(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】水性化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20231220BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20231220BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20231220BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/39
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537564
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2020001136
(87)【国際公開番号】W WO2022136902
(87)【国際公開日】2022-06-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502189579
【氏名又は名称】エルブイエムエイチ レシェルシェ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】岸田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小澤 舞
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD211
4C083AD212
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC07
4C083EE06
(57)【要約】
プルラン、構成単糖として、ウロン酸とアルドヘキソース環状物とを含むポリサッカライド、両親媒性物質、及び、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを含有する、水性化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プルラン、
構成単糖として、ウロン酸とアルドヘキソース環状物とを含むポリサッカライド、
両親媒性物質、及び、
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C
10-30))クロスポリマーを含有する、水性化粧料。
【請求項2】
前記ポリサッカライドが、シロキクラゲ多糖体である、請求項1に記載の水性化粧料。
【請求項3】
前記両親媒性物質が、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレングリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の水性化粧料。
【請求項4】
前記両親媒性物質が、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の水性化粧料。
【請求項5】
ポリオールを更に含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の水性化粧料。
【請求項6】
前記ポリオールが、グリセリン、ブチレングリコール、プロパンジオール、ペンチレングリコール及びポリオキシアルキレンメチルグルコシドからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項5に記載の水性化粧料。
【請求項7】
前記ポリオールの総含有量が、前記水性化粧料の全質量を基準として、10質量%以上35質量%以下、15質量%以上30質量%以下、又は20質量%以上25質量%以下である、請求項5又は6に記載の水性化粧料。
【請求項8】
水の含有量が、前記水性化粧料の全質量を基準として、50質量%以上95質量%以下、特に、55質量%以上80質量%以下、又は60質量%以上75質量%以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の水性化粧料。
【請求項9】
ローション、エッセンス又はマスクの形態である、請求項1~8のいずれか一項に記載の水性化粧料。
【請求項10】
ケラチン物質上、特に皮膚上への請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧料の適用を含む、ケラチン物質をケアするための化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、水性化粧料に関する。
【0002】
[背景技術]
使用時及び塗付後の肌の質感等を改善する化粧料に関しては、これまでにも種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特開2018-165258号公報には、プルラン、1,3-プロパンジオールを含む多価アルコール、及び水を含有し、プルランに対する前記多価アルコールの質量割合が50~250であり、多価アルコールに対する1,3-プロパンジオールの質量割合が0.2~1である滑らかな質感及び非粘着性を備える保湿化粧料が開示されている。特開2018-39790号公報には、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10、トリプロピレングリコール、及び比重0.80~0.95の油剤を含有する組成物が開示されている。
【0004】
[技術的課題]
水性化粧料は、みずみずしい質感を期待して、ローション、美容液等の種々の用途で用いられている。しかし、例えば、プルラン又はポリオールを高含量で添加することにより、水性化粧料に、みずみずしい質感及び弾力のあるしなやかな感覚を付与しようとすると、塗付後にべたつきやすくなる傾向がある。
【0005】
したがって、弾力のあるしなやかな感覚及び塗付時のみずみずしい感覚に優れながら、塗布後のべたつき(“非粘着性”ともいう)を抑制する水性化粧料を提供することが依然として求められており、本発明は、プルラン、構成単糖として、ウロン酸及びアルドヘキソース環状物を含むポリサッカライド、両親媒性物質、並びに、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーを組み合わせることによって、これらの期待に具体的に応えるものである。
【0006】
[発明の概要]
