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特表2023-5545473相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法
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  • 特表-3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法 図1
  • 特表-3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/08 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
H02H3/08 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558926
(86)(22)【出願日】2021-12-02
(85)【翻訳文提出日】2023-06-12
(86)【国際出願番号】 CN2021135187
(87)【国際公開番号】W WO2022121782
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】202011453632.5
(32)【優先日】2020-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523223364
【氏名又は名称】保定玉▲しん▼電気科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】薛 占▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】▲しん▼ 進春
【テーマコード(参考)】
5G004
【Fターム(参考)】
5G004AA02
5G004AB01
5G004BA03
5G004CA01
5G004CA03
5G004EA01
(57)【要約】
【課題】3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法を開示する。
【解決手段】本発明は3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法を開示し、1つの線路が2相または3相の相間短絡が発生した場合、該線路の1つの故障相を導通することを維持し、他の故障相をトリップし、前記1つの故障相と導通した別の故障相を人為的に接地しまたは既存の接地点を直接利用し、次いで、前記1つの故障相と閉回路を形成して電流パルスを発生するように、前記1つの故障相を除く前記3相非有効接地給電システムの1つの帯電相または中性点と大地を循環的に接地・切断し、制御スイッチによる電流パルスの検出を利用して、ある制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、故障を排出することができる。この方法は相間短絡故障区間を迅速に位置決めでき、自動、高速、正確に故障を除去でき、相間短絡故障の処理品質を良好に向上させ、給電安全性を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相非有効接地給電システムに複数の制御スイッチが分布し、前記制御スイッチが電流パルスを検出することができ、電流パルス数に応じて回路を切断することができ、
1つの回路で単純な2相または3相間短絡が発生した場合、(a)当該回路の1つの故障相を導通することを維持し、他の故障相をトリップし、前記1つの故障相と導通した別の故障相を人為的に接地し、次いで、前記1つの故障相と閉回路を形成して電流パルスを発生するように、前記1つの故障相を除く前記3相非有効接地給電システムの1つの帯電相または中性点を大地と循環的に接続・切断して、電源下流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数を電源上流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数より少ないように設定し、ある制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記別の故障の接地を停止し、前記1つの帯電相又は前記中性点の接地を停止する方法に準じて処理し、
1つの回路で2相または3相間短絡に伴う接地障害が発生した場合、上記(a)方法に準じて処理するか、又は(b)当該回路の1つの故障相を導通することを維持し、他の故障相をトリップし、次いで、前記1つの故障相と閉回路を形成して電流パルスを発生するように、前記1つの故障相を除く前記3相非有効接地給電システムの1つの帯電相または中性点が大地と循環的に接続・切断にして、電源下流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数を電源上流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数より少ないように設定し、ある制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記1つの帯電相または前記中性点の接地を停止する方法に準じて処理することを特徴とする3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【請求項2】
前記方法(a)及び方法(b)において、前記1つの故障相の導通を維持することは、前記1つの故障相をトリップしてから前記1つの故障相を導通すること及び、前記1つの故障相をトリップしないことを含むことを特徴とする請求項1に記載の3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【請求項3】
前記方法(a)においては、まず、前記一回路の第1の遮断器をトリップさせ、その後、第1のスイッチを介して第1の遮断器で前記1つの故障相を短絡させて前記1つの故障相を導通し、前記第1のスイッチは前記制御スイッチであり、第3のスイッチを介して第1の遮断器のアウトレットで前記別の故障相を人為的に接地し、前記1つの故障と閉回路を形成して電流パルスを発生するように第2のスイッチを介して前記1つの帯電相を前記第1の遮断器のインレット又は中性点で大地と循環的に接続・切断し、ある前記制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記第1のスイッチ、第3のスイッチをオフにし、かつ前記第2のスイッチの接地を停止し、その後、前記第1の遮断器を閉路にすることを特徴とする請求項1に記載の3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【請求項4】
