-イウムビス(テトラフルオロボレート)
【化48】
1-ヘキシル-4-(1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)ピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート(0.50g、1.3mmol)のMeOTs(4.00g、21.5mmol)中の混合物を180℃で90分間加熱し、冷却し、その後EtO(3×30mL)でトリチュレートした。残渣をMeOH(20mL)に溶解し、NaBF(20.97g、190mmol)の水(100mL)溶液に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過し、水(2×3mL)で洗浄し、風乾することにより、2-(1-ヘキシルピリジン-1-イウム-4-イル)-1,3-ジメチル-1H-ベンズイミダゾール-3-イウムビス(テトラフルオロボレート)(0.45g、71%)を灰色の粉末として得た。δ(CDOD,400MHz)0.91-0.99(3H,m),1.35-1.59(6H,m),2.10-2.22(2H,m),4.07(6H,s),4.81(2H,t,J=7.6Hz),7.81-7.88(2H,m),8.05-8.12(2H,m),8.61(2H,d,J=5.4Hz)及び9.43(2H,d,J=5.4Hz);δ(DMSO-d,376MHz)-148.25;δ(DMSO-d,100MHz)14.34,22.34,25.60,31.14,31.37,33.44,62.15,114.19,128.06,130.84,132.49,136.91,145.57及び146.60.
【0117】
実施例8
化合物8:2-(1-ヘキシルピリジン-1-イウム-4-イル)-1,3-ジメチル-1H-ベンズイミダゾール-3-イウムビス(ヘキサフルオロホスフェート)
【化49】
固体のヘキサフルオロリン酸アンモニウム(1.16g、7.1mmol)を上記化合物3の調製時に得られた水性濾液及び洗浄液に加え、得られた沈殿物を濾過し、水(2×2mL)で洗浄し、熱MeOH(2mL)でトリチュレートし、風乾することにより、2-(1-ヘキシルピリジン-1-イウム-4-イル)-1,3-ジメチル-1H-ベンズイミダゾール-3-イウムビス(ヘキサフルオロホスフェート)(0.21g、27%)をクリーム状粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)0.89(3H,t,J=6.8Hz),1.25-1.47(6H,m),1.94-2.08(2H,m),3.97(6H,s),4.74(2H,m),7.81-7.88(2H,m),8.15-8.23(2H,m),8.63(2H,d,J=6.4Hz)及び9.48(2H,d,J=6.4Hz);δ(DMSO-d,376MHz)-70.13(d,J=710Hz);δ(DMSO-d,100MHz)14.34,22.35,25.60,31.14,31.40,33.47,62.14,114.20,128.09,130.87,132.48,136.90,145.57及び146.61.
【0118】
実施例9
1-ヘキシル-2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール
【化50】
2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール(2.00g、10.3mmol)、粉末KOH(0.92g、16.4mmol)及び1-ヨードヘキサン(2.39g、11.3mmol)の無水DMSO(30mL)中の混合物をN下において室温で24時間撹拌し、水(100ml)に注加し、DCM(3×100mL)で抽出した。合わせた抽出液を水(100mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、EtOAcを溶離液として用い、シリカで濾過した。溶媒を減圧下にて除去し、残渣をヘキサン(3×50mL)でトリチュレートし、ろ過し、ヘキサンで洗浄し、風乾することにより、表題化合物(2.53g、91%)を黄褐色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)0.77-0.87(3H,m),1.17-1.35(6H,m),1.83-1.96(2H,m),4.450(2H,t,J=7.6),7.47-7.66(3H,m),7.90(2H,d,J=6Hz),7.94(1H,d,J=8Hz)及び8.93(2H,d,J=6Hz);δ(CDCl,100MHz)13.85,22.36,26.26,29.70,30.99,46.00,111.72,118.10,124.02,126.43,126.58,133.56,134.98,135.17,147.07及び149.00.
【0119】
化合物9:3-ヘキシル-1-メチル-2-(1-メチルピリジン-1-イウム-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール-3-イウムビス(ヘキサフルオロホスフェート)
【化51】
1-ヘキシル-2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール(0.51g、1.84mmol)のMeOTs(1.71g、9.2mmol)中の混合物を180℃で3時間加熱し、冷却し、EtO(3×40mL)でトリチュレートし残留物を風乾した。残渣をMeOH(8mL)に溶解し、NaBF(8.10g、73.6mmol)の水(100mL)溶液に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続けた。ヘキサフルオロリン酸アンモニウム(10g、61mmol)を加え、0.5時間攪拌を続けた。得られた沈殿物を濾過し、水(2×10mL)で洗浄し、熱MeOH(40mL)でトリチュレートし、冷却し、濾過し、MeOH(5mL)で洗浄し、風乾して、表題化合物を無色粉末として得た。δ[(CDCO,400MHz]0.83(3H,t,J=6.7),1.17-1.45(6H,m),1.93-2.02(2H,m),4.17(3H,s),4.63(2H,t,J=7.7Hz),4.84(3H,s),7.87-7.95(2H,m),8.17-8.33(2H,m),8.98(2H,d,J=6Hz)及び9.61(2H,d,J=6Hz);δ[(CDCO,376MHz]-72.687(d,J=710Hz);δ[(CDCO,100MHz]13.20,22.19,25.80,29.44,31.07,32.82,47.06,49.33,99.81,113.72,113.86,128.01,130.43,131.81,132.86,137.48,145.90及び147.99.
【0120】
実施例10
4-(1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフラート
【化52】
1-メチル-2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール(1.00g、4.8mmol)、ジフェニルヨードニウムトリフラート(3.08g、7.2mmol)、Cu(OAc)・HO(9.6mg、0.48mmol、10mol%)の乾燥DMF(50mL)中の混合物を100℃で16時間加熱し、冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をEtO(100mL)でトリチュレートし、風乾し、その後、熱MeOH(10mL)から結晶化させた。生成物を濾過により単離し、MeOHで洗浄し、風乾することにより、表題化合物(1.33g、64%)を黄色粉末として得た。δ[(CDCO,400MHz]4.294(3H,s),7.38-7.45(1H,m),7.47-7.53(1H,m),7.71-7.90(5H,m),8.01-8.11(2H,m),8.95(2H,d,7Hz)及び9.51(2H,d,J=7Hz);δ[(CDCO,376MHz]-78.86;δ[(CDCO,100MHz]32.21,111.26,120.77,123.65,124.62,125.32,127.03,130.60,131.68,138.12,142.98,143.39,144.99,146.72及び146.88.
【0121】
化合物10:1,3-ジメチル-2-(1-フェニルピリジン-1-イウム-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール-3-イウムビス(テトラフルオロボレート)
【化53】
4-(1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフラート(0.54g、1.2mmol)のMeOTs(4.62g、24.8mmol)中の混合物を180℃で3時間加熱し、冷却し、EtO(50mL)でトリチュレートし、残渣を濾別し、EtO(2×10mL)で洗浄し、風乾した。残渣をMeOH(10mL)に溶解し、NaBF(2.73g、24.8mmol)の水(50mL)溶液に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過し、水(2×5mL)で洗浄し、風乾した。残渣を熱MeOH(5mL)でトリチュレートし、濾過し、風乾することにより、表題化合物(0.49g、83%)を淡褐色粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)4.04(6H,s),7.80-8.01(7H,m),8.19-8.29(2H,m),8.81(2H,d,J=6.5Hz)及び9.82(2H,d,J=6.5Hz);δ(DMSO-d,376MHz)-148.26,-148.20;δ(DMSO-d,100MHz)33.49,114.25,125.24,128.15,130.84,130.99,132.41,132.53,137.83,142.96,145.50及び146.81.
【0122】
実施例11
化合物11:1-ヘキシル-3-メチル-2-(1-フェニルピリジン-1-イウム-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール-3-イウムビス(ヘキサフルオロホスフェート)
【化54】
1-ヘキシル-2-(ピリジン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール(0.8.0g、2.9mmol)、ジフェニルヨードニウムトリフラート(1.85g、4.3mmol)、Cu(OAc)・HO(58mg、0.29mmol、10mol%)の乾燥DMF(30mL)中の混合物を100℃で16時間加熱し、冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をEtO(3×30mL)でトリチュレートし、真空下で乾燥させた。残渣をMeOTs(4.26g、22.4mmol)中において180℃で2時間加熱し、冷却し、EtO(80mL)で希釈した。溶媒をデカンテーションし、残渣をEtO(3×30mL)でトリチュレートし、真空下で乾燥させた。残渣をMeOH(20mL)に溶解し、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム(4.16g、28.7mmol)の水(100mL)溶液に滴下した。析出物をろ過し、水(2×10mL)で洗浄後、風乾することにより、表題化合物(0.68g、38%)をクリーム色の粉末として得た。δ[(CDCO,400MHz]0.82(3H,t,J=6.9Hz),1.17-1.45(6H,m),1.96-2.04(2H,m),4.19(3H,s),4.66(2H,t,J=7.7Hz),7.81-7.95(5H,m),7.99-8.10(2H,m),8.17-8.32(2H,m),9.13(2H,bd,J=5.2Hz)及び9.89(2H,bd,J=5.2Hz);δ[(CDCO,376MHz]-72.47(d,J=710Hz);δ[(CDCO,100MHz]13.31,22.18,25.82,29.49,31.06,32.92,47.14,113.76,113.94,124.76,128.08,130.75,130.95,131.89,132.35,132.96,138.59,143.02,144.71及び147.04.
