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特表2023-554502インプラントを取り付けるためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】インプラントを取り付けるためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20231220BHJP
   A61F 2/06 20130101ALI20231220BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20231220BHJP
【FI】
A61B17/115
A61F2/06
A61F2/95
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537580
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-14
(86)【国際出願番号】 IB2021061846
(87)【国際公開番号】W WO2022130274
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】A275/2020
(32)【優先日】2020-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523227650
【氏名又は名称】メディツィニッシュ ウニベルズィテート ウィーン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンガー、エバルト
(72)【発明者】
【氏名】エールリッヒ、マレク
(72)【発明者】
【氏名】オソリオ、エミリオ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB04
4C097DD11
4C160CC32
4C267AA33
4C267AA45
4C267BB26
4C267BB31
4C267CC08
(57)【要約】
人工血管用の固定部位としての一次インプラント2を血管の血管壁16に取り付けるためのデバイスであって、キャリア部材であり、複数の貫通部材3を血管壁16を貫通するようにキャリア部材の長手軸線に対して放射方向外側に駆動するように構成されている、キャリア部材、を少なくとも備えるデバイスにおいて、キャリア部材上に、貫通部材3に対する放射方向の停止部として、抑止部材4が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工血管用の固定部位としての一次インプラント(2)を血管の血管壁(16)に取り付けるためのデバイスであって、キャリア部材であり、前記血管壁(16)を貫通するための複数の貫通部材(3)を前記キャリア部材の長手軸線に対して放射方向外側に駆動するように構成されている、前記キャリア部材、を少なくとも備えるデバイスにおいて、前記キャリア部材上に、前記貫通部材(3)に対する放射方向の停止部として抑止部材(4)が形成されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記抑止部材(4)は調整可能な直径を有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記抑止部材(4)は前記キャリア部材と一体に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記抑止部材(4)は前記キャリア部材を取り囲むリングとして形成されていることを特徴とする、請求項1、2、又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記抑止部材(4)は、前記キャリア部材に固定されている複数のプレートによって、好ましくは前記長手軸線から放射方向において調整可能な距離を置いて、形成されていることを特徴とする、請求項1、2、又は3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記一次インプラント(2)は、前記デバイスに着脱可能に固定されている前記デバイスの一部として前記キャリア部材の放射方向外側に配置されており、前記一次インプラント(2)は前記貫通部材(3)によって貫通可能であり、好ましくは放射方向に拡張可能であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記一次インプラント(2)は繊維材料で製作されるチューブとして設計されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記繊維材料のチューブはその周縁に、好ましくは歯の付いた、切り抜き部を有することを特徴とする、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記一次インプラント(2)は格子壁を有する金属製チューブとして設計されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記一次インプラント(2)は変形可能な拡張領域(19)を有するリング(18)として設計されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記キャリア部材は、前記複数の貫通部材用の放射方向に拡張可能な共通の支持構造体を備えることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記一次インプラント(2)は、繊維材料のチューブとして設計されており、放射方向外側に延びる針状突起として設計されている貫通部材(3)を有し、前記繊維材料のチューブはその周縁に、好ましくは歯の付いた、切り抜き部を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記一次インプラント(2)は、格子壁を有する金属製チューブとして形成されており、前記格子壁に固定されており好ましくはこれと一体に形成されている、放射方向外側を向いた針状突起として設計されている貫通部材(3)を有することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記一次インプラント(2)は、変形可能な拡張領域(19)を有するリング(18)として設計されており、前記リング(18)に固定されており好ましくはこれと一体に形成されている、放射方向外側に延びる針状突起として設計されている貫通部材(3)を備えることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記キャリア部材は中央押しロッド(6)を備え、前記中央押しロッド(6)の一端には複数の折り畳み可能なあぶみ状部(5)が支持構造体(10)としてヒンジ式に取り付けられており、前記あぶみ状部(5)の各々は作動ロッド(7)に接続されており、前記あぶみ状部(5)は前記作動ロッド(7)に対する前記押しロッド(6)の相対的な軸方向変位によって放射方向に拡張可能であることