(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システムおよびその調整方法
(51)【国際特許分類】
F24D 10/00 20220101AFI20231221BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20231221BHJP
F24H 15/242 20220101ALI20231221BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20231221BHJP
F24H 15/31 20220101ALI20231221BHJP
【FI】
F24D10/00
F24H15/238
F24H15/242
F24H15/219
F24H15/31
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574448
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 CN2021143346
(87)【国際公開番号】W WO2023123276
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111629309.3
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111626239.6
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522469497
【氏名又は名称】華電電力科学研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUADIAN ELECTRIC POWER RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10,Xiyuan 1st Road,Sandun Town,Xihu District,Hangzhou,Zhejiang 310000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 新勇
(72)【発明者】
【氏名】鄭 立軍
(72)【発明者】
【氏名】金 晶
(72)【発明者】
【氏名】鞠 浩然
(72)【発明者】
【氏名】何 暁紅
(72)【発明者】
【氏名】李 成▲レイ▼
(72)【発明者】
【氏名】呉 暢
(72)【発明者】
【氏名】梁 詩雨
(57)【要約】
本発明は熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システムおよびその調整方法に関し、熱供給網は加熱ネットワークヒータと、加熱ステーション、循環水ポンプ、一次ネットワーク還水管と、一次ネットワーク給水管とを含み、一次ネットワーク還水管と一次ネットワーク給水管の間に加熱ネットワーク水支路が設けられ、加熱ネットワーク水支路ラインに過熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量と圧力を調整する調整アセンブリが設けられ、既存の熱供給網を利用して蓄熱と熱放出機能を実現する。コージェネレーションユニットの熱供給システムに対して、既存の巨大な熱供給網の蓄熱能力を十分に利用して、コージェネレーションユニットの電力ピーク調整能力を増加し、新たに蓄熱装置を建設する巨額の投資コストを節約する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱供給網を含み、上記の熱供給網は、加熱ネットワークヒータと、加熱ステーションと、循環水ポンプと、一次ネットワーク還水管と一次ネットワーク給水管を含み、上記の加熱ネットワークヒータは上記の一次ネットワーク還水管と上記の一次ネットワーク給水管を通して上記の加熱ステーションの一次ネットワー側に接続され、上記の加熱ステーションの数はnであり(n≧1)、加熱ネットワーク水は上記の循環水ポンプにより駆動され、上記の加熱ネットワークヒータと、上記の加熱ステーションと、上記の一次ネットワーク還水管と上記の一次ネットワーク給水管との間に流れ、
ここで、加熱ネットワーク水支路は、上記の一次ネットワーク給水管と上記の一次ネットワーク還水管の間に配置され、上記の加熱ネットワーク水支路に、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量と圧力を調整する調整アセンブリが設けられ、上記の調整アセンブリは第1の温度・圧力流量測定機器と、減圧装置と第1の調整弁を含み、上記の第1の温度・圧力・流量測定機器と、上記の減圧装置と上記の第1の調整弁は水流の方向に沿って上記の加熱ネットワーク水支路に順次に配置され、上記の加熱ネットワーク水支路と上記の一次ネットワーク還水管を接続する接続部で、上記の一次ネットワーク還水管の水流方向の上流位置に圧力測定機器が設けられ、
上記の加熱ネットワークヒータの水出口に、加熱ネットワーク水の給水流量を調整する水出口調整弁が設けられ、上記の加熱ネットワークヒータの水入口に、加熱ネットワーク水の還水流量を調整する水入口調整弁が設けられ、
上記の加熱ネットワークヒータは、上記の熱供給網が蓄熱している際に、供給熱量を増加させ、加熱ネットワーク水の給水温度および/または給水流量を増加させ、および、上記の熱供給網が熱放出している際に、供給熱量を減少させ、加熱ネットワーク水の給水温度および/または給水流量を減少させるために用いられ、
上記の第1の調整弁は、上記の熱供給網が蓄熱と熱放出とをしなくて常閉状態としている場合に、上記の加熱ネットワーク水支路の加熱ネットワーク水流量をゼロにさせ、蓄熱している際に、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を徐々に増加させるように、調整可能に開放し、熱放出している際に、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を徐々に減少させるように、調整可能に閉じるために用いられ、
上記の減圧装置は、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水を、上記の圧力測定機器と同程度の圧力まで減圧して、上記の一次ネットワーク還水管に送り戻すことを特徴とする熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システム。
【請求項2】
上記の加熱ステーションは、上記の一次ネットワーク給水管と接続する水入口管回路に第2の調整弁と第2の温度・圧力・流量測定機器が設けられ、上記の加熱ステーションは上記の一次ネットワーク還水管と接続する水出口管回路に第3の調整弁と温度・圧力測定機器が設けられ、
上記の第2の調整弁と上記の第3の調整弁は、上記の熱供給網が蓄熱する際、および上記の加熱ネットワークヒータが加熱ネットワーク水の給水温度を増加させる際に、上記の加熱ステーションに入る加熱ネットワーク水の流量を減少させ、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量を増加させるように調整可能に閉じることに用いられ、または、上記の熱供給網が熱放出する際、および上記の加熱ネットワークヒータが加熱ネットワーク水の給水温度を下げる際に、上記の加熱ステーションに入る加熱ネットワーク水の流量を増加させ、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量を減少させるように、調整可能に開放することに用いられることを特徴とする請求項1に記載の熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システム。
【請求項3】
補給水アセンブリをさらに備え、上記の補給水アセンブリは、一次ネットワーク補給水管と、補給水ポンプと、第4の調整弁と第3の温度・圧力・流量測定機器を含み、上記の第3の温度・圧力・流量測定機器と、上記の補給水ポンプと上記の第4の調整弁は、上記の一次ネットワーク補給水管に水流方向に沿って順次に設けられ、上記の一次ネットワーク補給水管は上記の一次ネットワーク還水管に接続され、
