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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】インプラント送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/372 20060101AFI20231220BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20231220BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61N1/372
A61N1/36
A61N1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537618
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021085998
(87)【国際公開番号】W WO2022129234
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20214028.1
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケブラー
2.KEVLAR
(71)【出願人】
【識別番号】523228554
【氏名又は名称】カプリ・メディカル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・マリンズ
(72)【発明者】
【氏名】ファーガル・ウォード
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・ヘガティ
(72)【発明者】
【氏名】エイダン・ジョーンズ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053KK10
(57)【要約】
本願は、患者内に医療用インプラント(1)を植え込むためのインプラント送達デバイス(10)を提供する。医療用インプラント(1)は、インプラントハウジング(2)と、インプラントハウジングから延在する細長電極リード線(3)と、を備える。インプラント送達デバイス(10)は、ハンドル(11)、第1のニードル(12)、および第2のニードル(13)を備える。第1のニードル(12)は、ハンドル(11)に対して固定され、長手方向に延在する。第1のニードル(12)は、医療用インプラント(1)のインプラントハウジング(2)を受けるように構成されたルーメンを備える。第2のニードル(13)は、第1のニードル(12)よりも大きいゲージを有し、医療用インプラント(1)の細長電極リード線(3)を運ぶように構成される。第2のニードル(13)は、延在位置であって、使用の最中に第1のニードル(12)および第2のニードル(13)が第1の深さにインプラントハウジング(2)をおよび第1の深さよりも深い第2の深さに電極リード線(3)を同時に位置決めし得るように、第2のニードル(13)が長手方向において第1のニードル(12)を越えて延在する、延在位置と、第2のニードル(13)が第2のニードル(13)から電極リード線(3)を放出するためにハンドル(11)に向かって後退される、後退位置と、の間において可動になるように、ハンドル(11)に対して後退可能に取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントハウジングと前記インプラントハウジングから延在する細長電極リード線とを備える医療用インプラントを、患者内に植え込むためのインプラント送達デバイスであって、
ハンドルと、
前記ハンドルに対して固定され、長手方向に延在する第1のニードルであって、前記医療用インプラントの前記インプラントハウジングを受けるように構成されたルーメンを備える、第1のニードルと、
前記第1のニードルよりも大きいゲージを有する第2のニードルであって、前記医療用インプラントの前記細長電極リード線を運ぶように構成され、前記第2のニードルは、
延在位置であって、使用の最中に前記第1のニードルおよび前記第2のニードルが第1の深さに前記インプラントハウジングをおよび前記第1の深さよりも深い第2の深さに前記電極リード線を同時に位置決めし得るように、前記第2のニードルが前記長手方向において前記第1のニードルを越えて延在する、延在位置と、
前記第2のニードルが前記第2のニードルから前記電極リード線を放出するために前記ハンドルに向かって後退される、後退位置と、
の間において可動になるように、前記ハンドルに対して後退可能に取り付けられる、第2のニードルと、
を備える、インプラント送達デバイス。
【請求項2】
前記第2のニードルは、前記医療用インプラントの前記細長電極リード線を受けるように構成されたルーメンを備える、請求項1に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項3】
前記第2のニードルは、一方の側に沿って延在し前記ルーメン内に延在するスロットを備える、請求項2に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項4】
前記第1のニードルおよび前記第2のニードルは、前記電極リード線の一部分が、使用の最中に前記第2のニードルの前記ルーメンから前記スロットを通り前記インプラントハウジングまで延在するように、非同心状に配置される、請求項3に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項5】
前記第2のニードルは、前記第2のニードルの遠位端部の位置にまたはその付近に装着ポイントを備え、前記装着ポイントは、前記細長電極リード線が前記第2のニードルの一側部に沿って運ばれるように、前記細長電極リード線に対して装着されるように構成される、請求項1に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項6】
前記装着ポイントは、前記細長電極リード線の端部を受けるように構成された穴を備える、請求項5に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項7】
前記第2のニードルは、前記第1のニードルの前記ルーメン内に少なくとも部分的に配設される、請求項1から6のいずれか一項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項8】
前記第1のニードルの前記ルーメンは、前記インプラントハウジングを受けるように構成された一次部分と、前記第2のニードルを受けるように構成された二次部分と、を備え、前記一次部分および前記二次部分はそれぞれ、部分的に円形の断面を有する、請求項7に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項9】
前記第1のニードルの前記ルーメン内に前記インプラントハウジングを解除可能に固定するように構成された保持部材をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項10】
前記保持部材は、保持タブを備え、前記保持タブは、前記第1のニードルの壁部中に形成され、前記第1のニードルの前記ルーメン内に前記インプラントハウジングを係合するように構成される、請求項9に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項11】
前記インプラントハウジングは、例えば穴などの装着ポイントを備え、前記保持部材は、前記ハンドルの一部から前記インプラントハウジングの前記装着ポイントまで延在し、前記保持部材は、前記インプラントハウジングを解除するように装着解除可能である、請求項9に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項12】
前記保持部材は、前記インプラントハウジングの前記装着ポイントを貫通してループ形成されるスレッドを備え、前記スレッドは、前記インプラントハウジングを解除するために例えば切断されるまたは解かれるなど分離され得る、請求項11に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項13】
前記保持部材は、形状記憶部材からなり、前記形状記憶部材は、前記インプラントハウジングの前記装着ポイントに係合するように構成されたフック端部を有し、前記形状記憶部材の対向側端部が、前記インプラントハウジングを解除するために前記フック端部を変形させるように移動されるように構成される、請求項11に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項14】
前記保持部材は、前記インプラントハウジングの端部上に押込み嵌めされるように構成されたクランピングキャップを備える、請求項11に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項15】
前記インプラントハウジングから前記クランピングキャップを分離させるように動作可能なばね式解除機構をさらに備える、請求項14に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項16】
前記ハンドルに隣接して配置された作動タブをさらに備え、前記作動タブは、前記後退位置へと前記第2のニードルを移動するためにユーザにより作動されるように構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項17】
前記延在位置に前記第2のニードルをロックするように構成されたロッキング機構をさらに備える、請求項16に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項18】
前記ロッキング機構は、前記ハンドル内にロッキングスロットを備え、前記第2のニードルは、前記ハンドルに対する前記第2のニードルのある回転位置においては前記第2のニードルが前記ハンドルに対して軸方向にロックされ、前記ハンドルに対する前記第2のニードルの別の回転位置においては前記第2のニードルが前記ハンドルに対して軸方向に可動となるように、前記ロッキングスロットに係合するように構成される、請求項17に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項19】
前記作動タブは、第1の方向に可動であり、それにより前記第1の方向とは逆の第2の方向に前記第2のニードルを移動させる、請求項16から18のいずれか一項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項20】
前記作動タブと前記第2のニードルとの間で動作可能に結合されたラックアンドピニオン機構をさらに備える、請求項19に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項21】
前記ハンドルは、ガイド部材を備え、前記作動タブは、前記ガイド部材に沿って可動である、請求項16から20のいずれか一項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項22】
前記インプラント送達デバイスは、前記ガイド部材に沿ったある位置に前記作動タブをロックするように構成されたロッキング機構をさらに備える、請求項21に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項23】
前記ロッキング機構は、前記ガイド部材に沿って前記作動タブを移動するために前記ロッキング機構を解除するように構成されたボタンを備える、請求項22に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項24】