前記方法(b)においては、まず、前記第1のラインの第1の遮断器をトリップし、その後、第1のスイッチを介して前記1つの故障相を第1の遮断器で短絡させて前記1つの故障相を導通し、前記第1のスイッチは前記制御スイッチであり、前記1つの故障と閉回路を形成して電流パルスを発生するように第2のスイッチを介して前記1つの帯電相が前記第1の遮断器のインレットまたは中性点で大地と循環的に接続・切断し、ある前記制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記第1のスイッチをオフにし、かつ前記第2のスイッチの接地を停止し、その後、前記第1の遮断器を閉路にすることを特徴とする請求項1に記載の3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【請求項5】
前記制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断すると、同時に前記第2スイッチに信号を送信して第2スイッチの接地を停止させることを特徴とする請求項3または4に記載の3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【請求項6】
前記制御スイッチは、次の電流パルスの通過を回避するために、電流パルスの数に応じてタイムリーに回路を切断することができることを特徴とする請求項1に記載の3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【請求項7】
前記方法(b)において、前記閉回路の抵抗が相対的に小さい場合、電圧位相角がゼロである時、ピーク値が相対的に小さい電流パルスを得るために大地と接続し、又は前記閉回路の抵抗が相対的に大きい場合、電圧位相角が90度である時、ピーク値が相対的に大きい電流パルスを得るために大地と接続することを特徴とする請求項1に記載の3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【請求項8】
前記電流パルスの大きさをモニタリングし、電流パルスの瞬時値がプリセット値に達したとき、すなわち前記第2のスイッチを切断してパルス動作を完了し、各電流パルスのピークが前記プリセット値を超えないように制御することを特徴とする請求項3又は4に記載の3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【請求項9】
前記方法(a)及び方法(b)において、前記閉回路に電流制限抵抗を直列に接続していることを特徴とする請求項1に記載の3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【請求項10】
前記第2のスイッチと大地との間に可変抵抗を直列に接続していることを特徴とする請求項3または4に記載の3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給電システム故障処理分野に関し、具体的には3相非有効接地給電システムにおける相間短絡故障発生後の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3相非有効接地給電システムのある回路に対して相間短絡が発生した場合、通常の方法は、以下のようである。1、再閉路を採用する方法:まずこの回路上の第1の遮断器を切断してからこの第1の遮断器を閉じて、瞬間的な相間短絡であれば、第1の遮断器を閉路にした後に解消し、正常な給電を継続する。第1の遮断器を閉じた後もこの相間短絡障害が存在する場合は、第1の遮断器を切断して点検を待つ。2、時間上の段差協力方法を採用する方法:つまり、同じ回路の遮断器は電源からの距離によって異なり、異なる過電流トリップ時間を調整し、電源に近づくほどトリップ時間が長くなり、一般的に整定段差は100msであり、この時間は機械動作の開閉時間とアルゴリズムの消費時間によって決定され、この方法は故障領域を隔離することができるが、故障点が電源に近い故障に対して、給電システムは短絡電流に耐える時間が長く、電力網への衝撃が大きい。3、第1の遮断器を過電流によってトリップしてから、最後の遮断器をトリップし、もし故障が発生したのは最後の遮断器の以降であれば、故障を排除することができ、さもなくば第1の遮断器を閉路にし、依然として故障電流があれば、第1の遮断器を過電流によってトリップし、それから逆数2本目の遮断器を切断し、もし相間短絡が逆数2本目の遮断器と最後の遮断器の間で発生すれば、故障を排除することができ、このように類推し、故障を排除するまで、遮断器を順に前向きに切断する。しかし、この操作中、切断されていない遮断器や給電システムは大きな短絡電流の衝撃を受け続け、時間が長すぎたり、回数が多すぎたりすると、回路に損傷を与えることがある。もし相間短絡の持続時間が300ミリ秒を超えてはならず、遮断器のトリップ時間が100ミリ秒であれば、一般的に回路上で3本の遮断器を超えるべきではなく、そうでなければ、上述の方法は回路が300ミリ秒以上の衝撃を招く可能性がある。このことから、従来の相間短絡処理方法はいずれも故障処理に時間がかかり、故障を自動的に排除することができないという弊害があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は相間短絡故障区間を迅速に位置決めし、自動、高速、正確に故障を除去でき、相間短絡故障の処理品質を良好に向上させ、給電安全性を向上させることができる3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の実施形態を使用する。
3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法であって、3相非有効接地給電システムに複数の制御スイッチが分布し、前記制御スイッチが電流パルスを検出することができ、電流パルス数に応じて回路を切断することができ、