上記の一次ネットワーク補給水管と上記の一次ネットワーク還水管を接続する接続部で上記の一次ネットワーク還水管の水流方向の上流位置に第4の温度・圧力・流量測定機器が設けられ、上記の第4の調整弁は、上記の第4の温度・圧力・流量測定機器が上記の一次ネットワーク還水管内の圧力が特定圧力より低いことを検出した場合に開き、または、上記の第4の温度・圧力・流量測定機器が上記の一次ネットワーク還水管内の圧力が特定圧力より低くないことを検出した場合に、閉じ、
上記の加熱ネットワークヒータの水出口に第5の温度・圧力・流量測定機器が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システム。
【請求項4】
上記の加熱ネットワーク水支路は、第jの加熱ステーションに設けられ(1≦j≦n)、上記の圧力測定機器が第jの加熱ステーションの上記の一次ネットワーク還水管に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システム。
【請求項5】
上記の加熱ネットワーク水支路が第jの加熱ステーションに設けられているそのjは次の方法に従って算出され、
上記の循環水ポンプの設計流量G
o(単位:t/h)に応じて、熱供給網の最大の加熱ネットワーク水流量G
rを決定し、G
r=G
o、
コージェネレーションユニットが電力ピーク負荷調整をしている際に必要とする蓄熱量に応じて、熱供給網が必要とする最小の蓄熱量Q
min(単位:GJ)を決定し、
暖房期間に各々の上記の加熱ステーションが必要とする最大の熱供給負荷W
i(単位:GJ/h、1≦i≦n)と、上記の熱供給網の加熱ネットワーク水の給水温度と環水温度と間の最大の温度差に基づいて、暖房期間に各々の上記の加熱ステーションが必要とする最小の加熱ネットワーク水流量G
i
ステーション(単位:t/h、1≦i≦n)を決定し、上記の熱供給網の加熱ネットワーク水の給水温度と加熱ネットワーク還水温度は、それぞれT
01(単位:℃)とT
02(単位:℃)であり、
【数13】
暖房期間に各々の加熱ステーションが必要とする最小の加熱ネットワーク水流量G
i
ステーションと熱供給網の最大の加熱ネットワーク水流量G
rに応じて、暖房期間に蓄熱に使用できる熱供給網の最大の加熱ネットワーク水流量G
sを決定し、
【数14】
循環水ポンプの設計揚程H
0(単位:m)と、暖房期間に熱供給網の各加熱ステーションに接続する異なる管セクションの抵抗損失によって、jの最大許容値A
maxを決定し、
熱供給網が必要とする最小の蓄熱量によって、jの最小の許容値B
minを決定し、
jの最終値は以下の関係式によって決定され、
B
min≧A
maxの場合、jの最終値はA
maxとし、
B
min<A
maxの場合、例えばこのとき、熱供給網の熱損失率と漏水損失率を無視できれば、jの最終値はA
maxとし、このとき熱供給網の熱損失率と漏水損失率は無視できなければ、jの最終値はB
minとすることを特徴とする請求項4に記載の熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システムことを特徴とする請求項4に記載の熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システム。
【請求項6】
循環水ポンプの設計揚程H
0(単位:m)と暖房期間に各加熱ステーションに接続する熱供給網の異なる管セクションの抵抗損失率に従って、jの最大許容値A
maxを決定する計算式は次の通りで、
各加熱ステーションに接続する異なる配管セクションにおける加熱ネットワーク水の流量G
x
ステーションを計算する公式が、
【数15】
であり、
各加熱ステーションに接続する異なる管セクションの経路に沿った抵抗損失R
x(単位:Pa/m)を計算する公式は、
【数16】
であり、
暖房期間に熱供給網の総圧力損失を計算次する公式が、
【数17】
であり、
循環水ポンプの設計揚程H
0と暖房期間に熱供給網の総圧力損失を比較して、以下の関係式:10×H
0≧0.002×P
zによると、jの最大の許容値A
maxが得られ、
ここで、循環水ポンプの設計揚程H
0が既知パラメータであり、K(単位:m)が熱供給網の等価絶対粗さであり、φ(単位:%)が熱供給網の局部抵抗相当長の割合であり、L
i(単位:m、1≦i≦n)が各加熱ステーションに接続する熱供給網の管セクションの長さであり、D
i(単位:m、1≦i≦n)は各加熱ステーションに接続する熱供給網の管セクションの直径であり、ρ(単位:kg/m
3)が加熱ネットワーク水の密度であることを特徴とする請求項5に記載の熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システム。
【請求項7】
熱供給網が必要とする最小の蓄熱量によって、jの最小の許容値B
minを決定する計算式が次の通りで、
熱供給網の設計上の蓄熱量の計算式が
【数18】
であり、
ここで、関係式Q
e≧Q
minによって、jの最小値B
minを算出し、ρ(単位:kg/m
3)が加熱ネットワーク水の密度であり、C(単位:J/(kg・℃))が加熱ネットワーク水の比熱容量であることを特徴とする請求項5に記載の熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システム。
【請求項8】
上記の熱供給網が蓄熱も熱放出もしないときに、上記の第1の調整弁は常閉状態となり、上記の加熱ネットワーク水支路における加熱ネットワーク水流量がゼロとし、上記の加熱ネットワークヒータから送られた加熱ネットワーク水は上記の一次ネットワーク給水管を介して上記の加熱ステーションに送られ、その後一次ネットワーク還水管を介して上記の加熱ネットワークヒータに送られるというサイクルを持続に行い、
上記の熱供給網が蓄熱するときに、上記の加熱ネットワークヒータの熱供給量を増加させ、加熱ネットワーク水の給水温度および/または給水流量を増加させるように、上記の第1の調整弁を調節可能に開くように制御して、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水量を徐々に増加させ、上記の減圧装置によって上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水を減圧し、上記の圧力測定機器の圧力と一致するまで減圧した後、上記の一次ネットワーク還水管を介して上記の加熱ネットワークヒータに送り、
上記の熱供給網が熱放出するときに、上記の加熱ネットワークヒータの熱供給量を減少させ、加熱ネットワーク水の給水温度および/または給水流量を減少させるよう、上記の第1の調整弁が調整可能に閉じるように制御して、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水量を徐々に減少させることを特徴とする請求項1から7の任意の一つに記載の配管網の蓄熱システムを採用する熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱調整方法。
【請求項9】
上記の加熱ステーションは、上記の一次ネットワーク給水管に接続する水入口管回路に第2の調整弁と第2の温度・圧力・流量測定機器を備え、上記の一次ネットワーク還水管に接続する水出口支路に第3の調整弁と温度・圧力測定機器を備え、
上記の熱供給網が蓄熱するときに、上記の加熱ネットワークヒータの熱供給量を増加させ、加熱ネットワーク水の給水温度を増加させるよう、上記の第2の調整弁と上記の第3の調整弁が調整可能に閉じるように制御して、その結果、各々の上記の加熱ステーションに入る加熱ネットワーク水流量が減少し、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水量が増加し、