【0123】
3.イミダゾ[1,2-a]ピリジン類
実施例12
7-ブロモ-2-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジンA
【化55】
臭化フェナシル(4.00g、20.1mmol)、4-ブロモピリジン-2-アミン(2.90g、16.8mmol)及びNaHCO(1.69g、20.1mmol)のMeOH(80mL)中の混合物を環流させながら5時間加熱した後冷却して溶媒を減容した。水(200mL)を加え、得られた混合物をDCM(3×100mL)で抽出し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、MeOH(DCM中5%)を溶離液として用い、シリカでクロマトグラフィーした。溶媒を減圧下で除去し、残渣をDCM/ヘキサンから結晶化させることにより、表題化合物(2.07g、39%)をクリーム色の粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)6.91(1H,dd,J=1.9及び7.1Hz),7.34-7.40(1H,m),7.43-7.49(2H,m),7.83-7.87(2H,m),7.92-7.98(2H,m)及び8.00(2H,dd,J=0.5及び7.1Hz);δ(CDCl,100MHz)108.27,116.34,118.21,119.80,125.72,126.12,128.30,128.80,133.27,145.83及び146.71.
【0124】
2-フェニル-7-(ピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンC
【化56】
7-ブロモ-2-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジンA(1.18g、4.3mmol)及び4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(1.32g、6.4mmol)、KCO(0.90g、6.5mmol)及びPd(PPh(0.20g、4mol%)の脱気したPhMe(40mL)及びEtOH(40mL)中の混合物を、N下で16時間環流させながら加熱し、冷却し、水(50ml)に注加し、DCM(3×40mL)で抽出した。合わせた抽出液を乾燥させ(NaSO)、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、MeOH(DCM中5%)を溶離液として用い、シリカでクロマトグラフィーした。Rf=0.5のバンドを集め、溶媒を除去し、残渣を熱PhMe(15mL)でトリチュレートした。冷却後、生成物を収集し、風乾することにより、表題化合物(1.02g、87%)をクリーム色の粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)7.12(1H,dd,J=1.6及び7Hz),7.35-7.42(1H,m),7.45-7.52(2H,m),7.59(2H,dd,J=1.5及び4.6Hz),7.94-8.03(4H,m),8.25(1H,dd,J=0.9及び7Hz)及び8.74(2H,dd,J=1.4及び4.7Hz);δ(CDCl,100MHz)108.43,111.29,115.22,120.96,125.90,126.12,128.34,128.83,133.42,134.26,145.67,145.87,147.38及び150.66.
【0125】
1-ヘキシル-4-(2-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)ピリジン-1-イウムヨージドF
【化57】
2-フェニル-7-(ピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンC(1.02g、3.8mmol)及び1-ヨードヘキサン(2.39g、11.3mmol)のMeCN(40mL)中の混合物を環流させながら16時間加熱し、冷却し、溶媒を減容し、混合液をEtO(50mL)で希釈した。析出物をろ過し、EtO(2×30mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(1.81g、99%)を橙色の粉末として得た。δ(CDOD,400MHz)0.94(3H,t,J=6.9Hz),1.32-1.51(6H,m),2.00-2.14(2H,m),4.63(2H,t,J=7.4Hz),7.37-7.57(4H,m),7.99(2H,d,J=7.9Hz),8.29(1H,s),8.43(1H,s),8.53(2H,d,J=6.3Hz),8.68(1H,d,J=7.1Hz)及び9.01(2H,d,J=6.3Hz);δ(CDOD,100MHz)12.85,22.08,25.50,30.91,30.98,60.92,110.62,110.81,116.23,124.51,125.89,127.48,128.49,128.61,130.34,132.67,144.53及び153.97
【0126】
1-ヘキシル-4-(2-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)ピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート
【化58】
1-ヘキシル-4-(2-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)ピリジン-1-イウムヨージドF(1.81g、3.7mmol)のMeOH(20mL)中溶液を、NaBF(2.47g、22.4mmol)の水(100mL)溶液に撹拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物をろ過し、水(5mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(1.66g、100%)を黄金色の粉末として得た。この粉末はさらなる精製はせずに次のステップで使用した。
【0127】
化合物12:7-(1-ヘキシルピリジン-1-イウム-4-イル)-1-メチル-2-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-1-イウムビス(テトラフルオロボレート)
【化59】
1-ヘキシル-4-(2-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル)ピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート(1.66g、3.7mmol)とMeOTs(2.79g、15mmol)の混合物を180℃で2時間加熱し、冷却し、EtO(3×50mL)でトリチュレートし、風乾した。残渣をMeOH(25mL)に溶解し、NaBF(16.48g、150mmol)の溶液に攪拌しながら滴下した。得られた沈殿物を濾過し、水(5mL)で洗浄した後、温MeOH(50mL)に溶解し、NaBF(16.48g、150mmol)の水(250mL)溶液に撹拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過した。残渣をEtOH(3ml)でトリチュレートし、濾過し、風乾することにより、表題化合物(0.38g、19%)を淡緑色粉末として得た。NaBF(16.48g、150mmol)の水(50mL)溶液に、攪拌しながらエタノール液を滴下した。得られた沈殿物を濾過し、水(10mL)で洗浄し、風乾することにより、カーキ色の粉末としてセカンドクロップ(0.45g、22%)を得た。δ[(CDCO,400MHz]0.88(3H,t,J=6.8Hz),1.26-1.55(6H,m),2.12-2.27(2H,m),4.26(3H,s),4.91(2H,t,J=7.2Hz),7.70(3H,bs),7.82(2H,bs),8.26(1H,bs,J=6.6Hz),8.69(1H,bs),8.86(2H,bd,J=5.8Hz),9.05(1H,bs),9.21(1H,bd,J=6.6Hz)及び9.34(2H,bd,J=5.8Hz);δ(CDCl,376MHz)-151.02,-150.97;δ(CDCl,100MHz)13.31,22.16,25.54,30.98,31.26,32.42,61.73,111.65,113.97,116.12,125.24,126.39,129.44,130.01,130.29,131.13,138.32,140.23,140.38,145.62及び151.68.
【0128】
実施例13
7-ブロモ-2-(ピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンB
【化60】
4-(ブロモアセチル)ピリジン臭化水素酸塩(8.00g、28.5mmol)、4-ブロモピリジン-2-アミン(4.1g、23.7mmol)及びNaHCO(4.78g、56.9mmol)のMeOH(80mL)中の混合物を環流させながら5時間加熱し、冷却し、溶媒を減容した。水(200mL)を加え、得られた混合物をDCM(3×150mL)で抽出し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、MeOH(DCM中5%)を溶離液として用い、シリカでクロマトグラフィーした。Rf=0.6(DCM中5%MeOH)の蛍光バンドを回収した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を3℃でMeOH(5mL)から結晶化させ、濾過し、風乾することにより、表題化合物(0.68g、10%)を薄褐色の粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)6.96(1H,dd,J=1.7及び7.2Hz),7.82(2H,d,J=6Hz),7.86(1H,bs),8.00(1H,bs),8.04(1H,d,J=7.2Hz)及び8.69(2H,d,J=6Hz);δ(CDCl,100MHz)110.02,117.09,119.21,120.19,120.33,125.95,140.69,143.88,146.07及び150.40.
