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特表2023-554540切断型修飾組換えADAMTS13およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】切断型修飾組換えADAMTS13およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/57 20060101AFI20231220BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231220BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231220BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20231220BHJP
   C12N 9/64 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 38/48 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20231220BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20231220BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 9/58 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
C12N15/57
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12P21/02 A
C12N9/64 Z
A61P7/02
A61P31/04
A61P11/00
A61P7/06
A61P7/00
A61P9/10
A61P43/00 111
A61K38/48
A61K47/65
A61K47/34
A61K9/14
A61K9/06
A61K9/50
A61K9/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551649
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 US2021057013
(87)【国際公開番号】W WO2022094051
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/106,699
(32)【優先日】2020-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596115687
【氏名又は名称】ザ チルドレンズ メディカル センター コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】523168973
【氏名又は名称】アメリカ合衆国
【住所又は居所原語表記】Food and Drug Administration,Technology Transfer Program,10903 New Hampshire Avenue,WO1,Room 4213,Silver Spring,Maryland 20993,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コーヘン,ダニエル エス.
(72)【発明者】
【氏名】イブラ,ジュアン シー.
(72)【発明者】
【氏名】カトネニ,ウペンドラ
(72)【発明者】
【氏名】キム-チ-サーファティ,チャバ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA03
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA31
4B065CA44
4C076AA09
4C076AA30
4C076AA64
4C076AA67
4C076AA94
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB14
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC14
4C076CC31
4C076CC41
4C076EE24
4C076EE24M
4C076EE48
4C076EE48M
4C076EE59
4C076FF32
4C076GG26
4C076GG31
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA06
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084CA53
4C084CA56
4C084DC09
4C084MA05
4C084MA28
4C084MA38
4C084MA43
4C084MA66
4C084NA12
4C084NA14
4C084ZA361
4C084ZA511
4C084ZA541
4C084ZA551
4C084ZB351
4C084ZC191
(57)【要約】
ADAMTS13の切断型修飾組換え形態であるポリペプチド、ポリペプチドをコードする核酸分子、ポリペプチドを含む薬物送達組成物および医薬組成物、ならびにポリペプチドおよび組成物を(例えば、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の治療において)使用する方法が、本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号7(mrADAMST13)と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含むポリペプチドであって、前記ペプチドが、配列番号5(ADAMTS13)ではない、前記ポリペプチド。
【請求項2】
配列番号7と少なくとも92%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
配列番号7と少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
配列番号7と少なくとも97%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号7と少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項6】
配列番号7と少なくとも99.5%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
配列番号7を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項8】
配列番号7からなる、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項9】
組換えタンパク質である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
【請求項11】
ヌクレオチド配列が、配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも85%、87%、90%、92%、95%、97%、99%、または99.5%の配列同一性を有する、請求項10に記載の核酸分子。
【請求項12】
ヌクレオチド配列が、配列番号3のヌクレオチド配列を含む、請求項10または11に記載の核酸分子。
【請求項13】
ヌクレオチド配列が、配列番号3のヌクレオチド配列からなる、請求項10~12のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項15】
プラスミドである、請求項14に記載のベクター。
【請求項16】
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項10~13のいずれか一項に記載の核酸分子、または請求項14もしくは15に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項17】
単離された宿主細胞である、請求項16に記載の細胞。
【請求項18】
HEK 293細胞である、請求項16または17に記載の細胞。
【請求項19】
請求項16~18のいずれか一項に記載の細胞を、ポリペプチドを発現できる条件下で、培養培地で培養することを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリペプチドを産生する方法。
【請求項20】
ポリペプチドが、分泌される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
培養培地からポリペプチドを回収することをさらに含む、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む、薬物送達組成物。
【請求項23】
粒子またはヒドロゲルを含む、請求項22に記載の薬物送達組成物。
【請求項24】
ナノ粒子を含む、請求項22または23に記載の薬物送達組成物。
【請求項25】
マイクロ粒子を含む、請求項22または23に記載の薬物送達組成物。
【請求項26】
マイクロ粒子が、ポリペプチドをマイクロ粒子内に封入している、請求項25に記載の薬物送達組成物。
【請求項27】
マイクロ粒子が、ポリマーを含む、請求項25または26に記載の薬物送達組成物。
【請求項28】
マイクロ粒子が、合成ポリマーを含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の薬物送達組成物。
【請求項29】
マイクロ粒子が、ポリエステルを含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の薬物送達組成物。
【請求項30】
マイクロ粒子が、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、またはポリ(グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマーを含む、請求項25~29のいずれか一項に記載の薬物送達組成物。
【請求項31】
マイクロ粒子が、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)を含む、請求項25~30のいずれか一項に記載の薬物送達組成物。
【請求項32】
ポリペプチドの100%未満が、マイクロ粒子を緩衝溶液に入れた6時間後にマイクロ粒子から放出される、請求項25~31のいずれか一項に記載の薬物送達組成物。
【請求項33】
ポリペプチドの100%未満が、マイクロ粒子を緩衝溶液に入れた24時間後にマイクロ粒子から放出される、請求項25~31のいずれか一項に記載の薬物送達組成物。
【請求項34】
ポリペプチドの100%未満が、マイクロ粒子を緩衝溶液に入れた72時間後にマイクロ粒子から放出される、請求項25~33のいずれか一項に記載の薬物送達組成物。
【請求項35】
ポリペプチドの100%未満が、マイクロ粒子を緩衝溶液に入れた120時間後にマイクロ粒子から放出される、請求項25~34のいずれか一項に記載の薬物送達組成物。
【請求項36】
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項37】
請求項22~35のいずれか一項に記載の薬物送達組成物と、場合により薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項38】
ポリマーを含有する溶液中でポリペプチドを乳化して、第1の乳化を提供すること;
乳化剤を含有する溶液中で第1の乳化を乳化して、第2の乳化を提供すること;
溶媒を蒸発させること;および
マイクロ粒子を単離すること
を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリペプチドを含むマイクロ粒子を調製する方法。
【請求項39】
ポリマーが、合成ポリマーであるか、またはそれを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ポリマーが、ポリエステルであるか、またはそれを含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
ポリマーが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、もしくはポリ(グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマーであるか、またはそれを含む、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ポリマーが、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)であるか、またはそれを含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
血栓性の疾患もしくは状態を治療または予防する方法であって、これを必要とする対象へ、治療有効量の、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項22~35のいずれか一項に記載の薬物送達組成物、請求項36に記載の医薬組成物、または請求項37に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項44】
血栓性の疾患または状態が、後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、血栓性微小血管症、血小板減少症、微小血管血栓症、動脈血栓症、急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中、敗血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、脳梗塞、虚血/再灌流傷害、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症、または鎌状赤血球クリーゼである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
血栓性の疾患または状態が、後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、血栓性微小血管症、血小板減少症、微小血管血栓症、動脈血栓症、急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中、敗血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、脳梗塞、虚血/再灌流傷害、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症、鎌状赤血球症(SCD)、または鎌状赤血球クリーゼである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
投与が、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、もしくは頭蓋内の投与であるか、またはそれを含む、請求項43~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
投与が、皮下投与であるか、またはそれを含む、請求項43~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
対象が、哺乳動物である、請求項43~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
対象が、ヒトである、請求項43~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
対象のADAMTS13血漿濃度が、対象の基線の天然ADAMTS13血漿濃度を超えて増加する、請求項43~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
対象のADAMTS13血漿活性が、対象の基線の天然ADAMTS13血漿活性を超えて増加する、請求項43~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
フォン・ヴィルブランド因子(VWF)を切断する方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項23~35のいずれか一項に記載の薬物送達組成物、請求項36に記載の医薬組成物、または請求項37に記載の医薬組成物を、VWFと接触させることを含む、前記方法。
【請求項53】
接触が、細胞内で行われる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項22~35のいずれか一項に記載の薬物送達組成物、請求項36に記載の医薬組成物、または請求項37に記載の医薬組成物;および使用のための指示を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年10月28日に出願された「TRUNCATED MODIFIED RECOMBINANT ADAMTS13 AND USES THEREOF」と題する米国仮出願第63/106,699号に対する35 U.S.C.§119(e)の下での利益を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
ADAMTS13(トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリンおよびメタロプロテイナーゼ、メンバー13)は、フォン・ヴィルブランド因子切断プロテアーゼ(VWFCP)としても知られており、血液凝固に関与する大きなタンパク質であるフォン・ヴィルブランド因子(VWF)を切断する亜鉛含有メタロプロテアーゼ酵素である。これは血液中に分泌され、大きなVWF多量体を分解し、それらの望ましくない活性を低下させる。ヒト組換えADAMTS13は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)(N Engl J Med.2019 Oct 24;381(17):1653-1662)および鎌状赤血球症(SCD)の治療のために現在開発中である。その現在の製剤は、半減期が限定される静脈内投与によって投与され、ADAMTS13血漿活性の長期置換/補充には反復投与が必要である。したがって、特に静脈内ADAMTS13の補充および頻繁な投与を必要とする患者のために、ADAMTS13の改善された形態および/または製剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
概要 本開示は、増強された活性を有する切断型修飾ヒト組換えADAMTS13(mrADAMTS13)の薬物送達組成物(例として、合成マイクロ粒子にカプセル化)への製剤化が、異なる投与経路を介する送達を延長し得るという認識から生じる場合がある。血漿ADAMTS13活性の低下を伴う疾患、および異常な血栓形成を伴う疾患(例として、フォン・ヴィルブランド因子(VWF)によって媒介される)などの血栓性疾患を治療するための徐放性mrADAMTS13タンパク質活性の用途は、臨床的にかなり興味深い。
【0004】
一態様では、配列番号7(mrADAMST13)と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含むポリペプチドが本明細書で提供され、該ポリペプチドは配列番号5(ADAMTS13)ではない。
別の態様では、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が本明細書で提供される。
別の態様では、核酸分子を含むベクターが本明細書で提供される。
別の態様では、ポリペプチド、核酸分子、またはベクターを含む細胞が本明細書で提供される。
【0005】
別の態様では、ポリペプチドを産生する方法が本明細書で提供され、該方法は、ポリペプチドを発現させる条件下で、培養培地で細胞を培養することを含む。
別の態様では、生体適合性材料およびポリペプチドを含む薬物送達組成物が本明細書で提供される。ある種の実施形態では、薬物送達組成物は、ポリペプチドをカプセル化するマイクロ粒子を含む。
別の態様では、ポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
別の態様では、薬物送達組成物と、場合により薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が本明細書で提供される。
【0006】
別の態様では、ポリペプチドを含むマイクロ粒子を調製する方法が本明細書で開示され、該方法は、ポリマーを含有する溶液中でポリペプチドを乳化して第1の乳化を提供することと、乳化剤を含有する溶液中で第1の乳化を乳化して、第2の乳化を提供することと、第2の乳化の溶媒を蒸発させることと、該マイクロ粒子を単離することとを含む。
別の態様では、血栓性の疾患または状態を治療または予防する方法が本明細書で開示され、該方法は、それを必要とする対象に、本明細書に開示される治療有効量のポリペプチド、薬物送達組成物または医薬組成物を投与することを含む。
【0007】
別の態様では、フォン・ヴィルブランド因子(VWF)を切断する方法が本明細書で開示され、該方法は、本明細書に記載のポリペプチド、薬物送達組成物または医薬組成物をVWFと接触させることを含む。
別の態様では、本明細書に開示されるのは、本明細書に記載のポリペプチド、薬物送達組成物、または医薬組成物を含むキット;および使用のための指示である。
【0008】
上記の概要は、本明細書に開示される技術の実施形態、利点、特徴、および使用のいくつかを非限定的に説明することを意味する。本明細書で開示される技術の他の実施形態、利点、特徴、および使用は、詳細な説明、図面、実施例、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面の簡単な記載
添付の図面は、縮尺通りに描かれていない。図面において、様々な図に示されている同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の数字で表されている。明確にするために、すべての構成要素がすべての図面でラベル付けされるわけではない。特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面を伴うこの特許または特許出願公開の写しは、必要な料金の請求および支払いに応じて特許庁によって提供される。図面において:
【0010】
図1図1は、mrADAMTS13(OPT)(配列番号7)および全長野生型ADAMTS13(FL)(配列番号5)のmRNAプロファイルのプロットである。
図2図2は、mrADAMTS13(配列番号7)および全長野生型ADAMTS13(配列番号5)のウエスタンブロットを示す。
図3図3は、24時間および48時間でのmrADAMTS13(OPT)(配列番号7)および切断野生型ADAMTS13(WT)(配列番号6)の細胞発現(Flp-In HEK293細胞)ならびに関連するウエスタンブロット分析のプロットを示す。
【0011】