前記第1のニードルの前記ルーメン内に前記インプラントハウジングを解除可能に固定するように構成された保持部材をさらに備え、前記保持部材は、前記インプラントハウジングを解除するために前記作動タブにより作動される、請求項16から23のいずれか一項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項25】
第1の距離にわたり第1の方向へと前記作動タブが移動することにより、前記第2のニードルは前記後退位置へ移動され、第2の距離にわたり前記第1の方向に前記作動タブがさらに移動することにより、前記保持部材が作動されて前記インプラントハウジングを解除する、請求項24に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項26】
前記保持部材は、前記インプラントハウジング上に押込み嵌めされるように構成されたクランピングキャップを備え、前記インプラント送達デバイスは、前記作動タブにより作動された場合に、前記インプラントハウジングから前記クランピングキャップを分離させるように動作可能なばね式解除機構をさらに備える、請求項24または25に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項27】
前記ハンドルの付近から前記第1のニードルの前記ルーメン内に延在するプッシャを備えるインプラント展開部材をさらに備え、前記インプラント展開部材は、前記第1のニードル外へと前記インプラントハウジングを押し出すように前記第1のニードルに対して摺動可能である、請求項1から26のいずれか一項に記載のインプラント送達デバイス。
【請求項28】
前記第1のニードルの前記ルーメン内に配設されたインプラントハウジングと、前記インプラントハウジングから延在し前記第2のニードルにより運ばれた電極リード線と、を備える、医療用インプラントをさらに備える、請求項1から27のいずれか一項に記載のインプラント送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者内に例えばニューロモデュレーションインプラントなどの医療用インプラントを植え込むためのインプラント送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジングおよび電極を備える植込み可能神経刺激装置の提供が知られている。電力アンテナ、マイクロコントローラ、および通信アンテナが、外部ソースから電力を受領し、電極に関連するセンサ情報を送受信するためにハウジング内に配設される。送達システムが、患者に開口部を切断形成し、この開口部中に送達システムを送り込んで、植込み可能神経刺激装置を位置決めすることによって、患者内に、とりわけ神経の近傍に神経刺激装置を位置決めするために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示によれば、インプラントハウジングとインプラントハウジングから延在する細長電極リード線とを備える医療用インプラントを、患者内に植え込むためのインプラント送達デバイスが提供される。このインプラント送達デバイスは、
ハンドルと、
ハンドルに対して固定され、長手方向に延在する第1のニードルであって、医療用インプラントのインプラントハウジングを受けるように構成されたルーメンを備える、第1のニードルと、
第1のニードルよりも大きいゲージを有する第2のニードルであって、医療用インプラントの細長電極リード線を運ぶように構成され、第2のニードルは、
延在位置であって、使用の最中に第1のニードルおよび第2のニードルが第1の深さにインプラントハウジングをおよび第1の深さよりも深い第2の深さに電極リード線を同時に位置決めし得るように、第2のニードルが長手方向において第1のニードルを越えて延在する、延在位置と、
第2のニードルが第2のニードルから電極リード線を放出するためにハンドルに向かって後退される、後退位置と、
の間において可動になるように、ハンドルに対して後退可能に取り付けられる、第2のニードルと、
を備える。
【0004】
いくつかの例では、第1のニードルおよび第2のニードルのそれぞれが、電極の放出を目的として第1のニードルおよび第2のニードルを位置決めするために、使用の最中に皮膚を穿刺し患者の組織を穿通するように構成された、例えばベベル先端部などの先鋭先端部を備える。いくつかの例では、第1のニードルは、使用の最中に皮膚および下層脂肪組織を穿通することのみを目的として構成される。したがって、比較的大きい第1のニードルは、最低所要深さまで患者を穿通するにすぎず、組織損傷が軽減される。
【0005】
いくつかの例では、第2のニードルは、医療用インプラントの細長電極リード線を受けるように構成されたルーメンを備える。いくつかの例では、第2のニードルは、一方の側に沿って延在しルーメン内に延在するスロットを備える。このスロットは、第2のニードルの先端部まで延在し得る。このスロットは、第2のニードルが延在位置にある場合に、第2のニードルの先端部から第1のニードルのルーメン内に延在し得る。いくつかの例では、第1のニードルおよび第2のニードルは、電極リード線の一部分が、使用の最中に第2のニードルのルーメンからスロットを通りインプラントハウジングまで延在するように、非同心状に配置される。
【0006】
いくつかの例では、第2のニードルは、第2のニードルの遠位端部の位置にまたはその付近に装着ポイントを備え、この装着ポイントは、細長電極リード線が第2のニードルの一側部に沿って運ばれるように、細長電極リード線に対して装着されるように構成される。例えば、装着ポイントは、細長電極リード線の端部を受けるように構成された穴を備え得る。この穴は、第2のニードルの遠位端部中に、またはこの遠位端部の近傍の第2のニードルの側部中に形成されてもよい。
【0007】
いくつかの例では、第2のニードルは、第1のニードルのルーメン内に少なくとも部分的に配設される。例えば、第2のニードルは、第1のニードルのルーメン内においてインプラントハウジングに並んで延在する。いくつかの例では、第1のニードルのルーメンは、インプラントハウジングを受けるように構成された一次部分と、第2のニードルを受けるように構成された二次部分と、を備えてもよく、一次部分および二次部分はそれぞれ、部分的に円形の断面を有し得る。第1のニードルは、ティアドロップ形状断面プロファイルを有してもよく、一次部分および二次部分の断面エリアは、略円形であり、部分的に重畳し合うように構成される。
【0008】
いくつかの例では、インプラントハウジングは、インプラントハウジングが第1のニードルのルーメン外に引き出され得るように、第1のニードルのルーメン内に配置される。したがって、電極リード線が放出された後に電極リード線と患者の組織との間に生ずる保持力は、インプラント送達デバイスが患者から除去されるときに、第1のニードルのルーメン外へとインプラントハウジングを引き出すことになる。
【0009】
いくつかの例では、インプラント送達デバイスは、第1のニードルのルーメン内にインプラントハウジングを解除可能に固定するように構成された保持部材をさらに備える。この保持部材は、インプラントハウジングを解除し、インプラントハウジングが第1のニードルから出て患者中の展開位置に移動されるのを可能にするために、オペレータにより操作可能なものであってもよい。
【0010】
いくつかの例では、保持部材は、保持タブを備えてもよく、保持タブは、第1のニードルの壁部中に形成され、第1のニードルのルーメン内にインプラントハウジングを係合するように構成される。保持タブは、第1のニードルのルーメン内へと部分的に変形される、第1のニードル中のU字形状切込みにより形成され得る。インプラントハウジングは、保持タブに対応するように構成された凹部を備えてもよい。第1のニードルは、複数の保持タブを備えてもよく、これらの保持タブは、第1のニードルの周囲に長手方向におよび/または周方向に分散し、インプラントハウジングに係合するように構成される。
【0011】
いくつかの例では、インプラントハウジングは、例えば穴などの装着ポイントを備え得る。保持部材は、ハンドルの一部からインプラントハウジングの装着ポイントまで延在してもよく、保持部材は、インプラントハウジングを解除するように装着解除可能であってもよい。
【0012】
いくつかの例では、保持部材は、インプラントハウジングの装着ポイントを貫通してループ形成されるスレッドを備えてもよく、このスレッドは、インプラントハウジングを解除するために例えば切断されるまたは解かれるなど、オペレータによって分離され得る。いくつかの例では、スレッドは、例えばナイロン、Monocryl、Vicryl、絹、もしくはProlene、または例えば鋼ワイヤなどの金属ワイヤ、またはKevlarなどの他の材料などからなる、縫合糸からなるものであってもよい。
【0013】
いくつかの例では、保持部材は、形状記憶部材からなるものであってもよく、この形状記憶部材は、インプラントハウジングの装着ポイントに係合するように構成されたフック端部を有し得る。形状記憶部材の対向側端部が、インプラントハウジングを解除するためにフック端部を変形させるように移動されるように構成され得る。形状記憶部材の対向側端部は、フック端部を変形させるためにオペレータにより摺動されるように構成された摺動タブに対して装着され得る。
【0014】
いくつかの例では、保持部材は、インプラントハウジングの端部上に押込み嵌めされるように構成されたクランピングキャップを備える。インプラント送達デバイスは、インプラントハウジングからクランピングキャップを分離させるように動作可能なばね式解除機構をさらに備えてもよい。
【0015】
いくつかの例では、インプラント送達デバイスは、ハンドルに隣接して配置された作動タブをさらに備え得る。この作動タブは、第2のニードルに対して装着されてもよく、または第2のニードルの一部であってもよい。代替的には、作動タブは、第2のニードルに対して動作可能に結合されてもよい。作動タブは、後退位置へと第2のニードルを移動するためにユーザにより作動されるように構成され得る。いくつかの例では、作動タブは、後退位置へと第2のニードルを移動するために、ハンドルからおよび患者から離れる方向に可動であってもよい。他の例では、作動タブは、後退位置に第2のニードルを移動するために、ハンドルおよび患者に向かう方向に可動であってもよい。
【0016】
いくつかの例では、インプラント送達デバイスは、延在位置に第2のニードルをロックするように構成されたロッキング機構をさらに備え得る。ロッキング機構は、第2のニードルを延在位置に直接的にロックしてもよく、または第2のニードルが延在位置にロックされるように作動タブをロックしてもよい。
【0017】
いくつかの例では、インプラント送達デバイスは、ハンドル内にロッキングスロットを備える。第2のニードルは、ハンドルに対する第2のニードルのある回転位置においては第2のニードルがハンドルに対して軸方向にロックされ、ハンドルに対する第2のニードルの別の回転位置においては第2のニードルがハンドルに対して軸方向に可動となるように、ロッキングスロットに係合するように構成され得る。いくつかの例では、ロッキングスロットは、L字形状スロットまたはJ字形状スロットからなるものであってもよい。いくつかの例では、ハンドルは、ロッキングリングを備えてもよく、ロッキングスロットは、ロッキングリング中に形成されてもよい。
【0018】
いくつかの例では、作動タブは、第1の方向に可動であり、それにより第1の方向とは逆の第2の方向に第2のニードルを移動させる。インプラント送達デバイスは、作動タブと第2のニードルとの間で動作可能に結合されたラックアンドピニオン機構をさらに備えてもよい。
【0019】
