(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】眼鏡に適応可能な視線追跡キット
(51)【国際特許分類】
G02C 9/00 20060101AFI20231220BHJP
G02C 5/12 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G02C9/00
G02C5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537465
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2020087431
(87)【国際公開番号】W WO2022135660
(87)【国際公開日】2022-06-30
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521196811
【氏名又は名称】ヴューポイントシステム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】viewpointsystem gmbh
【住所又は居所原語表記】Franz-Josefs-Kai 47/3. OG, 1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】フォークト、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】リンゼンマイアー、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ベルガー、ニルス
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AB00
2H006DA01
(57)【要約】
本発明は、通常の眼鏡、公知の拡張/仮想現実眼鏡、または一般的な視覚的遠隔案内装置に適応可能な視線追跡キットに関する。本発明はさらに、キットを前記種類の眼鏡に固定する方法に関する。一般的な眼鏡は、本発明を使用することにより、視線追跡装置または視線追跡装置に変わる可能性がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡(8)に容易に固定または前記眼鏡(8)から容易に取り外しされるように構成され、視線追跡装置を作製する視線追跡キットであって、前記キットは、使用時に前記眼鏡(8)のU字形状部および使用時に着用者の鼻骨に適応可能で、かつ、互換性がある、U字形状部(110)を有する第1構成部分フレーム(11)を有する第1構成部分(10)を備え、
前記第1構成部分フレーム(11)は、少なくとも1つの左視線カメラ(3)と、1つの右視線カメラ(4)とを収容し、
視線カメラ(3、4)は、使用者の瞳孔位置を複数の画像で検出するためにU字形状部(110)に配置され、
前記キットは、さらに、第2構成部分(12)であって、吊り下げ部(7)を収容する第2構成部分フレーム(13)を有するとともに、単一の単位構造を形成するように、第1構成部が第2構成部分(12)にしっかりと固定される際および第2構成部分(12)が前記眼鏡(8)にしっかりと固定される際に、前記眼鏡(8)のノーズブリッジ(88)または前記眼鏡(8)の上部フレームの中央部分に簡単かつ安定して固定するように構成されている第2構成部(12)を備え、
前記キットは、電子部品、すなわち少なくともデータ処理ユニットと、記憶部と、データインターフェースとをさらに含み、前記電子部品は、前記キットを遠隔接続されたコンピュータ装置または一般的な装置に接続するとともに、前記コンピュータ装置に、前記視線追跡キットが固定された前記眼鏡(8)を着用する前記使用者の眼球運動情報を送信するよう構成されている、視線追跡キット。
【請求項2】
前記第1構成部分(10)および前記第2構成部分(12)は、単一の一体となった装置構造を形成するように作製されている、請求項1に記載の視線追跡キット。
【請求項3】
少なくとも複数の前記着用者の視野画像を検出するように構成された視野カメラ(5)を有する第3構成部分フレーム(15)を含む第3構成部分(14)から構成され、前記第3構成部分(14)は使用時に前記第2構成部分(12)に固定されている、請求項1に記載の視線追跡キット。
【請求項4】
