IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホン,ミェン―チェの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】医薬組成物の肺癌治療における使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/12 20060101AFI20231220BHJP
   A61K 31/222 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61K31/12
A61K31/222
A61K31/5377
A61K31/517
A61K31/506
A61P35/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538038
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 CN2021137647
(87)【国際公開番号】W WO2022127751
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/126,849
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523231093
【氏名又は名称】ホン,ミェン―チェ
【氏名又は名称原語表記】HUNG,Mien―chie
【住所又は居所原語表記】No.91,Hsueh―Shih Road,North District,Taichung City 404,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サイ,チャン―ハイ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ミェン―チェ
(72)【発明者】
【氏名】クオ,シェン―チュ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ペイ―チー
(72)【発明者】
【氏名】シェ,ミン―サン
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン,シン―フン
(72)【発明者】
【氏名】リン,フイ―イー
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC45
4C086BC73
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CB14
4C206DB03
4C206DB58
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA17
4C206MA72
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB26
4C206ZC75
(57)【要約】
【課題】医薬組成物の使用を提供する。
【解決手段】前記医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、前記ジアリールヘプタン系化合物は、式(I)に示す構造を有する。式(I)における各記号は、明細書に定義されるようなもので、肺癌細胞の成長を阻害することができる。これにより、前記医薬組成物は、肺癌の治療薬の製造に用いられることができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺癌の治療薬の製造に用いられる医薬組成物の使用であって、前記医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、前記ジアリールヘプタン系化合物は、式(I)に示す構造を有し、
【化1】
式中、R、R、R’、及びR’は独立して、H、C1-C2アルキル基、C1-C3アルコキシ基、OH、又は-OC(=O)Rであり、Rは、C1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールであり、RはH、C1-C2アルキル基、二重又は三重結合を有するC3-C6不飽和アルキル基又はC7-C12アリールアルキル基であり、そしてR及びR’は独立して、H、C1-C6アルキル基又はC1-C6アルコキシ基であることを特徴とする、前記医薬組成物の使用。
【請求項2】
、R、R’及びR’のうちの少なくとも1つは、-OC(=O)Rであり、且つRは、C1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールである、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項3】
がHである場合、前記ジアリールヘプタン系化合物は、ケトン型とエノール型の間で互いに変換することができる、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項4】
前記ジアリールヘプタン系化合物は、式(II)に示す構造を有する化合物1、化合物21a、化合物21b、化合物22a、化合物22b、化合物23a、化合物23b、化合物24a、化合物24b、化合物25、化合物26、化合物27、化合物31、及び化合物33からなる群から選択され、
【化2】
ここで、化合物1のR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物21aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物21bのR、R’はそれぞれOCHであり、RはOHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物22aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物22bのR、R’はそれぞれOCHであり、RはOHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物23aのR、R’はそれぞれHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物23bのR、R’はそれぞれHであり、RはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物24aのR、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物24bのRはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物25のRはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物26のR、R’はそれぞれOCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物27のR、R’はそれぞれOCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物31のR、R’はそれぞれCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれCであり、化合物33のR、R’はそれぞれOCHであり、RはOCHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、
は式(i)
【化3】
に示す構造であり、Rは式(ii)
【化4】
に示す構造である、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項5】
前記ジアリールヘプタン系化合物は、式(III)に示す構造を有する化合物35a、化合物35c、化合物35d、化合物35e、化合物36、及び化合物37からなる群から選択され、
【化5】
ここで、化合物35aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、RはCHであり、化合物35cのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはベンジル基であり、化合物35dのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはプロパルギル基であり、化合物35eのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはアリル基であり、化合物36のR、R’はそれぞれHであり、R、R’はORであり、RはCHであり、化合物37のR、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれOCHであり、RはCHであり、
は式(i)
【化6】
に示す構造である、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項6】
前記ジアリールヘプタン系化合物は、
【化7】
から選択される、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項7】
前記医薬組成物は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤(epidermal growth factor-tyrosine kinase inhibitors;EGFR-TKIs)をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
前記上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤は、オシメルチニブ(osimertinib)、ゲフィチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib)、又はアファチニブ(afatinib)である、請求項7に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
前記肺癌は、非小細胞肺癌である、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
前記肺癌は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤に対して薬物耐性を有する、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物の使用に関し、特にジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含む医薬組成物の肺癌治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、悪性腫瘍とも呼ばれ、細胞の異常増殖によるもので、且つこれらの増殖した細胞が体の他の部位を侵害する可能性があり、細胞分裂と増殖の制御メカニズムの異常によって引き起こされる疾患である。世界中に癌に罹患する人口は増加傾向にあり、そのうち、世界中の癌人口の約20%が肺癌患者であり、且つ治療後の肺癌患者の5年生存率が依然として約15%と低く、長年にわたり世界で最も死亡率の高い癌である。
