IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーティー・アンド・ジー・コーポレーションの特許一覧

特表2023-554577熱によって香味成分が放出される壁紙組成物及び壁紙{WALLPAPER COMPOSITION AND WALLPAPER RELEASING FLAVORANT COMPONENT BY HEAT}
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】熱によって香味成分が放出される壁紙組成物及び壁紙{WALLPAPER COMPOSITION AND WALLPAPER RELEASING FLAVORANT COMPONENT BY HEAT}
(51)【国際特許分類】
   D21H 17/03 20060101AFI20231221BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20231221BHJP
   C08K 5/1545 20060101ALI20231221BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20231221BHJP
   C07H 13/06 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
D21H17/03
C08L101/00
C08K5/1545
C09D201/00
C07H13/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521809
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 KR2022017743
(87)【国際公開番号】W WO2023090764
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0159818
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0059743
(32)【優先日】2022-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャングーク
【テーマコード(参考)】
4C057
4J002
4J038
4L055
【Fターム(参考)】
4C057AA17
4C057BB02
4C057BB03
4C057DD01
4C057HH03
4J002AB011
4J002AB031
4J002AB041
4J002AE031
4J002AE041
4J002AE051
4J002AH001
4J002BB031
4J002BB061
4J002BB121
4J002BD051
4J002BF021
4J002BF031
4J002CF031
4J002CF051
4J002CF181
4J002EL066
4J002EL086
4J002FD206
4J002GK00
4J002GL00
4J002HA03
4J002HA06
4J038BA221
4J038BA251
4J038JA59
4J038NA15
4J038PB05
4J038PC10
4L055AF08
4L055AF09
4L055AF10
4L055AG34
4L055AH50
4L055EA04
4L055GA23
(57)【要約】
【要約】
本発明は、熱によって香味成分が放出される壁紙組成物及び壁紙に関し、より具体的には、基本骨格に糖化合物来由モイアティ及び香料化合物来由モイアティを含み、熱分解時にラクトン化合物、糖化合物及び香料化合物が分解する化合物を含む壁紙組成物及び壁紙に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物;及び
ベース物質;
を含む、壁紙組成物:
[化学式1]
【化1】
(上記化学式1で、
nは1又は2の整数であり、
Rは炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、
モイアティA'はヒドロキシル基(-OH)を有する芳香族環、脂肪族環及び脂肪族鎖のうち少なくとも1つを有する香料化合物に由来するモイアティであり、前記ヒドロキシル基がカーボネート連結基(
【化2】
)に参加し、モイアティA'は、前記カーボネート連結基に参加したヒドロキシル基を除く香料化合物に該当し、
モイアティG'は、糖化合物に由来するモイアティであり、前記糖化合物の環に連結されたヒドロキシル基(-OH)のうち少なくとも1つ以上がエステル連結基(
【化3】
)に参加し、G'は、前記エステル連結基に参加した前記ヒドロキシル基を除く糖化合物に該当し、mは、前記エステル連結基でモイアティG'に結合される
【化4】
の個数であり、1~8の整数である。)
【請求項2】
前記香料化合物は、
ヒドロキシル基を有する環状モノテルペン系化合物、ヒドロキシル基を有するモノテルペン系非環式化合物、ヒドロキシル基を有する炭素数6~10の芳香族化合物及びヒドロキシル基を有する炭素数5~6の非芳香族環化合物から選択されるものである、請求項1に記載の壁紙組成物。
【請求項3】
前記香料化合物は、下記化学式から選択されるものである、請求項1に記載の壁紙組成物:
【化5】
【化6】
【請求項4】
前記モイアティA'は下記化学式から選択されるものである、請求項1に記載の壁紙組成物:
(*は、上記化学式1で、カーボネート連結基内の酸素の結合位置である。)
【化7】
【化8】
【請求項5】
前記糖化合物は、
タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノ-ス、シクロデキストリン、マルトデキストリン、デキストラン、スクロース、グルコース、リブロース、フルクトース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリスロース、デオキシリボース、グルコース、イドース、タロース、エリスルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、イソマルト-オリゴサッカライド、キシロ-オリゴサッカライド、ゲンチオ-オリゴサッカライド、ソルボース、ニゲロ-オリゴサッカライド、パラチノースオリゴサッカライド、フルクトオリゴサッカライド、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルト-オリゴサッカライド、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノ-ス及びリボースから選択されるものである、請求項1に記載の壁紙組成物。
【請求項6】
前記香料化合物は、下記化学式1-1~1-9から選択されるものである、請求項1に記載の壁紙組成物:
[化学式1-1]
【化9】
[化学式1-2]
【化10】
[化学式1-3]
【化11】
[化学式1-4]
【化12】
[化学式1-5]
【化13】
(上記化学式1-1~1-5において、R~Rは、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化14】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択される。)
[化学式1-6]
【化15】
(ここで、R~Rは、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化16】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択される。)
[化学式1-7]
【化17】
[化学式1-8]
【化18】
[化学式1-9]
【化19】
(ここで、上記化学式1-7~1-9において、R~Rは、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化20】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択される。)
【請求項7】
前記化合物は、下記化学式1-1-a~1-9-aから選択されるものである、請求項1に記載の壁紙組成物:
[化学式1-1-a]
【化21】
[化学式1-2-a]
【化22】
[化学式1-3-a]
【化23】
[化学式1-4-a]
【化24】
[化学式1-5-a]
【化25】
[化学式1-6-a]
【化26】
[化学式1-7-a]
【化27】
[化学式1-8-a]
【化28】
[化学式1-9-a]
【化29】
【請求項8】
前記壁紙組成物は、
熱分解時に香味を発現し、
熱分解時に前記糖化合物、前記香料化合物、ラクトン化合物及び二酸化炭素に分解するものである、請求項1に記載の壁紙組成物。
【請求項9】
前記香料化合物は、
80℃以上の温度で熱分解するものである、請求項1に記載の壁紙組成物。
【請求項10】
前記ラクトン化合物は、
下記化学式2のガンマ又は化学式3のデルタラクトンに分解するものである、請求項8に記載の壁紙組成物:
[化学式2]
【化30】
[化学式3]
【化31】
(ここで、Rは、炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。)
【請求項11】
前記ラクトン化合物は、下記化学式から選択されるものである、請求項8に記載の壁紙組成物:
【化32】
【請求項12】
前記ベース物質は、
繊維、紙、パルプ、セルロース系樹脂及び液状樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上を含むものである、請求項1に記載の壁紙組成物。
【請求項13】
前記壁紙組成物は、
水、水溶性有機溶媒及び脂溶性有機溶媒のうち少なくとも1つ以上を含むものである、請求項1に記載の壁紙組成物。
【請求項14】
前記壁紙組成物は、
固相、スラリー、ペースト、ゲル、液相、エマルジョン又はエアロゾルである、請求項1に記載の壁紙組成物。
【請求項15】
下記化学式1で表される化合物を含む、壁紙:
[化学式1]
【化1】
(上記化学式1で、
nは1又は2の整数であり、
Rは炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、
モイアティA'はヒドロキシル基(-OH)を有する芳香族環、脂肪族環及び脂肪族鎖のうち少なくとも1つを有する香料化合物に由来するモイアティであり、前記ヒドロキシル基がカーボネート連結基(
【化2】
)に参加し、モイアティA'は、前記カーボネート連結基に参加したヒドロキシル基を除く香料化合物に該当し、
