(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】非アルコール性脂肪性肝炎の治療のための酸素含有構造強化脂肪酸を含む組合せ療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/19 20060101AFI20231220BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/575 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/22 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/421 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/357 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/336 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/4453 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/621 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/616 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/609 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/606 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/351 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/27 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/165 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/16 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/164 20060101ALI20231220BHJP
A61K 31/26 20060101ALI20231220BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20231220BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20231220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61K31/19
A61K45/00
A61K31/519
A61K31/575
A61K31/22
A61K31/421
A61K31/357
A61K31/336
A61K31/4453
A61K31/621
A61K31/616
A61K31/609
A61K31/606
A61K31/351
A61K31/27
A61K31/165
A61K31/16
A61K31/164
A61K31/26
A61P1/16
A61K38/26
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537995
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(85)【翻訳文提出日】2023-08-15
(86)【国際出願番号】 IB2021062115
(87)【国際公開番号】W WO2022137125
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520456789
【氏名又は名称】ノースシー セラピューティクス ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー,ディヴィッド アラン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA19
4C084BA23
4C084CA59
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4C084MA02
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4C086AA01
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4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA75
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA02
4C206DB03
4C206DB43
4C206GA04
4C206GA22
4C206GA26
4C206GA28
4C206GA37
4C206HA18
4C206HA22
4C206KA17
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206NA15
4C206ZA75
4C206ZC54
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/またはアルコール性脂肪性肝炎(ASH)の療法的および/または予防的治療における使用のための組合せ療法であって、β-位に取り込まれた酸素およびα-置換基を有する不飽和脂肪酸ならびにグルカゴン様ペプチド1受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害剤およびファルネソイドX受容体アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の療法的および/または予防的治療における使用のための、式(II)
【化1】
(式中、R
1は、3~6個の二重結合を有するC
10-C
22アルケニルから選択され、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なり、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基の群から選択され、R
2およびR
3は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのようなシクロアルカンを形成するように接続していてもよく、
Xは、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体は、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである)
の第1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物、
ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤
を含む組合せ療法。
【請求項2】
前記第1の化合物が、式(I)のものであり、R2、R3、およびXが、式(II)
【化2】
のために定義した通りである、請求項1に記載の使用のための請求項1に記載の組合せ療法。
【請求項3】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子または直鎖、分岐鎖および/もしくは環状C
1-C
6アルキル基から独立して選ばれ、
Xが、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体が、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである、
非アルコール性脂肪性肝炎の治療における使用のための
請求項1に記載の使用のための請求項1もしくは2に記載の組合せ療法またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物。
【請求項4】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基およびイソプロピル基から独立して選ばれる、請求項1に記載の使用のための請求項1から3のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項5】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3がいずれも独立してC
1-C
6アルキル基である、請求項1に記載の使用のための請求項1から3のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項6】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3の一方が水素原子であり、他方がエチル基である、請求項1に記載の使用のための請求項1から4のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項7】
前記第1の化合物に関してXがカルボン酸である、請求項1に記載の使用のための請求項1から6のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項8】
前記第1の化合物に関してXがC
1-C
6アルキルエステルである、請求項1に記載の使用のための請求項1から6のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項9】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n-ブチルエステルおよびtert-ブチルエステルから選ばれる、請求項1に記載の使用のための請求項8に記載の組合せ療法。
【請求項10】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステルおよびエチルエステルの群から選択される、請求項1に記載の使用のための請求項1、8または9のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項11】
前記第1の化合物に関してXが、トリグリセリド、1,2-ジグリセリド、1,3-ジグリセリド、1-モノグリセリドおよび2-モノグリセリドから選ばれるグリセリドである、請求項1に記載の使用のための請求項1から6のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項12】
前記第1の化合物が、エナンチオマー、ジアステレオマーまたはそれらの混合物の形態で存在する、請求項1に記載の使用のための請求項1から11のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項13】
前記第1の化合物が、そのR体で、そのS体でまたはラセミ体で存在する、請求項1に記載の使用のための請求項12に記載の組合せ療法。
【請求項14】
前記第1の化合物が、2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであり、式が、
【化3】
である、請求項1に記載の使用のための請求項1または2に記載の組合せ療法。
【請求項15】
前記第1の化合物が、用量当たり約5mgから約4gの間の用量で投与される、請求項1に記載の使用のための請求項1から14のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項16】
前記第1の化合物が毎日1回投与される、請求項1に記載の使用のための請求項1から15のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項17】
前記追加の活性薬剤が、セマグルチド、フィルソコスタットおよびオベチコール酸(OCA)から選ばれる、請求項1に記載の使用のための先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項18】
前記追加の活性薬剤がセマグルチドである、請求項1に記載の使用のための先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項19】
前記追加の活性薬剤がフィルソコスタットである、請求項1に記載の使用のための先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項20】
前記使用が、NASHを治療するまたは好転させる、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項21】
前記使用が、NASHを有する対象における肝線維症の発症を軽減するまたは既存の肝線維症を軽減する、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項22】
前記使用が、NASHを有する対象における肝炎症の発症を軽減するまたは既存の肝炎症を軽減する、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項23】
前記使用が、NASHを有する対象における脂肪性肝炎の発症を軽減するまたは既存の脂肪性肝炎を軽減する、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項24】
アルコール性脂肪性肝炎(ASH)の療法的および/または予防的治療における使用のための、式(II)
【化4】
(式中、R
1は、3~6個の二重結合を有するC
10-C
22アルケニルから選択され、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なり、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基の群から選択され、R
2およびR
3は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのようなシクロアルカンを形成するように接続していてもよく、
Xは、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体は、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである)
の第1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物、
ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤
を含む組合せ療法。
【請求項25】
前記第1の化合物が、式(I)のものであり、R2、R3、およびXが、式(II)
【化5】
のために定義した通りである、請求項24に記載の使用のための請求項24に記載の組合せ療法。
【請求項26】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子または直鎖、分岐鎖および/もしくは環状C
1-C
6アルキル基から独立して選ばれ、
Xが、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体が、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである、
非アルコール性脂肪性肝炎の治療における使用のための
請求項24に記載の使用のための請求項24または25に記載の組合せ療法またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物。
【請求項27】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基およびイソプロピル基から独立して選ばれる、請求項24に記載の使用のための請求項24から26のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項28】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3がいずれも独立してC
1-C
6アルキル基である、請求項24に記載の使用のための請求項24から26のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項29】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3の一方が水素原子であり、他方がエチル基である、請求項24に記載の使用のための請求項24から27のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項30】
前記第1の化合物に関してXがカルボン酸である、請求項24に記載の使用のための請求項24から29のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項31】
前記第1の化合物に関してXがC
1-C
6アルキルエステルである、請求項24に記載の使用のための請求項24から29のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項32】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n-ブチルエステルおよびtert-ブチルエステルから選ばれる、請求項24に記載の使用のための請求項31に記載の組合せ療法。
【請求項33】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステルおよびエチルエステルの群から選択される、請求項24に記載の使用のための請求項24、31および32のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項34】
前記第1の化合物に関してXが、トリグリセリド、1,2-ジグリセリド、1,3-ジグリセリド、1-モノグリセリドおよび2-モノグリセリドから選ばれたグリセリドである、請求項24に記載の使用のための請求項24から29のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項35】
前記第1の化合物がエナンチオマー、ジアステレオマーまたはそれらの混合物の形態で存在する、請求項24に記載の使用のための請求項24から34のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項36】
前記第1の化合物がそのR体で、そのS体でまたはラセミ体で存在する、請求項24に記載の使用のための請求項35に記載の組合せ療法。
【請求項37】
前記第1の化合物が、2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであり、式が、
【化6】
である、請求項24に記載の使用のための請求項24または25に記載の組合せ療法。
【請求項38】
前記第1の化合物が用量当たり約5mgから約4gの間の用量で投与される、請求項24に記載の使用のための請求項24から37のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項39】
前記第1の化合物が毎日1回投与される、請求項24に記載の使用のための請求項24から38のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項40】
前記追加の活性薬剤が、セマグルチド、フィルソコスタットおよびオベチコール酸(OCA)から選ばれる、請求項24に記載の使用のための先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項41】
前記追加の活性薬剤がセマグルチドである、請求項24に記載の使用のための先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項42】
前記追加の活性薬剤がフィルソコスタットである、請求項24に記載の使用のための先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項43】
前記使用が、ASHを治療するまたは好転させる、請求項24から42のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項44】
前記使用が、ASHを有する対象における肝線維症の発症を軽減するまたは既存の肝線維症を軽減する、請求項24から43のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項45】
前記使用が、ASHを有する対象における肝炎症の発症を軽減するまたは既存の肝炎症を軽減する、請求項24から44のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項46】
前記使用が、ASHを有する対象における脂肪性肝炎の発症を軽減するまたは既存の脂肪性肝炎を軽減する、請求項24から45のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項47】
前記第1の化合物が組成物に製剤化されている、請求項1または24に記載の使用のための先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項48】
前記組成物が、経口投与用に製剤化されている、請求項1に記載の使用のための請求項47に記載の組合せ療法。
【請求項49】
前記薬学的組成物が、少なくとも1種の結合剤、賦形剤、希釈剤もしくは酸化防止剤またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1または24に記載の使用のための請求項47から48のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項50】
前記化合物が2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸である、請求項1または24に記載の使用のための請求項47から49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
それを必要とする対象における非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/またはアルコール性脂肪性肝炎(ASH)を治療する方法であって、薬学的有効量の式(II):
【化7】
(式中、R
1は、3~6個の二重結合を有するC
10-C
22アルケニルから選択され、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なり、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基の群から選択され、R
2およびR
3は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのようなシクロアルカンを形成するように接続していてもよく、
Xは、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体は、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである)
の第1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物;ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる薬学的有効量の少なくとも1種の追加の活性薬剤を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項52】
前記第1の化合物が、式(I):
【化8】
のものである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子または直鎖、分岐鎖および/もしくは環状C
1-C
6アルキル基から独立して選ばれ、
Xが、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体が、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグであり、
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物である、請求項51または52に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基およびイソプロピル基から独立して選ばれる、請求項51から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3がいずれも独立してC
1-C