前記第1構成部分(10)と、前記第2構成部分(12)と、前記第3構成部分(14)とは、単一の一体となった装置構造を形成する、請求項3に記載の視線追跡キット。
【請求項5】
前記第2構成部分(12)における前記吊り下げ部(7)は、前記眼鏡(8)から前記視線追跡キットを容易に取り外せるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の視線追跡キット。
【請求項6】
前記キットは、前記第3構成部分(15)における前記視野カメラ(5)が、前記眼鏡の外側を向いて配置されるとともに、前記U字形状部(110)が前記眼鏡(8)の内側を向いて配置されるように構成され、前記U字形状部(110)は、さらに、前記視線追跡キットを前記眼鏡(8)に固定したときに、前記使用者の鼻骨に干渉しないように、前記眼鏡(8)の鼻パッド(80)の内側面に横たわって配置されるように設計されている2つのアーム(100)を有する、請求項3~5のいずれか1項に記載の視線追跡キット。
【請求項7】
前記吊り下げ部(7)は、前記ノーズブリッジ(88)、または上部から底部に向かって前記眼鏡(8)の前記上部フレームの中央部分に係合するように構成されたフックである、請求項1~6のいずれか1項に記載の視線追跡キット。
【請求項8】
前記フックは、前記使用者が前記眼鏡(8)から前記キットを取り外すことが可能な末端部(150)を有している、請求項7に記載の視線追跡キット。
【請求項9】
前記視線カメラ(3,4)が前記使用者の瞳孔を最適な方法で検出することが可能なように前記吊り下げ部(7)に対する前記アーム(100)の高さ位置を調整するように構成された調整部(71)をさらに備える、請求項7に記載の視線追跡キット。
【請求項10】
前記吊り下げ部(7)は、前記ノーズブリッジ(88)または前記眼鏡(8)の前記上部フレームの中央部分の上部から底部にかけて位置される台座部(720)と、使用時に、前記ノーズブリッジ(88)または前記眼鏡(8)の前記上部フレームの中央部を第3構成部分フレーム(15)の裏面に押し付けてしっかりと保持する側壁(721)とにより規定されたハウジング(72)である、請求項7に記載の視線追跡キット。
【請求項11】
前記吊り下げ部(7)は、前記使用者の瞳孔を検出することが可能なように前記視線カメラ(3,4)の位置を最適化するために、前記ハウジング(72)の側壁(721)の側方位置を調整するように構成された調整部(723)をさらに備える、請求項10に記載の視線追跡キット。
【請求項12】
前記吊り下げ部(7)は、使用時に、前記ノーズブリッジ(88)または前記眼鏡(8)の前記上部フレームの中央位置において巻き付けられるとともに巻き付けが解かれるように構成されている巻きばね(724)である、請求項7に記載の視線追跡キット。
【請求項13】
眼鏡(8)に視線追跡キットを固定する方法であって、
前記眼鏡(8)は、少なくともノーズブリッジ(83)または上部フレームの中央位置を有し、および前記視線追跡キットは、使用時に前記眼鏡(8)のU字形状部および着用者の鼻骨に適応可能で、かつ、互換性があるU字形状部(110)を有する第1構成部分フレーム(11)を含む、第1構成部分(10)を備え、前記第1構成部分フレーム(11)は、少なくとも1つの左視線カメラ(3)と1つの右視線カメラ(4)とを収容し、前記視線カメラ(3、4)は、使用者の瞳孔位置を複数の画像で検出するためにU字形状部(110)に配置され、
前記キットは、吊り下げ部(7)を収容する第2構成部分フレーム(13)を有する第2構成部分(12)をさらに備え、前記キットはさらに、電子部品、すなわち、データ処理ユニットと、記憶部と、データインターフェースと、を備え、
前記方法は、
前記視線追跡キットを準備する工程と、
前記眼鏡を準備する工程と、
単一の単位構造を形成するために、前記第1構成部分(10)を前記第2構成部分にしっかりと固定する際に、前記第2構成部分(12)により提供される前記吊り下げ部(7)を介して、前記眼鏡の前記ノーズブリッジ(88)または前記上部フレームの中央位置に前記視線追跡キットを固定する工程とを含む、眼鏡(8)に視線追跡キットを固定する方法。
【請求項14】
眼鏡(8)と視線追跡キットとからなる視線追跡装置であって、前記眼鏡(8)は、少なくともノーズブリッジ(83)または上部フレームの中央位置を有し、および前記視線追跡キットは、使用時に前記眼鏡(8)のU字形状部および着用者の鼻骨に適応可能で、かつ、互換性があるU字形状部(110)を有する第1構成部分フレーム(11)を含む、第1構成部分(10)を備え、前記第1構成部分フレーム(11)は、少なくとも1つの左視線カメラ(3)と1つの右視線カメラ(4)とを収容し、前記視線カメラ(3、4)は、使用者の瞳孔位置を複数の画像で検出するためにU字形状部(110)に配置され、