本発明の一側面は、プルラン、構成単糖として、ウロン酸とアルドヘキソース環状物とを含むポリサッカライド、両親媒性物質、及び、アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマーを含有する、水性化粧料に関する。
【0007】
特定の実施形態において、ポリサッカライドは、シロキクラゲ多糖体である。特定の実施形態において、両親媒性物質は、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレングリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含み、特に、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10を含む。
【0008】
水性化粧料は、ポリオールを更に含有してよい。ポリオールは、グリセリン、ブチレングリコール、プロパンジオール、ペンチレングリコール及びポリオキシアルキレンメチルグルコシドからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0009】
本発明はまた、本発明の化粧料組成物のケラチン物質、特に皮膚上への適用を含む、ケラチン物質をケアするための化粧方法に関する。本発明の化粧料は、スキンケア化粧料、特に老化防止化粧料を含むが、保湿化粧料、クレンジング化粧料、又はホワイトニング化粧料も含んでいてよい。
【0010】
[発明の詳細な説明]
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
一実施形態に係る水性化粧料は、(a)プルラン(以下「(a)成分」ともいう。)、(b)構成単糖として、ウロン酸とアルドヘキソース環状物とを含むポリサッカライド(以下「(b)成分」ともいう。)、(c)両親媒性物質(以下「(c)成分」ともいう。)、及び、(d)アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー(以下「(d)成分」ともいう。)を含有する。本明細書において、「水性化粧料」は、水を含み、非乳化系である(乳化物でない)化粧料である。
【0012】
プルラン
プルラン((a)成分)は、3個のグルコースがα-1,4結合したマルトトリオースが1つのユニットとなり、次のマルトトリオースにa-1,6結合で繰り返し結合した直鎖状のグルカンである。プルランは弾力のあるしなやかな感覚を与え、抗しわ効果を発揮する。
【0013】
特定の実施形態において、(a)成分の含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.3質量%以上、0.3質量%超、又は0.4質量%以上であってよく、5.0質量%以下、4.0質量%以下、3.0質量%以下、2.0質量%以下、1.5質量%以下、1.0質量%以下、0.8質量%以下、又は0.6質量%以下である。特定の実施形態において、(a)成分の含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.1質量%以上5.0質量%以下、特に0.2質量%以上3.0質量%以下、又は0.3質量%以上1.0質量%以下の範囲であってよい。
【0014】
(a)成分として、例えば、市販されているプルラン、特に株式会社林原製の“化粧品用プルラン”をそのまま用いることができる。
【0015】
ポリサッカライド
(b)成分は、構成単糖として、ウロン酸とアルドヘキソース環状物とを含むポリサッカライドである。(b)成分は、増粘剤としても作用する。ポリサッカライドは生物由来であってよい。本発明の生物由来ポリサッカライドは、抽出等により植物(植物由来)又は真菌(真菌由来、例えば、担子菌門、子嚢菌門)から取り出されたポリサッカライドを意味する。「生物由来」は微生物により産生された物質(例えば、高分子物質)を精製、加工した化合物も意味する。構成単糖は、L体であってもよく、D体であってもよい。(b)成分はポリサッカライド1種を単独用いてもよく、2種以上のポリサッカライドを組み合わせて用いてもよい。
【0016】
ウロン酸は、糖の酸化生成物であり、カルボキシ基を有する糖類誘導体である。ウロン酸としては、例えば、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、アラビノン酸、フルクツロン酸、タガツロン酸、イズロン酸、グルロン酸が挙げられる。ポリサッカライドは、ウロン酸1種を単独で含むものであってよく、ウロン酸の2種以上を組み合わせて含むものであってもよい。ウロン酸は、グルクロン酸、若しくはガラクツロン酸又はこれらの混合物であることが好ましい。
【0017】
アルドヘキソース環状物は、5個の炭素原子及び1個の酸素原子から構成される六員環を有するピラノースであってよい。アルドヘキソース環状物は、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース及びタロースからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてよい。特定の実施形態において、アルドヘキソース環状物は、グルコース、マンノース又はこれらの混合物を含む。
【0018】
特定の実施形態において、(b)成分は、上述のアルドヘキソース環状物1種及びウロン酸以外の他の構成単糖を含んでいてもよい。他の構成単糖として、デオキシアルドヘキソース環状物、及び/又はアルドペントース環状物を含んでいてもよい。
【0019】
デオキシアルドヘキソース環状物は、好ましくはデオキシアルドヘキソースから導かれる環状構造、すなわち、5個の炭素原子及び1個の酸素原子から構成される六員環を有するピラノースをいう。特定の実施形態において、デオキシアルドヘキソース環状物としては、フコース、フクロース、ラムノース及びこれらの混合物等が挙げられる。デオキシアルドヘキソース環状物は、1種を単独で含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであってよい。特定の実施形態において、デオキシアルドヘキソース環状物は、フコース(L-フコース等)、又はフコース及びラムノースの混合物であってよい。
【0020】
