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特表2023-554581動的に圧迫するための、一定でないピッチを有する、テーパを施された圧迫ねじ
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  • 特表-動的に圧迫するための、一定でないピッチを有する、テーパを施された圧迫ねじ 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】動的に圧迫するための、一定でないピッチを有する、テーパを施された圧迫ねじ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/86 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526088
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021058583
(87)【国際公開番号】W WO2022103733
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/112,425
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505026479
【氏名又は名称】アキュームド・エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5885 NE Cornelius Pass Road,Hillsboro,Oregon 97124 United States
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】スミス,テレンス チャドウィック
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL42
4C160LL53
(57)【要約】
外科医が、取り付け中に骨ねじの効果による圧迫量を測定し、骨折部の治癒中に、提供される骨ねじにわたるその圧迫を動的に維持できるようにする、弾性部品を有する骨ねじが提供される。提供される骨ねじは、前方部品と、後方部品と、前方部品と後方部品との間で圧迫され得る弾性部品とを備え、これは骨ねじの軸線方向の剛性が維持されるように配置される。前方部品および後方部品は、ねじ込み器具によって、互いにまたは独立して係合されてもよい。前方部品のみ、または後方部品のみを進めるかまたは後退させることにより、2つの骨片同士の間の、骨ねじの効果による圧迫力を変更し、外科医が所望の圧迫力を設定できるようにする。取り付けられた骨ねじの効果による圧迫力の量を測定するために使用され得る、測定ツールがさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨ねじであって、
第1の外側ねじ領域、および第2の外側ねじ領域を含む、前方部品と、
第3の外側ねじ領域を含む、後方部品と、
前記前方部品の一部の周囲と、前記後方部品の内部とに配置される弾性部品であって、前記弾性部品の第1の端部は、前記前方部品または前記後方部品に取り付けられ、前記前方部品および前記後方部品の他方は、前記弾性部品の第2の端部の、前記前方部品および前記後方部品の前記他方に対する、少なくとも1つの方向への軸線方向の動きを防止するように構成される、弾性部品とを備える、骨ねじ。
【請求項2】
前記弾性部品の前記第1の端部が、前記後方部品に取り付けられ、前記前方部品が、前記弾性部品の前記第2の端部と接触するリッジを含み、これにより前記第2の端部の、前記前方部品に対する、前記リッジの前記方向への軸線方向の動きを防止する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項3】
前記第1の外側ねじ領域および前記第2の外側ねじ領域が、一定でないピッチを有する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項4】
前記前方部品が、外側平滑領域をさらに含み、周囲に前記弾性部品が配置される前記前方部品の前記部分が、前記外側平滑領域である、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項5】
前記弾性部品がばねである、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項6】
前記第3の外側ねじ領域が、前記後方部品の本体部分の全長を延長する、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項7】
前記骨ねじが、前記前方部品と前記後方部品とが互いに独立して回転するように構成される、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項8】
前記骨ねじが、前記後方部品が回転するときは前記弾性部品が回転するが、前記前方部品が回転するときは前記弾性部品が回転しないように構成される、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項9】
前記前方部品が第1のドライバ機能を備え、前記後方部品が第2のドライバ機能を備え、前記第1のドライバ機能は前記第2のドライバ機能とは異なる、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項10】
前記骨ねじが、骨折部にわたって骨に挿入されたときに、前記骨折部にわたって圧迫を加えるように構成される、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項11】
前記骨ねじが骨に取り付けられるときに、前記後方部品の位置を一定に保ったまま前記前方部品を骨の中に進めることによって、前記弾性部品を圧迫するように前記骨ねじが構成される、請求項1に記載の骨ねじ。
【請求項12】
骨折部を圧迫するシステムであって、
骨ねじであって、
第1の外側ねじ領域、第2の外側ねじ領域、および第1のドライバ機能を含む、前方部品と、
第3の外側ねじ領域、および第2のドライバ機能を含む、後方部品と、
前記前方部品の一部の周囲と、前記後方部品の内部とに配置される弾性部品であって、前記弾性部品の第1の端部は、前記前方部品または前記後方部品に取り付けられ、前記前方部品または前記後方部品の他方は、前記弾性部品の前記第2の端部の、前記前方部品または前記後方部品の他方に対する、少なくとも1つの方向への軸線方向の動きを防止するように構成される、弾性部品とを備える、骨ねじと、
前記前方部品の前記第1のドライバ機能、および前記後方部品の前記第2のドライバ機能と係合するように構成された、第1のねじ込み部品と、