図4図4は、切断野生型ADAMTS13(WT)(配列番号6)と比較して、mrADAMTS13(OPT)(配列番号7)の増強された細胞発現(Flp-In HEK293細胞)および活性を示す一連のプロットである。
図5図5は、0~120時間でのPLGAマイクロ粒子からのmrADAMTS13(配列番号7)のin vitro放出動態および関連するウエスタンブロット分析のプロットを示す。
図6図6は、0~120時間での活性ADAMTS13比活性の徐放を示す一連のプロットである。mrADAMTS13(配列番号7)の活性をVWF-73 FRETSアッセイによって測定した。データは、6、24、72および120時間の全時点で保存された酵素ADAMTS13比活性を示す。
【0012】
図7図7は、マウスにおけるmrADAMTS13(配列番号7)の皮下注射後のADAMTS13の平均血漿濃度の線形プロットである。
図8図8は、マウスにおけるmrADAMTS13(配列番号7)の皮下注射後のADAMTS13の平均血漿濃度の片対数プロットである。
図9図9は、マウスにおけるmrADAMTS13(配列番号7)の皮下注射後のADAMTS13の平均血漿濃度の線形プロット(標準偏差バーあり)である。
図10図10は、マウスにおけるmrADAMTS13(配列番号7)の皮下注射後のADAMTS13の平均血漿濃度の片対数プロット(標準偏差バーあり)である。
【0013】
図11図11は、マウスにおけるmrADAMTS13(配列番号7)の皮下注射後の平均ADAMTS13血漿活性の線形プロットである。
図12図12は、マウスにおけるmrADAMTS13(配列番号7)の皮下注射後の平均ADAMTS13血漿活性の片対数プロットである。
図13図13は、マウスにおけるmrADAMTS13(配列番号7)の皮下注射後に天然ADAMTS13を差し引いた平均ADAMTS13血漿活性の線形プロットである。
図14図14は、マウスにおけるmrADAMTS13(配列番号7)の皮下注射後に天然ADAMTS13を差し引いた平均ADAMTS13血漿活性の片対数プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ある態様の詳細な記載
ポリペプチド、ポリペプチドをコードする核酸分子、ポリペプチドを含む薬物送達組成物、ポリペプチドを含む医薬組成物、ならびにポリペプチドおよび組成物を用いて血栓性疾患を治療する方法が本明細書に開示される。
【0015】
ポリペプチドは、強化された発現およびADAMTS13特異的VWF切断活性を有するADAMTS13(例として、mrADAMTS13)の修飾組換え切断である。mrADAMTS13は、細胞培養培地に分泌された場合、HEK293T細胞から約80kDaの分子量で容易に発現される。mrADAMTS13は、薬物送達組成物(例として、PLGAマイクロ粒子)にカプセル化され得る。組成物は、少なくとも120時間の期間、未変性ADAMTS13活性を放出し、mrADAMTS13が制御された徐放性薬物送達システムに適していることを実証している。
【0016】
開示された薬物送達組成物および医薬組成物は、現在臨床試験で開発されているADAMTS13の製剤とは対照的に、長期間にわたって測定可能なADAMTS13活性を送達する場合がある。ADAMTS13は静脈内投与され、頻繁な投与を必要とする。しかしながら、本明細書に開示される組成物は、徐放を提供し、安定した血漿濃度を維持し、静脈内ADAMTS13投与と比較して、より頻繁な反復投与の必要性を減少させる。mrADAMTS13および本開示の組成物のこれらの特徴はまた、ADAMTS13の抗血栓特性を、血栓性疾患、例えば異常な血栓形成を伴う疾患(例として、フォン・ヴィルブランド因子(VWF)によって媒介される)などのさらなる用途に拡張するのに役立つ。
【0017】
本開示は、mrADAMTS13が、有効なADAMTS13-VWF切断活性を有することが実証された最小分子要素を含有することを認識する。mrADAMTS13は、細胞発現およびADAMTS13活性の増強を提供する修飾DNA配列を含有する。この組換え切断は、分子量が減少するという技術的利点を提供し、全長野生型配列で観察される酵素特性を維持しながら、徐放用に設計された合成薬物送達系にカプセル化する可能性を提供する。具体的には、mrADAMTS13のPLGAカプセル化は、現在開発中の現在の組換えADAMTS13製品の半減期を超えて延びる期間にわたって投与量の正確な血漿濃度の徐放の利点を提供する。PLGA-mrADAMTS13などの開示された薬物送達および医薬組成物は、単回用量としてまたは持続注入によって様々な投与経路(例として、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内)を介してADAMTS13活性を送達するように設計されている。この調製物は、ADAMTS13の正確かつ制御された濃度/活性の投与および送達の頻度が有意に少なくて済むという潜在的な利点を有し、したがってADAMTS13活性の長期補充を必要とする患者において、患者の生活の質を大幅に改善し、慢性使用にまで及ぶ。
【0018】
したがって、配列番号7(mrADAMST13)と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する配列を含むポリペプチドが本明細書で提供され、該ポリペプチドは配列番号5(ADAMTS13)ではない。ある種の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号7と少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%のアミノ酸配列同一性を有する。ある種の実施形態では、ポリペプチドは配列番号7を含む。ある種の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号7から本質的になる。ある種の実施形態では、ポリペプチドは配列番号7からなる。ある種の実施形態では、ポリペプチドは組換えタンパク質である。
【0019】
「タンパク質」、「ペプチド」または「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって互いに連結されたアミノ酸残基のポリマーを含む。この用語は、任意のサイズ、構造または機能のタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドを指す。典型的には、タンパク質は少なくとも3アミノ酸長である。タンパク質とは、個々のタンパク質またはタンパク質の集合体を指す場合がある。本発明のタンパク質は、好ましくは天然アミノ酸のみを含有するが、当技術分野で知られる非天然アミノ酸(すなわち、天然には存在しないが、ポリペプチド鎖に組み込まれ得る化合物)および/またはアミノ酸類似体を代替的に使用する場合がある。また、タンパク質におけるアミノ酸の1つ以上は、例えば、炭水化物基、ヒドロキシル基、ホスファート基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーションもしくは官能化のためのリンカー、または他の修飾などの化学的実体の添加によって修飾される場合がある。タンパク質はまた、単一分子である場合、または多分子複合体である場合がある。タンパク質は、天然に存在するタンパク質またはペプチドの断片である場合がある。タンパク質は、天然、組換え、合成、またはこれらの任意の組み合わせである場合がある。
【0020】
ある種の実施形態では、ポリペプチドがシグナルペプチドをさらに含む。例えば、ある種の実施形態では、シグナルペプチドは、mrADAMST13のN末端に存在する。「シグナルペプチド」とは、分泌経路に向かう多数の新たに合成されたタンパク質のN末端に存在する短いペプチド(例として、16~30アミノ酸長)を指す。シグナルペプチドは、典型的には、分泌経路上の膜を通過するために必要であり、したがって、真核生物および原核生物の両方におけるほとんどのタンパク質の分泌経路への進入を普遍的に制御する。シグナルペプチドは、一般に、3つの領域を包含し、通常は正荷電アミノ酸を含む異なる長さのN末端領域、疎水性領域、および短いカルボキシ末端ペプチド領域である。真核生物では、新生前駆体タンパク質(プレタンパク質)のシグナルペプチドは、リボソームを粗面小胞体(ER)膜に導き、そこを横切る成長中のペプチド鎖の輸送を開始させる。しかしながら、シグナルペプチドは、成熟タンパク質の最終目的地に関与しない。配列中にさらなるアドレスタグを欠く分泌タンパク質は、デフォルトで外部環境に分泌される。シグナルペプチドは、小胞体(ER)に存在するシグナルペプチダーゼによって前駆体タンパク質から切断されるか、または切断されずに膜アンカーとして機能する。
【0021】
シグナルペプチドは、15~60アミノ酸の長さを有する場合がある。例えば、シグナルペプチドは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60アミノ酸の長さを有する場合がある。ある種の実施形態では、シグナルペプチドは、20~60、25~60、30~60、35~60、40~60、45~60、50~60、55~60、15~55、20~55、25~55、30~55、35~55、40~55、45~55、50~55、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50、15~45、20~45、25~45、30~45、35~45、40~45、15~40、20~40、25~40、30~40、35~40、15~35、20~35、25~35、30~35、15~30、20~30、25~30、15~25、20~25、または15~20アミノ酸の長さを有する場合がある。
【0022】
ある種の実施形態では、本開示のポリペプチドは、ポリペプチドの分泌を促進するためにN末端またはC末端のいずれかにシグナルペプチドを含有する。ある種の実施形態では、シグナルペプチドは、ポリペプチドのN末端にある。ある種の実施形態では、シグナルペプチドが、MHQRHPRARCPPLCVAGILACGFLLGCWG(配列番号8)のアミノ酸配列を含む。
【0023】
2つのアミノ酸配列の「同一性パーセント」は、Karlin and Altschul Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264-68,1990のアルゴリズムを使用して決定され、Karlin and Altschul Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-77,1993のように修正される。そのようなアルゴリズムは、Altschul,et al.J.Mol.Biol.215:403-10,1990のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる。BLASTタンパク質検索は、目的のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実施され得る。2つの配列間にギャップが存在する場合、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25(17):3389-3402,1997に記載されているように、Gapped BLASTが利用され得る。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータ(例として、XBLASTおよびNBLAST)が使用され得る。
【0024】
アミノ酸置換は、合成プロセスにおいて適切な配列で所望の置換アミノ酸を付加することによって、ポリペプチドの化学合成中に達成され得る。あるいは、分子生物学的方法が使用され得る。非保存的置換もまた、本明細書に記載されるそれらのペプチドの活性を実質的に保持する程度まで網羅する。
【0025】
ある種の実施形態では、アミノ酸置換ポリペプチドは、非置換ポリペプチドの活性を実質的に保持する。「実質的に保持する」とは、類似のアッセイにおいて、類似の条件下で、元のポリペプチドの活性と比較して、変異体の1つ以上の活性が少なくとも50%であることを意味する。ある種の実施形態では、活性は、元のポリペプチドと比較して、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍またはそれ以上の活性である。
【0026】
ある種の実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチド(例として、野生型または変異体)を1つ以上のタグに融合する1つ以上のリンカーを含む。「リンカー」とは、2つの分子または部分を連結する化学基または分子を指す。典型的には、リンカーは2つの基、分子、ドメイン、または他の部分の間に位置するか、またはそれらによって挟まれ、共有結合によって各1つに接続され、それゆえに2つを接続する。リンカーは、共有結合と同じくらい単純である場合、または多くの原子長のポリマーリンカーである場合がある。ある種の実施形態では、リンカーはポリペプチドであるか、またはアミノ酸に基づく。ある種の実施形態では、リンカーはペプチド様ではない。ある種の実施形態では、リンカーは共有結合(例として、炭素-炭素結合、ジスルフィド結合、炭素-ヘテロ原子結合等である)である。ある種の実施形態では、リンカーは、アミド結合の炭素-窒素結合である。ある種の実施形態では、リンカーは、環状または非環状、置換または非置換、分岐または非分岐の脂肪族またはヘテロ脂肪族のリンカーである。ある種の実施形態では、リンカーはポリマー(例として、ポリエチレン、ポリエチレングリコール、ポリアミド、ポリエステル等)である。ある種の実施形態では、リンカーは、アミノアルカン酸のモノマー、ダイマーまたはポリマーを含む。ある種の実施形態では、リンカーは、アミノアルカン酸(例として、グリシン、エタン酸、アラニン、β-アラニン、3-アミノプロパン酸、4-アミノブタン酸、5-ペンタン酸等)を含む。ある種の実施形態では、リンカーは、アミノヘキサン酸(Ahx)のモノマー、ダイマーまたはポリマーを含む。ある種の実施形態では、リンカーは、炭素環式部分(例として、シクロペンタン、シクロヘキサン)に基づく。他の実施形態では、リンカーはポリエチレングリコール部分(PEG)を含む。他の実施形態では、リンカーはアミノ酸を含む。ある種の実施形態では、リンカーはペプチドを含む。ある種の実施形態では、リンカーは、アリールまたはヘテロアリール部分を含む。ある種の実施形態では、リンカーはフェニル環を含む。リンカーは、ペプチドからリンカーへの求核剤(例として、チオール、アミノ)の結合を促進するための官能化部分を包含する場合がある。任意の求電子剤をリンカーの一部として使用する場合がある。例示的な求電子剤には、活性化エステル、活性化アミド、マイケル受容体、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アシルおよびイソチオシアネートが包含されるが、これらに限定されない。
【0027】
ある種の実施形態においては、リンカーはアミノ酸または複数のアミノ酸(例としてペプチドまたはタンパク質)である。ある種の実施形態では、リンカーは、結合(例として、共有結合)、有機分子、基、ポリマー、または化学部分である。ある種の実施形態では、リンカーは、1~100アミノ酸長であり、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~110、110~120、120~130、130~140、140~150、または150~200アミノ酸長である。より長いリンカーまたはより短いリンカーも企図される。
【0028】
ある種の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列KGELGTELGSE(配列番号9)を含む。ある種の実施形態では、リンカーは、アミノ酸配列RTGを含む。
ある種の実施形態では、リンカーがV5タグをポリペプチド(例として、野生型または変異体)に連結する。いくつかの実施形態では、V5タグは、アミノ酸配列GKPIPNPLLGLDST(配列番号10)を含む。ある種の実施形態では、リンカーは、Hisタグをポリペプチド(例として、野生型または変異体)に連結する。いくつかの実施形態では、Hisタグは、アミノ酸配列HHHHHH(配列番号11)を含む。
【0029】
ある種の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、修飾を含む。ポリペプチドが本明細書で言及される場合、そのすべての変異体および誘導体を網羅する。修飾を含むポリペプチドは、アミノ酸含有量以外のさらなる特徴を有する。本明細書で使用される場合、タンパク質またはポリペプチドの「修飾」または「誘導体」は、修飾ポリペプチドまたは誘導体化ポリペプチドを産生し、これは、参照ペプチドに対して化学的に修飾された所与のペプチドの形態であり、修飾は、オリゴマー化または重合、アミノ酸残基またはペプチド骨格の修飾、架橋、環化、コンジュゲーション、PEG化、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アシル化、カルボキシル化、脂質化、チオグリコール酸アミド化、アルキル化、メチル化、ポリグリシル化、グリコシル化、ポリシアリル化、アデニル化、PEG化、さらなる異種アミノ酸配列との融合、または本明細書に記載されるポリペプチドの活性を実質的に保持しながらペプチドの安定性、溶解性、または他の特性を実質的に変化させる他の修飾を包含するが、これらに限定されない。そのような修飾を含むポリペプチドは、架橋、環化、コンジュゲーション、アシル化、カルボキシル化、脂質化、アセチル化、チオグリコール酸アミド化、アルキル化、メチル化、ポリグリシル化、グリコシル化、ポリシアル酸化、リン酸化、アデニル化、PEG化、またはそれらの組み合わせであると理解されるべきである。ある種の実施形態では、本開示の修飾ポリペプチドは、ポリエチレングリコール、脂質、多糖類または単糖類、およびホスファートなどの非アミノ酸要素を含有する場合がある。本開示のポリペプチドは、C末端(例として、C末端アミド化)、N末端(例として、N末端アセチル化)に本明細書に開示の修飾を含む場合がある。末端修飾は、プロテイナーゼ消化に対する感受性を低下させるために有用であり、周知であり、したがって、溶液、特にプロテアーゼが存在する場合の生物学的流体中でのポリペプチドの半減期を延長するのに役立つ。ある種の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドは、末端NH2アシル化、例としてアセチル化、またはチオグリコール酸アミド化による修飾、末端カルボキシルアミド化、例としてアンモニア、メチルアミンなどの末端修飾による修飾など、配列内でさらに修飾される。
【0030】
末端修飾は、プロテイナーゼ消化よる感受性を低下させるために有用であり、したがって、溶液、特にプロテアーゼが存在する場合の生物学的流体中でのポリペプチドの半減期を延長するのに役立ち得る。アミノ末端修飾は、メチル化(例として、--NHCH3または--N(CH3)2)、アセチル化(例として、酢酸またはa-クロロ酢酸、a-ブロモ酢酸、もしくはa-ヨード酢酸などの酢酸のハロゲン化誘導体)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基の付加、またはRCOO--によって定義されるカルボキシレート官能基もしくはR--SO2--によって定義されるスルホニル官能基を含有する任意のブロック基でアミノ末端をブロックすることを包含し、式中、Rは、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリールなど、および同様の基からなる群から選択される。プロテアーゼに対する感受性を低下させるために、またはポリペプチドの立体配座を制限するために、N末端に(N末端アミノ基が存在しないように)デスアミノ酸を組み込み得る。ある種の実施形態では、N末端は、酢酸または無水酢酸でアセチル化される。
【0031】
カルボキシ末端修飾は、構造的制約を導入するために、遊離酸をカルボキサミド基で置換すること、またはカルボキシ末端で環状ラクタムを形成することを包含する。プロテアーゼに対する感受性を低下させるために、またはペプチドの立体配座を制限するために、本明細書に記載されるペプチドを環化することも、またはペプチドの末端にデスアミノ残基もしくはデスカルボキシ残基を組み込むこともでき、その結果、末端アミノ基もしくはカルボキシル基が存在しない。環状ペプチド合成の方法は、当技術分野で、例えば、米国特許出願第20090035814号、Muralidharan and Muir,2006,Nat Methods,3:429-38およびLockless and Muir,2009,Proc Natl Acad Sci U S A.Jun 18,Epubで知られている。本明細書に記載されるペプチドのC末端官能基は、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシおよびカルボキシならびにそれらの低級エステル誘導体、ならびにそれらの薬学的に許容され得る塩を包含する。
【0032】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチドは、リン酸化される。リン酸化および他の方法(例として、Hruby,et al.(1990)Biochem J.268:249-262に記載されている)によってペプチドを容易に修飾し得る。ある種の実施形態では、遺伝的にコードされたアミノ酸(または立体異性体Dアミノ酸)の天然に存在する側鎖を、他の側鎖、例えばアルキル、低級(C1-6)アルキル、環式4、5、6~7員アルキル、アミド、アミド低級アルキルアミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびそれらの低級エステル誘導体などの基、ならびに4、5、6~7員複素環で置き換え得る。例えば、プロリン残基の環の大きさを5員から4員、6員または7員に変更したプロリン類似体を採用し得る。
【0033】
環式基は飽和または不飽和であり得、不飽和である場合、芳香族または非芳香族であり得る。複素環基は、好ましくは、1つ以上の窒素、酸素および/または硫黄のヘテロ原子を含有する。そのような基の例は、フラザニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル(例として、モルホリノ)、オキサゾリル、ピペラジニル(例として、1-ピペラジニル)、ピペリジル(例として、1-ピペリジル、ピペリジノ)、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル(例として、1-ピロリジニル)、ピロリニル、ピロリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、チオモルホリニル(例として、チオモルホリノ)およびトリアゾリル基を包含する。これらの複素環基は、置換または非置換であり得る。基が置換される場合、置換基は、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、酸素、または置換もしくは非置換のフェニルであり得る。
【0034】
