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特表2023-554580内視鏡電気手術器具、そのような電気手術器具を備える電気手術装置、及び内視鏡電気手術キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】内視鏡電気手術器具、そのような電気手術器具を備える電気手術装置、及び内視鏡電気手術キット
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20231221BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20231221BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A61B1/00 622
A61B1/00 715
A61B1/06 531
A61B18/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023526084
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2023-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2021079982
(87)【国際公開番号】W WO2022111938
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】2018631.8
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
【テーマコード(参考)】
4C160
4C161
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK38
4C160MM33
4C160MM43
4C160MM53
4C161CC06
4C161DD04
4C161FF26
4C161FF45
4C161HH57
4C161JJ12
4C161LL02
4C161QQ06
(57)【要約】
本発明は、内視鏡電気手術器具であって、電気手術器具の近位端から、電気手術器具の遠位端の領域に電磁エネルギーを伝達するように構成される給電構造体と、遠位端の領域に配置される照射素子であって、照射素子が給電構造体に接続されて給電構造体からの電磁エネルギーを受け、照射素子が電磁エネルギーを目標領域に照射するように構成されている、照射素子と、遠位端の領域に配置され、目標領域の一部の画像を生成するに構成されているイメージキャプチャデバイスと、を備える内視鏡電気手術器具に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡電気手術器具であって、
前記電気手術器具の近位端から、前記電気手術器具の遠位端の領域に電磁エネルギーを伝達するように構成される給電構造体と、
前記遠位端の前記領域に配置される照射素子であって、前記照射素子が前記給電構造体に接続されて前記給電構造体からの前記電磁エネルギーを受け、前記照射素子が前記電磁エネルギーを目標領域に照射するように構成されている、前記照射素子と、
前記遠位端の前記領域に配置され、前記目標領域の一部の画像を生成するに構成されているイメージキャプチャデバイスと、
を備える、前記内視鏡電気手術器具。
【請求項2】
前記イメージキャプチャデバイスに接続し、前記近位端まで延びる、少なくとも1個のワイヤをさらに備える、請求項1に記載の電気手術器具。
【請求項3】
前記照射素子が第1の電極及び/または第2の電極を備え、好ましくは、前記照射素子が、互いに離間し、前記電気手術器具の周りに露出している、前記第1の電極及び前記第2の電極を備える、請求項1または2に記載の電気手術器具。
【請求項4】
前記第1の電極及び/または前記第2の電極が、らせん形状、環形状、弓形状、特に、半円形状、または半球形状を有する、請求項3に記載の電気手術器具。
【請求項5】
前記給電構造体が、前記照射素子に接続し、前記近位端まで延びる少なくとも1個の給電ワイヤを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項6】
前記近位端から前記遠位端に延びる細長本体をさらに備え、好ましくは、前記給電構造体の少なくとも一部が前記本体の外側表面にプリントされ、さらに好ましくは、前記給電構造体が銀プリント済み材料を備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項7】
前記給電構造体の少なくとも一部を取り囲む絶縁シースをさらに備える、請求項6に記載の電気手術器具。
【請求項8】
前記照射素子及び/または前記給電構造体が、前記本体の前記外側表面に配置される器具シース内、及び/または器具シース上に配置され、好ましくは、前記器具シースが前記本体に固定される、請求項6または7に記載の電気手術器具。
【請求項9】
前記給電構造体が、内部伝導体と、前記内部伝導体と同軸上に配置され、誘電体材料により前記内部伝導体と電気的に絶縁されている外側伝導体と、を備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項10】
請求項2に従属する場合、
前記少なくとも1個のワイヤが前記誘電体材料内で延び、または
前記内部伝導体が中空であり、前記少なくとも1個のワイヤが前記中空内部伝導体内で延びる、
請求項9に記載の電気手術器具。
【請求項11】
前記給電構造体のインピーダンスを、前記給電構造体に接続した伝送線路のインピーダンスに一致させるためのインピーダンス変成器、好ましくは、マイクロストリップインピーダンス変成器をさらに備え、好ましくは、前記インピーダンス変成器が前記近位端で前記給電構造体に接続する、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項12】
前記電気手術器具の外径が1.5mm未満、好ましくは1.2mm未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項13】
前記目標領域を照射するための、前記遠位端の前記領域に配置される光照射器をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項14】
近位端及び遠位端を有する細長本体と、加えて、前記遠位端の領域に配置され、目標領域の一部の画像を生成するように構成されるイメージキャプチャデバイスと、を備えるイメージキャプチャ装置と、
管状器具シースと、給電構造体と、照射素子と、を備える照射装置であって、前記給電構造体が、前記器具シース内、及び/または前記器具シース上に配置され、電磁エネルギーを、前記器具シースの近位端から前記器具シースの前記遠位端の領域に伝達するように構成され、前記照射素子が、前記遠位端の前記領域内の前記器具シース内、及び/または前記器具シース上に配置され、前記給電構造体に接続されて前記給電構造体からの前記電磁エネルギーを受け、前記照射素子が、前記電磁エネルギーを前記目標領域内に照射するように構成されている、前記照射装置と、を備え、
前記器具シースが前記本体の少なくとも一部を取り囲み、前記本体から着脱可能である、内視鏡電気手術キット。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の電気手術器具と、
電磁エネルギーを生成するための生成器であって、前記生成器が前記給電構造体に接続されている、前記生成器と、
を備える、電気手術装置。
【請求項16】
前記生成器が、高周波範囲の、及び/または、最大915MHzの極超短波周波数で電磁エネルギーを生成するように構成される、請求項15に記載の電気手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡電気手術器具、及び、そのような電気手術器具を備える電気手術装置に関する。本発明はさらに、内視鏡電気手術キットに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡操作は多くの場合、内視鏡カメラを使用して、調査または治療される予定の目標領域をイメージングする。治療そのものは、内視鏡カメラのいずれかの側に沿って配置される別個の内視鏡器具により実施されるか、または、内視鏡カメラが内視鏡器具により置き換えられる。以前の場合、治療される予定の体腔は、内視鏡カメラと内視鏡器具の両方を収容するほど十分大きくはない場合がある。この場合、内視鏡カメラが内視鏡器具により置き換えられる場合がある。しかし、これは、内視鏡カメラにより同時に監視不可能な治療をもたらす。したがって、オペレーターは治療をやみくもに行う場合がある。これは、治療の結果に負の影響を及ぼす場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、独立請求項によって定義される。従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0004】
