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特表2023-554531アクセスネットワークの負荷を最適化しながら、複数の基地局によって検出された破損フレームを協調的に復号するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】アクセスネットワークの負荷を最適化しながら、複数の基地局によって検出された破損フレームを協調的に復号するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/04 20090101AFI20231220BHJP
【FI】
H04W28/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538035
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-07-14
(86)【国際出願番号】 EP2021086157
(87)【国際公開番号】W WO2022129315
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】2013636
(32)【優先日】2020-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523231071
【氏名又は名称】ウナビズ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】スニガ,フアン・カルロス
(72)【発明者】
【氏名】マンスイ,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】マルティ,ルノー
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067AA33
5K067DD11
5K067DD42
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE24
5K067HH25
(57)【要約】
無線通信システムにおいて、トランスミッタデバイスが送信したフレームを復号するための方法(100)を、レシーバデバイスによって実行する。上記方法(100)は、以下のステップを含む:
‐復号対象の上記フレームに対応する破損フレームを通信チャネル上で検出した可能性が高い、1つ以上のゲートウェイステーションを選択するステップ(102)であって、上記選択(102)は、ゲートウェイステーションが、選択されるためには、検出した可能性のある上記破損フレームに関連するいずれの情報を上記レシーバデバイスに事前に順番に通信していないものであるように、実施される、ステップ(102);
‐選択された上記ゲートウェイステーションに、上記検出した可能性のある破損フレームを送信するよう要求するためのリクエストを、選択されたゲートウェイステーションそれぞれに送信するステップ(103);
‐様々な選択された上記ゲートウェイステーションによって送信された上記破損フレームを組み合わせて、上記フレームを復号するステップ(104)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システム(10)のトランスミッタデバイス(20)が送信したフレームを復号するための方法(100)であって、前記フレームは、前記無線通信システム(10)の複数のゲートウェイステーション(40)が同時に受信できるものであり、前記方法(100)は、前記ゲートウェイステーション(40)に接続されたレシーバデバイス(50)によって実装され、
前記方法(100)は、以下のステップ:
‐復号対象の前記フレームに対応する破損フレームを通信チャネル上で検出した可能性が高い、1つ以上のゲートウェイステーション(42)を選択するステップ(102)であって、前記選択(102)は、ゲートウェイステーション(42)が、選択されるためには、検出した可能性のある前記破損フレームに関連するいずれの情報を前記レシーバデバイス(50)に事前に通信していないものであるように、実施される、ステップ(102);
‐選択された前記ゲートウェイステーション(42)に、前記検出した可能性のある破損フレームを送信するよう要求するためのリクエストを、選択された前記ゲートウェイステーション(42)それぞれに送信するステップ(103);
‐様々な選択された前記ゲートウェイステーション(42)によって送信された前記破損フレームを組み合わせて、前記フレームを復号するステップ(104)
を含むことを特徴とする、方法(100)。
【請求項2】
第1のゲートウェイステーション(41)によって前記通信チャネル上で検出された破損フレームを受信する先行ステップ(101a)であって、前記第1のゲートウェイステーション(41)は、所定の基準が満たされた場合に破損フレームを送信するよう構成される、先行ステップ(101a)を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記第1のゲートウェイステーション(41)による前記破損フレームの前記送信に関する前記所定の基準は、前記破損フレームの少なくとも一部に関する無線品質のレベルが所定の閾値より高い場合に満たされる、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
復号対象の前記フレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高いゲートウェイステーション(42)を選択する前記ステップ(102)は、前記ゲートウェイステーション(42)と前記第1のゲートウェイステーション(41)との間の距離を計算するステップを含む、請求項2又は3に記載の方法(100)。
【請求項5】
復号対象の前記フレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高いゲートウェイステーション(42)を選択する前記ステップ(102)は、前記ゲートウェイステーション(42)と前記第1のゲートウェイステーション(41)との間の前記距離を所定の閾値と比較するステップを含む、請求項4に記載の方法(100)。
【請求項6】
復号対象の前記フレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高いゲートウェイステーション(42)を選択する前記ステップ(102)は、前記第1のゲートウェイステーション(41)を把握している前記ゲートウェイステーションが、復号対象の前記フレームに対応する破損フレームを検出した確率に基づいて、機械学習アルゴリズムによって実装される、請求項2又は3に記載の方法(100)。
【請求項7】
予期されたフレームが前記通信チャネル上で受信されたはずであると判断する先行ステップ(101b)を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項8】