モイアティG'は、糖化合物に由来するモイアティであり、前記糖化合物の環に連結されたヒドロキシル基(-OH)のうち少なくとも1つ以上がエステル連結基(
【化3】
)に参加し、G'は、前記エステル連結基に参加した前記ヒドロキシル基を除く糖化合物に該当し、mは、前記エステル連結基でモイアティG'に結合される
【化4】
の個数であり、1~8の整数である。)。
【請求項16】
前記壁紙は、
ペイント壁紙又はシート型壁紙である、請求項15に記載の壁紙。
【請求項17】
前記壁紙は、
燃焼又は発火温度に露出時、香味を放出するものである、請求項16に記載の壁紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱によって香味成分が放出される壁紙組成物及び壁紙に関する。
【背景技術】
【0002】
施設又は建物内で火災を感知し、通知を提供する火災感知装置(例えば、火災警報器)は、様々に公開されており、実生活に使用されている。通常、火災が発生すると火災警報器が作動して被害を減らすことができるが、火災警報器がない場合や作動しない場合に火災が発生して火炎によって家具や壁紙などの内部インテリア物が高温で燃焼するとき、煙と焦臭い、煤のような燃焼した産物の拡散によって火災が発生したことを認知することが一般的である。これは、発火地点(例えば、火炎)から離れた空間にいる人は火災の認知が遅くなる可能性があるので、大型建物、高層のアパートで待避時間が不足し、財産や人命被害が発生する可能性がある。
【0003】
そこで、本発明は、火災による熱気が伝わるとき、熱分解工程を通じて揮発性香味成分(例えば、ラクトン及び/又はメントール香)が火災が発生した建物の火炎に近い部位から建物全体に急速に拡散し、これは火災から離れている人も特有の香味成分(例えば、ラクトン及び/又はメントール香)を嗅ぐようになり、迅速に火災を認知できる新しい火災認知システム又は物質を提供するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存の香味剤機能を有する化合物は、常温(rt)又はこれに近接した温度で化学構造的安定性が低く、構造的変形又は分解が発生し、香味成分が揮発され、火災発生で香味発現機能が認知可能なレベルの以下であるか、又はこれらの機能が発現されない問題がある。本発明は、これを解決するために、常温又は近接した温度で化学構造的安定性に優れ、熱を受ける場合に熱分解による揮発性及び/又は香味成分が放出される新規な化合物を含み、このような揮発性及び/又は香味成分による火災を迅速に認知できる、壁紙組成物を提供するものである。
【0005】
本発明は、本発明による壁紙組成物で製造され、熱を受ける場合、熱分解による揮発性及び/又は香味成分が放出され、これによる火災を迅速に認知できる壁紙を提供するものである。
【0006】
本発明は、本発明による壁紙組成物で製造された、壁紙を提供するものである。
【0007】
本発明は、本発明による壁紙組成物又は本発明による化学式1で表される新規な化合物を含むペイント組成物を提供するものである。
【0008】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及したものに制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から該当分野における通常の技術者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ベース物質;及び下記化学式1で表される化合物;を含む、壁紙組成物に関する。
[化学式1]
【化1】
(上記化学式1で
nは1又は2の整数であり、
Rは炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、
モイアティA'はヒドロキシル基(-OH)を有する芳香族環、脂肪族環及び脂肪族鎖のうち少なくとも1つを有する香料化合物に由来するモイアティであり、前記ヒドロキシル基がカーボネート連結基(
【化2】
)に参加し、モイアティA'は前記カーボネート連結基に参加したヒドロキシル基を除く香料化合物に該当し、
モイアティG'は糖化合物に由来するモイアティであり、前記糖化合物の環に連結されたヒドロキシル基(-OH)のうち少なくとも1つ以上がエステル連結基(
【化3】
)に参加し、G'は前記エステル連結基に参加した前記ヒドロキシル基を除く糖化合物に該当し、mは前記エステル連結基でモイアティG'に結合される
【化4】
の個数であり、1~8の整数である。)
【0010】
本発明は、本発明による組成物で製造された壁紙又はペイントに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施例により、本発明による壁紙組成物は、それ自体が壁紙で成形されるか、壁紙原紙又は建築構造物、インテリア製品などに適用が容易であり、直接加熱及び/又は発火地点の温度に影響を受ける場合に熱分解して揮発性の強いラクトン類及び/又は香料成分を発現させることができる。このような熱分解成分は、建物内全体に拡散するので、発火地点に近接又は離れている人間も火災を迅速に認知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-ヒドロキシヘプタノエート(2a)のNMR分析結果を示すものである。
図2】本発明の一実施例により、実施例でエチル4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート(3a)のNMR分析結果を示すものである。
図3】4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタン酸(4a)のNMR分析結果を示すものである。
図4】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート(5a)のNMR分析結果を示すものである。
図5】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート(5a)のNMR分析結果を示すものである。
図6】本発明の一実施例により、実施例で製造された4-(メチルカルボニルオキシ)ノナン酸(4b)のNMR分析結果を示すものである。
図7】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート(5b)のNMR分析結果を示すものである。
図8】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート(5b)のNMR分析結果を示すものである。
図9】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル5-(メチルカルボニルオキシ)デカノエート(3c)のNMR分析結果を示すものである。
図10】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル5-(メチルカルボニルオキシ)デカノエート(3c)のNMR分析結果を示すものである。
図11】本発明の一実施例により、実施例で製造された5-(メチルカルボニルオキシ)デカン酸(4c)のNMR分析結果を示すものである。
図12】本発明の一実施例により、実施例で製造された5-(メチルカルボニルオキシ)デカン酸(4c)のNMR分析結果を示すものである。
図13】本発明の一実施例により、実施例で製造された5-イソプロピル-2-メチルシクロヘキシル-(1-オキソ-1-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)デカン-5-イル)カーボネート(5c)のNMR分析結果を示すものである。
図14】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート(6c)のNMR分析結果を示すものである。
図15】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート(6c)のNMR分析結果を示すものである。
図16】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-ヒドロキシウンデカノエート(2d)のNMR分析結果を示すものである。
図17】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-ヒドロキシウンデカノエート(2d)のNMR分析結果を示すものである。
図18】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート(3d)のNMR分析結果を示すものである。
図19】本発明の一実施例により、実施例で製造された4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸(4d)のNMR分析結果を示すものである。
図20】本発明の一実施例により、実施例で製造された4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸(4d)のNMR分析結果を示すものである。
図21】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート(6d)のNMR分析結果を示すものである。
図22】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート(6d)のNMR分析結果を示すものである。
図23】本発明の一実施例により、実施例で製造されたエチル4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカノエート(3e)のNMR分析結果を示すものである。
図24】本発明の一実施例により、実施例で製造されたグルコシ-(4-ベンジルオキシカルボニルオキシ)ノナノエート(5e)のNMR分析結果を示すものである。
図25】本発明の一実施例により、実施例で製造された化合物の熱分析結果を示すものである。
図26】本発明の一実施例により、実施例で製造された化合物の熱分解温度による成分の分布を示すものである。