6アルキル基である、請求項51から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3の一方が水素原子であり、他方がエチル基である、請求項51から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の化合物に関してXがカルボン酸である、請求項51から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の化合物に関してXがC
1-C
6アルキルエステルである、請求項51から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n-ブチルエステルおよびtert-ブチルエステルから選ばれる、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステルおよびエチルエステルから選ばれる、請求項51、58または59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の化合物に関してXが、トリグリセリド、1,2-ジグリセリド、1,3-ジグリセリド、1-モノグリセリドおよび2-モノグリセリドから選ばれたグリセリドである、請求項51から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の化合物が、エナンチオマー、ジアステレオマーまたはそれらの混合物の形態で存在する、請求項51から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の化合物が、そのR体で、そのS体でまたはラセミ体で存在する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記第1の化合物が、2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであり、式が、
【化9】
である、請求項51に記載の方法。
【請求項65】
前記化合物が、用量当たり約5mgから約4gの間の用量で投与される、請求項51から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記化合物が毎日1回投与される、請求項51から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記追加の活性薬剤が、セマグルチド、フィルソコスタットおよびオベチコール酸(OCA)から選ばれる、請求項51から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記追加の活性薬剤がセマグルチドである、請求項51から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記追加の活性薬剤がフィルソコスタットである、請求項51から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
NASHおよび/またはASHを治療するまたは好転させる、請求項51から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
NASHおよび/またはASHを予防的に治療することを含む、請求項51から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
肝線維症の発症を軽減するもしくは予防的に治療するまたは既存の肝線維症を軽減する、請求項51から71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
使用が、脂肪性肝炎の発症を軽減するまたは既存の脂肪性肝炎を軽減する、請求項51から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記第1の化合物が、薬学的組成物として製剤化されている、請求項51から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記薬学的組成物が、経口投与用に製剤化されている、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記薬学的組成物が、少なくとも1種の結合剤、賦形剤、希釈剤もしくは酸化防止剤またはそれらの任意の組合せをさらに含む、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記第1の化合物が2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸である、請求項51から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
治療の前記方法が予防的である、請求項51から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記第1の化合物および少なくとも1種の追加の活性薬剤が、同時投与、順次投与、重複投与、間隔投与、継続投与またはそれらの組合せにより共投与される、請求項51から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
少なくとも1種のさらなる追加の活性薬剤を共投与することをさらに含む、請求項51から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記第1の化合物が約600mgの投与量で毎日投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項82】
前記化合物が約300mgの投与量で毎日投与される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項83】
肝炎症細胞が30~50%低減される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項84】
肝炎症細胞が60~80%低減される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項85】
脂肪肝面積が70~90%縮小される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項86】
脂肪滴を有する肝細胞の割合が70~90%低減される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項87】
NAFLD活動性(NAS)スコアが低減される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項88】
脂肪症スコアが低減される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項89】
肝臓ヒドロキシプロリン含量が20~40%低減される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項90】
ピクロシリウスレッド染色により決定される肝線維化面積が30~50%縮小される、先行する請求項のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項91】
脂肪肝疾患の療法的および/または予防的治療における使用のための、式(II)
【化10】
(式中、R
1は、3~6個の二重結合を有するC
10-C
22アルケニルから選択され、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なり、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基の群から選択され、R
2およびR
3は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのようなシクロアルカンを形成するように接続していてもよく、
Xは、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体は、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである)
の第1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物、
ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤
を含む組合せ療法。
【請求項92】
前記第1の化合物が、式(I)のものであり、R2、R3、およびXが、式(II)
【化11】
のために定義した通りである、請求項91に記載の使用のための請求項91に記載の組合せ療法。
【請求項93】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子または直鎖、分岐鎖および/もしくは環状C
1-C
6アルキル基から独立して選ばれ、
Xが、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体が、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグ、
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物である、請求項91に記載の使用のための請求項91または92に記載の組合せ療法。
【請求項94】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基およびイソプロピル基から独立して選ばれる、請求項91に記載の使用のための請求項91から93のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項95】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3がいずれも独立してC
1-C
6アルキル基である、請求項91に記載の使用のための請求項91から94のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項96】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3の一方が水素原子であり、他方がエチル基である、請求項91に記載の使用のための請求項91から95のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項97】
前記第1の化合物に関してXがカルボン酸である、請求項91に記載の使用のための請求項91から96のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項98】
前記第1の化合物に関してXがC
1-C
6アルキルエステルである、請求項91に記載の使用のための請求項91から96のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項99】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n-ブチルエステルおよびtert-ブチルエステルから選ばれる、請求項91に記載の使用のための請求項98に記載の組合せ療法。
【請求項100】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステルおよびエチルエステルの群から選択される、請求項91に記載の使用のための請求項91、98および99のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項101】
前記第1の化合物に関してXが、トリグリセリド、1,2-ジグリセリド、1,3-ジグリセリド、1-モノグリセリドおよび2-モノグリセリドから選ばれるグリセリドである、請求項91に記載の使用のための請求項91から96のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項102】
前記第1の化合物が、エナンチオマー、ジアステレオマーまたはそれらの混合物の形態で存在する、請求項91に記載の使用のための請求項91から101のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項103】
前記第1の化合物が、そのR体で、そのS体でまたはラセミ体で存在する、請求項91に記載の使用のための請求項102に記載の組合せ療法。
【請求項104】
前記第1の化合物が、2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであり、式が、
【化12】
である、請求項91に記載の使用のための請求項91または92に記載の組合せ療法。
【請求項105】
前記第1の化合物が、用量当たり約5mgから約4gの間の用量で投与される、請求項91に記載の使用のための請求項91から104のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項106】
前記第1の化合物が毎日1回投与される、請求項91に記載の使用のための請求項91から105のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項107】
前記追加の活性薬剤が、セマグルチド、フィルソコスタットおよびオベチコール酸(OCA)から選ばれる、請求項91に記載の使用のための請求項91から106のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項108】
前記追加の活性薬剤がセマグルチドである、請求項91に記載の使用のための請求項91から106のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項109】
前記追加の活性薬剤がフィルソコスタットである、請求項91に記載の使用のための請求項91から106のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項110】
前記使用が、脂肪肝疾患を治療するまたは好転させる、請求項91から109のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項111】
前記使用が、脂肪症を軽減するまたは好転させる、請求項91から110のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項112】
前記脂肪肝疾患が非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、請求項91から111のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項113】
前記脂肪肝疾患がアルコール性脂肪肝疾患(ALD)である、請求項91から111のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項114】
前記脂肪肝疾患が、炎症反応および細胞傷害を伴わない、請求項91から113のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項115】
前記化合物が2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸である、請求項91に記載の使用のための請求項91から114のいずれか一項に記載の組合せ療法。
【請求項116】
それを必要とする対象における脂肪肝疾患を治療する方法であって、薬学的有効量の式(II):
【化13】
(式中、R
1は、3~6個の二重結合を有するC
10-C
22アルケニルから選択され、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なり、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基の群から選択され、R
2およびR
3は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのようなシクロアルカンを形成するように接続していてもよく、
Xは、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体は、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである)
の第1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物;ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる薬学的有効量の少なくとも1種の追加の活性薬剤を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項117】
前記第1の化合物が、式(I):
【化14】
のものである、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子または直鎖、分岐鎖および/もしくは環状C
1-C
6アルキル基から独立して選ばれ、
Xが、カルボン酸またはその誘導体であり、前記誘導体が、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグ、
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物である、請求項116または117に記載の方法。
【請求項119】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3が、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基およびイソプロピル基から独立して選ばれる、請求項116から118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3がいずれも独立してC
1-C
6アルキル基である、請求項116から119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記第1の化合物に関してR
2およびR
3の一方が水素原子であり、他方がエチル基である、請求項116から120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記第1の化合物に関してXがカルボン酸である、請求項116から121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記第1の化合物に関してXがC
1-C
6アルキルエステルである、請求項51から121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n-ブチルエステルおよびtert-ブチルエステルから選ばれる、請求項116に記載の方法。
【請求項125】
前記第1の化合物に関してXが、メチルエステルおよびエチルエステルから選ばれる、請求項116、123または124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記第1の化合物に関してXが、トリグリセリド、1,2-ジグリセリド、1,3-ジグリセリド、1-モノグリセリドおよび2-モノグリセリドから選ばれるグリセリドである、請求項116から121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記第1の化合物が、エナンチオマー、ジアステレオマーまたはそれらの混合物の形態で存在する、請求項116から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記第1の化合物が、そのR体で、そのS体でまたはラセミ体で存在する、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記第1の化合物が、2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A)またはその薬学的に許容される塩もしくはエステルであり、式が、
【化15】
である、請求項116に記載の方法。
【請求項130】
前記化合物が、用量当たり約5mgから約4gの間の用量で投与される、請求項116から129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記化合物が毎日1回投与される、請求項116から130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記追加の活性薬剤が、セマグルチド、フィルソコスタットおよびオベチコール酸(OCA)から選ばれる、請求項116から131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記追加の活性薬剤がセマグルチドである、請求項116から132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記追加の活性薬剤がフィルソコスタットである、請求項116から132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
脂肪肝疾患を治療するまたは好転させる、請求項116から134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
脂肪肝疾患を予防的に治療することを含む、請求項116から134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記脂肪肝疾患が非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である、請求項116から136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
前記脂肪肝疾患がアルコール性脂肪肝疾患(ALD)である、請求項116から136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記脂肪肝疾患が、炎症反応および細胞傷害を伴わない、請求項116から138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記第1の化合物が2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸である、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記第1の化合物が約600mgの投与量で毎日投与される、請求項91から140のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項142】
前記化合物が約300mgの投与量で毎日投与される、請求項91から141のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項143】
脂肪肝面積が70~90%縮小される、請求項91から142のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項144】
脂肪滴を有する肝細胞の割合が70~90%低減される、請求項91から143のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項145】
NAFLD活動性(NAS)スコアが低減される、請求項91から144のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【請求項146】
脂肪症スコアが低減される、請求項91から145のいずれか一項に記載の組合せ療法および方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年12月22日に出願された米国仮特許出願第63/128,996号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、それを必要とする対象における非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、ならびに線維症および/または肝炎症によって特徴付けられる他の肝障害を治療するための組合せ療法に関する。さらに、本開示は、かかる組合せ療法を使用してそれを必要とする対象における非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、ならびに線維症および/または肝炎症によって特徴付けられる他の肝障害を治療する方法に関する。組合せ療法は、β-位に取り込まれた酸素およびα-置換基を有する不飽和脂肪酸を含む。
【背景技術】
【0003】