いくつかの例では、ハンドルは、ガイド部材を備えてもよく、作動タブは、ガイド部材に沿って可動であってもよい。ロッキング機構が、ガイド部材に沿ったある位置に作動タブをロックするように構成され得る。このロッキング機構は、ガイド部材に沿って作動タブを移動するためにロッキング機構を解除するように構成されたボタンを備え得る。
【0020】
いくつかの例では、インプラント送達デバイスは、第1のニードルのルーメン内にインプラントハウジングを解除可能に固定するように構成された保持部材をさらに備えてもよく、この保持部材は、インプラントハウジングを解除するために作動タブにより作動され得る。いくつかの例では、第1の距離にわたり第1の方向へと作動タブが移動することにより、第2のニードルは後退位置へ移動され、第2の距離にわたり第1の方向に作動タブがさらに移動することにより、保持部材が作動されてインプラントハウジングを解除する。いくつかの例では、保持部材は、インプラントハウジング上に押込み嵌めされるように構成されたクランピングキャップを備え、インプラント送達デバイスは、作動タブにより作動された場合に、インプラントハウジングからクランピングキャップを分離させるように動作可能なばね式解除機構をさらに備え得る。具体的には、第2の距離にわたり作動タブが移動することにより、ばね式解除機構が作動されてインプラントハウジングからクランピングキャップを分離させ得る。例えば、第2の距離にわたり作動タブが移動することにより、ばね式解除機構上のキャッチが解除され得る。
【0021】
いくつかの例では、インプラント送達デバイスは、ハンドルの付近から第1のニードルのルーメン内に延在するプッシャを備えるインプラント展開部材をさらに備えてもよい。インプラント展開部材は、第1のニードル外へとインプラントハウジングを押し出すように第1のニードルに対して摺動可能であり得る。インプラント展開部材は、中空であってもよく、インプラントハウジング保持部材は、インプラント展開部材を貫通して延在してもよい。インプラント展開部材は、オペレータがインプラント展開部材を作動させるためのタブを備え得る。インプラントハウジング保持部材が、インプラント展開部材のタブから解除可能であってもよい。
【0022】
いくつかの例では、インプラント送達デバイスは、第1のニードルのルーメン内に配設されたインプラントハウジングと、インプラントハウジングから延在し第2のニードルにより運ばれた電極リード線と、を備える、医療用インプラントをさらに備えてもよい。電極リード線は、第2のニードルのルーメン内に運ばれてもよく、または遠位端部の位置もしくはその付近に位置する装着ポイントにて第2のニードルに対して装着され、第2のニードルの一側部に沿って延在してもよい。
【0023】
インプラント送達デバイスおよび医療用インプラントの組合せが、使い捨て用にパッケージングされてもよい。
【0024】
いくつかの例では、医療用インプラントは、植込み可能神経刺激デバイスである。医療用インプラントは、例えば大後頭神経などの患者の神経を刺激するように構成され得る。他の例では、医療用インプラントは、例えば診断用インプラントなどの非刺激インプラントであってもよい。診断用インプラントは、インプラントハウジングと、外部デバイスとワイヤレス通信するためのアンテナと、を備え得る。刺激インプラントは、インプラントハウジングが第1のニードルにより第1の深さに位置決めされるように植え込まれてもよく、アンテナは、例えば皮膚の外方表面から実質的に均一な距離をおいてなど実質的に同一深さに、第2のニードルによって植え込まれる。これを実現するために、第1のニードルおよび第2のニードルは、皮膚に対して実質的に平行に患者内に押し込まれ得る。
【0025】
以降では、添付の図面を参照して本発明の実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】医療用インプラントを示す図である。
図2】患者内の定位置に、具体的には皮下位置に位置する医療用インプラントを示す図である。
図3】患者内に医療用インプラントを、具体的には送達デバイスの第1のニードルおよび第2のニードルを植え込むための送達デバイスの一部の概略断面図である。
図4】医療用インプラントの植込み前の構成にある、ハンドルを備える送達デバイスの概略断面図である。
図5】医療用インプラントの電極リード線が放出された後の、送達デバイスの概略断面図である。
図6】医療用インプラントが放出された後の、送達デバイスの概略断面図である。
図7】第1のニードルおよび第2のニードルの端部と、第1のニードルおよび第2のニードルにより保持された医療用インプラントと、を示す斜視図である。
図8A】第2のニードルを示す図である。
図8B】第1のニードルを示す図である。
図9】患者内に医療用インプラントを植え込むための一例の送達デバイスを示す図である。
図10】作動タブを有する、図9の送達デバイスの第2のニードルを示す図である。
図11図9の送達デバイスの代替的な図である。
図12図9の送達デバイスの第2のニードルおよび作動タブのためのロッキング機構を示す図である。
図13A】第1のニードル内に医療用インプラントのインプラントハウジングを解除可能に保持するための保持機構の一例を示す図である。
図13B】第1のニードル内に医療用インプラントのインプラントハウジングを解除可能に保持するための保持機構の一例を示す図である。
図14A】第1のニードル内に医療用インプラントのインプラントハウジングを解除可能に保持するための保持機構の他の一例を示す図である。
図14B】第1のニードル内に医療用インプラントのインプラントハウジングを解除可能に保持するための保持機構の他の一例を示す図である。
図14C】第1のニードル内に医療用インプラントのインプラントハウジングを解除可能に保持するための保持機構の他の一例を示す図である。
図15A】第1のニードル内に医療用インプラントのインプラントハウジングを解除可能に保持するための保持機構の他の一例を示す図である。
図15B】第1のニードル内に医療用インプラントのインプラントハウジングを解除可能に保持するための保持機構の他の一例を示す図である。
図15C】第1のニードル内に医療用インプラントのインプラントハウジングを解除可能に保持するための保持機構の他の一例を示す図である。
図16】第2のニードルが最初に後退位置に位置する、一例のインプラント送達デバイスを示す図である。
図17A】患者内に医療用インプラントを植え込むための送達デバイスの動作を示す図である。
図17B】患者内に医療用インプラントを植え込むための送達デバイスの動作を示す図である。
図17C】患者内に医療用インプラントを植え込むための送達デバイスの動作を示す図である。
図17D】患者内に医療用インプラントを植え込むための送達デバイスの動作を示す図である。
図17E】患者内に医療用インプラントを植え込むための送達デバイスの動作を示す図である。
図18A】使用の最中に作動タブがハンドルに向かって移動された、患者内に医療用インプラントを植え込むための他の一例の送達デバイスの一部の概略断面図である。
図18B】使用の最中に作動タブがハンドルに向かって移動された、患者内に医療用インプラントを植え込むための他の一例の送達デバイスの一部の概略断面図である。
図19図18Aおよび図18Bの例の送達デバイスの斜視図である。
図20】ラックアンドピニオン機構を示す、図19の送達デバイスの部分断面図である。
図21A】第2のニードルが最初に後退位置に位置する、患者内に医療用インプラントを植え込むための他の一例の送達デバイスの一部の概略断面図である。
図21B】第2のニードルが最初に後退位置に位置する、患者内に医療用インプラントを植え込むための他の一例の送達デバイスの一部の概略断面図である。
図22A】使用の最中に第1のニードルからインプラントハウジングを放出するための、図18Aおよび図18Bの例の送達デバイスの放出機構を示す図である。
図22B】使用の最中に第1のニードルからインプラントハウジングを放出するための、図18Aおよび図18Bの例の送達デバイスの放出機構を示す図である。
図23A】患者内に医療用インプラントを植え込むための、図18A図22Bの送達デバイスの動作を示す図である。
図23B】患者内に医療用インプラントを植え込むための、図18A図22Bの送達デバイスの動作を示す図である。
図23C】患者内に医療用インプラントを植え込むための、図18A図22Bの送達デバイスの動作を示す図である。
図23D】患者内に医療用インプラントを植え込むための、図18A図22Bの送達デバイスの動作を示す図である。
図23E】患者内に医療用インプラントを植え込むための、図18A図22Bの送達デバイスの動作を示す図である。
図24】電極リード線を装着するための装着ポイントを有する代替例の第2のニードルを示す図である。
図25】先鋭突出部を有する代替例の第1のニードルを示す図である。
図26】第1のニードル内のインプラントハウジングに対応する窓を有する代替例の第1のニードルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および図2は、医療用インプラント1と、患者内における医療用インプラント1の使用と、を示す。以降でさらに説明するように、医療用インプラント1は、患者内に植込み可能であり、神経を感知および/または刺激するように動作可能である。いくつかの例では、医療用インプラント1は、大後頭神経を感知および/または刺激するために植込み可能であるが、同一または同様のインプラントが、他の神経、具体的には末梢神経系の他の末梢神経を感知および/または刺激するために植込み可能であり得る。例としては、医療用インプラント1は、脛骨神経、仙骨神経(例えば尿失禁の治療のため)、または迷走神経(例えば膵液分泌の正常化のため)を感知および/または刺激するために植込み可能であり得る。
【0028】
図1に示すように、医療用インプラント1は、インプラントハウジング2および細長電極リード線3を備える。インプラントハウジング2は、例えばプリント回路基板、送受信機、ワイヤレス給電レシーバ、および/またはセンサ電子機器などを含む、医療用インプラント1の電子機器構成要素を収容し得る。例として、インプラントハウジングは、気密封止される。
【0029】
電極リード線3は、インプラントハウジング2から延在し、可撓性を有する。電極リード線3は、少なくとも1つの電極4を備え、いくつかの例では電極リード線3の長さに沿って離間された複数の電極4を備える。これらの電極4は、インプラントハウジング2内の電子機器に接続される。
【0030】
いくつかの例では、インプラントハウジング2は、約0.5ミリメートル~約5ミリメートルの間の直径を有し、例えば約1ミリメートル~約3ミリメートルの間の直径を有し得る。インプラントハウジング2は、最大で約10ミリメートルの長さを有し、例えば最大で約5ミリメートルの長さを有し得る。いくつかの例では、電極リード線3は、約0.3ミリメートル~約1.5ミリメートルの間の直径を有し、例えば約0.5ミリメートル~約1.3ミリメートルの間の直径を有し得る。電極リード線3は、最大で約100ミリメートルの長さを有し、例えば最大で約50ミリメートルの長さを、例えば約50ミリメートルの長さを有し得る。しかし、インプラントハウジング2の直径は、インプラントハウジング2内に収容される電極のサイズに対応し、電極リード線3の長さは、標的となる神経を囲む解剖学的構造体に対応するものになるため、したがって筋組織内における神経の深さによってはより短いまたはより長い電極リード線3が適する場合があることが理解されよう。
【0031】
図2に示すように、医療用インプラント1は、患者内に植え込まれると、皮膚の表面下に、具体的には表皮5の下方に位置決めされる。インプラントハウジング2は、真皮6中にまたは皮下組織7中に位置決めされ得る。皮下組織7中にインプラントハウジング2を位置決めすることは、より少ない損傷および/または刺激を患者にもたらす点において有利となり得る。
