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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】燃料電池マニホールドガスケット
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/028 20160101AFI20231221BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALI20231221BHJP
   H01M 8/0276 20160101ALI20231221BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20231221BHJP
【FI】
H01M8/028
H01M8/2483
H01M8/0276
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570125
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 KR2022010448
(87)【国際公開番号】W WO2023090571
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0160232
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522446568
【氏名又は名称】テラリクス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ベク,サン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ ソン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA13
5H126BB06
5H126FF08
(57)【要約】
本発明は、燃料電池マニホールドガスケットに係り、より詳細には、ガスケットが硬化した伝導性素材の支持部と、支持部の両側を覆う弾性素材の圧縮部とから構成されるようにして、ガスケットの変形を防止し且つ変形による性能及び耐久性の低下を防止することができ、ガスケットの製造精度を高め且つ不良率を下げることができるようにし、伝導性素材の支持部をセパレータに接触させるようにして、安定した電圧の測定及びモニタリングを可能とする燃料電池マニホールドガスケットに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータ同士の間に挿入されてセパレータを支持し、マニホールドを形成するガスケットであって、
一定の厚さの硬化した伝導性素材で形成される支持部と、
前記支持部の両側に設けられ、弾性を有する素材で形成される圧縮部と、を含むことを特徴とする、燃料電池マニホールドガスケット。
【請求項2】
前記支持部は、
内側に突出してセパレータに接触するセパレータ接触端を含むことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池マニホールドガスケット。
【請求項3】
前記セパレータ接触端は、
下側に折り曲げられてガスケット下部のセパレータに接触するようにすることを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池マニホールドガスケット。
【請求項4】
前記セパレータ接触端は、
上下側に広がり、弾性を有するように形成されて上下側のセパレータに接触する弾性分離端を含むことを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池マニホールドガスケット。
【請求項5】
前記支持部は、
前記セパレータ接触端とは反対側に設けられ、電圧測定回路に接触するようにする測定接触端を含み、
前記測定接触端は、
内側に陥入する凹端、又は、外側に突出する凸端のうちのいずれかを含むことを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池マニホールドガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池マニホールドガスケットに係り、より詳細には、ガスケットが硬化した伝導性素材の支持部と、支持部の両側を覆う弾性素材の圧縮部とから構成されるようにして、ガスケットの変形を防止し且つ変形による性能及び耐久性の低下を防止することができ、ガスケットの製造精度を高め且つ不良率を下げることができるようにし、伝導性素材の支持部をセパレータに接触させるようにして、安定した電圧の測定及びモニタリングを可能とする燃料電池マニホールドガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料が持っている化学エネルギーを電気化学的に反応させて電気エネルギーに変換させるエネルギー変換装置であって、産業用、家庭用及び車両用電力を供給するだけでなく、小型の電気/電子製品、携帯機器の電力を供給するのにも用いられることができる。
【0003】
燃料電池は、様々な種類が存在するが、下記特許文献のように高い電力密度を有する高分子電解質膜燃料電池(PEMFC、Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell)が主に使用されており、最も内側に膜電極接合体(MEA、Membrane Electrode Assembly)が位置し、膜電極接合体は、水素イオンを移動させることができる固体高分子電解質膜と、電解質膜の両面に設けられ、水素と酸素とが反応できるように触媒が塗布された電極層であるカソード(Cathode)及びアノード(Anode)から構成される。このとき、アノード(Anode)には水素が供給され、カソード(Cathode)には空気が供給されることにより、空気に含まれている酸素と水素との反応による電気が生産される。
【0004】
このような膜電極接合体の両端には伝導性物質のセパレータが締結されてセル構造を成し、単セルは、電圧が低くて実用性に劣るため、一般に数個~数百個の単セルを積層してスタック(stack)として使用する。
【0005】
このとき、各単セル同士の間には下記特許文献のようにガスケットが形成されることにより、セパレータ同士の間を支持するようにし、燃料電池が気密構造を形成することができるようにし、両端にはマニホールドが形成されることにより、水素、空気などが単セルへ供給できるようにする。
【0006】
しかし、従来のガスケット100は、一般にシリコン、EPDMなどの硬度が低い素材を使用することにより、スタックの締結過程で図1(a)に示すように圧縮による形状変形が発生して応力分布不均衡による気密損傷やセパレータ破損が発生する。