【0129】
7-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンD
【化61】
7-ブロモ-2-(ピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンB(1.17g、4.3mmol)及びフェニルボロン酸(0.78g、6.4mmol)、KCO(0.88g、6.4mmol)及びPd(PPh(0.25g、5mol%)の混合物を脱気したPhMe(30mL)及びEtOH(30mL)中、還流させながらN下で24時間加熱し、冷却し、水(100mL)に注加し、DCM(3×80mL)で抽出した。抽出物を乾燥させ(NaSO)、減圧下で溶媒を除去した。残渣を、MeOH(DCM中5%)を溶離液として用い、シリカでクロマトグラフィーした。溶媒を減圧下で除去し、残渣を数滴のDCMを含むヘキサン類でトリチュレートした。残渣を濾過し、ヘキサンで洗浄し、風乾することにより、表題化合物(1.02g、88%)を薄褐色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)7.16(1H,dd,J=1.6及び7Hz),7.41-7.57(2H,m),7.66-7.72(2H,m),7.83-7.92(3H,m),8.03(1H,s),8.21(1H,d,J=7Hz)及び8.70(2H,d,J=6Hz);δ(CDCl,100MHz)109.55,113.14,114.54,120.29,125.66,126.74,128.53,129.19,138.40,138.57,141.16,143.81,146.49及び150.37.
【0130】
1-ヘキシル-4-(7-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)ピリジン-1-イウムヨージドG
【化62】
7-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンD(1.00g、3.7mmol)と1-ヨードヘキサン(2.62g、12.4mmol)のMeCN(40mL)中の混合物を環流させながら16時間加熱し、冷却し、EtO(100ml)で希釈して0.5時間撹拌した。得られた沈殿物をろ過し、EtO(3×40mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(1.73g、97%)をくすんだ黄色の粉末として得た。δ(CDOD,400MHz)0.95(3H,t,J=6.8Hz),1.32-1.54(6H,m),2.00-2.13(2H,m),4.61(2H,t,J=7.3Hz),7.40-7.59(4H,m),7.81(2H,d,J=7.6Hz),7.87(1H,s),8.56(2H,d,J=6Hz),8.61(1H,d,J=7.2Hz),8.87(1H,s)及び8.96(2H,d,J=6Hz);δ(CDOD,100MHz)12.85,22.07,25.49,30.90,60.82,112.96,114.05,115.63,123.02,126.49,127.25,128.74,128.94,137.62,138.98,140.88,144.41,147.30及び149.56.
【0131】
化合物13:2-(1-ヘキシルピリジン-1-イウム-4-イル)-1-メチル-7-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-1-イウムビス(テトラフルオロボレート)
【化63】
1-ヘキシル-4-(7-フェニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)ピリジン-1-イウムヨージドG(1.73g、3.8mmol)のMeOH(50mL)中の溶液に、綿毛プラグを通してろ過しながら、NaBF(10.00g、90mmol)水(100mL)に撹拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過により集め、水(2×5mL)で洗浄し、風乾した。得られた固体及びMeOTs(2.87g、15.4mmol)を180℃で2時間撹拌しながら加熱した。得られた油状液体を冷却し、EtO(5×50mL)でトリチュレートし、風乾した。得られたグミ状固体をMeOH(30mL)に溶解し、NaBF(7.54g、68.5mmol)の水(100mL)溶液に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を集め、熱MeOH(60mL)に溶解し、水(100mL)中のNaBF(7.54g、68.5mmol)に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過し、水(2×10mL)で洗浄し、風乾した。固体を熱MeOH(30mL)から結晶化し、濾過し、風乾させることにより、表題化合物(1.37g、74%)を褐色粉末として得た。δ[(CDCO,400MHz]0.90(3H,t,J=7Hz),1.29-1.59(6H,m),2.16-2.28(2H,m),4.41(3H,s),4.96(2H,t,J=7.5Hz),7.59-7.69(3H,m),8.02-8.16(3H,m),8.65(1H,bs),8.70(2H,d,J=6.2Hz),9.02(1H,bs),9.12(1H,d,J=7Hz)及び9.41(2H,d,J=6.2Hz);δ[(CDCO,376MHz]-151.24,-151.18;δ[(CDCO,100MHz]13.29,22.14,25.54,30.98,31.25,32.80,62.15,107.70,116.81,117.43,127.72,128.36,129.55,130.05,130.73,133.24,135.84,142.18,142.50,145.77及び147.56.
【0132】
実施例14
2,7-ジ(ピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンE
【化64】
7-ブロモ-2-(ピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンB(1.25g、4.6mmol)及び4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(1.22g、5.9mmol)、KCO(0.82g、5.9mmol)及びPd(PPh(0.26g、5mol%)の脱気したPhMe(30mL)及びEtOH(30mL)中の混合物をN下で16時間環流させながら加熱し、冷却し、減圧下で溶剤を除去した。残渣を水(3×50mL)で洗浄し、風乾した。残渣を、Et(DCM中10%)からEtN/MeOH/DCM(12/3/85)へ段階的に変化させたものを溶離液として用いてシリカ(EtN(DCM中10%)で前処理した)上でクロマトグラフィーした。減圧下で画分から溶媒を除去し、残渣をヘキサンでトリチュレートした。得られた固体をMeOH(10mL)に溶解し、水(100mL)を加えた。得られた沈殿物を濾過し、水で洗浄し、風乾することにより、黄色の粉末が得られた。この粉末を精製せずに次のステップで使用した。δ(CDOD,400MHz)7.38(1H,dd,J=1.7及び7.2Hz),7.84(2H,d,J=6.3Hz),7.96(2H,d,J=6.2Hz),7.98(1H,bs),8.51(1H,bs),8.54-8.62(2H,m)及び8.65(2H,d,J=6.2Hz);δ(CDOD,100MHz)111.88,111.99,114.05,120.46,121.38,127.36,135.64,141.74,142.94,145.89,146.28,149.28及び149.58.
【0133】
4,4’-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2,7-ジイル)ビス(1-ヘキシルピリジン-1-イウム)ビス(テトラフルオロボレート)H
【化65】
2,7-ジ(ピリジン-4-イル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンE(0.80g、2.9mmol)と1-ヨードヘキサン(3.74g、17.6mmol)のMeCN(50mL)中の溶液を環流させながら16時間加熱し、冷却し、溶媒を減容(約20mL)してEtO(60mL)を添加した。得られた沈殿物を濾過し、EtO(2×30mL)で洗浄した後、風乾することにより1.69gを得た。MeOH(60mL)に溶解させた黄色い粉末を、綿毛プラグを通して濾過しながら、水(300mL)中のNaBF(6.47g、58.8mmol)に撹拌しながら滴下した。得られた沈殿物をろ過し、氷冷水(2×20mL)で洗浄後、風乾することにより、表題化合物(1.32g、72%)を緑色蛍光粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)0.83-0.94(6H,m),1.24-1.39(12H,m),1.90-2.03(4H,m),4.54-4.65(4H,m),7.75(1H,dd,J=1.4及び7.3Hz),8.62-8.76(5H,m),8.93(2H,d,J=7.2Hz),9.10(2H,d,J=6.7Hz),9.16(1H,bs)及び9.20(2H,d,J=6.7Hz);δ(DMSO-d,376MHz)-148.21,-148.16;δ(DMSO-d,100MHz)14.31,14.32,22.34,22.35,25.57,25.59,31.02,31.07,31.10,60.57,60.61,112.43,117.54,118.58,123.59,125.09,129.20,132.08,141.17,145.40,145.51,145.89,148.60及び152.42.
【0134】
化合物14:4,4’-(1-メチルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-1-イウム-2,7-ジイル)ビス(1-ヘキシルピリジン-1-イウム)トリス(テトラフルオロボレート)
【化66】
4,4’-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2,7-ジイル)ビス(1-ヘキシルピリジン-1-イウム)ビス(テトラフルオロボレート)(1.17g、1.9mmol)とMeOTs(2.83g、15.2mmol)の混合物を180℃で2時間加熱し、冷却し、EtO(50mL)でトリチュレートした。残渣を濾過し、真空下で乾燥させて1.85gを得た。この固体をMeOH(30mL)に溶解し、NaBF(30g、270mmol)の水(250mL)溶液に撹拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過し、水(2×5mL)で洗浄し、風乾した。残渣をMeOH/HO(30mL、1:1)に溶解し、水(150ml)中のNaBF(20g、182mmol)に攪拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾過し、水(2×5mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(0.99g、73%)を灰色の粉末として得た。δ[(CDCO,400MHz]0.84-0.96(6H,m),1.27-1.59(12H,m),2.16-2.28(4H,m),4.42(3H,s),4.91-5.04(4H,m),8.33(1H,bd,J=6.7Hz),8.73(2H,bd,J=6Hz),8.90(2H,bd,J=6Hz),8.12(2H,app.bs),9.29(1H,bd,J=7Hz),8.40(2H,bd,J=6.4Hz)及び9.45(2H,bd,J=6Hz);δ[(CDCO,376MHz]-151.17,-151.12;δ[(CDCO,100MHz]13.29,22.14,25.54,30.98,31.25,31.28,33.13,61.85,62.27,111.97,116.76,117.63,126.64,128.75,130.89,134.01,140.01,141.69,141.84,145.70,145.85及び151.48.