復号対象の前記フレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高いゲートウェイステーション(42)を選択する前記ステップ(102)は、前記ゲートウェイステーション(42)が、復号対象の前記フレームを送信した前記トランスミッタデバイス(20)の推定地理的位置に対応する所定の地理的エリア(70)内にあるかどうかをチェックするステップを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記レシーバデバイスからの前記リクエストに応答して、前記破損フレームの一部のみが、選択されたゲートウェイステーション(42)によって送信され、前記レシーバデバイス(50)は、選択された様々な前記ゲートウェイステーション(42)によって送信された前記破損フレームの前記一部を組み合わせて、前記フレームを復号する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項10】
選択された1つのゲートウェイステーション(42)を対象とした、受信された可能性のある複数の異なる破損フレームを送信するように前記選択されたゲートウェイステーション(42)に要求する複数のリクエストは、連結されて、前記レシーバデバイス(50)によって単一のリクエストメッセージで一度に送信される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記レシーバデバイス(50)によって送信された、複数の異なるフレームに関する複数のリクエストに応答して、複数の破損フレームが連結され、選択されたゲートウェイステーション(42)によって一度に送信される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法(100)。
【請求項12】
プログラムコード命令のセットを含むことを特徴とする、コンピュータプログラム製品であって、前記プログラムコード命令のセットは、1つ以上のプロセッサによって実行された場合に、前記1つ以上のプロセッサを、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法(100)を実装するように構成する、コンピュータプログラム製品。
【請求項13】
無線通信システム(10)のアクセスネットワークのサーバ(50)であって、前記サーバ(50)は前記無線通信システム(10)の複数の基地局(40)に接続され、
前記サーバ(50)は、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法(100)を実装するように構成された、1つ以上のプロセッサを備えることを特徴とする、サーバ(50)。
【請求項14】
無線通信システム(10)のアクセスネットワーク(30)であって、
前記アクセスネットワーク(30)は、請求項13に記載のサーバ(50)を備える、アクセスネットワーク(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムの分野に関する。特に本発明は、1つの端末によって送信されて複数の基地局によって同時に検出されたフレームを、協調的に復号するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスミッタが送信したフレームを復号する際のパフォーマンスを向上させるために、空間ダイバーシティが無線通信システムで使用されることが知られている。
【0003】
空間ダイバーシティは特に、異なる位置にある複数のレシーバそれぞれが、トランスミッタが送信したフレームに対応する破損フレームを検出し、1つのレシーバが検出した単一の破損フレームからは上記フレームを復号できない場合に使用できる。従って、様々なレシーバが検出した様々な破損フレームを組み合わせて、トランスミッタが送信したフレームの復号を試みる必要がある。
【0004】
空間ダイバーシティのコンセプトに基づく複数の方法が存在する。これらの方法は典型的には、MIMO(Multiple‐Input and Multiple‐Output:複数入力・複数出力)及びMRC(Maximal Ratio Combining:最大比合成)技術に基づくものである。
【0005】
従来、MRC技術では、あるフレームを検出した全てのレシーバは、検出した上記フレームをセントラルサーバに送り、このセントラルサーバは、検出された様々なフレームを組み合わせて、トランスミッタが送信したフレームを復号する役割を果たす。しかしながらこの復号方法は、特に上記サーバと基地局とを接続する通信リンクの帯域幅に関して、及び上記サーバの計算能力に関して、アクセスネットワークに相当な負荷をかける。
【0006】
MRC技術のインクリメンタルバージョン(I‐MRC:「Incremental‐MRC」の略)では、検出されたフレームを無条件に送るのではなく、復号対象のフレームに対応するフレームを検出した各レシーバは、サーバに、検出されたフレームの無線品質のレベルに関連する情報(例えば検出されたフレームに関する信号対雑音比のレベル)を送る。従ってサーバは、検出されたフレームの無線品質のレベルの降順にレシーバを配置でき、続いて、サーバが既に受信した検出されたフレームから上記フレームを復号できない限り、各レシーバが、このように定義された順序で、上記レシーバが検出したフレームをサーバに送信するように、繰り返し要求できる。しかしながらこの復号方法は、サーバと、復号対象のフレームに対応するフレームを検出した様々なレシーバとの間での、多数の通信の交換を必要とする。
【0007】
特許文献1は、送信元ノードによって宛先ノードに送信されて様々な中継局によって中継されたフレームを、協調的に復号するための方法の、様々な実装形態を説明している。複数の中継器は、これらが送信するフレームに応じて選択され、協調的な復号は、選択された様々な中継器から受信されたフレームに基づいて実行される。
【0008】
非特許文献1は、低速アクセスネットワークの様々な基地局が受信した複数のバージョンのフレームに基づいて、破損フレームを訂正するための方法を説明している。
【0009】
トランスミッタによって送信されたフレームを、異なる位置にある複数のレシーバによってそれぞれ検出された複数の破損フレームに基づいて協調的に復号するための、特にアクセスネットワークに対する負荷に関して満足できる解決策は、現在のところ存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国登録特許第101511782B1号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】A cloud‐optimized link layer for low‐power wide‐area networks, Artur Balanuta et al.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、従来技術の欠点の全て又は一部、特に上述されている欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、第1の態様によると、本発明は、無線通信システムのトランスミッタデバイスが送信したフレームを、上記フレームが、上記無線通信システムの複数のゲートウェイステーションが同時に受信できるものである場合に、復号するための方法を提案する。上記方法は、上記ゲートウェイステーションに接続されたレシーバデバイスによって実装される。上記方法は以下のステップ:
‐復号対象の上記フレームに対応する破損フレームを通信チャネル上で検出した可能性が高い、1つ以上のゲートウェイステーションを選択するステップであって、上記選択は、ゲートウェイステーションが、選択されるためには、検出した可能性のある破損フレームに関連するいずれの情報を上記レシーバデバイスに事前に通信していないものであるように、実施される、ステップ;
‐選択された上記ゲートウェイステーションに、前記検出した可能性のある破損フレームを送信するよう要求するためのリクエストを、選択された上記ゲートウェイステーションそれぞれに送信するステップ;
‐様々な選択された上記ゲートウェイステーションによって送信された上記破損フレームを組み合わせて、上記フレームを復号するステップ
を含む。
【0014】
例えばあるフレームは、ゲートウェイステーションによって検出されて送信された上記フレームの単一のバージョンから、レシーバデバイスが上記フレームを復号できない場合に、「破損している(corrupted)」とみなされる。従って、他のゲートウェイステーションが検出した可能性のある上記フレームの他のバージョンを取得する必要があり、取得されたこれらの異なる複数のバージョンを、トランスミッタデバイスによって送信された上記フレームの復号のために組み合わせる必要がある。別の例によると、あるフレームは、レシーバデバイスが、所与の瞬間に通信チャネル上で受信されるはずの、予期されたフレームを受信しない場合に、「破損している」とみなされる。従って、特定のゲートウェイステーションが検出した可能性のある上記フレームの様々なバージョンを取得する必要があり、これにより、取得された様々なバージョンを組み合わせることによって上記フレームが復号される。これは「協調的(collaborative)」と呼ばれる。というのは、復号が、様々なゲートウェイステーションがそれぞれ検出した、フレームの複数のバージョンを組み合わせることに基づくためである。
【0015】
本発明による方法では、トランスミッタデバイスが送信したフレームを検出した可能性が高い一部のゲートウェイステーションのみが、レシーバデバイスによるフレームの協調的復号に参加するために選択される。このような構成により、一方ではレシーバデバイスとゲートウェイステーションとの間での通信の交換の回数を制限でき、また、分析されてレシーバデバイスによって組み合わされる可能性のあるフレームの個数も制限できる(これにより、レシーバデバイスに必要な計算能力が削減される)。
【0016】
以下で更に詳細に説明されるように、様々な方法を用いて、トランスミッタデバイスが送信したフレームを検出した可能性が高いゲートウェイステーションを選択できる。しかしながら、この選択は、ゲートウェイステーションが、検出された可能性のある破損フレームに関連する情報を、レシーバデバイスに事前に送信する必要なしに、実施されることに留意されたい。これは、ゲートウェイステーションが、上記選択の実施前に、フレームを送信する必要がなく、又はフレームが検出されたときの電力レベルに関連する情報さえも送信する必要がないことを意味するものと理解される。ここでもまた、このような構成により、特にレシーバデバイスとゲートウェイステーションとを接続する通信リンクの帯域幅に関して、通信システムの負荷を制限できる。
【0017】
上記通信チャネルは例えば、上記フレームが上記トランスミッタデバイスによって上記レシーバデバイスに送信される期間及び/又は周波数帯域によって定義される。
【0018】
上記リクエストは、選択されたゲートウェイステーションそれぞれに、マルチキャスト若しくはブロードキャストによって、又はユニキャストによって送信できる。
【0019】
選択されたゲートウェイステーションそれぞれに送信されるリクエストの目的は、選択された上記ゲートウェイステーションに、検出した可能性のある破損フレームを初めて送信するように要求することである。より具体的には、このリクエストは、上記リクエストが送られる上記ゲートウェイステーションによって上記フレームがまだ送信されていないときに、送信される。
【0020】
第1の例によると、トランスミッタデバイスは通信システムの端末に相当し、ゲートウェイステーションは、上記通信システムのアクセスネットワークの基地局に相当し、レシーバデバイスは上記アクセスネットワークのサーバに相当する。上記サーバは、上記端末が上記アクセスネットワークに送信したフレームを復号する役割を有する。
【0021】
第2の例によると、ゲートウェイステーションは、リピータータイプの中継局である。
例えばこれは、AFタイプのリピーター(「Amplify and Forward(増幅・送信)」の略、信号は再送信のために単に増幅される)、又はDFタイプのリピーター(「Decode and Forward(復号・送信)」の略、信号は復調された後、再送信のために再変調される)であってよい。トランスミッタデバイスは端末であってよく、レシーバデバイスは、上記端末が送信するフレームが送られるアクセスネットワークのエンティティであってよい。反対に、トランスミッタデバイスがアクセスネットワークの基地局であってよく、レシーバデバイスが、基地局が送信するフレームが送られる端末であってよい。
【0022】
具体的な実装形態では、本発明は更に、単独で又は技術的に実現可能ないずれの組み合わせに従って考慮される、以下の特徴のうちの1つ以上を備えることができる。
【0023】
具体的な実装形態では、上記方法は、第1のゲートウェイステーションによって上記通信チャネル上で検出された破損フレームを受信する先行ステップを含む。上記第1のゲートウェイステーションは、所定の基準が満たされた場合に破損フレームを送信するよう構成される。
【0024】
上記基準は、無線品質のレベル(例えば、上記通信チャネル上で上記フレームを搬送する信号の信号対雑音比の値)、シーケンス番号(例えば、連続しないシーケンス番号を有する2つのフレーム間で破損フレームが受信されるかどうか)、又はトランスミッタデバイスの識別子(例えば、上記破損フレームが重要度の高いトランスミッタデバイスによって送信されたことが検出されるかどうか)等に関するものとすることができる。
【0025】
具体的な実装形態では、上記第1のゲートウェイステーションによる上記破損フレームの送信に関する上記所定の基準は、上記破損フレームの少なくとも一部に関する無線品質のレベルが所定の閾値より高い場合に満たされる。
【0026】
具体的な実装形態では、復号対象の上記フレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高いゲートウェイステーションを選択する上記ステップは、上記ゲートウェイステーションと上記第1のゲートウェイステーションとの間の距離を計算するステップを含む。
【0027】
具体的な実装形態では、復号対象の上記フレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高いゲートウェイステーションを選択する上記ステップは、上記ゲートウェイステーションと上記第1のゲートウェイステーションとの間の上記距離を所定の閾値と比較するステップを含む。
【0028】
具体的な実装形態では、復号対象の上記フレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高いゲートウェイステーションを選択する上記ステップは、上記第1のゲートウェイステーションを把握している上記ゲートウェイステーションが、復号対象の上記フレームに対応する破損フレームを検出した確率に基づいて、機械学習アルゴリズムによって実装される。