図27】本発明の一実施例により、実施例で製造された化合物の熱分解温度による成分の分布を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。本発明の説明において、関連する公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。さらに、本明細書において使用される用語は、本発明の好ましい実施例を適切に表現するために使用された用語であり、これは、ユーザ、運用者の意図又は本発明の属する分野における慣例などによって変わり得る。したがって、本用語の定義は、本明細書全体にわたる内容に基づいて行われるべきである。各図面に示されている同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0014】
明細書全体において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとするとき、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0015】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0016】
以下、本発明による化合物を含む組成物及びこの活用について実施例及び図面を参照して具体的に説明する。しかし、本発明はこのような実施例及び図面に制限されるものではない。
【0017】
本発明は、本発明による化合物を含む組成物に関し、本発明の一実施例により、前記組成物は、下記化学式1で表される化合物を含み、前記化合物は、熱分解時に香又は香味成分を放出する香味剤化合物であることができる。
【0018】
本発明の一実施例により、前記組成物は、ベース物質(又は、ベース基質)、溶媒及び添加剤のうち少なくとも1つ以上;及び上記化学式1で表される化合物を含み得る。本発明の一例として、前記組成物は、壁紙組成物及び/又はペイント組成物であり得る。
【0019】
本発明の一実施例により、前記組成物は、例えば、壁紙又はペイントに適用する場合に火災の発生時、燃焼熱によって熱分解による香味成分(例えば、ラクトン(lactone)類又はメントール(menthol)類)が発現して建物(例えば、住宅、アパート、工場など)内に急速に広がることができ、これは人間が火災を認知し得る香味信号を提供することができる。普通の場合、火災によって壁紙、家具などが高温により燃焼してこそ煙と共に煤と燃焼された産物が拡散するが、熱分解する成分がある条件であれば、より先に火災を認知することができ、迅速な待避が可能である。例えば、発火地点(熱源)に露出又は近接した場合、本発明による組成物が適用された部分は、このような発火地点に近いほど高い熱を受けるようになり、熱によって熱分解する合成化合物が熱分解してラクトン化合物が発現して建物空間に広がる。このような揮発性ラクトン化合物は、火炎から離れた空間にいる人によって迅速に認知することができる。
【0020】
本発明の一実施例により、下記化学式1で表される化合物は、熱を加える場合に熱分解によって揮発性香味成分を発現させ得る。
[化学式1]
【化5】
【0021】
本発明の一例として、上記化学式1は、糖化合物来由モイアティ(G')及び香料化合物来由モイアティ(A')を含むものであって、上記化学式1で香料化合物はカーボネート連結基で共有結合し、糖化合物はエステル連結基(
【化6】
)で結合したものであり得る。上記化学式1の化合物は、熱を加えると熱分解し、糖化合物、香料化合物及びラクトン化合物の香味成分に分解及び発散することができる。例えば、上記化学式1の化合物は、ラクトン化合物の開環メカニズムで糖化合物のヒドロキシル基(-OH)と反応してエステル連結基で連結され、香料化合物のヒドロキシル基と反応してカーボネート連結基(
【化7】
)で連結され、合成され得る。すなわち、上記化学式1の化合物は、約常温又は近接した温度で構造的安定性を有し、揮発性が低く、熱を加えると閉環メカニズムでカーボネート連結基及びエステル連結基が切れて、糖化合物(G)、ラクトン化合物及び香料化合物(A)に分解して香味が発散し、分解過程で人体に無害な二酸化炭素が発生し得る。これは、熱によってカーボネート連結基が切れて香料化合物に分解し、二酸化炭素が生成され、次いで閉環によってエステル連結基が切れて、糖化合物及びラクトン化合物に分解して香味を発現させることができる。
【0022】
本発明の一実施例により、上記化学式1でモイアティA'は、ヒドロキシル基を有する芳香族環、ヒドロキシル基を有する脂肪族環及びヒドロキシル基を有する脂肪族鎖のうち少なくとも1つを有する香料化合物に由来するモイアティであることができる。前記ヒドロキシル基は、環、鎖又はこのうち1つ以上(例えば、1つ又は2つ)を含み、これは、ヒドロキシル基を有する置換基、基本骨格及び/又はモイアティに該当し得る。前記ヒドロキシル基が化学式1でカーボネート連結基の共有結合に参加し、モイアティA'は前記ヒドロキシル基を除く香料化合物に該当し得る。すなわち、モイアティA'において香料化合物のヒドロキシル基がカーボネート連結基で保護されるので、常温で閉環による分解反応が防止され得る。
【0023】
本発明の一実施例により、前記香料化合物は、ヒドロキシル基を有する環状モノテルペン系化合物、ヒドロキシル基を有するモノテルペン系非環式化合物、ヒドロキシル基を有する炭素数6~10の芳香族化合物及びヒドロキシル基を有する炭素数5~10;又は炭素数5~6の非芳香族環及びこれらの異性体から選択されてもよい。例えば、前記香料化合物は下記の化合物から選択され、上記化学式1の熱分解時、カーボネート連結基が切れるときに生成される化合物であり得る。
【化8】
【化9】
【0024】
本発明の一実施例により、前記モイアティA'は下記化学式から選択されるものであってもよい。ここで、*は、カーボネート連結基内の酸素位置に該当する。
【化10】
【化11】
【0025】
本発明の一実施例により、モイアティG'は糖化合物に由来するモイアティであり、前記糖化合物の環に連結されたヒドロキシル基がエステル連結基(
【化12】
)に参加して生成されたものであり、モイアティG'は前記ヒドロキシル基を除く糖化合物に該当し得る。上記化学式1の化合物は、糖化合物の連結によって常温で揮発性を下げて構造的安定性を維持し、有機溶媒に対する溶解性を増加させることができる。これは、上記化学式1の化合物の様々なマトリックス(又は、基質)内で相溶性及び/又は加工性を高め、食品、喫煙物品、壁紙、ペイントなどに適用分野を拡大させることができる。
【0026】
本発明の一実施例により、前記糖化合物は、6員環、5員環、又はこの両方を含み、前記糖化合物を構成する環に結合されたヒドロキシル基のうち少なくとも1つ以上;少なくとも2つ以上;少なくとも3つ以上;又は全体が上記化学式1のエステル連結基に参加できる。例えば、単一又は複数のヒドロキシル基によるエステル連結基が形成され、上記化学式1で[]部分、すなわち、
【化13】
の単一又は複数がモイアティG'に結合され得る。
【0027】
本発明の一実施例により、前記mは、前記エステル連結基でモイアティG'に結合される[]部分、すなわち、
【化14】
の個数であり、1~8;1~7;1~6;1~5;1~4;1~3;又は1~2の整数であってもよい。
【0028】
本発明の一実施例により、前記糖化合物は、例えば、タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノ-ス、シクロデキストリン、マルトデキストリン、デキストラン、スクロース、グルコース、リブロース、フルクトース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース又はイソマルツロース、エリスロース、デオキシリボース、グルコース、イドース、タロース、エリスルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、アミロペクチン、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、イソマルト-オリゴサッカライド、キシロ-オリゴサッカライド、ゲンチオ-オリゴサッカライド、ソルボース、ニゲロ-オリゴサッカライド、パラチノースオリゴサッカライド、フルクトオリゴサッカライド、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルト-オリゴサッカライド、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノ-ス及びリボースから選択されてもよい。好ましくは、グルコース、ラクトース、マルトース、ガラクトース、スクロース、D-フルクトース、グロース、タロース及びイドースであってもよい。
【0029】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、下記化学式1-1~1-9から選択されてもよい。
【0030】
[化学式1-1]
【化15】
[化学式1-2]
【化16】
[化学式1-3]
【化17】
[化学式1-4]
【化18】
[化学式1-5]
【化19】
【0031】
本発明の一例として、上記化学式1-1~1-5において、R~Rは、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化20】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択されてもよい。
好ましくは、
【化21】
は、R~Rのうち少なくとも1つ以上;少なくとも2つ以上;少なくとも3つ以上;少なくとも4つ以上;又は全体に該当することができ、さらに好ましくは、R及びRのうち少なくとも1つ;R及びRのうち少なくとも1つ;及び/又はR及びRのうち少なくとも1つに該当することができる。
【0032】
[化学式1-6]
【化22】
【0033】
本発明の一例として、上記化学式1-6においてR~Rは、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化23】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択されてもよい。
好ましくは、
【化24】
は、R~Rのうち少なくとも1つ以上;少なくとも2つ以上;少なくとも3つ以上;又は全体に該当することができ、さらに好ましくは、R及びRのうち少なくとも1つ;R及びRのうち少なくとも1つ;及び/又はR及びRのうち少なくとも1つに該当することができる。
【0034】
[化学式1-7]
【化25】
[化学式1-8]
【化26】
[化学式1-9]
【化27】
【0035】
本発明の一例として、上記化学式1-7~1-9においてR~Rは、各々、ヒドロキシル基(-OH)及び
【化28】
(n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)から選択されてもよい。