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記あぶみ状部(5)は前記押しロッド(6)の周囲に放射方向において星型に配置されていることを特徴とする、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記作動ロッド(7)は前記押しロッド(6)を取り囲むケージを形成しており、その中で前記押しロッド(6)が案内されることを特徴とする、請求項15又は16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記デバイスは、少なくとも部分的な領域(5a)において、好ましくは抵抗加熱器の形態の、前記あぶみ状部(5)を加熱するための手段を備えることを特徴とする、請求項15、16、又は17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記キャリア部材は、反対のねじ山を有する2つのねじ山付き区域(12a、12b)を有するねじ山付きロッド(12)が中に装着されている、ベース本体(11)と、前記ねじ山付き区域(12a、12b)の各々上に配置されている、前記ベース本体(11)に対して回転可能に固定された様式で装着されているねじ(13a、13b)と、前記ねじ(13a、13b)に固定されており前記ねじ(13a、13b)を支持構造体(10)として接続している、好ましくはシート若しくはワイヤの形態の金属で又はプレート若しくはワイヤの形態の合成材料で製作されている、可撓性拡張要素(14)と、を備えることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記キャリア部材は拡張要素(14)用の第1の軸受(23)用の案内ロッド(12)を備え、前記第1の軸受(23)は、前記案内ロッド(12)に沿って変位可能に案内され、好ましくはケーブルの引き(25)によって、前記案内ロッド(12)上に変位可能に装着されていない拡張要素(14)用の第2の軸受(24)に対して変位させることができ、前記拡張要素(14)は、好ましくはシート若しくはワイヤの形態の金属で又はプレート若しくはワイヤの形態のプラスチックで製作されており、前記軸受(23、24)に支持構造体(10)として固定されており、前記軸受(23、24)を接続していることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記拡張要素(14)は、前記ねじ山付きロッド(12)又は案内ロッド(12)の周囲に放射方向において星型に配置されていることを特徴とする、請求項19又は20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記支持構造体(10)は、拡張時に前記ベース本体(11)を貫通して突出する、前記一次インプラント(2)用の隆起した支持体(15)を有することを特徴とする、請求項19から21までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
複数のばね付勢されたブロック、好ましくは金属製ブロックが前記案内ロッド(12)に固定されており、それらは前記支持体(15)に対して当接するように解放可能であることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記キャリア部材は、ハウジング(20)と、前記ハウジング(20)内にある前記貫通部材(14)用の放射方向外側を向いた案内部(22)と、を有し、前記案内部(22)に沿って前記貫通部材(14)を放射方向外側に駆動できることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記キャリア部材は前記複数の貫通部材用の放射方向に拡張可能な共通の支持構造体(10)を有し、前記キャリア部材は、前記一次インプラント用の複数の放射方向に変位可能な支持体(29)と協働する、中央押しロッド(6a)を有し、好ましくは前記複数の支持体(29)の各々において対応するリンク案内部(30)が介在しており、前記支持体(29)は前記支持体(29)に対する前記押しロッド(6a)の軸方向変位によって放射方向外側に駆動可能であることを特徴とする、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記貫通部材用の前記放射方向外側を向いた案内部は、前記キャリア部材の前記長手軸線に対して同軸で互いから離間されて配置されており、前記案内部を放射方向に延在する凹部として備える、少なくとも2つの第1のディスクに形成されていることを特徴とする、請求項24又は25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記貫通部材は前記貫通部材用の支持体上の前記案内部内で放射方向外側に駆動され得ることを特徴とする、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記案内部は第2の案内領域を各々有し、前記第2の案内領域は前記第2の案内領域と軸線方向において隣り合う第1の案内領域と比較して、前記ディスクの周方向において広くなっていることを特徴とする、請求項26又は27に記載のデバイス。
【請求項29】
前記支持体は前記第2の案内領域の増肉部と係合することを特徴とする、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
前記第2の案内領域は前記第1のディスクと隣り合う対応する前記第2のディスクに形成され、前記第2のディスクは放射方向に延在して前記第2の案内領域を形成する凹部を有することを特徴とする、請求項28又は29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記ディスクは、軸方向の凹部又は穴と、その中に受けられている案内ロッドと、前記案内ロッド上に設けられているらせんばねと、を有する共通のシャフト上に装着されており、前記らせんばねは各々が把持要素によって少なくとも部分的に前記案内ロッドから引き出し可能であり且つ案内部に挿入可能であることを特徴とする、請求項26、27、又は28に記載のデバイス。
【請求項32】
全てのらせんばねの前記把持要素が一緒に作動可能であることを特徴とする、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
前記らせんばねは前記第2の案内領域内に挿入可能であることを特徴とする、請求項31又は32に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工血管用の固定部位としての一次インプラントを血管の血管壁に取り付けるためのデバイスに関し、このデバイスは、キャリア部材であって、複数の貫通部材を血管壁を貫通するようキャリア部材の長手軸線に対して放射方向外側に駆動するように構成されている、キャリア部材、を少なくとも備える。
【背景技術】
【0002】