前記キットは、吊り下げ部(7)を収容する第2構成部分フレーム(13)を有する第2構成部分(12)をさらに備え、前記キットはさらに、電子部品、すなわち、データ処理ユニットと、記憶部と、データインターフェースと、を備え、前記電子部品は、前記キットを遠隔接続されたコンピュータ装置または一般的な装置に接続するとともに、前記コンピュータ装置に、前記視線追跡キットが固定された前記眼鏡(8)を着用する使用者の眼球運動情報を送信するよう構成されている、視線追跡装置。
【請求項15】
請求項2~13のいずれか1項に記載のキットから構成される、視線追跡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の眼鏡、または公知の拡張/仮想現実/複合現実眼鏡、または一般的な視覚的遠隔案内装置に適応可能な視線追跡キットを開示する。本発明はさらに、キットを前記種類の眼鏡に固定する方法と、視線追跡キットを備えた眼鏡からなる視線追跡装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
視線追跡装置および、特に、眼鏡は、通常はカメラを含み、カメラは、眼鏡着用者の目に向けられ、そのようなカメラを使用することによって、瞳孔の座標と、目の視界の方向とを確認することができるとともに、瞳孔の座標および目の視界方向は、インターネットライブストリーミングを介して、第2の使用者が自分の関連する視野上に着用者の視線方向を見ることができるような対応するディスプレイコンピュータ装置に表示される。使用者の視界の方向において、眼鏡に配置された視野カメラにより準備されたいわゆる視野映像とともに、そのような眼鏡により使用者の視線の先が確認される。
【0003】
US2016/0206196は、眼鏡のノーズフレームに配置された2つの視線カメラと、眼鏡の中央に配置され、使用者の正面風景を映し出す視野カメラとからなる視線追跡眼鏡を開示している。
【0004】
視野カメラは、視野、個々のおよび連続する視野画像を含む映像を録画するために設けられる。したがって、2つの視線獲得カメラと少なくとも1つの視野カメラの録画は、それぞれの注視点の視野映像に相関して入力することができる。
【0005】
不運にも、この先行技術文献には、通常の眼鏡と同じようなフレームを持つ視線追跡眼鏡が開示されている。
【0006】
さらに、拡張現実眼鏡や仮想現実眼鏡に装着される必要がある半成品の視線追跡モジュールが知られている。これらの未完成の製品は、2つの視線カメラがPCB/電子接続を介して接続されているプロセッサにより構成され、より完全な製品に接続および統合される必要がある。
【0007】
既知の半成品の視線追跡モジュールは、動作することができるようにするために、AR/VRメガネのようなより複雑なデバイスの電子的・ソフトウェア的な構成と明確に定義された幾何学的構造を利用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、第1の局面によれば、完成品であり、度付き眼鏡、サングラス、保護眼鏡、特定の作業用の眼鏡、拡張または仮想または混合現実眼鏡のような眼鏡、または一般的な視覚的遠隔案内装置に機械的に固定されるとすぐに使用することができる視線追跡キットを得ることである。
【0009】
本発明の第2の目的は、度付き眼鏡を装着した使用者に遠隔地にある他の機器または一般的な他の機器とさらに通信することが可能な視線追跡キットを使用することができる可能性を与えることである。
【0010】
本発明の第3の目的は、使用者が自分の眼鏡に視線追跡キットを簡単に固定することおよび取り外すことができる可能性を与えることである。
【0011】