【0029】
具体的な実装形態では、上記方法は、予期されたフレームが上記通信チャネル上で受信されたはずであると判断する先行ステップを含む。
【0030】
具体的な実装形態では、復号対象の上記フレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高いゲートウェイステーションを選択する上記ステップは、上記ゲートウェイステーションが、復号対象の上記フレームを送信した上記トランスミッタデバイスの推定地理的位置に対応する所定の地理的エリア内にあるかどうかをチェックするステップを含む。
【0031】
具体的な実装形態では、上記レシーバデバイスからの上記リクエストに応答して、上記破損フレームの一部のみが、選択されたゲートウェイステーションによって送信され、上記レシーバデバイスは、選択された様々な上記ゲートウェイステーションによって送信された上記破損フレームの上記一部を組み合わせて、上記フレームを復号する。
【0032】
具体的な実装形態では、選択された1つのゲートウェイステーションを対象とした、受信された可能性のある複数の異なる破損フレームを送信するように上記選択されたゲートウェイステーションに要求する複数のリクエストは、連結されて、上記レシーバデバイスによって単一のリクエストメッセージで一度に送信される。
【0033】
具体的な実装形態では、上記レシーバデバイスによって送信された、複数の異なるフレームに関する複数のリクエストに応答して、複数の破損フレームが連結され、選択されたゲートウェイステーションによって一度に送信される。
【0034】
第2の態様によると、本発明は、プログラムコード命令のセットを含むコンピュータプログラム製品に関し、上記プログラムコード命令のセットは、1つ以上のプロセッサによって実行された場合に、上記1つ以上のプロセッサを、本発明による方法の実装形態のうちのいずれか1つによる方法を実装するように構成する。
【0035】
第2の態様によると、本発明は、無線通信システムのアクセスネットワークのサーバに関する。上記サーバは上記アクセスネットワークの複数の基地局に接続され、上記無線通信システムの端末によって送信されたフレームを復号するように構成される。上記サーバは、本発明による方法の実装形態のうちのいずれか1つによる方法を実装するように構成された、1つ以上のプロセッサを備える。
【0036】
第2の態様によると、本発明は、無線通信システムのアクセスネットワークに関し、上記アクセスネットワークは、本発明の実施形態のうちのいずれか1つによるサーバを備える。
【0037】
非限定的な例として与えられる、図1~7を参照して行われる以下の説明を読めば、本発明はよりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、無線通信システムの概略図である。
図2図2は、本発明による復号方法の第1の実装形態の主要なステップの概略図である。
図3図3は、アクセスネットワークによる上記復号方法の上記第1の実装形態の図である。
図4図4は、上記復号方法の上記第1の実装形態を示すシーケンス図である。
図5図5は、本発明による復号方法の上記第2の実装形態の主要なステップの概略図である。
図6図6は、アクセスネットワークによる上記復号方法の上記第2の実装形態の図である。
図7図7は、上記復号方法の上記第2の実装形態を示すシーケンス図である。
図8図8は、サーバ50が、様々な基地局に送信されることになる複数のリクエストを、蓄積期間にわたって蓄積するシナリオを示すシーケンス図である。
図9図9は、基地局が、複数の復号対象のフレームに対して上記サーバによって連続的に送信された複数の個別のリクエストを、蓄積期間にわたって蓄積するシナリオを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
これらの図では、異なる図をまたいで同一の参照記号は同一又は類似の要素を指す。分かりやすくするために、特に明記されていない限り、図示されている要素は必ずしも同じ縮尺でプロットされていない。
【0040】
本発明は、M2M(Machine‐to‐Machine:機械間)タイプ、又はIoT(Internet of Things:モノのインターネット)タイプの用途のための無線通信システムの場合に特に有利であるものの、これらに限定されない。
【0041】
このような無線通信システムでは、データ交換は基本的に一方向であり、この場合、端末から上記システムのアクセスネットワークへのアップリンクを介したものである。端末が送信したフレーム(メッセージ)が失われるリスクを最小限に抑えるために、アクセスネットワークは、所与の地理的エリアを複数の基地局が同時にカバーすることにより、端末が送信したフレームをアクセスネットワークの複数の基地局が受信できるように、計画されることが多い。これは、端末が送信した1つのフレームを、(該端末が関連付けられている単一の基地局だけでなく)複数の基地局が受信して処理できることを意味することが理解される。
【0042】
図1は、上述のような無線通信システム10の一例の概略図を示す。無線通信システム10は、端末20と、基地局40及びサーバ50を備えるアクセスネットワーク30とを備える。基地局40は有線又は無線通信リンクによってサーバ50に接続される。アクセスネットワーク30は、例えばインターネット等のバックボーンネットワーク60に接続される。
【0043】
従ってここで考察される例では、端末20はトランスミッタデバイスとして機能し、基地局はゲートウェイステーションとして機能し、サーバは、端末が送信したフレームを復号する役割を果たすレシーバデバイスとして機能する。
【0044】
各基地局40は、その範囲内にある端末20からフレームを受信するのに適している。端末20が送信するフレームは特に、上記端末20を識別できる端末識別子を含むことができる。このようにして受信された各フレームは例えば、場合によってはこれを受信した基地局40の識別子、フレームを搬送する無線信号の品質を表す値、フレームが受信された中心周波数、フレームが受信された日付等といった他の情報を伴って、アクセスネットワーク30のサーバ50に送信される。従ってサーバ50は、様々な基地局40から受信した全てのフレームを処理できる。特にサーバ50は、基地局40が検出したフレームを復号する役割を果たすことができる。
【0045】
無線通信システム10は、例えば省電力広域ネットワーク(Low Power Wide Area Network:LPWAN)である。このような無線通信システムは、(1キロメートル超、又は数十キロメートル超でさえある)長距離アクセスネットワークであり、消費電力が小さく(例えばフレームの送信又は受信中の消費電力が100mW未満、又は50mW未満、又は25mW未満でさえあり)、速度は通常1Mbps未満である。このような無線通信システムは、接続されたオブジェクトを伴う用途に特に好適である。
【0046】
具体的な実装形態では、無線通信システム10は超狭帯域通信システムとすることができる。用語「超狭帯域(ultra‐narrowband)」又はUNBはここでは、端末が送信する無線信号の瞬間周波数スペクトルが、2キロヘルツ未満、又は1キロヘルツ未満でさえある周波数帯域幅を有することを意味するものと理解される。このようなシステムは、アクセスネットワークとの通信中の端末の消費電力を大幅に削減する。