【0032】
図示するように、電極リード線3は、インプラントハウジング2から下層組織を、具体的には筋肉8を通り、標的神経9の近傍の位置まで延在する。電極リード線3は、電極(4、図1を参照)が神経9と接触状態になるまたは神経9の近傍に位置するように位置決めされ、それにより電極4は、神経9を感知および/または刺激するために使用することが可能となる。
【0033】
外部デバイス(図示略)が、医療用インプラント1に、具体的にはインプラントハウジング2内の電子機器にワイヤレス給電し、ワイヤレス通信することが可能である。この外部デバイスは、医療用インプラント1の近傍の皮膚上に位置決めされ得る。外部デバイスは、医療用インプラント1の近傍の皮膚に対して固着されてもよい。
【0034】
いくつかの例では、医療用インプラント1は、患者の大後頭神経を標的とするように植え込まれる神経刺激インプラントであり、電極4は、大後頭神経を刺激するために例えば電流などの電気信号を供給する。いくつかの例では、電気信号は、電圧調整刺激であってもよい。かかる刺激は、例えば後頭神経痛および難治性片頭痛などの慢性疼痛の緩和、および/または他の治療利点をもたらし得る。
【0035】
図3図22Eは、図2に示す位置に図1に示す医療用インプラント1を植え込むためのインプラント送達デバイス10の例を示す。
【0036】
図3図16Dは、第1の例のインプラント送達デバイス10を示す。図3に示すように、インプラント送達デバイス10は、第1のニードル12および第2のニードル13を備える。第1のニードル12および第2のニードル13は、平行であり、いずれも長手方向に延在する。第2のニードル13は、第1のニードル12よりもさらに長く延在する。具体的には、第1のニードル12は、例えばベベル先端部などの先端部14を有し、第2のニードル13は、第2のニードルの先端部14を越えて延在する。また、第2のニードル13は、先端部15を有し、具体的にはベベル先端部を有する。第2のニードル13は、第1のニードル12よりも大きいゲージを有し、具体的には第2のニードル13は、第1のニードル12よりも小さい直径を有する。
【0037】
使用の最中に、インプラントハウジング2は、第1のニードル12内に、具体的には第1のニードル12のルーメン内に受けられる。使用の最中に、電極リード線3は、第2のニードル13内に、具体的には第2のニードル13のルーメン内に受けられる。図示するように、電極リード線3は、第2のニードル13の大部分に沿って先端部15に向かって延在する。図7を参照してさらに説明するように、インプラントハウジング2に隣接する電極リード線3の一部が、第2のニードル13の開口を通り延在する。したがって、使用の最中に、医療用インプラント1は、送達デバイス10の第1のニードル12と第2のニードル13との間に収容される。
【0038】
図3に示すように、第1のニードル12および第2のニードル13は、軸方向においてオフセットされる。具体的には、第1のニードル12の中心軸が、第2のニードル13の中心軸からオフセットされる。図示する例では、第2のニードル13は、インプラントハウジング2に並んで第1のニードル12内に部分的に収容されるように、第1のニードル12内に(具体的には第1のニードルのルーメン内に)延在する。
【0039】
図7を参照すると、第2のニードル13は、図3に示すように電極リード線3の一部分が第2のニードル13外へと延在しインプラントハウジング2に対して連結することを可能にするための、スロット18を備える。以降でさらに説明されるように、スロット18は、第2のニードル13の先端部15まで延在し得る。
【0040】
いくつかの例では、第2のニードル13は、完全にまたは実質的に一方の側に沿って延在する開口を有するシースを備え得る。
【0041】
以降でさらに詳細に説明するように、使用の最中に、第1のニードル12および第2のニードル13は共に、患者の皮膚を貫通して、患者内の第1の深さにインプラントハウジング2をおよび患者内の第2の深さに電極リード線3を同時に位置決めする。次いで、インプラント送達デバイス10は、図2に示す位置に医療用インプラント1を留置するために、医療用インプラント1を放出および展開する。第1のニードル12の先端部14および第2のニードル13の先端部15はそれぞれ、先鋭先端部であり、適切な深さに第1のニードル12および第2のニードル13を位置決めするように、患者の皮膚を穿刺し組織を貫通するように適合化される。先端部14、15は、当業者には既知であるようなベベル先端部であってもよい。
【0042】
いくつかの例では、第1のニードル12は、6ゲージと15ゲージとの間のゲージ数を有してもよく、例えば10ゲージであってもよい。いくつかの例では、第2のニードル13は、15ゲージと25ゲージとの間のゲージ数を有してもよく、例えば20ゲージであってもよい。
【0043】
以降において説明される様々な例において、第2のニードル13は、電極リード線3を展開させるために第1のニードル12に対して後退可能である。第2のニードル13に沿ったスロット18(図7を参照)により、電極リード線3の展開が可能となる。
【0044】
いくつかの例では、インプラントハウジング2は、第1のニードル12(またはインプラント送達デバイス10の別の部分)に対して解除可能に装着され、展開前に解除される。
【0045】
いくつかの例では、インプラントハウジング2は、インプラント送達デバイスを患者から引き離し、電極リード線3と患者の組織との間の摩擦力に依拠して、医療用インプラントを定位置に保持し、第1のニードル12からインプラントハウジング2を引くことのみによって、第1のニードル12から展開され得る。他の例では、インプラント送達デバイス10は、展開部材を備えてもよく、この展開部材は、第1のニードル12からインプラントハウジング2を押し出すことによって、インプラントハウジング2を適切な解剖学的部位に展開するように構成される。
【0046】
図4図6は、この例のインプラント送達デバイス10のさらなる部分を示し、また医療用インプラント1を患者内へと展開するためのインプラント送達デバイス10の動作を示す。
【0047】
図示するように、この例のインプラント送達デバイス10は、ハンドル11をさらに備える。ハンドル11は、オペレータにより保持されるように構成される。第1のニードル12は、ハンドル11に対して固定される。
【0048】
第2のニードル13は、第1のニードル12を貫通しておよびハンドル11を貫通して延在する。作動タブ16が、先端部15の対向側の第2のニードル13の端部上に設けられる。具体的には、作動タブ16は、オペレータにより把持されることとなるグリップハンドルまたは同様のものであってもよい。
【0049】
第2のニードル13は、第1のニードル12に対して後退可能である。具体的には、第2のニードル13は、図4に示す位置および図5に示す位置から第1のニードル12およびハンドル11を貫通して摺動し得る。この例では、第2のニードル13は、患者から離れる方向へと作動タブ16を引くことによって後退可能である。このように第2のニードル13が後退することにより、電極リード線3が展開される。第2のニードル13に沿ったスロット18(図7を参照)は、インプラントハウジング2に対して接続する電極リード線3の部分のために設けられる。スロット18は、第2のニードル13の先端部15まで延在する。
【0050】
ロッキングデバイス17が、ハンドル11および/または第1のニードル12に対して第2のニードル13をロックするために設けられる。図示するように、ロッキングデバイス17は、作動タブ16の位置にまたはその付近に設けられてもよく、いくつかの例ではハンドル11に対して作動タブ16をロックする。ロッキングデバイス17は、第2のニードル13を図4に示す延在位置にロックする。
【0051】
図4に示す位置では、オペレータは、患者内にインプラント送達デバイス10を挿入し得る。第2のニードル13の位置は、ハンドル11に対してロックされ、そのためオペレータは、ハンドル11により患者内にインプラント送達デバイス10を押し込むことができる。
【0052】
図4および図2を参照すると、インプラント送達デバイス10が患者内に押し込まれると、第2のニードル13が、最初に皮膚5を穿通し、インプラント送達デバイス10がさらに押されると、次いで第1のニードル12が、皮膚5を穿通する。これにより、第1のニードル12および第2のニードル13は、患者内の適切な深さに位置決めされ、インプラントハウジング2および電極リード線3は、適切な深さに同時に位置決めされる。
【0053】
いくつかの例では、オペレータは、超音波撮像デバイスを使用することにより、第1のニードルおよび特に第2のニードル13の位置をモニタリングして、標的神経9に向かって第2のニードル13を案内してもよい。
【0054】
インプラント送達デバイス10が定位置に置かれ、第2のニードル13の先端部15(および第2のニードル13内に位置する電極リード線3)が、この神経に隣接して位置決めされ、第1のニードル12の先端部14(および第1のニードル12内のインプラントハウジング2)が、皮下組織内に位置決めされると、第2のニードル13は、図5に示す位置へと後退され得る。
【0055】
第2のニードル13は、ロッキング機構17をロック解除しハンドル11に対して作動タブ16を引くことにより、図5に示す後退位置へと第2のニードル13が摺動されることによって後退される。作動タブ16は、患者から離れる方向に引かれる。第2のニードル13が後退する最中に、ハンドル11および第1のニードル12は、定置状態に留まる。図示するように、第2のニードル13が後退されると、電極リード線3は、展開され、周辺組織(および神経)に対して露出される。
【0056】
次に、図6に示すように、インプラント送達デバイス10は、患者から引き抜かれ、インプラントハウジング2は、第1のニードル12から展開される。この例では、電極リード線3と組織(図2の筋肉8を参照)との間の摩擦力は、インプラント送達デバイス10が引き抜かれるときに医療用インプラント1を定位置に保持するのに十分なものであり、これにより、インプラント送達デバイス10が患者から引き抜かれるときに第1のニードル12からインプラントハウジング2が展開される。
【0057】
以降において詳述する他の例では、インプラント送達デバイス10は、インプラントハウジング2を第1のニードル12の外へと押し出すように構成された展開部材を備え得る。以降において詳述するいくつかの例では、インプラント送達デバイス10は、第1のニードル12および/またはハンドル11に対してインプラントハウジング2を解除可能に装着するように構成された保持部材を有してもよく、この保持部材は、第2のニードル13が後退された後におよび第1のニードル12が患者から除去される前に、インプラントハウジング2を解除し得る。
【0058】
図7図8Aおよび図8Bは、第1のニードル12および第2のニードル13を示す。図示するように、電極リード線3は、第2のニードル13内に受けられ、第2のニードル13は、第1のニードル12内のインプラントハウジング2に対して連結するためのスロット18を備える。スロット18は、先端部15から第2のニードル13に沿って部分的に延在する。スロット18は、第2のニードル13の全長にわたって延在してもよい。第2のニードル13は、シースの形態であってもよい。第1のニードル12は、インプラントハウジング2を受ける。
【0059】
第1のニードル12は、ベベル先端部14を備え、第2のニードル13は、ベベル先端部15を備える。ベベル先端部14、15は、使用の最中に患者の皮膚を穿刺し組織を穿通するために先鋭である。
【0060】