【0036】
好ましくは、
【化29】
は、R~Rのうち少なくとも1つ以上;少なくとも2つ以上;少なくとも3つ以上;少なくとも4つ以上;又は全体に該当することができ、さらに好ましくは、R~Rのうち少なくとも1つ;及び/又はR及びRのうち少なくとも1つ;に該当することができ、さらに好ましくは、R~Rのうち少なくとも1つ;R及びRのうち少なくとも1つ;R及びRのうち少なくとも1つ;及び/又はR及びRのうち少なくとも1つに該当することができる。
【0037】
本発明の一実施例により、前記香味剤は、下記化学式1-1-a~1-9-aから選択されてもよい。
[化学式1-1-a]
【化30】
[化学式1-2-a]
【化31】
[化学式1-3-a]
【化32】
[化学式1-4-a]
【化33】
[化学式1-5-a]
【化34】
[化学式1-6-a]
【化35】
[化学式1-7-a]
【化36】
[化学式1-8-a]
【化37】
[化学式1-9-a]
【化38】
(ここで、n、R及びA'は、上記化学式1で定義された通りである。)
【0038】
本発明の一実施例により、上記化学式1でnは1又は2の整数であってもよい。Rは、炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖アルキル基;好ましくは、炭素数2~10の直鎖又は分岐鎖アルキル基であってもよい。
【0039】
本発明の一実施例により、前記ラクトン化合物は、下記化学式2のガンマ又は化学式3のデルタラクトンであってもよい。
[化学式2]
【化39】
[化学式3]
【化40】
【0040】
本発明の一例として、上記化学式1及び化学式2で、Rは、炭素数1~30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、好ましくは、炭素数2~10の直鎖又は分岐鎖アルキル基であってもよい。
【0041】
例えば、前記ラクトン化合物は、下記化学式から選択されるものであってもよい。
【化41】
【0042】
本発明の一実施例により、前記化合物は、70℃以上;80℃以上;90℃以上;又は100℃以上であり、好ましくは、120℃以上;150℃以上;200℃以上;又は、さらに好ましくは、200℃~300℃温度で熱分解するものであってもよい。また、酸素及び/又は水分を含む環境で熱分解することができる。
【0043】
本発明の一実施例により、前記化合物は、前記組成物のうち、0.0001重量%以上;0.001重量%以上;0.01重量%以上;0.1重量%~100重量%(又は、未満);0.1重量%~80重量%;0.0001重量%~60重量%;0.001重量%~50重量%;0.1重量%~30重量%;1重量%~20重量%;5重量%~20重量%;5重量%~10重量%;であってもよい。好ましくは、前記化合物は、0.0001~1重量%であってもよい。前記範囲内で前記香味剤の熱分解による香味発現機能を得ることができ、発火点の露出及び/又は近接して前記化合物の熱分解に影響を与える温度に露出するか、直接的に基質の燃焼及び/又は発火される場合、香味(例えば、化学式1の化合物によって熱分解する揮発性ラクトン及び/又は香料化合物)の発現によって人間による火災を認知し得る機能を提供することができる。
【0044】
本発明の一実施例により、前記ベース物質(又は、ベース基質)は、前記組成物のうち、1重量%~100重量%(未満);30重量%~99重量%;50重量%~99重量%;60重量%~90重量%;80重量%~90重量%;30重量%~60重量%;又は30重量%~50重量%であってもよく、前記組成物の用途に応じて適切な機械的、物理的及び/又は化学的特性を提供又は制御できるマトリックスとして機能を提供することができる。例えば、前記ベース物質は、2種以上を含む場合に第1成分対残り成分の質量比は1:0.01~100;1:0.1~20;1:0.1~10;又は1:0.1~5であってもよい。
【0045】
本発明の一実施例により、前記ベース物質(又は、ベース基質)は、前記組成物の用途に応じて適切に選択することができ、例えば、壁紙及び/又はペイントに適用可能な材料であり得る。例えば、繊維、紙、パルプ、木粉、高分子樹脂、木材、デンプン粉末、アルギン酸、オイル、ワックス、脂肪酸、有機物及び/又は無機物又はセラミック粉末などであってもよいが、これらに制限されない。例えば、これは、繊維、粉末などの形態であってもよい。
【0046】
本発明の一実施例により、前記有機物及び/又は無機物又はセラミック粉末は、チョーク(chalk)、パーライト(perlite)、バーミキュライト(vermiculite)、珪藻土(diatomaceous earth)、コロイダルシリカ(colloidal silica)、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム)、珪藻土粉末、黄土粉末、粘土粉末、籾殻粉末、炭、廃殻類粉末、麦飯石、活性炭素粉末、ゼオライト粉末、活性白土粉末、シリカ、二酸化チタンなどであり、これは、含量に応じてベース物質又は機能性充填剤として活用できる。
【0047】
本発明の一実施例により、前記オイルは、植物性油、石油系油(例えば、パラフィン類系オイル、ミネラルオイル)、動物性油、脂肪酸(例えば、炭素数1~50の動物性脂肪、炭素数1~50の植物性脂肪、炭素数1~50の飽和脂肪酸、炭素数1~50の不飽和脂肪酸(例えば、単一又は多不飽和脂肪酸))などであってもよいが、これらに制限されない。前記ワックスは、高級脂肪酸、高級アルコールで製造されたものであり、動物性ワックス、植物性ワックス、合成、ワックス、石油系ワックスなどであってもよく、例えば、パラフィンワックス、ラノリンワックス、カルナウバワックス、蜜蝋、ビーズワックス、PEワックス、PPワックスなどであってもよいが、これらに制限されない。
【0048】
本発明の一実施例により、前記デンプン粉末は、植物性デンプン、変性デンプンなどであってもよく、例えば、前記植物性デンプンは、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、タピオカデンプン、及びキャッサバデンプン;及び変性デンプンなどを含むことができる。例えば、前記変性デンプンは、酸化デンプン(Oxidized Starch)、アセチル化アジピン酸架橋デンプン(Acetylated Distarch Adipate)、アセチル化リン酸架橋デンプン(Acetylated Distarch Phosphate)、デンプンオクテニルコハク酸ナトリウム(Starch Sodium Octenyl Succinate)、リン酸架橋デンプン(Distarch Phosphate)、リン酸化デンプン(Monostarch Phosphate)、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン(Phosphated Distarch Phosphate)、酢酸デンプン(Starch Acetate)、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン(Hydroxypropyl Distarch Phosphate)及びヒドロキシプロピルデンプン(Hydroxypropyl Starch)などであってもよいが、これらに制限されない。
【0049】
本発明の一実施例により、前記高分子樹脂は、セルロース系樹脂、PLA(Polylactic Acid)、PHA(Polyhydroxy Alkanoate)、ポリビニルアセテート樹脂PVC、TPU、EVA、PP、PE(低密度、高密度)、PET、ポリ塩化ビニル(PVC)などであってもよく、又は液状樹脂であってもよい。例えば、前記高分子樹脂は、バインダー機能を有するものであってもよい。例えば、前記セルロース系樹脂は、高分子マトリックスを提供するものであって、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)などであってもよいが、これらに制限されない。例えば、前記セルロース系樹脂は、微細線維化されたセルロース(例えば、厚さ:20μm~300μm)であってもよい。
【0050】
本発明の一実施例により、前記繊維は、 短繊維、長繊維、織物又は織物の粉砕物、不織布、フェルトなどを含むことができ、これらは合成成分の原糸及び/又は天然成分の原糸で製造できる。例えば、大麻、亜麻、苧麻、ケナフ、黄麻、綿、バナナ、繊維、バナナ繊維、パルプ繊維、竹繊維の天然繊維などであってもよい。例えば、前記長繊維は、PLA長繊維、脂肪族ポリエステル共重合体長繊維を含むことができる。前記脂肪族ポリエステル共重合体は、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンシュウレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート及びポリブチレンセバケートなどであってもよいが、これらに制限されない。
【0051】
本発明の一実施例により、前記溶媒は、残量又は前記組成物のうち1~99重量%;10~90重量%;10~80重量%;10~60重量%;又は10~30重量%であり、前記溶媒は、水、水溶性有機溶媒、脂溶性有機溶媒であってもよく、前記溶媒は用途に応じて適切に選択でき、好ましくは、前記壁紙又はペイントに適用可能なものであれば制限なく適用できる。例えば、炭素数1~5のアルコール、水、グリコール系溶媒などであってもよいが、これらに制限されない。例えば、前記グリコール系溶媒は、エチレングリコールブチルエーテル(ethylene glycol butyl ether)、エチレングリコール(ethylene glycol)、エチレングリコールモノアセテート(ethylene glycol monoacetate)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、ジエチレングリコールアセテート(diethylene glycol acetate)、テトラエチレングリコール(tetraethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(propylene glycol monomethyl ether)、トリメチレングリコール(trimethylene glycol)などであってもよい。
【0052】