本開示の他の態様は、ポリペプチドを産生する方法を提供する。ポリペプチドは、一般に、適切な細胞(例として、細菌細胞または真核細胞)における核酸からの発現によって産生され、単離される。ポリペプチドを産生するために、ポリペプチドをコードする核酸を細胞に導入する場合がある。細胞は、ポリペプチドをコードする核酸からポリペプチドが発現することを可能にする条件下で培養される場合がある。シグナルペプチドを含むポリペプチドは、例として培養培地中に分泌され得、その後回収され得る。ポリペプチドは、当技術分野で知られるタンパク質を精製する任意の方法を使用して単離される場合がある。
【0035】
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、DNAおよびRNAの一連のヌクレオチド塩基(「ヌクレオチド」とも呼ばれる)を指し、2つ以上のヌクレオチドの任意の鎖を意味する。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のキメラ混合物もしくは誘導体またはそれらの修飾バージョンであり得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、分子の安定性、そのハイブリダイゼーションパラメータ等を改善するために、塩基部分、糖部分、またはホスファート骨格で修飾され得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、限定されるものではないが、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルケオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルケオシン、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、ケオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、チオ-グアニン、および2,6-ジアミノプリンを包含する群から選択される修飾塩基部分を含む場合がある。ヌクレオチド配列は、典型的には、タンパク質および酵素を作製するために細胞機構によって使用される情報を包含する遺伝情報を有する。これらの用語は、二本鎖または一本鎖のゲノムおよびcDNA、RNA、任意の合成および遺伝子操作されたポリヌクレオチド、ならびにセンスポリヌクレオチドおよびアンチセンスポリヌクレオチドの両方を包含する。これは、一本鎖および二本鎖分子、すなわちDNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAハイブリッド、ならびに塩基をアミノ酸骨格にコンジュゲーションすることによって形成された「タンパク質核酸」(PNA)を包含する。これは、炭水化物または脂質を含有する核酸を包含する。例示的なDNAは、一本鎖DNA(ssDNA)、二本鎖DNA(dsDNA)、プラスミドDNA(pDNA)、ゲノムDNA(gDNA)、相補的DNA(cDNA)、アンチセンスDNA、葉緑体DNA(ctDNAまたはcpDNA)、マイクロサテライトDNA、ミトコンドリアDNA(mtDNAまたはmDNA)、キネトプラストDNA(kDNA)、プロウイルス、溶原菌、反復DNA、サテライトDNAおよびウイルスDNAを包含する。例示的なRNAは、一本鎖RNA(ssRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、前駆体メッセンジャーRNA(プレ-mRNA)、低分子ヘアピンRNAまたは短分子ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ガイドRNA(gRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)、ヘテロ核RNA(hnRNA)、コードRNA、非コードRNA(ncRNA)、長鎖非コードRNA(長鎖ncRNAまたはlncRNA)、サテライトRNA、ウイルスサテライトRNA、シグナル認識粒子RNA、低分子細胞質RNA、低分子核RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、PiWi相互作用RNA(piRNA)、ポリイノシン酸、リボザイム、フレキシザイム、低分子核小体RNA(snoRNA)、スプライシングされたリーダーRNA、ウイルスRNA、およびウイルスサテライトRNAを包含する。
【0036】
本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸は、当技術分野で知られる任意の方法によって得られる場合があり、核酸のヌクレオチド配列が決定され得る。本明細書に記載のポリペプチドまたは変異体をコードする非限定的な例示的ヌクレオチド配列、例として配列番号1~4が提供される。当業者は、ポリペプチドのアミノ酸配列からポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を同定することができる。本開示のポリペプチドをコードする核酸は、二本鎖または一本鎖のDNAまたはRNAである場合がある。ある種の実施形態では、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、異なる発現系(例として、哺乳動物の発現のために)に適合するようにコドン最適化される場合がある。
【0037】
したがって、本明細書では、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子が提供される。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3または配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.5%の配列同一性を有する。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3または配列番号4のヌクレオチド配列を含む。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3または配列番号4のヌクレオチド配列から本質的になる。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3または配列番号4のヌクレオチド配列からなる。
【0038】
ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%の配列同一性を有する。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド配列を含む。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド配列から本質的になる。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号3のヌクレオチド配列からなる。
【0039】
ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%の配列同一性を有する。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列を含む。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列から本質的になる。ある種の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号4のヌクレオチド配列からなる。
【0040】
本明細書に記載のポリヌクレオチドまたは核酸分子は、当技術分野で知られる標準的な方法、例として自動DNA合成機(Biosearch、Applied Biosystems等から市販されているものなど)の使用によって合成される場合がある。例として、ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドは、Stein et al.,Nucl.Acids Res.,16,3209,(1988)の方法によって合成される場合があり、メチルホスホナートオリゴヌクレオチドは、制御細孔ガラスポリマー支持体(Sarin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85,7448-7451,(1988))を使用することによって調製され得る。アンチセンスDNAまたはRNAを細胞に送達するためのいくつかの方法が開発されており、例として、アンチセンス分子を組織部位に直接注射し、または所望の細胞を標的とするように設計された修飾アンチセンス分子(標的細胞表面に発現される受容体または抗原に特異的に結合するペプチドまたは抗体に連結されたアンチセンス)を全身投与し得る。あるいは、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のin vitroおよびin vivo転写によって生成される場合がある。そのようなDNA配列は、T7またはSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込む多種多様なベクターに組み込まれる場合がある。あるいは、使用されるプロモーターに応じて、アンチセンスRNAを構成的または誘導的に合成するアンチセンスcDNA構築物は細胞株に安定に導入され得る。しかしながら、内在性mRNAの翻訳を抑制するのに十分なアンチセンスの細胞内濃度を達成することは困難であることが多い。したがって、好ましいアプローチは、アンチセンスオリゴヌクレオチドが強力なプロモーターの制御下に置かれる組換えDNA構築物を利用する。患者の標的細胞をトランスフェクションするような構築物の使用は、内因性標的遺伝子転写物と相補的塩基対を形成し、それによって標的遺伝子mRNAの翻訳を妨げる十分な量の一本鎖RNAの転写をもたらす。例えば、ベクターは、細胞によって取り込まれ、アンチセンスRNAの転写を指示するようにin vivoで導入され得る。そのようなベクターは、転写されて所望のアンチセンスRNAを産生することができる限り、エピソームのままであり得るか、または染色体に組み込まれ得る。そのようなベクターは、当技術分野で標準的な組換えDNA技術方法によって構築され得る。ベクターは、哺乳動物細胞における複製および発現に使用されるプラスミド、ウイルス、または当技術分野で知られる他のものであり得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、哺乳動物細胞、好ましくはヒトの細胞において作用することが当技術分野で知られる任意のプロモーターによるものであり得る。そのようなプロモーターは、誘導性または構成的であり得る。組織部位に直接導入され得る組換えDNA構築物を調製するために、任意のタイプのプラスミド、コスミド、酵母人工染色体またはウイルスベクターが使用され得る。
【0041】
ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、天然の調節(発現制御)配列に隣接する場合があり、またはプロモーター、内部リボソーム進入部位(IRES)および他のリボソーム結合部位配列、エンハンサー、応答エレメント、サプレッサー、シグナル配列、ポリアデニル化配列、イントロン、5'-および3'-非コード領域などを包含する異種配列に関連する場合がある。核酸はまた、当技術分野で知られる多くの手段によって修飾される場合がある。そのような修飾の非限定的な例は、メチル化、「キャップ」、類似体を用いた天然に存在するヌクレオチドの1つ以上の置換、およびヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電結合(例として、メチルホスホナート、ホスホトリエステル、ホスホロアミダート、カルバマート等)および荷電結合(例として、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート等)を有するものなどを包含する。ポリヌクレオチドは、1つ以上のさらなる共有結合部分、例えば、タンパク質(例として、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジン等)、挿入剤(例として、アクリジン、ソラレン等)、キレート剤(例として、金属、放射性金属、鉄、酸化金属等)およびアルキル化剤などを含有する場合がある。ポリヌクレオチドは、メチルもしくはエチルホスホトリエステルまたはアルキルホスホルアミダート結合の形成によって誘導体化される場合がある。さらに、本明細書のポリヌクレオチドはまた、直接的または間接的のいずれかで検出可能なシグナルを提供することができる標識で修飾される場合がある。例示的な標識は、放射性同位体、蛍光分子、同位体(例として、放射性同位元素)、ビオチンなどを包含する。
【0042】
ある種の実施形態では、核酸は、発現ベクターなどのベクター内に含まれる。ある種の実施形態では、ベクターは、核酸に作動可能に連結されたプロモーターを含む。ある種の実施形態では、ベクターはプラスミドである。
本明細書に記載のポリペプチドの発現には、サイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター、ウイルスLTR、ラウス肉腫ウイルスLTR、HIV-LTR、HTLV-1 LTR、シミアンウイルス40(SV 40)初期プロモーター、大腸菌lac UV 5プロモーター、および単純ヘルペスtkウイルスプロモーターを包含するが、これらに限定されない様々なプロモーターなどが使用され得る。
【0043】
調節可能なプロモーターも使用され得る。そのような調節可能なプロモーターは、lacオペレーターを持つ哺乳動物細胞プロモーターからの転写を調節するための転写調節因子として大腸菌由来のlacリプレッサーを使用するもの[Brown,M.et al.,Cell,49:603-612(1987)]、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を使用するもの[Gossen,M.,and Bujard,H.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:5547-5551(1992)、Yao,F.et al.,Human Gene Therapy,9:1939-1950(1998)、Shockelt,P.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:6522-6526(1995)]を包含する。他の系は、アストラジオール、RU486、ジフェノールムリスレロンまたはラパマイシンを使用するFK506二量体、VP16またはp65を包含する。誘導可能な系は、Invitrogen、ClontechおよびAriadから入手可能である。
【0044】
オペロンを有するリプレッサーを包含する調節可能なプロモーターが使用され得る。一実施形態では、大腸菌由来のlacリプレッサーは、lacオペレーターを持つ哺乳動物細胞プロモーター[M.Brown et al.,Cell,49:603-612(1987)]、Gossen and Bujard(1992)、[M.Gossen et al.,Natl.Acad.Sci.USA,89:5547-5551(1992)]からの転写を調節する転写調節因子として機能し得、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を転写活性化因子(VP 16)と組み合わせて、tetR-哺乳動物細胞転写活性化因子融合タンパク質のtTa(tetR-VP 16)を作製し、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)主要最初期プロモーターに由来する、tetOを持つ最小プロモーターを用いて、哺乳動物細胞における遺伝子発現を制御するtetR-tetオペレーター系を作製した。一実施形態では、テトラサイクリン誘導性スイッチが使用される(Yao et al.,Human Gene Therapy;Gossen et al.,Natl.Acad.Sci.USA,89:5547-5551(1992)、Shockett et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:6522-6526(1995))。
【0045】
さらに、ベクターは、例えば、下記の一部または全部を含有し得る。選択マーカー遺伝子、哺乳動物細胞における安定なトランスフェクタントまたは一過性のトランスフェクタントを選択するためのネオマイシン遺伝子、高レベルの転写のためのヒトCMVの最初期遺伝子からのエンハンサー/プロモーター配列、mRNA安定性のためのSV40からの転写終結およびRNAプロセシングシグナル、SV40ポリオーマ複製起点および適切なエピソーム複製のためのColE1、内部リボソーム結合部位(IRES)、多用途マルチクローニング部位、ならびにセンスRNAおよびアンチセンスRNAのin vitro転写のためのT7およびSP6 RNAプロモーターなど。導入遺伝子を含有するベクターを作製するための好適なベクターおよび方法は周知であり、当技術分野で利用可能である。
【0046】
核酸を含む発現ベクターは、従来の技術(例として、エレクトロポレーション、リポソームトランスフェクションおよびリン酸カルシウム沈殿)によって宿主細胞に移入され得、次いで、トランスフェクションされた細胞を従来の技術によって培養して、本明細書に記載のポリペプチドを産生する。ある種の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチドの発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは組織特異的プロモーターによって調節される。
【0047】
本明細書に記載のポリペプチドを発現するために使用される宿主細胞は、大腸菌などの細菌細胞、または好ましくは真核細胞のいずれかである場合がある。ある種の実施形態では、細胞は、単離された宿主細胞である。ある種の実施形態では、細胞はHEK 293細胞である。
【0048】
種々の宿主発現ベクター系を利用して、本明細書に記載のポリペプチドを発現させる場合がある。そのような宿主発現系は、本明細書に記載される単離されたポリペプチドのコード配列が産生される場合があり、続いて精製され得るビヒクルを表すが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクションされた場合、本明細書に記載されるポリペプチドをin situで発現し得る細胞も表す場合がある。これらは、本明細書に記載のポリペプチドのコード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例として、大腸菌およびB.subtilis)などの微生物、本明細書に記載のポリペプチドをコードする配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例として、Saccharomyces pichia)、本明細書に記載のポリペプチドをコードする配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例として、baclovirus)に感染した昆虫細胞系、組換えウイルス発現ベクター(例として、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)およびタバコモザイクウイルス(TMV)に感染した植物細胞系、または本明細書に記載のポリペプチドをコードする配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例として、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系、または哺乳動物細胞(例として、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス(例として、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)のゲノムに由来するプロモーターを含有する組換え発現構築物を有する哺乳動物細胞系(例として、COS、CHO、BHK、HEK 293、HEK 293T、3T3細胞、リンパ系細胞(米国特許第5,807,715号を参照)、Per C.6細胞(Crucellによって開発されたヒト網膜細胞)を包含するが、これらに限定されない。
【0049】
細菌系では、発現されるポリペプチドに意図される用途に応じて、多数の発現ベクターを有利に選択する場合がある。例えば、大量のそのようなタンパク質が産生される場合、本明細書に記載されるポリペプチドの医薬組成物の生成のために、容易に精製される高レベルのポリペプチド産物の発現を指示するベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターは、大腸菌発現ベクターpUR278(Ruether et al.(1983) "Easy Identification of cDNA Clones," EMBO J.2:1791-1794)(コード配列は、ポリペプチドが産生されるように、lac Zコード領域とインフレームでベクターに個別に連結される場合がある)、pINベクター(Inouye et al.(1985) "Up-Promoter Mutations In The lpp Gene of Escherichia Coli," Nucleic Acids Res.13:3101-3110、Van Heeke et al.(1989) "Expression of Human Asparagine Synthetase in Escherichia Coli," J.Biol.Chem.24:5503-5509)を包含するが、これらに限定されない。pGEXベクターを使用して、外来ポリペプチドをグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)と共に発現させる場合もある。一般に、そのようなポリペプチドは可溶性であり、マトリックスグルタチオン-アガロースビーズへの吸着および結合、続いて遊離グルタチオンの存在下での溶出によって溶解細胞から容易に精製され得る。pGEXベクターは、クローン化された標的遺伝子産物がGST部分から放出され得るように、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部位を包含するように設計される。
【0050】
昆虫系では、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして、オートグラファ・カリフォルニカ核多角体病ウイルス(AcNPV)が用いられている。このウイルスはスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞で増殖する。コード配列は、ウイルスの非必須領域(例として、ポリヘドリン遺伝子)に個別にクローニングされ、AcNPVプロモーター(例として、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置かれる場合がある。
【0051】