アルドペントース環状物とは、アルドペントースから導かれる、5個の炭素原子及び1個の酸素原子から構成される六員環又は4個の炭素原子及び1個の酸素原子から構成される五員環を有する環状ペントースをいう。特定の実施形態において、アルドペントース環状物としては、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース及びこれらの混合物等が挙げられる。アルドペントース環状物は、1種を単独で含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであってよい。アルドペントース環状物はキシロースであることが好ましい。そして、特定の実施形態において、他の構成単糖として、アルドペントース環状物(好ましくはキシロース)、又はデオキシアルドヘキソース環状物(好ましくはフコース)を含む。
【0021】
特定の実施形態において、(b)成分は、構成単糖として、(i)ウロン酸と、(ii)アルドヘキソース環状物と、(iii)デオキシアルドヘキソース環状物又はアルドペントース環状物と、を含む。特定の実施形態において、(b)成分は、主な構成単糖として上記(i)~(iii)を含んでいてよく、(i)~(iii)に加えて、更に他の構成単糖を含んでいてもよい。(b)成分の(i)、(ii)及び(iii)の合計割合が、例えば、構成単糖の総モル数に対して、50モル%以上であってよい。
【0022】
(b)成分は、構成単糖として、ガラクツロン酸、ガラクトース及びフコース(L-フコース等)を含んでいてよく、グルクロン酸、マンノース及びキシロースを含んでいてもよい。
【0023】
特定の好適な実施形態において、(b)成分は、シロキクラゲ多糖体及びビオサッカリドガム-1からなる群より選択される少なくとも1種を含む。
【0024】
シロキクラゲ多糖体は、シロキクラゲから抽出される多糖体である。シロキクラゲ多糖体は、グルクロン酸、マンノース及びキシロースを構成単糖とする真菌由来ポリサッカライドである。シロキクラゲ多糖体は、マンノースを構成単糖とする主鎖、及び、キシロースとグルクロン酸とを構成単位とする側鎖を有する。構成単糖のモル数に対するグルクロン酸のモル百分率は約20モル%である。シロキクラゲ多糖体としては、例えば、商品名Tremoist(登録商標) TP(INCI名 シロキクラゲ多糖体)(日本精化株式会社製)が挙げられる。Tremoist(登録商標) TPの平均分子量は100万以上である。
【0025】
ビオサッカリドガム-1は、ソルビトールから得られるソルビトール発酵多糖である。ビオサッカリドガム-1は、ガラクツロン酸、ガラクトース及びL-フコースを構成単糖として有するポリサッカライドである。ビオサッカリドガム-1としては、例えば、市販材料名:フコゲル(登録商標)(日光ケミカルズ株式会社製)が挙げられる。
【0026】
特定の実施形態において、(b)成分の総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.001質量%以上、0.005質量%以上、0.010質量%以上、又は0.015質量%以上であり、1.0質量%以下、0.5質量%以下、0.1質量%以下、0.08質量%以下、0.06質量%以下、0.04質量%以下、又は0.03質量%以下である。特定の実施形態において、(b)成分の含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.001質量%以上1.0質量%以下、特に0.005質量%以上0.10質量%以下、又は0.010質量%以上0.05質量%以下の範囲である。
【0027】
両親媒性物質
両親媒性物質((c)成分)は、1つの分子内に親水基と疎水基とを有する化合物である。親水基としては、例えば、ヒドロキシ基、ポリオキシエチレン基等のポリオキシアルキレン基が例示される。疎水基としては、例えば、長鎖アルキル基等の炭化水素基が例示される。
【0028】
プルランを含む組成物において、プルランに含まれる親水基に起因して、塗付時のべたつきが増加しやすい傾向がある。本発明では、両親媒性物質の使用によって、べたつき抑制されやすくなる。
【0029】
特定の実施形態において、(c)成分は、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、又はポリオキシアルキレングリセリルエーテルである。両親媒性物質は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0030】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10(例えば、NeosolueTM-AquaS(日本精化株式会社製))、ラウリン酸ポリグリセリル‐10(例えば、Sフェイス 10G-L、阪本薬品工業株式会社製製品)等が挙げられる。
【0031】
特定の実施形態において、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルとしては、ポリエチレングリコール(PEG)/ポリプロピレングリコール(PPG)/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン(例えば、WILBRIDE(登録商標)S-753D(日油株式会社製))、PPG-24 グリセレス‐24(例えば、Nikkol SG-G2424(日光ケミカルズ社製))等が挙げられる。
【0032】
(c)成分は、本発明の効果により一層優れる観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレングリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてよく、塗布後のべたつきがより一層抑制される観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステル、更により好ましくは特に(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル-10である。
【0033】
特定の実施形態において、(c)成分の総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.5質量%以上、1.0質量%以上、1.5質量%以上、2.0質量%超、又は2.5質量%以上であってよく、10.0質量%以下、8.0質量%以下、6.0質量%以下、又は4.0質量%以下である。特定の実施形態において、(c)成分の総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.5質量%以上10.0質量%以下、特に1.0質量%以上5.0質量%以下の範囲である。
【0034】
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C