本発明の第4の目的は、異なる眼鏡フレームに容易に適応でき、洗浄が容易である同時に、眼鏡にしっかりと取り付け可能な視線追跡キットを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、眼鏡に固定されると、使用者の鼻と干渉せず、眼鏡および/または視野と接触しない視線追跡キットを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、非常に軽量で、使用者にとって快適な視線追跡キットを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、信頼性が高く、使用者が使用しやすい、公知の視線追跡装置については費用を削減した視線追跡装置を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、使用者による装着が容易な固定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下、最も重要な目的のいくつかを達成することを可能にする、本発明のいくつかの技術的局面について要約する。
【0017】
第1の局面によれば、本発明は、眼鏡に容易に固定または眼鏡から容易に取り外しされるように構成され、この結果、視線追跡装置を作製する視線追跡キットであって、キットは、使用時に眼鏡のU字形状部および使用時に着用者の鼻骨に適応可能で、かつ、互換性がある、U字形状部を有する第1構成部分フレームを有する第1構成部分を備え、第1構成部分フレームは、少なくとも1つの左視線カメラと、1つの右視線カメラとを収容し、視線カメラは、使用者の瞳孔位置を複数の画像で検出するためにU字形状部に配置され、キットは、さらに、第2構成部分であって、吊り下げ部を収容する第2構成部分フレームを有するとともに、単一の単位構造を形成するように、第1構成部が第2構成部分にしっかりと固定される際および第2構成部分が眼鏡にしっかりと固定される際に、眼鏡のノーズブリッジまたは眼鏡の上部フレームの中央部分に簡単かつ安定して固定するように構成されている第2の構成部を備え、キットは、電子部品、すなわち少なくともデータ処理ユニットと、記憶部と、データインターフェースとをさらに含み、電子部品は、キットを遠隔接続されたコンピュータ装置または一般的な装置に接続するとともに、コンピュータ装置に、視線追跡キットが固定された眼鏡を着用する使用者の眼球運動情報を送信するよう構成されている。
【0018】
そのようなキットは、眼鏡を視線追跡装置に変え、使用者が自身の眼鏡を装着すると同時に、使用者の眼球運動情報を遠隔地にあるコンピュータ装置または一般的な他の装置に送信する。
【0019】
第2の局面によれば、本発明は、キットに関し、第1構成部分および第2構成部分は、単一の一体となった装置構造を形成するように作製されており、これらの特徴は、さらにキットの構造を簡素化し、第1構成部分と第2構成部分との間における不意の移動の可能性を低減させることを目的とする。
【0020】
第3の局面によれば、この発明は、キットに関し、キットは、少なくとも複数の着用者の視野画像を検出するように構成された視野カメラを有する第3構成部分フレームを含む第3構成部分から構成され、第3構成部分は使用時に第2構成部分に固定されている。
【0021】
この場合に、キットは、眼鏡を視線追跡装置に変え、使用者が眼鏡を装着すると同時に、使用者の視野内の眼球運動情報を遠隔接続されたコンピュータ装置または一般的な他の装置に送信する。
【0022】
第4の局面によれば、キットに関し、第1構成部分と、第2構成部分と、第3構成部分とが単一の一体となった装置構造を形成するように作製し、これらの特徴は、キットの構造をより簡素化し、第1構成部分と第2構成部分と第3構成部分との間における不意の移動の可能性を低減させることを目的とする。
【0023】
第5の局面によれば、本発明は、U字形状部が眼鏡の内側を向いて配置される一方で、第3構成部分における視野カメラが、眼鏡の外側を向いて配置されるように構成された視線追跡キットに関し、U字形状部は、さらに、視線追跡キットを眼鏡に固定したときに、使用者の鼻骨に干渉しないように、眼鏡の鼻パッドの内側面に横たわって配置されるように設計されている2つのアームを有する。
【0024】
第6の局面によれば、この発明は、眼鏡から容易に取り外すことができるように構成された視線追跡キットに関する。
【0025】
第7の局面によれば、この発明は、視線追跡が眼鏡に固定される視線追跡装置に関する。
【0026】
第8の局面によれば、この発明は、視線追跡キットを眼鏡または拡張現実眼鏡に固定する方法に関し、眼鏡は、少なくともノーズブリッジまたは上部フレームの中央部を有する。
【0027】
さらなる局面によれば、この発明は、本明細書の従属請求項に規定されるさらなるキット、製品、および方法の特徴に関するものである。
【0028】