上記の熱供給網が熱放出するときに、上記の加熱ネットワークヒータの熱供給量を減少させ、加熱ネットワーク水の給水温度を低下させるよう、上記の第2の調整弁と上記の第3の調整弁が開放するように調整可能に制御して、その結果、各々の上記の加熱ステーションに入る加熱ネットワーク水流量が増加し、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水流量が減少することを特徴とする請求項8に記載の熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱調整方法。
【請求項10】
方法はさらに補給水プロセスを含み、
補給水アセンブリを含み、上記の補給水アセンブリが一次ネットワーク補給水管と、補給水ポンプと、第4の調整弁と、第3の温度・圧力・流量測定機器とを含み、上記の第3の温度・圧力・流量測定機器と、上記の補給水ポンプと、上記の第4の調整弁は上記の一次ネットワーク補給水管に水流方向に沿って順次に設けられ、上記の一次ネットワーク補給水管と上記の一次ネットワーク還水管を接続する接続部において上記の一次ネットワーク還水管の水流方向の上流位置に第4の温度・圧力・流量測定機器が設けられ、
上記の第4の温度・圧力・流量測定機器によって得られた圧力データに基づいて、上記の一次ネットワーク還水管内の圧力が設定圧力より低い場合、上記の第4の調整弁が開き、上記の補給水ポンプが一次ネットワーク還水管に対して補給水を行い、上記の一次ネットワーク還水管内の圧力が設定圧力より低くない場合、上記の第4の調整弁が閉じ、上記の補給水ポンプが補給水を停止することを特徴とする請求項8に記載の熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セントラルヒーティングの技術分野に関し、特に、熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システムおよびその調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コージェネレーションは、電力・熱産業におけるエネルギーの効率的かつクリーンな利用方法として、世界における火力発電開発の重要な手段となっており、中国の重点省エネプロジェクトやクリーンな熱供給の主要手段に含まれている。近年、新エネルギー発電の急速な発展により、火力発電に対して電力ピーク負荷の調整要求が厳しくなってくる。しかし、熱負荷で電力を決定する従来のコージェネレーション(熱電併給)ユニットの運転モードでは、火力発電の柔軟な調整が厳しく制限され、熱供給と電力のピーク負荷調整の間で深刻な対立が起きてしまう。
【0003】
現在、熱電併給システムの効率低下に対する従来の解決策は、蓄熱設備を追加することであり、蓄熱技術により、ユニットが高負荷時に余剰な熱を蓄えて、ピーク負荷調整が困難な際に蓄熱設備を利用して外部に熱を供給し、発電負荷の低下によるコージェネレーションユニットの熱を供給する能力の不足を補い、コージェネレーションユニットの電力ピーク調整能力を向上させる。しかし、この方法では、企業の建設投資コストを大きく増加する。
【0004】
既存の特許「地域熱供給ネットワークにおける蓄熱および熱放出のためのバランス調整方法及び熱供給システム」(出願番号:CN2021102941283)は、地域熱供給ネットワークを利用して熱を蓄えるものであり、巨大な熱供給網が天然の蓄熱装置であり、熱供給網を利用して熱を蓄えることにより、コージェネレーションユニットのピーク負荷調整能力を高めれば、巨額の建設投資コストを節約でき、経済性は顕著である。しかし、この技術によれば、熱供給システムの加熱ステーションの数が多すぎる場合、加熱ネットワーク水支路およびバルブなどの関連施設を大量に追加する必要があり、建設投資コストがある程度も高くなるほか、調整も複雑で、正確に熱供給をすることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術における欠点を克服する熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システムおよびその調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を採用し、
熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システムは熱供給網を含み、上記の熱供給網は、加熱ネットワークヒータと、加熱ステーションと、循環水ポンプと、一次ネットワーク還水管と一次ネットワーク給水管を含み、上記の加熱ネットワークヒータは上記の一次ネットワーク還水管と上記の一次ネットワーク給水管を通して上記の加熱ステーションの一次ネットワー側に接続され、上記の加熱ステーションの数はnであり(n≧1)、加熱ネットワーク水は上記の循環水ポンプにより駆動され、上記の加熱ネットワークヒータと、上記の加熱ステーションと、上記の一次ネットワーク還水管と上記の一次ネットワーク給水管との間に流れ、
ここで、加熱ネットワーク水支路は、上記の一次ネットワーク給水管と上記の一次ネットワーク還水管の間に配置され、上記の加熱ネットワーク水支路に、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量と圧力を調整する調整アセンブリが設けられ、上記の調整アセンブリは第1の温度・圧力流量測定機器と、減圧装置と第1の調整弁を含み、上記の第1の温度・圧力・流量測定機器と、上記の減圧装置と上記の第1の調整弁は水流の方向に沿って上記の加熱ネットワーク水支路に順次に配置され、上記の加熱ネットワーク水支路と上記の一次ネットワーク還水管を接続する接続部で、上記の一次ネットワーク還水管の水流方向の上流位置に圧力測定機器が設けられ、
上記の加熱ネットワークヒータの水出口に、加熱ネットワーク水の給水流量を調整する水出口調整弁が設けられ、上記の加熱ネットワークヒータの水入口に、加熱ネットワーク水の還水流量を調整する水入口調整弁が設けられ、
上記の加熱ネットワークヒータは、上記の熱供給網が蓄熱している際に、供給熱量を増加させ、加熱ネットワーク水の給水温度および/または給水流量を増加させ、および、上記の熱供給網が熱放出している際に、供給熱量を減少させ、加熱ネットワーク水の給水温度および/または給水流量を減少させるために用いられ、
上記の第1の調整弁は、上記の熱供給網が蓄熱と熱放出とをしなくて常閉状態としている場合に、上記の加熱ネットワーク水支路の加熱ネットワーク水流量をゼロにさせ、蓄熱している際に、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を徐々に増加させるように、調整可能に開放し、熱放出している際に、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を徐々に減少させるように、調整可能に閉じるために用いられ、
上記の減圧装置は、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水を、上記の圧力測定機器と同程度の圧力まで減圧して、上記の一次ネットワーク還水管に送り戻す。
【0007】
好ましくは、上記の加熱ステーションは、上記の一次ネットワーク給水管と接続する水入口管回路に第2の調整弁と第2の温度・圧力・流量測定機器が設けられ、上記の加熱ステーションは上記の一次ネットワーク還水管と接続する水出口管回路に第3の調整弁と温度・圧力測定機器が設けられ、
上記の第2の調整弁と上記の第3の調整弁は、上記の熱供給網が蓄熱する際、および上記の加熱ネットワークヒータが加熱ネットワーク水の給水温度を増加させる際に、上記の加熱ステーションに入る加熱ネットワーク水の流量を減少させ、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量を増加させるように調整可能に閉じることに用いられ、または、上記の熱供給網が熱放出する際、および加熱ネットワークヒータが加熱ネットワーク水の給水温度を下げる際に、上記の加熱ステーションに入る加熱ネットワーク水の流量を増加させ、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量を減少させるように、調整可能に開放することに用いられる。
