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特表2023-554512マトリックスカプセル保護膜自然生成技術による乳酸菌の凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、貯蔵安定性及び体内安定性が向上されたカプセル化プロバイオティクスのノンストップ製造工程
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  • 特表-マトリックスカプセル保護膜自然生成技術による乳酸菌の凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、貯蔵安定性及び体内安定性が向上されたカプセル化プロバイオティクスのノンストップ製造工程 図1
  • 特表-マトリックスカプセル保護膜自然生成技術による乳酸菌の凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、貯蔵安定性及び体内安定性が向上されたカプセル化プロバイオティクスのノンストップ製造工程 図2
  • 特表-マトリックスカプセル保護膜自然生成技術による乳酸菌の凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、貯蔵安定性及び体内安定性が向上されたカプセル化プロバイオティクスのノンストップ製造工程 図3a
  • 特表-マトリックスカプセル保護膜自然生成技術による乳酸菌の凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、貯蔵安定性及び体内安定性が向上されたカプセル化プロバイオティクスのノンストップ製造工程 図3b
  • 特表-マトリックスカプセル保護膜自然生成技術による乳酸菌の凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、貯蔵安定性及び体内安定性が向上されたカプセル化プロバイオティクスのノンストップ製造工程 図3c
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】マトリックスカプセル保護膜自然生成技術による乳酸菌の凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、貯蔵安定性及び体内安定性が向上されたカプセル化プロバイオティクスのノンストップ製造工程
(51)【国際特許分類】
   C12N 11/08 20200101AFI20231220BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20231220BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20231220BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 8/99 20170101ALI20231220BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20231220BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20231220BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20231220BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20231220BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20231220BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
C12N11/08
C12N1/20 E
A23L33/135
A61P1/00
A61P1/14
A61P1/10
A61P1/12
A61K8/73
A61K8/99
A61K47/36
A61K35/747
A61K35/745
A61K35/744
A61K35/741
A61K47/02
A61K47/38
A61K9/50
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537918
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-09
(86)【国際出願番号】 KR2021019274
(87)【国際公開番号】W WO2022131847
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0178578
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522196401
【氏名又は名称】イルドン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンフ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンウン
(72)【発明者】
【氏名】ハン チヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソ ハンソル
(72)【発明者】
【氏名】キム テユン
(72)【発明者】
【氏名】イ ソンヒ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B033
4B065
4C076
4C083
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD85
4B018MD86
4B018MD87
4B018ME11
4B018MF08
4B033NA12
4B033NB02
4B033NB22
4B033NB48
4B033NC08
4B033ND01
4B033ND12
4B033ND14
4B033ND20
4B033NG02
4B033NH10
4B033NJ10
4B065AA01X
4B065AA21X
4B065AA30X
4B065AA39X
4B065AA49X
4B065BB03
4B065BB05
4B065BB11
4B065BB18
4B065BB29
4B065BC01
4B065BC08
4B065BC47
4B065BD11
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA50
4C076AA64
4C076BB01
4C076CC16
4C076CC40
4C076DD22
4C076DD25
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE36
4C076EE38
4C076FF21
4C076FF36
4C076FF63
4C076GG21
4C083AA031
4C083AA032
4C083AB271
4C083AB311
4C083AB321
4C083AB322
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD261
4C083AD271
4C083AD301
4C083AD302
4C083AD321
4C083CC02
4C083CC31
4C083DD14
4C083EE01
4C083EE12
4C083EE13
4C083FF01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087BC59
4C087BC61
4C087CA09
4C087MA38
4C087MA52
4C087NA03
4C087NA11
4C087ZA66
4C087ZA69
4C087ZA72
4C087ZA73
(57)【要約】
本発明は、アルギン酸塩、アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩、望ましくは不溶性炭酸塩、及び選択的にカプセル化増強剤を含む培地でプロバイオティクスを培養する簡単な工程だけで、アルギン酸塩ヒドロゲルが自発的に形成され、これにプロバイオティクスが捕獲されるようにすることで、プロバイオティクスのカプセル化工程を画期的に改善させることができるだけでなく、プロバイオティクスの凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、貯蔵安定性及び体内安定性(耐酸性、耐胆汁性)が著しく改善されたカプセル化プロバイオティクスのノンストップ製造工程に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階を含むアルギン酸塩-ヒドロゲルでのカプセル化プロバイオティクスの製造方法:
(a)プロバイオティクスをアルギン酸塩及びアルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩を含有する培地で培養し、プロバイオティクスの増殖と同時にアルギン酸塩-ヒドロゲルを自発的に生成させる段階;及び
(b)前記自発的に生成されたアルギン酸塩-ヒドロゲルによってカプセル化されたプロバイオティクスを回収する段階。
【請求項2】
前記カプセル化プロバイオティクスは、アルギン酸塩-ヒドロゲルにプロバイオティクスが捕集されていることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記カプセル化プロバイオティクスは、マトリックスタイプ(Matrix type)であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記(a)段階は、プロバイオティクスの培養で発生する酸により、前記アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩からカチオンが解離し、