【0135】
4.フェナントロイミダゾール類
実施例15
6,9-ジブロモ-1,2-ビス[4-(tert-ブチル)フェニル]-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール
【化67】
4-tert-ブチルアニリン(2.20g、14.6mmol、2.35mL、1.5当量)と4-tert-ブチルベンズアルデヒド(1.58g、9.75mmol、1.53mL)の撹拌混合物に、酢酸(100mL)を加え、次いで3,6-ジブロモフェナントレン-9,10-ジオン(3.58g、9.75mmol)及び酢酸アンモニウム(9.38g、122mmol、12.5当量)を加え、混合物をアルゴン下還流させながら2日間加熱した。メタノール(20mL)を慎重に加え、次いで溶液が濁るまで水を加えた。冷却後、沈殿物を真空濾過で集め、1:1水:メタノールで十分に洗浄することにより表題化合物(6.20g、99%)を緑色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)1.29(9H,s),1.45(9H,s),6.96(1H,d,J=8.9Hz),7.30(2H,app.d,J=8.5Hz),7.37(1H,dd,J=1.9及び8.9Hz),7.40(2H,app.d,J=8.5Hz),7.51(2H,app.d,J=8.5Hz),7.61(2H,app.d,J=8.5Hz),7.83(1H,dd,J=1.7及び8.5Hz)及び8.69-8.76(3H,m);δ(CDCl,100MHz)31.16,31.41,34.70,35.07,119.07,119.84,122.01,122.35,124.59,125.25,125.95,126.17,126.84,127.18,127.22,128.00,128.41,128.63,128.88,129.53,129.89,130.87,135.61,137.06,151.67,152.23及び153.56.
【0136】
1,2-ビス[4-(tert-ブチル)フェニル]-6,9-ジ(ピリジン-4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール
【化68】
5日間にわたって脱気したPhMe/EtOH(1:1、120mL)中の6,9-ジブロモ-1,2-ビス-[4-(tert-ブチル)フェニル]-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール(5.25g、8.20mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(3.53g、17.22mmol、2.1当量)、Pd(PPh(0.34g、0.287mmol、3.5mol%)及びKCO(3.74g、17.22mmol、2.1当量)からのものである。抽出後、溶媒を除去した後、残渣をDCMでスラリー化し、シリカを通し、次いでMeOHで通過させた。溶媒を真空中で除去し、残渣をEtOでトリチュレートし、得られた固体を真空濾過で集め、風乾することにより、表題化合物(4.28g、82%)を暗色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)1.31(9H,s),1.48(9H,s),7.27(1H,d,J=8.5Hz),7.32(2H,d,J=8.5Hz),7.47(2H,d,J=8.4Hz),7.55-7.58(3H,m),7.64-7.67(4H,m),7.75(2H,d,J=6Hz),8.01(1H,dd,J=1.2及び8.3Hz),8.72(2H,d,J=6Hz),7.76(2H,d,J=6Hz),8.95-9.03(3H,m);δ(CDCl,100MHz)31.18,31.45,34.73,35.11,121.74,121.78,121.81,122.02,122.48,123.70,123.95,125.29,125.33,126.32,127.20,127.36,127.92,128.39,128.50,128.57,128.92,129.28,134.30,135.29,135.80,137.70,148.25,148.84,150.41,150.42,151.97,152.27及び153.55
【0137】
化合物15:4,4’-([1,2-ビス(4-(tert-ブチル)フェニル]-3-メチル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-3-イウム-6,9-ジイル)ビス(1-メチルピリジン-1-イウム)トリス(テトラフルオロボレート)
【化69】
1,2-ビス[4-(tert-ブチル)フェニル]-6,9-ジ(ピリジン-4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール(1.27g、2.0mmol)とMeOTs(3.36g、18mmol、9.0当量)の混合物を、アルゴン雰囲気下で8時間撹拌しながら180℃に加熱し、冷却し、EtOでトリチュレートし、固体を真空濾過で回収することにより灰色の粉末(2.75g)を得た。粗生成物(1.17g)とMeOTs(3.6g)の混合物を、アルゴン下で32時間撹拌しながら180℃に加熱し、冷却し、EtOでトリチュレートし、真空ろ過で固体を回収した。熱1:1MeOH:水中の固体のろ過溶液を、NaBF(2.64g、24mmol、12.0当量)の水(25mL)溶液に撹拌しながら滴下することにより、表題化合物(0.71g、36%)を緑色粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)1.28(9H,s),1.35(9H,s),4.39(3H,s),4.45(6H,bs),7.19(1H,d,J=8.8Hz),7.59-7.77(9H,m),8.26(1H,dd,J=1.5及び8.9Hz),8.65(1H,dd,J=1.5及び8.9Hz),8.85(2H,app.d,J=7Hz),8.95(2H,app.d,J=6.7Hz),9.10-9.22(5H,m),9.88(1H,d,J=1.5Hz)及び9.93(1H,d,J=1.6Hz).δ(DMSO-d,376MHz)-148.26及び-148.21;δ(DMSO-d,100MHz)31.17,31.39,35.40,38.42,47.76,47.83,118.83,122.65,122.76,123.48,124.70,125.48,125.64,125.78,126.23,126.36,127.19,127.65,127.90,128.27,128.42,128.53,130.25,130.36,131.57,132.61,133.41,133.51,138.02,146.12,146.25,151.71,153.58,153.72,155.16及び155.90.
【0138】
実施例16
5,10-ジブロモ-1,2-ビス[4-(tert-ブチル)フェニル]-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール
【化70】
4-tert-ブチルアニリン(2.20g、14.6mmol、2.35mL、1.5当量)と4-tert-ブチルベンズアルデヒド(1.58g、9.75mmol、1.53mL)の攪拌混合物に酢酸(100mL)を加え、次いで2,7-ジブロモフェナントレン-9,10-ジオン(3.58g、9.75mmol)及び酢酸アンモニウム(9.38g、122mmol、12.5当量)を加え、混合物をアルゴン下還流させながら2日間加熱した。メタノール(20mL)を慎重に加え、次いで溶液が濁るまで水を加えた。冷却後、沈殿物を真空濾過で集め、1:1水:メタノールで洗浄することにより褐色の粉末を得た。粗原料をカラムクロマトグラフィー(ニートDCM)で精製することにより、表題化合物(2.74g、44%)をオフホワイトの粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)1.30(9H,s),1.47(9H,s),6.91(1H,d,J=1.9Hz),7.33(2H,d,J=8.5Hz),7.41(2H,d,J=8.3Hz),7.52(1H,dd,J=1.9及び8.7Hz),7.62(2H,d,J=8.5Hz),7.66(2H,d,J=8.3Hz),7.69(1H,dd,J=2及び9Hz),8.42(1H,d,J=8.7Hz),8.47(1H,d,J=9Hz)及び9.00(1H,d,J=2Hz);δ(CDCl,100MHz)31.17,31.43,34.73,35.12,120.83,122.00,123.76,124.26,124.76,125.36,125.41,125.35,127.05,127.16,127.22,127.34,127.76,127.92,128.38,128.58,128.79,128.84,135.41,137.02,151.40,152.31及び153.90.
【0139】
1,2-ビス[4-(tert-ブチル)フェニル]-5,10-ジ(ピリジン-4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール
【化71】
5日間にわたって脱気したPhMe/EtOH(1:1、80mL)中の5,10-ジブロモ-1,2-ビス[4-(tert-ブチル)フェニル]-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール(2.63g、4.10mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(1.77g、8.61mmol、2.1当量)、Pd(PPh(0.17g、0.14mmol、3.5mol%)及びKCO(1.87g、8.61mmol、2.1当量)からのものである。抽出及びその後の溶媒の除去後、固体を熱PhMeから結晶化させて、表題化合物(1.33g、51%)を緑色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)1.31(9H,s),1.49(9H,s),7.22(2H,dd,J=1.5,4.6Hz),7.35(2H,app.d,J=8.5Hz),7.50-7.56(3H,m),7.60(2H,app.d,J=8.5Hz),7.69(2H,app.d,J=8.8.5Hz),7.80-7.86(3H,m),7.95(1H,dd,J=2,8.6Hz),8.57(2H,dd,J=1.4,4.6Hz),8.76(2H,dd,J=1.4,4.6Hz),8.81(1H,d,J=8.8Hz),8.86(1H,d,J=8.8Hz),9.21(1H,d,J=1.9Hz);δ(CDCl,100MHz)31.17,31.51,34.74,35.13,119.32,121.08,121.22,121.94,123.00,123.78,124.08,124.33,125.17,125.38,127.27,127.32,128.00,128.10,128.24,128.60,128.94,129.05,135.25,135.98,136.95,137.81,147.45,147.93,150.27,150.38,151.60,152.30及び153.66.