前記前方部品の前記第1のドライバ機能のみ、または前記後方部品の前記第2のドライバ機能のみのいずれかと係合するように構成された、第2のねじ込み部品とを含む、システム。
【請求項13】
前記骨ねじの前記前方部品と前記後方部品との変位を測定するように構成された、測定ツールをさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記測定ツールが、
窓を含むシャフトと、
前記シャフト内に配置され、前記シャフト内で摺動できるように構成されたロッドとを備え、前記ロッドはインジケータを含み、前記シャフトの前記窓を通して前記インジケータが見える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記測定ツールの前記シャフトの前端が、前記前方部品の前記第1のドライバ機能を受けるように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記測定ツールが、前記ロッドが初期位置にある間に、前記第1のドライバ機能の周囲に前記シャフトの前記前端を配置することによって、前記第1のドライバ機能が、前記ロッドを前記シャフト内で摺動させるように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記測定ツールが、前記第1のねじ込み部品および前記第2のねじ込み部品の1つまたは両方と一体化される、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
骨折部を圧迫する方法であって、
骨ねじを受けるために骨穴を開けるステップであって、前記骨ねじが、
第1の外側ねじ領域、第2の外側ねじ領域、および第1のドライバ機能を含む、前方部品と、
第3の外側ねじ領域、および第2のドライバ機能を含む、後方部品と、
前記前方部品の一部の周囲と、前記後方部品の内部とに配置される弾性部品であって、前記弾性部品の第1の端部は、前記前方部品または前記後方部品に取り付けられ、前記前方部品または前記後方部品の他方は、前記弾性部品の前記第2の端部の、前記前方部品または前記後方部品の他方に対する、少なくとも1つの方向への軸線方向の動きを防止するように構成される、弾性部品とを含む、ステップと、
前記前方部品の前記第1のドライバ機能、および前記後方部品の前記第2のドライバ機能の両方と係合するように構成された第1のねじ込み部品を介して、開けられた前記骨穴に前記骨ねじを挿入するステップと、
挿入された前記骨ねじの効果による圧迫力を測定するステップと、
前記前方部品の前記第1のドライバ機能のみ、または前記後方部品の前記第2のドライバ機能のみのいずれかと係合するように構成された第2のねじ込み部品を介して、挿入された前記骨ねじの効果による前記圧迫力を調節するステップとを含む、方法。
【請求項19】
前記骨ねじの効果による前記圧迫力を調節するステップが、前記第2のねじ込み部品を介して、前記前方部品または前記後方部品を前記骨穴の中に進めるかまたは後退させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項20】
前記骨ねじが、ガイドワイヤの上方で、開けられた前記骨穴の中に挿入される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は2020年11月11日に出願された米国仮出願第63/112,425号の優先権とその利益とを主張する。本米国出願の全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本出願は概して骨ねじに関する。より詳細には、本出願は、弾性部品(例えば、ばね)と、圧迫力の測定および動的な圧迫維持を可能にする、独立して回転可能な前方部分と後方部分とを有する、新しい革新的な骨ねじを提供する。
【背景技術】
【0003】
骨折の治癒を促進するときは、骨折した表面が押し付けられ合うように骨折部を圧迫することが望ましい。骨折部を圧迫する1つの一般的な技術は、骨折した表面を引き合わせることによって、治癒の進行を最適化する骨ねじの使用である。
【0004】
いくつかの一般的な骨ねじが、2つの破片を共に固定するのに使用されて骨ねじが締められたときは、骨ねじ内の張力が最初は非常に高く、破片は共に保持される。しかしながら、骨は粘弾性物質であり、骨ねじにトルクが印加された直後に、応力緩和として知られている現象を引き起こす。応力緩和反応はきわめて顕著で、骨ねじの張力の即時かつ急速な低下を招き、したがって破片を共に保持する力の低下を招く。さらに、いくつかの一般的な骨ねじが締められ、破片が(例えば、曲げることによって)側方方向に変位した後は、骨が骨ねじよりも強度および剛性が低いために、骨ねじの剛性によって周囲の骨が破断する可能性がある。これはねじの固定不良につながる可能性があり、このことが偽関節、または2つの骨折面の望ましくない癒合につながる可能性がある。
【0005】
応力緩和への対処を試みる様々な骨ねじが存在する。例えば、米国特許第4,959,064号明細書および米国特許第6,656,184号明細書は、骨片の応力緩和に適応するのに役立つばね部品を有する骨ねじをそれぞれ開示している。しかしながら、これらの骨ねじは、1部品の骨ねじであり、骨折部にわたる調節可能な圧迫は可能ではない。これに加えて、ばね部品を有する一般的な骨ねじは、ほとんどの場合、ばね部品が引っ張られた状態になっていて軸線方向の剛性に欠け、これにより、骨の中に取り付けられた後にこのような骨ねじが扱える負荷量が制限される場合があり、破損しやすくなる。
【0006】
別の例では、米国特許第7,582,107号明細書および米国特許第7,794,483号明細書は、2つの部品を互いに回転させることによって、骨折部にわたる調節可能な圧迫を可能にする、2部品の骨ねじをそれぞれ開示している。しかしながら、これらの骨ねじは(例えば、過剰挿入された場合に)取れやすく、骨折の治癒が進行している際に、ねじが抜け落ちたり、固定不良になったりする場合がある。
【0007】
別の例では、米国特許第5,743,912号明細書は、骨折部で圧迫を生成するための、2つ以上の部分と、コイルばね減衰手段とを含む骨ねじを開示している。しかしながら、この骨ねじでは前方ねじ部と後方ねじ部とが互いに回転せず、これにより骨ねじの効果による圧迫の量を調節する能力が制限される。
【0008】
したがって、少なくとも上記の欠点を解決する骨ねじが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,959,064号明細書
【特許文献2】米国特許第6,656,184号明細書
【特許文献3】米国特許第7,582,107号明細書
【特許文献4】米国特許第7,794,483号明細書
【特許文献5】米国特許第5,743,912号明細書
【発明の概要】
【0010】