上行大動脈解離(A型解離)は直ちに手術が必要な生命を脅かす疾患である。急性A型解離では、外科的治療の第一の目標は、循環を回復させること、及び、大動脈破裂、心膜タンポナーデ、心筋虚血などの生命を脅かす合併症を予防又は解消することにある。外科的治療の更なる目標は、可能であれば、近位大動脈の内膜の裂傷(偽腔への流入口)を切除して、真腔の、ひいては臓器の灌流を確保することである。
【0003】
急性A型解離に対する従来の外科的治療には上行大動脈を管状人工器官の形態の人工血管で置換することが含まれ、遠位吻合は「開胸(open)」技法及び約25℃の深部体温での低体温循環停止を用いて行う。
【0004】
外科的到達法は胸骨正中切開による。人工心肺を使用し患者を冷却して、低頭位で循環停止を開始し、上行大動脈を開くことができる。真腔を確認し、上行大動脈をその遠位部分まで切除して、遠位上行大動脈を開いた管のように見ることができるようにする。
【0005】
このとき、現在一般的な外科的手技では、大動脈壁(内膜、中膜、外膜)の破損又は剥離した部分をいわゆる「サンドイッチ」法で縫合する。これは、一次インプラント、例えばフェルト・ストリップ、すなわち繊維材料のストリップを、大動脈の内側に円形又は放射方向に設置し、必要であれば、二次インプラント、例えばフェルト・ストリップを、大動脈の外側に円形又は放射方向に配置することによって行われる。その後手作業で、ポリプロピレン縫合糸を使用して、これら2つのフェルト・ストリップとこれらの間の大動脈壁を互いに縫合する(サンドイッチ)、連続した蛇行縫合を行う。
【0006】
手術のこのステップには約25分を要するが、手術経験によって10分前後することがあり得る。その後第2のステップとして、今度は固定部位であるこのサンドイッチ断端に管状の人工器官を、ポリプロピレン縫合糸を使用して端同士を手作業で連続的に縫合する。
【0007】
適切な収縮操作後、この時点で縫い付け済みの人工器官上に今度は大動脈クランプを設置することができ、循環停止は解除されたものと見なされる。手術の最も致命的な段階は通常はこのように克服される。次いで、上述した同じ技法を用いて、冠動脈の上の心臓に近い近位端で、生来の大動脈のサンドイッチも行う。その後人工器官の近位端を、このサンドイッチ(固定部位)に上記したように端同士で縫合する。
【0008】
正常な血液循環が阻害され身体及び脳が極度に冷却されるこのような影響の大きい手術では、患者の生存及び回復の可能性を最適化するために、時間的要因が非常に重要であることは明らかである。特に、サンドイッチ縫合を適用して解離を処置するための上記した手技は、患者の個々の状況、血管壁の解離の程度、そして最後であるが重要なこととして、外科医の技量に大きく依存する。
【0009】
そのため、特に、ポリプロピレン縫合糸を連続した蛇行する縫合糸の形態にセットする時間のかかるステップをステープルなどの貫通部材を機械挿入する方法に置き換えることによって、一次インプラント及び必要に応じて二次インプラントの設置を簡単且つ迅速にするためのデバイスが、既に開発されている。この目的のために、貫通部材をキャリア部材から外側に押し出し、以って貫通部材に一次インプラントだけでなく血管壁をも貫通させ、また必要であれば二次インプラントを貫通させるためのデバイスが作成されてきた。
【0010】
しかしながら、これらのデバイスの欠点として、一次インプラントだけでなく血管壁も貫通されるため、場合によっては既に損傷している血管に高いひずみ荷重がかかり得ることが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって本発明は、本発明の文脈でステント及び/又はフェルト・ストリップなどの血管壁用の支持構造体として理解される一次インプラントの、血管壁への、特にヒトの大動脈壁への、大部分が機械化された取り付けを、高いひずみ荷重が回避されるような方法で対応するデバイスを作成することによって改善する、という課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この問題を解決するために、上記したタイプのデバイスは、キャリア部材上に貫通部材に対する放射方向の停止部として形成されている、抑止部材を有する。抑止部材が放射方向の停止部として、すなわち血管を取り囲む境界として設けられていることは、血管に対する拡張応力の大部分が回避され、貫通部材を特に迅速に且つ血管を裂開するリスクなしに設置できることを意味する。
【0013】
様々な解剖学的条件にデバイスを適合させるために、本発明に係るデバイスは好ましくは、抑止部材が調整可能な直径を有するように更に設計される。
【0014】
抑止部材は、本発明に係るデバイスの独立した構成要素として提供されてもよい。しかしながら、本発明の好ましい実施例に対応するように、抑止部材がキャリア部材と一体に形成されることも実現され得る。
【0015】
好ましくは、本発明は、抑止部材がキャリア部材を取り囲むリングとして形成されるように、更に構成される。これは本発明に係るデバイスの抑止部材の特に単純な変形例であるが、これによって予め血管壁の良好な外側方向の支持を達成できる。
【0016】
本発明の代替の好ましい実施例によれば、抑止部材は、好ましくは長手軸線から放射方向に調整可能な距離でキャリア部材に固定されている、複数のプレートによって形成される。プレートはここでは、血管を外側で取り囲んで血管壁を支えるように形成されており、プレートは好ましくは、仮想円の円周に沿って配置され、その結果血管を出血するような様式で取り囲んでいる。このことにより、プレートによって形成される抑止部材の直径を調整するために、キャリア部材を血管の内腔に挿入する前にプレートを適宜曲げることが可能になる。しかしながら、好ましい様式では、対応する機構によって、プレートをそのキャリア軸線からの距離に関して調整することも考えられる。
【0017】
本発明の好ましい実施例によれば、一次インプラントは、デバイスに着脱可能に固定されたデバイスの一部としてキャリア部材の放射方向外側に配置され、その場合、一次インプラントは貫通部材によって貫通可能であり、好ましくは放射方向に拡張可能である。このことは、本発明に係るデバイスが一次インプラントを予め備えており、そのため一次インプラントを、本発明に係るデバイスのキャリア部材の挿入と共に血管の内腔に挿入することができ、その後、貫通部材を一次インプラント及び血管壁に送り込むことによって、直ちに血管壁に固定できることを意味している。
【0018】
一次インプラントの変形例として、本発明の好ましい実施例によれば、一次インプラントが繊維材料のチューブとして形成されることが実現され得る。一次インプラントは前述のフェルト・ストリップに相当し、拡張可能なキャリア部材によって拡張させて血管壁に接触させ、このことにより解離に沿わせることができる。
【0019】
本発明の好ましい実施例によれば、一次インプラントの拡張性を確保するために、繊維材料のチューブはその周縁に、好ましくは歯の付いた、切り抜き部を有する。この切り抜きにより、支持構造体が拡張しその結果血管壁に接触する際に、一次インプラントが血管内腔への挿入が容易な小径から拡張することが可能になる。
【0020】
