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▶ スイストゥトゥウェルヴ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】櫛状の導波管フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/208 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
H01P1/208 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557845
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 IB2021061314
(87)【国際公開番号】W WO2022118279
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】2012634
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523209748
【氏名又は名称】スイストゥトゥウェルヴ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】シルチ・ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】メナルゲス・ゴメス・エステバン
(72)【発明者】
【氏名】カプデビラ・カスカンテ・サンティアゴ
【テーマコード(参考)】
5J006
【Fターム(参考)】
5J006HC01
5J006HC11
5J006JA01
5J006LA21
5J006LA24
5J006LA25
5J006ND01
5J006NE02
(57)【要約】
【課題】櫛線状の導波管フィルタを軽量化する。
【解決手段】本発明は、複数のアイリスで一緒に接続されている少なくとも2個の共振器(3)を備える、金属の付加印刷により得られる櫛線状の導波管フィルタ(1)であって、
各共振器(3)が、長手方向軸線(x)と、横方向軸線(y)と、鉛直軸線(z)を持つ空洞(30)を備え、
各空洞(30)が特に2つの壁(31、32)で区切られていて、各壁が前記長手方向軸線に垂直な平面内に延在していて、
各空洞は、空洞内に、鉛直軸線に平行に延在している支柱(33)を備えてよく、
前記空洞の断面は矩形でない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアイリスで一緒に接続されている少なくとも2個の共振器(3)を備える、金属の付加印刷により得られる櫛線状の導波管フィルタ(1)であって、
各共振器(3)が、長手方向軸線(x)と、横方向軸線(y)と、鉛直軸線(z)を持つ空洞(30)を備え、
各空洞(30)が特に2つの壁(31、32)で区切られていて、各壁が前記長手方向軸線に垂直な平面内に延在している、導波管フィルタ(1)において、
前記空洞の断面が矩形でないことを特徴とする、櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項2】
各空洞が、前記空洞内の前記鉛直軸線に平行に延在している支柱(33)を備える、請求項1に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項3】
各空洞(30)が、鉛直軸線に垂直かつ実質的に平面の基部(34)を備え、前記基部の上の屋根(35、36)とを備え、前記屋根が前記基部に平行な平らな表面を持たない、請求項1又は2に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項4】
前記屋根は、前記壁(31、32)を接続し、前記基部(34)に対して傾斜した斜め面で形成された、正確に2枚のパネル(35、36)を備える、請求項3に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項5】
前記屋根は、曲面(350、360、361)によって互いに接続され、前記基部(34)に接続された複数の平らなパネル(35、36)を備える、請求項3又は4に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項6】
前記屋根は、曲面のみが前記壁を互いに接続している、請求項3に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項7】
前記断面が長手方向で変化している、請求項1から6のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項8】
前記断面の面積は、前記空洞の各長手方向の端部から前記空洞の長手方向中心に向かって増加している、請求項7に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項9】
少なくとも2個の、前記長手方向(x)に長手方向で隣り合う空洞(30)は、前記アイリス(4)によって互いに接続されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項10】
前記アイリス(4)の前記断面が三角形をなしている、請求項9に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項11】
前記アイリス(4)の前記断面が四辺形をなしている、請求項9に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項12】
少なくとも2個の、前記長手方向(x)に隣り合う空洞(30)が、2個のスロットのアイリス(4)によって互いに接続されている、請求項9に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項13】
少なくとも2個の、前記横方向(y)に隣り合う空洞(30)が、前記アイリス(4)によって互いに接続されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項14】
前記アイリス(4)が、4つの三角形の面を持つ多面体をなしている、請求項13に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項15】
前記アイリス(4)が、2つの五角形の面と、2つの三角形の面と、2つの台形の面とを持つ多面体をなしている、請求項13に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項16】
前記アイリス(4)が、2つの空洞(30)の2枚のパネル(35、36)の交点によって形成される上縁を持つ長方形の断面を持つ、請求項13に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項17】
少なくとも1つの空洞(30)には、対応する前記共振器のカットオフ周波数を調整するため、前記支柱(33)上鉛直に延在する、同調ネジが設けられている、請求項2から16のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項18】
少なくとも1つのアイリス(4)が、前記フィルタの通過帯域の調整用の同調ネジ(39)を備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項19】
少なくとも1つの空洞(30)が、前記空洞の内部の化学洗浄用の穴を備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項20】
複数の前記空洞(30)と複数の前記アイリス(4)がモノリシックに作られている、請求項1から19のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項21】
前記フィルタ内への無線周波電磁信号の入力ポート(51)と、前記フィルタ外への無線周波電磁信号用の出力ポート(52)とを備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項22】
前記ポート(51、52)は、同軸ケーブル用のコネクタ(60)に設けられた、機械加工されたフランジ(6)に形成されて、前記空洞の1つに組み込まれている、請求項1から21のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の櫛線状の導波管フィルタの製造方法であって、
前記鉛直軸線(z、P)について垂直な平面内に延在する複数の層を重ねることで前記共振器(3)を付加製造することを備える、櫛線状の導波管フィルタの製造方法。
【請求項24】
入力ポート(51)に設けられるフランジ(6)と、出力ポート(52)に設けられるフランジ(6)を機械加工することと、
前記フランジを前記共振器(3)に接着することと
を備える、請求項23に記載の櫛線状の導波管フィルタ(1)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、櫛線状の導波管フィルタ及びこのフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF、高周波)信号は、自由空間又は導波管装置のいずれかで伝播できる。
【0003】
このような従来の導波管の一例が、特許文献1に記載されていて、その内容は参照により援用される。この例は、中空装置からなり、その形状及び比率が電磁信号の所与の波長に対する伝搬特性を決めている。この装置の内部の管断面は長方形である。この特許文献1には、円形を含む他の管断面が提案されている。
【0004】
この従来技術の導波管1は、一層一層重ねていく、付加印刷により製造されたコアを備える。このコアは、導波を意図した内部管を区切っていて、その断面積は送信される電磁信号の周波数に従って決定されるものである。コアの内面は導電性金属層で覆われている。外面は、装置の剛性に寄与する導電性金属層で覆ってもよいとされている。
【0005】
導波管装置は、RF信号を通すのに、もしくは空間領域又は周波数領域でそれら信号を操作する(例えば導波管フィルタを形成する)のに使用される。特に、本発明は、アクティブな電子機器を使わず無線周波数信号のフィルタリング(選別)を可能にする受動導波管フィルタに関する。
【0006】
無線周波数信号に使われる従来の導波管フィルタは、典型的には、長方形又は円形の断面の内部開口部を持つ。これらのフィルタの主な目的は、不要な周波数を抑制し、最小限の減衰で所望の周波数を通過させることである。100dB又は120dBを超える減衰が、例えば宇宙領域の受信と伝送システムとの少なくとも一方を対象としたフィルタに必要になる場合がある。
【0007】
宇宙や航空用途には特に、コンパクトで軽量な導波管フィルタが必要である。そのため、これらの異なる目的を満たせる導波管フィルタ形状の提案に、重要な研究努力が行われてきた。
【0008】
エバネッセントモードフィルタ、又は櫛線状のフィルタは、例えば公知である。これらは基本的に、入力ポートと出力ポートの間で電磁エネルギーを送信する複数の小さな空洞(カットオフ周波数未満)で構成されている。連続する空洞は、その寸法がフィルタの帯域幅を決定するのに役立つアイリス(虹彩絞り)によって接続されている。複数のピーク又は支柱は、基本モードの伝播を可能にする。このタイプのフィルタは、選択性が高く、質量とサイズが小さくなるため、例えば、衛星ペイロードの入力段と出力段に使われている。