【0008】
好ましくは、システムは補給水アセンブリをさらに備え、上記の補給水アセンブリは、一次ネットワーク補給水管と、補給水ポンプと、第4の調整弁と第3の温度・圧力・流量測定機器を含み、上記の第3の温度・圧力・流量測定機器と、上記の補給水ポンプと上記の第4の調整弁は、上記の一次ネットワーク補給水管に水流方向に沿って順次に設けられ、上記の一次ネットワーク補給水管は上記の一次ネットワーク還水管に接続され、
上記の一次ネットワーク補給水管と上記の一次ネットワーク還水管を接続する接続部で上記の一次ネットワーク還水管の水流方向の上流位置に第4の温度・圧力・流量測定機器が設けられ、上記の第4の調整弁は、上記の第4の温度・圧力・流量測定機器が上記の一次ネットワーク還水管内の圧力が特定圧力より低いことを検出した場合に開き、または、上記の第4の温度・圧力・流量測定機器が上記の一次ネットワーク還水管内の圧力が特定圧力より低くないことを検出した場合に、閉じ、
上記の加熱ネットワークヒータの水出口に第5の温度・圧力・流量測定機器が設けられている。
【0009】
好ましくは、上記の加熱ネットワーク水支路は、第jの加熱ステーションに設けられ(1≦j≦n)、上記の圧力測定機器が第jの加熱ステーションの上記の一次ネットワーク還水管に配置されている。
好ましくは、上記の加熱ネットワーク水支路が第jの加熱ステーションに設けられているそのjは次の方法に従って算出され、
上記の循環水ポンプの設計流量G
o(単位:t/h)に応じて、熱供給網の最大の加熱ネットワーク水流量G
rを決定し、G
r=G
oであり、
コージェネレーションユニットが電力ピーク負荷調整をしている際に必要とする蓄熱量に応じて、熱供給網が必要とする最小の蓄熱量Q
min(単位:GJ)を決定し、
暖房期間に各々の上記の加熱ステーションが必要とする最大の熱供給負荷W
i(単位:GJ/h、1≦i≦n)と、上記の熱供給網の加熱ネットワーク水の給水温度と環水温度と間の最大の温度差に基づいて、暖房期間に各々の上記の加熱ステーションが必要とする最小の加熱ネットワーク水流量G
i
ステーション(単位:t/h、1≦i≦n)を決定し、上記の熱供給網の加熱ネットワーク水の給水温度と加熱ネットワーク還水温度は、それぞれT
01(単位:℃)とT
02(単位:℃)であり、
【数1】
暖房期間に各々の加熱ステーションが必要とする最小の加熱ネットワーク水流量G
i
ステーションと熱供給網の最大の加熱ネットワーク水流量G
rに応じて、暖房期間に蓄熱に使用できる熱供給網の最大の加熱ネットワーク水流量G
sを決定し、
【数2】
循環水ポンプの設計揚程H
0(単位:m)と、暖房期間に熱供給網の各加熱ステーションに接続する異なる管セクションの抵抗損失によって、jの最大許容値A
maxを決定し、
熱供給網が必要とする最小の蓄熱量によって、jの最小の許容値B
minを決定し、
jの最終値は以下の関係式によって決定され、
B
min≧A
maxの場合、jの最終値はA
maxとし、
B
min<A
maxの場合、例えばこのとき、熱供給網の熱損失率と漏水損失率を無視できれば、jの最終値はA
maxとし、このとき熱供給網の熱損失率と漏水損失率は無視できなければ、jの最終値はB
minとする。
【0010】
好ましくは、循環水ポンプの設計揚程H
0(単位:m)と暖房期間に各加熱ステーションに接続する熱供給網の異なる管セクションの抵抗損失率に従って、jの最大許容値A
maxを決定する計算式は次の通りで、
各加熱ステーションに接続する異なる配管セクションにおける加熱ネットワーク水の流量G
x
ステーションを計算する公式が、
【数3】
であり、
各加熱ステーションに接続する異なる管セクションの経路に沿った抵抗損失R
x(単位:Pa/m)を計算する公式は、
【数4】
であり、
暖房期間に熱供給網の総圧力損失を計算次する公式が、
【数5】
であり、
循環水ポンプの設計揚程H
0と暖房期間に熱供給網の総圧力損失を比較して、以下の関係式:10×H
0≧0.002×P
zによると、jの最大の許容値A
maxが得られ、
ここで、循環水ポンプの設計揚程H
0が既知パラメータであり、K(単位:m)が熱供給網の等価絶対粗さであり、φ(単位:%)が熱供給網の局部抵抗相当長の割合であり、L
i(単位:m、1≦i≦n)が各加熱ステーションに接続する熱供給網の管セクションの長さであり、D
i(単位:m、1≦i≦n)は各加熱ステーションに接続する熱供給網の管セクションの直径であり、ρ(単位:kg/m
3)が加熱ネットワーク水の密度である。
【0011】
好ましくは、熱供給網が必要とする最小の蓄熱量によって、jの最小の許容値B
minを決定する計算式が次の通りで、
熱供給網の設計上の蓄熱量の計算式が
【数6】
であり、
ここで、関係式Q
e≧Q
minによって、jの最小値B
minを算出し、ρ(単位:kg/m
3)が加熱ネットワーク水の密度であり、C(単位:J/(kg・℃))が加熱ネットワーク水の比熱容量である。
【0012】
上記の目的を実現するために、本発明はさらに以下の解決案を採用し、
熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱の調整方法であり、上記の配管網の蓄熱システムを採用し、以下の方法を含み、
上記の熱供給網が蓄熱も熱放出もしないときに、上記の第1の調整弁は常閉状態となり、上記の加熱ネットワーク水支路における加熱ネットワーク水流量がゼロとし、上記の加熱ネットワークヒータから送られた加熱ネットワーク水は上記の一次ネットワーク給水管を介して上記の加熱ステーションに送られ、その後一次ネットワーク還水管を介して上記の加熱ネットワークヒータに送られるというサイクルを持続に行い、
上記の熱供給網が蓄熱するときに、上記の加熱ネットワークヒータの熱供給量を増加させ、加熱ネットワーク水の給水温度および/または給水流量を増加させるように、上記の第1の調整弁を調節可能に開くように制御して、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水量を徐々に増加させ、上記の減圧装置によって上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水を減圧し、上記の圧力測定機器の圧力と一致するまで減圧した後、上記の一次ネットワーク還水管を介して上記の加熱ネットワークヒータに送り、
上記の熱供給網が熱放出するときに、上記の加熱ネットワークヒータの熱供給量を減少させ、加熱ネットワーク水の給水温度および/または給水流量を減少させるよう、上記の第1の調整弁が調整可能に閉じるように制御して、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水量を徐々に減少させる。
【0013】
好ましくは、上記の加熱ステーションは、上記の一次ネットワーク給水管に接続する水入口管回路に第2の調整弁と第2の温度・圧力・流量測定機器を備え、上記の一次ネットワーク還水管に接続する水出口支路に第3の調整弁と温度・圧力測定機器を備え、
上記の熱供給網が蓄熱するときに、上記の加熱ネットワークヒータの熱供給量を増加させ、加熱ネットワーク水の給水温度を増加させるよう、上記の第2の調整弁と上記の第3の調整弁が調整可能に閉じるように制御して、その結果、各々の上記の加熱ステーションに入る加熱ネットワーク水流量が減少し、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水量が増加し、
上記の熱供給網が熱放出するときに、上記の加熱ネットワークヒータの熱供給量を減少させ、加熱ネットワーク水の給水温度を低下させるよう、上記の第2の調整弁と上記の第3の調整弁が開放するように調整可能に制御して、その結果、各々の上記の加熱ステーションに入る加熱ネットワーク水流量が増加し、上記の加熱ネットワーク水支路を通過して流れる加熱ネットワーク水流量が減少する。
【0014】
好ましくは、方法はさらに補給水プロセスを含み、