単独肝脂肪症(組織学的に5%超の肝細胞)を含むはるかに広範囲の肝臓疾患をNAFLDが包含するにも関わらず、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)はしばしば同義で使用される。肝脂肪症は、炎症反応および細胞傷害を伴わないとき、比較的良性の障害である可能性が最も高い。しかし、NAFLD患者のサブグループは、肝脂肪症に加えて肝細胞損傷および炎症を有し、これは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)として既知の状態である。NASHは、組織学的にアルコール性脂肪性肝炎(ASH)とほとんど区別できない。NAFLDにおいて見られる単純な脂肪症は短期の罹患率または死亡率の増加と相関しないが、NASHは肝硬変、肝不全および肝細胞癌(HCC)のリスクを劇的に高める。NASHに起因する肝硬変は、肝臓移植の理由として頻度がますます高くなっている。肝臓が原因の罹患率および死亡率はNASHの患者において大きく増加するが、それらは心血管疾患による罹患率および死亡率とさらにいっそう強く相関する。
【0004】
NASHの診断およびステージ分類の統一基準はまだ議論されている。NASHの鍵となる組織学的要素は脂肪症、肝細胞の風船様腫大および小葉炎症であり、線維症はNASHの組織学的定義の一部ではない。しかし、肝生検における線維症の程度(ステージ)は予後の予測に役に立つが、肝生検における炎症および壊死の程度(グレード)は役に立たない。
【0005】
NASHと同じく、アルコール性脂肪肝疾患としても既知のアルコール性肝臓疾患(ALD)は、脂肪肝または単純な脂肪症からアルコール性肝炎(すなわち、ASH)への移行、最終的には肝線維症または肝硬変を伴う慢性肝炎への移行を表す組織学的ステージにグループ化することができる。したがって、ASHおよびNASHの起源は異なるかもしれないが、それぞれの慢性侵襲に対する肝反応には、マクロファージ活性化およびサイトカイン産生ならびにその結果生じる活性化星細胞、すなわち増殖性の筋線維芽細胞が関与する炎症促進および線維化促進カスケードを含む多くの類似点がある。(例えば、Friedman,SL;Alcoholism: Clinical and Experimental Research.1999 May;23(5):904-910を参照されたい。)
【0006】
様々な組織学的要素に関して、オメガ-3脂肪酸による治療がNAFLDの患者において肝脂肪症を効果的に軽減することが明らかになっている(Scorletti E,ら、Effects of purified eicosapentaenoic and docosahexanoic acids in non-alcoholic fatty liver disease: Results from the *WELCOME study、Hepatology.2014 Oct;60(4):1211-2)かかる研究は、疾患の初期のステージで治療が確立された場合、それはおそらく、後のより重篤な疾患のステージへの進行を遅らせるであろうことを示唆する。しかし、オメガ-3脂肪酸が、顕著な組織学的変化/炎症性変化が起きたNASHを治療するかつ/または好転させるのに十分に強力であるかどうか疑わしい(Sanyal AJ,ら;EPE-A Study Group、Gastroenterology.2014 Aug;147(2):377-84.e1)。
【0007】
特に、肝線維症は肝硬変にさらに進行する可能性があり、ひいては罹患率および死亡率の大幅な増加に関連するため、NASHおよびASHの線維症要素を標的にすることは、これらの適応症の進行形態の治療の成功に関連する。それは、慢性肝臓疾患の臨床研究における主要ハードエンドポイントも表す。例えば、明らかになりつつあるデータは、NASHそれ自体ではなく線維症が肝臓関連死および非肝臓関連死の両方の最も重要な組織学的予測因子であることを示唆する。加えて、肝硬変は原発性肝臓がんの有力な補助因子である。
【0008】
WO2016173923A1には、2-エチル-2-((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエニルチオ)ブタン酸(化合物N)のような硫黄含有構造修飾脂肪酸がNASHの治療において有用であり得ることが開示されている。これは、食餌誘発性肝線維症の防止において、化合物Nが、PPAR-ガンマアゴニストであるロシグリタゾンよりも優れているという知見に基づいていた。肝臓への炎症細胞の流入を化合物Nが防いだことも示された。非常に軽度の肝線維化反応を起こすモデルであるAPOE*3Leiden.CETPマウスにおいて線維症(ヒドロキシプロリン/プロリン比により測定される)の軽減に化合物Nが有効であったことが示された。
【0009】
その内容が参照により本明細書に組み込まれる、BASF ASのWO2019111048には、2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A)のような酸素含有構造修飾脂肪酸がNASHおよびASHの治療において有用であり得ることが開示されている。化合物Aは、脂肪肝、炎症および線維症を含むNASHの複数の側面に対処することが判明した。これらの知見は、APOE*3Leiden.CETP高脂肪食マウスモデル、肥満食誘発性NASHマウスモデル(ob/ob AMLN高脂肪給餌)、ストレプトゾトシン注射/高脂肪食誘発性NASH(STAM)マウスモデル、ならびにメチオニンおよびコリン欠乏食誘発性NASH(CDAA/高脂肪食)マウスモデルを含む、炎症および線維症の重症度が様々である複数のげっ歯類NASHモデルにおいて再現された。
【0010】
NASHのヒトモデルおよび動物モデルの両方における研究は、単独肝脂肪症とは対照的に、脂肪性肝炎および線維症の発症に関与する複数の因子が存在することを説得力をもって示した。これらの因子には、インスリン抵抗性、酸化ストレス、炎症、腸由来の内毒素ならびに過剰な肝コレステロールおよび胆汁酸が含まれる。これらの因子のすべてが、遺伝的に感受性の高い個体において寄与する重要な役割を果たすことが明らかになっており、したがって、これらの経路を標的にする薬物がNASHの治療のために開発中である。NASHの疾病原因の複雑さは肝外臓器の関与にも関連する。例えば、腸由来の炎症性サイトカイン/内毒素は、強力な炎症促進性刺激となり得る。加えて、インスリン抵抗性の内臓脂肪および末梢脂肪のいずれも、既に感受性の肝臓を遊離脂肪酸および炎症促進性アディポカインで溢れさせ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
NASHおよびASHの複雑さに基づいて、組合せ療法剤が、これらの疾患に寄与する異なる経路を標的にするのに望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/またはアルコール性脂肪性肝炎(ASH)の療法的および/または予防的治療のための、酸素および1種または複数種の追加の活性薬剤を含む構造強化脂肪酸を含む組合せ療法を提供する。同じく、本開示は、それを必要とする対象におけるNASHおよび/またはASHを治療する方法であって、酸素含有構造修飾脂肪酸および少なくとも1種の追加の活性薬剤を投与することを含む方法を提供する。
【0013】
本開示は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/またはアルコール性脂肪性肝炎(ASH)の療法的および/または予防的治療における使用のための、式(II)
【0014】
【化1】
(式中、R
1は、3~6個の二重結合を有するC
10-C
22アルケニルから選択され、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なり、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基の群から選択され、R
2およびR
3は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのようなシクロアルカンを形成するように接続していてもよく、
Xは、カルボン酸またはその誘導体であり、誘導体は、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである)
の第1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物、ならびに
グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法を提供する。
【0015】
同じく、本開示は、それを必要とする対象におけるNASHおよび/またはASHを治療する方法であって、薬学的有効量の式(II):
【0016】
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3およびXは、上述の通り定義される)
の第1の化合物を対象に投与することを含み、GLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤を投与することをさらに含む方法に関する。
【0017】
いくつかの実施形態において、GLP-1受容体アゴニストはセマグルチドであり、ACC阻害剤はフィルソコスタットであり、FXRアゴニストはオベチコール酸(OCA)である。
【0018】
いくつかの実施形態において、第1の化合物においてR2およびR3は、同じかまたは異なり、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基からなる置換基の群から選択されてもよく;またはR2およびR3は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのようなシクロアルカンを形成するように接続していてもよく、
Xは、カルボン酸またはその誘導体を表し、誘導体は、カルボン酸エステル、グリセリドまたはリン脂質、
あるいはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物である。
【0019】
本開示は、NASHおよび/またはASHの療法的および/または予防的治療における使用のための、式(I):
【0020】
【化3】
(式中、R
2およびR
3およびXは、式IIと同様に定義される。とりわけ、
R
2およびR
3は、水素原子または直鎖、分岐鎖および/もしくは環状C
1-C
6アルキル基から独立して選ばれ、
Xは、カルボン酸またはその誘導体であり、誘導体は、カルボン酸エステル、グリセリドまたはリン脂質である)
の第1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物、
ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤
を含む組合せ療法にも関する。いくつかの実施形態において、GLP-1受容体アゴニストはセマグルチドであり、ACC阻害剤はフィルソコスタットであり、FXRアゴニストはオベチコール酸(OCA)である。
【0021】
同じく、本開示は、それを必要とする対象におけるNASHおよび/またはASHを治療する方法であって、薬学的有効量の式(I):
【0022】
【化4】
(式中、R
2およびR
3およびXは、上述の通り定義される)の第1の化合物を投与することを含み、GLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤を投与することをさらに含む方法に関する。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A):
【0023】
【0024】
本開示はまた、NASHおよび/またはASHの療法的および/または予防的治療における使用のための、2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A):
【0025】
【化6】
またはその薬学的に許容される塩もしくはエステル、
ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤
を含む組合せ療法も提供する。いくつかの実施形態において、GLP-1受容体アゴニストはセマグルチドであり、ACC阻害剤はフィルソコスタットであり、FXRアゴニストはオベチコール酸(OCA)である。
【0026】
本開示は、NASHおよび/またはASHを有する対象における組合せ療法の効果にも関する。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における血漿および/または肝臓トリグリセリドのレベルを低下させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における血漿および/または肝臓コレステロールのレベルを低下させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における脂肪肝を減少させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における肝炎症を減少させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における肝線維症を軽減する。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における脂肪性肝炎を好転させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1A~
図1Bは、CDAA/高脂肪食マウスモデルにおける相対的体重(
図1A)および肝重量(
図1B)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの8週間の投与の影響を示す図である。同じ実験条件が、残りの図に示される結果に適用される。
【
図2】
図2A~
図2Bは、血漿アラニントランスアミナーゼ(ALT)のレベル(
図2A)および血漿アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)のレベル(
図2B)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図3】
図3A~
図3Bは、血漿トリグリセリド(TG)(
図3A)および血漿総コレステロール(TC)(
図3B)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコステート、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図4】
図4A~
図4Bは、肝臓TCの相対レベル(
図4A)および肝臓TGの相対レベル(
図4B)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図5】
図5A~
図5Bは、脂肪肝面積(肝臓脂質の相対レベル)(
図5A)および脂肪滴を有する肝細胞の割合(
図5B)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図6】脂肪肝スコアに対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図7】
図7A~
図7Bは、肝炎症細胞の数(
図7A)および肝炎症性病巣の数(
図7B)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図8】
図8A~
図8Bは、小葉炎症(
図8A)およびNAFLD活動性スコア(
図8B)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図9】
図9A~
図9Bは、肝臓ヒドロキシプロリン(HP)の相対レベル(
図9A)およびガレクチン-3発現の肝面積(
図9B)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図10-1】
図10A~
図10Cは、ピクロシリウスレッド(PSR)により決定される肝線維化面積(
図10A)、PSRにより決定される肝類洞線維化面積(
図10B)およびPSRにより決定される肝門脈周囲線維化面積(
図10C)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図10-2】
図10A~
図10Cは、ピクロシリウスレッド(PSR)により決定される肝線維化面積(
図10A)、PSRにより決定される肝類洞線維化面積(
図10B)およびPSRにより決定される肝門脈周囲線維化面積(
図10C)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図11】
図11A~
図11Bは、コラーゲン1a1(Col1a1)発現の肝面積(
図11A)およびα-平滑筋アクチン(α-SMA)発現の肝面積(
図11B)に対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図12】
図12は、肝線維症ステージに対する化合物A、セマグルチド、フィルソコスタット、OCAおよびそれらの組合せの影響を示す図である。
【
図13】
図13A~
図13Iは、Sirius Red染色を使用した、終了時の肝臓形態の代表的な画像である(倍率20倍、スケールバー=100μm)。
【
図14】
図14A~
図14Iは、H&E染色を使用した、終了時の肝臓形態の代表的な画像である(倍率20倍、スケールバー=100μm)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の1つの態様の文脈において記載される実施形態および特徴は本開示の他の態様にも適用されることに留意されたい。特に、本開示による非アルコール性脂肪性肝炎またはアルコール脂肪性肝炎を治療する方法に適用される実施形態は、本開示による非アルコール性脂肪性肝炎またはアルコール脂肪性肝炎すべての治療における使用のための化合物および/または組合せ療法を対象とする態様にも適用される。
【0029】
本開示の特定の態様を以下でより詳しく説明する。本出願において使用され、本明細書において明らかにされる用語および定義は、本開示内における意味を表すことを意図する。
【0030】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈により定められていない限り、複数の指示対象を含む。
【0031】
「およそ」および「約」という用語は、示した数または値とほぼ同じであることを意味する。本明細書において使用されるとき、「およそ」および「約」という用語は、他に指定されていない限り、指定の量、頻度または値の±5%を包含すると一般に理解されるべきである。
【0032】
「治療する」、「治療すること」および「治療」という用語は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物に恩恵をもたらし得る任意の療法的または予防的適用を含む。ヒトの治療および獣医学的治療の両方が本開示の範囲内である。治療は既存の状態に対して応答的であり得るかまたは予防的、すなわち防止的であり得る。
【0033】
「を防止することおよび/または治療すること」および「の療法的および/または予防的治療」という用語は同義で使用することができる。典型的には、本開示の化合物および/または組合せ療法は、NASHまたはASHの治療、すなわち療法治療のために使用される。しかし、場合によって、例えば、患者がNASHもしくはASHに関連する1つまたは複数の危険因子を有する場合、組成物がNASHまたはASHの予防的治療のために使用されることも予見される。
【0034】
「好転させる」および「縮小する」という用語ならびにそれらの変種(例えば、好転、縮小)は、治療の開始時のレベルよりも有利なレベルまで既存の状態の重症度を軽減するまたはその状態のパラメータを減少させる治療に関して本明細書において使用される。
【0035】
本明細書において使用される「投与する」、「投与」および「投与すること」という用語は、(1)保健医もしくはその指定代理人のいずれかによりまたはその指示の下で、本開示による化合物および/もしくは組合せ療法を提供すること、与えること、投薬することおよび/または処方すること、ならびに(2)ヒト患者もしくはその本人または非ヒト哺乳動物により、本開示による組成物を投入すること、摂取することまたは消費することを指す。
【0036】
「組み合わせて投与される」および「共投与(co-administration)」または「共投与(coadministration)」という用語は同義で使用され、(a)式(I)もしくは(II)の化合物または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物の投与;および(b)調和して一緒に、少なくとも1種の追加の活性薬剤の投与を指す。例えば、共投与は、同時投与、順次投与、重複投与、間隔投与、継続投与またはそれらの組合せであり得る。投与方法は、化合物および(1種または複数種の)追加の薬剤において異なっていてもよく、共投与は、経口、皮下、舌下、経粘膜、非経口、静脈内、動脈内、腹腔内、頬側、舌下、局所、膣、直腸、眼、耳、経鼻、吸入および経皮、またはそれらの組合せなど、任意の投与方法を含む。非経口投与の例には、静脈内(IV)投与、動脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、骨内投与、髄腔内投与またはそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。式(I)または(II)の化合物および追加の活性薬剤は独立して投与することができて、例えば、経口的または非経口的に投与することができる。いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物および追加の活性薬剤はいずれも経口的に投与される。いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は経口的に投与され、追加の活性薬剤は非経口的に投与される。非経口投与は注射または注入により実施することができる。いくつかの実施形態において、本開示の方法および/または使用は、少なくとも2種の異なる活性薬剤、式(I)または(II)の化合物および追加の活性薬剤をそれぞれ使用するNASHもしくはASHの療法的および/または予防的治療を対象とする。少なくとも2種の活性薬剤は、薬剤が例えば別々に充填され、両方の薬剤が最適な所期の効果を実現することが必要とされる「組合せ生成物」または「組合せ療法」として見ることができる。
【0037】
「薬学的有効量」という用語は、所望の薬理効果および/または治療効果を実現するのに十分な量、すなわち、その所期の目的に有効な開示されている化合物の量を意味し、「治療的有効量」という用語と交換可能である。個々の対象/患者のニーズは様々であり得るが、開示されている化合物の有効量の最適な範囲の決定は当業者の技能の範囲内である。一般に、本発明に開示されている化合物および/または組合せ療法で疾患および/または状態を治療するための投与計画は、対象/患者のタイプ、年齢、重量、性別、食事などの様々な因子および/または病状に従って決定することができる。
【0038】
「薬学的組成物」という用語は、医学的使用に適した任意の形態の本開示による化合物または化合物の組合せを意味する。
【0039】
本開示の式(I)および式(II)の化合物は、エナンチオマー、ジアステレオマーまたはそれらの混合物を含む様々な立体異性体で存在し得る。本開示は、式(I)および(II)の化合物のすべての光学異性体ならびにそれらの混合物を包含することが理解されるであろう。したがって、ジアステレオマー、ラセミ体および/またはエナンチオマーとして存在する本開示の式(I)および(II)の化合物は本開示の範囲内である。
【0040】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/またはアルコール性脂肪性肝炎(ASH)の療法的および/または予防的治療における使用のための、式(II)
【0041】
【化7】
(式中、R
1は、3~6個の二重結合を有するC
10-C
22アルケニルから選択され、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なり、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基からなる置換基の群から選択されてもよく、ここでR
2およびR
3は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのようなシクロアルカンを形成するように接続していてもよく、
Xは、カルボン酸またはその誘導体を表し、誘導体は、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである)の第1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物;および
少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む。