10-30
))クロスポリマー
特定の実施形態において、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー((d)成分)は、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステルからなる群より選択される1種以上のモノマーと、炭素数10~30のアルキル基を有するアクリル酸アルキルとの共重合体をショ糖のアリルエーテル又はペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したポリマーである。
【0035】
市販品の(d)成分としては、例えば、PEMULENTM TR-1(Lubrizol製)、CARBOPOL(登録商標) ULTREZ 20(Lubrizol製)、PEMULENTM EZ-4U(Lubrizol製)等が挙げられる。
【0036】
特定の実施形態において、(d)成分の総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.10質量%以上、又は0.15質量%以上であってよく、5.0質量%以下、3.0質量%以下、1.0質量%以下、0.5質量%以下、又は0.3質量%以下である。特定の実施形態において、(d)成分の総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.01質量%以上5.0質量%以下、特に0.05質量%以上1.0質量%以下、又は0.10質量%以上0.5質量%以下の範囲である。
【0037】
ポリオール
特定の好適な実施形態において、水性化粧料は、少なくとも一以上のポリオールを含有する。ポリオールは、ヒドロキシ基を2個以上有する化合物である。ポリオール中のヒドロキシ基数は、例えば、2~10個又は2~8個であってよい。ポリオールは、1種を単独で含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであってもよい。ポリオールは、ヒドロキシ基数の異なるポリオールを2種以上含んでいてよい。ポリオールは、2個のヒドロキシ基を有するジオール(例えば、ブチレングリコール、プロパンジオール、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール及びカプリリルグリコール)、3個のヒドロキシ基を有するトリオール(例えばグリセリン)、及び4個のヒドロキシ基を有するテトラオールからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてよく、ジオール、トリオール及びテトラオールを含んでいてよい。
【0038】
ポリオールとしては、例えば、グリセリン、ブチレングリコール、プロパンジオール(例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール)、ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)、ポリオキシアルキレンメチルグルコシド、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコールが挙げられる。ポリオキシアルキレンメチルグルコシドとしては、例えば、メチルグルセス-20、メチルグルセス-10が挙げられる。特定の実施形態において、組成物は、少なくとも1つのトリオール、及び1以上のジオールを含み、特に、トリオールとして少なくともグリセリン、及び、ブチレングリコール、プロパンジオール(例えば、1,2-プロパンジオール及び1,3-プロパンジオール)、ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)、及び好ましくはそれらの混合物からなる群から選択される1以上のジオールを含む。
【0039】
特定の実施形態において、ポリオールの総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってよく、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、又は25質量%以下であってよい。特定の実施形態において、ポリオールの総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、5質量%以上40質量%以下、特に、10質量%以上35質量%以下、又は15質量%以上30質量%以下、又は20質量%以上25質量%以下の範囲である。
【0040】
トリオールの含有量が、水性化粧料の全質量を基準として、5質量%以上、又は8質量%以上であってよく、組成物を適用している間のみずみずしい感触がより得られやすくなる観点から、10質量%超、又は12質量%以上であってよい。トリオールの含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、25質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下であってよい。トリオールは1種を単独で含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであってもよい。特定の実施形態において、トリオールの総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、5質量%以上25質量%以下、特に10質量%以上20質量%以下、又は12質量%以上15質量%以下の範囲である。特定の好適な実施形態において、グリセリンの含有量が、水性化粧料の全質量を基準として、10質量%以上20質量%以下、好ましくは12質量%以上15質量%以下の範囲である。
【0041】
ジオールの含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、5質量%以上、又は8質量%以上であってよい。ジオールの含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、20質量%以下、又は15質量%以下であってよく、組成物を適用している間のみずみずしい感触がより得られやすくなる観点から、13質量%以下、又は10質量%以下であってよい。ジオールは1種を単独で含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであってもよい。特定の実施形態において、ジオールの総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、5質量%以上20質量%以下、特に8質量%以上13質量%以下の範囲である。