【0140】
化合物16:4,4’-([1,2-ビス(4-(tert-ブチル)フェニル]-3-メチル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-3-イウム-5,10-ジイル)ビス(1-メチルピリジン-1-イウム)トリス(テトラフルオロボレート)
【化72】
1,2-ビス[4-(tert-ブチル)フェニル]-5,10-ジ(ピリジン-4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール(0.50g、0.79mmol)とMeOTs(2.21g、11.9mmol、15当量)の混合物をアルゴン下で24時間撹拌しながら180℃まで加熱し、冷却し、EtOでトリチュレートし、真空ろ過で固体を回収した。熱4:1MeOH:HO中の固体の濾過溶液を、NaBF(0.78g、7.11mmol、9.0当量)の撹拌水(15mL)溶液にゆっくり加え、30分間撹拌した。沈殿物を真空濾過で集め、水で洗浄することにより表題化合物を緑色粉末として得た(0.65g、86%)。δ(DMSO-d,400MHz)1.27(9H,s),1.32(9H,s),4.35(3H,s),4.43(3H,s),4.57(3H,s),7.56(1H,d,J=1.7Hz),7.63(2H,d,J=8.5Hz),8.69-7.82(6H,m),7.98(2H,d,J=6.8Hz),8.44(1H,dd,J=1.7及び8.8Hz),8.60(1H,dd,J=1.3及び8.8Hz),8.88(2H,d,J=6.8Hz),8.96(2H,d,J=6.8Hz),9.17(2H,d,J=6.8Hz),9.28(1H,d,J=1.2Hz),9.47-9.57(2H,m);δ(DMSO-d,376MHz)-148.25及び-148.2;δ(DMSO-d,100MHz)31.16,31.52,35.40,35.41,38.06,47.83,47.89,118.85,121.13,121.70,122.46,123.15,124.81,125.76,125.90,126.38,126.92,127.30,127.65,127.80,127.87,127.95,128.38,128.67,131.03,131.32,131.61,132.63,134.18,134.99,146.26,151.19,153.50,153.72,155.16及び155.89.
【0141】
実施例17
6,9-ジブロモ-1-[4-(tert-ブチル)フェニル]-2-(ピリジン-4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール
【化73】
4-ピリジンカルボキシアルデヒド(1.04g、9.75mmol、0.91mL)と4-tert-ブチルアニリン(2.20g、14.6mmol、2.35mL、1.5当量)の攪拌混合物に、酢酸(100mL)を加え、続いて3,6-ジブロモフェナントレン-9,10-ジオン(3.58g、9.75mmol)と酢酸アンモニウム(9.38g、122mmol、12.5当量)を加え、アルゴン下還流させながら3日間加熱した。メタノール(20mL)を慎重に加え、次いで溶液が濁るまで水を加えた。冷却後、沈殿物を真空濾過で回収し、1M KCO溶液で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(4.76g、83%)を緑色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)1.47(9H,s),6.99(1H,d,J=8.9Hz),7.37-7.56(5H,m),7.66(2H,d,J=8.5Hz),7.84(1H,dd,J=1.8及び8.5Hz),8.54(2H,d,J=6.2Hz)及び8.65-8.75(3H,m);δ(CDCl,100MHz)154.42,149.94,148.27,137.89,137.36,134.98,131.13,130.17,129.05,128.82,128.24,128.10,127.59,126.99,126.06,125.31,124.51,122.74,122.47,121.71,120.39,119.91,35.19及び31.40.
【0142】
1-[4-(tert-ブチル)フェニル]-2,6,9-トリ(ピリジン-4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール
【化74】
6日間にわたって脱気したPhMe/EtOH(1:1、120mL)中の6,9-ジブロモ-1-(4-(tert-ブチル)フェニル)-2-(ピリジン-4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール(2.93g、5.00mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(2.15g、10.5mmol、2.1当量)、Pd(PPh(0.20g、0.18mmol、3.5mol%)及びKCO(1.45g、10.5mmol、2.1当量)からのものである。抽出及びその後の溶媒の除去後、残渣を水(250mL)でトリチュレートし、次にEt(50mL)でトリチュレートした。得られた固体を熱10:1 PhMe:EtOHに溶解させ、一晩-20℃に冷却し、次いで真空中で濃縮した。得られた沈殿物を真空濾過で集め、EtOで洗浄して、表題化合物(1.50g、52%)を褐色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)1.50(9H,s),7.31(1H,d,J=8.7Hz),7.48-7.51(4H,m),7.56-7.77(7H,m),8.04(1H,dd,J=1.2及び8.4Hz),8.56(2H,d,J=6.1Hz),8.73(2H,d,6Hz),8.76(2H,d,J=6Hz),8.94-9.05(3H,m);δ(CDCl,100MHz)31.43,35.22,121.81,121.85,122.01,122.03,122.60,122.82,123.38,123.91,125.62,126.62,127.61,127.67,128.19,128.64,129.29,129.82,135.12,135.90,137.63,137.92,148.05,148.61,149.95,150.44,150.47及び154.42.
【0143】
化合物17:4,4’,4’’-{[1-(4-(tert-ブチル)フェニル]-3-メチル-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-3-イウム-2,6,9-トリイル}トリス(1-メチルピリジン-1-イウム)テトラキス(テトラフルオロボレート)
【化75】
1-[4-(tert-ブチル)フェニル]-2,6,9-トリ(ピリジン-4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール(1.17g、2.0mmol)とMeOTs(2.60g、14mmol、7.0当量)の混合物をアルゴン下で16時間撹拌しながら180℃まで加熱し、冷却し、EtOでトリチュレートし、真空ろ過で固体を回収した。この固体を少量のEtOと共に乳棒と乳鉢でトリチュレートし、EtOでトリチュレートし、エアドライブすることにより、緑黄色粉末を得た。粉末(1.55g)とMeOTs(1.0g、5.4mmol)の混合物を、アルゴン下で16時間撹拌しながら180℃に加熱し、冷却し、EtOでトリチュレートし、真空ろ過により固体を回収した。熱MeOH:水(1:1)中の固体のろ過溶液をNaBF(2.64g、24.0mmol、12.0当量)の攪拌水(25mL)溶液に滴下し、30分間撹拌し、沈殿物を真空ろ過で回収することにより表題化合物を緑色粉末として得た(0.71g、36%)。δ(DMSO-d,400MHz)1.38(9H,s),4.39(3H,s),4.43(3H,s),4.45(3H,s),4.51(3H,s),7.02(1H,d,J=8.8Hz),8.26(1H,dd,J=1.8及び8.8Hz),8.50(2H,d,J=6.8Hz),8.65(1H,dd,J=1.8及び8.8Hz),8.84(2H,d,J=7.1Hz),8.95(2H,d,J=7Hz),9.12-9.22(5H,m),9.27(2H,d,J=7Hz),9.87(1H,d,J=1.8Hz)及び9.93(1H,d,J=1.8Hz);δ(DMSO-d,376MHz)-148.27,-148.22;δ(DMSO-d,400MHz)31.41,35.53,38.62,47.81,47.88,49.35,122.24,122.59,122.95,124.97,125.58,125.77,126.37,127.91,128.22,128.36,128.55,128.75,130.62,130.71,131.28,134.02,134.15,137.00,145.64,146.16,146.28,147.59,153.41,153.58及び156.09.
【0144】
実施例18
6,9-ジブロモ-1-[4-(tert-ブチル)フェニル]-2-(ピリジン-4-イル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール
【化76】
4-tert-ブチルアニリン(2.20g、14.6mmol、2.35mL、1.5当量)と4-ブロモベンズアルデヒド(1.80g、9.75mmol)の撹拌混合物に酢酸(100mL)を加え、続いて3,6ジブロモフェナントレン-9,10-ジオン(3.58g、9.75mmol)及び酢酸アンモニウム(9.38g、122mmol、12.5当量)を加え、混合物をアルゴン下還流させながら2日間加熱した。メタノール(20mL)を慎重に加え、次いで溶液が濁るまで水を加えた。冷却後、沈殿物を真空濾過で集め、1:1水:メタノールを用いて洗浄することにより、表題化合物(6.10g、94%)を緑色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)1.45(9H,s),6.97(1H,d,J=8.9Hz),7.34-7.44(7H,m),7.61(2H,d,J=8.4Hz),7.82(1H,dd,J=1.5及び8.5Hz)及び8.64-8.74(3H,m);δ(CDCl,100MHz)31.40,35.12,119.40,120.05,121.83,122.34,123.61,124.48,126.00,126.02,126.90,127.37,128.18,128.25,128.68,129.12,129.66,130.01,130.67,130.96,131.49,135.25,137.11,150.33及び153.93.