図7に示すように、第2のニードル13は、第1のニードル12のルーメンを貫通して延在する。具体的には、図8Bに示すように、第1のニードル12は、一次部分19Aおよび二次部分19Bを備える。一次部分19Aおよび二次部分19Bは、第1のニードル12が単一ルーメンを有するように合併される。一次部分19Aおよび二次部分19Bは、2つの識別可能な部分19Aおよび19Bを画定するように形状設定される。
【0061】
一次部分19Aは、インプラントハウジング2を受けるように形状設定される。具体的には、一次部分19Aは、インプラントハウジング2を受けるようにサイズ設定され、一次部分19A内において軸方向に整列状態にインプラントハウジング2を保持する実質的に円形の断面を有する。
【0062】
二次部分19Bは、第2のニードル13を受けるように形状設定される。具体的には、二次部分19Bは、第2のニードル13を受けるようにサイズ設定され、二次部分19B内において軸方向に整列状態に第2のニードル13を保持する実質的に円形の断面を有する。
【0063】
いくつかの例では、二次部分19Bおよび一次部分19Aはそれぞれ、実質的に円形の断面を有し、これらの断面は、少なくとも部分的に重複する。かかる例では、インプラントハウジングは、二次部分19B内に第2のニードル13が存在することによって、一次部分19Aの一方の側まで押し込まれ得る。
【0064】
したがって、第1のニードル12は、インプラントハウジング2および第2のニードル13を受けるように、ならびに第2のニードル13が後退位置に向かって摺動することを可能にするように形状設定される。第1のニードル12のルーメン内に第2のニードル13がこのように位置することにより、使用の最中に第2のニードル13によって形成される穿刺創傷が第1のニードル12によって拡張されるにせよ、患者の皮膚中に形成される穿刺創傷は1つのみになるため有利となる。
【0065】
代替的な例では、第2のニードル13は、第1のニードル12のルーメン内へとまたはルーメンを貫通して通過しない。代わりに、第2のニードル13は、ハンドル11の別の部分を貫通して延在し得る。
【0066】
図9図11は、一例のインプラント送達デバイス10を示す。図示するように、インプラント送達デバイス10は、ハンドル11、第1のニードル12、および第2のニードル13を図3図8Bを参照して上述するような構成において備える。具体的には、第1のニードル12は、ハンドル11に対して固定され、第2のニードル13は、第1のニードル12の端部を越えて延在する延在位置(図9に示す)から、ハンドル11に向かって後退されることにより電極リード線(3、図3を参照)を放出する後退位置(図16Dを参照)へと後退可能である。
【0067】
図9および図10に示すように、第2のニードル13は、ハンドル11を貫通して延在し、第2のニードル13の部分13aは、作動タブ16に対して装着される。
【0068】
また、図9では、インプラント展開部材20が示される。このインプラント展開部材20は、把持タブ21を備える。以降においてさらに説明されるように、インプラント展開部材20は、第1のニードル12内へ摺入し、第1のニードル12外へとインプラントハウジング2を押し出すように構成された、チューブまたはプランジャの形態であってもよい。
【0069】
図11に示すように、ハンドル11は、第1のニードル12が中に取り付けられ、第2のニードル13およびインプラント展開部材20が通過する、開口22を備える。
【0070】
図12は、図4図6を参照して説明されるロッキング機構17の一例を示す。このロッキング機構は、ハンドル11および第1のニードル12に対して第2のニードル13の位置を解除可能にロックするように構成される。この例では、ロッキング機構は、ハンドル11上のロッキングリング24内に形成されたロッキングスロット23を備える。ロッキングリング24は、ハンドル11の一体部分であってもよく、またはハンドル11に対して装着されてもよい。ロッキングスロット23は、第2のニードル13の一部を、具体的には作動タブ16が装着された第2のニードル13の部分13aを受けるように形状設定された、L字スロットまたはJ字スロットであってもよい。この部分13aは、このスロットに進入することが可能であり、第2のニードル13の回転(作動タブ16による)によって、部分13aは、第2のニードル13の軸方向移動を制約するロッキングスロット23の端部内へと移動される。したがって、第2のニードル13は、第2のニードル13を、具体的には作動タブ16を回転させることによりロック位置とロック解除位置との間で移動されて、ロッキングスロット23内外へ部分13aを移動させ得る。
【0071】
図13Aおよび図13Bは、第1のニードル12内にインプラントハウジング2を解除可能に固定するように構成された、保持部材の一例を示す。図示するように、この例では、第1のニードル12は、インプラントハウジング(2、図7を参照)に接触し、第1のニードル12内にインプラントハウジングを保持するように構成された、保持タブ25の形態の保持部材を備える。保持タブ25は、保持タブ25を形成する第1のニードル12中のU字形状切込みによって形成され、内方へと部分的に屈曲されることにより保持タブ25の位置において第1のニードル12の内径を狭める。
【0072】
いくつかの例では、インプラントハウジング2は、保持タブ25に対応するように構成された凹部を備えてもよい。他の例では、保持タブ25は、インプラントハウジング2の側壁部に接触する。
【0073】
保持タブ25は、インプラントハウジング2が比較的小さい力で第1のニードル12から引かれることにより、第1のニードル12からインプラントハウジング2を展開させることができるように、構成され得る。したがって、電極リード線3と患者の組織との間の摩擦力は、上述のように第2のニードル13の後退後に患者からインプラント送達デバイス10を引くことによって保持タブ25の保持力が克服されるために十分な保持力を与え得る。
【0074】
別の例では、インプラント送達デバイス10は、図13Bに示すようなインプラント展開部材20をさらに備える。インプラント展開部材20は、ハンドル内の開口22を貫通し第1のニードル12内へと延在する。この位置から、インプラント展開部材20は、インプラントハウジング2を第1のニードル12外へと押し出すためのプランジャとして機能し得る。インプラント展開部材20は、インプラント展開部材20を作動するための把持タブ21を備える。
【0075】
いくつかの例では、インプラント展開部材20は、ロッキングタブを備え得、このロッキングタブは、ロッキングタブが例えばインプラント展開部材20または把持タブ21の回転などにより係合解除されるまで、インプラントハウジング2に向かってインプラント展開部材20が軸方向移動するのを防止するように構成される。
【0076】
図14A図14Cは、第1のニードル12内にインプラントハウジング2を解除可能に固定するように構成された保持部材の別の例を示す。この例では、保持部材は、形状記憶部材26からなり、この形状記憶部材26は、把持タブ21とインプラントハウジング2との間において、ハンドル11を貫通し、特にインプラント展開部材20を貫通して延在する。
【0077】
図14Bに示すように、インプラントハウジング2は、例えば穴またはフックなどの装着ポイント27を備える。形状記憶部材26の端部がこの装着ポイント27に掛止することによって、第1のニードル12内にインプラントハウジング2が保持される。
【0078】
図14Cに示すように、フック27の対向側に位置する形状記憶部材26の対向側端部26aは、把持タブ21に対して摺動可能に取り付けられた作動タブ28に装着される。したがって、把持タブ21に対して作動タブ28を移動することにより、形状記憶部材26が引っ張られる。したがって、作動タブ28を引くことにより、形状記憶部材26の端部に位置するフックが変形され、装着ポイント27から係合解除されて、インプラントハウジング2が解除され得る。
【0079】
いくつかの例では、形状記憶部材26は、形状記憶ポリマーまたは例えばニチノールバーなどの形状記憶合金からなる。他の例では、形状記憶部材26は、バイメタルストリップ、ばねワイヤ、またはピアノ線からなるものであってもよい。形状記憶部材26は、インプラントハウジング2上の装着ポイント27に係合する被掛止端部を有する。この被掛止端部は、形状記憶部として形成され、作動タブ28が引かれることにより被掛止端部が装着ポイント27から係合解除されるまで、インプラントハウジング2が第1のニードル12外へと移動するのを防止し得る。
【0080】
作動タブ28は、第1のニードル12からのインプラントハウジング2の意図しない解除を防止するために、把持タブ21に対して解除可能にロックされ得る。
【0081】
形状記憶部材26が装着ポイント27から係合解除されると、インプラントハウジング2は、電極リード線3と患者の組織との間の摩擦力により第1のニードル12から引き出され得る、および/またはインプラント展開部材20は、前述のようにプランジャとして機能し得る。
【0082】
図15A図15Cは、第1のニードル12内にインプラントハウジング2を解除可能に固定するように構成された保持部材の別の例を示す。この例では、保持部材は、把持タブ21から第1のニードル12内のインプラントハウジング2まで延在するスレッド29からなる。このスレッド29は、インプラントハウジング2上の装着ポイント27を貫通してループ形成され、両端部29a、29bが、把持タブ21にて固定される。例えば、これらの端部29a、29bは、相互に対してまたは把持タブ21の一部に対して結び付けられ得る。好ましくは、端部29a、29bは、端部29a、29bが容易に解かれるように、またはスレッド29の一部が切断されるために容易にアクセス可能になり得るように、把持タブ21に対して固定される。
【0083】
したがって、スレッド29は、切断または解かれることにより除去可能になるまで、第1のニードル12内にインプラントハウジング2を保持する役割を果たす。
【0084】
インプラントハウジング2が解除されると、インプラントハウジング2は、電極リード線3と患者の組織との間の摩擦力により第1のニードル12外へと引かれ得る、および/またはインプラント展開部材20は、先述のようにプランジャとしての役割を果たし得る。
【0085】
このスレッドは、ケブラー糸であってもよい。
【0086】
上述の例では、第2のニードル13は、最初に延在位置にあり、第1のニードル12および第2のニードル13は、患者内に同時に位置決めされ得る。図16は、第2のニードル13が最初に後退位置にある代替的な例を示す。この例では、図示するように、作動タブ4は、ハンドル11から延在する。後退位置では、第2のニードル13は、図示するように第1のニードル12内に位置してもよく、またはハンドル11内において第1のニードル12に並んで位置してもよい。電極リード線3は、第2のニードル13内に部分的に位置し、インプラントハウジング2と第2のニードル13との間においてループを形成する。
【0087】
使用の最中に、以降においてさらに説明するように、第1のニードル12は、インプラント送達デバイス10が図16に示す構成にある状態で、患者内へと挿入され、次いで作動タブ16は、ハンドル11に向かって押されることにより、第1のニードル12を越えて第2のニードル13を延在させ、定位置に電極リード線3を運ぶ。この位置では、ロッキング機構17は、作動タブ16および第2のニードル13が定位置にロックされるように係合され得る。
【0088】
いくつかの例では、インプラント送達デバイス10は、第2のニードル13が延在位置にある状態で、患者から除去され得る。プッシャ(上述のような)が、第1のニードル12および第2のニードル13外へと医療用インプラント1を押し出すように設けられ得る。他の例では、第2のニードル13は、延在された後で、次いで上述のような様式でハンドル11から作動タブ16を引き離すことによって後退され、それにより電極リード線3が放出され得る。