1つの回路で単純な2相または3相間短絡が発生した場合、(a)当該回路の1つの故障相を導通することを維持し、他の故障相をトリップし、前記1つの故障相と導通した別の故障相を人為的に接地し、次いで、前記1つの故障相と閉回路を形成して電流パルスを発生するように、前記1つの故障相を除く前記3相非有効接地給電システムの1つの帯電相または中性点を大地と循環的に接続・切断して、電源下流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数を電源上流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数より少ないように設定し、ある制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記別の故障の接地を停止し、前記1つの帯電相又は前記中性点の接地を停止する方法に準じて処理し、
1つの回路で2相または3相間短絡に伴う接地障害が発生した場合、上記(a)方法に準じて処理するか、又は(b)当該回路の1つの故障相を導通することを維持し、他の故障相をトリップし、次いで、前記1つの故障相と閉回路を形成して電流パルスを発生するように、前記1つの故障相を除く前記給電システムの1つの帯電相または中性点を大地と循環的に接続・切断して、電源下流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数を電源上流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数より少ないように設定し、ある制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記1つの帯電相または前記中性点の接地を停止する方法に準じて処理する。
【0005】
好ましくは、前記方法(a)及び方法(b)において、前記1つの故障相の導通を維持することは、前記1つの故障相をトリップしてから前記1つの故障相を導通すること及び、前記1つの故障相をトリップしないことを含む。
【0006】
好ましくは、前記方法(a)においては、まず、前記1つの回路の第1の遮断器をトリップさせ、その後、第1のスイッチを介して第1の遮断器で前記1つの故障相を短絡させて前記1つの故障相を導通し、前記第1のスイッチは前記制御スイッチであり、第3のスイッチを介して第1の遮断器のアウトレットで前記別の故障相を人為的に接地し、前記1つの故障と閉回路を形成して電流パルスを発生するように第2のスイッチを介して前記1つの帯電相を前記第1の遮断器のインレット又はシステム中性点で大地と循環的に接続・切断し、ある前記制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記第1のスイッチ、第3のスイッチをオフにし、かつ前記第2のスイッチの接地を停止し、その後、前記第1の遮断器を閉路にする。
【0007】
好ましくは、前記方法(b)においては、まず、前記第1のラインの第1の遮断器をトリップし、その後、第1のスイッチを介して前記1つの故障相を第1の遮断器で短絡させて前記1つの故障相を導通し、前記第1のスイッチは前記制御スイッチであり、前記1つの故障と閉回路を形成して電流パルスを発生するように第2のスイッチを介して前記1つの帯電相を前記第1の遮断器のインレットまたはシステム中性点で大地と循環的に接続・切断し、ある前記制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記第1のスイッチをオフにし、かつ前記第2のスイッチの接地を停止し、その後、前記第1の遮断器を閉路にする。
【0008】
好ましくは、前記第2のスイッチは電力電子スイッチである。
【0009】
好ましくは、前記電力電子スイッチは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタである。
【0010】
好ましくは、前記制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断すると、同時に前記第2スイッチに信号を送信して第2スイッチの接地を停止させる。
【0011】
好ましくは、前記制御スイッチは、次の電流パルスの通過を回避するために、電流パルスの数に応じてタイムリーに回路を切断することができる。
【0012】
好ましくは、前記方法(b)において、前記閉回路の抵抗が相対的に小さい場合、電圧位相角がゼロである時、ピーク値が相対的に小さい電流パルスを得るために大地と接続し、又は前記閉回路の抵抗が相対的に大きい場合、電圧位相角が90度である時、ピーク値が相対的に大きい電流パルスを得るために大地と接続する。
【0013】
好ましくは、前記電流パルスの大きさをモニタリングし、電流パルスの瞬時値がプリセット値に達したとき、すなわち前記第2のスイッチを切断してパルス動作を完了し、各電流パルスのピークが前記プリセット値を超えないように制御する。
【0014】
好ましくは、前記方法(a)及び方法(b)において、前記閉回路に電流制限抵抗を直列に接続している。
【0015】
好ましくは、前記第2のスイッチと大地との間に可変抵抗を直列に接続している。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は、以下のようである。
相間短絡故障が発生した後、まず元故障電流を遮断してから、電流パルスが人為的に作成され、且つ元のすべて故障回路あるいは部分故障回路の新たな回路を流れ、故障分析に用いられる。具体的には、1つの故障相を単相接地するように作成し、別の故障相(2相短絡)を切断するか、または同時に第3の相(3相短絡)を切断した後、接地の故障相と閉回路を形成して制御可能な大きさの電流を生成するように給電システムの1つの帯電相または中性点を循環的に接地・切断し、故障相の制御スイッチを介して電流パルスを検出し、制御スイッチがトリガ条件に達した後にオフにされ、電源下流の制御スイッチにおける遮断をトリガする電流パルス数は、電源上流の制御スイッチにおける遮断をトリガする電流パルス数より少ないため、故障相上の相間短絡故障点以降の制御スイッチは閉回路に入らず、電流が流れていないので、相間短絡故障点以前の第1の制御スイッチが先にオフにされ、相間短絡故障を排除することを確定する。上記の場合に対して、相間短絡に伴う単相接地であれば、該当接地点をそのまま利用してもよいし、人為的に作成された接地点を利用してもよい。単純な相間短絡であれば、人為的に接地点を作成しなければならない、すなわち、第3のスイッチを介して別の故障相に接地点を作成する必要がある、この接地点は好ましくは第1の遮断器のアウトレットに位置し、また、この別の故障相の他の場所に位置してもいい、特に相間短絡点以降に位置する場合、この別の故障相の制御スイッチは、該当相電流パルスを検出しないように相応に設定し、切断しようとする制御スイッチよりも前もって早く切断されないようにする。本方法は相間故障を単相接地故障に変換して処理し、制御スイッチを利用して自動的にトリップすることができ、迅速、正確、自動的に故障を排除し、その後に別の故障接地を停止してから帯電相を循環的に大地と接続することを停止し、最後に第1の遮断器を閉路にして電力供給を回復することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の方法の一例の配線概略図である。