【0003】
生物学的特性、治療、及び予後の違いによって、肺癌は、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer;NSCLC)に分けられてよく、約85-90%の肺癌は、非小細胞肺癌に属し、そのうち肺腺癌は最も一般的で、女性や喫煙しない患者の中で最も一般的な肺癌のタイプである。肺癌の治療は通常、患者の年齢、過去の病歴、現在の健康状態、癌細胞の形態、及び疾患の分期によって決められる。一般的には、小細胞肺癌は、急速に分裂・増殖する特徴を有するため、短期間で転移・拡散を引き起こす可能性があり、よって、治療は全身化学治療又は放射線治療が主流である。非小細胞肺癌の成長が比較的遅いため、転移の発生も遅く、その治療原則は疾患の臨床分期によって決められる。初期(I、II期)のNSCLC根治療法は、依然として手術で腫瘍を完全に切除することが主流である。局所進行期(III期)には、悪性心膜又は胸水及び遠隔転移(IV期)のある患者、又は体調が悪く手術切除ができない患者が含まれる。治療原則は、主に化学薬物療法又は放射線療法と組み合わせる化学薬物療法である。
【0004】
しかしながら、転移性又は既に化学療法を受けて再発した晩期非小細胞肺癌に対しては、治療上の厄介な問題である。現在の臨床研究では、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤(epidermal growth factor-tyrosine kinase inhibitors;EGFR-TKIs)は、一次化学療法が失敗した後の二次治療薬として使用できることが確認されているが、約40-80%の非小細胞肺癌患者がEGFR遺伝子変異を持ち、それにより上皮細胞成長因子受容体が過剰に発現し、癌の迅速な成長、転移、及び薬物耐性を引き起こす。このような患者は、EGFR-TKIsで臨床的に治療されるが、ほとんどの患者は治療後の二年以内に再発し、これまで、再発後に有効な薬物はない。
【発明の概要】
【0005】
これに鑑みて、本発明は、肺癌の治療薬の製造に利用可能な医薬組成物の使用を提供することを目的とする。前述の医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤に対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞の成長を阻害することができるため、単独で使用できるか、又は臨床的に使用される上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤と併用でき、EGFR遺伝子変異があり、且つ上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤の薬物耐性を有する肺癌を治療するために用いられる。
【0006】
本発明の一態様は、肺癌の治療薬の製造に用いられる医薬組成物の使用を提供し、医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、前述のジアリールヘプタン系化合物は、式(I)に示す構造を有し、
【化1】
式中、R、R、R’、及びR’は独立して、H、C1-C2アルキル基、C1-C3アルコキシ基、OH、又は-OC(=O)Rであり、ここで、Rは、C1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールであり、RはH、C1-C2アルキル基、二重又は三重結合を有するC3-C6不飽和アルキル基又はC7-C12アリールアルキル基であり、そしてR及びR’は独立して、H、C1-C6アルキル基又はC1-C6アルコキシ基である。
【0007】
前述の医薬組成物の使用によれば、R、R、R’、及びR’のうちの少なくとも1つは、-OC(=O)Rであってよく、且つRは、C1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールである。
【0008】
前述の医薬組成物の使用によれば、RがHである場合、前述のジアリールヘプタン系化合物は、ケトン型とエノール型の間で互いに変換することができる。
【0009】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述のジアリールヘプタン系化合物は、式(II)に示す構造を有する化合物1、化合物21a、化合物21b、化合物22a、化合物22b、化合物23a、化合物23b、化合物24a、化合物24b、化合物25、化合物26、化合物27、化合物31、及び化合物33からなる群から選択されてよく、
【化2】
ここで、化合物1のR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物21aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物21bのR、R’はそれぞれOCHであり、RはOHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物22aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物22bのR、R’はそれぞれOCHであり、RはOHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物23aのR、R’はそれぞれHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物23bのR、R’はそれぞれHであり、RはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物24aのR、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物24bのRはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物25のRはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物26のR、R’はそれぞれOCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物27のR、R’はそれぞれOCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物31のR、R’はそれぞれCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれCであり、化合物33のR、R’はそれぞれOCHであり、RはOCHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHである。Rは式(i)に示す構造であり、Rは式(ii)に示す構造である。
【化3】
【0010】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述のジアリールヘプタン系化合物は、式(III)に示す構造を有する化合物35a、化合物35c、化合物35d、化合物35e、化合物36、及び化合物37からなる群から選択されてよく、
【化4】
ここで、化合物35aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、RはCHであり、化合物35cのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはベンジル基であり、化合物35dのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはプロパルギル基であり、化合物35eのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはアリル基であり、化合物36のR、R’はそれぞれHであり、R、R’はORであり、RはCHであり、化合物37のR、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれOCHであり、RはCHである。ここで、Rは式(i)に示す構造である。
【化5】
【0011】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述のジアリールヘプタン系化合物は、
【化6】
から選択されてよい。
【0012】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述の医薬組成物は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤を更に含んでよい。好ましくは、前述の上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤は、オシメルチニブ(osimertinib)、ゲフィチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib)、又はアファチニブ(afatinib)であってよい。
【0013】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述の肺癌は、非小細胞肺癌であってよい。
【0014】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述の肺癌は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤に対して薬物耐性を有してよい。
【0015】
上記発明の概要は、読者が本発明内容を基本的に理解できるように、本発明内容の簡略化された要約を提供することを目的とする。この発明の概要は、本発明内容の完全な概要ではなく、本発明の実施例の重要な/キー要素を指摘するか、又は本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点、及び実施例をより分かりやすくするために、添付図面を以下のように説明する。
図1A】本発明のジアリールヘプタン系化合物がH1650細胞の成長を阻害する分析結果図である。
図1B】、
図1C】、及び