哺乳動物宿主細胞では、いくつかのウイルス系発現系が利用される場合がある。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、目的のコード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例として、後期プロモーターおよび三要素リーダー配列に連結される場合がある。次いで、このキメラ遺伝子は、in vitroまたはin vivoの組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入される場合がある。ウイルスゲノムの非必須領域(例として、領域E1またはE3)への挿入は、生存可能であり、感染宿主において免疫グロブリン分子を発現することができる組換えウイルスをもたらす(例として、Logan et al.(1984) "Adenovirus Tripartite Leader Sequence Enhances Translation Of mRNAs Late After Infection," Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3655-3659を参照)。特異的な開始シグナルもまた、挿入された抗体コード配列の効率的な翻訳のために必要とされる場合がある。これらのシグナルは、ATG開始コドンおよび隣接配列を包含する。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために所望のコード配列のリーディングフレームと同調しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方の様々な起源のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーター等を含めることによって高められる場合がある(Bitter et al.(1987) "Expression And Secretion Vectors For Yeast," Methods in Enzymol.153:516-544を参照)。
【0052】
さらに、挿入配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選択する場合がある。タンパク質産物のそのような修飾(例として、グリコシル化)およびプロセシング(例として、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。組換えタンパク質の精製および修飾は、当技術分野で周知であるため、ポリタンパク質前駆体の設計は、当業者によって容易に理解されるいくつかの実施形態を包含し得る。当技術分野で知られる任意の既知のプロテアーゼまたはペプチダーゼは、前駆体分子の記載された修飾用に使用され得る。
【0053】
異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴的かつ特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系が選択されて、発現された外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実にし得る。この目的のために、遺伝子産物の一次転写産物の適切なプロセシング、グリコシル化およびリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞が使用される場合がある。そのような哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERY、BHK、HeLa、COS、MDCK、HEK 293、HEK 293T、3T3、WI38、BT483、Hs578T、HTB2、BT20およびT47D、CRL7030およびHs578Bstを包含するが、これらに限定されない。ある種の実施形態では、宿主細胞は、HEK 293細胞である。
【0054】
組換えタンパク質の長期間の高収率生産のためには、安定な発現が好ましい。例えば、本明細書に記載のポリペプチドを安定に発現する細胞株が操作される場合がある。ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、宿主細胞は、適切な発現制御エレメント(例として、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)および選択マーカーによって制御されるDNAで形質転換され得る。外来DNAの導入後、操作された細胞を強化培地で1~2日間増殖させ、次いで選択培地に切り替える場合がある。組換えプラスミドの選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをそれらの染色体に安定に組み込み、増殖してフォーカスを形成することを可能にし、次いでこれをクローン化し、細胞株に増殖し得る。この方法は、本明細書に記載のポリペプチドを発現する細胞株を操作するために有利に使用される場合がある。
【0055】
単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al.(1977) "Transfer Of Purified Herpes Virus Thymidine Kinase Gene To Cultured Mouse Cells," Cell 11:223-232)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska et al.(1992) "Use Of The HPRT Gene And The HAT Selection Technique In DNA-Mediated Transformation Of Mammalian Cells First Steps Toward Developing Hybridoma Techniques And Gene Therapy," Bioessays 14:495-500)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al.(1980) "Isolation Of Transforming DNA:Cloning The Hamster aprt Gene," Cell 22:817-823)遺伝子を包含するがこれらに限定されないいくつかの選択系が使用され、それぞれtk-、hgprt-、またはaprt-細胞で使用される場合がある。また、代謝拮抗薬耐性は、以下の遺伝子に対する選択の基礎として使用され得る。メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler et al.(1980) "Transformation Of Mammalian Cells With An Amplifiable Dominant-Acting Gene," Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:3567-3570、O'Hare et al.(1981) "Transformation Of Mouse Fibroblasts To Methotrexate Resistance By A Recombinant Plasmid Expressing A Prokaryotic Dihydrofolate Reductase," Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1527-1531)、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan et al.(1981) "Selection For Animal Cells That Express The Escherichia coli Gene Coding For Xanthine-Guanine Phosphoribosyltransferase," Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2072-2076)、アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Tolstoshev(1993) "Gene Therapy,Concepts,Current Trials And Future Directions," Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573-596、Mulligan(1993) "The Basic Science Of Gene Therapy," Science 260:926-932;and Morgan et al.(1993) "Human Gene Therapy," Ann.Rev.Biochem.62:191-217)、およびハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre et al.(1984) "Expression of Prokaryotic Genes For Hygromycin B And G418 Resistance As Dominant-Selection Markers In Mouse L Cells," Gene 30:147-156。使用され得る組換えDNA技術の分野で一般的に知られる方法は、Ausubel et al.(eds.),1993,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,NY、Kriegler,1990,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY、およびChapters 12 and 13,Dracopoli et al.(eds),1994,Current Protocols in Human Genetics,John Wiley&Sons,NY.、Colberre-Garapin et al.(1981) "A New Dominant Hybrid Selective Marker For Higher Eukaryotic Cells," J.Mol.Biol.150:1-14に記載されている。
【0056】
本明細書に記載のポリペプチドの発現レベルは、ベクター増幅によって増加し得る(総説については、Bebbington and Hentschel,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3(Academic Press,New York,1987を参照)。本明細書に記載のポリペプチドを発現するベクター系のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物に存在する阻害剤のレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させる。増幅領域は、本明細書に記載のポリペプチドのヌクレオチド配列に関連するため、ポリペプチドの産生も増加する(Crouse et al.(1983) "Expression And Amplification Of Engineered Mouse Dihydrofolate Reductase Minigenes," Mol.Cell.Biol.3:257-266)。
【0057】
本明細書に記載のポリペプチドが組換え発現されると、ポリペプチド、ポリタンパク質または抗体の精製のための当技術分野で知られる任意の方法(例として、抗原選択性に基づく抗体精製スキームに類似)によって、例えば、クロマトグラフィー(例として、イオン交換、アフィニティー、特に特異的抗原に対するアフィニティーによる(ポリペプチドがFcドメイン(またはその一部)を含むプロテインA選択後であってもよい)、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、またはポリペプチドもしくは抗体の精製のための任意の他の標準的な技術によって精製される場合がある。
【0058】
薬物送達および医薬組成物
本明細書に開示されるポリペプチドを含む薬物送達組成物も本明細書で提供される。本明細書で使用される「薬物送達組成物」とは、少なくとも1つの生体適合性材料と、組成物から放出されるポリペプチドとを含む、液体、ゲルまたは固体形態の任意の組成物を指す。ある種の実施形態では、ポリペプチドはin vitroで放出される。ある種の実施形態では、ポリペプチドは、in vivoで、例として対象への投与時に放出される。
【0059】
ある種の実施形態では、生体適合性材料は、本明細書に記載の薬物送達組成物中の任意のポリペプチドの持続放出または徐放を含有および促進するのに適した任意の合成材料または天然に存在する材料を含む。したがって、生体適合性材料は、本明細書に記載の組成物の有利な特性(例として、ポリペプチドの生分解、放出プロファイル)を提供する特性を有する。ある種の実施形態では、生体適合性材料は、溶液中の同じポリペプチドの投与と比較してポリペプチドの放出を延長する。ある種の実施形態では、生体適合性材料は、溶液中の同じポリペプチドの投与と比較して、ポリペプチドの放出を少なくとも5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、6日間、7日間、10日間、2週間、3週間、または4週間延長する。ある種の実施形態では、100%未満のポリペプチドが、組成物の投与の5分後、10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、12時間後、18時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、120時間後、6日間後、7日間後、10日間後、2週間後、3週間後または4週間後に組成物から放出される。
【0060】
ある種の実施形態では、生体適合性材料はポリマーを含む。ある種の実施形態では、生体適合性材料は合成ポリマーを含む。
【0061】
ある種の実施形態では、生体適合性材料は、ヒアルロン酸、アルギナート、キトサン、キチン、コンドロイチンスルファート、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、セルロース、多糖類、フィブリン、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリ(乳酸-co-グリコール)酸(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリラート(PEGDA)、ジスルフィド含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリラート(PEGDMA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシブチラート(PHB)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)(pHEMA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ベータ-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(プロピレンフマラート)(PPF)、ポリ(セバシン酸無水物)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボナート)(PTMC)、ポリ(デサミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボナート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単層カーボンナノチューブ、ポリホスファゼン、ポリ無水物、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、ポリアセタール、ポリ(アルファエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリウレタン、ポリカーボナート、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、これらの誘導体、および/またはこれらの組み合わせを含む。
【0062】
ある種の実施形態では、生体適合性材料はポリエステルを含む。ある種の実施形態では、生体適合性材料は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、またはポリ(グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマーを含む。ある種の実施形態では、生体適合性材料は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む。
【0063】
ある種の実施形態では、薬物送達組成物はヒドロゲルを含む。ヒドロゲルは、組成物の成分を効果的に組み合わせ、様々な投与経路で有用な薬物送達系を形成することを可能にする足場を提供し得る。ある種の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロン酸、アルギナート、キトサン、キチン、コンドロイチンスルファート、デキストラン、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、セルロース、多糖類、フィブリン、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、ポリ(乳酸-co-グリコール)酸(PLGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEGジアクリラート(PEGDA)、ジスルフィド含有PEGDA(PEGSSDA)、PEGジメタクリラート(PEGDMA)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリヒドロキシブチラート(PHB)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリラート)(pHEMA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(ベータ-アミノエステル)(PBAE)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(アスパラギン酸)、ポリ(グルタミン酸)、ポリ(プロピレンフマラート)(PPF)、ポリ(セバシン酸無水物)(PSA)、ポリ(トリメチレンカーボナート)(PTMC)、ポリ(デサミノチロシルチロシンアルキルエステルカーボナート)(PDTE)、ポリ[ビス(トリフルオロエトキシ)ホスファゼン]、ポリオキシメチレン、単層カーボンナノチューブ、ポリホスファゼン、ポリ無水物、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(メタクリル酸)(PMA)、ポリアセタール、ポリ(アルファエステル)、ポリ(オルトエステル)、ポリホスホエステル、ポリウレタン、ポリカーボナート、ポリアミド、ポリヒドロキシアルカノアート、ポリグリセロール、ポリグルクロン酸、これらの誘導体、および/またはこれらの組み合わせを含む。
【0064】
ある種の実施形態では、薬物送達組成物は、粒子またはヒドロゲルを含む。ある種の実施形態では、薬物送達組成物は粒子を含む。本明細書で使用される場合、「粒子」という用語は、小さな物体、断片、または材料片を指し、限定するものではないが、マイクロ粒子およびナノ粒子を包含する。粒子は、単一の物質または複数の物質から構成される場合がある。ある種の実施形態では、粒子は、全体にわたって実質的に固体である、および/または全体にわたって実質的に固体であるコアを含む。ある種の実施形態では、粒子は、ミセル、リポソーム、またはエマルジョンを包含しない場合がある。
【0065】
ある種の実施形態では、粒子は、1つ以上のポリマーを含むコアを含む。コアは、比較的高い重量パーセントのポリマーを含有する場合があり、ポリマーコアと呼ばれてもよい。例えば、ある種の実施形態では、コア中のポリマーの重量百分率は、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約60重量%以上、約70重量%以上、約80重量%以上、または約90重量%以上である場合がある。ある種の実施形態では、ポリマーコアは、1つ以上のポリマーと1つ以上の薬学的に活性な薬剤とから本質的になる場合がある。一般に、任意の適切な生体適合性ポリマーを使用してコアを形成する場合がある。ある種の実施形態では、ポリマーは、1つ以上の薬学的に活性な薬剤との適合性、所望の放出特性、および/または薬学的に活性な薬剤の意図される使用に基づいて選択される場合がある。例えば、ある種の実施形態では、ポリマーは、医薬用途および他の消費者製品(例として、化粧品、食品)との適合性に基づいて選択される場合がある。
【0066】
ある種の実施形態では、本明細書に記載の粒子は、比較的小さい直径を有する場合がある。ある種の実施形態では、粒子はナノ粒子である。例えば、ある種の実施形態では、粒子の特性寸法(例として、平均直径)は、約1,000nm未満、約800nm以下、約600nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、または約50nm以下である。いくつかの例では、粒子の特性寸法(例として、平均直径)は、約10nm~約800nm、約10nm~約600nm、約10nm~約500nm、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、約10nm~約200nm、または約10nm~約100nmである場合がある。いくつかの例では、粒子は100nm以下の直径を有する。ある種の場合において、粒子の特性寸法は、約10nm~約100nmである。本明細書で使用される場合、非球形粒子の粒子の直径は、非球形粒子と同じ体積を有する完全な数学的球の直径である。一般に、粒子はほぼ球形である。しかしながら、粒子は必ずしも球形である必要はなく、他の形状(例として、円盤状、棒状)をとる場合がある。本明細書に記載の測定値は、典型的には、集団の平均粒径を表す。しかし、ある種の実施形態では、測定値は、集団に見られるサイズの範囲、または集団に見られる粒子の最大または最小サイズを表す場合がある。ある種の実施形態では、ナノ粒子は、標的化ナノ粒子である。ある種の実施形態では、ナノ粒子は凝固を阻害する。
【0067】
ある種の実施形態では、粒子はマイクロ粒子である。ある種の実施形態では、粒子は、1 mm未満の平均直径を有する場合がある。例えば、ある種の実施形態では、粒子の平均直径は、約1,000ミクロン未満、約500ミクロン以下、約100ミクロン以下、約50ミクロン以下、約10ミクロン以下、または約5ミクロン以下および約1ミクロン以上である。
ある種の実施形態では、薬物送達組成物は粒子を含み、粒子はポリペプチドを粒子内に封入する。ある種の実施形態では、粒子はナノ粒子である。ある種の実施形態では、粒子はマイクロ粒子である。
【0068】
ある種の実施形態では、粒子中のポリペプチドの重量百分率は、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約4%、少なくとも約6%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%である。いくつかの例では、粒子中のポリペプチドの重量百分率は、約0.5%~約60%、約0.5%~約50%、約0.5%~約40%、約0.5%~約30%、約1%~約60%、約1%~約50%、約1%~約40%、約1%~約30%、約2%~約60%、約2%~約50%、約2%~約40%、または約2%~約30%である。
【0069】