図2】本発明の方法の他の一例の配線概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を用いて、具体的な実施例を参照して本発明をさらに説明する。3相給電システムは一般的な非有効接地システムであり、一般的に3相給電システムの母線には複数の引き出し電線があり、各引き出し電線には複数の制御スイッチが設置され、制御スイッチは設置に応じて回路上の1相、2相または3相上の電流パルスを検出することができ、いずれかの相を通過する電流パルスがプリセット値に達すると3相回路を切断することが設定できる。制御スイッチに関する具体的な1つの例では、制御ユニット、電流検出ユニット、および実行ユニットが含まれ、電流検出ユニットはそれぞれ3相回路の各相電流を検出することができ、制御ユニットは電流検出ユニットによる電流パルスをプリセット値と比較し、任意の相の電流パルス数がプリセット値に達すると信号を発送して実行ユニットによって3相回路を切断することを設定できる。切断をトリガする電流パルス数のプリセット値に対して、電源方向下流にある制御スイッチの電流パルス数のプリセット値は、電源方向上流のプリセット値より少ない、電源方向上流は電源に相対的に近く、電源方向下流は電源から相対的に離れ、即ち電源から電力が放出され、上流から下流へ伝送される。あるいは、電源方向に沿う上下流に従って、電源から遠いの制御スイッチの切断をトリガするプリセット値が少ないほど、先にトリガ条件に達して切断されやすくる。実際には、各引き出し電線に設置された遮断器は、遮断器を通過する電流パルス数を検出することができ、ある1つの相または複数相を一定の電流パルス数が通過すると回路を切断することを設定できるので、遮断器は制御スイッチと見なすことができる。
【0019】
図1に示すように、1つの具体的な実施形態では、ABC3相の各引き出し電線には、母線の付近に第1の遮断器90が設置され、第1の遮断器90で第1のスイッチ1が設けられ、第1のスイッチ1がABC3相に取り付けられた3つのスイッチKA1、KB1、KC1を含み、前記第1のスイッチは前記制御スイッチであり、即ちスイッチKA1、KB1、KC1のいずれもプリセット電流パルス数に従って、切断を行い、第1のスイッチ1は、ある相を第1の遮断器90で短絡させることができる(例えば、第1の遮断器90によって回路を切断した後、第1のスイッチ1のスイッチKA1を閉路にして、即ちA相を短絡させて、A相が第1の遮断器90を迂回させて再導通することができる)、これにより、第1の遮断器が切断しても、短絡されても導通し帯電する(もちろん、第1の遮断器に最初から1相でも切断しないことを保持でき、そうすれば、第1のスイッチを用いて短絡する必要を有せずに、最初から帯電であることになる)。第1の遮断器90以降には複数の遮断器(第1の遮断器以降のこれらの遮断器は制御スイッチと見なす)が設けられており、各遮断器はいずれもある相の電流パルス数に応じて3相回路を切断することができる。各引き出し電線の第1の遮断器90のアウトレットには第3のスイッチ3が取り付けられており、第3のスイッチ3の3つのスイッチKA3、KB3、KC3はそれぞれABC3相を大地に導通できるため、いずれか1相を接地することができる。同時に、母線には第2のスイッチ2(すなわち、第2のスイッチ2は第1の遮断器90のインレットに位置し、またはシステム中性点と大地との間に設置され、この場合は1相を開閉するだけでよい)が設置されており、第2のスイッチ2における3つのスイッチKA2、KB2、KC2はそれぞれ母線の3相を接地し、切断することができる。点Fで単純な相間短絡(例えばBC2相短絡、3相短絡でもよい)が発生すると、まず第1の遮断器90をトリップにして3相回路を切断し、その後、第1のスイッチ1のスイッチを閉路にすることで故障相(例えばB相であると、スイッチKB1を閉路にする)を導通にし帯電させ、そして、第1の遮断器90のアウトレットで、第3のスイッチ3の1つのスイッチを用いて、別の故障相(すなわちC相であり、この場合スイッチKC3を閉路にする)と点Dで接地する。このように、この回路のB相は短絡点FからC相を経て点Dに接地し、単相接地を形成する。そして、第2のスイッチのうちの1つのスイッチKA2を介してA相(この場合、A相は帯電相である)を第1の遮断器のインレットで大地と循環的に接続・切断することにより、電流パルス(又はスイッチKC2を用いてC相を循環的に接地・切断して、閉回路を形成する電流パルスを発生してもよい)が発生し、該当電流パルスが第2のスイッチの接地点E、第3のスイッチの接地点D及び相間短絡点Fを経って故障相B相を流れ、電流パルス数が相間短絡点F以前の最も近い制御スイッチ91のトリガ条件に達すると、この制御スイッチ91は回路を切断し、相間短絡点Fをシステムから排除する(電流パルス数はより上流の制御スイッチ92のトリガ条件に達していないので、制御スイッチ92は切断されない、B相上の相間短絡点以降の制御スイッチ93において電流が流れていないので動作しない)。その後、第1のスイッチ1上のスイッチKB1をオフにし、第3のスイッチ3中のKC3の接地を停止し、第2のスイッチ中のKA2の循環的に接地を停止し、最後に第1のスイッチ90を閉路にして回路電力供給を回復する。
【0020】