図1D】本発明のジアリールヘプタン系化合物が、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤に対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞の成長を阻害する分析結果図である。
図2A】化合物35dを単独で処理することでGR6腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図である。
図2B】化合物35dを単独で処理することでGR8腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図である。
図2C】化合物35dを単独で処理することでHCC827腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図である。
図2D】化合物35dを単独で処理した腫瘍マウスの体重変化の統計図である。
図3A】化合物35dとオシメルチニブを合わせて処理することでGR6腫瘍マウスの腫瘍の再進行を阻害する分析結果図である。
図3B】化合物35dとオシメルチニブを合わせて処理したGR6腫瘍マウスの体重変化の統計図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は医薬組成物の新たな使用を提供し、前述の医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、肺癌の治療薬の製造に用いられ、本発明のジアリールヘプタン系化合物は式(I)に示す構造を有し、
【化7】
式中、R、R、R’及びR’は独立してH、C1-C2アルキル基、C1-C3アルコキシ基、OH、又は-OC(=O)Rであり、ここで、RはC1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールであり、RはH、C1-C2アルキル基、二重又は三重結合を有するC3-C6不飽和アルキル基又はC7-C12アリールアルキル基であり、R及びR’は独立してH、C1-C6アルキル基又はC1-C6アルコキシ基である。
【0018】
本発明のジアリールヘプタン系化合物のR、R、R’及びR’のうちの少なくとも1つは-OC(=O)Rであってよく、且つRはC1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールである。また、RがHである場合、前述のジアリールヘプタン系化合物は、ケトン型及びエノール型の間で互いに変換することができる。
【0019】
本発明の医薬組成物は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤(epidermal growth factor-tyrosine kinase inhibitors; EGFR-TKIs)を含んでよく、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類と併用され、EGFR-TKIsは、オシメルチニブ(osimertinib)、ゲフィチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib)、又はアファチニブ(afatinib)であってよい。本発明の医薬組成物の治療対象の肺癌は、非小細胞肺癌であってよく、また、前述の肺癌は、EGFR-TKIsに対して薬物耐性を有してよい。
【0020】
特に説明しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、記号、他の科学名詞又は用語は、それらが使用される文脈において別段の記載がない限り、当業者にとってよく知られている意味を有する。場合によっては、知られている意味を有する用語は、明確及び/又は直接参照の目的で本明細書に定義されるものであり、且つ本明細書に組み込まれるこれらの定義は、該分野における知られている意味と必ずしも実質的に異なるものではないと解釈されるべきである。本明細書に記載又は引用される多くの技術及びプログラムは、いずれも大衆に知られており、且つ常に当業者に一般的な方法として使用されるものである。必要に応じて、特に説明しない限り、市販のキット及び試薬の使用手順は、一般的に製造業者が定めた使用説明及び/又はパラメータに従って行われる。
【0021】
特に説明しない限り、本文及び本明細書に記載される「1」及び「1つ」は、文章における文法的対象が1つ又は複数(即ち、少なくとも1つ)であることを意味する。また、種類は、該種類に含まれる全てのメンバーの略語であり、例えば、C1-C3のアルキル基は、全てのC1-C3のアルキル基についての略語であり、例えば、C1-C3のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、及びその異性体を含む。
【0022】
本発明に開示されるジアリールヘプタン系化合物及びその医学的に許容できる塩類は、インビトロ(in vitro)試験によって、それはEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞の成長を阻害することができることが検証できる。更に、インビボ(in vivo)試験によって、本明細書に開示される化合物及び/又はその少なくとも1つの医学的に許容できる塩類は、EGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する肺癌に罹った動物(例えばマウスモデル)に投与されてよく、且つ治療効果が得られることが検証できる。1つ又は複数の試験における陽性結果は、試験対象の化合物及び/又は塩の実際の効果を証明することに十分である。そして、試験結果に基づいて動物(例えばヒト)の適切な投与量範囲及び投与経路を決定してよい。
【0023】
本発明のジアリールヘプタン系化合物及びその医学的に許容できる塩類を投与するための有用な薬物剤形は、硬及び軟ゼラチンカプセル、錠剤、非経口注射剤、及び経口懸濁剤を含むが、これらに限定されない。投与される投与量の決定要因は、被験者の年齢、被験者の健康及び体重、疾患の程度、同時治療の種類(もしあれば)、治療の頻度、及び所望の効果の性質を含む。一般的には、活性成分の毎日の投与量は、例えば毎日0.1~2000ミリグラムで、非定量であってよい。例えば、1日に1回又は複数回10~500ミリグラム投与することで所望の結果が得られる。
【0024】
本発明のジアリールヘプタン系化合物及びその医学的に許容できる塩類を段階的に投与する場合、又は少なくとも一種の他の治療剤と組み合わせて投与する場合、一般的に同じ剤形を使用してよい。薬物を物理的な組み合わせで投与する場合、組み合わせる薬物の相溶性に応じて剤形及び投与経路を選択すべきである。したがって、本明細書に記載される「共同投与」は、少なくとも二種類の薬剤、又は少なくとも二種類の活性成分としての固定投与量の組み合わせを付随的又は順次投与することを含むと理解すべきである。
【0025】
本明細書のジアリールヘプタン系化合物及びその医学的に許容できる塩類は、唯一の活性成分として投与されるか、少なくとも一種の第2の活性成分と組み合わせて投与されてよく、前述の第2の活性成分は、例えば非小細胞肺癌患者の治療に使用可能な既知の他の活性成分、特にEGFR-TKIsから選択される。
【0026】
以下の具体的な試験例で本発明を更に例示的に説明することにより、当業者は、過度に解読する必要なく本発明を完全に利用して実施することができ、これらの試験例は、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではないが、本発明の材料及び方法をどのように実施するかを説明するために用いられる。
【0027】
1.本発明のジアリールヘプタン系化合物の構造
本発明のジアリールヘプタン系化合物は、クルクミン(curcumin;CCM)をガイド化合物とし、クルクミンに類似するジアリールヘプタン系化合物が設計され、それは式(I)に示す構造を有し、
【化8】
下記表1を参照し、それは本発明のジアリールヘプタン系化合物の実施例-化合物1、化合物21a、化合物21b、化合物22a、化合物22b、化合物23a、化合物23b、化合物24a、化合物24b、化合物25、化合物26、化合物27、化合物31、化合物33、化合物35a、化合物35c、化合物35d、化合物35e、化合物36、及び化合物37のR、R、R’、R’、R、R及びR’に代表される置換基である。
【0028】
【表1-1】
【表1-2】
ここで、化合物21a-((1E,3Z,6E)-3-ヒドロキシ-5-オキソヘプト-1,3,6-トリエン-1,7-ジイル)ビス(2-メトキシ-4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート、化合物35a-((1E,6E)-4,4-ジメチル-3,5-ジオキソヘプト-1,6-ジエン-1,7-ジイル)ビス(2-メトキシ-4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート、化合物35d-((1E,6E)-3,5-ジオキソ-4,4-ビス(プロパ-2-イン-1-イル)ヘプト-1,6-ジエン-1、7-ジイル)ビス(2-メトキシ-4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート)、化合物36-((1E,6E)-4,4-ジメチル-3,5-ジオキソヘプト-1,6-ジエン-1,7-ジイル)ビス(4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート)、及び化合物37-((1E,6E)-4,4-ジメチル-3,5-ジオキソヘプト-1,6-ジエン-1,7-ジイル)ビス(2-メトキシ-5,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート)の化学構造は表2に示される。
【0029】
【表2】
【0030】
化合物21aは、ヘプタジエン-3,5-ジオンの部分を有し、それはケトン型とエノール型との間で容易に相互に変換できる。エノール型の3-又は5-OH基は、その構造を安定化するように、水素結合によってそれぞれ隣接する5-又は3-C=Oと結合される。本発明において、2つのメチル官能性は、化合物21aの4-位に組み込まれ、且つ((1E,6E)-4,4-ジメチル-3,5-ジオキソヘプト-1,6-ジエン-1,7-ジイル)ビス(2-メトキシ-4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート(35a)を提供し、それは安定したケトン型を有し、且つ互変異性化に不安定であることが発見された。また本発明では、化合物35aを新たなガイド化合物として使用し、且つ一連の安定したケトン型を有する4,4-ジアルキル誘導体(化合物35a、化合物35d、化合物36、及び化合物37)に誘導する。
【0031】