内視鏡電気手術器具は、給電構造体、照射素子、及びイメージキャプチャデバイスを備える。給電構造体は、電磁エネルギーを電気手術器具の近位端から、電気手術器具の遠位端の領域に伝達するように構成される。照射素子は、遠位端の領域に配置される。照射素子は給電構造体に接続して、給電構造体から電磁エネルギーを受ける。照射素子は、電磁エネルギーを目標領域に照射するように構成される。イメージキャプチャデバイスは、遠位の領域に配置され、目標領域の一部のイメージを生成するように構成される。
【0005】
内視鏡電気手術キットは、イメージキャプチャ装置と照射装置を備える。イメージキャプチャ装置は、近位端と遠位端とを有する細長本体、加えて、遠位端の領域に配置され、目標領域の一部のイメージを生成するように構成されるイメージキャプチャデバイスを備える。照射装置は、管状器具シース、給電構造体、及び照射素子を備える。給電構造体は、器具シース内、または器具シース上に配置され、電磁エネルギーを、器具シースの近位端から器具シースの遠位端の領域に伝達するように構成される。照射素子は、遠位の領域の器具シース内、または器具シース上に配置され、給電構造体に接続され、電磁放射線を目標領域に放出するように構成される。器具シースは、本体の少なくとも一部を取り囲み、本体の外表面に着脱可能に、または取り外し可能に配置されている。
【0006】
電気手術装置は、上述した電気手術器具、及び、電磁エネルギーを生成するための生成器を備える。生成器は給電構造体に接続されている。
【0007】
内視鏡電気手術器具及び/または内視鏡電気手術キットは、目標領域の一部を、照射素子により放出される電磁放射線を用いてこれらの同じ一部を治療しながら同時にイメージングすることができる。イメージキャプチャデバイスを使用することにより、光を目標領域から、目標領域とは離れて配置された光学センサに伝導する光ファイバーが省略される。したがって、電気手術器具及び/または内視鏡電気手術キットの外径を小さくすることができる。これにより、光ファイバーを組み込んでいるデバイスと比較して、内視鏡電気手術器具及び/または内視鏡電気手術キットを、より小さい体腔で使用することが可能となる。
【0008】
一般的に利用可能な画像装置よりも小さい外径を有する、本明細書に記載する内視鏡電気手術器具及び/または内視鏡電気手術キットを製造することができる。例えば、画像装置が、光を、治療される予定の目標領域に向け、光を、目標領域から、目標領域とは離れて配置された光学チップに誘導しイメージを生成する、光ファイバーの束で構成される場合、光ファイバーの束は、内視鏡器具の直径を加えて大きな直径を有する。したがって、小さな直径を有する体腔は、内視鏡電気手術器具と組み合わせた、上述した画像装置では治療することができない。画像装置の直径が増加した光ファイバーの束の使用は、内視鏡電気手術器具及び/または内視鏡電気手術キットによって回避することができる。
【0009】
電気手術キットは、内視鏡イメージングキャプチャ装置の上で引っ張ることができる、器具シース内、及び/または器具シース上での電気手術能力を付与する。したがって、器具シースの形態の照射装置は、直径を内視鏡イメージキャプチャデバイスまで大幅に増加させない。さらに、イメージキャプチャ装置は、イメージキャプチャ装置、または、器具シースの形態の照射装置のいずれかが使い捨て素子となることができるように、照射装置と離間させることができる。
【0010】
内視鏡電気手術器具及び/または内視鏡電気手術キットは、ヒト、または、哺乳類などの動物の体に配置された腔を治療し、イメージングするためのデバイスとして構成することができる。「内視鏡」とは、電気手術器具及び/または電気手術キットが、手術視鏡デバイスと共に用いることができるように構成されていると理解することができる。電気手術器具及び/または内視鏡電気手術キットは、自身で体腔に挿入することができる、または、視鏡デバイスを使用して治療領域に誘導される。例えば、電気手術器具及び/または内視鏡電気手術キットは、カテーテル、または、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、腎盂鏡、頭蓋鏡、結腸鏡、または腹腔鏡などの他の種類の視鏡デバイスに挿入することができる。加えて、電気手術器具及び/または内視鏡電気手術キットは、内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、腎盂鏡、頭蓋鏡、結腸鏡、または腹腔鏡として使用することができる。
【0011】
電気手術器具は、電気手術器具の内視鏡能を付与する細長本体を備えてよい。給電構造体、照射素子、及び/またはイメージキャプチャデバイスは、細長本体内、及び/または細長本体上に配置されてよい。
【0012】
細長本体、給電構造体、及び/または照射素子は、電気手術器具の遠位端が、体から目標領域に移動する際に屈曲することができるようにするために、可撓性であってよい。目標領域は、治療、及び/またはイメージングされる予定の、体内の腔(もしくは、一帯もしくは領域)、または腔の一部(もしくは、一帯もしくは領域)であってよい。例えば、照射素子は、目標領域内の組織を切除する、刺激する、切断する、及び/または凝固させるために、電磁放射線を放出する。一実施形態では、目標領域は、電気手術器具の外ではあるが、器具の遠位端に、または遠位端付近にある領域または一帯であると理解してよい。
【0013】
電気手術器具は、細長本体により構成されることができる細長構造体を有する。電気手術器具の遠位端とは、患者に挿入することができる、電気手術器具の細長構造体の端部である。電気手術器具の近位端は、生成器及び/または表示デバイスに接続されるのが好ましく、使用の際に、患者の外側に留まることができる。電気手術器具または細長構造体の長さは、遠位端から近位端まで延びる。
【0014】
電気手術器具は、棒状構造体を有してよい。電気手術器具は、その(長手方向に対応する)延び方向と垂直に可撓性であり、延び方向には剛性である。
【0015】
細長本体は管状構造体を有してよい、即ち、細長本体は、遠位端から近位端に延びる中央通路(または、穴もしくは内腔)を有してよい。細長本体は、電気手術器具の他の部品を外側、例えば流体から遮断または遮蔽(例えば、保護)するためのシースとして構成されてよい。
【0016】
照射素子は、電気手術器具の遠位端付近に、または、遠位端に近接して配置される。これは、照射素子が、遠位端から、電気手術器具の全長の5%未満、3%未満、または1%未満離れて配置されることを意味する。したがって、照射素子はほぼ遠位端に配置される。
【0017】
照射素子は、高周波放射線、及び/または極超短波放射線を放出するように構成されてよい。高周波放射線は組織を切断するために使用することができる一方で、極超短波放射線は、目標領域において組織を切除する、凝固させる、及び/または刺激するために使用することができる。照射素子は、1個以上の導体素子を備えてよい。特に、照射素子が高周波放射線を放出するように構成される場合、照射素子は、互いに近接して配置されるが、互いに離間している少なくとも2個の導体素子を備える。照射素子に供給される高周波電磁エネルギーにより、2つの導体素子の間で生成される電磁場を使用して、組織を切断することができる。
【0018】
照射素子は、双極子構造体、または単極子構造体を有してよく、後者は、極超短波放射線を放出するために使用することができる。照射素子、好ましくは、全ての導体素子は、電気手術器具の細長本体内、及び/または細長本体上に配置される。
【0019】
電磁エネルギーを近位端から照射素子に供給するために、給電構造体を照射素子に接続する。電磁エネルギーを伝達するために、給電構造体は任意の形状の導電性材料を備えることができる。給電構造体は、近位端で生成器に接続することができる。
【0020】
イメージキャプチャデバイスは、目標領域の一部の光学情報を、電気またはデジタル情報に変換するために構成することができる。例えば、イメージキャプチャデバイスは、目標領域の一部から放出した、光などの電磁放射線を、電気もしくはデジタル信号、または、一連の電気もしくはデジタル信号に変換するように構成され、これを処理して、目標領域の一部の目視可能な画像を作製することができる。電気もしくはデジタル信号、または、一連の電気もしくはデジタル信号は、目標領域の電気画像またはデジタル画像とみなすことができる。電気画像またはデジタル画像の生成は、電気手術器具の遠位端における領域で実施される。電気もしくはデジタル信号、または、一連の電気もしくはデジタル信号の処理は、目標領域のキャプチャした一部の目視可能な画像を表示するためのディスプレイもまた備え得る、ディスプレイデバイスにより実施することができる。
