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特表2023-554543ボアホールから地下の特徴を撮像するためのデバイス及び方法
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  • 特表-ボアホールから地下の特徴を撮像するためのデバイス及び方法 図1
  • 特表-ボアホールから地下の特徴を撮像するためのデバイス及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ボアホールから地下の特徴を撮像するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/30 20060101AFI20231220BHJP
   G01S 13/87 20060101ALI20231220BHJP
   G01S 13/88 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G01V3/30
G01S13/87
G01S13/88 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023552396
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 IB2021060326
(87)【国際公開番号】W WO2022101762
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】2017921.4
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521437758
【氏名又は名称】ハイパートンネル アイピー リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】フラナガン,ファーガス
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,エリオット
【テーマコード(参考)】
2G105
5J070
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB11
2G105CC04
2G105DD02
2G105EE02
2G105LL03
2G105LL04
2G105LL05
2G105LL06
2G105LL07
2G105LL09
5J070AC02
5J070AE11
5J070AF01
5J070AG07
5J070AK14
5J070BC06
5J070BD01
5J070BE03
(57)【要約】
地中レーダのアンテナは、一般的に地面に接触して使用するよう意図される。しかし地面から離された(例えば地面上方の空気中の)アンテナも、開発されている。本発明は、ボアホールから地下の特徴を撮像することを可能にし、それによって、地下資源及び地質構造を(例えばそれらの完全性を判断するために)評価することができ、かつ補修作業が監視され得る。例えば(安定のために、地質の中に注入された化学物質などの)構造的強化をチェックして、それがどこで発現したか、及びどこで未だ達し得ないか、を確認できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボアホールから地下の特徴を撮像するためのデバイスであって、
ボアホールの長手方向に沿って移動するよう構成された、少なくとも1つのキャリッジと、
前記キャリッジ上における、第1の地中レーダのアンテナと、
前記第1のアンテナからの、放射の放出を制御するよう構成された、送信器と、
前記少なくとも1つのキャリッジ上における、第2の地中レーダのアンテナと、
前記第2のアンテナにおいて放射の受信を示す信号を、第2のアンテナから受けるよう構成された、受信器と、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、単一のトランシーバアンテナであり、
前記トランシーバアンテナは、180°までの開口角度を有する放射ビームを放出するよう構成され、前記ビームは長手方向に対して直角に方向付けられ、
少なくとも1つの前記キャリッジは、前記トランシーバアンテナを長手方向の周りに回転させるよう構成される、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの前記キャリッジは、第1のキャリッジ及び第2のキャリッジを備え、
前記第1のアンテナは、前記第1のキャリッジに配設され、前記第2のアンテナは、前記第2のキャリッジに配設され、前記第1及び第2のアンテナは互いから離隔される、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1及び第2のキャリッジは、前記第1及び第2のアンテナ間の空間を変化させることができるよう、互いに対して可動である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