2.EGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞及びEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞に対する本発明のジアリールヘプタン系化合物の成長阻害作用
試験では、まずEGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞を本発明のジアリールヘプタン系化合物で処理し、次にクリスタルバイオレットで染色した細胞に生存測定を行い、それにより本発明のジアリールヘプタン系化合物のEGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞でのIC50値を測定し、本発明のジアリールヘプタン系化合物のEGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞に対する成長阻害効果を決定するようにする。
【0032】
肺癌中のEGFR遺伝子変異は、エクソン18-21、即ち細胞内チロシンキナーゼコード領域で多く見られ、最も一般的な変異形態は、エクソン19のE746-A750del及びエクソン21のL858R点変異を含み、この二種類の変異は、EGFR遺伝子変異の約85%-90%を占め、この二種類の変異が発生する腫瘍細胞は、EGFR-TKIsに敏感であり、活性化変異と呼ばれる。一部の腫瘍細胞は、二次突然変異を発生することがあり、最も一般的な二次突然変異は、エクソン20のT790M突然変異であり、薬物耐性突然変異である。図1Aを参照されたい。それは本発明のジアリールヘプタン系化合物がH1650細胞の成長を阻害する分析結果図であり、H1650細胞は、EGFR遺伝子エクソン19のE746-A750del変異であり、そのうちCCMはクルクミンであり、BDMCはビスデメトキシクルクミン(bisdemethoxycurcumin)であり、化合物のIC50値>16μMは、濃度が16μMと高い化合物で処理された後、H1650細胞は依然として50%の細胞成長阻害に達していないことを示し、図1Aにおけるデータは平均値±SD(n=3)で示される。
【0033】
図1Aは、22種のジアリールヘプタン系化合物(BDMCを含む)及びクルクミンを3日間処理したH1650細胞でのIC50値であり、そのうち化合物1、化合物24b、化合物23b、化合物33、化合物25、化合物35b、化合物22a、化合物21a、化合物22b、化合物26、化合物36、化合物35a、化合物35c、化合物27、化合物31、化合物37、化合物35e、及び化合物35d等の18個のジアリールヘプタン系化合物は、H1650細胞の成長に対して親化合物であるクルクミンよりも有意に優れた阻害活性を有し、ここで**はp<0.05、***はp<0.01、****はp<0.001であることを示す。
【0034】
試験では、EGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する他の7つの非小細胞肺癌細胞を化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、又は化合物37で処理した後、細胞生存測定を行い、それにより本発明のジアリールヘプタン系化合物のEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞でのIC50値を測定し、本発明のジアリールヘプタン系化合物のEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞に対する成長阻害効果を決定するようにする。試験に使用されるEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞は、H1975細胞、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞を含み、そのうちH1975細胞は、エクソン21のL858R点突然変異であるが、エクソン20のT790M二次突然変異を同時に伴い、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞は、HCC827細胞を親細胞としてゲフィチニブ(gefitinib)を処理して得られたゲフィチニブ耐性細胞株であり、HCC827細胞及びH1650細胞は、いずれもEGFRエクソン19のE746-A750del突然変異の非小細胞肺癌細胞である。
【0035】
図1B図1C、及び図1Dを参照し、図1Bは、本発明のジアリールヘプタン系化合物がH1975細胞の成長を阻害する分析結果図であり、図1Cは、本発明のジアリールヘプタン系化合物がGR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞の成長を阻害する分析結果図であり、図1Dは、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞をそれぞれ化合物35d及びゲフィチニブで処理したIC50値の百分率変化結果図である。そのうち図1B及び図1Cのデータは、平均値±SD(n=3)で示され、IC50値>16μMは、濃度が16μMと高い化合物で処理された後、試験細胞は依然として50%の細胞成長阻害に達していないことを示し、図1DのGefは、ゲフィチニブを表す。
【0036】
図1Bは、H1975細胞をそれぞれ化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、化合物37、及びクルクミンで3日間処理した後に測定したIC50値である。結果によると、本発明の化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、及び化合物37は、H1975細胞成長に対してクルクミンよりも有意に優れた阻害活性を有する。
【0037】
図1Cは、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞をそれぞれ化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、化合物37及びクルクミンで3日間処理した後に測定したIC50値である。結果によると、本発明の化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、及び化合物37はいずれも、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞成長に対してクルクミンよりも有意に優れた阻害活性を有する。
【0038】
図1B及び図1Cの結果によると、全てのEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞は、化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、及び化合物37に対してクルクミンよりも敏感であり、有意に低い濃度で50%の細胞成長阻害の効果を達成することができる。
【0039】
図1Dは、HCC827細胞、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞をそれぞれ化合物35d及びゲフィチニブで3日間処理した後にIC50値を測定し、そしてGR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞で測定したIC50値をHCC827細胞で測定したIC50値と比較して得られた分析結果図である。図1Dの結果によると、全てのゲフィチニブ耐性細胞株は、化合物35dに対して間接的に感受性があり、その親細胞であるHCC827細胞に比べて、全てのゲフィチニブ耐性細胞株のゲフィチニブ(Gef)に対する耐性が200倍より大きい。
【0040】
3.化合物35dのGR6腫瘍、GR8腫瘍、及びHCC827腫瘍に対する抗癌活性
本発明のジアリールヘプタン系化合物のインビボでの抗癌効果を検証するために、試験では、まず異種移植のGR6腫瘍マウスモデル、GR8腫瘍マウスモデル、及びHCC827腫瘍マウスモデルを構築し、且つそれぞれGR6腫瘍マウス、GR8腫瘍マウス、及びHCC827腫瘍マウスを毎日100mg/kgの化合物35dで35日間治療し、且つGR6腫瘍マウス、GR8腫瘍マウス、及びHCC827腫瘍マウスの腫瘍の大きさ及び体重を記録する。
【0041】
図2A図2Dを参照されたい。図2Aは、化合物35dを単独で処理することでGR6腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図であり、図2Bは、化合物35dを単独で処理することでGR8腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図であり、図2Cは、化合物35dを単独で処理することでHCC827腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図であり、図2Dは、化合物35dを単独で処理した腫瘍マウスの体重変化の統計図であり、ここで図2A図2Cのデータは、平均値±SEM(n=10)で示される。
【0042】
図2A図2Cの結果によると、化合物35dは、GR6腫瘍マウス及びGR8腫瘍マウスの腫瘍成長を有意に阻害したが、HCC827腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する効果が有意ではない。図2Dの結果によると、腫瘍マウスに対して、化合物35dで1ヶ月以上処理した後、その体重が有意に減少しない。
【0043】
4.化合物35dとオシメルチニブを併用することでGR6腫瘍の再進行を阻害する
EGFR-TKIsは現在、EGFR遺伝子変異の非小細胞肺癌患者に対する臨床での標準的な治療法である。試験では、本発明のジアリールヘプタン系化合物と既知のものとの併用が、非小細胞肺癌の治療効果を向上させるか否かを更にテストする。試験では、GR6腫瘍マウスを4つのグループに分け、1つのグループは、毎日100mg/kgの化合物35dによる治療を受け(35dと表す)、1つのグループは、毎日1mg/kgのオシメルチニブによる治療を受け(Osiと表す)、1つのグループは、毎日100mg/kgの化合物35dと1mg/kgのオシメルチニブの組み合わせによる治療を受け(35d+Osiと表す)、もう1つのグループは、薬物治療を受けない対照グループである。
【0044】
図3A及び図3Bを参照されたい。図3Aは、化合物35dとオヒチニブを合わせて処理することでGR6腫瘍マウスの腫瘍の再進行を阻害する分析結果図であり、図3Bは、化合物35dとオシメルチニブを合わせて処理したGR6腫瘍マウスの体重変化の統計図であり、ここで図3A及び図3Bのデータは、平均値±SEM(n=10)で示される。