【0009】
従来の櫛線状の導波管フィルタは、異なる複数の金属組み立て部品を機械加工して組み立てることによって作られている。これらの操作は複雑で費用がかかるものである。さらに、このようにして製造されたフィルタの重さは重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際出願公開第2017/208153号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、製造が簡単で重さが軽減された新しいタイプの櫛線状の導波管フィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一観点では、これらの目標は、付加製造工程を備えるプロセスによって金属製の櫛線状の導波管フィルタによって達成される。
【0013】
本フィルタは、付加製造工程を備える処理工程、例えば、レーザー又は電子ビームが粉末材料の複数の薄層を溶融又は焼結するSLMタイプ(レーザー溶融法)によって製造され得る。
【0014】
付加製造は、このように層状に焼結された金属粒子の構造を分析することによって製造されたフィルタで見られる。
【0015】
金属の付加製造では、組み立て工程を制限又はなくすことで複雑な形状を作成できるため、製造コストを削減できる。
【0016】
付加製造はまた、下位の部品(サブコンポーネント)間の組み立て手段の数なしで、又はより少ない数で櫛線状の導波管フィルタの製造を可能にし、それはまたフィルタの重量を減らす。
【0017】
導波管装置が付加製造によって製造されることは知られている。しかしながら、櫛線状の導波管フィルタの複雑な形状は、多くの片持ち梁表面、特に共振器の空洞の屋根を形成する表面があるので、付加製造には適さない。
【0018】
選択的レーザー溶融(SLM)処理工程を備えるほとんどの付加印刷処理工程では、新しく堆積した片持ち梁層のたるみの危険性を回避するために、20°や40°のような最小角度が必要である。これが、導波管フィルタの特定の部分の印刷、又は少なくとも所望の精度でのそれらの印刷を不可能にしている。
【0019】
図27aは、櫛線状の導波管フィルタ1の付加製造用に実施可能な処理工程を示す。この製造方法では、フィルタは、例えば矩形断面を持ち、印刷方向pに対して傾斜したフィルタ1の長手方向x、すなわち印刷層に対して垂直な方向pに対して印刷される。この目的のために、印刷平面を持つ印刷基材S上に印刷が行われる。この斜め配置は、印刷中の水平オーバーハング(不適切に突き出た部分)を回避又は制限する。しかしながら、これは、一方では基板の製造公差と印刷テーブル上のその位置に関連し、他方ではフィルタの主な寸法に対して斜めの印刷層(「層」)に関連する製造公差の問題をもたらす。
これらの許容誤差の問題は、フィルタの特性、特にその選択性、カットオフ周波数の精度、及び有用な無線周波数信号の減衰を劣化させる。さらに、印刷された物体は印刷テーブル上の広い表面を占め、多数の印刷層を必要とし、一方では遅い印刷をもたらし、他方では層の製造公差を追加することによってさらなる不正確さをもたらす。
【0020】
これらの欠点を回避するために、従来とは異なる形状の櫛線状の導波管フィルタを付加印刷において実現し、高精度な付加印刷を容易にすることが、別の観点で提案されている。
【0021】
この目的のために、一観点では、前記櫛線状の導波管フィルタは、少なくとも2個の共振器、好ましくは少なくとも4つの共振器を備え、縦軸線x、横軸線y及び鉛直軸線zを備えた空洞を備え、各空洞は、特に、それぞれが縦軸線に垂直な平面内に延在する2つの壁によって区切られ、空洞の断面は非矩形である。
【0022】
「櫛線状の導波管フィルタ」という用語は、個々の共振器がアイリスによって相互接続されていることを意味する。これは、必ずしも共振器が単一の縦方向又は横方向の線路上に整列していることを意味するものではない。
【0023】
非長方形の断面を選択することで、図27bのようにフィルタの縦軸線xに平行な印刷方向p、あるいは、図27cのようにその長手方向に垂直な金属付加印刷によって作成できる空洞の作成に、追加の自由が提供される。
【0024】
このようにして、付加印刷による層が空洞の屋根面と平行ではなく、オーバーハングなしで印刷できる金属導波管フィルタを実現できる。
【0025】
これにより、斜めの印刷面を持つ基板への付加印刷によって引き起こされる精度の問題を回避できる。
【0026】
さらに、所定の表面に同時に印刷できるフィルタの密度が高くなり、印刷層の高さや数を減らしたりすることで、付加印刷の速度を改良し、その結果、費用を削減できる。
【0027】
各空洞は、空洞内の鉛直軸線に平行に延在する支柱を含み得る。
【0028】
空洞内の支柱の使用は、空洞のインピーダンスの変更を可能にし、よって、空洞及びアイリスによって形成される回路の共振周波数を制御できるようにするものである。
【0029】
一実施形態では、各空洞は、鉛直軸線に垂直かつ実質的に平面の基部と、前記基部の上の屋根とを持つ。屋根は、前記基部に平行な平らな表面を持たない。それにより、水平印刷面で支持された基部から(印刷を)始めて、次に片持ち水平面を持たない空洞壁及び屋根を印刷することによって、共振器を製造可能である。
【0030】
前述の支柱は、基部から延長してよい。
【0031】
屋根は、前記壁を接続し、前記基部に対して傾斜した斜め面で形成された、正確に2枚のパネルを備えてよい。
【0032】
屋根は、曲面によって互いに接続され、追加的又は代替的に基部に接続された複数の平らなパネル、例えば2枚のパネルを持ってよい。
【0033】
屋根は、前記壁を互いに接続する曲面のみを備えてよい。この変形態様により、付加印刷で印刷しやすいアーチ型の屋根が可能になる。
【0034】
共振器の断面積は長手方向で変化してよい。
【0035】
断面の面積は、空洞の各長手方向の端部から空洞の長手方向中心に向かって増加していてもよい。よって、共振器の屋根の最大高さは、共振器の長手方向中心にあり、最小高さは、長手方向の端部の一方又は両方にあってよい。屋根の縦方向のこの増加及び減少する勾配は、屋根の縦方向の端が印刷中に自立したアーチ型の天井を形成するため、印刷を容易にする。
【0036】
少なくとも2個の、長手方向に隣り合う空洞は、アイリスによって互いに接続されていてもよい。
【0037】
このアイリスは、隣り合う2個の共振器の垂直壁を横切ってよい。長手方向の2個の隣り合う共振器間のアイリスは、縦アイリス(縦方向のアイリス)と呼ばれる。
【0038】
縦アイリスの断面は三角形であってもよい。
【0039】
縦アイリスの断面は、菱形、長方形又は正方形のような四辺形を形成するような多角形であってもよい。
【0040】
2個のアイリスのように複数のアイリスは、2個の縦方向に隣り合う共振器の間に設けられてもよい。これらのアイリスの断面はスロットを形成し得る。スロットは垂直方向に延在してよい。
【0041】
少なくとも2個の横方向に隣り合う空洞は、アイリスによって互いに接続されていてもよい。
【0042】
このアイリスは、隣り合う2個の共振器の屋根を横切ってよい。横方向の2個の隣り合う共振器間のアイリスは、横アイリス(横方向のアイリス)と呼ぶ。
【0043】
横アイリスは多面体を形成し得る。
【0044】
横アイリスは、4つの三角形の面を持つ多面体をなしている。横アイリスが備える2個の隣り合う屋根の平面内の2つの面は、共振器間で無線周波数信号を通過させるために中空である。
【0045】
横アイリスは、2つの五角形の面、2つの三角形の面、及び2つの台形の面を持つ多面体をなし得る。横アイリスが備える、2つの屋根の平面の五角形の面は、無線周波数信号が共振器間を通過可能とするよう、中空である。
【0046】
横アイリスは、2つの互いに組み合う空洞の2枚のパネルの交点によって形成される上縁を持つ長方形の断面を持ち得る。
【0047】
横アイリスは、例えばそれらが(屋根の上に、sur des toit con plans)載っている場合、湾曲した体積を占めてよい。
【0048】
単一の櫛線状の導波管フィルタは、異なる形状の複数の縦アイリスと、異なる形状又は断面の複数の横アイリスとの少なくとも一方を持ち得る。
【0049】
共振器の少なくとも1つの空洞には、空洞内に障害物を作成し、共振周波数調整用の同調ネジが設けられていてもよい。同調ネジは、空洞に多かれ少なかれ深く挿入されるように、支柱の上方に垂直に延在してよい。
【0050】
少なくとも1つのアイリスは、フィルタの通過帯域の調整用の同調ネジを備えてもよい。ネジは、アイリスの上壁を通ってアイリスに垂直に延在してよい。
【0051】
少なくとも1つの空洞は、付加印刷後の空洞の内部の化学洗浄用の穴を備えてよい。この穴は、清掃後に取り外し又は変更してよい。
【0052】
櫛型の導波管フィルタは、アイリスによって相互接続された少なくとも2個の共振器、例えば4個又は8個以上の共振器を備えてよい。
【0053】
共振器とアイリスはモノリシックな方法(一体的にまとめた作り方)で実現できる。
【0054】
櫛線状の導波管フィルタは、フィルタ内への無線周波電磁信号の入力ポートと、フィルタ外への無線周波電磁信号用の出力ポートとを備えてよい。
【0055】
ポートは、機械加工されたフランジに形成され、フィルタの付加印刷された部分に、例えば接着によって、組み立てられてもよい。
【0056】
ポートには、同軸ケーブル用のコネクタが設けられていてもよい。
【0057】
一観点では、本発明はまた、鉛直軸線に垂直な平面内に延在する層を重ねることによって前記共振器を付加的に製造することを備える、櫛線型導波管フィルタの製造方法に関する。
【0058】
本方法は、入力ポートを持つフランジと、出力ポートを持つフランジとを加工し、加工したフランジを前記空洞に接合することを備えてよい。
【0059】
本発明の実施形態の例は、添付の図によって図示される説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図2図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図3図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図4図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図5図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図6図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図7a図7a及び図7bは、金属製の櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の例の2つの斜視図を示し、アイリスには、導波管フィルタの他の2個の共振器へのコネクタ用の三角形の断面を持つ2個の縦アイリスが設けられている。
図7b図7a及び図7bは、金属製の櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の例の2つの斜視図を示し、アイリスには、導波管フィルタの他の2個の共振器へのコネクタ用の三角形の断面を持つ2個の縦アイリスが設けられている。
