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特表2023-554533外装パネル用メッキ鋼板及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】外装パネル用メッキ鋼板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20231220BHJP
   B23K 26/322 20140101ALI20231220BHJP
   C23C 2/06 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/322
C23C2/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538048
(86)(22)【出願日】2021-12-14
(85)【翻訳文提出日】2023-06-21
(86)【国際出願番号】 KR2021018934
(87)【国際公開番号】W WO2022139294
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0179911
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、 ヒュンジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ウソク
(72)【発明者】
【氏名】イ、 キュンファン
(72)【発明者】
【氏名】ソ、 フン-ソク
【テーマコード(参考)】
4E168
4K027
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168DA02
4E168DA23
4E168DA28
4E168JA02
4K027AA05
4K027AA22
4K027AB05
4K027AB44
(57)【要約】
本開示では、外装パネル用メッキ鋼板の製造方法が開示される。本開示のメッキ鋼板の製造方法は、メッキ鋼板を製造する段階;メッキ鋼板をファイバー(Fiber)レーザーで切断する段階;及び切断したメッキ鋼板をフッ素を含む液体形態の組成物で塗装する段階;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッキ鋼板を製造する段階;
前記メッキ鋼板をファイバー(Fiber)レーザーで切断する段階;及び
切断したメッキ鋼板をフッ素を含む液体形態の塗料組成物で塗装する段階;を含むことを特徴とする、外装パネル用メッキ鋼板の製造方法。
【請求項2】
前記ファイバー(Fiber)レーザーの吸収波長帯は、1μmであることを特徴とする、請求項1に記載の外装パネル用メッキ鋼板の製造方法。
【請求項3】
前記ファイバー(Fiber)レーザーによりメッキ層が蝕刻されて露出するエッジ部の幅は、100μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の外装パネル用メッキ鋼板の製造方法。
【請求項4】
前記メッキ鋼板は、Zn-Mg-Al系メッキ層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の外装パネル用メッキ鋼板の製造方法。
【請求項5】
Zn-Al-Mg系メッキ層は、重量%で、Al:1.0~20.0%、Mg:0.5~7%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の外装パネル用メッキ鋼板の製造方法。
【請求項6】
Zn-Al-Mg系メッキ層は、重量%で、Al:1.0~11.0%、Mg:1~5%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の外装パネル用メッキ鋼板の製造方法。
【請求項7】
素地鋼板、Zn-Al-Mg系メッキ層及び塗装層が順次に積層されて形成され、
前記Zn-Al-Mg系メッキ層は、レーザー切断によりメッキ層が除去されるエッジ部を含むことを特徴とする、外装パネル用メッキ鋼板。
【請求項8】
前記エッジ部に形状される塗装層は、Zn-Al-Mg系メッキ層の厚さ以上で形成されることを特徴とする、請求項7に記載の外装パネル用メッキ鋼板。
【請求項9】
前記エッジ部に形成される塗装層は、Zn-Al-Mg系メッキ層の上面に形成される塗装層の厚さの半分以上の厚さで形成されることを特徴とする、請求項7に記載の外装パネル用メッキ鋼板。
【請求項10】
前記エッジ部の幅は、100μm以下であることを特徴とする、請求項7に記載の外装パネル用メッキ鋼板。
【請求項11】
Zn-Al-Mg系メッキ層は、重量%で、Al:1.0~20.0%、Mg:0.5~7%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことを特徴とする、請求項7に記載の外装パネル用メッキ鋼板。
【請求項12】
Zn-Al-Mg系メッキ層は、重量%で、Al:1.0~11.0%、Mg:1~5%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことを特徴とする、請求項7に記載の外装パネル用メッキ鋼板。