【0045】
図3Aの結果によると、OsiグループのGR6腫瘍マウスの腫瘍の大きさは、最初にオシメルチニブの治療によって低下するが、腫瘍を治療した後に再び成長し、これはGR6腫瘍マウスの腫瘍がEGFR-TKIs耐性を有することを示す。しかしながら、化合物35dを単独で処理するグループでも、化合物35dとオキシシチニブを合わせて治療するグループでも、GR6腫瘍マウスの腫瘍の再進行を有意に阻害する。また図3Bの結果によると、化合物35dを単独で処理しても、化合物35dとオシメルチニブを合わせて治療しても、マウスの体重が有意に減少しない。
【0046】
以上より、本発明は、肺癌の治療薬の製造に利用可能な医薬組成物の新たな使用を提供する。前述の医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、それは、EGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞及びEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞の成長を阻害することができ、肺癌の治療薬を製造するためのであり、且つそれはEGFR-TKIsと合わせて使用する場合に相乗効果を有し、肺癌、特にEGFR遺伝子変異があり且つEGFR-TKIsを有する肺癌を治療する有効性を更に向上させることができ、バイオメディカルヘルスケア市場での活用が期待される。
【0047】
本発明は、実施形態で以上のように開示されたが、それは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができ、よって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義された範囲を基準とする。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
【手続補正書】
【提出日】2023-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺癌の治療薬の製造に用いられる医薬組成物の使用であって、前記医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、前記ジアリールヘプタン系化合物は、式(I)に示す構造を有し、
【化1】
式中、R、R、R’、及びR’は独立して、H、C1-C2アルキル基、C1-C3アルコキシ基、OH、又は-OC(=O)Rであり、Rは、C1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールであり、RはH、C1-C2アルキル基、二重又は三重結合を有するC3-C6不飽和アルキル基又はC7-C12アリールアルキル基であり、そしてR及びR’は独立して、H、C1-C6アルキル基又はC1-C6アルコキシ基であることを特徴とする、前記医薬組成物の使用。
【請求項2】
、R、R’及びR’のうちの少なくとも1つは、-OC(=O)Rであり、且つRは、C1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールである、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項3】
がHである場合、前記ジアリールヘプタン系化合物は、ケトン型とエノール型の間で互いに変換することができる、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項4】
前記ジアリールヘプタン系化合物は、式(II)に示す構造を有する化合物1、化合物21a、化合物21b、化合物22a、化合物22b、化合物23a、化合物23b、化合物24a、化合物24b、化合物25、化合物26、化合物27、化合物31、及び化合物33からなる群から選択され、
【化2】
ここで、化合物1のR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物21aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物21bのR、R’はそれぞれOCHであり、RはOHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物22aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物22bのR、R’はそれぞれOCHであり、RはOHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物23aのR、R’はそれぞれHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物23bのR、R’はそれぞれHであり、RはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物24aのR、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物24bのRはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物25のRはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物26のR、R’はそれぞれOCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物27のR、R’はそれぞれOCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物31のR、R’はそれぞれCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれCであり、化合物33のR、R’はそれぞれOCHであり、RはOCHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、
は式(i)
【化3】
に示す構造であり、Rは式(ii)
【化4】
に示す構造である、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項5】
前記ジアリールヘプタン系化合物は、式(III)に示す構造を有する化合物35a、化合物35c、化合物35d、化合物35e、化合物36、及び化合物37からなる群から選択され、
【化5】
ここで、化合物35aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、RはCHであり、化合物35cのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはベンジル基であり、化合物35dのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはプロパルギル基であり、化合物35eのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはアリル基であり、化合物36のR、R’はそれぞれHであり、R、R’はORであり、RはCHであり、化合物37のR、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれOCHであり、RはCHであり、
は式(i)
【化6】
に示す構造である、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項6】
前記ジアリールヘプタン系化合物は、
【化7】
から選択される、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項7】
前記医薬組成物は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤(epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitors;EGFR-TKIs)をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
前記上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤は、オシメルチニブ(osimertinib)、ゲフィチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib)、又はアファチニブ(afatinib)である、請求項7に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
前記肺癌は、非小細胞肺癌である、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【請求項10】
前記肺癌は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤に対して薬物耐性を有する、請求項1に記載の医薬組成物の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物の使用に関し、特にジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含む医薬組成物の肺癌治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、悪性腫瘍とも呼ばれ、細胞の異常増殖によるもので、且つこれらの増殖した細胞が体の他の部位を侵害する可能性があり、細胞分裂と増殖の制御メカニズムの異常によって引き起こされる疾患である。世界中に癌に罹患する人口は増加傾向にあり、そのうち、世界中の癌人口の約20%が肺癌患者であり、且つ治療後の肺癌患者の5年生存率が依然として約15%と低く、長年にわたり世界で最も死亡率の高い癌である。
【0003】
生物学的特性、治療、及び予後の違いによって、肺癌は、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer;NSCLC)に分けられてよく、約85-90%の肺癌は、非小細胞肺癌に属し、そのうち肺腺癌は最も一般的で、女性や喫煙しない患者の中で最も一般的な肺癌のタイプである。肺癌の治療は通常、患者の年齢、過去の病歴、現在の健康状態、癌細胞の形態、及び疾患の分期によって決められる。一般的には、小細胞肺癌は、急速に分裂・増殖する特徴を有するため、短期間で転移・拡散を引き起こす可能性があり、よって、治療は全身化学治療又は放射線治療が主流である。非小細胞肺癌の成長が比較的遅いため、転移の発生も遅く、その治療原則は疾患の臨床分期によって決められる。初期(I、II期)のNSCLC根治療法は、依然として手術で腫瘍を完全に切除することが主流である。局所進行期(III期)には、悪性心膜又は胸水及び遠隔転移(IV期)のある患者、又は体調が悪く手術切除ができない患者が含まれる。治療原則は、主に化学薬物療法又は放射線療法と組み合わせる化学薬物療法である。