本発明の一実施例により、前記組成物は、用途に応じて溶媒、結合剤、バインダー、ゴム(天然ゴム、エポキシ変性天然ゴム及び合成ゴム)、界面活性剤、希釈剤、分解剤、潤滑剤、香味剤、着色剤、保存剤、酸化防止剤、乳化剤、安定化剤、香味増進剤、発泡剤、充填剤、抗菌剤、可塑剤、湿潤剤(例えば、グリセリン又はプロピレングリコール)及びアセテート化合物などの添加剤をさらに含むことができ、前記添加剤は、本発明の技術分野における周知のものを選択することができ、本文書には具体的に言及しない。
【0053】
本発明の一実施例により、前記組成物は、様々な相(phase)で製造され、例えば、固相(例えば、粉末、クリスタル、フレーク、粉砕物)、スラリー、サスペンション、ペースト、ゲル、液相、エマルジョン又はエアロゾルであってもよい。例えば、前記組成物は、成形又は所望の製品に混合されるか、塗布(ペインティング)印刷、浸漬、噴霧及び/又はコーティングなどの本発明の技術分野における周知の方式で適用することができ、本文書には具体的に言及しない。
【0054】
本発明の一実施例により、前記組成物は、フィルム、シートなどの形態で成形されるか、基材上にコーティング、浸漬、印刷、塗布などの方式で適用することができる。前記基材は、前記組成物が適用可能なものであれば制限なく適用でき、例えば、建築構造物及びインテリア素材として活用される場合、コンクリート、鉄筋コンクリート、セメント成形物、レンガ、合板、木材、石膏ボード、タイル、石材、流し台、家具、壁紙などであってもよく、電子製品、機械装置及び装備などに適用できる。
【0055】
本発明の一実施例により、前記組成物は、建築、インテリア小道具などのペイント仕上げ材組成物として活用でき、例えば、ソファ-、窓、ドア、家具、壁紙(例えば、インテリアシート)などであり得る。また、例えば、前記組成物は、壁紙の原紙上にコーティングされ得る。
【0056】
本発明の一実施例により、前記インテリア製品又は小道具は、建築用、家庭用、自動車、航空、船舶、汽車などの産業用内外装材に該当することができる。例えば、前記自動車、航空、汽車などの仕上げ材などであり得る。
【0057】
本発明の一実施例により、前記組成物は、壁紙及び/又はペイントとして活用でき、例えば、前記壁紙は、前記組成物で成形された壁紙シート又はフィルムであることができ、例えば、前記壁紙は液状壁紙(例えば、ペイント壁紙)を塗布して乾燥して仕上げられた形態であり得る。
【0058】
本発明の一実施例により、前記ペイントは水溶性/脂溶性ペイントであってもよい。例えば、基材上に塗布した後、壁紙の感じを提供することができる。
【0059】
本発明の一実施例により、前記壁紙及び/又はペイントは、本発明による化学式1で表される化合物を含み、本発明による「化学式1で表される化合物」は、壁紙を製造する際に添加剤として予め含有させて壁紙を作るか、ペイントに添加剤として含有するようにしてペイントを壁、木、家具に塗るとき、「上記化学式1で表される化合物」も共に塗るようにすることができる。このとき、火災による熱気が伝わるとき、ある程度の高温(例えば、約200~300℃の温度によって「化学式1で表される化合物」で香味成分(例えば、ラクトン、メントール)成分が熱分解して発現できる。このとき、揮発性の香味成分は火災が発生した建物の火炎に近い部位から拡散し、建物全体に広がり、離れている人が特有のラクトン/メントール香りを嗅ぐようになると、火災が発生したことを認知することができる。普通の場合、火災によって壁紙、家具などが高温によって燃焼してこそ煙と共に煤と燃焼された産物が拡散するが、熱分解する成分がある条件であれば、より先に火災を認知することができる。
【0060】
本発明の一例として、前記ペイントは、建築構造物、インテリア製品、付属品、電子製品、自動車、航空、汽車などに活用できる。前記インテリア製品は、上記言及した家庭用、産業用の部品などに活用できる。
【0061】
本発明の一例として、前記壁紙の厚さは、0.1mm以上;0.1mm~5mm;0.1mm~3mm;0.1mm~2mm;0.1mm~1mm;又は1mm~2mmであってもよい。
【0062】
本発明の一例として、前記壁紙は単一層又は複数層を構成することができ、例えば、基材シート、樹脂層及び印刷層などを含むことができるが、これらに制限されない。また、前記壁紙の原紙に本発明による組成物が噴射、印刷及び/又はコーティングされ得る。
【0063】
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであるだけで、本発明の内容は下記実施例に限定されるものではない。
【0064】
実施例1
【0065】
[スキーム1]
【化42】
【0066】
(1-1)エチル4-ヒドロキシヘプタノエート(Ethyl 4-hydroxyheptanoate、2a)の合成
γヘプタラクトン(γ20g(0.15mol)をメタノール(methanol)100mLに溶かして撹拌しながらKOH11.17g(0.16mol、1.05eq.)を徐々に入れて室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF80mLを入れて撹拌しながらブロモエタン(bromoethane)17g(0.15mol、1eq.)を入れて12時間反応させた。反応液に水100mLを入れてエチルアセテート(ethyl acetate)で抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥した後、減圧濃縮して18.1g(66.7%、2steps)の目的物2aを得た。
【0067】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ8.01(s、1H、-OH)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、3.63(m、1H、CH-O)、2.42(m、2H、CO-CH)、1.81~0.92(m、12H、alkyl)
【0068】
(1-2)エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート[Ethyl 4-(mentylcarbonyloxy)heptanoate、3a]の合成
エチル4-ヒドロキシヘプタノエート(2a)18g(0.1mol)をTHF120mLに溶かし、ピリジン16g(pyridine、0.2mol、2eq.)を入れ、氷水で冷却して撹拌しながら、メンチルクロロホルメート23g(mentyl chloroformate、0.1mol、1eq.)THF20mL溶液をゆっくり滴下した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して30g(収率81%)の目的物3aを黄色液体として得た。
【0069】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.74(7tet、1H、J=4Hz、-COOCH-)、4.51(td、1H、J=9、4Hz、COO-CH-)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、2.36(m、2H、CO-CH-)、1.93~0.79(m、30H、alkyl)
【0070】
(1-3)4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタン酸[4-(mentylcarbonyloxy)heptanoic acid、4a]の合成
エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート(3a)25g(68.5mmol)をTHF100mL及び蒸留水30mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物4.2g(lithium hydroxide monohydrate、102.4mmol、1.5eq.)を入れ、室温で12時間反応させた。蒸留水50mLを追加し、エーテルで抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して21.8g(収率81%)の目的物4aを黄色液体として得た。
【0071】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.76(m、1H、-COOCH-)、4.52(td、1H、J=9、4Hz、COO-CH-)、4.11(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、2.42(m、2H、CO-CH-)、1.99~0.82(m、27H、alkyl)
【0072】
(1-4)グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)heptanoate、5a]の合成
4-(メチルカルボニルオキシ)ヘプタン酸(4a)3g(9.1mmol)をDMF20mLに溶かしてグルコース3.7g(20.5mmol、2.2eq.)を入れた。室温で撹拌しながらジイソプロピルカルボジイミド1.7g(diisopropylcarbodiimide、13.4mmol、1.5eq.)とDMAP0.05g(cat.)を順に入れた後、室温で12時間反応させた。反応物に蒸留水を入れ、エチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。混合物をメチレンクロライド(methylene chloride)とメタノール混合溶媒(6:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel column chromatography)して0.6g(収率13%)の目的物5aを得た。
【0073】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ5.30~3.54(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.45(m、2H、CO-CH-)、2.03~0.78(m、27H、alkyl)
【0074】
2.グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)nonanoate、5b]の合成
【0075】
[スキーム2]
【化43】
【0076】
(2-1)エチル4-ヒドロキシノナノエート[Ethyl 4-hydroxynonanoate、2b]の合成