ある種の実施形態では、粒子はポリマーを含む。ある種の実施形態では、粒子は合成ポリマーを含む。ある種の実施形態では、粒子はポリエステルを含む。ある種の実施形態では、粒子は、ポリ(乳酸)/ポリラクチド、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物)、ポリジオキサノンなどのポリ(エーテルエステル)、ポリ(カーボナート)、ポリ(アミノカーボナート)、ポリ(3-ヒドロキシブチラート)などのポリ(ヒドロキシアルカノアート)、ポリ(3-ヒドロキシブチラート-co-3-ヒドロキシバレラート)、ポリホスファゼン、ポリアクリラート、ポリ(アルキルアクリラート)、ポリアミド、ポリ(アミドアミン)デンドリマーなどのポリアミン、ポリエーテル、ポリ(エーテルケトン)、ポリエチレングリコールなどのポリ(アルカリ酸化物)、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシロキサン、ポリオレフィン、スルホン化ポリスチレンなどのポリスチレン、ポリカルバマート、ポリウレア、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリイソシアナート、ポリアクリロニトリル、アルギナートおよびキトサンなどの多糖類、ポリペプチド、または誘導体もしくはブロック、ランダム、ラジアル、直鎖およびテレブロックコポリマー、ならびに上記のブレンドを含む。ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーである場合がある。他の潜在的に適切なポリマー分子は、the Polymer Handbook,Fourth Ed.,Brandrup,J.Immergut,E.H.,Grulke,E.A.,Eds.,Wiley-Interscience:2003に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ある種の実施形態では、ポリマーはコポリマーである場合がある。
【0070】
ある種の実施形態では、粒子は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、またはポリ(グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマーを含む。ある種の実施形態では、粒子は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む。
【0071】
ある種の実施形態では、粒子は、溶液中の同じポリペプチドの投与と比較してポリペプチドの放出を延長する。ある種の実施形態では、物品は、溶液中の同じポリペプチドの投与と比較して、ポリペプチドの放出を少なくとも5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、6日間、7日間、10日間、2週間、3週間、または4週間延長する。ある種の実施形態では、100%未満のポリペプチドが、組成物の投与の5分後、10分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、12時間後、18時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、120時間後、6日間後、7日間後、10日間後、2週間後、3週間後または4週間後に粒子から放出される。ある種の実施形態では、100%未満のポリペプチドが、マイクロ粒子を緩衝溶液に入れてから5分、10分、20分、30分、40分、50分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、48時間、72時間、96時間、120時間、6日間、7日間、10日間、2週間、3週間または4週間後に粒子から放出される。
【0072】
ある種の実施形態では、粒子を含むポリマーは生分解性である。いくつかの例では、粒子を含むポリマーは加水分解性ポリマーである。
【0073】
ある種の実施形態では、粒子を含むポリマーは、任意の適切な分子量を有する。例えば、ある種の実施形態では、粒子の1つ以上のポリマーの数平均分子量は、約3,000g/mol以上、約5,000g/mol以上、約10,000g/mol以上、約25,000g/mol以上、約50,000g/mol以上、約70,000g/mol以上、約100,000g/mol以上、約250,000g/mol以上、または約500,000g/mol以上である場合がある。いくつかの例では、粒子の1つ以上のポリマーの数平均分子量は、約1,000,000g/mol以下、約750,000g/mol以下、約500,000g/mol以下、約250,000g/mol以下、約100,000g/mol以下、約75,000g/mol以下、約50,000g/mol以下、または約25,000g/mol以下である場合がある。上記範囲の組み合わせも可能である(例として、約3,000g/mol以上および約1,000,000g/mol以下)。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、核磁気共鳴分光法(NMR)、レーザー光散乱、固有粘度、蒸気圧浸透圧測定、小角中性子散乱、レーザー脱離イオン化質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析(MALDI MS)、またはエレクトロスプレー質量分析を使用して決定される場合があり、または製造業者の仕様書から得られる場合がある。別段示されない限り、本明細書に記載される数平均分子量の値は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0074】
ある種の実施形態では、粒子は、合成ポリマーおよび天然ポリマー(例として、多糖類、炭水化物、ポリペプチド)以外の他の材料を含む場合があることを理解されたい。ある種の実施形態では、リン酸カルシウムセラミックなどのセラミックが使用される。例示的なリン酸カルシウムセラミックには、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、および二相性リン酸カルシウムを包含する。
【0075】
ある種の実施形態では、粒子は生体適合性である。例えば、ある種の実施形態では、in vitroでの細胞への粒子の添加は、20%未満の細胞死、約15%以下の細胞死、約12%以下の細胞死、約10%以下の細胞死、約8%以下の細胞死、約5%以下の細胞死、約3%以下の細胞死、約2%以下の細胞死、または約1%以下の細胞死をもたらし、in vivoでのそれらの投与は炎症または他のそのような有害作用を誘導しない。
【0076】
一般に、粒子は生分解性である。本明細書で使用される場合、「生分解性」粒子は、細胞に導入されると、細胞機構によって、または加水分解によって、細胞に重大な毒性作用を及ぼすことなく細胞が再利用または処分し得る成分に分解される粒子であり、すなわち、成分がin vitroで細胞に添加されると、細胞の約20%未満(例えば、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満)が死滅する。成分は、好ましくは、in vivoで炎症または他の有害作用を引き起こさない。ある種の実施形態では、生分解性粒子を分解するために依拠される化学反応が触媒される。他の実施形態では、生分解性粒子を分解するために依拠される化学反応は触媒されない。
【0077】
別の態様では、粒子を調製する方法が提供される。ある種の実施形態では、本方法は、ポリマーを含有する溶液中でポリペプチドを乳化して、第1の乳化を提供することと、乳化剤を含有する溶液中で第1の乳化を乳化して、第2の乳化を提供することと、溶媒を蒸発させることと、粒子を単離することと、を含む。
【0078】
ある種の実施形態では、ポリペプチドは、第1の乳化の前に水溶液(例として、緩衝溶液)に溶解される。ある種の実施形態では、ポリマーを含有する溶液は有機溶媒を含む。ある種の実施形態では、有機溶媒は、ジクロロメタンである。ある種の実施形態では、乳化剤を含有する溶液は水溶液(例として、緩衝溶液)である。ある種の実施形態では、乳化剤はポリマーであるか、またはそれを含む。ある種の実施形態では、乳化剤はポリビニルアルコール(PVA)であるか、またはそれを含む。ある種の実施形態では、乳化剤は、約0.01%~約1%(w/v)のポリビニルアルコール(PVA)であるか、またはそれを含む。ある種の実施形態では、乳化剤は、約0.1%~約1%(w/v)のポリビニルアルコール(PVA)であるか、またはそれを含む。ある種の実施形態では、乳化剤は、約0.1%(w/v)のポリビニルアルコール(PVA)であるか、またはそれを含む。ある種の実施形態では、乳化剤は、約1%(w/v)のポリビニルアルコール(PVA)であるか、またはそれを含む。ある種の実施形態では、蒸発した溶媒は有機溶媒である。ある種の実施形態では、粒子を単離することは、濾過することを含む。
【0079】
ある種の実施形態では、第1の乳化のポリマーは合成ポリマーを含む。ある種の実施形態では、ポリマーはポリエステルを含む。ある種の実施形態では、ポリマーは、ポリ(乳酸)/ポリラクチド、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物)、ポリジオキサノンなどのポリ(エーテルエステル)、ポリ(カーボナート)、ポリ(アミノカーボナート)、ポリ(3-ヒドロキシブチラート)などのポリ(ヒドロキシアルカノアート)、ポリ(3-ヒドロキシブチラート-co-3-ヒドロキシバレラート)、ポリホスファゼン、ポリアクリラート、ポリ(アルキルアクリラート)、ポリアミド、ポリ(アミドアミン)デンドリマーなどのポリアミン、ポリエーテル、ポリ(エーテルケトン)、ポリエチレングリコールなどのポリ(アルカリ酸化物)、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシロキサン、ポリオレフィン、スルホン化ポリスチレンなどのポリスチレン、ポリカルバマート、ポリウレア、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリイソシアナート、ポリアクリロニトリル、アルギナートおよびキトサンなどの多糖類、ポリペプチド、または誘導体もしくはブロック、ランダム、ラジアル、直鎖およびテレブロックコポリマー、ならびに上記のブレンドを含む。ある種の実施形態では、ポリマーはホモポリマーであるか、またはそれを含む。ある種の実施形態では、ポリマーはコポリマーであるか、またはそれを含む。ある種の実施形態では、ポリマーは、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマー、またはポリ(グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)コポリマーを含む。ある種の実施形態では、ポリマーは、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)(PLGA)を含む。
【0080】
本明細書で使用される「医薬組成物」は、薬学的に許容される担体と組み合わせた本明細書に記載のポリペプチドの製剤を指すか、または薬学的に許容される担体と組み合わせた本明細書に記載の薬物送達組成物の製剤である場合がある。医薬組成物は、さらなる薬剤(例として、特異的送達のために、半減期、または他の治療剤を増大する)をさらに含み得る。
【0081】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、身体のある部位(例として、送達部位)から別の部位(例として、臓器、組織または身体の一部)へのポリペプチドの運搬または輸送に関与する、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例として、潤滑剤、タルクマグネシウム、ステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを意味する。薬学的に許容し得る担体は、製剤の他の構成要素と相溶性があるが、対象の組織に対しては傷害性がない(例として、生理学的に適合性のある、滅菌された、生理学的なpH等)という意味で「許容し得る」ものである。薬学的に許容され得る担体として機能し得る材料のいくつかの例は、以下を包含する。(1)ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖;(2)コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;(4)粉末状トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびタルクなどの平滑剤;(8)カカオバターおよび坐薬蝋などの賦形剤;(9)落花生油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール(PEG)などのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等浸透圧の生理食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート、および/またはポリ酸無水物;(22)ポリペプチドおよびアミノ酸などの増量剤;(23)血清アルブミン、HDL、およびLDLなどの血清構成要素;(22)エタノールなどのC2~C12アルコール;ならびに(23)医薬製剤に採用される、相溶性のある他の非毒性物質。湿潤剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤、および抗酸化剤もまた、製剤中に存在し得る。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などの用語は、本明細書では同義で使用される。
【0082】
ある種の実施形態では、医薬および/または薬物送達組成物における本開示のポリペプチドは、注射によって、カテーテルによって、坐剤によって、またはインプラントによって投与され、インプラントは、シアラスティック(sialastic)膜などの膜、または繊維を包含する、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状材料のものである。典型的には、組成物を投与する場合、本開示のポリペプチドが吸収しない材料が使用される。
【0083】
他の実施形態では、本開示のポリペプチドは、制御放出系で送達される。一実施形態において、ポンプが使用される場合がある(例として、Langer,1990,Science 249:1527-1533、Sefton,1989,CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201、Buchwald et al.,1980,Surgery 88:507;Saudek et al.,1989,N.Engl.J.Med.321:574を参照)。別の実施形態では、ポリマー材料が使用され得る(例として、制御放出の医療用途(Langer and Wise eds.,CRC Press,Boca Raton,Fla.,1974)、制御された薬物バイオアベイラビリティ、製剤設計および性能(Smolen and Ball eds.,Wiley,New York,1984)、Ranger and Peppas,1983,Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.23:61.を参照。Levy et al.,1985,Science 228:190、During et al.,1989,Ann.Neurol.25:351、Howard et al.,1989,J.Neurosurg.71:105.も参照のこと)。他の制御放出システムは、例えば、上記のLangerで考察されている。
【0084】
本開示のポリペプチドは、治療有効量の結合剤および1つ以上の薬学的に適合性の成分を含む医薬組成物として投与され得る。
【0085】
ある種の実施形態では、医薬組成物および/または薬物送達組成物は、対象、例としてヒトへの静脈内または皮下投与に適合した医薬組成物として日常的な手順に従って製剤化される。典型的には、注射による投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液の溶液である。必要なら、組成物はまた、可溶化剤、および注射部位での疼痛を和らげるリグノカインなどの局所麻酔薬も包含し得る。一般に、構成要素は、個別にまたは一緒に混合されて、例えば、活性剤の分量を示したアンプルもしくは小袋(sachette)などの密閉容器中の凍結乾燥された(dry lyophilized)粉末または水がない濃縮物として単位剤形で供給される。組成物が注入によって投与されることになっている場合、滅菌医薬グレードの水または生理食塩水を含有する注入瓶で分配され得る。組成物が注射によって投与される場合、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルは、構成要素が投与に先立ち混合され得るように、提供され得る。
【0086】
全身投与のための医薬組成物および/または薬物送達組成物は、液体、例として滅菌生理食塩水、乳酸リンゲル液またはハンクス液である場合がある。加えて、医薬組成物および/または薬物送達組成物は固体形態であって、使用に先立ち即時に再溶解または懸濁され得る。凍結乾燥の形態もまた企図される。
【0087】
医薬組成物および/または薬物送達組成物は、非経口投与にも好適なリポソームもしくはマイクロ結晶などの脂質粒子またはベシクル内に含有され得る。粒子は、組成物がこれに含有される限り、単層(unilamellar)または多層(plurilamellar)などの、いずれの好適な構造でもあり得る。本開示のポリペプチドを、融合性脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、低レベル(5~10mol%)のカチオン性脂質を含有する「安定化プラスミド脂質粒子」(SPLP)に捕捉し、ポリエチレングリコール(PEG)コーティング(Zhang Y.P.et al.,Gene Ther.1999,6:1438-47)によって安定化することができる。N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチル-アンモニウムメチルスルファート、または「DOTAP」などの、正に帯電した脂質は、当該粒子およびベシクルにとって具体的に好ましい。当該脂質粒子の調製は周知である。例として、米国特許第4,880,635号、第4,906,477号、第4,911,928号、第4,917,951号、第4,920,016号、および第4,921,757号を参照されたい。
【0088】
本開示の医薬組成物および/または薬物送達組成物は、例えば、単位用量として投与またはパッケージされる場合がある。用語「単位用量」とは、本開示の医薬組成物に関して使用される場合、単位投薬量として対象に好適な、物理的に不連続な単位を指し、所定分量の活性材料を含有する各単位は、要求される希釈剤、すなわち、担体またはビヒクルを伴って所望の治療効果を生じるよう算出される。
【0089】
本開示に従って使用される場合がある医薬組成物および/または薬物送達組成物は、対象に直接投与される場合があり、または治療有効量でそれを必要とする対象に投与される場合がある。「治療有効量」という用語は、所望の生物学的効果を実現するのに必要または十分な量を指す。例えば、治療有効量は、疾患または障害の1つ以上の症状を改善するのに十分な量である場合がある。本明細書で提供される教示と組み合わせると、様々な活性化合物の中から選択し、効力、相対バイオアベイラビリティ、患者の体重、有害な副作用の重症度および好ましい投与様式などの重要な因子を検討することによって、実質的な毒性を引き起こさず、なおかつ特定の対象を治療するために完全に有効である有効な予防または治療の治療レジメンが計画され得る。任意の特定の用途のための有効量は、治療される疾患または状態、投与される特定の薬学的組成物、対象のサイズ、または疾患もしくは状態の重症度などの因子に応じて変動し得る。当業者は、過度の実験を必要とすることなく、本開示に関連する特定の治療化合物の有効量が経験的に決定され得る。
【0090】
ある種の実施形態では、70 kg成人に1日1回または複数回投与するためのポリペプチドの有効量は、単位剤形当たり約0.0001mg~約3000mg、約0.0001mg~約2000mg、約0.0001mg~約1000mg、約0.001mg~約1000mg、約0.01mg~約1000mg、約0.1mg~約1000mg、約1mg~約1000mg、約1mg~約100mg、約10mg~約1000mg、または約100mg~約1000mgのポリペプチドを含む。
【0091】
ある種の実施形態では、本開示のポリペプチドを、1日当たり約0.001mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約0.1mg/kg~約40mg/kg、好ましくは約0.5mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、または約0.1mg/kg~約10mg/kgの対象体重を1日1回または複数回送達するのに十分な用量レベルで投与して、所望の治療効果を得る場合がある。
【0092】
本明細書に記載のポリペプチドの「予防有効量」とは、状態、または状態に関連する1つ以上の症状を予防するか、またはその再発を予防するのに十分な量である。ポリペプチドの予防有効量は、単独でまたは他の薬剤と組み合わせて、状態の予防において予防的利益を提供するポリペプチドの量を意味する。「予防有効量」という用語は、全体的な予防を改善する量か、または別の予防剤の予防有効性を増強する量を網羅し得る。
本開示の製剤は、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合性担体、および場合により他の治療成分を日常的に含有する場合がある薬学的に許容される溶液で投与される。
【0093】
治療に使用するために、有効量の本開示のポリペプチドは、ポリペプチドを所望の位置に送達する任意の様式、例として、粘膜、注射、全身等によって対象に投与され得る。本開示の医薬および/または薬物送達組成物の投与は、当業者に知られる任意の手段によって達成される場合がある。ある種の実施形態では、ポリペプチド、医薬組成物、および/または薬物送達組成物は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、または頭蓋内に投与される。
【0094】
経口投与のために、本開示のポリペプチドは、ポリペプチドおよび/または薬物送達組成物を当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることによって容易に製剤化され得る。そのような担体は、本開示の化合物を、治療される対象が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化することを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、固体賦形剤として得られ、必要に応じて適切な助剤を添加した後、場合により得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を加工して錠剤または糖衣錠コアを得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを包含する糖などの充填剤、セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を添加する場合がある。場合により、経口製剤はまた、生理食塩水または緩衝液、すなわち、内部の酸の状態を中和するためのEDTAに製剤化される場合があり、または担体なしで投与される場合がある。