図8a図8aと図8bは、横アイリスの例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図8b図8aと図8bは、横アイリスの例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図9a図9a及び図9bは、横アイリスの例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図9b図9a及び図9bは、横アイリスの例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図10図10は、横アイリスの一例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の斜視図を示す。
図11a図11a及び図11bは、三角形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図11b図11a及び図11bは、三角形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図12a図12a及び図12bは、四辺形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図12b図12a及び図12bは、四辺形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図13a図13a及び図13bは、2個の縦方向スロットアイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図13b図13a及び図13bは、2個の縦方向スロットアイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図14a図14a及び図14bは、障害物によって画定される三角形の断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図14b図14a及び図14bは、障害物によって画定される三角形の断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図15a図15a及び図15bは、障害物によって画定される台形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図15b図15a及び図15bは、障害物によって画定される台形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図16a図16a及び図16bは、三角形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図16b図16a及び図16bは、三角形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図17a図17a及び図17bは、四辺形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図17b図17a及び図17bは、四辺形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図18a図18a及び図18bは、2個の縦方向スロットアイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図18b図18a及び図18bは、2個の縦方向スロットアイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図19a図19aから図19cは、スロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列で構成され、2つの列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図19b図19aから図19cは、スロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列で構成され、2つの列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図19c図19aから図19cは、スロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列で構成され、2つの列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図20a図20aから図20cは、スロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列を有し、2列は四辺形断面を持つ縦方向アイリス及び三角形断面を持つ縦方向アイリスによって互いに接続されている。
図20b図20aから図20cは、スロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列を有し、2列は四辺形断面を持つ縦方向アイリス及び三角形断面を持つ縦方向アイリスによって互いに接続されている。
図20c図20aから図20cは、スロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列を有し、2列は四辺形断面を持つ縦方向アイリス及び三角形断面を持つ縦方向アイリスによって互いに接続されている。
図21a図21aから図21cは、それぞれ2個の共振器の4列を備えるスロットガイドフィルタの異なる視点の図を示していて、隣り合う列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図21b図21aから図21cは、それぞれ2個の共振器の4列を備えるスロットガイドフィルタの異なる視点の図を示していて、隣り合う列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図21c図21aから図21cは、それぞれ2個の共振器の4列を備えるスロットガイドフィルタの異なる視点の図を示していて、隣り合う列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図22a図22aから図22cは、それぞれ2個の共振器の4列で構成されるスロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、四辺形断面の縦アイリスと三角形の断面を持つ別の縦アイリスによって互いに接続されている。
図22b図22aから図22cは、それぞれ2個の共振器の4列で構成されるスロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、四辺形断面の縦アイリスと三角形の断面を持つ別の縦アイリスによって互いに接続されている。
図22c図22aから図22cは、それぞれ2個の共振器の4列で構成されるスロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、四辺形断面の縦アイリスと三角形の断面を持つ別の縦アイリスによって互いに接続されている。
図23a図23aから図23cは、それぞれ4つの共振器の2列を備えるスロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、異なる断面を持つ複数の縦アイリスによって互いに接続されている。
図23b図23aから図23cは、それぞれ4つの共振器の2列を備えるスロットガイドフィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、異なる断面を持つ複数の縦アイリスによって互いに接続されている。
図23c図23aから図23cは、それぞれ4つの共振器の2列を備えるスロットガイドフィルタの異なる視点の図を示していて、隣り合う列は、異なる断面を持つ複数の縦アイリスによって互いに接続されている。
図24図24は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装可能な共振器の一例の斜視図を示し、この共振器に、フィルタカットオフ周波数同調ネジと無線周波数信号入力又は出力ポート用のネジ穴が設けられている。
図25図24は、金属製の櫛線状の導波管フィルタに実装可能な共振器の一例の(縦軸線に沿った)正面図を示し、この共振器に、フィルタカットオフ周波数同調ネジ用のネジ穴、無線周波数電磁信号入力又は出力ポート、共振器空洞用の洗浄液用の穴が設けられている。
図26図26は、完全な櫛線状の導波管フィルタの斜視図を示し、ここでは、縦軸線に沿って一列に接続された8つの共振器と、2つのフランジを備えたフィルタである。
図27a図27aは、付加印刷中の導波管フィルタ配置の一例の図を示す。
図27b図27bは、付加印刷中の導波管フィルタ配置の別の例の図を示す。
図27c図27cは、付加印刷中の導波管フィルタ配置の一例の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、金属製の櫛線状の導波管フィルタに実装され得る共振器3の一例の斜視図を示す。この図と図2から6では共振器の空洞のみが示されていて、アイリス(虹彩絞り)は示されていない。
【0062】
図示の共振器3は、入力無線周波数信号用の入力ポート51と、フィルタリングされた信号用の出力ポートとを備えているが、実際には、この共振器は、後述するように、アイリス又はアイリス4を介して他の共振器に接続されることを意図している。
【0063】
共振器3は、基部34で区切られた空洞30と、2枚の屋根パネル35と36を持つ屋根と、2つの垂直壁31と32とを備える。屋根パネル35は、曲面350によって基部と接続され、屋根縁を形成する第2曲面361によって他方の屋根パネル36に接続されている。屋根パネル36は、第3曲面360によって基部34に接続されている。他の実施形態と同様に、曲面350、360、361は、x-y横断面で湾曲している。この例では、曲面350、360、361は他の平面では曲面していない。
【0064】
縦軸線xは、屋根縁に平行であり、垂直壁31と32に垂直である。横軸線yは縦軸線xに垂直である。底面34は、水平面と呼ばれるx-y平面内に延びている。Z軸線は鉛直軸線と呼ばれ、x-y平面に垂直である。縦軸線は、付加印刷中の印刷方向pに相当することに留意されたい。よって、この方向は印刷中、鉛直方向であるが、フィルタの使用中には(鉛直方向である)必要はなく、任意の方向で実行可能である。
【0065】
共振器は、好ましくは、屋根35と36に達することなく基部から垂直に空洞30内に延在する支柱33を備える。支柱の高さは共振器のインピーダンス、つまり基本モードのフィルタのカットオフ周波数を決める。
【0066】
空洞30の断面は、y-z平面において、非矩形であり、この例では略三角形である。共振器は、基部34を印刷方向に垂直にして、印刷テーブル上に印刷される。この幾何形状が、印刷中に片持ち梁状態の表面ができないようにしている。
【0067】