放射ビーム全体にわたり、前記アンテナと、前記ボアの壁との間の距離をブリッジする材料をさらに備える、請求項1~4の内いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記材料は、前記アンテナからのビームにおける任意の経路が、ビームにおける任意の他の経路のものと等しい合計のレーダの飛行時間を所有するよう、配分され得る、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1のアンテナと類似の方法で構成された、別の、第1の地中レーダのアンテナをさらに備える、請求項1~6の内いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
ボアホールから地下の特徴を撮像するための方法であって、
請求項1~7のうちいずれか一項に記載のデバイスを提供するステップと、
少なくとも1つのキャリッジを、ボアホールの長手方向に沿って通すステップと、
第1のアンテナから第1の放射ビームを放出するステップと、
前記第1のアンテナからの、前記第1の放射ビームの放出に対応して、第2のアンテナにおいて放射を受け取るステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的に、ボアホールから地下の特徴を撮像するためのデバイス及び方法に関し、限定ではないが、特に補修工事における利用を見出す。
【背景技術】
【0002】
地中レーダ(GPR)は、レーダパルスを使用して地質の特徴を撮像する、地球物理学的方法である。地中レーダのアンテナは、一般的に地面に接触して使用するよう意図される。しかし地面から離された(例えば地面上方の空気中の)アンテナも、開発されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様によると、ボアホールから地下の特徴を撮像するためのデバイスが提供される。このデバイスは:ボアホールの長手方向に沿って移動するよう構成された、少なくとも1つのキャリッジ;キャリッジ上の、第1の地中レーダのアンテナ;第1のアンテナからの、放射の放出を制御するよう構成された送信器;少なくとも1つのキャリッジ上の、第2の地中レーダのアンテナ;及び、第2のアンテナで放射を受信したことを示す信号を第2のアンテナから受けるよう構成された受信器、を備える。
【0004】
このように、地下資源及び地質構造を(例えばそれらの完全性を判断するために)評価することができ、補修作業が監視され得る。例えば(例えば安定のために、地質の中に注入された化学物質などの)構造的強化をチェックして、それがどこで発現したか、及びどこで未だ達し得ないか、を確認できる。これは、適切な構造的特性を確保しようとして過剰分が使用されるという、大きな無駄を回避する。むしろ、注入を各箇所においてリアルタイムに調整されるべきである。化学物質の注入前に、地質を評価することは、現存の地質を伴って機能する、より効果的な構造設計も可能にする。
【0005】
最も簡単な場合において、これは、ボアホールに沿った地質構造について、単に一次元での評価を提供し得る。
【0006】
第1のアンテナ及び第2のアンテナは、単一のトランシーバアンテナであってもよい。トランシーバアンテナは、180°までの開口角度を有する放射ビームを放出するよう構成され得る。このビームは、長手方向に対して直角に方向付けられ得る。少なくとも1つのキャリッジは、トランシーバアンテナを長手方向の周りに回転させるよう構成され得る。
【0007】
このように、地下資源及び地質構造を三次元で、すなわち回転及び開口角度による二次元、及びボアホールに沿った長手方向運動による一次元で、地図化することができる。詳細には、第2のアンテナは、第1のアンテナから反射した信号を受信し得る。
【0008】
少なくとも1つのキャリッジは、第1のキャリッジ及び第2のキャリッジを備え得る。第1のアンテナは、第1のキャリッジに配設され、第2のアンテナは、第2のキャリッジに配設され、第1及び第2のアンテナは互いから離隔され得る。
【0009】
このように、地下資源及び地質構造を二次元で地図化することができる。例えば、第1及び第2のキャリッジが異なるボアホールにあるとき、ボアホールを接続する二次元のシートが地図化され得る。詳細には、第2のアンテナは、第1のアンテナから送信された信号を受信し得る。
【0010】
第1及び第2のキャリッジは、第1及び第2のアンテナ間の間隔を変化させることができるよう、互いに対して可動とし得る。
【0011】
このように、地下資源及び地質構造を二次元で地図化することができる。例えば、第1及び第2のキャリッジが同じボアホールにあり、かつそれらの空間を変化させることができる場合、共通の中間点アプローチ(CMP)を使用して、ボアホールに沿った距離、及びボアホールの任意の特徴からの距離、を判断することができる。