【0007】
図1(b)に示すように、正常条件ではガスケットの厚さが一定であるが、燃料電池の使用によって圧縮率のばらつきが発生して各セルの押圧量が不均一になり、これにより単セル内部の部品間接触抵抗及び物質伝達抵抗のばらつきが発生して水排出、電気抵抗、熱伝達不均一による性能及び耐久性の低下が発生するという問題がある。
【0008】
また、多数の単セルを積層して使用する燃料電池スタックは、運転状態や性能、エラーなどをモニタリングするために各セルの電圧を測定してモニタリングするようにすることが必須であるが、一般に、各単セルの側面部に伝導体を接触させてセル電圧を測定するようにしている。
【0009】
したがって、一般に金属セパレータの側面に伝導体と接触させて電圧を測定するようにしているが、最近、金属セパレータの厚さが次第に薄くなっており、伝導体との接触が難しく、形状が歪んで信頼性のある電圧測定構造を作り難いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0766155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ガスケットが硬化した伝導性素材の支持部と、支持部の両側を覆う弾性素材の圧縮部とから構成されるようにしてガスケットの変形を防止し且つ変形による性能及び耐久性の低下を防止することができ、ガスケットの製造精度を高め且つ不良率を下げることができるようにする燃料電池マニホールドガスケットを提供することにある。
【0012】
本発明は、伝導性素材の支持部をセパレータに接触させるようにして、安定した電圧の測定及びモニタリンを可能とする燃料電池マニホールドガスケットを提供することを目的とする。
【0013】
本発明は、支持部の端部を様々な形態に変形させてセパレータに接触させるようにすることにより、セパレータの形状及び設計条件に合わせて支持部をセパレータに接触させることができるようにする燃料電池マニホールドガスケットを提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、支持部の外側端部を凹状又は凸状に形成するようにして、電圧測定回路の接触が容易かつ安定的に行われるようにする燃料電池マニホールドガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は、次の構成を有する実施形態によって実現される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、本発明による燃料電池マニホールドガスケットは、一定の厚さの硬化した伝導性素材で形成される支持部と、前記支持部の両側に設けられ、弾性を有する素材で形成される圧縮部と、を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、本発明による燃料電池マニホールドガスケットにおいて、前記支持部は、内側に突出してセパレータに接触するセパレータ接触端を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による燃料電池マニホールドガスケットにおいて、前記セパレータ接触端は、下側に折り曲げられてガスケット下部のセパレータに接触するようにすることを特徴とする。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による燃料電池マニホールドガスケットにおいて、前記セパレータ接触端は、上下側に広がり、弾性を有するように形成されて上下側のセパレータに接触する弾性分離端を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、本発明による燃料電池マニホールドガスケットにおいて、前記支持部は、前記セパレータ接触端とは反対側に設けられ、電圧測定回路に接触するようにする測定接触端を含み、前記測定接触端は、内側に陥入する凹端、又は外側に突出する凸端のうちのいずれかを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、前述した本実施例と後述する構成、組み合わせ及び使用関係によって次の効果を得ることができる。
【0022】
本発明は、ガスケットが硬化した伝導性素材の支持部と、支持部の両側を覆う弾性素材の圧縮部とから構成されるようにして、ガスケットの変形を防止し且つ変形による性能及び耐久性の低下を防止することができ、ガスケットの製造精度を高め且つ不良率を下げることができるようにするという効果がある。
【0023】
本発明は、伝導性素材の支持部をセパレータに接触させるようにして、安定した電圧の測定及びモニタリングを可能とするという効果がある。
【0024】
本発明は、支持部の端部を様々な形態に変形させてセパレータに接触させるようにすることにより、セパレータの形状及び設計条件に合わせて支持部をセパレータに接触させることができるという効果がある。
【0025】
本発明は、支持部の外端を凹状又は凸状に形成するようにして、電圧測定回路の接触が容易かつ安定的に行われるようにするという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】従来のガスケットの変形状態を示す参考図である。
図2】従来のガスケットのマニホールドホールの変形状態を示す参考図である。
図3】本発明の一実施形態による燃料電池マニホールドガスケットの断面図である。
図4】本発明の他の実施形態による燃料電池マニホールドガスケットの断面図である。
図5】本発明の別の実施形態による燃料電池マニホールドガスケットの断面図である。
図6】本発明による燃料電池マニホールドガスケットの測定接触端を示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態による燃料電池マニホールドガスケットの実際製作例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明による燃料電池マニホールドガスケットの好適な実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。下記で本発明を説明するにあたり、公知の機能又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明を省略する。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0028】
本発明の一実施形態による燃料電池マニホールドガスケットを図3図7を参照して説明すると、前記燃料電池マニホールドガスケットは、一定の厚さの硬化した伝導性素材で形成される支持部1と、前記支持部1の両側に設けられ、弾性を有する素材で形成される圧縮部3と、を含む。