そのような共振器を備える共振器及びフィルタの他の例は、他の図に図示され、以下に記載される。簡潔のため、図1又は他の図に関連して既に提示及び説明されたこれらの他の共振器の特徴は、体系的に繰り返されない。しかしながら、図中の共振器に関連して記載された全ての特徴は、特に指定のない限り、他の共振器と共に使用されてよい。
【0068】
図24は、支柱33の上に、付加印刷と機械加工との少なくとも一方によって得られるネジ穴を持つ空洞30を持つ共振器を示す。
【0069】
ネジ穴は、同調ネジ38を屋根35と36の端から支柱33に垂直に挿入可能にする。このネジの空洞への挿入深さを調整することにより、カットオフ周波数が調整される。ネジをより深く挿入することにより、フィルタのカットオフ周波数fcが減少する。
【0070】
このような同調ネジは、以下に書かれた全ての共振器で提供できる。
【0071】
入力ポート51は、例えば導波管又は同軸ケーブルから無線周波数信号が空洞30への導入できるようにする。入力ポートの中心のz軸線に沿った高さhは、カップリングの品質係数と品質係数Qeの両方を決定する。「h」が高いほど、カップリングは良くなるが、共振器の品質係数が犠牲になる。
【0072】
図2は、屋根パネル35と36が鋭角の縁によって基部34に接続され、図1の実施形態よりも大きな半径の曲面によって互いに接続されている別の共振器3を示す。
【0073】
図3は、屋根パネル35と36が大半径の曲面によって基部34に接続され、大半径の曲面によって互いに接続されている別の共振器3を示す。さらに、共振器の断面積は、共振器の各長手方向の端からその長手方向の中点に向かって徐々に増加する。よって、この例では、共振器の高さは、長手方向のx軸線に沿った共振器の中心で最大になる。この特徴はまた、縁361が縦軸線に沿ってアーチ型になっているので、その崩壊の危険性を低減するので、付加印刷を容易にする。
【0074】
図4図6は、図3に匹敵する共振器3の断面図と平面図を示すが、平面基部34の幅は、共振器の各長手方向の端からその縦方向の中央に向かって徐々に広がっている。この例では、基部34は、それにより長手方向のX軸線に沿った共振器の中心に最大幅を持つ。(支柱33及び支柱の上の可能な同調ネジを無視して)空洞の断面積は、縦軸線xに沿った共振器の中心で最大である。
【0075】
図5A及び図5Bは、屋根パネル35と36が実質半径の曲面350、360によって基部34に接続され、曲面の間が実質半径の曲面361によって接続されている共振器3を示す。基部34の幅及び共振器の高さは、長手方向のx軸線に沿って一定である。
【0076】
図7a及び図7bは、金属製の櫛線の導波管フィルタの一例の共振器3の斜視図を示す。空洞30の断面は三角形である。垂直壁31と32には、この空洞を隣り合う空洞と長手方向のx方向に接続するアイリス4がそれぞれ設けられている。この例では、両方のアイリス4は断面が三角形であり、対応する壁に開口部を形成している。これからわかるように、他のアイリス断面を提供可能である。一実施形態では、これからわかるように、空洞30は、側縁、すなわち屋根35と36の縁部に設けられたアイリスによって他の共振器の空洞に接続され得る。このような縦方向又は横方向のアイリスは、任意の断面の、先行する図の共振器を備えていてもよい。
【0077】
図8a及び図8bは、横軸線yにおいて隣りにあって、横アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を、一方の共振器の屋根パネル36と他方の共振器の屋根パネル36との間に示す。このアイリス4は、この例では4つの三角形の面を持つ多面体を形成する体積を持ち、2つの空洞の間に開口部を形成するために、それぞれ屋根パネル35に平行な2つの面36が中空である。
【0078】
アイリスの寸法によって、フィルタの特性が決まる。アイリスの高さを大きくすると、空洞間の結合が改善されるが、フィルタの帯域幅も増加する。
【0079】
図9は、横軸線yにおいて隣にあり、横アイリス4によって互いに接続された、一方の共振器の屋根パネル36と他方の共振器の屋根パネル36との間の2個の共振器3を示す。アイリス4は、この例では、屋根パネル35にそれぞれ平行な2つの五角形の面36、2つの三角形の面及び2つの台形の面を持つ多面体を形成する体積を持つ。2つの五角形の面は、2つの空洞の間に開口部を形成するために中空である。
【0080】
図10は、横軸線yにおいて隣にあり、横アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を、一方の共振器の屋根パネル36と他方の共振器の屋根36との間に示す。アイリス4は、この場合、1つの共振器の2枚の屋根パネル35の隣の共振器の屋根パネル36との交点によって構成され、よって、アイリス4の断面は長方形であり、その上端は2枚の屋根パネルの交点の縁で構成されている。この縁は有利には非直線的であり、各空洞の屋根は空洞の長手方向の中心でより高く、これにより、このようにアーチ型にされた縁の付加印刷を容易にする。
【0081】
図11a及び図11bは、1つの共振器の垂直壁31の隣の共振器の壁32との間の、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。この例のアイリス4は、y-z横断面に三角形の断面を持っている。
【0082】
図12a及び図12bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり共振器の壁32との間の、長手方向軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。この例におけるアイリス4は、y-z横面において四辺形、例えば正方形又は菱形の断面を持つ。
【0083】
図13a及び図13bは、1つの共振器の垂直壁31の隣の、共振器の壁32との間の、長手方向軸線xにおいて隣にあり、2個の長方形のスロット状のアイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。
【0084】
図14a及び図14bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり、共振器の壁32との間の、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。この例におけるアイリス4は、2つの空洞間の交点の頂点に三角形の形状のy-z横断面における断面を持っていて、この三角形は、2つの空洞の間の障害物40によって画定されている。ここでは2個の共振器3の底面34の平面から延在する台形の断面の横方向の稜線である。
【0085】
図15a及び図15bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり、共振器の壁32との間の、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。この例中のアイリス4は、2つの空洞間の交点の基部から延在する台形のy-z横断面における断面を持ち、この台形部は、2つの空洞の間の障害物40によって画定されている。この場合、障害物40は2個の共振器3の屋根縁から延在する三角形断面の横方向の稜線である。
【0086】
図16a及び図16bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり、共振器の壁32との間の、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された、異なる形状と異なる断面との少なくとも一方を持つ2個の共振器3を示す。この例のアイリス4は、y-z横断面に三角形の断面を持っている。
【0087】
図17a及び図17bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり、共振器の壁32との間に、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された、異なる形状と異なる断面との少なくとも一方を持つ2個の共振器3を示す。このアイリス4は、この例では、四辺形の形状の横面y-zにおける断面を持つ。
【0088】
図18a及び図18bは、縦軸線xにおいて隣にあり、1つの共振器の垂直壁31の隣にある共振器の壁32との間に2つの細長いスロットを形成する2個の縦アイリス4によって互いに接続された、異なる形状と異なる断面との少なくとも一方を持つ2個の共振器3を示す。
【0089】
上述のフィルタは、2個の隣り合う共振器を備える。しかしながら、櫛状の導波管フィルタは、2個より多い共振器、例えば少なくとも4個の共振器、例えば8個又はそれより多い共振器を備え得る。これらの共振器は、利用可能な容積を最大限に活用し、コンパクトなコムラインフィルタを実現するために、長手方向のx方向と横方向のy方向との少なくとも一方に並置可能である。
【0090】
図19aから図19cは、それぞれ2個の共振器の2列に配置された4つの共振器3を示す。各列の2個の共振器は横アイリス4によって互いに接続されていて、ここでは矩形断面のアイリスである。2つの列は縦アイリス、ここでは正方形又は長方形の断面4のアイリスによって互いに接続されている。
【0091】
他のタイプの横アイリスは、同じ列の共振器間に設けられてもよい。他の縦アイリスは、異なる列の間に設けられてもよい。
【0092】
フィルタ1の隣り合う2列の間に複数のアイリスを設けることも可能である。
【0093】
同じフィルタ内に異なる断面の縦アイリスの提供が可能である。
【0094】
同じフィルタ内で異なる断面の横アイリスの提供が可能である。
【0095】
図20aから図20cは、それぞれ2個の共振器の2列に配置された4つの共振器3を示す。各列の2個の共振器は、横アイリス4、この場合は長方形の断面のアイリスによって互いに接続されている。2つの列は、三角形断面の第1縦アイリスと四辺形断面の第2アイリス4によって接続されている。
【0096】
図21aから図21cは、それぞれ2個の共振器の4列に配置された8つの共振器3を備えるフィルタを示す。各列の2個の共振器は、横アイリス4、この場合は長方形の断面のアイリスによって互いに接続されている。異なる行は、Y軸線に沿ってずらしたアイリスによって相互に接続される。この例では、縦アイリス4は全て同じ断面を持ち、ここでは四辺形の断面である。異なる断面のアイリス、例えばスロットアイリス又は三角アイリスを提供できる。異なる形状のアイリスを同じフィルタに組み合わせ可能である。
【0097】
図22aから図22bは、それぞれ2個の共振器の4列に配置された8つの共振器3を備えるフィルタを示す。各列の2個の共振器は、横アイリス4によって互いに接続されていて、ここでは長方形断面のアイリスである。隣り合う列は複数のアイリスによって、ここでは異なる断面のアイリスによって、ここでは三角形のアイリスと四辺形断面の別のアイリスによって接続されている。
【0098】
図23aから図23cは、それぞれ4つの共振器の2列に配置された8個の共振器3を備えるフィルタを示す。各列の2個の共振器は、横アイリス4によって互いに接続されていて、ここでは長方形断面のアイリスである。隣り合う列は複数のアイリスによって、ここでは異なる断面のアイリスによって、ここでは2個の三角形のアイリスと四辺形の断面の他の2個のアイリスによって接続されている。
【0099】