【0012】
第1及び第2のキャリッジの各々を、それぞれのボアに設置し得るか、または同じボアに設置し得る。
【0013】
第1及び第2のアンテナは、全方向性とし得る。すなわち放射ビームを、全ての方向に等しく、または少なくとも(長手方向に対して直角の面などの)面内で全ての方向に等しく放出するよう構成され得る。このようなビームの開口角度を、4πsr(4パイステラジアン)または360°それぞれとして考慮され得る。
【0014】
しかし、代替の実施形態において、第1及び第2のアンテナはそれぞれ、180°までの開口角度を有する放射ビームを放出するよう構成されてもよく、このビームは長手方向に対して直角に方向付けられる。
【0015】
このように、地下資源及び地質構造を三次元で、すなわち回転及び開口角度による二次元、及びボアホールに沿った長手方向運動による一次元で、地図化することができる。
【0016】
撮像は、1つまたは複数のレーダグラムを、単に得ることを含み得る。しかし状況によっては、撮像は、ボアホールの近傍における地下の特徴の、三次元モデルを再構築することを含み得る。
【0017】
ボアホールは、垂直、水平、及び/または任意の勾配である、任意のボアであってよい。ボアホールは、誘導式水平ドリル工法(HDD)など、従来の手段によって形成され得る。ボアホールは、10cm~1m、詳細には20cm~60cm、より詳細には25cm~40cmの径を有し得る。ほとんどのボアホールは、円形断面を想定されるが、他の形状も考慮される。したがって単語「径」は、例えば断面の横方向範囲、平均横方向範囲などと解釈するべきである。
【0018】
第2のキャリッジは、1つのみのキャリッジ、少なくとも1つの第2のキャリッジ、または複数の第2のキャリッジ、から構成され得る。それらの上に、第1のアンテナからの放射を受信するために、それぞれ第2のアンテナが配設され得る。
【0019】
第1のキャリッジは、1つのみのキャリッジ、少なくとも1つの第1のキャリッジ、または複数の第1のキャリッジ、から構成され得る。それらの上に、第2のアンテナへ放射を送信するために、それぞれ第1のアンテナが配設され得る。
【0020】
キャリッジは、キャリッジをボアホールに沿って駆動するための原動力を提供するよう構成された、駆動ユニットを備え得る。代替または追加として、キャリッジは、分離した別個の駆動ユニットによって駆動され、及び/またはボアの上方で駆動装備に接続され得る。
【0021】
これに関連して、ボアホールの「下方」は、ボアホールの開口部から離れることを意味し、「上方」は、ボアホールの開口部に向かうことを意味し、及び/または「に沿って」は、「上方」、「下方」、もしくは両方を意味し得る。この技術用語は、重力及び/または地殻に対する方向を説明するものではない。
【0022】
長手方向は、ボアホールの延長に沿ったもの、すなわちボアホールの軸に沿ったものを意味し得る。
【0023】
本デバイスは、単一の地中レーダのアンテナ、または複数の地中レーダのアンテナを備え得る。地中レーダのアンテナは、地中レーダ用途に使用するために好適な周波数を有する放射の放出が可能な、当技術分野で公知の、任意のアンテナを含み得る。これに関連し、より高い周波数は、より低い周波数と比較して、より高い解像度結果をもたらすことができるが、このような高い周波数は、硬い物質に対して透過が弱くなる傾向もある。アンテナは、マルチスペクトルであるか、または特定の周波数もしくは周波数帯に同調され得る。地下地質のマルチスペクトル分析のために、複数のアンテナが使用され、各々はそれぞれ唯一の周波数に同調され得る。
【0024】
キャリッジ上のアンテナは、単にキャリッジによって搬送されることを意味してよく、キャリッジの上面に取り付けられることに限定されない。
【0025】
放射ビームは、パルスを備え得る。放射ビームは、ペンシルビーム、コーンビーム(すなわち放射軸の周りに回転対称放出強度を有する)、ファンビーム(すなわち単一放出面に限定された放射を有するが、放出軸の周りに反射対称放出強度を有する)、または任意の他のビーム形状の構成、を備え得る。詳細には、ビーム内の強度は、放出軸からの角度を伴って変化し得る。ファンビームの場合、放出面は、長手方向に対して直角に配置され得るが、好ましい実施形態において、長手方向は放出面内に載る。
【0026】
開口角度は、放出軸から、放出軸に沿ったものと比較して強度が無視できるゼロ角度までの角度の、2倍の角度とし得る。開口角度は、最大150°、最大120°、最大90°、最大60°、最大30°、最大10°、及び/または最大5°とし得る。開口角度は、少なくとも5°、少なくとも10°、少なくとも30°、少なくとも60°、少なくとも90°、少なくとも120°、及び/または少なくとも150°とし得る。