1つの実施形態では、第1の遮断器は3相に分けて制御され、制御スイッチの機能を有することができ、この場合、第1の遮断器を直接利用して1つの故障の導通を保持し、他の故障相をトリップすることができる。同時に、第1の遮断器が切断をトリガする電流パルス数は最多(すなわち、第2の遮断器より長い)に設定することができ、もし第1の遮断器以降の遮断器(制御スイッチとして使用する)がトリップになっていなければ、相間短絡は第1の遮断器と第2の遮断器の間で発生することを示しており、設定されたトリガ条件に基づいて、第1の遮断器は必ずトリップになり、故障を隔離することができる。
【0021】
図2に示すように、別の実施形態では、点Fで相間短絡が発生するとともに、短絡点に接地されている場合、上記方法の第3のスイッチを用いて人為的な接地点を作成し、その後、第2のスイッチを介して電流パルスを発生することができ、すなわち、上記方法は依然として適用可能である。このような接地付随の故障の場合には、まず3相回路を切断するため、第1の遮断器90をトリップし、その後、第1のスイッチのスイッチKB1を閉路にして、短絡点にある接地点を直接利用して単相接地を作成し、その後、第2のスイッチを介してA相(C相でもよい)を第1の遮断器のインレットで大地と循環的に接続・切断すると、電流パルスが重複的に発生し、この電流パルスは、第2のスイッチの接地点Eと相間短絡点における接地点Fを経って故障相B相を流れ、電流パルス数が相間短絡点以前の最も近い制御スイッチ91のトリガ条件に達すると、この制御スイッチ91は回路を切断し、相間短絡点Fをシステムから排除するという他の方法も存在している。その後、第1のスイッチのスイッチKB1を切断し、第2のスイッチ2は帯電相を循環的に接地することを停止し、第1の遮断器90を閉路にして回路給電を回復する。
【0022】
上述の実施形態では、制御スイッチのトリップ時間、電流パルスの時間及び2つの電流パルスを接続する時間間隔との関係を調整し、次の電流パルスが流れないように制御スイッチのトリップ条件に達した後のトリップがタイムリーであるため、より上流の制御スイッチがトリップすることを回避するようになる。これにより、次の電流パルスが発生する前に、切断条件に達する制御スイッチがあれば、トリップを完了し、制御スイッチがトリップしていない間に複数の電流パルスが発生し、トリップすべき制御スイッチ以前の1つ又は複数以上の制御スイッチにも望ましくないトリップが発生することにより、不合理な大面積停電を回避することができる。上記の処理方法は、相間短絡点において3相短絡を同時に発生させ、又は接地を付随させる場合にも同様に故障を排除することができる。
【0023】
1つの具体的な実施形態では、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタなどの電力電子スイッチを用いて、短時間の循環的に接続・切断することを実現する。現在、縁ゲート型バイポーラトランジスタは大電力のオンオフに耐えられ、マイクロ秒レベルの応答であり、数ミリ秒の時間の短絡電流パルスを製造することができる。
【0024】
第3スイッチを介して作成した単相接地は、接地抵抗が小さいため、短絡電流パルスが大きくなり、電源装置に損害を与え、3相系の一段、二段などの過電流保護をトリガして大面積停電を引き起こすこともある。この可能性を回避するために、電力電子スイッチのオンオフ性能を利用して、電流検出装置を設置して電流パルスの瞬時値を検出し、電流パルスの瞬時値が大きすぎ、プリセット値を超えると、回路をタイムリーに切断し、過電流保護をトリガしないようにする。あるいは、適切な電流制限抵抗を事前に直列接続してもよい、例えば、第2のスイッチと大地との間に調整可能抵抗を直列接続する。また、相間短絡点に接地が付随する場合には、接地抵抗が小さい場合には、電圧位相角がゼロのときに電力電子スイッチをオンにするように設定することができ、これにより励起電流が発生せず、短絡電流の増大を回避し、電流パルスピークを相対的に小さくすることができる。接地抵抗が大きい場合には、電圧位相角が90度のときにオンすることができ、これにより励起電流が発生し、短絡電流のピーク値を増大させ、検出に有利である。接地短絡回路の抵抗と短絡電流の大きさは具体的な検出環境に基づいて分析判断し、当業者が把握している。短絡回路の抵抗が短絡電流を検出しにくいほど小さくする場合は、電流を大きくして検出度を高めるために電圧位相角90度付近で閉路にし、接地短絡回路の抵抗が小さくて電流が大きすぎて設備を焼失する可能性がある場合、電流パルスの瞬時値が検出されプリセット値に達した時にタイムリーに切断するか、又は電圧位相角がゼロの時に閉路にして電流を増大させないようにし、同時に電流モニタリングを行うことができる。
【0025】
上記実施例は、本発明の構想と実現についてのいくつかの説明にすぎず、それを限定するものではなく、本発明の構想の下で、実質的な変換を行っていない技術案は依然として保護範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0026】
3相給電システムで実験を行うことにより、上述の方法は完全に実行可能である。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給電システム故障処理分野に関し、具体的には3相非有効接地給電システムにおける相間短絡故障発生後の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、3相非有効接地給電システムのある回路に対して相間短絡が発生した場合、通常の方法は、以下のようである。1、再閉路を採用する方法:まずこの回路上の第1の遮断器を切断してからこの第1の遮断器を閉じて、瞬間的な相間短絡であれば、第1の遮断器を閉路にした後に解消し、正常な給電を継続する。第1の遮断器を閉じた後もこの相間短絡障害が存在する場合は、第1の遮断器を切断して点検を待つ。2、時間上の段差協力方法を採用する方法:つまり、同じ回路の遮断器は電源からの距離によって異なり、異なる過電流トリップ時間を調整し、電源に近づくほどトリップ時間が長くなり、一般的に整定段差は100msであり、この時間は機械動作の開閉時間とアルゴリズムの消費時間によって決定され、この方法は故障領域を隔離することができるが、故障点が電源に近い故障に対して、給電システムは短絡電流に耐える時間が長く、電力網への衝撃が大きい。3、第1の遮断器を過電流によってトリップしてから、最後の遮断器をトリップし、もし故障が発生したのは最後の遮断器の以降であれば、故障を排除することができ、さもなくば第1の遮断器を閉路にし、依然として故障電流があれば、第1の遮断器を過電流によってトリップし、それから逆数2本目の遮断器を切断し、もし相間短絡が逆数2本目の遮断器と最後の遮断器の間で発生すれば、故障を排除することができ、このように類推し、故障を排除するまで、遮断器を順に前向きに切断する。