【0042】
テトラオールの含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.1質量%以上、又は0.3質量%以上であってよい。テトラオールの含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、5質量%以下、3質量%以下又は1質量%以下であってよい。テトラオールは1種を単独で含むものであってもよく、2種以上を組み合わせて含むものであってもよい。特定の実施形態において、テトラオールの総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.1質量%以上5質量%以下、特に0.3質量%以上3質量%以下の範囲である。
【0043】
水性化粧料は、水性化粧料の全質量を基準として、水を通常50質量%以上含む。水性化粧料中の水の総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、又は70質量%以上であってよく、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、又は80質量%以下であってよい。特定の実施形態において、水の総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、50質量%以上95質量%以下、特に55質量%以上80質量%以下、又は60質量%以上75質量%以下の範囲である。
【0044】
水性化粧料は、上記以外のその他の成分を更に含有してもよい。その他の成分としては、殺菌剤(例えば、クロルフェネシン)、モノオール、油剤、香料、pH調整剤及びこれらの混合物等が挙げられる。モノオールとしては、例えば、PPG-26-ブテス-26が挙げられる。油剤としては、例えば、PEG-40水添ヒマシ油が挙げられる。その他の成分の含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、例えば、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上、又は1.5質量%以上であってよく、5.0質量%以下、3.0質量%以下、又は2.0質量%以下であってよい。特定の実施形態において、その他の成分の総含有量は、水性化粧料の全質量を基準として、0.1質量%以上10質量%以下の範囲である。
【0045】
本実施形態に係る水性化粧料は、塗布後のべたつきなしで、弾力のあるしなやかな感覚及び塗付時のみずみずしい感覚に優れていることに加えて、透明であることができる。特定の実施形態において、本発明の水性化粧料は、アンプル容器に充填して用いることができる。
【0046】
水性化粧料は、例えば、上述した各成分を混合することを含む方法によって製造することができる。上述した各成分は、同時に又は別々に混合されてよい。上述した各成分は、任意の順番で混合されてよい。混合は、加熱しながら行ってもよい。
上記各実施形態に係る水性化粧料は、ローション(化粧水)、美容液、及びマスク(例えば、フェイスマスク)等の用途に特に好適に用いられる。本発明の水性化粧料としては、特に、老化防止化粧料(例えば、しわ防止化粧料)、クレンジング化粧料、保湿化粧料、又は美白化粧料等のスキンケア化粧料等が挙げられる。
【0047】
化粧方法
本発明はまた、ケラチン物質、特に皮膚上への本発明の化粧品組成物の適用を含む、ケラチン物質をケアするための化粧品方法に関する。特に、組成物は、顔及び/又は手に塗布される。
【実施例】
【0048】
以下、次に示す実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
<水性化粧料の調製>
クロルフェネシンを水に80℃で溶解して、クロルフェネシン及び水を含む(A1)成分を準備した。表1に示す成分をスパチュラで分散させることによって、(B)成分及び(E)成分を用意した。
【0050】
混合タンクに、成分(A1)を加えた。表1に示す組成の(A2)成分を混合タンクに徐々に添加し、室温で15分間撹拌した。表1に示す組成の(A3)成分を混合タンクに加え、撹拌しながら、80℃まで昇温した。(A1)成分、(A2)成分及び(A3)成分の混合物を30分間撹拌した。混合液を空冷して35℃に降温した。この際、70℃の条件下で、(B)成分を混合タンクに加えた。50℃の条件下で、表1に示す組成の(C)成分を混合タンクに加えた。40℃の条件下で、表1に示す残りの全成分を混合タンクに入れて撹拌した。攪拌後、混合液を35℃まで冷却し、目的とする水性化粧料を得た。
比較例は次のとおりである。
比較例1:本発明の成分(d)なし
比較例2:本発明の成分(d)なし
比較例3:本発明の成分(a)なし
比較例4:本発明の成分(b)なし
比較例5:本発明の成分(b)なし
比較例6:本発明の成分(b)なし
【0051】
<官能評価>
実施例及び比較例の水性化粧料に関して、弾力性及びしなやかな感覚、塗布後にべたつきがないこと、並びに、塗付時のみずみずしい感覚について官能評価を行った。官能評価では、各水性化粧料は、化粧料専門評価パネルにより皮膚に塗布し、以下の評価尺度で評価した。
【0052】
弾力性及びしなやかな感覚、塗布後にべたつきがないこと及び塗付時のみずみずしい感覚のすべての評価が「A」又は「B」である場合、これらの評価項目に優れていると判断される。
【0053】
(1)弾力性及びしなやかな感覚
A:強
B:中程度
C:ほとんどなし
D:なし
(2)塗布後にべたつきがないこと
A:まったく粘りがない
B:べたつきがほとんどない
C:多少の粘り
D:粘着性
(3)塗付時のみずみずしい感覚
A:強
B:中程度
C:ほとんどなし
D:なし
【0054】
【0055】
実施例1~5はいずれも比較例と比べて、弾力性及びしなやかな感覚、塗布後にべたつきがないこと並びに塗付時のみずみずしい感覚に優れていることが示された。これらの結果から、a)プルランを含む水性組成物において、b)構成単糖としてウロン酸とアルドヘキソース環状物とを含むポリサッカライド、c)両親媒性物質、及びd)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーを組み合わせることで、弾力性及びしなやかな感覚、塗布後にべたつきがないこと並びに塗付時のみずみずしい感覚に優れるという結果が達成されることを示す。
【国際調査報告】