【0089】
図17A図17Eは、患者内に医療用インプラント1を展開するためにインプラント展開デバイス10を動作させる方法を示す。
【0090】
これらの例では、上述のように、インプラント送達デバイス10は、ハンドル11と、インプラントハウジング2を有する第1のニードル12と、電極リード線3を有する第2のニードルと、を備える。また上述のように、インプラント送達デバイス10は、第2のニードル13を後退させるための作動タブ16と、第1のニードル12外へとインプラントハウジング2を押し出すためのインプラント展開部材20と、をさらに備える。
【0091】
図17A図17Eのインプラント送達デバイス10は、図13A図15Cのいずれかにおいて説明されるような保持部材を備え得る。以降で明らかになるように、図17Aは、第2のニードル13が最初に後退位置にある図16の例に関連するものであり、図17B図17Eは、図3図16の例のすべてに関連するものである。
【0092】
図17Aは、第2のニードル13が図16を参照して説明されるように後退された、初期状態にあるインプラント送達デバイス10を示す。この状態で、オペレータは、患者の皮膚5を通過し医療用インプラント1の展開位置へと第1のニードル12を押し込む。
【0093】
インプラント送達デバイス10および医療用インプラント1は、使い捨てユニットとして事前組立およびパッケージングされる。したがって、オペレータは、医療用インプラント1が第1のニードル12および第2のニードル13内へと事前に装填された状態で、インプラント送達デバイス10を供給される。
【0094】
次いで、図17Bに示すように、作動タブ16は、ハンドル11に向かって押されることにより、第1のニードル12を越えて第2のニードル13を第2の深さまで延在させる。第2のニードル13は、電極リード線3を運ぶ。オペレータは、神経9に向かって第2のニードル13を案内するのを補助するために、超音波撮像デバイスを使用してもよい。この状態において、第1のニードル12は、患者の組織内の適切な深さにインプラントハウジング2を位置決めしており、同時に第2のニードル13は、患者の組織内の適切な深さに電極リード線3を位置決めしている。
【0095】
また、図17Bは、初期状態にある図3図9のインプラント送達デバイス10を示し、延在位置にある第2のニードル13は、電極リード線を覆っている(図17Bには図示略)。第2のニードル13は、例えば図12を参照して説明したロッキングスロット23などのロッキング機構によりハンドル11に対してロックされる。
【0096】
インプラント送達デバイス10および医療用インプラント1は、使い捨てユニットとして事前組立およびパッケージングされる。したがって、オペレータは、医療用インプラント1が第1のニードル12および第2のニードル13内へと事前に装填された状態で、インプラント送達デバイス10を供給される。
【0097】
この状態において、オペレータは、患者の皮膚5を通過し医療用インプラント1の展開位置へと第1のニードル12および第2のニードル13を押し込む。オペレータは、神経9に向かって第2のニードル13を案内するのを補助するために、超音波撮像デバイスを使用してもよい。
【0098】
図17Bに示す適切な位置では、第2のニードル13は、神経9の近傍において筋組織8内に位置し、インプラントハウジング2を収容する第1のニードル12の端部は、皮下組織7中に位置決めされる。第1のニードル12および第2のニードル13は共に、表皮5および真皮6を貫通している。第2のニードル13は、第1のニードル12のルーメン内に配置されるため、表皮5および真皮6には1つのみの穿孔が存在する。
【0099】
一例では、第2のニードル13は、電極リード線上の電極(4、図1を参照)に対応する1つまたは複数の側部開口を備えてもよく、この側部開口により、第2のニードル13を後退させる前に電極リード線の位置を検査することが可能となる。かかる検査により、電極リード線が神経9に対する正確な位置に位置しないことが判明した場合には、次いでインプラント送達デバイス10が、少なくとも部分的に除去され、第2のニードル13が、位置変更され得る。
【0100】
いくつかの例では、図26を参照してさらに説明されるように、第1のニードル12は、例えばステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属から作製されてもよい。かかる例では、第1のニードル12は、例えばプラスチックインサート等により形成された非伝導性窓を備えてもよく、これにより、インプラントハウジング2が第1のニードル12内に位置決めされている状態において、外部デバイスとインプラントハウジング2との間のワイヤレス通信が可能になり得る。これにより、電極リード線の位置を検査することが可能となり、またインプラントの展開前に、インプラントハウジング2内に設けられた電子機器を検査することが可能となる。
【0101】
図17Cに示すように、次に、オペレータは、第2のニードル13をロック解除し(例えば第2のニードル13を回転させて図12のロッキング機構を係合解除し)、患者から離れるように作動タブ16を後退させる。これにより、第2のニードル13は、第1のニードル12内において後退位置へと移動され、電極リード線3が放出される。
【0102】
一例では、第2のニードル13は、電極(4、図1を参照)が位置する電極リード線3の端部のみを露出させるために、部分的にのみ後退される。この部分的後退により、神経9に対する電極リード線3の位置を検査することが可能となる。かかる検査により、電極リード線が神経9に対して正確な位置に位置しないことが判明した場合には、次いで第2のニードル13が、再び押し出されて戻され、それにより電極リード線3を再被覆し、インプラント送達デバイス10は、少なくとも部分的に除去されることが可能となり、第2のニードル13は、位置変更されることが可能となる。
【0103】
電極リード線3の位置が正確である場合には、第2のニードル13は、電極リード線3を放出するように完全に後退される。
【0104】
次に、図17Dに示すように、インプラントハウジング2は、第1のニードル12から放出および展開される。具体的には、インプラント送達デバイス10が図13A図15Cのいずれかにおいて説明されるような保持部材を備える場合に、この保持部材は、インプラントハウジング2を放出するために解除される。
【0105】
いくつかの例では、電極リード線3と組織、具体的には筋肉8との間の摩擦力により、インプラント送達デバイス10が患者から引き抜かれるときに、第1のニードル12外へとインプラントハウジング2を引き出すために十分な保持力が得られる。
【0106】
他の例では、図17Dに示すように、インプラント展開部材20(および把持タブ21)は、第1のニードル12外へとインプラントハウジング2を押し出すためにハンドル11に向かって押される。インプラント展開部材20は、ハンドル11に向かって押されると共に、同時に皮膚5から離れるようにハンドル11を移動させることによって、電極リード線3を押し引きすることなくインプラントハウジング2を展開させることができる。
【0107】
したがって、医療用インプラント1は、図17Eに示すように展開され、インプラント送達デバイス10は、患者から除去され得る。
【0108】
図18A図21Bは、代替的な例のインプラント送達デバイス10を示す。この例では、インプラント送達デバイス10は、ハンドル11と、インプラントハウジング2を保持する第1のニードル12と、電極リード線3を保持する第2のニードル13と、を前述のように備える。この例では、作動タブ16は、第2のニードル13を後退させるためにハンドル11および患者に向かって押されるように構成される。
【0109】
具体的には、図示するように、インプラント送達デバイス10は、患者に向かう作動タブ16の移動を患者から離れる第2のニードル13の後退へと変換させるためのラックアンドピニオン機構を有する。図示するように、このラックアンドピニオン機構は、第2のニードル13に対して装着された、または第2のニードル13の一部として形成された、第1のラック部分30Aを備える。また、ラックアンドピニオン機構は、作動タブ16に対して装着された、または作動タブ16の一部として形成された、第2のラック部分30Bを備える。ピニオン歯車31が、ハンドル11内に回転可能に取り付けられ、第1のラック部分30Aおよび第2のラック部分30Bの両者に係合される。ピニオン歯車31は、第1のニードル12内に取り付けられてもよく、または図示するようにハンドル11内の第1のニードル12の端部の後ろに取り付けられてもよい。したがって、図18Bに示すように、作動タブ16が患者に向かって押されると、ラックアンドピニオン機構は、第2のニードル13を患者から離れるように後退させて、電極リード線3を放出させる。
【0110】
有利には、作動タブ16を引くのではなく作動タブ16を押すことにより、インプラント送達デバイス10の片手動作が可能となり得る。
【0111】
さらに、患者に向かって作動タブ16を押すことにより、インプラントハウジング2は、図22Aおよび図22Bを参照して以降においてさらに詳細に説明されるように、第1のニードル12から放出され得る。
【0112】
図19図21Bは、図18Aおよび図18Bを参照して説明するプッシュ作動タブ16およびラックアンドピニオン機構を有する一例のインプラント送達デバイス10を示す。図示するように、このインプラント送達デバイス10は、図9の例と同様のものであり、ハンドル11、第1のニードル12、および第2のニードル13を有する。この例では、図20においてさらに明確であるように、ガイド部材32が、患者から離れる方向へと(ニードル12、13とは逆方向に)ハンドル11から延在する。ガイド部材32は、ハンドル11に対して固定される。作動タブ16および第2のラック部分30Bは、上述のように第2のニードル13を後退させるために、ハンドル11に向かってガイド部材32に沿って摺動可能である。
【0113】
さらに図20に示すように、ロッキング機構17が、ガイド部材32に対して作動タブ16をロックするために設けられる。ロッキング機構17は、第1のニードル12および第2のニードル13が相互にロックされた状態において患者内に挿入可能となるように、作動タブ16(および第2のラック部分30B)をガイド部材32およびしたがってさらにハンドル11に対してロックする。
【0114】
第1のニードル12および第2のニードル13が患者内に位置決めされると、ロッキング機構17は係合解除されることにより、作動タブ16および第2のラック部分30Bを解除してガイド部材32に沿ってハンドル11に向かって摺動させ、それにより第2のニードル13を後退させ得る。
【0115】
図20に示すように、この例では、ロッキング機構17は、作動タブ16に対して取り付けられガイド部材32上の対応する穴34に係合するように構成された、ばね式ピン33を備える。ばね38が、ピン33を穴34内に押し込むために配置される。ボタン35が、ユーザにより操作されることにより、穴34からピン33を係合解除し、それにより作動タブ16を解除してガイド部材32に沿って移動させることができる。図示するように、ボタン35およびピン33は、対向し合う角度付き表面37a、37bを有し、これらの角度付き表面37a、37bは、ボタン35が押し下げられると、穴34外へとピン33を移動させる。ボタン35は、第2のニードル13を後退させるために作動タブ16が移動される方向と同じ方向へと患者に向かって押し下げられるように構成される。このようにして、ユーザは、1つの動作でボタン35を押し下げハンドル11に向かって作動タブ16を押すことによって、第2のニードル13を後退させることができる。