【0145】
1-[4-(tert-ブチル)フェニル]-6,9-ジ(ピリジン-4-イル)-2-[4-(ピリジン-4-イル)フェニル]-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール
【化77】
7日間にわたって脱気したPhMe/EtOH(1:1、120mL)中の6,9-ジブロモ-1-[4-(tert-ブチル)フェニル]-2-(4-ブロモフェニル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール(5.44g、8.20mmol)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(5.30g、25.8mmol、3.15当量)、Pd(PPh(0.34g、0.38mmol、3.5mol%)、KCO(5.61g、25.8mmol、3.15当量)からのものである。抽出とそれに続く溶媒の除去後、残渣を熱1:1 DCM:イソプロパノールに溶解させ、一晩-20℃に冷却した後、真空下で濃縮した。得られた沈殿物を真空濾過で集め、EtOで洗浄することにより、表題化合物(3.73g、59%)を緑色粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)1.49(9H,s),7.32(1H,d,J=8.6Hz),7.48-7.53(4H,m),7.57-7.62(3H,m),7.64-7.71(4H,m),7.73-7.79(4H,m),8.06(1H,dd,J=1.4,8.3Hz),8.67(2H,dd,J=1.5,4.6Hz),8.73(2H,dd,J=1.5,4.6Hz),8.77(2H,dd,J=1.5,4.6Hz),8.98-9.07(3H,m);δ(CDCl,100MHz)31.45,35.17,121.46,121.81,121.91,122.05,122.58,123.57,123.93,125.50,126.50,126.84,127.40,127.81,128.23,128.42,128.53,128.87,129.53,129.90,130.98,134.71,135.58,135.62,137.86,138.44,147.30,148.18,148.77,150.38,150.44,150.92及び153.92.
【0146】
化合物18:4,4’-{1-[4-(tert-ブチル)フェニル]-3-メチル-2-(4-(1-メチルピリジン-1-イウム-4-イル)フェニル)-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール-3-イウム-6,9-ジイル}ビス(1-メチルピリジン-1-イウム)テトラキス(テトラフルオロボレート)
【化78】
1-[4-(tert-ブチル)フェニル]-6,9-ジ(ピリジン-4-イル)-2-[4-(ピリジン-4-イル)フェニル]-1H-フェナントロ[9,10-d]イミダゾール(3.29g、5.0mmol)及びMeOTs(5.59g、30mmol、6.0当量)を、アルゴン下で16時間撹拌しながら180℃に加熱し、冷却し、EtOでトリチュレートし、真空濾過により固体を収集した。この固体を少量のEtOと共に乳棒と乳鉢でトリチュレートし、EtOでトリチュレートし、エアドライブすると、緑色の粉末が得られた。粉末(4.91g)とMeOTs(4.00g、21.5mmol)の混合物を、アルゴン下で16時間撹拌しながら180℃に加熱し、冷却し、EtOでトリチュレートし、真空ろ過で固体を回収した。熱1:1:MeOH水中の固体の濾過溶液を、NaBF(6.59g、50mmol、12.0当量)の攪拌水(65mL)溶液に滴下し、30分間撹拌し、沈殿物を真空ろ過で回収することにより表題化合物(4.17g、78%)をカーキグリーン粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)1.35(9H,s),4.36(3H,s),4.39(3H,s),4.44(3H,s),4.48(3H,s),7.09(1H,d,J=8.8Hz),7.75(2H,d,8.6Hz),7.80(2H,d,J=8.6Hz),8.08(2H,d,J=8.4Hz),8.25(1H,dd,J=1.7,8.9Hz),8.32(2H,d,J=8.5Hz),8.56(2H,d,J=6.9Hz),8.65(1H,dd,J=1.7,8.8Hz),8.85(2H,d,J=7.1Hz),8.95(2H,d,J=7.1,Ar-H),9.05-9.27(7H,m),9.88(1H,d,J=1.7Hz)及び9.95(1H,d,J=1.7);δ(DMSO-d,376MHz)-148.25及び-148.20;δ(DMSO-d,100MHz)31.41,35.45,38.48,47.78,47.84,122.63,123.35,124.77,125.21,125.51,125.67,125.78,126.30,127.41,127.88,128.17,128.43,128.60,129.09,130.35,130.48,132.33,133.04,133.57,133.69,137.67,147.13,146.27,146.43,150.26,152.92,153.51,153.67及び155.48.
【0147】
5.ベンゾセレナゾール類
実施例19
4-(ベンゾセレナゾール-2-イル)-1-ヘキシルピリジン-1-イウムヨージド
【化79】
2-(ピリジン-4-イル)ベンゾセレナゾール(0.75g、2.89mmol)と1-ヨードヘキサン(1.23mL、8.67mmol)をMeCN(40mL)に懸濁し、80℃で16時間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をアセトン(20mL)でトリチュレートし、ろ過し、アセトン(20mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させることにより、目的物を橙色粉末として得た。収量及び収率1.10g、81%。δ(CDOD,300MHz)9.11(d,J=6.9Hz,2H),8.68(d,J=6.9Hz,2H),8.28(d,J=8.2Hz,1H),8.23(d,J=8.2Hz,1H),7.65(dd,J=7.3,1.2Hz,1H),7.53(dd,J=7.3,1.2Hz,1H),4.67(t,J=7.6,2H),1.95(quint.,J=7.4Hz,2H),1.55-1.23(m,6H),0.94(t,J=6.8Hz,3H);δ(DMSO-d,100MHz)166.72,156.98,151.53,146.78,142.04,128.82,128.80,127.52,126.90,126.53,62.87,32.41,32.32,26.91,23.48,14.28.
【0148】
化合物19:4-(ベンゾセレナゾール-2-イル)-1-ヘキシルピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート
【化80】
4-(ベンゾセレナゾール-2-イル)-1-ヘキシルピリジン-1-イウムヨージド(0.65g、1.38mmol)を熱MeOH(50mL)に溶解し、NaBF(5.0g)の撹拌HO(200mL)溶液に綿毛プラグを介して滴下したところ、淡黄色の沈殿が形成された。この溶液を30分間撹拌した後、減圧下で濾過した。得られた固体を水(30mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、目的物を淡黄色粉末として得た。収量及び収率0.59g、76%。δ(DMSO-d,400MHz)9.20(d,J=6.7Hz,2H),8.74(d,J=6.7Hz,2H),8.39(d,J=8.0Hz,1H),8.28(d,J=8.0Hz,1H),7.66(dd,J=7.3,0.9Hz,1H),7.55(dd,J=7.3,0.9Hz,1H),4.64(t,J=7.4,2H),1.95(quint.,J=6.5Hz,2H),1.43-1.20(m,6H),0.87(t,J=6.7Hz,3H);δ(DMSO-d,100MHz)166.57,154.99,148.64,145.71,140.40,127.61,127.34,126.49,125.91,125.21,60.57,30.68,30.56,25.05,21.84,13.81;δ(DMSO-d,128MHz)-1.3;δ(DMSO-d,376MHz)-148.27(br.m,4F).
【0149】
実施例20
4-(ベンゾセレナゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート
【化81】
2-(ピリジン-イル)ベンゾセレナゾール(1.00g、3.86mmol)、ジフェニルヨードニウムトリフラート(2.49g、5.79mmol)及びCu(OAc)・HO(116mg、0.58mmol)をN下でDMF(30mL)に溶解し、反応混合物を100℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を留去した。得られた黄色固体を熱いMeOHでトリチュレートし、濾過し、減圧下で乾燥させると、目的物が黄色粉末として得られた。収量及び収率1.70g、91%。δ(DMSO-d,400MHz)9.46(d,J=6.9Hz,2H),8.86(d,J=6.9Hz,2H),8.42(d,J=7.8Hz,1H),8.33(d,J=7.8Hz,1H),8.00-7.90(m,2H),7.84-7.74(m,3H),7.69(dd,J=7.4,1.1Hz,1H),7.58(dd,J=7.4,1.1Hz,1H);δ(DMSO-d,100MHz)166.28,155.14,149.35,145.83,142.39,140.80,131.40,130.24,127.75,127.55,126.60,126.14,124.97,124.68,120.65(d,JC-F=320.4Hz);δ(DMSO-d,376MHz)-77.76(s,3F).