【請求項13】
前記Zn-Al-Mg系メッキ層は、10~30μm厚さで形成されることを特徴とする、請求項7に記載の外装パネル用メッキ鋼板。
【請求項14】
前記塗装層は、前記Zn-Al-Mg系メッキ層の厚さ以上で形成されることを特徴とする、請求項7に記載の外装パネル用メッキ鋼板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築外装パネル用メッキ鋼板及びその製造方法に関し、特に、レーザー切断方法が導入された外装パネル用メッキ鋼板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、建築内外装材に分野において、多様な構造物及び形状を有する外装パネルに対する開発が加速化している。外装パネルは、汚染物、酸性雨、大気汚染及び紫外線などに露出する環境に適用されるので、高いレベルの耐久性を要求する。したがって、アルミニウム(Al)素材に塗装したパネルが主に用いられている。しかし、Alは、融点が約660℃で耐熱性を確保できないという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態は、外装パネルメッキ鋼板の複雑な形状を具現するためのレーザー切断過程中の熱的効果を最小化し、耐食性が向上した外装パネル用メッキ鋼板及びその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態による外装パネル用メッキ鋼板の製造方法は、メッキ鋼板を製造する段階;前記メッキ鋼板をファイバー(Fiber)レーザーで切断する段階;及び切断したメッキ鋼板をフッ素を含む液体形態の組成物で塗装する段階;を含む。
【0005】
また、本発明の一実施形態によると、前記ファイバー(Fiber)レーザーの吸収波長帯は、1μmであってもよい。
【0006】
また、本発明の一実施形態によると、前記ファイバー(Fiber)レーザーによりメッキ層が蝕刻されて露出されるエッジ部の幅は、100μm以下であってもよい。
【0007】
また、本発明の一実施形態によると、前記メッキ鋼板は、Zn-Mg-Al系メッキ層を含むことができる。
【0008】
また、本発明の一実施形態によると、Zn-Al-Mg系メッキ層は、重量%で、Al:1.0~20.0%、Mg:0.5~7%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことができる。
【0009】
また、本発明の一実施形態によると、Zn-Al-Mg系メッキ層は、重量%で、Al:1.0~11.0%、Mg:1~5%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことができる。
【0010】
本発明の他の一実施形態による外装パネル用メッキ鋼板は、素地鋼板、Zn-Al-Mg系メッキ層及び塗装層が順次に積層されて形成され、前記Zn-Al-Mg系メッキ層は、レーザー切断によりメッキ層が除去されるエッジ部を含む。
【0011】
また、本発明の一実施形態によると、前記エッジ部に形成される塗装層は、Zn-Al-Mg系メッキ層の厚さ以上で形成され得る。
【0012】
また、本発明の一実施形態によると、前記エッジ部に形成される塗装層は、Zn-Al-Mg系メッキ層の上面に形成される塗装層の厚さの半分以上の厚さで形成され得る。
【0013】
また、本発明の一実施形態によると、前記エッジ部の幅は、100μm以下であってもよい。
【0014】
また、本発明の一実施形態によると、Zn-Al-Mg系メッキ層は、重量%で、Al:1.0~20.0%、Mg:0.5~7%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことができる。
【0015】
また、本発明の一実施形態によると、Zn-Al-Mg系メッキ層は、重量%で、Al:1.0~11.0%、Mg:1~5%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことができる。
【0016】
また、本発明の一実施形態によると、前記Zn-Al-Mg系メッキ層は、10~30μm厚さで形成され得る。
【0017】
また、本発明の一実施形態によると、前記塗装層は、前記Zn-Al-Mg系メッキ層の厚さ以上で形成され得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施形態によると、レーザー切断過程中の熱的効果を最小化し、耐食性が向上したメッキ鋼板を提供することができ、複雑な形状を有する外装パネル用素材に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、Zn-Al-Mg系メッキ鋼板をshearing切断した場合を図式化し、その断面を撮影した走査電子顕微鏡写真である。
図2図2は、Zn-Al-Mg系メッキ鋼板をレーザーで切断した場合を図式化し、その断面を撮影した走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。