【0116】
図示するように、ガイド部材32は、1つまたは複数の中間穴36a、36bを備えてもよく、これらの中間穴36a、36bは、穴34とハンドル11との間に配設されて、作動タブ16を種々の位置においてガイド部材32に対してロックすることを可能にする。いくつかの例では、第1の中間穴36aは、第2のニードル13が電極リード線を放出するために引き抜かれるときの作動タブ16の位置に対応し得る。いくつかの例では、以降においてさらに説明されるように、第2の中間穴36bは、解除機構がインプラントハウジングを解除したときの作動タブ16の位置に対応し得る。
【0117】
図21Aおよび図21Bは、図18A図20に示すものと同様の例のインプラント送達デバイス10を示す。この例では、インプラント送達デバイス10は、ハンドル11と、インプラントハウジング2を保持する第1のニードル12と、電極リード線3を保持する第2のニードル13と、第2のニードル13を後退させるためにハンドル11および患者の方向に押されるように構成された作動タブ16と、を備える。インプラント送達デバイス10は、図18A図20を参照して説明されるものと同一の様式で作動タブ16の移動を第2のニードル13の移動へと変換するためのラックアンドピニオン機構を有する。
【0118】
図21Aに示すように、この例では、第2のニードル13は、最初に後退位置にある。この後退位置は、図示するように第1のニードル12内に位置するか、またはハンドル11内の第1のニードル12に並んで位置し得る。電極リード線3は、第2のニードル13内に部分的に位置し、インプラントハウジング2と第2のニードル13との間でループを形成する。この位置では、ロッキング機構は、ピン(33、図20を参照)が第1の中間穴(36a、図20を参照)内に位置するように、係合される。
【0119】
以降においてさらに説明されるように、使用の最中に、第1のニードル12は、インプラント送達デバイス10が図21Aに示す構成にある状態で患者内に挿入され、次いで作動タブ16は、第1のニードル12を越えるように第2のニードル13を延在させ、電極リード線3を定位置に運ぶように、ハンドル11から離れる方向へと後退される。この位置では、ロッキング機構は、ピン(33、図20を参照)が穴(34、図20を参照)内に位置するように、係合される。次いで、第2のニードル13は、上述のような様式で作動タブ16をハンドル11に向かって押すことにより後退され、それにより電極リード線3が放出される。
【0120】
図18A図20の例と同様に、図21Aおよび図21Bのインプラント送達デバイスは、第1のニードル12からインプラントハウジング2を解除するための解除機構を有し得る。
【0121】
図22Aおよび図22Bは、図18図21Bのインプラント送達デバイス10の一例の解除機構39を示す。解除機構39は、第1のニードル(図21Aおよび図21Bには図示略)内にインプラントハウジング2を保持し、送達デバイスが除去されてインプラント1を定位置に残置させ得るようにインプラントハウジング2を解除するように動作可能である。図22Aは、インプラントハウジング2に係合された、および第1のニードル内にインプラントハウジング2を保持している解除機構39を示し、図22Bは、インプラントハウジング2が解除された動作後の解除機構39を示す。解除機構39は、第1のニードル内に少なくとも部分的に収容される。
【0122】
図示するように、解除機構39は、保持部材を備え、この例ではクランピングキャップ40を備える。クランピングキャップ40は、インプラントハウジング2上にクランプ固定するためにインプラントハウジング2の端部上に押し付けられ得るテーパ状凹部41を有する。図22Aに示す位置では、インプラントハウジング2は、クランピングキャップ40に対して装着され、それにより第1のニードルおよび送達デバイスの中にインプラントハウジング2が保持される。
【0123】
クランピングキャップ40は、図22Bに示す装着解除位置へと移動可能であり、この位置では、クランピングキャップ40は、インプラントハウジング2から分離されてインプラントハウジング2を解除し、それにより送達デバイス10が除去されてインプラントを定位置に残置させることが可能となる。既述のように、解除機構39は、作動タブ(16、図18図21Bを参照)の移動によって操作される。
【0124】
図22Aおよび図22Bに示すように、クランピングキャップ40は、突出部42をさらに備え、この突出部42は、テーパ状凹部41から離れるように延在し、ピン44を介してアクチュエータ部材43に対して装着される。アクチュエータ部材43は、軸方向においてインプラントハウジング2から離れるように移動することにより、インプラントハウジング2からクランピングキャップ40を引き離すように動作可能である。アクチュエータ部材43の移動は、送達デバイスのハンドル11の一部に形成されたスロット46を貫通してアクチュエータ部材43から延在するピン45によって制約される。スロット46は、解除機構39が動作される前にピン45が位置決めされる切欠部46aを有する。ばね47が、第1のニードル内に固定されるアンカー50と、アクチュエータ部材43との間で作用することにより、アクチュエータ部材43は、軸方向においてインプラントハウジング2から離れる方向へと付勢される。切欠部46aは、ばね47の力に対抗して軸方向においてアクチュエータ部材43を保持する。図22Aに示すように、この位置では、解除機構39はばね式である。
【0125】
作動タブ(16、図20を参照)がハンドル11内に移動されることにより、作動タブの遠位端部48が、解除機構39を通過し接近し、ピン45に係合する。具体的には、作動タブ16の遠位端部48が、図18A図18B図20図21A、および図21Bに示す第2のラック部分30B上に形成され得る。図22Bに示すように、遠位端部48は、遠位端部48とピン45との間の係合によりピン45が横方向へと切欠部46aから出てスロット46の軸方向延在部分46b内に押し込まれるように、角度を付けられる。これにより、アクチュエータ部材43およびクランピング部材40は解除されて、ばねの力の下でインプラントハウジング2から離れるように移動され、それにより図22Bに示すようにインプラントハウジング2からテーパ状凹部41が装着解除される。
【0126】
図22Aおよび図22Bに示すように、プッシャ49が、クランピング部材40が移動されたときに、インプラントハウジング2が移動するのを防止するために設けられる。具体的には、プッシャ49は、アンカー50から延在し、クランピング部材40の開口を通過してインプラントハウジング2の端部に係合する。したがって、クランピング部材40がばね47により移動されると、インプラントハウジング2は定位置に保持される。
【0127】
上述のように、解除機構39は、遠位端部48がスロット46外へとピン45を移動するまで作動タブ(16、図20を参照)をハンドル11内へと移動することにより動作可能であり、これによって、ばね47は、アクチュエータ部材43およびクランピング部材40を移動させ、インプラントハウジング2を解除することが可能となる。解除機構39は、第2のニードルが引き抜かれた後のある時点においてこのように動作されることが理解されよう。
【0128】
したがって、図18A図20ならびに図22Aおよび図22Bの実施形態は、使用の最中にハンドル11に向かって押される作動タブ16を有するインプラント送達デバイス10を提供する。作動タブ16の移動の第1の段階では、第2のニードル13が、電極リード線3を放出するために後退される。作動タブ16の移動の続く第2の段階では、解除機構は、第1のニードル12からインプラントハウジング2を解除するように動作可能である。したがって、ユーザは、ハンドル11に向かって作動タブ16を押すことにより片手でインプラント送達デバイス10を動作させることが可能となり、これにより最初に電極リード線3が放出され、次いでインプラントハウジング2が解除される。インプラントハウジング2が解除されると、インプラント送達デバイス10は、患者から除去することが可能となる。
【0129】
同様に、図21A図22Bは、インプラント送達デバイス10を提示する。このインプラント送達デバイス10では、作動タブ16は、ハンドル11から離れる方向に引かれることにより第2のニードル13を延在させ、次いで作動タブ16は、図18A図20ならびに図22Aおよび図22Bの例に関して上述したものと同じ様式で第1の段階および第2の段階を通じてハンドル11に向かって押される。
【0130】
図23A図23Eは、患者内に医療用インプラント1を展開させるために図18A図22Bのインプラント送達デバイス10を動作させる方法を示す。以降において明らかになるように、図23Aは、図22Aおよび図22Bの例に関連するものであり、図23B図23Eは、図18A図22Bのすべての実施形態に関連する。
【0131】
図23Aは、初期状態にある図22Aおよび図22Bのインプラント送達デバイス10を示し、第2のニードル13は、同様に図22Aに示すように後退位置にある。この状態で、オペレータは、患者の皮膚5を通過し、医療用インプラント1を展開するための位置内まで、第1のニードル12を押し込む。
【0132】
次いで、図23Bに示すように、作動タブ16が、ハンドル11から離れるように後退されて、第1のニードル12を越えて第2の深さまで第2のニードル13を延在させる。第2のニードル13は、図22Bに示すように電極リード線3を運ぶ。この状態において、第1のニードル12は、患者の組織内の適切な深さにインプラントハウジング2を位置決めしており、同時に第2のニードル13は、患者の組織内の適切な深さに電極リード線3を位置決めしている。
【0133】
また、図23Bは、図18A図20のインプラント送達デバイスの初期状態を示し、第2のニードル13は、電極リード線(図23Bには図示略)を覆う延在位置にある。第2のニードル13は、図20に示すロッキング機構によりハンドル11に対してロックされる。
【0134】
この状態で、オペレータは、患者の皮膚5を通過し、医療用インプラント1を展開するための位置内まで、第1のニードル12および第2のニードル13を押し込む。オペレータは、神経9に向かって第2のニードル13を案内するのを補助するために超音波撮像デバイスを使用し得る。
【0135】
図23に示す位置では、第2のニードル13は、筋組織8内において神経9の近傍に位置し、インプラントハウジング2を収容する第1のニードル12の端部は、皮下組織7中に位置決めされる。第1のニードル12および第2のニードル13は共に、表皮5および真皮6を貫通している。第2のニードル13は、第1のニードル12のルーメン内に配置されるため、表皮5および真皮6には1つのみの穿孔が存在する。
【0136】
一例では、第2のニードル13は、電極リード線上の電極(4、図1を参照)に対応する1つまたは複数の側部開口を備えてもよく、この側部開口により、第2のニードル13を後退させる前に電極リード線の位置を検査することが可能となる。かかる検査により、電極リード線が神経9に対する正確な位置に位置しないことが判明した場合には、次いでインプラント送達デバイス10が、少なくとも部分的に除去され、第2のニードル13が、位置変更され得る。
【0137】
いくつかの例では、第1のニードル12は、例えばステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属から作製されてもよい。図26を参照してさらに説明されるように、かかる例では、第1のニードル12は、例えばプラスチックインサート等により形成された非伝導性窓を備えてもよく、これにより、インプラントハウジング2が第1のニードル12内に位置決めされている状態において、外部デバイスとインプラントハウジング2との間のワイヤレス通信が可能になり得る。これにより、電極リード線の位置を検査することが可能となり、またインプラントの展開前に、インプラントハウジング2内に設けられた電子機器を検査することが可能となる。