【0042】
同じく、本開示は、脂肪肝疾患の療法的および/または予防的治療における使用のための、式(II)
【0043】
【化8】
(式中、R
1は、3~6個の二重結合を有するC
10-C
22アルケニルから選択され、
R
2およびR
3は、同じかまたは異なり、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基およびアルキルアミノ基からなる置換基の群から選択されてもよく、ここでR
2およびR
3は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンのようなシクロアルカンを形成するように接続していてもよく、
Xは、カルボン酸またはその誘導体を表し、誘導体は、カルボン酸エステルなどのカルボキシレート;グリセリド;無水物;カルボキサミド;リン脂質;もしくはヒドロキシメチル;またはそれらのプロドラッグである)の第1の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物;および
少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法を対象とする。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患はアルコール性脂肪肝疾患(ALD)である。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は、炎症反応および細胞傷害を伴わない。
【0044】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の活性薬剤は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選択される。
【0045】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の活性薬剤は、GLP-1受容体アゴニストから選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の活性薬剤は、ACC阻害剤から選択される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の活性薬剤は、FXRアゴニストから選択される。
【0046】
いくつかの実施形態において、GLP-1受容体アゴニストはセマグルチドである。いくつかの実施形態において、ACC阻害剤はフィルソコスタットである。いくつかの実施形態において、FXRアゴニストはオベチコール酸(OCA)である。
【0047】
いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の活性薬剤はセマグルチドである。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の活性薬剤はフィルソコスタットである。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の活性薬剤はオベチコール酸(OCA)である。
【0048】
いくつかの実施形態において、第1の化合物に関してR1は、5個または6個の二重結合など、3~6個の二重結合を有するC18-C22アルケニルである。いくつかの実施形態において、1個の二重結合はオメガ-3位にある。
【0049】
好ましい実施形態において、第1の化合物に関してR2およびR3は、水素原子ならびに直鎖、分岐鎖および/または環状C1-C6アルキル基から独立して選ばれる。いくつかの実施形態において、R2およびR3のうちの少なくとも1つは、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基およびペンチル基から選ばれる。
【0050】
いくつかの実施形態において、第1の化合物に関してXは、カルボン酸またはカルボン酸エステル;またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物を表す。
【0051】
いくつかの実施形態において、それを必要とする対象におけるNASHおよび/またはASHを治療する方法であって、薬学的有効量の式(II):
【0052】
【化9】
(式中、R
1、R
2、R
3およびXは、上述の通り定義される)の第1の化合物;またはそれらのプロドラッグまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物;および少なくとも1種の追加の活性薬剤を対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の活性薬剤は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選択される。
【0053】
いくつかの実施形態において、本開示は、それを必要とする対象における非アルコール性脂肪性肝炎またはアルコール性脂肪性肝炎を治療する方法であって、薬学的有効量の式(I):
【0054】
【化10】
(式中、R
2、R
3およびXは、式(II)と同様に定義される)の第1の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法を対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、GLP-1受容体アゴニストはセマグルチドであり、ACC阻害剤はフィルソコスタットであり、FXRアゴニストはオベチコリンである。
【0055】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物に関して、R2およびR3は、水素原子または直鎖、分岐鎖および/もしくは環状C1-C6アルキル基から独立して選ばれ、
Xは、カルボン酸またはカルボン酸エステルであり;または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物。
【0056】
同様に、本開示は、それを必要とする対象における脂肪肝疾患を治療する方法であって、薬学的有効量の式(I)または(II)(式中、R1、R2、R3およびXは、上述の通り定義される)の第1の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法を対象に含む方法を提供する。いくつかの実施形態において、GLP-1受容体アゴニストはセマグルチドであり、ACC阻害剤はフィルソコスタットであり、FXRアゴニストはオベチコリンである。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患はアルコール性脂肪肝疾患(ALD)である。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は、炎症反応および細胞傷害を伴わない。
【0057】
いくつかの実施形態において、本開示は、NASHおよび/またはASHの治療における使用のための、式(I):
【0058】
【化11】
(式中、R
2、R
3およびXは、式(II)と同様に定義される)の第1の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法を提供する。いくつかの実施形態において、GLP-1受容体アゴニストはセマグルチドであり、ACC阻害剤はフィルソコスタットであり、FXRアゴニストはオベチコリンである。
【0059】
いくつかの実施形態において、本開示は、脂肪肝疾患の治療における使用のための、式(I):
【0060】
【化12】
(式中、R
2、R
3およびXは、式(II)と同様に定義される)の第1の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法を提供する。いくつかの実施形態において、GLP-1受容体アゴニストはセマグルチドであり、ACC阻害剤はフィルソコスタットであり、FXRアゴニストはオベチコリンである。いくつかの実施形態において、いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患はアルコール性脂肪肝疾患(ALD)である。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は、炎症反応および細胞傷害を伴わない。
【0061】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物に関して、R2およびR3は、水素原子または直鎖、分岐鎖および/もしくは環状C1-C6アルキル基から独立して選ばれ、
Xは、カルボン酸またはカルボン酸エステルであり;または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはかかる塩の溶媒和物。
【0062】
R2およびR3が異なる場合、式(I)および式(II)の化合物は立体異性体で存在することができる。本開示は、式(I)および式(II)の化合物のすべての光学異性体ならびにそれらの混合物を包含することが理解されるであろう。
【0063】
少なくとも1つの実施形態において、R2およびR3は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基およびペンチル基の群から独立して選択される。
【0064】
少なくとも1つの実施形態において、R2およびR3は、水素原子、メチル基およびエチル基の群から独立して選択される。
【0065】
少なくとも1つの実施形態において、R2およびR3のうちの1つは水素原子であり、R2およびR3のうちの他の1つは、C1-C3アルキル基から選ばれる。1つの実施形態において、R2およびR3のうちの1つは水素原子であり、R2およびR3のうちの他の1つは、メチル基およびエチル基から選択される。いくつかの実施形態において、R2およびR3のうちの1つは水素原子であり、他の1つはエチル基である。
【0066】
式(I)および式(II)の両方の化合物に関して、R2およびR3は、いくつかの実施形態において、独立してC1-C6アルキル基である。いくつかの実施形態において、R2およびR3の両方がC1-C3アルキル基である。いくつかの実施形態において、R2およびR3は、同じかまたは異なり、それぞれは、メチル基、エチル基、n-プロピル基およびイソプロピル基から独立して選ばれる。いくつかの実施形態において、R2およびR3は同じであり、一対のメチル基、一対のエチル基、一対のn-プロピル基および一対のイソプロピル基から選択される。少なくとも1つの実施形態において、R2およびR3はエチル基である。いくつかの実施形態において、R2およびR3のうちの1つはメチル基であり、他の1つはエチル基である。いくつかの実施形態において、R2およびR3のうちの1つはエチル基であり、他の1つはn-プロピル基である。
【0067】
少なくとも1つの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は、エナンチオマー(RまたはS)、ジアステレオマーまたはそれらの混合物など、それらの様々な立体異性体で存在する。少なくとも1つの実施形態において、化合物はラセミ体で存在する。
【0068】
式(I)または(II)による化合物が、少なくとも1つの立体中心を有する対イオンの塩または少なくとも1つの立体中心を有するアルコールのエステルである場合、化合物は複数の立体中心を有し得る。それらの状況では、本開示の化合物はジアステレオマーとして存在し得る。したがって、少なくとも1つの実施形態において、本開示の化合物は少なくとも1つのジアステレオマーとして存在する。
【0069】
いくつかの実施形態において、式(II)または(I)の化合物は、フィルソコスタットと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、式(II)または(I)の化合物は、OCAと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、式(II)または(I)の化合物は、セマグルチドと組み合わせて投与される。
【0070】
少なくとも1つの実施形態において、本開示の式(I)または(II)の化合物は、2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A):
【0071】
【0072】
少なくとも1つの実施形態において、本開示の式(I)または(II)の化合物は、式:
【0073】
【化14】
により表される、そのS体および/またはR体で存在する2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A)である。
【0074】
いくつかの実施形態において、2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A)は、フィルソコスタット、OCAおよびセマグルチドから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤と組み合わせて投与される。
【0075】
いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびセマグルチドを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびフィルコソスタットを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびOCAを含む。いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸(化合物A)である。
【0076】
いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における血漿および/または肝臓トリグリセリドのレベルを低下させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における血漿および/または肝臓コレステロールのレベルを低下させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における脂肪肝を減少させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における肝炎症を減少させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、対象における肝線維症を軽減する。いくつかの実施形態において、組合せ療法の使用は、脂肪性肝炎を好転させる。
【0077】
先述の通り、複数の非依存的および相互依存的な代謝要素、炎症性要素、最終的に線維化要素は、ヒトNASHの発症に収束する。いかなる治療の成功も、NASHの複数の側面に、例えば上流の代謝/炎症標的を介して対処することが必要になる可能性がある。しかし、線維症発症は臨床転帰に関連するため、NASH治療法は、炎症性要素を標的にすべきであり、さらに、線維症の発症を軽減するまたは予防的に治療するべきである。含まれる例は、化合物Aなどの酸素含有構造修飾脂肪酸を含む組合せ療法の驚くべきかつ予想外に強力な抗炎症効果および抗線維化効果ならびに脂肪症に対する強力な効果を示す。これらの知見は、ヒト対象におけるNASHおよびASHの療法的および/または予防的治療における使用のための組合せ療法における本開示の酸素含有化合物の使用を支持する。
【0078】
化合物Aならびにフィルソコスタット、オベチコリン酸(OCA)およびセマグルチドのうちの少なくとも1種を含む組合せ療法が、線維症の発症の軽減または予防的治療および肝線維症のマーカーの好転、例えば、CDAA-HFD(コリン欠乏高脂肪食)、食餌誘発性NASHマウスモデルにおけるピクロシリウスレッド染色の組織学的評価により測定される線維化面積において化合物A単独よりも高い有効性を有することが判明したのは驚くべきことであった。例えば、化合物Aおよびセマグルチドの組合せは、ビヒクルと比較して、ならびに化合物Aおよびセマグルチド単独の両方と比較して、ピクロシリウスレッド(PSR)を用いて決定される肝臓の線維化面積および線維化類洞面積を有意に縮小した(
図10Aおよび
図10B)。化合物AおよびOCAの組合せは、ビヒクルならびに化合物AおよびOCA単独と比べて、α-SMAを発現させる肝面積を有意に縮小した(
図11B)。驚くべきことに、化合物AもOCAもビヒクルと比較してα-SMA肝臓含量に有意に影響しないにも関わらず、この組合せは有意な影響を与えた。
【0079】
化合物Aおよびセマグルチドの組合せならびに化合物Aおよびフィルソコスタットの組合せは、予想外にも、ガレクチン-3を発現させる肝面積を、療法を開始する前に存在したベースラインレベル未満に縮小した(
図9B)。セマグルチデューもフィルソコスタットもビヒクルと比較してガレクチン-3肝臓含量に対して有意な影響を与えないことを鑑みると、これは驚くべきことであった。ガレクチン-3は、線維症および炎症の肝マーカーである。
【0080】
NASH関連罹患率および死亡率における線維症の重要性を考えると、本明細書に記載のCDAA誘発性NASHモデルの結果は、本明細書に提示の組合せ療法がNASH関連合併症の治療において有効であるという考えを支持する。この知見はまた、炎症反応に対する組合せ療法の効果、ならびに脂肪症に対する効果によって支持された。驚くべきことに、フィルソコスタットと組み合わせた化合物A、セマグルチドと組み合わせた化合物AおよびOCAと組み合わせた化合物Aはすべて、炎症細胞および炎症性病巣の数を、療法を開始する前に存在したベースラインレベル未満まで低減させた(
図7Aおよび
図7B)。化合物A単独も、炎症のこれらの指標をベースラインレベル未満に低減させた。セマグルチド単独がビヒクルと比べて有意な影響を与えないにも関わらず、化合物Aおよびセマグルチドの組合せは、驚くべきことに、化合物A単独よりもはるかに多くの炎症細胞および炎症性病巣を低減させた。
【0081】
組合せ療法はまた、脂肪症を有意に軽減した。例えば、フィルソコスタットと組み合わせた化合物A、セマグルチドと組み合わせた化合物AおよびOCAと組み合わせた化合物Aによる治療はすべて、これらの個々の化合物の単剤療法で治療された群と比べて肝臓トリグリセリドレベルのより大きい低下を示す(
図4B)。特に、セマグルチド単独がビヒクルと比べて肝臓トリグリセリドレベルに有意に影響しないにも関わらず、化合物Aおよびセマグルチドの組合せの結果、いずれかの薬剤単独よりも肝臓トリグリセリドのレベルが有意に低くなった。加えて、化合物Aおよびフィルソコステートの組合せが、いずれかの薬剤単独と比べて肝臓トリグリセリドレベルを大きくかつ有意に低減させることは予想外であった。
【0082】
化合物Aおよびセマグルチドの組合せならびに化合物およびフィルソコスタットの組合せそれぞれにより得られた驚くべき結果が、脂肪肝面積(
図5A)および脂肪滴を有する肝細胞の割合(
図5B)に対する影響において同様に示された。具体的には、セマグルチド単独がビヒクルと比較していずれのパラメータにも有意に影響しないにも関わらず、化合物Aおよびセマグルチドの組合せは、脂肪肝面積および脂肪滴を有する肝細胞の割合を、化合物A単独が低下させるよりもさらに有意に低下させた。化合物Aおよびフィルソコスタットの組合せは、肝臓脂質含量および脂肪滴を有する肝細胞の割合を、化合物Aまたはフィルソコスタット単独のいずれかよりもはるかに大きい程度に有意に低下させた。これらの組合せの優れた効果は、脂肪症(
図6)およびNAFLD活動性スコア(NAS)(
図8B)の改善にさらに反映される。
【0083】
式(II)または式(I)の化合物ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む本開示の組合せ療法は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、または脂肪肝、線維症および/もしくは炎症によって特徴付けられる他の肝障害を治療するかつ/または好転させるために投与することができる。いくつかの実施形態において、NASHの治療は予防的であり得る。さらに、化合物は、NASHに関連する少なくとも1つの疾患、状態または危険因子を治療するために投与することができる。いくつかの実施形態において、NASHに関連する少なくとも1つの疾患、状態または危険因子の治療は予防的であり得る。
【0084】
NASHとアルコール性脂肪性肝炎(ASH)との間の炎症促進および線維化促進機序における類似性を鑑み、NASHモデルにおける本明細書に記載の開示されている化合物の抗炎症効果および抗線維化効果は、すなわち、ASHの治療および/または好転に関連し、特に、進行の防止ならびに進行したASHおよび関連線維症の縮小の誘発に関連する。
【0085】
したがって、式(II)または式(I)の化合物ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法は、ASHを治療するかつ/または好転させるために投与することができる。いくつかの実施形態において、ASHの治療は予防的であり得る。さらに、化合物は、ASHに関連する少なくとも1つの疾患、状態または危険因子を治療するために投与することができる。いくつかの実施形態において、ASHに関連する少なくとも1つの疾患、状態または危険因子の治療は予防的であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法は、NASHまたはASHを有する対象における血漿トリグリセリドおよび/またはコレステロールのレベルを低下させるために使用される。
【0087】
いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象における脂肪肝を低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象における相対的肝トリグリセリドおよび/またはコレステロールレベルを低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象における肝臓脂質の脂肪肝面積を縮小する。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象における脂肪滴を有する肝細胞の割合を低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象における脂肪症スコアを低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびセマグルチドを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびフィルソコスタットを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびOCAを含む。いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は化合物Aである。
【0088】
いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法は、療法治療を受けていない脂肪肝疾患を有する対象と比較して、脂肪肝疾患を有する対象における脂肪肝を低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていない脂肪肝疾患を有する対象と比較して、脂肪肝疾患を有する対象における相対的肝トリグリセリドおよび/またはコレステロールレベルを低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていない脂肪肝疾患を有する対象と比較して、脂肪肝疾患を有する対象における肝臓脂質の脂肪肝面積を縮小する。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、脂肪肝疾患を有する対象における脂肪滴を有する肝細胞の割合を低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていない脂肪肝疾患を有する対象と比較して、脂肪肝疾患を有する対象における脂肪症スコアを低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびセマグルチドを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびフィルソコスタットを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびOCAを含む。いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は化合物Aである。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)である。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患はアルコール性脂肪肝疾患(ALFD)である。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は、炎症反応および細胞傷害を伴わない。