図25は、共振器と作製された孔37を設けた共振器3を例示し、付加印刷により、共振器内部の空洞30の薬品洗浄できるようにするものであり、付加印刷後にこれらの孔を通して液体を挿入できる。このような孔は、記載された共振器及びフィルタの意匠のいずれかを備えてもよい。
【0100】
図26は、縦アイリスによって互いに接続された8個の共振器3を持つフィルタを示す。各アイリスは、アイリスの上面側から延在し、アイリスを貫通してフィルタの通過帯域を調整する(同調)ネジ39を持つ。(同調)ネジ39を深く挿入すると、フィルタの帯域幅が増加する。フィルタはモノリシックに構築されていて、全ての共振器が1つのピースを形成している。入力51及び出力52ポートのみが切削金属加工によって作られたフランジ6上に作られ、フィルタの両端に接着される。これらのフランジ6には、同軸ケーブル用のコネクタ60が設けられている。
【0101】
共振器の高さは8から15mmである。横軸線xに沿ったそれらの幅は15から30mmであり得る。それらの長さは10から18mmであり得る。薬液洗浄孔37の直径は、有利には2mm未満である。周波数調整ネジ38は、2から5mmの間、例えば3から4mmの間の直径を持ち得る。帯域幅同調ネジ39は、1.5から2.5mm、例えば2mmの間の直径を持ち得る。カットオフ周波数は8から30GHzで、帯域幅は100から300MHzである。
【0102】
上述の説明は、1つ又はそれより多い入力ポートを持つ異なる共振器と、異なるタイプの1つ以上のアイリスを持つ異なる共振器と、入力ポート及びアイリスを持たない異なる共振器とを示す。これらの異なる観点は互いに組み合わせ可能である。例えば、任意の形状の共振器、例えば、上述の形状の1つは、上述のいずれかのタイプのアイリス(又はアイリスのセット)と、入力ポート(又は出力ポート)との少なくとも一方と関連付けられてよい。異なる形状及びサイズの共振器を同じ導波管内に組み合わせてもよい。
【0103】
典型的な櫛線状の導波管フィルタは、入力ポートと少なくとも1つのアイリスとを持つ共振器と、出力ポートと少なくとも1つのアイリスを持つ共振器と、例えば、入力ポートを持つ共振器と出力ポートを持つ共振器との間に直列又は直並列回路で接続された複数の共振器とを備え、共振器は、縦方向と横方向との少なくとも一方のアイリスによって互いに接続されている。
【符号の説明】
【0104】
1 櫛線状の導波管フィルタ
3 共振器
30 空洞
31 壁
32 壁
33 支柱
34 基部
35 屋根パネル
36 屋根パネル
350 曲面
360 曲面
361 曲面
37 導孔
38 カットオフ周波数同調ネジ
39 バンド幅同調ネジ
4 アイリス(虹彩絞り)
40 障害物
51 入力ポート
52 出力ポート
6 フランジ
60 接続部
P 印刷方向
S 印刷支持
x 長手方向軸線
y 横方向軸線
z 鉛直軸線
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図15a
図15b
図16a
図16b
図17a
図17b
図18a
図18b
図19a
図19b
図19c
図20a
図20b
図20c
図21a
図21b
図22a
図22b
図22c
図23a
図23b
図23c
図24
図25
図26
図27a
図27b
図27c
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、櫛線状の導波管フィルタ及びこのフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF、高周波)信号は、自由空間又は導波管装置のいずれかで伝播できる。
【0003】
このような従来の導波管の一例が、特許文献1に記載されていて、その内容は参照により援用される。この例は、中空装置からなり、その形状及び比率が電磁信号の所与の波長に対する伝搬特性を決めている。この装置の内部の管断面は長方形である。この特許文献1には、円形を含む他の管断面が提案されている。
【0004】
この従来技術の導波管1は、一層一層重ねていく、付加印刷により製造されたコアを備える。このコアは、導波を意図した内部管を区切っていて、その断面積は送信される電磁信号の周波数に従って決定されるものである。コアの内面は導電性金属層で覆われている。外面は、装置の剛性に寄与する導電性金属層で覆ってもよいとされている。
【0005】
導波管装置は、RF信号を通すのに、もしくは空間領域又は周波数領域でそれら信号を操作する(例えば導波管フィルタを形成する)のに使用される。特に、本発明は、アクティブな電子機器を使わず無線周波数信号のフィルタリング(選別)を可能にする受動導波管フィルタに関する。
【0006】
無線周波数信号に使われる従来の導波管フィルタは、典型的には、長方形又は円形の断面の内部開口部を持つ。これらのフィルタの主な目的は、不要な周波数を抑制し、最小限の減衰で所望の周波数を通過させることである。100dB又は120dBを超える減衰が、例えば宇宙領域の受信と伝送システムとの少なくとも一方を対象としたフィルタに必要になる場合がある。
【0007】
宇宙や航空用途には特に、コンパクトで軽量な導波管フィルタが必要である。そのため、これらの異なる目的を満たせる導波管フィルタ形状の提案に、重要な研究努力が行われてきた。
【0008】
エバネッセントモードフィルタ、又は櫛線状のフィルタは、例えば公知である。これらは基本的に、入力ポートと出力ポートの間で電磁エネルギーを送信する複数の小さな空洞(カットオフ周波数未満)で構成されている。連続する空洞は、その寸法がフィルタの帯域幅を決定するのに役立つアイリス(虹彩絞り)によって接続されている。複数のピーク又は支柱は、基本モードの伝播を可能にする。このタイプのフィルタは、選択性が高く、質量とサイズが小さくなるため、例えば、衛星ペイロードの入力段と出力段に使われている。
【0009】
従来の櫛線状の導波管フィルタは、異なる複数の金属組み立て部品を機械加工して組み立てることによって作られている。これらの操作は複雑で費用がかかるものである。さらに、このようにして製造されたフィルタの重さは重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際出願公開第2017/208153号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、製造が簡単で重さが軽減された新しいタイプの櫛線状の導波管フィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一観点では、これらの目標は、付加製造工程を備えるプロセスによって金属製の櫛線状の導波管フィルタによって達成される。
【0013】
本フィルタは、付加製造工程を備える処理工程、例えば、レーザー又は電子ビームが粉末材料の複数の薄層を溶融又は焼結するSLMタイプ(レーザー溶融法)によって製造され得る。
【0014】
付加製造は、このように層状に焼結された金属粒子の構造を分析することによって製造されたフィルタで見られる。
【0015】
金属の付加製造では、組み立て工程を制限又はなくすことで複雑な形状を作成できるため、製造コストを削減できる。
【0016】
付加製造はまた、下位の部品(サブコンポーネント)間の組み立て手段の数なしで、又はより少ない数で櫛線状の導波管フィルタの製造を可能にし、それはまたフィルタの重量を減らす。
【0017】
導波管装置が付加製造によって製造されることは知られている。しかしながら、櫛線状の導波管フィルタの複雑な形状は、多くの片持ち梁表面、特に共振器の空洞の屋根を形成する表面があるので、付加製造には適さない。
【0018】
選択的レーザー溶融(SLM)処理工程を備えるほとんどの付加印刷処理工程では、新しく堆積した片持ち梁層のたるみの危険性を回避するために、20°や40°のような最小角度が必要である。これが、導波管フィルタの特定の部分の印刷、又は少なくとも所望の精度でのそれらの印刷を不可能にしている。
【0019】
図27aは、櫛線状の導波管フィルタ1の付加製造用に実施可能な処理工程を示す。この製造方法では、フィルタは、例えば矩形断面を持ち、印刷方向pに対して傾斜したフィルタ1の長手方向x、すなわち印刷層に対して垂直な方向pに対して印刷される。この目的のために、傾斜平面を持つ印刷基材S上に印刷が行われる。この斜め配置は、印刷中の水平オーバーハング(不適切に突き出た部分)を回避又は制限する。しかしながら、これは、一方では基板の製造公差と印刷テーブル上のその位置に関連し、他方ではフィルタの主な寸法に対して斜めの印刷層(「層」)に関連する製造公差の問題をもたらす。
これらの許容誤差の問題は、フィルタの特性、特にその選択性、カットオフ周波数の精度、及び有用な無線周波数信号の減衰を劣化させる。さらに、印刷された物体は印刷テーブル上の広い表面を占め、多数の印刷層を必要とし、一方では遅い印刷をもたらし、他方では層の製造公差を追加することによってさらなる不正確さをもたらす。
【0020】
これらの欠点を回避するために、従来とは異なる形状の櫛線状の導波管フィルタを付加印刷において実現し、高精度な付加印刷を容易にすることが、別の観点で提案されている。
【0021】
この目的のために、一観点では、前記櫛線状の導波管フィルタは、少なくとも2個の共振器、好ましくは少なくとも4つの共振器を備え、縦軸線x、横軸線y及び鉛直軸線zを備えた空洞を備え、各空洞は、特に、それぞれが縦軸線に垂直な平面内に延在する2つの壁によって区切られ、空洞の断面は非矩形である。
【0022】
「櫛線状の導波管フィルタ」という用語は、個々の共振器がアイリスによって相互接続されていることを意味する。これは、必ずしも共振器が単一の縦方向又は横方向の線路上に整列していることを意味するものではない。
【0023】
非長方形の断面を選択することで、図27bのようにフィルタの縦軸線xに平行な印刷方向p、あるいは、図27cのようにその長手方向に垂直な金属付加印刷によって作成できる空洞の作成に、追加の自由が提供される。
【0024】
このようにして、付加印刷による層が空洞の屋根面と平行ではなく、オーバーハングなしで印刷できる金属導波管フィルタを実現できる。
【0025】
これにより、斜めの印刷面を持つ基板への付加印刷によって引き起こされる精度の問題を回避できる。
【0026】
さらに、所定の表面に同時に印刷できるフィルタの密度が高くなり、印刷層の高さや数を減らしたりすることで、付加印刷の速度を改良し、その結果、費用を削減できる。
【0027】
各空洞は、空洞内の鉛直軸線に平行に延在する支柱を含み得る。
【0028】
空洞内の支柱の使用は、空洞のインピーダンスの変更を可能にし、よって、空洞及びアイリスによって形成される回路の共振周波数を制御できるようにするものである。
【0029】
一実施形態では、各空洞は、鉛直軸線に垂直かつ実質的に平面の基部と、前記基部の上の屋根とを持つ。屋根は、前記基部に平行な平らな表面を持たない。それにより、水平印刷面で支持された基部から(印刷を)始めて、次に片持ち水平面を持たない空洞壁及び屋根を印刷することによって、共振器を製造可能である。
【0030】
前述の支柱は、基部から延長してよい。
【0031】
屋根は、前記壁を接続し、前記基部に対して傾斜した斜め面で形成された、正確に2枚のパネルを備えてよい。
【0032】
屋根は、曲面によって互いに接続され、追加的又は代替的に基部に接続された複数の平らなパネル、例えば2枚のパネルを持ってよい。