前記解離したカチオンとアルギン酸が結合し、自発的にアルギン酸塩-ヒドロゲルが生成されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記アルギン酸塩は、水に対する溶解度が0.1g/L以上であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記アルギン酸塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸リチウム及びアルギン酸アンモニウムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩は、水に対する溶解度が0.1g/L以下であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩は、2価カチオンの炭酸塩または硝酸塩であることを特徴とする、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記炭酸塩は、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マンガン、炭酸銅、炭酸亜鉛、炭酸鉛、炭酸カドミウム、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、及び炭酸ストロンチウムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記硝酸塩は、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸マンガン、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸鉛、硝酸カドミウム、硝酸コバルト、硝酸ニッケル及び硝酸ストロンチウムからなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記アルギン酸塩は0.1~40g/L、前記アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩は0.5~10g/Lで培地に含有されることを特徴とする、請求項1に記載のプロバイオティクスの製造方法。
【請求項12】
前記(a)段階の培地は、カプセル化増強剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記カプセル化増強剤は、澱粉、結晶セルロース、キトサン、カルボキシメチルセルロース(CMC)及び脱脂粉乳からなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記カプセル化増強剤は、1~20g/Lで培地に含有されることを特徴とする、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記プロバイオティクスは、ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium sp.)、ストレプトコッカス属(Streptococcus sp.)、ラクトコッカス属(Lactococcus sp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus sp.)、ロイコノストック属(Leuconostoc sp.)、ペディオコッカス属(Pediococcus sp.)及びウェイセラ属(Weissella sp.)の菌からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
(c)回収されたアルギン酸塩-ヒドロゲルで、カプセル化プロバイオティクスを凍結乾燥させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の方法で製造されるカプセル化プロバイオティクス。
【請求項18】
アルギン酸-ヒドロゲルによってプロバイオティクスが捕集されていることを特徴とする、請求項17に記載のカプセル化プロバイオティクス。
【請求項19】
請求項17に記載のカプセル化プロバイオティクスを含む食品または健康機能食品。
【請求項20】
請求項17に記載のカプセル化プロバイオティクスを含む医薬組成物または医薬品。
【請求項21】
消化器疾患の治療または予防の用途で使用されることを特徴とする、請求項20に記載の医薬組成物または医薬品。
【請求項22】
(i)消化不良、食欲減退、食欲不振、過食、胃もたれ、消化不良による胃部膨満感、便秘、軟便、下痢及び腹部膨満感からなる群から選択される症状の改善、予防または治療;
(ii)腸内異常発酵の抑制及び/または
(iii)消化促進または整腸作用の強化;
用途で使用されることを特徴とする、請求項20に記載の医薬組成物または医薬品。
【請求項23】
請求項17に記載のカプセル化プロバイオティクスを含む化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックスカプセル保護膜自然生成技術によるカプセル化プロバイオティクスのノンストップ製造工程に関し、より詳しくは、アルギン酸塩、アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩及び選択的にカプセル化増強剤を含む培地でプロバイオティクスを培養し、自然に生成されたアルギン酸塩ヒドロゲルにプロバイオティクスが捕集されているカプセル化プロバイオティクスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティクスとは、体内で健康に有利な効果を与える生きた菌のことをいう。現在までに知られているほとんどのプロバイオティクスは乳酸菌であり、一部Bacillus等を含んでいる。ロシアの科学者Elie Mechinikoffがブルガリアの人々が長寿を享受する理由がLactobacillusで発酵された発酵乳の摂取によるものであることを明らかにし、ノーベル賞を受賞して以来、乳酸菌、プロバイオティクスの機能性は長い間研究されてきた(Mercenier A et al., Curr Pharm Des 9(2):175-191, 2003)。
【0003】
プロバイオティクスの代表的な効能としては、抗菌活性、抗生剤関連の下痢の改善、乳糖不耐症の軽減、抗がん効果、血中コレステロール低下、胃内のヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)菌の抑制、過敏性大腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎の軽減、免疫機能の調節等が知られている。プロバイオティクスは、人体の医薬品である整腸剤や乳酸菌製剤、飼料添加剤としての生菌剤及び健康食品の一種である乳酸菌食品に区分することができる。乳酸菌食品は、乳酸桿菌、乳酸球菌、ビフィズス菌等の生菌を培養して食品に混合したものを安定的で摂取しやすいように、粉末、顆粒、錠剤、カプセル等で作製したもので、乳酸菌発酵食品、乳酸菌発酵乳、乳酸菌飲料以外のものをいう。
【0004】
乳酸菌は、発酵によって生長する細菌のうち、発酵結果乳酸を主な産物として生産する細菌を意味する。乳酸菌は、微生物産業で最も重要な比重を占める微生物群の一つで、キムチ、ヨーグルト、チーズ、バターミルク、ザワークラウト(sauerkraut)のような発酵食品を製造するのに主に用いられ、健康を増進させる機能性プロバイオティクスとしても広く用いられる。
【0005】
現在、乳酸菌は、12属(Lactobacillus、Carnobacterium、Atopobium、Lactococcus、Pediococcus、Tetragenococcus、Leuconostoc、Weissella、Oenococcus、Enterococcus、Streptococcus、Vagococcus)に分類され、一般的に私たちが使用している乳酸菌は、桿菌であるラクトバチルス属(Lactobacillus spp.)、球菌であるラクトコッカス属(Lactococcus spp.)、ストレプトコッカス属(Streptococcus spp.)、ロイコノストック属(Leuconostoc spp.)、そしてペディオコッカス属(Pediococcus spp.)の菌等である(カン・テジン, BioWave, 2009, Vol 11, No 7, pp 1-20)。
【0006】
乳酸菌を食品に製造する工程は、大きく乳酸菌培養、菌体回収、凍結乾燥、粉砕、製品化等に区分されるが、この過程で乳酸菌は様々な物理化学的なストレスにさらされる。すなわち、菌体回収の際には濃縮による浸透圧の影響を受け、凍結乾燥の過程では急激な温度変化により細胞質内の氷の結晶が形成されたり、細胞外部に生成される氷の結晶及び脱水(dehydration)現象により、温度と浸透圧の影響を同時に受ける。また、粉砕及び製品化の過程で高温、高圧にさらされたり、空気中の水分によって水和(hydration)される場合、乳酸菌の安定性が低下し、短期間保管される乳酸菌発酵食品、乳酸菌発酵乳、乳酸菌飲料のような液状製品だけでなく、長期保管を目的として粉末の形態で製造される製品においても、酸素にさらされる場合、細胞膜を構成している脂肪酸が酸化され、生存率が減少するという問題点が指摘されてきた(韓国登録特許第10-1605516号参照)。
【0007】
一方、乳酸菌をはじめとする細菌がプロバイオティクスとして認められるためには、胃酸と胆汁酸で生き残り小腸まで到達し、腸で増殖して定着しなければならず、腸管内で有用な効果を示さなければならず、毒性がなく、非病原性でなければならない。しかし、胃腸ではpHが3以下に落ちる酸性環境にさらされ、小腸では胆汁酸の影響を受け、乳酸菌をはじめとする様々な有益菌の生存率が大幅に減少する。
【0008】
従って、これらの有益菌を凍結乾燥する過程で安定性を増進させ、体内で腸まで到達する過程で有益菌の生存率を増加させるために、様々な細菌カプセル化方法が開発されたが、例えば、韓国公開特許第2003-0009268号においては、乳酸菌を培養完了した後にアルギン酸とCaCO3を乳酸菌と共に攪拌し、マイクロカプセル形成用組成物と乳酸菌の混合物を準備して、微量の酢酸(CH3COOH)とCaCl2を添加した凝固液に、前記マイクロカプセル形成用組成物と乳酸菌混合物に噴射し硬化させ、CaCl2で2次硬化させるマイクロカプセルの製造方法を開示している。
【0009】
しかし、このようなカプセル化工程は、菌体表面を完全にコーティングすることができず、依然として菌株の耐熱性、耐酸性及び耐胆汁性が十分に改善されず、通常の方法で培養された菌体を回収した後、コーティング剤組成物を混合し攪拌する多段階工程を行わなければならないため、生菌剤として無菌操作が難しいという問題点があり、特に産業的な大量生産において経済性が低いという欠点がある。
【0010】