【0021】
イメージキャプチャデバイスは、遠位端の領域において、目標領域の一部の光学画像を作成するように構成することができる。イメージキャプチャデバイスは、目標領域の一部の光学画像を、電気信号、または一連の電気信号、例えばデジタル信号に変換するように構成することができ、ここから、目標領域の一部の画像を、ディスプレイスクリーンまたはディスプレイデバイスを備えたコンピューターまたはプロセッサなどの処理装置により再現することができる。イメージキャプチャデバイスにより作成された光学画像を、(電気信号、または一連の電気信号に対応する)電気またはデジタル画像に変換することは、遠位端の領域で実施することができる。
【0022】
イメージキャプチャデバイスは、電気信号または一連の電気信号を生成するように構成することができ、これらの信号を、目標領域の一部の二次元または三次元表示に変換することができる。これは、イメージキャプチャデバイスが必ずしも、光学情報を遠位端から近位端に伝達するわけではないが、遠位端の領域で、光学情報を電気情報に変換することを意味する。
【0023】
イメージキャプチャデバイスは、電気手術器具の遠位端付近に、または、遠位端に近接して配置される。これは、イメージキャプチャデバイス全体が、遠位端から、電気手術器具の全長の5%未満、3%未満、または1%未満離れて配置されることを意味する。したがって、イメージキャプチャデバイスはほぼ遠位端に配置される。
【0024】
イメージキャプチャデバイスは、1個以上のレンズデバイス、及び/または1個以上の光学センサを備えてよい。レンズデバイスを使用して、目標領域の一部から発せられる進入光線を、(光学センサ上の目標領域の一部の光学画像を生成するために)光学センサに投影することができる。レンズデバイスは、1個以上の光学レンズ、及び/または(調節可能な)絞りを備えてよい。しかし、レンズデバイスはピンホールであってよい場合がある。光学センサは、進入光を電気信号に変換するように構成することができる。例えば、光学センサは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、または電荷結合デバイス(CCD)であってよい。CMOSセンサは、最大40.000ピクセルを有してよい。CMOSセンサは、それぞれ0.65mm以上の長さ、加えて幅を有する、方形または正方形チップであってよい。レンズデバイス及び/または光学センサは、遠位端の領域に配置することができる。
【0025】
イメージキャプチャデバイスは、光学情報を、目標領域の一部を表す電気情報に変換するためのカメラ、または任意の他の手段であってよい。イメージキャプチャデバイスは、可視光、紫外線、及び/または、赤外光をイメージングするように構成することができる。イメージキャプチャデバイスは、目標領域においてマーカーの位置を同定するようにもまた構成することができる。
【0026】
イメージキャプチャデバイスは、対応するレンズデバイス、及び/またはピンホールにより画定される主光軸を有してよい。主光軸は、電気手術器具の長手方向伸張の向きに対して並行であってよい。この場合、イメージキャプチャデバイスは、前を向くように構成されている。あるいは、またはさらに、主光軸は、電気手術器具の長手方向伸張の向きに傾いていてよい。例えば、イメージキャプチャデバイスは横を向くように構成され、主光軸は、伸張の向きに対して90°、または、0°~90°の間の任意の他の角度傾いてよい。レンズデバイス及び/またはピンホールは、電気手術器具または本体の即表面に配置されてよい。
【0027】
イメージキャプチャデバイスにより生成される電気信号を、電気手術器具の近位端に接続したディスプレイデバイスに伝達することができる。本デバイスは、プロセッサ及び/またはディスプレイを備えてよい。ディスプレイデバイスは、モニターまたはスクリーンを備えるコンピューターであってよい。イメージキャプチャデバイスにより生成した電気信号を、プロセッサにより処理し、ディスプレイにより表示する。
【0028】
電気手術器具は、遠位端の領域に配置される光照射器もまた備えてよい。光照射器は、照明デバイス、及び/または、照明ファイバーの遠位端、もしくは、複数の照明ファイバーの遠位端を備えることができる。光照射器は、目標領域、または目標領域の一部、特に、イメージキャプチャデバイスによりキャプチャされる目標領域の一部を照射するために備えられる。
【0029】
照明デバイスは、例えば、遠位端の領域に配置される、1個以上のLEDを含んでよい1個以上の光源を備えてよい。照明デバイス、特に光源は、照明デバイスに接続され、近位端に延びる照明ワイヤにより給電することができる。照明ワイヤは、別個の電源に接続されてよい、または、ディスプレイデバイスにより給電されてよい。あるいは、またはさらに、照明デバイスは給電構造体に接続されてよい。給電構造体により供給されるエネルギーを使用して、照明デバイスに給電することができる。例えば、照射素子に供給される電磁エネルギーは、照明デバイスに給電するためのDC(直流)電圧と重なり合う、AC(交流)電圧であってよい。別の実施形態では、照射素子に対するAC電圧は、照明デバイスにもまた給電することができる。
【0030】
光照射器は、光ファイバー(複数可)-照明ファイバー(複数可)の遠位端を備えてよい。照明ファイバー(複数可)の遠位端は光を放出し、この光は他端、例えば、近位端の照明ファイバー(複数可)に供給される。したがって、光照射器は照明ファイバー(複数可)の一部を形成する。例えば、光照射器は、照明ファイバーの遠位端に配置される、もしくは遠位端に固定される、または、複数の照明ファイバーに固定される、レンズまたはレンズ構造体である。照明ファイバーの近位端は、ランプまたはLEDなどの光源に接続されてよく、これらをディスプレイデバイスに配置することができる。照明ファイバー(複数可)は、本体の近位端から突き出ていてよい。
【0031】
照明ファイバー、及び/または、遠位端で照明ファイバーに取り付けられたレンズは、10μm、100μm、または500μmの最大外径を有してよい。したがって、照明ファイバーは、電気手術器具の直径を著しく増加させるものではない。これは、遠位端で集められる光を、近位端に配置される光学センサに伝達するための収集ファイバーを備える既知の内視鏡カメラとは対照的である。収集ファイバーは、照明ファイバーの直径よりも通常は10倍大きい外径を有する。したがって、収集ファイバーを省略することで、電気手術器具の直径を大幅に小さくすることができる。
【0032】
外径(または、最大外径)は、断面図での、照明ファイバー(または、外径が指す任意の他の構成要素)の外辺部上の任意の2箇所の間の、最大距離に対応する。
【0033】
一実施形態では、断面図では環に配置され得る、複数の照明ファイバーが提供される。各照明ファイバーは少なくとも、近位端から細長本体を通って遠位端まで延びる。照明ファイバーの複数の環が設けられてよい。照明ファイバーの環は、光学センサを取り囲むことができる。
【0034】
電気手術キットのイメージキャプチャ装置は、上述したイメージキャプチャデバイスと同じ能力を有してよい。しかし、上述した細長本体は、イメージキャプチャ装置に属する。電気手術キットのイメージキャプチャ装置は、内視鏡カメラであると考えられる。
【0035】
照射装置は、上述した給電構造体及び照射素子を備えてよい。電気手術キットでは、給電構造体及び照射素子の両方が、器具シース内に、及び/または器具シース上に配置される。器具シースは、管形状を有する可撓性素子であってよい。器具シースは、ゴムまたはポリマーなどのプラスチック材料製であってよい。
【0036】
器具シースはイメージキャプチャ装置の上で引っ張ることができる、または、イメージキャプチャ装置は器具シースに挿入される。器具シースは、摩擦推力(例えば、締まりばめ)により、イメージキャプチャ装置に取り付けられることができる。例えば、器具シースは、器具シースを、イメージキャプチャ装置の細長本体の上で引っ張る際に、器具シースが半径方向に延びるように、イメージキャプチャ装置の細長本体の外径よりもわずかに小さい内径を有してよい。器具シースをイメージキャプチャ装置の本体に固定するために、本体の外側表面を器具シースの内側表面に(例えば、接着剤、または機械的固定により)固定することもまた可能である。
【0037】