更なる好ましい変形例によれば、本発明は、一次インプラントに関して、一次インプラントが格子壁を有する金属製チューブとして設計されていることを特徴とする。この場合、本発明のデバイスの一次インプラントは、剥離した血管壁をそれらに沿うように支承する従来の金属製ステントと、実質的に同様である。
【0021】
更なる好ましい変形例によれば、本発明は、一次インプラントに関して、一次インプラントが変形可能な拡張領域を有するリングとして設計されていることを特徴とする。この場合の変形可能な拡張領域は、リングの周方向区域同士の間にコイル状の接続ウェブを有する領域とすることができ、それら周方向区域は、キャリア部材が、及びしたがって適用可能な場合は一次インプラントが拡張する際に、引き離される。
【0022】
本発明の好ましい実施例によれば、前述の一次インプラントを画定するために、キャリア部材は、複数の貫通部材用の放射方向に拡張可能な共通の支持構造体を有する。この結果貫通部材は、キャリア部材上又はキャリア部材内に位置付けられ、保持され、放射方向に拡張可能な支持構造体によって、一次インプラントを貫通し続いて血管壁を貫通するように外側に駆動させることが可能であり、以って一次インプラントが血管壁に取り付けられる。
【0023】
貫通部材を予め備えておりしたがって直前に述べた取り付け方法に従って血管壁に取り付ける必要のない代替の一次インプラントを、以下に説明する。これにより、血管壁への縫合による一次インプラントと本発明に係るデバイスとの迅速な取り付けが特に保証される。
【0024】
本発明の好ましい実施例によれば、この文脈における一次インプラントは、繊維材料のチューブとして形成されており、放射方向外側に延びる針状突起としての貫通部材を有し、繊維材料のチューブはその周縁に、好ましくは歯の付いた、離間部を有する。一次インプラントはこの場合も前述のフェルト・ストリップに相当し、拡張可能なキャリア部材によって拡張されて血管壁と接触し、このようにして解離を供給する。しかしながら、一次インプラント自体が貫通部材を備えており、このためそれらをキャリア部材上又はキャリア部材内に位置付ける必要はない。
【0025】
別法として、一次インプラントに関して、本発明に係るデバイスは好ましくは、一次インプラントが格子壁を有する金属製チューブとして設計され、格子壁に固定され好ましくはそれらと一体に形成される、放射方向外側を向いた針状突起としての貫通部材を有するように、更に構成され得る。この場合、本発明のデバイスの一次インプラントはやはり、剥離した血管壁をそれに沿うように支承する金属製ステントと、実質的に同様である。しかしながらこの場合、一次インプラント自体が貫通部材を備えており、このためそれらをキャリア部材上又はキャリア部材内に位置付ける必要はない。
【0026】
本発明の別の代替の好ましい実施例によれば、一次インプラントは変形可能な拡張領域を有するリングとして形成され、リングに固定され好ましくはそれと一体に形成される、放射方向外側に延びる針状突起としての貫通部材を有する。この場合の変形可能な拡張領域は、リングの周方向区域同士の間にコイル状の接続ウェブを有する領域とすることができ、それら周方向区域はキャリア部材が拡張する際に引き離される。この場合もまた、一次インプラント自体が貫通部材を備えており、このためそれらをキャリア部材上又はキャリア部材内に位置付ける必要はない。
【0027】
これまでに説明した一次インプラントは、本発明に係るデバイスの更なるインプラントによって補完することができる。この目的のために、本発明の好ましい実施例によれば、貫通部材の放射方向外側に、繊維材料のチューブの形態の二次インプラントが配置されることが実現され得る。この場合の二次インプラントは、上記した一次インプラントのタイプに関わらず、冒頭で述べたフェルト・ストリップと同様であり、一次インプラントと二次インプラントの集合体を血管壁に内側及び外側から固定するために、同じく貫通部材によって貫通される。
【0028】
キャリア部材に関して、本発明に係るデバイスは、好ましい実施例によれば、キャリア部材は中央押しロッドを備え、その一端には支持構造体として複数の折り畳み可能なあぶみ状部(stirrup)がヒンジ接続されており、あぶみ状部の各々は作動ロッドに接続されており、あぶみ状部はあぶみ状部の作動ロッドに対する押しロッドの相対的な軸方向変位によって放射方向に拡張可能であることを特徴とする。この場合あぶみ状部は押しロッドの一方の端部位置で程度の差はあれ押しロッドに当てられ、押しロッドが作動ロッドに対して変位されると平行四辺形に似た様式で直線状になる。このことより、外科医が容易に操作でき、一次インプラント、貫通部材、及び必要に応じて二次インプラントのドーズ可能な接触力を血管壁に対して及び次いで抑止部材に対して加えることを可能にする、貫通部材を有する一次インプラントを拡張するための簡単な機構が提供される。この場合、押しロッド及び作動ロッドは好ましくは、本発明に係るキャリア部材を血管上の所望の場所にインサイチュ(in situ)で挿入し易くするために、可撓性ロッドとして設計され得る。この場合、少なくとも押しロッドは、ボーデン・ケーブルとして設計される。
【0029】
原理的には、血管壁又は大動脈壁を締め付けるには、並びに、一次インプラントを及び必要であれば二次インプラントを血管壁に取り付けるには、2つの折り畳み可能なあぶみ状部で既に十分であり得る。ただし、あぶみ状部が押しロッドの周囲に放射方向に星型に配置されるのが好ましい。このことは、血管壁を円形に覆い一次インプラントを血管壁に取り付けるために、3つ以上、特に12個から16個の折り畳み可能なあぶみ状部が設けられることを意味する。
【0030】
本発明の好ましい実施例によれば、3つ以上の折り畳み可能なあぶみ状部が設けられる場合、あぶみ状部の作動ロッドは、中で押しロッドが案内される、押しロッドを取り囲むケージを形成し得る。この場合、押しロッドは押しロッドの全側面に沿って案内され、近位端において、すなわち、あぶみ状部から間隔を置かれたキャリア部材の端部において、例えば周方向リングを用いて連結される。
【0031】
典型的には、単純なピンの場合、貫通部材は、血管の外面に、若しくは一次インプラントの放射方向外側の二次インプラントに、及び適用可能な場合は血管壁の放射方向外側に位置付けられた二次インプラントに、のいずれかで糊着される、又は、ステープルの場合、それらは血管の外面上へと折り曲げられて、貫通部材、一次インプラント、及び適用可能な場合は二次インプラントが、血管壁にしっかりと取り付けられる。好ましくは、貫通部材はいわゆる形状記憶材料で製作されており、加熱されると屈曲形態に変換される。加熱をもたらすために、本発明の好ましい実施例によれば、デバイスは、好ましくは抵抗加熱器の形態の、あぶみ状部を少なくとも部分的な領域において加熱するための手段を備え得る。本発明のこの好ましい実施例では、一次インプラント及び血管壁を貫通した後で貫通部材を加熱することができ、以ってそれらを再形成された形態にすることができる。この場合、貫通部材を抑止部材に貫通部材の冷間変形が生じるほど緊密に押し付ける必要はなく、このため一次インプラント及び必要に応じて二次インプラントの血管壁への固定は、特に穏やかに行われる。
【0032】