本開示は、外科医が、取り付ける際に骨ねじの効果による圧迫の量を測定して調節でき、骨折部の治癒中に、提供される骨ねじにわたってその圧迫を動的に維持できるようにする、弾性部品(例えば、ばね)と、独立して回転可能な前方部分および後方部分とを有する、新しい革新的な骨ねじを提供する。
【0011】
本明細書に記載の技術的特徴に照らして、限定はしないが、別段の指定がない限り任意の他の態様と組み合わせることができる本出願の開示の第1の態様では、骨ねじは、前方部品と、後方部品と、弾性部品とを備える。前方部品は、第1の外側ねじ領域と、第2の外側ねじ領域とを含む。後方部品は、第3の外側ねじ領域を含む。弾性部品は、前方部品の一部の周囲と、後方部品の内部とに配置される。弾性部品の第1の端部は、前方部品または後方部品に取り付けられ、前方部品および後方部品の他方は、弾性部品の第2の端部の、前方部品および後方部品の他方に対する、少なくとも1つの方向への軸線方向の動きを防止するように構成される。
【0012】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第2の態様では、弾性部品の第1の端部は後方部品に取り付けられ、前方部品は、弾性部品の第2の端部と接触するリッジを含み、これにより第2の端部の、前方部品に対する、リッジの方向への軸線方向の動きを防止する。
【0013】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1または第2の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第3の態様では、第1および第2の外側ねじ領域は、一定でないピッチを有する。
【0014】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第3の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第4の態様では、前方部品は外側平滑領域をさらに含み、周囲に弾性部品が配置される前方部品の部分が、外側平滑領域である。
【0015】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第4の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第5の態様では、弾性部材はばねである。
【0016】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第5の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第6の態様では、第3の外側ねじ領域は、後方部品の本体部分の全長にわたって延びる。
【0017】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第6の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第7の態様では、骨ねじは、前方部品と後方部品とが互いに独立して回転するように構成される。
【0018】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第7の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第8の態様では、骨ねじは、後方部品が回転するときは弾性部品が回転するが、前方部品が回転するときは弾性部品が回転しないように構成される。
【0019】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第8の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第9の態様では、前方部品は第1のドライバ機能を備え、後方部品は第2のドライバ機能を備え、第1のドライバ機能は第2のドライバ機能とは異なっている。
【0020】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第9の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第10の態様では、骨ねじは、骨折部にわたって骨に挿入されると、骨折部にわたって圧迫を加えるように構成される。
【0021】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第10の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第11の態様では、骨ねじは、骨ねじが骨に取り付けられるときに、後方部品の位置を一定に保ったまま前方部品を骨の中に進めることによって、弾性部品が圧迫されるように構成される。
【0022】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第11の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第12の態様では、骨折部を圧迫するシステムは、骨ねじと、第1のねじ込み部品と、第2のねじ込み部品とを含む。骨ねじは、前方部品と、後方部品と、弾性部品とを備える。前方部品は、第1の外側ねじ領域と、第2の外側ねじ領域と、第1のドライバ機能とを含む。後方部品は、第3の外側ねじ領域と第2のドライバ機能とを含む。弾性部品は、前方部品の一部の周囲と、後方部品の内部とに配置される。弾性部品の第1の端部は、前方部品または後方部品に取り付けられ、前方部品および後方部品の他方は、弾性部品の第2の端部の、前方部品および後方部品の他方に対する、少なくとも1つの方向への軸線方向の動きを防止するように構成される。第1のねじ込み部品は、前方部品の第1のドライバ機能と、後方部品の第2のドライバ機能とに係合するように構成される。第2のねじ込み部品は、前方部品の第1のドライバ機能のみと、または後方部品の第2のドライバ機能のみと係合するように構成される。
【0023】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第12の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第13の態様では、システムは、骨ねじの前方部品と後方部品との変位を測定するように構成された測定ツールをさらに含む。
【0024】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第13の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第14の態様では、測定ツールは、シャフト内に配置された窓とロッドとを含むシャフトを備える。ロッドは、インジケータを備え、シャフト内で摺動できるように構成される。インジケータは、シャフトの窓を通して見ることができる。