本発明の構造的および機能的特徴ならびに既知の先行技術に対する利点は、基礎となる特許請求の範囲から、特に、本発明方法、システム、装置の好ましいが限定的ではない概略的な実施形態を示す添付図を参照してなされる以下の記載の検討から、さらに明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1および
図2は、本発明のキットの第1の好ましい一体となった実施形態の正面図と背面図とをそれぞれ示す。
図3および
図4は、一旦眼鏡に取り付けられた、(末端部を除く)本発明のキットの第1の好ましい一体となった実施形態の正面図と背面図とをそれぞれ示す。
図5および
図6は、本発明のキットの第1の好ましい一体となった実施形態の変形例の正面図と背面図とをそれぞれ示す。
図7は、眼鏡に取り付けられ、本発明のキットの第1の好ましい一体となった実施形態の変形例の正面図を示す。
図8は、眼鏡に取り付けられ、本発明のキットの第2の好ましい一体となった実施形態の変形例の正面図を示す。
図9および
図10は、本発明のキットの第2の好ましい一体となった実施形態の正面図と背面図とをそれぞれ示す。
図11および
図12は、本発明のキットの第3の好ましい一体となった実施形態の正面図と背面図とをそれぞれ示す。
図13および
図14は、眼鏡に固定されたキットの視線カメラの視野をそれぞれ示し、および使用者の顔上の視野の交差をそれぞれ示す。
図15および
図16は、3つの主な部品が分離されている本発明のキットの好ましい実施形態の正面図および背面図をそれぞれ示す。
図17は、拡張現実眼鏡の上部フレームの中央に取り付けられた、本発明のキットの第2の好ましい一体となった実施形態の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
一般的に、この開示は、視線追跡キットと、異なる種類の眼鏡にキットを固定するまたは取り外す方法と、視線追跡キットにより備えられる眼鏡から構成される視線追跡装置である。
【0031】
「右」「左」「高」「低」「前」「後」の記載は、人間により眼鏡および視線追跡キットが意図された装着方法に係る。
【0032】
一般的な眼鏡8または度付きの眼鏡に関して、度付きレンズ、太陽レンズ、特定のフィルタリング/保護レンズでもよいレンズを保持する目的を持つフレームの少なくとも一部を有することを強調するものとする。さらに、それらは、ノーズブリッジ88と呼ばれ、2つのレンズの間のスペーサとして機能する部分を少なくとも有し、使用者の鼻のための空間を作ることができる。
【0033】
ノーズブリッジは、全ての眼鏡において必須の部分であるが、たとえば、バイザーがレンズの代わりとなっているスキーゴーグルのように構成されているようなものでは、いくつかの場合において明確に見つけることはできない。いくつかの場合、前記バイザーは、使用者の鼻が位置するような凹形状を有し、その場合、スカイ眼鏡の上部フレームの中央部分は、本発明の視線追跡キットを固定するのに適したフレーム部分となり得る(例えば、
図17参照)。
【0034】
本発明による視線追跡キットは、U字形状部110を同様に有する第1構成部分フレーム11を含む第1構成部分10から構成される。U字形状部110には、好ましくは、使用者の眼の位置を検出する目的を有する、右視線取得カメラ4および左視線取得カメラ3が配置される(
図15および16参照)。
【0035】
キットは、さらに、吊り下げ部7を収容する第2構成部分フレーム13を含む第2構成部分12を備える。吊り下げ部7は、第1構成部分10を第2構成部分12にしっかりと固定する際に、キットを眼鏡8のノーズブリッジ88または眼鏡8の上部フレームの中央部に容易かつ安定して固定するように構成されている。その場合、第1構成部分10と第2構成部分20とは単一の装置構造を形成し、眼鏡8に取り付けられる。
【0036】
さらに、好ましい実施形態では、第1構成部分10と第2構成部分12とは、構造を簡素化するとともに共に取り付けられた際に部品間のおこりうる移動を避けるために、分離された物理的な構成ではなく、単一の一体的な装置構造を形成するように作製される(
図15および
図16を除くすべての図参照)。
【0037】
本発明のキットを備えた自分の眼鏡を装着したときに、視野上の使用者の視線方向を連続的に決定するために、複数の使用者の視野画像を検出するように構成された視野カメラ5を少なくとも有する第3構成部分フレーム15を含む第3構成部分14をさらに備える。使用時に、第3構成部分14は、第2構成部分12に取り付けられる。