そこで、本発明者らは、従来のプロバイオティクスのカプセル化工程に比べ、プロバイオティクスの体内安定性が改善され、工程が単純化された新しいカプセル化工程の開発のために鋭意努力した結果、プロバイオティクスの培養生産の際、培地にアルギン酸塩と炭酸塩を一定濃度で添加して培養する場合、プロバイオティクスの凍結乾燥の生存率、熱抵抗性(耐熱性)及び体内安定性(耐酸性及び耐胆汁性)が著しく向上され、短期及び長期保管安定性が著しく改善することができることを確認することにより、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1605516号
【特許文献2】韓国公開特許第2003-0009268号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】カン・テジン, BioWave, 2009, Vol 11, No 7, pp 1-20
【非特許文献2】Mercenier A et al., Curr Pharm Des 9(2):175-191, 2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、従来のカプセル化プロバイオティクスの製造工程に比べ、著しく簡単な工程を行うマトリックスカプセル保護膜自然生成技術による乳酸菌の凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、貯蔵安定性及び体内安定性が向上されたカプセル化プロバイオティクスの製造方法及び前記方法で製造されたカプセル化プロバイオティクスの用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、次の段階を含むアルギン酸塩ヒドロゲルにプロバイオティクスが捕集されているカプセル化プロバイオティクスの製造方法を提供する:
(a)プロバイオティクスをアルギン酸塩及びアルギン酸と結合し、ヒドロゲルを形成する塩を含有する培地で培養して、アルギン酸塩-ヒドロゲルを自発的に生成させる段階;及び
(b)前記自発的に生成されたアルギン酸塩-ヒドロゲルによってカプセル化されたプロバイオティクスを回収する段階。
【0015】
本発明はまた、前記製造方法で製造されたカプセル化プロバイオティクス及びこれを含む組成物、食品、健康機能食品、化粧品及び医薬品を提供する。
【0016】
本発明はまた、本発明のカプセル化プロバイオティクスの組成物、食品、健康機能食品、化粧品及び/または医薬品の製造のための用途を提供する。
【0017】
本発明はまた、本発明のカプセル化プロバイオティクスの疾患の予防または治療用途を提供する。
【0018】
本発明はまた、本発明のカプセル化プロバイオティクスを投与することを特徴とする疾患の緩和、予防または治療方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の望ましい一実施態様によるカプセル化プロバイオティクスの製造工程を示す。
【0020】
図2】従来のアルギン酸塩のカプセル化方法及び本発明のカプセル化方法で製造されたプロバイオティクスカプセルの粒子サイズを示す図である。
【0021】
図3】カプセル化を適用しない菌体乾燥物(A)、カプセル化剤(アルギン酸塩)のみを適用した乾燥物(B)とカプセル化剤(アルギン酸塩)とカプセル化増強剤(澱粉)を全て適用した乾燥物(C)のSEM撮影写真である(スケールバー1μm)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
他に定義されない限り、本明細書で使用された全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における熟練した専門家により通常理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用された命名法は、当該技術分野において周知であり、通常使用されるものである。
【0023】
本発明においては、プロバイオティクス培養過程で、培地にアルギン酸塩とアルギン酸と結合し、ヒドロゲルを形成する塩を一緒に添加すると、プロバイオティクスが増殖して生成される酸の作用でアルギン酸と結合し、ヒドロゲルを形成する塩から2価カチオンが遊離され、培地内のアルギン酸と結合することにより、アルギン酸-2価カチオンヒドロゲルが自発的に生成され、以後、自発的に生成されたアルギン酸-2価カチオンヒドロゲルを菌体と共に回収する段階を経て、従来の工程に比べて著しく簡単な工程でプロバイオティクスが捕獲(encapsulation)されたカプセルを生産することができることを確認した。
【0024】
例えば、アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩として炭酸カルシウムを使用する場合、プロバイオティクス培養過程で生成された酸によって炭酸カルシウムからカルシウムが遊離され、遊離されたカルシウムがアルギン酸塩と結合し、自発的にカルシウム-アルギン酸塩ヒドロゲルを形成することになる。
【0025】
これにより、本発明は、次の段階を含むカプセル化プロバイオティクスの製造方法に関する:
(a)アルギン酸塩及びアルギン酸と結合し、ヒドロゲルを形成する塩を含有する培地でプロバイオティクスを培養して、アルギン酸塩-ヒドロゲルを自発的に生成させる段階;及び
(b)前記自発的に生成されたアルギン酸塩-ヒドロゲルによってカプセル化されたプロバイオティクスを回収する段階。
【0026】
本発明の用語、「カプセル化」とは、カプセル化剤で原料物質をコーティングしたり、カプセル化剤の内部に原料物質を捕集させることを意味する。例えば、カプセル化剤で構成されたカプセル殻の内部にプロバイオティクスが存在するレザボアタイプ(Reservoir type)またはカプセル化剤で構成されたマトリックスの内部にプロバイオティクスが捕集されるマトリックスタイプ(Matrix type)のカプセル化を行うことができるが、これらに制限されない(Zuidam and Nedovic, (2010) Encapsulation Technologies for Active Food Ingredients and Food Processing, Springer)。本発明において、前記カプセル化により、プロバイオティクスを安定化したり、外部環境、体内環境から保護することができる。
【0027】
本発明の用語、「カプセル化プロバイオティクス」とは、炭水化物、シロップ、ガム、ヒドロゲル等のような様々なカプセル化剤によってコーティングされたり、マトリックスの内部に捕集されている形態のプロバイオティクスを意味する。本発明において、前記カプセル化プロバイオティクスは、「プロバイオティクスカプセル」と同じ意味で相互互換的に使用することができる。
【0028】
本発明において、前記カプセル化プロバイオティクスは、カプセル化剤で構成されたカプセル殻の内部にプロバイオティクスが存在するレザボアタイプ(Reservoir type)またはカプセル化剤で構成されたマトリックスの内部にプロバイオティクスが捕集されるマトリックスタイプ(Matrix type)であってもよいが、これらに制限されない。
【0029】
本発明において、カプセル化プロバイオティクスは、アルギン酸塩ヒドロゲルによってプロバイオティクスが捕集されていることを特徴とすることができる。
【0030】
本発明の用語、「捕集」とは、本発明のアルギン酸塩ヒドロゲルの構造が含む空間または気孔(pore)にプロバイオティクスが捕獲されていることを意味する。前記空間または気孔には、プロバイオティクスと共に、培地、水、栄養素等の培養組成物を一緒に捕獲することができる。
【0031】
本発明において、前記アルギン酸塩は、水に対する溶解度が0.1g/L以上であることが望ましく、さらに望ましくは0.1g/L~10g/Lであってもよく、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸リチウム及びアルギン酸アンモニウムからなる群から選択されることが望ましいが、これらに限定されず、本発明の目的に符合する全てのアルギン酸塩であれば、制限なく使用可能である。
【0032】
本発明において、前記培地に含まれるアルギン酸塩の含量は、0.1~40g/L、望ましくは0.2~15g/L、さらに望ましくは0.5~2g/L、最も望ましくは0.8~1.2g/Lであってもよいが、これらに限定されない。
【0033】
また、本発明によるアルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩は、水に対する溶解度が0.1g/L以下、望ましくは0.00001g/L~0.1g/Lである2価カチオンの塩であってもよく、望ましくは2価カチオンを含む塩基性塩であってもよい。例えば、前記アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩は、2価カチオンを含む炭酸塩または硝酸塩であってもよい。
【0034】
例えば、前記2価カチオンを含む炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マンガン、炭酸銅、炭酸亜鉛、炭酸鉛、炭酸カドミウム、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、及び炭酸ストロンチウムからなる群から選択される1種以上を使用することができるが、これらに限定されない。
【0035】
他の例として、前記2価カチオンを含む硝酸塩としては、硝酸カルシウム、硝酸バリウム、硝酸マンガン、硝酸銅、硝酸亜鉛、硝酸鉛、硝酸カドミウム、硝酸コバルト、硝酸ニッケル及び硝酸ストロンチウムからなる群から選択される1種以上を使用することができるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明において、前記アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩の含量は、0.5~10g/L、望ましくは1~9g/L、さらに望ましくは1.5~8g/L、最も望ましくは2~7g/Lであってもよいが、これらに限定されない。
【0037】
本発明において、前記アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩は、プロバイオティクスの培養で発生する酸により、カチオンが解離することを特徴とすることができる。
【0038】
本発明において、前記プロバイオティクスの培養で発生する酸は、プロバイオティクスの代謝過程で生産される有機酸を意味する。例えば、前記プロバイオティクスの培養で発生する酸は、乳酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸等であってもよいが、これらに制限されない。