【0025】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第13または第14の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第15の態様では、測定ツールのシャフトの前端は、前方部品の第1のドライバ機能を受けるように構成される。
【0026】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第14または第15の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第16の態様では、測定ツールは、シャフトの前端を第1のドライバ機能の周囲に配置し、その一方でロッドが初期位置にあることによって、第1のドライバ機能が、ロッドをシャフト内で摺動させるように構成される。
【0027】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第13から第16の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第17の態様では、測定ツールは、第1のねじ込み部品および第2のねじ込み部品の1つまたは両方と一体化される。
【0028】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第1から第17の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第18の態様では、骨折部を圧迫する方法は、骨ねじを受けるために骨穴を開けるステップを含む。骨ねじは、前方部品と、後方部品と、弾性部品とを備える。前方部品は、第1の外側ねじ領域と、第2の外側ねじ領域と、第1のドライバ機能とを含む。後方部品は、第3の外側ねじ領域と第2のドライバ機能とを含む。弾性部品は、前方部品の一部の周囲と、後方部品の内部とに配置される。弾性部品の第1の端部は、前方部品または後方部品に取り付けられ、前方部品および後方部品の他方は、弾性部品の第2の端部の、前方部品および後方部品の他方に対する、少なくとも1つの方向への軸線方向の動きを防止するように構成される。骨ねじは、前方部品の第1のドライバ機能、および後方部品の第2のドライバ機能の両方と係合するように構成された第1のねじ込み部品を介して、開けられた骨穴に挿入されてもよい。挿入された骨ねじの効果による圧迫力は、測定することができる。挿入された骨ねじの効果による圧迫力は、前方部品の第1のドライバ機能のみ、または後方部品の第2のドライバ機能のみと係合するように構成された、第2のねじ込み部品を介して調節することができる。
【0029】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば、第18の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第19の態様では、骨ねじの効果による圧迫力を調節するステップは、第2のねじ込み部品を介して、骨穴内で前方部品または後方部品を進めるかまたは後退させることを含む。
【0030】
別段記載されていない限り他の任意の態様(例えば第18または第19の態様)と組み合わせることができる本出願の開示の第20の態様では、骨ねじはガイドワイヤの上方で骨穴に挿入される。
【0031】
開示された方法および装置の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明および図に記載され、それらから明らかになるであろう。本明細書に記載の特徴および利点は、すべてを含むものではなく、特に、多くの追加の特徴および利点が、図および説明を考慮すると当業者には明らかであろう。さらに、本明細書で使用される言語は、主に読みやすさおよび説明目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A】本開示の一態様による、骨ねじの分解図である。
【0033】
図1B】本開示の一態様による、図1Aの骨ねじの部分分解図である。
【0034】
図1C】本開示の一態様による、図1Aおよび図1Bの骨ねじの斜視図である。
【0035】
図2A】本開示の一態様による、図1Cの骨ねじの断面図である。
【0036】
図2B】本開示の一態様による、ばね部品が部分的に圧迫されている、図2Aの骨ねじの断面図である。
【0037】
図3】本開示の一態様による、後方ねじ部品用のドライバ部品の斜視図である。
【0038】
図4】本開示の一態様による、前方ねじ部品用のドライバ部品の斜視図である。
【0039】
図5A】本開示の一態様による、圧迫測定ツールの斜視図である。
【0040】
図5B】本開示の一態様による、図5Aの圧迫測定ツールの測定窓の拡大断面図を示す。
【0041】
図6】本開示の一態様による、骨折部を圧迫する例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本開示は、外科医が、取り付け中に骨ねじの効果による圧迫量を測定し、骨折部の治癒中に、提供される骨ねじにわたるその圧迫を動的に維持できるようにする、ばね部品を有する骨ねじを提供する。提供される骨ねじは、前方部品と、後方部品と、前方部品と後方部品との間で圧迫され得るばね部品とを備える。前方部品および後方部品は、骨に取り付けられると、2つの骨構造同士の間に圧迫を与えるようにそれぞれ構成される。例えば、前方部品は、一定でないピッチのねじ部を有する、2つの個別の外側ねじ領域を含んでもよく、かつ/または後方部品は、一定のピッチの外ねじを有する、テーパを施された本体を含んでもよい。
【0043】
ばね部品は、前方部品の非ねじ領域の周囲と、後方部品の内部とに配置されてもよい。ばね部品は、前方部品または後方部品のうちの1つに取り付けられて、他方の表面とは単に接触しているだけでもよい。この構成により、前方部品と後方部品とは、ばね部品をねじることなく、互いに回転することが可能になる。提供される骨ねじが骨に取り付けられ、前方部品または後方部品が骨内で進められるかまたは後退されると、前方部品と後方部品との間の相対変位が変更される。前方部品と後方部品との相対変位の変更により、ばね部品の圧迫に増減が生じる。したがって、提供される骨ねじの効果による圧迫力は、骨内で前方部品または後方部品のいずれかを進めるかまたは後退させることによって調節することができる。調節可能な圧迫力により、外科医は、骨折部にわたって所望の圧迫力を設定することが可能になる。
【0044】
アクティブなばね部品は、治癒中に骨折部にわたって所望の圧迫力が維持されることを可能にするのに役立つ、動的な圧迫をさらに生成する。例えば、ばね部品の可撓性は、骨折箇所に応力がかかったときに少なくともいくつかの一般的な骨ねじで生じる可能性のある、ねじが取れたり、抜けたり、破損したりすることの発生を防止または低減するのに役立つ。本開示の骨ねじの利点は、ばね部品が前方部品の周囲に配置されるので、骨ねじの軸線方向の剛性も維持しながら、アクティブなばね部品の効果を発揮することである。軸線方向の剛性が維持されることにより、ばね部品を有する少なくともいくつかの一般的な骨ねじと比較して、骨に取り付けられたときに、提供される骨ねじがより大きい負荷に耐えるのに役立つ。