【0027】
開口角度及び/またはビーム形状は、アンテナ周りにレーダ吸収材を位置することによって形成され得る。このように、所望のビーム形状及び角度から離れる方向で放出されたレーダは、吸収される(すなわち透過も反射もされない)。任意の形態のレーダ吸収材または減衰材が、選択され得る。
【0028】
代替または追加として、開口角度及び/またはビーム形状は、所望の放射パターン、すなわちアンテナからの電波の強度に依存した所望の方向(角度)で放出するよう、アンテナを形状付けることによって、及び/または構成することによって形成される。
【0029】
第2のアンテナが第1のアンテナから分離されている配置において、第2のアンテナは、限定された窓内(放出アンテナの開口角度及び/またはビーム形状と同種)の放射のみを受信するよう、上記のように遮断、及び/または形状付け/構成され得る。
【0030】
本デバイスは、放射ビームの開口角度全体にわたり、アンテナとボアの壁との間の距離をブリッジする材料を、さらに備え得る。
【0031】
このように、ボアホールの内部からの反射は、最小に抑えられ得る。材料は、固体、ゲル、泡、及び/または液体を含み得る。すなわち材料は空気ではなくてよい。
【0032】
ブリッジは、ボアの壁までの距離全体(例えばビームの開口角度内の全方向)をブリッジすることを含み得る。しかし好ましい実施形態において、これは不要であり、ブリッジは、以下で説明するように、放射の飛行時間が、異なる経路に沿って等しくなる範囲までの使用のみを必要とする。
【0033】
ボアホールの内部曲率が、アンテナのサイズに対して大きい場合、この曲率は大きい反射をもたらし、正確に管理しなければレーダの透過を軽減させる。適合された比誘電率を伴う減衰性の低い材料の部分、及び/または、換言すると(レーダ波に対して)大きい透過性を伴う材料の部分、を追加して、パイプとアンテナとの間の間隙をブリッジすることで、この課題を解決する。
【0034】
材料は、プラスチック材料を含み得る。材料は、ポリエチレン、PVC、及び/またはABSを含み得る。材料は、概ねポリエチレン、PVC、及び/もしくはABSと等しい誘電率、ならびに/または比誘電率を有し得る。例えば、ボアホールは、パイプでライニングされた場合、材料はパイプと同じ材料を含み得る。このように、パイプの壁における反射は最小に抑えられる。
【0035】
材料は、アンテナからのビームにおける任意の経路が、ビームにおける任意の他の経路のものと等しい、合計の飛行時間を所有するよう配分され得る。
【0036】
このように、ボアホールの壁に達する前に第1の距離を通過する、アンテナからの第1の経路に沿って通る任意の放射は、第1の量によって遅れる。ボアホールの壁に達する前の第2の距離(第1の距離とは異なる)を通過する、アンテナからの第2の経路に沿って通る任意の放射は、第2の量によって遅れる。しかし、単位距離当たりの第1の遅れが、単位距離当たりの第2の遅れと異なるとしても、第2の遅れの量の合計は、第1の遅れの量の合計と同じである。このように、誤差及び人為的な影響は低減される。
【0037】
長手方向に対して直角に方向付けられたビームは、長手方向に対して直角である放出軸を意味し得る。
【0038】
制御ユニットは、キャリッジに、キャリッジの近くに、またはキャリッジに隣接して、位置され得る。詳細には、適切な信号対ノイズの比率を保つために、制御ユニットは、15m内、好ましくは10m未満に位置されることが望ましい。制御ユニットは、信号発生器を備え得る。それは次に、例えばコンピュータシステムまたはオペレータによって、遠隔で制御される。
【0039】
単一の走査は、単一の一次元レーダグラム、すなわち距離の関数として単一の方向における吸収/反射の表示を生成し、アンテナからの時間領域で記録される。
【0040】
ボアホールに沿ったキャリッジの運動は、走査位置が一次元で変化するのを可能にし、それによって複数の走査は、単一の二次元レーダグラム、すなわちキャリッジの移動方向における二次元スライスの吸収/反射の表示を生成する。
【0041】
長手方向の周りにおけるアンテナの回転は、走査方向が各所与の位置において変化するのを可能にし、それによって複数の走査は、単一の三次元レーダグラム(または複数の二次元レーダグラム)、すなわちボアホールを囲んだ三次元ボリュームにおける吸収/反射の表示を生成する。
【0042】
ビームが微小なペンシルビームではない場合、覆われた地面の吸収/反射の平均結果は、波面のフレネルゾーンによってサンプル化されたものと定義され得る。したがって、解像度が、より大きいビーム角度によって低減された際に、各アンテナ位置における走査の数が低減されうる。実際、特定の実施形態において、アンテナは、キャリッジがボアホールに沿って動かされたときに、継続して回転され得る。例えばそれによって、走査の螺旋を地図化する。しかしこの螺旋は、非常に低い解像度であり、ボアホールを囲む三次元ボリュームの完全な画像が構築される。しかし、好ましい実施形態において、ビームは、解像度を向上させるために、大幅に狭く選択される。追加として、放射パルス長及び周波数も、高解像度のために選択される。