【0039】
本発明において、前記(a)段階は、プロバイオティクスの培養で発生する酸により、前記アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩からカチオンが解離することを特徴とすることができる。
【0040】
本発明において、前記(a)段階は、前記アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩から解離したカチオンとアルギン酸が結合し、アルギン酸塩-ヒドロゲルが生成されることを特徴とすることができる。
【0041】
本発明において、前記(a)段階は、培養によりプロバイオティクスが増殖されることを特徴とすることができる。
【0042】
本発明において、前記(a)段階は、自発的に生成されたアルギン酸塩-ヒドロゲルの内部に培養されたプロバイオティクスの全部または一部が捕集されることを特徴とすることができる。
【0043】
また、本発明において、前記(a)段階の培地は、カプセル化増強剤をさらに含むことができる。
【0044】
前記カプセル化増強剤は、アルギン酸塩ヒドロゲルカプセルの堅固性を向上させるためのものであり、不溶性であることを特徴とすることができ、例えば、前記カプセル化増強剤としては、澱粉、結晶セルロース、キトサン、カルボキシメチルセルロース(CMC)及び脱脂粉乳からなる群から選択される1種以上を使用することができるが、これらに限定されない。カプセル化増強剤として澱粉を例に挙げて説明すると、澱粉が培地にさらに含まれる場合、アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩が結合して生成されたヒドロゲルと澱粉がプロバイオティクスと共に混合され、より堅固な構造のプロバイオティクスカプセルを生産することができることを確認した。
【0045】
本発明において、前記カプセル化増強剤は、培地内に1~20g/L、望ましくは2~10g/L、さらに望ましくは3~5g/L、最も望ましくは5g/Lで培地に含有されることを特徴とすることができる。
【0046】
本発明の実施例においては、凍結保護剤を処理せず、本発明のカプセル化方法で製造されたプロバイオティクスカプセルが、炭酸カルシウム及び凍結保護剤を処理して製造された剤形より著しく優れた凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、胃腸管模写溶液の生存率、及び長期/短期保管安定性を示すことを確認した。
【0047】
本発明において、前記培地は、従来の培地と同様に凍結保護剤を含むことができるが、凍結保護剤の処理なしでも優れた凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、胃腸管模写溶液の生存率、及び長期/短期保管安定性を示すことから、より望ましくは凍結保護剤を含まないことを特徴とすることができる。
【0048】
また、本発明においては、プロバイオティクスを培養する過程で、プロバイオティクスによって分泌される酸によって2価カチオン塩、例えば、炭酸カルシウムがカルシウムイオンに解離する過程で培養液のpHが過度に減少することを抑制し、培養段階で追加のpH調整段階がなくてもプロバイオティクスの培養が円滑に進行することを確認した。
【0049】
これにより、本発明において、アルギン酸塩及びアルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩を含有する培地でプロバイオティクスを培養することにおいて、追加のpH調整段階または工程を含まないか、従来の培養工程に比べて最小化されたpH調整段階または工程を使用することを特徴とすることができる。
【0050】
該当の工程において、プロバイオティクス菌株の接種濃度と培養時間は、菌株によって適切に変形実施が可能であることは、通常の技術者にとって自明であろう。この場合、接種後の菌株の初期濃度は1×104~5×109CFU/mL、望ましくは5×105~4×108CFU/mLであってもよいが、これらに限定されない。一方、プロバイオティクス菌株の培養時間は、アルギン酸と結合してヒドロゲルを形成する塩、例えば、炭酸塩が十分に解離することができるように4時間以上が望ましく、6時間以上がより望ましいが、これらに限定されない。
【0051】
本発明において、前記(b)段階は、(a)段階で自発的に生成されたアルギン酸塩-ヒドロゲル及び培養されたプロバイオティクスを全部または一部回収して行われることを特徴とすることができる。
【0052】
本発明において、前記(b)段階で回収されるカプセル化プロバイオティクスは、(a)段階で自発的に生成されたアルギン酸塩ヒドロゲルに自然に捕集されたものであってもよい。
【0053】
本発明において、前記(b)段階の回収過程において、(a)段階で自発的に生成されたアルギン酸塩ヒドロゲルに捕集されなかった一部のプロバイオティクスが、アルギン酸塩ヒドロゲルにさらに捕集されることを特徴とすることができる。
【0054】
本発明において、前記(b)段階は、(a)段階の培地にカプセル化増強剤がさらに含まれる場合、アルギン酸塩-ヒドロゲル、カプセル化増強剤及びプロバイオティクスを回収することを特徴とすることができる。
【0055】
本発明において、前記(b)段階は、(a)段階の培養物を冷却する段階を含むことを特徴とすることができる。本発明において、前記冷却は、培養温度以下、望ましくは37℃以下、さらに望ましくは約20℃以下で冷却されることを特徴とすることができ、本発明の一実施例においては、約20℃で培養物を冷却したが、これらに制限されない。
【0056】
本発明において、前記(b)段階は、遠心分離を行う段階を含むことを特徴とすることができる。
【0057】
本発明において、前記(b)段階は、生成されたアルギン酸塩-ヒドロゲル及びプロバイオティクスを同時に回収して行われることを特徴とすることができる。
【0058】
本発明において、前記(b)段階は、回収と同時に、または回収前に、(a)段階の培養液を攪拌または混合することを特徴とすることができる。例えば、菌体を回収するタンクに攪拌施設を一緒に備え、前記アルギン酸塩-ヒドロゲル及びプロバイオティクス、またはアルギン酸塩-ヒドロゲル、カプセル化増強剤及びプロバイオティクスが回収されると同時に混合することができる。
【0059】
本発明において、前記混合により、(a)段階で生成されたアルギン酸塩-ヒドロゲルに自然に捕集されなかった一部のプロバイオティクスがさらに捕集されることを特徴とすることができる。
【0060】
本発明において、(c)前記回収されたカプセル化プロバイオティクスを凍結乾燥させる段階をさらに含むことができる。
【0061】
本発明において、(c)回収されたカプセル化プロバイオティクスを凍結乾燥させる段階をさらに含む場合、(c)段階においても、凍結乾燥機に前記回収された物質を分注する過程で攪拌を伴うことができ、自然に混合が行われることもある。
【0062】
本発明において、前記(b)段階の後、(c)段階の前に、別途の攪拌または混合段階をさらに含むことを特徴とすることができる。すなわち、アルギン酸塩-ヒドロゲルとプロバイオティクスは、回収と同時に混合が行われることもあり、回収後にさらに混合が行われることもある。
【0063】
本発明において、前記プロバイオティクスは、ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium sp.)、ストレプトコッカス属(Streptococcus sp.)、ラクトコッカス属(Lactococcus sp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus sp.)、ロイコノストック属(Leuconostoc sp.)、ペディオコッカス属(Pediococcus sp.)及びウェイセラ属(Weissella sp.)の菌からなる群から選択されることを特徴とすることができるが、本発明の技術的特徴が、ヒトを含む動物が摂取時に利する有益菌の生産工程、流通過程及び体内安定性を向上させるための方案として、前記菌株の培養工程で優れたアルギン酸塩ヒドロゲルのコーティングが可能であることを究明することにあり、前記記載された菌以外の有益菌にも本発明が適用可能であることは、通常の技術者にとって自明であろう。
【0064】
本発明において、前記プロバイオティクスは、例えば、下記表1に開示された菌株のうちいずれか一つ以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0065】
【表1】
【0066】
本発明の明細書で使用された菌株の属名または種名は、Zheng et al. (Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 2020; 70)によって立直された属名(genus name)によって異なる名称を用いることができ、通常の技術者は当該文献の記載を通じて容易に菌株の属/種を理解することができる。
【0067】
一方、本発明においては、プロバイオティクスのカプセル化方法において、プロバイオティクスの培養が完了した後、別途のカプセル化段階を導入する従来技術に比べ、上述のように工程が簡素化され、生産経済面で有利であるだけでなく、別途のカプセル化段階を導入し、起こり得る汚染の懸念や品質管理における利便性を増進することができ、生産されたプロバイオティクスの凍結乾燥後の生存率、熱安定性、貯蔵安定性及び体内安定性が従来技術によって生産されたプロバイオティクスカプセルに比べて著しく向上することを確認した。
【0068】
従って、本発明は、別の観点から、本発明のカプセル化プロバイオティクスの製造方法により製造されたカプセル化プロバイオティクスに関する。
【0069】
本発明で使用される用語「カプセル化」及び「カプセル化プロバイオティクス」は、本発明のカプセル化プロバイオティクスの製造方法において説明されたものと同様に理解することができる。
【0070】