【0004】
しかしながら、転移性又は既に化学療法を受けて再発した晩期非小細胞肺癌に対しては、治療上の厄介な問題である。現在の臨床研究では、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤(epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitors;EGFR-TKIs)は、一次化学療法が失敗した後の二次治療薬として使用できることが確認されているが、約40-80%の非小細胞肺癌患者がEGFR遺伝子変異を持ち、それにより上皮細胞成長因子受容体が過剰に発現し、癌の迅速な成長、転移、及び薬物耐性を引き起こす。このような患者は、EGFR-TKIsで臨床的に治療されるが、ほとんどの患者は治療後の二年以内に再発し、これまで、再発後に有効な薬物はない。
【発明の概要】
【0005】
これに鑑みて、本発明は、肺癌の治療薬の製造に利用可能な医薬組成物の使用を提供することを目的とする。前述の医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤に対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞の成長を阻害することができるため、単独で使用できるか、又は臨床的に使用される上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤と併用でき、EGFR遺伝子変異があり、且つ上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤の薬物耐性を有する肺癌を治療するために用いられる。
【0006】
本発明の一態様は、肺癌の治療薬の製造に用いられる医薬組成物の使用を提供し、医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、前述のジアリールヘプタン系化合物は、式(I)に示す構造を有し、
【化1】
式中、R、R、R’、及びR’は独立して、H、C1-C2アルキル基、C1-C3アルコキシ基、OH、又は-OC(=O)Rであり、ここで、Rは、C1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールであり、RはH、C1-C2アルキル基、二重又は三重結合を有するC3-C6不飽和アルキル基又はC7-C12アリールアルキル基であり、そしてR及びR’は独立して、H、C1-C6アルキル基又はC1-C6アルコキシ基である。
【0007】
前述の医薬組成物の使用によれば、R、R、R’、及びR’のうちの少なくとも1つは、-OC(=O)Rであってよく、且つRは、C1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールである。
【0008】
前述の医薬組成物の使用によれば、RがHである場合、前述のジアリールヘプタン系化合物は、ケトン型とエノール型の間で互いに変換することができる。
【0009】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述のジアリールヘプタン系化合物は、式(II)に示す構造を有する化合物1、化合物21a、化合物21b、化合物22a、化合物22b、化合物23a、化合物23b、化合物24a、化合物24b、化合物25、化合物26、化合物27、化合物31、及び化合物33からなる群から選択されてよく、
【化2】
ここで、化合物1のR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物21aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物21bのR、R’はそれぞれOCHであり、RはOHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物22aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物22bのR、R’はそれぞれOCHであり、RはOHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物23aのR、R’はそれぞれHであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物23bのR、R’はそれぞれHであり、RはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物24aのR、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物24bのRはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物25のRはORであり、R’はOHであり、R、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物26のR、R’はそれぞれOCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物27のR、R’はそれぞれOCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれHであり、化合物31のR、R’はそれぞれCであり、R、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれCであり、化合物33のR、R’はそれぞれOCHであり、RはOCHであり、R’はORであり、R、R’はそれぞれHである。Rは式(i)に示す構造であり、Rは式(ii)に示す構造である。
【化3】
【0010】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述のジアリールヘプタン系化合物は、式(III)に示す構造を有する化合物35a、化合物35c、化合物35d、化合物35e、化合物36、及び化合物37からなる群から選択されてよく、
【化4】
ここで、化合物35aのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、RはCHであり、化合物35cのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはベンジル基であり、化合物35dのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはプロパルギル基であり、化合物35eのR、R’はそれぞれOCHであり、R、R’はそれぞれORであり、Rはアリル基であり、化合物36のR、R’はそれぞれHであり、R、R’はORであり、RはCHであり、化合物37のR、R’はそれぞれORであり、R、R’はそれぞれOCHであり、RはCHである。ここで、Rは式(i)に示す構造である。
【化5】
【0011】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述のジアリールヘプタン系化合物は、
【化6】
から選択されてよい。
【0012】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述の医薬組成物は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤を更に含んでよい。好ましくは、前述の上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤は、オシメルチニブ(osimertinib)、ゲフィチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib)、又はアファチニブ(afatinib)であってよい。
【0013】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述の肺癌は、非小細胞肺癌であってよい。
【0014】
前述の医薬組成物の使用によれば、前述の肺癌は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤に対して薬物耐性を有してよい。
【0015】
上記発明の概要は、読者が本発明内容を基本的に理解できるように、本発明内容の簡略化された要約を提供することを目的とする。この発明の概要は、本発明内容の完全な概要ではなく、本発明の実施例の重要な/キー要素を指摘するか、又は本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点、及び実施例をより分かりやすくするために、添付図面を以下のように説明する。
図1A】本発明のジアリールヘプタン系化合物がH1650細胞の成長を阻害する分析結果図である。
図1B】、
図1C】、及び
図1D】本発明のジアリールヘプタン系化合物が、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤に対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞の成長を阻害する分析結果図である。
図2A】化合物35dを単独で処理することでGR6腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図である。
図2B】化合物35dを単独で処理することでGR8腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図である。
図2C】化合物35dを単独で処理することでHCC827腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図である。
図2D】化合物35dを単独で処理した腫瘍マウスの体重変化の統計図である。
図3A】化合物35dとオシメルチニブを合わせて処理することでGR6腫瘍マウスの腫瘍の再進行を阻害する分析結果図である。
図3B】化合物35dとオシメルチニブを合わせて処理したGR6腫瘍マウスの体重変化の統計図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は医薬組成物の新たな使用を提供し、前述の医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、肺癌の治療薬の製造に用いられ、本発明のジアリールヘプタン系化合物は式(I)に示す構造を有し、
【化7】