補給水アセンブリを含み、上記の補給水アセンブリが一次ネットワーク補給水管と、補給水ポンプと、第4の調整弁と、第3の温度・圧力・流量測定機器とを含み、上記の第3の温度・圧力・流量測定機器と、上記の補給水ポンプと、上記の第4の調整弁は上記の一次ネットワーク補給水管に水流方向に沿って順次に設けられ、上記の一次ネットワーク補給水管と上記の一次ネットワーク還水管を接続する接続部において上記の一次ネットワーク還水管の水流方向の上流位置に第4の温度・圧力・流量測定機器が設けられ、
上記の第4の温度・圧力・流量測定機器によって得られた圧力データに基づいて、上記の一次ネットワーク還水管内の圧力が設定圧力より低い場合、上記の第4の調整弁が開き、上記の補給水ポンプが一次ネットワーク還水管に対して補給水を行い、上記の一次ネットワーク還水管内の圧力が設定圧力より低くない場合、上記の第4の調整弁が閉じ、上記の補給水ポンプが補給水を停止する。
【0015】
既存の技術と比べて、本発明による有益効果が以下の通りで、本発明による配管網の蓄熱システムおよび調整方法は、一次ネットワーク給水管と一次ネットワーク還水管の間に接続する加熱ネットワーク水支路を利用して、適切な時間に加熱ステーションを通過して流れる加熱ネットワーク水流量と加熱ネットワーク水温度を変化させ、配管網を利用して蓄熱機能を実現する。コージェネレーションユニット熱供給システムに対して、既存の巨大な熱供給網の蓄熱能力をフルに活力して、コージェネレーションユニットのピーク負荷調整能力を高め、新たな蓄熱装置を建設する巨大な投資コストを節約できるほか、蓄熱処理中に、加熱ネットワーク水支路を通じて、一部の加熱ネットワーク水が加熱ステーションを通過せず、直接に一次ネットワーク還水管に戻りえ、熱供給システムの圧力損失を低減し、循環水ポンプの電力消費も有効に節約でき、蓄熱熱放出処理中、加熱ネットワーク水支路における加熱ネットワーク水流量を調整することにより、各加熱ステーションが必要とする加熱ネットワーク水流量を確保し、既存の熱供給網の蓄熱能力を十分に発揮できるとともに、各加熱ステーションの熱供給の需要も効果的に確保することができる。
【0016】
本発明の実施形態または従来技術における技術案をより明確に説明するために、以下では、特定の実施形態または従来技術の説明で使用される必要がある付図について、簡単に説明する。付図は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者にとっては、何ら工夫することなく、これらの付図に基づいて他の図を得ることができることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は本発明による実施形態に係る配管網の蓄熱システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、付図を参照しながら本発明を詳しく説明するが、説明された実施例がただ本発明の一部しかないものであり、本発明のすべての実施例ではないことは明らかである。本発明の実施例に基づいて、当業者は創造的な努力なしで得られたすべての他の実施例は、全部本発明の保護範囲内に属する。
【0019】
本発明の説明において、「中央」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「裏側」、「外側」などの用語によって示される方向や位置関係は付図に基づく向きや位置関係であり、本発明を容易に説明するだけのため、言及される装置または要素が特定の向きを有し、特定の向きで構成されて、作業しなければならないことを示すまたは示唆するものではなく、それで、本発明の制限として理解すべきではない。また、「第1」、「第2」、「第3」はただ説明的な目的として使用され、相対的な重要性を示したり示唆したりするものとしては理解すべきではない。
【0020】
本発明の説明において、「設けられた」、「設けられ」および「接続された」という用語は、特に明示的に指定および限定されない限り、広い意味で理解されるべきであること。例えば、それは固定接続、取り外し可能な接続、一体化接続であってもいい、または、機械的接続、電気的接続、直接接続、中間媒体を介した間接接続、2つの要素の間の内部つながるなどであってもいい。当業者にとって、本発明における上記の用語の特定の意味を特定の状況で理解することができるべきである。
【0021】
図1に示すように、本発明は熱供給網の給水主管と還水主管に直列に接続する配管網の蓄熱システムを提供し、熱供給網を含み、加熱ネットワーク水が熱供給網を通過して流れ、熱供給網は加熱ネットワークヒータ1と、加熱ステーション2と、循環水ポンプ3と、一次ネットワーク還水管4と、一次ネットワーク給水管5と含み、加熱ネットワークヒータ1は一次ネットワーク還水管4と一次ネットワーク給水管5を介して加熱ステーション2の一次ネットワーク側に接続され、加熱ステーション2の数がnであり、n≧1、循環水ポンプ3は加熱ネットワーク水を駆動して、加熱ネットワークヒータ1と、加熱ステーション2と、一次ネットワーク還水管4と、一次ネットワーク給水管5との間を移動させる。
【0022】
具体的には、加熱ネットワークヒータ1は熱供給量を提供し、循環水ポンプ3は加熱ネットワーク水の流れを駆動し、一次ネットワーク給水管5は加熱ネットワークヒータ1と加熱ステーション2の水入口に接続され、高圧高温のネットワーク水を加熱ステーション2に送り、一次ネットワーク還水管4は加熱ステーション2の水出口と加熱ネットワークヒータ1に接続され、冷却および減圧された加熱ネットワーク水を加熱ネットワークヒータ1に送り、循環水ポンプ3により加圧し、加熱ネットワークヒータ1に流れ込むように駆動し、加熱したら、また加熱ステーション2に送るというようなサイクルをする。
【0023】
コージェネレーション熱供給システムにおいて、巨大な熱供給網は天然の蓄熱設備に相当するが、加熱ネットワークヒータ1の給水温度を増加することによって熱供給網の蓄熱能力を発揮する際に、給水温度が増加して、加熱ネットワークヒータ1から送られた総熱量も増加する一方、加熱ネットワークヒータ1から送られた加熱ネットワーク水はまず加熱ステーション2を通過して熱交換されてからまた加熱ネットワークヒータ1に戻り、このとき加熱ネットワークヒータ1によって供給された余剰な熱が熱力ステー所2に入った後、ほとんど加熱ステーション2で吸収され、外部に供給され、熱供給網に保存されていなく、その結果、加熱ステーション2が過剰な熱量を供給し、無駄なエネルギーを消費することになる。
【0024】
一方、本発明による配管網の蓄熱システムにおいて、一次ネットワーク還水管5と一次ネットワーク給水管4の間に加熱ネットワーク水支路6が設けられ、加熱ネットワーク水支路6に加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量と圧力を調整する調整アセンブリが設けられている。本発明の実施例は、加熱ネットワーク水支路6を設けることにより、加熱ネットワークヒータ1から送られた余剰な熱量が加熱ステーション2を通過せず、加熱ネットワーク水支路6を介して一次ネットワーク還水管4に送られた、その結果、加熱ネットワークヒータ1から送られた余剰な熱量が一次ネットワーク給水管5と一次ネットワーク還水管4の間に蓄えられることを実現し、熱供給網の蓄熱能力を有効に利用することができる。
【0025】