本発明の代替の実施例によれば、キャリア部材は、反対方向に走るねじ山を有する2つのねじ山付き区域を有するねじ山付きロッドが装着されているベース本体を有し、ベース本体に対して回転可能に固定された様式で取り付けられたねじがねじ山付き区域の各々に配置されており、好ましくはシート若しくはワイヤの形態の金属で製作された又はプレート若しくはワイヤの形態のプラスチックで製作された拡張要素が、支持構造体としてねじに固定され、ねじを接続している。これは、スピンドルのねじを互いに対して移動させるための2つの逆回転スピンドル駆動部が単一のねじ山付きロッド上に形成され、結果的に、ねじがねじ山付きロッド上で収束するにつれ拡張要素が曲げられ、以って放射方向外側に駆動されるようになっている、キャリア部材の拡張の1タイプを表している。この場合、ねじ山付きロッドは好ましくは、本発明に係るキャリア部材を血管上の所望の場所にインサイチュで挿入し易くするために、可撓性ロッドとして設計され得る。
【0033】
本発明の更なる代替の実施例によれば、キャリア部材は、拡張要素用の第1の軸受用の案内ロッドを有し、第1の軸受は案内ロッドに沿って変位可能に案内され、好ましくはケーブルの引きによって、拡張要素用の第2の軸受に対して変位させることができ、第2の軸受は案内ロッド上に変位可能に取り付けられておらず、拡張要素は、好ましくはシート若しくはワイヤの形態の金属で又はプレート又はワイヤの形態のプラスチックで製作されており、軸受に支持構造体として固定されており、軸受同士を連結している。この場合、案内ロッドは好ましくは、本発明に係るキャリア部材を血管上の所望の場所にインサイチュで挿入し易くするために、可撓性ロッドとして設計され得る。
【0034】
原理的には、血管壁又は大動脈壁を締め付けるには、並びに、一次インプラントを及び必要であれば二次インプラントを血管壁に取り付けるには、2つ拡張要素で既に十分であり得る。しかしながら、拡張要素が、ねじ山付きロッド又は案内ロッドの周囲の放射方向において、星型に配置されることが好ましい。このことは、血管壁を円形に拡張し一次インプラントを血管壁に取り付けるために、3つ以上の、特に4つから8つの、特に6つの拡張要素が設けられることを意味する。
【0035】
キャリア部材が拡張するときに貫通部材に制御された様式で接触圧力を加えるために、本発明は好ましくは、拡張要素が、拡張中にベース本体を貫通して突出する貫通部材用の隆起した支持体を有するように、更に具現化される。
【0036】
本発明は、更に好ましくは、複数のばね付勢されたブロック、好ましくは金属製ブロックが案内ロッドに固止され、支持体に当接するように離脱可能であることを特徴とする。本発明のこの好ましい実施例では、一次インプラント、血管壁、及び必要に応じて第2のインプラントの貫通後に貫通部材を確実なストロークでそれらの最終位置まで移動させることが可能であり、このことにより、貫通部材は抑止部材のところで確実に折り曲げられ、以って強固に係止される。
【0037】
本発明の代替の好ましい実施例は、キャリア部材が、ハウジングと、ハウジングに設けた、貫通部材用の放射方向外側を向いた案内部であって、これに沿って貫通部材を放射方向外側に駆動できる、案内部と、を備えることを特徴とする。この場合、貫通部材は支持部材上に定置されず、キャリア部材のハウジングの内部から外側へと、並びにその後一次インプラント、血管壁、及び適用可能な場合は二次インプラントを貫通するように駆動され、このとき貫通部材は抑止部材のところで折り曲げられ、以って係止される。この点に関して、好ましい実施例によれば、ハウジングは、可撓性の接続部分によって、本発明に係るデバイスを作動させるためのハンドルに接続され得る。
【0038】
本発明の直前に開示されたこの実施例に関連して、好ましくは、キャリア部材が複数の貫通部材用の放射方向に拡張可能な共通の支持構造体を有し、キャリア部材は複数の一次インプラント用の放射方向に変位可能な支持体と協働する中央押しロッドを有し、好ましくは複数の支持体の各々においてリンク案内部が介在しており、支持体は支持体に対する押しロッドの軸方向変位によって放射方向外側に駆動可能であることが実現される。このことは、一次インプラント用に複数の支持体から成る支持構造体が設けられ、支持体はせん断に関して軸線方向に固定され放射方向には変位可能となるようにハウジング内に装着されることを意味する。押しロッドがハウジング内で支持体に対して軸方向に変位すると、支持体が放射方向外側に駆動され、繊維材料のチューブ、格子壁を有する金属製チューブ、又は上記したような変形可能な拡張領域を有するリングなどの一次インプラントを、血管壁に対して内側から当接させる。その後、貫通部材を、キャリア部材のハウジングの内部から外側へと、並びにその後一次インプラント、血管壁、及び適用可能な場合は二次インプラントを貫通するように駆動することができ、このとき貫通部材は抑止部材のところで折り曲げられ、以って係止される。
【0039】
好ましくは、貫通部材用の放射方向外側を向いた案内部は、キャリア部材の長手軸線に対して同軸であり、互いから離間されており、案内部を放射方向に延在する凹部として有する、少なくとも2つの第1のディスクに形成される。貫通部材用の案内部はこの場合、典型的には円形のディスクに、本発明に係るデバイスの長手軸線に対して放射方向に走る、スロット又はチャネルなどのいわば凹部として形成され、このとき凹部は、長手軸線から外側へと星型に走るようになっている。この場合、2つのディスクの一方に星型に延在する凹部のうちの1つと、2つのディスクの他方に星型に延在する凹部のうちの1つは、各々がこのように長手軸線に関して互いから離間されており互いに対向している一対の凹部を形成し、その各々の中で、貫通部材のうちの1つが案内され、外側に駆動される。長手軸線に関して互いに離間されたディスクにおける案内部の配置では、ディスクは好ましくはプラスチックで製作され、外側へと星型に走る多数の凹部又はスロットを、長手軸線を中心とした周方向において互いに近い案内部として、依然として製造が適度に容易なデバイスにおいて配置することが可能となる。
【0040】
本発明の好ましい実施例によれば、案内部内の貫通部材は、貫通部材用の支持体上で放射方向外側に駆動され得る。この実施例では、貫通部材は支持体上に定置される。このことにより、異なるタイプの貫通部材であっても確実に駆動して、外側まで案内することが可能になる。
【0041】
案内部は、その放射方向の広がりに対して垂直に延びる断面で見ると、第2の案内領域は、第2の案内領域と軸線方向において隣り合う第1の案内領域と比較してディスクの周方向において広くなっている、第2の案内領域を各々有し得るが、これは本発明の好ましい実施例に合致している。このことにより、より狭い第1の案内領域で貫通部材を精確に案内すること、及び、貫通部材を外側に駆動するために使用される機構に、より広い第2の案内領域において十分な空間を提供することが可能になる。
【0042】
更に、本発明の好ましい実施例によれば、異なるサイズの案内領域を設けることにより、増肉部を有する支持体が第2の案内領域に係合する際に、貫通部材用の支持体をより良好に案内することが可能になる。
【0043】