本発明において、前記カプセル化プロバイオティクスは、カプセル化剤で構成されたカプセル殻の内部にプロバイオティクスが存在するレザボアタイプ(Reservoir type)またはカプセル化剤で構成されたマトリックスの内部にプロバイオティクスが捕集されるマトリックスタイプ(Matrix type)であってもよく、より望ましくはマトリックスタイプであることを特徴とすることができるが(Zuidam and Nedovic, (2010) Encapsulation Technologies for Active Food Ingredients and Food Processing, Springer)、これらに制限されない。
【0071】
本発明において、カプセル化プロバイオティクスは、アルギン酸塩ヒドロゲルによってプロバイオティクスが捕集されていることを特徴とすることができる。
【0072】
本発明において、前記カプセル化プロバイオティクスは、発酵乳、加工乳、醤類発酵食品、キムチ発酵食品、機能性飲料、機能性食品、一般食品、医薬品、化粧品等に含まれる原料、望ましくは機能性原料として活用することができ、望ましくは経口投与用健康機能食品の有効成分として活用することができる。
【0073】
これにより、本発明は、別の観点から、本発明によるカプセル化プロバイオティクスを含む組成物と、これを含む食品、健康機能食品及び医薬品に関する。
【0074】
本発明は、別の観点から、本発明のカプセル化プロバイオティクスまたはこれを含む組成物の食品及び/または健康機能食品の製造のための用途に関する。
【0075】
本発明の用語「食品」は、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤、健康機能食品及び健康食品等があり、通常の意味での食品を全て含む。
【0076】
前記健康機能(性)食品(functional food)とは、特定保健用食品(food for special health use, FoSHU)と同じ用語で、栄養供給以外にも生体調節機能が効率的に現れるように加工された医学、医療効果の高い食品を意味する。ここで「機能(性)」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節したり、生理学的作用等のような保健用途に有用な効果を得ることを意味する。本発明の食品は、当業界で通常使用される方法によって製造可能であり、前記製造時には当業界で通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。また、前記食品の剤形もまた食品として認められる剤形であれば、制限なく製造することができ、本発明による健康機能食品は、粉末、顆粒、錠剤、カプセルまたは飲料の形態であってもよい。
【0077】
前記健康食品(health food)は、一般食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、健康補助食品(health supplement food)は、健康補助目的の食品を意味する。場合によっては、健康機能食品、健康食品、健康補助食品の用語は混用される。
【0078】
前記食品組成物は、生理学的に許容可能な担体をさらに含むことができ、担体の種類は特に制限されず、当該技術分野で通常使用される担体であれば、いずれも使用することができる。
【0079】
また、前記組成物は、食品組成物に通常使用され、匂い、味、視覚等を向上させることができる追加成分を含むことができる。例えば、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)等を含むことができる。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)等のミネラルを含むことができる。また、リシン、トリプトファン、システイン、バリン等のアミノ酸を含むことができる。
【0080】
また、前記組成物は、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウム等)、殺菌剤(漂白粉と高度漂白粉、次亜塩素酸ナトリウム等)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)等)、着色剤(タール色素等)、発色剤(亜硝酸ナトリウム等)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(MSG等)、甘味料(ズルチン、チクロ、サッカリン、ナトリウム等)、香料(バニリン、ラクトン類等)、膨張剤(ミョウバン、D-酒石酸水素カリウム等)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、ガム基礎剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤等の食品添加物(food additives)を含むことができる。前記添加物は、食品の種類によって選別され、適切な量で使用することができる。
【0081】
本発明において、前記食品は、本発明の方法で製造されたカプセル化プロバイオティクスと共に、食品学的に許容可能な食品補助添加剤をさらに含むことができ、他の食品または食品成分と一緒に使用することができ、通常の方法に従って適切に使用することができる。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて適切に決定することができる。
【0082】
本発明によるカプセル化プロバイオティクスを含む食品は、発酵乳、加工乳、醤類発酵食品、キムチ発酵食品及び一般的な食品の形態で使用することができるが、これらに限定されず、
【0083】
また、本発明によるカプセル化プロバイオティクスを含む健康機能食品は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、飲料、茶、発酵乳、加工乳、醤類発酵食品、キムチ発酵食品及びビタミン複合剤からなる群から選択される形態であることが望ましいが、これらに限定されない。
【0084】
また、本発明は、本発明によるカプセル化プロバイオティクスを含む医薬組成物及び医薬品に関する。
【0085】
本発明は、別の観点から、本発明のカプセル化プロバイオティクスまたはこれを含む組成物の医薬組成物及び/または医薬品の製造のための用途に関する。
【0086】
本発明の用語「予防」及び「治療」は、最広義の概念として解釈されなければならず、「予防」とは、疾患にさらされたり、疾患にかかりやすい可能性があるが、疾患の症状をまだ経験していないか、明らかでない患者において、疾患の臨床症状のうち一つ以上が進行しないようにすることを意味する。「治療」とは、疾患またはこの一つ以上の臨床症状の発達を阻止または減少させる全ての行為を意味する。
【0087】
前記薬学組成物は、有効成分である本発明のカプセル化プロバイオティクスを含有すること以外に、通常薬学組成物に使用される適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。
【0088】
前記組成物に含むことができる担体、賦形剤及び希釈剤は、非制限的に、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム及び鉱物油等がある。前記組成物を製剤化する場合には、通常使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤等の希釈剤または賦形剤を使用して調剤することができる。
【0089】
本発明による薬学組成物は、通常の方法により様々な形態に剤形化して使用することができる。適合した剤形としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、糖衣錠、硬質または軟質のカプセル剤、溶液剤、懸濁剤または乳化液剤、注射剤、エアロゾル等の経口型剤形が望ましく、この中でも、顆粒、粉末ペレットの剤形が最も望ましい。桔梗抽出物を含む経口型医薬品の例として、龍角散等がある。その他の剤形として、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液等があるが、これらに限定されない。
【0090】
本発明による薬学組成物は、薬学的に不活性である有機または無機担体を用いて適合した剤形で製造することができる。すなわち、剤形が錠剤、コーティングされた錠剤、糖衣錠及び硬質カプセル剤である場合、ラクトース、スクロース、澱粉またはその誘導体、タルク、炭酸カルシウム、ゼラチン、ステアリン酸またはその塩を含むことができる。また、剤形が軟質カプセル剤である場合には、植物性油、ワックス、脂肪、半固体及び液体のポリオールを含むことができる。また、剤形が溶液またはシロップの形態である場合、水、ポリオール、グリセロール、及び植物性油等を含むことができる。
【0091】
本発明による薬学組成物は、前記の担体の他にも、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、溶解剤、甘味料、着色剤、浸透圧調節剤、酸化防止剤等をさらに含むことができる。
【0092】
本発明による薬学組成物は、薬学的に有効な量で投与する。本発明において、「薬学的に有効な量」は、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/リスクの比率で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量レベルは、患者の疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に使用される薬物を含む要素及びその他の医学分野でよく知られている要素に基づいて決定することができる。本発明による薬学組成物は、個別治療剤として投与したり、他の治療剤と併用して投与することができ、従来の治療剤とは順次または同時に投与することができ、単一または多重投与することができる。前記の要素を全て考慮し、副作用なしに最小限の量で最大の効果を得ることができる量を投与することが重要であり、これは当業者によって容易に決定することができる。
【0093】
本発明の薬学組成物は、個体に様々な経路で投与することができる。投与の方式は、例えば、経口服用することができる。皮下、静脈、筋肉または子宮内硬膜または脳血管内注射によって投与することができる。本発明の薬学組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別及び体重及び疾患の重症度等の様々な関連因子と共に、活性成分である薬物の種類によって決定される。本発明によるカプセル化プロバイオティクスを含む医薬組成物及び医薬品は、消化器疾患の治療または予防用途で使用することができ、特に胃腸、大腸及び小腸の機能を改善する効果を発揮することができ、