式中、R、R、R’及びR’は独立してH、C1-C2アルキル基、C1-C3アルコキシ基、OH、又は-OC(=O)Rであり、ここで、RはC1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールであり、RはH、C1-C2アルキル基、二重又は三重結合を有するC3-C6不飽和アルキル基又はC7-C12アリールアルキル基であり、R及びR’は独立してH、C1-C6アルキル基又はC1-C6アルコキシ基である。
【0018】
本発明のジアリールヘプタン系化合物のR、R、R’及びR’のうちの少なくとも1つは-OC(=O)Rであってよく、且つRはC1-C3アルキル基又はC1-C3アルカノールである。また、RがHである場合、前述のジアリールヘプタン系化合物は、ケトン型及びエノール型の間で互いに変換することができる。
【0019】
本発明の医薬組成物は、上皮細胞成長因子受容体-チロシンキナーゼ阻害剤(epidermal growth factor receptor-tyrosine kinase inhibitors; EGFR-TKIs)を含んでよく、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類と併用され、EGFR-TKIsは、オシメルチニブ(osimertinib)、ゲフィチニブ(gefitinib)、エルロチニブ(erlotinib)、又はアファチニブ(afatinib)であってよい。本発明の医薬組成物の治療対象の肺癌は、非小細胞肺癌であってよく、また、前述の肺癌は、EGFR-TKIsに対して薬物耐性を有してよい。
【0020】
特に説明しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、記号、他の科学名詞又は用語は、それらが使用される文脈において別段の記載がない限り、当業者にとってよく知られている意味を有する。場合によっては、知られている意味を有する用語は、明確及び/又は直接参照の目的で本明細書に定義されるものであり、且つ本明細書に組み込まれるこれらの定義は、該分野における知られている意味と必ずしも実質的に異なるものではないと解釈されるべきである。本明細書に記載又は引用される多くの技術及びプログラムは、いずれも大衆に知られており、且つ常に当業者に一般的な方法として使用されるものである。必要に応じて、特に説明しない限り、市販のキット及び試薬の使用手順は、一般的に製造業者が定めた使用説明及び/又はパラメータに従って行われる。
【0021】
特に説明しない限り、本文及び本明細書に記載される「1」及び「1つ」は、文章における文法的対象が1つ又は複数(即ち、少なくとも1つ)であることを意味する。また、種類は、該種類に含まれる全てのメンバーの略語であり、例えば、C1-C3のアルキル基は、全てのC1-C3のアルキル基についての略語であり、例えば、C1-C3のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、及びその異性体を含む。
【0022】
本発明に開示されるジアリールヘプタン系化合物及びその医学的に許容できる塩類は、インビトロ(in vitro)試験によって、それはEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞の成長を阻害することができることが検証できる。更に、インビボ(in vivo)試験によって、本明細書に開示される化合物及び/又はその少なくとも1つの医学的に許容できる塩類は、EGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する肺癌に罹った動物(例えばマウスモデル)に投与されてよく、且つ治療効果が得られることが検証できる。1つ又は複数の試験における陽性結果は、試験対象の化合物及び/又は塩の実際の効果を証明することに十分である。そして、試験結果に基づいて動物(例えばヒト)の適切な投与量範囲及び投与経路を決定してよい。
【0023】
本発明のジアリールヘプタン系化合物及びその医学的に許容できる塩類を投与するための有用な薬物剤形は、硬及び軟ゼラチンカプセル、錠剤、非経口注射剤、及び経口懸濁剤を含むが、これらに限定されない。投与される投与量の決定要因は、被験者の年齢、被験者の健康及び体重、疾患の程度、同時治療の種類(もしあれば)、治療の頻度、及び所望の効果の性質を含む。一般的には、活性成分の毎日の投与量は、例えば毎日0.1~2000ミリグラムで、非定量であってよい。例えば、1日に1回又は複数回10~500ミリグラム投与することで所望の結果が得られる。
【0024】
本発明のジアリールヘプタン系化合物及びその医学的に許容できる塩類を段階的に投与する場合、又は少なくとも一種の他の治療剤と組み合わせて投与する場合、一般的に同じ剤形を使用してよい。薬物を物理的な組み合わせで投与する場合、組み合わせる薬物の相溶性に応じて剤形及び投与経路を選択すべきである。したがって、本明細書に記載される「共同投与」は、少なくとも二種類の薬剤、又は少なくとも二種類の活性成分としての固定投与量の組み合わせを付随的又は順次投与することを含むと理解すべきである。
【0025】
本明細書のジアリールヘプタン系化合物及びその医学的に許容できる塩類は、唯一の活性成分として投与されるか、少なくとも一種の第2の活性成分と組み合わせて投与されてよく、前述の第2の活性成分は、例えば非小細胞肺癌患者の治療に使用可能な既知の他の活性成分、特にEGFR-TKIsから選択される。
【0026】
以下の具体的な試験例で本発明を更に例示的に説明することにより、当業者は、過度に解読する必要なく本発明を完全に利用して実施することができ、これらの試験例は、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではないが、本発明の材料及び方法をどのように実施するかを説明するために用いられる。
【0027】
1.本発明のジアリールヘプタン系化合物の構造
本発明のジアリールヘプタン系化合物は、クルクミン(curcumin;CCM)をガイド化合物とし、クルクミンに類似するジアリールヘプタン系化合物が設計され、それは式(I)に示す構造を有し、
【化8】
下記表1を参照し、それは本発明のジアリールヘプタン系化合物の実施例-化合物1、化合物21a、化合物21b、化合物22a、化合物22b、化合物23a、化合物23b、化合物24a、化合物24b、化合物25、化合物26、化合物27、化合物31、化合物33、化合物35a、化合物35c、化合物35d、化合物35e、化合物36、及び化合物37のR、R、R’、R’、R、R及びR’に代表される置換基である。
【0028】
【表1-1】
【表1-2】
ここで、化合物21a-((1E,3Z,6E)-3-ヒドロキシ-5-オキソヘプト-1,3,6-トリエン-1,7-ジイル)ビス(2-メトキシ-4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート、化合物35a-((1E,6E)-4,4-ジメチル-3,5-ジオキソヘプト-1,6-ジエン-1,7-ジイル)ビス(2-メトキシ-4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート、化合物35d-((1E,6E)-3,5-ジオキソ-4,4-ビス(プロパ-2-イン-1-イル)ヘプト-1,6-ジエン-1、7-ジイル)ビス(2-メトキシ-4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート)、化合物36-((1E,6E)-4,4-ジメチル-3,5-ジオキソヘプト-1,6-ジエン-1,7-ジイル)ビス(4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート)、及び化合物37-((1E,6E)-4,4-ジメチル-3,5-ジオキソヘプト-1,6-ジエン-1,7-ジイル)ビス(2-メトキシ-5,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート)の化学構造は表2に示される。
【0029】
【表2】
【0030】
化合物21aは、ヘプタジエン-3,5-ジオンの部分を有し、それはケトン型とエノール型との間で容易に相互に変換できる。エノール型の3-又は5-OH基は、その構造を安定化するように、水素結合によってそれぞれ隣接する5-又は3-C=Oと結合される。本発明において、2つのメチル官能性は、化合物21aの4-位に組み込まれ、且つ((1E,6E)-4,4-ジメチル-3,5-ジオキソヘプト-1,6-ジエン-1,7-ジイル)ビス(2-メトキシ-4,1-フェニレン)ビス(3-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオネート(化合物35a)を提供し、それは安定したケトン型を有し、且つ互変異性化に不安定であることが発見された。また本発明では、化合物35aを新たなガイド化合物として使用し、且つ一連の安定したケトン型を有する4,4-ジアルキル誘導体(化合物35a、化合物35d、化合物36、及び化合物37)に誘導する。
【0031】
2.EGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞及びEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞に対する本発明のジアリールヘプタン系化合物の成長阻害作用
試験では、まずEGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞を本発明のジアリールヘプタン系化合物で処理し、次にクリスタルバイオレットで染色した細胞に生存測定を行い、それにより本発明のジアリールヘプタン系化合物のEGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞でのIC50値を測定し、本発明のジアリールヘプタン系化合物のEGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞に対する成長阻害効果を決定するようにする。
【0032】
肺癌中のEGFR遺伝子変異は、エクソン18-21、即ち細胞内チロシンキナーゼコード領域で多く見られ、最も一般的な変異形態は、エクソン19のE746-A750del及びエクソン21のL858R点変異を含み、この二種類の変異は、EGFR遺伝子変異の約85%-90%を占め、この二種類の変異が発生する腫瘍細胞は、EGFR-TKIsに敏感であり、活性化変異と呼ばれる。一部の腫瘍細胞は、二次突然変異を発生することがあり、最も一般的な二次突然変異は、エクソン20のT790M突然変異であり、薬物耐性突然変異である。図1Aを参照されたい。それは本発明のジアリールヘプタン系化合物がH1650細胞の成長を阻害する分析結果図であり、H1650細胞は、EGFR遺伝子エクソン19のE746-A750del変異であり、そのうちCCMはクルクミンであり、BDMCはビスデメトキシクルクミン(bisdemethoxycurcumin)であり、化合物のIC50値>16μMは、濃度が16μMと高い化合物で処理された後、H1650細胞は依然として50%の細胞成長阻害に達していないことを示し、図1Aにおけるデータは平均値±SD(n=3)で示される。