【0095】
上記の1つまたは複数の成分の経口剤形も特に企図される。1つまたは複数の構成要素は、誘導体の経口送達が有効であるように化学的に修飾される場合がある。一般に、企図される化学修飾は、成分分子自体への少なくとも1つの部分の結合であり、該部分は、(a)タンパク質分解の阻害、および(b)胃または腸から血流への取り込みを可能にする。1つまたは複数の構成要素の全体的な安定性の増加、および体内の循環時間の増加も望ましい。そのような部分の例は、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリプロリン(Abuchowski and Davis,1981, "Soluble Polymer-Enzyme Adducts" In:Enzymes as Drugs,Hocenberg and Roberts,eds.,Wiley-Interscience,New York,NY,pp.367-383、Newmark,et al.,1982,J.Appl.Biochem.4:185-189)を包含する。使用することができる他のポリマーは、ポリ-1,3-ジオキソランおよびポリ-1,3,6-チオキソカンである。上に示されるように、医薬用途に好ましいのはポリエチレングリコール部分である。
【0096】
放出の位置は、胃、小腸(十二指腸、空腸、または回腸)、または大腸である場合がある。当業者は、胃では溶解しないが、十二指腸または腸の他の場所で材料を放出する利用可能な製剤を有する。好ましくは、放出は、治療剤の保護によって、または腸内などの胃の環境を越えた生物学的活性物質の放出によって、胃の環境の有害な影響を回避する。
【0097】
完全な胃中抵抗性を確保するために、少なくともpH 5.0に対して不透過性のコーティングが好ましい。腸溶コーティングとして使用されるより一般的な不活性成分の例は、セルロースアセテートトリメリタート(CAT)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、HPMCP 50、HPMCP 55、ポリビニルアセタートフタラート(PVAP)、Eudragit L30D、Aquateric、セルロースアセタートフタラート(CAP)、Eudragit L、Eudragit Sおよびシェラックである。これらのコーティングは、混合フィルムとして使用される場合がある。
【0098】
胃に対する保護を意図していないコーティングまたはコーティングの混合物が錠剤に使用され得る。これは、錠剤を嚥下しやすくする糖コーティングまたはコーティングを包含し得る。カプセルは、乾燥治療薬、すなわち粉末の送達の場合、硬質シェル(ゼラチンなど)からなる場合があり、液体形態では、軟質ゼラチンシェルが使用される場合がある。カシェの殻材料は、厚いデンプンまたは他の食用紙であり得る。丸剤、トローチ剤、成形錠剤または粉薬錠剤の場合、湿塊化(moist massing)技術が使用され得る。
【0099】
ポリペプチドおよび/または薬物送達組成物は、粒径約1mmの顆粒またはペレットの形態の微細な多粒子として製剤に包含され得る。カプセル投与のための材料の製剤はまた、粉末として、軽く圧縮されたプラグとして、または錠剤としてでさえあり得る。治療薬は圧縮によって調製することができる。
【0100】
着色剤および香味剤はすべて包含される場合がある。例えば、ポリペプチドおよび/または薬物送達組成物は、(リポソームまたはミクロスフェアカプセル化などによって)製剤化される場合があり、次いで、着色剤および香味剤を含有する冷蔵飲料などの食用製品内にさらに含有され得る。
【0101】
不活性材料でポリペプチドおよび/または薬物送達組成物の体積を希釈または増加させる場合がある。これらの希釈剤は、炭水化物、特にマンニトール、ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾デキストランおよびデンプンを包含し得る。ある種の無機塩も、三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを包含する充填剤として使用される場合がある。いくつかの市販の希釈剤は、Fast-Flo、Emdex、STA-Rx 1500、EmcompressおよびAvicellである。
【0102】
崩壊剤は、ポリペプチドおよび/または薬物送達組成物の固体剤形への製剤に包含される場合がある。崩壊剤として使用される材料は、デンプン(デンプンに基づく市販の崩壊剤、Explotabを包含する)を包含するが、これらに限定されない。デンプングリコール酸ナトリウム、Amberlite、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース、天然スポンジおよびベントナイトはすべて使用される場合がある。崩壊剤の別の形態は、不溶性カチオン交換樹脂である。粉末ガムは、崩壊剤および結合剤として使用される場合があり、これらは、寒天、カラヤまたはトラガカントなどの粉末ガムを包含し得る。アルギン酸およびそのナトリウム塩も崩壊剤として有用である。
【0103】
結合剤は、ポリペプチドおよび/または薬物送達組成物を一緒に保持して硬質錠剤を形成するために使用される場合があり、アカシア、トラガカント、デンプンおよびゼラチンなどの天然産物からの材料を包含し得る。他のものは、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を包含する。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)の両方をアルコール溶液中で使用して治療薬を顆粒化することができた。
【0104】
製剤化プロセス中の固着を防止するために、摩擦防止剤をポリペプチドおよび/または薬物送達組成物の製剤に包含する場合がある。潤滑剤は、治療薬とダイ壁との間の層として使用される場合があり、これらは、ステアリン酸(そのマグネシウム塩およびカルシウム塩を包含する)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油およびワックスを包含し得るが、これらに限定されない。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax 4000および6000などの可溶性潤滑剤も使用される場合がある。
【0105】
製剤化におけるポリペプチドの流動特性を改善し、圧縮中の再配列を助ける可能性がある滑剤を添加してもよい。滑剤は、デンプン、タルク、焼成シリカおよび水和シリコアルミナートを包含する場合がある。
【0106】
水性環境へのポリペプチドおよび/または薬物送達組成物の溶解を助けるために、界面活性剤を湿潤剤として添加してもよい。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムおよびジオクチルスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤を包含する場合がある。カチオン性界面活性剤を使用することができ、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムを包含することができる。界面活性剤として製剤に包含することができる潜在的な非イオン性界面活性剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、単独で、または異なる比率の混合物として、ポリペプチドおよび/または薬物送達組成物の製剤に存在し得る。
【0107】
経口的に使用され得る医薬調製物は、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、グリセロールまたはソルビトール製などの軟密封カプセルを包含する。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および場合により安定剤と混合して活性成分を含有し得る。軟カプセルにおいて、ポリペプチドおよび/または薬物送達組成物は、脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁される場合がある。さらに、安定剤を添加する場合がある。経口投与用に製剤化されたミクロスフェアも使用する場合がある。そのようなミクロスフェアは、当技術分野において十分に定義されている。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した投与量でなければならない。
【0108】
口腔内投与の場合、組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤またはトローチ剤の形態をとる場合がある。
【0109】
吸入による投与の場合、本開示に従って使用するためのポリペプチドおよび/または組成物は、好適な噴射剤、例として、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレー提示の形態で便宜的に送達される場合がある。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するための弁を提供することによって決定される場合がある。吸入器または吹送器で使用するための例としてゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有して製剤化される場合がある。
【0110】
本開示の医薬および/または薬物送達組成物は、それらを全身に送達することが望ましい場合、注射による、例としてボーラス注射または持続注入による非経口投与のために製剤化される場合がある。注射用製剤は、防腐剤を添加した単位剤形、例としてアンプルまたは複数回用量容器で提供される場合がある。組成物は、油性または水性のビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態をとる場合があり、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの配合剤を含有する場合がある。
【0111】
非経口投与用の医薬製剤は、水溶性形態の活性化合物の水溶液を包含する。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製する場合がある。適切な親油性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを包含する。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有する場合がある。場合により、懸濁液はまた、高濃度溶液の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤または薬剤を含有する場合がある。
【0112】
前述の製剤に加えて、ポリペプチドおよび/または薬物送達組成物はまた、デポー調製物として製剤化される場合がある。そのような長時間作用性製剤は、適切なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂、または難溶性誘導体として、例えば難溶性塩として製剤化される場合がある。
【0113】
医薬ポリペプチドおよび/または薬物送達組成物はまた、適切な固体またはゲル相担体または賦形剤を含む場合がある。そのような担体または賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーを包含するが、これらに限定されない。
【0114】
適切な液体または固体の医薬調製物形態は、例えば、吸入用の水溶液または生理食塩水、マイクロカプセル化、コクリエート化(encochleated)、微細金粒子へのコーティング、リポソームに含有、噴霧、エアロゾル、皮膚への埋め込み用のペレット、または皮膚に引っ掻かれる鋭利な物体上での乾燥である。医薬および/または薬物送達組成物はまた、顆粒、散剤、錠剤、コーティング錠、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、滴剤、または活性化合物の持続放出を伴う調製物も包含し、その調製物賦形剤および添加剤および/または助剤、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、潤滑剤、香味料、甘味料または可溶化剤などが上記のように慣用的に使用される。医薬および/または薬物送達組成物は、様々な薬物送達系での使用に適している。薬物送達のための方法の簡単な総説については、Langer,Science 249:1527-1533,1990を参照し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
本開示の医薬および/または薬物送達組成物ならびに場合により他の治療薬は、それ自体(ニート(neat))または薬学的に許容される塩の形態で投与される場合がある。医薬に使用される場合、塩は薬学的に許容されるべきであるが、薬学的に許容されない塩は、その薬学的に許容される塩を調製するために便宜的に使用される場合がある。そのような塩は、以下の酸から調製されるものを包含するが、これらに限定されない。塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン-2-スルホン酸およびベンゼンスルホン酸。また、そのような塩は、カルボン酸基のナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類塩として調製され得る。
【0116】
適切な緩衝剤は、酢酸および塩(1~2% w/v)、クエン酸および塩(1~3% w/v)、ホウ酸および塩(0.5~2.5% w/v)、およびリン酸および塩(0.8~2% w/v)を包含する。適切な防腐剤は、塩化ベンザルコニウム(0.003~0.03% w/v)、クロロブタノール(0.3~0.9% w/v)、パラベン(0.01~0.25% w/v)およびチメロサール(0.004~0.02% w/v)を包含する。
【0117】
キット(例として、医薬品パック)も本開示に網羅される。提供されるキットは、本明細書に記載の薬物送達組成物、医薬組成物、またはポリペプチドおよび容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/またはディスペンサーパッケージ、または他の適切な容器)を含む場合がある。ある種の実施形態では、提供されるキットは、場合により、本明細書に記載の医薬組成物または化合物の希釈または懸濁のための医薬賦形剤を含む第2の容器をさらに包含する場合がある。ある種の実施形態では、第1の容器および第2の容器に提供される本明細書に記載の医薬組成物または化合物は、組み合わされて1つの単位剤形を形成する。
【0118】
ある種の実施形態では、本明細書に記載されるキットは、そのキットを使用するための指示をさらに包含する。本明細書に記載のキットはまた、米国食品医薬品局(FDA)などの規制機関によって要求される情報を包含する場合がある。ある種の実施形態では、キットに包含される情報は処方情報である。ある種の実施形態では、本明細書に記載のキットは、別個の組成物として本明細書に記載の1つ以上の追加の医薬品を包含する場合がある。
【0119】
使用の方法/治療
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に加えて、ADAMTS13の異常な活性は、ヒトの健康に影響を及ぼす高影響疾患プロセスの病態生理学に関与している。ADAMTS13の欠乏はTTPの原因であり、鎌状赤血球症(SCD)の微小血管障害に寄与する。組換えADAMTS13は、SCDにおける血管閉塞性クリーゼを緩和するためのTTPの置換療法として、超生理学的濃度で試験されている(Blood Coagul Fibrinolysis,2021 Jul 23.doi:10.1097/MBC.0000000000001064.Epub ahead of print)。ゲノムワイド関連解析により、ADAMTS13が成人および小児集団の脳卒中に関連することが特定されている。低血漿ADAMTS13は、最近、成人患者の大規模前向きコホートにおいて脳卒中と正に関連することが実証された(J Thromb Haemost.2016 Nov;14(11):2114-2120)。さらに、異常なADAMTS13は、虚血性心疾患の病因に関与すると記載されている(Blood,2015 Dec 17;126(25):2739-46)。これらおよびさらなる疾患過程についてのADAMTS13血漿活性の短期および長期の補充は、異常なADAMTS13/VWFによって媒介される血栓形成促進状態における治療または予防として潜在的な治療上の利点を有する。さらに、組換えADAMTS13は、血栓症のマウスモデルにおいて、主にVWFで構成される成熟血栓に局所的に与えられた場合、有意な血栓溶解活性を有することが実証されている(Blood,2016 May 12;127(19):2337-45)。マウスにおけるこれらの実験所見は、組換えADAMTS13が、適切な濃度、活性および送達系を考慮すると、ヒトにおける血栓溶解剤として潜在的に使用され得ることを示唆している。
【0120】
したがって、血栓性の疾患または状態を治療または予防する方法が本明細書で提供され、該方法は、治療有効量のポリペプチドをそれを必要とする対象に投与することを含む。ある種の実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチド、ポリペプチドを含む医薬組成物、ポリペプチドを含む薬物送達組成物、または薬物送達組成物を含む医薬組成物の形態で投与される。
【0121】
ある種の実施形態では、血栓性疾患は、異常な血栓形成(例として、フォン・ヴィルブランド因子(VWF)によって媒介される血栓性疾患)を伴う。ある種の実施形態では、血栓性の疾患または状態は、後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、血栓性微小血管症、血小板減少症、微小血管血栓症、動脈血栓症、急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中、敗血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、脳梗塞、虚血/再灌流傷害、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症、鎌状赤血球症(SCD)、または鎌状赤血球クリーゼである。ある種の実施形態では、血栓性の疾患または状態は、後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、血栓性微小血管症、血小板減少症、微小血管血栓症、動脈血栓症、急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中、敗血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、脳梗塞、虚血/再灌流傷害、深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症、または鎌状赤血球クリーゼである。ある種の実施形態では、血栓性の疾患または状態は、後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)または遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)である。ある種の実施形態では、血栓性の疾患または状態は、後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)である。ある種の実施形態では、血栓性の疾患または状態は、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)である。ある種の実施形態では、血栓性の疾患または状態は、鎌状赤血球症(SCD)である。
【0122】
ある種の実施形態では、投与は、皮下、皮内、静脈内、腹腔内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、もしくは頭蓋内の投与であるか、またはそれを含む。ある種の実施形態では、投与は、皮下投与であるか、またはそれを含む。
「投与する」、「投与すること」または「投与」という用語は、本明細書に記載の化合物またはその組成物を対象の中または上に埋め込む、吸収する、摂取する、注射する、吸入する、または他の方法で導入することを指す。
【0123】
「治療」、「治療する」および「治療すること」という用語は、本明細書に記載の疾患の発症を逆転させる、緩和する、遅延させる、または進行を阻害することを指す。ある種の実施形態では、治療は、疾患の1つ以上の徴候または症状が発症した後または観察された後に投与される場合がある。他の実施形態では、治療は、疾患の徴候または症状がない場合に投与される場合がある。例えば、治療は、症状(例として、症状歴に照らして、および/または病原体への曝露に照らして)の発症前に感受性対象に投与される場合がある。治療はまた、例えば再発を遅延または予防するために、症状が消散した後も継続される場合がある。
【0124】
「予防する」、「予防すること」または「予防」という用語は、現在も過去も疾患がないが疾患を発症するリスクがある対象か、または過去に疾患があり現在は疾患がないが、疾患の退行のリスクがある対象の予防的治療を指す。ある種の実施形態では、対象は、集団の平均的な健康なメンバーよりも、疾患を発症するリスクが高いか、または疾患が退行するリスクが高い。
「状態」、「疾患」、および「障害」という用語は同義で使用される。
【0125】
投与が企図される「対象」とは、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男女、例として小児対象(例として、乳児、小児、または青年)または成人対象(例として、若年成人、中年成人、または高齢者))または非ヒト動物を指す。ある種の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例として、霊長類(例として、カニクイザルまたはアカゲザル)、商業的に関連のある哺乳動物(例として、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコまたはイヌ)、または鳥類(例として、商業的に関連する鳥、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、またはシチメンチョウ))である。ある種の実施形態では、非ヒト動物は、魚、爬虫類、または両生類である。非ヒト動物は、任意の発達段階の雄または雌である場合がある。非ヒト動物は、トランスジェニック動物または遺伝子操作動物である場合がある。「患者」という用語は、疾患の治療を必要とするヒト対象を指す。
【0126】