【0094】
具体的には、(i)消化不良、食欲減退、食欲不振、過食、胃もたれ、消化不良による胃部膨満感、便秘、軟便、下痢及び腹部膨満感からなる群から選択される症状の改善、予防または治療;(ii)腸内異常発酵の抑制及び/または(iii)消化促進または整腸作用の強化の用途で使用することができるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明は、別の観点から、本発明のカプセル化プロバイオティクスの疾患の予防または治療用途に関する。
【0096】
本発明は、別の観点から、本発明のカプセル化プロバイオティクスを対象に投与する段階を含む疾患の治療方法に関する。
【0097】
本発明において、前記疾患は、消化器疾患であることを特徴とすることができ、具体的には、(i)消化不良、食欲減退、食欲不振、過食、胃もたれ、消化不良による胃部膨満感、便秘、軟便、下痢及び腹部膨満感からなる群から選択される症状の改善、予防または治療;(ii)腸内異常発酵の抑制及び/または(iii)消化促進または整腸作用の強化方法に使用することができるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明は、別の観点から、本発明によるカプセル化プロバイオティクスを含む化粧料組成物に関する。
【0099】
本発明は、別の観点から、本発明によるカプセル化プロバイオティクスの化粧料組成物の製造のための用途に関する。
【0100】
本発明において、前記化粧料組成物は、カプセル化プロバイオティクスが有する効能に応じて、様々な機能及び用途で使用することができ、例えば、皮膚保湿用、皮膚バリア強化用、皮膚鎮静、皮膚損傷予防または改善用、老化予防または改善用、または皮膚状態改善用等で使用することができるが、これらに制限されない。
【0101】
本発明において、皮膚状態の改善は、観察される皮膚状態の改善を含むだけでなく、皮膚の健康に直接及び間接的に影響を与える要素を含む包括的な意味で使用される。
【0102】
本発明において、前記化粧料組成物は、化粧品学的に許容可能な賦形剤または担体をさらに含んでもよく、例えば、剤形に応じて、各種公知の添加剤をさらに含んでもよく、例えば、担体、乳化剤、保湿剤、界面活性剤、キレート剤、酸化防止剤、殺菌剤、安定化剤、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含んでもよい。
【0103】
本発明において、前記担体は、例えば、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛、ラクトース、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ポリアミド粉末、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1、3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、液状希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、アガー、脂肪族アルコール硫酸塩、脂肪族アルコールエーテル硫酸塩、スルホコハク酸モノエステル、イソチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテル硫酸塩、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、ラノリン誘導体、またはエトキシル化グリセロール脂肪酸エステル等、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらに制限されない。
【0104】
本発明において、前記乳化剤は、例えば、流動パラフィン、セチルオクタノエート、ステアリン酸等を含んでも良いが、これらに制限されない。
【0105】
本発明において、前記保湿剤は、例えば、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等があるが、これらに制限されない。
【0106】
本発明において、前記キレート剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)、α-ヒドロキシ脂肪酸、ラクトフェリン、α-ヒドロキシ酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、ビリルビン、ビリベルジン(biliverdin)等を含んでもよいが、これらに制限されない。
【0107】
本発明において、前記酸化防止剤は、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエンまたは没食子酸プロピル等があるが、これらに制限されない。
【0108】
また、本発明において、前記化粧料組成物は、本発明のカプセル化プロバイオティクス以外の1種以上の有効成分をさらに含むことができる。
【0109】
本発明において、前記化粧料組成物は、使用用途及び用法に応じて、公知の様々な剤形で製造して使用することができる。例えば、本発明による化粧料組成物は、化粧水、フェイシャルローション、ボディローション、栄養クリーム、水分クリーム、アイクリーム、エッセンス、化粧軟膏、スプレー、ジェル、パック、サンスクリーン、メイクアップベース、ファンデーション、パウダー、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングオイル、クレンジングフォーム、石鹸またはボディウォッシュ剤形であってもよいが、これらに制限されない。
【0110】
本発明による皮膚改善用化粧料組成物において、皮膚が頭皮または毛髪である場合、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、ヘアエッセンス、ヘアローション、ヘア栄養ローション、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘア栄養クリーム、ヘアモイスチャークリーム、ヘアマッサージクリーム、ヘアワックス、ヘアエアロゾル、ヘアパック、ヘア栄養パック、ヘア石鹸、ヘアクレンジングフォーム、ヘアオイル、毛髪乾燥剤、毛髪保存処理剤、毛髪染色剤、毛髪用ウェーブ剤、毛髪脱色剤、ヘアジェル、ヘアグレーズ、ヘアドレッシング、ヘアラッカー、ヘアモイスチャライザー、ヘアムースまたはヘアスプレーの剤形であってもよいが、これらに制限されない。
【0111】
本発明において、前記化粧料組成物の有効成分であるカプセル化プロバイオティクス及び添加剤は、化粧品学的に許容可能な用量で含まれることを特徴とすることができ、望ましくは、各国が定める規制の範囲内、例えば、中国政府が定める「化粧品安全・技術規範」に規定された最大使用量を超えない範囲内で含むことができる。
【0112】
本発明において、前記化粧料組成物は、機能性化粧品に含むことができる。前記機能性化粧品の基準は、韓国の「食品医薬品安全処告示機能性化粧品基準及び試験方法」に基づくものであってもよく、例えば、美白、しわ改善、毛髪の色変化、紫外線保護、ニキビ緩和、脱毛緩和等の機能を有することを特徴とすることができるが、これらに制限されない。
【0113】
本発明において、前記化粧料組成物は、台湾政府が定める「化粧品医療または毒劇薬品含有基準、化粧品含有醫療或毒劇藥品基準」に規定された含薬化粧品または一般化粧品に含むことができる。
【0114】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、これにより本発明の技術的範囲がこれらの実施例に局限されないことは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0115】
実施例及び比較例
実験例1. 本発明のカプセル化プロバイオティクスの製造方法で製造されたプロバイオティクスカプセルの特性確認
実験例1で使用された比較例と実施例は表2の通りである。
【0116】
【表2】
【0117】
比較例1
7.5Lジャー(jar)発酵器(fermentor)に炭酸カルシウム3g/Lを添加したプロバイオティクス培養培地(グルコース(Daesang)30g/L、酵母抽出物(BioSpringer)10g/L、加水分解大豆タンパク(Tatua)15g/L、硫酸マグネシウム(Kali)0.1g/L)4Lを製造し、121℃で25分間滅菌した。ラクトバチルスプランタルムIDCC 3501(Lactobacillus plantarum IDCC 3501、KCTC受託番号:13586BP)、ラクトバチルスロイテリIDCC 3701(Lactobacillus reuteri IDCC 3701)またはエンテロコッカスフェシウムIDCC 2102(Enterococcus faecium IDCC 2102)菌株の初期生菌数が約1×108CFU/mLになるように製造された培地に接種し、37℃で150rpmで16時間培養した。培養終了液は20℃に冷却した後、遠心分離して菌体を回収した後、そのまま凍結乾燥した。
【0118】
比較例2
7.5Lジャー(jar)発酵器(fermentor)に炭酸カルシウム3g/Lを添加したプロバイオティクス培養培地(グルコース(Daesang)30g/L、酵母抽出物(BioSpringer)10g/L、加水分解大豆タンパク(Tatua)15g/L、硫酸マグネシウム(Kali)0.1g/L)4Lを製造し、121℃で25分間滅菌した。ラクトバチルスプランタルムIDCC 3501(Lactobacillus plantarum IDCC 3501、KCTC受託番号:13586BP)、ラクトバチルスロイテリIDCC 3701(Lactobacillus reuteri IDCC 3701)またはエンテロコッカスフェシウムIDCC 2102(Enterococcus faecium IDCC 2102)菌株の初期生菌数が約1×108CFU/mLになるように製造された培地に接種し、37℃で150rpmで16時間培養した。培養終了液は20℃に冷却した後、菌体を遠心分離し、凍結保護剤(マルトデキストリン100g/L +フラクトオリゴ糖50g/L)を菌液と同量混合(v/w)して凍結乾燥した。
【0119】
実施例1