【0089】
対象の脂肪症スコアは、NAFLD活動性スコア(NAS)の要素として、かつ本明細書の生物学的実施例に記載の通り、Kleinerら、Hepatology、2005;41に概説された基準により決定される。具体的には、そして実施例の表3に示す通り、NASは、脂肪滴を有する肝細胞の割合により決定される脂肪症、炎症性病巣の数により決定される小葉炎症、および風船様腫大変性の定量的評価を評価する複合スコアである。炎症反応および細胞傷害を伴わない脂肪肝疾患は、NAS評価の下で評価される小葉炎症も風船様腫大変性も有さない。脂肪肝面積は、生物学的実施例に記載の通り決定される。
【0090】
いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象における肝炎症を低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象における肝炎症細胞の数および/または肝炎症性病巣の数を減少させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびセマグルチドを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびフィルソコスタットを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびOCAを含む。いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は化合物Aである。
【0091】
いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象におけるNAFLD活動性スコア(NAS)を低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびセマグルチドを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびフィルソコスタットを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびOCAを含む。いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は化合物Aである。
【0092】
対象のNAFLD活動性スコア(NAS)は、Kleinerら、Hepatology、2005;41に概説の通り、そして本明細書の生物学的実施例に記載の通り決定される。
【0093】
いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象における肝線維症を低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象における相対的肝臓ガレクチン-3のレベルを低減させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、対象における肝臓ヒドロキシプロリン含量を減少させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象におけるPSRにより決定される肝線維化面積を減少させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象におけるPSRにより決定される肝類洞線維化面積を減少させる。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、療法治療を受けていないNASHまたはASHを有する対象と比較して、NASHまたはASHを有する対象におけるα-平滑筋アクチンを発現させる肝面積を縮小する。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびセマグルチドを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびフィルソコスタットを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびOCAを含む。いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は化合物Aである。
【0094】
いくつかの実施形態において、式(II)の化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アポトーシスシグナル制御キナーゼ-1(ASK1)阻害剤、カスパーゼ阻害剤、カテプシンB阻害剤、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、クロライドチャネル刺激剤、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)阻害剤、線維芽細胞増殖因子(FGF)-21アゴニスト、抗CD3 mAb、ガレクチン-3阻害剤、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoA還元酵素阻害剤、1 Ιβ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(Ι Ιβ-HSDI)阻害剤、熱ショックタンパク質(Hsp)47阻害剤、IL-Ιβアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-10アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチンアナログ、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リシルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、リゾホスファチジン酸1(LPA1)受容体アンタゴニスト、オメガ-3脂肪酸、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPARaアゴニスト、PPARyアゴニスト、PPAR5アゴニスト、組換えヒトペントラキシン-2タンパク質(PRF-1)、Rho関連プロテインキナーゼ2(ROCK2)阻害剤、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)阻害剤、ナトリウムグルコース輸送体-2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子a(TNFα)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体および低分子活性化RNA(saRNA)から独立して選ばれる第3またはそれ以上の追加の活性薬剤(1種または複数種)をさらに含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、それを必要とする対象における非アルコール性脂肪性肝炎および/またはアルコール性脂肪性肝炎を治療する方法であって、式(II)の化合物ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト1から選択される少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法を対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびセマグルチドを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびフィルソコスタットを含む。いくつかの実施形態において、組合せ療法は、式(I)または(II)の化合物およびOCAを含む。いくつかの実施形態において、式(I)または(II)の化合物は化合物Aである。
【0096】
いくつかの実施形態において、本開示の方法における組合せ療法の投与は同時投与による。いくつかの実施形態において、本開示の方法における組合せ療法の投与は順次投与による。いくつかの実施形態において、本開示の方法における組合せ療法の投与は重複投与による。いくつかの実施形態において、本開示の方法における組合せ療法の投与は間隔投与による。いくつかの実施形態において、本開示の方法における組合せ療法の投与は継続投与による。
【0097】
本開示はまた、NASHおよび/またはASHの療法的および/または予防的治療における記載された組合せ療法の使用も対象とする。本開示は同じく、NASHおよび/またはASHの療法的および/または予防的治療のための医薬の製造における記載された組合せ療法の使用を対象とする。
【0098】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象における血漿トリグリセリドレベルを約20%、25%、30%、35%または40%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、血漿トリグリセリドレベルを20~30%、30~40%または10~40%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象における血漿総コレステロールレベルを約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%または80%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、血漿総コレステロールレベルを20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~35%、35~40%、40~50%、40~45%、45~50%、50~60%、50~55%、55~60%、60~70%、60~65%、65~70%、70~80%、70~75%または75~80%低減させる。
【0099】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象における肝臓総コレステロールレベルを約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNAFLDまたはALDを有する対象と比べて、NAFLDまたはALDを有する対象における肝臓総コレステロールレベルを約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減させる。いくつかの実施形態において、いずれの対象も、炎症反応および細胞傷害を伴わない脂肪肝疾患を有する。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、肝臓総コレステロールレベルを20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~35%、35~40%、40~50%、40~45%、45~50%、50~60%、50~55%、55~60%、60~70%、60~65%、65~70%、70~80%、70~75%、75~80%、80~90%、80~85%または85~90%低減させる。
【0100】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象における肝臓トリグリセリドレベルを約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNAFLDまたはALDを有する対象と比べて、NAFLDまたはALDを有する対象における肝臓トリグリセリドレベルを約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減させる。いくつかの実施形態において、いずれの対象も、炎症反応および細胞傷害を伴わない脂肪肝疾患を有する。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、肝臓トリグリセリドレベルを20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~35%、35~40%、40~50%、40~45%、45~50%、50~60%、50~55%、55~60%、60~70%、60~65%、65~70%、70~80%、70~90%、70~75%、75~80%、80~90%、80~85%または85~90%低減させる。
【0101】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象における脂肪肝面積を約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%減少させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNAFLDまたはALDを有する対象と比べて、NAFLDまたはALD疾患を有する対象における脂肪肝面積を約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%減少させる。いくつかの実施形態において、いずれの対象も、炎症反応および細胞傷害を伴わない脂肪肝疾患を有する。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、脂肪肝面積を20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~35%、35~40%、40~50%、40~45%、45~50%、50~60%、50~55%、55~60%、60~70%、60~65%、65~70%、70~80%、70%~90%、70~75%、75~80%、80~90%、80~85%または85~90%減少させる。
【0102】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象における脂肪滴を有する肝細胞の割合を約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNAFLDまたはALDを有する対象と比べて、NAFLDまたはALDを有する対象における脂肪滴を有する肝細胞の割合を約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%低減させる。いくつかの実施形態において、いずれの対象も、炎症反応および細胞傷害を伴わない脂肪肝疾患を有する。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、脂肪滴を有する肝細胞の割合を20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~35%、35~40%、40~50%、40~45%、45~50%、50~60%、50~55%、55~60%、60~70%、60~65%、65~70%、70~80%、70~90%、70~75%、75~80%、80~90%、80~85%または85~90%低減させる。
【0103】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象における炎症細胞を約10%、20%、30%、40%または45%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、炎症細胞を10~20%、10~15%、15~20%、20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~50%、30~35%、35~40%、40~50%または40~45%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象における炎症性病巣を約20%、30%、40%、50%、60%、70%または75%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、炎症性病巣を20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~35%、35~40%、40~50%、40~45%、45~50%、50~60%、50~55%、55~60%、60~70%、60~80%、60~65%、65~70%、70~80%または70~75%低減させる。
【0104】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象におけるガレクチン-3を発現させる肝面積を約20%、30%、40%または50%縮小する。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、ガレクチン-3を発現させる肝面積を20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~35%、35~40%、40~50%、40~45%または45~50%縮小する。
【0105】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象における肝臓ヒドロキシプロリンレベルを約20%、30%または40%低減させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、肝臓ヒドロキシプロリンレベルを20~30%、20~25%、25~30%、20~40%、30~40%、30~35%または35~40%低減させる。
【0106】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象におけるPSRにより決定される肝線維化面積を約20%、30%、40%または50%減少させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、PSRにより決定される肝線維化面積を20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~50%、30~35%、35~40%、40~50%、40~45%または45~50%減少させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、PSRにより決定される肝類洞線維化面積を約20%、30%または40%減少させる。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、PSRによる肝線維化類洞線維化面積を20~30%、20~25%、25~30%、30~40%、30~35%または35~40%減少させる。
【0107】
いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、治療を受けないNASHまたはASHを有する対象と比べて、NASHまたはASHを有する対象におけるα-SMAを発現させる肝面積を約5%、10%、20%または30%縮小する。いくつかの実施形態において、本開示の組合せ療法は、α-SMAを発現させる肝面積を5~10%、10~20%、10~15%、15~20%、20~30%、20~25%または25~30%縮小する。
【0108】
いくつかの実施形態は、NAFLDまたはALDを有する対象における脂肪肝の好転における使用のための単剤療法としての式(II)の化合物に関する。いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、NAFLDまたはALDを有する対象における脂肪肝面積を好転させる。いくつかの実施形態において、脂肪肝疾患は、炎症反応および細胞傷害を伴わない。
【0109】
いくつかの実施形態は、NASHまたはASHを有する対象における脂肪肝および炎症の好転における使用のための単剤療法としての式(II)の化合物に関する。いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、NASHまたはASHを有する対象における脂肪肝面積を好転させる。いくつかの実施形態において、式(II)の化合物は、NASHまたはASHを有する対象における肝炎症を好転させる。
【0110】
式(I)および(II)の化合物
式(I)および式(II)の化合物は、例えば、PCT出願WO2009/061208、WO2010/128401、WO2011/089529、WO2016/156912、WO2019/111048に記載の通り、かつ以下の実施例に従って調製することができる。加えて、化合物Aは、例えば、PCT出願WO2010/128401、WO2014/132135、およびWO2019/111048に記載の通り、かつ以下の実施例2に従って調製することができる。これらの刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
以下に記載される実施例は例示であり、式(I)および式(II)の範囲内の他の化合物に達するためにこれらの一般的な方法を適用する方法を当業者なら理解するであろう。本開示の化合物は、薬学的に許容される塩またはエステルの形態であり得る。例えば、式(I)および式(II)の化合物は、リン脂質、グリセリドまたはC1-C6-アルキルエステルなどのエステルの形態であり得る。少なくとも1つの実施形態において、エステルは、グリセリドまたはC1-C6-アルキルエステルから選ばれる。少なくとも1つの実施形態において、エステルは、トリグリセリド、1,2-ジグリセリド、1,3-ジグリセリド、1-モノグリセリド、2-モノグリセリド、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、n-ブチルエステルおよびtert-ブチルエステルから選ばれる。少なくとも1つの実施形態において、式(I)の化合物は、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n-ブチルエステルまたはtert-ブチルエステルとして、例えばメチルエステルまたはエチルエステルとして存在する。典型的には、式(I)により表されるエステル(例えば、エチルエステル)は消化管内で加水分解される。
【0112】
本開示に適した塩には、NH4+;Li+、Na+、K+、Mg2+またはCa2+などの金属イオン;tertブチルアンモニウム、(3S,5S,7S)-アダマンタン-1-アンモニウム、1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-アンモニウム、プロトン化アミノピリジン(例えば、ピリジン-2-アンモニウム)などのプロトン化一級アミン;ジエチルアンモニウム、2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシ-N-メチルヘキサン-1-アンモニウム、N-エチルナフタレン-1-アンモニウムなどのプロトン化二級アミン、4-メチルモルホリン-4-イウムなどのプロトン化三級アミン、2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウムなどのプロトン化四級アミンおよびアミノ((4-アミノ-4-カルボキシブチル)アミノ)メタンイミニウムなどのプロトン化グアニジンまたは1H-イミダゾール-3-イウムなどのプロトン化複素環の塩が含まれるが、これらに限定されない。適した塩の追加の例には、エタン-1,2-ジアンモニウムまたはピペラジン-1,4-ジイウムなどのジプロトン化ジアミンの塩が含まれる。本開示による他の塩には、プロトン化キトサン:
【0113】
【0114】
少なくとも実施形態において、塩は、ナトリウム塩、カルシウム塩およびコリン塩から選ばれる。1つの実施形態において、塩は、ナトリウム塩またはカルシウム塩である。
【0115】