【0029】
本発明による燃料電池マニホールドガスケットは、セパレータB同士の間に挿入されてセパレータB間を支持する構成であって、水素極(Anode)に水素が供給される通路を形成するアノードセパレータB3と、空気極(Cathode)及び冷却チャネルに空気が供給される通路を形成するカソードセパレータB1との間に挿入されるようにすることができ、セパレータBの両端において一定の空間のマニホールドを形成して燃料電池の各セルに水素、空気などが供給される通路を形成するようにすることができる。
【0030】
特に、前記燃料電池マニホールドガスケットは、ソフトな素材で形成されていた従来のガスケットとは異なり、ソフトな素材の間に硬質素材の支持部1を挿入して製造されるようにすることにより、ガスケットの変形を防止し、且つセパレータB間の間隔が一定に維持されるようにする。したがって、ガスケットの変形による気密損傷や破損を防止し、スタック内の水の排出、抵抗、熱伝達などの不均一による性能及び耐久性の低下を防止するようにすることができる。
【0031】
また、従来のソフトな素材のガスケットは、その変形によって、図2(b)に示すように空気又は水素が供給される流路101の大きさを変化させて流量の不均一をもたらすという問題があったが、支持部1を設けることによりその変形を最小限に抑えて均一な流量を維持するようにすることができる。
【0032】
また、従来のソフトな素材のガスケットは、薄いシート状に製作されることにより、不良率が高く且つ歩留まりが低いという問題があったが、硬化した素材の支持部1を追加することにより、ガスケットの製造精度を高め且つ不良率を下げるようにすることができる。
【0033】
前記支持部1は、一定の厚さの硬化した伝導性素材で形成される構成であって、両側の圧縮部3の間に一体に結合されて設けられるようにする。前記支持部1は、硬化した素材で形成されて圧縮部3を支持するようにすることにより、前述したように変形を防止し且つ製造歩留まりを高めることができるようにし、特に金属や伝導性プラスチックなどの伝導性素材で形成されて燃料電池セルの電圧を測定することができるようにする。言い換えれば、燃料電池では、運転状態、性能、エラーなどをモニタリングするために各単セルの電圧を測定することが必須であるが、セパレータBが薄くなることにより、セパレータBに接続して電圧を測定することが非常に困難になったので、本発明では、前記支持部1を伝導性素材で形成してセパレータBと接触させることにより、支持部1を介したセパレータBの電圧測定を可能にした。このために、前記支持部1は、一側にセパレータ接触端11を設けてセパレータBと接触させ、他側には測定接触端13を設けて電圧を測定可能な回路と接続させることができるようにする。
【0034】
前記セパレータ接触端11は、支持部1の一端に設けられてセパレータBと接触する構成であって、図3に示すように、セパレータB側に突出するように形成されて接触が行われるようにすることができる。燃料電池のセパレータBは、空気極側に設けられるカソードセパレータB1と、水素極側に設けられるアノードセパレータB3と、を含むことができ、一般に、カソードセパレータB1は、一定の間隔をおいて凸状に突設される突出部B11と、突出部B11同士の間を連結する平板部B13と、を含むことができ、突出部B11及び平板部B13によって形成されるそれぞれの反対側空間を介してそれぞれ冷却のための空気と反応のための空気が流れるようにすることができる。このとき、前記セパレータ接触端11は、図3に示すように、カソードセパレータB1の突出部B11の側面に接触するように設けられ、セパレータBの電流が支持部1を介して流れるようにすることができる。
【0035】
また、前記セパレータ接触端11は、図4に示すように、下側に折り曲げられる折曲端111が設けられるようにして、カソードセパレータB1の平板部B13に接触するように設けられることができる。このような場合、単セルの積層によって支持部1が押されてセパレータ接触端11とカソードセパレータB1との接触がより安定して維持されるようにすることができる。
【0036】
また、前記セパレータ接触端11は、図5に示すように上下側に分離され、弾性を有する素材で形成される弾性分離端113を含むようにすることができ、弾性分離端113が押されながら、アノードセパレータB3及びカソードセパレータB1の平板部B13に接触するようにすることができる。このような場合、セパレータ接触端11の形成は、図3及び図4に比べて多少複雑な部分があるが、弾性分離端113の弾性によってアノードセパレータB3及びカソードセパレータB1に接触するようにすることにより、より安定した接触を維持するようにすることができる。
【0037】
前記測定接触端13は、セパレータ接触端11とは反対側に設けられ、電圧を測定するための回路に接続される構成であって、安定且つ容易な接触が行われるようにするために、図6に示すように内側に陥入する凹端131が設けられるようにするか、或いは外側に突出する凸端133が設けられるようにすることができる。前記測定接触端13の回路側接触部の形状に応じて、凹端131又は凸端133に容易に接触させて電圧の測定が行われるようにすることができ、安定的に接触した状態を維持するようにすることができる。
【0038】
前記圧縮部3は、支持部1の両側に設けられる構成であって、シリコン、EPDM(ethylene propylene diene monomer)など、弾性を有するソフトな素材で形成されることができる。したがって、前記圧縮部3は、ガスケット全体が弾性を有するようにしながらも、それらの間には、一定の厚さの硬化した素材を有する支持部1を形成するようにすることにより、ガスケットの変形を防止し且つ製造歩留まりを高めることができるようにする。
【0039】
以上、出願人は、本発明の様々な実施形態を説明したが、これらの実施形態は、本発明の技術的思想を実現する一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を実現する限り、如何なる変更例又は修正例も本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0040】
1 支持部
11 セパレータ接触端
111 折曲端
113 弾性分離端
13 測定接触端
131 凹端
133 凸端
3 圧縮部
B セパレータ
B1 カソードセパレータ
B11 突出部
B13 平板部
B3 アノードセパレータ
100 ガスケット
101 流路
200 セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】