7.5Lジャー(jar)発酵器(fermentor)に炭酸カルシウム3g/Lとアルギン酸ナトリウム1g/Lを添加したプロバイオティクス培養培地(グルコース(Daesang)30g/L、酵母抽出物(BioSpringer)10g/L、加水分解大豆タンパク(Tatua)15g/L、硫酸マグネシウム(Kali)0.1g/L)4Lを製造し、121℃で25分間滅菌した。ラクトバチルスプランタルムIDCC 3501(Lactobacillus plantarum IDCC 3501、KCTC受託番号:13586BP)、ラクトバチルスロイテリIDCC 3701(Lactobacillus reuteri IDCC 3701)またはエンテロコッカスフェシウムIDCC 2102(Enterococcus faecium IDCC 2102)菌株の初期生菌数が約1×108CFU/mLになるように製造された培地に接種し、37℃で150rpmで16時間培養した。培養終了液は20℃に冷却した後、6,700g、20℃、15分の条件で遠心分離して菌体を回収した後、そのまま凍結乾燥した。
【0120】
実施例2
7.5Lジャー(jar)発酵器(fermentor)に炭酸カルシウム3g/L、アルギン酸ナトリウム1g/L及びコーンスターチ5g/Lを添加したプロバイオティクス培養培地(グルコース(Daesang)30g/L、酵母抽出物(BioSpringer)10g/L、加水分解大豆タンパク(Tatua)15g/L、硫酸マグネシウム(Kali)0.1g/L)4Lを製造し、121℃で25分間滅菌した。ラクトバチルスプランタルムIDCC 3501(Lactobacillus plantarum IDCC 3501、KCTC受託番号:13586BP)、ラクトバチルスロイテリIDCC 3701(Lactobacillus reuteri IDCC 3701)またはエンテロコッカスフェシウムIDCC 2102(Enterococcus faecium IDCC 2102)菌株の初期生菌数が約1×108CFU/mLになるように製造された培地に接種し、37℃で150rpmで16時間培養した。培養終了液は20℃に冷却した後、遠心分離して菌体を回収した後、そのまま凍結乾燥した。
【0121】
実験例1-1. 凍結乾燥の生存率の評価
凍結乾燥された原料はmeshサイズが425μmであるふるい網で粉砕して重量を測定し、原末重量の半分ほどのマルトデキストリンと混合した。培養終了液と製造原料の生菌数を測定するために、緩衝溶液(Phosphate-citratebuffer, Sigma-Aldrich, P4809)で多段希釈してMRS寒天培地に塗抹した後、37℃で24時間培養し、生成されたコロニーを計数した。凍結乾燥の生存率を培養液に含まれた総生菌数に対する原料に含まれた総生菌数の比率を百分率で示した。
【0122】
各菌株の凍結乾燥粉末の生菌数を分析した結果は表3の通りである。IDCC 3501菌株の培養液生菌数に比べ、生存率は比較例1と2において、それぞれ23.5%と48.8%であったのに対し、実施例1と2においては、それぞれ60.6%と83.8%でカプセル化適用原料で高い凍結乾燥の生存率を示した。特にカプセル化剤にカプセル化増強剤を一緒に処理した実施例2は、菌体を別途で処理していない比較例1に比べて3.7倍、比較例2に比べて1.8倍の生存率を示した。
【0123】
IDCC 3701及びIDCC 2102菌株の凍結乾燥粉末の生菌数を分析した結果でも、培養液に比べ、凍結乾燥後の生存率がIDCC 3501菌株と同様に著しく向上することを確認した。これは、別途の凍結乾燥の保護剤がなくても、自然に生成されたカプセル化剤及びカプセル化増強剤が凍結乾燥の保護剤としての役割を効果的に発揮することができることを確認した。
【0124】
【表3】
【0125】
実験例1-2. 熱抵抗性(Heat tolerance)の評価
プロバイオティクスカプセルは、各種摂取剤形に加工される時、様々な死滅の可能性がある環境を経るが、特に錠剤に打錠する時には、瞬間的に高い熱と圧力にさらされる。菌株生育の範囲を超えた高い温度でのカプセル化による生菌保護効果を確認するために、前記凍結乾燥させたそれぞれの菌株に対する生菌粉末0.1gを緩衝溶液10mLに懸濁した後、60℃で湯煎して1時間処理した後、生存率を確認した。熱処理プロバイオティクスの懸濁液を多段希釈してMRS寒天培地に塗抹した後、37℃で24時間培養して生成されたコロニーを計数し、熱抵抗性の結果は、生菌数が1/10に減少するまでにかかった時間(min)であるD値で示した。D値は生菌数が1/10に減少するまでかかる時間を計算した値であるため、数値が大きいほど60℃でより高い熱抵抗性を有しているといえる。D値を比較した結果、全ての菌株で実施例1と2において、比較例1と2に比べ著しく高い熱抵抗性を示すことを確認することができた(表4参照)。
【0126】
【表4】
【0127】
実験例1-3. 胃腸管模写溶液の生存率(Survival in simulated gastro-intestinal tract)
人体内に摂取されたプロバイオティクスは生きた状態で腸に到達するまで、様々な生存に困難を与える環境に置かれ、これは胃酸と十二指腸で分泌される胆汁酸が代表的である。従って、プロバイオティクス生菌の摂取安定性を確認するために、飲食物を摂取した時の胃腸管の条件を模写した溶液での生存率を確認した。
【0128】
胃模写溶液を製造するために、MRS Broth 55g/Lを蒸留水に溶解させた後、pH3.0に調整した後、121℃で15分間滅菌して酸性MRS培地を作製した。前記凍結乾燥させた各菌株の生菌粉末0.1gをMRS培地10mLに懸濁し、1時間、37℃で100rpmで攪拌しながら培養した。懸濁液1mLを取り、多段希釈した後、MRS寒天培地に塗抹し、37℃で24時間培養後、生成されたコロニーを計数した。
【0129】
腸模写溶液を製造するために、胆汁(Oxgall, Sigma-Aldrich)を蒸留水に4g/Lの濃度で溶解させた後、pH7.4に補正した。前記胃模写溶液処理懸濁液に腸模写溶液を90mL添加し、37℃で100rpmで攪拌しながら2時間培養し、1時間間隔で試料を取り、多段希釈した後、MRS寒天培地に塗抹し、37℃で24時間培養後、生成されたコロニーを計数した。
【0130】
プロバイオティクス粉末を胃腸管模写溶液で処理した結果、IDCC 3501菌株の場合、比較例1と2がそれぞれ0.3%と15.0%の生存率を、実施例1と2ではそれぞれ24.9%及び59.8%の生存率を示した。特に実施例2は、胃模写溶液で90%以上の耐酸性を示し、最終的に3時間処理後には、比較例1に比べて721倍、比較例2に比べて7.2倍の高い生存率を示した(表5)。
【0131】
IDCC 3701及びIDCC 2102菌株においてもまた、比較例1及び2に比べ、実施例1、2で最小1.6倍から最大60倍まで向上した生存率を示した(表6)。
【0132】
これは、本発明のプロバイオティクスの凍結乾燥剤形において、自然に生成されたカプセル化剤及びカプセル化増強剤が、実際の胃腸管で菌体を効果的に保護することができることを意味する。
【0133】
【表5】
【0134】
【表6】
【0135】
実験例1-4. 保管安定性(Shelf stability)
乾燥されたプロバイオティクス原料は、流通及び貯蔵過程でさらされる温度、酸素、水分等の要因によって生菌活性が徐々に減少する。カプセル化のような物理的障壁は、このような死滅要因からプロバイオティクス菌体を保護し、保管安定性の向上に寄与することができる。原料配合及び包装段階で抗酸化剤、脱酸素剤の適用や防湿処理によって、酸素と水分に対する保護能を有することはできるが、さらされる温度に対しては原料自体の耐久性が必要である。従って、前記凍結乾燥させたそれぞれのプロバイオティクス粉末に原料の吸湿性を抑制するために、乾燥されたコーンスターチを賦形剤として1倍~10倍の範囲で混合した後、酸素及び水分の接触を抑制するために、アルミニウムポーチに個別包装した。包装された原料は、40℃、50℃の過酷な条件でそれぞれ7日間保管した後、短期生存率を確認し、25℃、30℃でそれぞれ90日間保管した後、長期生存率を確認した。保管原料を緩衝溶液で多段希釈してMRS寒天培地に塗抹した後、37℃で24時間培養し、生成されたコロニーを計数した。
【0136】
プロバイオティクス粉末を過酷な温度条件で7日間保管した後、生存率を確認した結果、IDCC 3501菌株の場合、40℃では比較例1と2がそれぞれ1.1%と14.7%の生存率を、実施例1と2ではそれぞれ40.1%及び87.2%の生存率を示した。50℃では比較例1と2がそれぞれ0.03%と0.2%の生存率を、実施例1と2ではそれぞれ5.4%及び14.3%の生存率を示した。結果的に、カプセル化工程を適用した原料では、何の後処理もせずに菌体のみを乾燥した比較例1と、凍結保護剤を処理して乾燥した比較例2に比べ、はるかに高い短期保管安定性を示した。また、カプセル化を適用した実施例1に比べ、カプセル化増強剤を一緒に添加し培養した実施例2で2倍以上の高い過酷条件安定性を示した(表7及び表8参照)。
【0137】
IDCC 3701及びIDCC 2102菌株もまた同様に比較例と比べ、著しく高い過酷条件安定性を示し、本発明のマトリックスカプセルの保護膜自然生成技術を通じて製造された乳酸菌の凍結乾燥剤形が非常に高い保管安定性を有することを確認した。
【0138】
【表7】
【0139】
【表8】
【0140】
プロバイオティクス粉末を25℃及び30℃で90日保管後の生存率を確認した結果、IDCC 3501菌株の場合、25℃では比較例1と2がそれぞれ1.9%と17.8%の生存率を、実施例1と2ではそれぞれ56.0%及び95.7%の生存率を示した。一方、30℃では比較例1と2がそれぞれ0.09%と8.3%の生存率を、実施例1と2ではそれぞれ35.0%及び86.5%の生存率を示した。過酷条件の結果と同様に、比較例1<比較例2<実施例1<実施例2の順の保管安定性を示し、特に本発明の望ましい実施態様である実施例2は、25℃では90%以上の高い安定性を示した。
【0141】
IDCC 3701及びIDCC 2102菌株もまた同様に比較例と比べ、著しく高い過酷条件安定性を示し、本発明のマトリックスカプセルの保護膜自然生成技術を通じて製造された乳酸菌の凍結乾燥剤形が短期間だけでなく、90日以上の長期保存でも著しく高い保存安定性を有することを確認した(表7及び表8)。
【0142】
実験例2. 本発明のカプセル化方法または従来のアルギン酸塩カプセル化方法で製造されたプロバイオティクスカプセルの特性比較
実験例2で使用された比較例(通常のアルギン酸カルシウム原料製造方法)と実施例は、次のように準備した。
【0143】
比較例1