拡張された第2の案内領域を可能な最も簡単な方法で作り出すために、本発明は好ましくは、この目的のために、第2の案内領域が第1のディスクと隣り合う対応する第2のディスクに形成され、このディスクが、放射方向に延びて第2の案内領域を形成する凹部を有するように、更に構成される。この場合第二のディスクは第一のディスクと非常によく似た設計であり、一般に、放射方向に延在する凹部が、周方向においてより大きい幅を有する点のみが変更されている。本発明のこの好ましい実施例では、長手軸線に沿って間隔を置いた2つのディスク・パックが形成され、貫通部材用の、及び適用可能な場合は支持体用の、案内部を形成している。
【0044】
本発明の好ましい実施例によれば、案内部材又は支持体を駆動するための機構は、ディスクが軸方向の凹部又は穴と、その中に受けられている案内ロッドと、案内ロッド上に保持されているらせんばねと、を有する共通のシャフト上に装着され、らせんばねは各々が把持要素によって少なくとも部分的に案内ロッドから押し離され案内要素内に入るようなかたちで、実現される。シャフトは複数の軸部分から成ることができ、遠位に位置付けられた把持要素用の作動ロッドが通れるように、中空であり得る。その場合この機構により、案内部ごとに、対応する案内ロッド上に別々のらせんばねを収容することが実現される。把持要素の作用に起因して、本発明に係るデバイスの対応する形状設定により、ばねを少なくとも部分的に案内ロッドから押し離し、案内部内に押し込むことができる。らせんばねが案内ロッドから押し離されるとばねは弛緩し、貫通部材は必要に応じて支持体を介在させながら、対応する長さの増加によって外側に駆動される。
【0045】
好ましくは、貫通部材が本発明に係るデバイスの周縁の外側へと同時に駆動されるように、全てのらせん状要素の把持要素を一緒に作動させることができる。
【0046】
らせんばねは第2の案内領域に挿入可能であるが、これは本発明の好ましい実施例に従うものである。上で示したように、第2の案内領域はばねに十分な空間を提供し、一方、貫通部材の確実な案内が、第1の案内領域内で達成される。
【0047】
以下では、図面に示す実施例の例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】支持構造体が拡張した状態にある、本発明に係るデバイスのキャリア部材の概略的に表す図である。
図2】半ば倒れた支持構造体を有するキャリア部材を示す図である。
図3】未拡張状態の一次インプラントを有する代替のキャリア部材の断面図である。
図4】拡張状態にある図3に係るキャリア部材を示す図である。
図5図3及び図4に係るキャリア部材の詳細の斜視図である。
図6】本発明に係るデバイスの一次インプラントの変形例を示す斜視図である。
図7】ハウジングとハウジングに設けた貫通部材用の放射方向外側を向いた案内要素とを有する、本発明に係るデバイスの好ましい変形例の図であり、貫通部材は延伸していない状態である。
図8】外側に駆動された貫通部材を有する図7に係るデバイスの図である。
図9図7及び図8に係るデバイスの斜視断面図である。
図10図7から図8に係るタイプのデバイスにおける一次インプラント用の支持構造体を表す図である。
図11】未拡張状態の図10の支持構造体の断面図である。
図12】未拡張状態の図10及び図11の支持構造体の断面図である。
図13】未拡張の貫通部材を有する図7図8、及び図9に係るデバイスの変形例の詳細である。
図14】外側に駆動された貫通部材を有する図10に係るデバイスの図である。
図15図3に係るデバイスの変形例の図である。
図16】複数のディスクに形成された貫通部材用の案内部を有する、本発明の好ましい変形例の透視図である。
図17図16に係る部分断面図である。
図18】引き込まれたらせんばねを有する図17の図である。
図19】途中まで延伸したらせんばねを有する図17の図である。
図20】引き込まれたらせんばねを有する図16から図19に係るデバイスの断面図である。
図21】延伸したらせんばねを有する図16から図19に係るデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1では本発明に係るデバイスは参照番号1で指定されている。デバイス1は、図1の例では針状突起又はフックの形態の貫通部材3を有する、一次インプラント2から成る。参照番号4は、拡張時に一次インプラントを押し付けることができ、貫通部材に対する放射方向の停止部を形成する、抑止部材を表す。支持構造体10に関して、デバイス1は、押しロッド6にヒンジ式に固定された、複数の折り畳み可能なあぶみ状部5を有する。あぶみ状部5は作動ロッド7に各々接続されており、このことによりあぶみ状部5は、押しロッド6に対する作動ロッド7の矢印8の方向への相対的な軸方向変位によって、放射方向に拡張可能である。複数の作動ロッド7がデバイスの近位端9においてリングによって組み合わされて、中で押しロッド6が案内されるケージが形成される。
【0050】
図2及びそれ以降の図において、同一の又は対応する部分には同一の参照番号が付されている。作動ロッド7が押しロッド6に対して矢印9の方向に移動されると、あぶみ状部5が一緒に倒れるか又は畳まれることが見て取れる。あぶみ状部5の部分的な領域5aは、上記したように、形状記憶材料で製作された貫通部材3を変形させることができるように、例えば抵抗加熱器によって加熱され得る。
【0051】
図3は、代替のタイプの支持構造体10を示しており、この支持構造体10は、反対方向に走るねじ山を有する2つのねじ山付き区域12a及び12bを有するねじ山付きロッド12が装着されている、ベース本体11と、ねじ山付き区域12a及び12bの各々上に配置されている、ベース本体11に対して回転可能に固定された様式で装着されているねじ13a及び13bと、ねじ13a及び13bに固定されねじ13aとねじ13bを接続している拡張要素14と、を有する。拡張要素14は、支持要素10が拡張するときに制御された様式で貫通部材3に接触力を加えるための、隆起した支持体15を更に有する。好ましくは、支持体15は、上記したように、形状記憶材料で製作された任意の貫通部材の適切な変形を可能にするための、抵抗加熱を含み得る。
【0052】
図4では、ねじ山付きロッド12を回転させるとねじ山付き区域12a、12b上のねじ13a、13bが互いに向かって移動し、拡張要素14を外側に押しやることのできることが見て取れる。このことにより、貫通部材3を有する一次インプラント2が外側に駆動され、貫通部材3が血管壁16を貫通する。抑止部材4と接触すると貫通部材3は折り曲げられ、その結果固止される。参照番号17は、一次インプラント2と同様に、例えば不織布又はティッシュ材料で製作された、好ましくは管状の、外側の二次インプラントを表す。
【0053】
図5では、支持構造体10は基体11を有さずに示されており、同じ部分には同じ参照番号が付されている。
【0054】
図6に示す一次インプラント2は、格子壁を有する管状ステントとしてではなく、変形可能な拡張領域19を有するリング18として設計されている。リング18は、リング18と一体に形成されている、放射方向外側に延びる針状突起としての貫通部材3を有する。この例では、貫通部材3はリングの材料からプレス加工され、リング18の外側表面から外に出るように曲げられている。