【0043】
本デバイスは、第1のアンテナと類似の方法で構成された、別の、第1の地中レーダのアンテナをさらに備え得る。
【0044】
別の第1のアンテナは、同じキャリッジまたは異なるキャリッジ(この場合異なるキャリッジは第1のキャリッジに連結され、かつ同じまたは異なる制御ユニットによって制御され得る)に、取り付けられ得る。
【0045】
別の第1のアンテナは、第1のアンテナと同じ、及び/または異なる周波数の放射を放出するよう構成され得る。これは、(速度スペクトル処理の使用を介して)媒体の電磁速度の計算を行うことを可能にし、積み重ねの原理を使用して、より深い対象物の、信号対ノイズを強化する。
【0046】
別のアンテナは、第1のアンテナの位相内または位相外において、長手方向の周りに回転するよう構成され得る。このように、例えば二重螺旋経路が、地図化され得る。
【0047】
本発明の第2の態様によると、ボアホールから地下の特徴を撮像する方法が提供される。本方法は:第1の態様によるデバイスを提供するステップ;少なくとも1つのキャリッジを、ボアホールの長手方向に沿って通すステップ;第1のアンテナから第1の放射ビームを放出するステップ;第1のアンテナからの、第1の放射ビームの放出に対応して、第2のアンテナにおいて放射を受信するステップ、を含む。
【0048】
本方法は、アンテナで第1の放射の受信を示す第1の信号を、アンテナから受けるステップを、さらに備え得る。
【0049】
本方法は:長手方向の周りにアンテナをさらに回転させるステップ;及びアンテナから第2の放射ビームを放出して、アンテナで第2の放射の受信を示す第2の信号を、アンテナから受けるステップ、の内任意の1つ、または複数をさらに備え得る。
【0050】
本方法は:第1の態様による第2のデバイスを提供するステップ;第2のデバイスのキャリッジを、第2の長手方向で第2のボアホールに沿って通すステップ;第2のデバイスのアンテナを、第2の長手方向の周りに回転させるステップ;及びアンテナで第1の放射の受信を示す第1の信号を、アンテナから受けるステップ、の内任意の1つ、または複数をさらに備え得る。
【0051】
このように、断層撮影調査が実施され得る。そこでは送信器と受信器とは異なるボアにある。
【0052】
本方法は、ボアホールをパイプ及び/またはライナーでライニングするステップをさらに備え得る。パイプ及び/またはライナーは、ポリエチレン、PVC、及び/またはABSなどのプラスチック材料を含み得る。
【0053】
本発明の第3の態様によると、第1の態様のデバイス、及びボアホールを備えたシステムが提供される。このボアホールは、パイプ及び/またはライナーでライニングされ得る。
【0054】
本発明の、上記及び他の特性、特徴、及び利点は、本発明の原理を例として示す添付の図面を共に用いて、以下の詳細な説明から明確になろう。この説明は、例のためのみに与えられ、本発明の範囲を限定するものではない。以下で言及する参照図は、添付の図面を指す。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】パイプの中におけるキャリッジの断面図である。
図2】中にそれぞれキャリッジを伴う、3本のパイプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本発明を、特定の図面に対して説明するが、本発明はそれらではなく、特許請求の範囲のみによって限定される。示される図面は概略に過ぎず、非限定である。各図面は、本発明の全ての特徴を含み得ず、したがって必ずしも本発明の実施形態であると考慮する必要はない。図面において、いくつかの要素のサイズは誇張され、例示目的のため、縮尺に則っていない場合がある。寸法及び相対的寸法は、本発明の実施に対して実際の縮小に対応していない。
【0057】
さらに、明細書及び特許請求の範囲における、第1の、第2の、第3の、等の用語は、類似の要素間を区別するために使用され、ランク付けまたは任意の他の方法において、時間的にも、空間的にも、順番を表すためには必ずしも使用されない。このように使用される用語は、適切な状況において交換可能であり、その動作は、本明細書で説明または例示する以外の順番も可能であることを、理解されたい。同様に、特定の順番で説明または請求する方法ステップは、異なる順番で動作することが、理解され得る。
【0058】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における、上、下、上方、下方などの用語は、説明目的で使用され、相対的位置を表わすためには必ずしも使用されない。このように使用される用語は、適切な状況において交換可能であり、その動作は、本明細書で説明または例示する以外の方向も可能であることを、理解されたい。