図3図3は、4KW COレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、メッキ層の切断面を示した写真である。
図4図4は、Fiberレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、メッキ層の切断面を示した写真である。
図5図5は、COレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、粉体塗装を行った後にメッキ鋼板を撮影した写真である。
図6図6は、COレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、粉体塗装を行った後、72時間の間の塩水噴霧耐食性の評価結果を示した写真である。
図7図7は、COレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、フッ素塗装を行った後にメッキ鋼板を撮影した写真である。
図8図8は、Fiberレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、フッ素塗装を行った後にメッキ鋼板を撮影した写真である。
図9図9は、Fiberレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、フッ素塗装を行った後、4000時間の間の塩水噴霧耐食性の評価結果を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態による外装パネル用メッキ鋼板の製造方法は、メッキ鋼板を製造する段階;前記メッキ鋼板をファイバー(Fiber)レーザーで切断する段階;及び切断したメッキ鋼板をフッ素を含む液体形態の組成物で塗装する段階;を含む。
【0021】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。以下の実施形態は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者に本発明の思想を十分に伝達するために提示するものである。本発明は、ここで提示した実施形態のみに限定されず、他の形態で具体化できる。図面は、本発明を明確にするために説明と関係ない部分の図示を省略し、理解を助けるために構成要素のサイズを多少誇張して表現した。
【0022】
明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」と記載するとき、これは特に反対する記載のない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。単数の表現は、文脈上明白に例外がない限り、複数の表現を含む。
【0023】
以下では、本発明による実施形態を添付した図面を参照して詳しく説明する。まず、外装パネル用メッキ鋼板の製造方法に対して説明した後、外装パネル用メッキ鋼板に対して説明する。
【0024】
本発明の一側面による外装パネル用メッキ鋼板の製造方法は、メッキ鋼板を製造する段階;前記メッキ鋼板をファイバー(Fiber)レーザーで切断する段階;及び切断したメッキ鋼板をフッ素を含む液体形態の塗料組成物で塗装する段階;を含む。
【0025】
炭素鋼に塗装及びコーティングなどの表面処理方法を導入したZnメッキ鋼板、Alメッキ鋼板、Niメッキ鋼板などに対する研究が活発に進行されている。
【0026】
最近には、建築内/外装材素材の耐久性及び耐食性を確保するために、self-healing効果を有するMg-Al-Zn合金メッキ鋼板(Zn-Mg-Al系メッキ鋼板)が用いられている。
【0027】
Zn-Mg-Al系メッキ鋼板(POSCO Magnesium Aluminiun alloy Coating product、POSMAC)は、Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)及びZn(亜鉛)を含むメッキ液でメッキ層を形成した鋼板であって、重量%で、Al:1~20%、Mg:0.5~7%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことができる。
【0028】
より具体的に、前記Zn-Mg-Al系メッキ鋼板は、Al:1~4重量%、Mg:1~4重量%、残りがZnであり、不純物が0.1重量%以下で含まれたメッキ液でメッキされてZn-Al-Mgメッキ層を形成したメッキ鋼板であってもよい。また、前記Zn-Mg-Al系メッキ鋼板は、重量%で、Al:18~20%、Mg:5~7%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことができ、重量%で、Al:11~13%、Mg:4~6%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことができ、重量%で、Al:1.5~3.5%、Mg:2~4%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことができ、重量%で、Al:1~2.5%、Mg:0.5~2.5%、残部Zn及びその他不可避な不純物を含むことができる。