【0055】
図7及び図8の本発明に係るデバイスの変形例は、血管壁を貫通するための複数の貫通部材を提供するためのキャリア部材が中に配置される、ハウジング20を有する。貫通部材3はデバイス1が作動するとスロット21を通って外側に駆動され得る。
【0056】
図7及び図8には本発明に係る抑止部材は示されていない。
【0057】
図9では、貫通部材3用の放射方向外側を向いた案内要素22がハウジング20内に配置されており、これに沿って貫通部材3を放射方向外側に駆動できることが見て取れる。この目的のためにより詳細には図示しない機構が設けられており、これは図13図14に例として示されている。
【0058】
図10には一次インプラント2用の支持体29が示されており、これらの支持体は、ハウジング20の対応する凹部29’内で放射方向に変位可能又は移動可能である。ただし支持体29は、軸線方向、すなわちハウジング20内のキャリア部材の軸線34の方向においてせん断に耐える様式で、凹部29’に装着されている。支持体29上に一次インプラントを設置することができ、その場合キャリア部材が拡張すると、支持体29の変位によって一次インプラントが血管壁に接触し、一次インプラントはその後、貫通部材3を外側に駆動することによって固止されることになる。図10では支持体29は拡張状態で示されている。
【0059】
しかしながら図11では、支持体29は未拡張状態で示されている。ハウジング20内に押しロッド6aが配設され、押しロッド6aの遠位端に制御プレート31が配設され、制御プレート31は、支持体29の放射方向内側部分を通過させるための、制御プレート31の一続きの縁部32と隣り合う、放射方向内側に延びるスロット31’を有する。図12に示すように、押しロッド6aによって制御プレート31が矢印35の方向に引かれると、制御プレート31の一続きの縁部32が支持体29のリンク案内部30に乗り上げ、リンク案内部30の経路に従って、支持体29が矢印33の方向に変位又は駆動される。その結果、支持体29上に配置された一次インプラントは外側に拡張又は駆動され、血管壁に接触することができる。これが行われると、貫通部材3を外側に駆動するための詳細には図示しない機構を作動させることにより、クランプ状の貫通部材3を、一次インプラント2及び血管壁を貫通して、並びに必要に応じて二次インプラント17を貫通して、外側に駆動させ、抑止部材4に接触させることができ、そこで貫通部材3を折り曲げることができる。
【0060】
図11及び図12では、貫通部材3が、先端部間の横方向の接続部が外側に向いたステープルと同様に形成されていることが見て取れる。図7から図12に係る実施例では、側方が開いた案内要素22内に貫通部材3が受けられており、貫通要素3は、それぞれの案内部又は案内要素22に沿って外側に摺動できるようになっている。この移動は案内要素22の軸線34に沿って延びる部分内で案内されるマンドレル22によって引き起こされ、マンドレル22は案内要素22内で外側に偏向され、貫通部材3と接触して協働する。
【0061】
図12では、支持体29が、例えば繊維材料のチューブの形態である一次インプラントを保持するための、凹部36を有し、このことにより、支持体29がハウジング20内に引き込まれているとき、一次インプラントは、これが貫通部材3によって血管壁に固止されるまで、凹部36から解放されないようになっていることが見て取れる。同様に、抑止部材4上に二次インプラント用の凹部37を設けてもよい。抑止部材4の案内曲線は38で表されており、これにより、貫通部材3が矢印39の意味において抑止部材4上を走行するとき、貫通部材3が血管壁及び必要であれば二次インプラントの外側で折り曲げられ、以って固止されることが保証される。
【0062】
図13では、貫通部材3用の案内要素22’が、本発明の意味でのベース本体を表すハウジング20内に配置されており、本発明に係るデバイス1の別の変形例について既に説明したように、ベース本体又はハウジング20内には、反対方向に走るねじ山を有する2つのねじ山付き区域12a及び12bを有する案内ロッド12が装着されており、ねじ山付き区域12a及び12bの各々上にはベース本体に対して回転可能に固定された様式で装着されているねじ13a及び13bが配置されており、可撓性案内要素22’はねじ13a及び13b上に配置され、ねじ13aとねじj3bを接続していることが見て取れる。この場合、同じく単一の案内部又はねじ山付きロッド12上に、スピンドルのねじ13a及び13bを互いに対して移動させるための2つの逆回転スピンドル駆動部が形成され、結果的に、ねじ13a及び13bがねじ山付きロッド12上で収束するにつれ案内要素22’が曲げられ、以って放射方向外側に駆動されるようになっている。このように、図14で見て取れるように、貫通部材3もまた外側に駆動される。
【0063】
図15は、キャリア部材が拡張要素14用の第1の軸受23用の案内ロッド12を有し、第1の軸受23は案内ロッド12に沿って変位可能に案内され、好ましくはケーブルの引き25によって、拡張要素14用の第2の軸受24に対して変位させることができ、第2の軸受24は案内ロッド12に変位可能に取り付けられておらず、拡張要素14は軸受23及び24に支持構造体として固定され、軸受23と軸受24を接続していることを示している。ハンドル27を矢印28の方向に作動させることによって、好ましくは偏心プーリとして設計されるプーリ26上にケーブル25が巻き上げられ、このことにより、案内ロッド12上で摺動可能に案内される第1のベアリング23は、ケーブル25によって、案内ロッド12に沿って、摺動可能に案内されない第2のベアリング24の方向に移動される。このことにより拡張要素14が外側に拡張又は駆動される。
【0064】
図16及び後続の図において、同一の又は対応する部分には、先行する図における、特に図7から図12におけるものと同じ参照符号が同じく付されている。
【0065】
図16では明確にするために、ハウジング20は部分的にしか示されていない。しかしながら、貫通部材3がハウジングのスロット21から出ていることが見て取れる。図16の実施例では、ハウジング20は支持部29も形成している。貫通部材3用の案内部22は、キャリア部材の長手軸線34に対して同軸であり互いから離間されている、第1のディスク40及び第2のディスク41に形成されている。案内部22はディスク40及び41に、放射方向外側に延びる凹部及びスロットとして、それぞれ形成されている。案内部において、貫通部材3は、貫通部材3用の内部支持体42上に定置されており、その上で貫通部材3を、らせんばね43の作用によって外側に駆動することができる。らせんばね43は案内部22の第2の案内領域44内に収容されており、これらの第2の案内領域44は、参照符号45を付した第1の案内領域45と比較して、第2のディスク41の周方向において広くなっている。このようにして、第2の案内領域44はらせんばねに十分な空間を提供し、一方、貫通部材3又は支持体42の案内は、より狭い第1の案内領域44で行われる。らせんばね43用の案内ロッドは参照符号46で指定されており、その機能については後で説明する。