γノナラクトン20g(γ0.13mol)をメタノール100mLに溶かして撹拌しながらKOH9.18g(0.14mol、1.05eq.)を徐々に入れて室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF80mLを入れて撹拌しながらブロモエタン14g(0.13mol、1eq.)を入れて12時間反応させた。反応液に水100mLを入れ、エチルアセテートで抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥した後、減圧濃縮して24g(93%、2steps)の目的物2bを得た。
【0077】
(2-2)エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ノナノエート[Ethyl 4-(mentylcarbonyloxy)nonanoate、3b]の合成
エチル4-ヒドロキシノナノエート(2)24g(0.12mol)をTHF120mLに溶かし、ピリジン18g(0.42mol、2eq.)を入れ、氷水で冷却して撹拌しながら、メンチルクロロホルメート26g(0.12mol、1eq.)THF30mL溶液をゆっくり滴下(dropping)した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して34g(収率74.5%)の目的物3を黄色液体として得た。
【0078】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.74(7tet、1H、J=4Hz、-COOCH-)、4.51(td、1H、J=9、4Hz、COO-CH-)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、2.36(m、2H、CO-CH-)、1.93~0.79(m、23H、alkyl)
【0079】
(2-3)4-(メチルカルボニルオキシ)ノナン酸[4-(Mentylcarbonyloxy)nonanoic acid、4b]の合成
エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ノナノエート(3)11.5g(29.9mmol)をTHF50mL及び蒸留水20mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物2g(48.7mmol、1.6eq.)を入れ、室温で12時間反応させた。蒸留水50mLを追加し、エーテル(ether)で抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して8.6g(収率80%)の目的物4bを黄色液体として得た。
【0080】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.75(m、1H、-COOCH-)、4.49(m、1H、COO-CH-)、2.04(m、2H、CO-CH-)、1.93~0.79(m、31H、alkyl)
【0081】
(2-4)グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)nonanoate、5b]の合成
4-(メチルカルボニルオキシ)ノナン酸(4b)6.6g(24.1mmol)をDMF30mLに溶かしてグルコース13g(72.1mmol、3eq.)を入れた。室温で撹拌しながらジイソプロピルカルボジイミド3.4g(26.9mmol、1.2eq.)とDMAP0.05g(cat.)を順に入れた後、室温で12時間反応させた。反応物に蒸留水を入れ、エチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。混合物をメチレンクロライドとメタノール混合溶媒(8:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして2g(収率16%)の目的物5bを得た。
【0082】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ5.57~3.35(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.43(m、2H、CO-CH-)、2.03~0.78(m、31H、alkyl)。
【0083】
3.グルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート[Glucosyl-(5-mentylcarbonyloxy)decanoate、6c]の合成
【0084】
[スキーム3]
【化44】
【0085】
(3-1)エチル5-ヒドロキシデカノエート(Ethyl 5-hydroxydecanoate、2c)の合成
δデカラクトン10g(δ58.7mmol)をメタノール50mLに溶かして撹拌しながらKOH4.2g(64.7mmol、1.05eq.)を徐々に入れ、室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF40mLを入れて撹拌しながらブロモエタン6.4g(58.7mmol、1eq.)を入れて12時間反応させた。
【0086】
反応液に水100mLを入れてエチルアセテート(ethylacetate)で抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥した後、減圧濃縮して7.6g(60%、2steps)の目的物2cを得た。
【0087】
(3-2)エチル5-(メチルカルボニルオキシ)デカノエート[Ethyl 5-(mentylcarbonyloxy)decanoate、3c]の合成
エチル4-ヒドロキシノナノエート(3c)7.5g(34.6mmol)をTHF50mLに溶かし、ピリジン5.3g(69.2mmol、2eq.)を入れ、氷水で冷却して撹拌しながら、メンチルクロロホルメート8.3g(37.9mmol、1.1eq.)THF20mL溶液をゆっくり滴下(dropping)した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。混合物をn-ヘキサンとエチルアセテート混合溶媒(7:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして4.5g(収率32.6%)の目的物3cを得た。
【0088】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.72(m、1H、-COOCH-)、4.52(m、1H、COO-CH-)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、2.31(t、2H、J=8Hz、CO-CH-)、2.08~0.86(m、27H、alkyl)、0.79(d、6H、J=8Hz、-CH
【0089】
(3-3)5-(メチルカルボニルオキシ)デカン酸[5-(Mentylcarbonyloxy)decanoic acid、4c]の合成
エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ノナノエート(3)2.7g(6.8mmol)をTHF20mL及び蒸留水10mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物0.42g(10.2mmol、1.5eq.)を入れ、室温で12時間反応させた。蒸留水10mLを追加し、エーテルで抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して2.1g(収率78%)の目的物4bを黄色液体として得た。
【0090】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.72(m、1H、-COOCH-)、4.51(td、1H、J=8、4Hz、COO-CH-)、4.11(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、2.38(m、2H、CO-CH-)、2.06~0.78(m、33H、alkyl)
【0091】
(3-4)5-イソプロピル-2-メチルシクロヘキシル(1-オキソ-1-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)デカン-5-イル)カーボネート[5-Isopropyl-2-methylcyclohexyl(1-oxo-1-(2-thioxothiazolidin-3-yl)decan-5-yl)carbonate、5c]の合成
5-(メチルカルボニルオキシ)デカン酸(4c)1.9g(5.1mmol)をdriedジクロロメタン20mLに溶かし、2-メルカプトチアゾリン0.73g(2-mercaptothiazoline、6.1mmol、1.2eq.)を入れ、氷水で冷却して撹拌しながら、EDC.HCl1.2g(6.1mmol、1.2eq.)とDMAP50mgをそれぞれゆっくり入れて反応させた。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてジクロロメタン(dichloromethane)で抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。混合物をn-ヘキサン(n-hexane)とエチルアセテート混合溶媒(3:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして2.1g(収率87.5%)の目的物5cを得た。
【0092】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.71(m、1H、-COOCH-)、4.57(t、2H、J=8Hz、N-CH)、4.51(m、1H、COO-CH-)、4.11(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、3.28(t、2H、J=8Hz、S-CH)、3.21(m、2H、CO-CH-)、2.04~0.79(m、33H、alkyl)
【0093】
(3-5)グルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート[Glucosyl-(5-mentylcarbonyloxy)decanoate、6c]の合成