【0150】
化合物20:4-(ベンゾセレナゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート
【化82】
4-(ベンゾセレナゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(1.00g、2.06mmol)を熱MeOH(50mL)に溶解し、NaBF(5.0g)の撹拌HO(200mL)溶液に綿毛プラグを介して滴下したところ、淡黄色の沈殿が形成された。この溶液を30分間撹拌した後、減圧下で濾過した。得られた固体を水(30mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、目的物を黄色粉末として得た。収量及び収率0.61g、70%。δ(DMSO-d,400MHz)9.45(d,J=6.9Hz,2H),8.55(d,J=6.9Hz,2H),8.41(d,J=7.8Hz,1H),7.32(d,J=7.8Hz,1H),8.00-7.87(m,2H),7.83-7.72(m,3H),7.67(dd,J=7.4,1.1Hz,1H),7.57(dd,J=7.4,1.1Hz,1H);δ(DMSO-d,100MHz)166.30,155.16,149.36,145.84,142.40,140.82,131.43,130.27,127.77,127.57,126.61,126.16,124.99,124.69;δ(DMSO-d,128MHz)-1.3;δ(DMSO-d,376MHz)-148.21(br.m,4F).
【0151】
実施例21
化合物21:4-(ベンゾセレナゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムヘキサフルオロホスフェート
【化83】
4-(ベンゾセレナゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフルオロメタンスルホネート(0.20g、0.47mmol)を熱MeOH(20mL)に溶解し、NHPF(0.50g)の撹拌HO(100mL)溶液に綿毛プラグを介して滴下したところ、黄色の沈殿が形成された。この溶液を30分間撹拌した後、減圧下で濾過した。得られた固体を水(30mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、目的物を黄色粉末として得た。収量及び収率0.13g、71%。δ[(CDCO,400MHz]9.52(d,J=6.3Hz,2H),8.98(d,J=6.3Hz,2H),8.38(d,J=8.5Hz,1H),8.36(d,J=8.5Hz,1H),8.13-7.95(m,2H),7.92-7.78(m,3H),7.73(t,J=7.6Hz,1H),7.61(t,J=7.6Hz,1H);δ[(CDCO,100MHz]166.22,156.65,151.54,146.67,143.78,141.91,132.64,131.45,128.74,128.71,127.39,126.99,126.34,125.43;δ[(CDCO,162MHz]-144.27(sept.,J=707.8Hz,1P);δ[(CDCO,376MHz]-72.51(d,J=707.8Hz,6F).
【0152】
6.ベンゾオキサゾール類及びベンゾイソオキサゾール類
実施例22
2-(ピリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロベンゾオキサゾール
【化84】
2-アミノフェノール(8.00g、73.4mmol)及びピリジン-4-カルボキシアルデヒド(7.85g、73.4mmol)のEtOH(350mL)中溶液を、空気下で5日間撹拌した。溶媒を減圧濃縮し、得られた固体を濾過し、EtOH(20mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(13.36g、92%)を橙色の粉末として得た。δ(CDCl,400MHz)6.93(1H,app.t,J=7.7Hz),7.04(1H,app.d,J=8.1Hz),7.22-7.31(2H,m),7.35(1H,app.d,J=8.0Hz),7.76(2H,bd,J=4.5Hz),8.69(1H,s)及び8.78(2H,bs).
【0153】
2-(ピリジン-4-イル)ベンゾオキサゾール
【化85】
2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(1.15g、5mmol)を、2-(ピリジン-4-イル)-2,3-ジヒドロベンゾオキサゾール(1.00g、5mmol)のDCM(50mL)中溶液に撹拌しながら一度に添加した。攪拌を1時間続け、EtN(5mL)を添加した。得られた溶液を、DCM(EtOAc中100~0%)を溶離液として用いてシリカを通してろ過した。最初のバンドを回収し、表題化合物(0.43g、43%)を淡黄色粉末として得た。第2バンドを回収して未反応の出発物質(0.28g、28%)を得た。δ(CDCl,400MHz)7.39-7.47(2H,m),7.61-7.66(1H,m),7.81-7.85(1H,m),8.10(2H,dd,J=1.6及び4.6Hz)及び8.83(2H,dd,J=1.6及び4.6Hz).
【0154】
4-(ベンゾオキサゾール-2-イル)-1-ヘキシルピリジン-1-イウムヨージド
【化86】
2-(ピリジン-4-イル)ベンゾオキサゾール(1.00g、5.1mmol)及び1-ヨードヘキサン(3.24g、15.3mmol)のMeCN(30mL)中溶液をN下の暗所で撹拌しつつ、還流させながら加熱した。16時間後、得られた混合物を冷却し、EtO(50mL)で希釈した。沈殿物を濾過し、EtO(3×10mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(2.06g、99%)を黄色粉末として得た。
【0155】
化合物22:4-(ベンゾオキサゾール-2-イル)-1-ヘキシルピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート
【化87】
4-(ベンゾオキサゾール-2-イル)-1-ヘキシルピリジン-1-イウムヨージド(2.01g、4.9mmol)の温MeOH/水(50mL、1:1)中溶液を、NaBF(5.42g、40mmol)の水(100mL)溶液に撹拌しながら滴下した。攪拌を0.5時間続け、得られた沈殿物を濾別し、水(3×10mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(1.77g、98%)を無色粉末として得た。δ(CDOD,400MHz)0.89-0.97(3H,bt,J=5.7Hz),1.30-1.51(6H,m),2.00-2.14(2H,m),4.69(2H,bt,J=7.4Hz),7.50-7.65(2H,bm),7.83(1H,bd,J=8.2Hz),8.93(1H,bd,J=8Hz),8.78(2H,bd,J=5.5Hz)及び9.16(2H,bd,J=5.5Hz).
【0156】
実施例23
4-(ベンゾオキサゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフラート
【化88】
2-(ピリジン-4-イル)ベンゾオキサゾール(1g、5.1mmol)、ジフェニルヨードニウムトリフラート(3.29g、7.6mmol)、Cu(OAc)・HO(100mg、10mol%)の乾燥DMF(50mL)中の混合物を100℃で16時間加熱し、冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残渣をEtO(50mL)でトリチュレートし、EtO(3×10mL)で洗浄し、風乾した。得られた固体を熱MeOH(20mL)でトリチュレートし、冷却し、濾過し、風乾することにより、表題化合物(1.86g、86%)を無色粉末として得た。δ(CDOD,400MHz)7.54-7.70(2H,bm),7.76-8.00(7H,bm),8.93(2H,bd,J=5.9Hz)及び9.42(2H,bd,J=5.9Hz).
【0157】
化合物23:4-(ベンゾオキサゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムテトラフルオロボレート
【化89】
4-(ベンゾオキサゾール-2-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムトリフラート(0.25g、0.59mmol)の温MeOH(10mL)中溶液を、NaBF(0.65g、5.9mmol)の水(30mL)溶液に撹拌しながら滴下した。得られた沈殿物を濾過し、水(2×3mL)で洗浄し、温MeOH(10mL)に溶解し、NaBF(0.65g、5.9mmol)の水(30mL)溶液に滴下し、0.5時間撹拌した。得られた沈殿物を濾別し、水(2×3mL)で洗浄し、風乾することにより、表題化合物(0.20g、95%)を淡黄色粉末として得た。δ(DMSO-d,400MHz)7.56-7.62(1H,m),7.64-7.70(1H,m),7.74-7.82(3H,m),7.91-8.01(3H,m),8.05(1H,d,J=7.9Hz),8.87(2H,bd,J=6.8Hz)及び9.53(2H,bd,J=6.8Hz).
【0158】
実施例24
4-(2-メトキシベンゾイル)ピリジン
【化90】
臭化2-メトキシフェニルマグネシウム(40mL、約1.38M、55.4mmol)の調整したての溶液を、N下で0℃に冷却された乾燥THF(20mL)中の4-シアノピリジン(2.78g、26.7mmol)の撹拌溶液に添加した。添加が完了した後、反応混合物を撹拌し、N下50℃で16時間加熱した。その後、溶液を0℃に冷却し、HO(20mL)をゆっくりと加えた。反応混合物を減圧下で蒸発乾固し、次に2MHCl(100mL)を加え、その溶液を80℃で8時間加熱した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、その溶液をEtOAc(2×100mL)で洗浄した。水相をNaOH(5M)で塩基化し、DCM(3×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥し(NaSO)、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした[溶離液=1:9から1:1 EtOAc:石油エーテルへ段階的に変化させた]。得られたカラム画分の溶媒を減圧下で除去することにより、表題化合物を黄色油状液体として得た。収量及び収率4.60g、82%。δ(CDCl,400MHz)8.75(2H,dd,J=4.4,1.6Hz),7.57-7.51(3H,m),7.46(1H,dd,J=7.6,1.8Hz),7.07(1H,td,J=7.55,0.9Hz),6.99(1H,d,J=8.3Hz)及び3.68(3H,s);δ(CDCl,100MHz)195.6,158.0,150.5,144.8,133.5,130.5,127.3,122.4,121.0,111.7及び55.6.