【0029】
しかし、Zn-Mg-Al系メッキ鋼板を複雑な形状又は構造で製作するためにレーザー切断方法を導入する場合、熱的効果(thermal effect)によりメッキ層が損失(melting)される現象が発生し、切断部の耐食性が劣位する問題が発生する。
【0030】
図1は、Zn-Al-Mg系メッキ鋼板をshearing切断した場合を図式化し、その断面を撮影した走査電子顕微鏡写真であり、図2は、Zn-Al-Mg系メッキ鋼板をレーザーで切断した場合を図式化し、その断面を撮影した走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。
【0031】
メッキ鋼板を加工する場合には、shearing切断方法を用いるのが一般的である。一方、レーザー切断方法は、正確性が高いため複雑な形状又は構造を製作する用途に適する手段である。
【0032】
図1を参照すると、Zn-Al-Mg系メッキ鋼板にshearing切断方法を導入する場合には、メッキ層が損失されないが、メッキ鋼板の寸法正確性を確保できないという問題がある。
【0033】
Zn-Al-Mg系メッキ鋼板にレーザー切断方法を導入する場合には、鋼板の寸法正確度を確保することができるが、切断過程中にレーザーによる熱的効果(thermal effect)によりメッキ層がとけて損失される。具体的に、図2を参照すると、レーザー切断部にメッキ層が損失されて幅が0.2mm以下であるエッジ部が形成されたことが確認できる。
【0034】
上述したメッキ層の損失は、Zn-Al-Mg系メッキ鋼板の固有の特性である切断面のself-healing効果を減少させ、切断面周辺の耐食性を低下させることになる。また、メッキ層の損失は、追って塗装工程時に未塗装を誘発して最終製品である外装パネルで要求する耐食性を確保することができない。
【0035】
したがって、メッキ鋼板のメッキ層の損失を最小化し、切断部の塗装耐久性を確保し得るレーザー方法を導出しようとした。
【0036】
COレーザーは、レンズを用いた屈折を活用する方式であって、Beam伝送方式を採択して光軸がずれる現象が発生する。それによって、COレーザーのビーム切断位置(ビーム伝送距離)によってレーザービームの大きさが変化し、結局、切断位置による熱損失の差を引き起こして切断品質の偏差が発生する問題がある。
【0037】
したがって、本発明者らは、発信機から切断ヘッドまでファイバーを用いたビーム伝送方式を採択することによって、光軸のズレに対する問題を解決して方向に関係なく均一な品質を確保し得るファイバー(Fiber)レーザーを導入することになった。
【0038】
ファイバー(Fiber)レーザーの場合、COレーザーに比べて焦点サイズが小さいだけでなく、吸収波長帯が1μmとCOレーザー(1μm)より吸収率が高いという長所がある。それによって、高いエネルギー密度(density)を確保することができ、COレーザーに比べて低い出力でも速い速度で切断が可能であるので、レーザーによる熱的効果(thermal effect)を最小化し得る。
【0039】
例えば、1.5mm厚さのZn-Mg-Al系メッキ鋼板を切断するとき、4Kw COレーザーは、約4700mm/minの切断速度を確保することができる。
【0040】
それに比べ、ファイバー(Fiber)レーザーに1.5~2.5KWの電圧が印加される場合、切断速度を7,000~9,000mm/minまで確保することができる。
【0041】
これによって、Zn-Mg-Al系メッキ鋼板で、ファイバー(Fiber)レーザーによりメッキ層が蝕刻されて素地鋼板が露出されるエッジ部の幅を100μm以下に制御することができる。
【0042】
図3は、4KW COレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、メッキ層の切断面を示した写真であり、図4は、Fiberレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、メッキ層の切断面を示した写真である。
【0043】
図3を参照すると、汎用的な切断手段であるCOレーザーを導入した場合には、熱的効果により幅方向に約0.22mm、深さ方向に約30μmが損失されたエッジ部が形成されたことが確認できる。
【0044】
図4を参照すると、Fiberレーザーを導入した場合には、幅方向に約0.08mm、深さ方向に約18μmが損失されたエッジ部が形成され、COレーザーに比べてメッキ層の損失が顕著に減ったことが確認できる。
【0045】
一方、Zn-Mg-Al系メッキ鋼板をファイバー(Fiber)レーザーを導入してメッキ層の損失を最小化してもレーザーの熱的効果(thermal effect)によりメッキ層が遺失されて素地鋼板が露出されるエッジ部は腐食に脆弱であるしかない。
【0046】
したがって、本発明では、液体形態の塗料を導入して塗装することによってレーザーエッジ部の耐食性を向上させるだけでなく、段差発生問題も解決しようとした。
【0047】