5-Isopropyl-2-methylcyclohexyl(1-oxo-1-(2-thioxothiazolidin-3-yl)decan-5-yl)carbonate(5c)2.2g(4.7mmol)をピリジン20mLに溶かしてグルコース2.5g(glucose、14.1mmol、3eq.)を入れた。室温で撹拌しながら水素化ナトリウム(sodium hydride、60%)93mg(2.4mmol、0.5eq.)とDMAP0.03g(cat.)を順に入れた後、室温で12時間反応させた。反応物に酢酸0.5mLを入れて飽和塩水を入れた後、エチルアセテートで抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、減圧濃縮した。混合物をメチレンクロライドとメタノール混合溶媒(8:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして0.55g(収率22%)の目的物6cを得た。
【0094】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ5.57~3.15(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.36(m、2H、CO-CH-)、2.05~0.80(m、33H、alkyl)
【0095】
4.グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)undecanoate、6d]の合成
[スキーム4]
【化45】
【0096】
(4-1)エチル4-ヒドロキシウンデカノエート(Ethyl 4-hydroxyundecanoate、2d)の合成
γウンデカラクトン10g(54.2mmol)をメタノール50mLに溶かして撹拌しながらKOH3.9g(56.9mmol、1.05eq.)を徐々に入れて室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF50mLを入れて撹拌しながらブロモエタン5.9g(54.2mmol、1eq.)を入れて12時間反応させた。
【0097】
反応液に水80mLを入れてエチルアセテートで抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥した後、減圧濃縮して10.7g(85.6%、2steps)の目的物2dを得た。
【0098】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、3.59(m、1H、CH-O)、2.43(m、2H、CO-CH)、1.81~0.92(m、20H、alkyl)
【0099】
(4-2)エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Ethyl 4-(mentylcarbonyloxy)undecanoate、3d)の合成
エチル4-ヒドロキシウンデカノエート(2d)11g(47.7mmol)をTHF60mLに溶かし、ピリジン6.8g(95.5mmol、2eq.)を入れ、氷水で冷却して撹拌しながら、メンチルクロロホルメート10.5g(47.7mmol、1eq.)THF20mL溶液をゆっくり滴下(dropping)した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して8.3g(収率42.1%)の目的物3dを黄色液体として得た。
【0100】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.74(7tet、1H、J=4Hz、-COOCH-)、4.51(td、1H、J=9、4Hz、COO-CH-)、4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、2.36(m、2H、CO-CH-)、1.93~0.79(m、23H、alkyl)
【0101】
(4-3)4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸[4-(Mentylcarbonyloxy)undecanoic acid、4d]の合成
エチル4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート(3d)8.3g(19.4mmol)をTHF30mL及び蒸留水20mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物1.2g(29.1mmol、1.5eq.)を入れ、室温で12時間反応させた。蒸留水20mLを追加し、エーテルで抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。混合物をn-ヘキサンとエチルアセテート混合溶媒(8:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして6.8g(収率91.8%)の目的物4dを得た。
【0102】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.75(m、1H、-COOCH-)、4.51(m、1H、COO-CH-)、2.43(m、2H、CO-CH-)、2.17~0.78(m、35H、alkyl)
【0103】
(4-4)5-イソプロピル-2-メチルシクロヘキシル(1-オキソ-1-(2-チオキソチアゾリジン-3-イル)ドデカン-5-イル)カーボネート[5-Isopropyl-2-methylcyclohexyl(1-oxo-1-(2-thioxothiazolidin-3-yl)dodecan-5-yl)carbonate、5d]の合成
5-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸(4d)9.1g(23.6mmol)をdriedジクロロメタン50mLに溶かして、2-メルカプトチアゾリン3g(24.8mmol、1.05eq.)を入れ、氷水で冷却して撹拌しながら、EDC.HCl5g(25.9mmol、1.1eq.)とDMAP20mgをそれぞれゆっくり入れて反応させた。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてジクロロメタンで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して10.9g(収率92%)の目的物5dを得た。
【0104】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.71(m、1H、-COOCH-)、4.57(t、2H、J=8Hz、N-CH)、4.51(m、1H、COO-CH-)、4.11(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、3.28(t、2H、J=8Hz、S-CH)、3.21(m、2H、CO-CH-)、2.04~0.79(m、33H、alkyl)
【0105】
(4-5)グルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Glucosyl-(4-mentylcarbonyloxy)undecanoate、6d]の合成
4-(メチルカルボニルオキシ)ウンデカン酸4.9g(12.7mmol)をジクロロメタン30mLに溶かし、塩化チオニル3g(thionyl chloride、25.2mmol、2eq.)を入れ、2時間refluxさせた。他のフラスコにDMF溶媒にグルコース6.9g(3eq)とピリジン4.9g(5eq.)を入れて室温で撹拌しながら、上記の反応液を徐々に滴下(dropping)し、12時間反応させた。反応液に水を入れ、ジクロロメタンで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーして(MC/MeOH、10:1)目的物(6d)2.6gを得た(37.7% yield)。
【0106】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ5.23~3.35(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.43(m、2H、CO-CH-)、2.03~0.78(m、35H、alkyl)。
【0107】
5.グルコシ-(4-ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Glucosyl-(4-benzyloxycarbonyloxy)undecanoate、5e]の合成
【0108】
[スキーム5]
【化46】
【0109】
(5-1)エチル4-ヒドロキシウンデカノエート[Ethyl 4-hydroxyundecanoate、2d]の合成
γウンデカラクトン10g(54.2mmol)をメタノール50mLに溶かして撹拌しながらKOH3.9g(56.9mmol、1.05eq.)を徐々に入れて室温で12時間反応させた。反応液を減圧濃縮させた後、DMF50mLを入れて撹拌しながらブロモエタン5.9g(54.2mmol、1eq.)を入れて12時間反応させた。
【0110】
反応液に水80mLを入れてエチルアセテートで抽出した後、水と塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥した後、減圧濃縮して10.7g(85.6%、2steps)の目的物2dを得た。
【0111】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ4.12(q、2H、J=8Hz、COO-CH-)、3.59(m、1H、CH-O)、2.43(m、2H、CO-CH)、1.81~0.92(m、20H、alkyl)
【0112】
(5-2)エチル4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカノエート[Ethyl 4-(benzyloxycarbonyloxy)undecanoate、3e]の合成
エチル4-ヒドロキシウンデカノエート(2d)8.3g(36mmol)をTHF50mLに溶かし、ピリジン5.5g(72.3mmol、2eq.)を入れ、氷水で冷却して撹拌しながら、クロロギ酸ベンジル(benzylchloroformate)6.1g(35.3mmol、1eq.)THF20mL溶液をゆっくり滴下(dropping)した。1時間後、反応液を室温まで上げ、一晩反応させた後、水を入れてエチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して9.9g(収率75.6%)の目的物3eを黄色液体として得た。H NMR(CDCl、400.13MHz);δ7.37~7.34(m、5H、ph)、5.14(m、2H、O-CH-Ph)、4.12(brs、1H、O-CH-)、2.42(m、2H、CO-CH-)、1.90~0.79(m、21H、alkyl)(図24)。