本開示は、それを必要とする対象におけるNASHまたはASHを治療する方法であって、薬学的有効量の式(I)または式(II)の化合物ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤を対象に共投与することを含む方法を提供する。対象はヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得る。本発明に開示されている化合物は、薬学的組成物中の医薬など、医薬として共投与することができる。1つの実施形態は、非アルコール性脂肪性肝炎の治療における使用のための、化合物Aなどの、式(II)または式(I)の化合物ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む薬学的組成物を提供する。本発明に開示されている組成物は、少なくとも1つの非活性薬学的成分、すなわち、賦形剤を任意選択でさらに含み得る。非活性成分は、色、香味および/またはファッション活性成分が使用に安全であり得、好都合であり得かつ/またはさもなければ許容され得るように、それらを適用可能かつ効果的な製剤に可溶化、懸濁、増粘、希釈、乳化、安定化、保存、保護することができる。賦形剤の例には、溶媒、担体、希釈剤、結合剤、充填剤、甘味料、芳香剤、pH調整剤、粘度調整剤、酸化防止剤、増量剤、保水剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤、滑沢剤、着色剤、分散剤および保存剤が含まれるが、これらに限定されない。賦形剤は、1つを超える役割もしくは機能を有し得、または1つを超える群に分類され得る;分類は、単に説明のためのものであり、限定するためのものではない。いくつかの実施形態において、例えば、少なくとも1種の賦形剤は、コーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、エタノール、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロースおよびハードファットなどの脂肪性物質またはそれらの適した混合物から選ばれ得る。いくつかの実施形態において、本発明に開示されている組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容される酸化防止剤、例えば、アルファ-トコフェロール、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロールおよびデルタ-トコフェロールなどのトコフェロールまたはそれらの混合物、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソールおよび3-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソールなどのBHAまたはそれらの混合物ならびにBHT(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン)またはその混合物とをさらに含む。
【0116】
本発明に開示されている式(I)および(II)の化合物は、1つまたは複数の経口投与形態、例えば、錠剤またはゼラチン軟もしくは硬カプセルに製剤化され得る。剤形は、球形、卵形、楕円、立方体形、規則的および/または変則的な形など、経口投与に適した任意の形状のものにすることができる。当技術分野において既知の従来の製剤技術を使用して本開示による化合物を処方することができる。いくつかの実施形態において、組成物は、ゼラチンカプセル剤または錠剤の形態であり得る。
【0117】
組合せ生成物の第1の要素、すなわち、式(I)または(II)の化合物は、上述のいずれかの方法で投与または製剤化され得る。組合せ生成物の第2の要素、追加の活性薬剤は、薬剤のタイプに適するように製剤化され得、薬剤の投与方法を含むいくつかの因子に依存する。
【0118】
いくつかの実施形態において、組合せ療法の共投与は同時投与による。いくつかの実施形態において、共投与は順次投与による。いくつかの実施形態において、共投与は重複投与による。いくつかの実施形態において、共投与は間隔投与による。いくつかの実施形態において、共投与は継続投与による。
【0119】
投与量
本開示は、NASHおよび/またはASHの治療における使用のための、式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物および少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む組合せ療法に関する。いくつかの実施形態において、少なくとも1種の追加の活性薬剤は、GLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選ばれる。
【0120】
式(I)の化合物または式(II)の化合物の適した1日投与量は、約5mgから約2gなど、約5mgから約4gの範囲であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、一日量は、約10mgから約1.5g、約50mgから約1g、約100mgから約1g、約150mgから約900mg、約50mgから約800mg、約100mgから約800mg、約100mgから約600mg、約150から約550mgまたは約200から約500mgの範囲である。少なくとも1つの実施形態において、一日量は、約200mgから約600mgの範囲である。少なくとも1つの実施形態において、一日量は、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mgまたは約900mgである。(1種または複数種の)化合物は、例えば、1日当たり1回、2回または3回投与することができる。
【0121】
少なくとも1つの実施形態において、式(I)の化合物は、用量当たり約200mgから約800mgの範囲の量で投与される。少なくとも1つの実施形態において、化合物は、1日当たり1回投与される。少なくとも1つの実施形態において、化合物は、750mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、600mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、500mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、300mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、250mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、300mgまたは600mgの用量で1日当たり1回投与される。
【0122】
少なくとも1つの実施形態において、式(II)の化合物は、用量当たり約200mgから約800mgの範囲の量で投与される。少なくとも1つの実施形態において、化合物は、1日当たり1回投与される。少なくとも1つの実施形態において、化合物は、750mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、600mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、500mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、300mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、250mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、化合物は、300mgまたは600mgの用量で1日当たり1回投与される。
【0123】
いくつかの実施形態において、開示されている組合せ療法の少なくとも1種の追加の活性薬剤はGLP-1受容体アゴニストである。GLP-1受容体アゴニストまたはインクレチンミメティクスはグルカゴン様ペプチド-1受容体のアゴニストである。このクラスの薬物は、典型的には2型糖尿病の治療のために使用される。GLP-アゴニストの非限定的な例のリストには、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド、タスポグルチドおよびセマグルチドが含まれる。好ましい実施形態において、組合せ療法の少なくとも1種の追加の活性薬剤はセマグルチドである。
【0124】
ヒト等価用量は、前臨床マウスモデルにおいて使用される用量から、マウスからヒトへの12.3の倍数を使用することにより計算することができる(Nairら、J Basic Clin Pharm、2016、7:27~31)。
【0125】
いくつかの実施形態において、組合せ療法の少なくとも1種の追加の薬剤はセマグルチドである。いくつかの実施形態において、セマグルチドの一日量は、約50μgから約500μg、約75μgから約250μg、約75μgから約150μg、約100μgから約150μg、約0.1mgから約10mg、約0.2mgから約8mg、約0.5mgから約7mg、または約1mgから約5mgの範囲である。いくつかの実施形態において、セマグルチドは、約0.1mgから約0.2mgの一日量で投与される。いくつかの実施形態において、セマグルチドは、約75μgから約150μgの一日量で投与される。いくつかの実施形態において、セマグルチドは、約75μgから約125μgの一日量で投与される。セマグルチドは、例えば、1日当たり1回、2回または3回投与することができる。いくつかの実施形態において、セマグルチドは、1日当たり1回投与される。
【0126】
いくつかの実施形態において、セマグルチドの一日量は、約50μg、約75μg、約100μg、約125μg、約150μg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、約8mg、約8.5mg、約9mg、約9.5mg、または約10mgである。いくつかの実施形態において、セマグルチドは、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mgまたは10mgの用量で1日当たり1回投与される。
【0127】
いくつかの実施形態において、開示されている組合せ療法の少なくとも1種の追加の活性薬剤はACC阻害剤である。好ましい実施形態において、ACC阻害剤はフィルソコスタットである。
【0128】
いくつかの実施形態において、組合せ療法の少なくとも1種の追加の薬剤はフィルソコスタットである。いくつかの実施形態において、フィルソコスタットの一日量は、約5mgから約3g、約50mgから約2.5g、約100mgから約2g、約500mgから約3g、約1gから約2.5g、約1.5gから約2.5g、約5mgから約500mg、約10mgから約300mg、約20mgから約200mgまたは約50mgから100mgの範囲である。いくつかの実施形態において、フィルソコスタットの一日量は、約10mg/kgから約50mg/kgである。いくつかの実施形態において、フィルソコスタットの一日量は、約15mg/kgから約40mg/kgである。いくつかの実施形態において、フィルソコスタットの一日量は、約20mg/kgから約30mg/kgである。フィルソコスタットは、例えば、1日当たり1回、2回または3回投与することができる。いくつかの実施形態において、フィルソコスタットは、1日当たり1回投与される。
【0129】
いくつかの実施形態において、フィルソコスタットの一日量は、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、または約500mgである。いくつかの実施形態において、フィルソコスタットの一日量は、約1g、約1.5g、約2gまたは約2.5gである。いくつかの実施形態において、フィルソコスタットは、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/k、約30mg/kg、約500mg、約1.5g、約2gまたは約2.5gの用量で1日当たり1回投与される。
【0130】
いくつかの実施形態において、開示されている組合せ療法の少なくとも1種の追加の活性薬剤はFXR阻害剤である。好ましい実施形態において、FXR阻害剤はオベチコール酸である。
【0131】
いくつかの実施形態において、組合せ療法の少なくとも1種の追加の薬剤はOCAである。いくつかの実施形態において、OCAの一日量は、約0.5mgから約250mg、約2mgから約250mg、約5mgから約200mg、約50mgから約200mg、約100mgから約200mg、約150mgから約200mg、または約5mgから20mgの範囲である。いくつかの実施形態において、OCAは、約170mgの一日量で投与される。OCAは、例えば、1日当たり1回、2回または3回投与することができる。いくつかの実施形態において、OCAは、1日当たり1回投与される。
【0132】
いくつかの実施形態において、OCAの一日量は、約0.5mg、約1mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、約8mg、約8.5mg、約9mg、約9.5mg、約10mg、約10.5mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mgである。いくつかの実施形態において、OCAは、2.5mg、5mg、7.5mg、10mgまたは15mgの用量で1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態において、OCAは、約50mg、約60mg、約70mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、または約200mgの一日量で投与される。いくつかの実施形態において、OCAは、1日当たり1回投与される。
【0133】
追加の組合せ
本開示によれば、式(I)または(II)の少なくとも1つの化合物ならびにGLP-1受容体アゴニスト、ACC阻害剤およびFXRアゴニストから選択される少なくとも1種の第2の活性薬剤を含む組合せ療法は、第3またはそれ以上のさらなる追加の活性薬剤と共投与することができる。いくつかの実施形態において、GLP-1受容体アゴニストはセマグルチドであり、ACC阻害剤はフィルソコスタットであり、FXRアゴニストはOCAである。
【0134】
いくつかの実施形態において、第3またはそれ以上の活性薬剤は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アポトーシスシグナル制御キナーゼ-1(ASK1)阻害剤、カスパーゼ阻害剤、カテプシンB阻害剤、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、クロライドチャネル刺激剤、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)阻害剤、線維芽細胞増殖因子(FGF)-21アゴニスト、抗CD3 mAb、ガレクチン-3阻害剤、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoA還元酵素阻害剤、1 Ιβ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(Ι Ιβ-HSDI)阻害剤、熱ショックタンパク質(Hsp)47阻害剤、IL-Ιβアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-10アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチンアナログ、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リシルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、リゾホスファチジン酸1(LPA1)受容体アンタゴニスト、オメガ-3脂肪酸、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPARaアゴニスト、PPARyアゴニスト、PPAR5アゴニスト、組換えヒトペントラキシン-2タンパク質(PRF-1)、Rho関連プロテインキナーゼ2(ROCK2)阻害剤、セミカルバジド感受性アミンオキシダーゼ(SSAO)阻害剤、ナトリウムグルコース輸送体-2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子α(TNFα)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体および低分子活性化RNA(saRNA)から選ばれる。
【0135】
いくつかの実施形態において、式(II)または(I)の化合物は、フィルソコスタットおよびOCAと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、式(II)または(I)の化合物は、フィルソコスタットおよびセマグルチドと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、式(II)または(I)の化合物は、OCAおよびセマグルチドと組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、式(II)または(I)の化合物は、フィルソコスタット、OCAおよびセマグルチドと組み合わせて投与される。
【0136】
いくつかの実施形態において、第3またはそれ以上の活性薬剤はジペプチジルペプチダーゼ阻害剤(DPP-4アンタゴニスト)である。DPP-4アンタゴニストは、DPP-4(DPP-IV)を遮断する経口血糖降下薬の一クラスである。それらは2型真性糖尿病を治療するために使用することができる。グルカゴンは血糖値を上昇させ、DPP-4阻害剤はグルカゴン値および血糖値を低下させる。DPP-4阻害剤の機序は、インクレチンレベル(GLP-1およびGIP)を上昇させ、これがグルカゴン放出を阻害し、ひいてはインスリン分泌を増加させ、胃内容排出を減少させ、血糖値を低下させるというものである。ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤の非限定的な例のリストには、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、ゲミグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、ズトグリプチンが含まれる。
【0137】
いくつかの実施形態において、第3またはそれ以上の追加の薬剤はオメガ-3脂肪酸である。第3の追加の活性薬剤がオメガ-3脂肪酸であるとき、オメガ-3脂肪酸は、典型的には長鎖多価不飽和オメガ-3脂肪酸(LC n-3 PUFA)である。好ましくは、これは、(全Zオメガ-3)-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸(EPA)および(全Zオメガ-3)-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DHA)またはそれらの誘導体のうちの少なくとも1つを含む。EPAおよびDHAを含むn-3 PUFAは異なる形態であり得、遊離脂肪酸型;C1-C4アルキルエステルなどのエステル化型、好ましくはエチルエステル;リン脂質;モノ/ジ/トリグリセリド;およびそれらの塩のうちの少なくとも1つで提供される。オメガ-3脂肪酸は、経口投与用組成物などの組成物の形態で提供され得る。かかる組成物は、少なくとも50%、60%、70%または80%など、少なくとも40%の活性オメガ-3脂肪酸を含み得る。いくつかの実施形態において、第3またはそれ以上の追加の活性薬剤は、EPAおよびDHAのうちの少なくとも1つを、好ましくはエチルエステル型で少なくとも70%の濃度で含む組成物である。
【0138】
いくつかの実施形態において、第3またはそれ以上の追加の活性薬剤は、アセチルサリチル酸、アリポジーンチパルボベック、アラムコール、アトルバスタチン、BI 1467335、BLX-1002、BMS-986036、BMS-986020、セニクリビロック、コビプロストン、コレセベラム、エムリカサン、エナラプリル、フォラムラブ(foramulab)、GFT-505、GR-MD-02、GS-0976、GS-9674、ヒドロクロロチアジド、イコサペントエチルエステル(エイコサペンタエン酸エチル、EPAエチルエステル)、IMM-124E、IVA337、K-877、KD-025、リナグリプチン、リラグルチド、メルカプタミン、MGL-3196、ND-L02-s0201、オベチコール酸、オレソキシム、peg-イロデカキン、ピオグリタゾン、PRM-151、PX-102、レモグリフロジンエタボネート、セロンセルチブ、シムツズマブ、SHP-626、ソリスロマイシン、チペルカスト、TRX-318、ウルソデオキシコール酸およびVBY-376の群から独立して選択される。
【0139】
組合せ療法の第3またはそれ以上の薬剤は、薬剤のタイプに適するように製剤化され、薬剤の投与方法を含むいくつかの因子に依存する。第3またはそれ以上の追加の活性薬剤の用量は、選択された薬剤のタイプに依存し、特定の薬剤に認可された量に従うべきである。
【0140】
式(II)または式(I)の化合物ならびにグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤を含む本開示の組合せ療法は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)またはアルコール性脂肪性肝炎(ASH)を治療するかつ/または好転させるために投与することができる。
【0141】
本発明者らは、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニスト、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤およびファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストから選ばれる少なくとも1種の追加の活性薬剤と共投与される2-(((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イル)オキシ)ブタン酸などの式(I)の化合物を含む組合せ療法が著しく良好な薬学的活性を有することを見出した。開示されている組合せ療法は、活性薬剤の単剤療法と比べて、NASH関連肝線維症、炎症および脂肪症を治療するための予想外に改善された生物活性を示す。
【実施例】
【0142】
本開示は、以下の非限定的な例によりさらに説明され、そこでは、適切な場合、当業者に既知の標準的な技術およびこれらの例に記載の技術と類似の技術が使用され得る。本明細書に記載の本開示と一貫した追加の実施形態を当業者なら想定するであろうことが理解される。
【0143】
他に記載されていない限り、反応は、室温で、典型的には18~25℃の間の範囲内で無水条件下、HPLCグレードの溶媒を用いて行った。蒸発は真空中で回転蒸発により行った。カラムクロマトグラフィーは、シリカゲル40~63μm(Merck)によるフラッシュ法により、またはプレパックシリカゲルカラム「MiniVarioFlash(商標)」、「SuperVarioFlash(商標)」、「SuperVarioPrep(商標)」もしくは「EasyVarioPrep(商標)」(Merck)を使用するArmen Spot Flashにより実施した。核磁気共鳴(NMR)シフト値は、Bruker Avance(商標) DPX 200または300装置で以下に記載のピーク多重度を用いて記録した:s、一重線;d、二重線;dd、二重二重線;t、三重線;q、四重線;p、五重線;m、多重線;br、ブロード。質量スペクトルはLC/MS分光装置を用いて記録した。分離は、Agilent 1100シリーズモジュールを使用して、Eclipse XDB-C18 2.1×150mmカラムで勾配溶離により実施した。溶離液として0.01%トリフルオロ酢酸または0.005%ギ酸ナトリウムを含む緩衝液中の5~95%アセトニトリルの勾配を使用した。質量スペクトルは、G1956A質量分析計(エレクトロスプレー、3000V)を用いて正および負イオン化モードを切り替えて記録した。報告される収率は例示であり、必ずしも達成可能な最大収率を表さない。
【実施例1】
【0144】
tert-ブチル2-((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イルオキシ)ブタノエートの調製
【0145】
【化16】
テトラブチルアンモニウムクロリド(0.55g、1.98mmol)を、窒素下室温のトルエン(35mL)中の(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-オール(3.50g、12.1mmol)の溶液に加えた。水酸化ナトリウムの水性溶液(50%(w/w)、11.7mL)を室温で激しく撹拌しながら加え、続いてt-ブチル2-ブロモブチレート(5.41g、24.3mmol)を加えた。生じた混合物を50℃まで加熱し、追加のtブチル2-ブロモブチレートを1.5時間後(2.70g、12.1mmol)、3.5時間後(2.70g、12.1mmol)および4.5時間後(2.70g、12.1mmol)に加え、合計12時間撹拌した。室温まで冷却した後、氷水(25mL)を加え、生じた2つの相を分離した。有機相をNaOH(5%)および塩水の混合物で洗い、乾燥(MgSO
4)し、濾過し、濃縮した。ヘプタンおよび酢酸エチルの極性漸増混合物(100:0→95:5)を溶離液として使用して、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより残留物を精製した。適切な画分を濃縮して、1.87g(収率36%)の表題化合物をオイルとして得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.85-1.10 (m, 6H), 1.35-1.54 (m, 11H), 1.53-1.87 (m, 4H), 1.96-2.26 (m, 4H), 2.70-3.02 (m, 8H), 3.31 (dt, 1H), 3.51-3.67 (m, 2H), 5.10-5.58 (m, 10H).