【0038】
さらに、好ましい実施形態では、第1構成部分10と、第2構成部分12と、第3構成部分14とは、物理的に分離された構成ではなく、単一の単位構造を形成する(
図15および
図16を除くすべての図参照)。
【0039】
すでに説明したキットに関する好ましい解決方法は、第1構成部分10と、第2構成部分12と、第3構成部分14とは、公知の方法および技術を通じて機械的におよび電気的に共に取り付けることができる、分離された物理的な構成(
図15および
図16参照)である。
【0040】
U字形状部110は、人の鼻の位置に達する一般的な眼鏡8の対応するU字形状部に、使用者の鼻に干渉しないように視線追跡キットを配置するために特に設計されている。実際、U字形状部110は、2つのアーム100を含み、2つのアーム100は、視線追跡キットが眼鏡に固定されている際に、眼鏡8の鼻パッド80の内側面800に横たわって配置されるように設計されている(たとえば、
図4および
図17参照)。このアーム100の特有の配置は、鼻パッド80にとても近く、使用者の眼の視野に干渉しない。
【0041】
眼鏡8のU字形状部に対してアーム100の形状がさらによく適合するために、U字形状部110は、柔らかい材料で形成されてもよく、特に、アーム100は、変形可能な材料で形成される。
【0042】
U字形状部110における視線取得カメラ3、4に統合されているため、視線追跡キットは、突出部分を有さず、作業用メガネや保護メガネに装着可能なキットとして適している。もし、視線追跡キットが機械に操作可能に接続されている場合には、作業者または機械操作者の視線の移動を監視および分析することができるのみならず、むしろ機械の操作のために直接的に使用することができる。さらに、眼球運動に基づいて、たとえば、過労状態か、または、向精神薬の影響下にあるかのように、関係する人の精神または肉体的な状態を結論付けることができるため、機械を操作するための能力を監視することができる。したがって、上記のすべての視線追跡キットの公共の使用の場合において、測定精度が向上し、さらに、測定装置はもはや周囲により知覚されないため、被験者に悪影響が及ばず、大幅に改善された結果を得られる。
【0043】
前述のように、好ましい解決方法は、右視線取得カメラ4は、右アーム100に配置され、左視線取得カメラ3は、U字形状部110の左アーム100に配置される。2つの視線取得カメラ3、4は、デジタルカメラとして設計され、対物レンズを有していてもよい。2つの視線取得カメラ3、4は、視線追跡キットを装着している人の個々の眼の画像または、個々の視線の画像を含む視線ビデオを準備するように各々設けられる。前記視線取得カメラ3、4は、着用者の眼球の位置に向けられなければならない。
【0044】
すでに予想されているように、視線追跡キットの一の好ましい実施形態では、少なくとも1つの視野カメラ5が、視線追跡キットの第3構成部分14に配置される。視野カメラ5は、個々のおよび連続的な視野画像を含む、視野ビデオを録画するように設けられる。2つの視線取得カメラ3、4および少なくとも1つの視野カメラ5の録画は、キットが第3構成部分14を含む場合に、(キットが眼鏡に固定されているときに)使用者のそれぞれの注視点の視野ビデオに相関して入力することができる。
【0045】
1以上の視野カメラもまた、視線追跡キット14の第3構成部分14に配置されてもよい。
【0046】
さらに、視線追跡キットは、データ処理ユニットおよびデータインターフェースのような電子部品を有してもよく、データ処理ユニットは、右視線取得カメラ4および左視線取得カメラ3に接続されている。視線追跡キットは、さらに、視線カメラ3,4と、データ処理ユニットと、記憶部と、データインターフェースとにエネルギを供給するためのエネルギ蓄積器を有してもよい。視線追跡キットは、さらに、図示しないケーブルを介した外部電力供給部、または内部バッテリーおよび対応する電源インターフェースを有する。
【0047】
視線追跡キットのさらに好ましい実施形態では、(マイクロプロセッサのような)データ処理ユニットおよび接続された記録媒体を含む電子部品が、第1構成部分10、または第2構成部分12、またはいくつかが第1構成部分10におよび残りが第2構成部分12に配置されてもよい。
【0048】