しかし、この操作中、切断されていない遮断器や給電システムは大きな短絡電流の衝撃を受け続け、時間が長すぎたり、回数が多すぎたりすると、回路に損傷を与えることがある。もし相間短絡の持続時間が300ミリ秒を超えてはならず、遮断器のトリップ時間が100ミリ秒であれば、一般的に回路上で3本の遮断器を超えるべきではなく、そうでなければ、上述の方法は回路が300ミリ秒以上の衝撃を招く可能性がある。このことから、従来の相間短絡処理方法はいずれも故障処理に時間がかかり、故障を自動的に排除することができないという弊害があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第105006810号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は相間短絡故障区間を迅速に位置決めし、自動、高速、正確に故障を除去でき、相間短絡故障の処理品質を良好に向上させ、給電安全性を向上させることができる3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の実施形態を使用する。
3相非有効接地給電システムにおける相間短絡の処理方法であって、3相非有効接地給電システムに複数の制御スイッチが分布し、前記制御スイッチが電流パルスを検出することができ、電流パルス数に応じて回路を切断することができ、
1つの回路で単純な2相または3相間短絡が発生した場合、(a)当該回路の1つの故障相を導通することを維持し、他の故障相をトリップし、前記1つの故障相と導通した別の故障相を人為的に接地し、次いで、前記1つの故障相と閉回路を形成して電流パルスを発生するように、前記1つの故障相を除く前記3相非有効接地給電システムの1つの帯電相または中性点を大地と循環的に接続・切断して、電源下流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数を電源上流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数より少ないように設定し、ある制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記別の故障の接地を停止し、前記1つの帯電相又は前記中性点の接地を停止する方法に準じて処理し、
1つの回路で2相または3相間短絡に伴う接地障害が発生した場合、上記(a)方法に準じて処理するか、又は(b)当該回路の1つの故障相を導通することを維持し、他の故障相をトリップし、次いで、前記1つの故障相と閉回路を形成して電流パルスを発生するように、前記1つの故障相を除く前記給電システムの1つの帯電相または中性点を大地と循環的に接続・切断して、電源下流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数を電源上流の制御スイッチにおける切断をトリガする電流パルス数より少ないように設定し、ある制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記1つの帯電相または前記中性点の接地を停止する方法に準じて処理する。
【0006】
好ましくは、前記方法(a)及び方法(b)において、前記1つの故障相の導通を維持することは、前記1つの故障相をトリップしてから前記1つの故障相を導通すること及び、前記1つの故障相をトリップしないことを含む。
【0007】
好ましくは、前記方法(a)においては、まず、前記1つの回路の第1の遮断器をトリップさせ、その後、第1のスイッチを介して第1の遮断器で前記1つの故障相を短絡させて前記1つの故障相を導通し、前記第1のスイッチは前記制御スイッチであり、第3のスイッチを介して第1の遮断器のアウトレットで前記別の故障相を人為的に接地し、前記1つの故障と閉回路を形成して電流パルスを発生するように第2のスイッチを介して前記1つの帯電相を前記第1の遮断器のインレット又はシステム中性点で大地と循環的に接続・切断し、ある前記制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記第1のスイッチ、第3のスイッチをオフにし、かつ前記第2のスイッチの接地を停止し、その後、前記第1の遮断器を閉路にする。
【0008】
好ましくは、前記方法(b)においては、まず、前記第1のラインの第1の遮断器をトリップし、その後、第1のスイッチを介して前記1つの故障相を第1の遮断器で短絡させて前記1つの故障相を導通し、前記第1のスイッチは前記制御スイッチであり、前記1つの故障と閉回路を形成して電流パルスを発生するように第2のスイッチを介して前記1つの帯電相を前記第1の遮断器のインレットまたはシステム中性点で大地と循環的に接続・切断し、ある前記制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断した後、前記第1のスイッチをオフにし、かつ前記第2のスイッチの接地を停止し、その後、前記第1の遮断器を閉路にする。
【0009】
好ましくは、前記第2のスイッチは電力電子スイッチである。
【0010】
好ましくは、前記電力電子スイッチは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタである。
【0011】
好ましくは、前記制御スイッチがトリガ条件に達して回路を切断すると、同時に前記第2スイッチに信号を送信して第2スイッチの接地を停止させる。
【0012】
好ましくは、前記制御スイッチは、次の電流パルスの通過を回避するために、電流パルスの数に応じてタイムリーに回路を切断することができる。
【0013】
好ましくは、前記方法(b)において、前記閉回路の抵抗が相対的に小さい場合、電圧位相角がゼロである時、ピーク値が相対的に小さい電流パルスを得るために大地と接続し、又は前記閉回路の抵抗が相対的に大きい場合、電圧位相角が90度である時、ピーク値が相対的に大きい電流パルスを得るために大地と接続する。
【0014】
好ましくは、前記電流パルスの大きさをモニタリングし、電流パルスの瞬時値がプリセット値に達したとき、すなわち前記第2のスイッチを切断してパルス動作を完了し、各電流パルスのピークが前記プリセット値を超えないように制御する。