具体的には、調整アセンブリは第1の温度・圧力・流量測定機器61と、減圧装置63と、第1の調整弁62とを含み、第1の温度・圧力・流量測定機器61と減圧装置63は水流方向に沿って加熱ネットワーク水支路6に順次に設けられている。第1の温度・圧力・流量測定機器61は、加熱ネットワーク水支路6に流入する加熱ネットワーク水の温度、圧力、流量を測定して、加熱ネットワーク水支路6を通過する加熱ネットワーク水の熱量を算出することに用いられる。第1の調整弁62は、加熱ネットワーク水支路6内の加熱ネットワーク水の流量を調節することに用いられ、蓄熱も熱放出もしないときに、加熱ネットワーク水支路6内の流量をゼロとするように、常閉状態とし、蓄熱時には、加熱ネットワーク水支路6を通過する加熱ネットワーク水流量を増加させるように、調整可能に開くこととし、熱放出時には、加熱ネットワーク水支路6を通過する加熱ネットワーク水流量を減少させるように、調整可能に閉じることとする。第1の調整弁62の開度制御方法は、加熱ネットワークヒータ1の熱供給量から各加熱ステーション2に流入する熱量を差し引いたものが加熱ネットワーク水支路6を通過する熱量であり、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる必要な熱量に応じて、第1の調整弁62の開度を調整すること、加熱ネットワークヒータ1による熱供給量と加熱ステーション2が必要とする熱量は、いずれも既知のパラメータである。蓄熱時に、第1の調整弁62の開度を大きくして、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を増加させ、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量が最大設定値となる必要がある場合に、全開にすることができる。熱放出時に、第1の調整弁62の開度を下げ、熱供給網に蓄えられた熱を完全に放出する必要がある場合には、加熱水支路6を通過する加熱ネットワーク水の流量をゼロとなるまで減少させるよう、第1調整弁62の開度を最小に下げ、第1調整弁62を完全に閉じることができ、熱供給網に蓄えられた熱を完全に放出する必要がない場合に、加熱ネットワーク水支路6を通過する加熱ネットワーク水の流量を設定値まで減少させるよう、第1の調整弁1の開度を適切に下げることができる。
【0026】
圧力測定機器41は、加熱ネットワーク水支路6と一次ネットワーク還水管4を接続する接続部で水流方向の上流位置に設けられ、一次ネットワーク還水管4内の加熱ネットワーク水の圧力を検出するために用いられ、減圧装置63は、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる高温高圧の加熱ネットワーク水の圧力を、圧力測定機器41の圧力と同程度まで減圧し、その結果、加熱ネットワーク水が安定に一次ネットワーク還水管4に戻り、ひいては加熱ネットワークヒータ1に戻ることができることに用いられる。減圧装置63は、絞り減圧弁と、噴射減圧機器などとを含む。
【0027】
本実施例の配管網の蓄熱調整方法は以下の通りである。
【0028】
熱供給網が蓄熱も熱放出もしない場合、第1の調整弁62は常閉状態となり、加熱ネットワーク水支路6の流量がゼロとなり、加熱ネットワークヒータ1から送られた加熱ネットワーク水は、一次ネットワーク給水管5を通過して加熱ステーション2に流れ込み、一次ネットワーク還水管4を通過して加熱ネットワークヒータ1に流れ込むようなサイクルを持続に行い、
【0029】
熱供給網が蓄熱時に、加熱ネットワークヒータ1の熱供給量を増加させる具体的な実現方法は、加熱ネットワーク水の給水温度を増加させるだけ、または、加熱ネットワーク水の給水流量を増加させるだけ、または、同時に加熱ネットワーク水の給水温度と給水流量を増加させ、第1の調整弁62は調整可能に開くように制御され、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を増加させることである。具体的には、加熱ネットワーク水の給水温度が増加するだけにより加熱ネットワークヒータ1の熱供給量を増加させる方法を採用すれば、加熱ステーション2に流れ込む加熱ネットワーク水流量を減らし、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を増加させる必要があり、加熱ネットワーク水の給水流量が増加するだけで加熱ネットワークヒータ1の熱供給流量を増加させる方法を採用すれば、加熱ステーション2に流れ込む加熱ネットワーク水流量を変える必要がなくて、増加した分の加熱ネットワーク水の給水流量を、加熱ネットワーク水支路6を通過して加熱ネットワークヒータ1に送れば十分であり、同時に加熱ネットワーク水の給水温度と給水流量が増加する方法を採用すれば、加熱ステーション2に流れ込む加熱ネットワーク水流量を減らして、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を増加させる必要がある。
【0030】
このとき、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水は、高温高圧で、減圧装置63により、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水を圧力測定機器41と同程度の圧力まで減圧してから、一次ネットワーク還水管4を介して加熱ネットワークヒータ1に送り戻す。
【0031】
熱供給網が熱放出時に、加熱ネットワークヒータ1の熱供給量を減らす具体的な実現方法は、加熱ネットワーク水の給水温度だけを下げ、または、加熱ネットワーク水の給水流量だけを減少させ、または、同時に加熱ネットワーク水の給水温度と給水流量を減少させ、第1の調整弁62を調整可能に閉じるように制御し、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を減少させる方法である。具体的には、加熱ネットワーク水の給水温度だけを下げて加熱ネットワークヒータ1の熱供給量を減少させる方法を採用すれば、加熱ステーション2に流れ込む加熱ネットワーク水流量を増加させる必要があり、加熱ネットワーク水の給水流量だけを減少させて加熱ネットワークヒータ1の熱供給流量を減少させる方法を採用すれば、加熱ステーション2に流れ込む加熱ネットワーク水流量を変える必要がなくて、第1の調整弁62の開度を徐々に小さくし、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を徐々に減少させでいい、同時に加熱ネットワーク水の給水温度と給水流量を減少させて加熱ステーション2に流れ込む加熱ネットワーク水流量を増加させる方法を採用すれば、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を減少させ、第1の調整弁62の開度を徐々に小さくする必要がある。
【0032】
熱供給網の蓄熱とは、コージェネレーションユニットが電力ピーク負荷調整に参加し、ユニットの出力を下げる必要があるときに、コージェネレーションユニットの熱供給と蒸気抽出流量を増加することによってユニットの出力を下げ、このとき、ユニットは、蒸気抽出流量を増加することにより生じされた余剰熱負荷を配管網蓄熱システムで蓄え、コージェネレーションユニットが蒸気抽出流量を増加したため、加熱ネットワークヒータ1の熱供給量が増加し、加熱ネットワーク水支路6が設けられてなければ、その余剰熱が加熱ステーション2から排出され、無駄になることが起きる。
【0033】
加熱ネットワークヒータ1の熱供給増加方法を加熱ネットワーク水の給水温度のみを上昇させることを例として挙げると、本実施例の配管網蓄熱システムが蓄熱時に、第1の調整弁62は調整可能に開くように制御され、一次ネットワーク還水管5内の一部加熱ネットワーク水は加熱ステーション2を通過して流れなく、加熱ネットワーク水支路6を介して直接一次ネットワーク還水管4に戻るが、他の一部の加熱ネットワーク水は引き続き加熱ステーション2を通過して流れ、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水流量は、加熱ネットワークヒータ1の総熱供給量(熱量=流量×温度差×日熱容量、関連公式が以下に示す)から、各加熱ステーション2が必要となる熱量を差し引くことによって得られ、このとき、加熱ネットワークヒータ1の増加した熱供給量が一次ネットワーク管4と、加熱ネットワーク水支路6と、一次ネットワーク給水管5の間に蓄えられ、その増加した熱供給量に相当する加熱ネットワーク水は一次ネットワーク還水管4と一次ネットワーク給水管5の間に通過して流れ、無駄を省く。同時に、加熱ネットワーク水の温度が上昇したため、加熱ステーション2の熱供給量は変化しない。
【0034】