【0066】
図17では、ディスク40及び41、並びに制御プレート31及び制限プレート47が、長手軸線34に沿って延びる複数部品から成る共通のシャフト48上に装着されていることが見て取れる。図17に示す状態では、らせんばね43は案内ロッド46によって押され、第2の案内領域44内へと長さ方向に延び、その結果貫通部材3用の支持体42は、外側に駆動される。ここで、らせんばね43は、シャフト48の一部を形成するコーン49によって、第2のディスク45の第2の案内領域44内へと案内される。
【0067】
図18では、らせんばね43はまだ案内ロッド46上で摺動しており、ちょうどコーン49のエリアの屈曲部のレベルにある。この状態では、右のディスク群のらせんばね43がディスク群から突出していることが見て取れる。また図18では、第2の案内領域44が第2のディスク41の周方向において広くなって、支持体42の厚くなった案内端部及びらせんばね43のための空間を提供していることが、はっきりと見て取れる。
【0068】
図19では、支持体42は第2の案内領域44内の外側へほぼ半分のところにあり、支持体42は以ってその前方の外側に貫通部材3を駆動する。
【0069】
図20には、矢印51の方向に作動されるとらせんばね43を案内ロッド46から押し出す、把持要素50が示されている。この結果、それまでねじ山付きロッド46上で圧縮されて保持されていたらせんばね43が長手方向に拡張し、その結果、らせんばね43が第2の案内領域44に進入し、支持体42又は貫通部材3を外側に駆動する。このことが図21に示されており、この図では把持要素50は外側に押された位置にある。リンク案内部30が制御プレート31の一続きの縁部32と共に作用することによって、支持体29を両矢印52の方向へと外側に押すことが可能になる。このことは、例えば、貫通部材3の設置前に血管壁及びインプラントを支持するために、又は、結合した状態でしたがって同時に、できるだけ迅速に固定部位を提供するために、把持要素50の作動から独立して行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2023-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工血管用の固定部位としての一次インプラントを血管の血管壁に取り付けるためのデバイスであって、キャリア部材であり、前記血管壁を貫通するための複数の貫通部材を前記キャリア部材の長手軸線に対して放射方向外側に駆動するように構成されている、前記キャリア部材、を少なくとも備えるデバイスにおいて、前記キャリア部材上に、前記貫通部材に対する放射方向の停止部として抑止部材が形成されていることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記抑止部材は調整可能な直径を有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記抑止部材は前記キャリア部材を取り囲むリングとして形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記抑止部材は、前記キャリア部材に固定されている複数のプレートによって、形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記抑止部材は、前記キャリア部材に固定されている前記複数のプレートによって、前記長手軸線から放射方向において調整可能な距離を置いて、形成されている、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記一次インプラントは、前記キャリア部材の放射方向外側に配置され、前記デバイスに着脱可能に固定されており、前記一次インプラントは前記貫通部材によって貫通可能であり、放射方向に拡張可能であることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記一次インプラントは繊維材料で製作されるチューブとして設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記一次インプラントは格子壁を有する金属製チューブとして設計されていることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記キャリア部材は、前記複数の貫通部材用の放射方向に拡張可能な共通の支持構造体を備えることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記キャリア部材は、ハウジングと、前記ハウジング内にある前記貫通部材用の放射方向外側を向いた案内部と、を有し、前記案内部に沿って前記貫通部材を放射方向外側に駆動できることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記キャリア部材は前記複数の貫通部材用の放射方向に拡張可能な共通の支持構造体を有し、前記キャリア部材は、前記一次インプラント用の複数の放射方向に変位可能な支持体と協働する、中央押しロッドを有し、前記支持体は前記支持体に対する前記押しロッドの軸方向変位によって放射方向外側に駆動可能であることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記貫通部材用の前記放射方向外側を向いた案内部は、前記キャリア部材の前記長手軸線に対して同軸で互いから離間されて配置されており、前記案内部を放射方向に延在する凹部として備える、少なくとも2つの第1のディスクに形成されていることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記貫通部材は前記貫通部材用の支持体上の前記案内部内で放射方向外側に駆動され得ることを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記案内部は第2の案内領域を各々有し、前記第2の案内領域は前記第2の案内領域と軸線方向において隣り合う第1の案内領域と比較して、前記ディスクの周方向において広くなっていることを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2の案内領域は前記第1のディスクと隣り合う対応する前記第2のディスクに形成され、前記第2のディスクは放射方向に延在して前記第2の案内領域を形成する凹部を有することを特徴とする、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも2つの第1のディスクは、軸方向の凹部又は穴と、その中に受けられている案内ロッドと、前記案内ロッド上に設けられているらせんばねと、を有する共通のシャフト上に装着されており、前記らせんばねは各々が把持要素によって少なくとも部分的に前記案内ロッドから引き出し可能であり且つ案内部に挿入可能であることを特徴とする、請求項12に記載のデバイス。
【請求項17】
全てのらせんばねの前記把持要素が一緒に作動可能であることを特徴とする、請求項16に記載のデバイス。
【国際調査報告】