【0045】
提供される骨ねじが与える圧迫を調節するために、骨ねじは、提供される骨ねじに特に適合された、ねじ込み部品と共に使用されてもよい。例えば、第1のねじ込み部品は、前方部品のドライバ機能および後方部品のドライバ機能の両方と同時に係合するように適合されてもよく、その結果、前方部品および後方部品の両方が共に回転されて、骨内に進められるかまたは後退され得る。この第1のねじ込み部品は、最初に骨ねじを挿入して、必要であれば骨ねじを全体として調節するために使用されてもよい。第2のねじ込み部品は、他方を除く1つの構成部品のみが回転されるように、前方部品のドライバ機能のみ、または後方部品のドライバ機能のみと係合するように適合されてもよい。この第2のねじ込み部品は、骨内の前方部品と後方部品との相対変位の変更を可能にし、したがって骨ねじの効果による圧迫力を調節するために使用され得る。場合によっては、第2のねじ込み部品以外に、第3のねじ込み部品が、前方部品のドライバ機能または後方部品のドライバ機能の他方と係合するように適合されてもよい。
【0046】
本開示は、取り付けられた骨ねじの効果による圧迫力の量を測定するために使用され得る、測定ツールをさらに提供する。提供される測定ツールは、前方部品と後方部品との変位を測定する。この変位は、ばね部品のばね定数に基づき、圧迫力に変換され得る。提供される骨ねじと、ねじ込み部品と、測定ツールとを組み合わせることにより、外科医は、治癒するように、骨折部にわたって所望の圧迫力を設定することが可能になる。提供される骨ねじ、ねじ込み部品、および/または測定ツールのさらなる利点は、以下の図面の説明から明らかになるであろう。
【0047】
本明細書では、外科医に言及する。外科医は、あるいは任意の適切な医療専門家であってもよく、または他の、提供される骨ねじおよびシステムの使用者であってもよいことを理解されたい。
【0048】
図1Aから図1Cは、例示的な骨ねじ100を示す。少なくともいくつかの態様では、骨ねじ100は、前方部品102と、ばね部品104と、後方部品106とを備える。骨ねじ100の構成部品は、骨ねじ100が骨折部にわたって骨に取り付けられたときに、骨折部にわたって圧迫を与えるように適合され得る。図1Aは、前方部品102、ばね部品104、および後方部品106のそれぞれを個別に示す、骨ねじ100の分解図である。少なくともいくつかの態様では、前方部品102は、その遠位端に切削チップ108を有するシャフトを備える。様々な例において、切削チップ108は自己穿孔式であってもよい。少なくともいくつかの態様では、図示されている態様におけるチャネル134によって示されているように、前方部品102のシャフトは、カニューレ状にされてもよい。
【0049】
少なくともいくつかの態様では、前方部品102のシャフトは、2つの骨片同士の間に圧迫を与えるのに寄与する外ねじを含む。例えば、前方部品102は、外側ねじ領域110を含んでもよい。場合によっては、前方部品102は、外側ねじ領域112を含んでもよい。様々な事例において、外側ねじ領域110および/または外側ねじ領域112におけるねじ部は、一定でないピッチを有してもよい。一例では、前方部品102の外ねじのピッチは、前方部品102の遠位端の最も近く(例えば、切削チップ108)が最大であってもよく、外側ねじ領域110および外側ねじ領域112を通って遠位端から離れるにつれて減少してもよい。外ねじのピッチは連なるねじ頂点の対応する箇所の間で測定される。別の例では、前方部品102の外ねじの頂点半径は、前方部品102の遠位端の最も近くで最大であってもよい。例えば、外側ねじ領域110のねじ部は、外側ねじ領域112のねじ部より頂点半径が大きくてもよい。外ねじの頂点半径は、前方部品102の中心軸から、外ねじの最も外側の箇所まで測定される。
【0050】
少なくともいくつかの態様では、前方部品102は、非ねじ領域114を含んでもよい。例えば、非ねじ領域114は滑らかな外面を有してもよい。様々な事例において、非ねじ領域114は、リッジ116で終わる。リッジ116は、前方部品102のシャフトの外面から外向きに延びている。少なくともいくつかの態様では、前方部品のシャフトは、その近位端にドライバ機能118を備える。ドライバ機能118は、それがねじ込み器具の構成部品によって係合されることを可能にする、任意の適切な構成を有してよい。図示の例では、ドライバ機能118は、六角形の形状の外周を有する。
【0051】
ばね部品104は、後端124の反対側に前端120を備える。前端120と後端124との間で、ばね部品104は弾性部分122を含む。図示されている態様のようないくつかの態様では、弾性部分122は、加工ばねであってもよい。他の態様では、弾性部分122は、コイルばねその他の適切な反発弾性部材であってもよい。図1Bに示すように、ばね部品104は、非ねじ領域114の周囲など、前方部品102の周囲に配置されてもよい。図1Cに示すように、ばね部品104は、後方部品106の内部に配置されてもよい。以下でさらに詳しく説明するように、弾性部分122の特性はばね定数であり、これは骨ねじ100の効果による圧迫力の量の係数である。
【0052】
後方部品106は、遠位端130の反対側に近位端126を有する、本体を備える。後方部品106は、2つの骨片同士の間に圧迫を与えることに寄与するのに役立つように構成される。例えば、後方部品106の本体はテーパを施されてもよく、その結果、本体は、その近位端126と比較して、その遠位端130のほうが大きい直径を有する。後方部品106の本体は、一定のピッチを有する外ねじ128を備えてもよい。少なくともいくつかの態様では、後方部品106は、その遠位端130から始まるドライバ機能132を備える。ドライバ機能132は、それがねじ込み器具の構成部品によって係合されることを可能にする、任意の適切な構成(例えば、修正ヘクサローブ)を有してよい。
【0053】
図1Cに示す骨ねじ100の構成状態では、前方部品102と後方部品106とは、互いに独立して回転する。少なくともいくつかの態様では、ばね部品104は、前方部品102または後方部品106のいずれかに取り付けられ得る。例えば、図1Bに示す態様で最もよく示されているように、ばね部品104の後端124は、前方部品102のリッジ116と接触しているが、これに取り付けられてはいない。その一方で、ばね部品104の前端120は、後方部品106に取り付けられる。例えば、ばね部品104の前端120は、溶接または機械嵌めによって後方部品106に取り付けられてもよい。この例示的な態様では、骨ねじ100が骨に取り付けられると、互いに取り付けられているために、ばね部品102が後方部品106と対になって回転する。ばね部品102は、前方部品102の周囲で自在に回転することができる。逆に、前方部品102を回転させても、ばね部品102は回転しない。これに加えて、リッジ116が、後方部品106とばね部品104との取り付けられたペアが、前方部品102から滑り出るのを防止する。