ある種の実施形態では、ポリペプチド、ポリペプチドを含む医薬組成物、ポリペプチドを含む薬物送達組成物、または薬物送達組成物を含む医薬組成物を投与した後、対象のADAMTS13血漿濃度は、対象の基線の天然ADAMTS13血漿濃度を超えて増加する。ある種の実施形態では、対象のADAMTS13血漿濃度は、対象の基線の天然ADAMTS13血漿濃度を超えて少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%増加する。増加は、投与後の任意の時点(例として、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間)で測定される場合がある。
【0127】
ある種の実施形態では、ポリペプチド、ポリペプチドを含む医薬組成物、ポリペプチドを含む薬物送達組成物、または薬物送達組成物を含む医薬組成物を投与した後、対象のADAMTS13血漿活性は、対象の基線の天然ADAMTS13血漿活性を超えて増加する。ある種の実施形態では、対象のADAMTS13血漿活性は、対象の基線の天然ADAMTS13血漿活性より少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%増加する。増加は、投与後の任意の時点(例として、15分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間)で測定される場合がある。
【0128】
本明細書に記載されるように、ADAMTS13は、血液凝固に関与する大きなタンパク質であるフォン・ヴィルブランド因子(VWF)を切断する亜鉛含有メタロプロテアーゼ酵素である。
したがって、本明細書でフォン・ヴィルブランド因子(VWF)を切断する方法が提供され、該方法は、ポリペプチドをVWFと接触させることを含む。ある種の実施形態では、接触はin vitroで行われる。ある種の実施形態では、接触はin vivoで行われる。ある種の実施形態では、接触は細胞内で行われる。ある種の実施形態では、ポリペプチドは、ポリペプチド、ポリペプチドを含む医薬組成物、ポリペプチドを含む薬物送達組成物、または薬物送達組成物を含む医薬組成物の形態で投与される。
【0129】
ある種の実施形態では、切断されたVWFの量は、対象、対象からの試料、または別の供給源からの試料に存在するVWFの少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%である。
本明細書で開示される技術の実施形態、利点、特徴、および使用のいくつかは、以下の実施例からより完全に理解されるであろう。実施例は、本開示の利益のいくつかを例示し、特定の実施形態を説明することを意図しているが、本開示の全範囲を例証することを意図するものではなく、したがって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0130】

ADAMTS13配列選択
薬物送達系への組み込みを容易にするために、パブリックドメインの全長野生型ADAMTS13配列(NCBI受入番号:NM_139025.4)の修飾切断が、ADAMTS13プロテアーゼ活性を最小アミノ酸配列で保存するように特別に設計された。結果は、天然のメタロプロテアーゼ、ディスインテグリン、TSP1リピート、システインリッチにおよび、80kDaの観測分子量を有するスペーサードメインを包含する685個のアミノ酸配列である。全長野生型ADAMTS13は、1427個のアミノ酸から構成され、切断野生型ADAMTS13は、685個のアミノ酸から構成され、mrADAMTS13は、719個のアミノ酸から構成される。
【0131】
コドン最適化
切断野生型ADAMTS13のコドン最適化を、専有のOptimumGeneアルゴリズムを使用してGenscriptによって行った。OptimumGeneアルゴリズムは、コドン適応性、mRNA構造および転写および翻訳において役割を果たすシス要素などのいくつかの因子を考慮している。全長野生型およびコドン最適化切断野生型ADAMTS13配列を合成し、GenscriptによってpcDNA5/FRT/V5-His Topoベクター(ThermoFisher)にクローニングした。組換えタンパク質のコドン最適化の総説(Int J Biochem Cell Biol.2015 July;64:58-74.)を参照のこと。
【0132】
細胞発現系
次いで、完全長野生型、切断野生型およびコドン最適化切断野生型の変異体(mrADAMTS13)をコードするプラスミドを用いて、Flp-In HEK293細胞(ThermoFisher)を使用して安定な発現細胞株を作製した。これらの細胞は、特定のゲノム位置に組み込まれた1細胞あたり1コピーから目的のタンパク質を発現するように設計された。安定な発現細胞株の作製のために、完全長野生型、切断野生型またはコドン最適化切断野生型(mrADAMTS13)構築物およびflpリコンビナーゼ酵素を発現するpOG44ヘルパープラスミドをFlp-In細胞に同時トランスフェクションした。Flpリコンビナーゼは、プラスミド構築物とFlp-In宿主細胞におけるFRT部位間の組換えを媒介し、それによって目的の遺伝子を細胞に組み込む。安定にトランスフェクションされたFlp-In細胞を、300μg/mLのハイグロマイシンの存在下で選択した。
【0133】
全長野生型ADAMT13、切断野生型ADAMTS13およびコドン最適化切断野生型ADAMTS13(mrADAMTS13)配列の説明
mrADAMTS13の分泌特性を評価するための記述的比較として、全長野生型配列または切断野生型ADAMTS13を作成し、ウエスタンブロットおよびFRETS-VWF-73アッセイによって研究した。配列を以下に説明する。
【0134】
ADAMTS13全長野生型DNA配列(配列番号1)
ATGCACCAGCGTCACCCCCGGGCAAGATGCCCTCCCCTCTGTGTGGCCGGAATCCTTGCCTGTGGCTTTCTCCTGGGCTGCTGGGGACCCTCCCATTTCCAGCAGAGTTGTCTTCAGGCTTTGGAGCCACAGGCCGTGTCTTCTTACTTGAGCCCTGGTGCTCCCTTAAAAGGCCGCCCTCCTTCCCCTGGCTTCCAGAGGCAGAGGCAGAGGCAGAGGCGGGCTGCAGGCGGCATCCTACACCTGGAGCTGCTGGTGGCCGTGGGCCCCGATGTCTTCCAGGCTCACCAGGAGGACACAGAGCGCTATGTGCTCACCAACCTCAACATCGGGGCAGAACTGCTTCGGGACCCGTCCCTGGGGGCTCAGTTTCGGGTGCACCTGGTGAAGATGGTCATTCTGACAGAGCCTGAGGGTGCTCCAAATATCACAGCCAACCTCACCTCGTCCCTGCTGAGCGTCTGTGGGTGGAGCCAGACCATCAACCCTGAGGACGACACGGATCCTGGCCATGCTGACCTGGTCCTCTATATCACTAGGTTTGACCTGGAGTTGCCTGATGGTAACCGGCAGGTGCGGGGCGTCACCCAGCTGGGCGGTGCCTGCTCCCCAACCTGGAGCTGCCTCATTACCGAGGACACTGGCTTCGACCTGGGAGTCACCATTGCCCATGAGATTGGGCACAGCTTCGGCCTGGAGCACGACGGCGCGCCCGGCAGCGGCTGCGGCCCCAGCGGACACGTGATGGCTTCGGACGGCGCCGCGCCCCGCGCCGGCCTCGCCTGGTCCCCCTGCAGCCGCCGGCAGCTGCTGAGCCTGCTCAGCGCAGGACGGGCGCGCTGCGTGTGGGACCCGCCGCGGCCTCAACCCGGGTCCGCGGGGCACCCGCCGGATGCGCAGCCTGGCCTCTACTACAGCGCCAACGAGCAGTGCCGCGTGGCCTTCGGCCCCAAGGCTGTCGCCTGCACCTTCGCCAGGGAGCACCTGGATATGTGCCAGGCCCTCTCCTGCCACACAGACCCGCTGGACCAAAGCAGCTGCAGCCGCCTCCTCGTTCCTCTCCTGGATGGGACAGAATGTGGCGTGGAGAAGTGGTGCTCCAAGGGTCGCTGCCGCTCCCTGGTGGAGCTGACCCCCATAGCAGCAGTGCATGGGCGCTGGTCTAGCTGGGGTCCCCGAAGTCCTTGCTCCCGCTCCTGCGGAGGAGGTGTGGTCACCAGGAGGCGGCAGTGCAACAACCCCAGACCTGCCTTTGGGGGGCGTGCATGTGTTGGTGCTGACCTCCAGGCCGAGATGTGCAACACTCAGGCCTGCGAGAAGACCCAGCTGGAGTTCATGTCGCAACAGTGCGCCAGGACCGACGGCCAGCCGCTGCGCTCCTCCCCTGGCGGCGCCTCCTTCTACCACTGGGGTGCTGCTGTACCACACAGCCAAGGGGATGCTCTGTGCAGACACATGTGCCGGGCCATTGGCGAGAGCTTCATCATGAAGCGTGGAGACAGCTTCCTCGATGGGACCCGGTGTATGCCAAGTGGCCCCCGGGAGGACGGGACCCTGAGCCTGTGTGTGTCGGGCAGCTGCAGGACATTTGGCTGTGATGGTAGGATGGACTCCCAGCAGGTATGGGACAGGTGCCAGGTGTGTGGTGGGGACAACAGCACGTGCAGCCCACGGAAGGGCTCTTTCACAGCTGGCAGAGCGAGAGAATATGTCACGTTTCTGACAGTTACCCCCAACCTGACCAGTGTCTACATTGCCAACCACAGGCCTCTCTTCACACACTTGGCGGTGAGGATCGGAGGGCGCTATGTCGTGGCTGGGAAGATGAGCATCTCCCCTAACACCACCTACCCCTCCCTCCTGGAGGATGGTCGTGTCGAGTACAGAGTGGCCCTCACCGAGGACCGGCTGCCCCGCCTGGAGGAGATCCGCATCTGGGGACCCCTCCAGGAAGATGCTGACATCCAGGTTTACAGGCGGTATGGCGAGGAGTATGGCAACCTCACCCGCCCAGACATCACCTTCACCTACTTCCAGCCTAAGCCACGGCAGGCCTGGGTGTGGGCCGCTGTGCGTGGGCCCTGCTCGGTGAGCTGTGGGGCAGGGCTGCGCTGGGTAAACTACAGCTGCCTGGACCAGGCCAGGAAGGAGTTGGTGGAGACTGTCCAGTGCCAAGGGAGCCAGCAGCCACCAGCGTGGCCAGAGGCCTGCGTGCTCGAACCCTGCCCTCCCTACTGGGCGGTGGGAGACTTCGGCCCATGCAGCGCCTCCTGTGGGGGTGGCCTGCGGGAGCGGCCAGTGCGCTGCGTGGAGGCCCAGGGCAGCCTCCTGAAGACATTGCCCCCAGCCCGGTGCAGAGCAGGGGCCCAGCAGCCAGCTGTGGCGCTGGAAACCTGCAACCCCCAGCCCTGCCCTGCCAGGTGGGAGGTGTCAGAGCCCAGCTCATGCACATCAGCTGGTGGAGCAGGCCTGGCCTTGGAGAACGAGACCTGTGTGCCAGGGGCAGATGGCCTGGAGGCTCCAGTGACTGAGGGGCCTGGCTCCGTAGATGAGAAGCTGCCTGCCCCTGAGCCCTGTGTCGGGATGTCATGTCCTCCAGGCTGGGGCCATCTGGATGCCACCTCTGCAGGGGAGAAGGCTCCCTCCCCATGGGGCAGCATCAGGACGGGGGCTCAAGCTGCACACGTGTGGACCCCTGCGGCAGGGTCGTGCTCCGTCTCCTGCGGGCGAGGTCTGATGGAGCTGCGTTTCCTGTGCATGGACTCTGCCCTCAGGGTGCCTGTCCAGGAAGAGCTGTGTGGCCTGGCAAGCAAGCCTGGGAGCCGGCGGGAGGTCTGCCAGGCTGTCCCGTGCCCTGCTCGGTGGCAGTACAAGCTGGCGGCCTGCAGCGTGAGCTGTGGGAGAGGGGTCGTGCGGAGGATCCTGTATTGTGCCCGGGCCCATGGGGAGGACGATGGTGAGGAGATCCTGTTGGACACCCAGTGCCAGGGGCTGCCTCGCCCGGAACCCCAGGAGGCCTGCAGCCTGGAGCCCTGCCCACCTAGGTGGAAAGTCATGTCCCTTGGCCCATGTTCGGCCAGCTGTGGCCTTGGCACTGCTAGACGCTCGGTGGCCTGTGTGCAGCTCGACCAAGGCCAGGACGTGGAGGTGGACGAGGCGGCCTGTGCGGCGCTGGTGCGGCCCGAGGCCAGTGTCCCCTGTCTCATTGCCGACTGCACCTACCGCTGGCATGTTGGCACCTGGATGGAGTGCTCTGTTTCCTGTGGGGATGGCATCCAGCGCCGGCGTGACACCTGCCTCGGACCCCAGGCCCAGGCGCCTGTGCCAGCTGATTTCTGCCAGCACTTGCCCAAGCCGGTGACTGTGCGTGGCTGCTGGGCTGGGCCCTGTGTGGGACAGGGTACGCCCAGCCTGGTGCCCCACGAAGAAGCCGCTGCTCCAGGACGGACCACAGCCACCCCTGCTGGTGCCTCCCTGGAGTGGTCCCAGGCCCGGGGCCTGCTCTTCTCCCCGGCTCCCCAGCCTCGGCGGCTCCTGCCCGGGCCCCAGGAAAACTCAGTGCAGTCCAGTGCCTGTGGCAGGCAGCACCTTGAGCCAACAGGAACCATTGACATGCGAGGCCCAGGGCAGGCAGACTGTGCAGTGGCCATTGGGCGGCCCCTCGGGGAGGTGGTGACCCTCCGCGTCCTTGAGAGTTCTCTCAACTGCAGTGCGGGGGACATGTTGCTGCTTTGGGGCCGGCTCACCTGGAGGAAGATGTGCAGGAAGCTGTTGGACATGACTTTCAGCTCCAAGACCAACACGCTGGTGGTGAGGCAGCGCTGCGGGCGGCCAGGAGGTGGGGTGCTGCTGCGGTATGGGAGCCAGCTTGCTCCTGAAACCTTCTACAGAGAATGTGACATGCAGCTCTTTGGGCCCTGGGGTGAAATCGTGAGCCCCTCGCTGAGTCCAGCCACGAGTAATGCAGGGGGCTGCCGGCTCTTCATTAATGTGGCTCCGCACGCACGGATTGCCATCCATGCCCTGGCCACCAACATGGGCGCTGGGACCGAGGGAGCCAATGCCAGCTACATCTTGATCCGGGACACCCACAGCTTGAGGACCACAGCGTTCCATGGGCAGCAGGTGCTCTACTGGGAGTCAGAGAGCAGCCAGGCTGAGATGGAGTTCAGCGAGGGCTTCCTGAAGGCTCAGGCCAGCCTGCGGGGCCAGTACTGGACCCTCCAATCATGGGTACCGGAGATGCAGGACCCTCAGTCCTGGAAGGGAAAGGAAGGAACCAAGGGCGAGCTTGGTACCGAGCTCGGATCCGAAGGTAAGCCTATCCCTAACCCTCTCCTCGGTCTCGATTCTACGCGTACCGGTCATCATCACCATCACCATTGA
【0135】
切断ADAMTS13野生型DNA配列(配列番号2)
ATGCACCAGCGTCACCCCCGGGCAAGATGCCCTCCCCTCTGTGTGGCCGGAATCCTTGCCTGTGGCTTTCTCCTGGGCTGCTGGGGACCCTCCCATTTCCAGCAGAGTTGTCTTCAGGCTTTGGAGCCACAGGCCGTGTCTTCTTACTTGAGCCCTGGTGCTCCCTTAAAAGGCCGCCCTCCTTCCCCTGGCTTCCAGAGGCAGAGGCAGAGGCAGAGGCGGGCTGCAGGCGGCATCCTACACCTGGAGCTGCTGGTGGCCGTGGGCCCCGATGTCTTCCAGGCTCACCAGGAGGACACAGAGCGCTATGTGCTCACCAACCTCAACATCGGGGCAGAACTGCTTCGGGACCCGTCCCTGGGGGCTCAGTTTCGGGTGCACCTGGTGAAGATGGTCATTCTGACAGAGCCTGAGGGTGCTCCAAATATCACAGCCAACCTCACCTCGTCCCTGCTGAGCGTCTGTGGGTGGAGCCAGACCATCAACCCTGAGGACGACACGGATCCTGGCCATGCTGACCTGGTCCTCTATATCACTAGGTTTGACCTGGAGTTGCCTGATGGTAACCGGCAGGTGCGGGGCGTCACCCAGCTGGGCGGTGCCTGCTCCCCAACCTGGAGCTGCCTCATTACCGAGGACACTGGCTTCGACCTGGGAGTCACCATTGCCCATGAGATTGGGCACAGCTTCGGCCTGGAGCACGACGGCGCGCCCGGCAGCGGCTGCGGCCCCAGCGGACACGTGATGGCTTCGGACGGCGCCGCGCCCCGCGCCGGCCTCGCCTGGTCCCCCTGCAGCCGCCGGCAGCTGCTGAGCCTGCTCAGCGCAGGACGGGCGCGCTGCGTGTGGGACCCGCCGCGGCCTCAACCCGGGTCCGCGGGGCACCCGCCGGATGCGCAGCCTGGCCTCTACTACAGCGCCAACGAGCAGTGCCGCGTGGCCTTCGGCCCCAAGGCTGTCGCCTGCACCTTCGCCAGGGAGCACCTGGATATGTGCCAGGCCCTCTCCTGCCACACAGACCCGCTGGACCAAAGCAGCTGCAGCCGCCTCCTCGTTCCTCTCCTGGATGGGACAGAATGTGGCGTGGAGAAGTGGTGCTCCAAGGGTCGCTGCCGCTCCCTGGTGGAGCTGACCCCCATAGCAGCAGTGCATGGGCGCTGGTCTAGCTGGGGTCCCCGAAGTCCTTGCTCCCGCTCCTGCGGAGGAGGTGTGGTCACCAGGAGGCGGCAGTGCAACAACCCCAGACCTGCCTTTGGGGGGCGTGCATGTGTTGGTGCTGACCTCCAGGCCGAGATGTGCAACACTCAGGCCTGCGAGAAGACCCAGCTGGAGTTCATGTCGCAACAGTGCGCCAGGACCGACGGCCAGCCGCTGCGCTCCTCCCCTGGCGGCGCCTCCTTCTACCACTGGGGTGCTGCTGTACCACACAGCCAAGGGGATGCTCTGTGCAGACACATGTGCCGGGCCATTGGCGAGAGCTTCATCATGAAGCGTGGAGACAGCTTCCTCGATGGGACCCGGTGTATGCCAAGTGGCCCCCGGGAGGACGGGACCCTGAGCCTGTGTGTGTCGGGCAGCTGCAGGACATTTGGCTGTGATGGTAGGATGGACTCCCAGCAGGTATGGGACAGGTGCCAGGTGTGTGGTGGGGACAACAGCACGTGCAGCCCACGGAAGGGCTCTTTCACAGCTGGCAGAGCGAGAGAATATGTCACGTTTCTGACAGTTACCCCCAACCTGACCAGTGTCTACATTGCCAACCACAGGCCTCTCTTCACACACTTGGCGGTGAGGATCGGAGGGCGCTATGTCGTGGCTGGGAAGATGAGCATCTCCCCTAACACCACCTACCCCTCCCTCCTGGAGGATGGTCGTGTCGAGTACAGAGTGGCCCTCACCGAGGACCGGCTGCCCCGCCTGGAGGAGATCCGCATCTGGGGACCCCTCCAGGAAGATGCTGACATCCAGGTTTACAGGCGGTATGGCGAGGAGTATGGCAACCTCACCCGCCCAGACATCACCTTCACCTACTTCCAGCCTAAGCCACGGCAGGCCAAGGGCGAGCTTGGTACCGAGCTCGGATCCGAAGGTAAGCCTATCCCTAACCCTCTCCTCGGTCTCGATTCTACGCGTACCGGTCATCATCACCATCACCATTGA
【0136】
mrADAMTS13 DNA配列(配列番号3)
切断野生型ADAMTS13のコドン最適化DNA配列をGenscriptで調製して、mrADAMTS13のコドン最適化DNA配列を得た。
ATGCATCAGAGACATCCACGGGCTAGGTGTCCTCCACTGTGCGTCGCTGGCATCCTGGCTTGCGGGTTCCTGCTGGGCTGCTGGGGGCCTAGCCACTTCCAGCAGTCCTGCCTGCAGGCCCTGGAGCCACAGGCCGTGAGCTCCTACCTGAGCCCTGGAGCACCACTGAAGGGCAGACCCCCTTCCCCTGGCTTCCAGAGACAGAGGCAGAGGCAGAGGAGAGCAGCAGGAGGCATCCTGCACCTGGAGCTGCTGGTGGCAGTGGGACCAGACGTGTTTCAGGCCCACCAGGAGGATACCGAGAGATATGTGCTGACAAACCTGAATATCGGCGCCGAGCTGCTGAGGGACCCCAGCCTGGGAGCACAGTTCCGCGTGCACCTGGTGAAGATGGTCATCCTGACCGAGCCTGAGGGAGCTCCAAACATCACCGCCAATCTGACATCTAGCCTGCTGAGCGTGTGCGGCTGGAGCCAGACCATCAACCCTGAGGACGATACAGACCCAGGCCACGCCGATCTGGTGCTGTACATCACCAGATTTGACCTGGAGCTGCCAGATGGCAATAGGCAGGTGCGCGGAGTGACCCAGCTGGGAGGAGCATGTTCCCCAACATGGTCTTGCCTGATCACCGAGGACACAGGCTTCGATCTGGGCGTGACAATCGCCCACGAGATCGGCCACTCCTTTGGCCTGGAGCACGACGGAGCACCAGGATCCGGATGCGGACCTTCTGGACACGTGATGGCATCTGATGGAGCAGCACCAAGGGCAGGCCTGGCATGGTCCCCCTGTTCTAGGCGCCAGCTGCTGAGCCTGCTGTCCGCCGGAAGGGCCAGATGCGTGTGGGACCCACCCAGACCCCAGCCTGGAAGCGCCGGCCACCCTCCAGATGCCCAGCCCGGCCTGTACTATTCCGCCAACGAGCAGTGTAGGGTGGCCTTCGGCCCTAAGGCAGTGGCATGCACCTTTGCCAGAGAGCACCTGGACATGTGCCAGGCCCTGTCCTGTCACACAGACCCCCTGGATCAGTCCTCTTGTTCTAGGCTGCTGGTGCCTCTGCTGGATGGCACCGAGTGCGGCGTGGAGAAGTGGTGCAGCAAGGGCAGGTGTCGCTCCCTGGTGGAGCTGACACCAATCGCAGCAGTGCACGGCCGCTGGAGCTCCTGGGGACCACGGAGCCCTTGCTCCAGATCTTGTGGAGGAGGAGTGGTGACCCGGAGAAGGCAGTGTAACAATCCAAGGCCCGCCTTTGGCGGAAGGGCATGCGTGGGAGCAGACCTGCAGGCCGAGATGTGCAATACCCAGGCCTGTGAGAAGACACAGCTGGAGTTCATGTCCCAGCAGTGCGCAAGGACCGACGGACAGCCACTGAGATCTAGCCCTGGAGGAGCATCTTTTTATCACTGGGGAGCAGCAGTGCCACACAGCCAGGGCGATGCACTGTGCAGGCACATGTGCCGCGCCATCGGCGAGTCTTTCATCATGAAGCGGGGCGACAGCTTTCTGGATGGAACCAGGTGTATGCCATCCGGACCAAGGGAGGATGGCACCCTGTCTCTGTGCGTGAGCGGCTCCTGTCGGACATTCGGCTGCGACGGCAGAATGGATAGCCAGCAAGTGTGGGACAGGTGCCAGGTGTGCGGAGGCGATAACTCTACCTGCAGCCCTAGGAAGGGATCTTTCACAGCAGGAAGGGCAAGAGAGTACGTGACGTTTCTGACCGTGACACCAAACCTGACAAGCGTGTATATCGCCAATCACAGGCCCCTGTTTACCCACCTGGCCGTGCGGATCGGAGGCAGATACGTGGTGGCAGGCAAGATGTCTATCAGCCCAAATACCACATACCCATCCCTGCTGGAGGACGGAAGGGTGGAGTATCGCGTGGCCCTGACAGAGGATCGGCTGCCTAGACTGGAGGAGATCAGGATCTGGGGACCACTGCAGGAGGACGCCGATATCCAGGTGTACCGCCGGTATGGCGAGGAGTATGGCAATCTGACTCGCCCCGACATCACTTTCACATACTTCCAGCCCAAACCAAGGCAGGCAAAGGGCGAGCTTGGTACCGAGCTCGGATCCGAAGGTAAGCCTATCCCTAACCCTCTCCTCGGTCTCGATTCTACGCGTACCGGTCATCATCACCATCACCATTGA