【0159】
3-(ピリジン-4-イル)-1,2-ベンズイソキサゾール
【化91】
4-(2-メトキシベンゾイル)ピリジン(3.60g、16.8mmol)を乾燥DCM(100mL)に溶解し、N下で0℃に冷却した。BBr(8.42g、3.24mL、33.6mmol)を滴下し、反応混合物を16時間撹拌した。反応混合物を氷に加え、NaHCOで中和して1時間撹拌した。次に反応混合物をDCM(2×200mL)で抽出して有機層を合わせ、乾燥(NaSO)しろ過し、溶剤を減圧下に除去した。得られた残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした[溶離液=1:9から4:6 EtOAc:石油エーテルへ段階的に変化させた]。得られたカラム画分の溶媒を減圧下で除去することにより、不純物を含む4-(2-ヒドロキシベンゾイル)ピリジン(2.60g)を黄色固体として得た。これをさらなる精製は行わずにその後の反応に使用した。不純物を含む4-(2-ヒドロキシベンゾイル)ピリジン(2.60g)をメタノール(30mL)中の7Nアンモニアに溶解し、室内で48時間撹拌することにより、橙色の溶液を得た。次に、反応混合物を減圧下で蒸発乾固し、N下で乾燥THF(40mL)に再溶解した。次に、N-クロロスクシンイミド(2.60g、19.5mmol)及びKCO(3.60g、138mmol)を反応混合物に加え、これをN下において室温で16時間撹拌した。その後、反応混合物をジエチルエーテル(100mL)で希釈し、水(100mL)でクエンチした。有機層を分離し、水層をジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥(NaSO)し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をシリカゲルでクロマトグラフィーした[溶離液=1:9から3:7 EtOAc:石油エーテルへ段階的に変化させた]。得られたカラム画分の溶媒を減圧下で除去することにより淡黄色固体を得、これをペンタンでトリチュレートし、減圧下で乾燥させることにより、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。収量及び収率1.2g、36%。δ(CDCl,400MHz)8.84(2H,dd,J=4.5,1.5Hz),7.95(1H,dt,J=8.0,0.9Hz),7.89(2H,dd,J=4.4,1.6Hz)7.70(1H,dt,J=8.4,0.8Hz),7.67(1H,ddd,J=8.5,7.0,1.0Hz)及び7.44(1H,ddd,J=8.5,7.0,1.0Hz);δ(CDCl,100MHz)164.3,155.4,150.9,136.7,130.4,124.6,122.3,1217,119.9,110.6.
【0160】
化合物24:4-(1,2-ベンズイソキサゾール-3-イル)-1-フェニルピリジン-1-イウムヘキサフルオロホスフェート
【化92】
3-(ピリジン-4-イル)-1,2-ベンズイソキサゾール(1.00g、5.1mmol)ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート(3.29g、7.64mmol)及びCu(OAc)・HO(0.1g、0.51mmol)をN下でDMF(40mL)に溶解し、反応混合物を100で16時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、減圧かで溶媒を除去した。得られた淡緑色固体をジエチルエーテル(3×50mL)でトリチュレートし、濾過し、減圧下で乾燥させた。得られた吸水性の淡緑色固体を熱MeOH:HO(約2:1、150mL)に溶解し、NHPF(17.5.0g)のHO(350mL)中の攪拌溶液に綿毛プラグを通して滴下すると、淡黄色の沈殿物が形成された。懸濁液を30分間撹拌した後、減圧下で濾過した。得られた固体を水(50mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、淡緑色の粉末を得た。その後、この固体を熱アセトン:HO(約2:1、200mL)に溶解し、綿毛プラグを通して濾液(真空下で約20%減少していた)に戻して滴下し、淡緑色の沈殿物を得た。次に、得られた懸濁液を減圧下でろ過し、固体を水(50mL)で洗浄した後、減圧下で乾燥させて、淡緑色の粉末を得た。緑色の粉末をMeOH(50mL)でトリチュレートし、濾過し、減圧下で乾燥させることにより、表題化合物を無色粉末として得た。収量及び収率1.17g、55%。δ(DMSO-d,400MHz)9.60(2H,d,J=7.0Hz),8.96(2H,d,J=6.9Hz),8.43(1H,d,J=8.1Hz),8.09(1H,d,J=8.6Hz)8.05-7.98(2H,m),7.93(1H,ddd,J=8.5,7.1,1.0Hz),7.89-7.79(3H,m)及び7.72(1H,ddd,J=8.5,7.3,0.5Hz);δ(DMSO-d,100MHz)164.1,153.3,146.0,144.1,142.5,131.6,131.5,130.3,126.2,125.8,124.8,122.4,118.6及び110.7;δ(DMSO-d,376MHz)-170.13(6F,d,J=711.0Hz).
【0161】
本発明の化合物の酸化還元電位及び吸収スペクトルの評価
酸化還元電位の測定方法
化合物の酸化還元電位は、3つの電極を用いたサイクリックボルタンメトリーで測定される。使用する電極は、以下の3つである。
・1つの白金製作用電極
・1つの白金製補助電極又は対向電極
・アセトニトリル中の0.01M AgNO+0.1M TBAP(過塩素酸テトラブチルアンモニウム)の溶液に浸漬した、1つの白金参照電極
【0162】
電位のスキャンレートは、100mV/sに固定されている。E redは、分析対象化合物の最初の還元ピークに対応する。E redは、分析対象化合物の2番目の還元ピークに対応する。E 1/2は、以下の計算で求められる酸化剤/還元剤系の酸化還元電位に対応する。
1/2=(E red+E ox)/2
ここで、E oxは、分析対象化合物の第1酸化ピークに対応する。ΔEredは、以下に計算されるE red及びE redに対応する:
ΔEred=│E red│-│E red│。
【0163】
表示されている電位値は、標準水素参照電極(SHE)を基準とした、化合物の最初の還元電位である。
【0164】
分析溶液は、プロピレンカーボネートを溶媒として、0.005Mの分析対象化合物と0.25MのTBABF塩を含む。
【0165】
吸収スペクトルの測定方法
この溶液は、以下で石英セルに導入される。
【0166】
この溶液を石英セルに導入し、白金グリッドの形をした少なくとも1つの作用電極を配置し、この電極上で分析対象化合物を着色する。分析対象化合物の時間領域での吸収スペクトルは、紫外可視分光法で測定される。
【0167】
合成した各化合物の結果を以下の表1に示す。E redは、第1還元電位に対応する。表1に示す色は、昼光条件下で正視眼が知覚する視覚的色である。λmax値は、特定の化合物の色のおよその目安に過ぎないことに留意されたい。しかし、吸収帯の幅が広いため、1つの化合物の最終的な色を理解するために吸収スペクトル全体を考慮する必要がある。
【0168】
比較として、表2は、3つの既知化合物について得られた結果を示す。
【0169】
本発明の化合物2(橙色)及び化合物6~7(赤色)を公知の化合物COMP1(緑色)と比較すると、1つのフェニルピリジニウム基を1つの置換ベンズイミダゾリウム基又は置換ベンゾチアゾリウム基に置換すると、可視域の最大吸収波長が645nm~550nm以下に減少するように見える。活性化した状態では、これらの分子は、緑色ではなく、赤色又は橙色である。
【0170】
化合物1、10、16(橙)、3、4、5(紫)、8(緑)、9、11(黄/緑)、13~14(黄)と既知の化合物COMP2(青)及びCOMP3(青)を比べると、イミダゾリウム、ベンズイミダゾリウム、ベンゾチアゾリウムといった異なる基が単独で又はより複雑な分子構造で含まれていると、最大吸収波長が低波長側にシフトする効果もあるものと考えられる。これらの基は、2つのアルキルビピリジニウム基間に導入されるか、又はテルピリジニウムの中心ピリジニウム基を置換することができる。こうして得られた分子は、青色ではなく、黄色、橙色、赤色、緑色又は紫色である。
【0171】
その結果、2つのアルキルビピリジニウム基間にフェニル基を含む既知の化合物COMP3も橙色であり、活性化電位が-1.21Vであることが分かった。本発明の化合物は、化合物11及び14を除き、COMP3と同等以下の活性化電位を有する。
【0172】
【表6】
【0173】
【表7】
【0174】
【表8】
【0175】
【表9】
【0176】
【表10】
【国際調査報告】