【0054】
他の態様では、ばね部品104の後端124は、リッジ116に取り付けられるように、前方部品102に取り付けられてもよい。このような他の態様では、後方部品106は、ばね部品104の前端120に接触するが取り付けられない、(例えば、図示されている態様におけるリッジ116と同様の)内部リッジを備えてもよい。これに加えて、このような他の態様では、内部リッジが、前方部品102とばね部品104との取り付けられたペアから、後方部品106が滑り出るのを防止する。
【0055】
骨ねじ100の上述した構成により、前方部品102と後方部品104との相対変位を調節可能にすることによって、骨ねじ100の効果による圧迫力の量を調節可能にすることができる。例えば、骨ねじ100が骨に取り付けられると、前方部品102が骨内で進められるかまたは後退され得る一方で、後方部品106は静止状態のままになり、その逆もまた可能である。図2Aは、図1Cに示す完全に構成された骨ねじ100の断面図である。一例では、前方部品102は、(例えば、ドライバ接続部118と係合するねじ込み器具を介して)矢印204の方向へ進められてもよい。前方部品102が進められると、これがばね部品104を圧迫し、その例示的な結果は図2Bに示されている。ばね部品104が圧迫される量、およびそのばね定数は、骨折部にわたる骨ねじ100の効果による、圧迫力の量の係数である。
【0056】
ばね部品104は、治癒中に骨折部にわたって所望の圧迫力が維持されることを可能にするのに役立つ、骨折部にわたる動的な圧迫をさらに生成する。例えば、ばね部品のない一般的な圧迫ねじが骨折部にわたって取り付けられて、骨折部位に応力(例えば、2つの骨片を互いに動かそうとする力)がかかると、この一般的な圧迫ねじは、最小限の弾力性しか持たないか、または全く持っていないので、一般的な圧迫ねじのねじ部と骨との接続部に応力が集中する場合がある。骨折部位に繰り返し応力がかかると、この一般的な圧迫ねじが取れたり、あるいは抜けたり壊れたりする場合がある。骨ねじ100の利点は、ばね部品104が、ねじ部と骨との接続部から応力の一部を除去するいくらかの弾力性をもたらし、応力をばね部品104内に集中させることである。これにより、ばね部品のない一般的な圧迫ねじで生じる可能性のある、ねじが取れたり、抜けたり、破損したりすることの発生を低減するのに役立つ。同時に、骨ねじ100は、前方部品102の周囲にばね部品104を配置することによって、少なくともいくつかの一般的なばね部品を有する圧迫ねじとは異なり、ばね部品を有しているにもかかわらず、その軸線方向の剛性および強度を維持している。骨ねじ100の軸線方向の剛性および強度は、ばね部品を有する少なくともいくつかの一般的な圧迫ねじよりも大きい負荷に耐えるのに役立つ。
【0057】
いくつかの態様では、骨ねじ100は、骨折部、癒合、および骨切り術における動的な圧迫を加えるために、肘、手根、足、または足首に使用されるように構成されてもよい。肘、手根、足、または足首は、骨密度が低い骨構造を含むため、骨ねじ100のばね部品104によってもたらされる弾力性のように、いくらかの弾力性を有するねじの恩恵を受けることができる。他の態様では、骨ねじ100は、臀部または肩で使用されるように構成されてもよい。臀部および肩の骨構造は、肘、手根、足、または足首の骨構造より大きいので、臀部または肩用に構成された骨ねじ100はより大きく(例えば、ばね部品104がより大きい)、かつ動作範囲が、肘、手根、足、または足首用に構成された骨ねじ100より大きくてもよい。さらに他の態様では、骨ねじ100は、患者の他の適切な骨構造用に構成されてもよい。
【0058】
様々な態様において、骨ねじ100は、チタン、ステンレス鋼、またはニチノールなどの適切な生体適合性を持つ材料で構成され得る。いくつかの例では、前方部品102、ばね部品104、および後方部品106はそれぞれ、同じ適切な材料で構成されてもよい。他の例では、前方部品102、ばね部品104、または後方部品106のうちの少なくとも1つが、他とは異なる適切な材料で構成されてもよい。
【0059】
上述したように、骨ねじ100の前方部品102または後方部品106は、他方からは独立して、骨内で進められるかまたは後退されてもよい。そうするために、骨ねじ100の前方部品102および後方部品104に適合された、ねじ込み部品が提供されてもよい。図3は、例示的なねじ込み部品300の斜視図である。ねじ込み部品300は、シャフト302を備える。シャフト302は、任意の適切な長さであってもよく、縮尺通りに描かれていなくてもよいことを理解されたい。いくつかの態様では、ねじ込み部品300のシャフト302の後端306は、(例えば、手動でねじ込むための)ドライバまたはハンドルに接続するように適合されてもよい。例えば、後端306は、図示されているようなAOコネクタであってもよい。他の態様では、シャフト302の後端306は、ドライバまたはハンドルに一体的に接続されてもよい。ねじ込み部品300は、生体適合性を持つ適切な材料で構成されてもよい。
【0060】
例示的な例では、ねじ込み部品300は、前方部品102のドライバ接続部118と、後方部品106のドライバ接続部132との両方に同時に係合するように構成される。例えば、ねじ込み接続部304は、後方部品106のドライバ接続部132と係合するように構成され、ねじ込み接続部308は、前方部品102のドライバ接続部118と係合するように構成される。ねじ込み部品300は、ドライバ接続部118の周囲と、ドライバ接続部132の内部とに配置されてもよい。前方部品102のドライバ接続部118と、後方部品106のドライバ接続部132との両方に同時に係合することによって、外科医は、ねじ込み部品300を介して、骨ねじ100を全体として骨の中に進めることが可能になる。例えば、これは、骨ねじ100を最初に挿入する際に行われ得る。
【0061】
図4は、例示的なねじ込み部品400の斜視図である。ねじ込み部品400は、シャフト402を備える。シャフト402は、任意の適切な長さであってもよく、縮尺通りに描かれていなくてもよいことを理解されたい。いくつかの態様では、ねじ込み部品400のシャフト402の後端406は、(例えば、手動でねじ込むための)ドライバまたはハンドルに接続するように適合されてもよい。例えば、後端406は、図示されているようなAOコネクタであってもよい。他の態様では、シャフト402の後端406は、ドライバまたはハンドルに一体的に接続されてもよい。ねじ込み部品400は、生体適合性を持つ適切な材料で構成されてもよい。
【0062】