器具シースは、照射素子及び給電構造体を備える。したがって、器具シースをイメージキャプチャ装置に取り付けることで、上述の能力を有する電気手術器具を組み立てることができる。イメージキャプチャ装置及び照射装置は、電気手術キットが組み立てられる前は別個の素子である。異なる種類のカメラを同じ器具シースに取り付ける、または、異なる種類の器具シース(例えば、異なる種類の照射素子もしくは給電構造体)を、同じイメージキャプチャデバイスに付けることが可能である。これにより、イメージキャプチャ装置及び/または照射装置を個々の状況に対して容易にカスタマイズすることが可能となる。
【0038】
器具シースを用いることで、内視鏡カメラまたはイメージキャプチャ装置に電気外科用装置をレトロフィットさせて、目標領域内の組織を治療することができる。
【0039】
任意の実施形態では、電気手術器具またはイメージキャプチャ装置は、イメージキャプチャデバイスに接続し、近位端まで延びる、少なくとも1個のワイヤをさらに備える。
【0040】
少なくとも1個のワイヤは、イメージキャプチャデバイスに給電するために設けられてよい。さらに、少なくとも1個のワイヤは、イメージキャプチャデバイスにより生成される電気信号を、少なくとも1個のワイヤの近位端に伝達するために設けられる。少なくとも1個のワイヤの近位端は、例えば、コネクタにより、ディスプレイデバイスに接続されてよい。
【0041】
例えば、イメージキャプチャデバイスに給電するためのものと、イメージキャプチャデバイスにより生成される電気シグナルを近位端に伝達するためのものの、2つのワイヤが設けられる。さらに、イメージキャプチャデバイスに接続したワイヤ(複数可)は、照明ワイヤと共に束ねられてよい。
【0042】
少なくとも1個のワイヤ、及び/または照明ワイヤは、細長本体内の中央通路の中を延びてよい。通路は、近位端から遠位端に延びてよい。ワイヤ以外の伝導体、例えば同軸ケーブルにより、イメージキャプチャデバイスがディスプレイデバイスに接続することができる。
【0043】
さらに、またはあるいは、給電構造体は、イメージキャプチャ装置に給電するために、及び/または、電気もしくはデジタル信号、もしくは、一連の電気もしくはデジタル信号を、遠位端から近位端に伝達するために、イメージキャプチャ装置に接続する。この場合、ディスプレイデバイスは、近位端で給電構造体に接続してよい。第1のフィルタ(例えば、低域フィルタ)をディスプレイデバイスと共に設け、ディスプレイデバイスのプロセッサに供給されている、RFまたは極超短波範囲の電磁エネルギーを抑制することができる。さらに、生成器は、第2のフィルタ(例えば、高域フィルタ)を備え、イメージキャプチャデバイスにより生成される、電気もしくはデジタル信号、または一連の電気もしくはデジタル信号との干渉を抑制することができる。
【0044】
任意の実施形態では、照射素子は、第1の電極、及び/または第2の電極を備える。任意に、照射素子は、第1の電極と、第1の電極とは離間している(例えば、孤立している)第2の電極と、を備え、照射素子は、電気手術器具の周りに露出している。
【0045】
高周波放射線の放出のために、第1の電極及び第2の電極を設けてよい。第1の電極及び第2の電極は、第1の電極と第2の電極の間に配置される絶縁体により、互いに電気的に絶縁されていてよい。例えば、第1の電極及び第2の電極は、細長本体または器具シースに挿入される、または、これらの上に配置される。細長本体または器具シースは、プラスチック材料などの絶縁材料から作製されてよい。
【0046】
第1の電極及び/または第2の電極は、これらが高周波放射線を放出するために使用される場合、電気手術器具の周りに露出しているのが好ましい。これは、第1の電極及び/または第2の電極を、目標領域の組織と接触して配置することができることを意味する。
【0047】
第1の電極を単独で、または、第2の電極と組み合わせてのいずれかで使用して、極超短波放射線を放出させることができる。第1の電極及び/または第2の電極を、給電構造体に取り付けてよい。
【0048】
第1の電極及び/または第2の電極を電気手術器具、特に、細長本体または器具シースに埋め込むことが可能である。電極が、極超短波放射線を放射するためのものであるときには、この配置で第1の電極及び/または第2の電極を用いるのが好ましい。
【0049】
第1の電極及び/または第2の電極は金属材料から作製されてよく、電気手術器具の外側表面から、例えば、細長本体または器具シースの外側表面から突き抜けることができる。
【0050】
任意の実施形態では、第1の電極及び/または第2の電極は、らせん形状、環形状、半円形状、弓形状、または半球(もしくはドーム)形状である。
【0051】
説明されるように、第1の電極及び第2の電極は、本体の外面上に配置されることができる。らせん形状を有する第1の電極及び第2の電極は、短絡を回避するために互いから離間されながら、インターリーブされ得る。例えば、本体の長手方向に沿って見るとき、電極の配置は、第1の電極の一部、第2の電極の一部、第1の電極の一部、第2の電極の一部などであってよい。
【0052】
環形状の場合、第1の電極及び/または第2の電極は、電気手術器具の周囲に延びる。第1の電極及び第2の電極は、電気手術器具の長手方向とは離間していてよい。第1の電極及び第2の電極は、電気手術器具の長手方向に沿って交互に配置される、複数の環を備えていてよい。
【0053】
第1の電極及び/または第2の電極の形状が弓形または半円形である場合、第1の電極及び第2の電極は、長手方向に同じ方向で配置されてよい一方で、第1の電極及び第2の電極の弓形または半円形曲線の終端は、互いに離間して、互いに向き合っている。
【0054】
ドーム形状または半球形状の場合、ドーム形状または半球形の第1の電極、及び半球形の第2の電極は、互いに離間したまま電気手術器具の反対側に配置される。
【0055】
任意の実施形態では、給電構造体は、照射素子に接続し、近位端に延びる、少なくとも1個の給電ワイヤを備える。
【0056】
例えば、一方の給電ワイヤは第1の電極に接続する一方で、別の給電ワイヤは第2の電極に接続する。各給電ワイヤは、直径が小さい、単独の細長伝導体を備えてよい。給電ワイヤは絡み合っていてよい。
【0057】
給電ワイヤを設けることにより、直径が小さい給電構造体をもたらすことができる。そのため、細い給電ワイヤは、電気手術器具の外径を著しく増加させるわけではない。任意に、給電ワイヤは、高周波電磁エネルギーのみを伝達するために設けられる。
【0058】
任意の実施形態では、給電構造体の少なくとも一部分は細長本体の外側表面にプリントされ、給電構造体は好ましくは、銀色のプリント材料を含む。
【0059】
給電構造体は、器具シースに、または、器具シースと、細長本体の外側表面との両方にプリントされてよい。プリント(または、プリント済み材料)、好ましくは、銀色プリントとして給電構造体を導入することにより、ほとんど空間を必要としない給電構造体がもたらされる。プリントは、マイクロメートル~ミリメートルの範囲の厚さを有してよい。給電構造体のプリントによって、細長本体及び/または器具シースの直径を実質的に増加させることなく、電気エネルギーの供給がもたらされる。
【0060】
プリントは金属材料製であってよく、照射素子に、または照射素子の上に延びる。例えば、給電構造体は、存在する内視鏡カメラの外側表面上にプリントされてよい一方で、照射素子は内視鏡カメラの遠位端領域に取り付けられる。これによって、内視鏡カメラの外径が著しく増加することはない。したがって、内視鏡カメラの外径を著しく増加させることなく、内視鏡カメラに電気手術治療能力をレトロフィットさせることができる。
【0061】
照射素子を、細長本体及び/または器具シース上にプリントすることもまた可能である。例えば、2つの伝導体が電気手術器具上にプリントされることにより、一方の伝導体が第1の電極に接続され、他方の伝導体が第2の電極に接続される。第1の伝導体は第2の伝導体とは、円周方向に離間されていてよい。第1の伝導体及び/または第2の伝導体は、細長本体の長手方向に沿って延びる。
【0062】
任意の実施形態では、給電構造体は絶縁シースにより覆われている。
給電構造体のプリントは、電気手術器具の周りに露出していてよい。したがって、第1の伝導体及び/または第2の伝導体は、近位端から遠位端への延びに沿った任意の箇所において、組織に電磁エネルギーを印加することができる。2つの伝導体を大きな距離で離間させることにより、電磁エネルギーの放出を最小限に抑えることができるものの、これは、絶縁シースにより大幅に低減させることができる。上述した器具シースと同様に、絶縁シースは、電気手術器具の上に、特に、細長本体の上で引っ張ることができる管状部材である。絶縁シースは、器具シース及び/または細長本体と同様に、ゴム、ポリマー、または他のプラスチック材料などの、可撓性の非導電性材料から作製することができる。いくつかの実施形態では、器具シース及び絶縁シースの両方を設けることができ、絶縁シースは器具シースを取り囲んでいるものと理解されるべきである。
【0063】