【0033】
屋根は、前記壁を互いに接続する曲面のみを備えてよい。この変形態様により、付加印刷で印刷しやすいアーチ型の屋根が可能になる。
【0034】
共振器の断面積は長手方向で変化してよい。
【0035】
断面の面積は、空洞の各長手方向の端部から空洞の長手方向中心に向かって増加していてもよい。よって、共振器の屋根の最大高さは、共振器の長手方向中心にあり、最小高さは、長手方向の端部の一方又は両方にあってよい。屋根の縦方向のこの増加及び減少する勾配は、屋根の縦方向の端が印刷中に自立したアーチ型の天井を形成するため、印刷を容易にする。
【0036】
少なくとも2個の、長手方向に隣り合う空洞は、アイリスによって互いに接続されていてもよい。
【0037】
このアイリスは、隣り合う2個の共振器の垂直壁を横切ってよい。長手方向の2個の隣り合う共振器間のアイリスは、縦アイリス(縦方向のアイリス)と呼ばれる。
【0038】
縦アイリスの断面は三角形であってもよい。
【0039】
縦アイリスの断面は、四辺形、菱形、長方形又は正方形を形成するような多角形であってもよい。
【0040】
2個のアイリスのように複数のアイリスは、2個の縦方向に隣り合う共振器の間に設けられてもよい。これらのアイリスの断面はスロットを形成し得る。スロットは垂直方向に延在してよい。
【0041】
少なくとも2個の横方向に隣り合う空洞は、アイリスによって互いに接続されていてもよい。
【0042】
このアイリスは、隣り合う2個の共振器の屋根を横切ってよい。横方向の2個の隣り合う共振器間のアイリスは、横アイリス(横方向のアイリス)と呼ぶ。
【0043】
横アイリスは多面体を形成し得る。
【0044】
横アイリスは、4つの三角形の面を持つ多面体をなしている。横アイリスが備える2個の隣り合う屋根の平面内の2つの面は、共振器間で無線周波数信号を通過させるために中空である。
【0045】
横アイリスは、2つの五角形の面、2つの三角形の面、及び2つの台形の面を持つ多面体をなし得る。横アイリスが備える、2つの屋根の平面の五角形の面は、無線周波数信号が共振器間を通過可能とするよう、中空である。
【0046】
横アイリスは、2つの互いに組み合う空洞の2枚のパネルの交点によって形成される上縁を持つ長方形の断面を持ち得る。
【0047】
横アイリスは、例えばそれらが平らでない屋根に載っている場合、湾曲した体積を占めてよい。
【0048】
単一の櫛線状の導波管フィルタは、異なる形状の複数の縦アイリスと、異なる形状又は断面の複数の横アイリスとの少なくとも一方を持ち得る。
【0049】
共振器の少なくとも1つの空洞には、空洞内に障害物を作成し、共振周波数調整用の同調ネジが設けられていてもよい。同調ネジは、空洞に多かれ少なかれ深く挿入されるように、支柱の上方に垂直に延在してよい。
【0050】
少なくとも1つのアイリスは、フィルタの通過帯域の調整用の同調ネジを備えてもよい。ネジは、アイリスの上壁を通ってアイリスに垂直に延在してよい。
【0051】
少なくとも1つの空洞は、付加印刷後の空洞の内部の化学洗浄用の穴を備えてよい。この穴は、清掃後に取り外し又は変更してよい。
【0052】
櫛型の導波管フィルタは、アイリスによって相互接続された少なくとも2個の共振器、例えば4個又は8個以上の共振器を備えてよい。
【0053】
共振器とアイリスはモノリシックな方法(一体的にまとめた作り方)で実現できる。
【0054】
櫛線状の導波管フィルタは、フィルタ内への無線周波電磁信号の入力ポートと、フィルタ外への無線周波電磁信号用の出力ポートとを備えてよい。
【0055】
ポートは、機械加工されたフランジに形成され、フィルタの付加印刷された部分に、例えば接着によって、組み立てられてもよい。
【0056】
ポートには、同軸ケーブル用のコネクタが設けられていてもよい。
【0057】
一観点では、本発明はまた、鉛直軸線に垂直な平面内に延在する層を重ねることによって前記共振器を付加的に製造することを備える、櫛線型導波管フィルタの製造方法に関する。
【0058】
本方法は、入力ポートを持つフランジと、出力ポートを持つフランジとを加工し、加工したフランジを前記空洞に接合することを備えてよい。
【0059】
本発明の実施形態の例は、添付の図によって図示される説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図2図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図3図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図4図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図5図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図6図1から図6は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の異なる例の異なる斜視図を示すが、アイリス(虹彩絞り)はこれらの図には示されていない。
図7a図7a及び図7bは、金属製の櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の例の2つの斜視図を示し、アイリスには、導波管フィルタの他の2個の共振器に接続する三角形の断面を持つ2個の縦アイリスが設けられている。
図7b図7a及び図7bは、金属製の櫛線状の導波管フィルタに実装できる共振器の例の2つの斜視図を示し、アイリスには、導波管フィルタの他の2個の共振器に接続する三角形の断面を持つ2個の縦アイリスが設けられている。
図8a図8aと図8bは、横アイリスの例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図8b図8aと図8bは、横アイリスの例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図9a図9a及び図9bは、横アイリスの例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図9b図9a及び図9bは、横アイリスの例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図10図10は、横アイリスの一例で接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の斜視図を示す。
図11a図11a及び図11bは、三角形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図11b図11a及び図11bは、三角形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図12a図12a及び図12bは、四辺形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図12b図12a及び図12bは、四辺形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図13a図13a及び図13bは、2個の縦方向スロットアイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図13b図13a及び図13bは、2個の縦方向スロットアイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図14a図14a及び図14bは、障害物によって画定される三角形の断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図14b図14a及び図14bは、障害物によって画定される三角形の断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図15a図15a及び図15bは、障害物によって画定される台形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図15b図15a及び図15bは、障害物によって画定される台形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図16a図16a及び図16bは、三角形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図16b図16a及び図16bは、三角形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図17a図17a及び図17bは、四辺形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図17b図17a及び図17bは、四辺形断面を持つ縦アイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図18a図18a及び図18bは、2個の縦方向スロットアイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図18b図18a及び図18bは、2個の縦方向スロットアイリスによって接続された櫛線状の導波管フィルタの2個の共振器の異なる斜視図を示す。
図19a図19aから図19cは、スロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列で構成され、2つの列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図19b図19aから図19cは、スロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列で構成され、2つの列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図19c図19aから図19cは、スロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列で構成され、2つの列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図20a図20aから図20cは、スロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列を有し、2列は四辺形断面を持つ縦方向アイリス及び三角形断面を持つ縦方向アイリスによって互いに接続されている。
図20b図20aから図20cは、スロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列を有し、2列は四辺形断面を持つ縦方向アイリス及び三角形断面を持つ縦方向アイリスによって互いに接続されている。
図20c図20aから図20cは、スロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、それぞれ2個の共振器の2列を有し、2列は四辺形断面を持つ縦方向アイリス及び三角形断面を持つ縦方向アイリスによって互いに接続されている。