例示的な例では、ねじ込み部品400は、前方部品102のドライバ接続部118のみに係合するように構成される。例えば、ねじ込み接続部408は、前方部品102のドライバ接続部118に係合し対応するように構成される。ねじ込み部品400は、ドライバ接続部118の周囲と、ドライバ接続部132の内部とに配置されてもよい。しかしながら、接続部404は、後方部品106のドライバ接続部132に対応せず、したがってドライバ接続部132とは係合しない。いくつかの態様では、接続部404は図示されているように滑らかであってもよい。前方部品102のドライバ接続部118のみが係合することにより、外科医は、ねじ込み部品400を介して前方部品102のみを進めるかまたは後退させることが可能になる。例えば、外科医は、骨ねじ100の効果による圧迫力を調節するために、前方部品102のみを進めるかまたは後退させることができる。
【0063】
本開示のいくつかの態様では、図示されていないが、後方部品106のドライバ接続部132のみと係合するように構成された、ねじ込み部品が提供されてもよい。例えば、場合によっては、ねじ込み部品400の接続部404は、後方部品106のドライバ接続部132と係合し対応できるように構成されてもよく、その一方で、ねじ込み接続部408は、前方部品102のドライバ接続部118と対応しないことによって、これと係合しないように構成されてもよい。後方部品106のドライバ接続部132のみが係合することにより、外科医は、後方部品106のみを進めるかまたは後退させることが可能になる。例えば、外科医は、骨ねじ100の効果による圧迫力を調節するために、後方部品106のみを進めるかまたは後退させることができる。
【0064】
少なくともいくつかの事例では、骨ねじ(例えば、骨ねじ100)によって、骨折部にわたってどのくらいの圧迫力が印加されるかがわかれば外科医にとって有用である。例えば、この情報によって、外科医は、骨折部にわたって所望の量の圧迫力を達成するために、骨ねじ100の前方部品102または後方部品106を調節してもよい。図5Aは、骨折部にわたる骨ねじ(例えば、骨ねじ100)の効果による圧迫力を測定するための例示的な測定ツール500を示す。測定ツール500は、シャフト502を備える。シャフト502の後端516は、ハンドルなど、測定ツール500の任意の適切な端部を形成し得る。
【0065】
様々な態様において、ロッド510がシャフト502内に配置される。このような態様では、ロッド510はシャフト502内で摺動することができる。いくつかの例では、ロッド510は、チャネル518を含むように、カニューレ状にされてもよい(図5B)。シャフト502の前端は、接続部504と接続部506とを備える。少なくともいくつかの態様では、接続部506は、ドライバ接続部118に対応するように構成され、かつ/または接続部504は、ドライバ接続部132に対応するように構成される。接続部504および/または接続部506のこの構成は、正確な測定を実現するために、測定ツール500が骨ねじ100と軸線方向に揃ったままにしておくのに役立つ。初期位置では、測定が行われる前は、ロッド510が、シャフト502の前端方向に配置されてもよい。例えば、ロッド510の一端が、シャフト510の前端と揃っていてもよい。
【0066】
測定を行うために、測定ツール500は、骨ねじ100の前方部品102の周囲(例えば、ドライバ接続部118)と、後方部品106(例えば、ドライバ接続部132)の内部とに配置されてもよく、その結果、ドライバ接続部118は、測定ツール500の接続部506の内部にある。少なくともいくつかの態様では、測定ツール500は、測定ツール500が進める限り遠方へ、後方部品106の中へ進められてもよい。これが行われると、後方部品106のドライバ接続部118は、ロッド510を、測定ツール500のシャフト502内で摺動させる。少なくともいくつかの態様では、ロッド510は、ラインマーキングなどのインジケータ512を備える。様々な態様において、シャフト502は窓508を備えてもよく、これを通してロッド510のインジケータ512が見える。少なくともいくつかの例では、シャフト502は、窓508に隣接する目盛り514を備える。測定値は、インジケータ512が目盛り514と整列する箇所に対応する。いくつかの態様では、測定ツール500は、骨ねじ100の前方部品102と後方部品106との変位を測定する。この変位は、ばね部品104のばね定数に基づき、圧迫力の量に変換され得る。いくつかの態様では、目盛り514は、変位値(例えば、ミリメートル)を含み得る。他の態様では、目盛り514は、圧迫力の値(例えば、ニュートン)を含み得る。
【0067】
本開示のいくつかの態様では、測定ツール500は、それ自身が別個の構成部品であってもよい。このような態様では、外科医は、必要なときに測定ツール500で測定を行い、骨ねじ100を取り付けるかまたは調節するために、別個のねじ込み部品(例えば、ねじ込み部品300および400)を使用してもよい。本開示の他の態様では、測定ツール500は、ねじ込み部品と一体化されてもよい。例えば、このような態様では、測定ツール500は、ねじ込み部品として作用するのに適した1つ以上の材料で構成されてもよい。これに加えて、このような他の態様では、外科医は、骨ねじ100を取り付けるかまたは調節して、同じツールで測定を行ってもよい。
【0068】
図6は、本開示の一態様による、骨折部を圧迫する例示的な方法のフローチャートを示す。例示的な方法600は、図6に示されるフローチャートを参照して説明されるが、方法600に関連する動作を実施する多くの他の方法が使用されてもよいことが理解されよう。例えば、ブロックのいくつかの順序が変更されてもよく、特定のブロックが他のブロックと組み合わされてもよく、記載されたブロックのいくつかは任意選択である。
【0069】
場合によっては、方法600は、骨ねじ(例えば、骨ねじ100)を受けるために骨穴を開けることによって開始してもよい(ブロック602)。いくつかの態様では、骨穴を開けるステップは、骨ねじ100用に、意図した箇所にガイドワイヤを挿入することを含む。骨ねじ100の後方部(例えば、後方部品106)と類似した輪郭を有する穴を骨に(例えば、皮質近位に)生成するために、第1のドリルまたはドリル部品が使用されてもよい。骨ねじ100の前方部(例えば、前方部品102)と類似した輪郭を有する穴を骨に生成するために、第2のドリルまたはドリル部品が使用されてもよい。少なくともいくつかの態様では、骨ねじ100を受けるために骨穴が開けられると、放射線撮像および/または測定器具を使用して、骨ねじ100の所望の長さおよび/または直径が決定される。その後、外科医は、決定した長さおよび/または直径を有する骨ねじ100を選択することができる。
【0070】