パウダー形態である粉体塗料を用いる場合には、相対的に粒子が大きいパウダーがエッジ部まで塗装するのに困難がある。したがって、粉体塗料に比べて段差がひどい所にも適用可能な液体形態の塗料を導入しようとした。
【0048】
開示された実施形態によると、フッ素を含む液体形態の塗料組成物を活用して切断したメッキ鋼板を塗装することができる。
【0049】
フッ素(F)を含有する液体形態の塗料組成物は、粉体塗料に比べて耐久性に優れ、相対的に粒子サイズが小さいため段差がある部分にも適用が可能である。
【0050】
図5は、COレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、粉体塗装を行った後にメッキ鋼板を撮影した写真であり、図6は、COレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、粉体塗装を行った後、72時間の間の塩水噴霧耐食性の評価結果を示した写真である。
【0051】
図5を参照すると、COレーザー切断により約0.2mmの幅を有するエッジ部が形成され、粉体塗装を導入しても切断面のエッジ部は塗装層が形成されていないことが確認できる。このような未塗装現象により、最終製品である外装パネルで要求する耐食性を確保することができない。
【0052】
具体的に、図6を参照すると、ISO 9227/ASTM B118(5%NaCl、35℃)で施行された塩水噴霧試験の結果、72時間で赤錆が深刻に発生したことが確認できる。
【0053】
図7は、COレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、フッ素塗装を行った後にメッキ鋼板を撮影した写真である。
【0054】
図7を参照すると、フッ素を含有する液体形態の塗料組成物でCOレーザー工程によるメッキ層のエッジ部を塗装し得ることが確認できる。しかし、このような場合にもエッジ部で十分な塗装層の厚さを確保することができいため、最終製品である外装パネルで要求する耐食性要件を満たすことができない。
【0055】
図8は、Fiberレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、フッ素塗装を行った後にメッキ鋼板を撮影した写真であり、図9は、Fiberレーザーを用いてZn-Al-Mg系メッキ鋼板を切断し、フッ素塗装を行った後、4000時間の間の塩水噴霧耐食性の評価結果を示した写真である。
【0056】
図8を参照すると、Fiberレーザーで切断してCOレーザーに比べてメッキ層の損失を減らせるだけでなく、Fiberレーザー工程により形成されたメッキ層のエッジ部の上面に十分な厚さの塗装層を形成して耐食性を確保し得ることが確認できる。
【0057】
具体的に、図9を参照すると、ISO 9227/ASTM B118(5%NaCl、35℃)で施行された塩水噴霧試験の結果、4,000時間が経った後にも腐食が発生しなかったことが確認できる。
【0058】
次に、本発明の他の一側面による外装パネル用メッキ鋼板に対して説明する。
【0059】
本発明の他の一側面による外装パネル用メッキ鋼板は、素地鋼板、Zn-Al-Mg系メッキ層及び塗装層が順次に積層されて形成され、前記Zn-Al-Mg系メッキ層は、レーザー切断によりメッキ層が除去されるエッジ部を含む。Zn-Al-Mg系メッキ層及びレーザー切断によりメッキ層が除去されるエッジ部に対する説明は上述した通りである。
【0060】
素地鋼板を形成し、一連のZn-Al-Mg系メッキ、切断及び塗装を行って最終外装パネル用メッキ鋼板を製造することができる。
【0061】
このとき、前記エッジ部に形成される塗装層は、Zn-Al-Mg系メッキ層の厚さ以上で形成され、同時にZn-Al-Mg系メッキ層の上面に形成される塗装層の厚さの半分以上の厚さで形成され得る。
【0062】
図8を参照すると、前記エッジ部に形成される塗装層Aは、Zn-Al-Mg系メッキ層Bの厚さ以上で形成され得る。同時に、前記エッジ部に形成される塗装層Aは、Zn-Al-Mg系メッキ層の上面に形成される塗装層Cの厚さの半分以上の厚さで形成され得る。
【0063】
また、Zn-Al-Mg系メッキ層で、エッジ部の幅は、100μm以下であってもよい。
【0064】
開示された実施形態によると、レーザー切断条件及び塗装条件を最適化することによって、外装パネル用メッキ鋼板のレーザー切断過程中の熱的効果を最小化し、耐食性を向上させ得る。
【0065】
以上、本発明の例示的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されず、該当技術分野において通常の知識を有した者であれば、次に記載する特許請求の範囲の概念と範囲を脱しない範囲内で多様に変更及び変形が可能であることを理解すべきである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の一例によると、外装パネルメッキ鋼板の複雑な形状を具現するためのレーザー切断過程中の熱的効果を最小化し、耐食性が向上した外装パネル用メッキ鋼板及びその製造方法を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】