加熱ステーション2を通過した加熱ネットワーク水は、一次ネットワーク還水管4における温度と圧力とも低く、加熱ネットワーク水支路6における高圧の加熱ネットワーク水が直接に一次ネットワーク還水管4に入ると、圧力が不均一になり、水の還流効果に影響も与え、循環水ポンプ3の負担が大きくなることが起きやすくなるため、本実施例において、加熱ネットワーク水支路6に減圧装置63が設けられる。減圧装置63により、加熱ネットワーク水支路6における高圧の加熱ネットワーク水は、一次ネットワーク還水管4と加熱ネットワーク水支路6の接続部における一次ネットワーク還水管4の上流位置にある加熱ネットワーク水と一致するように減圧されてから、通常的に一次ネットワーク還水管4に流れ込み、そして加熱ネットワークヒータ1に流れ込むこと。
【0035】
熱供給網の熱放出とは、コージェネレーションユニットが電力網のピーク負荷調整に参加し、ユニットの出力を増やす必要があるときに、コージェネレーションユニットの熱供給と蒸気抽出流量を減らすことによってユニットの出力を増やすことを指す。このとき、ユニットが蒸気抽出流量を減らすことにより生じされた不足熱負荷は、熱供給網に蓄えられた熱を放出することによって満足する必要がある。加熱ネットワークヒータ1の熱供給量減少方法を加熱ネットワーク水の給水温度のみが低下することを例として挙げると、加熱ネットワークヒータ1の熱供給量を減少させ、加熱ネットワーク水の温度が低下し、第1の調整弁62を調整可能に閉じるように制御することにより、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量が減少し、加熱ステーション2に入る加熱ネットワーク水流量が増加し、加熱ステーション2の熱供給負荷がずっとバランスをとっていることは保証される。この場合、コージェネレーションユニットのピーク負荷調整の需要と熱供給網に蓄えられた熱量の両方を組み合わせて、熱放出処理を終了するかどうかを判断する。例えば、コージェネレーションユニットは、ユニットの出力を増加させるためのピーク負荷調整の要求を引き続けば、熱供給網に蓄えられたすべての熱が放出されるまで、熱供給網の熱放出プロセスは終了する。このとき、加熱ネットワークヒータ1の総供給熱量が各加熱ステーション2の熱需要量に等しく、第1の調整弁62は完全に閉じている。例えば、熱供給網がまだ蓄熱があり、コージェネレーションユニットが出力を下げるためのピーク負荷調整の必要がある場合、熱供給網の熱放出プロセスを終了し、蓄熱プロセスに入る必要がある。このとき、第1の調整弁62の開度を大きくし、新たな蓄熱プロセスを実行する。注意すべきは、熱供給網に蓄えられている熱が完全に放出されたかどうかにかかわらず、ピーク負荷調整の需要に応じて、熱放出プロセスをいつでも終了し、蓄熱プロセスが直ちに開始することができ、すなわち、熱放出プロセスが終了時に、熱供給網にまだ蓄熱量が残留してもいいし、蓄えられた熱量が完全に放出されてもいい、具体はピーク負荷調整の需要に応じて設定される。
【0036】
上記の実施例では、3種類の加熱ネットワークヒータの供給熱量を変える調整方法を説明し、加熱ネットワークヒータ1の加熱ネットワーク水の給水温度を変えることによる調整方法を採用する場合に、加熱ステーション2の加熱ネットワーク水流量を調整する必要があるため、加熱ステーション2と一次ネットワーク給水管5を接続する給水管回路に第2の調整弁21と第2の温度・圧力・流量測定機器23が配置されており、加熱ステーション2と一次ネットワーク還水管4を接続する水出口管回路に第3の調整弁22と温度・圧力測定機器24が配置されており、第2の調整弁21と第3の調整弁22は加熱ステーション2の加熱ネットワーク水流量を調整する同時に、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水流量を補助的に調整することができる。第2の温度・圧力・流量測定機器23が加熱ステーション2に入る加熱ネットワーク水の温度と、圧力と、流量を検出し、温度・圧力測定機器24は加熱ステーション2から排出された加熱ネットワーク水の温度と圧力を検出する。加熱ネットワークヒータ1の総供給熱量および各加熱ステーション2の需要熱量に応じて、各加熱ステーション2の第2の調整弁21と第3の調整弁22の開度を調整することにより、加熱ステーション2に入る加熱ネットワーク水流量を制御し、第2の調整弁21と第3の調整弁22は直接調整されえ、加熱ステーション2の熱供給の負荷バランスをもっと調整しやすくなっている。第2の調整弁21と、第2の温度・圧力・流量測定機器23と、第3の調整弁22と、温度・圧力測定機器24との数は加熱ステーション2の数と適合し、加熱ステーション2の数はnであれば、第2の調整弁21と、第2の温度・圧力・流量測定機器23と、第3の調整弁22と温度・圧力測定機器24の数もnであり、n≧1。
【0037】
具体的に、第2の調整弁21と第3の調整弁22は、蓄熱時に、調整可能に閉じることにより、加熱ステーション2に入る加熱ネットワーク水流量を減少させ、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量を増加させる一方、熱放出時に、調整可能に開くことにより、加熱ステーション2に入る加熱ネットワーク水の流量を増加させ、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量を減少させることに用いられる。加熱ステーション2の水入口管と水出口管ラインにそれぞれ第2の温度・圧力・流量測定機器23と温度・圧力測定機器24が配置され、加熱ネットワークヒータ1の総供給熱量(具体的に加熱ネットワークヒータ1に出入りする加熱ネットワーク水の温度と流量に反映され)および各加熱ステーション2の需要熱量(具体的に加熱ステーション2に出入りする加熱ネットワーク水の温度と流量に反映され)に応じて、第2の調整弁21と第3の調整弁22の開度を調整し、加熱ステーション2の熱供給負荷がバランスにあることは保証される。
【0038】
具体的な調整方法は以下の通りである。
【0039】
熱供給網が蓄熱時に、熱網最初テーション1の供給熱量を増加させ、加熱ネットワーク水の温度を上昇させ、第2の調整弁21と第3の調整弁22が閉じるように調整可能に制御され、各加熱ステーション2に入る加熱ネットワーク水流量を減少させ、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量を増加させ、
熱供給網が熱放出時に、熱網最初テーション1の供給熱量を減少させ、加熱ネットワーク水の温度を下げ、第2の調整弁21と第3の調整弁22が開くように調整可能に制御され、各加熱ステーション2に入る加熱ネットワーク水流量を増加させ、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる加熱ネットワーク水の流量をゼロまで減少させる。
【0040】
配管網蓄熱システムの調節を容易にするために、加熱ネットワークヒータ1の水出口に加熱ネットワーク水の給水流量を調節する水出口調整弁13が配置され、加熱ネットワークヒータ1の水入口に加熱ネットワークヒータの加熱ネットワーク還水水の流量を調節する水入口調整弁14が配置され、循環水ポンプ3は一次ネットワーク還水管4の加熱ネットワークヒータ1の水入口に近い位置に配置され、加熱ネットワークヒータ1の水出口に加熱ネットワークヒータ1から排出された加熱ネットワーク水の温度と圧力と流量を検出する第5の温度・圧力・流量測定機器12が設けられ、加熱ネットワークヒータ1の水入口に加熱ネットワークヒータ1の加熱ネットワーク水の温度と圧力と流量を検出する他の第4の温度・圧力・流量測定機器11が設けられている。
【0041】
本実施例において、すべての調整弁は電気式調整弁であり、すべての測定機器はモノのインターネット(loT)流量計であり、測定データの無線遠隔伝送が可能である。
【0042】