【0059】
特許請求の範囲において使用される用語「備えた、含んだ(comprising)」は、その後に列挙される手段に限定されるように解釈するべきではなく、他の要素またはステップを排除しないことに、留意されたい。したがってそれは、述べた特徴、整数、ステップ、もしくは構成要素の存在を言及したように特定するよう解釈されるが、1つもしくは複数の他の特徴、整数、ステップ、もしくは構成要素、または、それらのグループの存在もしくは追加を、除外しないよう解釈するべきである。したがって、表現「手段A及びBを備えたデバイス」の範囲は、構成要素A及びBのみで構成されたデバイスに限定するべきではない。本発明に関して、デバイスの単なる関連構成要素が、A及びBであることを意味する。
【0060】
同様に、本明細書で使用される用語「接続された(connected)」は、直接的な接続のみに限定されるものと解釈するべきではないことに、留意されたい。したがって、表現「デバイスBに接続されたデバイスA」の範囲は、デバイスAの出力部がデバイスBの入力部に直接的に接続されるデバイスまたはシステムに、限定するべきではない。それは、Aの出力部とBの入力部との間に経路が存在し、それは他のデバイスまたは手段を含む経路であってよいことを意味する。「接続された」は、2つ以上の要素が、直接的に物理的な接触をしているか、もしくは電気的な接触をしているかのいずれか、または、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、やはり互いに協働もしくは相互作用していることを、意味し得る。例えば、ワイヤレス接続が企図される。
【0061】
この明細書全体の、「実施形態」または「態様」に対する参照は、実施形態または態様と共に説明した、特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態または態様に含まれることを意味する。したがって、「1つの実施形態において」、「実施形態において」、または「態様において」という、本明細書の全体の様々な位置に現出するフレーズは、同じ実施形態または態様の全てを必ずしも指しておらず、様々な実施形態または態様を指し得る。さらに、本発明の、任意の1つの実施形態または態様における、特定の特徴、構造、または特性は、任意の好適な方法で、本発明の、別の実施形態または態様の、任意の他の特定の特徴、構造、もしくは特性と組み合わされてよく、それは、1つまたは複数の実施形態もしくは態様において、本開示から当業者には明確となろう。
【0062】
同様に、説明において、本発明の様々な特徴は、本開示を簡素化し、様々な発明の態様の内、1つまたは複数を理解する目的で、時としてそれらを単一の実施形態、図面、または説明において共にグループ化されることを、理解されたい。しかし本開示の方法は、請求する発明が、各請求項に明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とする意図を反映するとは、解釈するべきではない。さらに、任意の個々の図面または態様の説明は、必ずしも本発明の実施形態であると考える必要はない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、上記で開示した単一の実施形態における全ての特徴よりも少なくなる。したがって、「発明を実施するための形態」の後の「特許請求の範囲」は、ここで明示的にこの「発明を実施するための形態」に組み込まれ、各請求項は、本発明の別個の実施形態として、それ自体で自立する。
【0063】
さらに、本明細書で説明するいくつかの実施形態が、他の実施形態に含まれたいくつかの特徴を含む一方で、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であることを意味し、当業者には理解されるように、さらに別の実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲において、任意の請求された実施形態を、任意の組み合わせで使用することができる。
【0064】
本明細書で提供される説明において、多くの特定の詳細が記載される。しかし、本発明の実施形態は、これら特定の詳細なしでも実施され得ることを理解されたい。他の例において、公知の方法、構造、及び技術は、この説明の理解を不明瞭にしないよう、詳細に示されていない。
【0065】
本発明の説明において、反対に述べない限り、パラメータの許容範囲で、上限または下限における代替の値の開示は、それらの値の内、一方が他方よりもより好ましい表示と結合され、上記の代替の、より好ましいものとあまり好ましくないものとの間にある、上記のパラメータの各中間値は、上記のあまり好ましくない値に対して、かつ上記のあまり好ましくない値と上記の中間値との間にある各値に対しても、それ自体好ましいことを暗黙の表現として解釈される。