少なくともいくつかの態様では、外科医は、第1のねじ込み部品(例えば、ねじ込み部品300)を介して、選択した骨ねじ100を開けた骨穴に挿入してもよい(ブロック604)。ねじ込み部品300は、外科医が骨ねじ100を全体として骨穴の中に進められるように、前方部品102(例えば、ドライバ接続部118)、および後方部品106(例えば、ドライバ接続部132)の両方と同時に係合する。外科医は、2つの骨片同士の間の骨折部にわたって、骨ねじ100を所望の位置に進めることができる。
【0071】
様々な事例において、外科医は、次に、挿入した骨ねじ100の効果による圧迫力を測定し得る(ブロック606)。例えば、外科医は、挿入した骨ねじ100の効果による圧迫力を測定するために、測定ツール500を使用してもよい。場合によっては、挿入した骨ねじ100の効果による圧迫力は、第2のねじ込み部品(例えば、ねじ込み部品400)を介して調節されてもよい(ブロック608)。例えば、測定した圧迫力は、特定の骨折部を治療するための、外科医が所望する圧迫力と等しくならない場合がある。この例では、ねじ込み部品400は、外科医が前方部品102のみを進めるかまたは後退させることが可能になるように、前方部品102(例えば、ドライバ接続部118)のみと係合する。そうすることにより、骨内の前方部品102と後方部品106との相対変位を変更し、骨折部にわたる、骨ねじ100の効果による圧迫力を調節する。他の例では、同様の方法で圧迫力を調節するために、上述したように、後方部品106(例えば、ドライバ接続部132)のみと係合するねじ込み部品が使用されてもよい。
【0072】
場合によっては、圧迫力を調節した後で、外科医は、骨ねじ100の効果による圧迫力を再度測定してもよい。測定した圧迫力が、外科医の所望する圧迫力でない場合は、次に外科医は、前方部品102のみ、または後方部品106のみと係合するねじ込み部品を介して、再度圧迫力を調節してもよい。上述したように、いくつかの態様では、外科医は、同じツールまたはねじ込み部品を使用して、圧迫力を調節したり、圧迫力を測定したりしてもよい。外科医が、骨折部にわたる骨ねじ100の効果による圧迫力に満足すると、骨ねじ100が設置され、骨折部は治癒することが可能になる。
【0073】
本明細書に開示された例および態様は、単なる例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。説明した基本原理から逸脱することなく、上述の例の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。換言すれば、上記の説明で具体的に開示された例の様々な修正および改善は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、記載された様々な例の特徴の任意の適切な組み合わせが企図される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
図1Cに示す骨ねじ100の構成状態では、前方部品102と後方部品106とは、互いに独立して回転する。少なくともいくつかの態様では、ばね部品104は、前方部品102または後方部品106のいずれかに取り付けられ得る。例えば、図1Bに示す態様で最もよく示されているように、ばね部品104の後端124は、前方部品102のリッジ116と接触しているが、これに取り付けられてはいない。その一方で、ばね部品104の前端120は、後方部品106に取り付けられる。例えば、ばね部品104の前端120は、溶接または機械嵌めによって後方部品106に取り付けられてもよい。この例示的な態様では、骨ねじ100が骨に取り付けられると、互いに取り付けられているために、ばね部品104が後方部品106と対になって回転する。ばね部品104は、前方部品102の周囲で自在に回転することができる。逆に、前方部品102を回転させても、ばね部品104は回転しない。これに加えて、リッジ116が、後方部品106とばね部品104との取り付けられたペアが、前方部品102から滑り出るのを防止する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
骨ねじ100の上述した構成により、前方部品102と後方部品106との相対変位を調節可能にすることによって、骨ねじ100の効果による圧迫力の量を調節可能にすることができる。例えば、骨ねじ100が骨に取り付けられると、前方部品102が骨内で進められるかまたは後退され得る一方で、後方部品106は静止状態のままになり、その逆もまた可能である。図2Aは、図1Cに示す完全に構成された骨ねじ100の断面図である。一例では、前方部品102は、(例えば、ドライバ接続部118と係合するねじ込み器具を介して)矢印204の方向へ進められてもよい。前方部品102が進められると、これがばね部品104を圧迫し、その例示的な結果は図2Bに示されている。ばね部品104が圧迫される量、およびそのばね定数は、骨折部にわたる骨ねじ100の効果による、圧迫力の量の係数である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
上述したように、骨ねじ100の前方部品102または後方部品106は、他方からは独立して、骨内で進められるかまたは後退されてもよい。そうするために、骨ねじ100の前方部品102および後方部品106に適合された、ねじ込み部品が提供されてもよい。図3は、例示的なねじ込み部品300の斜視図である。ねじ込み部品300は、シャフト302を備える。シャフト302は、任意の適切な長さであってもよく、縮尺通りに描かれていなくてもよいことを理解されたい。いくつかの態様では、ねじ込み部品300のシャフト302の後端306は、(例えば、手動でねじ込むための)ドライバまたはハンドルに接続するように適合されてもよい。例えば、後端306は、図示されているようなAOコネクタであってもよい。他の態様では、シャフト302の後端306は、ドライバまたはハンドルに一体的に接続されてもよい。ねじ込み部品300は、生体適合性を持つ適切な材料で構成されてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
様々な態様において、ロッド510がシャフト502内に配置される。このような態様では、ロッド510はシャフト502内で摺動することができる。いくつかの例では、ロッド510は、チャネル518を含むように、カニューレ状にされてもよい(図5B)。シャフト502の前端は、接続部504と接続部506とを備える。少なくともいくつかの態様では、接続部506は、ドライバ接続部118に対応するように構成され、かつ/または接続部504は、ドライバ接続部132に対応するように構成される。接続部504および/または接続部506のこの構成は、正確な測定を実現するために、測定ツール500が骨ねじ100と軸線方向に揃ったままにしておくのに役立つ。初期位置では、測定が行われる前は、ロッド510が、シャフト502の前端方向に配置されてもよい。例えば、ロッド510の一端が、シャフト502の前端と揃っていてもよい。
【国際調査報告】