【0137】
mrADAMTS13コドン-最適化DNA配列(発現ベクターpcDNA5/FRT/V5-HisTopovectorを包含する)(配列番号4)
切断ADAMTS13コドン最適化DNA配列をGenscriptによって合成し、市販のpcDNA5/FRT/V5-His Topovector発現ベクターにクローニングして、mrADAMTS13コドン最適化DNA配列を得た。
【0138】
切断WT ADAMTS13最適化ORF(下線)、V5タグ(太字および斜体)、Hisタグ(太字および下線)、終止コドン(斜体および下線)、およびCMVプロモーター(太字)。
【化1】
【化2】
【化3】
【0139】
全長野生型ADAMTS13アミノ酸配列(配列番号5)
MHQRHPRARCPPLCVAGILACGFLLGCWGPSHFQQSCLQALEPQAVSSYLSPGAPLKGRPPSPGFQRQRQRQRRAAGGILHLELLVAVGPDVFQAHQEDTERYVLTNLNIGAELLRDPSLGAQFRVHLVKMVILTEPEGAPNITANLTSSLLSVCGWSQTINPEDDTDPGHADLVLYITRFDLELPDGNRQVRGVTQLGGACSPTWSCLITEDTGFDLGVTIAHEIGHSFGLEHDGAPGSGCGPSGHVMASDGAAPRAGLAWSPCSRRQLLSLLSAGRARCVWDPPRPQPGSAGHPPDAQPGLYYSANEQCRVAFGPKAVACTFAREHLDMCQALSCHTDPLDQSSCSRLLVPLLDGTECGVEKWCSKGRCRSLVELTPIAAVHGRWSSWGPRSPCSRSCGGGVVTRRRQCNNPRPAFGGRACVGADLQAEMCNTQACEKTQLEFMSQQCARTDGQPLRSSPGGASFYHWGAAVPHSQGDALCRHMCRAIGESFIMKRGDSFLDGTRCMPSGPREDGTLSLCVSGSCRTFGCDGRMDSQQVWDRCQVCGGDNSTCSPRKGSFTAGRAREYVTFLTVTPNLTSVYIANHRPLFTHLAVRIGGRYVVAGKMSISPNTTYPSLLEDGRVEYRVALTEDRLPRLEEIRIWGPLQEDADIQVYRRYGEEYGNLTRPDITFTYFQPKPRQAWVWAAVRGPCSVSCGAGLRWVNYSCLDQARKELVETVQCQGSQQPPAWPEACVLEPCPPYWAVGDFGPCSASCGGGLRERPVRCVEAQGSLLKTLPPARCRAGAQQPAVALETCNPQPCPARWEVSEPSSCTSAGGAGLALENETCVPGADGLEAPVTEGPGSVDEKLPAPEPCVGMSCPPGWGHLDATSAGEKAPSPWGSIRTGAQAAHVWTPAAGSCSVSCGRGLMELRFLCMDSALRVPVQEELCGLASKPGSRREVCQAVPCPARWQYKLAACSVSCGRGVVRRILYCARAHGEDDGEEILLDTQCQGLPRPEPQEACSLEPCPPRWKVMSLGPCSASCGLGTARRSVACVQLDQGQDVEVDEAACAALVRPEASVPCLIADCTYRWHVGTWMECSVSCGDGIQRRRDTCLGPQAQAPVPADFCQHLPKPVTVRGCWAGPCVGQGTPSLVPHEEAAAPGRTTATPAGASLEWSQARGLLFSPAPQPRRLLPGPQENSVQSSACGRQHLEPTGTIDMRGPGQADCAVAIGRPLGEVVTLRVLESSLNCSAGDMLLLWGRLTWRKMCRKLLDMTFSSKTNTLVVRQRCGRPGGGVLLRYGSQLAPETFYRECDMQLFGPWGEIVSPSLSPATSNAGGCRLFINVAPHARIAIHALATNMGAGTEGANASYILIRDTHSLRTTAFHGQQVLYWESESSQAEMEFSEGFLKAQASLRGQYWTLQSWVPEMQDPQSWKGKEGT
【0140】
切断野生型ADAMTS13アミノ酸配列(配列番号6)
MHQRHPRARCPPLCVAGILACGFLLGCWGPSHFQQSCLQALEPQAVSSYLSPGAPLKGRPPSPGFQRQRQRQRRAAGGILHLELLVAVGPDVFQAHQEDTERYVLTNLNIGAELLRDPSLGAQFRVHLVKMVILTEPEGAPNITANLTSSLLSVCGWSQTINPEDDTDPGHADLVLYITRFDLELPDGNRQVRGVTQLGGACSPTWSCLITEDTGFDLGVTIAHEIGHSFGLEHDGAPGSGCGPSGHVMASDGAAPRAGLAWSPCSRRQLLSLLSAGRARCVWDPPRPQPGSAGHPPDAQPGLYYSANEQCRVAFGPKAVACTFAREHLDMCQALSCHTDPLDQSSCSRLLVPLLDGTECGVEKWCSKGRCRSLVELTPIAAVHGRWSSWGPRSPCSRSCGGGVVTRRRQCNNPRPAFGGRACVGADLQAEMCNTQACEKTQLEFMSQQCARTDGQPLRSSPGGASFYHWGAAVPHSQGDALCRHMCRAIGESFIMKRGDSFLDGTRCMPSGPREDGTLSLCVSGSCRTFGCDGRMDSQQVWDRCQVCGGDNSTCSPRKGSFTAGRAREYVTFLTVTPNLTSVYIANHRPLFTHLAVRIGGRYVVAGKMSISPNTTYPSLLEDGRVEYRVALTEDRLPRLEEIRIWGPLQEDADIQVYRRYGEEYGNLTRPDITFTYFQPKPRQA
【0141】
mrADAMTS13アミノ酸配列(配列番号7)
コドン最適化配列は、以下のアミノ酸配列を提供した:
切断WT ADAMTS13 ORF(1~685)、V5タグ(697~710;下線)、Hisタグ(714~719;太字)、およびリンカー配列(686~696および711~713;イタリック体)。
【化4】
【0142】
mrADAMTS13(配列番号7)のポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)マイクロ粒子内へのカプセル化が徐放を提供する
その分子量および物理的特性を考慮して、mrADAMTS13(配列番号7)をPLGAマイクロ粒子に物理的にカプセル化した。これを達成するために、水中油中水型(w/o/w)二重エマルジョン法を使用してmrADAMTS13をロードしたPLGAマイクロ粒子を作製した。そのような手順の一例として:2mgのmrADAMTS13タンパク質(内部水相、W 1)を含有するタンパク質緩衝溶液(50mL)を、高速ホモジナイザーを使用して、1mLのPLGA-ジクロロメタン(DCM)溶液(5% w/v、油相、O)に乳化した。次いで、第1のエマルジョン(W1/O)を、マグネチックスターラーを使用して400rpmで0.1%または1% w/vのPVA(外部水相、W2)を含有する20mL緩衝溶液に注入した。エマルジョンをドラフト内で連続的に撹拌して、DCMの蒸発およびマイクロ粒子の固化を可能にした。次いで、mrADAMTS13をロードしたマイクロ粒子を濾過によって採取し、DI水で洗浄し、凍結乾燥した。直径3~60μmの粒子を製造し、形態、タンパク質負荷および放出動態に関して特徴付けた。
【0143】
実験結果
mRNAプロファイル
mrADAMTS13および全長野生型ADAMTS13のmRNAプロファイルを評価した。mrADAMTS13は、倍率変化を計算した全長野生型ADAMTS13と比較してより高いmRNA発現を実証する(図1)。
【0144】
分子量
mrADAMTS13と全長ADAMTS13との分子量の差は、ウエスタンブロット分析によって実証された(図2)。mrADAMTS13は約80kDaの分子量を有する。
【0145】
細胞におけるmrADAMTS13の発現
野生型切断ADAMTS13およびmrADAMTS13の発現特性を、Flp-In HEK 293細胞における発現について同時に試験した。これらの分子の並行比較は、コドン最適化によって提供される発現増強を実証する(図3)。
【0146】
mrADAMTS13は発現および活性の増強を実証する
mrADAMTS13は、VWF73-FRETSアッセイによって測定した切断野生型ADAMTS13と比較して、Flp-In HEK293細胞における発現の増強および活性の増強を実証した。両変異体のADAMTS13活性をVWF-73 FRETSアッセイによって測定し、切断野生型ADAMTS13と比較してmrADAMTS13の活性増強を実証した(図4)。
【0147】
mrADAMTS13のマイクロカプセル化
mrADAMTS13をPLGAマイクロ粒子にカプセル化した。マイクロカプセル化mrADAMTS13は、タンパク質の完全性および120時間にわたる未変性mrADAMTS13の徐放を実証した(図5)。
PLGAマイクロカプセル化mrADAMTS13はまた、活性ADAMTS13特異的活性の徐放を実証した。図6は、mrADAMTS13の上清中への放出実験中、0、6、24、72、および120時間での個々の試料におけるADAMTS13比活性を示す。データは、経時的な合計60回の測定の蛍光発光(FRETS VWF-73)によって得た。このデータは、個々の各試料の酵素活性の勾配を記載する。このデータは、活性ADAMTS13酵素が120時間を包含するすべての試料に存在することを実証している。
これらのデータは、mrADAMTS 13が保存された細胞発現および特異的ADAMTS 13活性を示すことを実証している。さらに、mrADAMTS13は、ADAMTS13酵素活性の徐放を提供するPLGAマイクロ粒子にカプセル化され得る。
【0148】
mrADAMTS13の単回用量皮下注射の薬物動態特性(配列番号7)
目的は、マウスモデルに8時間にわたって皮下注射した場合のmrADAMTS13の血漿取り込みおよび薬物動態特性を評価することであった。これは、血漿中に拡散して最小血漿濃度を表し、最小ADAMTS13活性を発揮する組換え切断タンパク質としてのmrADAMTS13の基本特性を理解するために設計された。臨床的には、組換えADAMTS13の現在の投与は、患者への反復静脈内注射を必要とする静脈内製剤でのみ市販されているため、これは大きな影響を与える。この実施は、反復注射から生命を脅かす血液感染の重大なリスクを招く。さらに、静脈内製剤は、単回用量として限られた半減期を有し、初期の高ピーク血漿濃度の潜在的な欠点を有し、これにより、患者は組換えADAMTS13に対する抗体を生じやすくなる。mrADAMTS13の血漿中への予測可能な吸収と一致する用量依存性および代謝を実証する目的で、mrADAMTS13の単回注射後の血漿濃度および薬物動態パラメータを評価するために実験を設計した。
【0149】
研究設計
合計18匹の雄マウスを実験のために選択し、以下の表に記載の滅菌条件下で1mg/Kgまたは3mg/Kgのいずれかを皮下投与する2つの群に分けた。
【表1】
【0150】
予定されたサンプリング技術は、クエン酸を添加した小児用チューブへのテールニックの全血試料採取を包含した。ベンチトップで5分後、試料を遠心分離し、血漿を採取し、-20℃で保存した。
【0151】
試料採取
【表2】
【0152】
識別
識別およびモニタリングの目的で、動物に1~18の消えない標識を付けた。
【0153】
動物の健康および順応
実験室に到着後、動物を24~48時間順応させた。寿命期の開始前に、mrADAMTS13投与前に各動物を調べ、体重を測定した。
【0154】
収容および給餌条件
動物室の環境は、設備操作:69~75°Fの温度範囲、30~70%の範囲の相対湿度、および12時間の人工的な明暗サイクルに従って制御される。動物を群にするか、または接触床およびげっ歯類エンリッチメントを備えるポリカーボナートケージに別々に収容した。すべての動物は、食物(標準Envigoげっ歯類#2016食)、ならびに微粒子および活性炭で濾過した自動水道水を自由に摂取できた。
【0155】
種および数の正当性
これは、ヒトで使用するための開発中の化合物についてPK研究を支援するために許容され得る種である。各群の動物数は、動物間差異の評価に必要な最小の動物数である。
【0156】
実験手順
mrADAMTS13製剤
mrADAMTS13を、1mg/kgおよび3mg/kgの2つの用量群について0.1mg/mLおよび0.3mg/mLでトリス緩衝液またはホスファート緩衝液に製剤化した。
【0157】
被験物質の投与
mrADAMTS13を、試料の体積損失を減少させるためにシリンジおよびハブレス27~29 G針を使用して皮下注射によって投与した。
【0158】
体重
到着時に動物の体重を測定し、投与日に繰り返した。それらは、最後に記録された体重から決定された体重ベースで投与された。
【0159】
試料採取
各マウスにおいて、最初の時点ではテールニックによって150 uLの血液を採取し、次に2回目の終了時点では心臓スティックによって最大体積を採取した。血液をクエン酸ナトリウム採取チューブに採取した。採取から30分以内に血漿をスピンして採取する。得られた血漿は、テールニック採取では2つの等しいアリコートに、最終採血では3つの等しいアリコートに分割される。血漿を分離し、出荷まで-20℃で凍結保存する。
【0160】
動物の処分
第2の血液試料の採取後、追加の試料を採取する前に、心臓スティックを介して動物を二酸化炭素窒息および頸椎脱臼によって安楽死させる。
【0161】
データ解析
生物分析試料分析
血漿試料をmrADAMTS13濃度および活性の両方についてアッセイした。mrADAMTS13を、ELISA法を使用して血漿中の濃度についてアッセイし、結果をng/mL血漿で表した。mrADAMTS13活性を、GST-VWF 73基質を使用するADAMTS13比活性アッセイを使用してアッセイし、データをU/mL血漿として表した。
【0162】
薬物動態(PK)分析
Phoenix Winnonlin v 8.3ソフトウェアを使用して、標準的なノンコンパートメントPK分析を評価した。パラメータ推定は、パラメータ推定のための線形アップ/ログダウン台形法による。パラメータは、Tmax、Cmax、AUClast、AUCinf、半減期および分布体積を包含した。
【0163】
結果
注射後、すべての動物は、いかなる症状もなくmrADAMTS13に耐容性を示し、いかなる悪影響もなくプロトコルを生き延びた。注射部位での認識できる局所反応はなく、動物はmrADAMTS13の注射後に正常な活動を回復した。
ノンコンパートメント分析によるmrADAMTS13血漿濃度のサンプリングは、1mg/Kg用量と3mg/Kg用量との間の良好な比例関係を実証し、皮下空間から血漿への用量依存性血漿吸収を示唆した。表1は、基本的なPK特性を記載し、漸増用量(1~3mg/Kg)、24.1および76.4 ng/mL血漿の最大観察濃度(Cmax)で半減期の増加として要約した。投与の時点から測定可能な濃度の時点までの曲線下面積(AUCinf)において、良好な用量依存的比例関係があった。このデータは全体として、mrADAMTS13が、皮下から血漿コンパートメントへの正の吸収相と一致する血漿濃度、代謝速度および分布体積の数学的に予測可能なピークを有することを示している。表2および表3は、個々の用量の濃度および動物についてのデータを記載している。
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
【表5】
【0167】
図7図10は、投与の時間(0)および時点と比較した濃度変化の曲線を示す。これは、線形、片対数として表され、それぞれ線形および片対数の平均からの変動を包含する。
mrADAMTS13血漿活性のサンプリングは、基線(天然ADAMTS13)活性および表4に記載のPK特性の減算によって計算した。このデータは、1mg/Kg用量と3mg/Kg用量との間の良好な比例関係を実証し、基線の天然ADAMTS13活性を超える血漿ADAMTS13の増加を示唆している。図11図14は、投与の時間(0)および時点に対するADAMTS13の活性変化の曲線を示す。これは、線形、片対数として表され、それぞれ線形および片対数の平均からの変動を包含する。
【0168】
【表6】
【0169】
【表7】
【0170】
【表8】
【0171】
皮下注射したmrADAMTS13の薬物動態に関するデータは、mrADAMTS13の分子構造および酵素特性が8時間の実験期間にわたって皮下注射後の血漿中に存在することを実証している。in vivo動物モデルを使用したこのデータは、mrADAMTS13を使用してADAMTS13活性の皮下補充が達成可能であることを実証している。活性のピーク、活性の持続時間および分布の体積に関してmrADAMTS13によって示される代謝特性は、用量依存的に保存されたmrADAMTS13機能および活性代謝と一致する。
【0172】
均等物および範囲
当業者は、本明細書に記載される実施形態の多くの均等物を認識するか、または日常的な実験法を用いるだけで確かめることができるだろう。本開示の範囲は上の記載に限定されることを意図せず、むしろ添付の請求項によって規定される通りである。
【0173】
クレームにおいて、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は、1または1より多いことを意味する場合があるが、それと反する指示がないか、またはそれとは別に、文脈から明らかでない場合に限る。反する指示がないか、または別様に文脈から明白でない限り、ある群の2つ以上のメンバー間に「または」を包含する請求項または記載は、群のメンバーの1つ、2つ以上、またはすべてが存在する場合には、満たされると考えられる。2つ以上の群メンバー間に「または」を包含する群の開示は、群の正確に1つのメンバーが存在する実施形態、群の2つ以上のメンバーが存在する実施形態、および群メンバーのすべてが存在する実施形態を提供する。簡潔にするために、これらの実施形態は、本明細書では個々に記載されていないが、これらの実施形態の各々は、本明細書に提供され、具体的に特許請求され、または特許請求を放棄される場合があることが理解されよう。
【0174】
本開示は、請求項の1つ以上から、または明細書の1つ以上の関係する部分からの1つ以上の限定、要素、節、記述用語が別の請求項に導入されるすべての変形、組み合わせ、および置換を網羅するということは理解されるべきである。例えば、別の請求項に従属する請求項は、同じ基本請求項に従属するいずれかの他の請求項に見出される1つ以上の限定を包含するように改変され得る。さらに、特許請求の範囲に組成物が記載されている場合、別段の指示がない限り、または矛盾もしくは不整合が生じることが当業者に明らかでない限り、本明細書に開示されている製造方法もしくは使用方法のいずれかに従って、またはもしあれば当技術分野で既知の方法に従って、組成物を製造する方法または使用する方法が包含されることを理解されたい。
【0175】
要素が例としてマーカッシュ群形式でリストとして提示される場合、要素のすべての可能な部分群も開示され、任意の要素または要素の部分群が群から除去され得ることを理解されたい。「含む」は開放的であることが意図され、追加の要素またはステップの包摂を許容するということにもまた留意されたい。一般に、実施形態、製品、または方法が特定の要素、特徴、またはステップを含むと言及される場合、そのような要素、特徴、またはステップからなる、または本質的になる実施形態、製品、または方法も同様に提供されることを理解されたい。簡潔にするために、これらの実施形態は、本明細書では個々に記載されていないが、これらの実施形態の各々は、本明細書に提供され、具体的に特許請求され、または特許請求を放棄される場合があることが理解されよう。
【0176】
範囲が与えられる場合、エンドポイントが包含される。さらにその上、別様に指示されないかまたは文脈および/もしくは当業者の理解から別様に明白でない限り、文脈が明瞭に別様に述べていない限り、範囲として表現されている値は、ある種の態様において、記載される範囲内のいずれかの特定の値を範囲の下限の単位の十分の一まで取り得るということは理解されるべきである。簡潔にするために、各範囲の値は本明細書では個々に列挙されていないが、これらの値の各々は本明細書に提供され、具体的に特許請求され、または特許請求を放棄される場合があることが理解されよう。別様に指示されないかまたは文脈および/もしくは当業者の理解から別様に明白でない限り、範囲として表現されている値は所与の範囲内のいずれかの部分範囲を取り得、部分範囲のエンドポイントは範囲の下限の単位の十分の一と同じ正確度で表現されるということもまた理解されるべきである。
【0177】
ウェブサイトが提供される場合、URLアドレスは、それぞれのウェブアドレスの期間を括弧で囲んで、非ブラウザ実行可能コードとして提供される。実際のウェブアドレスは括弧を含有しない。
加えて、本開示のいずれかの特定の態様が請求項のいずれか1つ以上から明示的に排除される場合があるということは理解されるべきである。範囲が与えられる場合、範囲内のいずれかの値が請求項のいずれか1つ以上から明示的に排除される場合がある。本開示の組成物および/または方法のいずれかの態様、要素、特徴、適用、または態様はいずれか1つ以上の請求項から排除され得る。簡潔さの目的のために、1つ以上の要素、特徴、目的、または態様が排除される態様のすべてが、本明細書において明示的に規定されているわけではない。
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【配列表】
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【国際調査報告】