【0047】
基地局40におけるフレームの検出は例えば、フレームの開始を示す同期パターンの検出に対応する。上記同期パターンは例えば、事前定義された無線シンボルのセットに対応する。フレームの検出は、該フレームを送信する端末の識別子、又は該フレームのシーケンス番号といった、上記フレームの特定の制御パラメータを特定するステップを更に含むことができる。
【0048】
しかしながら、フレームの復号には、該フレームが含む全てのデータ(制御データだけでなくペイロードデータも)を復号する機能が必要とされる。この復号はサーバ50によって実装できる。
【0049】
場合によっては、端末20が送信して基地局40が検出したフレームは、例えばこのフレームを搬送する信号が干渉を受けているため、及び/又は上記信号の無線品質のレベルが、上記フレームを正確かつ完全に復号するには低すぎるため、復号できない可能性がある。このような場合、異なる複数の位置にある複数の基地局40が、トランスミッタが送信したフレームに対応する破損フレームも検出したと仮定すると、空間ダイバーシティを用いて上記フレームを協調的に復号できる。特に、様々な基地局が検出した様々な破損フレームを組み合わせることで、端末20が送信したフレームの復号を試みることができる。
【0050】
予期されたフレームを完全にデコードするための、空間ダイバーシティの概念、及び様々なレシーバが受信した様々な破損フレーム(破損フレームの一部)の組み合わせに基づく様々な方法が存在する。これらの方法は典型的には、MIMO又はMRC技術に基づくものである。これらの従来の方法は当業者には公知であると考えられる。複数の破損フレームを組み合わせるためのある特定の方法を選択することは、単に、本発明の別の実装形態を構成するだけである。
【0051】
しかしながら、本発明の核心は、組み合わされることになる様々な破損フレームを収集するための特定の方法にある。本発明による上記方法は特に、アクセスネットワーク30の負荷を制限すること、即ちフレームを復号するための基地局40とサーバ50との間の交換を制限することを目的とする。
【0052】
サーバ50は特に、本発明による復号方法の主要なステップの実装に使用できる。この目的のために、サーバ50は、1つ以上のプロセッサと、上記復号方法の上記ステップの実装のために実行されるプログラムコード命令のセットの形態でコンピュータプログラム製品が記憶された記憶手段(磁気ハードドライブ、電子メモリ、光学ディスク等)とを備える、処理回路を備える。あるいは、又は更に、サーバ50の上記処理回路は、上記復号方法の上記ステップの実装のために好適な、1つ以上のプログラマブル論理デバイス(FPGA、PLD等)、及び/又は1つ以上の特定用途向け集積回路(application‐specific integrated circuit:ASIC)、及び/又はディスクリート電子部品のセット等を備える。換言すれば、サーバ50は、本発明による復号方法を実装するためのソフトウェア及び/又はハードウェア手段を備える。
【0053】
図2は、本発明による復号方法100の第1の実装形態の主要なステップを概略図で示す。図3は、アクセスネットワーク30による1つの例示的な実装形態を示す。
【0054】
方法100はまず、端末20が送信して第1の基地局41が検出した破損フレームを、サーバ50が通信チャネル上で受信するステップ101aを含む。上記通信チャネルは例えば、上記フレームが上記端末によって上記アクセスネットワークに送信される期間及び/又は周波数帯域によって定義される。
【0055】
方法100は次に、サーバ50が上記通信チャネル上で、復号対象のフレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高い1つ以上の基地局42を選択するステップ102を含む。しかしながら、この選択ステップ102は、基地局42が、選択されるためには、検出された可能性のある上記破損フレームに関連する情報をサーバ50に事前に通信したものである必要がないように、実施される。これは、基地局42が、選択102の実施前に、上記フレームを送信する必要がなく、又は例えば上記フレームが検出されたときの電力レベルに関連する情報さえも送信する必要がないことを意味するものと理解される。
【0056】
方法100は次に、検出した可能性のある破損フレームを上記選択された基地局42が送信するように要求するリクエストを、サーバ50が、選択された各基地局42に送信するステップ103を含む。このリクエストの目的は、上記選択された基地局42に、検出した可能性のある破損フレームを初めて送信するように要求することである(このリクエストは、上記選択された基地局42によって上記フレームがまだ送信されていないときに、送信される)。
【0057】
リクエスト103は、選択された各基地局42に、マルチキャスト若しくはブロードキャストによって、又はユニキャストによって送信できる。上記リクエストは特に、上記フレームに関する情報(例えば上記フレームが送信されたと想定される周波数若しくは期間、上記フレームの想定されるシーケンス番号、又は上記フレームを送信したと想定される端末の識別子等)を含むことができる。
【0058】
最後に上記サーバは、上記フレームを復号するために、様々な選択された基地局42が送信した破損フレームを組み合わせる(104)。
【0059】
図では、参照番号40は典型的にはアクセスネットワーク30の基地局を表し、参照番号41はステップ101aに関わる第1の基地局を表し、参照番号42は、ステップ102で選択され、ステップ103に関わる基地局を表す。
【0060】
従って、端末20が送信したフレームを検出した可能性が高い一部の基地局42のみが、サーバ50による上記フレームの協調的復号に参加するために選択される。選択された基地局42のセット43は、図3において点線で囲まれた領域によって示されている。
【0061】
このような構成により、一方ではサーバとアクセスネットワークの基地局との間での通信の交換の回数を制限でき(これにより、アクセスネットワークの負荷が制限され)、また、分析されてサーバによって組み合わされる可能性のあるフレームの個数も制限できる(これにより、サーバに必要な計算能力が削減される)。選択ステップ102は、基地局42が、検出された可能性のある破損フレームに関連する情報を、サーバに事前に送信する必要なしに、実施されることに留意することが重要である。
【0062】
第1の基地局41は、所定の基準が満たされた場合に破損フレームを送信するよう構成できる。上記基準は、無線品質のレベル(例えば、上記通信チャネル上で上記フレームを搬送する信号の信号対雑音比の値)に関するものとすることができる。上記第1の基地局41による上記破損フレームの送信に関する上記所定の基準は、特に、上記破損フレームの少なくとも一部に関する無線品質のレベルが所定の閾値より高い場合に満たされたものとみなすことができる。このような構成により、十分な無線品質を有するフレーム(即ち復号される可能性が高いフレーム、又は他の基地局が受信した他のフレームと組み合わせることによってフレームの復号に効果的に参加できる可能性が高いフレーム)だけを、第1の基地局41が送信することになるため、アクセスネットワークの負荷を制限できる。