図21a図21aから図21cは、それぞれ2個の共振器の4列を備えるスロット導波管フィルタの異なる視点の図を示していて、隣り合う列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図21b図21aから図21cは、それぞれ2個の共振器の4列を備えるスロット導波管フィルタの異なる視点の図を示していて、隣り合う列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図21c図21aから図21cは、それぞれ2個の共振器の4列を備えるスロット導波管フィルタの異なる視点の図を示していて、隣り合う列は四辺形断面を持つ縦アイリスによって互いに接続されている。
図22a図22aから図22cは、それぞれ2個の共振器の4列で構成されるスロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、四辺形断面の縦アイリスと三角形の断面を持つ別の縦アイリスによって互いに接続されている。
図22b図22aから図22cは、それぞれ2個の共振器の4列で構成されるスロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、四辺形断面の縦アイリスと三角形の断面を持つ別の縦アイリスによって互いに接続されている。
図22c図22aから図22cは、それぞれ2個の共振器の4列で構成されるスロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、四辺形断面の縦アイリスと三角形の断面を持つ別の縦アイリスによって互いに接続されている。
図23a図23aから図23cは、それぞれ4つの共振器の2列を備えるスロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、異なる断面を持つ複数の縦アイリスによって互いに接続されている。
図23b図23aから図23cは、それぞれ4つの共振器の2列を備えるスロット導波管フィルタの異なる視点の図を示し、隣り合う列は、異なる断面を持つ複数の縦アイリスによって互いに接続されている。
図23c図23aから図23cは、それぞれ4つの共振器の2列を備えるスロット導波管フィルタの異なる視点の図を示していて、隣り合う列は、異なる断面を持つ複数の縦アイリスによって互いに接続されている。
図24図24は、金属櫛線状の導波管フィルタに実装可能な共振器の一例の斜視図を示し、この共振器に、フィルタカットオフ周波数同調ネジと無線周波数信号入力又は出力ポート用のネジ穴が設けられている。
図25図2は、金属製の櫛線状の導波管フィルタに実装可能な共振器の一例の(縦軸線に沿った)正面図を示し、この共振器に、フィルタカットオフ周波数同調ネジ用のネジ穴、無線周波数電磁信号入力又は出力ポート、共振器空洞用の洗浄液用の穴が設けられている。
図26図26は、完全な櫛線状の導波管フィルタの斜視図を示し、ここでは、縦軸線に沿って一列に接続された8つの共振器と、2つのフランジを備えたフィルタである。
図27a図27aは、付加印刷中の導波管フィルタ配置の一例の図を示す。
図27b図27bは、付加印刷中の導波管フィルタ配置の別の例の図を示す。
図27c図27cは、付加印刷中の導波管フィルタ配置の一例の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、金属製の櫛線状の導波管フィルタに実装され得る共振器3の一例の斜視図を示す。この図と図2から6では共振器の空洞のみが示されていて、アイリス(虹彩絞り)は示されていない。
【0062】
図示の共振器3は、入力無線周波数信号用の入力ポート51と、フィルタリングされた信号用の出力ポートとを備えているが、実際には、この共振器は、後述するように、アイリス又はアイリス4を介して他の共振器に接続されることを意図している。
【0063】
共振器3は、基部34で区切られた空洞30と、2枚の屋根パネル35と36を持つ屋根と、2つの垂直壁31と32とを備える。屋根パネル35は、曲面350によって基部と接続され、屋根縁を形成する第2曲面361によって他方の屋根パネル36に接続されている。屋根パネル36は、第3曲面360によって基部34に接続されている。他の実施形態と同様に、曲面350、360、361は、x-y横断面で湾曲している。この例では、曲面350、360、361は他の平面では曲面していない。
【0064】
縦軸線xは、屋根縁に平行であり、垂直壁31と32に垂直である。横軸線yは縦軸線xに垂直である。底面34は、水平面と呼ばれるx-y平面内に延びている。Z軸線は鉛直軸線と呼ばれ、x-y平面に垂直である。縦軸線は、付加印刷中の印刷方向pに相当することに留意されたい。よって、この方向は印刷中、鉛直方向であるが、フィルタの使用中には(鉛直方向である)必要はなく、任意の方向で実行可能である。
【0065】
共振器は、好ましくは、屋根35と36に達することなく基部から垂直に空洞30内に延在する支柱33を備える。支柱の高さは共振器のインピーダンス、つまり基本モードのフィルタのカットオフ周波数を決める。
【0066】
空洞30の断面は、y-z平面において、非矩形であり、この例では略三角形である。共振器は、基部34を印刷方向に垂直にして、印刷テーブル上に印刷される。この幾何形状が、印刷中に片持ち梁状態の表面ができないようにしている。
【0067】
そのような共振器を備える共振器及びフィルタの他の例は、他の図に図示され、以下に記載される。簡潔のため、図1又は他の図に関連して既に提示及び説明されたこれらの他の共振器の特徴は、体系的に繰り返されない。しかしながら、図中の共振器に関連して記載された全ての特徴は、特に指定のない限り、他の共振器と共に使用されてよい。
【0068】
図24は、支柱33の上に、付加印刷と機械加工との少なくとも一方によって得られるネジ穴を持つ空洞30を持つ共振器を示す。
【0069】
ネジ穴は、同調ネジ38を屋根35と36の端から支柱33に垂直に挿入可能にする。このネジの空洞への挿入深さを調整することにより、カットオフ周波数が調整される。ネジをより深く挿入することにより、フィルタのカットオフ周波数fcが減少する。
【0070】
このような同調ネジは、以下に書かれた全ての共振器で提供できる。
【0071】
入力ポート51は、例えば導波管又は同軸ケーブルから無線周波数信号が空洞30への導入できるようにする。入力ポートの中心のz軸線に沿った高さhは、カップリングの品質係数と品質係数Qeの両方を決定する。「h」が高いほど、カップリングは良くなるが、共振器の品質係数が犠牲になる。
【0072】
図2は、屋根パネル35と36が鋭角の縁によって基部34に接続され、図1の実施形態よりも大きな半径の曲面によって互いに接続されている別の共振器3を示す。
【0073】
図3は、屋根パネル35と36が大半径の曲面によって基部34に接続され、大半径の曲面によって互いに接続されている別の共振器3を示す。さらに、共振器の断面積は、共振器の各長手方向の端からその長手方向の中点に向かって徐々に増加する。よって、この例では、共振器の高さは、長手方向のx軸線に沿った共振器の中心で最大になる。この特徴はまた、縁361が縦軸線に沿ってアーチ型になっているので、その崩壊の危険性を低減するので、付加印刷を容易にする。
【0074】
図4図6は、図3に匹敵する共振器3の断面図と平面図を示すが、平面基部34の幅は、共振器の各長手方向の端からその縦方向の中央に向かって徐々に広がっている。この例では、基部34は、それにより長手方向のX軸線に沿った共振器の中心に最大幅を持つ。(支柱33及び支柱の上の可能な同調ネジを無視して)空洞の断面積は、縦軸線xに沿った共振器の中心で最大である。
【0075】
図5A及び図5Bは、屋根パネル35と36が実質半径の曲面350、360によって基部34に接続され、曲面の間が実質半径の曲面361によって接続されている共振器3を示す。基部34の幅及び共振器の高さは、長手方向のx軸線に沿って一定である。
【0076】
図7a及び図7bは、金属製の櫛線の導波管フィルタの一例の共振器3の斜視図を示す。空洞30の断面は三角形である。垂直壁31と32には、この空洞を隣り合う空洞と長手方向のx方向に接続するアイリス4がそれぞれ設けられている。この例では、両方のアイリス4は断面が三角形であり、対応する壁に開口部を形成している。これからわかるように、他のアイリス断面を提供可能である。一実施形態では、これからわかるように、空洞30は、側縁、すなわち屋根35と36の縁部に設けられたアイリスによって他の共振器の空洞に接続され得る。このような縦方向又は横方向のアイリスは、任意の断面の、先行する図の共振器を備えていてもよい。
【0077】
図8a及び図8bは、横軸線yにおいて隣りにあって、横アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を、一方の共振器の屋根パネル36と他方の共振器の屋根パネル36との間に示す。このアイリス4は、この例では4つの三角形の面を持つ多面体を形成する体積を持ち、2つの空洞の間に開口部を形成するために、それぞれ屋根パネル35に平行な2つの面36が中空である。
【0078】
アイリスの寸法によって、フィルタの特性が決まる。アイリスの高さを大きくすると、空洞間の結合が改善されるが、フィルタの帯域幅も増加する。
【0079】
図9は、横軸線yにおいて隣にあり、横アイリス4によって互いに接続された、一方の共振器の屋根パネル36と他方の共振器の屋根パネル36との間の2個の共振器3を示す。アイリス4は、この例では、屋根パネル35にそれぞれ平行な2つの五角形の面36、2つの三角形の面及び2つの台形の面を持つ多面体を形成する体積を持つ。2つの五角形の面は、2つの空洞の間に開口部を形成するために中空である。
【0080】
図10は、横軸線yにおいて隣にあり、横アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を、一方の共振器の屋根パネル36と他方の共振器の屋根36との間に示す。アイリス4は、この場合、1つの共振器の2枚の屋根パネル35の隣の共振器の屋根パネル36との交点によって構成され、よって、アイリス4の断面は長方形であり、その上端は2枚の屋根パネルの交点の縁で構成されている。この縁は有利には非直線的であり、各空洞の屋根は空洞の長手方向の中心でより高く、これにより、このようにアーチ型にされた縁の付加印刷を容易にする。
【0081】
図11a及び図11bは、1つの共振器の垂直壁31の隣の共振器の壁32との間の、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。この例のアイリス4は、y-z横断面に三角形の断面を持っている。
【0082】
図12a及び図12bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり共振器の壁32との間の、長手方向軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。この例におけるアイリス4は、y-z横面において四辺形、例えば正方形又は菱形の断面を持つ。
【0083】
図13a及び図13bは、1つの共振器の垂直壁31の隣の、共振器の壁32との間の、長手方向軸線xにおいて隣にあり、2個の長方形のスロット状のアイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。
【0084】