【0066】
用語「少なくとも1つの」の使用は、特定の状況において1つのみを意味し得る。用語「任意の」の使用は、特定の状況において「全て」及び/または「各々」を意味し得る。
【0067】
次に本発明の原理を、例示的な特徴に関する少なくとも1枚の図面の詳細な描写によって説明する。他の配置が、基礎となるコンセプトまたは技術的教示から逸脱することなく、当業者の理解に従って構成され得ることは明確である。本発明は添付の特許請求の範囲における条件によってのみ限定される。
【0068】
図1は、パイプ1の中におけるキャリッジの断面図である。キャリッジはパイプ1内に示され、キャリッジの内部に位置されたアンテナ3を有する。レーダを通さない材料5は、アンテナのほぼ3辺周りに配設され、それによってアンテナからの放射ビームは、図示されるように、アンテナ3の上方の180°領域に限定される。
【0069】
アンテナ3の残りの側は、レーダを通す材料7によって囲まれ、それによってアンテナ3とパイプ1との間の距離は、レーダを通す材料7によって実質的にブリッジされる。
【0070】
図2は、中にそれぞれキャリッジを伴う、図1のようなパイプ1の3本の断面図である。アンテナは、パイプの内側で湾曲した矢印によって示されるように、回転可能である。アンテナは、様々な回転方向で回転されているが、直線矢印によって図に示されるのは、各アンテナが、データを取得するために回転されている方向である。
【0071】
単一ヘッドの矢印は、従来のレーダのアプローチがデータを取得するために成された方向、すなわち各アンテナそれ自体の送信器及び受信器として作用する方向を示す。
【0072】
二重ヘッドの矢印は、データの取得を示し、そこではアンテナの1つが、(送信器として作用する)別のアンテナからの放射の受信器として作用する。
【0073】
このように、3つのレーダユニットが、それら自体の位置を補強及び/または三角測量するために互いを利用して、同じ対象物9の位置を定める。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボアホールから地下の特徴を撮像するためのデバイスであって、
ボアホールの長手方向に沿って移動するよう構成された、少なくとも1つのキャリッジと、
前記キャリッジ上における、第1の地中レーダのアンテナと、
前記第1のアンテナからの、放射の放出を制御するよう構成された、送信器と、
前記少なくとも1つのキャリッジ上における、第2の地中レーダのアンテナと、
前記第2のアンテナにおいて放射の受信を示す信号を、第2のアンテナから受けるよう構成された、受信器と、を備え
ここで、少なくとも1つの前記キャリッジは、第1のキャリッジ及び第2のキャリッジを備え、
前記第1のアンテナは、前記第1のキャリッジに配設され、前記第2のアンテナは、前記第2のキャリッジに配設され、前記第1及び第2のアンテナは互いから離隔され、
前記第1及び第2のキャリッジは、前記第1及び第2のアンテナ間の空間を変化させることができるよう、互いに対して可動である、デバイス。
【請求項2】
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、単一のトランシーバアンテナであり、
前記トランシーバアンテナは、180°までの開口角度を有する放射ビームを放出するよう構成され、前記ビームは長手方向に対して直角に方向付けられ、
少なくとも1つの前記キャリッジは、前記トランシーバアンテナを長手方向の周りに回転させるよう構成される、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
放射ビーム全体にわたり、前記アンテナと、前記ボアの壁との間の距離をブリッジする材料をさらに備える、請求項1~の内いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記材料は、前記アンテナからのビームにおける任意の経路が、ビームにおける任意の他の経路のものと等しい合計のレーダの飛行時間を所有するよう、配分され得る、請求項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1のアンテナと類似の方法で構成された、別の、第1の地中レーダのアンテナをさらに備える、請求項1~の内いずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
ボアホールから地下の特徴を撮像するための方法であって、
請求項1~のうちいずれか一項に記載のデバイスを提供するステップと、
少なくとも1つのキャリッジを、ボアホールの長手方向に沿って通すステップと、
第1のアンテナから第1の放射ビームを放出するステップと、
前記第1のアンテナからの、前記第1の放射ビームの放出に対応して、第2のアンテナにおいて放射を受け取るステップと、
を含む、方法。
【国際調査報告】