【0063】
上記所定の基準は更に、シーケンス番号に関するものであってよい。例えば、ある破損フレームが、シーケンス番号N、(N+2)をそれぞれ有する2つのフレームの間で受信される場合、上記破損フレームはシーケンス番号(N+1)を有するフレームである可能性が高く、このフレームの復号を試みる価値がある。
【0064】
上記所定の基準は更に、端末識別子に関するものであってよい。例えば、上記破損フレームが重要度の高い端末によって送信されたことが検出された場合、このフレームの復号を試みる価値がある。
【0065】
第1の基地局41による破損フレームの送信を発生させるための他の基準も考えることができ、ある特定の基準を選択することは、単に、本発明の別の実装形態を構成するだけである。
【0066】
復号対象のフレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高い基地局42の選択102を実装するための、様々な方法を考えることができる。
【0067】
選択102は特に、基地局間の距離に基づくものとすることができる。例えば、基地局42は、上記基地局42と第1の基地局41との間の距離が所定の閾値未満である場合に選択される。より具体的には、第1の基地局の付近にある基地局は、復号対象のフレームに対応する破損フレームを検出した確率が高い。
【0068】
選択ステップ102は、第1の基地局41を把握している基地局が、復号対象のフレームに対応する破損フレームを検出した確率に基づいて、機械学習アルゴリズムによって実装することもできる。例えば、第1の基地局41がある特定のフレーム、上記フレームに先行するフレーム、及び/又は上記フレームに続くフレームを受信したことを把握している基地局が、上記フレームを受信した条件付き確率を推定できる。過去に蓄積されたメタデータを用いて、教師あり機械学習モデル(決定木、サポートベクターマシン(support vector machine:SVM)、又は深層学習アルゴリズム等)を訓練し、この確率の値を推定できる。これにより、所定の閾値を超える確率値を有する基地局を選択できるか、又は最高の確率値を有する一定数の基地局を選択することもできる。
【0069】
図4は、図2、3を参照して説明した上記復号方法の第1の実施形態を図示したシーケンス図を示す。このシーケンス図は、以下のステップを図示している:
‐端末20を用いて、フレームをアクセスネットワーク30に送信するステップ201であって、上記フレームは、第1の基地局40‐1及び3つの他の基地局40‐2、40‐3、40‐4によって検出される、ステップ201;
‐第1の基地局41(40‐1)が検出したフレームをサーバ50に送信するステップ202;
‐サーバ50を用いて、第1の基地局41が送信した破損フレームを受信するステップ101a;
‐復号対象のフレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高い2つの基地局42(40‐2、40‐3)を選択するステップ102;
‐上記選択された基地局42に、検出した可能性のある破損フレームを(初めて)送信するように要求するよう、選択された各基地局42にリクエストを送信するステップ103
‐選択された各基地局42を用いて、上記基地局42が検出した破損フレームを送信するステップ203;
‐様々な選択された基地局42が送信した破損フレームを組み合わせて、上記フレームを復号するステップ104。
【0070】
図4に示されているものとは異なる例では、選択された基地局42が、復号対象のフレームに対応するフレームを検出していない場合があることに留意されたい。このような場合、上記基地局は、サーバが送信したリクエストに応答しない。
【0071】
図5は、本発明による復号方法の第2の実装形態の主要なステップを概略図で示す。図6は、アクセスネットワークによって実施される1つの例示的な実装形態を示す。
【0072】
この第2の実装形態では、方法100は、サーバ50が、予期されたフレームが通信チャネル上で受信されたはずであると判断するステップ101bを含む。例えばサーバ50は、端末20がフレームを送信する期間を把握している。従って上記サーバは、端末20からのフレームがいつ受信されるはずであるかを推定できる。上記サーバが、推定された時点において端末20からフレームを受信しない場合、予期されたフレームが受信されているはずであると判断される。
【0073】
次に方法100は、サーバ50が、上記通信チャネル上で上記予期されたフレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高い1つ以上の基地局42を選択するステップ102を含む。
【0074】
次に方法100は、検出された可能性のある上記破損フレームを上記選択された基地局42が(初めて)送信するよう要求するリクエストを、サーバ50が選択された各基地局42に送信するステップ103を含む。
【0075】
最後に上記サーバは、上記フレームを復号するために、様々な選択された基地局42が送信した破損フレームを組み合わせる(104)。
【0076】
選択ステップ102、送信ステップ103、及び組み合わせるステップ104は、第1の実装形態について説明したものと同様である。従って第2の実装形態は、上記方法を開始させる方法(第1の実装形態のステップ101a、及び第2の実装形態の101b)について、第2の実装形態は第1の実装形態と異なる。
【0077】
選択された基地局42のセット43は、図6において点線で囲まれた領域によって示されている。
【0078】
図7は、図5、6を参照して説明した上記復号方法の第2の実施形態を図示したシーケンス図を示す。このシーケンス図は、以下のステップを図示している:
‐端末20を用いて、フレームをアクセスネットワーク30に送信するステップ201であって、上記フレームは、4つの基地局40‐1、40‐2、40‐3、40‐4によって検出される(ただしこれらはいずれも、上記フレームをサーバ50に送信しない)、ステップ201;
‐サーバ50を用いて、予期されたフレームが受信されているはずであると判断するステップ101b;
‐上記予期されたフレームに対応する破損フレームを検出した可能性が高い3つの基地局42(40‐1、40‐2、40‐3)を選択するステップ102;
‐上記選択された基地局42に、検出した可能性のある破損フレームを(初めて)送信するように要求するよう、選択された各基地局42にリクエストを送信するステップ103
‐選択された各基地局42を用いて、上記基地局42が検出した破損フレームを送信するステップ203;
‐様々な選択された基地局42が送信した破損フレームを組み合わせて、上記フレームを復号するステップ104。
【0079】
図7に示されているものとは異なる例では、選択された基地局42が、予期されたフレームに対応するフレームを検出していない場合があることに留意されたい。このような場合、上記基地局は、サーバが送信したリクエストに応答しない。
【0080】