【実施例2】
【0146】
2-((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエニルオキシ)ブタン酸(化合物A)の調製
【0147】
【化17】
tert-ブチル2-((5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-イコサ-5,8,11,14,17-ペンタエン-1-イルオキシ)ブタノエート(19.6g、45.5mmol)をジクロロメタン(200mL)に溶解し、窒素下に置いた。トリフルオロ酢酸(50mL)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。水を加え、水性相をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗い、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過し、濃縮した。ヘプタン、酢酸エチルおよびギ酸の極性漸増混合物(90:10:1→80:20:1)を溶離液として使用して、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーに残留物をかけた。適切な画分を濃縮して、12.1g(収率71%)の表題化合物をオイルとして得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl
3): δ 0.90-1.00 (m, 6H), 1.50 (m, 2H), 1.70 (m, 2H), 1.80 (m, 2H), 2.10 (m, 4H), 2.80-2.90 (m, 8H), 3.50 (m, 1H), 3.60 (m, 1H), 3.75 (t, 1H), 5.30-5.50 (m, 10H); MS (エレクトロスプレー): 373.2 [M-H]
-.
【0148】
本開示の式Iおよび式IIの追加の化合物の調製は、PCT公開番号WO 2019/111048に記載の方法に従って調製することができる。例えば、以下の例示的な化合物は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2019/111048の29~87ページに実施例3~79として挙げられた公開された手順に従って調製することができる。
【0149】
【0150】
生物学的実施例
使用される略語:
α-SMA:アルファ-平滑筋アクチン
ALT:アラニントランスアミナーゼ
AST:アスパラギン酸トランスアミナーゼ
BW:体重
CDAA/HFD:コリン欠乏高脂肪食
Col1a1:コラーゲン1a1
FI:食物摂取
Gal-3:ガレクチン-3
HEまたはH&E:ヘマトキシリンおよびエオシン
HP:ヒドロキシプロリン
IHC:免疫組織化学
PSR:Picrosirius redまたはpicro Sirius red
PO:経口胃管栄養法による
QD:1日に1回
QW:1週間に1回
SC:皮下
SEM:平均の標準誤差
TC:総コレステロール
TG:トリグリセリド
【0151】
食餌誘発性NASHマウスモデル(CDAA/高脂肪食)における化合物A単独ならびにセマグルチド、フィルソコスタットおよびオベチコール酸と組み合わせた化合物Aの評価動物モデル
前臨床薬物開発においてNASHの発症および治療を研究するためのメチオニンおよび/コリンが欠乏しているマウスモデル(それぞれMCDおよびCDAA)が十分確立されている。ホスファチジルコリン合成のための前駆体として、食事からのメチオニン/コリンの摂取が不足すると、トリグリセリドを排出するための肝リポタンパク質の合成ができなくなり、その結果、重篤な脂肪肝、炎症および線維症を招く。
【0152】
広く使用されるメチオニン-コリン欠乏(MCD)食は、マウスにおいて重篤なNASH様肝炎症および線維症を一貫して再現するが、重篤な体重減少(骨格筋および体脂肪量の両方の減少)にも関連する。これは、死亡リスクの増加に関連し、長期的な線維化実験の主要な問題となる。準最適用量のメチオニン(0.1%)を加えることによって、CDAA食モデルはこれらの問題を克服し、マウスおよびラットの両方において体重減少があまり重篤にならずに脂肪性肝炎、肝線維症および肝臓がんを順次引き起こすことによりヒトNASHを模倣することを示した。現在の調査において、コリン欠乏高脂肪食(脂肪からの45%の総カロリー;「CDAA/高脂肪」または「CDAA-HFD」)を雄マウス(C57Bl/6JRj株)に与えた。治療およびNASHパラメータの好転を評価するために、活性薬剤の投与開始の6週間前にNASH誘発食を開始した。示された活性薬剤およびそれらの組合せの8週間の投与の間、NASH誘発CDAA-HFDを継続した。
【0153】
この調査の狙いは、代謝パラメータ、肝病理に対する、および雄CDAA-HFDマウスにおける線維症ステージを含むNAFLD活動性スコアに対する化合物A、OCA、セマグルチドおよびフィルソコスタット単独ならびに組合せの8週間の投与の影響を評価することであった。
【0154】
活性化剤の投与前に、動物を体重に基づいて治療群にランダムに分けた。CDAA-HFD食で6週間後、調査開始時にベースライン群(n=12)を終了した。ビヒクル、化合物A(112mg/kg)、OCA(30mg/kg)、セマグルチド(30nmol/kg SC)、フィルソコスタット(5mg/kg)、化合物A+セマグルチド(112mg/kg+30nmol/kg)、化合物A+OCA(112mg/kg+30mg/kg)および化合物A+フィルソコスタット(112mg/kg+5mg/kg)による治療をCDAA-HFD給餌マウス(群当たりn=10~12)に経口(PO)により8週間毎日施した。最終肝生検を病理組織学的スコアに関して分析した。最終定量的エンドポイントは、血漿/肝臓生化学および肝臓組織形態計測を含んだ。
【0155】
【0156】
NAFLD活動性スコア(NAS)および線維症ステージスコア
Kleinerら、Hepatology、2005;41により概説された臨床基準を使用して、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)またはPicro Sirius Red(PSR)で染色された肝臓サンプルをNAS要素(脂肪症、小葉炎症および風船様腫大変性)および線維症ステージそれぞれに関してスコア化した。総NASは、脂肪症、炎症および風船様腫大のスコアの合計を表し、かつ0~8の範囲である。
【0157】
【0158】
DIO-NASHマウスモデルにおける疾患のステージ分類のためのより正確かつ客観的な方法のために、VISソフトウェア(Visiopharm(登録商標)、デンマーク)を使用して、Gubra(デンマーク)により開発された深層学習アプリケーションによりNASおよび線維症ステージを決定した。
【0159】
脂肪症、炎症および風船様腫大変性:
スキャンされたH&E染色スライドを以下のいくつかのステップで分析した:
1.低倍率での組織検出、続いて倍率10倍での門脈三管および中心静脈の深層学習ベースの検出。
2.倍率20倍での脂肪滴を有する肝細胞、脂質を含まない肝細胞、風船様腫大化肝細胞および炎症細胞の別の深層学習アプリケーション検出核。炎症性病巣を3個超の炎症細胞のクラスターと定義した。
3.肝臓組織サンプルの炎症スコアは、すべて20倍の視野の平均スコアであった。脂肪滴を有する肝細胞の割合として脂肪症スコアを計算した。
【0160】
線維症ステージ:
スキャンされたPSR染色スライドを以下のいくつかのステップで分析した:
1.低倍率での組織検出、続いて倍率10倍での門脈三管および中心静脈の深層学習ベースの検出。門脈周囲帯を門脈三管の周囲100μmと定義した。
2.門脈周囲帯および類洞帯において線形ベイジアン画像解析法を使用して線維症線維を検出した。
3.多項式局所線形フィルター機能に基づいて閾値画像解析を使用して架橋を検出した。
4.2つの帯における線維症および架橋線維症の両方のサイズ、形状および結合性の異なる尺度をXGBoost分類器において使用して、線維症ステージを予測した。
【0161】
免疫反応性および組織化学的染色の定量的評価
VISソフトウェア(Visiopharm(登録商標)、デンマーク)を使用した画像解析により、以下の2つのステップを使用して免疫組織化学(IHC)陽性染色を定量化した:
1.低倍率(1倍対物)での組織の検出(肝臓被膜を除く);および
2.IHC陽性染色の検出。
IHC陽性染色の定量化は、以下の通り面積部分として計算される:
【0162】
【0163】
IHC面積割合定量化をガレクチン-3、コラーゲン1A1およびα-平滑筋アクチンに関して評価した。
【0164】
同じ方法を使用して、ピクロシリウスレッド染色による肝面積割合評価を決定した。
【0165】
生物学的実施例1
相対的体重および相対的肝重量
図1Aに示す通り、OCA、セマグルチドおよび化合物A+OCAおよび化合物A+セマグルチドを施した実験群は、ビヒクルと比べて最後に記録された相対的体重を減少させた。
図1Bに示す通り、化合物A、セマグルチド、化合物A+フィルソコスタットおよび化合物A+セマグルチドが投与された群は、未治療ビヒクル群と比べて肝重量を減少させた。
【0166】
図1Aおよび
図1Bにおいて、値は、ダネット検定一因子線形モデルにおけるn=9~12の平均+SEMで表され、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
*=P<0.05、
**=P<0.01および
***=P<0.001である。
【0167】
生物学的実施例2
血漿ASTおよびALTレベル
化合物A、OCA、セマグルチド、フィルソコスタットおよび組合せ療法の8週間の投与後、血漿アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)(
図2A)およびアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)(
図2B)を測定した。
【0168】
図2Aおよび
図Bにおいて、値は、ダネット検定一因子線形モデルにおけるn=9~12の平均+SEMで表され、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
*=P<0.05、
**=P<0.01および
***=P<0.001である。
【0169】
生物学的実施例3
血漿トリグリセリドおよび総コレステロール
図3Aに示す通り、化合物AおよびOCAが投与された群ならびに組合せ療法群のすべてが、血漿トリグリセリドのレベルを有意に低下させた。総コレステロールの血漿レベルの場合、
図3Bに示す通り、OCAによる単剤療法は、組合せ療法の化合物A+フィルソコスタットおよび化合物A+OCAのように、血漿コレステロールを有意に低下させた。
【0170】
図3Aおよび
図3Bにおいて、値は、ダネット検定一因子線形モデルにおけるn=7~12の平均+SEMで表され、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
*=P<0.05、
**=P<0.01および
***=P<0.001である。組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいて化合物A単独と比較し、ここで、&=P<0.05、&&=P<0.01および&&&=P<0.001である。組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいてそれらのそれぞれの追加の活性薬剤とも比較(例えば、セマグルチドに対する化合物A+セマグルチド)し、ここで、^=P<0.05、^^=P<0.01および^^=P<0.001である。
【0171】
生物学的実施例4
脂肪肝
肝臓総コレステロールおよびトリグリセリド
図4Aに示す通り、化合物A、OCA、化合物A+フィルソコスタット、化合物A+OCAおよび化合物A+セマグルチドが投与された群は、未治療ビヒクル群と比べて肝臓総コレステロールの相対レベル(肝重量に規格化)の有意な低下を示した。組合せ療法群はすべて、単一化合物による治療を施す群よりも有意に大きい低下を示した。特に、セマグルチド単独は、ビヒクル対照と比べて相対的肝臓総コレステロールレベルに有意に影響しなかったが、化合物A+セマグルチドの組合せは、化合物A単独と比べて相対的肝臓総コレステロールレベルに対して有意により大きい影響を与えた。
【0172】
図4Bに示す通り、化合物A、OCA、化合物A+フィルソコスタット、化合物A+OCAおよび化合物A+セマグルチドが投与された群は、未治療群と比べて肝臓トリグリセリドの相対レベル(肝重量に規格化)の有意な低下を示した。化合物A+セマグルチドおよび化合物A+フィルソコスタットを施す群のいずれも、化合物Aのみまたはそれぞれの追加の活性薬剤(すなわち、セマグルチドまたはフィルソコスタットそれぞれ)のみを施す群と比べて肝臓トリグリセリドレベルの有意により大きい低下を示す。
【0173】
図4Aおよび
図4Bにおいて、値は、ダネット検定一因子線形モデルにおけるn=7~12の平均+SEMで表され、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