絶縁シースは、摩擦推力により細長本体に固定することができる。絶縁シースは、プリント済み給電構造体の適用後に、細長本体の上で引っ張ることができる。
【0064】
任意の実施形態では、給電構造体は、内側伝導体と、当該内側伝導体と同軸上に配置され、誘電体材料により当該内部伝導体とは電気的に絶縁されている、外側伝導体と、を含む同軸ケーブル(または、同軸伝送線路)を備える。
【0065】
同軸ケーブルは、極超短波放射線が給電構造体を通って供給される場合に設けることができる。同軸ケーブルは、誘電体材料または誘電体層により分離されている、通常の構造の内部伝導体及び外部伝導体を有してよい。外側伝導体は、例えば、ゴムまたはポリマーなどのプラスチック材料製の、電気絶縁カバー(または、ジャケットもしくは管)により覆われる(例えば、取り囲まれる)ことができる。好ましくは、同軸ケーブルは照射素子に接続され、近位端に延びる。
【0066】
同軸ケーブル、給電ワイヤ、及び/または、プリント済み給電構造体を、互いに交互に、または追加で使用することができる。例えば、極超短波エネルギーを伝達するために同軸ケーブルを使用することができる一方で、高周波エネルギーを供給するために、給電ワイヤ、及び/またはプリント済み給電構造体を用いることができる。
【0067】
同軸ケーブルが存在する場合、細長本体は、同軸ケーブルの電気絶縁カバーにより構成されてよい。例えば、電気絶縁カバーは、イメージキャプチャデバイスを収容するために、遠位端において外側伝導体及び内部伝導体より向こうに(例えば、軸方向に)延びる。代替的実施形態では、イメージキャプチャデバイスは、同軸ケーブルの遠位端に取り付けられる。しかし、同軸ケーブルが細長本体の中に配置されることもまた可能である。
【0068】
任意の実施形態では、ワイヤは誘電体材料内、例えば同軸ケーブルの内側導体と外側導体との間に形成されたボア内に延在する。
【0069】
ワイヤは、誘電体材料の中に完全に埋め込まれてよい。この場合、ワイヤに追加の空間は必要ない。これは、外径が小さい電気手術器具をもたらす一助となる。
【0070】
任意の実施形態では、内部伝導体は中空であり、ワイヤは、中空内部伝導体の中に、例えば、内部伝導体の中に形成される穴の中に延びる。
【0071】
表皮効果により、内部伝導体の中空度は、同軸ケーブルの伝達効率に大きな影響を与えない。ワイヤは電気絶縁体により覆われ、ワイヤと、ワイヤ及び/または外側伝導体との電気的接続を防ぐことができる。絶縁体を有するワイヤを、中空内部伝導体の中に設けることができる。中空内部伝導体の中にワイヤを配置することで、稠密構造の電気手術器具がもたらされる。特に、ワイヤを設けることでは、電気手術器具の(著しい)増加はもたらされない。中空内部伝導体は、近位端から、遠位端の領域における給電構造体の末端に延びる内腔をもたらす。
【0072】
任意の実施形態では、照射素子及び/または給電構造体は、本体の外側表面に配置される器具シース内、及び/または、器具シース上に配置され、好ましくは、器具シースは本体に恒久的に固定される。
【0073】
器具シースは、接着剤、または、クランプなどの機械的手段により本体に固定することができる。器具シース及び細長本体は、一体型構成要素を形成してよい。
【0074】
電気手術キットと組み合わせた、上述の器具シースの説明及び好ましい実施形態も等しく、電気手術器具の器具シースに適用される。器具シースは、上述のとおり本体から着脱可能である、または取り外し可能であることもまた可能である。
【0075】
任意の実施形態では、電気手術器具は、給電構造体のインピーダンスを、給電構造体に接続した伝送線路のインピーダンスに一致させるためのインピーダンス変成器、好ましくは、マイクロストリップインピーダンス変成器をさらに備え、好ましくは、インピーダンス変成器は近位端で給電構造体に接続する。
【0076】
伝送線路は、生成器の一部であってよい。例えば、伝送線路は、生成器の内側に電磁エネルギーを供給するための内部供給線路と、供給線路を給電構造体に接続するための(例えば、生成器のハウジングの外側表面にある)コネクタと、を備える。伝送線路は単に、給電構造体を生成器に接続するためのコネクタを備えるだけであることもまた可能である。
【0077】
給電構造体は、給電構造体を生成器または伝送線路に接続するために、細長本体の近位端を近位に超えて延びてもよい。同様に、ワイヤも、ワイヤをディスプレイデバイスに接続するために、細長本体の近位端を近位に超えて延びてもよい。
【0078】
インピーダンス変成器は、伝送線路、特に生成器のインピーダンスを、給電構造体のインピーダンスに一致させるための任意の構造体である。マイクロストリップインピーダンス変成器は、その内容全体が参照により組み込まれているWO2018/146160A1に記載のとおりに構成することができる。マイクロストリップ変成器は、中空内部伝導体を有する同軸ケーブルと共に用いることができる。
【0079】
インピーダンス変成器は、給電構造体の近位端に配置することができる。これは、給電構造体が生成器または伝送線路に接続するときに、インピーダンス変成器がコネクタに直接隣接することを意味する。
【0080】
任意の実施形態では、電気手術器具の外径(例えば、最大外径)は、1.5mm未満、好ましくは1.2mm未満である。
【0081】
電気手術器具の外径は、細長本体の外側表面、または器具シースの外側表面により構成されてよい。細長本体及び/または器具シースは必ずしも、円形の断面を有する必要はない。電気手術器具または電気手術キットの断面は、楕円形、長方形、または他の形状を有してよい。この場合、外径は、細長本体または器具シースの断面の周における、任意の対向する2箇所の最大距離に対応する。
【0082】
これは、同軸ケーブルもまた、1.5mm未満、好ましくは1.2mm未満の最大外径を有する場合があることを意味する。ワイヤ、給電ワイヤ、及び/または照明ワイヤは、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.7mm、または0.8mm未満の最大外径を有することができる。
【0083】
イメージキャプチャデバイスを設けることで、外径の縮小に寄与する光ファイバーを必要としなくなるという点で、定義される外径を実現可能である。さらに、給電ワイヤ、プリント済み給電構造体、及び/またはワイヤが配置される同軸ケーブルを用いることが、外径をさらに縮小するのに役立つ。
【0084】
任意の実施形態では、生成器は、高周波範囲、及び/または極超短波周波数範囲で電磁エネルギーを生成するように構成される。極超短波周波数範囲は、最大915MHz、例えば433MHzの極超短波周波数に限定され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、電気手術器具の最小外径、及び、故に、同軸給電ケーブルの最小外径は、大きな伝送損失のために、915MHzを超える周波数を有する極超短波エネルギーの伝達を非効率的なものにする可能性がある。したがって、生成器は、最大915MHzの周波数だけを生成し得る。
【0086】
給電ワイヤ、またはプリント済み構造体として給電構造体を導入する場合、極超短波周波数エネルギーの伝達は、給電構造体の過熱と相まって、あまりに大きな伝送損失をもたらし得る。したがって、給電ワイヤまたはプリント済み構造体として給電構造体を導入する場合は、高周波エネルギーの生成が好ましい場合がある。生成器は、上述した周波数範囲において電磁エネルギーを生成するのみであり得る。
【0087】
添付の図面と併せて、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】電気手術装置の概略的透視図を示す。
図2図1に記載の電気手術装置の電気手術器具の断面図を示す。
図3】第2の実施形態に従った電気手術装置の遠位端の領域の、概略的透視図を示す。
図4】第3の実施形態に従った電気手術器具の断面図を示す。
図5】第4の実施形態に従った電気手術装置の遠位端の領域の、概略的透視図を示す。
図6図5に記載の電気手術器具の断面図を示す。
図7】電気手術キットの遠位端の領域の、概略的透視図を示す。
図8】別の実施形態の電気手術キットの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、内視鏡電気手術器具12と、ディスプレイデバイス14と、生成器16と、を備える第1の実施形態の電気手術装置10を示す。電気手術器具12は、ヒト、または、哺乳類などの動物の体腔に挿入することができるように構成される。
【0090】
電気手術器具12は、遠位端18と、近位端20と、を備える。電気手術器具12の遠位端18は、体腔に挿入することができるように構成される。電気手術器具12の長さは、近位端20が体の外側に留まるようになるようなものが好ましい。
【0091】