考察される実装形態にかかわらず、選択ステップ102は、基地局42が、復号対象のフレームを送信した端末20の推定地理的位置に対応する所定の地理的エリアにある場合に選択されるように、実装することもできる。これは図7に図示されており、この図7は地理的エリア70を示す。この地理的エリア70は、予期されたフレーム(換言すれば復号対象のフレーム)を送信した端末20の推定地理的位置に対応する。ここで考察される例では、この地理的エリア70は円に相当し、その中心は端末20の推定位置であり、その半径は、端末20の位置を決定する際のアクセスネットワーク30の精度に関連付けられた誤差のマージンに対応する。
【0081】
選択ステップ102は、上述の選択条件の組み合わせ(例えば蓄積又は代替)が満たされる場合に、基地局42が選択されるように実装することもできる。例えば基地局42は、第1の基地局41の付近にある場合、及び/又は復号対象のレームを送信した端末20の推定地理的位置に対応する地理的エリア70内にある場合に、選択される。
【0082】
復号対象のフレームを送信した端末20の地理的位置の推定には、様々な方法を使用できる。例えば、端末20は衛星測位システムを備えることができ、その地理的位置をアクセスネットワークに事前に通知できる。別の例では、アクセスネットワークは、端末20から発せられる無線信号の到着時間差(Time Difference Of Arrival:TDOA)、到着周波数差(Frequency Difference of Arrival:FDOA)、又は到着角度(Angles of Arrival:AOA)に基づくマルチラテレーション法を用いて、端末20の地理的位置を事前に推定できる。更に別の例によると、アクセスネットワークは、端末20から発せられる無線信号の無線シグネチャに基づく分類又は回帰方法(無線フィンガープリンティングとして公知)を用いて、端末20の地理的位置を事前に推定できる。端末20の位置を推定するためのこれらの従来の方法は、当業者には公知であると考えられる。
【0083】
具体的な実装形態では、サーバからのリクエストに応答して、破損フレームの一部のみが、選択された基地局42によって送信され、サーバ50は、選択された様々な基地局42によって送信された破損フレームの一部を組み合わせて、上記フレームを復号する。このような構成により、アクセスネットワークの負荷が更に制限される。例えば、所定の閾値を超える品質レベルを有するフレームの一部のみが、サーバからのリクエストに応答して送信される。換言すれば、選択された基地局42によって検出された破損フレームの、上記フレームの復号に効果的に参加できる一部のみが、上記基地局42によって送信される。これにより、フレームの復号に役立てることができないほど品質が劣ったフレームの一部を、不必要に送信することが回避される。
【0084】
任意に、サーバ50が送信するリクエストは、検出された破損フレームの、該リクエストに応答して送信されなければならない一部を決定するための、特定の基準に関連する情報を含むことができる。例えば上記リクエストは、信号対雑音比の閾値を指定でき、この閾値を超える信号対雑音比を有するフレームの一部のみが、上記リクエストに応答して送信される。フレームの「一部(part)」は例えば、上記フレームの1つ以上の無線シンボル、又は1つ以上のデータビットに対応していてよい。
【0085】
上述の実装形態では、サーバ50は即座に、即ちサーバ50が破損フレームを受信すると、又はサーバ50が、予期されたフレームが受信されているはずであると判断するとすぐに、選択された基地局42にリクエストを送信すると考えられている。しかしながら、蓄積期間を導入でき、この蓄積期間の間に、1つの基地局を対象とした複数のリクエストがサーバ50内に蓄積されて、蓄積期間の終了時に送信される1つのメッセージに含められる。従って、複数のリクエストを含むこのようなメッセージを受信する基地局42は、1つの応答メッセージ内で連結された複数の破損フレームを送信できる。このような構成によって、リクエストメッセージの数及び応答メッセージの数が削減されるため、アクセスネットワーク30の負荷が更に制限される。
【0086】
単一のリクエストメッセージで送信できるよう複数のリクエストを蓄積するために、又は単一の応答メッセージで送信できるよう複数の破損フレームを蓄積するために、サーバ50及び基地局40は特にバッファメモリを備えることができる。
【0087】
図8は例として、サーバ50が、様々な基地局に送信されることになる複数のリクエストを、蓄積期間Taccにわたって蓄積するシナリオを示す。
【0088】
蓄積期間Tacc中、サーバ50は第1のステップ101aにおいて、復号対象のフレームAについて第1の基地局41として機能する基地局40‐1が送信(Tx)した破損フレームAを受信する。蓄積期間Tacc中、サーバ50は第2のステップ101aにおいて、復号対象のフレームBについて第1の基地局41として機能する基地局40‐2が送信した破損フレームBを更に受信する。更に蓄積期間Tacc中、サーバ50はステップ101bにおいて、フレームCが受信されているはずであると判断する。
【0089】
蓄積期間の終了時、サーバ50は、復号対象のフレームA、B、Cに対応する破損フレームを検出された可能性が高い基地局を選択するステップ102を実装する。図8に示されている例では、ステップ102において、フレームAの復号に役立つように基地局40‐2、40‐3が選択され、フレームBの復号に役立つように基地局40‐1、40‐3が選択され、フレームCの復号に役立つように基地局40‐1、40‐2、40‐3が選択される。
【0090】
次にステップ103では、復号対象の各フレームについて選択された各基地局42に個別のリクエストを送信する代わりに、サーバ50は、選択された各基地局42に単一のリクエストメッセージ(Req)を送信し、このリクエストメッセージは、上記基地局を対象とする複数のリクエストを含むものである。ここで考察される例では、サーバ50は基地局40‐1に、フレームB、Cそれぞれについての2つのリクエストを含むリクエストメッセージを送り、サーバ50は基地局40‐2に、フレームA、Cそれぞれについての2つのリクエストを含むリクエストメッセージを送り、サーバ50は基地局40‐3に、フレームA、B、Cそれぞれについての3つのリクエストを含むリクエストメッセージを送る。これに応答して、基地局40‐1は、受信した破損フレームB、Cを連結した応答メッセージ(Rsp)を送信し、基地局40‐2は、受信した破損フレームA、Cを連結した応答メッセージ(Rsp)を送信し、基地局40‐3は、受信した破損フレームA、Bを連結した応答メッセージ(Rsp)を送信する。
【0091】
これによりステップ104では、サーバ50は破損フレームA、A、Aを組み合わせてフレームAを復号でき、上記サーバは破損フレームB、B、Bを組み合わせてフレームBを復号でき、上記サーバは破損フレームC、Cを組み合わせてフレームCを復号できる。
【0092】
図8に示されている例では、基地局40‐1、40‐2それぞれが、フレームA、B、Cそれぞれについての破損フレームを検出したことに留意されたい。しかしながら、基地局40‐3はフレームA、Bについての破損フレームしか検出しなかった。従って基地局40‐3は、サーバ50からのリクエストに応答してフレームCに対応する破損フレームを送信することはできない。
【0093】