さらに、好ましい解決方法は、電子部品を保護するとともに、キットの温度の高い部分が使用者の鼻または顔に接触する可能性を避けるために、第3構成部分14は、少なくともデータ処理ユニット、記憶部、データインターフェース、電力装置/インターフェースのようなすべての電子部品を囲む。さらに、これらの電子部品が関連するキットのフレーム内に収められるとともにキットフレーム形状が密閉され、鋭い縁を含まないことから、本発明に開示されたキットは洗浄も容易である。
【0049】
全記録、初期の分析、および録画された画像の保存は、視線追跡キット自身または視線追跡キットに(無線またはケーブルを介して)接続されたコンピュータ装置によって実施されることは強調すべきである。
【0050】
データ処理ユニットは、好ましくは、RAMに加えて、マイクロコントローラまたはプロセッサとの組み合わせにより設計される。データ処理ユニットは、データインターフェースに信号伝達によって接続されている。データインターフェースおよびデータ処理ユニットは、たとえば、ASICまたはFPGAにより、ハードウェアで共同に形成されることも可能である。インターフェースは、好ましくは、たとえば、ブルートゥース規格またはIEEE 802.xに準拠した無線インターフェース、または、USB規格に準拠した有線インターフェースにより設計され、この場合、視線追跡キットは、たとえば、マイクロUSBに準拠した対応するソケットを有する。追加のセンサが、視線追跡キットに挿入され、データ処理ユニットに接続されてもよい。
【0051】
データ処理ユニット、記憶部、およびデータインターフェースは、少なくとも間接的に回路によってエネルギ蓄積器に接続されるとともに、3つのカメラ、すなわち、視野カメラ5、右視線取得カメラ4と、左視線取得カメラ3とに対して信号伝達により接続される。
【0052】
上記の通り、本願の視線追跡キットは、度付き眼鏡、サングラス、仕事用/水泳用メガネのような、一般的な眼鏡8に容易に固定または取り外すことができ、本技術が、一般的なスマートフォン、機械、コンピュータ装置のような他の一般的な装置と通信することができるようになれば、視線追跡技術の有利な効果を得ることを目的としている。
【0053】
好ましい実施形態によると、使用者の瞳孔を検出し、視野を最適化するために、第1構成部分10は、眼鏡8の内側、すなわち使用者の顔の近くに面した、第1構成部分フレーム11から構成される。もし存在するならば、第3構成部分14は、突出部を避け、眼鏡8の外側に面した、好ましくは、眼鏡8のノーズブリッジ88の上に面するように配置された第3構成部分フレーム15から構成され、キットをよりコンパクトにする(
図3、4、7、8、13、および14参照)。
【0054】
第1構成部分フレーム11は、実質上、U字形状部110であり、これにより、視線追跡キットは、対応する眼鏡8のU字形状部および着用者の鼻骨に適応可能でかつ、互換性がある。上記した通り、U字形状部110には少なくとも1つの左視線カメラ3および1つの右眼カメラ4が配置され、より好ましい解決方法において、左赤外LED照射部30と右赤外LED照射部40が配置され、使用時に着用者の眼の瞳孔位置をよりよく検出するために役立つ。
【0055】
好ましいU字形状部110は、さらに、視線追跡キットが眼鏡8に固定された際に、眼鏡8の鼻パッド80の内側面800に横たわるように配置されるように設計された2つのアーム100から構成される。その場合、視線追跡キットのどの部分も使用者の鼻、視線カメラ3,4の視野、または使用者の眼の視野に干渉しない(
図3、4、7、8、13、14および17参照)。
【0056】
視線カメラ3、4の視野90を
図13に示し、視野と使用者の顔型との交線92を
図14に示す。
【0057】
前述したように、キットは、データ処理ユニット、データ記憶部、無線ユニットを含むデータインターフェース、インターネット接続インターフェースのような電子部品から構成される。電子部品が配置される構成部品のフレームは、それらを取り囲み、偶発的な衝突、ほこり、または、構成部品の動作を損なうかもしれない、一般的な外部要因からの保護を与える(提供された図面は概略的なものであり、目的を限定しない)。
【0058】
前述の視野カメラ5は、使用時に一度固定されると、ビデオ画像として、視線追跡キットの装着者の視野の複数の画像を検出することができる。視野カメラは、使用時に眼鏡8の外側に面して第3構成部分15に配置されてもよく、視線追跡キットが眼鏡8に固定された際に、眼鏡8のフレームの上部よりも高くなるように構成された第3構成部分フレーム15の部分に配置される。