電気手術器具12は、遠位端18から近位端20に延びる細長本体22を備えてよい。長手方向は、本体22、または電気手術器具12の伸張により定義される。電気手術器具12は、遠位端18の領域に、照射素子24と、イメージキャプチャデバイス26と、を備える。
【0092】
細長本体22は、様々な構成部品が以下に記載のとおりに位置する中央通路を含む、管形状を有してよい。細長本体22は、ゴムなどの可撓性材料から作製することができる。細長本体22及び電気手術器具12は、長手方向に対して垂直に可撓性であることで、これらが屈曲可能となる。
【0093】
照射素子24は、電気手術器具12、特に本体22の遠位端18に近接して、または遠位端18付近で配置される。照射素子24は、電磁放射線を、体腔内に配置される目標領域に向けて放出するように構成される。照射素子24により放出される電磁放射線は、目標領域の組織を治療する、特に、切除する、刺激する、切断する、または凝固させるためにもたらされる。例えば、照射素子24は、高周波放射線、即ち最大915MHzの低極超短波放射線を放出するように構成される。
【0094】
図1及び図2の実施形態では、照射素子24は、電気手術器具12、特に本体22の周に沿って延びる、環形状の第1の電極28、及び環形状の第2の電極30を備える。第1の電極28及び第2の電極30は、長手方向に離間している。第1の電極28及び/または第2の電極30は、電気手術器具12の外側表面、特に、本体22の外側表面から突き抜けることができる。第1の電極28及び/または第2の電極30は、これらが電気手術器具12の外側表面から突き抜けないように、電気手術器具12内に挿入されることもまた可能である。第1の電極28及び第2の電極30は、電気手術器具12の周囲に露出していてよい。第1の電極28及び第2の電極30は、金属などの導体材料から作製される。
【0095】
イメージキャプチャデバイス26は、光信号を電気信号に変換するように構成される。例えば、イメージキャプチャデバイス26は、目標領域の一部をイメージングして、画像の情報を電気信号、または深刻な電気信号に変換することが可能である。これらの信号は、イメージングデバイス14により処理され、目標領域の一部の画像を表示することができる。
【0096】
イメージキャプチャデバイス26は、遠位端18に、または、遠位端18の領域内に配置される。これは、イメージキャプチャデバイス26の全ての構成部品が、遠位端18に、または、遠位端18の領域内に配置されることを意味する。例えば、イメージキャプチャデバイス26の構成部品は、近位端20に、または、イメージキャプチャデバイス14にどれも配置されない。
【0097】
イメージキャプチャデバイス26はカメラであってよく、レンズデバイス32と光学センサ34とを備えることができる。レンズデバイス32は、1個以上のレンズ、絞り、及び/または、イメージングに好適な他のデバイスを備えてよい。レンズデバイス32は、目標領域の一部を光学センサ34上に投影するように構成されるのが好ましい。光学センサ34は、衝突光を電気信号に変換するように構成される。光学センサ34は、複数の画素を備えてよい。例えば、光学センサ34はCMOSセンサである。
【0098】
レンズデバイス32の主光軸は、電気手術器具12の長手方向と並行である。さらに、イメージキャプチャデバイス26は、遠位端18に配置される。しかし、レンズデバイス32の主光軸が長手方向に傾いていることもまた可能である。より一般的には、イメージキャプチャデバイス26は、電気手術器具12の側面に配置される目標領域の一部をイメージングするように構成することができる。イメージキャプチャデバイス26は、半径方向を向くように構成される。この場合、イメージキャプチャデバイス26を遠位端18に配置することはできないが、遠位端18に近接して、または、遠位端18付近に配置することができる。
【0099】
電気手術器具12は給電構造体36を備えてよく、これは、図1及び図2に示す実施形態では、2つの給電ワイヤ38を備える。給電構造体36は、照射素子24に電気的に接続されている。詳細には、一方の給電ワイヤ38が第1の電極28に接続され、他方の給電ワイヤ38が第2の電極30に接続される。
【0100】
給電構造体36は、本体22の通路内に配置される。給電構造体36は、細長本体22の近位端20を超えて延びることができる。給電構造体36の近位端は、コネクタ40、及び/またはインピーダンス変成器42を備えてよい。コネクタ40は、給電構造体36を生成器16に接続するために用いることができる。
【0101】
インピーダンス変成器42は、伝送線路のインピーダンスを給電構造体36のインピーダンスに一致させるために設けることができる。インピーダンス変成器42は、マイクロストリップインピーダンス変成器であってよい。インピーダンス変成器42は、生成器16内にも配置することができる。インピーダンス変成器42は、WO2018/146160A1に記載されているとおりであってよい。
【0102】
伝送線路は、電磁エネルギーを、生成点から給電構造体36に伝達するための任意の線路であってよく、コネクタ40を備えることができる。例えば、伝送線路は、生成器16内に配置される給電線であってよい。
【0103】
コネクタ40は、給電構造体36を生成器16に接続するのに好適な任意の形態及び/または形状を有してよい。例えば、コネクタ40は、両方の給電ワイヤ38に接続してよい。
【0104】
電気手術器具12は、イメージキャプチャデバイス26、及び、ディスプレイデバイス14に接続されるワイヤ44を備えてよい。ワイヤ44は、イメージキャプチャデバイス26に給電する、及び/または、イメージキャプチャデバイス26により生成した電気信号をディスプレイデバイス14に伝達するために構成されてよい。あるいは、複数のワイヤ44が備えられてよい。ワイヤ44は、本体22の通路内に配置される。ワイヤ44は、細長本体22の近位端20を超えて延びる。ワイヤ44は、細い金属ワイヤであってよい。
【0105】
ディスプレイデバイス14は、プロセッサ(図には示さない)、及び/またはディスプレイ46を備えてよい。プロセッサは、イメージキャプチャデバイス26により生成され、ワイヤ44により伝達される、電気信号を処理するために構成されてよい。プロセッサは、イメージキャプチャデバイス26によりキャプチャされた画像を表示することができるディスプレイ46に接続することができる。
【0106】
あるいは、またはさらに、イメージキャプチャデバイス26は給電構造体36(図示せず)に接続されてよい。イメージキャプチャデバイス26は、給電構造体26により遠位端18の領域に伝達される電磁エネルギーにより給電されてよい。給電構造体26を使用して、イメージキャプチャデバイス26により生成した電気信号を近位端20、例えば、ディスプレイデバイス14に伝達することもまた可能である。この場合、ディスプレイデバイス14は、給電構造体26にもまた接続されてよい。
【0107】
電気手術器具12は、図1~4に示す照明デバイス49を備えることができる光照射器48をさらに備えてよい。照明デバイス49は、少なくとも目標領域の一部、特に、イメージキャプチャデバイス26によりイメージングされた目標領域の一部を照射するように構成されてよい。照明デバイス49は、LEDであることができる1個以上の光源50を備えてよい。図1及び2に示す実施形態では、光源50は、光学センサ34の側面に配置される。光源50は遠位端18に配置される。光源50により放出される光は、レンズデバイス32により目標領域に向けられることができる。換言すれば、レンズデバイス32は、照明デバイス49及び光学センサ34の両方に設けられる。しかし、光源50が、放出光を目標領域に集中させる、または目標領域に向けるためのレンズ構造体を備えることが可能である。
【0108】
光源50は、特に、イメージキャプチャデバイス26が電気手術器具12の側面をイメージングするように構成される場合、電気手術器具12の側表面に配置されることもまた可能である。
【0109】
電気手術器具12は、照明デバイス49に給電するための、照明デバイス49に接続された照明ワイヤ52をさらに備えてよい。照明ワイヤ52は、本体22の通路内のワイヤ44と並行に走っていてよい。照明ワイヤ52は、本体22の近位端20を超えて延びてよい。照明ワイヤ52は、ディスプレイデバイス14にも接続してよい。ワイヤ44が、照明デバイス49に給電するために、照明デバイス49にさらに接続されることもまた可能である。あるいは、またはさらに、給電構造体36は、照明デバイス49(図示せず)に給電するために、照明デバイス49に接続される。これらの場合、照明ワイヤ52は省略することができる。
【0110】