図14a及び図14bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり、共振器の壁32との間の、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。この例におけるアイリス4は、2つの空洞間の交点の頂点に三角形の形状のy-z横断面における断面を持っていて、この三角形は、2つの空洞の間の障害物40によって画定されている。ここでは2個の共振器3の底面34の平面から延在する台形の断面の横方向の稜線である。
【0085】
図15a及び図15bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり、共振器の壁32との間の、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された2個の共振器3を示す。この例中のアイリス4は、2つの空洞間の交点の基部から延在する台形のy-z横断面における断面を持ち、この台形部は、2つの空洞の間の障害物40によって画定されている。この場合、障害物40は2個の共振器3の屋根縁から延在する三角形断面の横方向の稜線である。
【0086】
図16a及び図16bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり、共振器の壁32との間の、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された、異なる形状と異なる断面との少なくとも一方を持つ2個の共振器3を示す。この例のアイリス4は、y-z横断面に三角形の断面を持っている。
【0087】
図17a及び図17bは、1つの共振器の垂直壁31の隣にあり、共振器の壁32との間に、縦軸線xにおいて隣にあり、縦アイリス4によって互いに接続された、異なる形状と異なる断面との少なくとも一方を持つ2個の共振器3を示す。このアイリス4は、この例では、四辺形の形状の横面y-zにおける断面を持つ。
【0088】
図18a及び図18bは、縦軸線xにおいて隣にあり、1つの共振器の垂直壁31の隣にある共振器の壁32との間に2つの細長いスロットを形成する2個の縦アイリス4によって互いに接続された、異なる形状と異なる断面との少なくとも一方を持つ2個の共振器3を示す。
【0089】
上述のフィルタは、2個の隣り合う共振器を備える。しかしながら、櫛状の導波管フィルタは、2個より多い共振器、例えば少なくとも4個の共振器、例えば8個又はそれより多い共振器を備え得る。これらの共振器は、利用可能な容積を最大限に活用し、コンパクトなコムラインフィルタを実現するために、長手方向のx方向と横方向のy方向との少なくとも一方に並置可能である。
【0090】
図19aから図19cは、それぞれ2個の共振器の2列に配置された4つの共振器3を示す。各列の2個の共振器は横アイリス4によって互いに接続されていて、ここでは矩形断面のアイリスである。2つの列は縦アイリス、ここでは正方形又は長方形の断面4のアイリスによって互いに接続されている。
【0091】
他のタイプの横アイリスは、同じ列の共振器間に設けられてもよい。他の縦アイリスは、異なる列の間に設けられてもよい。
【0092】
フィルタ1の隣り合う2列の間に複数のアイリスを設けることも可能である。
【0093】
同じフィルタ内に異なる断面の縦アイリスの提供が可能である。
【0094】
同じフィルタ内で異なる断面の横アイリスの提供が可能である。
【0095】
図20aから図20cは、それぞれ2個の共振器の2列に配置された4つの共振器3を示す。各列の2個の共振器は、横アイリス4、この場合は長方形の断面のアイリスによって互いに接続されている。2つの列は、三角形断面の第1縦アイリスと四辺形断面の第2アイリス4によって接続されている。
【0096】
図21aから図21cは、それぞれ2個の共振器の4列に配置された8つの共振器3を備えるフィルタを示す。各列の2個の共振器は、横アイリス4、この場合は長方形の断面のアイリスによって互いに接続されている。異なる行は、Y軸線に沿ってずらしたアイリスによって相互に接続される。この例では、縦アイリス4は全て同じ断面を持ち、ここでは四辺形の断面である。異なる断面のアイリス、例えばスロットアイリス又は三角アイリスを提供できる。異なる形状のアイリスを同じフィルタに組み合わせ可能である。
【0097】
図22aから図22bは、それぞれ2個の共振器の4列に配置された8つの共振器3を備えるフィルタを示す。各列の2個の共振器は、横アイリス4によって互いに接続されていて、ここでは長方形断面のアイリスである。隣り合う列は複数のアイリスによって、ここでは異なる断面のアイリスによって、ここでは三角形のアイリスと四辺形断面の別のアイリスによって接続されている。
【0098】
図23aから図23cは、それぞれ4つの共振器の2列に配置された8個の共振器3を備えるフィルタを示す。各列の2個の共振器は、横アイリス4によって互いに接続されていて、ここでは長方形断面のアイリスである。隣り合う列は複数のアイリスによって、ここでは異なる断面のアイリスによって、ここでは2個の三角形のアイリスと四辺形の断面の他の2個のアイリスによって接続されている。
【0099】
図25は、共振器と作製された孔37を設けた共振器3を例示し、付加印刷により、共振器内部の空洞30の薬品洗浄できるようにするものであり、付加印刷後にこれらの孔を通して液体を挿入できる。このような孔は、記載された共振器及びフィルタの意匠のいずれかを備えてもよい。
【0100】
図26は、縦アイリスによって互いに接続された8個の共振器3を持つフィルタを示す。各アイリスは、アイリスの上面側から延在し、アイリスを貫通してフィルタの通過帯域を調整する(同調)ネジ39を持つ。(同調)ネジ39を深く挿入すると、フィルタの帯域幅が増加する。フィルタはモノリシックに構築されていて、全ての共振器が1つのピースを形成している。入力51及び出力52ポートのみが切削金属加工によって作られたフランジ6上に作られ、フィルタの両端に接着される。これらのフランジ6には、同軸ケーブル用のコネクタ60が設けられている。
【0101】
共振器の高さは8から15mmである。横軸線xに沿ったそれらの幅は15から30mmであり得る。それらの長さは10から18mmであり得る。薬液洗浄孔37の直径は、有利には2mm未満である。周波数調整ネジ38は、2から5mmの間、例えば3から4mmの間の直径を持ち得る。帯域幅同調ネジ39は、1.5から2.5mm、例えば2mmの間の直径を持ち得る。カットオフ周波数は8から30GHzで、帯域幅は100から300MHzである。
【0102】
上述の説明は、1つ又はそれより多い入力ポートを持つ異なる共振器と、異なるタイプの1つ以上のアイリスを持つ異なる共振器と、入力ポート及びアイリスを持たない異なる共振器とを示す。これらの異なる観点は互いに組み合わせ可能である。例えば、任意の形状の共振器、例えば、上述の形状の1つは、上述のいずれかのタイプのアイリス(又はアイリスのセット)と、入力ポート(又は出力ポート)との少なくとも一方と関連付けられてよい。異なる形状及びサイズの共振器を同じ導波管内に組み合わせてもよい。
【0103】
典型的な櫛線状の導波管フィルタは、入力ポートと少なくとも1つのアイリスとを持つ共振器と、出力ポートと少なくとも1つのアイリスを持つ共振器と、例えば、入力ポートを持つ共振器と出力ポートを持つ共振器との間に直列又は直並列回路で接続された複数の共振器とを備え、共振器は、縦方向と横方向との少なくとも一方のアイリスによって互いに接続されている。
【符号の説明】
【0104】
1 櫛線状の導波管フィルタ
3 共振器
30 空洞
31 壁
32 壁
33 支柱
34 基部
35 屋根パネル
36 屋根パネル
350 曲面
360 曲面
361 曲面
37 導孔
38 カットオフ周波数同調ネジ
39 バンド幅同調ネジ
4 アイリス(虹彩絞り)
40 障害物
51 入力ポート
52 出力ポート
6 フランジ
60 接続部
P 印刷方向
S 印刷支持
x 長手方向軸線
y 横方向軸線
z 鉛直軸線
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアイリスで一緒に接続されている少なくとも2個の共振器(3)を備える、金属の付加印刷により得られる櫛線状の導波管フィルタ(1)であって、
各共振器(3)が、長手方向軸線(x)と、横方向軸線(y)と、鉛直軸線(z)を持つ空洞(30)を備え、
各空洞(30)が特に2つの壁(31、32)で区切られていて、各壁が前記長手方向軸線に垂直な平面内に延在している、導波管フィルタ(1)において、
前記空洞の断面が矩形でないことを特徴とする、櫛線状の導波管フィルタ(1)
【請求項2】
各空洞が、前記空洞内の前記鉛直軸線に平行に延在している支柱(33)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項3】
各空洞(30)が、鉛直軸線に垂直かつ実質的に平面の基部(34)を備え、前記基部の上の屋根(35、36)とを備え、前記屋根が前記基部に平行な平らな表面を持たないことを特徴とする、請求項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項4】
前記屋根は、前記壁(31、32)を接続し、前記基部(34)に対して傾斜した斜め面で形成された、正確に2枚のパネル(35、36)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項5】
前記屋根は、曲面(350、360、361)によって互いに接続され、前記基部(34)に接続された複数の平らなパネル(35、36)を備えることを特徴とする、請求項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項6】
少なくとも2個の、前記長手方向(x)に長手方向で隣り合う空洞(30)は、前記アイリス(4)によって互いに接続されていることを特徴とする、請求項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項7】
少なくとも2個の、前記横方向(y)に隣り合う空洞(30)が、前記アイリス(4)によって互いに接続されていることを特徴とする、請求項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項8】
少なくとも1つの空洞(30)には、対応する前記共振器のカットオフ周波数を調整するため、前記支柱(33)上鉛直に延在する、同調ネジが設けられていることを特徴とする、請求項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項9】
少なくとも1つのアイリス(4)が、前記フィルタの通過帯域の調整用の同調ネジ(39)を備えることを特徴とする、請求項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項10】
複数の前記空洞(30)と複数の前記アイリス(4)がモノリシックに作られていることを特徴とする、請求項に記載の櫛線状の導波管フィルタ。
【請求項11】
請求項に記載の櫛線状の導波管フィルタの製造方法であって、
前記鉛直軸線(z、P)について垂直な平面内に延在する複数の層を重ねることで前記共振器(3)を付加製造することを備える、櫛線状の導波管フィルタの製造方法。
【国際調査報告】