上述の実装形態では、ある基地局42が、1つ以上のリクエストを含むリクエストメッセージを受信する場合、上記基地局42は、上記リクエストメッセージ中で指示されている1つ以上の破損フレームを即座に送信すると考えられている。これは、リクエストを受信すると即座に応答が送られる、同期動作モードに相当する。しかしながら、非同期動作モードを考えることもでき、この場合、基地局42がサーバ50に送信しなければならない複数の破損フレームが蓄積期間中に上記基地局42によって蓄積され、これらの破損フレームが、蓄積期間の終了時に基地局42によって送信される1つの応答メッセージへと連結される。基地局42が送信する上記応答メッセージは、複数の異なるフレームについてサーバ50が連続的に送信する複数の個別のリクエスト、又はサーバ50が送信する、複数の異なるフレームについての複数のリクエストを含む単一のリクエストメッセージに応答できる。
【0094】
サーバ50によって送信される個別のリクエスト、又は複数のリクエストを含むリクエストメッセージは、1つ以上のリクエストを基地局42が同期的に処理できるか非同期的に処理できるか、又は同期的に処理しなければならないか非同期的に処理しなければならないかを指示するパラメータを含むことができる。処理を非同期的に実施できる、又は実施しなければならない場合、上記個別のリクエスト又は上記リクエストメッセージは、蓄積期間の持続時間、又は応答を行わなければならない時間枠を指示するパラメータを含むことができる。
【0095】
このような構成によっても、アクセスネットワークの負荷が制限される。より具体的には、基地局が複数のリクエストに対して単一の応答で応答する場合、複数の応答の中で制御情報を重複させる必要がない(制御情報と検出された破損フレームとを含む単一の応答は、それぞれが制御情報と1つの破損フレームとを含む複数の応答よりも、データの量が少ない)ため、基地局がサーバに送信するデータの量が削減される。
【0096】
これにより、通信チャネルの使用も最適化される(複数の連結された破損フレームを含む単一の応答を送信する方が、それぞれが単一の破損フレームを含む複数の応答を送信するよりも、必要となる無線リソースが少ない)。
【0097】
更に、基地局が半二重タイプである場合、基地局が送信モードにある時間が制限されるため、端末が送信したフレームを受信できなくなる(複数の連結された破損フレームを含む単一の応答を送信する方が、それぞれが単一の破損フレームを含む複数の応答を送信するよりも、時間がかからない)。
【0098】
破損フレーム全体を連結するのではなく、破損フレームの一部を連結することもできる(例えば、サーバからのリクエストに応答して、フレームの、一定の品質レベルを有する一部のみを送信する必要がある場合)。
【0099】
図9は例として、基地局40‐1、40‐2、40‐3が、復号対象のフレームA、B、Cについてサーバ50が連続的に送信する複数の個別のリクエストを、蓄積期間Taccにわたって蓄積するシナリオを示す。
【0100】
サーバ50はステップ101aにおいて、フレームAについて第1の基地局41として機能する基地局40‐1が送信(Tx)した破損フレームAを受信する。そしてサーバ50はステップ102において、フレームAの復号に役立つように基地局40‐2、40‐3を選択する。上記サーバは、基地局40‐2、40‐3それぞれに、フレームAに対応して受信された可能性のあるいかなる破損フレームも送信するよう要求する、個別のリクエスト(Req)を送信する。しかしながら、基地局40‐2、40‐3は上記リクエストに即座には応答しない。
【0101】
サーバ50は更なるステップ101aにおいて、フレームBについて第1の基地局41として機能する基地局40‐2が送信(Tx)した破損フレームBを受信する。そしてサーバ50はステップ102において、フレームBの復号に役立つように基地局40‐1、40‐3を選択する。サーバ50は、基地局40‐1、40‐3それぞれに、フレームBに対応して受信された可能性のあるいかなる破損フレームも送信するよう要求する、個別のリクエスト(Req)を送信する。しかしながら、基地局40‐1、40‐3は上記リクエストに即座には応答しない。
【0102】
更にステップ101bにおいて、上記サーバは、フレームCが受信されているはずであると判断する。そしてサーバ50はステップ102において、フレームCの復号に役立つように基地局40‐1、40‐2、40‐3を選択する。サーバ50は、基地局40‐1、40‐2、40‐3それぞれに、フレームCに対応して受信された可能性のあるいかなる破損フレームも送信するよう要求する、個別のリクエスト(Req)を送信する。しかしながら、基地局40‐1、40‐2、40‐3は上記リクエストに即座には応答しない。
【0103】
蓄積期間Taccの終了時、基地局40‐1は、受信した破損フレームB、Cを連結した応答メッセージ(Rsp)を送信し、基地局40‐2は、受信した破損フレームA、Cを連結した応答メッセージ(Rsp)を送信し、基地局40‐3は、受信した破損フレームA、Bを連結した応答メッセージ(Rsp)を送信する。ここで考察される例では、基地局40‐3はフレームCに対応する破損フレームを検出しなかった。従って基地局40‐3は、サーバ50からのリクエストに応答してフレームCに対応する破損フレームを送信することはできない。
【0104】
これによりステップ104では、サーバ50は破損フレームA、A、Aを組み合わせてフレームAを復号でき、上記サーバは破損フレームB、B、Bを組み合わせてフレームBを復号でき、上記サーバは破損フレームC、Cを組み合わせてフレームCを復号できる。
【0105】
当然のことながら、図8、9を参照して説明した実装形態を組み合わせて、サーバ側及び基地局側の両方に蓄積期間を導入できる。
【0106】
ここまでに提供されている説明は、その異なる複数の特徴及びその利点によって、本発明が設定された目的を達成することを明確に示している。特に、本発明による方法100により、端末20が送信したフレームを協調的に復号でき、この協調的復号は複数の基地局42が関与するものであるが、アクセスネットワーク30の負荷、及びサーバ50における複雑さが、従来の解決策に比べて大幅に低減される。
【0107】
一般に、ここまでで考察された実装形態及び実施形態は、非限定的な例として説明されていること、従って他の代替的な実装形態及び実施形態も考えることができることに留意されたい。特に、協調的復号に参加しなければならない基地局42を選択するため、又は選択されたこれらの基地局42が送信する破損フレームを組み合わせるための、様々な方法を考えることができる。考えられる様々な方法から1つの具体的な方法を選択することは、単に、本発明の別の実装形態を構成するだけである。本発明は特に、基地局42が、選択されるために、復号対象のフレームに関連するいかなる情報もサーバ50に事前に通信する必要がないような方法で、基地局42の選択102が実施されるという事実に基づくものである。
【0108】
端末20がフレームをアクセスネットワーク30の複数の基地局40に送信し、上記アクセスネットワーク30のサーバ50が、端末20が送信したフレームを復号する役割を果たす例に基づいて、本発明を説明した。上述のように、本発明を他の例に適用することを妨げるものはない。本発明は全体として、複数のゲートウェイステーションが、1つのトランスミッタデバイスが送信したフレームを受信でき、かつ上記フレームを復号する役割を果たすレシーバデバイスと対話できる場合に適用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】