なお、本実施例における調整弁の調整可能な開きと閉じとは、調整弁の開度を全開と全閉との範囲内で調整することであり、具体的には、加熱ステーション2の第2の調整弁21と第3の調整弁22の開度は、加熱ステーション2の需要熱量に応じて各加熱ステーション2に入る熱量を制御するように調整される。加熱ネットワークヒータ1の供給熱量から、各加熱ステーション2の熱量を差し引いたものが、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる熱量となる。第1の調整弁62の開度は、加熱ネットワーク水支路6を通過して流れる必要がある熱量に応じて、全開または全閉または一部開くことが可能である。
【0043】
好ましくは、本実施例の配管網の蓄熱システムは補給水アセンブリをさらに含み、補給水アセンブリは、一次ネットワーク補給水管7と、補給水ポンプ71と、第4の調整弁72と第3の温度・圧力・流量測定機器73とを含み、第3の温度・圧力・流量測定機器73と補給水ポンプ71と第4の調整弁72は加熱ネットワーク水の水流の方向に沿って順次に一次ネットワーク補給水管7に配置され、一次ネットワーク補給水管7が一次ネットワーク還水管4に接続される。上記の一次ネットワーク補給水管7と上記の一次ネットワーク還水管4との接続部における一次ネットワーク還水管4の水流の方向の上流位置に第4の温度・圧力・流量測定機器11が配置され、加熱ネットワーク水が第4の温度・圧力・流量測定機器11によって検出された後、一次ネットワーク還水管4と一次ネットワーク補給水管7の接続部を通って通過して流れる。第4の調整弁72は、第4の温度・圧力・流量測定機器11が一次ネットワーク還水管4の圧力が設定圧力よりも低いことを検出した場合に開き、および、第4の温度・圧力・流量測定機器11が一次ネットワーク還水管4の圧力が設定圧力より低くないことを検出した場合に閉じるために使用される。
【0044】
具体的な補給水ステップは、
第4の温度・圧力・流量測定機器11で読み取った圧力データに基づいて、一次ネットワーク還水管4の圧力が設定圧力より低い場合に、第4の調整弁72が開かれ、補給水ポンプ71が一次ネットワーク還水管4に対して補給水を行い、一次ネットワーク還水管4の圧力が設定圧力より低くない場合に、第4の調整弁72が閉じ、補給水ポンプ71が補給水を停止する。
【0045】
上記の実施例において、加熱ネットワーク水支路6は第jの加熱ステーション2(1≦j≦n)に配置され、圧力測定機器41が第jの加熱ステーション2の一次ネットワーク還水管4に配置されている。配管網の蓄熱効果を高め、加熱ネットワーク水支路6の設定位置を最適化するため、加熱ネットワーク水支路6が第jの加熱ステーション2に配置されるうちのjは、次の方法により設計される。
【0046】
まず、循環水ポンプの設計流量に従って、熱供給網の最大の加熱ネットワーク水の流量G
rを決定する。循環水ポンプの設計流量G
o(単位:t/h)は既知のパラメータであり、最大の加熱ネットワーク水の流量がG
r=G
oであることが知られる。熱供給網が必要な最小の蓄熱量は、コージェネレーションユニットが電力ピーク負荷調整のために必要とする蓄熱量に応じて、決定され、熱供給網が必要な最小の蓄熱量Q
min(単位:GJ)は既知のパラメータであり、
そして、寒い時期に各加熱ステーションが必要とする最大の熱供給負荷W
i(単位:GJ/h、1≦i≦n)と熱供給網の最大の加熱ネットワーク水の給水と戻り水温度差の最大値に従って、寒い時期に各加熱ステーションが必要とする最小の加熱ネットワーク水の流量G
i
ステーション(単位:t/h、1≦i≦n)を決定し、ここで、熱供給網の加熱ネットワーク水の給水温度と戻り水温度はそれぞれT
01(単位:℃)とT
02(単位:℃)であり、ともに既知のパラメータであり、実際の温度は第1の温度・圧力・流量測定機器と第2の温度・圧力・流量測定機器により測定されて得られ、予め設定されたパラメータに対応するように調整され、以上に基づいて、最小の加熱ネットワーク水の流量G
i
ステーションは、
【数7】
であり、
そして、暖房期間に各加熱ステーションが必要とする最小の加熱ネットワーク水の流量G
i
ステーションと熱供給網の最大の加熱ネットワーク水の流量G
rによって、暖房期間に蓄熱に使用できる熱供給網の最大の加熱ネットワーク水の流量G
sを決定し、
【数8】
そして、循環水ポンプの設計揚程H
0(単位:m)と、暖房期間に熱供給網の各加熱ステーションに接続する異なる管セクションの抵抗損失によって、jの最大許容値A
maxを決定し、ここで、循環水ポンプの設計揚程はH
0(単位:m)とし、熱供給網の等価絶対粗さはK(単位:m)とし、熱供給網の局部抵抗相当長の割合はφ(単位:%)とし、各加熱ステーションに接続する熱供給網の管セクションの長さと直径はそれぞれL
i(単位:m)とD
i(単位:m)とし、いずれも設計時の既知パラメータであり、
熱供給網が必要とする最小の蓄熱量によって、jの最小の許容値B
minを決定し、
以下の関係式によってjの最終値を決定し、
B
min≧A
maxの場合、jの最終値はA
maxとし、
B
min<A
maxの場合、例えばこのとき、熱供給網の熱損失率と漏水損失率を無視できれば、jの最終値はA
maxとし、例えばこのとき熱供給網の熱損失率と漏水損失率は無視できなければ、jの最終値はB
minとする。熱損失率は各測定機器によって得られた加熱ネットワーク水のパラメータに従って算出され、漏水損失率は補給水アセンブリの補給水量に従って判定する。熱供給網の熱損失率と漏水率は業界の先進なレベルの値よりも優れている場合、熱供給網の熱損失率と漏水率を無視できる。CJJ/T185-2012規格に従って先進レベルの値をとる場合、漏水率は0.3%以下、熱損失率は経路に沿った温度の低下が0.1℃/Km以下となるように取られる。
【0047】
具体的に、循環水ポンプの設計揚程H
0(単位:m)と暖房期間に各加熱ステーションに接続する熱供給網の異なる管セクションの抵抗損失率に従って、jの最大許容値A
maxを決定する計算式は次の通りで、
【数9】
各加熱ステーションに接続する異なる管セクションの経路に沿った抵抗損失R
x(単位:Pa/m)を計算する公式は、
【数10】
であり、
暖房期間中の熱供給網の総圧力損失を計算次する公式が、
【数11】
であり、
循環水ポンプの設計揚程H
0と暖房期間に熱供給網の総圧力損失を比較して、以下の関係式:10×H
0≧0.002×P
zによると、
jの最大の許容値A
maxが得られ、
ここで、循環水ポンプの設計揚程H
0が既知パラメータであり、K(単位:m)が熱供給網の等価絶対粗さであり、φ(単位:%)が熱供給網の局部抵抗相当長の割合であり、L
i(単位:m、1≦i≦n)が各加熱ステーションに接続する熱供給網の管セクションの長さであり、D
i(単位:m、1≦i≦n)は各加熱ステーションに接続する熱供給網の管セクションの直径であり、ρ(単位:kg/m
3)が加熱ネットワーク水の密度である。
【0048】
具体的に、熱供給網が必要とする最小の蓄熱量によって、jの最小の許容値B
minを決定する計算式が次の通りで、
熱供給網の設計上の蓄熱量の計算式が
【数12】
であり、
ここで、関係式Q
e≧Q
minによって、jの最小値B
minを算出し、ρ(単位:kg/m
3)が加熱ネットワーク水の密度であり、C(単位:J/(kg・℃))が加熱ネットワーク水の比熱容量である。
【0049】
上記の計算方法によって、jの値が得られ、加熱ネットワーク水支路6の設置位置が、配管網の使用要件を満たすように決定される。
【符号の説明】
【0050】
1,加熱ネットワークヒータ、11,第4の温度・圧力・流量測定機器、12,第5の温度・圧力・流量測定機器、13,水出口調整弁、14,水入口調整弁、2,加熱ステーション、21,第2の調整弁、22,第3の調整弁、23,第2の温度・圧力・流量測定機器、24,温度・圧力測定機器、3,循環水ポンプ、4,一次ネットワーク還水管、41,圧力測定機器、5,一次ネットワーク給水管、6,加熱ネットワーク水支路,、61,第1の温度・圧力・流量測定機器、62,第1の調整弁、63,減圧装置、7,一次ネットワーク補給水管、71,補給水ポンプ、72,第4の調整弁、73,第3の温度・圧力・流量測定機器。
【国際調査報告】