【0033】
図1Aは、22種のジアリールヘプタン系化合物(BDMCを含む)及びクルクミンを3日間処理したH1650細胞でのIC50値であり、そのうち化合物1、化合物24b、化合物23b、化合物33、化合物25、化合物35b、化合物22a、化合物21a、化合物22b、化合物26、化合物36、化合物35a、化合物35c、化合物27、化合物31、化合物37、化合物35e、及び化合物35d等の18個のジアリールヘプタン系化合物は、H1650細胞の成長に対して親化合物であるクルクミンよりも有意に優れた阻害活性を有し、ここで**はp<0.05、***はp<0.01、****はp<0.001であることを示す。
【0034】
試験では、EGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する他の7つの非小細胞肺癌細胞を化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、又は化合物37で処理した後、細胞生存測定を行い、それにより本発明のジアリールヘプタン系化合物のEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞でのIC50値を測定し、本発明のジアリールヘプタン系化合物のEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞に対する成長阻害効果を決定するようにする。試験に使用されるEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞は、H1975細胞、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞を含み、そのうちH1975細胞は、エクソン21のL858R点突然変異であるが、エクソン20のT790M二次突然変異を同時に伴い、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞は、HCC827細胞を親細胞としてゲフィチニブ(gefitinib)を処理して得られたゲフィチニブ耐性細胞株であり、HCC827細胞及びH1650細胞は、いずれもEGFRエクソン19のE746-A750del突然変異の非小細胞肺癌細胞である。
【0035】
図1B図1C、及び図1Dを参照し、図1Bは、本発明のジアリールヘプタン系化合物がH1975細胞の成長を阻害する分析結果図であり、図1Cは、本発明のジアリールヘプタン系化合物がGR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞の成長を阻害する分析結果図であり、図1Dは、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞をそれぞれ化合物35d及びゲフィチニブで処理したIC50値の百分率変化結果図である。そのうち図1B及び図1Cのデータは、平均値±SD(n=3)で示され、IC50値>16μMは、濃度が16μMと高い化合物で処理された後、試験細胞は依然として50%の細胞成長阻害に達していないことを示し、図1DのGefは、ゲフィチニブを表す。
【0036】
図1Bは、H1975細胞をそれぞれ化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、化合物37、及びクルクミンで3日間処理した後に測定したIC50値である。結果によると、本発明の化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、及び化合物37は、H1975細胞成長に対してクルクミンよりも有意に優れた阻害活性を有する。
【0037】
図1Cは、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞をそれぞれ化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、化合物37及びクルクミンで3日間処理した後に測定したIC50値である。結果によると、本発明の化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、及び化合物37はいずれも、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞成長に対してクルクミンよりも有意に優れた阻害活性を有する。
【0038】
図1B及び図1Cの結果によると、全てのEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞は、化合物21a、化合物35a、化合物35d、化合物36、及び化合物37に対してクルクミンよりも敏感であり、有意に低い濃度で50%の細胞成長阻害の効果を達成することができる。
【0039】
図1Dは、HCC827細胞、GR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞をそれぞれ化合物35d及びゲフィチニブで3日間処理した後にIC50値を測定し、そしてGR2細胞、GR5細胞、GR6細胞、GR8細胞、GR9細胞、及びGR10細胞で測定したIC50値をHCC827細胞で測定したIC50値と比較して得られた分析結果図である。図1Dの結果によると、全てのゲフィチニブ耐性細胞株は、化合物35dに対して間接的に感受性があり、その親細胞であるHCC827細胞に比べて、全てのゲフィチニブ耐性細胞株のゲフィチニブ(Gef)に対する耐性が200倍より大きい。
【0040】
3.化合物35dのGR6腫瘍、GR8腫瘍、及びHCC827腫瘍に対する抗癌活性
本発明のジアリールヘプタン系化合物のインビボでの抗癌効果を検証するために、試験では、まず異種移植のGR6腫瘍マウスモデル、GR8腫瘍マウスモデル、及びHCC827腫瘍マウスモデルを構築し、且つそれぞれGR6腫瘍マウス、GR8腫瘍マウス、及びHCC827腫瘍マウスを毎日100mg/kgの化合物35dで35日間治療し、且つGR6腫瘍マウス、GR8腫瘍マウス、及びHCC827腫瘍マウスの腫瘍の大きさ及び体重を記録する。
【0041】
図2A図2Dを参照されたい。図2Aは、化合物35dを単独で処理することでGR6腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図であり、図2Bは、化合物35dを単独で処理することでGR8腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図であり、図2Cは、化合物35dを単独で処理することでHCC827腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する分析結果図であり、図2Dは、化合物35dを単独で処理した腫瘍マウスの体重変化の統計図であり、ここで図2A図2Cのデータは、平均値±SEM(n=10)で示される。
【0042】
図2A図2Cの結果によると、化合物35dは、GR6腫瘍マウス及びGR8腫瘍マウスの腫瘍成長を有意に阻害したが、HCC827腫瘍マウスの腫瘍成長を阻害する効果が有意ではない。図2Dの結果によると、腫瘍マウスに対して、化合物35dで1ヶ月以上処理した後、その体重が有意に減少しない。
【0043】
4.化合物35dとオシメルチニブを併用することでGR6腫瘍の再進行を阻害する
EGFR-TKIsは現在、EGFR遺伝子変異の非小細胞肺癌患者に対する臨床での標準的な治療法である。試験では、本発明のジアリールヘプタン系化合物と既知のものとの併用が、非小細胞肺癌の治療効果を向上させるか否かを更にテストする。試験では、GR6腫瘍マウスを4つのグループに分け、1つのグループは、毎日100mg/kgの化合物35dによる治療を受け(35dと表す)、1つのグループは、毎日1mg/kgのオシメルチニブによる治療を受け(Osiと表す)、1つのグループは、毎日100mg/kgの化合物35dと1mg/kgのオシメルチニブの組み合わせによる治療を受け(35d+Osiと表す)、もう1つのグループは、薬物治療を受けない対照グループである。
【0044】
図3A及び図3Bを参照されたい。図3Aは、化合物35dとオヒチニブを合わせて処理することでGR6腫瘍マウスの腫瘍の再進行を阻害する分析結果図であり、図3Bは、化合物35dとオシメルチニブを合わせて処理したGR6腫瘍マウスの体重変化の統計図であり、ここで図3A及び図3Bのデータは、平均値±SEM(n=10)で示される。
【0045】
図3Aの結果によると、OsiグループのGR6腫瘍マウスの腫瘍の大きさは、最初にオシメルチニブの治療によって低下するが、腫瘍を治療した後に再び成長し、これはGR6腫瘍マウスの腫瘍がEGFR-TKIs耐性を有することを示す。しかしながら、化合物35dを単独で処理するグループでも、化合物35dとオキシシチニブを合わせて治療するグループでも、GR6腫瘍マウスの腫瘍の再進行を有意に阻害する。また図3Bの結果によると、化合物35dを単独で処理しても、化合物35dとオシメルチニブを合わせて治療しても、マウスの体重が有意に減少しない。
【0046】
以上より、本発明は、肺癌の治療薬の製造に利用可能な医薬組成物の新たな使用を提供する。前述の医薬組成物は、ジアリールヘプタン系化合物又はその医学的に許容できる塩類を含み、それは、EGFR遺伝子変異型の非小細胞肺癌細胞及びEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する非小細胞肺癌細胞の成長を阻害することができ、肺癌の治療薬を製造するためのであり、且つそれはEGFR-TKIsと合わせて使用する場合に相乗効果を有し、肺癌、特にEGFR遺伝子変異があり且つEGFR-TKIsに対して薬物耐性を有する肺癌を治療する有効性を更に向上させることができ、バイオメディカルヘルスケア市場での活用が期待される。
【0047】
本発明は、実施形態で以上のように開示されたが、それは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正を行うことができ、よって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に定義された範囲を基準とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
【国際調査報告】