【0015】
好ましくは、前記方法(a)及び方法(b)において、前記閉回路に電流制限抵抗を直列に接続している。
【0016】
好ましくは、前記第2のスイッチと大地との間に可変抵抗を直列に接続している。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有益な効果は、以下のようである。
相間短絡故障が発生した後、まず元故障電流を遮断してから、電流パルスが人為的に作成され、且つ元のすべて故障回路あるいは部分故障回路の新たな回路を流れ、故障分析に用いられる。具体的には、1つの故障相を単相接地するように作成し、別の故障相(2相短絡)を切断するか、または同時に第3の相(3相短絡)を切断した後、接地の故障相と閉回路を形成して制御可能な大きさの電流を生成するように給電システムの1つの帯電相または中性点を循環的に接地・切断し、故障相の制御スイッチを介して電流パルスを検出し、制御スイッチがトリガ条件に達した後にオフにされ、電源下流の制御スイッチにおける遮断をトリガする電流パルス数は、電源上流の制御スイッチにおける遮断をトリガする電流パルス数より少ないため、故障相上の相間短絡故障点以降の制御スイッチは閉回路に入らず、電流が流れていないので、相間短絡故障点以前の第1の制御スイッチが先にオフにされ、相間短絡故障を排除することを確定する。上記の場合に対して、相間短絡に伴う単相接地であれば、該当接地点をそのまま利用してもよいし、人為的に作成された接地点を利用してもよい。単純な相間短絡であれば、人為的に接地点を作成しなければならない、すなわち、第3のスイッチを介して別の故障相に接地点を作成する必要がある、この接地点は好ましくは第1の遮断器のアウトレットに位置し、また、この別の故障相の他の場所に位置してもいい、特に相間短絡点以降に位置する場合、この別の故障相の制御スイッチは、該当相電流パルスを検出しないように相応に設定し、切断しようとする制御スイッチよりも前もって早く切断されないようにする。本方法は相間故障を単相接地故障に変換して処理し、制御スイッチを利用して自動的にトリップすることができ、迅速、正確、自動的に故障を排除し、その後に別の故障接地を停止してから帯電相を循環的に大地と接続することを停止し、最後に第1の遮断器を閉路にして電力供給を回復することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の方法の一例の配線概略図である。
図2】本発明の方法の他の一例の配線概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を用いて、具体的な実施例を参照して本発明をさらに説明する。3相給電システムは一般的な非有効接地システムであり、一般的に3相給電システムの母線には複数の引き出し電線があり、各引き出し電線には複数の制御スイッチが設置され、制御スイッチは設置に応じて回路上の1相、2相または3相上の電流パルスを検出することができ、いずれかの相を通過する電流パルスがプリセット値に達すると3相回路を切断することが設定できる。制御スイッチに関する具体的な1つの例では、制御ユニット、電流検出ユニット、および実行ユニットが含まれ、電流検出ユニットはそれぞれ3相回路の各相電流を検出することができ、制御ユニットは電流検出ユニットによる電流パルスをプリセット値と比較し、任意の相の電流パルス数がプリセット値に達すると信号を発送して実行ユニットによって3相回路を切断することを設定できる。切断をトリガする電流パルス数のプリセット値に対して、電源方向下流にある制御スイッチの電流パルス数のプリセット値は、電源方向上流のプリセット値より少ない、電源方向上流は電源に相対的に近く、電源方向下流は電源から相対的に離れ、即ち電源から電力が放出され、上流から下流へ伝送される。あるいは、電源方向に沿う上下流に従って、電源から遠いの制御スイッチの切断をトリガするプリセット値が少ないほど、先にトリガ条件に達して切断されやすくる。実際には、各引き出し電線に設置された遮断器は、遮断器を通過する電流パルス数を検出することができ、ある1つの相または複数相を一定の電流パルス数が通過すると回路を切断することを設定できるので、遮断器は制御スイッチと見なすことができる。
【0020】
図1に示すように、1つの具体的な実施形態では、ABC3相の各引き出し電線には、母線の付近に第1の遮断器90が設置され、第1の遮断器90で第1のスイッチ1が設けられ、第1のスイッチ1がABC3相に取り付けられた3つのスイッチKA1、KB1、KC1を含み、前記第1のスイッチは前記制御スイッチであり、即ちスイッチKA1、KB1、KC1のいずれもプリセット電流パルス数に従って、切断を行い、第1のスイッチ1は、ある相を第1の遮断器90で短絡させることができる(例えば、第1の遮断器90によって回路を切断した後、第1のスイッチ1のスイッチKA1を閉路にして、即ちA相を短絡させて、A相が第1の遮断器90を迂回させて再導通することができる)、これにより、第1の遮断器が切断しても、短絡されても導通し帯電する(もちろん、第1の遮断器に最初から1相でも切断しないことを保持でき、そうすれば、第1のスイッチを用いて短絡する必要を有せずに、最初から帯電であることになる)。第1の遮断器90以降には複数の遮断器(第1の遮断器以降のこれらの遮断器は制御スイッチと見なす)が設けられており、各遮断器はいずれもある相の電流パルス数に応じて3相回路を切断することができる。各引き出し電線の第1の遮断器90のアウトレットには第3のスイッチ3が取り付けられており、第3のスイッチ3の3つのスイッチKA3、KB3、KC3はそれぞれABC3相を大地に導通できるため、いずれか1相を接地することができる。同時に、母線には第2のスイッチ2(すなわち、第2のスイッチ2は第1の遮断器90のインレットに位置し、またはシステム中性点と大地との間に設置され、この場合は1相を開閉するだけでよい)が設置されており、第2のスイッチ2における3つのスイッチKA2、KB2、KC2はそれぞれ母線の3相を接地し、切断することができる。点Fで単純な相間短絡(例えばBC2相短絡、3相短絡でもよい)が発生すると、まず第1の遮断器90をトリップにして3相回路を切断し、その後、第1のスイッチ1のスイッチを閉路にすることで故障相(例えばB相であると、スイッチKB1を閉路にする)を導通にし帯電させ、そして、第1の遮断器90のアウトレットで、第3のスイッチ3の1つのスイッチを用いて、別の故障相(すなわちC相であり、この場合スイッチKC3を閉路にする)と点Dで接地する。