7.5Lジャー(jar)発酵器(fermentor)に炭酸カルシウム3g/Lを添加したプロバイオティクス培養培地(グルコース(Daesang)30g/L、酵母抽出物(BioSpringer)10g/L、加水分解大豆タンパク(Tatua)15g/L、硫酸マグネシウム(Kali)0.1g/L)4Lを製造し、121℃で25分間滅菌した。ラクトバチルスプランタルムIDCC 3501(Lactobacillus plantarum IDCC 3501、KCTC受託番号:13586BP)の初期生菌数が約1×108CFU/mLになるように製造された培地に接種し、37℃で150rpmで16時間培養した。培養終了液は20℃に冷却した後、遠心分離して菌液を400mL回収した。回収された遠心分離菌液について、蒸留水10mLにアルギン酸ナトリウム0.4gとコーンスターチ2gを添加した懸濁液を菌液に混合して均質化した後、1%塩化カルシウム水溶液に点滴してビードの形態に製造し、凍結乾燥した後、乾燥原末をそのまま回収した。
【0144】
比較例2
比較例1と同じ方法で製造された遠心分離菌液に対して、蒸留水100mLにアルギン酸ナトリウム0.4g、コーンスターチ2g及び炭酸カルシウム1.2gを添加し、200rpmで攪拌しながら、10%乳酸溶液をpHが4.00になるまで、毎秒0.1mLの速度で添加することにより生成されたヒドロゲルを菌体に添加して均質化した後、凍結乾燥した。凍結乾燥された菌体を、サイズが425μmのふるい網で粉砕した後、それぞれの重量を測定し、原末重量の半分ほどのマルトデキストリンと混合した。
【0145】
実施例1
7.5Lジャー(jar)発酵器(fermentor)に炭酸カルシウム3g/L、アルギン酸ナトリウム1g/L及びコーンスターチ5g/Lを添加したプロバイオティクス培養培地(グルコース(Daesang)30g/L、酵母抽出物(BioSpringer)10g/L、加水分解大豆タンパク(Tatua)15g/L、硫酸マグネシウム(Kali)0.1g/L)4Lを製造し、121℃で25分間滅菌した。ラクトバチルスプランタルムIDCC 3501(Lactobacillus plantarum IDCC 3501、KCTC受託番号:13586BP)の初期生菌数が約1×108CFU/mLになるように製造された培地に接種し、37℃で150rpmで16時間培養した。培養終了液は20℃に冷却した後、遠心分離して菌体を回収した後、そのまま凍結乾燥した。
【0146】
実験例2-1. 凍結乾燥の生存率の評価
比較例及び実施例の培養終了液と製造原料から生菌数を測定するために、実験例1-1と同じ方法で凍結乾燥の生存率を評価した。
【0147】
凍結乾燥粉末の生菌数を分析し、培養液の生菌数に比べて生存率を確認した結果、比較例1と2でそれぞれ68.7%と43.1%だったのに対し、実施例では84.1%と相対的に高い凍結乾燥の生存率を示した。これは、カプセル化剤を培養段階で生成させることが菌体に後処理するよりも凍結乾燥保護剤としての役割をより効果的に行うことができることを確認した(表9)。
【0148】
【表9】
【0149】
実験例 2-2. 熱抵抗性(Heat tolerance)の評価
実験例1-2と同じ方法で比較例及び実施例の生菌粉末の熱抵抗性を評価した結果、比較例1と2のD値はそれぞれ14.8分と14.2分であったが、実施例のD値は15.7分と相対的により高いD値を示した。従って、本発明のカプセル化培養工程で製造された原料が著しく高い熱抵抗性を示すことを確認した(表10)。
【0150】
【表10】
【0151】
実験例2-3. 胃腸管模写溶液の生存率(Survival in simulated gastro-intestinal tract)
製造された各原料に対して、胃腸管模写溶液での生存率と崩壊率を確認した。胃腸管模写溶液の生存率は、実験例1-3と同じ方法で確認し、腸模写溶液を2時間処理後の分析時に希釈水として生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)でも追加分析し、緩衝溶液(Citrate-phosphate buffer)でアルギン酸塩を完全に溶解させて分析した結果との比率を通じ、胃腸管模写溶液内での崩壊率を把握した。
【0152】
実施例と比較例1との間の最終生存率の差は、約2.1%と類似したレベルであったが、崩壊率の面では実施例が4倍以上高いことが確認された。このような結果は、比較例1のようにビードの形態でカプセル化した場合、胃腸管模写溶液から保護する能力は優れているが、実施例のように胃腸管内でプロバイオティクスが効果的に崩壊して増殖することは難しいことを暗示している。比較例2は、崩壊率が実施例と類似したレベルであったが、生存率で実施例より相対的に低く、胃腸管模写溶液に対する保護能が十分ではなかった(表11及び表12)。従って、本発明のカプセル化方法が従来のアルギン酸塩カプセル化方法に比べ、実際の胃腸管で優れた崩壊度と安定性を示すことを確認した。
【0153】
【表11】
【0154】
【表12】
【0155】
実験例 2-4. 保管安定性(Shelf stability)
実験例1-4と同じ方法で製造された各原料を包装し、包装された原料は40℃、50℃の過酷な条件でそれぞれ7日間保管した後、短期生存率を確認し、25℃、30℃でそれぞれ90日間保管した後、長期生存率を確認した。保管原料を緩衝溶液で多段希釈してMRS寒天培地に塗抹した後、37℃で24時間培養し、生成されたコロニーを計数した。
【0156】
プロバイオティクス粉末を過酷な温度条件で7日間保管した後、生存率を確認した結果、40℃では比較例1と2がそれぞれ72.5%と36.1%の生存率を示したが、実施例では88.1%と相対的に高い生存率を示した。50℃では比較例1と2がそれぞれ10.2%と4.3%の生存率を示したが、実施例では15.4%と比較例に比べて高い生存率を示した。結果的に、培養段階でカプセル化工程を適用した実施例の原料では、後処理段階でアルギン酸塩を適用した比較例の原料に比べ、高い短期保管安定性を示した(表13)。
【0157】
プロバイオティクス粉末の90日保管後の温度別生存率を確認した結果、25℃では比較例1と2がそれぞれ76.3%と49.1%の生存率を示したが、実施例では97.2%と相対的に高い生存率を示した。30℃では比較例1と2がそれぞれ58.2%と31.0%の生存率を示したが、実施例では86.5%とやはり相対的に高い生存率を示した。短期保管安定性の結果と同様に、実施例は比較例1、2に比べて高い長期保管安定性を示し、特に25℃では95%以上の非常に高い生存率を示した(表14)。
【0158】
【表13】
【0159】
【表14】
【0160】
実験例2-5. カプセル化剤の粒子サイズの分析
培養段階でカプセル化剤の自然生成を進行した実施例と、試験管上で人為的にカプセル化剤を生成させた比較例2との粒子サイズを比較した。実施例の工程の遠心分離段階で得られた菌液を生理食塩水で溶かした後、セルロース濾紙(1004047、Whatman)で3回フィルターし、ペレット部分を回収して凍結乾燥した。乾燥された実施例と比較例2のカプセル化剤をそれぞれ生理食塩水に溶かし、粒度分析器(LS-I3-320、Beckman Coulter)を使用して粒子サイズを分析した。
【0161】
乾燥されたカプセル化剤の粒子サイズを分析した結果、実施例では平均82.45μm、比較例2では平均146.09μmで、実施例のカプセル化剤が微細な粒子サイズを示した(図2)。従って、培養段階でカプセル化剤を自然生成した実施例では、菌体カプセル化時により小さな間隙を埋めることができ、安定性向上に寄与することができることを確認した。
【0162】
前記実験例の結果は、アルギン酸塩ビードの形態でカプセル化した比較例1、及び実施例と同じ原理を用いて、アルギン酸塩を別途に製造した後、菌液に混ぜた比較例2の工程より、アルギン酸塩カプセル化剤を自然に生成させて菌液と混合させる本発明のカプセル化剤の製造方法が、著しく優れた凍結乾燥の生存率、熱抵抗性、胃腸管模写溶液の生存率、短期/長期保管安定性を示すことを確認した。特に、本発明の方法で製造されたカプセル化剤は、非常に微細な粒子として菌体間の間隙を埋めることにより、プロバイオティクスの生存に悪影響を与える各種因子から保護効果を発揮することができることを確認した。従って、プロバイオティクス菌株を本発明の方法を通じてカプセル化する場合、一般的にアルギン酸塩のカプセル化に使用される工程に比べ、高い菌体保護能を有することを確認した。
【0163】
実験例3. プロバイオティクスカプセルの構造的特性
ラクトバチルスプランタルムIDCC 3501(Lactobacillus plantarum IDCC 3501、KCTC 受託番号:13586BP)のカプセル化原料についてのSEM写真を撮影した。本発明のカプセル化工程を適用していない菌体乾燥物、カプセル化剤のみを適用した乾燥物(実験例1の実施例1と同じ)、カプセル化剤とカプセル化増強剤の両方を適用した乾燥物(実験例1の実施例2と同じ)をFE-SEM(S-4700、Hitachi)を使用して25,000X倍率で撮影した。
【0164】
カプセル化を適用していない菌体乾燥物(A)では、菌体間の間隙がかなり存在したが、カプセル化剤のみを適用した乾燥物(B)とカプセル化剤とカプセル化増強剤の両方を適用した乾燥物(C)では、菌体がカプセル化剤によって取り囲まれて間隙を埋めていることを確認した。また、菌体群集が形成している3次元構造の様子を見ると、カプセル化増強剤を適用した乾燥物は、カプセル化剤のみを適用したものに比べて相対的に表面積が少なく、プロバイオティクスの生存を脅かす環境に相対的にさらされにくい構造を形成した(図3)。
【0165】
従って、本発明のカプセル化方法で製造されたプロバイオティクスカプセルが構造的に非常に安定していることを確認した。
【0166】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したが、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術は単に望ましい実施態様に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されない点は明らかであろう。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とそれらの等価物によって定義されるといえる。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
【国際調査報告】