生成器16は、高周波エネルギーを生成し、このエネルギーを給電構造体36に供給するように構成されてよい。給電ワイヤ38、ワイヤ44、及び/または照明ワイヤ52を設けることにより、1.5mmを下回る、好ましくは、1.2mmを下回る、電気手術器具12の外径をもたらすことが可能となる。したがって、電気手術手術器具12は、直径がより小さい腔の中を進むことができる。
【0111】
使用の際、電気手術器具12の遠位端18は、遠位端18が目標領域に達するまで、体腔に挿入される。電気手術器具12の前進は、イメージキャプチャデバイス26を使用して監視することができる。同様に、目標領域はイメージキャプチャデバイス26を使用して確認することができる。これは、目標領域の一部がディスプレイ46により表示可能であることを意味する。該当する場合、目標領域における組織は、照射素子24により放出される電磁放射線を当てることにより治療することができる。例えば、高周波エネルギーは生成器16により生成され、給電構造体36により照射素子24に供給することができる。特に、第1の電極28及び第2の電極30は双極子を形成し、これらの間で、組織を切断するために使用可能な高周波電界が生成される。治療プロセスは、イメージキャプチャデバイス26を使用して監視することができる。
【0112】
図3に示す電気手術器具12は、以下の差を除いて、図1及び図2に示す電気手術器具12に対応する。
【0113】
第1の電極28及び第2の電極30は、第1の電極28及び第2の電極30が絡み合うらせん形状を有する。これは、長手方向に沿って見たときに、第1の電極28の断面が、第2の電極30の2つの断面の間に配置されることを意味する。逆に、長手方向に沿って見た時に、第2の電極30の断面は、第1の電極28の2つの断面の間に配置される。
【0114】
照明デバイス49は、遠位端18に配置される、2つの半球状光源50またはフィラメントを備える。半球状光源50は、少なくとも部分的にレンズデバイス32を取り囲む。したがって、本実施形態では、光源50により放出される光は、レンズデバイス32を通って導かれない。
【0115】
図4に示す電気手術器具12は、以下の差を除いて、図1及び図2に示す電気手術器具12に対応する。
【0116】
照射素子24は、図1~3に示す実施形態と同様に、単極子であり双極子ではない。例えば、照射素子24は、低エネルギー極超短波放射線、例えば、最大915MHzの周波数を有する極超短波放射線を放出するために使用可能な、環状第1の電極28を備えるのみである。
【0117】
給電構造体36は、内部伝導体54と、外側伝導体56と、内部伝導体54を外側伝導体56と電気的に絶縁する誘電体材料58と、を備える同軸ケーブルを備えてよい。内部伝導体54は、外側伝導体56と同軸上に配置される。
【0118】
細長本体22は、同軸ケーブルの外側伝導体56を覆う、電気絶縁カバーであってよい。本実施形態では、電気手術器具12の形状は、同軸ケーブルの外径により画定される。内部伝導体54は第1の電極28に接続することができる。
【0119】
図4に示す実施形態では、内部伝導体54は中空である。ワイヤ44及び/または照明ワイヤ52は、中空内部伝導体54の中に配置することができる。中空内部伝導体54内でのワイヤ44及び/または照明ワイヤ52の配置により、例えば、1.5mmまたは1.2mm未満の、外径の小さい電気手術器具12をもたらす稠密構造がもたらされる。
【0120】
あるいは、図示はしていないが、内部伝導体54は中空ではなく、誘電体材料58は、図4に示す実施形態と比較して、半径方向に厚い。この場合、ワイヤ44及び/または照明ワイヤ52を誘電体材料58の中に配置することが可能である。したがって、ワイヤ44及び/または照明ワイヤ52は、誘電体材料58に埋め込まれる。これによってもまた、例えば、1.5mmまたは1.2mm未満の、外径の小さい電気手術器具12をもたらす稠密構造がもたらされる。
【0121】
図5及び6に示す電気手術器具12は、以下の差を除いて、図1及び図2に示す電気手術器具12に対応する。
【0122】
給電構造体36は、細長本体22の外側表面にプリントされる。給電構造体36は銀プリントであってよい。半径方向へのプリントの厚さは、マイクロメートルまたはミリメートル範囲であってよい。したがって、給電構造体36を設けることによって、電気手術器具12の外径は大幅に増加し得ない。
【0123】
照射素子24が、細長本体22の外側表面にプリントされることもまた可能である。図5及び6に示す実施形態では、照射構造体24は、環形状部材である第1の電極28のみを備える。照射素子24は、プリント済みの細い線であってよい。図5に示すように、照射素子24は、周方向に、より広範囲にまで延びることで、プリント済みの太い線をもたらすこともまた可能である。これは、伝送損失を減らすのに役立つ場合がある。例えば、照射素子24の幅は、細長本体22の周の10%、20%、30%、または50%であってよい。
【0124】
プリント済み照射素子24は、電気手術器具12の周りに露出することができる。これにより、照射素子24が組織と接触し、電磁エネルギーの漏れが生じる可能性がある。したがって、細長本体22の外側表面の、プリント済み給電構造体36が設けられる少なくとも部分を覆う絶縁シース60を設けてよい。絶縁シース60は、照射素子24を覆わなくてよい。
【0125】
絶縁シース60は、ゴムなどの、可撓性の電気絶縁材料から作製することができる。絶縁シース60は管形状を有してよい。絶縁シース60は、プリント済み給電構造体36の適用後に、電気手術器具12の上で引っ張ることができる。絶縁シース60は、摩擦により本体22に固定することができる。例えば、絶縁シース60の内径は、本体22の外径よりも小さいことができ、これによって本体22の上で絶縁シース60を引っ張る際に、絶縁シース60が放射状に延ばされる。しかし、絶縁シース60はさらに、またはあるいは、接着力により本体22に固定されることが可能である。
【0126】
本体22の通路は給電構造体36を含まないので、細長本体22の外径をより小さくすることができ、これにより、電気手術器具12の外径が小さくなる。図6では、プリント済み給電構造体36が存在することで解放される空間を強調するために、電気手術器具12の外径が、図1~4に示すものと同じように表される。実際には、電気手術器具12の外径は、ワイヤ44及び/または照明ワイヤ52の直径に合わせられる。
【0127】
光照射器48は、照明ファイバー61、または、光ファイバーで構成されることができる照明ファイバー61の束の末端に位置してよい。照明ファイバー61の遠位端は、目標領域に光を向けるためのレンズまたはレンズ系を備えることができる。あるいは、図5~8に示すように、照明ファイバー61はレンズデバイス32に接続される。照明ファイバー61は、図5及び図7において目視可能な環に配置される。照明ファイバー61の環は、光学センサ34を取り囲むことができる。環内の照明ファイバー61どうしの距離は、図5に示すように、(照明ファイバーが互いに接触するように)短くてよい、または、照明ファイバー61は、図7に示すように光学センサ34の周りの環に、より離れて配置される。照明ファイバー61は、光学センサ34の周りに均一に、または不均一に配置されてよい。
【0128】
各照明ファイバー61は、10μm、100μm、または500μmの外径を有してよい。各照明ファイバー61は、ディスプレイデバイス14、より正確には、ディスプレイデバイス内に配置されたランプまたはLEDなどの光源に接続することができる。各照明ファイバー61は、ディスプレイデバイス内に配置される光源により生成された光を、目標領域を照射するために遠位端18に導く。
【0129】
あるいは、図5~8には示さないが、光照射器48は、レンズデバイス32の周りに配置される複数の光源50により構成される、照明デバイス49を備える。例えば、4つの光源50が、レンズデバイス32の周りに均等に配置される。光源50は、上述したとおり、照明ファイバー61に対応する位置に配置することができる。
【0130】
図7及び8は、イメージキャプチャ装置64と照射装置66とを備える電気手術キット62の実施形態を示す。イメージキャプチャ装置64は、従来の内視鏡カメラとして構成することができる。例えば、イメージキャプチャ装置64は、照射素子24及び給電構造体36を伴わない電気手術器具12の構成部品を含むことができる。特に、イメージキャプチャ装置64は、照射素子24及びプリント済み構造体36を伴わない、図6に示す電気手術器具12である。
【0131】
照射装置66は、上述した実施形態のいずれかに記載の、照射素子24及び給電構造体36を備えることができる。照射素子24と給電構造体36の、上述した実施形態の違いは、照射素子24と給電構造体36が器具シース68に固定されていることである。これは、照射装置66及びイメージキャプチャ装置64が個別の構成部品であることを意味する。例えば、照射装置66は、従来の内視鏡カメラなどの、既存のイメージキャプチャ装置64にレトロフィットさせることができる。器具シース68は、例えば、摩擦ばめにより、細長本体22への絶縁シース60の固定と同様に、イメージキャプチャ装置64に取り付けることができる。