【0138】
図23Cに示すように、次に、オペレータは、ボタン35および作動タブ16を押すことによりこれらをガイド部材32に沿ってハンドル11に向かって移動させることによって、第2のニードル13を後退させる。作動タブ16がガイド部材32に沿って移動すると、ラックアンドピニオン機構は、第2のニードル13を後退させ、電極リード線3を放出する。
【0139】
一例では、第2のニードル13は、電極(4、図1を参照)が位置する電極リード線3の端部のみを露出させるために、部分的にのみ後退される。この部分的後退により、神経9に対する電極リード線3の位置を検査することが可能となる。かかる検査により、電極リード線が神経9に対して正確な位置に位置しないことが判明した場合には、次いで第2のニードル13が、再び押し出されて戻され、それにより電極リード線3を再被覆し、インプラント送達デバイス10は、少なくとも部分的に除去されることが可能となり、第2のニードル13は、位置変更されることが可能となる。
【0140】
電極リード線3の位置が正確である場合には、第2のニードル13は、電極リード線3を放出するように完全に後退される。
【0141】
次に、図23Dに示すように、インプラントハウジング2は、第1のニードル12から放出および展開される。いくつかの例では、図22Aおよび図22Bを参照して説明するように、解除機構39が、インプラントハウジング2を解除するように動作される。
【0142】
いくつかの例では、電極リード線3と組織、具体的には筋肉8との間の摩擦力により、インプラント送達デバイス10が患者から引き抜かれるときに、第1のニードル12外へとインプラントハウジング2を引き出すために十分な保持力が得られる。
【0143】
したがって、医療用インプラント1は、図23Eに示すように展開され、インプラント送達デバイス10は、患者から除去され得る。
【0144】
図24は、代替的な例の第2のニードル13を示す。上述の例では、第2のニードル13は、ルーメンを有し、電極リード線3は、第2のニードル13のこのルーメンを貫通して延在するようにこのルーメン内に受けられる。このルーメンは、シースと同様の第2のニードル13の側部を貫通して開口してもよい。図24の例では、第2のニードル13は、第2のニードル13の遠位端部52に装着ポイントを備える。この例では、装着ポイントは、遠位端部52にて第2のニードル13内へと少なくとも部分的に延在する穴51を備える。図示するように、電極リード線3の一端部が、穴51内に受けられ、それにより電極リード線3は、第2のニードル13の一方の側に沿って運ばれる。また、第2のニードル13の遠位端部52は、ベベル先端部15を備える。電極リード線3の一端部が、穴51内に受けられ、屈曲部53を貫通して延在し、次いで第2のニードル13の前出の側部に沿って、第1のニードル(12、図3を参照)内に受けられたインプラントハウジングまで延在する。ベベル先端部15は、患者の皮膚および組織を穿刺する役割を果たし、図2に示すように組織内の適切な深さまで電極リード線3の端部を運ぶ。次いで、第2のニードル13は、図2図23Eを参照して上述するように後退されて、電極リード線3が定位置に残置される。
【0145】
図24に示す例では、電極リード線3中の屈曲部により、電極リード線3の端部は、第2のニードル13が患者内に押し込まれるときに穴51内に保持される。第2のニードル13が後退される場合に、電極リード線3の端部は、穴51外へと摺動することが可能であり、定位置に留まる。
【0146】
いくつかの他の例では、穴51は、第2のニードル13の対向側端部まで延在し、プッシャまたは流体圧力が、電極リード線3を穴51の外へ押し出すために適用され得る。
【0147】
図示する例では、第2のニードル13の遠位端部52は、切欠部54をさらに備え、この切欠部54は、ベベル先端部15が患者の皮膚および組織を穿刺するためにより十分に露出されるように、屈曲部53を受けるように構成される。
【0148】
いくつかの例では、代替的に、第2のニードル13は、遠位端部52の近傍にて、第2のニードル13の側面に穴を有する。電極リード線3の端部は、第2のニードル13の側部の穴内に受けられることが可能であり、上述の様式と同様に機能する。他の同様の例では、第2のニードル13は、電極リード線3上の例えばボールなどの整合特徴部を受けるように形状設定された、ソケットを備え得る。このソケットと、電極リード線上の整合特徴部とが、装着ポイントにて第2のニードル13に対して電極リード線を装着させ得る。
【0149】
図24の例の第2のニードル13は、任意の前述の例の例示の第2のニードル13の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。
【0150】
いくつかの例では、図25に示すように、第1のニードル12の先端部14は、患者の皮膚および組織を穿刺するための先鋭突出部56を備える。先鋭突出部56を有する第1のニードル12は、本明細書において説明される例のインプラント送達デバイス10のいずれにおいて使用されてもよい。
【0151】
図26に示すように、いくつかの例では、第1のニードル12は、第1のニードル12内のインプラントハウジング2の位置に対応する窓55を備え得る。好ましくは、第1のニードル12は、例えば鋼またはアルミニウムなどの金属である。窓55は、例えば第1のニードル12の一部分を除去することによって形成された開口であり得る。代替的には、窓55は、例えばプラスチックインサートなどのインサートを備えてもよい。窓55により、患者内への展開の最中における医療用インプラントのその場での検査を可能にするための、インプラントハウジング2と外部デバイスとの間におけるワイヤレス通信およびワイヤレス給電が可能になる。
【0152】
まとめると、患者内に医療用インプラントを植え込むためのインプラント送達デバイスが提供される。この医療用インプラントは、インプラントハウジングと、インプラントハウジングから延在する細長電極リード線と、を備える。インプラント送達デバイスは、ハンドルと、ハンドルに対して固定され長手方向に延在する第1のニードルと、第1のニードルよりも大きいゲージを有する第2のニードルと、を備える。第1のニードルは、医療用インプラントのインプラントハウジングを受けるように適合化されたルーメンを有し、第2のニードルは、医療用インプラントの細長電極リード線を運ぶように適合化される。第2のニードルは、第2のニードルが延在位置と後退位置との間で可動になるように、ハンドルに対して後退可能に取り付けられる。延在位置では、第2のニードルは、使用の最中に第1のニードルおよび第2のニードルが、インプラントハウジングを第1の深さに、および電極リード線を第1の深さよりも深い第2の深さに同時に位置決めできるように、長手方向において第1のニードルを越えて延在する。後退位置では、第2のニードルは、第2のニードルから電極リード線を放出するために、ハンドルに向かって後退される。
【0153】
また、インプラント送達デバイス10を使用して医療用インプラント1を植え込む方法が提供される。この方法は、神経9に対して医療用インプラント1を位置決めするために、患者内に第1のニードル12および第2のニードル13を位置決めすることと、電極リード線3を放出するために第2のニードル13を後退させることと、次いでインプラントハウジング2を展開し、インプラント送達デバイス10を除去することを任意には同時に行うことと、を含む。
【0154】
いくつかの例では、この方法は、第1のニードル12からインプラントハウジング2を解除するために保持部材を解除することを含み得る。いくつかの例では、この方法は、第2のニードル13を後退させる前に、ハンドル11から第2のニードル13をロック解除することを含み得る。いくつかの例では、この方法は、第2のニードル13を部分的に後退させることと、神経9に対する電極リード線3の位置を検査することと、次いで電極リード線3を再被覆することと、必要に応じて第2のニードル13を後退させ医療用インプラント1を展開する前に位置変更することと、を含んでもよい。
【0155】
本明細書の明細書本文および特許請求の範囲を通じて、「備える」および「含む」という語ならびにそれらの変異語は、「含むがこれに限定されない」を意味し、他の構成要素、完全体、またはステップを排除することを意図するものではない(または排除しない)。本明細書の明細書本文および特許請求の範囲を通じて、単数形の語は、別様のことが文脈により要求されない限り複数形の語を包含する。具体的には、不定冠詞が使用される場合に、そこで述べられるものは、別様のことが文脈により要求されない限り複数および単数を予期するものとして理解されるべきである。
【0156】
本発明の特定の態様、実施形態、または例と組み合わせて説明した特徴、完全体、特性、または群は、矛盾しない限りにおいて、本明細書において説明されるあらゆる他の態様、実施形態、または例に対して適用可能である点を理解されたい。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)において開示されるあらゆる特徴、および/または同様に開示される任意の方法またはプロセスのあらゆるステップは、かかる特徴および/またはステップの中の少なくともいくつかが相互に排他的となる組合せを除き、任意の組合せで組み合わされてもよい。本発明は、いかなる前述の実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)において開示される任意の新規の1つの特徴または任意の新規の特徴の組合せにまで、あるいは同様に開示される任意の方法またはプロセスの任意の新規の1つのステップまたは任意の新規のステップの組合せにまで範囲が及ぶ。
【符号の説明】
【0157】
1 医療用インプラント
2 インプラントハウジング
3 細長電極リード線
4 電極、作動タブ
5 表皮、皮膚
6 真皮
7 皮下組織
8 筋肉、筋組織
9 標的神経
10 インプラント送達デバイス、インプラント展開デバイス
11 ハンドル
12 第1のニードル
13 第2のニードル
13a 部分
14 先端部、ベベル先端部
15 先端部、ベベル先端部
16 作動タブ、回転作動タブ、プッシュ作動タブ
17 ロッキングデバイス、ロッキング機構
18 スロット
19A 一次部分
19B 二次部分
20 インプラント展開部材
21 把持タブ
22 開口
23 ロッキングスロット
24 ロッキングリング
25 保持タブ
26 形状記憶部材
26a 対向側端部
27 装着ポイント、フック
28 作動タブ
29 スレッド
29a 端部
29b 端部
30A 第1のラック部分
30B 第2のラック部分
31 ピニオン歯車
32 ガイド部材
33 ばね式ピン
34 穴
35 ボタン
36a 中間穴、第1の中間穴
36b 中間穴、第2の中間穴
37a 角度付き表面
37b 角度付き表面
38 ばね
39 解除機構
40 クランピングキャップ、クランピング部材
41 テーパ状凹部
42 突出部
43 アクチュエータ部材
44 ピン
45 ピン
46 スロット
46a 切欠部
46b 軸方向延在部分
47 ばね
48 遠位端部
49 プッシャ
50 アンカー
51 穴
52 遠位端部
53 屈曲部
54 切欠部
55 窓
56 先鋭突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
図18A
図18B
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図23C
図23D
図23E
図24
図25
図26
【国際調査報告】