【0113】
(5-3)4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカン酸[4-(Benzyloxycarbonyloxy)undecanoic acid、4e]の合成
エチル4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカノエート(3e)10g(27.5mmol)をTHF30mL及び蒸留水20mLに溶かし、水酸化リチウム一水和物1.7g(41.4mmol、1.5eq.)を入れて室温で12時間反応させた。蒸留水20mLを追加し、エーテルで抽出した。水層を濃塩酸を入れてpH3に調整した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮して8.2g(収率89%)の目的物4eを得た。
【0114】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ7.37~7.35(m、5H、ph)、5.14(m、2H、O-CH-Ph)、4.48(m、1H、O-CH-)、2.47(m、2H、CO-CH-)、1.90~0.79(m、21H、alkyl)
【0115】
(5-4)グルコシ-(4-ベンジルオキシカルボニルオキシ)ノナノエート[Glucosyl-(4-benzyloxycarbonyloxy)nonanoate、5e]の合成
4-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)ウンデカン酸(4e)8g(23.8mmol)をDMF30mLに溶かしてグルコース13g(72.1mmol、3eq.)を入れた。室温で撹拌しながらジイソプロピルカルボジイミド3.4g(26.9mmol、1.1eq.)とDMAP0.05g(cat.)を順に入れた後、室温で12時間反応させた。反応物に蒸留水を入れ、エチルアセテートで抽出した。有機層をそれぞれ希塩酸、炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した後、MgSOで乾燥し、減圧濃縮した。混合物をメチレンクロライドとメタノール混合溶媒(8:1)を使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーして0.3g(収率2.5%)の目的物5eを得た。
【0116】
H NMR(CDCl、400.13MHz);δ7.37~7.34(m、5H、ph)、5.30~3.37(m、13H、グルコース、-COOCH、-COOCH)、2.39(m、2H、CO-CH-)、1.92~0.84(m、17H、alkyl)
【0117】
実験例
6d化合物(2C)が熱に露出時、熱的特性(pyrolytic behavier)を確認するために熱分解実験を進行し、これは通常知られている熱分解-ガスクロマトグラフィー/質量分析(Pyrolysis-Gas Chromatography/Mass Spectrometry[Py-GC/MS])方法によって観察した。熱分解装備(Pyrolyzer)は、『Double-Shot Pyrolyzer 2020iD』(Frontier Lab、Japan)をGC/MS(Agilent 6890 GC、USA/Aginelt 7890 MSD、USA)装備に連結されているシステムで行った。2Cをエチルアルコール(Ethyl alcohol)溶液に2.5%濃度で希釈した後、pyrolyzer sample cupに10ulローディングした後、熱分解させた。熱分解温度はDouble-Shot Pyrolyzerの高炉(Furnace)の温度を指定してサンプルが受ける温度を調節したが、最初の熱分解温度は80℃で30秒間サンプルが置かれたサンプルカップを高炉に露出させ、サンプルカップ内のターゲット化合物(2C)が熱分解を受けるようにした。熱によって生成、あるいは熱によって揮発された成分は、すぐにGC/MSの注入口(Injector)に注入され、分離(separation)された。熱分解後、GC/MS分析される間、サンプルカップを高炉から出して熱分解温度の影響を受けないようにし、最初の熱分解によるGC/MS分析の終了後、最初に使用されたサンプルカップを新たに化合物を注入せずに再び熱分解を受けるようにしたが、このとき、熱分解温度は10℃高い90℃で30秒間熱分解を受けるようにした。やはり熱分解が終わった後、サンプルカップを高炉から出して熱分解温度の影響を受けないようにした。このような方式で、最初の試料をサンプルカップにローディングした後、熱分解させる際の温度は80℃、90℃、100℃から最終的には320℃まで昇温しながら熱分解実験を行った。その結果、熱分解温度が高くなって受けるようになる化合物の熱分解特性を温度帯別に分割して考察することができた。その結果は図25図27に示した。
【0118】
[分解メカニズム]
【化47】
【0119】
図25図27において、2B化合物は、熱分解実験結果、約120℃の温度でメントール及びガンマ-ウンデカノラクトンが分解することを確認することができる。
【0120】
すなわち、前記分解メカニズムでラクトン[1C、ガンマ-ウンデカラクトン]を開環し、ヒドロキシル基をカーボネート連結基(carbonate linkage)でL-メントール(L-Menthol)と連結した後、糖(グルコース)にエステルで連結し、[2C]化合物を製造した。[2C]化合物が製品マトリックスに適用した後、熱によってL-メントール([3C])とCOが生成され、ヒドロキシル基が露出した[4C]化合物が生成される。[4C]化合物はまた、熱によって閉環(ring-closing、intramolecular esterification)され、ガンマ-ウンデカラクトン[5C]が生成される。[2C]状態でヒドロキシル基がメンチルカーボネート基(Menthyl carbonate group)で保護され、常温では閉環が発生することを抑制し得る。また、熱分解実験結果、メントールが熱分解すると共にラクトンリングが生成されることが確認できた。
【0121】
本発明の熱分解香味成分を発現させる化合物は以下の通りであり、このような熱的様相(Pyrolytic behavior)によってラクトンが生成される温度範囲帯を知っているため、加熱式タバコに適用した時、加熱温度を適切に調節することで、媒質に添加された化合物2Cからメントールとラクトンが放出される程度と速度を調節することができ、最適の温度条件でパフが持続しても均一な味と香が放出されるように制御できる。
【0122】
実施例2
製造例の目的物(合成されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ヘプタノエート、5a、1重量%)、ベース基質(天然長繊維、パルプ及びカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose、CMC)、15:50:5(w/w)、90重量%)及び残量の水を混合し、基材上にコーティングし、乾燥させて壁紙シート(約2mm厚さ)を製造した。前記シートは室温で臭いを嗅いでみたが、目的物の合成に使用された香料化合物の臭いはなかったが、前記壁紙シートの燃焼時、香味(例えば、目的物の合成に使用されたラクトン香及びメントール香)が発現することを確認した。
【0123】
実施例3
製造例の目的物(合成されたグルコシ-(4-メチルカルボニルオキシ)ノナノエート、5b、1重量%)、ベース基質(天然長繊維、パルプ及びカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose、CMC)、15:50:5(w/w)、90重量%)及び残量の水を混合して基材上にコーティングし、乾燥させて壁紙シート(約2mm厚さ)を製造した。前記シートは室温で臭いを嗅いでみたが、目的物の合成に使用された香料化合物の臭いはなかったが、前記壁紙シートの燃焼時香味(例えば、目的物の合成に使用されたラクトン香及びメントール香)が発現することを確認した。
【0124】
実施例4
製造例の目的物(合成されたグルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート、6c、1重量%)、ベース基質(天然長繊維、パルプ及びカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose、CMC)、15:50:5(w/w)、95重量%)及び残量の水を混合し、基材上にコーティングして乾燥させ、壁紙シート(約2mm厚さ)を製造した。前記シートは室温で臭いを嗅いでみたが、目的物の合成に使用された香料化合物の臭いはなかったが、前記壁紙シートの燃焼時、香味(例えば、目的物の合成に使用されたラクトン香及びメントール香)が発現することを確認した。
【0125】
実施例5
製造例の目的物(合成されたグルコシ-(5-メチルカルボニルオキシ)デカノエート、6c、1重量%)、ベース基質(天然長繊維、パルプ及びカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose、CMC)、15:50~60:5(w/w)、80重量%)、プロピレングリコール、テレピン油及び残量の水を含む液状のペイント組成物を製造した。前記液状組成物は、コンクリート壁に筆で塗り、乾燥して壁紙のような感じで仕上げた。前記仕上げられた壁は室温で臭いを嗅いでみたが、目的物の合成に使用された香料化合物の臭いはなかった。前記壁の近くで家具を燃焼させて熱を受けると、前記壁で香味(例えば、目的物の合成に使用されたラクトン香及びメントール香)が発現することを確認した。
【0126】
以上のように、実施例が限られた実施例と図面によって説明されたが、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順序で実行、及び/又は説明された構成要素が説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合わせられる、あるいは、他の構成要素又は均等物によって代替又は置き換えられても、適切な結果が達成できる。したがって、他の実施形態、他の実施例、及び特許請求の範囲と均等なものも、後述する特許請求の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
【国際調査報告】