【0132】
図7の照射装置66は、第1の電極28及び第2の電極30を備える。図1及び図2に示す第1の電極28及び第2の電極30とは異なり、第1の電極28及び第2の電極30は弓形状、または、より正確には半円形状を有する。第1の電極28の先端は、互いに離間したまま、第2の電極30の先端と向かい合う。第1の電極28及び第2の電極30は、器具シース68の外側表面に固定される。第1の電極28及び第2の電極30は、器具シース68の外側表面から突き出ている。
【0133】
図7及び8の照射装置66は、第1の電極28及び第2の電極30にそれぞれ接続された2つの給電ワイヤ38を備える。給電ワイヤ38は、器具シース68の中に埋め込まれる。器具シース68は、ゴムなどの可撓性の電気絶縁材料から作製することができる。したがって、給電ワイヤ38が器具シース68内に埋め込まれることにより、電気的に絶縁することができる。
【0134】
しかし、照射装置66の給電ワイヤ38が、器具シース68の内側表面に配置されることもまた可能である。例えば、給電ワイヤ38は器具シース68の内側表面に露出する。給電ワイヤ38は、例えば、給電ワイヤ38を部分的に器具シース68に埋め込むことにより、器具シース68の内側表面から突き抜けることができる、または、器具シース68の内側表面と同一平面上にある。
【0135】
照射装置66の給電構造体36は、器具シース68上、例えば、器具シース68の内側表面上にプリントされることもまた可能である。照射装置66の給電構造体36は、例えば、照射装置66の照射素子24が単極子である場合には、1個の給電ワイヤ38、または、プリント済みの1個の給電構造体36のみを備えることが可能である。
【0136】
図8の電気手術キット62は、以下の差を除いて、図7の電気手術キット62と同一である:図8に示す実施形態の照射素子24が、2つの半球の形態で第1の電極28及び第2の電極30を備える。半球は互いに離間して器具シース68に取り付けられる。ドーム状の第1の電極28及び第2の電極30が、半球の代わりに設けられてよい。
【0137】
電気手術キット62を、電気手術器具12の代わりに使用することができる。特に、電気手術キット62、及び、故に、器具シース68の外径は、1.5mmまたは1.2mm未満であってよい。電気手術キット62は電気手術装置10の一部であることができ、ディスプレイデバイス14及び/または生成器16と組み合わせて使用することができる。電気手術キット62は、電気手術器具12に関連して記載した形質及び特徴を有する光照射器48を備えてよい。
【0138】
代替的実施形態では、器具シース68は、細長本体22に恒久的に固定されてよい。この場合、得られる構造体は、電気手術器具12とみなすことができ、この構造体の中では、給電構造体36及び照射素子24が器具シース68内、及び/または器具シース68上に配置されながら、イメージキャプチャデバイス26、ワイヤ44、及び/または照明ワイヤ52が細長本体22内に配置される。
【0139】
一実施形態に関連して記載、または図示した特定の構成部品を、別の実施形態で用いることができることもまた可能である。例えば、一実施形態の光照射器48は、別の実施形態の光照射器48で置き換えることができる。同様に、一実施形態の照射素子24の形状及び形態は、別の実施形態の照射素子24で置き換えることができる。これは、給電構造体36の構造にも適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡電気手術器具であって、
前記電気手術器具の近位端から、前記電気手術器具の遠位端の領域に電磁エネルギーを伝達するように構成される給電構造体と、
前記遠位端の前記領域に配置される照射素子であって、前記照射素子が前記給電構造体に接続されて前記給電構造体からの前記電磁エネルギーを受け、前記照射素子が前記電磁エネルギーを目標領域に照射するように構成されている、前記照射素子と、
前記遠位端の前記領域に配置され、前記目標領域の一部の画像を生成するに構成されているイメージキャプチャデバイスと、
前記近位端から前記遠位端に延びる細長本体と、を備え、
前記給電構造体の少なくとも一部が前記本体の外側表面にプリントされる、前記内視鏡電気手術器具。
【請求項2】
前記イメージキャプチャデバイスに接続し、前記近位端まで延びる、少なくとも1個のワイヤをさらに備える、請求項1に記載の電気手術器具。
【請求項3】
前記照射素子が第1の電極及び/または第2の電極を備え、好ましくは、前記照射素子が、互いに離間し、前記電気手術器具の周りに露出している、前記第1の電極及び前記第2の電極を備える、請求項1または2に記載の電気手術器具。
【請求項4】
前記第1の電極及び/または前記第2の電極が、らせん形状、環形状、弓形状、特に、半円形状、または半球形状を有する、請求項3に記載の電気手術器具。
【請求項5】
前記給電構造体が、前記照射素子に接続し、前記近位端まで延びる少なくとも1個の給電ワイヤを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項6】
前記給電構造体が銀プリント済み材料を備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項7】
前記給電構造体の少なくとも一部を取り囲む絶縁シースをさらに備える、請求項6に記載の電気手術器具。
【請求項8】
前記照射素子及び/または前記給電構造体が、前記本体の前記外側表面に配置される器具シース内、及び/または器具シース上に配置され、好ましくは、前記器具シースが前記本体に固定される、請求項6または7に記載の電気手術器具。
【請求項9】
前記給電構造体が、内部伝導体と、前記内部伝導体と同軸上に配置され、誘電体材料により前記内部伝導体と電気的に絶縁されている外側伝導体と、を備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項10】
請求項2に従属する場合、
前記少なくとも1個のワイヤが前記誘電体材料内で延び、または
前記内部伝導体が中空であり、前記少なくとも1個のワイヤが前記中空内部伝導体内で延びる、請求項9に記載の電気手術器具。
【請求項11】
前記給電構造体のインピーダンスを、前記給電構造体に接続した伝送線路のインピーダンスに一致させるためのインピーダンス変成器、好ましくは、マイクロストリップインピーダンス変成器をさらに備え、好ましくは、前記インピーダンス変成器が前記近位端で前記給電構造体に接続する、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項12】
前記電気手術器具の外径が1.5mm未満、好ましくは1.2mm未満である、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項13】
前記目標領域を照射するための、前記遠位端の前記領域に配置される光照射器をさらに備える、先行請求項のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項14】
近位端及び遠位端を有する細長本体と、加えて、前記遠位端の領域に配置され、目標領域の一部の画像を生成するように構成されるイメージキャプチャデバイスと、を備えるイメージキャプチャ装置と、
管状器具シースと、給電構造体と、照射素子と、を備える照射装置であって、前記給電構造体が、前記器具シース内、及び/または前記器具シース上に配置され、電磁エネルギーを、前記器具シースの近位端から前記器具シースの前記遠位端の領域に伝達するように構成され、前記照射素子が、前記遠位端の前記領域内の前記器具シース内、及び/または前記器具シース上に配置され、前記給電構造体に接続されて前記給電構造体からの前記電磁エネルギーを受け、前記照射素子が、前記電磁エネルギーを前記目標領域内に照射するように構成されている、前記照射装置と、を備え、
前記器具シースが前記本体の少なくとも一部を取り囲み、前記本体から着脱可能であり、
前記給電構造体が前記器具シース上にプリントされる、内視鏡電気手術キット。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか1項に記載の電気手術器具と、
電磁エネルギーを生成するための生成器であって、前記生成器が前記給電構造体に接続されている、前記生成器と、を備える、電気手術装置。
【請求項16】
前記生成器が、高周波範囲の、及び/または、最大915MHzの極超短波周波数で電磁エネルギーを生成するように構成される、請求項15に記載の電気手術装置。
【国際調査報告】