【0059】
そのため、視線追跡キットは、さらに第1構成部分10と、第2構成部分12と、第3構成部分14とが固定され、公知の方法で互いが接続されることにより、使用者の注視の移動を識別する注視情報を遠隔に接続されたコンピュータ装置または一般的な他の装置に与える。情報は、一般的に、眼鏡8に固定された視線追跡キットを着用した使用者の視野の視覚表現に関連した視覚点として表す。
【0060】
第2構成部分12は、吊り下げ部7を収容する第2構成部分13を有し、視線追跡キットをノーズブリッジ88または眼鏡8の上部フレーム部に容易かつ安定して固定する。吊り下げ部7は、使用者によって通常の眼鏡8から視線追跡キットを容易に取り外すことができるように、末端部150が設けられている(
図1参照)。末端部150は、本明細書に記載された全ての実施形態のために設計されてもよい。いずれの場合においても、使用者は、第3構成部分14を活用して眼鏡8からキットを取り外すことができる。
【0061】
第1の好ましい解決方法において、吊り下げ部7は、上部から底部にかけて眼鏡8のノーズブリッジ88に係合するように構成されたフックである。(
図1,2参照)この実施形態は、特に、高さが小さくなったノーズブリッジ88に適している。
【0062】
さらに、第1の解決方法の変形例は、視線カメラ3、4が使用者の瞳孔を検出し、吊り下げ部7をノーズブリッジの異なる高さに調整するために、吊り下げ部7は、眼鏡8のノーズブリッジ88と比べてアーム100の高さ位置を調節するように構成された調整部71を有する(
図5、6参照)。
【0063】
調整部71は、たとえば、対応するスロット内において上下に摺動し、公知の機械的機構によって所定の位置に固定可能である部材により作製される(
図6参照)。
【0064】
好ましい第2の実施形態(
図8、9、10および17参照)において、吊り下げ部7は、台座部720により定義されたハウジング72であり、ノーズブリッジ88の上部から下部にかけて、または眼鏡8の上部フレームの中心部に位置する。ハウジング72もまた、使用時に、第3構成部分フレーム15の背面側に対して押付けられるノーズブリッジ88または眼鏡8の上部フレームの中央位置にしっかりと保持される側壁721により定義される。特定の実施形態は、高さが大きいノーズブリッジ88に特に適している。
【0065】
さらに、第2の解決方法の変形例では、吊り下げ部7は、使用者の瞳孔を検出することができるように視線カメラ3、4の位置を最適化すると同時に、眼鏡8のノーズブリッジ88に第2構成部分12を適切に固定するために、ハウジング72の側壁721の側方位置を調整する調整部723をさらに備える。調整部723は、たとえば、対応するガイド内を摺動するシャフトにより構成され、公知の機械的な機構により所定の位置に固定可能である(
図10参照)。
【0066】
第3の好ましい実施形態では、吊り下げ部7は、使用時に眼鏡8のノーズブリッジ88または上部フレームの中央位置において巻き付けられるまたは巻き付けが解かれるように構成された巻きばね724(
図11および
図12参照)である。本実施形態では、眼鏡8のノーズブリッジ88の多くの異なる断面に適応可能であってもよい。
【0067】
本発明で開示されたキットは、小型化された寸法と記載された構成とにより、非常に軽量なキットとなるため、キットが固定された眼鏡を装着時に使用者の快適性に影響を及ぼさない。
【0068】
本発明は、第2構成部分12に設けられた吊り下げ部7に作用する、視線追跡キットを眼鏡8、または、拡張現実/仮想現実/複合現実眼鏡、または、一般的な、視覚的遠隔案内装置に固定する方法に関し、眼鏡8と視線追跡キットは、記載されたすべての実施形態に従って、本明細書に既に記載した構造を有する。
【0069】
本発明は、さらに第2構成部分12または第3構成部分14に設けられた吊り下げ部7に活用して、眼鏡8、または、拡張現実/仮想現実/複合現実眼鏡、または、一般的な、視覚的遠隔案内装置から視線追跡キットを取り外す方法に関し、眼鏡8と視線追跡キットは、記載されたすべての実施形態に従って、本明細書に既に記載した構造を有する。
【0070】
本発明は、さらに、眼鏡8および視線追跡キットを含む視線追跡装置に関し、眼鏡8および視線追跡キットは、記載されたすべての実施形態に従って、本明細書に既に記載した構造を有する。
【国際調査報告】