*=P<0.05、
**=P<0.01および
***=P<0.001である。組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいて化合物A単独と比較し、ここで、&=P<0.05、&&=P<0.01および&&&=P<0.001である。
図4Bにおいて、組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいてそれらのそれぞれの追加の活性薬剤とも比較(例えば、セマグルチドに対する化合物A+セマグルチド)し、ここで、^=P<0.05、^^=P<0.01および^^=P<0.001である。
【0174】
肝臓脂質
VISソフトウェア(Visiopharm(登録商標)、デンマーク)を使用した画像解析により、H&E染色スライド上で脂肪肝面積(相対的肝臓脂質)を定量化した。VISプロトコールは、以下の2つのステップでバーチャルスライドを分析するように設計される:
1.低倍率(1倍対物)での組織検出;ならびに
2.高倍率(20倍対物)での脂肪症および組織の検出。
【0175】
脂肪症の定量的推定値を、以下の通り面積部分として計算した:
【0176】
【0177】
図5Aに示す通り、化合物A、OCAおよびそれぞれの組合せ療法が投与された群は、未治療ビヒクル群と比べて脂肪肝面積の有意な相対的減少を示した。組合せ療法群のすべてが、単一化合物で治療された群と比べて有意により大きい減少を示した。特に、化合物A+フィルソコスタットは、化合物単独のいずれよりもはるかに大きい程度、脂肪肝面積を有意に縮小した。加えて、セマグルチドは、ビヒクルと比べて脂肪肝面積に対して有意な影響を与えなかったが、化合物A+セマグルチドの組合せの結果、化合物A単独よりも脂肪肝面積が有意に小さくなった。
【0178】
図5Aに示す通り、ビヒクル対照群は、ベースラインと比べて有意により小さい脂肪肝面積を有し、組合せ療法ならびに化合物A、OCAおよびフィルソコスタット単独により得られた減少はすべて、未治療ビヒクル群よりも有意に大きかった。
【0179】
図5Bに示す通り、化合物A、フィルソコスタットが投与された群および組合せ療法群のすべてが、未治療ビヒクル群と比べて脂肪滴を有する肝細胞の割合を有意に減少させた。深層学習ベースの画像解析を使用して、脂肪滴を有する肝細胞の割合を決定した。
【0180】
化合物A+セマグルチドおよび化合物A+フィルソコスタットを施す群は、それぞれの個々の薬剤単独を施す群よりも、脂肪滴を有する肝細胞の割合が有意に大きく減少した。特に、セマグルチド単独は、ビヒクル対照と比べて脂肪滴を有する肝細胞の割合に有意に影響しなかったが、化合物A+セマグルチドの組合せは、化合物A単独よりも有意により大きい影響を与えた。加えて、化合物A+フィルソコスタットの組合せは、いずれかの薬剤単独よりも、脂肪滴を有する肝細胞の割合に対してはるかに大きい影響を与えた。
【0181】
図5Aおよび
図5Bにおいて、値は、ダネット検定一因子線形モデルにおけるn=7~12の平均+SEMで表され、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
*=P<0.05、
**=P<0.01および
***=P<0.001である。組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいて化合物A単独と比較し、ここで、&=P<0.05、&&=P<0.01および&&&=P<0.001である。組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいてそれらのそれぞれの追加の活性薬剤とも比較(例えば、セマグルチドに対する化合物A+セマグルチド)し、ここで、^=P<0.05、^^=P<0.01および^^=P<0.001である。
【0182】
組織病理学的解析-脂肪症スコア
図6に示す通り、化合物A、フィルソコスタット、化合物A+フィルソコスタットおよび化合物A+セマグルチドで治療された群は、未治療ビヒクル群と比べて低下した脂肪症スコアを示した。
図6に示された各群について、各スコア(1、2または3)を有する動物の数が、ボンフェローニ補正によるマン・ホイットニーU検定における積み上げ棒の高さにより示されており、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
**=P<0.01および
***=P<0.001である。
【0183】
ボンフェローニ補正によるマン・ホイットニーU検定(&&&=P<0.001)において化合物Aのみを施す治療群に対して組合せ療法治療群を比較するためにデータを解析したとき、化合物A+フィルソコスタットが投与された群は、化合物A単独を施す群と比べて脂肪症スコアの有意な低下を示した。
【0184】
生物学的実施例6
肝炎症
深層学習ベースの画像解析により、炎症細胞および炎症性病巣の数を決定した。
図7Aに示す通り、化合物Aが投与された群および3つすべての組合せ療法群は、ベースラインレベルと比べたときだけでなく、未治療ビヒクル群と比べて炎症細胞の数(1mm
2当たり)が有意に減少した。セマグルチド単独がビヒクルおよびベースラインと比べて有意な影響を与えないにも関わらず、化合物A+セマグルチドで治療された群は、化合物A単独が投与された群と比べて炎症細胞が有意により大きく減少した。
【0185】
図7Bは、化合物Aおよび組合せ療法が投与された群では、未治療ビヒクル群およびベースラインレベルと比べて炎症性病巣(1mm
2当たり)が有意に低下したことを示す。セマグルチド単独がビヒクルおよびベースラインと比べて有意な影響を与えないにも関わらず、化合物A+セマグルチドで治療された群は、化合物A単独が投与された群と比べて炎症性病巣が有意により大きく減少した。
【0186】
ベースラインと比べた化合物Aおよび組合せ療法のそれぞれに対する炎症細胞および炎症性病巣の数の著しい変化は、化合物A単独のまたは組合せ療法としての投与前に発症した炎症の縮小効果または好転を示す。
【0187】
図7Aおよび
図7Bにおいて、値は、ダネット検定一因子線形モデルにおけるn=7~12の平均+SEMで表され、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
*=P<0.05、
**=P<0.01および
***=P<0.001であり、ここで、ベースラインレベルと比べて#=P<0.05、##=P<0.01および###=P<0.001である。組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいて化合物A単独と比較し、ここで、&=P<0.05、&&=P<0.01および&&&=P<0.001である。
【0188】
組織病理学的解析-小葉炎症およびNAFLD活動性スコア
図8Aは、治療群のすべての臨床小葉炎症スコアを示す。
図8Bは、化合物A、フィルソコスタット、化合物A+フィルソコスタットおよび化合物A+セマグルチドが投与された群が、未治療ビヒクル群と比べてNAFLD活動性スコア(NAS)を有意に低下させたことを示す。組合せ療法群を、化合物Aのみを施す群と比較したとき、化合物A+セマグルチドおよび化合物A+フィルソコスタットを施す群は、化合物A群よりもNAFLDスコアの有意に大きい低下を示した。
【0189】
図8Aおよび
図8Bにおいて、各群について、各スコアに対する動物の数が、ボンフェローニ補正によるマン・ホイットニーU検定における積み上げ棒の高さにより示されている。
図8Aにおいて、0.05の有意水準で差はなかった。
図8Bにおいて、未治療ビヒクル群と比べて
**=P<0.01である。
【0190】
生物学的実施例7
肝線維症
線維症マーカー
図9Aに示す通り、OCAが投与された群を除く治療群のすべてが、未治療ビヒクル群と比べて相対的肝臓ヒドロキシプロリン含量(肝重量に規格化)の有意な低下を示した。組合せ療法の化合物A+セマグルチドおよび化合物A+フィルソコスタットは、それぞれの薬剤単独のいずれかよりも相対的肝臓ヒドロキシプロリン含量が有意により大きく減少した。
【0191】
肝炎症および線維症のマーカーであるガレクチン-3を発現させる肝面積を組織学的定量的評価により決定した。
図9Bに示す通り、化合物Aが投与された群および組合せ療法群のすべてが、未治療ビヒクル群と比べてガレクチン-3肝面積割合を有意に縮小した。セマグルチド単独がビヒクルと比べて有意な影響を与えないにも関わらず、化合物A+セマグルチド組合せ療法群は、化合物A単独と比較して、ガレクチン-3を発現させる肝面積割合が有意により大きく縮小した。加えて、セマグルチド群がベースラインと比べてガレクチン-3発現面積を有意に増加させたにも関わらず、この組合せは、それが相対的ガレクチン-3面積をベースラインのそれ未満に有意に縮小するような縮小効果を示した。化合物Aおよびフィルソコスタットの組合せはまた、相対的ガレクチン-3発現面積をベースライン未満に有意に縮小した。
【0192】
図9Aおよび
図9Bにおいて、値は、ダネット検定一因子線形モデルにおけるn=7~12の平均+SEMで表され、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
*=P<0.05、
**=P<0.01および
***=P<0.001である。組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいて化合物A単独と比較し、ここで、&=P<0.05、&&=P<0.01および&&&=P<0.001である。
図9Aにおいて、組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいてそれぞれの追加の活性薬剤と比較し、ここで、^^=P<0.01および^^^=P<0.001である。
図9Bにおいて、各群をダネット検定一因子線形モデルにおいてベースラインレベルと比較し、ここで、#=P<0.05、##=P<0.01および###=P<0.001である。
【0193】
肝線維化面積-PSR
コラーゲンに結合するピクロサイラスレッド(PSR)での染色および組織学的定量的評価により肝線維化面積を決定した。
【0194】
図10Aに示す通り、化合物Aおよび組合せ療法が投与された群は、未治療ビヒクル群と比べてPSR染色により決定される肝線維化面積を有意に縮小した。組合せ療法の化合物A+セマグルチドにより得られた肝線維化面積の縮小は、化合物A単独により得られたものよりも有意に大きかった。セマグルチド単独は、肝線維化面積に有意に影響しなかった。
【0195】
PSRおよび組織学的定量的評価および深層学習画像解析を使用して類洞および門脈周囲線維化面積を決定した。
図10Bに示す通り、化合物A+セマグルチドは、未治療ビヒクル群と比べて類洞線維化面積を有意に縮小した。化合物単独は有意な影響を与えなかった。
図10Cは、様々な実験群の門脈周囲線維化面積を示す。
【0196】
図10A、
図10Bおよび
図10Cにおいて、値は、ダネット検定一因子線形モデルにおけるn=9~12の平均+SEMで表され、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
*=P<0.05、
**=P<0.01および
***=P<0.001である。
図10Aおよび
図10Bにおいて、組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいて化合物A単独と比較し、ここで、&&=P<0.01である。
図10Aにおいて、組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいてそれぞれの追加の活性薬剤と比較し、ここで、^^^=P<0.001である。
【0197】
肝線維症の追加のマーカー
図11Aは、様々な実験群のコラーゲン-1(Col1a1)発現の面積割合を示す。
【0198】
図11Bは、様々な実験群の相対的α-平滑筋アクチン(α-SMA)発現の面積割合を示す。組合せ療法の化合物A+OCAは、未治療ビヒクル群および化合物A単独と比べて肝臓α-SMAを有意に縮小した。
【0199】
図11Aおよび
図11Bにおいて、値は、ダネット検定一因子線形モデルにおけるn=9~12の平均+SEMで表され、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
**=P<0.01および
***P<0.001である。組合せ療法をダネット検定一因子線形モデルにおいて化合物A単独と比較し、ここで、&=P<0.05および&&=P<0.01である。
【0200】
線維症ステージ
図12は、治療群のそれぞれの線維症ステージスコアリングを示す。各群について、各スコアに対する動物の数が、ボンフェローニ補正によるマン・ホイットニーU検定における積み上げ棒の高さにより示されており、ここで、未治療ビヒクル群と比べて
***=P<0.001である。
【0201】
生物学的実施例12
肝臓形態
図13A~
図13Iは、Picro Sirius Redで染色されたときの終了時の様々な治療群の肝臓形態の代表的な画像を示す。
図14A~
図14Iは、H&E染色による終了時の様々な治療群の肝臓形態の代表的な画像を示す。画像を倍率20倍で撮影した。
【国際調査報告】