このように、この回路のB相は短絡点FからC相を経て点Dに接地し、単相接地を形成する。そして、第2のスイッチのうちの1つのスイッチKA2を介してA相(この場合、A相は帯電相である)を第1の遮断器のインレットで大地と循環的に接続・切断することにより、電流パルス(又はスイッチKC2を用いてC相を循環的に接地・切断して、閉回路を形成する電流パルスを発生してもよい)が発生し、該当電流パルスが第2のスイッチの接地点E、第3のスイッチの接地点D及び相間短絡点Fを経って故障相B相を流れ、電流パルス数が相間短絡点F以前の最も近い制御スイッチ91のトリガ条件に達すると、この制御スイッチ91は回路を切断し、相間短絡点Fをシステムから排除する(電流パルス数はより上流の制御スイッチ92のトリガ条件に達していないので、制御スイッチ92は切断されない、B相上の相間短絡点以降の制御スイッチ93において電流が流れていないので動作しない)。その後、第1のスイッチ1上のスイッチKB1をオフにし、第3のスイッチ3中のKC3の接地を停止し、第2のスイッチ中のKA2の循環的に接地を停止し、最後に第1のスイッチ90を閉路にして回路電力供給を回復する。
【0021】
1つの実施形態では、第1の遮断器は3相に分けて制御され、制御スイッチの機能を有することができ、この場合、第1の遮断器を直接利用して1つの故障の導通を保持し、他の故障相をトリップすることができる。同時に、第1の遮断器が切断をトリガする電流パルス数は最多(すなわち、第2の遮断器より長い)に設定することができ、もし第1の遮断器以降の遮断器(制御スイッチとして使用する)がトリップになっていなければ、相間短絡は第1の遮断器と第2の遮断器の間で発生することを示しており、設定されたトリガ条件に基づいて、第1の遮断器は必ずトリップになり、故障を隔離することができる。
【0022】
図2に示すように、別の実施形態では、点Fで相間短絡が発生するとともに、短絡点に接地されている場合、上記方法の第3のスイッチを用いて人為的な接地点を作成し、その後、第2のスイッチを介して電流パルスを発生することができ、すなわち、上記方法は依然として適用可能である。このような接地付随の故障の場合には、まず3相回路を切断するため、第1の遮断器90をトリップし、その後、第1のスイッチのスイッチKB1を閉路にして、短絡点にある接地点を直接利用して単相接地を作成し、その後、第2のスイッチを介してA相(C相でもよい)を第1の遮断器のインレットで大地と循環的に接続・切断すると、電流パルスが重複的に発生し、この電流パルスは、第2のスイッチの接地点Eと相間短絡点における接地点Fを経って故障相B相を流れ、電流パルス数が相間短絡点以前の最も近い制御スイッチ91のトリガ条件に達すると、この制御スイッチ91は回路を切断し、相間短絡点Fをシステムから排除するという他の方法も存在している。その後、第1のスイッチのスイッチKB1を切断し、第2のスイッチ2は帯電相を循環的に接地することを停止し、第1の遮断器90を閉路にして回路給電を回復する。
【0023】
上述の実施形態では、制御スイッチのトリップ時間、電流パルスの時間及び2つの電流パルスを接続する時間間隔との関係を調整し、次の電流パルスが流れないように制御スイッチのトリップ条件に達した後のトリップがタイムリーであるため、より上流の制御スイッチがトリップすることを回避するようになる。これにより、次の電流パルスが発生する前に、切断条件に達する制御スイッチがあれば、トリップを完了し、制御スイッチがトリップしていない間に複数の電流パルスが発生し、トリップすべき制御スイッチ以前の1つ又は複数以上の制御スイッチにも望ましくないトリップが発生することにより、不合理な大面積停電を回避することができる。上記の処理方法は、相間短絡点において3相短絡を同時に発生させ、又は接地を付随させる場合にも同様に故障を排除することができる。
【0024】
1つの具体的な実施形態では、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタなどの電力電子スイッチを用いて、短時間の循環的に接続・切断することを実現する。現在、縁ゲート型バイポーラトランジスタは大電力のオンオフに耐えられ、マイクロ秒レベルの応答であり、数ミリ秒の時間の短絡電流パルスを製造することができる。
【0025】
第3スイッチを介して作成した単相接地は、接地抵抗が小さいため、短絡電流パルスが大きくなり、電源装置に損害を与え、3相系の一段、二段などの過電流保護をトリガして大面積停電を引き起こすこともある。この可能性を回避するために、電力電子スイッチのオンオフ性能を利用して、電流検出装置を設置して電流パルスの瞬時値を検出し、電流パルスの瞬時値が大きすぎ、プリセット値を超えると、回路をタイムリーに切断し、過電流保護をトリガしないようにする。あるいは、適切な電流制限抵抗を事前に直列接続してもよい、例えば、第2のスイッチと大地との間に調整可能抵抗を直列接続する。また、相間短絡点に接地が付随する場合には、接地抵抗が小さい場合には、電圧位相角がゼロのときに電力電子スイッチをオンにするように設定することができ、これにより励起電流が発生せず、短絡電流の増大を回避し、電流パルスピークを相対的に小さくすることができる。接地抵抗が大きい場合には、電圧位相角が90度のときにオンすることができ、これにより励起電流が発生し、短絡電流のピーク値を増大させ、検出に有利である。接地短絡回路の抵抗と短絡電流の大きさは具体的な検出環境に基づいて分析判断し、当業者が把握している。短絡回路の抵抗が短絡電流を検出しにくいほど小さくする場合は、電流を大きくして検出度を高めるために電圧位相角90度付近で閉路にし、接地短絡回路の抵抗が小さくて電流が大きすぎて設備を焼失する可能性がある場合、電流パルスの瞬時値が検出されプリセット値に達した時にタイムリーに切断するか、又は電圧位相角がゼロの時に閉路にして電流を増大させないようにし、同時に電流モニタリングを行うことができる。
【0026】
上記実施例は、本発明の構想と実現についてのいくつかの説明にすぎず、それを限定するものではなく、本発明の構想の下で、実質的な変換を行っていない技術案は依然として保護範囲内にある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
3相給電システムで実験を行うことにより、上述の方法は完全に実行可能である。
【国際調査報告】